8月12日のニュース:U23アジアカップ予選再抽選-マレーシアはJ組で変わらず、MFLはMリーグ各クラブにSOP違反に対する厳罰処分を警告、MFL会長の退任意思は変わらず、MFLはMリーグ各クラブへの分配金額決定は10月

U23アジアカップ予選再抽選-マレーシアはJ組で変わらず
 アジアサッカー連盟AFCは公式サイトでAFC U23アジアカップ2022年大会予選の組み合わせ再抽選の結果、香港が予選K組に振り分けられたことを発表しています。
 今回のU23アジアカップ予選は、北朝鮮が予選出場を辞退したため、北朝鮮が所属していた予選K組が日本とカンボジアの2チーム編成になってしまった一方で、他の組は3チームあるいは4チームで編成されていることから、東地区予選各組のシード国と集中開催地となる予選開催国を除いた国のチームを対象に、K組に振り分ける1チームを選ぶ再抽選を行うことをAFCが発表していました。
 昨日8月11日にクアラルンプールにあるAFC本部、AFCハウスでオンライン形式で行われた再抽選では、7月9日に行われた組み合わせ抽選で予選I組に所属していた香港がJ組に振り分けられています。また、この結果予選I組はベトナム、ミャンマー、台湾の3チーム編成となりました。
 なおマレーシアはタイ、ラオス、モンゴルと同じ予選J組と変わらず、10月27日から31日まで集中開催地となるモンゴルでの試合に臨みますが、ロンドンオリンピック出場を目指すマレーシアサッカー協会FAMはこの予選にU20代表を派遣することを発表しています。
 なお組み合わせ再抽選後の日程はこちらです。

MFLはMリーグ各クラブにSOP違反に対する厳罰処分を警告
 Mリーグを運営するMFLは標準作業手順SOPの遵守を再度求め、これに違反したクラブに対しては厳罰を課す用意があることを明言しています。
 マレーシア語紙ブリタハリアンはMFLのハミディン・アミン会長はSOP違反のクラブへの処分については理事会でその内容が決定しており、Mリーグ各クラブには近々文書で通達される予定である話しています。
 Mリーグでは1部スーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFC、そして2部プレミアリーグのクチンシティFCとサラワク・ユナイテッドFCがそれぞれ試合前に行った新型コロナウィルス検査で陽性者がいたことから、いずれも2週間の検疫隔離となり、両チームの試合計12試合が延期されたほか、リーグ自体の日程も変更されるなど混乱が生じています。

MFL会長の退任意思は変わらず
 同じブリタハリアンでは、ハミディン・アミンMFL会長が退任の意思を変えておらず、その後任は近いうちに発表されると話していることを報じています。
 FAMの会長でもあるハミディンMFL会長は、FAM会長職に専念するためにMFL会長を辞任する意思があることを今年3月に行われたマレーシアサッカー協会FAM理事会で明らかにしていましたが、今回オンラインで行われた定例会見では、その意思が変わっていないと話し、規約に則り、理事会の承認を経て後任を決定したいと話しています。。

MFL-Mリーグ各クラブへの分配金は10月に支給予定
 MFLはMリーグの放映権収入による分配金は各クラブへ10月に支給される予定であると発表しています。
 ブリタハリアンはMFLのハミディン会長がこれを確約したと報じています。
 「各クラブに支給される最終的な金額については、MFL理事会によって決定される。各クラブに対しては既に支給は段階的に行われており、今後の増減についての決定権は理事会にあ利、マレーシアカップが終了する10月には最終的な金額がわかるだろう。」とハミディン会長は述べています。
 MFLは昨季2020年シーズンの放映権収入をもとに1部スーパーリーグのクラブには100万リンギ(およそ2600万円)、2部プレミアリーグのクラブには50万リンギ(およそ1300万円)を支給しています。

8月11日のニュース:ペラFCがブラジルコンビの退団を公式に発表、今月の代表合宿開催却下でタン監督は10月の合宿と練習試合を熱望

ペラFCがブラジルコンビの退団を公式に発表
 ペラFCはブラジル出身の2選手の退団を公式に発表しています。
 ペラFCのアズマン・ノー ゼネラルマネージャー(GM)は、退団の意思を示したレアンドロ・ドス・サントスとカレッカと今季残り試合の出場についての交渉を行ってきたが、交渉は決裂し、両選手はチームには戻らないことを明らかにしています。
 「当初、クラブは両選手の退団希望の理由が家族のビザが延長されていなかったことだと考えていたので、クラブがこの問題を解決した際には、両選手がチームに戻ると考えていた。しかし、レアンドロ、カレッカ両選手はすでに退団の意思を固めていたようである。現在、両選手は未払いとなっている給料に関する支払い訴訟を継続するかどうかを弁護士と相談中と聞いている。」とマレーシアの通信社ブルナマの取材に答えています。
 ペラFCは両選手に対して3ヶ月分の給料が未払いとなっていることを認めています。
 今月初めに「休養」となったペラFCのチョン・イーファット前監督は、7月26日に両選手が契約解除を申し出て、すでにチームを離れたことを明らかにしたことは、このブログでも取り上げました。
 さらにアズマンGMはトランスファーウィンドウ期間に獲得した新たな外国籍選手がチームに何の貢献していないだけでなく、その振る舞いにも不満を述べています。
 「新外国籍選手の態度には問題があり、中でも特にレバノン出身のDFジャド・ヌールディンとMFサミル・アヤスの両選手は振る舞いには問題がある。当初、この両選手はその力量を評価するために(2部プレミアリーグでプレーするセカンドチームの)ペラFC IIでプレーすることを求めたが、ケガを理由に練習参加を貫いている。またDFズバイロウ・ガルバ(カメルーン)とFWジスラン・ゲッセン(コートジボアール)はパフォーマンスのレベルが低く、ペラFC IIのマレーシア人選手よりも低い。」と自身が獲得に関わらなかった4選手を批判したアズマンGMは、新たに獲得したDFアズハル・アパンディ、DFシャミン・バハルディン、DFアイザット・マイディン・コティの3名のマレーシア人選手も移籍証明書の提出がMFLの登録期間に間に合わなかったことで、今季は出場できなくなったことも明らかにしています。
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 経営陣がクラブをダメにする良い例が、今季のペラFCで起こっている未払い給料に伴う主力選手の大量退団です。クラブ史上初となる2部プレミアリーグ降格は残念ですが、クラブ民営化に伴う痛みを乗り越えて、現場だけでなくフロントにも求められるプロ化に向けて膿を出す良い機会かもしれません。

今月の代表合宿却下でタン監督は10月の合宿と練習試合を熱望
 マレーシア代表のタン・チェンホー監督は来月に希望していた練習試合の開催を諦めたと、マレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。タン監督はFIFAの国際マッチデー期間の8月30日から9月7日に代表合宿や練習試合の開催を希望していました。
 このブログでも取り上げましたが、マレーシアサッカー協会FAMは新型コロナウィルス対策を行うマレーシア政府の国家安全保障委員会に対して、スポーツバブル形式での練習試合の許可を申請していましたが、その申請が却下されていました。またこれを受けてMリーグを運営するMFLは8月30日から9月7日までの期間にMリーグの試合日程を組み込んだことで、代表合宿や練習試合の開催が不可能になっています。
 これについてタン代表監督は次のFIFAマッチデー期間である10月4日から10月12日までの期間には代表合宿開催と練習試合実施の許可が出ることを望んでいると話しています。
 「マレーシア国内の感染状況は改善していないので、10月のFIFAマッチデー期間には代表合宿と練習試合が国外、国内を問わず許可されることを期待しながら忍耐強く待たなければならない。10月に代表合宿や練習試合が行われる際に選手のパフォーマンスに影響が出ないよう、今後もMリーグが遅延なく開催されることも望んでいる。」とブリタハリアンの取材に答えたタン監督は、今年12月に開催予定されている東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ、そして来年2月に開催が予定されているアジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選の準備となる10月のFIFAマッチデー期間に行う代表合宿と練習試合の重要性を強調しています。
 なお2021年のFIFA国際マッチデーは10月4日から12日と、11月8日から16日が残っています。


7月30日のニュース:AFC U23アジアカップ予選-北朝鮮出場辞退で組み合わせ抽選がやり直しに、マレーシアが出場権獲得のFIFAeネイションズカップが中止に

 隣国タイからは、在任中一度もマレーシアに勝てなかったタイ代表の西野朗監督とタイサッカー協会が契約解除で合意したニュースが入ってきました。理由はともあれ代表に招集したい選手がそれを拒否もとい辞退する環境で代表監督を務められた西野さん、お疲れ様でした。

AFC U23アジアカップ予選-北朝鮮出場辞退で組み合わせ抽選がやり直しに
 アジアサッカー連盟AFCは、北朝鮮がAFC U23 アジアカップ2022年ウズベキスタン大会予選出場辞退を表明したことを受け、東地区予選の組み合わせ再抽選を行うことを発表しています。
 北朝鮮が所属した予選K組は北朝鮮の出場辞退により日本とカンボジアの2チームのみの編成となり、最大で4チームで編成される他の予選組との差が大きくなったことが理由と説明されています。
 8月11日に行われることが発表された再抽選では、4チーム編成となっている予選G組、H組、I組、J組の中から選ばれる1チームがK組に振り分けられることになります。ただし予選GからJ組の各チームの内、各組の最上位チームと集中開催地となるホストチームはこの再抽選対象から除外されることも発表されています。この結果、再抽選の対象となるのは中国、ブルネイ(以上予選G組)、東ティモール、フィリピン(同H組)、ミャンマー、香港(同I組)、マレーシア、ラオス(同J組)の8チームで、この中から選ばれたチームが新たに予選K組の日本、カンボジアに加わることになります。
 なお、北朝鮮はAFC女子アジアカップ2022年インド大会予選の出場も辞退していますが、6月24日行われた組み合わせ抽選については再抽選を行われないことも発表になっています。
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 なおマレーシアは今年10月に開催が予定されているこのAFC U23アジアカップ予選に、2024年パリオリンピック出場を目指すU20代表をチーム強化の目的で派遣することを発表しています。

マレーシアが出場権獲得のFIFAe ネイションズカップが中止に
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebook上で、国際サッカー連盟FIFAが主催する国対抗のFIFAe ネイションズカップが新型コロナウィルスの感染状況が世界的に改善しないことを理由に中止となったことを発表しています。
 FAMに当てられた書簡によると、各国が独自に行なっている渡航制限により出場予定の代表チームの中にその影響を受けるチームがあるということ、またFIFAだけでなく関係各方面からも大会参加者の安全と健康を危惧する声も上がっていることなどが直接的な理由として説明されているということです。
 FIFAe ネイションズカップ出場を目指すFAMは今年3月に代表選手選考のための大会となる第1回eRimauカップを今年3月10日から18日まで開催し、そこで7名が選抜され代表候補合宿に参加しています。その結果、Luqmanhzqことムハマド・ルクマン・ハジック、Akmaljhdことアフマド・アクマルの両氏がマレーシア代表 eRimauのメンバーとなりました。
 このeRimauは今年4月29日から5月1日までオンラインで開催されたFIFAe ネイションズカップのアジア・オセアニア予選に出場し、日本、インドネシアに次ぐ3位となり、8月20日から22日までのデンマークのコペンハーゲンで開催される予定だったFIFAe ネイションズカップ本大会出場権を獲得し、本大会では開催国デンマーク、オランダ、イタリア、カタール、ウルグアイとともに予選A組に入ることも決定していました。
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 このFIFAe ネイションズカップについては、本大会に向けマレーシアは日本などとも練習試合を積極的に行っていることをこのブログでも取り上げました。アジア・オセアニア予選がオンラインで行えるなら、こんな時こそ安易に中止にせずに本大会もオンライン開催を検討してもと良いのでは、と素人は考えてしまいますが、言うは易し行うは難し、ということなのでしょうか。


7月29日のニュース:Mリーグクラブでの新規感染者発覚についてFAMが見解、Mリーグ各クラブは新型コロナ検査で陰性の選手の練習許可を希望、ペラFCのブラジル出身コンビが退団

Mリーグクラブでも新規感染者発覚についてFAMが見解
 マレーシアサッカー協会MFLのスチュアート・ラマリンガム事務局長は複数のMリーグクラブで新型コロナウィルスの新規感染者が発覚したことに対し、各クラブでの選手および関係者の感染対策について十分に管理はできていると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロとのインタビューで主張しています。
 7月24日から後半戦が始まったMリーグは1部スーパーリーグではクダ・ダルル・アマンFC、2部プレミアリーグではクチンシティFCとサラワク・ユナイテッドFCで新型コロナウィルスの新規感染者が発覚し、これまでに合計5試合の延期が発表されています。
 マレーシア国内では新型コロナウィルスの感染拡大が止まっていないことから、Mリーグ各クラブは練習場と合宿所以外での活動は行わず、外部との接触を断つスポーツバブル形式での練習と試合が行われてきましたが、ラマリンガム事務局長は今回の新規感染者発覚によってスポーツバブル形式を失敗であるとすることは適切でないと述べています。
 昨日はマレーシア国内全体で過去最高となる1万7402名の新規感染者が記録されるなど感染が拡大する中で、比較的安全とされるスポーツバブル内で発覚した新規感染はその感染経路が不明であると認めた上で、ラマリンガム事務局長はこれを直ちに標準作業手順SOP違反によるものとは断定できないと話しています。
 さらにクラブ内での感染者が発覚した後は、MFLがもうけたSOPを各クラブが遵守し、他の選手や関係者へ感染が拡大するクラスター化が防げているとし、むしろSOPが機能を果たしているとも述べる一方で、Mリーグのすべてのクラブに対し、選手及び関係者全員が自身の行動に責任を持ち、より厳格なSOPの適応が必要となるような事態を避けるための努力を求めています。

Mリーグ各クラブは新型コロナ検査で陰性の選手の練習許可を希望
 Mリーグ各クラブは新型コロナウィルス感染関連の政策を担う国家安全保障委員会NSCとマレーシア政府保健省に対して、新型コロナウィルス検査で陰性となった選手の練習許可と試合開催を求めていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 現在のMリーグによる標準作業手順SOPでは、各試合前に新型コロナ感染を調べる検査を行い、陽性反応を示す選手が見つかった場合には、陰性反応を示した選手や関係者を含めた全員が隔離措置を受けることになっています。
 これに対して、複数の選手および関係者の感染が発覚したクダ・ダルル・アマンFCのアイディル・シャリン監督は、全員隔離という措置により検疫終了後の試合への準備の目処立たないことから、検査で陽性となった選手、関係者への隔離は当然とした上で、陰性となった選手や関係者には練習参加や試合開催の許可して欲しいと話しています。さらに「(全員隔離措置では)今後、何試合が延期になるか分からず、リーグ開催期間もどのくらい延長されるかが全く不明である。今回の試合延期も(検査を試合前日に行ったことから)試合前日に知らされたが、陰性の選手たちは試合に臨む準備ができていた。このような直前の変更によってそれまでの準備が無駄になってしまう。ヨーロッパ各国のリーグや先日終了したユーロ2020でも陽性反応となった選手のみが隔離されており、Mリーグでも同様の対応を求めたい。」という声明もアイディル監督は発表しています。
 またやはりチーム内で陽性反応者が見つかったクチンシティFCのイルファン・バクティ監督も、同様の対応を求めたいと話しています。「感染防止のためにチームは全ての指示に従っており、全ての試合前に抗原検査を受けていることから、陽性者の隔離、そして陰性者には練習継続と試合参加には賛成である。」
 なおMリーグを運営するMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、国内スポーツを統括する青年スポーツ省と保健省に対してMリーグ開催の標準作業手順SOPの見直しを依頼したことを明らかにしています。

ペラFCのブラジル出身コンビが退団
 給料未払い問題が発覚し、前半戦終了後のトランスファーウィンドウ期間に主力6選手が退団したMリーグ1部ペラFCからさらに退団者が出ています。
 ブルナマの報道によると、いずれもブラジル出身のFWカレッカとMFレアンドロ・ドス・サントスがチームを離れたということです。
 カレッカ、レアンドロ両選手はMリーグ後半戦の開幕戦となった7月24日のトレンガヌFC戦、そして一昨日7月27日のKLシティFC戦ではいずれもベンチ入りしていませんでした。
 ペラFCのチョン・イーファット監督は両選手の退団に驚いたと話す一方で「2人が退団するのではという噂が数日前からあったことは承知していたが、後半戦に向けてのチーム練習にも参加していたことからあまり気には止めていなかった。しかし、トレンガヌ遠征前になって突然、2人揃ってケガを理由に遠征帯同を拒否しており、我々が遠征から戻ると、2人が書面で契約解除を求めたことを事務方から知らされた。」とも話しています。
 2017年からペラFCでプレーする35歳のレアンドロ選手は守備的MFとしてペラFCの守備陣を支え、2018年のマレーシアカップ優勝に加えて、在籍した4年間で5位、2位、5位、4位と全てリーグのトップ5にも貢献してきました。またカレッカこと26歳のライアンデルソン選手は2019年からプレーしています。
 この両選手の退団により、ペラFCは今季開幕戦の先発XIの内、半年足らずで8名が退団したことになり、主力選手がほとんど失われた現在の順位が11位と降格圏にいるのも至極当然と言えそうです。


7月27日のニュース:スランゴールFCの代表MFがガンと診断される、FAMはスポーツバブル形式での練習試合開催を検討

スランゴールFCの代表MFがガンと診断される
 Mリーグ1部のスランゴールFCは公式Twitter上で主将のブレンダン・ガンに精巣腫瘍が見つかり、既に癌性増殖を取り除く手術を受けたことを発表しています。
 33歳のガン選手は今年6月に行われたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選では警告累積となっていた初戦のアラブ首長国連邦戦を除き全試合に出場しましたが、Mリーグ後半の開幕戦となった7月24日のKLシティFC戦にはベンチ入りしていませんでした。
 なお、ガン選手は現在、医療関係者によるチェック体制のもとにあるということです。
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 7月24日の試合にガン選手が先発どころかベンチ入りもしなかったことから、ネット上でその原因となりそうな記事を探しましたが見つからず、不思議に思っていましたが、こんなことだったとは…。
 これを報じたマレーシアの通信社ブルナマの記事によると、ガン選手自身は楽観的かつ気丈に振る舞っているということです。またガン選手も自身のTwitter上で、できるだけ早くピッチに戻りたいというメッセージを投稿しており、ボラセパマレーシアJPもそれを期待して、ガン選手の速やかな回復を祈りたいと思います。

FAMはスポーツバブル形式での練習試合開催を検討
 マレーシアサッカー協会FAMは9月にマレーシア代表の練習試合として国際Aマッチをスポーツバブル形式で開催することを検討中であると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は国家安全保障委員会NSCとマレーシア保健省、そして国内スポーツを監督する青年スポーツ省に対して、練習試合開催の許可を求める申請を提出したことを明らかにしています。
 スチュアート事務局長は、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選やAFCチャンピオンズリーグACLを主催したアジアサッカー連盟AFCが、それらの大会で採用された標準作業手順SOPの詳細や各大会実施の際の経験について、FAMと共有する形で練習試合開催を支援するという言質を得たと話し、国内での練習試合開催に漕ぎ着けたいと話しています。
 AFCはW杯予選、ACLとも参加チームは宿泊施設、練習会場、試合会場で構成される「バブル」の中から出ない形で外界との接触を断ち、新型コロナウィルスをそのバブルの中に持ち込まない仕組みを作った上で大会を開催しました。FAMはこれと同じ形式での練習試合開催を目指しており、W杯予選やACLでその効果は実証済みだと話すスチュアート事務局長はNSCとマレーシア政府保健省からの認可を得られることを期待しているとブルナマに述べています。。
 さらにスチュアート事務局長は8月30日から9月7日までの国際マッチデー期間に行いたいとしている練習試合の相手として、パレスチナ(FIFAランキング104位)、インド(105位)、台湾(141位)が候補に上がっているとも述べています。なおマレーシア代表は現在、FIFAランキングが153位です。


7月16日のニュース:今季Mリーグ1部前半戦は2000万人以上がオンラインでライブ観戦、FAMのテクニカルディレクターがU20代表のAFCU23アジアカップ予選派遣について説明、JDT IIからマラッカUへ期限付き移籍のロバットが抱負を語る

今季Mリーグ1部前半戦は2000万人以上がオンラインでライブ観戦
 7月24日より再開まで10日を切り、Mリーグ各クラブは練習試合をこなすなど準備に余念がありませんが、Mリーグを運営するMFLは今季ここまでのMリーグ1部スーパーリーグの試合のライブ視聴者数が2100万人を越えていると公式サイトで発表しています。
 今年3月5日に開幕したスーパーリーグは5月9日に行われた第13節まで78試合が行われていますが、これらの試合を放映した国営放送RTM、MFLのスポンサーUnifi社の有料スポーツチャンネル、そして同社が運営する無料YouTubeチャンネルを合わせるとそのライブ視聴査数が2181万4979人となっていることをMFLの公式サイトが発表しています。
 さらにYouTubeでの録画視聴者数は、5月30日までの時点で4983万8140人とということです。なおUnifiの無料YouTubeチャンネルでは、今季のスーパーリーグ全試合の観戦が可能になっています。
 この他、中継された78試合中、ライブ視聴者が最も多かった節は第11節で6試合合計230万7698人、また最も視聴者が多かった試合は4月24日の第10節JDT対トレンガヌFC戦(スルタン・イブラヒムスタジアム、ジョホール州イスカンダルプテリ)で69万8341人が視聴したということも発表されています。
 このように様々なプラットフォームで視聴可能な1部スーパーリーグに対し、2部プレミアリーグについてMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、プレミアリーグの各クラブには7月24日から再開される後半戦ではソーシャルメディアやストリーミングによる配信が許可されたことを明らかにしています。
 またMリーグ前半戦は4月2日の第6節から感染者拡大による無観客措置が取られた5月9日の第12節までは、首都圏など一部地域を除いて定員の10%から25%の条件付きながらスタジアムでの観戦も可能でしたが、この期間中はスーパーリーグとプレミアリーグ合わせて観戦可能だった41試合では6万2318人の有料入場者数を集め、その内。4月9日の第8節クダ・ダルル・アマンFC対トレンガヌFC戦(ダルル・アマンスタジアム、クダ州アロースター)が最大の5941人の有料入場者を記録したということです。

FAMのテクニカルディレクターがU20代表のAFCU23アジアカップ予選派遣について説明
 マレーシアサッカー協会FAMのオン・キムスイ テクニカルディレクター(TD)は、現在のU20代表の2024年パリオリンピックの予選突破に向けた計画の中心人物の1人ですが、このたび、英字紙ニューストレイトタイムズの取材に応じ、自身の考えを明らかにしています。
 FAMは今年10月に開催されるAFC U23アジアカップ2022年大会(旧U23選手権)予選にU23代表ではなく、U20代表を派遣することを発表しましたが、これに対しては現在のU23代表の育成が等閑(なおざり)になるなど否定的な反応が出ています。
 こういった声に対し、前回2020大会予選にU23代表監督として臨みながら本戦出場を果たせなかったオンTDは、その成功が100%保証されるわけではないとはしながらも、自身の経験に基づき「選手が共に過ごす時間が長くなれば長くなるほど、より好ましい結果を生み出す可能性は高い」と考えていると話しています。
 「今年2021年から選手たちが一緒にプレーすれば、彼らは様々なレベルの大会に出場することができる、オリンピック予選突破について最優先されるのは現在のU20代表である。U20代表がAFCU23アジアカップの予選を突破することは容易ではないが、上の年代の選手たちと対戦する貴重な機会をチームとして活用したい。」と話すオンTDは、現在のU23代表の選手についていも(チーム参加の)扉は完全に閉じられたわけではない、とも述べ、将来的にはU23代表選手の参加に含みを持たせる発言をしています。
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 2020年大会予選では、中国と引き分け勝点で並びながら得失差で本戦出場を逃したU23代表からはサファウイ・ラシド、アキヤ・ラシど、シャマー・クティ・アッバ(以上JDT)、シャミ・サファリ(スランゴールFC)、ドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)の5選手がFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選に出場した代表に選ばれています。U23代表はフル代表への選手を供給する場でもあると思うのですが、このU23代表年代を冷遇すると、それは代表教科にも悪影響が出る可能性があります。またフル代表ではルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、アリフ・アイマン(JDT)らU20代表候補選手がいますが、フル代表レベルの彼らをパリオリンピック予選までU20代表に縛り付けてしまうのも、むしろ彼らの成長の芽を摘んでしまいかねないような気がします。U23代表にU20代表の有望選手を加えたチーム編成で、U23アジアカップ本戦出場を目指し、本戦でアジアの強豪との試合を経験する方が遥かに代表強化につながるような気がします。

JDT IIからマラッカUへ期限付き移籍のロバットが抱負を語る
 各年代代表だけでなくフル代表の経験もあるJDT IIの守備的MFゲイリー・スティーヴン・ロバットがマラッカ・ユナイテッドFCへ期限付き移籍しましたが、MFLの公式サイトではこのロバット選手を特集しています。
 今季は開幕からMリーグ1部スーパーリーグの覇者JDTのセカンドチームで、Mリーグ2部プレミアリーグのJDT IIでプレーしてきたロバット選手は、代表キャップ数11の28歳です。豊富な運動量が売り物のロバット選手が期限付き移籍したマラッカ・ユナイテッドFCは3勝5分5敗でリーグ11位と降格圏にいるチームです。
 そんなチームに今季2度目のトランスファーウィンドウ期間に期限付き移籍したラバット選手は後半戦開幕初戦となる7月25日の第14節スリ・パハンFC戦を重要な試合と考えているとブル生に語っています。
 「まず自分がやらなければならないことは、ザイナル・アビディン・ハサン監督に対して自分がチームの戦力になることを証明することだ。より多くの試合出場時間を求めての移籍してきたことは事実だが、チームメートからも信用を得なければならないことも分かっている。スリ・パハンFC戦で出場機会が与えられれば、自分がどのくらいチームのために献身的にプレーできるかを見せたい。」と述べるラバット選手は、マラッカ・ユナイテッドFCを降格圏から脱出させることが自分に課せられた使命であるとも話しています。

7月10日のニュース:Mリーグ1部2部とも7月24日より再開決定、完全ロックダウン施行地域のクラブは本拠地以外でホームゲーム開催へ、今年11月開催予定の東南アジア競技大会が2022年に順延決定、U23アジアカップ予選-マレーシアはタイ・ラオス・モンゴルと同組に

 マレーシアはワクチン接種が進んではいるものの、昨日は国内全体で新規感染者数が9,180名と連日新記録が更新されています。一部の州では完全ロックダウンが解除されてはいますが、クアラルンプールとスランゴール州を含む首都圏では現在も完全ロックダウンが続いています。

Mリーグ1部2部とも7月24日より再開決定
 Mリーグを運営するMFLは公式サイトで5月9日より中断中のMリーグが1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグともに7月24日より再開されることを発表しています。この中断はFIFAワールドカップアジア2次予選に出場するマレーシア代表や、AFCチャンピオンズリーグ予選、そして結局は中止となってしまいましたがAFCカップ予選に出場するMリーグクラブを考慮してのものでした。なお、Mリーグ2部は当初、7月3日に再開の予定でしたが、国内に完全ロックダウンが施行されたことで再開延期が発表されていました。
 また中断前に豪雨により順延されていた2部のスランゴールFC2対サラワク・ユナイテッドFC戦と選手が新型コロナウィルス感染により延期されていたペラFC II対ケランタンFC戦はいずれも7月17日への日程変更に加え、強行日程緩和のため1部では8月13日からの第19節から最終節第22節まで、2部では7月27日からの第14節から最終節第22節までで試合日程が変更になることも発表になっています。
 変更された1部スーパーリーグの日程はこちら、2部プレミアリーグの日程はこちらです。

完全ロックダウン施行地域のクラブは本拠地以外でホームゲーム開催へ
 MFLは完全ロックダウン施行地域に本拠地を持つクラブに対し、新たなホームゲーム開催地を確保するように求めています。
 MFL公式サイトによると、Mリーグの全てのクラブは練習場と宿舎間の移動のみが許される合宿形式で練習を行なっていますが、完全ロックダウン施行地域では練習試合も含めてMリーグの試合を行うことが許可されていないことから、MFLはこの地域に本拠地を持つ1部と2部のクラブに対してホームゲームを開催する「暫定本拠地」の確保を求めていくとしています。
 現在、完全ロックダウンが施行されているのはクアラルンプール、スランゴール州、ヌグリスンビラン州の各州と地域ですが、ここにはクアラルンプールに本拠地を持つKLシティFC(1部)、PDRM FC(2部)、スランゴール州に本拠地を持つスランゴールFC、PJシティFC、UITM FC(以上1部)、スランゴールFC2、MSN-FAMプロジェクト(以上2部)、ヌグリスンビラン州に本拠地を持つヌグリスンビランFC(2部)の8チームがあり、この8チームは7月24日ののMリーグ再開前に完全ロックダウン施行地域外に新たに暫定本拠地を設けることが求められています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは現在、Mリーグクラブが使っていないスタジアムに加えて、あるいはMリーグクラブが既に使用しているスタジアムの共用も許可すると話しており、上記の8チームは開幕までの2週間ほどで試合会場を確保する必要があります。

今年11月開催予定の東南アジア競技大会が2022年に順延決定
 マレーシアの通信社ブルナマは今年2021年11月21日から12月2日まで開催予定だった東南アジア競技大会通称シーゲームズが新型コロナウィルス感染拡大を理由に2022年へ延期されたことを報じています。
 マレーシアオリンピック協会OCMの発表によると、東南アジア競技大会連盟はオンラインで会合を開き、ベトナムのハノイで開催予定だった今年のシーゲームズの2022年への延期を決定したということです。既に2022年にはさまざまな国際競技大会の日程が決まっていることから、これまでマレーシアを含めた大多数の国が延期に反対していましたが、今回やっと延期が決まった格好です。新たな日程に関しては、東南アジア競技大会連盟より後日発表されるということですが、なおベトナムの地元メディアでは来年3月あるいは6月への延期が有力ということです。
 オリンピックの東南アジア版とも言えるシーゲームズでは、サッカーはオリンピックに準じて23歳以下代表同士が対戦しますが、マレーシアはマレーシアサッカー協会FAMが2024年パリオリンピック予選を見越して武者修行のためにU19代表を派遣する予定にしていました。

U23アジアカップ予選-マレーシアはタイ、ラオス、モンゴルと同組に
 アジアサッカー連盟AFC U23アジアカップ(旧U23選手権)2022年大会はウズベキスタンで開催されますが、この大会の予選組み分け抽選が昨日7月9日にウズベキスタンのタシケントで行われ、マレーシアはタイ、ラオス、モンゴルと同じ予選J組となることが決まりました。
 今回の組み分け抽選では参加42チームを西地区23チームと東地区19チームに大別された後、さらに西地区は6組、東地区は5組に分ける形で行われ、東地区のマレーシアは予選J組に入り、タイ、ラオス、モンゴルと同組となっています。また今回の予選は各組とも集中開催方式で行われ、マレーシアが入ったJ組はモンゴルが集中開催地となり、10月27日にラオス、29日にモンゴル、31日にタイとの対戦カードが組まれています。
 なお来年2022年の本戦には、開催国のウズベキスタンと予選各組1位のチームと各組2位の内、成績上位の4チームの計16チームが出場します。
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 マレーシアが入る予選J組が集中開催されるモンゴルですが、ググってみたところ首都のウランバートルで10月下旬の平均気温は最高7度、最低-6度と、この組の東南アジア3チームにとってはそれだけでハンデになりそうな環境です。それでも東アジアの強豪国やオーストラリアとは別組みになった幸運に感謝しつつ、マレーシアは2018年中国大会以来となる2度目の本戦出場を目指します。ちなみに2018年大会ではマレーシアはイラク、サウジアラビア、ヨルダンと同組になりながら、サウジを破り、ヨルダンと引き分けるなどしてベスト16に進出しています。
 (下はU23アジアカップ2022年大会予選組み合わせ-AFCの公式サイトより)


6月30日のニュース:U21、U19、フットサル各リーグの開幕が9月に延期、タン代表監督交代についてFAMは検討せず、マレーシア代表が日本代表に3連勝(e国際親善試合で!)

U21、U19、フットサル各リーグの開幕が9月に延期
 マレーシアサッカー協会FAMは主催するU21リーグのプレジデントカップ、U19リーグのユースカップ、そしてフットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグの今季2021年シーズン開幕をいずれも9月まで延期することを公式サイトで発表しています。
 スチュアート・ラマリンガムFAM事務局長名で掲載された発表によると、この延期は6月28日までとされていた完全ロックダウンが期限を決めないまま延長となったことが理由とされていますが、同時に9月とする開幕もマレーシア政府が発表した「回復」政策次第によるとし、各リーグ開幕から30日前に参加チームの練習が許可されることを条件としており、正確には「早くとも」9月開幕ということになりそうです。
 また今回の発表では、リーグの開幕時期だけでなく、リーグフォーマットの変更や試合日程、またリーグで適用されるルールの変更などの可能性にも言及されており、そういった変更点には逐次、リーグ参加チームと共用していくとも述べられています。
 当初はプレジデントカップとユースカップはそれぞれ6月2日と6月3日に、マレーシアプレミアフットサルリーグは男子が6月12日に、女子が8月12日に開幕の予定となっていましたが、6月1日より完全ロックダウンが実施されたため延期となっていましたが、今回の発表でさらに延期となりました。

タン代表監督交代についてFAMは検討せず
 先月終了したFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選では同じ予選G組だった隣国タイではサッカー協会が西野朗代表監督との契約を解除といった報道も出ているようですが、そのタイを破って3位となったマレーシア代表のタン・チェンホー監督は来年2022年12月までとなっている契約の見直しなどについての予定はないとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 マレーシアサッカー協会FAMのユソフ・マハディ会長代理は、契約期間が残っていることに加えて、アジアカップ出場というミッションが達成されていないことから、今後予定されている代表チーム運営委員会では、来年3月に予定されているAFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選に向けての準備以外の議題は現時点では挙がっていないと話し、W杯3次予選出場を逃したタン監督の去就について話し合われる予定はないとブルナマの取材に答えています。
 その一方で、代表チームのチームマネージャーでもあるマハディ・ユソフ会長代理は、代表チームがアジアカップ3次予選を突破して本大会出場を達成するために最適な環境を用意できるよう、運営委員会では今後新たに代表監督の人選も含めてあらゆる点が議題に上がる可能性については否定しなかったということです。

マレーシア代表が日本代表に3連勝(e国際親善試合で!)
 eスポーツのサッカーマレーシア代表が日本代表に3連勝!6月24日に行われたe国際親善試合キリンイミューズカップで2020年3月に新たに発足したeスポーツ・サッカーの日本代表「サッカーe日本代表」はサッカーeマレーシア代表と対戦し、マレーシアが3試合で3-5、3-4、0-3と3連勝で日本を一蹴しています。
 日本代表は今年2021年4月末から5月にかけて行われたFIFAeネーションズカップのアジア・オセアニア予選で優勝し、8月にデンマークで行われる本大会に出場する8月の世界大会に出場を決めたものの、アジア・オセアニア予選のグループリーグでは、やはりFIFAeネーションズカップ世界大会に出場するマレーシアに連敗、しかも予選グループでは首位マレーシアに次ぐ2位となっており、8月の本大会と同様の2on2の団体戦形式で行なう強化マッチとして企画されたこの国際親善試合をアジア・オセアニア予選のリベンジマッチとして臨んだものの、マレーシアが逆にこれを返り討ちにする形になりました。
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 私は知らなかったのですが、マレーシアはFIFAeランキングでは1位英国、2位ブラジルに次ぐ3位、一方で日本代表は18位とアジアではダントツの強さです。
 以下は日本サッカー協会JFAの公式YouTubeチャンネルにアップロードされたe日本代表対eマレーシア代表の試合の映像で、試合は2分30秒辺りからです。

6月22日のニュース:JDTオーナーのイスマイル殿下が代表チームマネージャーとなるべきでない5つの理由

JDTオーナーが代表チームマネージャーをすべきでない5つの理由
 先日終了したFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選では、マレーシアは予選G組で1位アラブ首長国連邦、2位ベトナムに敗れて3次予選進出を逃した一方で、アジアカップ3次予選への出場権を獲得しています。
 この予選最終戦となったタイ戦前日にMリーグ1部JDTのオーナーでジョホール州皇太子でもあるトゥンク・イスマイル殿下がマレーシアサッカー協会会長FAMに向けて、代表チームに最高の練習環境と最高の指導者を提供する用意があるとして、その条件に自身を代表チームのチームマネージャーにすることを突然、提案しました。
 この提案に対して、国内のメディア、さらにはソーシャルメディア上で様々な意見が交わされる一方、FAMのハミディン・アミン会長は、この提案を検討するために協会にでの手続きに則った話し合いを進めることを明らかにし、慎重に対応する方針をとっています。
 このイスマイル殿下の提案に対し、サッカー専門サイトのスムアニャボラが「イスマイル殿下が代表チームマネージャーとなるべきでない5つの理由」というタイトルで非常に興味深い記事を掲載していますので、拙訳ですがここに書き留めておきたいと思います。
 イスマイル殿下が2013年にオーナーとなって以降、JDTはMリーグ1部で昨季まで7連覇を達成し、東南アジアのクラブとしては初となる2015年のAFCカップ制覇を果たすなど、その手腕は申し分ありませんが、この記事を書いたゲイリー・ルガード氏はイスマイル殿下は代表のチームマネージャーとなるべきではないとしています。

<理由1:FIFAの規定に抵触する可能性がある>
 一般に代表チームはその国のサッカー協会が運営上の責任を負い、マレーシアではマレーシアサッカー協会FAMがこれにあたる。この条件下でイスマイル殿下が代表チームのチームマネージャーになるための方法は二つありその一つは、かつて会長を務めたFAMに復帰することだが、イスマイル殿下は代表チームの運営権を求めているだけで、FAM全体の運営は意図していない。そしてもう一つは代表の民営化という方法だ。民営化された代表チームはFAMから離れて自由に活動ができるが、マレーシアサッカーのトップに位置するFAMが代表チームに何ら責任を追わないという事態はFIFAの規定に抵触しないのだろうか。

<理由2:マレーシアサッカーのロードマップ、F:30との整合性>
 マレーシアサッカー協会FAMは2030年までにアジアのトップ5入りを目指すためのロードマップ(行程表)「F:30」を発表している。このロードマップはFAM、そしてマレーシア国内のサッカーに関係者及びサポーターに対する行動計画でもある。このF:30で掲げられている目標を実現するためには、関係者全員が目的を共有する必要がある。その場合、FAMが代表チームを一個人に任せることはこのF:30と整合性があると言えるのか。ハミディン・アミンFAM会長がこのF:30を発表した際には、このロードマップはFAMの「本気度」を示すものだと述べたが、FAMがうかつに他人に代表チームを任せることによって、このF:30に関わる人々にはFAMの言う「本気度」が薄れたとは映らないだろうか。誰かに任せたからといってFAMは代表チームが短期間で強くなるという幻想を持つべきではない。

<理由3:マレーシアサッカーDNAと整合性>
 イスマイル殿下は自身がチームマナージャーになった暁には、最高のコーチングスタッフを用意すると述べている。ここで疑問が湧くのは、FAMが草の根からトップレベルまで国内サッカー全体に浸透させたいとしているマレーシアサッカーのDNAに沿った指導を果たしてその「最高のコーチングスタッフ」が行うのかどうか、ということである。代表チームのことだけを考えれば、現在の代表が採用しているシステムとJDTが採用しているシステムは似ており、イスマイル殿下もおそらく熟知していると考えられることから、特に問題にはならないだろう。しかし、FAMはジュニア、ユースから代表まで一貫したシステムでプレーすることで、将来の代表選手となるべき選手を養成するためのマレーシアサッカーDNAを導入しており、FAMがこの方針を変更しない限り、代表独自のシステムはマレーシアサッカーDNAと齟齬(そご)をきたす可能性がある。

<理由4:利益相反>
 イスマイル殿下が代表チームを強化する際に最も懸念されるのがこの利害対立である。イスマイル殿下がJDTのオーナーのまま代表チームのチームマネージャーに就任すれば、サッカー関係者やサポーターから否定的なコメントが出る可能性が非常に高い。具体的な例を挙げるとすれば誰をを代表に招集するか、といった問題もその一つである。現在の代表には、マレーシア人の親を持つもののマレーシア国外で生まれ育ったディオン・コールズ、マシュー・デイヴィーズ、ブレンダン・ガン、ドミニク・タン、ラヴェル・コービン=オング、ジュニオール・エルドストール、サミュエル・サマーヴィルらの帰化選手、そしてマレーシア人とは血縁関係持たないギリェルメ・デ・パウラ、リリドン・クラスニキ・モハマドゥ・スマレといった帰化選手がいる。そしてこれらの10名の帰化選手の内、JDTに在籍した経験が全くないのはブレンダン・ガン(スランゴールFC)と今回の予選から代表に加わったディオン・コールズだけである。この状況を理解した上で、もしイスマイル殿下が代表チームのチームマネージャーとして誰を帰化させるかにも関与することになれば、それが果たして代表の利益なのか、JDTの利益なのか、という議論が間違いなく発生する。例えイスマイル殿下が純粋に代表チームのことを考えて行うことだとしても、必ずその目的に対して疑心暗鬼になる者は出る。そしてイスマイル殿下が代表チームのチームマネージャーを続ける限り、これは取りざたされ続け、結果的に代表チームそのものにも影響が出る可能性がある。

<理由5:JDTは今後もイスマイル殿下を必要とする>
 JDTを東南アジアでトップレベルのチームに育て上げたことで、イスマイル殿下は代表チーム自体の強化にも間接的ながら大きく貢献している。
 JDTのサファウィ・ラシド、シャフィク・アフマド、アキヤ・ラシド、アリフ・アイマン、ラマダン・サイフラーといった選手たちは今後10年は代表の中心選手としてプレーできる選手たちである。また今回のW杯予選で代表に加わったディオン・コールズ(デンマーク1部FCミッティラン)に代表でプレーするよう拙宅したのもイスマイル殿下である。また代表でも屈指の帰化選手ラヴェル・コービン= オングがマレーシア代表でプレーするようになったのもイスマイル殿下の説得のおかげである。国内リーグでは敵なしのJDTだが、AFCチャンピオンズリーグというアジア最大の舞台でJDTが成功するためにはイスマイル殿下のリーダーシップが必要である。

<最後に>
 イスマイル殿下は代表が今回のW杯予選で思うような結果を出せなかったのはFAMの指導力不足ではないかと指摘しており、自身の代表チームのチームマネージャー就任を提案したことをFAMの理事会は自分たちへの警鐘だと考えるべきだ。自分たちの努力は十分なのか、現状に甘んじてはいないのか、と。
 イスマイル殿下の提案は考慮に値する者だが、上の5つの理由から、少なくとも現在は代表チームのチームマネージャーに就任するべきときではない。
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 この記事は最後に「この記事はあくまでも筆者の個人的な意見であり、スムアニャボラ全体の意見を反映したものではない」との注意書きも掲載されています。王族へのオープンな意見はなかなか表明しにくこの国で、このような記事を見たのは初めてでした。非常に興味深くまた建設的な意見で説得力もありますが、一部の極端な考えを持つマレー人の中には王室に対する意見を全く認めないものもいるので、この国で王族についての内容を掲載するには、こういった注意書きも必要だということも改めて認識しました。

6月21日のニュース:FAMはアジアカップ3次予選抽選前に国際Aマッチを検討、元代表監督がW杯予選の結果と今後の代表の計画について発言、AFC事務局長はAFCカップ中止は最後の選択肢と話すも今週中には何らかの発表か

FAMはアジアカップ3次予選抽選前に国際Aマッチを検討
 先日のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選では、ワールドカップアジア3次予選出場はならなかったものの、アジアカップ3次予選出場権を得たマレーシア。アジアカップ3次予選の組み合わせ抽選は今年2021年10月に予定されていますが、マレーシアのFIFAランキングを上げて「より良い組み合わせ」が得られるよう、マレーシアサッカー協会FAMはこの組み合わせ抽選前に国際Aマッチを複数行う予定があると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 当初は今年12月5日から始まる東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップを利用してFIFAランキングを上げようとしていましたが、アジアカップ3次予選の組み合わせ抽選が10月となったことで、この計画の変更を迫られていました。
 2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組で3位となったマレーシアですが、最新のFIFAランキングでは153位で、このFIFAランキングを元に行われる組み合わせ抽選ではイエメン(同145位)、クウェート(同148位)、アフガニスタン(同149位)、モルディブ(同155位)、シンガポール(同159位)とともにポット3に回ることが濃厚です。一方、ポット2に回る可能性があるのはタイ(同106位)、タジキスタン(同121位)、フィリピン(125位)、トルクメニスタン(同130位)、ミャンマー(同130位)、香港(同144位)の6カ国で、マレーシアがこのポット2に回るためには、この6か国中最下位ランクの香港との差(ランキング9位、ポイントで言えば32.02ポイント)を詰める必要があります。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、新型コロナ禍の中、8月30日から9月7日、そして10月4日から12日までとなっているFIFA国際マッチデー期間の練習試合開催は容易ではないとした上で、他国のサッカー協会と連絡を取りながら、タン・チェンホー代表監督から出ている練習試合4試合のマッチメイクを行いたいと話しています。
 来年2022年2月に予定されているアジアカップ3次予選では、参加24カ国が6組に分かれて戦い、各組の1位に加えて、各組2位の内上位5チームが、2023年に中国で開催される本戦出場権を獲得します。

元代表監督がW杯予選の結果と今後の代表の計画について発言
 Mリーグ2部サラワク・ユナイテッドFCのB・サティアナタン テクニカルディレクターTDは、予選G組で3位となったFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選について、英字紙ニューストレイトタイムズに感想を述べています。
 今回の予選では3位となり、W杯3次予選出場を逃した代表チームについて、マレーシアサッカー協会FAMは、タン・チェンホー監督とユソフ・マハディ代表チームマネージャーによる総括を元に、練習試合のマッチメイクや新たな代表候補選手招集などを行うことになるだろうと述べています。また、上の記事でも取り上げたFIFAランキングを上げるための国際Aマッチ開催もそのうちの選択肢となりうると述べる一方で、国際Aマッチはアジアカップ3次予選に向けてチーム強化を目的とすることが最優先であるべきで、FIFAランキングを上げることだけを目的としたマッチメイクはするべきではないとも話してています。
 「監督の立場なら、(強い相手と試合した結果)負け続けるチームを改善するよりも、選手をに様々な戦術や戦略を試させる場が必要になる。ランキングを上げるためにランキング上位のチームと4試合全てを戦って負ければ、選手のモチベーションにも影響し、重要な大会前のチームの仕上げ方としては良い方法とは言えない。」と話しています。
 またサティアナタンTDは、Mリーグ1部JDTのオーナーであるトゥンク・イスマイル ジョホール州皇太子がFAMに対して行った、自身を代表チームのチームマネージャーにするべきという提案に対して、イスマイル殿下は思いつきだけで発言したのではないだろうとし、JDTでの成功例を見てもわかるように、チームマネージャーとしては適任の人物の一人であると述べる一方で、最終的にはFAMが判断するべきだとしています。

AFC事務局長はAFCカップ中止は最後の選択肢と話すも今週中には何らかの発表か
 昨季2020年シーズンの優勝チームとしてJDTが出場するアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ予選G組は明日6月22日よりタイのバンコクで始まり、JDTは初戦で名古屋グランパスと対戦します。
 一方、昨季2位のクダ・ダルル・アマンFCと3位のトレンガヌFCが出場予定のAFCカップのアセアン(東南アジア)地区は、集中開催地のシンガポールが新型コロナウィルスの感染状況悪化を理由に開催を辞退して以降、新たな開催地は決まっておらず、開催そのものが危うくなっています。
 これについてAFCのウインザー・ポール事務局長は、今季のAFCカップのアセアン地区開催を諦めていないと話す一方で、最終的な決定は今週中にも発表されるだろうと話しています。
 クダとトレンガヌが所属する予選H組とI組は当初はいずれもシンガポールでの集中開催となることが発表されていましたが、シンガポールの開催辞退表明後は、大会に出場するクラブが所属する東南アジア各国のサッカー協会、またそれ以外の中立国のサッカー協会ともに開催に名乗りをあげる国が現れていません。この2組に残るG組を加えたアセアン地区予選3組全てで現在も開催地は決まっておらず、これについてAFCのウインザー・ジョン事務局長はAFCカップアセアン地区の今季中止はあくまでも最後の選択肢だと述べる一方で、運営委員会には今週中に最終決定を行うよう依頼したことを明らかにしています。
(6/21-一部記事を修正しました。)