11月22日のニュース:シーゲームズ関連-サファウィ・ラシドは招集せず、オーバーエイジ枠の2名が決定、17歳のルクマンもU22代表入りか

サファウィ・ラシドは招集せず
 先日のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選のインドネシア戦で2ゴールを挙げ勝利の立役者となったサファウィ・ラシド(JDT)を今月末からフィリピンで開催されるシーゲームズに参加するU22代表に招集しないとオン・キムスイ監督が発言したことが波紋を呼んでいます。
 11月19日のインドネシア戦に出場したフル代表メンバーのうち、U22代表でのプレー資格がある6名とオーバーエイジ枠での出場が予定されているアダム・ノー・アズリン(JDT)が代表候補合宿に参加し、現在は32名の大所帯となった代表候補合宿ですが、その中には当初、予定されていたサファウィ・ラシドの姿がなかったと英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。なお、この32名の詳細はこちらです。
 先日のナショナルフットボールアウォーズでは、2年連続の年間最優秀選手賞を受賞したサファウィ選手を招集しないことについて、オン監督は、サファウィ選手が今季、既に代表や所属クラブのJDTで多く過ぎるほどの試合に出場していることから、現時点では休息が必要だとして今回は召集を見送ったと述べ、これが難しい決断であると同時に、理解を求めています。
 またサファウィ選手の欠場は、代わりの選手が試合に出場する良い機会だとして、他の選手に期待しているとも述べています。
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 個人的にはオン監督の決断に大賛成です。シーゲームズは東南アジアのU22王者を決める大会ですが、そこからアジア、さらに世界へつながる大会ではありません。リーグ戦、AFCチャンピオンズリーグ、FAカップ、マレーシアカップ、代表戦と50試合近くに出場したサファウィ選手が出場すれば、優勝が一気に近づく可能性はありますが、マレーシアサッカーは、先日のインドネシア戦勝利で首の皮一枚で希望がつながったAFC選手権アジアカップ2023年大会出場を最優先にするべき。だとすれ東南アジアのU22チャンピオンを目指すことは、他の選手に任せて、サファウィ選手には十分な休養を与えてあげてほしいです。

オーバーエイジ枠の2名が決定
 シーゲームズの男子サッカーはオリンピック同様、U23代表の大会で、オーバーエイジ選手が出場可能ですが、人数はオリンピックが3名なのに対して、シーゲームズは2名となっています。
 U22代表のオン監督は、このオーバーエイジ枠の選手にアダム・ノー・アズリン(23歳、JDT)とのイルファン・ザカリア(24歳、クアラルンプールFA)の2名を指名しました。なお、両選手はマレーシアで開催された前回のシーゲームズ2017年大会に出場していますが、このときマレーシアは決勝にタイに0-1で敗れています。しかもこの試合は、今回のワールドカップ予選でも招集されていたGKハジック・ナズリルがパンチングしたボールがオウンゴールになるという負け方でした。
 この試合にも出場していたイルファン選手は、3大会ぶりの優勝を果たすことができず、年齢的にも自分にとって最後のシーゲームズとなったと思っていたところ、今回の招集に驚いたと英字紙スター電子版で語っています。
 所属するクアラルンプールFAは今季、MFL1部で最下位となり、来季は2部降格となったことから全く予想していない招集だったようですが、イルファン選手は今季、フル代表候補合宿に何度か招集されており、(前大会も監督を務めた)オン監督が、もう一度チャンスを与えたくれたことに感謝し、その期待に応えて優勝を目指したいと話しています。

17歳のルクマンもU22代表入りか
 今月11月初旬にカンボジアで開催されたアジアサッカー連盟AFC U19選手権2020年大会予選に出場し、タイなどを破り全勝で予選を突破したマレーシアU19代表。17歳ながら主力選手の一人として活躍したFWルクマン・ハキム・シャムスディンは、DFハリス・ハイカル・アダム・アフカル、FWムハマド・ウマル・ハキーム・スハルとともにシーゲームズ出場のU22代表候補合宿に招集されています。
 上でも取り上げたようにサファウィ・ラシドが招集されなくなったことで、FWのポジションが一つ空き、ルクマン選手がそれを埋めるためにメンバー入りするのではと噂されています。
 スター電子版では、シーゲームズに出場することは昔からの夢であったというルクマン選手の声を紹介し、マレーシアでの前回大会決勝はスタンドから観戦したが、今大会は選手として出場したいと話していると報じています。
 「サファウィ選手の穴を自分が埋めることは難しいが、U22代表に選ばれれば、全力を尽くし、オン監督の期待に応えたい」とも話しています。
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 U22代表どころかフル代表へ招集すべきという声も上がるほど、マレーシアサッカー界とファンの期待を集めるルクマン選手が、体格差で勝るU22代表各チーム相手にどのようなプレーを披露してくれるのかは個人的に興味があります。U22代表のオン監督、フル代表のタン・チェンホー監督ともルクマン選手については慎重なコメントが目立ちますが、本日11月22日に発表が予定されている最終メンバー20名に残れるかどうか注目です。

11月21日のニュース:アムリ・ヤハヤはスランゴールFA退団、ダレン・ロークはJDT退団、フェルダUの正GKがマラッカU移籍、クダFA監督は新戦力を求めて日本へ

アムリ・ヤハヤはスランゴールFA退団
 スランゴールFAのベテランFWアムリ・ヤハヤがスランゴールFA退団を自身のインスタグラムで発表しています。
 スランゴール州出身で38歳のストライカー、アムリ選手は、2001年にスランゴールFAで選手生活をスタートし、その後は2014年にはジョホール・ダルル・タクジムJDTに移籍し、2015年のAFCカップ優勝などに貢献、2017年にはマラッカ・ユナイテッドへ移籍しましたが、その年の2度目のトランスファーウィンドウ期間にスランゴールFAへ復帰していました。
 インスタグラムではスランゴールFAやファンへの感謝の言葉を並べているアムリ選手は、スランゴールFAで2度、JDTで3度のリーグ優勝に貢献した他、FAカップは4度、マレーシアカップは2度の優勝も経験しています。
 地元出身ということで今でもスランゴールFAに愛されているアムリ選手ですが、今季はスーパーサブのような役割が多く、相手チームのサポーターに対し問題あるジェスチャーを示すなどフラストレーションが溜まるシーズンでした。

ダレン・ロークはJDT退団
 以前このブログで「BBCがマレーシア選手のサクセスストーリーを紹介」と題して紹介したイギリス出身のダレン・ロークが3年半在籍したJDTの退団を自身のツイッターで発表しています。
 イギリス国内リーグ実質6部にあたるセミプロリーグのクラブでプレーしていたローク選手は、父親がマレーシア人ということから2016年にJDTへ入団すると、その年にはフル代表デビューを果たしています。
 今季はJDTのBチームJDT IIでプレーし、チームのチャレンジカップ優勝にも貢献しています。
 なお退団後もマレーシアに残るのかイギリスへ戻るかなどについてローク選手はツイッターでは言及していません。

フェルダUの正GKがマラッカU移籍
 マラッカ・ユナイテッドのFacebookでは、今季2019年はフェルダ・ユナイテッドで正GKを務めたノラズラン・ラザリと来季契約を結んだことが告知されています。
 ジョホール州出身で33歳のノラズラン選手は、JDTの前身であるジョホールFAで2006年にプロ生活をスタートしその後は、クアラルンプールFA、スランゴールFA、JDTでプレーした経験を持ち、今季からはフェルダ・ユナイテッドでプレーし、シーズン最終戦までもつれ込んだ2部降格を防いだ立役者のうちの一人でした。
 ノラズラン選手の加入でマラッカ・ユナイテッドの正GK争いは今季の正GKで代表でも50試合を超えるプレー経験を持つカイルル・ファーミ・チェ・マット、クアラルンプールFAへの期限つき移籍から復帰する若手のアフマッド・ソレヒン・ママットとノラズラン選手の三つ巴となりそうです。
 また同じFacebook上では、DFアンナズ・ラフマトの入団も発表されています。ヌグリスンビラン州出身で24歳のアンナズ選手は元U23代表選手で、今季はプタリンジャヤシティFCでプレーしていました。

クダFA監督は新戦力を求めて日本へ
 クダFAのアイディル・シャリン監督は来季の新戦力を日本で探していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 記事によると、クダFAと提携しているJ1のサガン鳥栖の招待によって日本を訪れているアイディル監督は既に日本滞在三日目ということですが、すでに数名の選手の評価を終えており、残りの期間でもさらに数名の選手を見ることになっているようです。
 クダFAのアジア枠外国籍選手にはキルギス出身のMFエドガー・ベルンハルトがいますが、今季は7試合の出場に留まっており、来季は日本人MFがクダFAにやってくるかも知れません。
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 今季マレーシアフットボールリーグMFLに在籍していた日本人選手のうち、苅部隆太郎(クアラルンプールFA)はシーズン途中で、渡邉将基、池田圭(いずれもフェルダ・ユナイテッド)、鈴木ブルーノ(トレンガヌFC II)はシーズン終了後に退団が決定しており、残っているのは中武駿介(ヌグリスンビランFA)と鈴木裕太(クチンFA)だけですが、この二人も来季契約確定のニュースはないので、場合によっては来季のMFLには日本人選手が一人もいない、ということも起こりえます。隣国タイに比べると、日本人選手が少ない現状は在マレーシア日本人としては残念なので、アイディル監督には是非、日本人選手獲得をお願いしたいです。

11月20日のニュース:チケット読み取り機の不具合で多数のファンがキックオフを見逃す、警察は41名のサポーターを拘束

今日のマレーシアメディアは電子版、活字版とも昨日のインドネシア戦勝利一色ですが、この試合に関連する記事を拾ってみました。

チケット読み取り機の障害で多数のファンがキックオフを見逃す
 マレーシアサッカー協会FAMは今季より、代表戦のチケット販売をそれまでの試合会場の窓口だけでなく、オンラインでも行うようになりました。これに伴い、入場口ではチケット上のバーコードを読み取り機に表示することで入場が可能になりました。しかし 英字紙ニューストレイトタイムズNST電子版では、この日の試合会場となったブキ・ジャリル国立競技場の入場口に設置されたチケット読み取り機の不具合で多くのファンが試合開始後も入場できずにいたことを報じています。
 こういったファンの中には、係員に怒りをぶつける者、また柵を乗り越えて入場しようとした者もいたようで、現場にいたNST記者が係員に状況を問うと、「システム上の問題」との答えが返ってきただけで、それ以上の回答は得られなかったようです。
 またスタジアム内では、座席に不満を抱えるファンをなだめる姿も見られたとも報じています。チケットのオンライン販売と同時に、チケットには座席番号も記載されるようになりました。日本では当たり前のシステムですが、こちらでは浸透しておらず、スタジアムでは皆、早い者勝ちで座席を確保します。このため、自分のチケットに記載された番号の座席に他人が座っていることもあり、それが争いに発展してしまうこともあるようです。(筆者も経験済みです。)このため、FAMではFacebookで、座席番号に従うことを促す下記のような注意も行っています。(「他のサポーターの座席に座らず、自分のチケットの座席番号に従いましょう。」と書かれています。)

警察は41名のサポーターを拘束
 マラッカ海峡を挟んて向かい合うマレーシアとインドネシアは、政治、経済、文化で橋梁苦な結びつきがある反面、強烈なライバル関係にもありますが、それはサッカーにも色濃く反映されています。ワールドカップアジア二次予選の初戦となった9月5日のジャカルタでのインドネシア戦では、1万人を超える保安要員を配置しながら、スタジアムの訪れたマレーシアサポーターに対してインドネシアサポーターが投石を行い、試合開始後もファンの乱入で試合が一時中断するなどし、最終的にはインドネシアサッカー協会PSSIはFIFAから罰金処分を受けました。
 同様の状況に備えて、マレーシア警察は1,400名を超える警察官を配置して対応しましたが、英字紙マレーメイル電子版では、試合中には発煙筒が投げこまれ、試合後にはサポーター同士の衝突は起こってしまったことを報じています。
 インドネシアサポーター6,000人を含む85,000人を超える観衆が詰めかけた試合では、サファウィ・ラシドが先制ゴールを決めた直後に発煙筒がピッチに投げ込まれ、試合終了後には、こんどはマレーシアサポーターが陣取るエリアに向かって発煙筒が投げ込まれたようです。また試合後にはマレーシアサポーターとインドネシアサポーターがスタジアムの外で衝突し、マレーシア警察の暴動鎮圧部隊が動員された他、一部のインドネシアサポーターは試合終了後もスタジアム内にとどまるように命じられたと報じています。またマレーシア人サポーター24名、インドネシアサポーター17名が警察に拘束されたものの、その後は全員が釈放されています。
(発煙筒がピッチに投げ込まれる-マレーシアの通信社ベルナマの記事より)

11月19日のニュース(2):マレーシアはインドネシアにホームで勝利!

 11月19日にクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で行われたFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ予選グループGの試合は、マレーシアがサファウィ・ラシド(JDT)の2ゴールでインドネシアに勝利し、勝点3を獲得しました。
 ここまでワールドカップ予選全ての試合に先発したシャフィク・アーマド(JDT)を累積警告で欠く中、タン・チェンホー監督はノーシャルル・イドラ・タラハ(パハンFA)をシャフィク選手の代わりに起用するだろうと言う大方の予想に反して、本来はウィングのモハマドゥ・スマレ(パハンFA)をいわゆる」フォールス9」のような形で中央に配置し、スマレ選手本来のポジションにはアキヤ・ラシド(JDT)を起用するこれまでにない布陣で臨みました。

 勝たなければいけない重圧からか、動きの重いマレーシアは、徐々にペースを掴み始めたところで、先発したGKカイルルアザン・カリドが20分にインドネシアFWフェブリ・ハリヤディのシュートを好セーブするも、その際に負傷し退場となってしまいます。重苦しい空気が漂う中、30分にペナルティエリアの外でラシド選手が、DFヤント・バスナに倒されフリーキックを得ます。ゴールやや右寄りの得意の位置からラシド選手が左足で蹴ったフリーキックはそのままゴールへ飛び込み、マレーシアが先制しました。試合はその後一進一退を繰り返して前半が終了しました。
 後半に入ると、タン監督はアキヤ選手に変えて、ノーシャルル・イドラン・タラハ(パハンFA)を投入、スマレ選手は本来の左サイドに戻り、ノーシャルル選手が中央に陣取りました。そして73分にはゴールライン上のボールをヤント・バスナに競り勝ったサファウィ選手が豪快に蹴り込み、マレーシアは2−0とリードを拡げました。
 途中まではブレンダン・ガン(ペラTBG)とともに前線からペナルティーエリア付近までを豊富な運動量でカバーしたシャマー・クティ・アバ(JDT)が終了間際にボールを奪われ、飛び出したファリザル・マーリアス(JDT)がインドネシアの選手を倒してPKを与えますが、これをしっかりとセーブしたファリザルの堅守が光りました。
 インドネシアの拙攻もあり、なんとか逃げ切ったマレーシアは、今回の予選で初完封勝ちし、サファウイ選手はMOM「マンオブザマッチ」喪受賞しています。

 マレーシア代表は、今季の公式戦が終了。ワールドカップ予選では、タイとベトナムが0−0で引き分けたため、タイを抜いて2位につけています。

11月19日のニュース:ワン・クザインがU22代表に合流、PKNPFC主将はペラTBGへ移籍

ワン・クザインがU22代表に合流
 何度かこのブログでも取り上げたMFワン・クザイン・ワン・カマルが東南アジア競技大会に参加するU22代表の練習に合流したことを英字紙スター電子版が報じています。
 アメリカのプロサッカーリーグ、メジャーリーグサッカーMLSのスポーティング・カンザスシティに所属し、今季2019年はBチームにあたるスウォープパーク・レンジャーズでプレーした21歳のワン・クザイン選手は、アメリカのイリノイ州生まれながら両親がマレーシア人であることから、マレーシア代表でプレーする資格を持っています。
 昨季2018年にMLSデビューを果たしただけでなく、ゴールも決めているワン・クザイン選手の招集をU22代表のオン・キムスイ監督も明言していましたが、スウォープパーク・レンジャーズのシーズンが10月まであったことなどから、合流時期が未確定でしたが、無事、マレーシアに到着し、早速チームの練習に合流したようです。
 合流初日の練習後はメディアの取材に応え、攻撃的あるいは守備的MFだけでなく、センターバックなど守備的なポジションも含めて監督の求めるポジションでプレーするとしながらも、自分が得意なのは試合を組み立てることと話すワン・クザイン選手は代表チームでプレーすることは名誉であり、国を背負ってプレーすることの意味は理解しているとも話しています。
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 現在U22代表候補合宿に招集されているのは25名ですが、今日11月19日のFIFAワールドカップ2022年大会予選のインドネシア戦に出場するフル代表からも、7名がU22代表に合流することが決まっており、その中にはフル代表の主力選手サファウィ・ラシド、シャマー・クティ・アッバ(いずれもJDT)やシャミ・サファリ(スランゴールFA)などがおり、東南アジア競技大会出場20名のメンバー入りへの競走は激しさを増しそうです。

PKNP FC主将はペラTBGへ移籍
 PKNP FCは今季はMFL1部で11位となり、来季は2部降格となる予定でしたが、急転直下で来季よりペラTBGのBチーム化が決定し、各選手の去就が注目されていましたが、今季チームの主将を務めたハフィズ・ラマダンはペラTBGへ移籍が決まったとスター電子版が伝えています。
 2011年から2014年はプレジデントカップチーム(U21)、2015年から2017年まではペラTBGでのプレー経験があるハフィズ選手にとっては、かつて在籍したチームへの復帰となります。
 以前ペラTBGでプレーしていた際にはレギュラーポジションカクトには至らなかったハフィズ選手は、PKNP FCでは主に左ウィングで起用され、主力選手の一人として活躍し、3月の国際大会エアマリンカップの際には代表候補合宿にも招集されるほどになりました。
 まずはメフメト・ドゥラコビッチ監督のスタイルや考え方を理解し、チームに慣れることが最優先となると話すハフィズ選手は、ペラTBGでのスターティングXI入り、そして代表入りを今後の目標としたいと語っています。

11月18日のニュース:サディル・ラマダニはパハンFAを退団、ファイズ・ナシルは1年でトレンガヌFC復帰、クランタン州の2クラブは地元の選手により多くの機会を与える

サディル・ラマダニはパハンFAを退団
 インドネシア代表でもプレーする弱冠20歳のサディル・ラマダニが1年でパハンFAを退団するとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL開幕戦でリーグ最速ゴールを挙げたラマダニ選手はパハンFAの外国籍選手枠のアセアン東南アジア出身選手枠で契約し、今季は21試合に出場する主力選手でした。。
 自身のインスタグラムで退団の意思を発表したラマダニ選手は、インドネシア国外でプレーするのは初めてだったが、この1年間で様々なことを学ぶことができたと、パハンFAとそのファンに感謝のメッセージを述べています。
 ラマダニ選手は11月19日にブキ・ジャリル国立競技場で行われるFIFAワールドカップ予選でマレーシア代表と対戦するインドネシア代表に召集されている他、今月末からフィリピンのマニラで開催される東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場するインドネシアU22代表のメンバーにも入っています。
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 パハンFAはシンガポール代表のサフワン・バハルディンに続き、サディル・ラマダニも2年契約の残り1年を残しての退団となっていることから、パハンFAのファンからはチームの経済状況を心配する声も上がっています。また、同じ外国籍選手のディクソン・ヌワカエメも来季の契約が確定していません。
 またラマダニ選手については、MFL1部スーパーリーグで1年間主力選手としてプレーし、その実力を示したことで、パハンFA退団後はインドネシアに戻らず他のMFL1部との契約の噂も出ています。

ファイズ・ナシルは1年でトレンガヌFC復帰
 今季2019年開幕前にトレンガヌFCからスランゴールFAに移籍したファイズ・ナシルは、トレンガヌFCとの来季1年契約を結んだとスポーツ系サイトスタジアムアストロが伝えています。
 27歳のナシル選手は今季開幕当初、調子の上がらないスランゴールFAで獅子奮迅の活躍が代表のタン・チェンホー監督の目に留まり、エアマリンカップでは代表に初招集されるとすぐにアフガニスタン代表戦でフル代表初ゴールを決めるなど順風満帆でしたが、シーズンが進むに連れて、ベンチを温めることが多くなっていました。
 クダFAやペラTBGも獲得意思を示していましたが、トレンガヌFCのイルファン・バクティ前監督のもと、昨季のトレンガヌFCの準優勝にも貢献したMFはかつて所属したクラブへ復帰を決めたようです。
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 個人的にはMFL前半で最も注目した選手の一人だったナシル選手は、公称で身長152センチと小柄ながら、豊富な運動量で移籍1年目からスランゴールFAファンからも支持される選手でしたが、代表招集後は出場機会が減っていきましたが、バースカラン・サティアナタン監督の戦術に合わなかったのでしょうか。

クランタン州の2クラブは地元の選手により多くの機会を与える
 今季2019年のMFL3部にあたるM3リーグを圧倒的な力で優勝し、来季はMFL2部プレミアリーグに昇格するたケランタン・ユナイテッドは、マレー半島東海岸北部にあるケランタン州をホームとするクラブです。このケランタン州にはケランタン州サッカー協会が統括するケランタンFAもあり、来季はこの両クラブはいずれもMFL2部プレミアリーグでプレーしますが、この状況は、ケランタン州の若いサッカー選手たちがより高いレベルでプレーする機会をより多く得ることができる望ましい状況であると、1990年代にケランタンFAでプレーしたかつての名選手モハマド・ハシム・ムスタファが語っています。
 今季はケランタンFAのプレジデントカップチーム(U21チーム)のコーチを務めたモハマド・ハシム氏は、自らがコーチするチームからトップチームへ昇格する選手以外にもプレーを続ける道が開かれるとして、ケランタンFAのユスリ・チェ・ラーとケランタン・ユナイテッドのザハスミ・イスマイルの両監督に若い選手を積極的に使うよう求めています。
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 運営資金不足から今季2019年は外国籍選手をシーズン途中で全員解雇したケランタンFAは、給料の低い若手を活用するというよりも、そうせざるを得なかった状況でした。しかし裏返せば、モハマド・ハシム氏の言う通り、他のクラブでは出場機会のないような若手でもケランタン州のチームに救われる可能性もあります。

11月17日のニュース:マレーシアサポーター向けチケットをインドネシアサポーターに売却しないよう警告、主力を欠いた布陣で正念場のインドネシア戦に臨む代表、インドネシア戦のチケットは既に7万枚以上が販売済み

マレーシアサポーター向けチケットをインドネシアサポーターに売却しないよう警告
 先日のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選のタイ戦に勝利し、11月19日の同インドネシア戦が控えるマレーシア代表ですが、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア警察は共同で、マレーシアサポーターに対してこの11月19日の試合のチケットをインドネシアサポーターに売却しないように警告しています。
 マレーシアの通信社ベルナマの記事によると、先日のタイ戦では、タイサッカー協会を通じてタイサポーター向けに2500枚のチケットが用意されていましたが、実際にはその倍以上の5000人のサポーターがブキ・ジャリル国立競技場で観戦したとされています。
 これを受けてFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、保安上の問題からマレーシアサポーターとインドネシアサポーターが接触しないような座席配置を行なっているFAMとサポーター同士のトラブルを回避したい警察の仕事を難しくする者だとして、マレーシアサポーターにインドネシアサポーターにチケットを売却したり、チケット購入を手伝うことのないよう警告しています。また、FAMはインドネシアサッカー協会PSSIの要請により4500枚のチケットを用意しており、PSSIの責任で手配することになっているとしています。
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 マレーシア代表にとってワールドカップ予選の初戦となったアウェイのインドネイシア戦では、インドネシアサポーターがマレーシアサポーターへ投石するなどの騒動が起こり、FIFAはPSSIに罰金処分を科しています。チケットが入手できないインドネシアサポーター相手に法外な値段でチケットを売りつけるダフ屋行為が行われればマレーシアサポーターの中にインドネシアサポーターが混在する危険な状況も起こりえます。また、特にマレーシアには隣国ということで国内のインドネシア人労働者の数は100万人前後とされており、彼らが母国の応援に大挙してスタジアムへ押しかけることも十分考えられることから、最悪の事態を避けたいFAMと警察が警告を発しているというわけです。

主力を欠いた布陣で正念場のインドネシア戦に臨む代表
 11月12日のワールドカップ予選

タイ戦に勝利し、2勝2敗と星を五分に戻したマレーシア代表。予選グループGの上位3チームに離されないためには、11月19日のインドネシア戦でも勝利が必須ですが、この試合は主力を欠いた苦しい布陣になりそうです。
 タイ戦からワントップとなったシャフィク・アーマド(JDT)とここまでの4試合中3試合に先発した右サイドバックのマシュー・デイヴィーズ(パハンFA)がいずれも累積警告のため、インドネシア戦は出場停止となっています。またタイ戦ではデイヴィーズ選手に代わって先発した同じ右サイドバックのシャミ・サファリ(スランゴールFA)はタイ戦で太腿を痛め、途中退場しています。
 この状況に関して、代表のタン・チェンホー監督は追加招集は考えていないとマレーシアの通信社ブルナマの取材に答えています。その一方でここまでワールドカップ予選4戦全敗のインドネシアはいわば「手負いの獅子」であり、解任されたサイモン・マクメネミー前監督の後任のイェイェン・トゥネマ監督代行を優れた戦術かと評価するタン監督は、タイ戦の勝利を忘れて目の前の試合に集中したいと話しています。

インドネシア戦のチケットは既に7万枚以上が販売済み
 スポーツ系オンラインメディアのフォックススポーツによると、11月19日のワールドカップ予選インドネシア戦のチケットは本日11月17日の時点で既に74,038枚が販売済みとのことで、久しぶりにブキ・ジャリル国立競技場が満員となりそうです。 しかもこの数字はネット販売のみと数字ということで、試合日までに全ての座席が売れて仕舞えば、試合当日のチケット販売はない可能性もあると伝えています。なお、メインスタンドとプレミアム席はすでに売り切れで、バックスタンドのチケットだけが残っているということです。
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 新国立競技場(収容可能観客数7万人弱)や横浜国際総合競技場(日産スタジアム、同7万人強)を上回る8万7000人の収容可能なブキ・ジャリル国立競技場は世界でも有数の巨大スタジアムです。代表戦では久しく満員になっていませんが、先日のタイ戦の勝利によって多くのマレーシアサポーターに再び希望を与えてくれた代表を後押しするような満員の観客が押しかける可能性はありそうです。
(チケットの売り切れが近いことを告知するFAMのFacebookポスト) 

11月16日のニュース:年間MVPは2年連続でサファウィ・ラシドが受賞-ナショナルフットボールアウォード各賞発表

年間MVPは2年連続でサファウィ・ラシドが受賞
 11月15日に開催されたナショナルフットボールアウォードABK2019では、MFL1部ジョホール・ダルル・タクジムJDTのMFサファウィ・ラシドが昨年2018年に続き、2年連続で年間最優秀選手賞MVPを受賞しています。
 今季2019年はリーグ戦、カップ戦合計で20ゴールを挙げた22歳のサファウィ選手は、このMVPの他、最優秀フォワード賞、ファン投票で選ばれる最も人気のある選手Most Popular Playerにも選ばれています。
 昨年の初受賞の際には、史上最も若くしてMVPを獲得したサファウィ選手ですが、成功の秘訣を問われると、練習、試合いずれも常に全力で臨んでいることを挙げ、将来的にはオファーがあれば海外のクラブでプレーすることを望んでいると述べる一方で、これまで自分を育ててくれたJDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下の意思も尊重したいと述べています。

ナショナルフットボールアウォード各賞発表
 上記のサファウィ選手のMVP、最優秀フォワード賞以外も発表になっていますが、大方の予想通りJDTが席巻しています。なお各賞の受賞者は以下の通りです。
 最優秀選手:サファウィ・ラシド(JDT)
 最優秀フォワード:サファウィ・ラシド(JDT)
 最優秀ミッドフィルダー:モハマドゥ・スマレ(パハンFA)
 最優秀ディフェンダー:シャルル・サアド(ペラTBG)
 最優秀ゴールキーパー:ファイザル・マーリアス(JDT)
 最優秀外国籍選手:ジオゴ・ルイス・サント(JDT-ブラジル)
 最優秀外国籍選手(アセアン):ハリス・ハルン(JDT-シンガポール)
 ベストヤングルプレーヤー賞:アキヤ・ラシド(JDT)
 最優秀監督:ドラー・サレー(パハンFA)
 ゴールデンブーツ(最多得点):フェルナンド・ロドリゲズ(クダFA)
 最高人気選手:サファウィ・ラシド(JDT)
 最優秀クラブ:JDT
 最優秀サポーターグループ:ボーイズオブストレイト(JDT)
 最優秀ソーシャルメディア:johorsoutherntigers.com.my(JDT)
 最優秀ホームページ:JDT
 MFL1部スーパーリーグ最多得点(マレーシア人選手):サファウィ・ラシド(JDT-8ゴール)
 MFL1部スーパーリーグリーグ最多得点(外国籍選手):クパー・シャーマン(PKNS FC-14ゴール)
 MFL2部プレミアリーグ最多得点(マレーシア人選手):ボビー・ゴンザレス(サラワクFA-9ゴール)
 MFL2部プレミアリーグリーグ最多得点(外国籍選手):ザルコ・カラチ(UITM FC-13ゴール)
 最優秀M3リーグ選手:ファクルル・ザマン(ケランタン・ユナイテッド)
 ファン投票による2019年ベストチーム
 監督:アイディル・シャリン(クダFA)
 GK:イフワット・アクマル・チェク・カシム(クダFA)
 DF:リザル・ガザリ、シャキル・ハムザ、レナン・アルヴェズ(以上クダFA)、ラヴェル・コービン=オング(JDT)
 MF:リー・タック(トレンガヌFC)、バドロル・バクティアル(クダFA)、ブレンダン・ガン(ペラTBG)
 FW:サファウィ・ラシド、ジオゴ・ルイス・サント、アキヤ・ラシド(以上JDT)
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 リーグ6連覇に加え、今季はマレーシアカップも優勝したJDTが大方の予想通り、受賞者の7割方を占めました。個人的には今季就任し、昨季の6位から今季は4位と順位を引き上げ、FAカップ優勝を果たしたクダFAのアイディル・シャリン監督が最優秀監督を受賞するだろうと思っていました。
 なおナショナルフットボールアウォードの各賞は、マレーシアサッカー協会FAM、マレーシアプロサッカー選手会、マレーシアサッカーコーチ協会、マレーシアスポーツ記者協会などの代表者からなる選考委員会による候補者選定後、MFL1部と2部各クラブの監督と主将、そして23名のメディア関係者による投票で、また最高殊勲選手MVPは、5名からなら選考委員会の投票で決定します。
(写真はファン投票による2019年ベストチーム-MFLのFacebookより)

11月15日のニュース:MFL2部と3部の入れ替え戦は11月23日実施、フェルダUは渡邉将基、池田圭両選手と契約せず、セレッソ大阪が在馬日系企業をパートナーに決定

MFL2部と3部の入れ替え戦は11月23日実施
 マレーシアフットボールリーグMFLのホームページでは、MFL2部プレミアリーグ11位のサラワクFAとMFL3部M3リーグ2位クチンFAの入れ替え戦が11月23日午後8時15分開始となることを発表しています。
 またサラワクFA、クチンFAとも、ホームとして同じサラワク州立スタジアムを使用していることから、MFL理事会の投票によりホームチームを決定するとしている他、試合に出場する外国籍選手に関しては、リーグの規定ではプレミアリーグは4名、M3リーグは2名の外国籍選手枠があることから、この入れ替え戦ではフィールド上にいられるのは2名までとしています。
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 クチンFAの本拠地クチンはサラワク州の州都で、この入れ替え戦は、例えて言えば東京都代表チームと港区代表チームが入れ替え戦を行うような図式になっており、サラワクFAとしては負けられない試合です。しかしクチンFAには鈴木裕太選手が在籍しており、個人的にはクチンFAに昇格を勝ち取ってもらい、鈴木選手をプレミアリーグの試合で見てみたいです。

フェルダUは渡邉将基、池田圭両選手と契約せず
 英字紙スター電子版は、MFL1部のフェルダ・ユナイテッドがニザム・ジャミル監督と新たに2年契約を結んだことを伝えています。今季2019年のフェルダ・ユナイテッドは、MFL最終節での勝利により10位となり、2部降格を免れるというクルシーズンを送りました。
 しかし来季2020年は今季よりクラブ運営資金が縮小され、連邦土地開発公団下の入植農家出身者をプロサッカー選手として育成しすることなどを目的とした若手主体のクラブに生まれ変わることから、さらに厳しいシーズンとなりそうだとスター電子版は報じています。
 またクラブの方針変更により、今季は代表でも数試合プレーしたMFハディン・アズマン主将、今季30試合に出場した正GKノラズラン・ラザリ、MFクリスティ・ジャイエシレン、 DFアリフ・ファジラー・アブ・バカルら主力選手に加え、外国籍選手の渡邉将基、池田圭両選手やFWチアゴ・アウグスト、MFジョシネイ・シャド(いずれもブラジル)とも新たに契約を更新しないことを発表しており、来季は代表にも招集されているダニアル・アミエルやアンワル・イブラヒム、ザハリル・アズリなどが主力となるだろうとしています。これについてニザム監督はチームの平均年齢を下げるためとしていますが、年齢以上に予算縮小による影響によるものでしょう。
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 フェルダ・ユナイテッドを統括する連邦土地開発公団FELDA(フェルダ)は、換金作物を栽培する小規模農家を組織するために設立されたマレーシア政府機関の一つで、パーム農園(プランテーション)運営フェルダ・グローバル・ベンチャーズ・ホールディングス社や、パーム油生産を行う政府系企業フェルダホールディング社やを傘下に持っています。
 世界のおよそ85%をマレーシアとインドネシアが生産するパーム油はマレーシアを代表する輸出農作物で、マーガリンやチョコレートなどの食料品・シャンプーなど日用品の原材料・発電用燃料などに幅広く使われていますが、健康への悪影響が指摘されているほか、パーム油農園の開拓が森林破壊の元凶だとの批判が根強いことから、主要な買い手である欧州連合(EU)がパーム油の輸入を2030年までに禁止する方針を決めており、その影響がフェルダ・ユナイテッドの運営予算縮小につながっている可能性はあります。

セレッソ大阪が在馬日系企業をパートナーに決定
 セレッソ大阪のホームページでは、在マレーシアの日系企業であるヤクルト・マレーシア社がアセアンアクティブパートナーシップに決定したことを告知しています。
 また、このニュースに合わせて、C大阪が来季のスプリングトレーニングを行いたい意向を表明しているとマレーシアの通信社ベルナマが報じています。マレーシアの国家スポーツ協会(ISN、日本の日本スポーツ協会にあたります)のアーマド・ファエザル・モハマド・ラムリCEOによると、C大阪では「モリシ」の愛称で知られた森島寛晃代表取締役社長がISNのスポーツ科学施設や隣接するブキ・ジャリル国立競技場など周辺のスポーツ施設に対して好印象を持った様子であったそうです。
 最終的な決定は森島代表取締役がクラブに持ち帰ってから行われるとしていますが、従来はタイで春季キャンプを行っているC大阪に対して、上記のアセアンアクティブパートナーとなったヤクルト・マレーシア社がマレーシアでのキャンプを強く働きかけているということです。
 C大阪の森島代表取締役とヤクルト・マレーシア社の浜田社長の訪問を受けたアーマド・ファエザルCEOは、マレーシアでC大阪が春季キャンプを開催することがあれば、それを見ることは我々にとって貴重な機会となると述べています。

11月14日のニュース(2):マレーシアはタイに逆転勝ち!

 FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ予選グループGで、マレーシア代表はタイ代表に2-1と逆転勝利し、次戦以降に希望が繋がる貴重な勝利を挙げています。
 0-1と敗れた前節のベトナム戦のメンバーから2名を入れ替えたタン・チェンホー監督でしたが、その2名が起用に応えて活躍しました。GKカイルルアズハン・カリドは好セーブでタイの攻撃を1点に抑え、DFシャミ・サファリとMFシャマー・クティ・アッバは豊富な運動量でタイ守備陣を撹乱しました。
(以下はこの試合のマレーシア代表のスターティングXI)

 試合は動きが重いマレーシアに対してタイが積極的に攻める展開となり、開始から7分でチャナティップ・ソングラシンのゴールでタイが先制します。
 この試合に負ければワールドカップどころかアジアカップ出場も遠のくマレーシアは、この1点を取られたことで徐々にエンジンがかかり始め、26分には左サイドを上がったラヴェル・コービン=オングからのボールをシャマー・クティ・アッバがゴール前へのブレンダン・ガンへクロス。これをブレンダン・ガンが決め、マレーシアが同点に追いつきます。
 そして56分にはサファウィ・ラシドからのパスを受けたブレンダン・ガンがタイDFラインの裏へ浮き球でパスし、これをムハマドゥ・スマレがボレーシュート。タイのGKシワラック・テースーンヌーンが触れるもボールはゴール内へ飛び込み、マレーシアが逆転します。
 ホームのブキ・ジャリル国立競技場ではタイに負けたことのないマレーシアは、この後、全員が最後まで走り続け、身体を投げ出して守り切り、貴重な勝利を挙げています。
 なおこの日、ホームでアラブ首長国連邦UAEを1−0で破ったベトナムが勝点10で首位、勝点7のままのタイが2位、UAEとマレーシアはともに2勝2敗の勝点6ですが得失差でUAEが3位、マレーシアが4位、この日試合のなかったインドネシアは勝点0の5位となっています。
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 1ゴール1アシストと活躍したブレンダン・ガン(ペラTBG)は、いわゆるボックストゥボックスプレイヤーの評価通り、攻撃に守備に活躍し、マンオブザマッチなのは誰の目にも明らかでしょう。またタジキスタン戦では、今一つポジショニングがはっきりしなかったシャマー・クティ・アッバが攻撃的MFとして豊富な運動量で守備を引きつけ、その結果、シャフィク・アーマドが動くスペースを作ることができるようになった今回の布陣は、次戦11月19日のインドネシア戦でも見てみたい布陣です。(写真はマンオブザマッチとなったブレンダン・ガン)