8月12日のニュース:活動停止処分期間中のプルリス州FAが密かに活動再開か、強化合宿中のU19代表は練習試合2試合を予定、パハンFAのレバノン出身選手はいまだ自国から出国できず

活動停止処分期間中のプルリス州FAが密かに活動再開か
 複数の在籍選手やコーチに対しての未払い給料が支払われなかったことから、国際サッカー連盟FIFAから2019年より2年間のあらゆるサッカー活動の停止処分を受けているプルリス州サッカー協会(プルリス州FA)が、マレーシアサッカー協会FAMの知らないうちに活動を再開しているという疑惑を英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 プルリス州に拠点を持つクラブのプルリス・ユナイテッドFCは今季2020年シーズンからMリーグ3部にあたるM3リーグに参加していますが、このプルリス・ユナイテッドFCがプルリス州FAを運営しているという疑惑が浮上しています。
 プルリス・ユナイテッドFCはプルリス州を拠点にするということで、クラブのM3リーグ参加の際には、プルリス州FAの元役員らと接触を持たないようFAMが警告していましたが、効果はなかったようです。
 今季まではMリーグ1部と2部を運営するマレーシアフットボールリーグMFLの下部組織であるアマチュアフットボールリーグAFLが3部のM3リーグと4部のM4リーグを運営していましたが、来季2021年シーズンからはFAMが3部と4部リーグを運営することなり、これによりこの疑惑が発覚したようです。
 FAMでクラブライセンス審査を担当する第一審査機関FIBのフィルダウス・モハマド委員長は、「プルリスFAは現在、2年間の活動停止処分期間中であり、どのような活動も許されていない。プルリス・ユナイテッドFCがどのようにしてM3リーグに参加できたのかは定かではないが、来季開幕前までには精査を行なって、事実を明らかにしたい。」と話しています。さらにFAM主導で行われている州FAが運営するクラブの民営化に際しては、法を守らないクラブがMリーグに戻れるような抜け穴を作らないようにするとも話しています。
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 このプルリス・ユナイテッドFCは今年3月には、給料の半分しか支払わず、しかも選手の同意なしに契約解除を行ったことが報じられるなど、既に問題が発生していましたが、それをAFL、そしてMFLが放置していた結果、このような事態になった可能性もあります。

強化合宿中のU19代表は練習試合2試合を予定
 10月にウズベキスタン で開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場するU19代表は、大会前にMリーグクラブと2試合の練習試合を行うことが予定されていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 第一次合宿と現在開催中の第二次合宿を合わせると既に5週間の練習を続けてきたチームは、待望の実戦練習として本日8月12日にはMリーグ1部のPJシティFCと、そして8月19日にはMリーグ2部のスランゴール2との対戦が組まれているということです。
 強い相手と練習試合を行いたいとするU19代表のブラッド・マロニー監督は、現在強化合宿が開催されているスランゴール州の両クラブを相手に、これまで練習で行ってきたことができるかどうかを確認する機会でもあり、良い腕試しになることを期待していると話しています。
 AFC U19選手権ではグループDに入るU19代表は、10月16日のグループステージ初戦でトルクメニスタンと、10月19日にはカタール、10月22日にはイエメンと対戦します。この大会では、各グループの上位2チームがベスト8としてノックアウトステージに進み、準決勝まで勝ち上がったチームは、来年2021年にインドネシアで開催されるU20W杯への出場権を獲得することができます。

パハンFAのレバノン出身選手はいまだ自国から出国できず
 Mリーグ1部パハンFAで今季からプレーするレバノン出身のDFカリル・ハミスは、Mリーグ再開の8月26日が近づく一方で、いまだに自国で足止めされていると、マレーシア語紙コスモ電子版が伝えています。
 カリル選手は、現在、レバノン政府が自国民の海外渡航を禁じていることからいまだに出国できていません。さらに出国許可が出る予定も立っていないことから、パハンFAのドラー・サレー監督は、カリル選手は今季中にチームに合流できない可能性が高いことを認めざるを得ないと話しています。新型コロナウィルスにより中断しているMリーグは、試合数が半分になっており、今季は9月末に終了する予定になっています。
 新型コロナウィルスに加え、先日、レバノンの首都のベイルートで起こった爆発事故の影響で、レバノンからの出国ははさらに難しくなっているという話もあります。
 ここにきてカリル選手との連絡も途絶えていると話すドラー監督は、同じくディフェンダーのムスリム・アーマドもケガが完治しておらず、リーグ再開に向けて頭が痛いとし、現有戦力で戦うしかないと話しています。
 リーグ中断時点で勝点6でリーグ3位のパハンFAは、8月26日のリーグ再開初戦で同じくリーグ首位のジョホール・ダルル・タジムとホームのダルル・マクムルスタジアムで対戦します。

8月11日のニュース:来季は複数のMリーグクラブに新たなオーナーが誕生か、ケランタンFA買収に投資家が名乗りを上げる、スランゴールFCとパハンFAは民営化後は共に皇族がクラブのトップに

来季は複数のMリーグクラブに新たなオーナーが誕生か
 マレーシアサッカー協会FAMは、国内リーグMリーグ1部と2部の全てのクラブに対して9月30日までに州サッカー協会(州FA)から独立した民営化クラブとなることを求めていますが、未払い給料問題を抱えるクラブが複数あり、その前途は多難かと思いきや、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、Mリーグクラブ買収に関心がある企業や個人が一定数おり、そういった中から新たなオーナーが誕生する可能性もあるようです。
 Mリーグ1部ではペラTBGの他、クダFAやマラッカ・ユナイテッドといった数百万リンギを超える未払い給料を含めた負債を抱えるクラブや、やはり未払い給料が問題となっているMリーグ2部のケランタンFA、ペナンFAの他、クアラルンプールFAなども買収の対象となっているようです。
 この報道を裏付けるように、ケランタンFAを運営するケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長は外国企業による買収の問い合わせを受けたことを明かし、未払い給料問題を抱えるクラブであっても、買収対象として関心を持たれていることに驚いたと話しています。
 またペラTBGを運営するペラ州FAのモハマド・アズリン・モハマド・ナズリ名誉事務局長も同様の問い合わせを受けていると話す一方、クアラルンプールFAのノクマン・ムスタファ事務局長は個人の資産家から調査を受けたことを明かしています。
 なお、イツのサッカー情報サイトトランスファマルクトによると上記の各クラブの資産価値は、Mリーグ1部のクダFAが2000万リンギ(およそ5億500万円)、マラッカ・ユナイテッドが1930万リンギ(およそ4億8700万円)、ペラTBGが1650万リンギ(およそ4億1600万円)、Mリーグ2部のクアラルンプールFAが1090万リンギ(およそ2億7500万円)、ペナンFAが840万リンギ(およそ2億1200万円)そしてケランタンFAが360万リンギ(およそ9080万円)となっています。

ケランタンFA買収に投資家が名乗りを上げる
 上の記事と関連して同じハリアンメトロは、Mリーグ2部ケランタンFAの買収に投資家のノリザム・トゥキマン氏が名乗りを挙げていると報じています。
 U19代表候補のワン・クザインの父親であるアメリカ在住の大学教諭ワン・カマル・ワン・ナピが買収から手を引く一方で、ケランタン州FAはこのノリザム氏と交渉を行い、既に同意書にサインする寸前まで話が進んでいるということです。
 ケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長によれば、ノリザム氏はケランタンFAの再生計画なども明かし、ここまでの話し合いは順調に進んでいるということで、今後は詳細を詰めた後に、公式な契約にサインされる予定であると話しています。

スランゴールFCとパハンFAは民営化後は共に皇族がクラブのトップに
 Mリーグクラブ民営化関連では、共にMリーグ1部のスランゴールFCとパハンFAが共に皇族がクラブのトップとなりそうだと、ハリアンメトロが報じています。
 スランゴールFCが民営化される際には、スランゴール州皇太子のトゥンク・アミル・シャア・スルタン・サラフディン・イドリス・シャア殿下を筆頭株主とし、これにスランゴール州FAも一部株式を保有する他、スランゴール州の機関であるスランゴール開発公社PKNSや州首相企業MBIなども株式を持つということです。なお一部の株式はサポーターに対しても売り出される可能性があることを、スランゴール州FAのシャーリル・モクタル副会長は明らかにしています。
 一方パハンFAを運営するパハン州FAはパハン州皇太子のトゥンク・アブドル・ラーマン・スルタン・アーマド・シャア殿下がオーナーを務める企業を中心としたグループが買収する形で民営化が行われる予定だということです。
 Mリーグにはジョホール州皇太子でTMJの愛称で知られるトゥンク・イスマイル殿下がオーナーのジョホール・ダルル・タジムJDTがありますが、JDTはトゥンク・イスマイル殿下が単独オーナーですが、スランゴールFCとパハンFAは皇太子を中心としたグループによる運営となりそうです。
 なおドイツのサッカー情報サイトトランスファマルクトによると、スランゴールFCは1950万リンギ(およそ4億9200万円)、パハンFAは1420万リンギ(およそ3億5800万円)の資産価値があるとなっています。

8月8日のニュース:ケランタンFAの監督や選手は買収提案を歓迎、クダFAは未払い給料を今月から分割で支払い予定、クダFAは未払い給料を今月から分割で支払い予定、スランゴールFCが無観客試合に国内初の人型パネル導入

ケランタンFAの選手は買収提案を歓迎
 先日、このブログではMリーグ2部ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAが、アメリカ在住のワン・カマル・ワン・ナピ氏がケランタンFAの買収提案を歓迎しているという記事を取り上げましたが、ケランタンFAの監督や選手もこの買収提案のニュースに喜んでいるとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 ケランタン州サッカー協会KAFAは、かつてケランタンFAに在籍した選手や現在所属する選手への未払い給料などで総額が460万リンギ(およそ1億1600万円)とされる負債を抱えていますが、ワン・カマル氏はKAFAが負債を解決することを条件に買収を行いたい考えを示しています。
 そしてこの提案のニュースは、8月26日に再開するMリーグ2部に出場するケランタンFAの監督や選手たちに好意を持って迎え入れられているということです。
 ユスリ・チェ・ラー監督はワン・カマル氏の提案を歓迎するとともにチームへの資金投入を期待するとし、「選手はケランタン州と自分たちが愛するクラブのために全力を尽くしている一方で、(給料が未払いとなっている)我々の苦境を支援しようという人物がでてくることを期待している。」とコメントしています。
 また先日は勝点3を剥奪されたケランタンFAですが、ユスリ監督はこの勝点剥奪は残念だが、今季はなんとしてもMリーグ2部残留を果たしたいとしています。
 一方、選手ではナズリン・ナウィがワン・カマル氏の買収提案に対して「ケランタンFAを買収しようとする話は良いことである。チームはさらに強くなることができ、熱狂的なサポーターも支持するだろう。ただし希望としては買収はできるだけ早く進め、チームが頑張っているうちに買収して欲しい。」と話しています。
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 今季終了とともに退任することを明言しているユスリ監督は、KAFAからの十分な支援もなく、給料未払いにより選手のモチベーションも低下している中、リーグ再開後のチームをどう運営し、目標としている2部残留を果たすことができるかどうかが注目されます。なおケランタンFAは現在、Mリーグ2部で勝点1の10位となっています。

クダFAは未払い給料を今月から分割で支払い予定
 3月半ばから給料の未払いが続いているMリーグ1部クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAは、未払い給料の分割払いと第1回目の支払いを今月15日をめどに行うと発表しています。
 先月7月にKFAの会長に就任したクダ州のムハマド・サヌシ・モハマド・ノー州首相は、4月から7月の未払い給料に関しては選手およびスタッフと支払い交渉が完了後に支払う予定となっていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 4月から7月までの未払い給料についての財政特別委員会を設置して、KFAと選手、スタッフの間で双方が了承できる解決策を模索すると話したムハマド・サヌシKFA会長は、現在の選手およびスタッフ全員を今季終了までは解雇しないことも明言しています。また、今季のクダFAは選手、監督、コーチ他スタッフを合わせて総勢48名ですが、この大規模な構成が運営の負担になっているとして、費用削減のために来季は縮小されるとしています。
 またムハマド・サヌシKFA会長は、今季終了までのクラブ運営にさらに2500万リンギ(およそ6億3000万円)が必要なことや、昨年2019年9月から従業員積立基金と国内歳入庁に合わせて380万リンギ(およそ9570万円)の滞納があることも明らかにし、抜本的な改革の必要性を訴えています。
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 KFAの会長就任早々にクダ州政府が資金投入を行って、KFAの未払い給料を解決する予定はないと話したムハマド・サヌシ会長ですが、スポンサーを見つけることができなければ、そうも言っていられないでしょう。選手からの未払いの不服申し立ては既にマレーシアプロサッカー選手会に報告されており、解決が長引けば来季のクラブライセンス発給にも影響が出かねず、サポーターからの非難も必至となりそうです。

スランゴールFCが無観客試合に国内初の人型パネル導入
 新型コロナウィルスの影響により3月18日から中断しているMリーグ1部と2部は8月26日より再開しますが、いずれも無観客試合として行われることが決まっています。そんな中、スランゴールFCは8月26日のリーグ再開後の初戦となるPJシティFCとの試合で人型パネルを設置し、そこに自分の写真を掲載したいサポーターを募っています。
 本来の本拠地であるシャーアラムスタジアムが改修工事のため使用できないスランゴールFCは、8月26日のPJシティFCとの試合をホームゲームとしてPJシティFCの本拠地であるMBPJスタジアムで開催しますが、そこに人型パネルを設置する予定です。
 人型パネルには2種類あり、片方は99リンギ(およそ2500円)、もう一方は169リンギ(およそ4270円)です。いずれも購入者が顔写真を送り、それが高さ120cm、幅60cmの人型パネルに貼られて試合当日はスタンドに設置されるということです。
 169リンギの方は人型パネルの他、購入者にはスランゴールFCの選手のサイン入り2019年のホームユニフォームが送られるということです。また試合後、すべての人型パネルにはスランゴールFCの選手がサインをし、購入者に送られるということです。
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 個人的には169リンギの方のおまけが今季ではなく2019年シーズンのユニフォームなのが在庫処分感が見え見えで、少々ケチ臭く感じましたが、それでも無観客試合でも少しでも収入を生み出したいというアイディア自体は評価できると思います。
 ちなみにこの詳細はスランゴール州サッカー協会FASのホームページ(表記はマレーシア語です)からご覧になれます。締め切りは明日8月9日の午後11時59分(マレーシア時あかん)ということです。

8月6日のニュース:シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か、JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける、ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎

シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か
 シャーアラムスタジアムはMリーグ1部スランゴールFCの本拠地ですが、その老朽化により天井の一部が崩落する危険性があり、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLはその改修が行われるまでMリーグの試合開催を禁じています。
 ホームを失ったスランゴールFCは、今月8月26日から再開予定のMリーグのホームゲームを同じスランゴール州シャーアラムにあるUITMスタジアムで開催することになっています。また、先日のこのブログでは来季2021年はやはりスランゴール州内にあるMBPJスタジアムをホームにする可能性があるという記事を取り上げましたが、それがいよいよ現実となりそうです。
 80000人以上の観衆が収容できるシャーアラムスタジアムは、国内で最大のクラブであるスランゴールFA(当時)のホームとして1994年に開場しました。
 しかし長年の使用による老朽化から、今季の開幕前にはMFLにより改修工事が終了し、観客の安全が確保できるまでは試合での使用が禁じられ、スランゴールFCは今季のホームゲーム初戦はブキジャリル国立競技場で開催しています。
 この現状についてシャーアラムスタジアムを所有するスランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は、今年3月から予定していた改修工事が新型コロナウィルスの影響により発令された活動制限令MCOにより実行できなかったとして、改修工事はこれから始まること、そしてその工事期間として18ヶ月を予定し、その間はスタジアムを全面的に閉鎖することを明らかにしています。
 なおアミルディン州首相は、改修工事後に再開する際には収容可能な最大人数に開場できるよう、工事期間中は天井部分の修理だけでなく総合的な補修及び改修を行うと話しています。
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 新型コロナウィルスの影響で3月18日に中断したMリーグで、スランゴールFCが中断前の唯一のホームゲームを行ったブキジャリル国立競技場は、その後、MFLがMリーグのホームゲームの代替会場としての使用を禁じており、その結果、今季の残りホームゲームをUITMスタジアムで行うことになった、という経緯もあります。

JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける
 Mリーグ1部を7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTに新たな勲章です。JDTの公式Facebookページでは、JDTのアカデミーがマレーシアサッカー協会FAMよりトップの評価にあたるゴールド評価とその証書を受け取ったことを発表しています。
 このゴールド評価を受けたJDTのアリスター・エドワーズTD(テクニカルダイレクター)は、この評価はアカデミーにとって、ここまでの努力がFAMに認められたことへの喜びに加え、さらに高みを目指すためのモチベーションになると話しています。
 またJDTの本社で、このゴールド評価の証書と記念の盾をエドワーズTDに手渡したFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は 国内の草の根レベルの育成を行うアカデミーを対象にリーダーシップ、計画性、設備、教育、草の根レベルでの試合運営の5つの点で審査した結果、JDTのアカデミーはどの面でも優れた評価を得た結果の表象であると話しています。
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 2000年代までマレーシアのサッカーを長年に渡って牽引してきたのが最初の記事で取り上げたスランゴールFA(現スランゴールFC)だとすれば、直近の10年間で国内に的なしとなったのがこのJDTと言えます。
 ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下の豊富な財源に基づく投資と積極的な運営は、運営資金が州政府の公的補助頼りである大半のMリーグクラブを凌駕し、その結果が1部リーグ7連覇という結果になって現れています。
 JDTもかつてはジョホール州サッカー協会傘下のクラブでしたが、イスマイル殿下による民営化で成功しており、現在、FAMが各州サッカー協会に求めているクラブの民営化の成功例と言えるでしょう。
(中央左がFAMのスチュアート事務局長、中央右がJDTのエドワーズTD-写真はJDTの公式FBより)

ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎
 ケランタン州サッカー協会KAFAは、運営するMリーグ2部ケランタンFAに対するワン・カマル・ナピ氏の買収提案を歓迎する意思を示していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 現在行われているU19代表候補合宿にアメリカから参加しているワン・カマル・ワン・クズリの父親でもあり、アメリカ在住の大学教授でもあるワン・カマル氏は460万リンギ(およそ1億1600万円)とされるケランタンFAの現在の負債が完済されることを条件に、300万とも言われる所有権を購入したいと話しているということです。
 KAFAのフシン・デラマン事務局長はワン・カマル氏から直接の連絡は受けていないとする一方で、民営化を目指しているケランタンFAにとっては良い話であるとしています。
 「KAFAは現在、民営化後のケランタンFCを運営するTRW社の価値を評価している最中であり、それが決まりTRW社の売却が決まれば、ケランタンFCに関する460万リンギの負債はKAFAが全面的に負担する。」とデラマン事務局長は話しています。
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 別のメディアでは、ケランタンFCの売却後もKAFAが年間100万リンギ(およそ2520万円)のロイヤルティを要求しているという話があり、ワン・カマル氏は、ケランタンFCの所有権購入後もKAFAの影響が残ることを嫌っていることから、買収に躊躇しているという報道もあり、この話は一筋縄ではいかなそうです。

8月3日のニュース:クダFA選手が未払い給料問題を正式に申し立て、クアラルンプールFAは来季はKLユナイテッドとして民営化、スランゴールFCは来季もMBPJスタジアムをホームとする可能性が浮上、ケランタンFA監督は給料未払いの状況下での選手のモチベーション低下を憂慮

クダFA選手が未払い給料問題を正式に申し立て
 マレーシアサッカー協会は、Mリーグ1部のクダFAの選手からマレーシアプロサッカー選手会PFAMに対して未払い給料に関する正式な申し立てが行われた報告を受けたことを明らかにしています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、この報告を受けたFAMはクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAに対して、今月8月31日までに未払い給料の支払いを強く指示し、支払われない場合には来季2021年シーズンのMリーグに出場するライセンスがKFAに発給されない可能性があるとしてます。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、2月からの5ヶ月間、給料が支払われていないとするクダFAの選手23名の連記による申し立てがPFAMになされ、PFAMからFAMに正式に報告されたと話しています。
 スチュアート事務局長は、未払い給料問題が8月31日までに解決しない場合には、この問題はPFAMからFAMの案件となり、来季2021年シーズンのMリーグ出場のためのライセンス発給に影響が出ることは必至であると話しています。
 さらにスチュアート事務局長は今季のFAカップが新型コロナウィルスの影響で中止となったことから、昨季のFAカップ優勝チームのクダFAが来季2021年のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ予選に出場資格を得たことを発表した上で、給料未払い問題の解決が遅れれば、FAMはこのACL予選の出場権剥奪も検討するとしています。
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 これまでメディアでは公然の事実として語られながら、正式な申し立てが行われていないことから対処のしようがないとスチュアート事務局長が繰り返してきたクダFAの未払い給料問題がいよいよ解決に向けて動き出したようです。
 その一方で別のメディアでは、3名の外国籍選手が弁護士を立てて8月14日を期限とした未払い給料の支払いを求め、それが実現しない場合には退団も辞さないという報道もあり、8月31日とされる期限を前に今後の展開が注目されます。

クアラルンプールFAは来季はKLユナイテッドとして民営化
 Mリーグ2部のクアラルンプールFAを運営するクアラルンプールサッカー協会KLFAは、9月30日の期限までにクラブの民営化を完了し、2年後を目処にKLFAから完全に独立したクラブチームとすることを目指していると、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長は、来季のMリーグ1部および2部への出場だけでなく、AFC主催大会に出場するためにはクラブの民営化が条件となっていること挙げ、民営化されたクラブをKLユナイテッドと名付けると発表しています。
 またマレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンス担当部署への問い合わせの結果、KLFAから完全に独立したクラブとするための期間としてして2年の猶予が与えられているとして、この間に企業スポンサーなどを獲得し、クラブにおけるKLFAの持ち株を放出すると話しています。
 「クラブの民営化後もKLFAは運営会社を設立するまで、クラブの主要株主として関与するが、同時に新たなクラブへの投資を希望する企業を獲得できるよう努めていく。まずは民営化クラブとして歩き始め、5社から6社のスポンサーを獲得するというのがKLFAが現在考えているプランである。」とノクマン事務局長は述べています。
 またMリーグ1部のペラTBGを運営しているペラ州サッカー協会PAFAのアズリン・ナズリ名誉理事は、「民営化を行わなければ、ペラTBGは(Mリーグ3部の)セミプロリーグでプレーすることになるが、そうするわけにはいかないので、期限の9月30日までには民営化手続きを完了したい。」として、今週に予定されているPAFAの総会で民営化についての計画を発表するとしています。

スランゴールFCは来季もMBPJスタジアムをホームとする可能性が浮上
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、Mリーグ1部スランゴールFCが来季のホームゲームをスランゴール州プタリンジャヤにあり、同じ1部のPJシティFCのホームであるMBPJスタジアムで開催する可能性があると報じています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASがMBPJスタジアムを来季のホームとすると決定した場合には異論はないと話しています。
 この発言は数日前にFASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長が、本来の本拠地であるシャーアラムスタジアムで行われる予定の改修工事の終了時期が定かではないことから、来季のスランゴールFCのホームゲームの開催地としてMBPJスタジアムを候補に挙げた発言を受けてのものです。
 なおスランゴールFCは、Mリーグを運営するマレーシアフットボーリーグMFLが崩落の危険のある天井の修理が終わっていないシャーアラムスタジアムの使用を禁じていることから、8月26日に再開する今季Mリーグの残りのホームゲームを全てMBPJスタジアムで開催することを発表しています。
 サティアナタン監督は(収容観客数が8万人の)シャーアラムスタジアムに比べ、公称2万5000人収容のMBPJスタジアムでは、サポーターが入りきれない可能性があると述べる一方で、来季2021年シーズン開幕時にシャーアラムスタジアムの改修が終わっていない場合の代案を用意しておく必要があると述べています。

ケランタンFA監督は給料未払いの状況下での選手のモチベーション低下を憂慮
 マレーシア語紙コスモ!電子版によれば、Mリーグ2部ケランタンFAのユスリ・チェ・ラー監督は、過去4ヶ月以上に渡って給料を支払われていない選手やスタッフのモチベーション低下を心配していると話しています。
 先週7月31日はイスラム教の重要な祭日であるハリラヤ・アイディルアドハ(ハリラヤ・ハジ)でしたが、ユスリ監督はこの祭日を祝えるよう、せめて半月分の給料を全員に支給してくれるようにとケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAに掛け合ったということですが、それも聞き入れられず、質素な祝事しかできなかったことを明らかにしています。なおKAFAはユスリ監督の依頼を受けた後で、わずかな金額を支給したということですが、祝辞の準備にすら足りない額だったとユスリ監督は述べています。
 この件については、ケランタンFAのファリシャム・イスマイル主将も自身のインスタグラムでKAFA経営陣への失望をあらわにしていたということで、ユスリ監督は受け取った金額は明らかにできないとしながらも、ファリシャム主将があらわにした失望から推し量れるだろうと話しています。
 ケランタンFAは8月26日のリーグ再開に向けて、7月22日より練習を再開し、ユスリ監督は経営陣に全額ではなくとも一部給料を支払うための話し合いを続けているということですが、選手の精神状態を考えると、リーグ再開後に全員が全力でプレーできるのかどうかが心配であると述べています。
 渡邉将基選手が所属するケランタンFAは、リーグ中断前には3試合で1勝1分1敗の7位につけており、他のチームに先駆けて8月22日に雷雨で中止となった第2節のUKM FCとの試合でリース再開後の初戦に臨みます。
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 ケランタンFAは新型コロナウィルス感染防止のためのリーグ中断中に韓国出身のカン・サンジョ(康承助)選手が退団していますが、カン選手に続いて退団したという複数のマレーシア人選手の名前もネット上で見られます。KAFAはこれを否定していますが、8月22日の対UKM FC戦のメンバーがリーグ中断前とは大きく変わっている可能性もあります。

7月29日のニュース:AFF選手権スズキカップは来年まで延期の可能性が浮上、JDTオーナーはサラリーキャップに否定的

AFF選手権スズキカップは来年まで延期の可能性が浮上
 サッカー専門サイトヴォケットはベトナムからの報道として、今年の開催が予定されているアセアン(東南アジア)サッカー連盟AFF選手権スズキカップが来年まで延期となる可能性を報じています。
 ベトナムのトゥオイチェー電子版による報道では、AFFがオンラインによる臨時会合を開き、議長を務めたAFFのキエフ・サメト会長(カンボジア)が今年11月開催予定のスズキカップ延期についての議題を提案したということです。
 会合では、参加した多くの出席者が、新型コロナウィルスは今後も続く可能性があり、11月にスズキカップを開催すればその影響を受ける可能性があることを懸念していたということです。
 さらに複数の出席者が、新型コロナウィルスの感染が収まることを見越しつつ2021年までの延期を提案したということですが、AFFのトラン・コック・トゥアン副会長(ベトナム)は、2021年は東京オリンピックやインドネシアでのU20W杯など大きな大会が目白押しで、ファンの関心がそういった大会に向いてしまうことを危惧し、今年の開催を主張したということです。
 これについてトラン・コック・トゥアンAFF副会長は、スズキカップが延期されるか否については今後も検討を続けると話しており、7月30日の次回のオンライン会合でも引き続き話し合われるということです。

JDTオーナーはサラリーキャップに否定的
 予算を超えて給与が高額の選手との契約を交わすなど身の丈に合わない経営を行った結果、未払い給料問題を抱えるクラブが複数存在するMリーグでは、各クラブが給与に上限を設けるサラリーキャップ制度の導入がたびたび話題になりますが、Mリーグ1部で6連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーは真っ向からこれに反対していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は自身のツイッターに投稿し、最も重要なことはサラリーキャップ制度ではなく、クラブを運営する州サッカー協会(州FA)の運営能力であるとしています。
 「選手には給料の上限は必要ない。選手を雇用する州協会が自らの支出を抑制する必要がある。それができない州FAの担当者はクラブ運営に関わるべきではない。」とするイスマイル殿下の投稿は、数日前にスランゴール州FAのジョハン・カマル・ハミドン事務局長がMリーグはサラリーキャップ制度を導入するべきだと対案したことへの反論とみなされています。
 サラリーキャップ制度については、マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・モハマド・アミン会長がその導入に対して慎重な姿勢を表明している他、マレーシアプロサッカー選手会PFAMの会長でMリーグ1部のPJシティFCに所属するサフィ・サリーもサラリーキャップ制度導入に反対を表明しています。
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 昨日のブログでは、総額が1060万リンギ(およそ2億6200万円)にわたる未払い給料を昨年から抱えていたクダ州サッカー協会KFAに対して、新たにクダ州の州首相に就任し、KFAの会長にも就任したムハマド・サヌシ・ノーKFA会長が、これまでクダFAが頼りにしてきたクダ州政府の予算を未払い給料問題解決のためには使わないと明言しています。これに似た状況はクダFA以外でも見られることから、Mリーグ各クラブに予算内での選手獲得を促すための措置としてサラリーキャップ制度が検討されています。

7月28日のニュース:マレーシアがACLグループステージの開催地に決定、クダ州協会新会長-未払い給料問題解決のために州政府からの補填は行わない

マレーシアがACLグループステージの開催地に決定
 アジアサッカー連盟AFCの公式サイトでは、AFCチャンピオンズリーグACLのグループGとHの開催地としてマレーシアが決定したことを発表しています。
 新型コロナウィルス感染拡大により日程が大幅に変更となったACLは、各グループの残り試合を一か所で集中的に開催することは既に発表になっていましたが、Mリーグ1部の覇者としてACLに出場中のジョホール・ダルル・タジムJDTが所属するグループGとグループHの残り試合の開催地がマレーシアに決定したということです。
 グループGにはJDTの他、ヴィッセル神戸、広州恒大淘宝FC(中国)、水原三星(韓国)が、またグループHは横浜F・マリノス、上海上港FC(中国)、全北現代モーターズFC(韓国)、シドニーFC(オーストラリア)が所属しています。
 10月17日から11月1日までの予定で開催されるこのグループステージに加え、マレーシアではグループGとHの上位2クラブによるノックアウトステージとなるベスト16の2試合(11月4日)、ベスト8の2試合(11月25日)、ベスト4の1試合(11月28日)も合わせて開催されることが発表になっています。なお、今季のACLではノックアウトステージが従来のホームアンドアウェイ形式から一発勝負となっています。
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 このACL開催については、締め切り直前にマレーシアサッカー協会FAMが開催権獲得に名乗りを上げたことが、AFCの公式サイトでも明らかにされています。現在、マレーシア国内ではJDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムが国内では最高のスタジアムですが、JDTがACLに出場していることで、JDTの本拠地での開催はないでしょう。となれば次の候補はクアラルンプールのブキジャリル国立競技場での開催の可能性が高くなります。もしブキジャリル国立競技場で開催され、新型コロナウィルスの観戦が収まり観客を入れての試合となれば、東アジアのトップクラブの試合を是非、観戦したいです。

クダ州協会新会長-未払い給料問題解決のために州政府からの補填は行わない
 Mリーグ1部のクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAの会長に就任したムハマド・サヌシ・モハメド・ノー州首相は総額が1060万リンギ(およそ2億6200万円)とされる未払い給料やその他の負債について、その返済のために州政府は補填は行わないと話しています。
 7月に就任したサヌシKFA会長は、KFAは新たなスポンサーを獲得のための交渉を行なっており、州民のために使われるべき州政府の予算を未払い給料支払いに充てるつもりはないと話していますが、具体的に交渉中とされる企業の名前は明かしていないということです。
 クダFAの選手矢監督、コーチは過去5ヶ月間の給料が未払いになっている他、国民年金にあたる従業員積立基金やクラブが負担する所得税の支払いも滞っているということです。
 サヌシKFA会長は未払い給料問題は、実際には昨年から続いており、前クダ州知事でもあるムクリズ・マハティール前KFA会長率いる経営陣による収支を無視した運営が原因だと指摘し、現状改善のための会合を8月3日に開くとしています。
 「KFAに抜本的な改革が必要となれば、改革を行い、選手の給料を削減する必要があるとなれば、削減案を提示するつもりである。KFAの前経営陣はなぜ月給12万5000リンギ(およそ310万円)を払って選手と契約したのが理解できない。身の丈にあった経営が全くできていなかったということだ。」と話すサヌシKFA会長は、昨年から続いた未払い給料問題が、自身の就任に合わせるように表面化した野には何か理由があるのだろうと語っています。
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 中央政府での政変の影響を受け、今年の5月にクダ州首相に就任したサヌシ氏は、これまでの州首相と同様にKFA会長にも就任しましたが、最初に直面したのがこの未払い給料問題でした。そのためこの未払い給料が単なるサッカーの問題ではなく、クダ州議会でもそれまでの野党が選挙も経ずに一夜のうちに与党になってしまったことから、前経営陣(前政権)を叩くのには好都合な政治的な攻撃の材料になっているのかも知れません

7月27日のニュース:スランゴールFCのエースは未だチームに合流できず、ペナン州協会は5000万円を超える未払い給料を完済、代表監督は11月にもう1試合練習試合を希望

スランゴールFCのエースは未だチームに合流できず、
 Mリーグ1部スランゴールFCはチームの得点王が未だチームに合流できていないと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 Mリーグ再開予定の8月26日までちょうど1ヶ月となり、各クラブが試合に向けて練習のペースを上げる中、今季4試合で3得点を挙げているスランゴールFCのイフェダヨ・オルセグンは帰国中のナイジェリアから出国できていないということです。
 活動制限令MCOが発令された後に母国に戻ったオルセグン選手は、ナイジェリア政府が自国民の出国を制限していることから、国内で足止めを食らっており、マレーシアへ戻る予定は決まっていません。.
 昨季2019年シーズンの途中でスランゴールFCに加入しながら12ゴールを挙げ、チームの得点王に輝いたオルセグン選手の合流が遅れれば、リーグ中断時点で6位のスランゴールFCは、今季の目標である上位3位以内に入ってアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ、あるいはAFCカップの出場が危ぶまれることになります。

ペナン州協会は5000万円を超える未払い給料を完済
 Mリーグ2部のペナンFAを運営するペナン州サッカー協会FAPは、総額1200万リンギ(およそ5110万円)の未払い給料を完済したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 PFAのアマル・プリトパル・アブドラ会長は、今年4月から6月までの選手及びスタッフに対する未払い給料の支払いは今月から始まっており、この未払い給料問題が解決したことで、チームは8月26日に再開予定のMリーグに集中できるだろうとと話しています。
 今季のMリーグ2部では昇格圏の2位以内を目指しているペナンFAですが、リーグ中断までの4試合では2勝2分と首位のトレンガヌFC IIとは勝点差が4の3位につけています。この日、練習を視察したペナン州のチョウ・コンヨー州首相と会談したアマル会長はリーグ再開後もシーズン当初のパフォーマンスを維持できれば、2017年シーズン以来となる来季のMリーグ1部昇格も可能だと話しています。

代表監督は11月にもう1試合練習試合を希望
 10月に再開されるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会予選を前に、マレーシア代表はクウェート代表との練習試合を予定していますが、代表のタン・チェンホー監督は少なくとももう1試合の練習試合を希望していると、マレー語紙コスモ電子版が伝えています。
 10月8日に行われるアウェイのアラブ首長国連邦UAEとのW杯予選を前に、マレーシアは10月2日にバーレーンのマナマで、また11月にはホームのブキジャリル国立競技場でクウェートと練習試合を行う予定ですが、タン監督は11月にもう1試合の練習試合を希望しているということです。
 なおマレーシアのW杯アジア二次予選の日程は、10月8日のUAE戦の後は10月12日にホームでのベトナム戦、そして11月17日には二次予選最終戦となるアウェイのタイ戦と続きます。
 タン監督によれば、9月24日からの開始が予定されている代表候補合宿から10月いっぱいまでは日程的に余裕がないものの、FIFAの国際マッチデーとなっている11月2日から11日は予定が入っていないとして、ここにもう1試合の練習試合を組むことが可能だとしています。
 「この(11月2日から11日の)期間にはクウェート戦が予定されているが、)W杯アジア二次予選となる)タイ戦はアジア三次予選に進めるか否かがかかる試合になる可能性があるため、できる限りの準備を行った上で臨みたい。そのためにもこの期間にもう1試合の練習試合をマレーシアサッカー協会FAMに依頼している。」とタン監督は話しています。

7月25日のニュース:クチン FAの選手から新型コロナウィルスの陽性反応、ベックラー兄弟はU19代表の秘密兵器となるか、今季終了後の1部と2部の入れ替えは従来通り実施

クチン FAの選手から新型コロナウィルスの陽性反応
 Mリーグ2部クチンFAは公式Facebook上で、選手の一人から新型コロナウィルスの陽性反応が出たことを発表しています。
 この選手はクチン市内のセントサ病院に勤務しており、この病院で発生したクラスターで感染した可能性があるということです。
 クラブ内で新型コロナウィルスの感染者が出たことにより、クチンFAは練習を中止し、選手やその他の関係者の安全のため、当局の指示に従った対応を取るとしています。
 最初の感染者が7月19日に確認されたこの「セントサ病院クラスター」は、これまでに61人が検査を受け、16人に陽性反応が出ているということですが、その感染経路は現在も不明ということです。

ベックラー兄弟はU19代表の秘密兵器となるか
 マレーシアの通信社ブルナマは、ドイツ出身のベックラー兄弟がマレーシアU19代表の次回の合宿に参加する可能性があると報じています。
 17歳で左サイドバックのジョシュア・ヨハン・ベックラーは、ドイツ6部リーグのロートヴァイス・フランクフルトに所属していますが、ドイツ国内では期待の若手という評価を集めているということで、ドイツ国内のクラブ以外からも練習参加の誘いなどを受けているということです。
 ジュリアン選手は「自分はスピードのある左サイドバック、あるいは左ウイングとされているので、U19代表に招集されることがあれば、そのスピードでゴールを量産したい。」と話しています。
 一方18歳でゴールキーパーのジュリアン・ヨハン・ベックラーは、昨年2019年7月ににジョホール・ダルル・タジムJDTと既に契約を交わしており、JDTのU21チームであるJDT IIIに加入が予定されています。
 このジュリアン選手は、ボジャン・ホダック前監督が指揮を取っていたU19代表候補合宿に参加経験がありますが、その時にはまだマレーシア国籍を取得しておらず、代表チームに加わることができませんでした。
 ジュリアン選手は、晴れてマレーシア国籍を取得したことから、8月3日から予定されているU19代表候補第二次合宿に兄弟揃って招集されることを希望しており、もしそうなれば、ブラッド・マロニー監督やチームメートに自分の実力を披露して、高い評価を得たいとしています。

今季終了後の1部と2部の入れ替えは従来通り実施
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、Mリーグの1部と2部の入れ替えは従来どおり行われるということです。
 新型コロナウィルス感染拡大により第4節終了後に中断に入ったMリーグは、従来のホームアンドアウェイ形式から1回戦総当たりとなり、試合数が半減して再開しますが、リーグ終了後の入れ替えについては、1部スーパーリーグの11位と12位のクラブが降格し、2部プレミアリーグの1位と2位((1部のBチームは除く)が昇格するという従来通りの方式で行われることを、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOが明言しています。
 また、今季は既に中止が決定している3部M3リーグと2部プレミアリーグの間の昇格と降格についてガニCEOは、来季から3部を運営するマレーシアサッカー協会FAMがM3リーグから2部へ昇格する2クラブを選び、2部の11位と12位が降格する方式になると話しています。

7月24日のニュース:スランゴールFCは今季のシャーアラムスタジアムでの試合開催を断念、W杯で対戦するUAEが新監督就任を発表

スランゴールFCは今季のシャーアラムスタジアムでの試合開催を断念
 サッカー専門サイトのGoal. comは、Mリーグ1部のスランゴールFCが8月26日のリーグ再開後は老朽化の進むシャーアラムスタジアムでの試合を開催しない予定であると報じています。
 スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、現在中断中の今季2020年シーズンが8月26日に再開されても、これまで本拠地として使用してきたシャーアラムスタジアムではホームゲームを開催しない予定であるとGoal. comに語っています。
 スランゴールFCは同じMリーグ1部のUITM FCが使用するUITMスタジアムを、またスランゴールFCのBチームであるMリーグ2部のスランゴール2は同1部のPJシティFCが使用するMBPJスタジアムで今季のホームゲームを開催するということです。
 シャーアラムスタジアムはMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLより、その一部が崩落する可能性がある屋根の修理などが完了するまで使用許可が下りないとされており、リーグ中断前のホームゲームではブキジャリル国立競技場でホームゲームを開催しています。
 FASのハミドン事務局長は「シャーアラムスタジアムの所有者であるスランゴール州政府は修理費用や修理にかかる期間などが明らかにしておらず、リーグ再開後にホームゲームの開催地を変更となれば、チームが試合に集中できなくなる恐れがあることから、今季はシャーアラムスタジアムの使用を断念した。」と話しています。
 また来季2021年シーズンにはシャーアラムスタジアムを再び本拠地とするかどうかについて問われたハミドン事務局長は、スタンゴール州政府による修理工事の予定次第だとし、長期間かけて修理が行われる場合には、来季もシャーアラムスタジアムでのホームゲームは行わない可能性も示唆しています。
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 1994年開場のシャーアラムスタジアムは最大収容人数が8万人の巨大スタジアムです。柿落としとして開かれた大会にバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、リーズ・ユナイテッド(英国)、フラメンゴ(ブラジル)などを招くなど華々しく開場し、その後もその規模に沿った観衆を集めましたが、近年は通常のリーグ戦なら観衆が1万人を切ることも少なくありません。
 またスタジアムの屋根とともに問題とされるのがピッチの状態の悪さです。雨が多いマレーシアではやむを得ないことなのでしょうが、試合前にスコールに見舞われるとその後はピッチに水が浮くことがしばしばあり、水が引いても田んぼの様な状態です。
 使用するスランゴールFCは改善を求め、管理するスランゴール州政府は現状をよしとして修理を放置するなど、両者の間に明らかに温度差があることから、サッカーのレベルアップという観点から言えば、スランゴールFCはシャーアラムスタジアムを出て、別の本拠地を考えるという選択肢も個人的にはアリだと思います。

W杯で対戦するUAEが新監督就任を発表
 10月に再会が予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選でマレーシアと同組のアラブ首長国連邦UAEに新監督就任が発表されています。
 UAEの英字紙ザナショナル電子版は、UAEサッカー協会がコロンビア出身のホルヘ・ルイス・ピント新監督の就任を発表したことを報じています。ピント監督は母国の小rんビア代表監督の経験がある他、2014年のブラジルW杯ではコスタリカ代表監督としてチームをベスト8に導き、その後に就任したホンジュラス代表監督では兼任したU23代表監督としてチームを2016年のリオオリンピックでベスト4に導くなどの実績があります。
 予選グループでは、消化試合数は1試合少ないもののベトナム、マレーシア、タイの東南アジア勢に続く4位と低迷するUAEをアジア三次予選に導くことが求められているピント監督は今週、UAE入りし、早速行われた記者会見では自らを最も情熱的なサッカーコーチであるとし、事前に映像を取り寄せて代表選手たちについての研究ができていること、そしてまずは守備の強化に着手したいことなどを話し、来週からボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボで行われる3週間の合宿で選手の力量を正確に把握したいとしています。
 W杯予選再開初戦で、マレーシアはこのピント新監督率いるUAEと10月8日にUAEのホームで対戦します。
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 UAEはW杯予選開始の際に指揮を取っていたオランダ人のベルト・ファン・マルワイク前監督を成績不振を理由に昨年2019年12月に解任、さらにその後に就任したセルビア人のイヴァン・ヨヴァノヴィッチ前監督を1試合も試合をしないまま解任しており、このピント監督はこの3年間で6人目のUAE代表監督です。
 マレーシア代表はW杯予選再開後の初戦となる10月8日にこのピント新監督率いるUAEとで対戦しますが、まだ代表候補合宿どころか、国内リーグの各クラブですら練習試合を行えない状況です。一方、UAEは新型コロナウィルス感染の影響で国内リーグの今季中止が既に決定しており、むしろ国内リーグに気兼ねすることなく上記の通り代表強化合宿が行われます。