1月8日のニュース:Goal. comが選ぶ2010年代のベストⅪ

今回はGoal. comが選んだ2010年代(2010年から2019年)のマレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグのベストⅪを紹介します。(カッコ)内は2020年現在の所属クラブです。記事の内容はGoal. comを参照しています。

GKカイルル・ファミ・チェ・マット(マラッカ・ユナイテッド)
 今季2020年シーズン、マラッカ・ユナイテッドで2季目を迎えるカイルル選手が最も輝いたのは何と言ってもケランタンFAに在籍した2009年から2018年でしょう。2011年、2012年と2度のMFL1部リーグ制覇の他、マレーシアカップ優勝2度(2010年、2012年)、マレーシアFAカップ優勝2度(2012年、2013年)と今からは想像もできないような強いケランタンFAの黄金期のゴールを守っただけでなく、マレーシア代表が優勝した2010年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップではフル代表の、金メダルを獲得した2011年の東南アジア競技大会シーゲームズではいずれも正GKとして活躍しました。

DF(左サイドバック)ラヴェル・コービン=オング(JDT)
 MFLでは2018年のJDT加入以来、2季しかプレーしていませんが、すでにJDTだけでなく、フル代表でも欠かせない存在になっているコービン=オング選手が、左サイドバックとして選ばれています。このポジションは人材難、ということでしょうか。

DF(センターバック)アイディル・ザフアン
 昨季2019年に久しぶりのフル代表復帰となったアイディル選手がこれまでに積み上げたキャップ数は現役選手としては最多の87。Goal. comのコメントでは、ハードタックルのリベロから冷静なスイーパーへと進化したとしています。若い頃はDFながら積極的に前に出てロングシュートを打ってくるタイプだったのが、今では守備に専念している点も評価し、若手からの突き上げを物ともせず、クラブでも代表でも間違いなく必要な選手と高く評価しています。2010年のスズキカップ優勝メンバーでもあります。

DF(センターバック)シュコール・アダン(クアラルンプールFA)
 2010年の時点で既に30歳となっていたシュコール選手は、既にプレーヤーとしてのピークを過ぎていたと考えられていましたが、それまでのMFからセンターバックとポジションが変わったことで、この10年間もヌグリ・スンビランFA、マレーシア国軍チームのATM、フェルダ・ユナイテッド、そしてマラッカ・ユナイテッドでプレーを続けてきました。昨季はマラッカ・ユナイテッドでキャプテンを務めただけでなく、チームの試合にほぼフル出場するなど、リーダーとしてだけでなく、十分に戦力となりうることを証明しています。また、昨季は給料未払い問題を公表し、マレーシアカップでは出場を拒否するなど「モノ言う選手」でもあります。

DF(右サイドバック)クナンラン・スブラマニアム(JDT)
 常に安定した力を発揮することで知られるクナンラン選手は、ヌグリ・スンビランFA、スランゴールFA(現スランゴールFC)とプレーし、2015年からはJDTで不動の右サイドバックとしてプレーしています。スピードが自慢で積極的なオーバーラップで、JDTでは左サイドバックのコービン=オング選手とともに攻撃にも参加するDFです。2010年のスズキカップ優勝メンバーで、フル代表でも活躍しました。なおGoal. comでは、ファンよりもプロ選手仲間から高く評価されるタイプの選手としています。

MFサフィク・ラヒム(マラッカ・ユナイテッド)
 2010年代にリーグ最優秀MF賞を4回受賞するなど、まさにこの年代最高のMFと言える選手です。スランゴールFAで1回、JDTで5回リーグ優勝を経験し、フル代表でも長年にわたって主将を務め、また司令塔として活躍した代表の「顔」とも言える存在です。
 マレーシア国内では知名度も高く、ちなみにカルピスがマレーシアで販売され始めた時には単独でテレビCMに出演するなど、一人でCMを任せられる数少ないプロサッカー選手でもあります。

MFバドロル・バクティアル(クダFA)
 2010年代をクダFA一筋で過ごしてきたバドロル選手。昨年のFIFAワールドカップ予選では、2017年以来となるフル代表招集、そして試合出場を果たしましたが、所属するクダFAが昨季はFAカップ優勝、マレーシアカップ準優勝と好成績を残したことと無関係ではないでしょう。クダFAでは既に「レジェンド」となっていますが、31歳とまだまだ老け込む歳ではありません。インテリジェンスを感じる選手というGoal. comの評価通り、精度の高いキラーパスが売り物の選手です。
 また2011年の東南アジア競技大会シーゲームズ優勝メンバーの一人でもあります。

FW(左ウィング)アムリ・ヤハヤ(元スランゴールFA)
 上のバドロル選手がクダFAのレジェンドだとすれば、スランゴールFAのレジェンドがこのアムリ選手です。地元スランゴール州出身でユースの時代から2013年までスランゴールFAでプレーし、その後はJDT、マラッカ・ユナイテッドでもプレーしたアムリ選手は、2017年途中からスランゴールFAに復帰しました。スランゴールFAで1度、JDTでは3度のリーグ優勝経験があり、スランゴールFAのサポーターの中にはアムリ信者が多数いますが、昨季終了後にはバースカラン・サティアナタン現スランゴールFC監督と反りが合わず退団、現在は無所属となっています。

FW(右ウイング)インドラ・プトラ・マハユディン(クアラルンプールFA)
 2010年代にはケランタンFA→T-TEAM(現トレンガヌFC II)→ケランタンFA→フェルダ・ユナイテッド→ケランタンFA→クアラルンプールFAと渡り歩いたインドラ選手は、いわゆるゴール前の嗅覚が優れた選手で、昨季はクアラルンプールFAでMFL史上初となる通算100ゴールを決めています。この10年間でリーグ優勝とは無縁ですが、ケランタンFAでは、FAカップとマレーシアカップでそれぞれ2度の優勝経験もあります。昨季は38歳とは思えない活躍を見せたインドラ選手は、今季2020年は新加入のシュコール・アダンとのベテランコンビで、MFL2部降格となったクアラルンプールFAの1部昇格を目指します。

FW(ストライカー)サフィー・サリー(PJシティFC)
 この年代を代表するFWサフィー・サリーは、スランゴールFAでリーグ優勝を果たした後、インドネシア1部リーグのプリタジャヤFC(現マドゥーラ・ユナイテッドFC)へ移籍し、マレーシア人選手としては初めてインドネシアでプレーした選手となりました。2010年/2011年シーズンの途中に加入したプリタジャヤFCでは7ゴール、翌2011年/2012年シーズンは20ゴールを挙げました、翌シーズンにはアレマ・クロノスFC(現アレマFC)へ移籍しますが、期限付き移籍の形でマレーシアに戻りJDTに加入、2014年にはJDTに完全移籍し、2015年にはJDTのアジア初タイトルとなったAFCカップ優勝にも貢献しています。
 昨季の開幕時にはプルリスFAと契約しながら、給料未払い問題によってプルリスFAがMFLから除名され、一時は所属クラブがない状況になりましたが、その後はPJシティFCに加入してプレーしました。
 またサフィー選手は、ナイキと契約し自分の名前を冠したマーキュリアルスパイクが販売されたこともあり、この年代を代表するサッカー選手の一人といえるでしょう。

FW(ストライカー)ノーシャルル・イドラン・タラハ(元パハンFA)
 昨季はパハンFAに所属したノーシャルル選手は、今回選ばれたメンバーの中で現在もフル代表でプレーする一人です。ケランタンFAやJDTでもプレー経験があり、リーグ優勝、FAカップ、マレーシアカップの全てに優勝経験があり、サフィー・サリーとは代表で、そしてJDTでリーグ屈指の強力FWコンビとして活躍しました。国内リーグでの活躍に限って言えば、むしろサフィー選手よりも実績があり、2010年から3年連続で国内リーグ最優秀FW賞と年間最優秀選手賞を獲得しています。
 昨季もフル代表に招集され、FIFAワールドカップ予選に出場しています。往年のような活躍はできていないのは残念ですが、マレーシアを代表するFWとしてのプライドをもう一度見せて欲しいです。

1月6日のニュース:UITM FCには元U22監督が就任、MFLが今季前半の日程を発表、ケランタンFAが元代表GKらと未払い給料支払い方法で合意

UITM FCには元U22監督が就任
 今季2020年シーズンはマレーシアフットボールリーグMFL1部に昇格するUITM FCの新監督に元マレーシアU22代表監督を務めたフランク・バーンハート氏が就任することがUITM FCのFacebookで告知されています。
 UITM FCは、今季の昇格に貢献したイスマイル・ザカリア前監督が、財政事情から1部昇格にもかかわらず現役大学生主体のチーム作りを進めるフロントと合意に至らず辞任し監督不在となっていました。
 2015年から2017年までU22代表監督を務めたバーンハート氏は、マレーシアサッカー協会FAMの会長にJDTオーナーのトゥンク・イスマイル殿下が就任すると同時に解雇されていますが、これはFAM会長就任前から、バーンハート氏によるJDTの選手の招集期間の長さに不満を持っていた事が原因とされています。
 UITM FCの会長を務めるアジザン・アブドラ教授は、UITM FCがMFL1部でプレーするのを見るのが夢だったと語っていますが、MFL1部でプレーする大学を母体とする初のクラブとなったUITM FCは、MFL2部に在籍していた昨季と同じ額の運営予算でMFL1部を戦うことを明言しており、今後の新戦力補強次第ではMFL1部の数合わせで終わり、1シーズンにMFL2部へ戻る可能性は大いにあります。
(握手するバーンハート新監督とアジザン会長-UITM FCのFacebookより)

MFLが今季前半の日程を発表
 マレーシアフットボールリーグMFLのホームページでは、MFL1部スーパーリーグMFL2部プレミアリーグの今季前半日程を発表しています。
 2月28日に行われる、昨季のMFL1部チャンピンJDTとFAカップチャンピオンのクダFAがJDTの新しいホームとなるスルタン・イブラヒムスタジアムで対戦するスンバンシーカップ(日本で言えば「富士ゼロックススーパーカップ」に該当しますが、この試合はMFL1部公式戦でもあります。)を皮切りに前半戦最終節となる第11節(5月13日)までの日程が発表になっています。
 日程がリーグ前半のみと発表となっているのは、FIFAワールドカップアジア二次予選兼2023年アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ予選や、AFCチャンピオンズリーグACLを考慮したもので、開幕が例年に比べて遅くなっているのは、各クラブが予算以上の選手獲得に歯止めをかける経済コントロールプログラムECPが今季から導入され、開幕前に各クラブから提出される経営状況を精査する時間を確保するためとしています。
 またMFLのホームページでは、リーグ戦日程の他、FAカップやマレーシアカップの日程も発表になっています。今年のFAカップは予選がMFL開幕前の2月3日から始まり、本選は2月22日に1回戦が始まり、決勝は7月25日、またマレーシアカップは8月4日からグループステージが始まり、決勝は10月31日に予定されています。
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 ムスリム(イスラム教徒)が選手の大半を占めるマレーシアのプロサッカーリーグMFLですが、断食月(今年2020年は4月24日から5月23日の予定)中の試合実施について各クラブから特に反対意見も出なかったようで、昨年同様、試合開始時間を午後10時からとして行われます。これは断食明けとなる日没後の礼拝マグリブ(Magrib)が今年の断食月の頃だと午後7時20分過ぎとなるため、この時間に断食明けの食事をしてから試合に臨みます。もっと早く試合を開始しても良いのでは、と思う方がいるかも知れませんが、就寝前に行う1日の最後の礼拝イシャ(Isha)は同じく午後8時30分過ぎですので、この礼拝の後に試合開始となります。なお、断食月以外でもMFLの試合は1部、2部を問わずほとんどの試合が午後9時開始となっています。
 断食月中にプレーするムスリムの選手も大変ですが、断食月中の試合は午前0時近くに終了するため、観戦者にとってもなかなか大変です。特にムスリムのサポーターは、日の出と同時に始まる断食(今年だと午前6時前後)前には朝食を終えてないと日没まで何も食べられなくなってしまうため、眠るのが遅い時間になるにもかかわらず早起きを強いられます。

ケランタンFAが元代表GKらと未払い給料支払い方法で合意
 MFL2部のケランタンFAがかつて所属した元代表GKのカイルル・ファミ・チェ・マットと元キャプテンのピヤことモハマド・バドリ・ラジと未払い給料の支払い方法で合意したと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
  驚いたことに2016年から持ち越された未払い給料はアペックことカイルル選手が14万3000リンギ(およそ378万円)、ピヤことバドリ選手は18万リンギ(およそ475万円)とのことで、これを5ヶ月の分割払いで支払うことがケランタンFAを運営するレッドウォリアーズ社と両選手との間で合意されたということです。
 2009年から2018年までケランタンFAに在籍したカイルル選手と2007年から2018年まで在籍したバドリ選手はともにケランタンFAがリーグ戦、FAカップ、マレーシアカップの三冠を獲得した2012年、マレーシアカップ連覇を果たした2013年と絶頂時の頃の主力選手でした。
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 別のメディアでは今月1月から5月までの間に未払い給料を完済すると話すレッドウォリアーズ社のダト・ワン・ラケミ・ザハリ代表の話を紹介していますが、気になるのは今月分の支払いは、先日行われたクダFAとケランタンFAの練習試合の入場料収入で支払われたと話している点です。未払い給料を解決するために設定された試合ではないでしょうから、このような自転車操業を行なっているようでは、この入場料収入の本来の使い道(現役選手の給料かもしれませんし、スタッフの給料かもしれません)がとばっちりを受けることになりかねません。
 昨季、ケランタンFAはかつて在籍した外国籍選手が給料未払い給料問題をFIFAに提訴し、その結果としてリーグ戦では勝点3を剥奪されています。また上でも述べた経済コントロールプログラムECPの導入により、未払い問題の解決の目処が立たないクラブは今季のクラブライセンスが発給されない可能性もあり、それを裂けつためにケランタンFAは給料未払い問題解決を急いでいるようです。ただしビッグネームの二人の問題が片付いても、他にも同じように未払い給料問題で困っている選手が複数いるとされるケランタンFAの前途は多難のように見えます。 


 

1月4日のニュース:FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的、MFLでは多くの選手が減給に直面

FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、給料未払い問題が解決していないクラブの今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL参加停止については慎重に対応したいと述べていると、スポーツ専門サイトフォックススポーツが報じています。。
 今季開幕を2月29日に控えるMFLですが、その参加クラブの中には昨季2019年シーズンの未払い給料問題が解決していないクラブが複数あり、給料を受け取っていない選手たちからはそういったチームの今季MFL参加をMFL自身やFAMが停止するべきという声が上がっています。
 これに対してラマリンガム事務局長は、この事態をFAMが手をこまねいて見ているわけではないとしながらも、クラブのMFL出場停止についてはその措置による影響の大きさを考慮して慎重に対応したいと述べています。
 「クラブが出場停止になれば、スポンサーを失い、サポーターも失い、結果的にはクラブの解散という事態も起こりうる。クラブが解散すれば、そのクラブと契約した選手やコーチ、クラブを運営するフロントなどなども収入源を失い、誰も得をしない状況となる可能性がある。」
 「例え分割払いのような方法になったとしても、クラブが未払い給料を選手に支払うことの方が、クラブが解散して一文も払われないよりは良いだろう。」
 「この方法は現実的で、大半のクラブはこの方法で未払い給料を支払えるだろうが、もし選手が全額を一括払いで求めるのであれば、難しいだろう。」などと発言しています。なお、給料未払い問題を抱えるクラブとしてマラッカ・ユナイテッド、PDRM FC(以上MFL1部)、サラワク・ユナイテッド、ペナンFA、ケランタンFA(以上MFL2部)などの名前が上がっています。
 またラマリンガム事務局長は、給料未払い問題を抱えるクラブに対しては「FAMの寛容さを利用することなく、真剣に問題に取り組むことを求め、必要な場合には今季のクラブライセンスの無効化なども含めた断固とした措置を取る用意があることも併せて強調しています。
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 メディアの報道によると、給料未払い問題を抱えるクラブの中には、給料が支払われていない選手たちの気持ちを逆撫でするように、今期に向けて新たな外国籍選手を獲得するクラブなどもあり、選手に給料を支払わないプロクラブを抱えるリーグMFLやそれを統括するサッカー協会FAMがこの状況にどう対処していくのかに注目です。

MFLでは多くの選手が減給に直面
 これまで高給を取っていたMFL所属クラブの選手たちの多くが、今季は50パーセント以上の減俸を受け入れて契約しているという代理人の話を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。代表クラスの選手は依然として高給を受け取っているものの、「元代表選手」や「準レギュラー」クラスの選手たちは、生活がかかっているためクラブとの契約獲得に必死で、従来より低い給料での契約を受け入れているとしています。
 今季はMFLの多くのクラブが年間運営資金削減を行っており、記事の中では、MFL2部のマレーシア国立大学UKMを母体とするUKM FCは運営資金が昨季の400万リンギ(およそ1億500万円)から今季は150万リンギ(およそ4000万円)となっていること、マラ工科大学UITMを母体とし、MFL1部に昇格したUITM FCは現役大学生が、同じ昇格組でマレーシア王立警察が母体のPDRM FCは新規採用の警察官が今季のチームの主力になっていることなどを報じ、ジョホール・ダルル・タジムJDT、スランゴールFC、クダFAなど今季に向けて大型補強を行ったクラブはむしろ例外的であるとしています。
 また、MFL2部に所属するJDT II、トレンガヌFC II、ペラTBG II、スランゴールFC IIといったMFL1部クラブのBチームは育成目的で若手主体のチーム編成となっており、これまで高給を取ってきた選手たちの所属先とはならないことや、スランゴールFCに合併吸収されて同クラブのBチーム、スランゴールFC IIとなったPKNS FC(昨季MFL1部9位)や、サラワクFA(同MFL2部11位)に買われたスランゴール・ユナイテッドFC(同MFL2部9位)の選手たちの多くは所属先を失ったため、市場に選手があふれているとしています。
 また記事の中では、所属先を探す選手からの問い合わせが例年になく多いと話す選手の代理人の談話を紹介し、これまでなら月額4万から5万リンギ(およそ105万から131万円)の給料を取っていた選手たちが、今季は1万5千から2万リンギ(およそ40万円から53万円)の給料でも契約していることを述べ、その結果、これまで月額2万リンギやそれ以下の給料を取っていた選手の所属先が見つからなくなって現状を紹介しています。中にはより低い給料でMFL3部にあたるM3リーグでプレーすることを選ぶ選手もいるそうですが、この代理人の話では、M3リーグではトップの選手でも月額5千リンギ(およそ13万円)を超えることはないそうです。
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 選手を苦しめる給料未払い問題の発生を防ぐためには、各クラブは「身の丈に合った経営」を行う必要がありますが、その一方でクラブが選手の給料を低く設定しすぎて、プロサッカー選手という職業に魅力がなくなれば、プロリーグそのものが衰退してしまう可能性もあります。雇用主である各クラブやリーグを運営するMFLは、マレーシアプロサッカー選手会PFAM、さらにはマレーシアサッカー協会FAMなどとも協議をしながら、問題解決の糸口を探る必要がありそうです。

1月2日のニュース:JDTはACLでヴィッセル神戸と対戦が決定、前U19代表監督はインドネシア1部リーグのクラブ監督に就任、未払い給料問題を抱えるPDRM FCは解決の期限を明言せず

JDTはACLでヴィッセル神戸と対戦が決定
 今季2020年のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLの本選から出場する昨季2019年マレーシアンフットボールリーグMFL1部チャンピオンのJDTは、ACLの予選グループGに入っていますが、このグループは広州恒大(中国)、水原三星(韓国)が入ることは決まっていましたが、残りの1チームは日本の天皇杯優勝チームということになっていました。
 昨日1月1日の天皇杯決勝でヴィッセル神戸が2-0で鹿島アントラーズを破ったため、このグループGにはヴィッセル神戸が入ることが決まりました。
 イニエスタやポドルスキといったビッグネームが在籍することから、マレーシアでも注目が集まるヴィッセル神戸と対戦するJDTは、昨年の鹿島アントラーズに続き、また日本勢との対戦となりました。
 ヴィッセル神戸とJDTが同じグループになると直ちにJDTオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下がチームのFacebookにメッセージを寄せています。(写真下)

前U19代表監督はインドネシア1部リーグのクラブ監督に就任
 昨年2019年5月までマレーシアU19代表の監督を務めたボジャン・ホダック氏がインドネシア1部リーグの強豪PSMマカッサルの監督として2年契約を結んだことが、AFCの公式サイトで報じられています。
 今季2020年のAFCカップ予選プレーオフで、東ティモールのレレノック・ユナイテッドFCと対戦するPSMマカッサルは、AFCカップ本選出場とリーグ戦優勝を目標にホダック氏と契約したされています。
 クロアチア出身のホダック氏は、プノンペン・クラウンFC(カンボジア)、山東魯能(中国)で監督、コーチを務めた後、ケランタンFA(2012年から2013年)、JDT(2014年〜2015年)、ペナンFA(2016年)とMFLのクラブを指導した他、マレーシア U19代表の監督を2017年〜2019年まで務め、東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権では2018年大会でマレーシアを初優勝へ導き、さらにAFC U19選手権本選に12年ぶりの出場を果たしています。
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 2012年にケランタンFAの監督に就任するとリーグ戦、マレーシアFAカップ、マレーシアカップのいわゆるトレブル(Treble、三冠)を果たし、続く2013年もJDTを破りFAカップ2連覇を果たしました。翌2014年にJDT監督に就任すると、MFL6連覇の始まりとなるリーグ初優勝をもたらしています。このように申し分ない実績を持つホダック氏は、U19代表監督時代もマレーシア サッカー協会FAMが求めた結果を全て残してきましたが、昨年7月にはU19監督としての契約更新が行われませんでした

未払い給料問題を抱えるPDRM FCは解決の期限を明言せず
 マレーシア王立警察を母体とするPDRM FCは今季、MFL1部に昇格しますが、昨年2019年分の未払い給料問題が未だ解決していないことを、スポーツ専門サイトフォックススポーツが報じています。
 同サイトの記事によれば4ヶ月間、選手に対する給料の支払いが滞っているようで、2月28日に迫った今季のMFL開幕に間に合うのかどうかどころか、今季のMFLへの参加が認められるのかどうかも怪しくなってきています。
 昨季2度目のトランスファーウィンドウ期間中に大型補強を行い、外国籍選手とマレーシア人選手の新戦力を獲得した結果、MFL3部への降格争いにいた状況から一気にリーグ3位となり今季MFL1部昇格を勝ち取るまでに至ったPDRM FCですが、その頃から給料未払い問題の兆候は現れており、フォックススポーツでも給料を受け取れていない選手の声が紹介されたこともありました。
 また昨季途中に就任し、チームを立て直したエラヴァラサン・ランゴワン監督は辞任し、昨季在籍した多くの選手は退団し、今季のチームは現職の警察官が選手全体の半数以上となるなど、チーム運営が厳しい状況下では、未払い給料問題の解決は容易ではなさそうです。

1月1日のニュース:新監督就任のヌグリ・スンビランFAは中武駿介選手ら外国籍選手が全員残留決定、フェルダUはプレシーズンマッチでメダンの大会に参加、韓国U23代表はシャーアラムスタジアムでの練習試合をピッチ不良でキャンセル

新監督就任のヌグリ・スンビランFAは中武駿介選手ら外国籍選手が全員残留決定
 昨季2019年シーズン最終戦で、勝点で並ぶUITM FCと引き分け、得失差によりマレーシアンフットボールリーグMFL1部昇格を逃したヌグリ・スンビランFAはサザリ・ザイドン新監督の就任と昨季在籍した4名の外国籍選手全員の残留を発表しています。
 昨季のアシスタントコーチから昇格したサザリ監督は、ヌグリ・スンビランFAのU19チームに当たるプレジデントカップチームやテクニカルダイレクターなども経験していますが、そのサザリ監督は「大量の選手を入れ替えれば、チーム作りはゼロからとなり、時間がかかる」とし、僅差で昇格を逃したチームの全体的な底上げを図ることで、今季2020年シーズンは自動昇格となる2位内を目指すと英字紙スター電子版に語っています。
 チームの状況が安定していなかったことが昨季最大の問題点と考えるサザリ監督は、精神的な強さと冷静なプレーで調子が悪いときでも勝点を確実に積み上げられるようになる必要があると語っています。
 残留する外国籍選手のDFマテウス・フェルナンデス・ビーラ・リアル、FWホセ・アルミール・バロス・ネト、FWイゴール・カルネイロ・ルイス(いずれもブラジル出身)とMF中武駿介選手に加え、スランゴールFCに吸収された昨季のMFL1部クラブPKNS FCの元主将のDFムハマド・シャーロム・アブドル・カラムら6名の選手が加入する他、プレジデントカップチームから昇格する選手らが今季のチームを構成します。
 ベテランを中心に補強を行ったクアラルンプールFA(MFL1部から降格)、ペナンFA、ケランタンFAがMFL2部優勝争いのライバルであるとするサザリ監督は、これらのチームとヌグリ・スンビランFAの間に力の差はないので、シーズンを通して安定した力を出せるかどうかが鍵になると話しています。

フェルダUはプレシーズンマッチでメダンの大会に参加
 MFL開幕まで2ヶ月となり、各クラブが国内外でプレシーズンのトレーニング中です。ジョホール・ダルル・タクジムJDTはアラブ首長国連邦UAEクダFAはカンボジアへ遠征する中、フェルダ・ユナイテッドは、インドネシアのメダンで開催される大会に参加すると、インドネシアのスポーツ専門サイト、インドスポートドットコムが報じています。
 1月17日から19日まで開催される大会はインドネシアサッカー協会PSSIの元会長の名を冠したエディ・ラーマヤディカップで、インドネシア2部リーグのPSMSメダンの本拠地タラダンスタジアムで開催され、PSMSメダン、フェルダ・ユナイテッドの他、ボーウング・ケット・アンコールFC(カンボジア)、ゲイラン・インターナショナルFC(シンガポール)の4チームが参加します。

韓国U23代表はシャーアラムスタジアムでの練習試合をピッチ不良でキャンセル
 今月1月8日からタイで開催されるアジアサッカー連盟AFC U23選手権兼2020年東京オリンピックアジア予選の準備のため、マレーシアで合宿中だった韓国U23代表が、スランゴールFCのホームであるシャーアラムスタジアムで予定されていたサウジアラビアU23代表との練習試合をピッチ不良のためキャンセルしたと、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。
 先月12月28日にマレーシア入りしていた韓国U23代表の試合中止は、試合前に降った大雨でピッチの状態が不良となったためとしていますが、1月3日に予定されているオーストラリアU23代表との練習試合は、現時点では予定通り行うようです。
 オーストラリアU23代表との練習試合後は、韓国U23代表は1月5日にタイ入りし、タイ南部のソンクラで開催される1月9日の中国U23代表との初戦に臨みます。
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 この時期のマレーシア東海岸側は乾季ということにはなっていますが、全く雨が降らないわけではなく、短時間に大雨が降ることも少なくありません。またマレーシアのスタジアムは、降雨量に対してピッチの排水設備が不十分なことが多く、MFL1部の試合でもピッチ上に水たまりがあちこちあるような状況下で試合が行われることもしばしばあります。韓国U223代表はオリンピック出場のかかる大事な試合前に、水が浮くようなピッチでプレーして不用意なケガは避けたいということからの判断なのでしょう。

12月30日のニュース:JDTオーナーがスランゴールFCサポーターに強烈なメッセージ、運営予算が決まらないパハンFAは来季への準備に遅れ、選手会は未払い給料問題を抱えるクラブのMFL参加停止を要望

JDTオーナーがスランゴールFCサポーターに強烈なメッセージ
 ブレンダン・ガン(元ペラTBG)を筆頭に、このシーズンオフに積極的な補強を行っているスランゴールFCは、サポーターから新たな「マラヤの王(King of Malaya)」と呼ばれ始めていることに対し、ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が皮肉を交えたメッセージ映像をJDTのFacebookに挙げています。。
 まずJDTは「マラヤの王」ではないと述べる一方で、世界中でJDTの名前は知られていると軽くジャブ。さらに「JDTはアジアクラブランキングで33位だが、他のMFLクラブは112位が最高位である」と述べ、さらに「王というのは借家に住まず、自身の家に住むものであり、もし王と呼ばれる者が借家住まいなら、その王とは一体どんな王なのか」と、総工費2億リンギ(およそ53億円)とされる自前のスルタン・イブラヒムスタジアムを来季から使用するJDTと、スランゴール州の公共施設であるシャーアラムスタジアムを使用するスランゴールFCを比べています。
 トゥンク・イスマイル殿下はさらに、クナンラン・スブラマニアム、アーマド・ハズワン・バクリ、アダム・ノー・アズリン、ファリザル・マリアスら、かつてスランゴールFAでプレーした選手たちの名前を挙げて、JDTが彼らをスランゴールFAから獲得する際には相当の金額を費やしたことも述べています。

運営予算が決まらないパハンFAは来季への準備に遅れ
 来季に向けてMFL各クラブが新戦力の加入のニュースが連日流れる中、景気の良い話が全くといって良いほど聞こえてこないのが、今季MFL2位に終わったパハンFAです。多くの主力選手が移籍、退団した一方で、新戦力加入もなく、来期の運営資金が不足しているという噂もあります。
 他のMFLクラブ同様、パハンFAでもプレシーズン前の練習が始まっていますが、参加しているのはわずか15名、そのうち外国籍選手はフランス出身のDFエラルド・グロンただ一人と英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 ディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)、ラザラス・カイムビ(ナミビア)、サディル・ラムダニ(インドネシア、ベルギーのクラブへの移籍の噂あり)サフワン・バハルディン(シンガポール、スランゴールFC加入)ら外国籍選手が退団しただけでなく、代表でもプレーするノーシャルル・イドラン・タラハやズビル・モハマド・アズミ(サバFAに加入)、コギレスワラン・ラジ、ソロモン・ラジ(いずれもPJシティFCに加入)、アフィフ・アミルディン、レメゼイ・チェ・ロス、ワフユディン・シャムスディンらとも契約を更新していません。
 またUTIM FC監督就任の噂が出ていたドラー・サレー監督も一時は退団の意向を持っていたようですが、来季の指揮を取ることに合意し残留を決めたとも記事には書かれています。
 記事では、来季の運営資金が確定しておらず新戦力の補強が遅れていること、運営資金が十分でなければ、外部からの補強ではなく、プレジデントカップチーム(U21チーム)からの昇格などで三種を確保することになるという関係者からのコメントも掲載されています。
 今季はMFL1部では首位のJDTからは勝点10離された2位、マレーシアFAカップではペラTBGに、マレーシアカップではクダFAにそれぞれ準決勝で敗れています。

選手会は未払い給料問題を抱えるクラブのMFL参加停止を要望
 年末になって次々と未払い給料問題が報じられる中、マレーシアプロサッカー選手会(PFAM)はMFLに対して、給料未払い問題を抱える6つのクラブの来季MFL参加停止を要望していると、スポーツ専門サイトスタジアムアストロが伝えています。
 6クラブとは来季MFL1部でプレーするマラッカ・ユナイテッドFCフェルダ・ユナイテッドFCトレンガヌFCPDRM FC、MFL2部でプレーするペナンFA、そしてケランタンFAです。
 PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、スタジアムアストロとのインタビューで、MFL所属クラブは、全ての未払い給料問題を解決した上でリーグに参加するべきと述べています。同じインタビューの中で、今季はMFL2部でプレーしたPDRM FCは過去4ヶ月分の給料が選手やコーチ人に未払いとなっていることや、トレンガヌFCが今季プレーしたアーマド・シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッドFCに加入)に対して未払い給料を抱えていることなどを発表しています。また、マラッカ・ユナイテッドFCのカイルル・ファミ・チェ・マットもケランタンFAが抱える未払い給料を直ちに支払うことを求める発言をメディアに繰り返しています。
 PFAMのイズハムCEOは、この状況を放置しているMFLとFAMに対して直ちに対応を求めるとともに、同じような問題が来季開幕後も発生することを防ぐために、未払い給料問題を抱えるクラブのMFL参加停止を要望するとしています。
 これに対してMFLのダト・ガニ・ハサンCEOは、来季からMFL各クラブに導入される経済コントロールプログラムECPが、給料未払い問題解決につながるだろうと述べるにとどまり、明確な回答が得られなかったと、スタジアムアストロは報じています。

12月28日のニュース:スランゴール州サッカー協会がAMDから28名の選手を獲得 、スランゴール州サッカー協会は自前のアカデミーを国内最高にする抱負を述べる

スランゴール州サッカー協会がAMDから28名の選手を獲得
 スランゴール州サッカー協会FASは、モクター・ダハリアカデミーAMDの1期生28名と契約したことが明らかになりました。
 サッカー専門サイトのスムアニャ・ボラは、国家サッカー選手養成プログラムNFDPのサフィルル・アズリ・アブ・バカル元CEOが、NFDPの中核をなすエリート選手養成アカデミーであるAMDの第1期卒業生34名全員がFASからオファーを受け、その内、28名がFASと契約し、残りの6名はジョホール・ダルル・タジムJDTと契約したことを明らかにしたと報じています。
 FASと契約したAMD卒業生は、FASのプレジデントカップチーム(21歳以下)やユースカップチーム(19歳以下)に所属する他、FASが統括するマレーシアフットボールリーグMFL1部に所属するスランゴールFCのBチームで、MFL2部に所属するスランゴールFC IIでプレーする可能性もあります。
 その一方でスムアニャ・ボラでは、このAMD出身者の獲得がFASのプレジデントカップチームやユースカップチームでプレーした選手たち、さらにはスランゴールFCに「吸収合併」されてしまったPKNS FCのプレジデントカップチームやユースカップチームの選手たちの今後にどのような影響を与えるのか、と問題提起もしています。
 特に選手育成に定評のあったPKNS FCは今季も、プレジデントカップで優勝ユースカップでは準優勝と結果を出しているだけに、その選手たちがどのようになるのかは気になります。またスランゴールFCと名称を変更したスランゴールFAもプレジデントカップとユースカップでは準決勝に進出しており。AMD出身者の加入の影響はこちらにも出るでしょう。同じようにBチームを持つジョホール・ダルル・タジムJDTやトレンガヌFC(TFC)は、JDT IIIやTFC IVといった形でプレジデントカップやユースカップに出場しているので、スランゴールFC IIIやスランゴールFC IVが編成されることになると思いますが、元スランゴールFAのプレジデントカップチームの登録選手30名、ユースカップチームの登録選手30名、元PKNS FCの選手それぞれ30名ずる、そして今回獲得したAMD卒業生28名が、スランゴールFC IIIとスランゴールFC IVの30名ずつの登録枠を競い合うことになります。
 しかしそうなった場合、U17代表やU19代表などで国外大会の経験も豊富なAMD卒業生は明らかに有利な立場にあり、今季スランゴールFAやPKNS FCでプレーし、結果を出した若手の多くが他チームへの移籍、あるいは退団を迫られることになります。
 スムアニャ・ボラの記事は、今後もAMD出身者を獲得することで、FASは自らが育てた有望選手の才能の芽を摘むことにならないかを危惧していると結んでいます。

スランゴール州サッカー協会は自前のアカデミーを国内最高にする抱負を述べる
 上記のような記事が出る一方で、マレー語紙シナールハリアン電子版では、FASが自前のアカデミーを数年のうちに国内で最高のアカデミーとする抱負を述べていると報じています。
 FASのミハエル・フェイヒテンベイナーTD(テクニカルダイレクター)はシナールハリアンとのインタビューで、アカデミーでの選手の指導は短期間で結果が出るものではないとする一方で、新たに導入される選手の指導体系によって、数年後には変化の兆しが見えるようになるだろうと述べています。
 またスランゴールFCのBチーム、スランゴールFC IIの監督も務めるフェイヒテンベイナーTDは、スランゴールFC IIは選手育成に特化し、若い選手により多くの出場機会を与えたいとしています。
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 当初はスランゴールFC IIは外国籍選手を獲得せず、若手選手に出場機会を与えるとされていましたが、MFL2部から降格することになれば、高いレベルでの試合に出場する機会が減るとして、外国籍選手獲得可能性も示唆されています。クラブの目的が選手の育成なのか、MFL2部残留なのか、スランゴールFC IIが迷走しないか気になります。

12月27日のニュース:元パハンFAのラムダニはベルギーのクラブへ移籍、未払い給料に対するケランタンFAの対応を元選手が批判

元パハンFAのラムダニはベルギーのクラブへ移籍か
 今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL1部のパハンFAでプレーし、シーズン終了後に契約満了で退団したインドネシア代表のサディル・ラムダニにベルギー1部リーグの複数のクラブが関心を持っていると、インドネシアのスポーツ専門サイトインドスポーツドットコムが報じています。
 20歳のラムダニ選手は、今月初旬にフィリピンで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーに出場したU22代表でも、インドネシアの3大会ぶりの銀メダル獲得に貢献するするなど活躍していました。
 来季2020年にMFL1部に昇格するサバFAが、インドネシアU22代表でアシスタントコーチを務めていたクルニアワン・ドゥイ・ユリアントを新監督に任命したことから、このラムダニ選手のサバFA加入の噂も上がっていましたが、どうやら来季のMFLでラムダニ選手を見ることはできなそうです。
 なおインドスポートドットコムによると、ラムダニ選手に興味を示しているクラブとして、日本のIT企業DMM.comが出資しシュミット・マイケル選手や鈴木優磨選手、伊藤達哉選手、さらにはベトナム代表のグエン・コン・フオンも所属するKシント=トロイデンVV、インドネシア系の母親を持つサンディ・ウォルシュが所属するSVズルテ・ワレヘム、JDT入りが噂れたディオン・コールズが所属するクラブ・ブルッヘなどが興味を示しているとしてます。

未払い給料に対するケランタンFAの対応を元選手が批判
 MFL2部のケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、来季のクラブライセンス資格審査取得の条件として、現在クラブが抱える未払い給料の支払い方法とその期限を明らかにすることが求められていますが、元ケランタンFAの選手で、現在は同じMFL2部のヌグリ・スンビランFAのキャプテンを務めるノーハフィズ・ザマニ・ミスバーは、KAFAの対応を非難していると
 2015年から2017年までケランタンFAでプレーしたノーハフィズ選手は、未払い給料が8万2000リンギ(およそ220万円)があるにもかかわらず、先月に突然、KAFAから1万5000リンギ(およそ40万円)が自身の銀行口座に振り込まれたとマレー語紙ハリアンメトロ電子版で述べています。
 本来ならば、マレーシアサッカー協会FAMの選手地位委員会が5月23日に下した裁定により、KAFAはノーハフィズ選手に30日以内に未払い給料を支払うことになっていましたが、ノーハフィズ選手が連絡を取ろうとするも何の音沙汰もなく、また減額交渉どころか分割払いの交渉すらされておらず、また今回の1万5000リンギについても事前に何の説明もなかったと話しています。
 ノーハフィズ選手は、何の説明もなしに振り込まれたこの1万5000リンギが、未払い給料を支払った証拠とKAFAに利用され、来季のクラブライセンス資格審査で使われては困るとして、翌日に返却したと話しています。
 FAMとMFLには、自分以外にも未払い給料問題を抱える選手がいる状況を理解した上で、KAFAに対して厳格な対応を求めています。
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 今季もシーズン途中で外国籍選手の大半と契約を解除するなど、ケランタンFAの運営方法に問題があったKAFAは、FIFAの裁定によりリーグ戦の勝点を剥奪(はくだつ)されるなど、満船的な問題を抱えているように見えます。また、数日前にはサッカー専門サイトのスムアニャボラではKAFAのU19チームの選手が過去5ヶ月間にわたって給料が払われていないことを伝えています。ケランタンFAは熱狂的なファンも多いチームですが、各クラブに健全経営を促す目的で経済コントロールプログラムECPを導入するMFLには、ノーハフィズ選手が指摘する通り、厳格な姿勢で未払い給料問題に対処するべきでしょう。


 

12月26日のニュース:AMD所属選手に「補償金」制度導入、スランゴールFC監督は「補償金」制度導入に反論、JDTオーナーが意味深なメッセージを公開

AMD所属選手に「補償金」制度導入
 モクター・ダハリアカデミーAMDは、マレーシア政府の青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会MSNが運営し、国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中核をなすエリート選手養成アカデミーです。
 今年11月のアジアサッカー連盟AFC U19選手権2020年大会予選を1位で突破し、本大会出場を決めたマレーシアU19代表は、このAMDの1期生が中心で構成されていました。その中には今月12月にフィリピンで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場したU22代表のメンバーに飛び級で招集されたルクマン・ハキムやウマル・ハキームもいます。
 そのAMDを運営するMSNのトップであるダト・アーマド・シャパウィ・イスマイル委員長が、今後AMDから選手を獲得を希望するクラブに対して「補償金」を請求する制度を発表したと、マレーシアの通信社ベルナマが報じました。
 これを支持する形で、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、マレーシア14州のサッカー協会(州FA)やマレーシアフットボールリーグMFLの各クラブが自前のアカデミーを持てば、AMDは必要でなくなるとし、それが実現できていない現状で、AMDの存在はむしろ各クラブの負担を軽くする役割を果たしていることから、「補償金」請求は理にかなっていると述べています。
 さらに国際サッカー連盟FIFAが規定する最低2千米ドル(およそ22万円)という補償金の額についても、ラマリンガム事務局長は、AMDはエリート選手養成アカデミーであるため、利潤追求をしないまでも、育成にかかる費用に見合った金額を補償金額に設定し、それをAMDに還元するとしており、補償金額はFIFAの補償金額よりもはるかに高額になると話しています。

スランゴールFC監督は「補償金」制度に反論
 スランゴールFCのバスカラン・サティアナタン監督は、MSNが導入する「補償金」制度について反論していると、マレー語紙シナールハリアン電子版が伝えています。
 一部では20万マレーシアリンギ(およそ530万円)とされるAMD出身選手獲得の際の「補償金」制度導入について、サティアナタン監督は、設定する金額が高すぎることに選手の出場機会を奪いかねないと反論しています。
 マレーシアプロサッカーコーチ協会の会長でもあるサティアナタン監督は、AMDは国民の税金で運営されていること、またAMD出身の選手はマレーシア代表となってその育成費用や労力を国家に還元する可能性を持っているとし、もしMSNが利益を追求するのであれば、MSNを民営化し、FIFAの規格に合わせたものにするべきだとしています。
 その一方で州FAや各クラブがAMDの選手獲得に何万、何10万と費やす必要があるのであれば、自前のアカデミーを設立するべきだと述べる一方で、自分も税金を払っている国民の一人としてAMDの利益を享受する資格があるとも述べています。
 さらにMSNの言い分がまかり通れば、例えば、企業は自社に優秀な学生を送り込む高等教育機関に「補償金」を払う必要があることになるとし、高等教育機関の役割は国民に教育を提供するの役割であり、MSNはスポーツで同様の役割を果たすべきとしています。

JDTオーナーが意味深なメッセージを公開
 ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナー、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が自身のインスタグラムに意味深なメッセージを掲載したことで様々な憶測を呼んでいます。

 メリークリスマスのメッセージとともに、現在、JDTでプレーしていない5選手の名前を挙げていますが、その中には今季2019年はインドネシア1部リーグのペルセラ・ラモンガンに在籍したMF廣瀬慧(ひろせけい)選手や、今季はクダFAでプレーしたものの契約が更新されなかったスペイン人FWフェルナンド・ロドリゲスの名前が挙がっています。また数日前には来季2020年にはJDT IIに日本人とスペイン人が新加入するとトゥンク・イスマイル殿下自身が告知しており、この2選手がJDT IIの新戦力かも知れません。
 またこの他にはスランゴールFCのエンドリック・サントスやマシュー・デイヴィーズ、モハマドゥ・スマレ(いずれもパハンFA)の名も挙げており、来季ではなく2021年にJDTに加入する選手ではないかという予測も出ています。
 サッカー専門サイトのヴォケットFCでは廣瀬選手はペルセラ・ラモンガンとの契約を既に完了し、来季のJDT II加入の際の障害はないとしています。

12月23日のニュース:ドミニク・タンがJDT退団を発表→ポリス・テロFC完全移籍を発表、クダFAは開幕前の遠征でカンボジアへ

ドミニク・タンがJDT退団を発表
 ジョホール・ダルル・タジムJDTと言えば、マレーシアのサッカー選手ならば誰もがプレーしたいクラブだと思いますが、FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選や先日終了した東南アジア競技大会通称シーゲームズのU22代表でもプレーするドミニク・タンが自身のインスタグラムでJDT退団を発表しています。
 インスタグラム上では在籍した4年間をチームメートやファン、そしてオーナーとのTMJ子とジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下への感謝のメッセージを述べていますが、今後の所属先については述べていません。
 主にJDT IIでプレーしていた22歳のタン選手は、今季途中でタイ2部のポリス・テロFCへ期限つき移籍していましたが、出場機会は少なく、ポリス・テロFC自身はタイ2部リーグで準優勝し、来季2020年は1部リーグへ昇格することから、完全移籍も難しいだろうとされていました。マレーシアフットボールリーグMFL1部のクラブでプレーする噂も出ていますが、具体的なクラブ名は現時点では上がっていません。
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 シンガポール生まれながらマレーシア人両親を持つタン選手は、公称183cmとマレーシア人DFとしては高さがある選手で、フル代表のベテラン、アイディル・ザフアンの後継者と目され、これからが期待されるセンターバックです。MLF1部野田クラブでプレーすることはMFL最強の攻撃陣であるJDTを相手に回すことになるので、自身のキャリアアップとしては決して間違っていない選択だと思いたいです。

と、今朝方。ここまで下書きをしたのですが、続報です。
元JDTのドミニク・タンがポリス・テロFC完全移籍
 JDTを退団したマレーシア代表DFドミニク・タンが来季タイ1部リーグへ昇格するポリス・テロFCに完全移籍することが、ポリス・テロFCのFacebookで告知されています。契約期間は2年で、アジア選手枠での契約とされています。
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 U22/23代表ではキャプテンを務めるタン選手ですが、完全移籍、しかも2年契約という高い評価には正直驚きましたが、東南アジアトップクラスのリーグ、しかも1部リーグで主力選手となれば、さらなるステップアップも期待できます。なかなか国外でプレーするマレーシア人選手が出ない中で、後に続く選手が出るような活躍を期待したいと思います。
(写真はポリス・テロFCのFacebookより)

クダFAは開幕前の遠征でカンボジアへ
 マレー語紙シナルハリアン電子版は、クダFAが開幕前の遠征先にカンボジアを選んだと報じています。カンボジアでは開幕前のキャンプの他、地元クラブとの練習試合も予定されています。
 MFアミン・ナザリ(フィリピン、ラチャブリー・ミッポン FCより加入)、GKムハンマド・アズリ・ビン・アブドゥル・ガニ(フェルダ・ユナイテッドFCより加入)など総勢8名の新戦力が加入し、来季の布陣が揃ったクダFAですが、2月28日と発表された来季2020年のマレーシアフットボールリーグMFL開幕前にはアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLの予選プレーオフ、1月21日の香港リーグチャンピオンのタイ・ポーFC戦が控えていることから、今月初旬には既に来季へ向けて始動し、クダFAのプレジデントカップチーム(U21)などとも練習試合をこなしています。