キム・パンゴン新監督率いる代表の初戦となるフィリピン戦はいよいよ今日、開催。誰が先発するのかなど興味が高まる一方で、結果には期待せず、キム監督には時間が必要だろう、と言う声が国内では多いですが、それでもフィリピンに大差で負けることがあれば手のひら返しが起こることもあります。果たして結果はどうなるでしょう。試合はシンガポール時間で午後8時(日本時間午後9時)キックオフです。
かつてのマレーシアならフィリピンに負けようものなら大騒ぎとなりましたが、それも今は昔、最も最近の対戦は2017年3月で、この試合を含む直近の5試合では全て引き分けており、最後にマレーシアがフィリピンに勝ったのは2007年1月のAFF選手権まで遡らなければなりません。なお現在のFIFAランキングはフィリピンが129位、マレーシアが154位となっています。
スランゴールCEO-JDTオーナーからの「資金援助」は過去のもの
JDTオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が、給料未払い問題を抱えるペラFCに資金援助を行なったことが明らかになった後、イスマイル殿下が同様の援助を行ったのはこれまでに複数クラブあったことを明らかにしましたが、その中にはスランゴールFCも入っており、しかもイスマイル殿下は2度にわたる援助を行なったことも明かしています。
これに対してスランゴールFCのジョハン・カマル・ハミドンCEOは、イスマイル殿下の資金援助は、スランゴール州皇太子ののトゥンク・アミル・シャー・スルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下がスランゴール州サッカー協会の会長に就任した2018年7月以前の話であり、アミル殿下の会長就任以降はMリーグの他のクラブから資金援助を受けたことは一度もないと述べています。
イスマイル殿下の発言以降、多くの質問を受けたことから説明が必要だと感じたと説明したジョハンCEOは、アミル殿下の会長就任以降のスランゴールFCの収入は全てスポンサーや商業活動から得たものであると述べていルト、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
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イスマイル殿下が2012年2月にジョホール州サッカー協会会長就任し、ジョホール州内に本拠地を持つ複数のクラブを統合し、2013年からJDTとしてMリーグに参加するようになって以降、昨季までMリーグ1部スーパーリーグで8連覇を果たすなど、JDTはまさにマレーシアを代表するクラブとなりました。しかしそれ以前は国内リーグを代表するのはスランゴールFC(当時はスランゴールFA)でした。老舗のスランゴールが新興のJDTに資金援助を受けていた、と言うことにはボラセパマレーシアも驚きましたが、ジョハンCEOにすれば、そんな話を一人歩きさせるわけにはいかなかったところでしょうか。
Mリーグの未払い給料文化がフットサルリーグにも「伝染」
ペラFCやKLシティなどMリーグの給料未払い問題がメディアを賑わしていますが、これがフットサルリーグにも「伝染」しているとマレーシア語紙のハリアンメトロが報じています。
記事で取り上げられているのは、3月8日から23日までの予定で開催されているマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLの女子リーグに出場しているKL(クアラルンプール)チームで、選手への給料が未払いとなっているだけでなく、選手たちは滞在している合宿の家賃が払われないことから、退去を命じられたと報じられています。またリーグ参加のための交通費や食費も選手自身が負担していると言うことです。
さらクラブ経営陣は3月17日に行われたMPFLのマラッカ戦に0-26で敗れたKLについて、チーム内で新型コロナ陽性者が出たことが大敗の理由と説明していましたが、その説明は虚偽であり、真相は未払い給料に抗議して主力選手が出場をボイコットしていたことも明らかになっています。
この真相を発表したマレーシアプロサッカー選手会PFAMのイズハム・イスマイルCEOは既にKLの複数の選手から事情聴取を行なっており、クラブ経営陣の選手への対応は虐待とも言えるもので、PFAMはクラブ経営陣による説明を求めると同時に、MPFLの主催者であるマレーシアサッカー協会FAMはこの事態についての調査を行うことを提言しています。
さらにイズハムCEOは、マレーシアの女子フットサル選手はアマチュア選手ではあるものの、このように扱われ方は選手の権利を蔑ろするものであり、FAMは給料の支払いや厚生面が保証されるよう、より明確で遵守が求められる法的枠組を設ける必要があると指摘しています。
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別の記事では、MPFL開幕の3月8日までに1400リンギ(およそ4万円)がリーグ出場の給料として支払われることになっていたものの、結局、開幕から4試合終了しても100リンギ(およそ2800円)の手当てしか支払われなかったことから、第5戦のマラッカ戦で16名の選手が出場をボイコットしたと報じられています。また、給料未払いを訴えた際には、監督から「俺の知ったことか。どっかへ行け。死ね」と暴言を吐かれたとも報じられており、FAMも静観するわけにはいかないでしょう。
代表の守護神争いは三つ巴に
シンガポールで開催される3カ国対抗に出場するマレーシア代表は、昨日3月22日にシンガポール入りし、本日23日2は初戦のフィリピン戦を迎えますが、キム・パンゴン監督がどのような先発XIを選ぶのかが気になるところです。
注目なのは代表GKのポジション争いで、代表合宿打ち上げ前に新型コロナ検査で陽性となった20歳のラハディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)が脱落したことで、守護神争いはファリザル・マーリアス(JDT)、カイルルアズハン・カリド(スランゴール)、カラムラー・アル=ハフィズ(PJシティ)の3名に絞られています
この3名の中で最も経験が豊富なのはファリザル選手で現在はキャップ数48と、シンガポールでの2試合に出場すれば50キャップ達成となります。一方、キャップ数では14とファリザル選手に遅れをとるカイルルイズハン選手ですが、昨年2021年はタン・チェンホー前監督の元で先発試合数がファリザル選手3試合、カイルルイズハン選手2試合と、その差はわずか1試合でした。またカラムラー選手は昨年初めて代表に召集されましたが、10月の中東遠征、12月の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップとも出場機会はありませんでした。
経験で言えばファリザル選手が一番手でしょうが、今日3月23日のフィリピン戦、26日のシンガポール戦、そして3カ国対抗後に行う3月28日のアルビレックス新潟シンガポールとの練習試合もあり、シンガポールではこの3人全てが起用される可能性も否定できません。