8月9日のニュース:陽性者のみ隔離を求めたMFLの申請を政府が却下、MFLが試合日程変更を発表-1ヶ月で10試合のチームも

陽性者のみ隔離を求めるMFLの申請を政府が却下
 Mリーグを運営するMFLは新型コロナウィルス対策を担当するマレーシア政府国家安全保障委員会NSCに対し、Mリーグ各クラブについて新型コロナ陽性者のみを検疫隔離し、陰性者には練習参加や試合出場を求める申請を行っていましたが、NSCはこの申請を却下したということです。
 申請が却下されたことを明らかにしたMFLのアブドル・ガニCEOはマレーシア語紙ブリタハリアンの取材に対し、NSCはマレーシア国内での新規感染者数が高止まりしている状況をもとに申請を拒否したことを明らかにしています。(8月9日の発表はおよそ1万7000人)
 「MFLは従来通りの標準作業手順SOPを維持し、各クラブが行っている検査で陽性反応を示した者は14日間の検疫隔離に、また陰性反応を示した者の濃厚接触者は10日間の検疫隔離を求め、濃厚接触者には従来通り、検疫隔離期間中の練習参加を禁止する。各クラブはこれまで以上にSOP遵守に留意し、今季の残り試合がこれ以上の遅延なく開催されるためにも新たな感染者を出さないよう最大限の努力を求めたい。」と述べたアブドル・ガニCEOはNSCによる申請却下を受け、Mリーグ1部、2部とも今後の日程の変更を行うことも発表しています。
 MFLは1部のクダ・ダルル・アマンFCと2部のクチンシティFCがいずれも試合前に行った検査で陽性者が見つかり、14日間の検疫隔離を実施しています。これによりクダ・ダルル・アマンFCは5試合、クチンシティFCは7試合が延期となっており、Mリーグの日程にも影響が生じています。

MFLが試合日程変更を発表
 MFLは公式サイト上で今季残り試合の日程変更を発表しています。
 上の記事でも取り上げたように1部スーパーリーグでは現在4位のクダは5試合が、2部プレミアリーグで10位のクチンシティFCは7試合が、それぞれ延期になっています。
 スーパーリーグ、プレミアリーグとも最終順位はこの両チームが全日程を終了するまで確定できないことから、MFLは既に延期になっている試合については、最終第22節前の試合が予定されていない日に開催し、最終節にはクダ・ダルル・アマンFC、クチンシティFCとも他のチーム同様に日程を終了できるように日程を改変しています。
 Mリーグ終了後には、1部スーパーリーグの上位11チームと2部プレミアリーグの*上位5チームが出場するマレーシアカップ、1部最下位と2部プレミアリーグの*6位以下が出場するチャレンジカップが開催されるため、リーグ最終順位決定が遅れれば、この両カップ戦の組み合わせ抽選日程にも影響が出ることが懸念されていました。
 今回新たに発表された日程では、クダ・ダルル・アマンFCは8月13日からリーグ戦を再開し最終第22節が開催される9月12日までのおよそ1ヶ月で9試合を、8月17日に後半戦初戦となるクチンシティFCは最終第22節の9月12日までのやはりおよそ1ヶ月間に10試合が組まれています。
(以下はMFL公式サイトで発表されたクダ・ダルル・アマンFC(青)とクチンシティFC(赤)の変更日程)

 なおMFLはマレーシアサッカー協会FAMの承認を得た上でで、8月30日から9月7日のFIFAの国際マッチデー期間にも1部スーパーリーグは試合を開催することも発表しています。なおこの期間は、マレーシア代表のタン・チェンホー監督が代表合宿を開催したいと述べていましたが、MFLのアブドル・ガニCEOは既に発表となった日程を理由にMリーグクラブには代表招集拒否権があると述べています。また外国籍選手が自国の代表チームに招集された場合、一旦出国すれば、クラブに合流可能となるのは渡航者全員に義務付けられている14日間の検疫隔離を終えてからとなる点には変更がないことも明らかにしています。
 新たに発表された1部スーパーリーグの日程はこちら、2部プレミアリーグの日程はこちらです。

Mリーグ1部スーパーリーグ第18節結果

 8月7日と8日の両日、Mリーグ1部スーパーリーグ第18節が開催されました。なお後半戦開幕から2週間で5試合と詰まった日程だったMリーグですが、次節第19節は1週間空いて8月13日と14日に予定されています。
 試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。

2021年8月7日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 2-0 ペラFC
得点者:UITM-シーン・ガン・ジネリ(30分)、シャフィク・アル-ハフィズ(74分)
 11位と12位の対戦となったこの試合は、12位のUITM FCが11位のペラFCを破り今季初勝利を挙げるとともに、今季1部残留の可能性をわずかならがら残しました。
 一方のペラFCは後半戦5試合で1分4敗、しかもこの間3得点17失点とチーム崩壊が止まりません。

2021年8月7日@シティースタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFC 2-1 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:ペナン-ラファエル・ヴィトール(75分PK)、シェリディン・ボボエフ(90+3分)、マラッカ-ジョヴァンニ・ゴメス(90分)
 トップ3入りと来季のAFCカップ出場を目指すペナンFCは、66分にカイル・アズリン・カザリが2枚のイエローで退場なりながらも先制、そしてロスタイムには執念の逆転劇を見せて3位を維持しています。
 3試合ぶりにチャン・ソグォンとS・クマーランが先発メンバーに戻ったマラッカ・ユナイテッドFCは90分にジョヴァンニ・ゴメスの加入後初ゴールで一旦は同点に追いつくも、最後に失点し、降格圏から抜け出せませんでした。

2021年8月7日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティーFC 1-0 PJシティーFC
得点者:KL-パウロ・ジョズエ(31分)
 KLシティFCは開幕時のストライカー、ドミニク・ダ・シルヴァがケガで前半戦の大半を棒に振ったことから、トランスファーウィンドウ期間に新たにキリアン・ヌワブエズを獲得。しかし、このヌワブエズも後半戦開幕戦となったスランゴールFCでまさかの膝前十字靭帯(ACL)損傷で今季残り試合の出場が絶望となり、そこからチームも4試合連続引き分けで、この間の得点も4と苦しい試合が続いています。一方PJシティFCも開幕直後の快進撃の原動力となったダレン・ロックが未だケガから復帰できず、後半戦4試合でわずか1得点(5失点)とこちらも得点力不足に苦しんでいます。
 そんなエースがいない両チームの戦いはKLシティFC主将のパウロ・ジョズエのゴールで雌雄が決しています。

2021年8月7日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 2-0 スリ・パハンFC
得点者:トレンガヌ-デヴィッド・ダ・シルヴァ(12分)、ファイザル・ハリム(24分)
 打倒JDTの一番手と目されながら、降格争いをするマラッカ・ユナイテッドFCに敗れるなど後半戦は戦いが安定しないトレンガヌFCが2連勝を飾っています。
 トランスファーウィンドウ期間にスリ・パハンFCに加入するとそれまで不振のチームを1人で激変させたマヌエル・イダルゴ。そのイダルゴ選手を警告累積によりを欠いたスリ・パハンFCは6試合ぶりに無得点で敗れています。

2021年8月8日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 2-0 サバFC
得点者:JDT-ベルグソン・ダ・シルヴァ(18分、21分)
 JDTはエースのベルグソン・ダ・シルバがリーグ得点王に躍り出る2ゴールを決めて快勝。
 一方、後半戦開幕以来3分1敗と勝ち星のないサバFCはパク・テスとヨシプ・イヴァンチッチをケガで欠く苦しい布陣で望みましたが、過去4試合で3得点の攻撃陣がこの試合でも機能しませんでした。

 今節、ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)で予定されていたクダ・ダルル・アマンFC対スランゴールFC戦は、チーム内で新型コロナ陽性者が見つかったクダ・ダルル・アマンFCが現在、隔離期間中のため延期となっています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第18節終了時)

ClubGWDLGFGAGDP
1JDT1814314283445
2TFC18114330141437
3PEN179442722531
4KDA138232113826
5SEL177553025526
6KL185942117424
7SBH174772023-319
8PJ174671119-818
9PHG174582027-717
10MU184772024-4*16
11PRK1834111738-2113
12UITM171214736-295
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第18節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)19
2イフェダヨ・オルセグン(SEL)17
3クパー・シャーマン(KDH)9
パウロ・ジョズエ(KL)9
5カサグランデ(PEN)8
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

Mリーグ1部スーパーリーグ第17節結果

 8月3日から8月4日にかけてMリーグ1部スーパーリーグ第17節が開催されました。今節も首位JDTが勝利し、優勝が近づく一方で2部降格圏のペラFCとUITM FCが敗れ、降格チームも確定しそうです。
 試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。

2021年8月3日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 3-5 ペナンFC
得点者:ペラ-ナナ・ポク3(15分、36分、58分PK)、ペナン-ラファエル・ヴィトール3(1分、8分、28分)、カサグランデ(21分)、アジム・ラヒム(86分)
 前節でJDTに0-5で敗れたペラFCと、同じく前節にスランゴールFCに1-4で敗れたペナンFCの対戦は、開始10秒でペナンFCが先制する大荒れの予感を感じさせる展開で始まりました。その後も先制ゴールを決めたラファエル・ヴィトールが8分、28分とゴールを決め試合開始から28分でハットトリックを達成、さらにエースのカサグランデが後半戦初ゴールを決めるなどする一方、ナナ・ポクの2ゴールで追いすがるペラFCは前半を2-4のスコアで折り返しました。51分にはPKを得たペラFCがナナ・ポクのこの試合3得点目となるゴールでペナンFCに1点差と迫りますが、86分にアジム・ラヒムがペナンFCのこの試合5点目を決めてペラFCを突き放し、両チームでハットトリックを記録した大荒れのこの試合はペナンFCが勝利しています。
 2試合連続の5失点、さらに後半戦開始からの4試合で15失点と守備陣が崩壊し、チョン・イーファット監督を「休養」させて臨んだペラFCでしたがシャーリル・ニザム監督代行でもこの悪い状況は改善されませんでした。なおペラFCは次節は最下位のUITM FCとアウェイで対戦します。また試合のなかったクダ・ダルル・アマンFCを抜いて今季最高位の3位に浮上したペナンFCは次節でホームでマラッカ・ユナイテッドFCと対戦します。

2021年8月3日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 0-1 JDT
得点者:JDT-ベルグソン・ダ・シルヴァ(2分PK)
 この試合も開始20秒でJDTがPKを得ると、ベルグソン・ダ・シルヴァが今季17試合で16得点目となるゴールを決めてJDTが先制し、こちらも大荒れの予感でしたが、マラッカ・ユナイテッドFCのGKカイルル・ファミ・チェ・マットのファインセーブやJDT攻撃陣のシュートミスなどもあり、JDTが圧倒しながらスコアは1-0で終わっています。
 ボラセパマレーシアJPでは後半戦開幕前にマラッカ・ユナイテッドFCの展望として、前半戦13試合で19失点の守備が補強ポイントにもかかわらず新外国籍選手は2人だったことから補強ポイントが違うのでは、と書きましたが、それに反し、後半戦4試合で失点3と立て直してきています。
 僅差の試合となったものの、これで今季10試合目の完封勝利となったJDTは次節はホームでサバFCと、一方のマラッカ・ユナイテッドFCはアウェイでペナンFCと対戦します。

2021年8月3日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 2-0 UITM FC
得点者:シャルル・ナジーム(24分)、イフェダヨ・オルセグン(57分)
 シャルル・ナジームの今季初ゴールで先制したスランゴールFCは、後半にもリーグ得点王のイフェダョ・オルセグンが追加点を決め、ともにスランゴール州に本拠地を持つ「スランゴールダービー」はスランゴールFCがUITM FCを破っています。
 この試合でUTIM FCは不安定なスランゴールFCの守備をついて何度かチャンスを得たものの、スランゴールFCのGKカイルルアズハン・カリドの好守もあり無得点に終わっています。現在最下位のUITM FCは次節はホームに11位のペラFCを迎えますが、クダ・ダルル・アマンFCとの対戦が予定されていたスランゴールFCは、クダ・ダルル・アマンFCが新型コロナ感染者発覚による隔離期間中のため、次節は試合がありません。

2021年8月4日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 0-3 トレンガヌFC
得点者:トレンガヌ-デシ・マルセル(13分)、デヴィッド・ダ・シルヴァ(87分)、モハマド・ラフマット・マカスフ(90+2分)
 JDT追撃の一番手と目されながら、ここ2試合は下位のチームに1分1敗と結果を残せていなかったトレンガヌFCが快勝し、後半戦2勝目を挙げています。次節はトレンガヌFCは今節、試合がなかったスリ・パハンFCをホームに迎え、PJシティFCは「クラン渓谷ダービー」となるアウェイのKLシティFCが控えています。

2021年8月4日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 0-0 KLシティFC
得点者:サバ-レヴィ・マディンダ(65分)、KL-ランディ・バルー(22分OG)
 後半戦開始からの3試合で2分1敗とまた勝ち星のないサバFCはホームでの勝利を身座しましたが、DFランディ・バルーのオウンゴールでKLシティFCに先生を許す嫌な展開でしたが、それを救ったのが一時は退団が発表されながら、この試合前に急遽、再契約が発表されたレヴィ・マディンダでした。とは言え、この試合も引き分けたサバFCはこれで4試合勝ち星がありません。
 一方のKLシティFCは後半戦開幕から4試合連続の引き分けとなっています。次節ではサバFCはJDTとのアウェイマッチ、KLシティFCはホームにPJシティFCを迎えます。

 今節第17節に予定されていたスリ・パハンFC対クダ・ダルル・アマンFC戦(ダルル・マクムルスタジアム-パハン州クアンタン)は、クダ・ダルル・アマンFCに新型コロナ感染者が発覚し、チームが隔離期間中のため延期となっています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第17節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT1713314083242
2TFC17104328141434
3PEN168442521428
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5SEL177553025526
6KL174942017321
7SBH174762021-119
8PJ164661118-718
9PHG164572025-517
10MU174761922-3*16
11PRK1734101736-1913
12UITM160214536-312
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第17節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)17
ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)17
3クパー・シャーマン(KDH)9
4パウロ・ジョズエ(KL)8
カサグランデ(PEN)8
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

Mリーグ1部スーパーリーグ第16節結果

 7月31日から8月1日にかけてMリーグ1部スーパーリーグ第16節が開催されました。今節も首位JDTが勝利し、2位のトレンガヌFCに勝点差7をつけて独走体制に入りつつあります。一方で2部降格圏内にいたスリ・パハンFCとマラッカ・ユナイテッドFCが勝ち点を積み重ねた一方で、ペラFCは2戦連続で大敗し、UITM FCと共に2部降格の可能性が高まっています。
 試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。

2021年7月31日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFC 1-4 スランゴールFC
得点者:ペナン-デヴィッド・ローリー(39分)、スランゴール-イフェダヨ・オルセグン2(15分PK、90+1分)、ダニアル・アスリ(49分)、シーン・シヴァラジ(57分)
 リーグ得点王のイフェダヨ・オルセグんの2ゴールなどでスランゴールFCが快勝しています。
 ペナンFCは2度のPKを失敗するなどチャンスでのミスが響きました。

2021年7月31日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 5-0 ペラFC
得点者:JDT-ベルグソン・ダ・シルヴァ3(20分、47分、59分)、ゴンザロ・カブレラ2(83分、86分)
 試合開始から相手を圧倒したJDTがベルグソン・ダ・シルヴァのハットトリックなどで大勝して2位に今季最大となる勝点差8をつけています。
 ペラFCは後半戦3試合目でトレンガヌ戦に続く大量5失点と良いところなく敗れ、クラブ史上初の2部降格が見えてきました。

2021年7月31日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-1 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:KL-ザフリ・ヤハヤ(50分)、マラッカ-チャン・ソグォン(90+8分)
 試合終了直前に同点に持ち込んだマラッカ・ユナイテッドFCが貴重な勝点1を積み上げ、降格圏から脱出しつつあります。
 KLシティFCは後半戦開幕3試合で未だ勝ち星がありません。

2021年8月1日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 0-0 サバFC
得点者:なし
 2位のトレンガヌにとっては前節のマラッカ・ユナイテッドFC戦敗戦に続く痛い引き分けとなり、首位JDTとの勝点差が8となりました。

2021年8月1日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 1-0 PJシティFC
得点者:パハン-アウン・カウン・マン (15分)
 降格圏にいたスリ・パハンFCはトランスファーウィンドウ期間に4人の外国籍選手を入れ替えるとそれ以降2勝3分けとそれまでの不振が嘘のような好調を保っています。

7月31日にダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)で予定されていたクダ・ダルル・アマンFC対UITM FC戦は、新型コロナ陽性者が見つかったクダ・ダルル・アマンFCが隔離中のため延期となっています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第16節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT1612313982639
2TFC1694325141131
3KDA138232113826
4PEN157442018225
5SEL166552825323
6KL164841916320
7SBH164661920-118
8PJ154651115-418
9PHG154572025-517
10MU164751921-2*16
11PRK163401431-1712
12UITM150213534-292
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第16節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)16
ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)15
3クパー・シャーマン(KDH)9
4パウロ・ジョズエ(KL)8
5カサグランデ(PEN)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

Mリーグ1部スーパーリーグ第15節結果

 7月27日から28日にかけてMリーグ1部スーパーリーグ第15節が開催されました。なお予定されていたクダ・ダルル・アマンFC対PJシティFC戦は、クダの選手に新型コロナウィルス感染者が出たため延期されています。
 試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。

2021年7月27日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 0-0 KLシティFC
得点者:なし
 前節のトレンガヌFC戦では0-5と大敗したペラFCは、トレンガヌ遠征の際にチームに帯同しなかったFWカレッカとMFレアンドロ・ドス・サントスの両選手が自ら契約解除を申し入れて退団し他ことを報じられ、今季開幕戦のスタメン11人の内、外国籍選手3人を含む8人が退団したことになります。開幕直前のメフメト・ドゥラコビッチ監督の退団に端を発したチーム崩壊は止まりそうにありません。
 この試合は試合前半は優勢に進めたKLでしたがペラ守備陣が守りきりると、後半は両チームとも決め手を描く展開となり、最後はペラに付き合うようにKLも無得点と引きわけに終わっています。

2021年7月28日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 2-2 スリ・パハンFC
得点者:サバ-(分)、(分)、パハン-(分)、(分)
 1-1のまま試合はロスタイムに入り、このまま終了かと思われた90+3分にここまで効果的なパスを連発していたスリ・パハンのマヌエル・イダルゴがサバDFラインの間を縫うように出したパスにアブドル・マリク・アブドル・アリフが走り込みそのままゴール!これで勝負あったかと思いきや、最後まで走り続けたホームのサバは90+4分にヨシプ・イヴァンチッチがこの試合2つ目のゴールを決め、土壇場で同点に追いつき引き分けに持ち込んでいます。

2021年7月28日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 1-3 JDT
得点者:すランゴール-イフェダヨ・オルセグン(62分)、JDT-ベルグソン・ダ・シルヴ(45+1分)、マシュー・デイヴィーズ(79分)、モハマドゥ・スマレ(分)
 23歳ながらクラブ100試合出場を果たしたシャミ・サファリがキャプテンを務めタスランゴールFCは、ピッチ改修の甲斐もなくJDTに敗れています。ベルグソン・ダ・シルヴァによる1点目はクロスの出どころを詰めることもなければ、そのクロスに頭で合わせたベルグソンと競るDFは1人もおらず、2点目を決めたマシュー・デイヴィーズ、3点目を決めたモハマドゥ・スマレがいずれも慌てることなくシュートを打てるだけのスペースを与えるなど、リーグ4位の24失点の守備陣を立て直さなければ、スランゴールFCは今後さらに順位を下げる可能性があります。

2021年7月28日@ハンジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 2-0 トレンガヌFC
得点者:マラッカ-ソニー・ノルデ(36分),アドリアーノ(78分)
 今節最大の番狂わせとなったこの試合は、ソニー・ノルデがフィジカルの強さを見せてトレンガヌDFを振り切って先制ゴールを決め、後半戦前に加入したアドリアーノが追加点を理想的な展開でマラッカが5試合ぶりの勝利を挙げるとともに降格圏の11位から
 一方、リーグ2位のトレンガヌFCにとっては、この日勝利した首位JDTと勝点差が6と開く痛い敗戦でした。

2021年7月28日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UTM FC 0-1 ペナンFC
得点者:ペナン-シェリディン・ボボエフ(81分)
 前節のクダ・ダルル・アマンFC戦がクダの2選手が新型コロナに感染が明らかになり、中止となったペナンFCはこの試合が後半戦の開幕戦となりました。前半は全体的に動きが悪く、最下位のUITM FC相手に苦しい展開でしたが、終盤にシェリダン・ボボエフの今季2ゴール目となるゴールで勝利し、4位を堅持しています。

*7月27日に予定されていたPJシティFC対クダ・ダルル・アマンFC(MBPJスタジアム-スランゴール州プタリンジャヤ)は、クダ・ダルル・アマンFCの選手2名が検査により新型コロナ陽性となったため延期されています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第14節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT1511313482636
2TFC1593325141130
3KDA138232113826
4PEN147431914525
5SEL155552424020
6KL154741815319
7PJ144641114-318
8SBH154561920-117
9MU154651820-2*15
10PHG153571925-614
11PRK153481426-1212
12UITM150213534-292
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第15節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)14
ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)13
3クパー・シャーマン(KDH)9
4パウロ・ジョズエ(KL)8
5カサグランデ(PEN)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

Mリーグ1部スーパーリーグ第14節結果

 いよいよスーパーリーグ後半戦開幕!と盛り上がるはずでしたが、マレー半島北部ダービーとして注目されていた3位クダ・ダルル・アマンFC対4位ペナンFCの試合が新型コロナ感染者発覚により延期となってしまいました。
 各試合のハイライト映像はMFLのYouTubeチャンネルよりお借りしています。(PJシティFC対サバFC戦のハイライト映像はまだMFLのチャンネルにアップされていないので、ここでも後ほどアップします。)

2021年7月24日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 5-0 ペラFC
得点者:トレンガヌ-ファイザル・ハリム(18分)、デヴィッド・ダ・シルヴァ(23分PK)、チャーリー・マシェル(42分OG)、ハキミ・アブドラ(70分)、ニック・アキフ・シャヒラン(90+5分PK)
 前半戦の好調を維持するトレンガヌFCが大量点で圧勝しています。トレンガヌは18分にファイズ・ナシルのクロスにファイザル・ハリムが合わせて先制すると、23分にはそのファイザル・ハリムがペナルティーエリア内で倒されてトレンガヌがPKを得ます。これをデヴィッド・ダ・シルヴァが決め、トレンガヌがリードを2点に広げます。さらに42分にはファイズ・ナシルのパスをクリアしようとしたペラのチャーリー・マシェルがオウンゴールし、トレンガヌが3-0として前半が終了します。後半に入っても攻撃の手を緩めいないトレンガヌはペラのゴールに迫りますが、ペラはGKハフィズル・ハフィスの好守で凌ぎます。しかし70分には途中出場のハキミ・アブドラのゴールで4-0、90+5分にはペナルティエリア内で自身が倒されて得たPKをニック・アキフ・シャヒランが決めてトレンガヌが完勝しています。
 主力選手の退団により前半戦とは大きくメンバーが変わったペラは、後半戦も厳しい試合が続くことを予想させる大敗で、2部降格圏にまた一歩近づきました。

2021年7月24日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-1 スランゴールFC
得点者:KL-パウロ・ジョズエ(40分)、スランゴール-オリヴァー・バフ(43分)
 首都圏を流れるクラン川にちなみクラン渓谷とも呼ばれる首都圏に本拠地を持つ両クラブの対戦は代々クラン渓谷ダービーと呼ばれてきましたが。今季2度目のクラン渓谷ダービーは、スランゴールFCのホームで行われた前回の対戦同様、1-1の引き分けに終わっています。
 ペラFCから移籍のケニー・パッラジと J・パルティバンの新加入コンビが機能するなどKL有利の展開で進むも、チャンスを活かせなかったKLですが、40分にペナルティーエリアの外で得たフリーキックを主将のパウロ・ジョズエが直接、決めて先制しました。しかしスランゴールもすかさず反撃に転じ、43分にはノー・ハキムのクロスからのこぼれ球をオリヴァー・バフが押し込み同点としてます。結局、その後は両チームとも無得点に終わりました。

2021年7月24日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 1-0 サバFC
得点者:PJ-スニル・チャンドラン(89分)
 前半戦最後の3試合を1分2敗で終えていたPJシティが後半戦を白星てスタートさせています。
 試合はサバ優勢で進むものの、両チームとも無得点のまま終盤へ。このまま終了かと思われた89分、途中出場のスニル・チャンドランが放ったロングレンジのシュートがサバGKロブソン・レンディ・リニンの横をすり抜け、これが決勝ゴールとなりPJシティは今季4勝目を挙げています。

2021年7月25日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 1-0 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:パハン-マヌエル・イダルゴ(1分)、マラッカ-ワン・ザハルニザム(88分)
 9位と10位の対戦となったこの試合は、開始1分もしないうちにマヌエル・イダルゴがゴールを決めたパハンFCが終始ボールを支配するも、エラルド・グロンがPKを失敗するなど追加点を奪えないまま1-0で終盤を迎え、このまま終了かと思われた88分にパハンDF陣の足が止まった隙をついて、マラッカのワン・ザハルニザムが同点ゴールを決め、試合途中に照明が消えるアクシデントもあったこの試合は両チーム痛み分けに終わりました。

2021年7月25日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 3-1 UITM FC
得点者:JDT-ゴンザロ・カブレラ(50分)、サファウィ・ラシド(75分)、ベルグソン・ダ・シルヴ(88分)、UTIM-ジョエル・ヴィニシウス(43分)
 今季未勝利のUITM FCが新加入のジョエル・ヴィニシウスのゴールで首位JDTに先制するまさかの展開も、終わってみればJDTが後半に3ゴールを挙げて勝点3を獲得しています。

*7月24日に予定されていたクダ・ダルル・アマンFC対ペナンFC(ダルルアマンスタジアム-クダ州アロースター)は、クダ・ダルル・アマンFCの選手2名が試合前の検査により新型コロナ陽性となったため延期されています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第14節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT149313172433
2TFC1493225121330
3KDA138232113826
4PEN136431814422
5SEL145542321220
6KL144641815318
7PJ144641114-318
8SBH144461718-116
9PHG143471723-613
10PRK143381426-1212
10MU143651620-4*12
12UITM140213533-282
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第14節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)12
2クパー・シャーマン(KDH)9
3カサグランデ(PEN)7
4パウロ・ジョズエ(KL)8
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

7月24日のニュース:Mリーグ後半戦を勝手に予測(1部スーパーリーグ編)

 W杯アジア2次予選やAFCチャンピオンズリーグなどにより、Mリーグは5月8日より中断していましたが、いよいよ本日7月24日から再開されます。そこで前回の2部プレミアリーグ編に続き、今回はボラセパマレーシアJPによる勝手な後半戦予測の1部スーパーリーグ編をお届けします。
 とここまで書いたところで、クダ・ダルル・アマンFCに新型コロナの感染者2名が発覚し、本日のクダ・ダルル・アマンFC対ペナンFC戦が延期になったことがMFL公式サイトで発表されています。満を辞して始まる後半戦もいきなり新型コロナの洗礼に見舞われてしまいました。

 第13節まで終了している今季のスーパーリーグは本日7月24日と明日7月25日に開催される第14節から後半戦が始まり、10月27日と28日に予定されている最終節第22節までのおよそ3ヶ月で、各クラブは残り9試合を行います。スーパーリーグ現在の順位表は以下の通りです。

Mリーグ1部スーパーリーグ順位表(第13節終了時)

ClubGWDLGFGAGDP
1JDT139312862230
2TFC138322012827
3KDA138232113826
4PEN136431814422
5SEL135442220219
6KL134541714317
7SBH134451717016
8PJ133641014-415
9PHG133371622-612
10PRK133371421-712
11MU133551519-4*11
12UITM130211430-262
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

 現在、スーパーリーグ7連覇中のJDTは、今季も2位のトレンガヌFCに勝点差3をつけて首位を堅持し、優勝候補の大本命です。今年2度目のトランスファーウィンドウ期間中には同じスーパーリーグのペラFCからいずれもマレーシア代表のFWギリェルメ・デ・パウラとDFシャールル・サアドを獲得て代表選手コレクションに加え、またオーストラリア1部のニューカッスルジェッツに期限付き移籍させていたインドネシア各年代で代表経験のある22歳のMFシャーリアン・アビマニュを呼び戻すなど、首位にいながら補強に余念がありません。
 しかしその一方で、JDTは主力選手の多くがマレーシア代表選手でもあり、6月上旬にアラブ首長国連邦で行われたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選に出場した代表選手たちは、そこからタイへ直行して6月下旬から7月初旬まで行われたAFCチャンピオンズリーグACLに出場するなど、強行日程をこなしており、そこから来る疲労は後半戦へ向けての不安材料の一つに思えます。また前半戦は11試合で11ゴールを量産したFWベルグソン・ダ・シルヴァはACLでは格上のチーム相手だったとは言え不振を極め、こちらも後半戦への不安要素となりそうで、2位に勝点差10をつけて優勝した2019年シーズンや、11試合に短縮されたリーグながら勝点差7をつけて優勝した昨季2020年シーズンと比べると、今季のJDTは攻略の隙が十分あります。

 そしてこのJDTの対抗馬1番手となりそうなのが現在2位のトレンガヌFC。前半戦ではJDTに 今季唯一の黒星を着け、首位とは勝点差3で前半戦を終えています。前半戦好調の立役者MFマカン・コナテや彗星のように現れJDT戦では決勝ゴールも挙げた快速ウィングのハキミ・アブドラ、やはり今季急成長したセンダーバックのモハマド・ファウジ、そのモハマド・ファウジと共に守備陣を支えるフィリピン代表DFカルリ・デ・ムルガらに加えて、トランスファーウィンドウ期間中には、スリ・パハンFCから昨季まで主将を務めていたMFリー・タックを期限付き移籍で獲得、さらにMFハビブ・ハルーン(バーレーン)を獲得するなど、着実な補強を進めています。リーグ優勝へ向けては、直接対決がある第21節まで勝点差3のままJDTに離れずについて行けるかどうかが鍵になりそうです。

 ボラセパマレーシアJPが今季開幕前に優種候補に挙げたクダ・ダルル・アマンは現在3位。JDT戦では何故かパフォーマンスが低下する「JDTアレルギー」により、今季も既に2敗しており自力優勝の目はないので。後半戦の現実的な目標はリーグ2位に与えられるAFCカップ出場権獲得が目標となりそうです。戦力的にはエースのFWクパー・シャーマンを中心に、MFチェチェ・キプレ、MFボドロル・バクティアルら現有戦力で後半に臨みます。

 前半戦の台風の目となったのは、昨季は2部で優勝し、今季から1部でプレーするペナンFCでした。昇格初年度でここまで4位の成績は、昨季は2部で得点王を取り、1部でもゴールを量産するFWカサグランデを中心とした攻撃陣と、トマス・トゥルチェ監督の抜擢に応えたスランゴールFCから期限付き移籍中の21歳DFクェンティン・チャンや1部でも安定したプレーを見せ続けて6月のW杯予選に招集されたGKサミュエル・サマーヴィルらが前半戦同様のパファーマンスを見せることができれば、トップ3入りはもちろん、AFCカップも見えてきます。

 5位は思い切った方針転換を行い、若手を積極的に起用しながら「育てながら勝つ」を実践するスランゴールFC。リーグ得点王のFWイフェダヨ・オルセグンを擁し、チーム総得点はJDTに次ぐリーグ2位の22得点ながら失点も22点と守備の破綻が目立ちます。開幕前のケガで前半戦を棒に振った期待の新戦力MFニック・シャリフ・ハセフィも復帰する攻撃面は万全なので、マニュエル・コンラッド、ティム・ホイバッハら外国籍選手がシャールル・ナジーム、シヴァン・ピレイといった若いDF陣をうまく引っ張って行ければさらに上位を脅かす可能性もありますが、前半戦を見る限りではトップ5に入れれば今季の目標達成となるのではないでしょうか。

 前半戦は上位のチームとは接戦を繰り広げながら、下位のチームに取りこぼすなど不安定な面もあった6位のKLシティFC。トランスファーウィンドウ期間中にペラFCから守備的MFケニー・パラッジとウイングJ・パルティバンといずれも主力選手を獲得、さらに第4節ペラFC戦で負傷しそれ以降出場のなかったFWドミニク・ダ・シルヴァに代わりFWキリアン・ヌワブエズを獲得するなど、選手層の薄さや攻撃力不足を補う着実な補強を行うなど、上位に食い込むには十分な戦力が整い、Mリーグでは実績のあるボジャン・ホダック監督率いるチームは後半戦の台風の目となりそうです。

 新型コロナによる影響で開幕時には外国籍選手が不在だったサバFCは開幕直後の4試合を0勝1分3敗と苦しいスタートを切り、早々とクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督更迭の噂まで出たものの、外国籍選手が合流した前半戦最後の5試合では3勝1分1敗と不振から持ち直して6位まで順位を上げています。40歳のFWアムリ・ヤハヤの復活など話題に富むチームではあるものの、前半戦途中では給料未払い問題(経営陣は単なる遅配と主張)が明らかになり、外国籍選手獲得の遅れも合わせて、現場ではなく経営陣の不手際が目立ってしまいました。戦力的には2部降格の心配はないものの、トップ5入りは難しいといったところなので、後半戦も6位から9位辺りを行き来することになりそうです。

 今季のスーパーリーグで唯一、外国籍選手が1人もいないPJシティFCは、開幕からの5試合を2勝2分け1敗と大方の予想を覆してスタートしましたが、その好調さはFWダレン・ロックのケガとともに尻すぼみとなりました。それでも前半戦は8位で終える大健闘を見せましたが、降格圏となる11位のクラブとは勝点差4と安閑としていられる状況ではありません。今日の試合(サバFC戦)からロックは復帰するようですが、下位チームの補強状況を見る限り、後半戦は1部残留が目標となりそうです。

 スリ・パハンFCは前半戦終盤に開いたトランスファーウィンドウ期間に外国籍選手4名を入れ替えると、アルゼンチン出身の攻撃的MFマヌエル・イダルゴ、ミャンマーU23代表FWアウン・カウン・マン、南スーダン代表FWケニー・アティウと新加入の選手たちが続々とゴールを決め、前半戦最後の3試合を2勝1分とチームを立て直し、通算成績を3勝3分7敗の9位まで順位を上げています。とは言え、前半戦最後の3試合の内、給料未払いで主力の大半が流出したペラFCと今季未勝利のUITM FCから上げた2勝で、上位のスランゴールFCとは引き分けており、11位のクラブとは勝点差1と降格圏の一歩手前の状況なのは変わらず、今日のマラッカ・ユナイテッドFC以降の後半戦は全て上位のクラブとの対戦となります。後半戦直前には昨季はタイ2部で優勝したノーンブワ・ピチャヤFCでプレーしたDFニコラス・スウィラドも獲得し、こうした新戦力が果たして上位クラブとの対戦でも活躍するのかどうかに注目です。

 開幕前に監督が交代し、大方の予想に反して開幕当初から調子の上がらなかったペラFCは、前半戦途中に選手への給料未払いが発覚。トランスファーウィンドウ期間中には主力選手の大半が流出した結果が現在の10位という順位に反映されています。代表クラスを含む開幕戦の先発メンバー6名が退団する異常事態に、当初はセカンドチームで2部プレミアリーグでプレーするペラFC IIから選手を招集して…という話が出ていたものの、結局は外国籍選手を獲得しています。2018年にペラでプレー経験があるレバノン出身のDFジャド・ヌールディン、同じレバノン出身のMFサミル・アヤス、そしてUITM FCからFWナナ・ポクを獲得し、残留したブラジル出身コンビのFWカレッカ、MFレアンドロ・ドス・サントスと外国籍選手枠を埋めたものの、代表DFシャールル・サアドらの離脱の穴は大きく、セカンドチームから上がって来る若い選手と外国籍選手がそれを埋められるか否かが、チーム創設以来初となる2部降格を防げるかどうかの鍵になります。

 給料未払いにより昨季に続き、勝点3を剥奪される放漫経営のツケが周り、降格圏となる11位にとどまっているマラッカ・ユナイテッドは、トランスファーウィンドウ期間中に4得点を挙げているステファン・ニコリッチと3得点を挙げているアレックス・ゴンサウヴェスの両FWに代えてアドリアーノ、ジョバンニ・ゴメスの2人のFWを獲得しています。チーム総得点15点の内、7点を挙げていたFWを交代させてさらに挟撃力アップを、という目論みなのでしょう。しかし、前半最後の3試合で7失点しており、素人目にではむしろ守備の補強が急務にも見えますが、守備陣の補強はJDT IIから期限付きで移籍したゲイリー・スティヴン・ラバットのみで、いよいよ6年振りの2部降格が近づいてきました。

 前半戦では勝ち星を挙げられず勝点もわずか2、11位とは勝点差9の最下位のUITM FC。リーグが11試合に短縮されたとはいて昨季の5勝2分4敗の成績が嘘のような今季の成績です。昨季のチームからはクラブ運営予算上の問題により主将のDFヴィクトル・ニーレノルドを除く外国籍選手4名との契約を更新せず、主力選手の顔ぶれも変わりましたが、そういった今季こそ元U23代表監督でもあったフランク・バーンハート監督の手腕が試されるシーズンだったはず。しかし連敗が続くと経営陣はバーンハート監督を「休養」させ、状況が改善しないと再び「復帰」させるなど混乱状態のまま終わった前半戦でした。またトランスファーウィンドウ期間には一旦獲得した東ティモール代表FWジョゴ・ペドロとの契約を解除するなどこちらも迷走しています。結局、昨季もUITM FCでプレーしたMFウスマン・ファネを獲得した他、昨季はサバFCでプレーしたドイツ出身のデニス・ブシェニング、韓国出身のMFクォン・ヨンヒョン、そしてブラジル出身のジョエル・ヴィニシウスの両FWを獲得するなどの補強を行いましたが、2部降格濃厚の状況は変わりそうにありません。

7月16日のニュース:今季Mリーグ1部前半戦は2000万人以上がオンラインでライブ観戦、FAMのテクニカルディレクターがU20代表のAFCU23アジアカップ予選派遣について説明、JDT IIからマラッカUへ期限付き移籍のロバットが抱負を語る

今季Mリーグ1部前半戦は2000万人以上がオンラインでライブ観戦
 7月24日より再開まで10日を切り、Mリーグ各クラブは練習試合をこなすなど準備に余念がありませんが、Mリーグを運営するMFLは今季ここまでのMリーグ1部スーパーリーグの試合のライブ視聴者数が2100万人を越えていると公式サイトで発表しています。
 今年3月5日に開幕したスーパーリーグは5月9日に行われた第13節まで78試合が行われていますが、これらの試合を放映した国営放送RTM、MFLのスポンサーUnifi社の有料スポーツチャンネル、そして同社が運営する無料YouTubeチャンネルを合わせるとそのライブ視聴査数が2181万4979人となっていることをMFLの公式サイトが発表しています。
 さらにYouTubeでの録画視聴者数は、5月30日までの時点で4983万8140人とということです。なおUnifiの無料YouTubeチャンネルでは、今季のスーパーリーグ全試合の観戦が可能になっています。
 この他、中継された78試合中、ライブ視聴者が最も多かった節は第11節で6試合合計230万7698人、また最も視聴者が多かった試合は4月24日の第10節JDT対トレンガヌFC戦(スルタン・イブラヒムスタジアム、ジョホール州イスカンダルプテリ)で69万8341人が視聴したということも発表されています。
 このように様々なプラットフォームで視聴可能な1部スーパーリーグに対し、2部プレミアリーグについてMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、プレミアリーグの各クラブには7月24日から再開される後半戦ではソーシャルメディアやストリーミングによる配信が許可されたことを明らかにしています。
 またMリーグ前半戦は4月2日の第6節から感染者拡大による無観客措置が取られた5月9日の第12節までは、首都圏など一部地域を除いて定員の10%から25%の条件付きながらスタジアムでの観戦も可能でしたが、この期間中はスーパーリーグとプレミアリーグ合わせて観戦可能だった41試合では6万2318人の有料入場者数を集め、その内。4月9日の第8節クダ・ダルル・アマンFC対トレンガヌFC戦(ダルル・アマンスタジアム、クダ州アロースター)が最大の5941人の有料入場者を記録したということです。

FAMのテクニカルディレクターがU20代表のAFCU23アジアカップ予選派遣について説明
 マレーシアサッカー協会FAMのオン・キムスイ テクニカルディレクター(TD)は、現在のU20代表の2024年パリオリンピックの予選突破に向けた計画の中心人物の1人ですが、このたび、英字紙ニューストレイトタイムズの取材に応じ、自身の考えを明らかにしています。
 FAMは今年10月に開催されるAFC U23アジアカップ2022年大会(旧U23選手権)予選にU23代表ではなく、U20代表を派遣することを発表しましたが、これに対しては現在のU23代表の育成が等閑(なおざり)になるなど否定的な反応が出ています。
 こういった声に対し、前回2020大会予選にU23代表監督として臨みながら本戦出場を果たせなかったオンTDは、その成功が100%保証されるわけではないとはしながらも、自身の経験に基づき「選手が共に過ごす時間が長くなれば長くなるほど、より好ましい結果を生み出す可能性は高い」と考えていると話しています。
 「今年2021年から選手たちが一緒にプレーすれば、彼らは様々なレベルの大会に出場することができる、オリンピック予選突破について最優先されるのは現在のU20代表である。U20代表がAFCU23アジアカップの予選を突破することは容易ではないが、上の年代の選手たちと対戦する貴重な機会をチームとして活用したい。」と話すオンTDは、現在のU23代表の選手についていも(チーム参加の)扉は完全に閉じられたわけではない、とも述べ、将来的にはU23代表選手の参加に含みを持たせる発言をしています。
*****
 2020年大会予選では、中国と引き分け勝点で並びながら得失差で本戦出場を逃したU23代表からはサファウイ・ラシド、アキヤ・ラシど、シャマー・クティ・アッバ(以上JDT)、シャミ・サファリ(スランゴールFC)、ドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)の5選手がFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選に出場した代表に選ばれています。U23代表はフル代表への選手を供給する場でもあると思うのですが、このU23代表年代を冷遇すると、それは代表教科にも悪影響が出る可能性があります。またフル代表ではルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、アリフ・アイマン(JDT)らU20代表候補選手がいますが、フル代表レベルの彼らをパリオリンピック予選までU20代表に縛り付けてしまうのも、むしろ彼らの成長の芽を摘んでしまいかねないような気がします。U23代表にU20代表の有望選手を加えたチーム編成で、U23アジアカップ本戦出場を目指し、本戦でアジアの強豪との試合を経験する方が遥かに代表強化につながるような気がします。

JDT IIからマラッカUへ期限付き移籍のロバットが抱負を語る
 各年代代表だけでなくフル代表の経験もあるJDT IIの守備的MFゲイリー・スティーヴン・ロバットがマラッカ・ユナイテッドFCへ期限付き移籍しましたが、MFLの公式サイトではこのロバット選手を特集しています。
 今季は開幕からMリーグ1部スーパーリーグの覇者JDTのセカンドチームで、Mリーグ2部プレミアリーグのJDT IIでプレーしてきたロバット選手は、代表キャップ数11の28歳です。豊富な運動量が売り物のロバット選手が期限付き移籍したマラッカ・ユナイテッドFCは3勝5分5敗でリーグ11位と降格圏にいるチームです。
 そんなチームに今季2度目のトランスファーウィンドウ期間に期限付き移籍したラバット選手は後半戦開幕初戦となる7月25日の第14節スリ・パハンFC戦を重要な試合と考えているとブル生に語っています。
 「まず自分がやらなければならないことは、ザイナル・アビディン・ハサン監督に対して自分がチームの戦力になることを証明することだ。より多くの試合出場時間を求めての移籍してきたことは事実だが、チームメートからも信用を得なければならないことも分かっている。スリ・パハンFC戦で出場機会が与えられれば、自分がどのくらいチームのために献身的にプレーできるかを見せたい。」と述べるラバット選手は、マラッカ・ユナイテッドFCを降格圏から脱出させることが自分に課せられた使命であるとも話しています。

5月25日のニュース:代表は2年ぶりの実戦でクウェートに惨敗、Mリーグ各クラブは第3次ワクチン接種プログラムで接種対象に、シャキル・ハムザも給料未払い問題のペラFC退団へ

代表は2年ぶりの実戦でクウェートに惨敗
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選に向けて、アラブ首長国連邦UAEのドバイで合宿中のマレーシア代表は、5月23日に現地でクウェート代表と練習試合を行い1-4と敗れています。
 2019年11月19日のW杯アジア2次予選インドネシア戦以来551日ぶりの試合となったマレーシアは、ブラジル出身で帰化選手のギリェルメ・デ・パウラをワントップに据えたフォーメーションでこの試合に臨み、21分にアフマド・アルデフィリイがペナルティーエリアの外から放ったシュートでクウェートに先制されたものの、28分にはラヴェル・コービン=オングのクロスをデ・パウラが決めて代表初ゴールで同点とし、前半を1-1で折り返しました。
 マレーシアのタン・チェンホー監督はデ・パウラとMFシャマー・クティ・アッバを除く全員を入れ替える布陣で後半に臨みました。マレーシアはこちらも初招集となった19歳のルクマン・ハキム・シャムスディンがチャンスを作るものの得点には至らず、逆に55分のファハド・アル・ハジリのゴールから13分間で3ゴールを決め、FIFAランキング148位のクウェートが同153位のマレーシアにランキング以上の差を見せつけて圧勝した試合となりました。
 マレーシアは今週金曜日5月28日にFIFAランキング99位のバーレーンとアジア2次予選ベトナム戦(6月3日)前の最後の練習試合を行います。
 
2021年5月23日
練習試合:クウェート対マレーシア@セブンズスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
クウェート 4-1 マレーシア
得点者:クウェート-アフマド・アルデフィリイ(21分)、ファハド・アル・ハジリ(55分)、シャバイブ・アルカルディ(61分)、ファハド・アル・アンサリ(68分)、マレーシア-ギリェルメ・デ・パウラ(28分)
(下は両チームの先発XI。写真はマレーシアサッカー協会FAMとクウェートサッカー協会の公式Facebookより)

Mリーグ各クラブは第3次ワクチン接種プログラムで接種対象に
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、マレーシア政府が実施するワクチン接種プログラムの第3次プログラムでMリーグ1部と2部が接種対象となると述べたと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 現在、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に向けてアラブ首長国連邦で合宿中の代表チームに加えて、6月22日に開幕する今季のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLに出場するJDTや、同じく6月29日に開幕するAFCカップに出場するクダ・ダルル・アマンFCとトレンガヌFCはクラブ主導で既に新型コロナウィルスのワクチン接種を終えていますが、マレーシア政府は「より相応しい」個人や団体を優先してワクチン接種を行なっていることから、Mリーグ各クラブは第3次プログラム実施の際にワクチン接種の対象となる見込みであると述べています。
 またこれとは別件で、アブドル・ガニCEOは、Mリーグの日程変更についても言及しています。現在、マレーシア政府は全ての渡航者に対し14日間の検疫隔離を求めていますが、W杯アジア2次予選6月15日まで、JDTが出場しタイで開催されるACLは7月7日まで、クダとトレンガヌが出場しシンガポールで開催されるAFCカップは7月6日までとなっています。このW杯予選、ACLそしてAFCカップに合わせて現在中断中の1部スーパーリーグの再開予定日は7月9日、2部プレミアリーグの再開予定日は6月18日となっていることから、14日の検疫隔離期間後に各選手やクラブが練習の時間が取れるよう新たな日程を今週中に発表するとアブドル・ガニCEOは述べています。

シャキル・ハムザも給料未払い問題のペラFC退団へ
 給料未払い問題が発覚後、既に主力選手4名が退団したMリーグ1部スーパーリーグのペラFCからさらに退団者が出そうです。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、シンガポール出身のDFシャキル・ハムザが既にクラブと退団で合意し、シンガポール1部Sリーグのタンジョン・パガーかライオンシティセイラーズに加入が予想されているということです。
 5月30日までがMリーグのトランスファーウィンドウ期間ですが、この期間中にペラFCからは代表でもプレーするギリェルメ・デ・パウラとシャールル・サアドがJDTへ、ケニー・パッラジとJ・パルティバンがKLシティへ既に移籍しています。
 また、この記事を取り上げたサッカー専門サイトのヴォケットFCは、DFナジルル・ナイムやFWフィルダウス・サイヤディもスーパーリーグの他のクラブが獲得を目指しているとし、ペラFCからの選手の流失はまだまだ止まりそうにありません。

Mリーグ1部スーパーリーグ第13節結果

 新型コロナ感染者が再び増加しているマレーシア。1日あたりの新規感染者が4000人前後で高止まりする日が続き、国内各地では活動制限令MCOや条件付き活動制限令CMCOが施行され、Mリーグの試合は無観客で開催されています。
 Mリーグに目を向けると5月3日から開いている今年2度目のトランスファーウィンドウ期間に加入した選手たちが今節の試合に出場し、中には早速ゴールを決めるなど活躍する選手も出ています。
 なおスーパーリーグは今節終了後、5月16日から始まる代表候補合宿、そして6月3日から始まるW杯アジア2次予選、さらにアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグやAFCカップが続くことから、2ヶ月の中断期間に入り、次節第14節は7月9日から再開します。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年5月8日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 0-1 クダ・ダルル・アマン
得点者:サバ-、クダ-クパー・シャーマン(79分)
 激しい雨のため1時間近く中断した試合は再開後もボールが水たまりで止まってしまうような状況でしたが、それでも双方が激しくせめぎ合う中、サバ守備陣のミスをついてクパー・シャーマンが貴重なゴールを決めて勝利しています。
 サバは新加入のFWヨシプ・イヴァンチッチを起用するなど本拠地4連勝を目指しましたが、反撃も及びませんでした。

2021年5月8日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM 1-1 KLシティ
得点者:UITM-クォン・ヨンヒョン(84分)、KL-シュコル・アダン(90+4分)
 今季ここまで未勝利のUTIMは終盤に新加入のFWクォン・ヨンヒョンのゴールで先制し、このまま逃げ切ると思われたロスタイムに失点を喫し、今季初勝利を逃しています。
 しかしこのシュコル・アダンの同点ゴールは映像で見るとヘディングに跳びながら手を高く挙げてゴールを決めた「神の手」ゴールに見え(写真下、写真はUITM FCの公式Facebookより、中央で手を挙げているのがシュコル選手)、UTTMの選手もこれに激しく抗議しましたが、主審はそれを認めませんでした。とここまでは手に触れていることを見逃した主審のミスということになりますが、FAMが発表した公式記録でもシュコル選手を得点者としていることから、Mリーグはシュコル選手の手を使ったゴールを認めたことになります。ちなみに41歳のシュコール選手はこのゴールで先日、サバFCのアムリ・ヤハヤ選手が作ったMリーグ最年長ゴール記録を更新しています。

2021年5月8日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 0-3 JDT
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(15分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(43分)、モハマドゥ・スマレ(51分)
 リーグ首位を快走するJDTは前節第12節で脳震盪(のうしんとう)を起こして退場したゴンザロ・カブレラに代わりセカンドチームからフェルナンド・ロドリゲスを昇格させ、またサファウィ・ラシドとアリフ・アイマンを初めてともに先発させるなど布陣を変えて臨んだ試合でしたが、ペナンを一蹴しています。
 DFリュウジ・ウトモをケガで欠くペナンFCはこれまで起用していたDFムハンマド・ファディル・イドリスに代えてベテランのDFアズミ・ムスリムを先発させるなどJDT対策を立てながらの完敗でした。また自身のゴールが認められなかったことに抗議してイエローカードをもらっていたエースのカサグランデがその後の反則で2枚目のイエローで退場、これに抗議したトマス・トゥルチャ監督も退場となるなどペナンFCにとっては後味の悪い敗戦となりました。

2021年5月9日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 0-0 PJシティ
得点者:なし
 本拠地では3連敗中のマラッカが終始、優勢に試合を進めるもPJシティのGKカラムラー・アルハフィズの好セーブなどもあり無得点。スーパーリーグで唯一、外国籍選手がいないPJシティと引き分けています。

2021年5月9日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 2-3 スリ・パハン
得点者:ペラ-レアンドロ・ドス・サントス(68分PK)、カレッカ(90+5分)、パハン-アウン・カウン・マン (35分)、ケニー・アティウ2(58分、88分)
 トランスファーウィンドウ期間中の新加入組の内、検疫隔離により合流が遅れていたミャンマーU22代表のアウン・カウン・マンが先発しデビュー戦で早速ゴールを決めています。また同じ新加入組ののケニー・アティウも2ゴールを決めるなど、新戦力の活躍でパハンが連勝しています。前節に1ゴール1アシストで勝利に講演したマヌエル・イダルゴとともに新戦力の加入で全く別のチームになったパハンは、リーグ再開後の台風の目となりそうです。
 一方のペラは給料未払い問題により退団が噂されているブラジル出身コンビがゴールを決めましたが、これは獲得を狙う他チームへの良いアピールとなったのではないでしょうか。またこの他にも退団の可能性が報道されたケニー・パッラジ・ダバラギやパルティバン・ジャナセカランの両主力選手はこの大事な試合にベンチ入りせず、移籍の可能性が濃厚です。

2021年5月9日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-2 トレンガヌ
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン(50分PK)、トレンガヌ-エンク・ヌル・シャキル(73分)、カルリ・デ・ムルガ(87分)
 トレンガヌが敵地で逆転勝ちし、JDTとの勝点差を3として再び2位に浮上しています。
 引き分けを挟んで3連勝のスランゴールは前節のスリ・パハン戦に続き、終盤にゴールを許すなど勝ちきれない試合が続き、トップ3とは徐々に勝点の差が開き始めました。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第13節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT139312862230
2TFC138322012827
3KDA138232113826
4PEN136431814422
5SEL135442220219
6KL134541714317
7SBH134451717016
8PJ133641014-415
9PHG133371622-612
10PRK133371421-712
10MU133551519-4*11
12UITM130211430-262
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第13節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)11
3クパー・シャーマン(KDH)9
4カサグランデ(PEN)7
パウロ・ジョズエ(KL)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ