MFL第6節の結果まとめ

マレーシアフットボールリーグMFL第6節
*FIFA国際Aマッチ期間中に開催されるエアマリンカップ(3月20日と23日)とアジアサッカー連盟AFCのU23選手権予選兼東京オリンピック予選(3月22日から26日)開催前のため約3週間、MFLは試合がありません。リーグ戦再開は第7節は3月29日(金)からとなっています。

1部スーパーリーグ
パハンFA(4勝2分0敗)1-0クダFA(3勝2分1敗)
得点者:パハンFA−ズハイル・アイザット(87分)
リーグ2位のパハンFAはFWゼ・ラブことゼ・エドゥアルドが累積警告で、同3位のクダFAもDFレナン・アルヴェスは前節のレッドカードでそれぞれ出場停止となり、攻守の要を欠いたチーム同士の試合は両チーム無得点のまま引き分けかと思われた終盤に、途中出場のズハイル・アイザットが決勝ゴールを決め、ホームのパハンFAが逃げ切りました。今シーズン、ここまで出番のなかったズハイル選手のゴールにより、クダFAは今シーズン初黒星を喫しました。
 なおズハイル選手は、ムハマドゥ・スマレと交代で出場しましたが、ドラー・サレー監督に自ら出場を直訴し、ケガを押して出場したスマレ選手が途中交代したことにより、代表に選出されているエアマリンカップへの出場が危ぶまれています。

ペラTBG(1勝3分1敗)1-0プタリン・ジャヤ(PJ)シティFC(1勝1分4敗)
得点者:ペラTBG-ワンダー・ルイス(39分、PK)
ペラTBGは今シーズン初勝利。ノー・ハキム・ハサンがゴールエリアで倒された得たPKをワンダー・ルイスが決めた1点を守り、PJシティFCの反撃に耐え逃げ切ったペラTBGは勝点6となり、7位に浮上しました。

トレンガヌFC(2勝3分1敗)3-0マラッカ・ユナイテッド(4勝0分2敗)
得点者:トレンガヌFC:ナスルラ・ハニフ(24分)、サンジャル・シャアフメドフ(42分)、シャミン・ヤハヤ(74分)
開幕戦以来、これまでのホームの試合はすべて引き分けだったトレンガヌFCが今シーズン最多の3得点でホーム初勝利。24分にリー・タックのコーナーをマラッカ・ユナイテッド守備陣のマークを外したナスルラ・ハニフが頭で叩き込み先制。調子の上がらないチェチェ・キプレに代わってキャプテンマークを着けたGKモハマド・サフィアン・ラーマンが好セーブを連発してマラッカ・ユナイテッドを無得点に抑えている間に、再びリー・タックからのパスを受けたサンジャル・シャアフメドフがディフェンダーをかわし2点目のゴールを決め、前半を折り返しました。74分にはシャハリ・シャムスディンがディフェンスラインの裏へ絶妙のパス、そこへ走り込んだアーマド・シャミン・ヤハヤが3点目を決め、勝利を決定づけました。

PKNS FC(3勝2分1敗)2-0フェルダ・ユナイテッド(1勝3分2敗)
得点者:PKNS FC-ロメル・モラレス(24分)、タミルラン・コズバエフ(47分)
前半は一方的な試合でPKNS FCがリード。しかし攻撃の勢いが衰えた後半はフェルダ・ユナイテッドが反撃しましたが、開幕戦のトレンガヌFC戦、第2節のマラッカ・ユナイテッド戦でそれぞれ1失点した後は、3試合連続で相手を完封している守備陣がこの試合でも機能しました。キルギスタン代表で今年のAFC選手権にも出場したタミルラン・コズバエフ、マレーシア代表に初選出されたニコラス・スイラッドを中心にロドニー・セルヴィン、モハマド・カユム・マルジョニといった守備陣とGKザリフ・イフラン・ハシムディンの活躍で、第6節を終わってクダFAとともにリーグ最少の2失点で5位につけています。
 フェルダ・ユナイテッドの渡辺将基、池田圭両選手はスタメンフル出場しています。

JDT(5勝1分0敗)3-0PKNP FC(0勝1分5敗)
得点者:レアンドロ・ヴァレスケス(27分)、ジオゴ(36分、PK)、ゴンザロ・カブレラ(42分、PK)
この試合前まで負けなしのJDTと勝ち星のないPKNP FCの対戦は順当にJDTが勝利しました。27分にジオゴのシュートをGKが弾いたボールをレアンドロ・ヴァレスケスが押し込んで先制すると、自らがDFアマニ・アギナルドに倒されて得たPKをジオゴが決めて2点目、さらに42分には再びジオゴがGKに倒されて得たPKをゴンザロ・カブレラがゴールし3点目。カブレラ選手は6試合で5得点と現時点でのリーグ得点王で、ジアゴ選手、ヴァレスケス選手との3人でチーム総得点15点の内の10点をあげています。
 3月12日にはAFCチャンピオンズリーグACL第2戦の慶南FCをホームで戦うJDTにとって、このPKNP FC戦は大一番前のちょうど良い調整だったのかも知れません。
 今シーズン未だ未勝利のPKNP FCは、74分にキャプテンのアーマド・シュクリ・アブドラ・ハミドが退場となり10 人となった後は全くチャンスがありませんでした。4連敗となったPKNP FCは10位のPJシティFCとは勝点3差の11位となっています。

クアラルンプール(KL)FA2(0勝0分5敗)-3スランゴールFA(1勝3分1敗)
得点者:KLFA−シャウワン・シャーラン(5分)、インドラ・プトラ・マハユディン(38分)、スランゴールFA-サンドロ・ダ・シルヴァ(67分,PK)、モハマド・シャズワン・ザイノン(71分)、モハマド・アムリ・ヤハヤ(76分)
今シーズンともに未勝利チーム同士の対戦は、スランゴールFAが前半2失点のビハインドをひっくり返して逆転勝ちし、今シーズン初勝利を挙げました。しかし30分で交代したルフィノ・セゴヴィアが思いの外、重傷だったようで、スランゴールFAのホームページでは、4ヶ月間チームから離脱する必要があることが伝えられています。昨シーズンは19ゴールでリーグ最多得点を記録し、今シーズンもこの試合前までの5試合で、チーム総得点5点中3得点をあげるなどスランゴールFAの攻撃の中心だけに、この試合で今シーズン初勝利を挙げたスランゴールFAですが、今後も苦しい試合を強いられそうです。
 またこの試合後、開幕から5連敗となったKLFAのユスリ・チェ・ラー監督が辞任しています。開幕5試合の相手が、昨シーズンのFAカップ優勝チームのパハンFA、スーパーリーグ5連覇中のJDT、そしてACLプレーオフ出場のため延期にはなりましたがマレーシアカップ優勝チームのペラTBG、その後も昨シーズン5位のトレンガヌFC、同7位のマラッカ・ユナイテッドと上位相手との連戦が続き、悪い流れを変えることができませんでした。なおKLFAの苅部隆太郎選手はスタメンフル出場しています。
 この試合のGoal.comによるマッチレポートはこちら、またこの試合の観戦記はこちらです。

2部プレミアリーグ
UITM FC(3勝1分1敗)3-3ケランタンFA(1勝1分3敗)
得点者:UITM FC−ザルコ・コラチ(37分、41分、50分)、ケランタンFA-フラヴィオ・ベック・ジュニオール(36分)、ニック・アズリ・ニック・アリアス(79分)、ファウジ・ロスラン(83分)

PDRM FC(0勝1分5敗)0-1UKM FC(3勝1分2敗)
得点者:UKM FC-ミラド・ジナドプール(88分)

ヌグリ・スンビランFA(1勝4分1敗)0-0サバFA(3勝2分1敗)
得点者:なし
ヌグリ・スンビランFAの中武駿介選手はスタメンフル出場しています。

ペナンFA(2勝1分3敗)2-1スランゴール・ユナイテッド(3勝1分2敗)
得点者:ペナンFA-ディヤウルラーマン・ハスリ(55分)、ニキタ・パヴレンコ(64分、OG)、スランゴール・ユナイテッド−リザル・ファミ(17分)

トレンガヌFC II(2勝2分1敗)0−0JDT II(4勝1分0敗)
得点者:なし
トレンガヌFC IIの鈴木ブルーノ選手はスタメンフル出場しています。

3月12日のニュース:ユスリ監督がKLFAの監督を辞任、JDTのACL第2戦はホームで慶南FC戦

ユスリ監督がKLFAの監督を辞任
マレーシアフットボールリーグMFLで唯一勝ち星がなく、開幕から泥沼の5連敗で最下位に沈む1部スーパーリーグ所属のKLFAのユスリ・チェ・ラー監督が辞任しました。今シーズン苅部隆太郎選手が加わったKLFAはMFL第6節を終えて得点4、失点13と攻守ともに精彩を欠いています。
 昨シーズンはケランタンFAの監督を務め、今シーズンKLFAの監督に就任したユスリ監督は、これまでも外国人選手の獲得や出場選手決定に自分の意志が反映されていないことを明言しており、過去2シーズンのKLFAのリーグ戦だけで40ゴール、カップ戦も合わせれば55ゴールをあげているFWギリェルメ・デ・パウラが開幕戦以降、ケガからの回復を遅れを理由にベンチ入りしていないのも、ユスリ監督との確執があるといった噂もあります。実際に辞任会見でも、ユスリ監督は外国人選手との関係について言及しています。
 今シーズンのMFL監督交代第1号となったユスリ監督は、クラブを運営するKLサッカー協会や一部サポーターからの圧力ではなく、あくまでも自らの意思で辞任すると述べており、KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長は、ユスリ前監督の後任としてチョン・イーファットアシスタントコーチを暫定監督に任命し、次のトランスファーウインドウが開く5月2日から29日の期間中に新たな選手の獲得を行うとしています。なおMFLはFIFAカレンダー期間中のエアマリンカップ開催のため、2週間試合がありませんので、KLFAはこの期間中を利用して、まずは選手のモラルも含めた立て直しが急務でしょう。

Terima Kasih「ありがとう」とユスリ監督に謝辞を伝えるKLFAのフェイスブック

JDTのACL第2戦はホームで慶南FC戦
アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLデビュー戦で鹿島アントラーズに惜敗したJDTは、今日、ホームに韓国の慶南FCを迎えてACL第2戦を戦います。
 試合前の記者会見でJDTのベンジャミン・モラ監督は、鹿島戦の様にプレーできれば、ホームのファンの前で良い試合を見せられるだろうとしながらも、2月2日に行われた開幕戦、ペラTBGとのサンバンシーカップでケガをして以来、スーパーリーグに出場していないナチョ・インサが今日の試合に出場できるよう、本人、医療チームと話し合いを続けているとも述べています。欧州サッカー連盟UEFAチャンピオンズリーグ出場経験もあり、昨シーズンもレギュラーとして活躍したインサ選手が戻ることで、攻撃陣に比べると不安の残る守備陣が締まることも期待できます。
 一方の慶南FCのキム・ジョンブ監督は、2017年にはUITM FCで、2018年にはトレンガヌFCとケランタンFAでプレーした経験のあるFWド・ドンヒュンから、JDTの情報は得ていると記者会見で話すなど自信を見せています。(写真は左からJDTのベンジャミン・モラ監督、慶南FCのキム監督、両チームのキャプテンと監督)

観戦記:3月10日MFL1部スーパーリーグ第6節クアラルンプールFA対スランゴールFA@KLFAスタジアム

3月7日のニュースでも取り上げた「クランヴァリーダービー」を観戦してきました。この試合前まで開幕から4連敗中のクアラルンプール(KL)FAと0勝3分2敗のスランゴールFAの対戦は、最後にドラマが待っていました…。

KLフットボールスタジアムは、KL市内から車で15分から20分の距離にあるチェラスという地区にあり、KLFAのホームです。このスタジアムの前は、最近こちらで流行りのフードトラックパークになっていて、20台ほどのトラックがハンバーガーやパスタの他、タイ料理やマレーシア料理などのトラックもあり賑わっています。ここで飲食物を買ってスタジアムに持ち込むことも可能で、私はここでバーガーと飲み物を購入し、スタジアムへ向かいました。

スタジアム近くでスランゴールFAのバスを発見。

スタジアム周辺では、KLFAのホームにもかかわらず圧倒的にスランゴールFAのユニフォームなどを売る屋台が多く、KLFAのユニフォームを売っている屋台は1つだけでした。ちなみにKLFAの2019年ユニフォームは110マレーシアリンギ(約3000円)、昨年のユニフォームはほぼ半額の50マレーシアリンギ(約1400円)でした。(写真右下の白と赤の縞のユニフォームが昨年のKLホームユニフォームです)

今回は15マレーシアリンギ(約400円)のオープンスタンドのチケットを購入。なおグランドスタンドは30マレーシアリンギでした。Terbukaとはオープンスタンドの意味。

試合前のアップを行うKLFA

試合に先立ち、スランゴール州歌、KL連邦直轄区歌、マレーシア国歌が演奏され、観客も皆、起立します。

国歌演奏が終了し、いよいよ試合開始。

試合はKLFAが5分にFWシャフワン・シャーランがディフェンダー二人に挟まれながらもヘディングを決めて先制しました。さらに38分には、スランゴールDFテイラー・リーガンがトラップミスしたボールを蹴り込んだ37歳のベテランFWインドラ・プトラ・マハユディンのMFL通算100ゴールまであと4と迫る今シーズン初ゴールで、KLFAがまさかの(失礼!)2−0で前半が終了しました。しかもスランゴールFAは今シーズン5得点中3点を挙げているFWルフィノ・セゴヴィアが30分にケガのため交代するなど、窮地に追い込まれました。

エアマリンカップで初の代表入りとなったMFファイズ・ナシルが今日は明らかに機能していないと見ると、スランゴールFAのサティアナタン監督はファイズ選手に代えて38歳のベテランFWモハマド・アムリ・ヤハヤを後半開始から投入しましたが、これが効果的な一手になりました。67分には自らが倒されて得たPKをFWサンドロ・ダ・シルヴァがゴールし、まず1点。71分には大胆なサイドチェンジからMFシャズワン・ザイノンがドリブルで持ち込み同点ゴール。こうなると勢いは明らかにスランゴールFAにあり、76分にはモハマド・アムリ・ヤハヤがゴール前のこぼれ球を頭で叩き込み、スランゴールFAが逆転します。10分足らずの間に3ゴールと怒涛の攻撃を見せたスランゴールFAがそのまま逃げ切り、スランゴールFAは今シーズン初勝利を挙げました。

開幕から泥沼の5連敗となったKLFAは、スタンドのKLFAサポーター集団の元へユスリ・チェ・ラー監督が足を運び話をするなど、最後は大荒れでした。(写真左はここまでの4試合の結果1-3、 1-4、 0-1、 0-2を挙げ、Next?「次はどうなんだ?」と抗議の横断幕を掲げるKLFAのサポーターグループ、写真中央はそのサポーターグループのもとへ向かうユスリ・チェ・ラーKLFA監督、写真右は機動隊員にベンチへ戻るように促されるユスリ監督)

なお、この試合の後、ユスリ・チェ・ラー監督はKLFA監督を辞任しています。