8月16日のニュース:マレーシアサッカー協会はタン代表監督との契約延長の予定、W杯予選延期によるMリーグの日程再編はなし、マレーシアサッカー協会は買収希望者に対してクラブの経営状況などを提供

マレーシアサッカー協会はタン代表監督との契約延長の予定
 マレーシア国内では3月18日から中断中のMリーグが今月8月26日に再開しますが、国外に目を向けると、まずは今年の11月に予定されていた東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ、そして10月から11月にかけて予定されていたFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会予選がいずれも来年2021年まで延期となるなど、代表チームの国際試合が消失してしまいました。
 これに伴い2017年12月からの契約が今年12月末で切れる代表のタン・チェンホー監督の去就も注目されていましたが、マレーシアサッカー協会FAMはタン監督との契約を延長し、来年再開予定のW杯予選の指揮を任せる方向で話が進んでいると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、これまでタン監督が残してきた結果を好ましく評価した上で、近いうちに契約の延長を提示する予定であると話しています。
 またスチュアート事務局長は、当面の試合予定がなくなってしまった代表チームの今後の予定についても近いうちに発表すると話しています。
 「現在、FAMは(Mリーグを運営する)マレーシアフットボールリーグMFLと、代表チームの試合がなくなった10月と11月の日程について協議中である。この期間中は、アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグに出場するジョホール・ダルル・タジムJDT以外のMリーグのクラブにとっては試合のない空白期間になっている。」と話すスチュアート事務局長は、代表チームの今後の予定に関心を持つメディアやサポーターに対し、今後の日程の詳細についてはもうしばらく待つように求めています。

W杯予選延期によるMリーグの日程再編はなし
 10月と11月に予定されていたW杯予選が来年に延期されたことを受け、5週間で7試合を消化する予定のMリーグの日程が変更になるのではという声も上がっていましたが、MリーグのCEOは、再開後のMリーグの日程に変更はないようです。
 ニューストレイトタイムズによるとMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、8月26日に再開し、9月23日に閉幕予定のMリーグ1部と2部、そしてリーグ1部の上位11クラブと2部の上位5クラブが参加して10月17日開幕予定のマレーシアカップのいずれについても、W杯予選延期による日程変更はないと話しています。
 アブドル・ガニCEOは、当初の国内日程が11月に終了する予定であり、これに基づき多くの選手及び監督、コーチの契約が11月末で切れることから、契約期間延長などの混乱を避けることを理由に日程を変更しないと話しています。

マレーシアサッカー協会は買収希望者に対してクラブの経営状況などを提供
 マレーシアサッカー協会FAMは、Mリーグクラブの買収を検討している企業や個人からのクラブの経営状況についての問い合わせを受ければ、その情報を提供する用意があると、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 さらにFAMは、クラブの買収希望者とクラブを運営する州サッカー協会(州FA)の間の交渉が効率的に行えるよう仲介を行い、Mリーグ全クラブの民営化という目的が滞りなく実現させたいとしています。
 FAMのクラブライセンス発給を担当する第一審期間FIBのモハマド・フィルダウス・モハメド委員長は、多くの企業や個人がMリーグクラブ買収という形でサッカーに関心を示していることは喜ばしいが、実際にクラブを運営する州FAとの交渉に入った際に、州FAが買収希望者に全ての情報を提供していない場合には、交渉が決裂するだけでなく、Mリーグ全体のイメージが低下する可能性があると話しています。
 「例えば5年前や10年前の未払い給料や滞納金について州FAが『忘れている』ことを買収希望者が後で知った場合、その州FAだけでなくMリーグ全体が信用を失ってしまうことが考えられる。そう言ったことを避けるためにも、クラブの買収を検討している企業や個人はFAMに問い合わせて欲しい。FAMは必要な情報を提供するだけでなく、州FAとの交渉を円滑に進められるよう仲介することもできる。」と話すフィルダウス委員長は、9月30日を期限とするMリーグクラブの州FAからの独立と民営化は、アジアサッカー連盟AFCが設けている国内リーグの参加条件によるものであることも強調しています。

8月15日のニュース:日本対マレーシアの親善試合計画が進行中?、FAMはクラブに民営化期限の遵守を求める、FAM-代表候補レベルでない選手の帰化申請は所属クラブの責任で行うべき

日本対マレーシアの親善試合計画が進行中?
 英国の大衆向け新聞ミラー電信版によると、日本代表対マレーシア代表の試合が来月9月に計画されているようです。
 日本で言えばいわば東スポ的な存在の大衆向けタブロイド紙のミラーは、「リバプールFCの南野拓実選手が今後はチーム内での役割が増すだろう」という見出しの記事記事を8月12日版に掲載しています。その記事では、来月9月から各国代表が参加して行われるヨーロッパサッカー連盟UEFAネイションズリーグが開幕しますが、国内リーグやUEFAチャンピオンズリーグなどの過密日程の中で行われることから、リバプールFCのユルゲン・クロップ監督はUEFAネイションズリーグに出場しないヨーロッパ出身ではない選手に依存する割合が上がるだろうとしています。そしてその記事の中に以下のような記述があります。
Now Minamino has been told that, while Japan do have friendlies against Malaysia and Lebanon in the pipeline – although not confirmed – for next month, he won’t be needed for any World Cup qualifiers in October and November.”
「日本代表は(確定はしていないが)来月、マレーシアとレバノンとの親善試合の計画を進めており、南野選手は10月と11月にあるW杯予選には招集されないことが、本人には既に伝えられている。」(ボラセパマレーシア訳)
 W杯予選に招集されない南野選手の出場機会は、同様に代表チームの試合が組まれていないアフリカ出身のモハメド・サラー(エジプト)やサディオ・マネ(セネガル)、ナビ・ケイタ(ギニア)らとともに増えるだろうとこの記事は結んでいます。
 「確定はしていない」、「計画中」という表現を含んでおり、またどこで開催される予定かなどは全く書かれておらず、また新型コロナウィルスの影響で国境を超えての移動には色々と制約がつきますが、もし実現すれば…と考えるだけでもワクワクします。

FAMはクラブに民営化期限の遵守を求める
 マレーシアサッカー協会FAMは、Mリーグ1部と2部の全てのクラブに対して、各州サッカー協会からの独立と民営化を求めており、その期限を9月30日としています。このブログでもMリーグのクラブを「クダFA」「ケランタンFA」と表記していますが、これは例えば「クダFA」というクラブが、クダ州サッカー協会(クダ州FA)によって運営されているクラブであることが理由です。そして、FAMは9月30日までに州FAが運営するクラブ「○○FA」が州FAから分割されて民営化された「○○FC」となることを求めています。そして、この民営化が期限までに達成されないクラブには、MリーグでのプレーするためのクラブライセンスをFAMは発給しないとしています。
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によれば、そんな中、FAMのクラブライセンス発給を担当する第一審期間FIBのフィルダウス・モハマド委員長は、Mリーグ1部パハンFAが民営化手続きを未だに始めていないことを明らかにした上で、「パハン州FAは、期限までに運営するパハンFAを民営化してパハンFCとすることに楽観的なようだが、クラブの歴史を考えると、万が一期限までに民営化が実現できなければ惜しいことになる。」と話しています。
 その一方でフィルダウス委員長は、ヌグリスンビラン州FAが運営するMリーグ2部のヌグリスンビランFAの民営化が完了し、来季はヌグリスンビランFCとなることについて、その真摯な取り組み姿勢を高く評価していると話しています。
 さらにフィルダウス委員長は、新型コロナウィルスの影響もあり、各州FAの民営化手続きの進捗状況を逐一把握することは難しいと話す一方で、9月30日の期限までに民営化手続きの最終段階にいるクラブには寛容な姿勢を示す可能性はあるかもしれないが、手続きの大半が残っているクラブに関しては、クラブライセンスの発給はないと話しています。

FAM-代表候補レベルでない選手の帰化申請は所属クラブの責任で行うべき
 スランゴール州FAが運営するスランゴールFCのBチームでMリーグ2部のスランゴール2に所属するアルミン・マイアー・ラフィは、ドイツ人の父親とマレーシアとシンガポール人の母親を持ち、シンガポールU23代表でのプレー経験がある23歳の守備的ミッドフィルダーです。
 現在は外国籍選手として在籍しているアルミン・マイヤー選手は、母方の祖父がマレーシア出身ということで、帰化した上でマレーシア国籍の取得も可能ですが、ニューストレイトタイムズ電子版は、マレーシアサッカー協会FAMにはアルミン・マイアー選手の帰化申請手続きの支援予定がないとしています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は「アルミン・マイアー選手は代表候補レベルの選手ではないため、FAMが支援を行う予定はない。もしスランゴール2がアルミン・マイアー選手をマレーシア人として登録したいのであれば、所属クラブのスランゴール2が帰化申請を支援するべきである。」と話しています。
 アルミン・マイヤー選手自身は、これまでもマレーシア代表としてプレーしたいことを公言しており、そのため現在、代表でプレーするマシュー・デイヴィーズやラヴェルコービン=オング同様、父母や祖父母にマレーシア人を持つヘリテージプレーと呼ばれる帰化選手となり、マレーシア国籍を取得したいと話しています。
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 今年に入って、いずれもマレーシアに連続5年居住というFIFAの帰化規定を満たしたコソボ共和国出身のリリドン・クラシニスキの帰化申請を達成し、ブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラの帰化申請も支援しているFAMですが、代表チームの利益に直接繋がらない帰化申請は支援しない、というシビアな姿勢を打ち出しているようです。
 アルミン・マイヤー選手は、昨シーズンはMリーグ覇者ジョホール・ダルル・タジムJDTのBチームでMリーグ2部のJDT IIとテスト生として契約しながら、リーグ戦では出場機会がなく、今季からスランゴール2でプレーしています。
 

8月14日のニュース:Mリーグは予定通り8月26日より無観客試合でリーグ再開することを担当大臣が明言、フェルダUも共同オーナーを募集中、ルクマンのKVコルトレイクでの背番号は9に決定

Mリーグは予定通り8月26日より無観客試合でリーグ再開することを担当大臣が明言
 ここに来て、新型コロナウィルス感染者数が増加傾向にあるマレーシア。これを受けて国内スポーツを統括する青年スポーツ省が保健省と国家安全保障委員会にMリーグ再開日程についての助言を求めたという記事なども出ていましたが、新型コロナウィルス関連事項を担当しているイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相は、Mリーグは予定通り8月26日より無観客で再開することを明言しています。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、サブリ上級相は「保健省による勧告を考慮した上で(8月26日リーグ再開の)日程が決定が下されており、Mリーグの主催者にはマレーシア政府が求める指針に従うことを改めて求めたい。」と、現在発令中のリカバリー活動制限令RMCO関連の定例記者会見の席上で語ったということです。

フェルダUも共同オーナーを募集中
 Mリーグ1部と2部のクラブは9月30日までにクラブの民営化が求められていますが、マレーシア政府機関の連邦土地開発庁FELDAが運営するフェルダ・ユナイテッドFCも共同オーナーを探していると、サッカー専門サイトのスムアニャボラが伝えています。
 FELDAは新たな入植地を開梱し、その入植者支援を目的に立ち上げられた政府機関ですが、現在はヤシ油を算出する世界最大のプランテーションを運営するFGV持ち株会社を含め関連会社を複数抱え、経済活動及び商業活動を活動の中心としています。
 フェルダ・ユナイテッドFCも、当初はFELDAによる入植者のためのクラブとしてスタートしましたが、2008年にMリーグ2部に昇格、そして2011年には1部へ昇格しています。また2016年にはMリーグ1部で2位となり、よく2017年にはアジアサッカー連盟主催のAFCカップにも出場しているリーグ中堅のクラブです。
 フェルダ・ユナイテッドFCは、クラブ名にFCがついてはいるものの、多くの州サッカー協会(州FA)が運営するクラブと同様、完全な民営化は完了しておらず、現在は民営化をを目指して、FELDAと共同でクラブ運営をする企業や投資家を募っているということです。
 フェルダ・ユナイテッドFCのアフィザル・アブ・オスマン事務局長は、民営化によってクラブ経営が改善され、FELDAとその関連企業に運営資金を依存する体質から脱却できる機会と捉えているとし。現在は未払い給料問題もなく、パハン州ジェンカに本拠地となるトゥン・アブドル・ラザクスタジアムを持ち、スランゴール州バンギには練習場とジムを持つなど資産もあり、マレーシアでのサッカークラブ運営を検討している企業や投資家には魅力的なクラブであると話しています。

ルクマンのKVコルトレイクでの背番号は9に決定
 マレーシアU19代表のエースで、ベルギー1部リーグのKVコルトレイクと5年契約を結んだルクマン・ハキム・シャムスディンの背番号は9となることが、クラブの公式Facebookで発表されています。
 クラブの公式Facebook上の40秒ほどのビデオでは、ルクマン選手のユニフォーができていく過程が紹介されています。
 またマレーシア語紙ブリタハリアンは、ルクマン選手が13時間かけてマレーシアからベルギーに到着したことを報じています。なお、ルクマン選手はクラブが所有する施設で2週間の隔離期間を経てチームに合流するということです。
 なおベルギー1部リーグは8月9日に開幕し、第1節ではルクマン選手が所属する昨季11位のKVコルトレイクは小林祐希選手が所属する昨季16位のワースラント=ベフェレンと対戦し、1-3で敗れています。
(写真はKVコルトレイクの公式Facebookに掲載されたルクマン選手のユニフォーム)

8月13日のニュース:速報-AFCはW杯アジア二次予選を2021年に延期、W杯予選延期でMリーグ日程も変更か、クダFAの選手に7月分の給料が支給される

速報-AFCはW杯アジア二次予選を2021年に延期
 アジアサッカー連盟AFCは国際サッカー連盟FIFAとともに、10月から11月にかけて予定されていたFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選を来年2021年まで延期することを公式サイトで発表しました。
 新型コロナウィルスの感染がいまだに多くの国で広がっていることを考慮した上で、すべての参加者の健康と安全保護の観点からの判断であるとしています。延期後の日程については追って発表されるということです。
 今年3月に予定されていたW杯予選は、新型コロナウィルス感染の影響で10月から11月に延期されており、これで二度目の延期となりました。

W杯予選延期でMリーグ日程も変更か
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、Mリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOが、W杯アジア二次予選延期はMリーグの日程の過密化の助けになると話していると報じています。
 アブドル・ガニCEOは、FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の延期の発表は、Mリーグが待ち続けていたものだとしています。
 「8月26日に開幕し、9月23日に閉幕するMリーグの日程には、リーグ開催中に(新型コロナウィルスの)感染者が出るなどして試合が延期される場合や、何らかの事情でスタジアムが使用できなくなるような場合に必要な『予備日』が全く設定されていないので、このW杯予選中止により、この予備日を設定する日程的な余裕ができた。」と話しています。
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 先日のアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップの延期に続き、W杯予選も来年まで延期となったことで、マレーシアの今年のサッカーカレンダーはMリーグの残り7試合とマレーシアカップのみとなりました。8月26日から再開されるMリーグは上記のアブドル・ガニCEOが話すように予備日を設定することで過密日程を避けることができ、それにより10月17日の一回戦から11月7日の決勝までの日程が発表されているマレーシアカップの日程もMリーグ最終節の日程が変われば、変更になることも考えられます。

クダFAの選手に7月分の給料が支給される
 マレーシアの通信社ブルナマは、Mリーグ1部のクダFAの選手が7月分の給料全額を支払われたと報じています。クダFAを運営するクダ州サッカー協会(クダ州FA)のムハマド・サヌシ会長は、いまだ未払いとなっている3月から6月分の給料についても、近いうちに支払いが行われると話しています。
 サヌシ会長は、今季中にクダFAの選手やスタッフに対する全ての未払い給料を完済する他、従業員積立基金EPFと交渉し、2019年から未納となっている積立金についても納入計画を作成することを記者会見で約束しています。
 この記者会見の前には、クダFAのチーム全員を招いた夕食会を主催したサヌシ会長は、その夕食会の席上で選手やスタッフの献身的にサッカーへ取り組む姿勢に感謝の意を示すとともに、クダ州FAの現経営陣及び旧経営陣の不手際を出席者に詫びたということです。

8月12日のニュース:活動停止処分期間中のプルリス州FAが密かに活動再開か、強化合宿中のU19代表は練習試合2試合を予定、パハンFAのレバノン出身選手はいまだ自国から出国できず

活動停止処分期間中のプルリス州FAが密かに活動再開か
 複数の在籍選手やコーチに対しての未払い給料が支払われなかったことから、国際サッカー連盟FIFAから2019年より2年間のあらゆるサッカー活動の停止処分を受けているプルリス州サッカー協会(プルリス州FA)が、マレーシアサッカー協会FAMの知らないうちに活動を再開しているという疑惑を英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 プルリス州に拠点を持つクラブのプルリス・ユナイテッドFCは今季2020年シーズンからMリーグ3部にあたるM3リーグに参加していますが、このプルリス・ユナイテッドFCがプルリス州FAを運営しているという疑惑が浮上しています。
 プルリス・ユナイテッドFCはプルリス州を拠点にするということで、クラブのM3リーグ参加の際には、プルリス州FAの元役員らと接触を持たないようFAMが警告していましたが、効果はなかったようです。
 今季まではMリーグ1部と2部を運営するマレーシアフットボールリーグMFLの下部組織であるアマチュアフットボールリーグAFLが3部のM3リーグと4部のM4リーグを運営していましたが、来季2021年シーズンからはFAMが3部と4部リーグを運営することなり、これによりこの疑惑が発覚したようです。
 FAMでクラブライセンス審査を担当する第一審査機関FIBのフィルダウス・モハマド委員長は、「プルリスFAは現在、2年間の活動停止処分期間中であり、どのような活動も許されていない。プルリス・ユナイテッドFCがどのようにしてM3リーグに参加できたのかは定かではないが、来季開幕前までには精査を行なって、事実を明らかにしたい。」と話しています。さらにFAM主導で行われている州FAが運営するクラブの民営化に際しては、法を守らないクラブがMリーグに戻れるような抜け穴を作らないようにするとも話しています。
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 このプルリス・ユナイテッドFCは今年3月には、給料の半分しか支払わず、しかも選手の同意なしに契約解除を行ったことが報じられるなど、既に問題が発生していましたが、それをAFL、そしてMFLが放置していた結果、このような事態になった可能性もあります。

強化合宿中のU19代表は練習試合2試合を予定
 10月にウズベキスタン で開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場するU19代表は、大会前にMリーグクラブと2試合の練習試合を行うことが予定されていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 第一次合宿と現在開催中の第二次合宿を合わせると既に5週間の練習を続けてきたチームは、待望の実戦練習として本日8月12日にはMリーグ1部のPJシティFCと、そして8月19日にはMリーグ2部のスランゴール2との対戦が組まれているということです。
 強い相手と練習試合を行いたいとするU19代表のブラッド・マロニー監督は、現在強化合宿が開催されているスランゴール州の両クラブを相手に、これまで練習で行ってきたことができるかどうかを確認する機会でもあり、良い腕試しになることを期待していると話しています。
 AFC U19選手権ではグループDに入るU19代表は、10月16日のグループステージ初戦でトルクメニスタンと、10月19日にはカタール、10月22日にはイエメンと対戦します。この大会では、各グループの上位2チームがベスト8としてノックアウトステージに進み、準決勝まで勝ち上がったチームは、来年2021年にインドネシアで開催されるU20W杯への出場権を獲得することができます。

パハンFAのレバノン出身選手はいまだ自国から出国できず
 Mリーグ1部パハンFAで今季からプレーするレバノン出身のDFカリル・ハミスは、Mリーグ再開の8月26日が近づく一方で、いまだに自国で足止めされていると、マレーシア語紙コスモ電子版が伝えています。
 カリル選手は、現在、レバノン政府が自国民の海外渡航を禁じていることからいまだに出国できていません。さらに出国許可が出る予定も立っていないことから、パハンFAのドラー・サレー監督は、カリル選手は今季中にチームに合流できない可能性が高いことを認めざるを得ないと話しています。新型コロナウィルスにより中断しているMリーグは、試合数が半分になっており、今季は9月末に終了する予定になっています。
 新型コロナウィルスに加え、先日、レバノンの首都のベイルートで起こった爆発事故の影響で、レバノンからの出国ははさらに難しくなっているという話もあります。
 ここにきてカリル選手との連絡も途絶えていると話すドラー監督は、同じくディフェンダーのムスリム・アーマドもケガが完治しておらず、リーグ再開に向けて頭が痛いとし、現有戦力で戦うしかないと話しています。
 リーグ中断時点で勝点6でリーグ3位のパハンFAは、8月26日のリーグ再開初戦で同じくリーグ首位のジョホール・ダルル・タジムとホームのダルル・マクムルスタジアムで対戦します。

8月7日のニュース:18歳のルクマンがベルギー1部のクラブと5年契約で正式サイン、マレーシアの富豪はMリーグクラブの経営には興味なし、シャーアラムスタジアムの改修費用は63億円

18歳のルクマンがベルギー1部のクラブと5年契約で正式サイン
 U19代表のエースで将来は代表のエースと嘱望されているルクマン・ハキム・シャムスディンがベルギー1部リーグのKVコルトレイクと5年契約を正式に交わしました。
 クアラルンプール市内で行われた契約式は、KVコルトレイクのオーナーでもあるマレーシアの大富豪ヴィンセント・タン氏、先日まで登録されていたMリーグ2部スランゴール2を運営するスランゴール州サッカー協会のジョハン・カマル・ハミドン事務局長の他、駐マレーシアのベルギー大使も出席するなど華々しいイベントとなったようです。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、マレーシア人として初めてベルギーリーグでプレーするルクマン選手は、月給が2万から2万3000リンギ(およそ50万から58万円)で、住居と車が支給されるということです。
 現在、ルクマン選手は10月のアジアサッカー連盟AFC U19選手権出場に向けた代表候補合宿に参加中ですが、今月8月から開幕するベルギー1部リーグの出場に向けて、健康診断等を行うため、来週にはベルギーへ向けて出発する予定だということです。

マレーシアの富豪はMリーグクラブの経営には興味なし
 上でも紹介した通り、ルクマン選手が加入するベルギー1部KVコルトレイクは、マレーシア人実業家のヴィンセント・タン氏がオーナーです。マレーシア国内外でホテル・リゾート開発を行い、さらら保険業や宝くじ、セブンイレブンやスタバなどの国内フランチャイズも所有する複合企業ブルジャヤコーポレーションの創業者のタン氏は、KVルトレイクの他、今季はプレーオフで敗れ惜しくもプレミアリーグ昇格を逃し英国2部のカーディフシティーFCのオーナーでもあります。(ちなみにカーディフシティーの胸広告はVisit Malaysiaとマレーシア観光促進の広告です。)
 マレーシアの通信社ブルナマは、ルクマン選手の契約式でこのタン氏にMリーグクラブの買収について尋ねたようですが、タン氏は「ビジネスマンの視点で言えば、この新型コロナ禍でサッカークラブが利益を生み出すことは難しくなっている。それ以外にも、マレーシアのサッカー界には多くの良い友人がおり、そんな友人たちと競う気はない。」と語り、その予定はないとのことだったようです。
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 特に州FAが運営するクラブは、民営化を実現するために買収してくれるスポンサーを躍起になって探している最中です。大富豪のタン氏は、10年前にオーナーとなったカーディフシティFCにこれまで1億6500万英ポンド(およそ229億円)の私財を投入しているとされており、Mリーグのクラブ買収に興味がないのは金銭的な理由ではないのは明らかです。だとすれば、ビジネスマンとしてMリーグクラブの運営は利益が出ない、と判断したのかも知れません。

シャーアラムスタジアムの改修費用は63億円
 昨日のブログで取り上げたMリーグ1部スランゴールFCの本拠地シャーアラムスタジアムの改修工事ですが、ブルナマによればその費用は2億5000万リンギ(およそ63億円)ほどかかるということです。
 記者会見を行ったスランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は、崩落の危険性が指摘されているポリカーボネート製の天井とそれを保持する鉄線の部分の交換だけで3000万リンギ(およそ7億5600万円)がかかると話し、築26年となるスタジアム全体の改修工事となると、その費用は2億5000万リンギ(およそ63億円)ほどになるだろうと話しています。
 アミルディン州首相は、最終的な改修内容は州政府が判断した上で、改修費用は州予算として計上すると話す一方、屋根の改修工事だけで少なくとも4ヶ月から6ヶ月はかかるだろうとしています。
 スランゴール州サッカー協会FASとは連絡を取り合っているとするアミルディン州首相は、スランゴールFCの来季の本拠地としてMBPJスタジアムを使うように依頼したこと、そしてシャーアラムスタジアムの開場は工事が長引けば2023年となるとも話したということです。

8月6日のニュース:シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か、JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける、ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎

シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か
 シャーアラムスタジアムはMリーグ1部スランゴールFCの本拠地ですが、その老朽化により天井の一部が崩落する危険性があり、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLはその改修が行われるまでMリーグの試合開催を禁じています。
 ホームを失ったスランゴールFCは、今月8月26日から再開予定のMリーグのホームゲームを同じスランゴール州シャーアラムにあるUITMスタジアムで開催することになっています。また、先日のこのブログでは来季2021年はやはりスランゴール州内にあるMBPJスタジアムをホームにする可能性があるという記事を取り上げましたが、それがいよいよ現実となりそうです。
 80000人以上の観衆が収容できるシャーアラムスタジアムは、国内で最大のクラブであるスランゴールFA(当時)のホームとして1994年に開場しました。
 しかし長年の使用による老朽化から、今季の開幕前にはMFLにより改修工事が終了し、観客の安全が確保できるまでは試合での使用が禁じられ、スランゴールFCは今季のホームゲーム初戦はブキジャリル国立競技場で開催しています。
 この現状についてシャーアラムスタジアムを所有するスランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は、今年3月から予定していた改修工事が新型コロナウィルスの影響により発令された活動制限令MCOにより実行できなかったとして、改修工事はこれから始まること、そしてその工事期間として18ヶ月を予定し、その間はスタジアムを全面的に閉鎖することを明らかにしています。
 なおアミルディン州首相は、改修工事後に再開する際には収容可能な最大人数に開場できるよう、工事期間中は天井部分の修理だけでなく総合的な補修及び改修を行うと話しています。
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 新型コロナウィルスの影響で3月18日に中断したMリーグで、スランゴールFCが中断前の唯一のホームゲームを行ったブキジャリル国立競技場は、その後、MFLがMリーグのホームゲームの代替会場としての使用を禁じており、その結果、今季の残りホームゲームをUITMスタジアムで行うことになった、という経緯もあります。

JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける
 Mリーグ1部を7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTに新たな勲章です。JDTの公式Facebookページでは、JDTのアカデミーがマレーシアサッカー協会FAMよりトップの評価にあたるゴールド評価とその証書を受け取ったことを発表しています。
 このゴールド評価を受けたJDTのアリスター・エドワーズTD(テクニカルダイレクター)は、この評価はアカデミーにとって、ここまでの努力がFAMに認められたことへの喜びに加え、さらに高みを目指すためのモチベーションになると話しています。
 またJDTの本社で、このゴールド評価の証書と記念の盾をエドワーズTDに手渡したFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は 国内の草の根レベルの育成を行うアカデミーを対象にリーダーシップ、計画性、設備、教育、草の根レベルでの試合運営の5つの点で審査した結果、JDTのアカデミーはどの面でも優れた評価を得た結果の表象であると話しています。
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 2000年代までマレーシアのサッカーを長年に渡って牽引してきたのが最初の記事で取り上げたスランゴールFA(現スランゴールFC)だとすれば、直近の10年間で国内に的なしとなったのがこのJDTと言えます。
 ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下の豊富な財源に基づく投資と積極的な運営は、運営資金が州政府の公的補助頼りである大半のMリーグクラブを凌駕し、その結果が1部リーグ7連覇という結果になって現れています。
 JDTもかつてはジョホール州サッカー協会傘下のクラブでしたが、イスマイル殿下による民営化で成功しており、現在、FAMが各州サッカー協会に求めているクラブの民営化の成功例と言えるでしょう。
(中央左がFAMのスチュアート事務局長、中央右がJDTのエドワーズTD-写真はJDTの公式FBより)

ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎
 ケランタン州サッカー協会KAFAは、運営するMリーグ2部ケランタンFAに対するワン・カマル・ナピ氏の買収提案を歓迎する意思を示していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 現在行われているU19代表候補合宿にアメリカから参加しているワン・カマル・ワン・クズリの父親でもあり、アメリカ在住の大学教授でもあるワン・カマル氏は460万リンギ(およそ1億1600万円)とされるケランタンFAの現在の負債が完済されることを条件に、300万とも言われる所有権を購入したいと話しているということです。
 KAFAのフシン・デラマン事務局長はワン・カマル氏から直接の連絡は受けていないとする一方で、民営化を目指しているケランタンFAにとっては良い話であるとしています。
 「KAFAは現在、民営化後のケランタンFCを運営するTRW社の価値を評価している最中であり、それが決まりTRW社の売却が決まれば、ケランタンFCに関する460万リンギの負債はKAFAが全面的に負担する。」とデラマン事務局長は話しています。
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 別のメディアでは、ケランタンFCの売却後もKAFAが年間100万リンギ(およそ2520万円)のロイヤルティを要求しているという話があり、ワン・カマル氏は、ケランタンFCの所有権購入後もKAFAの影響が残ることを嫌っていることから、買収に躊躇しているという報道もあり、この話は一筋縄ではいかなそうです。

8月4日のニュース:ケランタン州FAに勝点剥奪処分が下る、そのケランタン州FA内部から今季リーグ戦出場辞退すべきの声も上がる、U19代表の第二次合宿開始で将来のエース二人の共演に期待が集まる

ケランタン州FAに勝点剥奪処分が下る
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、Mリーグ2部のケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAに対して、未払い給料問題の解決の遅れを理由にケランタンFAの勝点3剥奪(はくだつ)処分を課したことを発表しています。
 FAMのクラブライセンス発給を担当する第一審交付機関FIBの会合で下された処分は、KAFAが期限までにかつて在籍した選手に対して約束された未払い給料の分割支払いを行わなかったことが理由であることも公表されています。本来は4月30日を期限としたいたこの支払いは、3月18日に新型コロナウィルス感染防止に伴う活動制限令MCOが発令され、Mリーグが中断されたことなどを考慮し、FIBはその期限を7月30日まで延期されました。しかし7月30日になっても未払い給料は選手やスタッフに支払われなかったことから、FAMは当初の期限を守らなかったKAFAに対して勝点3の剥奪処分を下したとしています。
 なおKAFAは7月30日付でFAMに対して手紙を送り、支払い期限を今季2020年シーズン終了まで延長することを求めていたということです。
 さらにFIBは新たな未払い給料の支払い期限として8月31日を設定し、この期限が守られない場合には、KAFAに対しては来季2021年シーズンのMリーグに出場するために必要なクラブライセンスは発給されないとしています。
 なおFIBの会合では、KAFAの他、Mリーグ1部マラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSA、PDRM FCを運営するマレーシア王立警察サッカー協会PDRM FA、サラワク・ユナイテッドを運営するサラワク州サッカー協会FASについても議題に取り上げられ、KAFAを含めた4団体全てが内国歳入庁(日本では国税庁に相当)への滞納金があり、FASを除く3団体は従業員積立基金と従業員社会保障制度にも滞納金があることが明らかになっており、こちらの滞納金も8月31日までに完済されない場合には、来季のクラブライセンス発給に影響が出る可能性があるとしています。
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 ケランタンFAはこの勝点剥奪処分により、Mリーグ2部プレミアリーグの7位(勝点4)から10位(勝点1)に転落し、11位のクチンFA、12位のペラIIとは勝点で並び、得失差のおかげで10位となっています。この現状に加え、昨日のこのブログでも取り上げましたが、未払い給料に愛想を尽かした選手の退団が噂されているケランタンFAは、来季の1部復帰どころから、3部降格の可能性も見えてきました。

そのケランタン州FA内部から今季リーグ戦出場辞退すべきの声も上がる
 マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版は、未払い給料問題で揺れるケランタン州サッカー協会内KAFAから、8月26日再開予定のMリーグへの出場辞退の声が上がっていると報じています。
 Mリーグの各クラブは4ヶ月以上の中断を経て練習を再開し、リーグ再開に備えて準備を進めていますが、KAFAは上の記事で取り上げた未払い給料問題に加え、マレーシアサッカー協会FAMが9月30日を期限としているクラブの民営化手続きへの着手も遅れているということです。
 この状況下でKAFAのフシン・デラマン事務局長は、KAFA内の役員会の一部メンバーからは・現在抱えている問題の解決に専念し、運営するケランタンFAの今季のMリーグへの出場は辞退した方が良いのではないかという提案が出ていることを明らかにしています。
 「Mリーグに出場すれば、毎試合で移動や宿泊、安全対策などに費用がかかる。さらに今季は無観客試合で行われることから、入場料という貴重な収入を失うことになる。それならば期限が2ヶ月しか残されていないクラブの民営化と未払い給料の支払いに専念するべきだという意見が出ている。」とデラマン事務局長は語っているということです。

U19代表の第二次合宿開始で将来のエース二人の共演に期待が集まる
 8月3日から始まったU19代表候補第二次合宿では、将来の代表を背負う二人の選手の共演にサポーターの期待が高まっています。
 ベルギーのKVコルトレイクと5年契約を結んだ18歳のFWルクマン・ハキム・シャムスディンと、アメリカ育ちでアメリカ2部リーグのセントルイスFC U19でプレーする18歳のワン・クズリ・ワン・アーマドは、今回の代表候補合宿で始めてコンビを組みますが、これは多くのマレーシア人サポーターが楽しみにした共演の実現であるとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 第一次合宿には参加しなかったルクマン選手は、今回招集されたことに喜ぶと同時に、できるだけ早くチームに溶け込みたいと話しています。また、ワン・クズリ選手については、そのプレーは映像で見たことしかないものの、良い選手であることはわかっているので、早く一緒にトレーニングを行いたいとしています。
 「ワン・クアラ選手はU19代表に貢献してくれることは確かだが、自分自身も最終メンバーに残るために練習でも試合でも常に全力で臨みたい。新しい選手が加わることで競争心も生まれるので、そういった選手たちの参加は自分にとっても励みになる。」取るクマン選手は話しています。

7月31日のニュース:スズキカップの延期が正式決定、MFLはiflix社を契約不履行で訴える、クチン FAではさらに4選手に新型コロナ陽性反応

スズキカップの延期が決定
 アセアン(東南アジア)サッカー連盟AFFの公式サイトでは、今年11月に予定されていたAFF選手権スズキカップが2021年に延期になったことが正式に発表されています。
 この決定は、急速に世界各地で広がりをみせている新型コロナウィルスによる選手や監督、コーチ、サポーターなどの健康と安全を考慮した結果、国際サッカー連盟FIFAやアジアサッカー連盟AFCなどの指示を仰いだ上での判断であると、キエフ・サメトAFF会長は語っています。
 前回2018年大会では75万人以上の観衆を集めたスズキカップは、現在の状況下での開催はリスクが大きく困難であると判断し、2021年大会についての開催時期などの詳細を早急に決定したいとしています。
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 国内で新型コロナウィルスによる死者がおらず、6月には世界に先駆けて観衆を入れて国内リーグを再開したベトナムは、当初は今年のスズキカップを自国での1ヶ所開催まで提案するほどでしたが、ここにきて各地で感染者数が急増し、国内リーグも中断するなど、東南アジアでの感染が収まる様子もな句、これは賢明な判断なのだと思います。
 また、マレーシア的な視点で言えば、10月から再開するFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に代表チームが専念できることになり、11月に予定されていたスズキカップの延期は朗報とも考えられます。W杯は無理だとしても、自国開催枠で出場した2007年大会以来、予選突破での出場であれば1980年以来となるアジアカップ出場に向けて環境は整った、というところでしょう。

MFLはiflix社を契約不履行で訴える
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、無料でビデオオンディマンドのサービスを提供するメディア企業iflix社を契約違反で訴えたことを英字紙ニューストレイトタイムズは報じています。
 iflix社はMFLと2018年から10年契約を結び、Mリーグ1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、マレーシアカップ、FAカップを無料で放送することになっていました。
 マレーシアサッカー協会FAMの会長でもあるMFLのハミディン・アミン会長は、審理中ということで詳細は明らかにできないものの、2018年後半と2019年についてiflix社に契約不履行があったとして訴訟を起こしたことを明らかにしています。なお一説にはiflix社とMFLの契約は3億リンギ(およそ74億4000万円)とされています。
 Mリーグがマルチメディア企業と関係を悪化させた事例はこれが初めてではなく、2017年にはロンドンに本社を持つスポーツマーケティングおよびメディア権利会社のMP and Silva社とMリーグの国際放映権について2016年に15年間で総額12億6000万リンギ(現在のレートで312億円)の契約を結びました。しかし翌2017年には同社が英国高等裁判所の命令により解散となり、総額2500万リンギ(現在のレートでおよそ6億2000万円)の損失を被ったとされています。
 また昨年2019年には国内最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア社に対して契約違反を訴えましたが、こちらは既に解決しています。
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 ライブストリーミングで中継されるMリーグの試合を無料で見ることができたiflixには私も大変お世話になりましたが、そのサービスがこのような形で終了してしまったのは残念の一言に尽きます。先月6月には中国のインターネット関連の大企業であるテンセントに買収されるなど、経営が苦しくなっていたようです。iflixは今季からペイパービュー形式で中継をはじめたUnifiに比べると、試合の中継の他にダイジェスト番組や個々の選手を取り上げる番組などもあり、個人的にはとても気に入っていたサービスでした。市場規模が小さいマレーシアでは無料での中継に無理があったのかも知れません。

クチン FAではさらに4選手に新型コロナ陽性反応
 マレー語紙シナルハリアン電子版は、Mリーグ2部のクチンFAでは4選手に新型コロナウィルス検査で陽性反応が出たと報じています。
 クチンFAでは、クチン市内のセントサ病院で勤務している選手がこの病院で形成されたクラスターにより感染していることが判明し、クラブが選手およびスタッフ全員に綿棒検査を行った結果、4選手に陽性反応が出たということです。
 クチン FAのイスワンディ・アリ・ハサン事務局長は7月25日に行った綿棒検査によりAチームの3選手とAチームの練習に参加していたU21チームの1選手の感染が判明したとしています。
 さらにイスワンディ・アリ事務局長は、全ての検査結果が得られていないとしており、今後さらに感染が発覚する可能性があると話し、8月4日から6日にかけて2度目の検査を行うとする一方、8月26日から再開予定のMリーグ出場について出場辞退の可能性も検討していると話しています。
 なおMF鈴木雄太選手とDF谷川由来選手が所属するクチン FAは、8月26日にホームのサラワクスタジアムでスランゴール2との対戦が予定されています。


7月30日のニュース:U19代表候補二次合宿のメンバーが発表、Mリーグの今季残り試合の日程発表、試合会場が用意できなかったPJシティFCに制裁金

U19代表候補二次合宿のメンバーが発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトにて、FAM本部グラウンドで8月3日から4週間の予定で行われるU19代表候補二次合宿の参加メンバー30名を発表しています。
 二次合宿には7月26日に終了した一次合宿35名から残った26名に、FAMと青年スポーツ省が運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDPのエリートアカデミーAMDのU17チームからGKシャミ・アディブ・ハイカル・モハマド・シュクリ、MFジアド・アル・バシール・ノーヒシャム、トレンガヌFCのGKアーマド・イルファン・イブラヒム、そしてベルギー1部リーグKVコルトレイクと契約したルクマン・ハキム・シャムスディンの4名が加わります。また、参加が危ぶまれていたアメリカ出身のワン・クズリ・ワン・カマルも二次合宿への参加が発表されています。今回の30名のリストはこちらです。なおこのブラグでも取り上げたドイツ出身のベックラー兄弟は今回の30名には含まれていません。
 U19代表のブラッド・マロニー監督は今回の合宿でも選手の評価と選考を続け、最終メンバー23名を決めたいと話しています。
 U19代表は10月にウズベキスタンで開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場し、予選グループDでタジキスタン、カタール、イエメンととタシュケント郊外のオルマリクにあるFC AGMKのホームAGMKスタジアムで対戦します。またこの大会の上位4チームは来年2021年にインドネシアで開催されるFIFA U20W杯への出場権を獲得します。

Mリーグの今季残り試合の日程発表
 国内リーグMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、8月26日から再開される今季2020年Mリーグ1部と2部の試合日程を公式Facebook上で発表しています。
 第4節を終えて中断となっていた1部、2部とも8月26日に第5節から再開し、26日に3試合、翌27日に3試合が予定されています。また最終節となる第11節は9月22日と23日に1部、2部とも3試合が行われるなど、4週間で7試合を消化して今季が終了します。また中断前の日程のうち、延期となっていた1部のトレンガヌFC対PJシティFCと、2部のケランタンFA対UKM FCの試合は、この日程に先駆けて8月22日に開催されます。なお全ての試合は無観客で行われます。
 この他、暫定ルールとして5人の選手交代が可能となる一方で、交代機会はフルタイムで3回、延長で1回、前半と後半の間で1回となることや、今季終了後の1部から2部への降格と、2部から1部への昇格は従来通り、2チーム降格、2チーム昇格となることも発表されています。
 また現在、新型コロナウィルス感染者数が増加傾向にあるサバ州とサラワク州に状況についてはMFLは監視を続けていくとしています。

試合会場が用意できなかったPJシティFCに制裁金
 マレー語紙ブリタハリアン電子版は、3月14日に予定されていたMリーグ1部第4節でホームチームながら試合会場を用意できなかったPJシティFCに3万リンギ(およそ74万円)の制裁金が課されたことを報じています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOはこの処分について先月の理事会で決まったものだと話し、制裁金の他、PJシティFCには厳重な注意と警告が与えられたと話しています。
 ガニCEOは試合会場に関する問題を軽視するべきではないことを、全てのMリーグクラブに示すための処分でもあると話して、このような事態は関係者全員が被害を被るだけでなく、試合日程を作成するMFLにとっても迷惑であると話しています。
 この3月14日の試合は、PJシティFCの本拠地MBPJスタジアムの改修が予定日までに終わらなかったため使用できず、代わりとなる周辺のスタジアムを探したものの空きが見つかりませんでした。そこでさらにPJシティFCはこの試合をトレンガヌFCの主催試合としてトレンガヌFCの本拠地スルタンミザンザイナルアビディンスタジアムでの開催を提案したものの、トレンガヌFCは航空券や宿泊など移動の手配を済ませていたことから、PJシティFCの提案を受け入れることができず、結局、試合は延期となりました。