Mリーグ1部スーパーリーグ 2022年シーズン第9節結果とハイライト(3)

8月29日に、これまで延期されていたMリーグ1部スーパーリーグ第9節の1試合が行われています。

2022年8月29日(月)@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 4-0 マラッカ・ユナイテッド
⚽️JDT:フェルナンド・フォレスティエリ(13分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ3(33分、42分、85分)、
🟨JDT(3):レアンドロ・ヴァレスケス、シェーン・ローリー、ダニアル・アミル
🟨マラッカ(0)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 ACL出場により、リーグ戦の延期が多いJDTはこの日から11日間に3試合を行う厳しい日程ですが、ACL浦和戦後、初の国内試合となったこの試合では、浦和戦大敗の鬱憤を晴らすかのような快勝で首位を堅持、試合数が1試合多い2位のサバとの勝点差を6に広げて、史上初のリーグ9連覇へまた一歩前進しています。
 ACL浦和戦では出場停止になっていたMFレアンドロ・ヴァレスケスや外国籍選手枠の都合で出番のなかったDFカルリ・デ・ムルガ、さらには今季トップチーム初先発となったGKハジック・ナズリやMFダイアル・アミルなど、JDTのエクトル・ビドリオ監督は、ACL浦和戦とはメンバーを入れ替えて臨みましたが、そんなメンバーでも試合開始から終始マラッカを圧倒し、今季無敗記録を15まで伸ばしています。
 マラッカは、3ヶ月分の給料未払いが明らかになっている他、ジャスティン・リムCEOが辞任の噂を否定するなど、毎年繰り返される運営サイドの問題で現場が混乱する中での試合でした。王者JDT相手に先発した外国籍選手がFWアドリアーノ1人では太刀打ちできるはずもなく、GKブライアン・シーが好セーブを連発したにもかかわらず4失点で敗れています。しかも75分には交代枠5名を使い切った後にカイルル・アンワル・シャールディンがケガで退場し10名となり、さらにその後はシェーン・ローリーのタックルを受けたシャールル・アズワリまで退場となるなど、むしろよく4失点で済んだ試合だったと言えます。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第17節終了時)

チーム勝点
1JDT1513204373641
2SAB16112326141435
3NSE1795324141032
4TRE168262016426
5SRP176382727021
6KLC156362925-521
7KDA145361925-617
8MEL154562023-317
9SEL154462626016
11PJC173771627-1116
11SWU1742111537-2214
12PEN1614111934-257
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第17節終了時)

ゴール数選手名所属
120ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
213フェルナンド・フォレスティエリJDT
311カイオンSEL
49ロナルド・ンガKDA
57ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

8月30日のニュース
スランゴールU19がユースカップ優勝
JDT U21がプレジデントカップ優勝
スランゴールは「ドイツ色」一掃へ-しかし問題はそこなのか?

スランゴールU19がユースカップ優勝

MリーグクラブのU19チームが対戦するユースカップの決勝第2戦が8月26日に行われ、スランゴールU19とスリ・パハンU19は1-1で引き分けたものの、第1戦で1-0と勝利していたスランゴールU21が通算成績を2-1として優勝を飾り、賞金6万リンギ(およそ180万円)を獲得しています。

7年ぶり3度目の優勝となったスランゴールは、今回の優勝で2008年から始まったユースカップでの通算優勝回数がトップとなり、2019年に吸収合併PKNSの記録も合わせると通算で4回優勝、2回準優勝と圧倒的な成績となりました。

2022年ユースカップ決勝第2試合
2022年8月26日(金)@MBTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンU19 1-1 スランゴールU19
⚽️パハン:ズルファーミ・ズルキフリ(73分)
⚽️スランゴール:アミルル・ハジック・アリフ・アリフィン(67分)
🟨パハン(4):アリフ・イルファン、カーフィル・アブドル・マジド、ヘズリ・シャム、アリフ・ナジミ
🟨スランゴール(3):ディッキ・ヒダヤト、モハマド・カイリル・ザイン、ニアムラーサン・アリアス
MOM:アミルル・ハジック・アリフ・アリフィン(スランゴール)

JDT U21がプレジデントカップ優勝

MリーグクラブのU21チームが対戦するプレジデントカップの決勝第2戦が行われ、JDT U21のJDT IIIがスリ・パハンU21を2-0で破り、第1戦との通算成績を4-2としたJDT IIIが優勝を飾ると共に、賞金10万リンギ(およそ300万円)を獲得しています。

ホームアンドアウェイ形式で行われる決勝第1戦をホームで2-2と引き分けていたJDT IIIは、決勝第2戦を2-0とスリ・パハンU21を零封し、通算成績を4-2として、前身のジョホールFAやジョホールFC時代から数えると通算4度目、2013年にJDTとなってからは初の優勝となりました。

ハビエル・ジョルダ・リベラ監督率いるJDT IIIは、シュクル・ファリズ・ジャヌリが44分に先制ゴールを決め、86分にナジムディン・アクマル・カマルが追加点を挙げて、スリ・パハンU21を突き放しています。

ユースカップ、プレジデントカップとU19とU21の両チームが決勝に進出していたスリ・パハンでしたが、いずれもホームでの試合となった最終戦に勝利できず、準優勝に終わっています。

2022年プレジデントカップ決勝第2試合
2022年8月28日(日)@MBTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンU21 0-2 JDT III
⚽️JDT:シュクル・ファリズ・ジャヌリ(44分)、ナジムディン・アクマル・カマル
🟨パハン(3):サイフル・ジャマルディン、アイカル・ダニエル、イマン・シャキル・アズマン
🟨JDT(2):アフマド・アシャル・ハディ、アリフ・アブドル・ムタリブ
🟥パハン(1):イマン・シャキル・アズマン(🟨x2)
MOM:アフマド・イルファン(JDT III)

スランゴールは「ドイツ色」一掃へ-しかし問題はそこなのか?

1905年に創設されたスランゴールは、昨季2021年シーズンには100回大会を迎えた国内で最も人気のカップ戦マレーシアカップでは優勝33回、準優勝18回と2位のペラ(優勝8回、準優勝11回)を引き離す圧倒的な成績を収めています。その一方で2004年に再編成されたMリーグ1部スーパーリーグでは2009年、2010年と連覇して以降は優勝はなく、現在リーグ8連覇中のJDTの後塵を拝しています。

本拠地のあるスランゴール州は国内最大の700万人の人口を抱え、2位のジョホール州の400万人を大きく上回っており、サポーターの数も少なくありませんが、マレーシアカップでも2015年を最後に優勝から遠ざかっており、近年の不振にはそのサポーターの不満も頂点に達しています。さらにリーグでは圧倒的な強さを見せているJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下にチームの現状を揶揄(揶揄)されるだけでなく、チーム運営の不始末についてスランゴールサポーターに同情を寄せられてまでされる始末になっています。

そんな中、スランゴールは2019年末にドイツ出身のミヒャエル・ファイヒテンバイナー氏をテクニカルディレクターに据え、2021年にはJリーグ浦和でフォルカー・フィンケ監督時代にアシスタントコーチを務めていた、やはりドイツ出身のカルステン・ナイチェル氏を監督に起用、さらにアジア枠、東南アジア枠以外の外国籍選手をDFティム・ホイバッハ、MFマヌエル・コンラート(共にドイツ)、そしてドイツ語圏スイス出身のMFオリヴァー・バフに入れ替えるなど「ドイツ色」を強く打ち出しました。

しかし、新型コロナの影響で試合数が11試合に半減された2020年シーズンは優勝したJDTから勝点差12の5位、昨季2021年シーズンは王者JDTとは勝点差21の5位となり、ナイチェル監督はシーズン終了を待たずに退任しています。今季はホイバッハ、コンラート、バフをブラジル人FWのカイオンとユーリなどに入れ替えたものの、監督にはファイヒテンバイナー氏をテクニカル・ディレクターから転身させましたが、現在は試合数が1試合少ない首位JDTとは勝点差24の9位となり、ファイヒテンバイナー氏は成績不振から更迭され、現在はコーチから昇格したニザム・ジャミル監督代行が指揮を取っています。

この状況を受けて、スランゴールのジョハン・カマル・ハミドンCEOは、現状打開、そしてかつての影響を取り戻すためには変化が必要だとして、来季の「ドイツ色」を一掃することを明らかにしていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

「サポーターの不満は理解しており、来季に向けてチームを変えていくつもりだ。ミヒャエル・ファイヒテンバイナー前監督は、既にトップチームに関わっておらず、後任が決定するまでの支援を行なっているに過ぎない。」と述べたジョハンCEOは、今年末で切れるファイヒテンバイナー前監督との契約を延長しないことも示唆しています。

トップチームは現在、ニザム・ジャミル監督代行が全権を与えられて指導していることも説明したジョハンCEOは、後任となる監督については、候補者は既にリストアップされていることも明かす一方で、残るリーグ戦でニザム監督代行の手腕も見極めた上で、その後任を決定したいとも話しています。

*****

本来はセカンドチーム以下の若い選手を育成するためにファイヒテンバイナー氏を雇いながら、突如、トップチームの監督に起用し、結果が出なかったことを理由に1年も経たずに更迭と、ここ数年間、迷走し続けているスランゴールの運営方針を如実に表しています。マレーシアサッカー協会FAMなどが運営する国内エリートアカデミーAMDの卒業生の多くを獲得しながら、その後の十分な育成もせず、また必要な経験を積ませないままトップチームに起用する方針も、チームがチームとして機能していない原因でもあります。

さらには、スランゴールでは十分な出場機会が与えられずに他チームへ移籍したニック・シャリフ(トレンガヌへ期限付き移籍)やショーン・セルヴァラジ(ヌグリスンビラン)らがいずれも移籍先のチームで活躍、それぞれのチームの上位進出に貢献するなど皮肉な事態にもなっており、現在のスランゴールに必要なのは新監督ではなく、ジョハンCEOも含めた運営トップの刷新、さらにはサポーターの阿るのではない長期的な強化方針のように思えます。

今季も優勝して9連覇を達成するであろうJDTの一強時代が今後も続けば、娯楽としてのマレーシアサッカーの魅力が低下してしまいます。資金力という点ではJDTに対抗できるのはMリーグを見回してもスランゴール以外にはいないので、ニックネームでもあるRed Giants「赤い巨人」には再び立ち上がってもらいたいです。

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン第12節結果とハイライト(2)

Mリーグ2部プレミアリーグは、延期されていた第12節の2試合が8月24日と25日に行われています。10チームが争うプレミアリーグは、既に16節まで終了しており、優勝争いはJDT II、クランタン、トレンガヌII、クチンシティの4チームに絞られています。
 Mリーグは来季は1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを統合して1部18チームに再編されることが発表されており、今季プレミアリーグ所属のチームはその順位にかかわらず、来季はスーパーリーグでプレーすることが決まっています。このため残る2節はこの4チームがプレミアリーグ優勝というプライドをかけた戦いとなります

2022年8月24日(火)@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 1-0 スランゴール2
⚽️クチンシティ:ラメシュ・ライ(25分)
🟨クチンシティ(2):ズルアズラン・イブラヒム、アダム・シリーン・テムビ、
🟨スランゴール(1):ザーリル・アズリ・ザブリ
MOM:シャイフル・ワジジ・モハマド(クチンシティ)
 クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2022年8月25日(水)@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
FAM-MSNプロジェクト 0-2 JDT II
⚽️JDT II:レヴィ・マディンダ(4分)、ジュニオール・エルドストール(53分)
🟨FAM(0)
🟨JDT(3):アズリフ・ナスルルハク、ダニアル・ハキム、ナフィズディン・ファウジ
🟥JDT(1):ナフィズディン・ファウジ(🟨x2)
MOM:ジュニオール・エルドストール(JDT II)

2022年シーズン プレミアリーグ順位表(第16節終了時)

チーム得失差勝点
1JDT16113234132136
2KEL16113225111436
3TRE1593427151230
4KCH169342718930
5KLU166642116524
6PDRM166372026-621
7UITM1542101524-914
8SEL163491223-1113
9PRK1651101427-137
10FAM161213931-225
ペラ(PRK)は給料未払い問題の解決が遅れたことにより、勝点9の剥奪処分を受けています。
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

2022年シーズン プレミアリーグ 得点ランキング(第16節終了時)

ゴール数選手名所属
110アブ・カマラKCH
28フェルナンド・ロドリゲスJDT
8ンジョク・ジェイコブKLU
8マルティン・アダメックPDRM
57ジョーダン・ミンターTRE
7ダリル・シャムJDT
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

8月28日のニュース
汚職防止委員会がクアラルンプールFAを強制捜索
給料未払いとなっているサラワクの選手らにMFLが金銭的支援を表明
サラワクでベンチ外が続くボリス・コックがその理由をFBに投稿

汚職防止委員会がクアラルンプールFAを強制捜索

マレーシア語紙のブリタハリアンは、マレーシア政府機関の汚職防止委員会がクアラルンプールサッカー協会KLFAと、KLFAが運営するMリーグ1部スーパーリーグのKLシティの事務所に対して強制捜索を行ったと報じています。

この記事の中では、KLFAの理事らに対する職権濫用と背任の容疑による捜索だということで、KLFAの収支が合致しないことに加えて、アカデミーの建つ土地を企業に貸し出す際に正式な手続きを踏んでいないなど手続きに不透明な点があることを指摘されています。

さらに「今回の件には数百万リンギ(1リンギはおよそ30円)が関わっており、汚職防止委員会による強制捜索の結果、KLFAの不正行為が明らかになれば、マレーシアサッカー界における最大のスキャンダルとも言えるだろう。KLFAの一部理事がこの件について理事会での説明を求めたものの、理事会トップからは納得のいく説明が未だに得られていない。」と説明する関係者の話も紹介しています。

ことの発端はKLFAがスエード不動産社と所有するアカデミーの土地の貸与契約を結び、その見返りに数百万リンギがKLFAに支払われましたが、今季開幕前にKLシティで給料未払い問題が発覚すると、KLFAの理事会トップらが正式な手続きを踏まずにスエード不動産社との契約を破棄し、今度はシンマ不動産社と新たに貸与契約を結び、その見返りに300万リンギが支払われたというものです。

ブリタハリアンの取材に対して、KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長は汚職防止委員会の捜索を受けたことを認め、捜索への全面協力を約束しています。また、KLFAのカリド・アブドル・サマド会長は、汚職防止委員会への告発は悪意を持って行われ、KLFAとKLシティの名を貶める意図を持った悪意のある告発だと述べています。

「KLFAと(KLFAが運営する)KLシティは、その予算が限られる中、昨季は32年ぶりにマレーシアカップに優勝し、今季はAFCカップの東南アジア地区予選を突破した。チームスポンサーのKL市役所からは250万リンギ、その他のスポンサーからの資金を合わせても500万リンギしか得られない中で、KLシティのチーム運営に必要な1200万リンギをどのように捻出したのかが問題にされるべきである。資金捻出に関わっていない人間がこの成功に腹を立て、嫉妬し、妬んだ結果が今回の悪意の告発につながっている。KLFAとKLシティの事務所を訪れた不正防止委員会の職員も、告発を受けたので捜索を行わねばならないこと、そして必要な書類を押収することを我々に説明するなど、メディアが報じているような「構成捜索」といった類のものではない。一部ではKLFAは4000万リンギを受け取りながら1200万リンギしか使っておらず、残りの2800万リンギの使途が不明という報道も出ているが、それ事実無根である。不正防止委員会への告発に関わった者、そしてそれに関する報道が出るように仕向けた者は、KLFAの潜在的なスポンサーを不安にさせて、資金繰りを苦しくさせようという、悪意のある行為である。」とカリド会長は説明しています。

*****

報道だけを見ると分かりにくいですが、実はサッカーと政治が密接に関係しているマレーシア特有の政治的な背景も絡んでいる問題です。KLFAのカリド会長は、前回の2018年の総選挙でマレーシア史上初となる政権交代が実現し、その際の与党連合を構成していた政党に所属している政治家でもあり、クアラルンプールを含めた連邦直轄地担当大臣を務めていました。慣例では連邦直轄地担当大臣がKLFA会長を兼任することから、カリド氏が会長に就任しました。
 しかし、2020年にはこの与党連合が下院議会で過半数以上の支持を得られらなくなったことで、選挙を経ずしての政権交代となり、野党議員となったカリド氏は連邦直轄地担当大臣を失職したものの、慣例に従わずにKLFAの会長には留まりました。そしてカリド会長在職中に、それまでは目立った成績を残していなかったKLシティが32年ぶりにマレーシアカップ優勝、そしてクラブ史上初となるAFCカップ東南アジア地区予選優勝と次々と成功を収めたことで、それを快く思わない政敵からの狙い撃ちをカリド氏が受けた可能性が大いにあります。

給料未払いとなっているサラワクの選手らにMFLが金銭的支援を表明

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、公式サイト上でサラワク・ユナイテッド(以下サラワク)の選手や監督、コーチらに対して10万リンギ(およそ300万円)の一時金を支給することを発表しています。このブログでも既に取り上げていますが、サラワクでは4ヶ月に渡って、給料未払いが発生していることが明らかになっています。

MFLのアブドル・ガニ・ハサン会長は、マレーシアプロサッカー選手会PFAMによる報告に基づき、MFL理事会は直ちにMFLからサラワクへの放映権料分配金から10万リンギの支給削減と、この10万リンギをPFAMを通じて、サラワクの選手や監督、コーチらへ支給することを決定したと説明しています。またこの給料未払い問題を14日以内に解決することをサラワクに求め、これが実現されない場合には、今季のマレーシアカップへの出場権剥奪などの処分が課される可能性があるとも述べています。

サラワクでベンチ外が続くボリス・コックがその理由をFBに投稿

前述のようにサラワク・ユナイテッド(以下サラワク)では給料未払い問題が起こっていますが、サラワクに所属する外国籍選手ボリス・コックが自身のFacebookに窮状を吐露しています。コック選手は7月に入ってからベンチ入りがありませんでした。.

カンボジアリーグ1部のプノンペン・クラウンFCから期限付き移籍中のコック選手によると、チームは過去4ヶ月の間、未払い給料の支払いを選手や監督、コーチらに約束していたものの、その約束は既に何度も破られているものの、選手や監督、コーチらはプロとしてのプライドを持って、試合に全力で望んでいると説明しています。

「チーム全員にとって厳しい状況になっており、家賃や食費はおろか、家族を養うことも難しいが、我々はチームを愛し、サポーターを愛しているため、これまでメディアに窮状を明らかにすることはせず、MFLやPFAMに報告することもしてこなかった。しかし忍耐強く待ってきたにも関わらず、未払い給料を支払うと約束されたには何も起こらなかった。」

またベンチ外が続いている自身の状況については、「自分の場合は状況が少し違っていて、フランスで妻の出産に立ち会うためにクラブから7月に2週間の休暇をもらった。(ボリス・コックは両親がカンボジア出身で、フランス生まれのカンボジア人)フランス滞在中に、3ヶ月間の給料未払いを理由にFIFAの規定に則って、期限付き移籍の契約を解除してカンボジアに戻ることも考えた。しかし、チームからは残留を要請されたため、契約解除は見送った。さらにチームからは航空券を用意するので、直ちに戻ってチームに合流するようにも依頼されたが、結局は航空券は用意されず、チームの経済状況が改善するまで今後もフランスに残って良いと言われたのが真相である。」と、7月に入ってから6試合連続でベンチ外となっている理由を説明しています。

8月26日のニュース
地元紙が加賀山泰毅選手を特集
タン前代表監督が来季から現場復帰か
サラワクで4ヶ月の給料未払い問題が発覚も、チームマネージャーは即時支払いを約束

ACLでは浦和が全北現代との死闘を制して東地区の王者となりました。浦和に敗れたJDTにとっては、このまま浦和が今季のACL王者となってくれれば、負けた甲斐もあろうかというところでしょう。西地区王者との決勝は来年2月とまだ先の話で、その際に浦和がどのようなメンバーになっているかはわかりませんが、日本だけでなく東南アジアの希望も背負って決勝を闘ってもらいたいです。

地元紙が加賀山泰毅選手を特集

英字紙ではマレーシアで最大発行部数を誇るザ・スターが、今季からMリーグ1部スーパーリーグのサバでプレーしている加賀山泰毅選手を特集しています。

T・アヴィネシワラン記者の署名入り記事では、右、左のどちらでもウィングとしてプレーできるだけでなく、攻撃的MFやストライカーとしてもプレーする加賀山選手の「多才さ」が、今季ここまでリーグ2位のサバの好調さに大きな影響を及ぼしているとしています。

チームの勝利に貢献するのであれば、試合ごとに異なるポジションでプレーすることを厭わないと話す加賀山選手は、「アタッキングサードではどのような役割を任せられてもやる気でいるので、オン(・キムスイ)監督がどこで使ってくれても、何かしらの貢献はできると思っている。」と記事の中で答えている加賀山選手は、「様々なポジションでプレーすることによって、より完璧な選手となることに近づけていると思う。」とも話しています。

加賀山選手は、ここまでサバの全試合(16試合)に出場し、ゴール数は2と少ないものの、数多くのアシストでチームの勝利に貢献しています。流れるようなドリブルや正確なパスの供給、そして計算されたポジショニングなどにより、加賀山選手をサバにとって欠かすことができない選手にしています。

チームの好調を維持するためにも、さらにゴールを挙げ、アシスト数も増やしたいと話す加賀山選手は、「チームが現在2位ではあるものの、まだ今季は何も成し遂げていない。順位について考えるのはあくまでもリーグ戦終了後であり、今は目の前の試合に集中しなければならない。」とも述べています。

また、最後にサバの好調の原因を問われると、チームワークと規律が保たれていることを挙げ、「我々は選手全員がハードワークし、全員がチームのために一生懸命になっている。」と説明しています。

タン前代表監督が来季から現場復帰か

英字紙ニューストレイトタイムズは、昨年12月の東南アジアサッカー連盟選手権AFFスズキカップを最後に代表監督を辞任したタン・チェンホー氏が来季2023年シーズンにはMリーグクラブの監督に就任する可能性が高いと報じています。

今季低迷し、今月8月にはミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督を更迭したものの、現在もリーグ戦4連敗中の1部スーパーリーグのスランゴールや、クラブ創設100周年という記念すべき年に2部プレミアリーグに降格し、その2部でも10チーム中9位と苦しむペラなどがその候補となるだろうと、この記事では紹介しています。

実際にソーシャルメディア上では、かつてはMリーグを席巻したスランゴールの復権をタン氏に期待する声がある他、タン氏がペラのボビー・ファリド・シャムスディンCEOと話し合いをしている場面を写した写真がSNSに上がるなど、実際に火のないところには煙は立たない、といった状況でもあります。

タン氏は「現場復帰について急ぐつもりはない」というコメントをこれまでも繰り返しており、ニューストレイトタイムズが最近、インタビューを行った際には、Mリーグでの監督復帰については「良い話があれば」と述べるに止まっています、その一方で、来季からスーパーリーグのチーム数が現行の12チームから18チームとなることにより、現場復帰の意欲をそそるような機会が得られる可能性にも言及しています。

「サッカーを愛する気持ちは変わっておらず、現場から長期間離れるつもりもない。来季(のリーグ再編)によりMリーグは面白くなると思うので、どのように面白くなるかに注目している。(今後、監督に就任する)クラブは未だ決めておらず、現在チームを指揮する監督にも配慮し、シーズン途中に監督に就任するつもりはない。複数のチームと接触していることは事実だが、何も決まっていることはない。」と述べたタン氏のMリーグは実績は錚々たるものです

2014年から2017年まで監督を務めたクダでは、2015年に2部から1部にチームを昇格させ、同じ年にはスランゴールに決勝で敗れたものの、マレーシアカップの決勝にチームを導いています。翌2016年にはマレーシアカップを優勝を果たすとともに、1部でもチームを3位に躍進させていますが、同時にイフワット・アクマル、アリフ・ファルハン、ファルハン・ロスラン(いずれもクダ)、シャフィク・アフマドやアキヤ・ラシド(いずれも現JDT)やハリム・サアリ(同スランゴール)ら現在もトップチームでプレする選手たちを育てた実績もあります。

「若い選手の育成、そして観客を楽しませるサッカーをするチームを築くことが現在の自分の希望なので、長期間にわたって関われるチームと仕事をすることを望んでいる。そのためには、健全に経営されていることがチームを選ぶ重要な要因になる。」とも話すタン氏の現場復帰はさほど遠い未来ではなさそうです。

サラワクで4ヶ月の給料未払い問題が発覚も、チームマネージャーは即時支払いを約束

新たな給料未払い問題が発覚しています。マレーシア語紙のブリタ・ハリアンは1部スーパーリーグのサラワク・ユナイテッド(以下サラワク)では、選手の給料が4ヶ月にわたって支払われていないと報じています。またマレーシアプロサッカー選手会PFAMも、サラワクの選手からも報告を受けていると、この事実を認めています。

PFAMは6月14日と7月8日の2度にわたってチームに対して、未払い給料問題の解決を求める書簡を送っているということですが、この記事が出た8月24日の時点では、未払い給料が完済されたという報告を選手からは受け取っていないという声明を出しています。さらにPFAMは6月にはチームの家賃滞納により、サラワクの選手たちが宿舎からの退去通知を受け取っていることも明らかにしています。

サラワクで給料未払い問題が明らかになったのは今回が初めてではなく、昨季も同様の問題が起こっています。その際にマレーシアサッカー協会FAMの役員であるポサ・マジャイス サラワク会長が「未払いではなく単なる遅配である」と嘯いた「前科」があるなど、そもそも運営に問題がある人材がトップを務めるチームです。

そして昨季同様、メディアで報道されると慌てて対応する状況も変わっておらず、この記事が出たその翌日には、ポサ会長は全ての未払い給料は来週中に完済される予定であるとメディアに話しています。

8月25日のニュース
AFCカップ東南アジア地区決勝-KLシティが南部健造選手所属のPSMマカッサルとの再戦を制す

昨日8月24日にAFCカップ東南アジア地区決勝が行われ、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティがインドネシアのPSMマカッサルを5-2で破り、地区間プレイオフ準決勝進出を決めています。

AFCカップ東南アジア地区グループステージでは同組となり、その際は双方とも様子を探りながらの対戦で0-0で終わっていた両チームですが、この試合で慎重な入りを見せます。それでも10分にはマカッサルがコーナーキックで久しぶりの実戦となるKLのGKアズリ・アブドル・ガニを試せば、KLもその数分後にはザフリ・ヤハヤが絶好の機会を作りシュートを放つなど、試合は徐々に熱を帯びてきます。

マカッサルは、先日のこのブログでも取り上げたヤコブ・サユリ、リズキ・エカ・プラタマの両ウィングが攻め上がる機会が何度かあったものの、フォワードのエヴェルトンにボールが渡らず、なかなかゴールには至りません。マカッサルが攻めあぐねている間に、KLはペースを上げ、20分にはライアン・ランバートからの縦パスを受け、右サイドをオーバーラップしたイルファン・ザカリアがゴール前のロメル・モラレスにクロス。モラレスはこれをノートラップでシュートするもマカッサルDFのダレン・ドウクがゴール前でブロックし得点には至りません。続くコーナーキックではパウロ・ジョズエがモラレスのキックに頭で合わせますが、ゴールポストのわずか上に外れてしまいます。

しかし32分にKLが先制します。ゴール前の混戦からジョズエのヘディングをザフリ・ヤハヤがやはり頭で折り返し、これをモラレスが今度はしっかりとゴールし、KLが1-0とリードします。

早く追いつきたいマカッサルは43分には、グループステージでは出場がなかった南部健造選手がペナルティエリアの外からシュートを放ちますが、枠を外れてしまいます。そしてその3分後の45+2分にはマカッサルゴール前からジョズエ、モラレスと繋ぐカウンターで、モラレスのパスをフリーのジョーダン・ミンターがシュート。これが決まって前半は2-0とKLがリードして終了します。

後半に入ると、50分にはザフリがマカッサルのペナルティエリア内でリズキ・プラタマに倒され、荒木友輔主審はKLにPKが与え、これをキャプテンのジョズエが決め、KLはリードを3点に広げてマカッサルを突き放します。リードが広がったことでスタンドのKLサポーターに楽観ムードが漂い始めますが、しかし、ここからマカッサルの怒涛の反撃が始まります。

58分にはこの試合で縦横無尽の運動量を見せたマカッサルのサユリが、KLディフェンダーをかわしてペナルティエリアの外から左足を一閃。KLのGKアズリが反応できなかったこのシュートが決まって、マカッサルは2点差とすると、その4分後にはラシド・バクリのコーナーキックに頭で合わせたDFのアクバル・タンジュンがゴールを決めて、マカッサルはKL に1点差まで迫ると共に、試合の流れもマカッサルに傾きかけたように見えました。

しかしその一気呵成となったマカッサルを止めたのがKLのキャプテンでした。84分にマカッサルDFのパスをカットしたミンターがゴール前に持ち込みシュートを放つも、マカッサルGKレザ・アルヤ・プラタマがパンチングで逃れますが、そこに詰めていたジョズエがそのこぼれ球を押し込み、この試合2点目となるゴールを決め、KLは再びリードを2点に広げます。90+2分にはジョズエからのパスに飛び出したミンターを止めようとしたGKレザ・プラタマがミンターを倒してしまいます。これで得たPKを途中出場のハディン・アズマンが決めたKLが、最後は5-2で勝利し、AFC東南アジア地区決勝を制するとともに、地区間プレイオフ準決勝進出を決めています。

2022年8月24日(水)@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティ(マレーシア)5-2 PSMマカッサル(インドネシア)
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(33分)、ジョーダン・ミンター(45+2分)、パウロ・ジョズエ2(52分PK、84分)、ハディン・アズマン(90+4分PK)
⚽️PSMマカッサル:ヤコブ・サユリ(58分)、アクバル・タンジュン(63分)
🟨KLシティ(1):イルファン・ザカリア
🟨PSMマカッサル(2):ヤコブ・サユリ、リズキ・エカ・プラタマ
 マカッサルの南部健造選手は先発し、80分に交代しています。

以下は両チームの先発XIと試合のハイライト映像。ハイライト映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルより)

地区間プレイオフでは・南アジア地区の勝者ATKモフン・バガンFC(インド)と9月7日に対戦予定ですが、国際サッカー連盟FIFAは8月16日、全インドサッカー連盟AIFFに即時の資格停止処分を科したことを発表しています。FIFAは、AIFFが第三者から不当な影響を受けており、FIFA規約の重大な違反にあたるとして、全会一致で即時の資格停止処分を科すことを決定したとしています。

インドの最高裁はAIFFに解散を命じ、インド国内サッカーは現在、最高裁が指名した3名の委員による管理者委員会が設置されていますが、この委員会によってに管理運営されてきたことが、FIFAのいう「第三者からの不当な影響」によると思われます。しかいFIFAの処分を受けて、インドの最高裁は国内サッカー管理運営権をAIFFに戻すことを8月22日に発表しており、FIFAによる停止処分解除は時間の問題と言えそうです。

8月24日のニュース
KLシティが出場するAFCカップ東南アジア地区は今日が決勝
東南アジア選手権の組み合わせ抽選前のポット分け発表-マレーシアはインドネシアと同じポット2に

AFCチャンピオンズリーグACLでは、マレーシアのJDTを5-0と一蹴した浦和レッズが、タイのBGパトム・ユナイテッドをやはり4-0と圧倒、改めて東南アジアのチームと東アジアのチームの差を見せつけられることになりました。グループステージでは、シンガポール王者のライオンシティーセイラーズにも圧勝している浦和には、ここまできたら是非、明日8月25日には全北現代を破って東地区を制し、さらに中東のチームも撃破してACLチャンピオンになってもらい、「チャンピオンチームに負けたのなら…。」と、東南アジアクラブの溜飲が下がるようにしてもらいたいです。

KLシティが出場するAFCカップ東南アジア地区は今日が決勝

ACLがアジアのクラブの頂点を決める大会なら、その一つ下のクラブ選手権がAFCカップです。ちょうどUEFAチャンピオンズリーグとUEFAヨーロッパリーグのような関係と言えばわかりやすいでしょうか。

今季2022年大会東南アジア地区予選には、マレーシアからは昨季Mリーグ1部スーパーリーグ2位のクダとマレーシアカップ優勝のKLシティの2チームが出場し、いずれもグループステージを突破したものの、準決勝では両チームの明暗が分かれ、クダはインドネシアのPSMマカッサルに敗れた一方で、KLシティはベトナムのベトテルFCにPK戦で勝利し、決勝に駒を進めています。

決勝で対戦するKLシティとPSMマカッサルはグループステージでは同組で既に1度対戦しており、その際は0-0の引き分けに終わっていますが、東南アジア地区代表を決める2度目の対戦を控えて、アジアサッカー連盟AFCの公式サイトでは、この試合で鍵となる選手を両チームから3名選んで紹介しており、以下はその拙訳です。

FWパウロ・ジョズエ(KLシティ)
 AFCカップ初出場のKLシティでキャプテンを務めるパウロ・ジョズエは、グループステージから準決勝まで、前線でチームを鼓舞し続けてきた。2017年からKLシティでプレーする33歳のジョズエは、チームの2部降格、1部昇格、そして昨季のマレーシアカップ優勝など近年のチームの浮き沈みを経験してきた選手でもある。
 ジョズエはAFCカップ東南アジア地区グループステージでも、PSMマカッサル戦では最も活発に動いた選手であり、グループステージのタンピネス・ローヴァーズ(シンガポール)との試合では2ゴールを挙げて、チームを準決勝へと導き、さらに準決勝のベトテルFC(ベトナム)戦でもPK戦でゴールを決めており、同様の活躍が決勝でも期待されている。

MFリズキ・エカ・プラタマ(PSMマカッサル)
 22歳のリズキ・エカ・プラタマは、そのドリブル技術と爆発的な走力を発揮し、今回のAFCカップで頭角を表した選手の1人である。グループステージのKLシティ戦はベンチスタートだったものの、タンピネス戦では先発する機会を得ると、同点ゴールを決め、さらに逆転ゴールをアシストする活躍を見せた。
 準決勝のクダ(マレーシア)戦では84本のパスを出し、、ヤコブ・サユリの得点をアシストするなど、プラタマは自身がPSMマカッサルにとって描くことができない選手であることをこのAFCカップで証明し、その結果、ベルナルド・タヴァレス監督の信頼を得て、国内リーグの開幕戦では先発メンバーに起用された。さらにこの活躍が続けば、代表入りも近いと目されている。

FWジョーダン・ミンター(KLシティ)
 今季途中にKLシティに勧誘したミンターは、同じMリーグのトレンガヌから期限付き移籍で加入した選手で、AFCカップにはスタリオンFC(フィリピン)で2014年に。カヤFCイロイロで2019年に出場経験があるミンターは、2020年にフィリピンリーグ得点王となり、その名が広く知られるようになった。
 マレーシアリーグに移籍した昨季は、2部リーグで15試合出場で16ゴールを挙げ得点王になりながら、トップチームでの出場機会に恵まれず、今季途中にKLシティに期限付き移籍すると、ベトテルFC戦の勝利に貢献した。決勝で対戦するPSMマカッサルとは2019年のカヤFC-イロイロ時代に対戦し、1分1敗だったことから、明日の決勝ではより良い結果を出したいと考えている。

FWエヴェルトン(PSMマカッサル)
 バーレーンのアル・ヒッドSCCから今季加入したエヴェルトンは、これでキャプテンのウィルジャン・プラム頼りきりだったチームの攻撃力を、プラムとのコンビで向上させている。グループステージのタンピネス戦では、この試合で2得点目となる決勝のPKを決めている。
 準決勝のクダ戦ではゴールを決められなかったものの、29歳のストライカーは、決勝で寺院大会3得点目となるゴールを決めたいと思っている。

DFジャンカルロ・ガリオフッコ(KLシティ)
 英国1部のトットナム・ホットスパーやスワンジーシティのアカデミーでの経験を持つ、オーストラリア出身のDFジャンカルロ・ガリオフッコは、メルボルン・ヴィクトリーからKLシティに移籍すると、そのままトップチームに定着した。KLシティではセンターバックを務め、長い歴史を持つマレーシアカップではJDTを破るなど、成功を収めている。
 28歳のガリオフッコは、AFCカップではここまでの3試合でわずか1失点のKLシティ守備陣の1人として、2度目となるPSMマカッサルとの対戦では、初戦同様、相手の攻撃を封じることが期待されている。

MFヤコブ・サユリ(PSMマカッサル)
 前述のガリオフッコとKLシティのチームメートが抑える必要があるのが、24歳のウィング、ヤコブ・サユリだ。AFCカップ準決勝のクダ戦で先制点を決めるなどAFCカップ開幕以来、その評価がさらに高まっているサユリはパプア州出身で、2019年シーズンにバリオ・プテラでの活躍に注目が集まり、2020年にはPSMマカッサルに移籍。新型コロナの影響で途中中止になったものの同年のAFCカップではタンピネス、シャン・ユナイテッド(ミャンマー)、カヤFCと同組だったPSMマカッサルの全試合に出場し、シャン・ユナイテッド戦ではゴールも挙げている。
 今季のAFCカップでは、準決勝のクダ戦ではウイングでプレーし、マンオブザマッチMOMに選ばれるなど活躍しており、前述したやはりウイングでプレーするプラタマとともにKLシティにとっての脅威となるだろう。

AFCカップ東南アジア地区決勝 KLシティ対PSMマカッサルは本日8月24日(水)午後9時(日本時間午後10時)キックオフで卯s。

東南アジア選手権の組み合わせ抽選前のポット分け発表-マレーシアはインドネシアと同じポット2に

東南アジアサッカー連盟AFFは、第14回東南アジア選手権のグループステージ組み合わせ抽選に先立ち、各チームのポット分けを発表しています。各ポットに割り振られたチームは、グループステージでは対戦することはありません。

第14回大会から冠スポンサーが代わり、「AFF三菱電機カップ(英語名AFF Mitsubishi Electric Cup)」となる東南アジア選手権は、今月8月30日にタイのバンコクでグループステージ組み合わせ抽選が行われますが、これに先立つポット分けは以下のようになっています。

ポット1:ベトナム・タイ
ポット2:マレーシア・インドネシア
ポット3:フィリピン・シンガポール
ポット4:ミャンマー・カンボジア
ポット5:ラオス・東ティモールまたはブルネイ(プレイオフの結果による)

最新のFIFAランキングでは、フィリピン(134位)はマレーシア(147位)よりも上で、サッカー専門サイトのヴォケットFCによると、ミャンマー(158位)はシンガポール(159位)よりも上ですが、報道によると東南アジアサッカー連盟AFFは、2018年と2020年の東南アジア選手権過去2大会の成績を考慮して、ポット分けを行ったとされています。

8月23日のニュース
U21大会のプレジデントカップとU19大会のユースカップは決勝戦開催

マレーシアサッカー協会FAMが主催する年代別大会には、U21チームが出場するプレジデントカップとU19チームが出場するユースカップがあります。過去2年間は新型コロナの影響により開催されなかった両大会は、今年3年ぶりに開催されています。

プレジデントカップには、Mリーグ1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグの18クラブとMリーグ3部のM3リーグに所属するプルリス・ユナイテッド(プルリス州)、そしてFAMが運営するエリートサッカーアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDのU17の合計20チームが出場し、一方のユースカップには、Mリーグクラブ19チームにAMDのU16の合計20チームが出場しています。
*ただし、給料未払い問題で新規選手獲得禁止処分を受けたペラは、Mリーグ2部プレミアリーグの試合に出場する選手をU21とU19チームから昇格させて登録したため、プレジデントカップとユースカップに出場する選手が不足し、今季の両大会への出場を辞退しています。またクランタンも選手不足を理由にユースカップ出場を辞退しています。この結果、プレジデントカップは19チーム、ユースカップは18チームで最終的に開催されています。)

両大会とも、出場チームが3つのグループに分かれてリーグ戦を行い、各グループの上位2チームと3位チームの内、成績上位の2チームがノックアウトステージとなる準決勝に進出、その後、準決勝、決勝と進む形式です。2月下旬に開幕した今季2022年大会は、ホームアンドアウェイ形式で開催される決勝戦の初戦が、プレジデントカップは8月21日に、ユースカップは8月19日にそれぞれ行われています。

プレジデントカップ決勝第1戦-JDT U21は終盤のゴールでパハンU21と初戦引き分け

今季のプレジデントカップのグループステージの最終順位は以下の通りです。(左からA組、B組、C組)


この結果、以下のように準々決勝、準決勝と進み、ジョホール・ダルル・タジムJDTのU21チーム、JDT IIIとスリ・パハンのU21チームが決勝に駒を進めています。Mリーグ1部スーパーリーグでは8連覇中のJDTですが、1985年から開催されているプレジデントカップでの優勝は2009年の1回のみ、一方のスリ・パハンは2002年、2014年に続き3度目の決勝進出で、悲願の初優勝を目指します。

2022年プレジデントカップ決勝第1試合
2022年8月21日(日)@MBPGスタジアム(ジョホール州パシル・グダン)
JDT III 2-2 スリ・パハンU21
⚽️JDT III:シュクル・ファリズ・ジャヌリ(14分)、イスマ・ハムカ(89分)
⚽️スリ・パハンU21:ルクマン・ハキム・スケミ(20分)、ハスヌル・ザフリ(24分)

決勝第2戦は8月28日(日)にMPTスタジアム(パハン州てメルロー)で開催されますが、決勝ではアウェイゴールが適用されるため、第1戦を終えて、スリ・パハンがやや有利と言えそうです。

ユースカップ決勝第1戦-スランゴールがパハンを破る

今季のユースカップのグループステージの最終順位は以下の通りです。(左からA組、B組、C組)


この結果、以下のように準々決勝、準決勝と進み、スランゴールとスリ・パハンのU19チームが決勝に駒を進めています。2008年から開催されているユースカップでは、スランゴールは合併吸収したPKNSの成績も含めると過去5回決勝に進出して3回優勝、一方のスリ・パハンは初の決勝進出です。

2022年ユースカップ決勝第1試合
2022年8月19日(金)@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
スランゴールU19 1-0 スリ・パハンU 19
⚽️スランゴール:ダニシュ・ハイゾン(53分)

決勝第2戦は8月26日(金)にMPTスタジアム(パハン州テメルロー)で開催されます。

Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第1節および第9節結果とハイライト(2)

8月21日(日)に、順延されていたスーパーリーグの2試合が行われました。当初の予定では3月5日に開催されるはずだった第1節スリ・パハン対トレンガヌは、開幕してすぐ新型コロナ感染者が出たことによって延期されていました。また、第6節のスランゴール対PJシティは、当初は5月18日に予定されていましたが、5月にベトナムで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場するマレーシアU23代表にスランゴールから多くの選手が招集されたことから延期されていました。

2022年8月21日(日)@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 1-1 トレンガヌ
⚽️パハン:マヌエル・イダルゴ(47分)
⚽️トレンガヌ:ハビブ・ハルーン(73分)、ペトラス・シテムビ(87分)
🟨パハン(3):アシャル・アル=アフィズ、スティーヴン・ロドリゲス、アズワン・アリピン
🟨トレンガヌ(1):パペ・ディアキテ
MOM:ママドゥ・サマサ(スリ・パハン)
 マレー半島東海岸に面するパハン州とトレンガヌ州をそれぞれ本拠地とする両チームの対戦は「東海岸ダービー」と呼ばれ、この試合も1万を超える観衆を集めて行われました。
 試合開始から優勢に進めたトレンガヌは、9分にはチェチェ・キプレ、14分にはニック・シャリフがいずれも1対1になりながら、この試合のマンオブザマッチMOMにも選ばれたパハンGKママドゥ・サマサがいずれも好セーブで防ぎ、得点に至りませんでした。一方のパハンも18分にムスリム・アフマドが絶対的な好機にシュートを外すなど、両チームとも得点できないまま、前半は0-0で終了します。
 後半に入るとパハンが先制します。47分には左サイドを上がったアズワン・アリピンからのクロスをゴール前でスティーヴン・ロドリゲスがスルー、右サイドでフリーとなっていたマヌエル・イダルゴがこのボールを受け、落ち着いてゴールを決め、パハンが1-0とリードします。
 しかし73分にはパペ・ディアキテの右コーナーキックにハビブ・ハルーンが頭で合わせ、トレンガヌが同点に追いつきます。さらに87分にはアリフ・アンワルとのワンツーで抜け出したペトラス・シテムビが放ったシュートが、これをブロックしようとしたパハンDFショーン・ジャネッリに当たり、角度が変わりゴールインし、トレンガヌが逆転し、このまま逃げ切り3連勝を果たしています。
 一方、シンガポールのレジェンド、ファンディ・アフマッド氏がテクニカル・ディレクターに就任以来、無敗だったパハンですが、その無敗記録は5で止まっています。

2022年8月21日(日)@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 0-0 PJシティ
⚽️PJシティ:ダレン・ロック(59分)
🟨スランゴール(1):ムカイリ・アジマル
🟨PJシティ(2):ザイナル・アビディン・ジャミル、ダレン・ロック
MOM:ラフィ・ナゴールガニ(PJシティ)
 スランゴールが1994年以来使用してきたシャー・アラムスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)は老朽化し、その安全に問題があるとしてMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLから使用を禁じられています。そのため、改修が終わるまでという条件で、スランゴールはPJシティのホームであるMBPJスタジアムに同居しています。MBPJスタジアムを本拠地とする両チームの「スランゴールダービー」は、本来のホーム、PJシティが代表FWダレン・ロックのゴールで挙げた1点を守り切り、今季3勝目を挙げています。
 スランゴールはここまでリーグ3連敗、FAカップ準決勝ではトレンガヌに敗れるなど、サポーターの不満は頂点に達しており、この試合では一部サポーターが黒い衣服を身につけて入場するなど、クラブに抗議の意思を表しています。これに対してチームも、ミヒャエル・ファイヒテンバイナー前監督を事実上更迭し、ニザム・ジャミル コーチを監督代行に据えるなどの対応を行なっているものの、外国籍選手が1人もいないPJシティを相手に、4月6日以来11試合ぶりの勝利をもたらす一方で、ニザム監督のもとで2連敗、チームは今季初の4連敗を喫しています。
 キム・パンゴン監督も観戦に訪れたこの試合自体はスランゴールが終始、優勢に試合を進めたものの、シュートは枠に決まらず、ラストパスが通らないなどの連敗からくるプレッシャーが感じられました。この敗戦後、チームだけでなくパトロンを務めるスランゴール州皇太子のアミール・シャー殿下までがサポーターに向けて声明を発表するなど 、「赤い巨人」のニックネームを持つスランゴールの凋落は止まりそうにありません。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第17節終了時)

チーム勝点
1JDT1412203973238
2SAB16112326141435
3NSE1795324141032
4TRE168262016426
5SRP176382727021
6KLC156362925-521
7KDA145361925-617
8MEL144552019117
9SEL154462626016
11PJC173771627-1116
11SWU1742111537-2214
12PEN1614111934-257
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第17節終了時)

ゴール数選手名所属
117ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
212フェルナンド・フォレスティエリJDT
311カイオンSEL
49ロナルド・ンガKDA
57ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン第16節結果とハイライト

8月19日から21日にかけてプレミアリーグ第16節の5試合が行われました。
(試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2022年8月19日(金)@スルタン・モハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ユナイテッド 4-0 スランゴール2
⚽️クランタン:ジュリアス・オフォーリ(14分、18分)、ンジョク・ジェイコブ(80分)、アスラフ・アリフディン・ヤシン(89分)
🟨クランタン(1):ハジク・スブリ
🟨スランゴール(2):ダニエル・エズアン、アリフ・イズワン・ユスリン
MOM:ジュリアス・オフォーリ(クランタン・ユナイテッド)
 クランタン・ユナイテッドの深井脩平、この試合でもキャプテンを務めた本山雅志の両選手はいずれも先発し、深井選手はフル出場・本山選手は90+2分に交代しています。

2022年8月20日(土)@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 2-1 UITM
⚽️クチンシティ:アブ・カマラ2(49分、74分)
⚽️UITM:アミル・アドハ・ラティフ(78分)
🟨クチンシティ(3):ラフィザン・ラザリ、アダム・シリーン・タムビ、チェ・モハマド・アリフ・チェ・カマルディン
🟨UITM(3):ファレズ・アイマン、イザク・イズハン、アミル・アドハ・ラティフ
MOM:アブ・カマラ(クチンシティ)
 クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2022年8月21日(日)@スルタン・モハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン 2-2 トレンガヌII
⚽️クランタン:ヌルシャミル・アブドル・ガニ(分)、ズルファーミ・アブドル・ハディ(分)
⚽️トレンガヌ:ワン・ファズリ・ワン・ガザリ2(分、分)
🟨クランタン(2):マティアス・マンソル、オスマン・ユソフ
🟨トレンガヌ(3):ルーク・ウッドランド、アキル・イルファウディン、シャフィク・イスマイル
MOM:ワン・ファズリ・ワン・ガザリ(トレンガヌII)
 前節はベンチ外だったクランタンの原健太選手は後半から出場し、試合終了までプレーしています。

2022年8月21日(日)@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
PDRM 0-3 JDT II
⚽️JDT:フェロズ・バハルディン(9分)、ダリル・シャム2(10分、37分)
🟨PDRM(3):サフィ・アフマド、ファディ・アワド、アミル・サイフル・バデリ
🟨JDT(3):フェロズ・バハルディン、ダリル・シャム、イルハム・タルミジ
MOM:フェロズ・バハルディン(JDT II)

2022年8月21日(日)@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 1-3 FAM-MSNプロジェクト
⚽️ペラ:スティッペ・プラジバット (6分)
⚽️FAM:アミルル・アクマル・サファリニザム(42分)、イザット・ジクリ・イジルディン(56分)、ファリス・イズディハム(60分)
🟨ペラ(4):カイルル・アシュラフ、カイルル・シャフィク、デニシュ・ハジク、フェリス・ダニアル
🟨FAM(1):ハフィズ・アイディル
MOM:ファリス・イズディハム(FAM-MSNプロジェクト)

2022年シーズン プレミアリーグ順位表(第16節終了時)

チーム得失差勝点
1KEL16113225111436
2JDT15103232131933
3TRE1593427151230
4KCH158342618827
5KLU166642116524
6PDRM166372026-621
7UITM1542101524-914
8SEL153481222-1013
9PRK1651101427-137
10FAM151212929-205
ペラ(PRK)は給料未払い問題の解決が遅れたことにより、勝点9の剥奪処分を受けています。
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

2022年シーズン プレミアリーグ 得点ランキング(第16節終了時)

ゴール数選手名所属
110アブ・カマラKCH
28フェルナンド・ロドリゲスJDT
8ンジョク・ジェイコブKLU
8マルティン・アダメックPDRM
57ジョーダン・ミンターTRE
7ダリル・シャムJDT
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII