10月1日のニュース
スランゴールはデニス・ベッキング氏の新TD就任を発表
プレミアリーグ最下位のFAM-MSNプロジェクトは来季はリザーブリーグ参戦へ
スランゴールの本拠地シャー・アラムスタジアムの解体が決定

スランゴールはデニス・ベッキング氏の新TD就任を発表

数日前に前マレーシア代表監督のタン・チェンホー氏が監督に就任したMリーグ1部スーパーリーグのスランゴールは、クラブの公式サイトで、デニス・ベッキング氏のテクニカル・ディレクターTD就任を発表しています。

現役時代はオランダ1部のゴー・アヘッド・イーグルスなどで過ごしたベッキング氏は、オランダサッカー協会KNVBのアカデミーでコーチ指導者などを歴任した後、オランダ2部のPECズヴォレや同1部のFCトゥウェンテでユースコーチやアカデミー責任者を務めました。その後はゴー・アヘッド・イーグルスのスポーティング・ダイレクターを経て、2019年からははマレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府青年スポーツ省参加の国家スポーツ評議会MSNが共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDPの中核となるエリートアカデミー、モクタル・ダハリアカデミーAMDの責任者を務めていました。

ベッキング氏についてはスランゴールのジョハン・カマル・ハミディンCEOは、「オランダでの幅広い経験を持ち、さらにAMD責任者としてマレーシアのサッカーを理解しているベッキング氏は、選手の才能を開花させてくれるだけでなく、コーチの育成という点でもスランゴールFCにとって大きな力となってくれるだろう。」と話し、べっキング氏自身は「過去数年間に渡り(AMDから)才能豊かな選手を獲得しているスランゴールに必要なのは、ユースからトップチームへの道のりで彼らを正しく育成していくことである。その育成に関わる機会を与えられたことを感謝するとともに、選手はもちろん、コーチとも協力しながら、プロサッカー選手となるための育成を行なっていきたい。」と話しています。

ベッキング氏は来年1月1日から仕事を始めるベッキング氏は、スランゴールのU23、U20、U18とスランゴール州のスポーツ専門学校のサッカーチームを対象に、技術指導を行うと発表されています。ということです。

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Mリーグ2部ペラの監督就任が発表されたリム・ティオンキム氏はかつてAMDの責任者でしたが、2019年10月31日にリム氏の契約が解除されたことで空席となったAMD責任者の後任となったのがこのベッキング氏です。スランゴールはこのAMDの卒業生を過去2年間で大量に獲得しており、チーム内にはベッキング氏が知る選手も多いはず。タン・チェンホー監督とこのベッキング氏のTD就任で、スランゴールはかつての栄光、そして近年はJDTに奪われたリーグ名主の座を取り戻せるのでしょうか。

プレミアリーグ最下位のFAM-MSNプロジェクトは来季はリザーブリーグ参戦へ

英字紙ニューストレイトタイムズは、今季Mリーグ2部プレミアリーグに参戦したFAM-MSNプロジェクトが、来季は新設されるMリーグクラブのセカンドチームが参加するリザーブリーグに参戦すると報じています。FAM-MSNプロジェクトは今季、2勝2分14敗、得点10失点33、18試合で勝点8を挙げたのみで10チーム中最下位でした。

マレーシアサッカー協会FAMと共同でチームを運営する、マレーシア政府の青年スポーツ省傘下にある国家スポーツ評議会MSNのアフマド・シャパウィ・イスマイル議長は、このチームの選手はFAMとMSNが共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFPDの中核となるエリートアカデミー、モクタル・ダハリアカデミーAMDの選手であり、彼らには自分たちの価値を示す機会をもう一度与えることは重要であると述べています。

「FAM-MSNプロジェクトのパフォーマンス自体は重要ではなく、そこでプレーする選手たちが今後、Mリーグのクラブと契約できるよう、その才能を開発することが重要である。」と話したシャパウィ議長は、再来年以降については、MSNとFAMの間で話し合いを持ち、必要があればプログラム内容の見直しなども行いたいとも話しています。

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今年7月に、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、来季から採用される大幅なリーグ改変案を発表しています。その中核となるのは、1部スーパーリーグ12チームと2部プレミアリーグ6チームによる新たなスーパーリーグの発足とプレミアリーグの一時的な廃止ですが、さらに新スーパーリーグに参加する18チームのU23チームが参加するリザーブリーグの新設も発表しています。これにより、今季プレミアリーグに参加していたJDT II、トレンガヌII、スランゴール2といったスーパーリーグに参加するチームのセカンドチームは、新設されるリザーブリーグに参加します。そして今回の発表により、FAM-MSNプロジェクトは19番目のチームとして、リザーブリーグに参加することになったようです。

スランゴールの本拠地シャー・アラムスタジアムの解体が決定

英字紙ニューストレイトタイムズは、Mリーグ1部スランゴールの本拠地として使用されてきたシャー・アラムスタジアムの解体が決定したと報じています。

政府関連企業のMRCB社とスランゴール州関連会社のMBI社が揃って発表したところによると、シャー・アラムスタジアムと屋内スタジアムであるムラワティ・スタジアムの両施設は、施設の老朽化に加えて周辺の交通渋滞や駐車施設不足などを考慮した上で解体し、周辺の再開発を行うとしています。

1994年に開場したシャー・アラムスタジアムは8万人を超える観客を収容可能な多目的スタジアムですが、老朽化による危険があるとして、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLはその使用を禁止し、スランゴールは2021年シーズンから同じスランゴール州のプタリンジャにあるMBPJスタジアムを、そこの本拠地とするPJシティFCと共同使用する状態が続いています。

MRCB社のイムラン・サリム社長は、シャー・アラムスタジアムの維持費用は年間500万リンギから600万リンギ(およそ1億6000万円から1億9000万円)がかかる一方で、その費用を賄うだけの運営ができていないことから、スタジアム周辺の整備とともに、その規模を縮小し、スランゴール州政府の支援を必要としない「独力で運営できる」形のスタジアムへと建て替える予定があることを説明しています。

具体的にはマレーシア初となる収納型ピッチを採用し、コンサートなど多目的に使用可能なスタジアムに生まれ変わるということです。またスランゴールのサポーター席として900席を確保する他、スタジアム内の移動が容易になるよう、ゆとりのある座席配置となることなども述べたイムラン社長は、4年後の完成を目指していると話しています。

Mリーグ2部プレミアリーグ
2022年シーズン最終節第18節結果とハイライト

Mリーグ2部プレミアリーグは最終節となる第18節が終了し、ジョホール・ダルル・タジムJDTのセカンドチーム、JDT IIが13勝3分2敗で、2位のクランタンに勝点差6をつけて優勝を飾っています。

来季は1部スーパーリーグとプレミアリーグが統合合併されるため、クランタン、クチンシティ、クランタン・ユナイテッド、PDRMは来季のスーパーリーグ昇格が決定、9位のペラと7位のUITMは3部リーグに当たるM3リーグの上位2チームを相手に行われる入れ替え戦に回ります。また今季優勝のJDT II、さらにトレンガヌII、スランゴール2の3チームはいずれもスーパーリーグのJDT、トレンガヌ、スランゴールのセカンドチームのため、スーパーリーグ昇格はなく、来季から開催されるMリーグのセカンドクラブを対象とするリザーブリーグでのプレーとなります。また今季プレミアリーグに参戦した、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府青年スポーツ省参加の国家スポーツ評議会MSNが共同で運営するFAM-MSNプロジェクトも来季のリザーブリーグ参加が発表されています。

2022年9月17日@スルタン・イスマイル・ナシルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラ・トレンガヌ)
トレンガヌ II 2-0 FAM-MSNプロジェクト
⚽️トレンガヌ:ワン・ファズリ・ワン・ガザリ2(13分、32分)
🟨トレンガヌ(2):シャフィク・ダニアル、ハイリー・ハキム
🟨FAM(2):ハフィズ・アイディル、アフマド・シャキリン
MOM:サイド・ナスルハク(トレンガヌ II)

2022年9月17日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
PDRM 0-1 UITM
⚽️UITM:ラフィー・ヤアコブ(74分)
🟨PDRM(2):アズミ・ムスリム、ファディ・アワド
🟨UITM(3):アフザル・アクバル、ラフィー・ヤアコブ、アズリディン・ロスリ
🟥PDRM(1):アスリ・ムハマド
MOM:アミールル・エクワン(UITM)
 外国籍選手が1人もいない雑草軍団(失礼!)UITMが勝利!

2022年9月17日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 1-1 クチンシティ
⚽️ペラ:ルシアノ・ゴイコチェア(86分)
⚽️クチンシティ:サンデー・アフォラビ(16分OG)
🟨ペラ(0)
🟨クチンシティ(1):アブ・カマラ
MOM:ルシアノ・ゴイコチェア(ペラ)
 クチンシティの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。
 今季で引退を表明しているイルファン・バクティ監督には、是非、スーパーリーグで再び指揮を取ってもらいたいですが、難しいのかなぁ。

2022年9月30日@UITMスタジアム(スランゴール州シャー・アラム)
スランゴール2 0-1 JDT II
⚽️JDT:ダリル・シャム(49分)
🟨スランゴール(1):イズル・アドハム
🟨JDT(2):ダリル・シャム、ムサ・シディベ
MOM:フェロズ・バハルディン(JDT II)
 元代表のジュニオール・エルドストールや、今後の代表候補と目されるダニエル・ティンなどセカンドチームとは言え、タレント揃いのJDT IIがマレーシア人としてはリーグ最多の9得点を挙げたダリル・シャムのゴールで勝利し、プレミアリーグ優勝を果たしています。

2022年9月30日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ユナイテッド 1-1 クランタン
⚽️クランタン・ユナイテッド:アミルル・シャフィク(54分)
⚽️クランタン:ヌルシャミル・アブドル・ガニ(36分PK)
🟨クランタン・ユナイテッド(4):ンジョク・ジェイコブ、ジュリアス・オフォーリ、アフマド・ナズリ・ムハマド、アシュラフ・アリフディン
🟨クランタン(2):ユスリ・ユハスマディ、ムハイミン・イズディン
🟥クランタン・ユナイテッド(1):ニック・アキフ
🟥クランタン(1):ムハイミン・イズディン(🟨x2)
MOM:アミルル・シャフィク(クランタン・ユナイテッド)
 試合前から降り続く激しい雨の中で行われたクランタン・ダービーは、最後は乱闘騒ぎまで起こり、それぞれ退場者を出す「熱い」試合となりましたが、結果は引き分けています。
 クランタン・ユナイテッドの深井脩平と本山雅志の両選手はいずれも先発し、深井選手はフル出場、本山選手は90+6分に交代しています。
 また8月5日のFAM-MSNプロジェクト戦以来先発、5試合ぶりの先発となった原健太選手は、60分に交代しています。

2022年シーズン プレミアリーグ最終順位表

チーム得失差勝点
1JDT18133238132542
2KEL18114327141337
3KCH18104430201034
4TRE18103529181133
5KLU186752319425
6PDRM186392028-821
7UITM1862101825-720
8SEL1844101425-1116
9PRK1852111630-14*8
10FAM1822141033-238
ペラ(PRK)は給料未払い問題の解決が遅れたことにより、勝点9の剥奪処分を受けています。
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII

2022年シーズン プレミアリーグ 最終得点ランキング

ゴール数選手名所属
111アブ・カマラKCH
29ダリル・シャムJDT
38フェルナンド・ロドリゲスJDT
8ンジョク・ジェイコブKLU
8マルティン・アダメックPDRM
8ワン・ファズリ・ワン・ガザリTRE
77ジョーダン・ミンターTRE
KEL-クランタン、PRK-ペラ、KLU-クランタン・ユナイテッド、TRE-トレンガヌII、SEL-スランゴール2、FAM-FAM・MSNプロジェクト、KCH-クチンシティ、JDT-JDTII