Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第7節結果

 9月11日(金)と9月12日(土)の両日に、1部スーパーリーグ第6節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 *試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより。

9月11日(金)
ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラTBG 1ー0 UITM FC
得点者:シャレル・フィクリ(4分)
 前節ではJDTに0ー7と大敗したペラTBGでしたが、この試合は開始直後4分のゴールを守り切って勝利しています。
 UITM FCは司令塔ラビ・アタヤを累積警告による出場停止で欠く苦しい布陣ながら善戦するも惜敗し、リーグ戦の連勝が3でストップしました。

スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 0-1 ジョホール・ダルル・タジムJDT
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(5分)
 JDTが3連勝、開幕からも7試合負けなしとなり、リーグ7連覇にまた一歩近づきました。AFCチャンピオンズリーグ過去10年のベストゴールを受賞したサファウイ・ラシドがゴールを決めています。
 下のハイライト映像にはありませんが、トレンガヌFCにとってはPKを与えられても良い場面が少なくと2度あり審判に泣かされた試合でもありました。これにはJDTのオーナーのトゥンク・イスマイル殿下も審判を非難するコメントを出すほどでした。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
スランゴールFC 1-1 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:スランゴール-サンドロ・ダ・シルヴァ(40分)、マラッカ-ウチェ・アグバ(39分)
 来季のAFCカップ出場を目指すスランゴールFCにとっては上位進出が遠のく引き分けでした。試合終了間際にはブレンダン・ガンが2枚目のイエローで退場となり、次節の注目カード、首位JDT戦に出場できなくなりました。
 一方のマラッカUはリーグ再開後は2勝1分と好調を維持しています。

9月12日(土)
トゥン・アブドル・ラザクスタジアム(パハン州ジェンカ)
フェルダ・ユナイテッドFC 1-2 クダFA
得点者:フェルダ-シャミ・ザムリ(41分)、クダ-チェチェ・キプレ(48分)、ハディン・アズマン(66分)
 クダFAが昨季までフェルダ・ユナイテッドに在籍していたハディン・アズマンの逆転ゴールでリーグ再開後3連勝し、今季最高位の2位に浮上しています。
 一方のフェルダ・ユナイテッドはリーグ再開から1分2敗と勝ち星がありません。
 フェルダ・ユナイテッドの恵龍太郎選手は先発でフル出場しています。

ダルル・マクマルスタジアム(パハン州クアンタン)
パハンFA 2-1 PDRM FC
得点者:パハン-イヴァン・カルロス(37分)、ファイザル・ハリム(74分)、PDRM-アミル・サイフル(83分)
 パハンFAはFWディクソン・ヌワカエメを欠きながらも最下位のPDRM FCに勝利し、連敗を2で止めています。
 PDRM FCは給料未払い問題により勝点3を剥奪されており、このままだと勝点がマイナスでシーズンを終える可能性が出てきました。

MPPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 1-1 サバFA
得点者:PJ-エリゼウ・アラウージョ(53分)、サバ-ロドリュブ・パウノヴィッチ(88分)
 ともに降格圏にいる両チームの争いは引き分けに終わっています。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第7節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT76101641219
2クダFA7412128413
3ペラTBG7322912-311
4マラッカU741264210
5トレンガヌFC73131411310
6スランゴールFC724199010
7UITM FC731377010
8パハンFA7304101009
9フェルダU7133811-36
10PJシティFC7133610-46
11サバFA7133712-56
12PDRM FC7024310-7-1
*4位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第7節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC7
5イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC7
5チェチェ・キプレクダFA7
4サンジャル・シャアフメドフ他6名

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第6節結果

 9月4日(金)と9月5日(土)の両日に、1部スーパーリーグ第6節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 *試合のダイジェスト映像は全てMFLの公式Youtubeより

9月4日(金)
ジョホール・ダルル・タジムJDT 7-0 ペラTBG
得点者:アフィク・ファザイル(22分)、ゴンザロ・カブレラ3(36分、45分PK、63分)、ラマダン・サイフラー(45分+2分)、サファウィ・ラシド(79分)、アキヤ・ラシド(84分)
 JDTは、追撃候補の一つペラTBGを全く寄せ付けず、JDTがゴンザロ・カブレラのハットトリックなどを含む今季最多得点で圧勝。2位に勝点差6をつけ、独走態勢に入りつつあります。

リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFA 1-2 スランゴールFC
得点者:サバ-ルドリュブ・パウノヴィッチ(65分)、スランゴール-イフェダヨ・オルセグン2(72分、81分)
 スランゴールFCは前節はベンチスタートだったイフェダヨ・オルセグンが先発し、終盤に2ゴールを決めリーグ再開後の初勝利を挙げています。
 一方、サバFAはリーグ再開から2連敗となっています。

ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州クルボン)
マラッカ・ユナイテッドFC 1-0 トレンガヌFC
得点者:マラッカ-ウチェ・アグバ(61分)
 マラッカ・ユナイテッドFCが連勝。過去2試合で6得点無失点で2連勝のトレンガヌFCは完封負けしています。

9月5日(土)
ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダFA 2-1 PJシティFC
得点者:クダ-クパ・シャーマン(24分)、チェチェ・キプレ(68分)、PJ-ワシントン・ブランダオ(16分)
 5バックで試合に臨んだPJシティが先制し、さらに守備的になった布陣をこじ開けたクダFAが連勝で2位に浮上。
 一方の3試合勝ち星なしのPJシティは11位のサバFAと勝点で並び、次節の直接対決が控えています。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 1-0 パハンFA
得点者:ラフィ・ヤアコブ(63分)
 昇格組のUITM FCが前節のフェルダ・ユナイテッドFCに続き、昨季2位のパハンFAに勝利する大番狂わせで、順位を一つ上げ4位としています。
 パハンFAはリーグ再開以降2連敗で、モハマドゥ・スマレ不在が響いています。

クアラルンプールフットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 1-1 フェルダ・ユナイテッドFC
得点者:PDRM-エスカンダル・イスマイル(59分)、フェルダ-カイルル・アムリ(71分PK)
 PDRM FCが今季チーム3ゴール目となるエスカンダル・イスマイルのゴールで先制しましたが、フェルダ・ユナイテッドFCが追いつき引き分けに終わっています。
 フェルダ・ユナイテッドFCは最下位のPDRM FC相手に勝点3を獲得してリーグ順位をあげたいところでしたが、今季未勝利の相手に引き分けが精一杯でした。
 フェルダ・ユナイテッドFCの恵龍太郎選手は先発でフル出場しています。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第6節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT65101541116
2トレンガヌFC63121410410
3クダFA6312107310
4UITM FC631276110
5マラッカU64029549
6スランゴールFC62318809
7ペラTBG6222812-48
8パハンFA620489-16
9フェルダU613279-26
10PJシティFC612359-45
11サバFA6123611-55
12PDRM FC6024310-7-1
*5位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第6節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC6
5イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC6
4サンジャル・シャアフメドフトレンガヌFC6
4ゴンザロ・カブレラJDT6
4クパ・シャーマンクダFA6
4チェチェ・キプレクダFA6

Mリーグ1部スーパーリーグ2020年シーズン第5節結果

 3月16日から中断していたMリーグが再開し、8月28日(金)と8月30日(土)の両日に、1部スーパーリーグ第5節の6試合が行われました。以下結果です。(ホームチームが左側です。)
 今節は、JDTを除き、試合前に下位だったチームが上位のチームを破る結果になっています。(試合のダイジェスト映像はMalaysia Football LeagueのYoutubeチャンネルより)

8月28日(金)
ダルル・マクマルスタジアム(パハン州クアンタン)
パハンFA 2-0 ジョホール ・ダルル・タジムJDT
得点者:パハン-ファイサル・ハリム(40分)、エラルド・グロン(45分)、JDT-レオナルド・ヴァレスケス(5分)、ラマダン・サイフラー(15分)、ゴンザロ・カブレラ(35分PK)
 ポルトガルリーグのポルティモネンセSCへの移籍が決まっているエースのサファウィ・ラシドをベンチスタートさせたJDTは、Mリーグが中断する第4節まではBチームのJDT IIに所属し、2部プレミアリーグでプレーしていたラマダン・サイフラーがトップチーム昇格後に即スタメン出場し、さらにゴールを決めるなど改めて選手層の厚さを披露しました。さらに代表でもプレーするパハンFAの高速ウイング、モハマドゥ・スマレ獲得の噂もあり、エースの移籍にも盤石の構えでリーグ7連覇に近づきました。
 一方のパハンFAは、前述のスマレ選手が過去1ヶ月ほど練習にも参加していないという報道があり、この日もベンチ入りしませんでした。また第4節までチーム最多の3ゴールを決めているFWイヴァン・カルロスもケガでスタメンを外れるなど満身創痍のチーム状態では2点を返すのがやっとでした。

ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラTBG 0-1 マラッカ・ユナイテッド
得点者:マラッカ-フェリス・ダニアル(52分)
 給料未払い問題で揺れるマラッカ・ユナイテッドがペラTBGの無敗記録をストップ。ペラTBGのオフサイドトラップを抜け出したフェリス・ダニアルが今季初ゴールを決めています。

トゥン・アブドル・ラザクスタジアム(パハン州ジェンカ)
フェルダ・ユナイテッド 0-1 UITM FC
得点者:UITM-マーク・ハートマン(38分)
 今節最大の番狂わせとなったこの試合は、マーク・ハートマンのゴールで大学生が主体のUITM FCがフェルダ・ユナイテッドを破り9位から3位に浮上。一方のフェルダ・ユナイテッドは5位から9位に順位を下げています。
 フェルダ・ユナイテッドの恵龍太郎選手はスタメンでフル出場しています。

スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 4-0 サバFA
得点者:トレンガヌ-ドミニク・ダ・シルヴァ(12分)、サンジャル・シャアフメドフ2(43分、71分)、ファリス・ラムリ(84分)
 Mリーグ再開前のスーパーリーグ展望で失点をどれだけ防げるかが上位進出の鍵となると予想したトレンガヌFCが2試合連続の完封勝利で首位JDTと勝点差3の2位に浮上しています。またこの試合でもゴールを決めたドミニク・ダ・シルヴァは5試合で6ゴールとリーグ得点王として好調を維持しています。
 一方、サバFAはやはりスーパーリーグ展望で実戦練習不足が懸念材料と書きましたが、やはりそれが露呈した格好になり、一気に降格圏内の11位まで順位を下げました。

クアラルンプール・フットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM FC 0-2 クダFA
得点者:チェチェ・キプレ2(30分、36分PK)
 こちらも給料未払い問題が取り沙汰されているクダFAが最下位相手ながら快勝し、順位を8位から3位としています。クダFAを運営するクダ州サッカー協会は、このPDRM FC戦前に未払いとなっている3月から6月までの給料を完済すると約束していましたが、それが1週間先延ばしになり、チームの士気が低下しても致し方ない状況でしたが、相手がPDRM FCだったことも幸いしてか、勝点3を獲得しています。
 敗れたPDRM FCは、リーグ中断前の第4節まで活躍した正GKのブライアン・シーをケガで欠き、攻撃陣も機能せず、既に今季3度目の完封負けで、今季の成績を0勝1分4敗としています。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
スランゴール FC 0-0 PJシティFC
得点者:なし
 ケガから復帰のルフィアノ・セゴヴィアを先発させて攻撃重視のメンバーを組みながら前半を無得点で折り返すと、スランゴールFCは後半には昨季のチーム得点王イフェダヨ・オルセグンやワン・ザック・ハイカルら攻撃のカードをさらに切りましたが、PJシティFCのゴールを破ることはできませんでした。この引き分けは上位進出を狙うスランゴールFCにとっては負けにも等しい痛い引き分けでした。
 この試合の前にはスランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督が今季の契約切れと共に退任するという噂が出ており、この辺りも試合の結果に影響を及ぼしたかもしれません。
 PJシティFCは負けていれば、降格権内の11位に落ちるところでしたが、貴重な勝点1をもぎ取り10位に踏みとどまりました。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第5節終了時)

順位クラブ試合得点失点得失差勝点
1JDT541087413
2トレンガヌFC5311149510
3ペラTBG52218538
4クダFA52128627
5UITM FC52126607
6マラッカU5302853*6
7パハンFA52038806
8スランゴールFC513167-16
9フェルダU512268-25
10PJシティFC512247-35
11サバFA512359-45
12PDRM FC501429-7*-2
*6位のマラッカUと12位のPDRM FCはそれぞれ、給料未払い問題により勝点3が剥奪されています。

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第5節終了時)

ゴール数選手名所属試合数
7ドミニク・ダ・シルヴァトレンガヌFC4
4サンジャル・シャアフメドフトレンガヌFC4
3イフェダヨ・オルセグンら他5名

8月30日のニュース:クラブ民営化で伝統喪失の危機、イングランド2部のクラブのマレーシア人オーナーが「成功」を厳命、移動制限措置適用地域在住のクダFA主将は無事チームに合流

クラブ民営化で伝統喪失の危機
 9月30日に迫ったMリーグ1部と2部のクラブの民営化の期限を前に、複数のクラブを伝統の喪失に直面していると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 各クラブは来季以降もMリーグに所属するためには民営化が義務付けられていますが、この民営化によってクラブはより高いプロ意識や安定した持続可能性を持つことが期待される一方で、長年使い続けてきた伝統あるクラブのエンブレムやロゴを放棄し、新しいものを採用せざるを得なくなっているということです。
 例えばスランゴール州サッカー協会(スランゴール州FA)が運営するMリーグ1部のスランゴールFCは、スランゴール州を代表するクラブとして1936年からスランゴール州FAのエンブレムをユニフォームにつけてプレーしてきました。

 「勇気」を象徴する赤と「王権」や「高貴さ」を象徴する黄色を基調とし、スランゴール州の紋章も描かれたエンブレムは、現在、エリートアカデミーの名称にもなっているかつての名選手モクタル・ダハリらも着用したスランゴール州を代表するチームのユニフォームにいつも輝いていましたが、来季からは選手の誇りを象徴するエンブレムが使用できなくなるということです。
 スランゴール州FAは、クラブの民営化を進めるマレーシアサッカー協会FAMに対し、民営化後も州FAエンブレムの継続的な使用許可を求めたとされていますが、エンブレムの変更も民営化の要件の一つであることから、それが認められる可能性は極めて低そうです。現にFAMのハミディン・アミン会長は州FAと民営化されたクラブが同じエンブレムやロゴを使うことを認めておらず、民営化されたクラブは州FAのエンブレムとは異なるものをつかことを義務とするコメントを発表しています。
 なお来月9月30日までに民営化が完了しないクラブは、来季2021年シーズンはMリーグ3部にあたるM3リーグに降格になるとされています。

イングランド2部のクラブのオーナーが「成功」を厳命
 イングランド2部リーグで2019/2020年シーズンは5位に終わったカーディフシティFCは、マレーシアのビジネスマン、ヴィンセント・タン氏が2010年からオーナーです。チームのユニフォームの胸スポンサーでもあるタン氏は、ユニフォームにVisit Malaysiaのスローガンを採用してきました。(写真左)

 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、この胸のスローガンが今季2020/2021年シーズンからMalaysia Berjaya(berjaya-ブルジャヤはマレーシア語で「成功」の意味)と変わることが発表されています。(写真右)
 リゾートを含めた不動産投資開発や旅行産業を運営するコングロマリットで財をなしたタン氏は「マレーシアを世界的に売り込む」ことを目的として、Visit Malaysiaのスローガンを使ってきました。その上で「新しいスローガンは自分の愛国心と自らが設立したコングロマリットのブルジャヤグループの二つの意味を持っている。」と話し、スローガンがMalaysia Berjayaと変わっても目的は変わらないと話しています。
 このスローガン変更についてはカーディフシティFCのニール・ハリス監督も「2019/2020年シーズンはプレーオフで敗れてプレミアリーグ昇格を逃したが、マレーシア語の)Berjayaの意味を理解してから、新たなシーズンには「成功」が求められていると思っている。」と話しています。
 なお、ヴィンセント・タン氏はカーディフシティFCの他、19歳のルクマン・ハキム・シャムスディンが加入したことで話題を集めたベルギー1部のKVコルトレイクのオーナーでもあります。

移動制限措置適用地域在住のクダFA主将は無事チームに合流
 Mリーグ1部のクダFAを運営するクダ州サッカー協会(クダ州FA)は、住民の自由な移動が制限されている移動制限措置が発令中のスンガイプタニ在住のバドロル・バクティアルに代わって提出していた適用除外申請が認められたことを発表しています。
 バドロル選手の雇用主であるクダFAによる申請が許可されたことにより、クダFAの主将でもあるバドロル選手はチームと共にPDRM FCとの対戦地であるクアラルンプールへ移動が可能になったと、ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 新型コロナウィルの新たなクラスターとなる懸念からスンガイプタニに移動制限措置が適用されることが発表され、この措置が適用されている地域の住民は、その地域外に出て活動を行う場合には申請を行うことが標準作業手順SOPにより義務付けられています。定められています。
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 マレーシア国内の移動制限措置が定期用される地域には警察などが検問を設けて、人の出入りを制限しており、上記のような適用除外許可証などの書類がなければ、実際にその地域を離れることは不可能です。

8月25日のニュース:Mリーグ再開に向けて1部スーパーリーグ展望Part2

Mリーグ1部スーパーリーグ展望Part2
 昨日に続き、ニューストレイトタイムズのアジトパル・シン記者によるMリーグ1部スーパーリーグの展望に便乗し、ボラセパマレーシアJP視点の(=素人感丸出しの)コメントをつけたものをお届けします。今日は第4節終了時の5位から8位のチームについてです。

5位 サバFA(1勝2分1敗-勝点5)

<残り試合>
トレンガヌFC (A)、スランゴールFC (H)、PJシティFC (A)、クダFA (A)、マラッカ・ユナイテッドFC (H)、JDT (A)、UITM FC (H)
<シン記者評>
 傑出した選手がいるわけではないサバFAは、まさに「ハードワーク」するチームで、インドネシア人のクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督率いるこのチームは、リーグ中断前にはパハンFAに敗れた以外は、フェルダ・ユナイテッドを破り、ペラTBGやPDRM FCと引き分けと健闘した。
 リーグ再開に向けてチームは熱心に練習を行なってきたが、大半のMリーグクラブがあるマレー半島への遠征は費用が嵩むことに加え、同じボルネオ島のサラワク・ユナイテッドやクチンFAとの練習試合はサラワク州での新型コロナ感染拡大で中止となり、十分な練習試合がこなせていないのが懸念材料である。
<シン記者の今季順位予想>
7位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 2部からの昇格組ながら、4試合を終えて5位のサバFA。既にパハンFAやペラTBGとの対戦を終えており、中断前の調子を維持できれば、1シーズンで2部へ降格の心配はなさそうです。そうなるとやはり気になるのはシン記者が指摘しているように実戦不足。再開直後はトレンガヌFC、スランゴールFCと今季上位進出を狙うチームとの対戦が続きますので、この2試合によってチームの真価を問われそうです。

6位 フェルダ・ユナイテッドFC(1勝2分1敗-勝点5)

<残り試合>
UITM FC (H)、 PDRM FC (A)、クダFA (H)、パハンFA (H)、ペラTBG(A)、トレンガヌFC (H)、スランゴールFC (A)
<シン記者評>
 サポーターの数が多くないフェルダ・ユナイテッドは、スタンドに観客がいるかいないかによる違いを感じることはないだろう。多くのサポーターの声援を受けて慣れているチームとの対戦では、無観客試合がフェルダ・ユナイテッドにとって有利に働く可能性がある。
 しかしそれ以上に対戦相手にとっては厄介なのは、フェルダ・ユナイテッドの本拠地の人工芝のピッチである。多くのチームはトゥン・ラザクスタジアムの人工芝のピッチでプレーすることを好ましく思っていないが、フェルダ・ユナイテッドは残り7試合の内、4試合がホームゲームであることから、昨季2019年シーズン最終節に逆転で1部残留を決めたように、リーグの上位6位以内に入って驚きをもたらす可能性がある。実際、今季第4節には、無観客試合となったJDT戦を敵地で引き分けていることからも、戦術家のニザム・ジャミル監督率いるフェルダ・ユナイテッドは今季の台風の目となる可能性がある。
<シン記者の今季順位予想>
5位
<ボラセパマレーシア的私見>
 恵龍太郎選手が在籍し、Mリーグ1部で唯一、日本人選手が在籍するクラブですが、リーグ再開後の日程に恵まれている印象です。リーグ再開は下位のUITM FC、PDRM FCとの対戦で始まり、徐々に強豪との対戦へと続くスケジュールは、上位進出のためには負けられないクダFAとパハンFAが連戦でホームゲームとなるなど、フェルダ・ユナイテッドに有利なように思われます。
 その一方で選手層の薄さはフェルダ・ユナイテッドの不安材料です。かつてFC岐阜でのプレー経験もあるフレデリック・ビュロが練習試合で痛めた膝が重症という噂もあり、もし再開初戦のUITM FCに出場できないようなことがあれば、いきなり苦戦を強いられる可能性もあります。

7位 スランゴールFC(1勝2分1敗-勝点5)

<残り試合>
PJシティFC (H)、サバFA (A)、マラッカ・ユナイテッド (H)、JDT (A)、UITM FC (H)、PDRM FC (A)、フェルダ・ユナイテッド (H)
<シン記者評>
 リーグ中断までの4試合ではFWイフェダヨ・オルセグンとMFブレンダン・ガンの2人が5ゴールと活躍したが、リーグ再開後はケガから復帰した2018年のリーグ得点王ルフィアノ・セゴヴィアがこれに加わる。セゴヴィアは既に練習試合でも全力でプレーできることを証明しており、チームをAFC大会出場枠がかかる上位2位以内到達に貢献する準備ができている。
 スランゴールFCは各ポジションで選手層が厚く、JDTに次ぐ実力があるが、中断直前にクダFAに0-2で敗れるなどの取りこぼしには要注意だが、時には感情的になりすぎるサティアナタン・バスカラン監督が冷静さを保つようなプレーをチームがすれば、JDTの対抗馬一番手になりうる。
<シン記者の今季順位予想>
2位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 ファンクラブ会員としては、やはり優勝して欲しいですが、首位のJDTとの勝点差5は大きいです。一方で2位のペラTBGとの勝点差は3と、こちらを狙う方が現実的な目標かも知れません。いずれにしてもまずはJDTとの直接対決までの3試合で勝点9を積み上げることは必要で、ここで1試合でも引き分けるようなら、優勝に絡む機会どころか2位すら一気に遠のきます。

8位 クダFA(1勝1分2敗-勝点4)

<残り試合>
PDRM FC (A)、 PJシティFC (H)、フェルダ・ユナイテッド (A)、サバFA (H)、パハンFA (A)、マラッカ・ユナイテッド (H)、ペラTBG (A)
<シン記者評>
 先週には7月分の給料が全額支払われたとされるクダFAだが、いまだに4ヶ月分以上の未払い給料があり、この問題はクダFAの選手や監督、コーチのモチベーションに大きな影響を与えている。また、このような経営状況のクラブのリーグ出場を認めたMFLの判断にも問題がありそうだ。リーグ再開後に低いモチベーションのまま選手たちがプレーをすれば、それはリーグ自体のイメージ低下につながる。昨季の得点王クパ・シャーマン率いる攻撃陣は魅力的なだけに残念な状況だ。
<シン記者の今季順位予想>
9位
<ボラセパマレーシアJP的私見>
 個人的には今季、JDTの牙城を脅かす一番手と見ていたクダFA。昨季のチーム得点王フェルナンド・ロドリゲス(現JDT II)を解雇した一方で、解散したPKNS FCからクパ・シャーマンを、トレンガヌFCからチェチェ・キプレを、フェルダ・ユナイテッドから代表FWのハディン・アズマンを獲得するなど攻撃陣を大幅に補強しながら出だしでつまづいた理由は給料未払い問題だったようです。
 今季はAFCチャンピオンズリーグ予選に出場するなど期待も高く、前述したように戦力的にはJDTやスランゴールFC、ペラTBGなどど優勝争いができるチームですが、策士アイディル・シャリン監督でも選手のモチベーションを上げるのは難しそうです。

8月19日のニュース:AFC-Mリーグクラブの民営化が実現しなければその責任はFAMにある、10月開催予定のAFC U19選手権は延期か、イフェダヨはスランゴールFCに合流間近

AFC-Mリーグクラブの民営化が実現しなければその責任はFAMにある
 9月30日を期限としてMリーグ1部と2部の全てのクラブは各州サッカー協会から独立し、民営化されることが求められていますが、これが期限までに完了しない場合、アジアサッカー連盟AFCはその責任をマレーシアサッカー協会FAMを追うべきだとしています。
 マレーシアのスポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、AFCのウインザー・ポール事務局長は、民営化手続きを完了していない大半のMリーグクラブに警告を発すると同時に、期限までに全てのクラブの民営化が完了しない場合、その責任はFAMにあると話しています。
 マレーシア国内で放送されたサッカー関連番組に出演したウインザーAFC事務局長は、AFCはクラブの民営化完了の必要期間として、2017年から3年間の猶予をFAMに対して与えていることを明らかにしています。その上で、民営化が完了しない場合には、2021年以降のAFCチャンピオンズリーグやAFCカップなどAFCが主催する大会でFAMが発給するクラブライセンスは正式ライセンスとして認識されなくなり、Mリーグのクラブには出場権が与えられなくなると話しています。
 「そうなった場合、例えばMリーグの優勝チームがAFCチャンピオンズリーグに出場する場合には、その出場に必要なライセンスを自国のサッカー協会FAMではなく、AFCに申請することが必要になる。そうなった場合、FAMは面目を失うことになるだろう。」とウインザー事務局長は話しています。
******
 AFCからは2017年の段階でクラブの民営化についての指示が出ていたというのは驚きです。というのはこの民営化の話がメディアを賑わすようになったのは今年2020年に入ってからで、それまではそう言った話を見ることはほとんどありませんでした。
 期限ギリギリになって重い腰を上げ、しかも直前になってパニックになったり、泣きを入れるというのは、マレーシアでは珍しいことではありません。それでも貴重なAFC主催大会への出場権がかかるような手続きの不備を放置してきたFAMは非難されるべきでしょう。

10月開催予定のAFC U19選手権は延期か
 マレーシアも出場する2020年アジアサッカー連盟AFC U19選手権の延期についてAFCが検討を始めたことをマレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 10月14日から30日までウズベキスタンで開催予定の今年のAFCU19選手権は、来年2021年にインドネシアで開催予定のFIFA U20W杯のアジア予選も兼ねた大会ですが、開催国ウズベキスタンや他の出場国の新型コロナウィルスの感染状況次第では、大会延期もありうることをAFCのウインザー・ポール事務局長が明らかにしています。
 アジア各地での新型コロナウィルスの状況を監視していると話すウインザー事務局長は、感染拡大の収束が見られないことから、今月8月末をめどにU19選手権の延期を正式に発表する可能性について言及しています。
 「近々開催予定のAFCの定例会合では、今年10月のAFC U19選手権の開催についてだけでなく、来年2021年にインドネシアで開催されるU20W杯なども含め全てのAFCが関わる大会について、大会運営委員会の委員が最新の情報をもとにその日程について協議を行う予定である。」
 「大会運営には多くの準備が必要なので、大会延期の決定は最速で今月末、遅くとも9月の初旬までには行いたいが、その際には出場チームなど関係者全員の健康と安全が最優先される。」とウインザー事務局長は述べています。
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 この記事を書いている時点で、AFC U 19選手権開催国のウズベキスタンは、新型コロナウィルスの感染者が3万5702人で、その内、回復者が3万1384人、亡くなられて方236人となっています。また、来年2021年5月20日に開幕予定のFIFA U20W杯の開催国インドネシアは、感染者がおよそ14万3000人、その内、回復者が9万6306人、亡くなられた方は6277人となっています。

イフェダヨはスランゴールFCに合流間近
 Mリーグ1部スランゴールFCのナイジェリア出身のFWイフェダヨ・オルセグンは無事、8月11日にマレーシアに到着し、現在、全ての入国者に義務付けられている14日間の隔離期間があと1週間で終了するようです。
 スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会の公式サイトに掲載されたインタビューでイフェダヨ選手は「チームメートと合流できるので、マレーシアに戻れて嬉しい。」と話すイフェダヨ選手は、隔離期間中、クラブがエアロバイクやウェイトトレーニングの機材などを使って体力を維持する予定だと話しています。
 イフェダヨ選手不在の間のスランゴールFCは、8月26日のMリーグ再開に先立ち解禁となった練習試合をここまで4連勝しています。解禁となった8月5日に行われたMリーグ2部ペナンFA戦に4-1 で勝利すると、8月8日と13日にはいずれも2部のUKM FCとヌグリスンビランFAを相手にいずれの試合も3-0で快勝、そして8月15日にはトレンガヌFCを2-0で破っています。
 Mリーグ過去最高の33回の優勝を数える名門スランゴールFCですが、本拠地のシャーアラムスタジアムが改修工事で閉鎖となるため、今季の残り7試合は同じスランゴール州にあるUITM FCのホーム、UITMスタジアムを使用します。
 リーグ中断までの間は1勝2分1敗の勝点5で6位につけているスランゴールFCは、リーグ再開後の初戦はUITMスタジアムでPJシティFCと対戦します。

8月11日のニュース:来季は複数のMリーグクラブに新たなオーナーが誕生か、ケランタンFA買収に投資家が名乗りを上げる、スランゴールFCとパハンFAは民営化後は共に皇族がクラブのトップに

来季は複数のMリーグクラブに新たなオーナーが誕生か
 マレーシアサッカー協会FAMは、国内リーグMリーグ1部と2部の全てのクラブに対して9月30日までに州サッカー協会(州FA)から独立した民営化クラブとなることを求めていますが、未払い給料問題を抱えるクラブが複数あり、その前途は多難かと思いきや、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、Mリーグクラブ買収に関心がある企業や個人が一定数おり、そういった中から新たなオーナーが誕生する可能性もあるようです。
 Mリーグ1部ではペラTBGの他、クダFAやマラッカ・ユナイテッドといった数百万リンギを超える未払い給料を含めた負債を抱えるクラブや、やはり未払い給料が問題となっているMリーグ2部のケランタンFA、ペナンFAの他、クアラルンプールFAなども買収の対象となっているようです。
 この報道を裏付けるように、ケランタンFAを運営するケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長は外国企業による買収の問い合わせを受けたことを明かし、未払い給料問題を抱えるクラブであっても、買収対象として関心を持たれていることに驚いたと話しています。
 またペラTBGを運営するペラ州FAのモハマド・アズリン・モハマド・ナズリ名誉事務局長も同様の問い合わせを受けていると話す一方、クアラルンプールFAのノクマン・ムスタファ事務局長は個人の資産家から調査を受けたことを明かしています。
 なお、イツのサッカー情報サイトトランスファマルクトによると上記の各クラブの資産価値は、Mリーグ1部のクダFAが2000万リンギ(およそ5億500万円)、マラッカ・ユナイテッドが1930万リンギ(およそ4億8700万円)、ペラTBGが1650万リンギ(およそ4億1600万円)、Mリーグ2部のクアラルンプールFAが1090万リンギ(およそ2億7500万円)、ペナンFAが840万リンギ(およそ2億1200万円)そしてケランタンFAが360万リンギ(およそ9080万円)となっています。

ケランタンFA買収に投資家が名乗りを上げる
 上の記事と関連して同じハリアンメトロは、Mリーグ2部ケランタンFAの買収に投資家のノリザム・トゥキマン氏が名乗りを挙げていると報じています。
 U19代表候補のワン・クザインの父親であるアメリカ在住の大学教諭ワン・カマル・ワン・ナピが買収から手を引く一方で、ケランタン州FAはこのノリザム氏と交渉を行い、既に同意書にサインする寸前まで話が進んでいるということです。
 ケランタン州FAのフシン・デラマン事務局長によれば、ノリザム氏はケランタンFAの再生計画なども明かし、ここまでの話し合いは順調に進んでいるということで、今後は詳細を詰めた後に、公式な契約にサインされる予定であると話しています。

スランゴールFCとパハンFAは民営化後は共に皇族がクラブのトップに
 Mリーグクラブ民営化関連では、共にMリーグ1部のスランゴールFCとパハンFAが共に皇族がクラブのトップとなりそうだと、ハリアンメトロが報じています。
 スランゴールFCが民営化される際には、スランゴール州皇太子のトゥンク・アミル・シャア・スルタン・サラフディン・イドリス・シャア殿下を筆頭株主とし、これにスランゴール州FAも一部株式を保有する他、スランゴール州の機関であるスランゴール開発公社PKNSや州首相企業MBIなども株式を持つということです。なお一部の株式はサポーターに対しても売り出される可能性があることを、スランゴール州FAのシャーリル・モクタル副会長は明らかにしています。
 一方パハンFAを運営するパハン州FAはパハン州皇太子のトゥンク・アブドル・ラーマン・スルタン・アーマド・シャア殿下がオーナーを務める企業を中心としたグループが買収する形で民営化が行われる予定だということです。
 Mリーグにはジョホール州皇太子でTMJの愛称で知られるトゥンク・イスマイル殿下がオーナーのジョホール・ダルル・タジムJDTがありますが、JDTはトゥンク・イスマイル殿下が単独オーナーですが、スランゴールFCとパハンFAは皇太子を中心としたグループによる運営となりそうです。
 なおドイツのサッカー情報サイトトランスファマルクトによると、スランゴールFCは1950万リンギ(およそ4億9200万円)、パハンFAは1420万リンギ(およそ3億5800万円)の資産価値があるとなっています。

8月8日のニュース:ケランタンFAの監督や選手は買収提案を歓迎、クダFAは未払い給料を今月から分割で支払い予定、クダFAは未払い給料を今月から分割で支払い予定、スランゴールFCが無観客試合に国内初の人型パネル導入

ケランタンFAの選手は買収提案を歓迎
 先日、このブログではMリーグ2部ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAが、アメリカ在住のワン・カマル・ワン・ナピ氏がケランタンFAの買収提案を歓迎しているという記事を取り上げましたが、ケランタンFAの監督や選手もこの買収提案のニュースに喜んでいるとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 ケランタン州サッカー協会KAFAは、かつてケランタンFAに在籍した選手や現在所属する選手への未払い給料などで総額が460万リンギ(およそ1億1600万円)とされる負債を抱えていますが、ワン・カマル氏はKAFAが負債を解決することを条件に買収を行いたい考えを示しています。
 そしてこの提案のニュースは、8月26日に再開するMリーグ2部に出場するケランタンFAの監督や選手たちに好意を持って迎え入れられているということです。
 ユスリ・チェ・ラー監督はワン・カマル氏の提案を歓迎するとともにチームへの資金投入を期待するとし、「選手はケランタン州と自分たちが愛するクラブのために全力を尽くしている一方で、(給料が未払いとなっている)我々の苦境を支援しようという人物がでてくることを期待している。」とコメントしています。
 また先日は勝点3を剥奪されたケランタンFAですが、ユスリ監督はこの勝点剥奪は残念だが、今季はなんとしてもMリーグ2部残留を果たしたいとしています。
 一方、選手ではナズリン・ナウィがワン・カマル氏の買収提案に対して「ケランタンFAを買収しようとする話は良いことである。チームはさらに強くなることができ、熱狂的なサポーターも支持するだろう。ただし希望としては買収はできるだけ早く進め、チームが頑張っているうちに買収して欲しい。」と話しています。
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 今季終了とともに退任することを明言しているユスリ監督は、KAFAからの十分な支援もなく、給料未払いにより選手のモチベーションも低下している中、リーグ再開後のチームをどう運営し、目標としている2部残留を果たすことができるかどうかが注目されます。なおケランタンFAは現在、Mリーグ2部で勝点1の10位となっています。

クダFAは未払い給料を今月から分割で支払い予定
 3月半ばから給料の未払いが続いているMリーグ1部クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAは、未払い給料の分割払いと第1回目の支払いを今月15日をめどに行うと発表しています。
 先月7月にKFAの会長に就任したクダ州のムハマド・サヌシ・モハマド・ノー州首相は、4月から7月の未払い給料に関しては選手およびスタッフと支払い交渉が完了後に支払う予定となっていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 4月から7月までの未払い給料についての財政特別委員会を設置して、KFAと選手、スタッフの間で双方が了承できる解決策を模索すると話したムハマド・サヌシKFA会長は、現在の選手およびスタッフ全員を今季終了までは解雇しないことも明言しています。また、今季のクダFAは選手、監督、コーチ他スタッフを合わせて総勢48名ですが、この大規模な構成が運営の負担になっているとして、費用削減のために来季は縮小されるとしています。
 またムハマド・サヌシKFA会長は、今季終了までのクラブ運営にさらに2500万リンギ(およそ6億3000万円)が必要なことや、昨年2019年9月から従業員積立基金と国内歳入庁に合わせて380万リンギ(およそ9570万円)の滞納があることも明らかにし、抜本的な改革の必要性を訴えています。
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 KFAの会長就任早々にクダ州政府が資金投入を行って、KFAの未払い給料を解決する予定はないと話したムハマド・サヌシ会長ですが、スポンサーを見つけることができなければ、そうも言っていられないでしょう。選手からの未払いの不服申し立ては既にマレーシアプロサッカー選手会に報告されており、解決が長引けば来季のクラブライセンス発給にも影響が出かねず、サポーターからの非難も必至となりそうです。

スランゴールFCが無観客試合に国内初の人型パネル導入
 新型コロナウィルスの影響により3月18日から中断しているMリーグ1部と2部は8月26日より再開しますが、いずれも無観客試合として行われることが決まっています。そんな中、スランゴールFCは8月26日のリーグ再開後の初戦となるPJシティFCとの試合で人型パネルを設置し、そこに自分の写真を掲載したいサポーターを募っています。
 本来の本拠地であるシャーアラムスタジアムが改修工事のため使用できないスランゴールFCは、8月26日のPJシティFCとの試合をホームゲームとしてPJシティFCの本拠地であるMBPJスタジアムで開催しますが、そこに人型パネルを設置する予定です。
 人型パネルには2種類あり、片方は99リンギ(およそ2500円)、もう一方は169リンギ(およそ4270円)です。いずれも購入者が顔写真を送り、それが高さ120cm、幅60cmの人型パネルに貼られて試合当日はスタンドに設置されるということです。
 169リンギの方は人型パネルの他、購入者にはスランゴールFCの選手のサイン入り2019年のホームユニフォームが送られるということです。また試合後、すべての人型パネルにはスランゴールFCの選手がサインをし、購入者に送られるということです。
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 個人的には169リンギの方のおまけが今季ではなく2019年シーズンのユニフォームなのが在庫処分感が見え見えで、少々ケチ臭く感じましたが、それでも無観客試合でも少しでも収入を生み出したいというアイディア自体は評価できると思います。
 ちなみにこの詳細はスランゴール州サッカー協会FASのホームページ(表記はマレーシア語です)からご覧になれます。締め切りは明日8月9日の午後11時59分(マレーシア時あかん)ということです。

8月7日のニュース:18歳のルクマンがベルギー1部のクラブと5年契約で正式サイン、マレーシアの富豪はMリーグクラブの経営には興味なし、シャーアラムスタジアムの改修費用は63億円

18歳のルクマンがベルギー1部のクラブと5年契約で正式サイン
 U19代表のエースで将来は代表のエースと嘱望されているルクマン・ハキム・シャムスディンがベルギー1部リーグのKVコルトレイクと5年契約を正式に交わしました。
 クアラルンプール市内で行われた契約式は、KVコルトレイクのオーナーでもあるマレーシアの大富豪ヴィンセント・タン氏、先日まで登録されていたMリーグ2部スランゴール2を運営するスランゴール州サッカー協会のジョハン・カマル・ハミドン事務局長の他、駐マレーシアのベルギー大使も出席するなど華々しいイベントとなったようです。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、マレーシア人として初めてベルギーリーグでプレーするルクマン選手は、月給が2万から2万3000リンギ(およそ50万から58万円)で、住居と車が支給されるということです。
 現在、ルクマン選手は10月のアジアサッカー連盟AFC U19選手権出場に向けた代表候補合宿に参加中ですが、今月8月から開幕するベルギー1部リーグの出場に向けて、健康診断等を行うため、来週にはベルギーへ向けて出発する予定だということです。

マレーシアの富豪はMリーグクラブの経営には興味なし
 上でも紹介した通り、ルクマン選手が加入するベルギー1部KVコルトレイクは、マレーシア人実業家のヴィンセント・タン氏がオーナーです。マレーシア国内外でホテル・リゾート開発を行い、さらら保険業や宝くじ、セブンイレブンやスタバなどの国内フランチャイズも所有する複合企業ブルジャヤコーポレーションの創業者のタン氏は、KVルトレイクの他、今季はプレーオフで敗れ惜しくもプレミアリーグ昇格を逃し英国2部のカーディフシティーFCのオーナーでもあります。(ちなみにカーディフシティーの胸広告はVisit Malaysiaとマレーシア観光促進の広告です。)
 マレーシアの通信社ブルナマは、ルクマン選手の契約式でこのタン氏にMリーグクラブの買収について尋ねたようですが、タン氏は「ビジネスマンの視点で言えば、この新型コロナ禍でサッカークラブが利益を生み出すことは難しくなっている。それ以外にも、マレーシアのサッカー界には多くの良い友人がおり、そんな友人たちと競う気はない。」と語り、その予定はないとのことだったようです。
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 特に州FAが運営するクラブは、民営化を実現するために買収してくれるスポンサーを躍起になって探している最中です。大富豪のタン氏は、10年前にオーナーとなったカーディフシティFCにこれまで1億6500万英ポンド(およそ229億円)の私財を投入しているとされており、Mリーグのクラブ買収に興味がないのは金銭的な理由ではないのは明らかです。だとすれば、ビジネスマンとしてMリーグクラブの運営は利益が出ない、と判断したのかも知れません。

シャーアラムスタジアムの改修費用は63億円
 昨日のブログで取り上げたMリーグ1部スランゴールFCの本拠地シャーアラムスタジアムの改修工事ですが、ブルナマによればその費用は2億5000万リンギ(およそ63億円)ほどかかるということです。
 記者会見を行ったスランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は、崩落の危険性が指摘されているポリカーボネート製の天井とそれを保持する鉄線の部分の交換だけで3000万リンギ(およそ7億5600万円)がかかると話し、築26年となるスタジアム全体の改修工事となると、その費用は2億5000万リンギ(およそ63億円)ほどになるだろうと話しています。
 アミルディン州首相は、最終的な改修内容は州政府が判断した上で、改修費用は州予算として計上すると話す一方、屋根の改修工事だけで少なくとも4ヶ月から6ヶ月はかかるだろうとしています。
 スランゴール州サッカー協会FASとは連絡を取り合っているとするアミルディン州首相は、スランゴールFCの来季の本拠地としてMBPJスタジアムを使うように依頼したこと、そしてシャーアラムスタジアムの開場は工事が長引けば2023年となるとも話したということです。

8月6日のニュース:シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か、JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける、ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎

シャーアラムスタジアムの改修工事は2022年に完了か
 シャーアラムスタジアムはMリーグ1部スランゴールFCの本拠地ですが、その老朽化により天井の一部が崩落する危険性があり、Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLはその改修が行われるまでMリーグの試合開催を禁じています。
 ホームを失ったスランゴールFCは、今月8月26日から再開予定のMリーグのホームゲームを同じスランゴール州シャーアラムにあるUITMスタジアムで開催することになっています。また、先日のこのブログでは来季2021年はやはりスランゴール州内にあるMBPJスタジアムをホームにする可能性があるという記事を取り上げましたが、それがいよいよ現実となりそうです。
 80000人以上の観衆が収容できるシャーアラムスタジアムは、国内で最大のクラブであるスランゴールFA(当時)のホームとして1994年に開場しました。
 しかし長年の使用による老朽化から、今季の開幕前にはMFLにより改修工事が終了し、観客の安全が確保できるまでは試合での使用が禁じられ、スランゴールFCは今季のホームゲーム初戦はブキジャリル国立競技場で開催しています。
 この現状についてシャーアラムスタジアムを所有するスランゴール州のアミルディン・シャリ州首相は、今年3月から予定していた改修工事が新型コロナウィルスの影響により発令された活動制限令MCOにより実行できなかったとして、改修工事はこれから始まること、そしてその工事期間として18ヶ月を予定し、その間はスタジアムを全面的に閉鎖することを明らかにしています。
 なおアミルディン州首相は、改修工事後に再開する際には収容可能な最大人数に開場できるよう、工事期間中は天井部分の修理だけでなく総合的な補修及び改修を行うと話しています。
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 新型コロナウィルスの影響で3月18日に中断したMリーグで、スランゴールFCが中断前の唯一のホームゲームを行ったブキジャリル国立競技場は、その後、MFLがMリーグのホームゲームの代替会場としての使用を禁じており、その結果、今季の残りホームゲームをUITMスタジアムで行うことになった、という経緯もあります。

JDTにまた新たな勲章-アカデミーが国内トップの評価を受ける
 Mリーグ1部を7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTに新たな勲章です。JDTの公式Facebookページでは、JDTのアカデミーがマレーシアサッカー協会FAMよりトップの評価にあたるゴールド評価とその証書を受け取ったことを発表しています。
 このゴールド評価を受けたJDTのアリスター・エドワーズTD(テクニカルダイレクター)は、この評価はアカデミーにとって、ここまでの努力がFAMに認められたことへの喜びに加え、さらに高みを目指すためのモチベーションになると話しています。
 またJDTの本社で、このゴールド評価の証書と記念の盾をエドワーズTDに手渡したFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は 国内の草の根レベルの育成を行うアカデミーを対象にリーダーシップ、計画性、設備、教育、草の根レベルでの試合運営の5つの点で審査した結果、JDTのアカデミーはどの面でも優れた評価を得た結果の表象であると話しています。
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 2000年代までマレーシアのサッカーを長年に渡って牽引してきたのが最初の記事で取り上げたスランゴールFA(現スランゴールFC)だとすれば、直近の10年間で国内に的なしとなったのがこのJDTと言えます。
 ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下の豊富な財源に基づく投資と積極的な運営は、運営資金が州政府の公的補助頼りである大半のMリーグクラブを凌駕し、その結果が1部リーグ7連覇という結果になって現れています。
 JDTもかつてはジョホール州サッカー協会傘下のクラブでしたが、イスマイル殿下による民営化で成功しており、現在、FAMが各州サッカー協会に求めているクラブの民営化の成功例と言えるでしょう。
(中央左がFAMのスチュアート事務局長、中央右がJDTのエドワーズTD-写真はJDTの公式FBより)

ケランタン州FAはU19代表選手の父親からのクラブの買収提案を歓迎
 ケランタン州サッカー協会KAFAは、運営するMリーグ2部ケランタンFAに対するワン・カマル・ナピ氏の買収提案を歓迎する意思を示していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 現在行われているU19代表候補合宿にアメリカから参加しているワン・カマル・ワン・クズリの父親でもあり、アメリカ在住の大学教授でもあるワン・カマル氏は460万リンギ(およそ1億1600万円)とされるケランタンFAの現在の負債が完済されることを条件に、300万とも言われる所有権を購入したいと話しているということです。
 KAFAのフシン・デラマン事務局長はワン・カマル氏から直接の連絡は受けていないとする一方で、民営化を目指しているケランタンFAにとっては良い話であるとしています。
 「KAFAは現在、民営化後のケランタンFCを運営するTRW社の価値を評価している最中であり、それが決まりTRW社の売却が決まれば、ケランタンFCに関する460万リンギの負債はKAFAが全面的に負担する。」とデラマン事務局長は話しています。
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 別のメディアでは、ケランタンFCの売却後もKAFAが年間100万リンギ(およそ2520万円)のロイヤルティを要求しているという話があり、ワン・カマル氏は、ケランタンFCの所有権購入後もKAFAの影響が残ることを嫌っていることから、買収に躊躇しているという報道もあり、この話は一筋縄ではいかなそうです。