2022年シーズン開幕直前!
Mリーグ1部スーパーリーグクラブ紹介第2回
ペナンFC & トレンガヌFC

Mリーグ2022年シーズンは2月26日のピアラ・スンバンシー(チャリティーカップ)で開幕しますが、今季開幕を前に今季のMリーグ1部スーパーリーグの12クラブを紹介する第2回は、昨季Mリーグ3位のペナンFCと同4位のトレンガヌFCです。

ペナンFC(2021年シーズンスーパーリーグ3位)

本拠地:シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
2021年シーズン成績:3位(12勝5分5敗)得点37(リーグ4位)失点30(同6位)
過去5シーズンの成績:2017年12位-2018年2部10位-2019年2部7位-2020年2部1位-2021年1位
監督:トマーシュ・トルーハ (チェコ)
外国籍選手(*は新加入選手):
 *FWヒラル・エル=ヘルウェ(レバノン/ドイツ-AFC枠)
 FWカサグランデ(ブラジル)
 *FWクリスティアン・ロンティーニ(フィリピン/イタリア-アセアン枠)
 MFエンドリック(ブラジル)
 DFラファエル・ヴィトール

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 *GKムハマド・ハフィズル・ハキム(ペラFCより加入)
 DFアブドル・ラティフ・スハイミ
 DFアズミ・ムスリム
 DFアディブ・ラオプ
 DFシャミン・バハルディン
 *DFファイルズ・ザカリア(クダ・ダルル・アマンFCより加入)
 MFダニアル・アシュラフ
 MFファディル・イドリス
 MFタム・シャンツン
 MFファイズ・マズラン
 MFK・ティヴァンダラン
 FWジェフリ・フィルダウス・チュウ

チーム紹介:
2020年シーズンに2部プレミアリーグで優勝し、昨季は4季振りとなる1部昇格を果たすと、昇格初年度ながら快進撃を続け、終わってみれば2位のクダとは勝点差がわずか2と惜しくも3位となったペナン。2部プレミアリーグでも活躍したカサグランデ、エンドリック、ラファエル・ヴィトールのブラジルトリオが1部スーパーリーグでもチームを支え、リュウジ・ウトモ(インドネシア)やシェリダン・ボボエフ(タジキスタン)の外国籍選手とマレーシア人選手がそろって機能した結果でした。しかしリーグ終了後のマレーシアカップに入ると、グループステージ連敗が続きました。すると昇格初年度の3位という成績を忘れたのか、一部サポーターはトマーシュ・トルーハの選手起用がマレーシアカップ不調の原因としてその退陣を求め、チームもグループステージで敗退してしましました。

シーズンオフに入るとさらに混迷を深め、いずれも今年初めて代表に招集されたGKサミュエル・サマーヴィルやFWアル=ハフィズ・ハルンが退団を表明、さらにMFカイルル・アズリン、MFアメル・アズハル、MFデイヴィッド・ロウリーといった主力が退団し、さらに期限付き移籍だったウトモ選手は所属先のインドネシア1部プルシジャ・ジャカルタへ復帰、ボボエフ選手もチームをさり、その結果、2021年シーズンの開幕XIからはブラジルトリオ以外の8選手が移籍してしまう事態となっています。さらに今季がMリーグ5季目となるエンドリックが来季2023年はJDTで帰化選手としてプレーするとタンパリングまがいの発表も行われるなど、昇格1年目で3位という偉業がが忘れ去られてしまっています。

今季の布陣はサマーヴィル選手に加えて、控えGKのブライアン・シーも退団したところに、元代表GKのムハマド・ハフィズール・ハキムがペラから加入し、W杯アジア最終予選のメンバーにも選ばれているレバノン代表のFWヒラル・エル=ヘルウェ、フィリピンU23代表のFWクリスティアン・ロンティーニが加わりました。これら新戦力と残留したブラジルトリオを加えても、主力選手の大量退団による穴は大きく、若い選手がこれを機会と捉えて成長できるかどうかが、そのまま今季のペナンの成績に反映されそうです。

ボラセパマレーシアJP的注目選手:
ムハマド・ハフィズル・ハキム
昨季は給料未払いが数ヶ月間続き、シーズン途中に大量の主力選手が退団したペラで最後までチームに残ったハフィズル選手ですが、ペラは今季2部に降格したことで移籍を決意しています。ペラでは100試合近くに出場しており、28歳と老け込む歳でもないので、スランゴールに移籍したサマーヴィルの穴を埋める以上の活躍をして、代表復帰を目指して欲しいです。

タム・シャンツン
東京生まれながら両親がマレーシア人のタム選手は、昨季はクダに在籍したものの出場機会はほとんどないままペナンに移籍しています。ペナンでもいきなり先発とはならないでしょうが、プレシーズンマッチでは先発の機会も与えられているようなので、そこからスーパーサブ的な役割でも得られれば、そのユニークな背景から注目されるのではないでしょうか。

トレンガヌFC(2021年シーズンスーパーリーグ4位)

本拠地:スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
2021年シーズン成績:4位(11勝5分6敗)得点33(リーグ5位)失点20(同2位)
過去5シーズンの成績:2017年2部2位-2018年5位-2019年7位-2020年3位-2021年4位
監督:ナフジ・ザイン(マレーシア)
外国籍選手(*は新加入選手):
 *FWクパー・シャーマン(リベリア-クダ・ダルル・アマンFCから加入)
 *FWチェチェ・キプレ(コートジボアール-クダ・ダルル・アマンFCから加入)
 FWジョーダン・ミンター(ガーナ)
 MFハビブ・ハルーン(バーレーン-AFC枠)
 *MFマヌエル・オット(フィリピン/ドイツ-アセアン枠)
 *MFルーク・ウッドランド (フィリピン/英国-アセアン枠)
 *DFパペ・ディアキテ(セネガル)
 DF渡邉将基(日本-AFC枠)
 DFアルグジム・レゾヴィッチ(モンテネグロ)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 GKスハイミ・フシン
 GKラハディアズリ・ラハリム
 #DFアリフ・ファジラー
 #DFシャールル・ニザム
 DFアザム・アズミ
 DFアザルル・ナズリス
 DFアディブ・ザイヌディン(JDT IIから加入)
 MFファイズ・ナシル
 MFニック・アキフ
 #FWハキミ・アブドラー
 #FWファイサル・ハリム

チーム紹介:
打倒JDTの一番手と目された臨んだ昨季のトレンガヌは、第10節でJDTにとっては2季ぶりとなる黒星をつけるなど開幕前の予想に違わず、W杯予選によりMリーグが中断された第13節までの成績が8勝3分2敗とJDTを勝点差3で追走しました。しかし、およそ2ヶ月半後にMリーグが再開されると、JDTが残り9試合を全勝したのに対し、トレンガヌは3勝2分4敗と失速、特に最後のシーズン最後の5試合は1勝1分3敗で最終的には2019年シーズンよりも順位を下げて4位となりました。シーズン終了後には終盤の失速劇を重く見た経営陣が2019年途中から指揮を取るナフジ・ザイン監督との契約をなかなか更改せず、一時は交代も報じられましたが、結局、4季目も監督と務めることが発表されました。

終盤失速の原因の一つは、Jリーグのツエーゲン金沢やKリーグの浦項スティーラーズでもプレー経験があり、インドネシア1部のプルスバヤ・スラバヤでは42試合で35得点の実績を背負って加入したダビ・ダ・シルヴァが、シーズン通算7ゴールとMリーグでは前評判通りの結果が出なかったこと、そしてにそれでもナフジ監督がダ・シルヴァ選手の起用にこだわったことが挙げられます。セカンドチームのトレンガヌIIでは12試合で16得点、トレンガヌでも6試合で4得点とゴールを連発したジョーダン・ミンターを年間を通して起用せず、ダ・シルヴァ選手を最後まで使い続けた結果、シーズン最後の5試合を5得点5失点(ダ・シルヴァ選手は2得点)と逆転優勝どころかAFCカップ出場権のかかった2位も逃しています。そんなトレンガヌがシーズンオフに補強したのは、いずれもMリーグで過去3シーズンで33ゴールを挙げているクパー・シャーマン、そして過去5シーズンで46ゴールを挙げているチェチェ・キプレです。昨季はともにクダ・ダルル・アマンFCでプレーした両選手は合わせて23ゴールを挙げており、昨季のチーム総得点が33だったトレンガヌにとっては、得点力不足解消が期待できる補強となっています。

またマレーシア人選手が昨季からほぼ全員が残留したのも今季はプラスに作用しそうです。若い選手を多く起用した昨季は、リーグとマレーシアカップを合わせるとチーム最多の10ゴールを挙げ、覚醒した感のある24歳のファイサル・ハリム、リーグ戦21試合出場中12試合が途中出場とスーパーサブ的な使われ方をしながら5ゴールを挙げて、A代表に今年初めて招集された22歳のハキミ・アブドラ、そして今季はトップチームでの起用が増えるであろう、AFCU23アジアカップ予選で2ゴールを挙げたMFアズファル・フィクリに加えて、リーグ2位の20失点を支えたアリフ・ファジラー、シャールル・ニザム、アザム・アズミのDF陣も全員が20代前半で、昨季の経験を生かすことができれば、今季もJDTを脅かす一番手となりそうです。

ボラセパマレーシアJP的注目選手:
ファイサル・ハリム
それまで5シーズンを過ごしたパハンから移籍した昨季、ファイサル選手は、チームで唯一となるリーグ戦とマレーシアカップ全試合となる31試合先発を果たしています。一時はスペインのクラブが獲得に興味を示したという報道もありましたが、結局、それ以降は何もなかったようで今季もトレンガヌでプレーするようです。本来は左ウィングですが、タン・チェンホー前代表監督は、スズキカップ2020ではセンターフォワードとして起用するなど持ち味が活かされない場面がありましたが、キム・パンゴン新監督の元では自慢のスピードを駆使して本来のポジションでレギュラー獲得を目指して欲しい選手です。

タラハディアズリ・ラハリム
次世代の代表GK候補として19歳ながら昨年3月末のA代表合宿に招集されたものの、その合宿中に膝前十字靭帯ACL断裂の重傷を負ったタラハディアズリ選手は、このケガにより昨季を棒に振っています。今季はまずはセカンドチームのトレンガヌIIでの復活を目指すことになりそうですが、180cmに満たないマレーシア人GKが多い中で190cm超えの長身はそれだけで魅力的なので、是非、トップチームでのプレーを見てみたいです。

2022年シーズン開幕直前!ジョホール・ダルル・タジムJDT & クダ・ダルル・アマンFC

Mリーグ2022年シーズンは3月5日ピアラ・スンバンシー(チャリティーカップ)で開幕しますが、本日より全6回で今季のMリーグ1部スーパーリーグの12クラブを紹介します。第1回は昨季の覇者ジョホール・ダルル・タジムJDTと2位のクダ・ダルル・アマンFCです。

ジョホール・ダルル・タジムJDT(2021年シーズンスーパーリーグ優勝)

本拠地: スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
2021年シーズン成績:1位(18勝3分1敗)得点50(リーグ1位)失点9(同1位)
過去5シーズンの成績:2017年1位-2018年1位-2019年1位-2020年1位-2021年1位
監督:ベンヤミン・モラ(メキシコ)
外国籍選手(*は新加入選手):
 FWベルグソン・ダ・シルヴァ(ブラジル)
 *FWフェルナンド・フォレスティエリ(アルゼンチン/イタリア)
 *FWムサ・シディベ(マリ)
 FWフェルナンド・ロドリゲス(ブラジル)
 *FWビエンベニード・マラニョン(フィリピン-アセアン枠)
 MFレアンドロ・ベラスケス(アルゼンチン)
 DFマウリシオ(ブラジル)
 DFシェーン・ローリー (オーストラリア-AFC枠)
 *DFカルリ・デ・ムルガ(フィリピン-アセアン枠)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 #GKファリザル・マーリアス
 #DFアイディル・ザフアン
 #DFラヴェル・コービン=オング
 #DFマシュー・デイヴィーズ
 #*DFシャーミ・サファリ(スランゴールFCより加入)
 #DFアダム・ノー・アズリン
 #DFシャールル・サアド
 MFナチョ・インサ
 MFサフィク・ラヒム
 MFアフィク・ファザイル
 #MFナズミ・ファイズ
 #MFシャマー・クティ・アッバ
 *MFナサニエル・シオ・ホング・ワン(英国1部ウルヴァーハンプトンU23より加入)
 #FWサファウィ・ラシド
 #FWアキヤ・ラシド
 #FWアリフ・アイマン
 FWラマダン・サイフラー
 #FWモハマドゥ・スマレ
 #FWギリェルメ・デ・パウラ

チーム紹介:
ジョホール州王室の皇太子トゥンク・イスマイル殿下がオーナーを務めるJDTはスーパーリーグを2014年から7連覇中と国内では敵なしのクラブ。潤沢な資金で今季もフェルナンド・フォレスティエリ(セリエAのウディネーゼから加入)、ムサ・シディベ(スペイン2部のSDポンフェラディーナから加入)、ビエンベニード・マラニョン(フィリピン1部ユナイテッドシティより加入)、カルリ・デ・ムルガ(Mリーグのトレンガヌより加入)ら外国籍選手を獲得しています。さらにマレーシア代表シャーミ・サファリ(スランゴール)に加え、英国生まれながらマレーシア人の母親を持つ21歳のナサニエル・シオ・ホング・ワンを英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFCU23から獲得しマレーシア人選手として獲得するなど、リーグ戦はもちろん悲願のACLグループステージ突破に向けて余念がありません。

昨季からのメンバーを見てもリーグ2位の23ゴール(22試合)を挙げたエースのベルグソン・ダ・シルヴァに加え、マレーシア人選手もリーグMVPを獲得した19歳のアリフ・アイマン、スズキカップ2020で復活の兆しを見せた2018年と2019年のリーグMVPサファウィ・ラシド、さらに同じスズキカップ2020でゴールを決めたアキヤ・ラシドやシャールル・サアドなどメンバーははほぼ全員が代表選手という顔ぶれです。

なおMリーグ1部スーパーリーグの外国籍選手枠はAFC枠とアセアン枠を含めた5名、2部プレミアリーグはAFC枠を含めた4名ですが、JDTはセカンドチームのJDT IIが2部プレミアリーグに所属していることもあり、1部5名と2部4名の合わせて9名の枠いっぱいに外国籍選手を獲得しています。Mリーグを運営するMFLはトップチームとセカンドチームの間でのシーズン中の選手の入れ替え時期や回数に制限を設けていないため、9名の外国籍選手の中から調子の良い5名の選手をトップチームに置き、それ以外の4名の選手はセカンドチームでプレーさせることが可能です。個人的にはルールの盲点のような気もしますが、マレーシアのサッカーファンは「JDTのようにしたければ、他のクラブのセカンドチームをプレミアリーグでプレーさせれば良いだけだ」と、この仕組みにはあまり疑問を持っていないようです。

ボラセパマレーシアJP的注目選手:
・シャーミ・サファリ
ユース時代からプレーするスランゴールを飛び出したのは、ここ数年タイトル争いに絡めていないスランゴールへの不満か、それともより高いレベルでのプレーを目指す向上心からか。代表でも右サイドバックを争うマシュー・デイヴィーズとのチーム内での競争に勝てば、代表でも再び活躍できる日が訪れる日もそう遠くはなさそうです。

・ナサニエル・シオ・ホング・ワン-トゥンク
イスマイル殿下の帰化選手コレクションに新たに加わったシオ選手。MFが十分どころか多すぎるJDTに加わるシオ選手は守備的MFという触れ込みですが、ベテランのアイディル・ザフアンのバックアップという形でのデビューも考えられます。マレーシアの他に父親の出身国である中国や出生地の英国の代表としてプレーできる機会がある中でマレーシアを選んだのはなぜかにも興味が湧きますが、JDTは代表入りの近道ということもあるのかも知れません。

クダ・ダルル・アマンFC(2021年シーズンスーパーリーグ2位)

本拠地: ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
2021年シーズン成績:2位(13勝4分5敗)得点44(リーグ3位)失点9(同4位)
過去5シーズンの成績:2017年4位-2018年6位-2019年4位-2020年2位-2021年2位
監督:アイディル・シャリン・サハク(シンガポール)
外国籍選手(*は新加入選手):
 *FWロナルド・ンガ(カメルーン) 
 *FWデニス・ブシェニング(タイ/ドイツ-アセアン枠)
 *MFデチ・マルセル(コートジボアール)
 *DFチャン ソグォン(韓国-AFC枠)
 *DFマルク・バレス(アンドラ)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 GKシャーリル・サアリ
 GKイフワット・アクマル
 DFロドニー・ケルヴィン
 DFロクマン・ハキム
 DFファイルズ・ザカリア
 *MFカイルル・アズリン(ペナンFCより加入)
 MFアミルル・ヒシャム
 MFファズルル・ダネル
 MFファイアッド・ズルキフリ
 MFアリフ・ファルハン
 FWシャズワン・ザイノン
 FWフィクリ・ズルキフリ
 *FWアメル・アザハル(ペナンFCより加入)
 #*FWアル=ハフィズ・ハルン(ペナンFCより加入)
 #*FWシャフィク・アフマド(JDTより期限付き移籍で加入)

チーム紹介:
昨季途中に開幕から給料未払いだったことが明らかになったクダ。さらにMリーグがFIFA国際マッチデー期間に試合を開催したことで、自国の代表に招集されたリベリア代表のクパー・シャーマンやレバノン代表のラビ・アタヤがシーズン中に離脱するなど、チームの士気も上がらず、ベストメンバーで戦えない試合も少なくありませんでした。しかしシンガポール出身のアイディル・シャリン監督がその手腕を発揮して2季連続でJDTに次ぐリーグ2位となったのは見事としか言いようがありません。そのアイディル監督は昨季終了後に契約を延長し3年目を迎えますが、今季はさらに厳しい状況が続きそうです。何と言っても大きいのがユース時代からクダ一筋でプレーしてきた「ミスター・クダ」とも言えるMFバドロル・バクティアルの退団です。ここ数年間は主将としてチームを引っ張り、3年ぶりの代表復帰を果たすなどチームの中心だったバクティアル選手退団によって空いた穴を埋めるのは容易ではありません。さらに代表でもチームメートのDFリザル・ガザリも退団し、絶対的な主力選手2名抜けたクダは、外国籍選手5名も全員が入れ替わり、昨季とは全く違うチームになっています。

今季は若手中心の起用とならざるを得ないチーム状況の中、外国籍選手の内、昨季はトレンガヌでプレーしたデチ・マルセルと、マラッカでプレーしたチャン ソグォン、そして2部に降格したUITMでプレーしたデニス・ブシェニングといずれもMリーグでの経験がある選手が加入しています。またマレーシア人選手で言えばJDTから期限付きで移籍したシャフィク・アフマドと、ペナンから完全移籍したアル=ハフィズ・ハルンの代表FWコンビが加入したこと、そしてスランゴールから期限付き移籍していたロドニー・ケルヴィンの残留は明るい材料と言えます。

昨季はMリーグ1部スーパーリーグで2位となったことでAFCカップの出場権を得ているクダは、2019年のACLプレーオフ出場以来のアジアの舞台に臨みますが、これによる日程が過密になることで、選手勝の薄さが露呈しないかどうかが最大の懸念材料です。

ボラセパマレーシアJP的注目選手:
・ファズルル・ダネル、ファイアッド・ズルキフリ、フィクリ・ズルキフリ
名前がFで始まることからクダサポーターの間で「3F」と呼ばれるファズルル・ダネル、ファイアッド・ズルキフリ、フィクリ・ズルキフリのトリオの内、ファイアッド選手はリーグ戦とマレーシアカップ合わせて27試合に出場し、東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020の予備メンバーとして代表合宿に招集されるなど、主力定着間近です。またファズルル、フィクリ両選手も昨季の主力選手退団により今季は出場機会が多くなるはず。そこでチャンスをつかんで主力選手としてチームに定着できるかどうかが、クダの今季チーム成績にも大きく関わってきそうです。

・シャフィク・アフマド
新型コロナ前2019年のW杯予選ではインドネシアやアラブ首長国連邦を相手にゴールを挙げるなど、代表のエースとも言える活躍を見せたシャフィク選手ですが、昨季はJDTで出場わずか3試合、しかも通算出場時間は90分に満たないなどクラブでの出場機会をほとんど得られませんでした。それでも再開されたW杯予選やスズキカップ2020ではかつての活躍にもう一度期待したタン・チェンホー前監督によって代表に招集されましたが、失った輝きを取り戻すことができませんでした。自身が運転する車の事故で子どもを亡くし、またJDTでの出場機会が得られないことをSNSで呟いたところをクラブオーナーのトゥンク・イスマイル殿下にたしなめられるなど、ストレスが溜まる環境が影響したのかもしれません。そんな中で出場機会を求めてのクダへ期限付き移籍を選択したシャフィク選手ですが、ユース時代を過ごしたクダに戻った今季は、再びマレーシア屈指のストライカーとして新たに代表監督に就任したキム・パンゴン監督へ代表復帰アピールをして欲しいです。

2月17日のニュース
ACL東地区I組はマレーシアのジョホールでの集中開催が決定
Mリーグは今季もスタジアム内での飲食は禁止
Mリーグはペラの「支援」を表明

スズキカップ2020のマレーシア戦でMOMになったインドネシア代表のプラタマ・アルハンがJ2の東京ヴェルディ移籍、そしてAFF選手権ではU23代表が結局ラオスと2試合することになったなどのニュースも入ってきていますが、本題はACLとMリーグのニュースです。

ACL東地区I組はマレーシアのジョホールでの集中開催が決定

アジアサッカー連盟AFCは今季2022年AFCチャンピオンズリーグACLのグループステージ集中開催地を発表していますが、Mリーグ1部スーパーリーグのJDTが所属するI組は、マレーシアのジョホールで開催されることが決定しています。

4月15日から30日までの予定で開催されるグループステージI組は、スーパーリーグ8連覇中のJDTの他、昨季のJリーグ覇者である川崎フロンターレ、広州FC(中国)、そしてプレーオフで対戦する蔚山現代FC(韓国)とポートFC(タイ)の勝者の4チームで構成されており、この4チームが対戦する1回戦総当たりの6試合がJDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムを中心に開催されます。

JDTにとっては途中で棄権した2020年大会を含め4度目の挑戦となるACLですが、全試合本拠地開催の利点を生かして、初のグループステージ突破が果たせるかどうかに注目してみたいです。ちなみにJDTの過去3大会での戦績は以下の通りです。

2019年 グループステージE組4位(1勝1分4敗得点4失点8)
(A)鹿島 2-1 JDT、(H)JDT 1-0 鹿島 *JDTのACL初勝利
(A)山東魯能(現山東泰山) 2-1 JDT、(H)JDT 0-1 山東魯能 *JDTのACL初勝利
(A)慶南FC 2-0 JDT、(H)JDT 1-1 慶南FC *JDTのACL初勝点

2020年 グループステージG組4位(1勝0分1敗得点3失点7)*新型コロナ禍の中、一旦、中断後にカタールでの集中開催が決定したものの、マレーシア政府は渡航を認めずJDTは出場を辞退。このため公式記録上はJDTの試合は全て無効となっていますが、あえて書き記しておきます。
(A)神戸 6-1 JDT、(H)JDT 中止 神戸
(A)水原三星 中止 JDT、(H)JDT 2-1 水原三星
(A)広州恒大中止 JDT、(H)JDT 中止 広州恒大

2021年 グループステージG組3位(1勝1分4敗得点3失点9)
(A)名古屋 2-1 JDT、(H)JDT 0-1 名古屋
(A)浦項スティーラーズ 4-1 JDT、(H)JDT 0-2 浦項スティーラーズ
(A)ラーチャブリーミトポン 0-1 JDT、(H)JDT 0-0 ラーチャブリーミトポン

Mリーグは今季もスタジアム内での飲食は禁止

3月5日のMリーグ開幕まで2週間と迫り、新たなシーズンを前にファンの期待も高まる中、Mリーグを運営するMFLは、昨季に続き今季もスタジアム内での飲食が禁止となることをマレーシアの通信社ブルナマが報じています。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOによると、MFLは今季の開幕を前に、1)スタジアム内での飲食許可、2)現在は隔離が義務付けられている、検査が陰性ながら濃厚接触者である選手の試合出場許可、3)収容人員の50%あるいは最大2万人となっているスタジアム観戦者数制限の緩和の3点をマレーシア政府に求めたと説明しています。この内、2)については、昨年末にシンガポールで開催されたスズキカップ2020で採用された「国際基準」だということですが、マレーシア政府はこれを認めなかったということです。また3)については、1)と2)が認められた場合を前提としているということで、飲食許可と濃厚接触者ながら検査で陰性となった選手の出場が許可されない限り、スタジアムでの観戦者数は期待できなそうです。

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スタジアム内での飲食禁止とは言え、昨季はスタジアム周辺に屋台などは出ており、試合前と試合後はもちろん、試合中も柵越しに飲食物が購入されていたのをボラセパマレーシアJPは目撃しています。流石にスタンドまで持ち込む人は見ませんでしたが、スタンド下での飲食は試合中であっても黙認されており、規則を作っても取り締まる人間がいない状態でした。

Mリーグはペラの「支援」を表明

給料未払いによりFIFAとマレーシアサッカー協会MFLの双方から新たな選手獲得禁止処分を受けているペラFCは、今月2月22日に迫った今季1度目のトランスファーウィンドウ期間までに未払い給料を支払わなければ、新たな選手の獲得ができません。現在はチームの最小登録可能選手数の20名を割り込んでおり、このままではリーグへの参加ができませんが、この状況についてMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、登録選手が20名以下の場合でもリーグ参加を認める用意があると話しています。なおMリーグの規定では、リーグ出場するチームは最低20名、最高30名の選手を登録することが義務付けられています。

ペラFCの「苦境」を理解していると話すスチュアートCEOは「新たな選手の獲得を禁じられているペラFCは、昨季から残留する選手に加えて、U19チームやU17チームの選手が今季のリーグに出場することになるが、MFLはペラFCをできる限り『支援』する。」と述べています。スチュアートCEOはこれまでも、ペラFCの旧経営陣による「負の遺産」を引き継いだ新経営陣を規則に則って処分するのではなく、より現実的に対処することを繰り返し表明していることから、例外的にペラFCの参加を認める可能性が高そうです。

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給料未払いとなっている内の1人のジェオン・ヒョソクは2020年開幕前にペラFCと契約した選手です。契約直後にケガをしたと主張するジェオン選手とケガを隠して契約したとするペラFCとの間で起こった争いは、FIFAがペラFCに未払い給料支払いを求めることで決着しましたが、ペラFCはこれに応じなかった結果、FIFAによる新規選手獲得禁止処分を受けています。ペラFCがFIFAから処分を受けているにもかかわらず、MFLのクラブライセンス交付第一審機関FIBはペラFCに今季のクラブライセンスを交付していますが、これも「現実的な」対応だとすれば、FIBの独立性は根底から否定されてしまいます。




2月15日のニュース
アセアンU23選手権-新型コロナ陽性選手の交代選手も入国後の検査で陽性が判明
がん克服の代表MFはキム新監督率いる代表復帰に意欲

アセアンU23選手権-新型コロナ陽性選手の交代選手も入国後の検査で陽性が判明

昨日2月14日にカンボジアのプノンペンで開幕した東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するマレーシアU 23代表は、カンボジア入国時の検査でMFファーミ・ダニエル・ザアイム(トレンガヌFC II)が陽性反応を示し、現在はチームから隔離されています。このファーミ選手に代わり、昨日2月14日には交代選手としてMFシャフィ・アズワド・サパリ(JDT II)が早速、プノンペン入りしましたが、何とこのシャフィ選手も入国時の検査で陽性反応を示したと、マレーシアの通信社ブルナマが伝えています。この結果、本日2月15日のミャンマー戦を控えたマレーシアU23代表は登録人数制限より1人少ない27名で、この試合に臨みます。

オンラインで行われた試合前日の記者会見の席上で、U23代表のブラッド・マロニー監督は、シャフィ選手はマレーシアのクアラルンプール出国前に行なったPCR検査では陰性だったと説明し、カンボジア政府が新型コロナの陽性者に義務付けている措置に従い、7日間の検疫隔離を行なった後、再びPCR検査を受け、陰性が確定してから48時間後に隔離を解かれると説明しています。

またマロニー監督は、今大会の主将にモハマド・アイマン・アリフ(クダ・ダルル・アマンFC)を指名したことも明らかにしています。2019年からこの年代の年代別代表でプレーしているアイマン選手は、監督、コーチと選手間のコミュニケーションが円滑になるように責任を果たし、本日のミャンマー戦に向けて全力で臨みたいと話しています。

がん克服の代表MFはキム新監督率いる代表復帰に意欲

昨年6月のFIFAワールドカップ2020年大会アジア2次予選後に精巣腫瘍(精巣ガン)の初期段階と診断された代表MFのブレンダン・ガンは治療に専念するため、シーズン後半は出場がなく、ピッチからは半年以上離れていましたが、これが完治した現在は既に所属するスランゴールのプレシーズン練習に復帰して元気な姿を見せています。このガン選手が新たに就任したキム・パンゴン新監督率いる代表への復帰にも意欲を見せていると英字紙スターが報じています。

今月2月中旬に自身のコーチングスタッフを伴ってマレーシア入りが予定されているキム新監督は、3月5日に今季2022年シーズンが開幕するMリーグを視察した後、3月21日から29日にかけてのFIFA国際マッチデー期間に最初の代表合宿を行うとされていますが、33歳のガン選手はキム新監督が求めるサッカーに速やかに適応できるかどうかが代表復帰の鍵となると話しています。

「自分はこれまでにヨーロッパや南米、アジア、オーストラリアなど様々な地域からきた監督のもとでプレーしてきたが、試合に起用されるために最も重要なことはその監督が意図するサッカーに自分自身が適応できるかどうかだと考えている。キム新監督は代表に自身のサッカーを浸透させるために自分のコーチも引き連れてくると聞いている。そうであれば容易ではないかもしれないが、キム新監督のスタイルに自分が適応しなければならない。」と話すガン選手は、チームの雰囲気も良くするために選手たちも一致団結することが必要だとも述べています。

またがん治療後の体調について尋ねられたガン選手は、精神的にはこれまで以上に強くなったとして、練習であれ試合であれ常に全力を尽くすことを改めて自分に課していると話しています。「自分がサッカー選手としてこれまでしてきた努力は自分が十分に承知しているので、今は周りの評価を気にするのではなく、自分が今後もその努力を続けていけるのかどうかを見ていきたいし、それが最も重要なことだと考えている。その努力ができれば、それに見合った結果もついてくるはずだと考えている。」と述べています。

またガン選手は2月4日の国際がん啓発デーにちなんでスランゴールFCが主催したイベントに出席し、がん治療中の患者やがん克服者とともに、今季スランゴールFCが着用するセカンドジャージを発表しています。「手術とリハビリを経てがんに打ち勝ったことで、自分は生きていることが再認識できた。今回のイベントを通じて、がんに対する認識を高めたい。」

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ガン選手が代表でプレーした昨年6月のW杯予選では、格上のアラブ首長国連邦とベトナムには敗れたものの、タイとは引き分けるなど順当な結果を残しましたが、ガン選手離脱後の代表は2勝4敗と、ガン選手不在も代表チーム不調の原因の一つでした。

2月14日のニュース
アセアンU23選手権の最終メンバー28名が発表
未払い給料問題でリーグ出場危機のペラにお家騒動
MリーグのCEOは選手登録期間の延長の可能性を否定

アセアンU23選手権の最終メンバー28名が発表

マレーシアサッカー協会FAMは、明日2月15日にカンボジアのプノンペンで開幕する東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場する最終メンバー28名を発表しています。なおU23代表は、当初は2月11日メンバー発表、翌日12日にカンボジア入りの予定が発表されていましたが、予定を1日はやめて2月11日にカンボジア入りしており、メンバー発表と移動の順序が逆になってしまっています。

なおU 23代表はカンボジア入国時の検査でMFファーミ・ダニエル・ザアイム(トレンガヌFC II)が陽性反応を示したことから既にチームから隔離されており、MFシャフィ・アズワド・サパリ(JDT II)が既に代替選手として昨日、プノンペン入りしています。FAMが発表したU23代表28名のリストはこちらです。

未払い給料問題でリーグ出場危機のペラにお家騒動

前身のペラFAから数えてクラブ創設100周年記念となった昨季にMリーグ1部スーパーリーグで11位となり、Mリーグが現在の形式になって以来初の2部降格となったペラFC(以下ペラ)ですが、先日のこのブログでも取り上げた通り、3名の外国籍選手とその代理人に対して総額が170万リンギ(およそ4690万円)を超える未払い給料があることからFIFAとマレーシアサッカー協会FAMより新たな選手の獲得を禁じる処分を受けています。今季1度目のトランスファーウィンドウ期間の期限が2月22日と迫っており、それまでに未払い給料を完済しなければ今季の2部出場も危ぶまれる状況ですが、その問題の解決が遠のきそうな混乱がペラ州サッカー協会内で起こっていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

ブルナマによると、ペラ州サッカー協会PAFAのモハマド・ヤザン・モハマド会長代行は自身が正式な会長であるとして2021年から2025年までの任期を全うすると宣言したことにより、PAFA内の権力争いが不雑化の様相を示しているということです。昨日2月13日に行われたPAFAの年次総会の席上で、モハマド・ヤザン会長代行は、PAFAに加盟する7つの地区協会の信任を得て自身が正式な会長として承認されたと主張し、自身を支持した7つの地区協会から2人の副会長を指名したことを総会後の記者会見で明らかにしていますが、その一方でPAFA内の別の派閥である14の地区協会が昨年12月に開かれた臨時総会の席上でアズハル・ジャマルディン会長を選出していることから、現在、PAFAには2人の会長が存在する以上事態と状況となっています。

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モハマド・ヤザン会長代行は、給料未払いによって最終的に昨季開幕戦の先発XI全員がチーム去った際にPAFAで会計を担当していた人物であり、さらに未払い給料の早期解決を求めた選手に「待てないならチームをされ」と逆ギレ発言をおこなっていた人物でもあります。今回の未払い給料問題についても、前経営陣の責任というまるで他人事のような理由を挙げた上で、会長職に固執している姿勢を見ると、このまま会長争いは残り1ヶ月を切ったMリーグ開幕前に解決しそうな気配もなく、このままでは被害を被るのは結局、選手とファンということになりそうです。

またこの外国籍選手への未払い給料以外にも、昨年の11月と12月の未払い給料が支払い期限の1月30日をすぎても支払われていないという別報道もあります。PAFAはこのシーズンオフにペラFCの株式を広告会社としては無名のインパクトメディアアンドコミュニケーション社(IMC社)に譲渡しており、本来ならそこから得た収入は外国籍選手やマレーシア人選手への給料支払いに当てられることになっていたはずなのですが、それについての報道はこれまで全く出ていませんでした。

MリーグのCEOは選手登録期間の延長の可能性を否定

上でも書いた通り今季1度目のトランスファーウィンドウ期間は2月22日が最終日となっていますが、Mリーグを運営するMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、この起源を延長することはないと明言しています。

未払い給料問題により、FIFAとFAMから新たな選手との契約を禁じる処分を受けているペラに加えて、同じ今季2部降格組のUITM FCもチーム所有権譲渡の交渉中ということで、両クラブは今季の準備までは手が回っていないと、スタジアムアストロは報じていますが、スチュアートCEOはペラ、UITM両チームについて、現在、在籍している(契約済みの)選手だけでのリーグ出場には何も問題はないと話しています。

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マレーシア人選手だけで戦うのはたとえ2部プレミアリーグとはいえ、容易ではありません。しかも今季は3部に当たるM3リーグもあり、プレミアリーグでも下位になれば入れ替え戦に回る可能性もあります。(ただし、今季のプレミアリーグは従来の12チームではなく10チームしかないので、たとえ最下位の10位となってもプレミアリーグ残留となる可能性もありますが。)

それでもやはりスッキリしないのは、ペラが未払い給料で処分を受けている外国籍選手の1人が2020年シーズン開幕前に一旦は契約しながら、その後にケガが発覚したことを理由に契約を解除したジェオン・ヒヨソク(韓国)であること。給料未払いが過去3年にわたって繰り返されたマラッカ・ユナイテッドが毎年、クラブライセンスを発給されたのは、給料未払いがクラブライセンス審査後に発覚したからという苦しい説明を行なった前科があるこのラマリンガム事務局長は、2020年から未払いが解消されていないジェオン選手の件で、ペラがFIFAから処分を受けていたことについてどうのような説明をするのか、聞いてみたいのですが、なぜどのメディアもMFLの責任問題についてはつつかないのかなぁ。


2月12日のニュース
アセアンU23選手権-マレーシアと同組のインドネシアがケガとコロナの影響で出場辞退
今季2部降格のペラにリーグ出場辞退の可能性が浮上
クランタンFCオーナーがFAMにVARシステム供与を提案もFAM会長は「メディアではなく俺に直接話せ」

アセアンU23選手権-マレーシアと同組のインドネシアがケガとコロナの影響で出場辞退

東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するU23代表は昨日2月11日に開催地であるカンボジアのプノンペン入りしていますが、この大会ではマレーシアと同じB組のインドネシアが出場を辞退したとマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。前回2019年大会の優勝チームでもあるインドネシアですが、インドネシアサッカー協会PSSIが昨日発表したところによると、リーグ戦で怪我をした3選手に加え、選手7名とチーム関係者1名が新型コロナの検査で陽性反応を示し、さらに合宿で彼らと同室だった4名の選手が濃厚接触者となり隔離が必要となったことから、カンボジア出発を前にして大会出場辞退を決定したということです。インドネシアの出場辞退により、B組はマレーシアの他、ミャンマーとラオスの3チームとなりました。この大会はA組からC組までの3グループの1位と各組の2位の内、最も成績の良いチームが準決勝に進出します。

今季2部降格のペラにリーグ出場辞退の可能性が浮上

クラブ創設100周年となる昨季2021年シーズンにMリーグ1部スーパーリーグで11位となり、クラブ史上初の2部降格となったペラは、その理由は給料未払いによる主力選手の大量退団でした。そのペラは、既に退団した複数の選手に対して給料がいまだに支払われていないことが明らかになり、最悪の場合には今季のリーグ辞退もあり得ると、英字紙ニューストレイトタイムズが伝えています。

ペラは昨季在籍したいずれもブラジル出身のレアンドロ・ドス・サントスとカレッカ両選手への給料が未払いとなっている他、両選手の代理人への手数料支払いも滞っているということです。また2020年シーズン開幕前に一旦は契約しながら、その後にケガが発覚したことを理由に契約を解除したジェオン・ヒヨソク(韓国)に対しても同様の未払いがあるとされ、未払い給料と手数料の総額は170万リンギ(およそ4690万円)に上るということです。またこの未払い問題により、現在、ペラはFIFAとマレーシアサッカー協会FAMの両方から、外国籍、マレーシア人にかかわらず新たな選手の獲得を制限されていることも明らかになっています。既にペラは今季に向けてインドラ・プトラ・マハユディン、ザミル・スラマット(いずれもKLシティ)、ワン・ザック・ハイカル(スランゴール)、シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッド)ら新加入選手を発表していますが、今季1度目のトランスファーウィンドウは2月22日までとなっていることから、この日までに未払い給料問題が解決しなければ、これらの選手加入は無効となるだけでなく、チームそのものが存続できない可能性があります。

なお、この件についてFAMとMリーグを運営するMFLはこの記事作成時までには何も声明を発表していません。

昨季のペラはシーズン開幕からわずか数ヶ月後に給料未払い問題が明らかになり、最終的には開幕戦の先発XI全員が退団、移籍する異常事態となり、チームもシーズンで4勝(22試合)で11位となりMリーグが現在の方式となった1982年以来初の2部プレミアリーグ降格となっています。 

実はさらに深刻なのはペラが降格した2部プレミアリーグで、本来は12クラブで構成されるはずのリーグは、ここ数年で消滅、撤退したクラブもある一方で、新型コロナのため3部リーグのM3リーグが過去2年間行われず、入れ替え戦も実施されていません。このため今季は10クラブのみの参加となっているプレミアリーグですが、ペラが辞退となると9チームとなり、しかもその内の3クラブは1部スーパーリーグのセカンドチームというこれまた、2部リーグなのかリザーブリーグなのかわからない状況になっています。

クランタンFCオーナーがFAMにVARシステム供与を提案もFAM会長は「メディアではなく俺に直接話せ」

Mリーグ2部クランタンFCの「物言う」オーナーとしても知られているノリザム・トゥキマン氏がマレーシアサッカー協会FAMに対してVARの導入を求め、FAMに導入する資金がなければ自身がそのシステムを購入し、FAMに貸し出すことを提案しています。

審判の質が度々問題として取り上げられるMリーグですが、ノリザム オーナーは審判のレベルが向上すれば、クラブの民営化も含めたリーグの改革も上手くだけでなく、リーグ全体のレベルアップにもつながりと話し、VARの導入を強く主張しています。その上でVAR不採用の理由がFAMの資金不足であれば、自身がそのシステムを購入しFAMに貸し出すビジネスも検討していると、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。

今回のノリザム オーナーのコメントは、クランタンFCが昨季のマレーシアカップで審判の微妙な判定によりノックアウトステージ進出を逃した上、その判定をリザル・ザムブリ監督が批判した結果、FAMの懲罰委員会から罰金処分を受けたことが根底にあります。

VARの導入については、Mリーグ1部スーパーリーグの12の本拠地に導入する場合にはおよそ750万リンギ(およそ2億700万円)の費用がかかるという試算がされており、FAMはVARの導入については検討しているとしながらも、具体的な導入時期は発表していません。

またその続報としてハリアンメトロは、FAMのハミディン・アミン会長がその提案を歓迎する一方で、FAMに直接、提案するべきだと述べている、と報じています。「ノリザムオーナーのコメントは素晴らしいが、FAMを支援する意思があるなら。私やFAMの役員に直接、話をするべきであり、FAMは常に意見に対して聞く用意があり、メディアを通じて提案をする必要はない。」と述べ、ノリザム オーナーの取った方法を暗に批判しています。

2月11日のニュース
KDDIが本山雅志選手所属のクランタンUのスポンサーに
タイ1部リーグ第19節-チョンブリーは敗れエルドストールはベンチ外

今回開幕まで残り1ヶ月を切り、各地でプレシーズンマッチが行われています。一昨日はトレンガヌII対ペナンで乱闘が勃発し、中断した試合の再開にペナンに応じず、この試合を主催したトレンガヌが公式に謝罪声明を発表しています。暴力に訴えるのは明らかに間違えていますが、映像で乱闘までの経緯を見る限りではどっちもどっちの様相でした。

KDDIが本山雅志選手所属のクランタンUのスポンサーに

Mリーグ2部プレミアリーグのクランタン・ユナイテッドは、KDDIの現地法人KDDIマレーシア社とスポンサー契約を結んだことを、クラブ公式Facebookで発表しています。KDDIマレーシア社は15万リンギ(およそ417万円)をスポンサーとして提供する他、クランタン・ユナイテッドが行うユース育成プログラムの作成などにも関わっていくということです。クランタン・ユナイテッドのスポンサーとなった日系企業はヤクルトマレーシア社についで2社目です。また今回のKDDIマレーシア社のスポンサー契約締結を支援したヤクルトマレーシア社の濱田浩志社長はクランタン・ユナイテッドの諮問委員会の委員となったことと合わせて発表されています。

タイ1部リーグ第19節-チョンブリーは敗れエルドストールはベンチ外

タイ1部リーグ第19節が2月5日と6日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCは、加藤恒平選手が所属するチェンライ・ユナイテッドFCに0-1で敗れたものの、リーグ3位を維持しています。

2022年2月6日@レオ・チェンライスタジアム
チェンライ・ユナイテッドFC 1-0 チョンブリーFC
チョンブリーの連勝は2でストップ。なおジュニオール・エルドストールは、今季2度目となるベンチ外でした。なお、エルドストール選手は2月9日に行われたリーグカップでもベンチ入りしませんでした。どうしたんだろう…。
(試合のハイライト映像はタイリーグの公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ順位表(第19節終了時)

順位チーム得失差勝点
1ブリーラムU2013342042
2バンコクU2011451537
3チョンブリーFC2010551535
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFCのみ表示しています。

2月10日のニュース(1)
再契約の約束を反故にされたと主張するサラワクUのブラジル出身FWが失意の帰国
マレーシア国内新規感染者増もFAMはアジアカップ3次予選開催地として立候補の意向は変えず

再契約の約束を反故にされたと主張するサラワクUのブラジル出身FWが失意の帰国

昨季はMリーグ2部プレミアリーグで2位となり、今季は1部スーパーリーグに昇格するサラワク・ユナイテッドは、昨季終了後も選手や監督、コーチへの給料が未払いとなっていましたが、オーナーが「未払いではなく遅配である」と嘯き、またこれをメディアに公開した選手に対しては「事を大袈裟にしてクラブを貶めるような選手はいらない。」などと逆ギレ気味の発言をするなど、その運営姿勢には大いに問題があるクラブですが、今度は再契約をちらつかせられた外国籍選手がマレーシアへ戻ってきたら、クラブからは不要と言われて帰国するという事件が起こっているようです。

スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、昨季サラワク・ユナイテッドに在籍したサンドロ・ダ・シルヴァは再契約を約束されて今年1月22日に母国のブラジルからマレーシアへ入国したそうですが、クラブからはE・エラヴァラサン監督の決定により新たな外国籍選手と契約すると告げられて、サンドロ選手とは再契約しない旨を告げられたと報じられています。

2015年にクダに加入し、その後はスランゴールでのプレーを経て、昨季からはサラワク・ユナイテッドでプレーしていた今年38歳のサンドロ選手は、クラブ関係者からは再契約を前提としていると聞かされており、他のクラブからのオファーを受けていたがそれらを断るようにとも言われていたと話しています。「再契約の意思がないならそれを伝える電話一本で済むことで、わざわざ自分をブラジルからマレーシアまで呼び寄せる必要はなかったはずだ。」と話したサンドロ選手は、再契約をちらつかせたクラブ関係者には失望していると話す一方で、その名を明かすつもりはないとし、さらに現時点ではこのまま引退する可能性が高いとも話しています。

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サンドロ選手について取り上げたスタジアムアストロの記事に対して、サラワク・ユナイテッドは記事の内容を否定する声明をクラブ公式Facebookに投稿しています。これによればクラブはサンドロ選手に対して昨年12月2日に今季2022年シーズンの契約を提示したものの、サンドロ選手が12月6日にこれを拒否した上で新たな再契約オファーの提案があったとしています。サンドロ選手からは「メッセージアプリのWhatsApp」を利用して回答があったことから、クラブはその提案内容を正式に書面で提出するように求めましたが、その期限とした1週間後までに書面での提出がなかったことからクラブはサンドロ選手側に契約の意思がないと判断したと説明しています。この他、サラワク・ユナイテッドはサンドロ選手に交渉のためにマレーシア入国を求めたことも否定し、今回のマレーシア入国はあくまでもサンドロ選手の意思によるものだともしています。

マレーシア国内新規感染者増もFAMはアジアカップ3次予選開催地として立候補の意向は変えず

マレーシアは成人の半数以上が3度目のブースタ-接種を終えていますが、新型コロナの1日当たりの感染者数は連日、今年最高を記録し続け、2月9日は1万7000人を超えています。そんな中でマレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、マレーシアがAFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選の集中開催地として立候補する意向は変わっていないと述べています。

マレーシアの通信社ブルナマによるとハミディンFAM会長は、オミクロン株による国内の新規感染者数急増について、この状況は対応できる範囲内にあり、一定期間後には感染者数が減っていくとするマレーシア政府保健省の主張を信じていると話しています。その上で国内のスポーツを統括する青年スポーツ省に対しては、アジアカップ3次予選開催のための表中作業手順SOPの見直しは特に行わないとも述べています。

「新規感染者数が増加傾向にあることは理解しているが、多くの国民がワクチン接種している現在は、これまでの状況とは異なると考えている。FAMは保健省や国家安全保障委員会が設けた基準に則って、アジアカップ3次予選をマレーシアで開催する意向をAFCに文書で伝えてあり、今はそれ変更する予定はない。実際に開催地に選ばれるかどうかは今月2月24日の組み合わせ抽選以降になり、それを選ぶのはAFCだが、マレーシアだけでなく3次予選に出場する多くの国が開催地として立候補していると聞いている。」と話したハミディンFAM会長は、開催地決定は渡航者に検疫隔離を義務付けていない国などとの競合になるとしながらも、1980年大会以来となるAFCアジアカップ出場を果たすための本拠地開催に意欲を示しています。

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マレーシアは2007年にタイ、ベトナム、インドネシアと共同開催したアジアカップで「開催地枠」での出場はあるものの、予選を突破しての出場となると上記の1980年クウェート大会まで遡らなければなりません。また国外の開催となれば、マレーシア政府が渡航者全員に義務付けている検疫隔離により国内リーグの日程も影響を受ける可能性もあることから、マレーシアは自国での3次予選開催を強く希望しています。昨日2月9日には、マレーシア政府の諮問機関の国家復興評議会NRCが渡航者に義務付けている検疫隔離措置について、3月1日付けで全面的に撤廃し、国境を完全に開放するよう政府に提案するなど、アジアカップ予選を開催する環境も整いつつあります。 とは言え、昨年末のスズキカップ2020の代表のプレーぶりを見る限りでは、自国開催が実現したとしてもキム新監督が何かマジックを使わない限り、3次予選突破は容易ではなさそうです。


2月9日のニュース
クチンシティに4人目の外国籍選手加入
アセアンU23選手権出場のU23代表が練習試合でサバと引き分け
マレーシア代表カラーのエアバスをマレーシア航空が披露-U23代表はこの機体でカンボジアへ

クチンシティに4人目の外国籍選手加入

Mリーグ2部プレミアリーグのクチンシティは、クラブ公式Facebookで4人目の外国籍選手となるキアヌ・マーシュ=ブラウンの加入を発表しています。英国生まれのマシュー=ブラウン選手はアーセナルのユースからフラムのユースを経て、2009年にフラムで初のプロ契約を結びオルダム・アスレチックやスコットランド1部リーグのダンディー・ユナイテッドなどを経てアメリカへ渡り、直近ではバーレーン1部リーグのイースト・リファー・クラブと契約していたようです。

29歳のマシュー= ブラウンは英国とガイアナの国籍を持つストライカーということですが、このマシュー・ブラウン選手の加入で、先日のこのブログでも紹介したリベリア代表FWアブ・リザルド・カマラ、昨季から残留するDFアレモン(ブラジル)、そして2季振りの復帰となるMF谷川由来と4名の外国籍選手枠が埋まりました。

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このマシュー=ブラウン選手がガイアナ代表と聞いて真っ先に思い浮かべたのが「ガイアナの悲劇」だったという事実はさておき、ネットでも指摘されていますが、ウィキペディアのマシュー=ブラウン選手のページには「双方合意の上契約解除」という記述が複数回でてきます。イルファン・バクティ監督が今季いっぱいでの退任を表明している中で1部昇格を手土産に送り出したいクチンシティですが、マシュー=ブラウン選手とクチンシティがシーズン途中での「双方合意の上契約解除」とならないことを祈っています。

アセアンU23選手権出場のU23代表が練習試合でサバと引き分け

今月2月14日から26日までカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するU23代表は、初の練習試合としてMリーグ1部スーパーリーグのサバFCと対戦し、を行い、1-1と引き分けています。シーズンオフの大規模な補強により、昨年末のAFF選手権スズキカップ2020に出場した代表の選手4名が先発に名を連ねたサバFCに対し、76分にT・サラヴァナンのゴールで先制したU23代表でしたが、81分にはサバFCのスチュアート・ウィルキンスに同点ゴールを決められています。

サバFCの本拠地リカススタジアム(サバ州コタキナバル)で行われたこの試合はU23代表が合宿を始めて以来初の実戦となりましたが、代表4名の他、外国籍選手なども先発しほぼベストメンバーのサバに対して前半はむしろ優勢に試合を進める展開となりました。今回のU23代表は、昨年10月に行われたAFC U23アジアカップ予選で主力となったルクマン・ハキム(ベルギー1部KVコルトレイク)、ムカイリ・アジマル、クエンティン・チェン(いずれもスランゴール)ら含まれておらず、U23代表のブラッド・マロニー監督は今回のAFF U23選手権をそういった主力に続く戦力を探すための大会と位置付けています。

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またマレーシアの通信社ブルナマによると、マロニー監督が米国の大学でプレーするワン・クズリについて、今回の代表には参加しないことを明らかにしています。「個人的な問題」を理由に米国を出国できずにいたワン・クズリ選手ですが、マロニー監督はAFF U23選手権前に全選手が顔を揃えることを条件としており、現在マレーシア政府が全ての渡航者に義務付けている最低でも5日間の検疫隔離の時間を考えると、今週月曜日までにマレーシアへ入国できない場合は、今回のU23代表に参加させないことを明らかにしていました。

マレーシア代表カラーのエアバスをマレーシア航空が披露<br>-U23代表はこの機体でカンボジアへ

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、マレーシア代表「ハリマウ・マラヤ(マレーの虎)」のエンブレムがプリントされたエアバス330-300Fを披露しています。FAMの公式エアラインでもあるマレーシア航空が運営するこのエアバスは、「ハリマウ・マラヤ」のシンボルカラーでもある黄色と黒色で塗装されています

ハリマウ・マラヤのエンブレムに加えてマレーシア国旗も描かれているワイドボディーの機体は、FAMのハミディン・アミン会長やマレーシア航空のイズハム・イスマイルCEOらが出席したの披露式典で公開されています。また。この席上ではカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するU23代表は今月12日にこの機体に搭乗してカンボジア入りすることも発表されています。マレーシア航空は2019年からFAMの公式エアラインとなり、昨年のA代表の中東遠征の際にマレーシア航空によって運行されたチャーター便も、ハリマウ・マラヤ仕様の期待となっていました。


2月4日のニュース
アセアンU23選手権-アメリカ在住のワン・クズリの参加は見送りか
KLシティは長身FWが5人目の外国籍選手
クチンシティにはリベリア代表FWが加入

アセアンU23選手権-アメリカ在住のワン・クズリの参加は見送りか

今月2月14日から26日までカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFFU 23選手権に向けてマレーシアU23代表は合宿を行っています。先日は5名が追加招集される一方で、アメリカの大学でプレーするワン・クズリ・ワン・カマルは未だ合流できていません。この状況について、ブラッド・マロニーU23代表監督は、カンボジア出発前に大会に参加する全選手が揃うことを望んでいると話し、合流が遅れているワン・クズリ選手についてはマレーシア入国後の検疫隔離期間が必要なことから、2月6日までに合流が確定しない場合には候補選手名簿から外す方針を明らかにしています。

スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによれば、ワン・クズリ選手と直接、電話で話をし、本人がU23代表参加を望んでいることを確認したと話すブラッド・マロニーU23代表監督は、ワン・クズリ選手のU23代表への合流を望んでいるものの、2月12日と迫ったカンボジア出発前にチームに合流できなければ、戦力として考慮しないと話しています。U23代表は本日2月4日にサバへ出発し、2月5日にMリーグ1部スーパーリーグのサバと練習試合を行い、その後クアラルンプールに戻って2月10日にKLシティと最後の練習試合を行った後、カンボジアへ向けて出発する予定になっています。

マレーシアU23代表は昨年10月にモンゴルで行われたAFC U23アジアカップ予選を1位通過していますが、この時の主力選手は今回のU23代表には招集されておらず、マロニー監督は今回のAFF U23選手権を主力以外のメンバーの底上げと位置付けており、ワン・クズリ選手についても合流しても自動的にボジションが与えられるわけではないと話しています。また今回のU23代表合宿には、MFアシャル・ハディ(JDT II)、FWカイリ・スフィアン、DFファイズ・アメル(スランゴール2)、アズハド・ハラズ(サバ)、GKアイザット・アイマン、DFウバイドラー・シャムスル(FAM-MSNプロジェクト)の6名のU19代表も招集されています。

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タイはU19代表が参加、開催国カンボジアは本田圭佑氏が指揮を取る、またリーグ戦中にも関わらず主力5名の選手をU23代表に招集されたバンバン・パムンガス監督(ブルシジャ・ジャカルタ)が怒っている、などと大会が近づくにつれ、さまざまなニュースが入ってきていますが、U23代表はこのAFF U23選手権後には5月に東南アジア競技大会通称シーゲームズ(ベトナム)、6月にはAFC U23アジアカップ(ウズベキスタン)、そして9月にはアジア競技大会(中国)と大会が目白押し。しかもA代表と掛け持ちの選手はAFCアジアカップ2023大会予選が6月に、AFF選手権スズキカップ2022が12月にも控えており、FAMがしっかりと優先順位をつけて選手を招集して欲しいです。

KLシティは長身FWが5人目の外国籍選手

5つ目の外国籍選手枠が埋まっていなかったKLシティは、元コンゴ代表でフランス生まれのFWケヴィン・クベンバの加入をクラブ公式Facebookで発表しています。192cmと長身のクベンバ選手は28歳で、フランス1部のLOSCリール、ブルガリア1部CSKAソフィアなどでもプレーし、昨季はいずれもアゼルバイジャン1部のサバフFKとKSテウタ・ドゥラスに所属していました。

昨季のKLシティはFWドミニク・ダ・シルヴァが開幕直後のケガで離脱、2度目のトランスファーウィンドウ期間に獲得したFWキリアン・ヌワブエズはチーム合流後の初戦でケガを負うなど、シーズンを通して攻撃力不足に苦しみました。窮余の策としてMFロメル・モラレス(コロンビア)をシーズン途中でフォワードにコンバートしたところ、シーズン後半にはこの起用が実を結んだものの、年間を通しての得点力不足に悩んだボヤン・ホダック監督にとってクベンバ選手は喉から手が出るほど欲しかったストライカーの獲得となりました。シーズン終盤のマレーシアカップでは8試合で10ゴールを挙げた188cmと長身のモラレス選手とクベンバ選手の「ツインタワー」はスーパーリーグのライバルにとって脅威となりそうです。

クチンシティにはリベリア代表FWが加入

Mリーグ2部プレミアリーグのクチンシティは、リベリア代表FWアブ・リザルド・カマラの加入をクラブ公式Facebookで発表しています。北マケドニア1部リーグのFKマケドニヤ・ジョルチェ・ペトロフから加入するカマラ選手はKFドゥカジニ(コソボ)、NKルダル・ヴェレニエ(スロベニア)などでもプレー経験があります。またFIFAの公式サイトによると、昨年9月から11月にかけて行われたFIFAワールドカップ2022年大会アフリカ2次予選でリベリア代表として5試合に出場し(FIFAの記録では登録選手名がAbu KamaraではなくAbu Rizardとなっています)、1部スーパーリーグのトレンガヌでプレーする同じリベリア代表のクパー・シャーマンとチームメートでもあります。25歳のカマラ選手の加入で、クチンシティは昨季から残留するDFアレモン(ブラジル)、2季振りの復帰となるMF谷川由来と3名の外国籍選手枠が埋まっています。また残る1人については英国出身ということをイルファン・バクティ監督自身がメディアに明らかにしています。