8月30日のニュース:クラブ民営化で伝統喪失の危機、イングランド2部のクラブのマレーシア人オーナーが「成功」を厳命、移動制限措置適用地域在住のクダFA主将は無事チームに合流

クラブ民営化で伝統喪失の危機
 9月30日に迫ったMリーグ1部と2部のクラブの民営化の期限を前に、複数のクラブを伝統の喪失に直面していると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 各クラブは来季以降もMリーグに所属するためには民営化が義務付けられていますが、この民営化によってクラブはより高いプロ意識や安定した持続可能性を持つことが期待される一方で、長年使い続けてきた伝統あるクラブのエンブレムやロゴを放棄し、新しいものを採用せざるを得なくなっているということです。
 例えばスランゴール州サッカー協会(スランゴール州FA)が運営するMリーグ1部のスランゴールFCは、スランゴール州を代表するクラブとして1936年からスランゴール州FAのエンブレムをユニフォームにつけてプレーしてきました。

 「勇気」を象徴する赤と「王権」や「高貴さ」を象徴する黄色を基調とし、スランゴール州の紋章も描かれたエンブレムは、現在、エリートアカデミーの名称にもなっているかつての名選手モクタル・ダハリらも着用したスランゴール州を代表するチームのユニフォームにいつも輝いていましたが、来季からは選手の誇りを象徴するエンブレムが使用できなくなるということです。
 スランゴール州FAは、クラブの民営化を進めるマレーシアサッカー協会FAMに対し、民営化後も州FAエンブレムの継続的な使用許可を求めたとされていますが、エンブレムの変更も民営化の要件の一つであることから、それが認められる可能性は極めて低そうです。現にFAMのハミディン・アミン会長は州FAと民営化されたクラブが同じエンブレムやロゴを使うことを認めておらず、民営化されたクラブは州FAのエンブレムとは異なるものをつかことを義務とするコメントを発表しています。
 なお来月9月30日までに民営化が完了しないクラブは、来季2021年シーズンはMリーグ3部にあたるM3リーグに降格になるとされています。

イングランド2部のクラブのオーナーが「成功」を厳命
 イングランド2部リーグで2019/2020年シーズンは5位に終わったカーディフシティFCは、マレーシアのビジネスマン、ヴィンセント・タン氏が2010年からオーナーです。チームのユニフォームの胸スポンサーでもあるタン氏は、ユニフォームにVisit Malaysiaのスローガンを採用してきました。(写真左)

 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、この胸のスローガンが今季2020/2021年シーズンからMalaysia Berjaya(berjaya-ブルジャヤはマレーシア語で「成功」の意味)と変わることが発表されています。(写真右)
 リゾートを含めた不動産投資開発や旅行産業を運営するコングロマリットで財をなしたタン氏は「マレーシアを世界的に売り込む」ことを目的として、Visit Malaysiaのスローガンを使ってきました。その上で「新しいスローガンは自分の愛国心と自らが設立したコングロマリットのブルジャヤグループの二つの意味を持っている。」と話し、スローガンがMalaysia Berjayaと変わっても目的は変わらないと話しています。
 このスローガン変更についてはカーディフシティFCのニール・ハリス監督も「2019/2020年シーズンはプレーオフで敗れてプレミアリーグ昇格を逃したが、マレーシア語の)Berjayaの意味を理解してから、新たなシーズンには「成功」が求められていると思っている。」と話しています。
 なお、ヴィンセント・タン氏はカーディフシティFCの他、19歳のルクマン・ハキム・シャムスディンが加入したことで話題を集めたベルギー1部のKVコルトレイクのオーナーでもあります。

移動制限措置適用地域在住のクダFA主将は無事チームに合流
 Mリーグ1部のクダFAを運営するクダ州サッカー協会(クダ州FA)は、住民の自由な移動が制限されている移動制限措置が発令中のスンガイプタニ在住のバドロル・バクティアルに代わって提出していた適用除外申請が認められたことを発表しています。
 バドロル選手の雇用主であるクダFAによる申請が許可されたことにより、クダFAの主将でもあるバドロル選手はチームと共にPDRM FCとの対戦地であるクアラルンプールへ移動が可能になったと、ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 新型コロナウィルの新たなクラスターとなる懸念からスンガイプタニに移動制限措置が適用されることが発表され、この措置が適用されている地域の住民は、その地域外に出て活動を行う場合には申請を行うことが標準作業手順SOPにより義務付けられています。定められています。
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 マレーシア国内の移動制限措置が定期用される地域には警察などが検問を設けて、人の出入りを制限しており、上記のような適用除外許可証などの書類がなければ、実際にその地域を離れることは不可能です。

8月28日のニュース:サファウィ・ラシドはMリーグ終了後に移籍、クダ州FA会長はリーグ再開前に未払い給料支払いを明言、ルクマンがベルギー移籍後初ゴール、J2岡山のハディ・ファイヤッドは日本語も調子も上向き

サファウィ・ラシドはMリーグ終了後に移籍
 ポルトガル1部リーグのポルティモネンセSCへの移籍が決まっているサファウィ・ラシドは、所属するMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTがリーグ最終戦を終えてから移籍すると、マレーシア語紙コスモ電子版が伝えています。
 JDTのオーナーであるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、今季最終節となる第11節10月10日のマラッカ・ユナイテッド戦終了後にポルトガルへ立つことを明らかにしています。
 なお、ポルトガル1部リーグは9月20日開幕予定です。
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 サファウィ選手のポルティモネンセSCへの移籍が決まってから1日も経たないうちに、ポルティモネンセSCマレーシアファンクラブができるなど、多くの注目を集める代表エースの移籍ですが、23歳のサファウィ選手が成功すれば、若い選手たちの中からも海外移籍を志す選手が出てくる可能性があります。代表を強くするためにも是非、成功を期待したいですが、せっかくならポルトガルリーグの開幕前にチームに合流する方が、出場機会により恵まれる可能性もあったのではないかとも思いますが、JDTとしてもリーグ7連覇を花道に送り出してあげたかったということでしょうか。

クダ州FA会長はリーグ再開前に未払い給料支払いを明言
 Mリーグ1部クダFAを運営するクダ州サッカー協会(クダ州FA)は、126万リンギ(およそ3200万円)の未払い給料を今週末までに選手に支払うというクダ州FA会長の発言をマレーシア語紙シナル・ハリアン電子版が報じています。
 クダ州州首相でもあるムハマド・サヌシ・モハマド・ノー クダ州FA会長は、従業員積立金EPFを含めた総額を、Mリーグが再開する今週末までに支払うと話しています。
 「当初の約束を守りたい。そのためには(Mリーグ再開後の初戦となる)PDRM FC戦の前までに未払い給料を支払うことが重要であり、その財源を提供するスポンサーがある。」と話しています。
 8月12日にクダ州FAは今年3月から支払われていない未払い給料を支払うことを約束し、今年7月分の給料については全額が支払われたことが明らかになっていますが、3月6月までの給料の支払いについては、具体的な日程を明言していませんでした。

ルクマンがベルギー移籍後初ゴール
 ベルギー1部リーグのKVコルトレイクと契約したU19代表のエース、ルクマン・ハキム・シャムスディンが移籍後初ゴールを記録したようです。
 KVコルトレイクの公式ツイッターでは、U21チームで出場したルクマン選手が、4部のアマチュアチームKRCヘントとの練習試合に出場し、1-4と敗れたチームの中で唯一のゴールを決めたことが伝えられています。
 ツイッターでは映像も添付されており、ゴール前で敵DFからボールを奪うとそのままシュートを放ち、ゴールを決めたシーンも公開されています。

J2岡山のハディ・ファイヤッドは日本語も調子も上向き
 海外移籍と言えば、J2のファジアーノ岡山に所属する元U19代表のエースで20歳のハディ・ファイヤッドは日本で2年目のシーズンを迎えています。そんなハディ選手がチームのYoutubeチャンネルで日本語のインタビューに答えています。
(映像はファジアーノ岡山のYoutubeチャンネルより)

 開始後2分あたりから、中央の阿部海大選手に続いて日本語でインタビューを受けているのですが、日本での生活がまだ2年も経っていないことを考えると、聞き取りもそれなりにできていて、日本の環境に馴染んでいることが窺える映像です。
 ハディ選手は、Aチームのメンバーとして8月23日にはファジアーノ岡山U19との3本変則の練習試合に出場し、PKを含め3ゴールと1アシストを決める活躍を見せ、徐々に調子も上げてきているようです。
(以下はファジアーノ岡山のYoutubeチャンネルより)



 

8月27日のニュース:JDTのエースはポルトガルのクラブに移籍へ、マラッカ・ユナイテッドの新ロゴに盗作疑惑、一方クチンシティFCの新ロゴには好評価が集まる

JDTのエースはポルトガルのクラブに移籍へ
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版はMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTに所属するサファウィ・ラシドが、来季、ポルトガル1部のクラブへ移籍すると報じています。
 ポルトガルのスポーツ紙O Joboが伝える記事として、ポルトガル1部のポルティモネンセSCが買取オプション付きの期限付き移籍でサファウィ選手を獲得する可能性があると伝えた第一報に続き、サファウィ選手が所属するJDTがポルティモネンセSCよりオファーを受けていることを公表し、契約交渉が最終段階にあることからその内容は明かせないとしながらも、JDTとサファウィ選手の両者にとって好ましい内容であることも明らかにしています。
 さらにJDTのスポーティングダイレクターSDを務めるマーティン・プレスト氏は「JDTはサファウィ選手がヨーロッパでさらなるキャリアを積めるよう放出する意思がある。」と言うコメント発表しています。
 国内で最高のフォワードとされる23歳のサファウィ選手は、2017年にT-Team(現トレンガヌFC II)からJDTに移籍し、JDTでは3季連続の1部リーグ優勝や2度のマレーシアカップ優勝に貢献したほか、2018年には34試合で16ゴールを決めて最優秀若手選手、最優秀フォワードとMVPを、昨年2019年は34試合で20ゴールを決めて最優秀フォワードとMVPと2年連続で獲得しています。
 かつては日本代表の中島翔哉選手も所属したポルティモネンセSCは、昨季は1部18チーム中17位の成績ながら、16位のヴィトーリア・デ・セトゥーバルにライセンスに関する問題があったことから、2部降格を免れたと言うことです。
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 この移籍はポルティモネンセSCの主力株主とJDTのオーナーのトゥンク・イスマイル殿下とが近しい関係にあることから、実現の可能性が高いという報道もあります。 
 なおポルトガルリーグでプレーするマレーシア人選手としては、現在、JDTでプレーする・ナズミ・ファイズ(3部のSCベイラ・マル、2013年)、アマド・ファクリ・サアラニ(3部アトレティコSC、2012/13年シーズン)に続く3人目となるということです。
(以下はJDTの公式Facebookに掲載されたプラットSDのコメント)

マラッカ・ユナイテッドの新ロゴに盗作疑惑
 Mリーグ1部マラッカ・ユナイテッドFCを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAは、クラブの民営化に伴う新たなチームロゴを発表しましたが、これに盗作疑惑がもたれていルト、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 公募で選ばれた新しいロゴは、マラッカ州の名前の由来でもあるマラッカ(和名は油柑「ゆかん」)の木をモチーフにしたデザインですが、これが8月22日発表されると、まず、これが画像共有サイトのピンタレストで「木」を検索した際に見つかるロゴに似ているという指摘がありました。
 その後、新しいロゴはオーストラリアの食品製造企業のBare Blends社が2015年から使用しているロゴと酷似しているという報道が出ると、MUSAの会長を兼任するマラッカ州のスライマン・モハマド・アリ州首相は新しいロゴの商標登録を申請し、それが承認されてから使用することを発表しています。
(左がBare Blends社、右がマラッカ・ユナイテッドFCの新しいロゴ)

 さらにイギリスのアマチュアサッカークラブのバンステッド・ローバーズや来季からアメリカ1部のメジャーリーグサッカーMSLに参入するオースティンFCのロゴとも酷似ていることが指摘する報道も出ており、公募の際の条件の一つである、国内外を問わず他のロゴと類似ていないことに反しているという声がサポーターから上がっているということです。
(左からオースティンFC、マラッカ・ユナイテッドFC、バンステッド・ローバーズのロゴ)

一方クチンシティFCの新ロゴには好評価が集まる
 Mリーグ2部クチンFAも、クチン市サッカー協会からの独立と民営化に伴い、チーム名をクチンシティFCと変更し、また新しいロゴを発表していますが、これには好評価が集まっていると、サッカー専門サイトのヴォケットFCが報じています。
 鈴木雄太選手と谷川由来選手が所属するクチンFAの本拠地クチンkuchingは、マレーシア語で「ネコ」を意味することから、ロゴ全体の形がネコに見立てられており、緑はチームの勇猛さを、赤は決して諦めない強さ示しているということで、中央にはkuchingのKの文字も描かれています。
 盾やボールをモチーフとしたものが一般的なサッカーチームのロゴの中で、この独創的なネコの形はチームのサポーターからも好感を持って受け入れれられているということです。

8月25日のニュース:Mリーグ再開に向けて1部スーパーリーグ展望Part2

Mリーグ1部スーパーリーグ展望Part2
 昨日に続き、ニューストレイトタイムズのアジトパル・シン記者によるMリーグ1部スーパーリーグの展望に便乗し、ボラセパマレーシアJP視点の(=素人感丸出しの)コメントをつけたものをお届けします。今日は第4節終了時の5位から8位のチームについてです。

5位 サバFA(1勝2分1敗-勝点5)

<残り試合>
トレンガヌFC (A)、スランゴールFC (H)、PJシティFC (A)、クダFA (A)、マラッカ・ユナイテッドFC (H)、JDT (A)、UITM FC (H)
<シン記者評>
 傑出した選手がいるわけではないサバFAは、まさに「ハードワーク」するチームで、インドネシア人のクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督率いるこのチームは、リーグ中断前にはパハンFAに敗れた以外は、フェルダ・ユナイテッドを破り、ペラTBGやPDRM FCと引き分けと健闘した。
 リーグ再開に向けてチームは熱心に練習を行なってきたが、大半のMリーグクラブがあるマレー半島への遠征は費用が嵩むことに加え、同じボルネオ島のサラワク・ユナイテッドやクチンFAとの練習試合はサラワク州での新型コロナ感染拡大で中止となり、十分な練習試合がこなせていないのが懸念材料である。
<シン記者の今季順位予想>
7位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 2部からの昇格組ながら、4試合を終えて5位のサバFA。既にパハンFAやペラTBGとの対戦を終えており、中断前の調子を維持できれば、1シーズンで2部へ降格の心配はなさそうです。そうなるとやはり気になるのはシン記者が指摘しているように実戦不足。再開直後はトレンガヌFC、スランゴールFCと今季上位進出を狙うチームとの対戦が続きますので、この2試合によってチームの真価を問われそうです。

6位 フェルダ・ユナイテッドFC(1勝2分1敗-勝点5)

<残り試合>
UITM FC (H)、 PDRM FC (A)、クダFA (H)、パハンFA (H)、ペラTBG(A)、トレンガヌFC (H)、スランゴールFC (A)
<シン記者評>
 サポーターの数が多くないフェルダ・ユナイテッドは、スタンドに観客がいるかいないかによる違いを感じることはないだろう。多くのサポーターの声援を受けて慣れているチームとの対戦では、無観客試合がフェルダ・ユナイテッドにとって有利に働く可能性がある。
 しかしそれ以上に対戦相手にとっては厄介なのは、フェルダ・ユナイテッドの本拠地の人工芝のピッチである。多くのチームはトゥン・ラザクスタジアムの人工芝のピッチでプレーすることを好ましく思っていないが、フェルダ・ユナイテッドは残り7試合の内、4試合がホームゲームであることから、昨季2019年シーズン最終節に逆転で1部残留を決めたように、リーグの上位6位以内に入って驚きをもたらす可能性がある。実際、今季第4節には、無観客試合となったJDT戦を敵地で引き分けていることからも、戦術家のニザム・ジャミル監督率いるフェルダ・ユナイテッドは今季の台風の目となる可能性がある。
<シン記者の今季順位予想>
5位
<ボラセパマレーシア的私見>
 恵龍太郎選手が在籍し、Mリーグ1部で唯一、日本人選手が在籍するクラブですが、リーグ再開後の日程に恵まれている印象です。リーグ再開は下位のUITM FC、PDRM FCとの対戦で始まり、徐々に強豪との対戦へと続くスケジュールは、上位進出のためには負けられないクダFAとパハンFAが連戦でホームゲームとなるなど、フェルダ・ユナイテッドに有利なように思われます。
 その一方で選手層の薄さはフェルダ・ユナイテッドの不安材料です。かつてFC岐阜でのプレー経験もあるフレデリック・ビュロが練習試合で痛めた膝が重症という噂もあり、もし再開初戦のUITM FCに出場できないようなことがあれば、いきなり苦戦を強いられる可能性もあります。

7位 スランゴールFC(1勝2分1敗-勝点5)

<残り試合>
PJシティFC (H)、サバFA (A)、マラッカ・ユナイテッド (H)、JDT (A)、UITM FC (H)、PDRM FC (A)、フェルダ・ユナイテッド (H)
<シン記者評>
 リーグ中断までの4試合ではFWイフェダヨ・オルセグンとMFブレンダン・ガンの2人が5ゴールと活躍したが、リーグ再開後はケガから復帰した2018年のリーグ得点王ルフィアノ・セゴヴィアがこれに加わる。セゴヴィアは既に練習試合でも全力でプレーできることを証明しており、チームをAFC大会出場枠がかかる上位2位以内到達に貢献する準備ができている。
 スランゴールFCは各ポジションで選手層が厚く、JDTに次ぐ実力があるが、中断直前にクダFAに0-2で敗れるなどの取りこぼしには要注意だが、時には感情的になりすぎるサティアナタン・バスカラン監督が冷静さを保つようなプレーをチームがすれば、JDTの対抗馬一番手になりうる。
<シン記者の今季順位予想>
2位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 ファンクラブ会員としては、やはり優勝して欲しいですが、首位のJDTとの勝点差5は大きいです。一方で2位のペラTBGとの勝点差は3と、こちらを狙う方が現実的な目標かも知れません。いずれにしてもまずはJDTとの直接対決までの3試合で勝点9を積み上げることは必要で、ここで1試合でも引き分けるようなら、優勝に絡む機会どころか2位すら一気に遠のきます。

8位 クダFA(1勝1分2敗-勝点4)

<残り試合>
PDRM FC (A)、 PJシティFC (H)、フェルダ・ユナイテッド (A)、サバFA (H)、パハンFA (A)、マラッカ・ユナイテッド (H)、ペラTBG (A)
<シン記者評>
 先週には7月分の給料が全額支払われたとされるクダFAだが、いまだに4ヶ月分以上の未払い給料があり、この問題はクダFAの選手や監督、コーチのモチベーションに大きな影響を与えている。また、このような経営状況のクラブのリーグ出場を認めたMFLの判断にも問題がありそうだ。リーグ再開後に低いモチベーションのまま選手たちがプレーをすれば、それはリーグ自体のイメージ低下につながる。昨季の得点王クパ・シャーマン率いる攻撃陣は魅力的なだけに残念な状況だ。
<シン記者の今季順位予想>
9位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 個人的には今季、JDTの牙城を脅かす一番手と見ていたクダFA。昨季のチーム得点王フェルナンド・ロドリゲス(現JDT II)を解雇した一方で、解散したPKNS FCからクパ・シャーマンを、トレンガヌFCからチェチェ・キプレを、フェルダ・ユナイテッドから代表FWのハディン・アズマンを獲得するなど攻撃陣を大幅に補強しながら出だしでつまづいた理由は給料未払い問題だったようです。
 今季はAFCチャンピオンズリーグ予選に出場するなど期待も高く、前述したように戦力的にはJDTやスランゴールFC、ペラTBGなどど優勝争いができるチームですが、策士アイディル・シャリン監督でも選手のモチベーションを上げるのは難しそうです。

8月24日のニュース:Mリーグ再開に向けて1部スーパーリーグ展望Part1

Mリーグ1部スーパーリーグ展望Part1
 英字紙ニューストレイトタイムズはアジトパル・シン記者の署名記事で、8月26日から再開されるMリーグ1部スーパーリーグの展望を掲載していますので、今回はその記事の内容に便乗し、さらにボラセパマレーシアJP視点の(=素人感丸出しの)コメントをつけたものをお届けします。
 新型コロナウィルスの影響によって3月16日に中断して以来、およそ5ヶ月ぶりに再開されるMリーグ。今季2020年シーズンは従来のホームアンドアウェイ方式から1回戦総当たりとなり、無観客試合を条件に8月26日より再開されます。
 観衆がいないことによりホームチーム有利の常識は覆されるのか、リーグ6連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTの牙城を崩すチームは現れるのか、などシーズンは短縮されたとは言え興味は尽きません。それでは、シン記者の展望を見ていきましょう。なお順番はリーグ中断となった3月16日の第4節終了時の順位です。

1位 ジョホール・ダルル・タジムJDT(3勝1分0敗-勝点10)

<残り試合>*Aはアウェイ、Hはホーム
パハンFA(A)、ペラTBG(H)、トレンガヌFC(A)、スランゴールFC(H)、PJシティFC(A)、サバFA(H)、マラッカ・ユナイテッド(A)
<シン記者評>
 リーグ随一のスター軍団が、万が一7連覇を達成できなければ大きな失望となるが、その一方で一回戦総当たり方式とサポーターの不在がチームに影響を与える可能性もある。また、ここまで無敗できているものの、パハンFA、ペラTBG、トレンガヌFC、スランゴールFCなどリーグ上位との対戦が残っている。
 AFCチャンピオンズリーグを控えるJDTは、ベンヤミン・モラ監督が主力選手を中心にいわゆる「ローテーション」を導入して選手を入れ替える可能性もあるが、リーグ連覇のためには選手起用の失敗は許されない。
 Mリーグ自体よりもその価値が大きくなったJDTは国内リーグよりもACLのようなより大きな大会に集中すべきである。
<シン記者の今季順位予測>
 リーグ優勝
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 個人的に気になるのは、チーム練習に再開していないハリス・ハルン主将の状況です。膝の手術を受けた後、現在は母国のシンガポールで回復を待ち、チーム合流はリーグ再開直前になるということです。シンガポール代表の主将で、吉田達磨監督も全幅の信頼を寄せているというハリス選手はJDTでもチームの支柱であり、彼の回復が間に合わない場合、その穴はスター軍団といえ埋めるのは容易ではないでしょう。
 また、ここまで3勝1分の結果とは言え、相手は今季1部昇格組のUITM FCやPDRM FC、そして対戦時は明らかになってはいなかったものの、後に選手への給料が未払いであった(その結果モチベーションが低い可能性があった)クダFAにいずれも僅差で勝利しているだけで、リーグ5位のフェルダ・ユナイテッドとは引き分けるなど圧倒的な強さを見せつけたわけではありません。ACL前にチームが消耗しないように気を使いながらの選手起用を行う場合、残り7試合では1つでも取りこぼせば、それを挽回する余裕もないため、気の抜けない試合が続くことになりそうです。

2位 ペラTBG(2勝2分0敗-勝点8)

<残り試合>
マラッカ・ユナイテッド(H)、JDT(A)、UITM FC(H)、PDRM FC(A)、フェルダ・ユナイテッド(H)、パハンFA(A)、クダFA(H)
<シン記者評>
 ここまで無敗のペラTBGは、再開後もその調子を維持できれば打倒JDTの一番手になりうる。メフメト・ドゥラコビッチ監督はリーグが一回戦総当たりとなったことで、JDTの独壇場から各チームが同じ土俵に乗ったと考えており、二人合わせて5ゴールと攻撃陣を引っ張るシャレル・フィクリとギリェルメ・デ・パウラを筆頭に各ポジションに好選手が揃っており、第6節9月4日のJDTとの対戦に注目が集まる。
<シン記者の今季順位予想>
3位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 主力選手のMFブレンダン・ガンとFWノー・ハキム・ハッサンが共にスランゴールへ移籍した一方で、今季からMリーグの他のクラブから加入した外国籍選手のFWデ・パウラとMFチエリー・チャンタ・ビンが機能し、戦力ダウンを感じさせないメンバーで戦えているペラTBG。やはり注目はシン記者が指摘する9月4日のJDT戦です。リーグ中堅どころとの試合はすでに終えているペラTBGが、もしこの試合でJDTに勝利することがあれば、17年ぶりのリーグ優勝も見えてきます。

3位 トレンガヌFC(2勝1分1敗-勝点7)


<残り試合>
サバFA (H)、マラッカ・ユナイテッド (A)、JDT (H)、UITM FC (A)、PDRM FC (H)、フェルダ・ユナイテッド (A)、パハンFA (H)
<シン記者評>
 トレンガヌFCは過去4試合でリーグ最多の10失点と、守備陣の底上げがリーグ再開時の課題となる。攻撃陣は過去4試合で10ゴールを決めており、攻守のバランスが取れれば、今季注目のチームとなりうる。
<シン記者の今季順位予想>
4位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 8月22日のPJシティFC戦に勝利し、3位に浮上したトレンガヌFC。シン記者の指摘通り、得点も失点も多いこのチームは今季ここまで10得点と9失点で得失差+1ですが、過去の記録を見ても1部に昇格した2018年シーズンは得失差+1(32得点、31失点)で5位、2019年は同-2(35得点、37失点)で7位となっています。現在、6ゴールでリーグの得点王のFWドミニク・ダ・シルヴァ、FWリー・タック、MFサンジャル・シャアフメドフの外国籍選手を中心とした攻撃陣による得点は計算できるので、上位を狙うには守備陣が奮起し、このノーガードの打ち合いのような試合をどれだけ減らせるかが鍵になりそうです。 

4位 パハンFA(4試合-2勝0分2敗-勝点6)

<残り試合>
JDT (H), UITM FC (A), PDRM FC (H), フェルダ・ユナイテッド (A), クダFA (H), ペラTBG (H), トレンガヌFC (A)
<シン記者評>
 パハンFAの状況は謎に満ちている。チームは経営状況が厳しく、リーグ再開が決まった際には、今季の残りを辞退するという噂も出たほどで、今季終了後には多くの選手が放出されるという噂もある。選手の給料は支払われたということだが、チーム内のムードは決して良好とは言えず、ドラー・サレー監督がどれだけチームのやる気を引き出せるかがリーグ再開時の課題となる。
 今季の残り日程を見ると、PDRM FC戦以外は苦しい試合になることが予想される。
 Mリーグで最強のストライカーだったディクソン・ヌワカエメはかつての輝きを失っており、イヴァン・カルロスがその代役を務めることが期待される。
<シン記者の今季順位予想>
6位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 過去3シーズンは2位、4位、2位と安定した力を示す一方で、これまでJDTのタイトル争いを脅かすことがなかったパハンFA。モハマドゥ・スマレ、アザム・アジーと代表のレギュラーMF2人を抱えるなど、各ポジションに人材が揃っていますが、このチームは少ない得点を全員で守り切って勝つスタイルなので、リーグ再開後は守備陣の活躍に注目です。
 シン記者が指摘している通り、スマレ選手には来季、JDT移籍の噂もあり、クラブ経営が苦しいのであれば、中途半端に上位を目指さず来季以降を目標にして、思い切った若手の登用に舵を切るのも面白いかも知れません。

Mリーグ再開!第5節前の未消化試合 1部スーパーリーグ第4節1試合結果および2部プレミアリーグ第2節1試合結果

 3月16日より中断していたMリーグが再開しました。本日8月22日(土)の試合は、3月15日(日)に予定されていながら順延されていた1部スーパーリーグ第4節のPJシティFC対トレンガヌFC戦と、3月7日(土)に試合直後に雷雨のため順延となった2部スーパーリーグ第2節のUKM FC対ケランタンFAの2試合が行われました。以下結果です。
(ホームチームが左側です。)

8月22日(土)
MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 0-2 トレンガヌFC
得点者:トレンガヌ-ドミニク・ダ・シルヴァ2(30分、72分)
 リーグ中断前までの3試合で4ゴールを挙げ、得点王争いのトップに立っていたドミニク・ダ・シルヴァがこの試合でも2ゴールを挙げ、トレンガヌFCが快勝しています。
 この結果、トレンガヌFCは2勝1分1敗の勝点7で8位から3位に浮上、一方のPJシティFCは1勝1分2敗の勝点4となり10位のままです。

MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
UKM FC 1-5 ケランタンFA
得点者:UKM-アカニ・サンデイ(45分+2分PK)、ケランタン-ハキム・アブドラ3(27分、53分、89分)、フェリックス・チディ2(66分、80分)
 報道によると厳しい財政状況により、本拠地のケランタン州コタバルから8時間かけてバスで移動してきたというケランタンFAが、ハキム・アブドラのハットトリックを含む5ゴールでUKM FCに圧勝し、2勝1分1敗の勝点4(ケランタンFAは、未払い給料問題により勝点3を剥奪されています。)10位から7位と一気に順位を上げています。4月から選手への給料が未払いとなっていることが報じられているケランタンFAは、ケガで主将のナズリ・ナフィを欠き、遠征メンバーも19人ながら、闘争心は失っていないことを結果で示しました。
 また、この試合でハットトリックを達成したハキム・アブドラは本来はプレジデントカップ(U21)チームの選手ということですが、今季のプレジデントカップは新型コロナの影響で中止になっており、災い転じて福となす、と言ったところでしょうか。
 一方のUKM FCは7位から順位を一つ下げて8位となっています。
 なおケランタンFAのDF渡邉将基選手は、スタメンでフル出場していますが、74分にイエローカードを出されています。
(写真はケランタンFAの公式Facebookより。写真一番左側がハットトリックを決めたハキム・アブドラ選手)

8月22日のニュース:いよいよMリーグが再開!(とは言っても中断前の未消化試合2試合ですが)

 本日8月22日には、Mリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグでそれぞれ1試合が開催されます。
 スーパーリーグは3月15日の第4節に予定されながら順延となっていたPJシティFC対トレンガヌFCの試合がPJシティFCの本拠地MBPJスタジアムで午後9時から行われます。この試合は試合当日の3月15日にMPPJスタジアムが改修工事中で使用できず、またその代替試合会場をPJシティFCが用意できなかったことにより順延されています。なお、PJシティFCはこの不手際により、Mリーグを主催するマレーシアフットボールMFLより3万リンギ(およそ76万円)の制裁金を課されています。
 ホームのPJシティFCは3月18日のリーグ中断まで1勝1分1敗の10位につけています。以下はMFLがリーグ再開を前に作成したチーム紹介用インフォグラフィックです。表記は全てマレーシア語ですが、クラブ名PJ CITY FCの下には本拠地のMBPJスタジアム(表記はSTADIUM MAJILIS BANDARAYA PETALING JAYA)、右側にチームロゴとホームユニフォームが、中央左には監督(Ketua Jurulatih)のデヴァン・クップサミー監督の顔写真と2020年スーパーリーグ1部での順位(KEDUDUKAN CIMB LIGA SUPER 2020、CIMBはリーグの冠スポンサーになっている金融グループの名前です)と試合結果(KEPUTASAN CIMB LIGA SUPER 2020)、さらに主将(Ketua Pasukan)のグルサミー・カンダサミーの紹介、そしてここまでのチーム得点者(Penjaring Pasukan)はデンバ・カマラ選手や他の上位得点者が紹介されています。

 対戦相手のトレンガヌFCはPJシティFC同様に1勝1分1敗で得失差もー1と同じですが、総得点が8とPJシティFCの4より多いことから、ここまでの順位は8位となっています。なおチーム得点王のドミニク・ダ・シルヴァ選手は、ここまでリーグの得点王でもあります。

 一方、Mリーグ2部プレミアリーグは、3月7日の第2節に雷雨のため試合開始直後に中止となったUKM FC対ケランタンFAの試合がUKM FCの本拠地MPSスタジアムで午後4時45分から行われます。ちなみにこの中途半端な試合開始時間の理由は、MPSスタジアムがMFLが規定する明るさの照明設備を備えていないことに加え、イスラム教の日没時のお祈りの時間がマレー半島では午後7時30分少し前であることから、試合がその時間にかからないよう設定されていることによります。

 ホームのUKM FCはマレーシア国立大学UKMの学生とプロ選手からなるクラブチームで。リーグ中断までの3試合を1勝1分1敗の勝点4ながら、昨季2019年シーズン優勝のJDT IIと引き分けるなど検討しています。

 対戦相手のケランタンFAはこのブログでも何度も取り上げたように、過去数ヶ月間の給料が未払いとなっているだけでなく、過去に在籍した選手への未払い給料問題が解決していないことからFIFAの制裁を受け、今季の勝点3が剥奪されています。このためリーグ中断までの3試合は1勝1分1敗で本来なら勝点4となるはずですが、剥奪の結果、勝点1となっています。
 また、開幕前に契約していたユニフォームの胸スポンサーも撤退して、リーグ再開後は新たなデザインのユニフォームで臨むなどバタバタが続いています。下のユニフォームは今季開幕時のもので、本日8月22日の試合はこれとは別のユニフォームを着用します。
 なおケランタンFAには日本人の渡邉将基選手も在籍しています。

 ケランタンFAにとって朗報なのは、今季はMリーグ2部と3部の入れ替え戦が廃止となったことです。新型コロナウィルスの影響で今季のMリーグ3部、M3リーグは中止が決定していることから、2部からの降格がないことがMFLより発表されています。
 勝点3を剥奪され、降格権に限りなく近づいていたケランタンFAですが、その降格がなくなったことから、失うものが何もなくなった結果の開き直りの底力に期待がかかります。これで上位5チームまでに与えられるマレーシアカップへの出場権を獲得できれば、言うことなし、といったところでしょう。

8月18日のニュース:FAM-サバ州FAは民営化手続きを始めている、ケランタン州FAはニック・アキフの放出も検討

FAM-サバ州FAは民営化手続きを始めている
 昨日8月17日のこのブログでは、マレーシアサッカー協会FAMが民営化手続きを始めていないクラブがMリーグ1部で2チーム、2部で1チームあると発表した記事を取り上げ、噂では1部のクラブはサバFAとPDRM FC、2部はUKM FCがこの3クラブだと書きました。
 しかしサッカー専門サイトのサッカートライブによると、サバ州サッカー協会(サバ州FA)は運営するMリーグ1部のサバFAの民営化手続きに着手しているとFAMのスチュアート・ラマリンガン事務局長が述べています。
「サバ州FAは、運営クラブの民営化に着手していない州FAの一つではない。ただし、サバ州政府内の政変により州議会が解散しており、このため民営化手続きに必要な承認が州政府から得られず、その進行に遅れが出ているというの事実である。なお、民営化の期限は9月30日ではあるが、FAMはサバFAの民営化手続きの完了を支援することを確約する。」
 その一方でスチュアート事務局長は、今回の手続きの遅れはクラブが州FAから独立していないこと、そして州FAが州政府に依存していることが原因だとして、改めてMリーグクラブの州FAからの独立と民営化の必要性を訴えています。

ケランタン州FAはニック・アキフの放出も検討
 Mリーグ2部ケランタンFAのMFニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マットは、U19やU23代表でもプレー経験があるチームでもトップの若手有望株ですが、この21歳の攻撃的ミッドフィルダーがクラブを運営するケランタン州サッカー協会(ケランタン州FA)の苦しい財政状況から放出される可能性があると、マレーシア語紙コスモ電子版が報じています。
 ケランタン州FAの苦しい財政状況は、在籍選手やスタッフだけでなく、かつて在籍した選手やスタッフに対しても未払い給料があることなどを、このブログでも何度も取り上げています。この状況に対して、クラブの買収を希望する声が複数の企業や個人から挙がる一方で、現在抱えている未払い給料の問題を解決しなければ、来季は現在のMリーグ2部からセミプロリーグの3部、M3リーグへの降格処分を受ける可能性があります。そんな中でケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長は、他のMリーグクラブからのケランタンFA在籍選手獲得の打診について話を聞く用意があるとしています。
 「ケランタンFAの有望な若手選手の多くが2021年まで契約が残っているが、ケランタン州FAはそう言った選手の獲得を希望するクラブがあれば話を聞く用意がある。特にニック・アキフに関心があるクラブが複数あることは理解しており、そう言ったクラブは、他の若手選手よりも高額の100万リンギ(およそ2520万円)の契約解除違約金がニック・アキフに設定されていることを理解してもらいたい。」
 ケランタン州FAは600万リンギ(およそ1億5100万円)を超える負債があるとされており、この負債には今年3月半ばから選手やスタッフに支払われていないとされる未払い給料は含まれていないということです。
 なお、ケランタンFAには、ニック・アキフ選手以外にもMFダニアル・アシュラフ、FWニック・アズリ、FWアフィク・サルディン、FWカイルル・リザムなど年代別代表でのプレー経験がある20代前半の選手が複数おり、クラブの存続のためにはニック・アキフ選手以外にも多くの若手を放出せざるを得ない可能性があると、コスモの記事は結んでいます。

8月14日のニュース:Mリーグは予定通り8月26日より無観客試合でリーグ再開することを担当大臣が明言、フェルダUも共同オーナーを募集中、ルクマンのKVコルトレイクでの背番号は9に決定

Mリーグは予定通り8月26日より無観客試合でリーグ再開することを担当大臣が明言
 ここに来て、新型コロナウィルス感染者数が増加傾向にあるマレーシア。これを受けて国内スポーツを統括する青年スポーツ省が保健省と国家安全保障委員会にMリーグ再開日程についての助言を求めたという記事なども出ていましたが、新型コロナウィルス関連事項を担当しているイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相は、Mリーグは予定通り8月26日より無観客で再開することを明言しています。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、サブリ上級相は「保健省による勧告を考慮した上で(8月26日リーグ再開の)日程が決定が下されており、Mリーグの主催者にはマレーシア政府が求める指針に従うことを改めて求めたい。」と、現在発令中のリカバリー活動制限令RMCO関連の定例記者会見の席上で語ったということです。

フェルダUも共同オーナーを募集中
 Mリーグ1部と2部のクラブは9月30日までにクラブの民営化が求められていますが、マレーシア政府機関の連邦土地開発庁FELDAが運営するフェルダ・ユナイテッドFCも共同オーナーを探していると、サッカー専門サイトのスムアニャボラが伝えています。
 FELDAは新たな入植地を開梱し、その入植者支援を目的に立ち上げられた政府機関ですが、現在はヤシ油を算出する世界最大のプランテーションを運営するFGV持ち株会社を含め関連会社を複数抱え、経済活動及び商業活動を活動の中心としています。
 フェルダ・ユナイテッドFCも、当初はFELDAによる入植者のためのクラブとしてスタートしましたが、2008年にMリーグ2部に昇格、そして2011年には1部へ昇格しています。また2016年にはMリーグ1部で2位となり、よく2017年にはアジアサッカー連盟主催のAFCカップにも出場しているリーグ中堅のクラブです。
 フェルダ・ユナイテッドFCは、クラブ名にFCがついてはいるものの、多くの州サッカー協会(州FA)が運営するクラブと同様、完全な民営化は完了しておらず、現在は民営化をを目指して、FELDAと共同でクラブ運営をする企業や投資家を募っているということです。
 フェルダ・ユナイテッドFCのアフィザル・アブ・オスマン事務局長は、民営化によってクラブ経営が改善され、FELDAとその関連企業に運営資金を依存する体質から脱却できる機会と捉えているとし。現在は未払い給料問題もなく、パハン州ジェンカに本拠地となるトゥン・アブドル・ラザクスタジアムを持ち、スランゴール州バンギには練習場とジムを持つなど資産もあり、マレーシアでのサッカークラブ運営を検討している企業や投資家には魅力的なクラブであると話しています。

ルクマンのKVコルトレイクでの背番号は9に決定
 マレーシアU19代表のエースで、ベルギー1部リーグのKVコルトレイクと5年契約を結んだルクマン・ハキム・シャムスディンの背番号は9となることが、クラブの公式Facebookで発表されています。
 クラブの公式Facebook上の40秒ほどのビデオでは、ルクマン選手のユニフォーができていく過程が紹介されています。
 またマレーシア語紙ブリタハリアンは、ルクマン選手が13時間かけてマレーシアからベルギーに到着したことを報じています。なお、ルクマン選手はクラブが所有する施設で2週間の隔離期間を経てチームに合流するということです。
 なおベルギー1部リーグは8月9日に開幕し、第1節ではルクマン選手が所属する昨季11位のKVコルトレイクは小林祐希選手が所属する昨季16位のワースラント=ベフェレンと対戦し、1-3で敗れています。
(写真はKVコルトレイクの公式Facebookに掲載されたルクマン選手のユニフォーム)

8月13日のニュース:速報-AFCはW杯アジア二次予選を2021年に延期、W杯予選延期でMリーグ日程も変更か、クダFAの選手に7月分の給料が支給される

速報-AFCはW杯アジア二次予選を2021年に延期
 アジアサッカー連盟AFCは国際サッカー連盟FIFAとともに、10月から11月にかけて予定されていたFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選を来年2021年まで延期することを公式サイトで発表しました。
 新型コロナウィルスの感染がいまだに多くの国で広がっていることを考慮した上で、すべての参加者の健康と安全保護の観点からの判断であるとしています。延期後の日程については追って発表されるということです。
 今年3月に予定されていたW杯予選は、新型コロナウィルス感染の影響で10月から11月に延期されており、これで二度目の延期となりました。

W杯予選延期でMリーグ日程も変更か
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、Mリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOが、W杯アジア二次予選延期はMリーグの日程の過密化の助けになると話していると報じています。
 アブドル・ガニCEOは、FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の延期の発表は、Mリーグが待ち続けていたものだとしています。
 「8月26日に開幕し、9月23日に閉幕するMリーグの日程には、リーグ開催中に(新型コロナウィルスの)感染者が出るなどして試合が延期される場合や、何らかの事情でスタジアムが使用できなくなるような場合に必要な『予備日』が全く設定されていないので、このW杯予選中止により、この予備日を設定する日程的な余裕ができた。」と話しています。
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 先日のアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップの延期に続き、W杯予選も来年まで延期となったことで、マレーシアの今年のサッカーカレンダーはMリーグの残り7試合とマレーシアカップのみとなりました。8月26日から再開されるMリーグは上記のアブドル・ガニCEOが話すように予備日を設定することで過密日程を避けることができ、それにより10月17日の一回戦から11月7日の決勝までの日程が発表されているマレーシアカップの日程もMリーグ最終節の日程が変われば、変更になることも考えられます。

クダFAの選手に7月分の給料が支給される
 マレーシアの通信社ブルナマは、Mリーグ1部のクダFAの選手が7月分の給料全額を支払われたと報じています。クダFAを運営するクダ州サッカー協会(クダ州FA)のムハマド・サヌシ会長は、いまだ未払いとなっている3月から6月分の給料についても、近いうちに支払いが行われると話しています。
 サヌシ会長は、今季中にクダFAの選手やスタッフに対する全ての未払い給料を完済する他、従業員積立基金EPFと交渉し、2019年から未納となっている積立金についても納入計画を作成することを記者会見で約束しています。
 この記者会見の前には、クダFAのチーム全員を招いた夕食会を主催したサヌシ会長は、その夕食会の席上で選手やスタッフの献身的にサッカーへ取り組む姿勢に感謝の意を示すとともに、クダ州FAの現経営陣及び旧経営陣の不手際を出席者に詫びたということです。