マレーシアカップ-グループステージ第5節結果

 マレーシアカップのグループステージ第5節が11月6日と7日に行われ、A組ではKLシティFCがペナンFCに、サラワク・ユナイテッドFCがスリ・パハンFCに勝利し、それぞれベスト8進出を決めています。この他、B組のトレンガヌFCとスランゴールFC、C組のマラッカ・ユナイテッドFCとクダ・ダルル・アマンFC、D組のJDTの計7チームがノックアウトステージとなるベスト8進出を既に決めており、最終節となる次節第6節でベスト8最後のチームが決定します。
 (各試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

グループステージA組
2021年11月7日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-0 ペナンFC
得点者:KL-ロメル・モラレス(38分PK)
 A組首位のKLシティFCが接戦を制してグループ首位を確定させ、ベスト8進出を決めています。ペナンFCに攻め込まれる場面が多かったKLシティFCは、ゴール前の混戦からペナンFCの主将アズミ・ムスリムが痛恨のハンドでPKを得、これをロメル・モラレスがマレーシアカップ5試合で8ゴール目となるシュートを決めて先制し、そのまま逃げ切っています。KLシティFCはこれで今季はリーグ戦から14試合連続でホームで負けがなく(10勝4分0敗)、これはクラブの新記録ということです。(11/8に一部を訂正しました。)
 先日のこのブログでも取り上げた通り、リーグ戦の好調が嘘のような不振に陥っているペナンFCですが、この日は過去2試合で0得点11失点というのが信じられないほど攻守とも素晴らしく、過去2試合先発したGKブライアン・シーも何度もファインセーブを見せるなど、なぜこのチームがここまでの4試合で未勝利なのかが全くわかりませんでした。
 この試合はスタジアムに足を運びペナンFC側のスタンドで観戦しましたが、ゴール裏にはトマス・トルカ監督を糾弾する横断幕、そしてスタンドからはやはりトルカ監督を批判する声なども飛び交い、少なくとも現時点ではサポーターからの支持を得られていない様子が感じられました。

2021年11月7日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 1-2 サラワク・ユナイテッドFC 0-0 スリ・パハンFC
得点者:パハン-ケニー・アティウ(13分)、サラワク-サンドロ・ダ・シルヴァ(31分)、アブドル・ラヒム・アブドル・ラザク(90+5分)
 スリ・パハンFCは13分にマヌエル・イダルゴのバックヒールパスを受けたアシャ・アル=アフィズのクロスをケニー・アティウが2戦連続となるゴールを決めて先制しますが、サラワク・ユナイテッドFCもゴール前の混戦に詰めていたサンドロ・ダ・シルヴァのゴールで同点に追いつき、試合はそのまま引き分けかと思われた後半ロスタイムに途中出場のアブドル・ラヒム・アブドル・ラザクが決勝ゴールを決め、最終節を残してサラワク・ユナイテッドが2部プレミアリーグのクラブとして唯一、マレーシアカップのベスト8へ駒を進めています。

2021年マレーシアリーグ グループステージA組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#KLC5320114711
2#SWU531188010
3SRP520311656
4PEN5014214-121
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PEN-ペナンFC、KLC-KLシティFC、SPP-スリ・パハンFC、SWU-サラワク・ユナイテッドFC
#KLシティFCとサラワク・ユナイテッドFCのグループステージに進出が決定しています。


グループステージB組
2021年11月7日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 0-0 トレンガヌFC
得点者:スランゴール-シャーレル・フィクリ(33分)、トレンガヌ-ファイサル・ハリム(15分)、ジョーダン・ミンター2(72分、90分)
 現在のチーム力の差が如実に現れた試合は、トレンガヌFCがマレーシアカップでも絶好調が続くファイサル・ハリムとジョーダン・ミンターの活躍でスランゴールFCを圧倒しています。
 ドリブルでスランゴールFC陣に切り込んだファイサル選手からパスを受けたエンク・ヌル・シャヒールがシュートを放つも、スランゴールFCのGKカイルルニザムがセーブ、しかしそのこぼれ球をファイサル選手自身が蹴り込んでトレンガヌFCが先制します。スランゴールFCもケガからの代表復帰を目指すFWシャーレル・フィクリが同点ゴールを決め、1-1のまま試合は後半へ。
 後半に入ると、今季のMリーグでは2部のトレンガヌFC IIで16ゴール、トップチームのトレンガヌFCで4ゴールを挙げながらトップチームでの先発機会に恵まれないことから先週は「チームが自分を必要としていないなら、来季もトレンガヌFCに残るかどうかはわからない。」と発言したジョーダン・ミンターが終盤に2ゴールを挙げる活躍を見せてトレンガヌFCが快勝し、B組首位でのグループステージ突破を決めています。

2021年11月7日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 0-1 クチンシティFC
得点者:クチン-ラフィク・シャー・ザイム(72分)
 クチンシティFCは72分、ジョセフ・カラン・ティーからのパスに反応してDFラインの裏へ抜け出したマイケル・イジェジがペナルティーエリアへ持ち込むも、ペラFCのGKファルハン・アブドル・マジッドが好反応してこれをブロック、しかしそのこぼれ球を詰めていたラフィク・シャー・ザイムがゴールして先制し、そのまま逃げ切り、記念すべきマレーシアカップクラブ史上初勝利を挙げています。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年マレーシアリーグ グループステージB組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#TFC55001531215
2#SEL530210739
3KUC5113511-64
3PRK4013312-91
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:TFC-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、PRK-ペラFC、KUC-クチンシティFC

グループステージC組
2021年11月6日@スルタン・モハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 1-3 クダ・ダルル・アマンFC
得点者:ケランタン-ファクルル・ザマン(73分)、クダ-シャズワン・ザイノン( 34分)、バドロル・バクティアル(36分)、ファイヤド・ズルキフリ(85分)
 多数の新型コロナ陽性者が出たヌグリスンビランFCがマレーシアカップを途中で辞退したことから前節、前々節と試合がなかったクダ・ダルル・アマンFCはマレーシアカップ初先発となる第3GKのイルハム・アミルラー・ラザリを先発させ、チェチェ・キプレをベンチスタートさせる余裕を見せましたが、15分にはクパー・シャーマンのPKをケランタン・ユナイテッドFCのフィクリ・チェ・ソーに止められるなど嫌な雰囲気で試合は進みましたが、34分にはシャズワン・ザイノンが、また36分にはバドロル・バクティアルがそれぞれゴールを決めて試合の主導権を掴むと、ケランタン・ユナイテッドFCを1点に押さえて勝利しています。
 ケランタン・ユナイテッドFCの深井脩平、谷川由来の両選手は先発してフル出場し、本山雅志選手はベンチ入りしませんでした。

*11月6日に予定されていたヌグリスンビランFC対マラッカ・ユナイテッドFCの試合は、ヌグリスンビランFCの出場辞退により、マラッカ・ユナイテッドFCが3-0で不戦勝となっています。

2021年マレーシアリーグ グループステージC組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#MLU5410135813
2#KDA5401134912
3*NSE5105112-113
4KLU5014512-71
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDAークダ・ダルル・アマンFC、MLU-マラッカ・ユナイテッドFC、NSE-ヌグリスンビランFC、KLU-ケランタン・ユナイテッドFC
*ヌグリスンビランFCは新型コロナ感染者が多数発生したため、第3節以降を出場辞退しています。

グループステージD組
2021年11月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 1-2 JDT
得点者:PJ-R・ルヴェンティラン(11分)、JDTベルグソン・ダ・シルヴァ(14分PK)、マウリシオ(28分)
 相手ディフェンスのミスに乗じてPJシティFCがR・ルヴェンティランのゴールで先制。JDTはマレーシアカップ5試合目にして初の失点でしたが、この試合でも随所で素晴らしいドリブルを見せたJDTのアリフ・アイマンがペナルティエリアで倒されて得たPKをベルグソン・ダ・シルヴァが決めてすぐに同点とします。JDTはさらに28分にペナルティーエリアの外で得たPKからのこぼれ球をマウリシオが押し込んでリードを奪いそのまま逃げ切っています。
 この試合はスタジアムで観戦しましたが、得点力不足の代表に復帰して欲しいと個人的に注目していたPJシティFCのFWダレン・ロックにはほとんどボールが回らず、途中で交代しています。

2021年11月7日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 2-1 ケランタンFC
得点者:サバ-アムリ・ヤハヤ(7分)、サーリザン・サイディン(90+1分)、ケランタン-サフアン・ハズマン(5分)
 サバFCがこのグループステージで初勝利し、オン・キムスイ監督に初白星をプレゼントするとともに、次節最終節でのグループステージ突破の可能性を残しています。サバFCは次節は本拠地にPJシティFCを迎え、サバFCが勝てばサバFCが、引き分け以上ならPJシティFCがベスト8に進出します。
 ケランタンFCはオーナーのノリザム・トゥキマン氏がマレーシアカップに優勝すれば監督にポルシェをプレゼントするとしていましたが、チームはグループステージ敗退が決まりました。

2021年マレーシアリーグ グループステージD組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#JDT5500101815
2PJC51225505
3SAB512259-45
4KEL502349-52
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PJC-PJシティFC、SAB-サバFC、KEL-ケランタンFC

11月7日のニュース:ペナンFCのマレーシアカップ不振の原因は疲労?準備失敗?それとも選手の造反?、ペラFCでは現在も給料未払い状態が継続中、最悪の場合には2023年クラブライセンスの交付が受けられない可能性をペラGMが言及、Mリーグクラブの民営化は失敗する可能性大-ケランタンFCオーナー

ペナンFCのマレーシアカップ不振の原因は疲労?準備失敗?それとも選手の造反?
 今季Mリーグ1部に昇格しながらいきなり3位と大躍進したペナンFCですが、マレーシアカップグループステージではここまでの4試合で0勝1分3敗、しかも得点2失点13とリーグ戦の成績とは大きくかけ離れた結果になっていることから、その原因について様々な憶測が流れています。
 リーグ戦での躍進を受け、マレーシアカップでも上位進出が期待されたペナンFCのトマス・トルチェ監督は現在の不振について選手層の薄さをその原因に挙げ、1シーズンでリーグ戦とカップ戦の両方で好成績を残すだけの選手がペナンFCには揃っていないという説明を繰り返していますが、特に直近の2試合では今季のMリーグで10位だったスリ・パハンFC相手に0-4、0-5という酷いスコアで連敗し、しかも選手の動きも決して良くないように見えることから、トルチェ監督の説明に納得がいかない多くのサポーターは何か他の理由があるのでは考えているようです。
 そんな中、マレーシア語紙ブリタハリアンは。マラ工科大学UITMのスポーツサイエンス学部のペカン・ラムリ教授とAFCエリートコーチングインストラクターのズラクバル・アブドル・カリム教授に意見を求めています。
 ペカン教授はペナンFCが現在陥っている極度の不振の原因を早急に調査するべきだと述べています。「マレーシアカップが始まって以来、ペナンFCは別のチームになってしまった。選手の動きもリーグ戦と比べると驚くほど変わってしまっており、スリ・パハンFCに大差で連敗したことも驚きで、チーム内で何か問題が起きているようにも思える。クラブの運営陣はこの問題の原因を速やかに解明するべきだ」とペカン教授が述べる一方で、ズラクバル教授はリーグ戦で好調だったチームがカップ戦でも同様に活躍するとは限らないと述べて、トルチェ監督のマレーシアカップでの経験不足が不振の原因ではないかと分析しています。「リーグ戦の時と比べると、選手の動きは目に見えて遅く、リーグ戦からの疲れが回復していないいのではないか。」と述べて、マレーシアカップに向けての準備の仕方をトルチェ監督が誤ったのではないかと述べています。
 これに対してサッカー専門サイトのスムアニャボラは、ペナンFCサポータークラブの一つペナンブラザーフッドの投稿を取り上げて、トルチェ監督とコーチ陣、さらにはトルチェ監督と選手の関係が悪化していることが現在の不振の元凶であり、ケガにも関わらずトルチェ監督が強行出場させたことでケガをさらに悪化させた選手らも複数いることからマレーシアカップでは選手たちは全力でプレーしておらず、今季終了後には主力選手の大半がクラブを去るだろう伝えていますが、これを裏付けるように、ペナンFCの主将のアズミ・ムスリムが「多くを語りたくはないが、おそらくは「彼」のせいで、多くの選手が残留を望まないだろう。」とツイートするなど(現在は削除済み)、ペナンFCには単なる不振では片付けられない問題が背後にはありそうです。.

ペラFCでは現在も給料未払い状態が継続中
 現在、マレーシアカップに出場中のペラFCのアズマン・ノーGMが手持ちの現金不足から複数の国会議員に寄付を求めた、という記事を先日このブログでも取り上げました。その際には、クラブに資金がないわけではなく、手持ちの現金が「たまたま」なかったとアズマンGMは説明しましたが、マレーシア語紙ハリアンメトロは、現在も2ヶ月以上に及ぶ給料未払いが続いており、スポンサー探しに躍起になっていると報じています。
 2018年以来となる9度目の優勝を目指してマレーシアカップに参戦中のペラFCですが、現状は選手や懇篤、コーチへの給料支払いに加えてグループステージの残り試合に参戦するための宿泊費や移動費を支払う資金自体が不足しているとハリアンメトロが報じています。
 ハリアンメトロの取材に対してペラFCのアズマン・ノーGMは給料未払い問題があることを認める一方で、給料は近々支払われると述べ、クラブには様々な問題が起こってはいるものの、資金不足で給料が支払えないわけではないと主張しています。
 「現在は我々はスポンサーを探しているのは事実であるが、給料の未払いはわずか(!)2ヶ月分で、近いうちに支払うことができるだろう。側から見ればペラFCはひどい状況に見えるかもしれないが、実際はさほど深刻な状況ではない。」と語るアズマンGMですが、未払い給料に加えて直近の試合の経費を寄付で賄おうとしなければならない現状は、日本人に負けず劣らず体面を気にするマレーシア人、特にマレー人にとっては認めたくない事実なのかも知れませんが、この状況が速やかに改善されなければ来季以降にさらに大きな問題となると報じている次の記事に続きます。

最悪の場合には2023年クラブライセンスの交付が受けられない可能性をペラGMが言及
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、速やかに新たなスポンサーを見つけることができなければ、ペラFCが現在抱えている問題以上の難局に直面すると報じています。
 その難局の一つとして挙げられているのが再来年2023年のクラブライセンス獲得に関する問題で、運営資金不足といった金銭上の理由に加えて、制度上の理由でも2023年シーズンのクラブライセンスの交付が受けられなくなるとスタジアムアストロは指摘しています。
 ペラFCの運営会社の株式は現在、ペラ州サッカー協会が100%保有していますが、Mリーグを運営するMFLは、2023年までにMリーグ全クラブの民営化を実現するために、各州サッカー協会に対してこれまで保持してきたMリーグクラブ運営会社の株式を全て売却し、Mリーグクラブが各州サッカー協会から完全に独立することを2023年クラブライセンス交付の条件としています。
 これについて前の記事でも取り上げたペラFCのアズマンGMは、クラブのスポンサーあるいはオーナーとなる企業が未だ見つけられていない現状では、2023年までにペラ州サッカー協会の株式保有率が0%となることは容易ではないと述べ、その場合にはクラブライセンスが交付されなくなることから、最悪の場合にはペラFCはMリーグでプレーできなくなる可能性があると話しています。

Mリーグクラブの民営化は失敗する可能性大-ケランタンFCオーナー
 上の記事でも取り上げたMリーグクラブの民営化について、ちょうどケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーが興味深い意見を述べています。
 2020年9月におよそ880万リンギ(およそ2億4000万円)でケランタン州サッカー協会KAFAが保有していたケランタンFCの株式を全て購入し、さらに当時KAFAが抱えていたかつて在籍した選手に対する未払い給料を完済してケランタンFCのオーナーとなったノリザム オーナーはMFLが行おうとしているMリーグクラブの民営化は失敗する可能性が高いと述べていると、ブリタハリアンが報じています。
 ノリザムオーナーは自身のFacebookに投稿し、マレーシアサッカー協会FAMが進めているMリーグクラブの民営化には様々な問題点があると指摘し、失敗に終わる可能性が高いと述べています。
 「民営化におけるFAMの役割は一体何なのか。(ケランタンFCの株式購入で)クラブの民営化に直接経験したが、FAMが行える役割が限られていることはその過程の中で経験済みである。」と述べた上で、未払い給料問題を抱えるクラブが複数あるMリーグの現状を踏まえて、FAMは金銭的な支援をする必要がある可能性にも言及しています。
 「ケランタンFC運営会社の株式取得の際には当時、ケランタンFCを運営していたケランタン州サッカー協会KAFAが抱えていた未払い給料を完済したが、これはKAFAとのクラブ運営会社の株式購入の際の条件だった。今後さらにKAFAによる過去の未払い給料が発覚すれば、それはもうケランタンFCの関知するところではない。」と述べたノリザムオーナーは、Mリーグクラブの民営化には未払い給料の支払いが伴うこと、そしてその際にはFAMからの支援は期待できないことを指摘して、現在の民営化の方法では、Mリーグクラブの新たなオーナーやスポンサー獲得が難しいと述べています。

11月5日のニュース:闇金から借りるなら国会議員から寄付を募る方が良い-ペラFC、サバFCは一部経営陣の「背任行為疑惑」を公式に否定、ガン治療中のブレンダン・ガンはスランゴールFCによる給料半減を否定

闇金から借りるなら国会議員から寄付を募る方が良い-ペラFC
 給料未払い問題が明らかになり主力選手が大量に流失したことから今季のMリーグ1部では10位となり来季は2部に降格するペラFCのGMの行動がソーシャルメディア上で話題になっています。
 ペラFCのアズマン・ノーGMは一部の国会議員に対して、現在マレーシアカップに出場中のペラFCの移動や宿泊の費用などの経費を補うため、一人当たり最低2万リンギ(およそ54万円)の寄付を求めていることがソーシャルメディア上で広まり、マレーシア語紙のハリアンメトロがアズマンGMに直接、問い合わせたところ、SMSやワッツアップ(WhatsApp-マレーシアで最も一般的なメッセンジャーアプリ)で寄付を募ったことを認めているということです。
 寄付を求めたのは先週末10月30日(土)に本拠地ペラスタジアム(ペラ州イポー)で開催されたトレンガヌFC戦のためだったと説明し、支払いに使える手持ちの現金がなかったことから国会議員への寄付を募ったとその経緯を述べています。
「クラブは金がないのではなく、小切手の現金化に問題があったことから、たまたま手持ちの現金が不足していた。そこで複数の国会議員にメッセージを送り現金の支援を求めたのが真相である。それ以上でもそれ以下でもないので、殊更にこの件を大袈裟にする必要ない。我々も深刻な状況であり、そんな時に国会議員に助けを求めるのは普通のことだと考えている。ありがたいことに即座に現金による支援を受け取ることができた。」と説明したアズマンGMはマレーシアカップの残り試合に必要な経費の資金源を探している一方で、ペラFCのサポーターからも支援が集まっていることを感謝していると話しています。
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 この記事のタイトル「闇金から借りるなら国会議員から寄付を募る方が良い」は新聞記事の見出しの直訳ですが、ここで言う闇金とはマレーシアではAh long(マレーシア語で悪徳高利貸しや闇金融)と呼ばれる個人あるいは企業です。「期限までに借金が返せず、家のドアに赤いペンキをぶちまけられた。」「借金を完済したにも関わらず追加融資を持ちかけられ、断ると拳銃が写った写真付きメッセージが送られてきた。」などマレーシアの新聞を読んでいるとこのAh longの恐ろしさを報じる記事をよく目にしますが、確かにそんなAh longに借りるくらいなら、選挙民のために働く国会議員にお願いするのは至極、筋が通っているということなのでしょう。

サバFCは一部経営陣の「背任行為疑惑」を公式に否定
 Mリーグ1部サバFCはニュースサイトが報じたクラブ経営陣の不正行為疑惑を真っ向から否定するとともに、法的措置も辞さないことをクラブの公式Facebookで発表しています。
 これは東マレーシア(ボルネオ島のサバ州、サラワク州など)をカバーするニュースサイトのボルネオトゥデイが、サバFCの関係者が、選手の代理人と共謀して選手の給与を実際よりも高く設定して支払う一方で、その差額を懐に入れているという背任行為を行なっているという疑惑を報じたことが発端です。サバFCは昨季2020年シーズンからパク・タエス(韓国)を除く4名の外国籍選手を入れ替え、今季中のトランスファーウィンドウ期間にも1名を入れ替えた他、一旦退団が公式発表されたレヴィ・マディンダと数日後に再契約を発表するなど変わった動きもしていました。
 ボルネオトゥデイの記事では、サバFCの一部関係者が選手の給料を3万3000リンギ(およそ90万円)としながら実際には1万5000リンギ(およそ41万円)しか支払わずその差額を私的目的に利用するといった背任行為を例に挙げ、選手の入れ替えが頻繁に行われているのは、一部の関係者がこの背任行為を「商売」にしているからだとし、この状況が続けば選手は搾取され、クラブの一部関係者は私服を肥すことになると指摘していました。
 さらにボルネオトゥデイはスタジアムの照明が当初の30万リンギ(およそ820万円)の見積もりから購入時には80万リンギ(およそ2190万円)が支払われた点や、練習中に選手が使用する心拍数測定器の価格が当初の300リンギから支払い時には13万リンギとなった点などについてもその変更理由が疑わしいとしていました。
 今回のサバFCの声明は、これら全ての疑惑を真っ向から否定した上で、選手の移籍は正式な方法で行われたことや、スタジアムの照明はサバ州までの輸送費用を含んでいること、心肺測定装置の購入には代理店などを介さずに行なっていることを説明し、ボルネオトゥデイの主張が正しければその証拠を示すよう求めています。さらに専門家による監査を喜んで受けるとする一方で、今後も根拠のない中傷が続くようであれば法的措置も検討するとしています。

ガン治療中のブレンダン・ガンはスランゴールFCによる給料半減の噂を否定
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、マレーシア代表MFのブレンダン・ガンと所属するMリーグ1部のスランゴールFCが、いずれも給料半減の噂を否定していると報じています。
 事の発端は同じMリーグ1部のJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が「ガン治療中の選手が給料を半減されている。」と自身のインスタグラムで公表したことにあります。
 「その選手はガン治療中である。彼はこれまでクラブに貢献してきた選手にも関わらず、治療により試合に出場できないことを理由にクラブは彼の給料を半減している。このようなことをして選手の生活に責任を持っていると言えるのだろうか。多くの選手がこのクラブを出たいと言うのも理解できる。このクラブはソーシャルメディア上では良いことばかり発信しているが、その内実は反対のようである。クラブの成功に必要なものの第一は「人道」だ。」と投稿したイスマイル殿下ですが、ネット上ではこれがW杯予選後の7月に睾丸腫瘍の診断を受けて休養し、最近、練習を再開したスランゴールFCのブレンダン・ガンを指している可能性が高いと考えられています。
 イスマイル殿下のこのの投稿に対して、スランゴールFCのジョハン・カマル・ハミドンCEOは自身のツイッターで反論し、ガン選手の給料半減を真っ向から否定するとともに、スランゴールFCは選手との契約を尊重し、病気やケガなどで出場できない選手も含めた選手全員が契約通りの給料を遅れることなく支払っていると説明しています
 さらにガン選手本人も「ソーシャルメディア上で話題となっている内容を読んだが、自分は今季2021年シーズンの給料全額をスランゴールFCから受け取っているという事実を明らかにしておきたい。」と述べて、ジョハンCEOの説明内容を肯定しています。
 ただしイスマイル殿下はこの件を本人から直接聞いたとも述べているだけに、謎は深まっています。
******
 リーグ8連覇を達成し、現在のMリーグの盟主を自負するJDTに対し、現在開催中のマレーシアカップ100年の歴史の中で優勝33回、準優勝16回(2位はシンガポールの優勝24回、準優勝19回、ちなみにJDTは前身のジョホールFCと合わせても優勝4回、準優勝2回)と「伝統」という点では他のクラブを圧倒するスランゴールFCと図式の中で、イスマイル殿下はスランゴールFCに向けては敵意剥き出しとも言える厳しい意見や批判的な発言を行うことが少なくありません。実際、スランゴールFCの最後のMリーグ優勝は2010年、マレーシアカップ優勝も2015年が最後なのに対し、リーグ8連覇進行中のJDTはマレーシアカップでも2017年と2019年(昨季2020年はコロナ禍により中止)と優勝しており、イスマイル殿下からすれば「伝統」にあぐらをかき盟主然とし、マレーシアサッカー全体の向上といった大局的視点を欠いているように見えるスランゴールFCには小言の一つ二つも言いたくなるのも当然と言えば当然かも知れません。

マレーシアカップ-グループステージ第4節結果

 本日11月4日はヒンドゥー教の新年に当たるディパバリと呼ばれる国民の祝日です。インド系の住民が総人口のおよそ7%を占める多民族国家のマレーシアでは、イスラム教以外の宗教に関連する祝日がいくつかあります。
 さて本題。マレーシアカップのグループステージ第4節が11月1日から3日にかけて行われ、B組のトレンガヌFCのスランゴールFC、C組のマラッカ・ユナイテッドFC、D組のJDTがノックアウトステージとなるベスト8進出を決めています。
 なお12月5日開幕の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ前にマレーシアカップを終了させたい主催者のMFLは、大半の選手とクラブとの契約が11月末までとなっていることもあり、かなり過密気味の日程を作成しています。10月29日(金)と30日(土)に開催された第3節から、クラブによっては移動日を含めてわずか3日後に第4節の試合が組まれています。また次節第5節は明日11月5日から7日となっており、日程消化のためとは言え、選手には酷なスケジュールが11月9日と10日の最終第6節まで続き、疲労によるケガなどが心配されます。
 (各試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

グループステージA組
2021年11月3日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
サラワク・ユナイテッドFC 2-2 KLシティFC
 得点者:サラワク-ウチェ・アグバ2(22分、40分)、KL-ロメル・モラレス2(36分、74分)
前説に続きグループ1位と2位の直接対決となったこの試合は、前節ではKLシティFCに0-4と一蹴されたサラワク・ユナイテッドFCが、グループステージ開幕戦以来となるウチェ・アグバのゴールで先制しますが、絶好調のロメル・モラレスがこのマレーシアカップ4試合で6点目となるゴールを決めて同点とし、アグバ選手のゴールでサラワクが再びリードを奪うも、モラレス選手が再度、ゴールを決めて引き分けとなっています。

2021年11月3日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFC 0-5 スリ・パハンFC
得点者:パハン-ケニー・アティウ3(10分、35分、82分)、アブバカル・ヤクブ(21分)、アブドル・マリク(58分)
 前節はスリ・パハンFCの本拠地で行われた同一カードで0-4と大敗したペナンFCでしたが、本拠地へ戻って行われたこの試合ではさらに失点を重ねて0-5と惨敗しています。エースカサグランデと正GKのサミュエル・サマーヴィルがベンチから外れるなど万全の布陣ではないとは言え、Mリーグ1部で今季3位の片鱗を見せることなく敗れています。
 一方、今季のMリーグでは2部降格の10位ペラFCとは勝点差2で1部に踏みとどまったスリ・パハンFCですが、マレーシアカップでは2連敗の後、ペナンFCとの2戦では9得点無失点と調子を上げてきており、グループステージ突破も見えてきました。

2021年マレーシアリーグ グループステージA組順位表(第4節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1KLC422010468
2SWU421167-17
3SRP420210466
4PEN4013213-111
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PEN-ペナンFC、KLC-KLシティFC、SPP-スリ・パハンFC、SWU-サラワク・ユナイテッドFC、


グループステージB組
2021年11月3日@タンスリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ラーキン)
クチンシティFC 1-2 スランゴールFC
得点者:マイケル・イジェジ(67分)、スランゴール-ダニアル・アスリ(18分)、ニック・シャリフ・ハセフィ(90+6分)
 前節の同一カードでは1-5と敗れているクチンシティFCは、この試合でもスランゴールFCに先制を許したものの前節同様、マイケル・イジェジの2試合連続となるゴールで同点に追いつきます。しかしこの試合ではスランゴールFCの攻撃を耐え忍んでこのまま引き分けかと思われたロスタイムに痛恨の失点で敗れ、残り2試合を残しマレーシアカップグループステージ敗退が決まっています。
 主力選手を欠きながらも土壇場での勝利でグループステージ突破を決めたスランゴールFCは、次節はグループ首位のトレンガヌFCを本拠地に迎えます。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年11月3日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 4-0 ペラFC
得点者:トレンガヌ-マカン・コナテ(13分)、デヴィッド・ダ・シルヴァ(20分)、デシ・マルセル(26分)、ファイサル・ハリム(63分PK)
 グループ首位のトレンガヌFCが4連勝で首位を堅持しています。トレンガヌFCのナフジ・ザイン監督は前節の同一カードで4-1と圧勝したメンバーから外国籍選手を入れ替えて臨みましたが、リーグ戦では不調だったデヴィッド・ダ・シルヴァがマレーシアカップ初先発となったこの試合で初ゴールを決めるなど、選手をローテーションしても圧勝し、4戦無敗でグループステージ突破を決めています。
 トレンガヌFCとの2試合で8失点のペラFCは、クチンシティFCと入れ替わってグループ最下位に転落するとともに、マレーシアカップ敗退が決まっています。

2021年マレーシアリーグ グループステージB組順位表(第4節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1TFC44001221012
2SEL43019459
3KUC4013411-71
3PRK4013311-81
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:TFC-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、PRK-ペラFC、KUC-クチンシティFC

グループステージC組
2021年11月1日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 3-3 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:ケランタン-谷川由来(22分)、ガッサマ・アルフセイネイ(39分)、シャフィジ・イクマル(78分)、マラッカ-ソニー・ノルデ(25分)、S・クマーラン(55分)、マヌエル・オット(84分)
 前節の同一カードでは1-2と敗れているケランタン・ユナイテッドFCは、ケランタンのレジェンド、バドリ・ラジからのパスを受けた谷川由来選手がペナルティエリアの外から豪快にシュートを決めて先制します。その直後に同点されるものの、エース、ガッサマ・アルフセイネイが逆転ゴールを決めて前半はケランタン・ユナイテッドFCがリードして折り返しました。後半開始直後に再び同点されるも、途中出場直後のシャフィジ・イクマルがゴールを決め、マレーシアカップ初勝利が見えたところで、同点に追いつかれ引き分けに終わっています。この結果、ケランタン・ユナイテッドFCのマレーシアカップグループステージ敗退が決まりました。
 マラッカ・ユナイテッドはFCは、前節でもケランタン・ユナイテッドFCの守備陣を悩ませたソニー・ノルデが同点ゴールを決め、さらに引き分けに持ち込んだゴールを演出するなど勝点1獲得に貢献し、グループステージ突破を決めています。
 ケランタン・ユナイテッドFCの深井脩平、谷川由来の両選手は先発してフル出場し、本山雅志選手はベンチ入りしませんでした。

*11月2日に予定されていたヌグリスンビランFC対クダ・ダルル・アマンFCの試合は、ヌグリスンビランFCの出場辞退により、クダ・ダルル・アマンFCが3-0で不戦勝となっています。

2021年マレーシアリーグ グループステージC組順位表(第4節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1MLU4310105510
2KDA330110379
3*NSE310318-73
4KLU401349-51
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDAークダ・ダルル・アマンFC、MLU-マラッカ・ユナイテッドFC、NSE-ヌグリスンビランFC、KLU-ケランタン・ユナイテッドFC
*ヌグリスンビランFCは新型コロナ感染者が多数発生したため、第3節以降を出場辞退しています。

グループステージD組
2021年11月2日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 3-0 サバFC
得点者:JDT-レアンドロ・ヴァレスケス(6分)、 ベルグソン・ダ・シルヴァ2(34分PK、90+3分)
 マレーシアカップでもローテーションで選手を交代させながら戦っているJDTが4試合連続の完封勝利でグループステージ突破を決めています。
 一方サバFCは2試合連続の完封負けでケランタンFCと入れ替わって最下位に転落しています。

2021年11月2日@スルタン・モハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタンFC 0-0 PJシティFC
得点者:なし
 両チームとも決め手を欠いたこの試合は、同一カードで連敗を避けたいケランタンFCが本拠地でPJシティFCを相手に引き分けています。
 PJシティFCはケランタンGKの好守に阻まれたものの、Mリーグ同様、「負けない」試合運びで確実に勝点1を獲得してグループ2位を死守しています。

2021年マレーシアリーグ グループステージD組順位表(第4節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1JDT440080812
2PJC41214315
3KEL402237-42
4SAB402238-52
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PJC-PJシティFC、SAB-サバFC、KEL-ケランタンFC

11月2日のニュース:タイ1部第10節-タンが今季初出場しエルドストールは今季初ゴール、クダ州政府州サッカー協会の2億7500万円超の所得税滞納の帳消しを交渉、ペラ州首相-州政府は2部降格のペラFCに対して身の丈にあった支援を行う

タイ1部第10節-タンが今季初出場しエルドストールは今季初ゴール
 2021/2022年シーズンのタイ1部リーグ第10節が10月30日と31日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCはチェンライ・ユナイテッドに勝利し7位から5位に浮上、DFドミニク・タンが所属するポリス・テロFCもポートFCを破って11位から10位とこちらも順位を上げています。

タイ1部リーグ第10節
2021年10月30日@ブンヤジンダースタジアム
ポリス・テロFC 3-3 レオ・チェンライ・ユナイテッド
 3位のチェンライ・ユナイテッドをホームに迎えた11位のポリス・テロFCがティーラテープ・ウィノータイの先制ゴールでリードを奪ったこの試合は、一度は同点に追いつかれたものの、ティーラテープ・ウィノータイがこの試合2点目のゴールを決めるなどしてポリス・テロFCが勝利しています。
 マレーシア代表のDFドミニク・タンは第10節にして84分に今季の初出場を果たしています。
 (試合のハイライト映像はタイリーグ公式Youtubeチャンネルより)

2021年10月31日@PATスタジアム
ポートFC 1-2 チョンブリーFC
 チョンブリーFCのDFジュニオール・エルドストールは今季初ゴールを48に決めています。なおエルドストール選手は先発してフル出場しています。
 (試合のハイライト映像はチョンブリーFCの公式Youtubeチャンネルより)

https://youtu.be/eqmjO1Nop7E

タイ1部リーグ順位表(第10節終了)

順位チーム試合得失差勝点
1ブリーラム・ユナイテッド98111425
2バンコク・ユナイテッド9622520
3BGパトゥム・ユナイテッド9612419
5チョンブリーFC10433715
10ポリス・テロFC10334112
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFC、ポリス・テロFCのみ表示しています。

クダ州政府州サッカー協会の2億7500万円超の所得税滞納の帳消しを交渉
 クダ州政府は日本の国税庁にあたる内国歳入庁に対し、1000万リンギ(およそ2億7500万円)に上るクダ州サッカー協会による所得税滞納金の帳消しを交渉する予定だとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 今年9月23日のクダ州議会で、クダ州サッカー協会が2014年から2019年3月までの期間で滞納している所得税が1000万リンギ超に上ることが明らかになったことを受け、クダ州のムハマド・サヌシ・モハマド・ノー州首相は州政府の財務担当大臣が内国歳入庁、クダ州サッカー協会、クダ・ダルル・アマンFCとの間での会合の席を設けたことを明かしています。「我々は内国歳入庁に対してこの滞納金を帳消しにするように依頼している。サッカーは州政府に利益をもたらすビジネスではないが、州政府はこれまではサッカーが国民的スポーツであることを考慮して、クダ州サッカー協会が運営するクラブへの資金提供を行なってきた。しかし、本来これは全面的にクラブのスポンサーによって賄われるべきものである。」と述べたモハマド・サヌシ州首相は、クダ州政府傘下のクダ州サッカー協会が抱えるこの1000万リンギ超の滞納金が帳消しになれば、その分を州民の福利厚生や開発に充当することできるとして、内国歳入庁に帳消しにすることを求めると話しています。
 モハマド・サヌシ州首相は、クダ・ダルル・アマンFCの来季2022年のクラブライセンス取得のためにこの滞納金問題についてこれ以前にも内国際入庁と話し合いを行なったことも明らかにしています。
*****
 この記事を読んで疑問に思うのは、マレーシアサッカー協会FAMやMリーグを運営するMFLが行ってきた毎年のクラブライセンス交付のための審査の精度です。クダ・ダルル・アマンFCは申請審査をパスして来季のクラブライセンスが交付されていますが、給料未払い問題により条件付きでの交付となったマラッカ・ユナイテッドFCやサラワク・ユナイテッドFCとは違い、特に何か条件付きの交付ということではありません。言い換えれば、この所得税滞納に関してはクラブライセンス交付を担当したMFL(審査はMFLの独立組織である第一審機関FIBが担当)からはなんのお咎めもなしということです。
 FAMやMFLはこれまでも内国歳入庁への滞納金などがあればクラブライセンスは交付されないと繰り返してきましたが、この記事を読む限り滞納は2014年からと長期間に渡っています。この間、この滞納の事実をFAMやMFLが見抜けなかったのか、あるいはクダ州サッカー協会が提出した審査書類に偽装があったのか、はたまた所詮はFAMと州協会の関係が「ずぶずぶ」で審査は単に形骸化したものなのか。いずれにしてもクダ州政府とクダ州サッカー協会だけの責任とは言えないように思えます。Mリーグ全てのクラブに対し、州政府の資金を使って運営する州協会(FA)運営型からスポンサーの資金で運営されるプロクラブ(FC)運営型(=民営化)への移行を求めているFAMとMFLですが、旗振り役の両者の目が節穴では、Mリーグクラブの完全民営化の実現はまだ先の話となりそうです。

ペラ州首相-州政府は2部降格のペラFCに対して身の丈にあった支援を行う
 ペラ州のサアラニ・モハマド州首相は、来季2部に降格するペラFCについて州政府として支援は行うとしながらも、従来のような多額の支援は行わず、運営に関してもペラFCを実質的に運営するペラ州サッカー協会主導で行うことを求めると述べています。
 マレーシア語紙ハリアンメトロは、サアラニ・モハマド州首相の「ペラFCはペラ州サッカー協会がその株式の100%を持つオーナーであり、その運営にはペラ州サッカー協会が責任を負うべきである。州政府としてはできる範囲での支援は行なっていくが、今年だけで既に500万リンギ(およそ1億3700万円)の支援を行なっている。1部復帰へ向けてどのようなチーム編成とするかはペラ州サッカー協会が考えるべきである。」という発言を紹介し、ペラ州政府は支援を継続することを表明する一方で、無尽蔵な支援は行わないと釘を刺したと報じています。
 ペラFCは今季途中に、給料未払い問題が発覚し、今季の開幕戦の先発XIの内8名が退団する異常事態となりました。その際にその批判の矛先がペラ州政府にも向けられた際には、サアラニ・モハマド州首相は1ヶ月あたりの運営費用が200万リンギ(およそ5500万円)かかるペラFCだけに州政府のスポーツ関連予算を振り分けるわけにはいかないと述べており、今季1部で11位となり2部降格となったことでペラ州政府が支援を打ち切るのではないかという声が上がっていました。
 現在はマレーシアカップ参戦中のペラFCですが、このマレーシアカップ中にも4名の外国籍選手との契約を解除しており、またカップ終了後には主力選手が放出されることが予想されています。さらにペラFCのセカンドチームで今季はMリーグ2部でプレーしたペラFC IIは運営資金不足から今季いっぱいで解散される可能性が取り沙汰されており、そうなれば主力が抜けたペラFCにペラFC IIの若手選手が合流して来季のチームが編成されることになりそうです。
*****
 上のクダ州サッカー協会に続き、ペラ州サッカー協会も州政府の公金に依存する体質からの脱却ができてないことが顕著なことを表す記事です。前身となるチームから数えると今年2021年がクラブ創設100周年だったペラFCですが、そんな記念の年にクラブ史上初となる2部降格となったのは、民営化を進めて次の新たな100年に向けての一歩を踏み出せという暗示なのかも知れません。


マレーシアカップ-グループステージ第3節結果

 代表のヨルダン遠征などにより9月30日以来中断していたマレーシアカップのグループステージが再開し、第3節の7試合が10月29日(金)と30日(土)に開催されました。
 なおマレーシアカップ第3節からは一定の制限はあるもののスタジアムでの観戦が可能になっています。(各試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

グループステージA組
2021年10月30日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 4-0 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:KL-ロメル・モラレス2(9分、12分)、J・パルティバン(55分)、ライアン・ラムバート(59分)
 1部スーパーリーグのKLシティFCがロメル・モラレスの2ゴールなどで2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドFCに快勝。シーズン後半からストライカーにコンバートされたモラレスが3試合で5ゴールと好調維持しています。
 ここまで1部のペナンFCとスリ・パハンFCを撃破したサラワク・ユナイテッドFCは守備陣が崩壊して完敗。このブログでも取り上げましたが主将で守備陣の要となるテイラー・リガンが中断期間中の練習試合でのケガで今季絶望となったことが響きました。

2021年10月30日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 4-0 ペナンFC
得点者:アブドル・マリク・アリフ2(11分、55分)、マヌエル・イダルゴ(47分)、ヤクブ・アブバカル(72分)
 スリ・パハンFCが今季のマレーシアカップ3試合目で初勝利。リーグ戦から数えても8試合勝星のなかったスリ・パハンFCでしたが、リーグ戦でも連敗していたペナンFCを相手に大勝しています。
 どうしたペナンFC!? 今季のMリーグでは3位と大躍進したペナンFCは、エースのFWカサグランデと代表GKサミュエル・サマーヴィルを欠くなど苦しい布陣で臨んだこの試合は自慢の守備陣が崩壊し、良いところなく敗れています。

2021年マレーシアリーグ グループステージA組順位表(第3節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1KLC32108267
2SWU320145-16
3SRP31025413
4PEN301328-61
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PEN-ペナンFC、KLC-KLシティFC、SPP-スリ・パハンFC、SWU-サラワク・ユナイテッドFC、

グループステージB組
2021年10月30日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 5-1 クチンシティFC
得点者:スランゴール-ハイン・テット・アウン(1分)、ダニアル・アスリ2(59分、80分)、サフアン・バハルディン(66分PK)、シーン・セルヴァラジ(90+4分)、クチン-マイケル・イジェジー(10分)
 1部のスランゴールFCが2部のクチンシティFCに圧勝しています。今季Mリーグ1部得点王のイフェダヨ・オルセングンら主力がベンチ入りせず、若手主体で望んだこの試合ではキックオフからいきなりハイン・テット・アウンのゴールで先制すると、一度は追い付かれたものの、クチンシティFCのミスなどに乗じて勝利しています。
 クチンシティFCは一度は同点に追いつきながら、追加点の好機を悉く生かすことができず、後半はミスなどで失点を重ねて敗れています。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年10月30日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 1-4 トレンガヌFC
得点者:ペラ-セルヒオ・アグエロ(24分PK)、トレンガヌ-ファイサル・ハリム(7分)、ダニシュ・ハジク(47分OG)、リー・タック2(54分、83分)
 20年ぶりのマレーシア優勝とAFCカップ出場権獲得を目指すトレンガヌFCは、リーグ戦からの好調を持続する若きエース、ファイサル・ハリムのゴールを皮切り4点を挙げて大勝しています。
 今季11位と低迷し来季の2部降格が決まっているペラFCは、先週、選手外国籍選手4名との契約解除を発表した結果、トレンガヌFCの5名に対して3名の外国籍選手を先発させましたが、戦力差は明らかで太刀打ちできませんでした。

2021年マレーシアリーグ グループステージB組順位表(第3節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1TFC33008269
2SEL32017346
3PRK301337-41
4KUC301228-61
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:TFC-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、PRK-ペラFC、KUC-クチンシティFC

グループステージC組
2021年10月29日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 2-1 ケランタン・ユナイテッドFC
得点者:マラッカ-ソニー・ノルデ(25分)、アドリアーノ(54分)、ケランタン-深井脩平(43分)
 今季リーグ戦では8位だったマラッカ・ユナイテッドFCが3連勝を飾っています。ゴール前の混戦からソニー・ノルデのゴールで先制すると、一度は追いつかれたもののアドリアーノがペナルティエリアの外からシュートを決めて無傷の3連勝で首位を堅持しています。
 マレーシアカップ初出場のケランタン・ユナイテッドFCは深井脩平選手が記念すべきクラブ史上初となるマレーシアカップ初得点を決めて一度は同点としましたが、反撃はそこまででした。
 ケランタン・ユナイテッドFCの深井脩平、谷川由来の両選手は先発してフル出場し、本山雅志選手はベンチ入りしませんでした。

*10月29日に予定されていたヌグリスンビランFC対クダ・ダルル・アマンFCの試合は、ヌグリスンビランFCの出場辞退により、クダ・ダルル・アマンFCが3-0で不戦勝となっています。

2021年マレーシアリーグ グループステージC組順位表(第3節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1MLU33007259
2KDA32017346
3*NSE310215-40
4KLU300316-50
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDAークダ・ダルル・アマンFC、MLU-マラッカ・ユナイテッドFC、NSE-ヌグリスンビランFC、KLU-ケランタン・ユナイテッドFC
*ヌグリスンビランFCは新型コロナ感染者が多数発生したため、第3節以降を出場辞退しています。

グループステージD組
2021年10月29日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
JDT 2-0 サバFC
得点者:JDT-ハズワン・バクリ(5分)、ゴンザロ・カブレラ(13分)
 マレーシアサッカー協会FAMのテクニカルディレクターを辞職し、10月1日付でサバFCの監督に就任したオン・キムスイ監督にとって初采配となったこの試合は、いずれも守備陣のミスから試合早々に2失点したサバFCが敗れ、オン監督の初戦を勝利で飾ることができませんでした。
 一方JDTは3試合連続の完封勝ちでリーグ優勝との2冠に向けて、死角なしといったところです。

2021年10月29日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 3-1 ケランタンFC
得点者:PJ -ダレン・ロック2(11分、81分)、コギレスワラン・ラジ(19分)、ケランタン-クリストス・インツィディス(36分)
 今季リーグ戦の大半をケガで棒に振ったダレン・ロックがこの試合も2ゴールを決め3戦で3発と活躍。現在、ストライカー不足に悩む代表への復帰が見えてきました。

2021年マレーシアリーグ グループステージD組順位表(第3節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1JDT33005059
2PJC31114314
3SAB302135-22
4KEL301237-41
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PJC-PJシティFC、SAB-サバFC、KEL-ケランタンFC

10月19日のニュース:U22代表はMリーグ1部クラブ相手に連勝、U22代表監督はフル代表監督と掛け持ち組の処遇についての話し合いを希望、ペラFCが全ての外国籍選手との契約解除を発表

 今日10月19日はイスラム教の開祖とされるムハマドの誕生日でマレーシアは国民の祝日ですが、それよりも何よりも嬉しいのは昨日の発表では新型コロナの新規感染者数がおよそ4ヶ月ぶりとなる5000人台となったこと。また今月末にはクダ州とケランタン州が、11月1日からはペナン州、ペラ州、サバ州が国家復興計画の第3段階に入ることからこれらの週を含めた多くの州で11月からは学校でも対面授業が再開される他、ワクチン接種者に限り海外からの入国者の隔離期間が7日間に短縮されるなど、マレーシアにも徐々に日常が戻りつつあります。

U22代表はMリーグ1部クラブ相手に連勝
 AFC U23アジアカップ予選に出場するマレーシアU22代表は予選出場前の最終戦となる3試合目の練習試合を行い、今季Mリーグ1部スーパーリーグ2位のクダ・ダルル・アマンFCに2ー0で勝利しています。
 DFアフマド・ジクリ・カリリ(スランゴールFC)のゴールで先制したU22代表は、後半には5日前に追加招集されたばかりのMFモハマド・ヌル・アズファル・フィクリ・アズハル(トレンガヌFC II)がロスタイムに2点目のゴールを挙げて、10月15日のペナンFC戦に続き2連勝しています。
 クダ・ダルル・アマンFCは外国籍選手など複数の主力を欠く布陣でしたが、それでもこの勝利はU22代表にとって自信になったはず。この日は出場しなかったフル代表組のルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、ムカイリ・アジマル(スランゴールFC)、ハキミ・アブドラ(トレンガヌFC)、クェンティン・チェン(ペナンFC)も検疫隔離期間を終えてチームに合流しており、U22代表は最終メンバーの23名を決定した後、明日10月20日に予選J組の集中開催地であるモンゴルのウランバートルへ向けて出発することになっています。

U22代表監督はフル代表監督と掛け持ち組の処遇についての話し合いを希望
 U22代表のブラッド・マロニー監督は、フル代表とU22代表を兼ねる選手たちの今後についてフル代表のタン・チェンホー監督と話し合いを持つ用意があると、マレーシア語紙ハリアンメトロにか立っています。
 上でも取り上げたAFC U23アジアカップ(旧U23選手権)予選に出場するU22代表候補には、先月9月にフル代表が行ったヨルダン遠征のメンバーからルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)、ムカイリ・アジマル(スランゴールFC)、ハキミ・アブドラ(トレンガヌFC)、クェンティン・チェン(ペナンFC)の4名が含まれていますが、この4選手は今回の予選終了後の12月に開幕するアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会に出場するフル代表に再び招集される可能性が高いことから、マロニーU22代表監督はこの4選手の両代表の間で過度に行き来させないような方法をタン代表監督と話し合いたいとしています。
 「フル代表でプレーすることによってより高いレベルでのプレーを経験できることはU22代表の選手にとってもU22代表チームにとっても良いことである。今回U22代表に招集したフル代表組は今後も、両代表でプレーする可能性があることから、彼らにとって最善の方法をタン監督と話し合いたいと思っている。」とマロニーU22代表監督は述べています。
 U22代表は10月25日から31日までモンゴルのウランバートルで行われるAFC U23アジアカップ2022年大会予選に出場後、予選を突破できれば来年6月にAFC U23アジアカップ本戦が控えている一方、フル代表は12月5日から始まるスズキカップが終わると来年2月にはAFC選手権アジアカップ2023年大会第3次予選が予定されています。

ペラFCが全ての外国籍選手との契約解除を発表
Mリーグ1部で今季11位となり来季の2部降格が決まっているペラFCは、所属する4名の外国籍選手との契約を解除したことをクラブの公式Facebookで発表しています。
 ペラFCのアズマン・ノーGM(ゼネラルマネージャー)名で発表された告知ては、既に先月末にクラブを離れているMFサミル・アヤス(レバノン)に加えて、DFズバイロウ・ガルバ(カメルーン、ただしインドネシア帰化選手のためアセアン枠)、FWジスラン・ゲサン(コートジボアール)、FWナナ・ポク(ガーナ)が今週中にもチームを離れるということです。
 今回の契約解除については経営陣と監督、コーチが話し合いを行った結果によって決定されたものであり、クラブと各選手との間で合意に達していると説明されています。
 なお10月29日から再開するマレーシアカップグループステージには、ペラFCのセカンドチームであるペラFC II登録となっているDFジャド・ヌールディーン(レバノン)、MFチャーリー・マシェル(イングランド)、セルヒオ・アグエロ(アルゼンチン、スリ・パハンFCより期限付き移籍中)の3選手と既存の選手で臨むということです。
*****
 今季前半戦終了後に給料未払いでファーストXIの半数以上が退団したことから、急遽補強した外国籍選手もマレーシアカップが心境中にも関わらず退団と、まさに今季のペラFC経営陣のお粗末さを示しています。中にはわずか3ヶ月程度で契約解除となった選手もおり、まさに泥縄式の補強だったことが露呈しています。

マレーシアカップ-グループステージ第2節結果

 マレーシアカップのグループステージ第2節の8試合が9月29日(水)、30日(木)、10月1日(金)に開催されました。2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドFCが前節に続き今節も1部のスリ・パハンFCを撃破した他、クチンシティFCが1のペラFCと引き分けて、クラブ史上初のマレーシアカップでの勝点を挙げています。
 なお10月4日から12日までのFIFA国際マッチデー期間に合わせてマレーシア代表がヨルダンで代表合宿と練習試合を行うことからマレーシアカップは1ヶ月の中断期間に入り、10月29日より最下位となる第3節は待望の有観客試合で実施されることが決定しています。
(各試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

グループステージA組
2021年9月26日@シティースタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFC 1-1 KLシティFC
得点者:ペナン-シェリダン・ボボエフ(71分)、KL-ロメル・モラレス(90+3分)
 2部のサラワク・ユナイテッドFCに敗れてホームでの連敗はさきたいペナンFCは77分に先制するとそのまま逃げ切りを図りましたが、ロスタイムにグループステージ3ゴール名となるロメル・モラレスのゴールでKLシティFCが土壇場で追いつき、両チームが勝点を分け合っています。

2021年9月29日@
サラワク・ユナイテッドFC 1-0 スリ・パハンFC
得点者:トミー・マワト(61分)
 2部2位のサラワク・ユナイテッドFCが前節のペナンFC(1部3位)に続いて1部10位のスリ・パハンFCを破り、1部スーパーリーグのクラブを相手に連勝しています。前節のKLシティFC戦に続いて連敗となったスリ・パハンはリーグ戦終盤から引き分けを挟んで8連敗となりました。

2021年マレーシアリーグ グループステージA組順位表(第2節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1SWU22004136
2KLC21104224
3PEN201124-21
4SRP200214-30
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PEN-ペナンFC、KLC-KLシティFC、SPP-スリ・パハンFC、SWU-サラワク・ユナイテッドFC、

グループステージB組
2021年9月26日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 2-1 スランゴールFC
得点者:デチ・マルセル(23分)、トレンガヌ-リー・タック(52分)、スランゴール-アシュワウィ・ヤキン(75分)
 前節に続き今節も従来のFWデヴィッド・ダ・シルヴァではなく2部プレミアリーグの得点王ジョーダン・ミンターを先発させ、失速したリーグ終盤とは布陣を変えてこの試合に臨んだ1部4位のトレンガヌFCが1部5位のスランゴールFCを圧倒して2連勝を飾り、グループ首位となっています。

2021年9月29日@MBPGスタジアム(ジョホール州パシルグダン)
クチンシティFC 2-2 ペラFC
得点者:クチン-ハドソン・ディヘースス(10分)、アリフ・ハサン(67分)、ペラ-アディブ・アブドル・ラオプ(49分PK)、アイザット・ザフアン・ラザリ(70分)
 2年連続でマレーシアカップに出場の2部5位クチンシティは2度先制しながら2度とも1部11位のペラFCが追いつき引き分けに終わっています。昨季のマレーシアカップはトーナメント方式で開催されたものの、新型コロナ観戦拡大により途中で中止になり、1回戦でJDTと対戦したクチンシティは0-1で敗れており、この試合の引き分けがクラブ史上初となるマレーシアカップでの勝点となりました。
  クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年マレーシアリーグ グループステージB組順位表(第2節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1TFC22004136
2SEL21012203
3PRK201123-11
4KUC201124-21
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:TFC-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、PRK-ペラFC、KUC-クチンシティFC

グループステージC組
2021年9月30日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマンFC 1-3 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:クダ-クパー・シャーマン(7分)、マラッカ-ソニー・ノルデ(23分)、マヌエル・オット2(39分、52分)
 1部8位のマラッカ・ユナイテッドFCが同2位のクダ・ダルル・アマンFCに逆転勝ちし、2連勝でC組1位に躍り出ています。リーグ戦ではクダ・ダルル・アマンFC相手に0勝2敗、しかも2得点7失点と分が悪かったマラッカ・ユナイテッドFCですが、この日は7分と比較的早い時間帯に先制されたからか、守勢に回ることなく攻め続けました。23分にはアドリアノからのパスを受けたソニー・ノルデが同点ゴールを決めると、39分にはやはりアドリアノのパスを受けたマヌエル・オットが逆転ゴールを決めてマラッカ・ユナイテッドFCがリードして前半が終了しました。フィリピン代表のオット選手は後半にペナルティエリアの外から素晴らしいミドルシュートを決めるなど、この試合はマラッカ・ユナイテッドFCがクダ・ダルル・アマンFCを圧倒しています。

2021年10月1日@スルタン・モハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 0-1 ヌグリスンビランFC
得点者:ヌグリスンビラン-フェリス・ダニエル(81分)
 2部1位のヌグリスンビランFCと2部7位のケランタン・ユナイテッドFCの対戦は、両チームのDF陣の奮闘やゴールキーパーの好守もあり前半を0-0で折り返します。後半に入ってもこう着状態は続き、このまま引き分けかと思われた81分に左からのクロスに走り込んだヌグリスンビランFCのフェリス・ダニエルが合わせて決勝ゴールを決めています。
 ケランタン・ユナイテッドFCの谷川由来は先発してフル出場し、深井脩平両選手は先発して前半で交代しています。前節に久しぶりの先発となった本山雅志選手はベンチ入りしませんでした。

2021年マレーシアリーグ グループステージC組順位表(第2節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1MLU22005146
2KDA21014313
3NSE210112-10
4KLU200204-30
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDAークダ・ダルル・アマンFC、MLU-マラッカ・ユナイテッドFC、NSE-ヌグリスンビランFC、KLU-ケランタン・ユナイテッドFC、

グループステージD組
2021年9月30日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 1-0 PJシティFC
得点者:JDT-ゴンザロ・カブレラ(3分)
 今季1部スーパーリーグで23ゴールを挙げたエースのベルグソン・ダ・シルヴァをベンチから外す余裕を見せたJDTは開始3分で先制したものの、その後は全員が攻守に参加するPJシティFCを相手に追加点を奪えませんでした。

2021年9月30日@スルタン・モハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタンFC 0-0 サバFC
得点者:ケランタン-ナタナエル・シリンゴリンゴ(39分)、モハマド・ハジク・モハマド・サブリ(70分)、サバ-リスト・ミトレフスキ2(32分PK、80分PK)
 2部6位のケランタンFCが1部9位のサバFCと引き分けています。ケランタンFCは今季マレーシアカップグループステージ初の勝点を獲得、サバFCは2試合連続の引き分けとなっています。なお、サバFCは試合中に負傷したインドネシア出身のサディル・ラムダニが鼠蹊部(そけいぶ)のケガで全3ヶ月の診断を受け、残るグループステージ4試合には出場しないことを発表しています。今季3ゴール8アシストのラムダニ選手欠場でD組の2位争いは最後まで混戦となりそうです。

2021年マレーシアリーグ グループステージD組順位表(第2節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1JDT22003036
2SAB20203302
3PJC201112-11
4KEL201124-21
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PJC-PJシティFC、SAB-サバFC、KEL-ケランタンFC

マレーシアカップ-グループステージ第1節結果

 今年が100周年記念大会となったマレーシアカップは1部スーパーリーグの上位11チームと2部プレミアリーグの上位5チームが出場する国内でも最も盛り上がるカップ戦です。このマレーシアカップのグループステージ第1節の8試合が9月26日(土)と27日(日)に開催されました。第1節は2部2位のサラワク・ユナイテッドFCが1部3位のペナンFCを破る番狂わせもありましたが、その他の7試合はリーグ順位が上のチームが6勝1分と順当な結果となりました。
 今回の第1節から1ヶ月ほどの代表合宿による中断期間を挟んで11月2日と3日の最終第6節まで続くグループステージが終了すると、各組上位2チームがノックアウトステージに進みます。なお今季のマレーシアカップ優勝チームには来季のAFCカップ出場権が与えられます。
(各試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

グループステージA組
2021年9月26日@シティースタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナンFC 0-3 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:ペナン-アル=ハフィズ・ハルン(56分)、サラワク-ウチェ・アグバ2(47分、58分)、カイル・ジェフリ・ジョーンズ(54分)
 1部スーパーリーグ3位のペナンFCと2部プレミアリーグ2位のサラワク・ユナイテッドFCが対戦し、サラワク・ユナイテッドFCがウチェ・アグバの2ゴールなどで勝利しています。
 シーズン終盤に好調さを維持していたペナンFCは先発XIにベストメンバーを揃え、10月の代表合宿に初招集されたモハマド・アル=ハフィズ・ハルンがゴールを決めましたが、反撃はそこまででした。

2021年9月26日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 3-1 スリ・パハンFC
得点者:KL-ダニエル・ティン(19分)、ロメル・モラレス2(47分、73分)、パハン-ジャンカルロ・ガリフオコ(79分OG)
 1部スーパーリーグ6位のKLシティFCと9位のスリ・パハンFCが対戦し、KLシティFCがロメル・モラレスの2発などで快勝しています。シーズン後半から好調を維持するベテランのサフィー・サリがこの試合でも2アシストと活躍し、KLシティFCはリーグ戦から続くホームでの連続無敗記録を12と伸ばしています。

2021年マレーシアリーグ グループステージA組順位表(第1節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1SWU11003033
2KLC11003123
3SRP100113-20
4PEN100103-30
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PEN-ペナンFC、KLC-KLシティFC、SPP-スリ・パハンFC、SWU-サラワク・ユナイテッドFC、

グループステージB組
2021年9月26日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 2-0クチンシティFC
得点者:トレンガヌ-リー・タック(23分)、ファイザル・ハリム(48分)
 1部スーパーリーグでは終盤に失速して4位に終わったトレンガヌFCと2部プレミアリーグ5位のクチンシティFCが対戦し、前半と後半にそれぞれ得点したトレンガヌFCが勝利しています。現在クチンシティFCを指揮するイルファン・バクティ監督がトレンガヌFCの監督を務めていた際にアシスタントコーチを務めていたのがナフジ・ザイン現トレンガヌFC監督ということで師弟対決としても注目されたこの試合は、2019年シーズン途中に成績不振で退任したイルファン前監督を引き継いだナフジ監督が師を破って開幕戦勝利を飾っています。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年9月26日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 1-0 ペラFC
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン(80分)
 1部スーパーリーグ5位のスランゴールFCと11位のペラFCの対戦は、試合開始から両チームが積極手に攻めてゴール前まではボールを運ぶも、なかなかゴールが決められないまま試合が進みました。
しかし80分にスランゴールFCのハイン・テット・アウンがペナルティエリア内で倒されて得たPKをリーグ得点王のイフェダヨ・オルセグンが決めてスランゴールFCが先制。そのままこの虎の子の1点を守り切ったスランゴールFCが勝利しています。

2021年マレーシアリーグ グループステージB組順位表(第1節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1TFC11003033
2SEL11002023
3PRK100102-20
4KUC100103-30
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:TFC-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、PRK-ペラFC、KUC-クチンシティFC

グループステージC組
2021年9月27日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマンFC 3-0 ケランタン・ユナイテッドFC
得点者:クダ-チェチェ・キプレ(45+2分)、シャズワン・ザイノン2(14分、58分)
 1部スーパーリーグ2位のクダ・ダルル・アマンFCと2部プレミアリーグ7位の対戦となったこの試合は、ミスが勝敗を決しました。クダがシャズワン・ザイノンのゴールで先制すると、ケランタン・ユナイテッドFCも負けじとカウンターなどで再三クダ・ダルル・アマンFCゴールへ迫りますが、絶好の得点機を何度も得ながら、ガッサマ・アルフサイニーら攻撃陣が精度の低いシュートでそれを生かすことができません。一方、守備陣は僅かなミスを突かれてチェチェ・キプレにゴールを決められるなどこちらも見た目以上の差を感じる試合でした。
 ケランタン・ユナイテッドFCの谷川由来、深井脩平両選手は先発してフル出場し、久しぶりの先発となった本山雅志選手は61分に交代しています。

2021年9月27日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 2-0 ヌグリスンビランFC
得点者:マラッカ-アドリアーノ(27分)、S・クマーラン(65分)
 1部スーパーリーグ8位のマラッカ・ユナイテッドFCと2部チャンピオンのヌグリスンビランFCの試合は前半、後半にそれぞれゴールを決めたマラッカ・ユナイテッドが勝利しています。

2021年マレーシアリーグ グループステージC組順位表(第1節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1KDA11003033
2MLU11002023
3NSE100102-20
4KLU100103-30
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDAークダ・ダルル・アマンFC、MLU-マラッカ・ユナイテッドFC、NSE-ヌグリスンビランFC、KLU-ケランタン・ユナイテッドFC、

グループステージD組
2021年9月27日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 2-0 ケランタンFC
得点者:JDT-ベルグソン・ダ・シルヴァ(20分)、サファウィ・ラシド(49分)
 1部スーパーリーグの覇者JDTが2部プレミアリーグ6位のケランタンFCを破り、早くもD組の首位に躍り出ました。

2021年9月27日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 1-1 サバFC
得点者:PJ-ダレン・ロック(80分)、サバ-パク・タエスー(20分)
 オン・キムスイ新監督就任後初の試合となった1部スーパーリーグ9位のサバFCは7位のPJシティFCと対戦しました。リーグ戦ではPJシティFCが2勝しているこのカードでしたが先制したのはサバFCでした。ペナルティエリアのはるか外で得たPKをパク・タエスーが蹴ると、30mを超えるロングシュートが直接ゴールインしてサバFCが20分に1-0とリードします。さらに後半に入るとサバFCは67分にPKを得ますが、レヴィ・マディンダのシュートを10月の代表合宿初招集となったPJシティFCのGKカラムラー・アル=ハフィズが止めて追加点を許しません。そして80分にはエースのダレン・ロックがサバFC守備陣をかわして同点ゴールを決め、PJシティFCが引き分けに持ち込んでいます。

2021年マレーシアリーグ グループステージD組順位表(第1節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1JDT11002023
2PJC10101101
2SAB10100111
4KEL100102-20
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PJC-PJシティFC、SAB-サバFC、KEL-ケランタンFC

今季のMリーグ1部スーパーリーグを振り返る(2)

  Mリーグ1部スーパーリーグの2021年シーズンの成績を振り返る企画の2回目は7位から12位までのチームの今季を振り返ります。

7位 PJシティFC 6勝6分10敗 得点16(リーグ11位)失点28(リーグ4位)
主な得点者:ダレン・ロック3 、カイリル・ムハイミン3、コギレスワラン・ラジ2
クリーンシート:8(カラムラー・アル=ハフィズ8)
平均得点:0.73/試合 平均失点:1.27/試合
 今季のスーパーリーグで唯一、外国籍選手が1人も在籍しなかったPJシティFCは、開幕前は今季2部降格の最右翼と見られていましたが、前半戦を3勝6分4敗で折り返すと、後半戦は6連覇したものの下位のクラブ相手には取りこぼすことがほとんどなく、外国人選手を擁した昨季と同じ7位でした。
 トレンガヌFCから移籍したエース候補のダレン・ロックが開幕からの3試合で3ゴールを挙げながら、その後はケガによりチームを離脱し、先発に復帰できたのはシーズン終盤の2試合だったこともあり、とにかく得点力不足がシーズンを通しての課題でした。今季6勝の内、5勝が1-0での勝利でそれに貢献したGKのカラムラー・アル=ハフィズが10月の代表合宿に初招集されるなどマレーシア人選手だけで今季を戦った成果もありました。
 マレーシアカップではJDT、サバFC、ケランタンFC(2部プレミアリーグ)と同じD組に入っていますが、JDTの1位突破はほぼ確定しているので、サバFCとの2位争いが焦点になりそうです。

8位 マラッカ・ユナイテッドFC 5勝9分8敗 25得点(リーグ7位)31失点(リーグ7位)
主な得点者:S・クマーラン4、ステファン・ニコリッチ4、アレックス・ゴンサウヴェス3、ソニー・ノルデ3
クリーンシート:5(カイルル・ファーミ・チェ・マット4、ノラジラン・ラザリ1)
 リーグ下位のチームには下位となる理由が当然あるわけですが、マラッカ・ユナイテッドFCは現場ではなく経営陣の不手際というかプロ意識の欠如がその理由です。成績的には勝点で7位のPJシティFCと並ぶものの、得失差により本来は7位となっているべきところを、昨季に続き2季連続となる未払い給料問題より勝点3の剥奪処分を受けた結果、今季のマラッカ・ユナイテッドFCは8位に終わっています。チームは開幕から4試合連続引き分けでスタートしましたが、第4節後に勝点剥奪処分が発表され、積み上げた勝点が4から1となり前半戦を3勝5分5敗の11位で折り返しました。後半戦に入るとトレンガヌFCを破り、スランゴールFCと引き分ける見当を見せ、最終的には8位と昨季より順位を一つ上げています。
 マレーシアカップでは2部プレミアリーグ優勝のヌグリスンビランFCとC組の2位を争うことになりそうですが、C組の初戦となる明日9月27日のヌグリスンビランFC戦で敗れるようなことになれば、グループステージ敗退が見えてきます。
 

9位 サバFC 4勝7分11敗 得点21(リーグ9位)失点38(リーグ10位) 
主な得点者:レヴィ・マディンダ4、アムリ・ヤハヤ4、サディル・ラムダニ3
クリーンシート:3(ロブソン・レンディ・リニン2、ロザイミ・ロヒム1)
 外国籍選手のチーム合流が遅れたサバFCは、全員が先発XIに出揃ったのは今季初勝利を挙げた第5節でした。しかも昨季10位の成績によりインドネシア出身のクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督の解任を発表しながら、開幕前に今季も続けて指揮を取ることが発表されるドタバタもありました。しかもそのクルニアワン監督は後半戦開幕以降、0勝3分4敗の成績を理由にシーズン終了まであと2試合というところで「休養」させられるなど、続投させた経営陣の責任も問われるべきでは、という状況でシーズンを終えています。
 戦力的にはレヴィ・マディンダと並んで40歳のアムリ・ヤハヤがチーム得点王という点も来季以降に不安が残りますが、チーム総得点21の内、マレーシア人選手が得点したのは8点と半分にも満たず、来季も外国籍選手頼りのチーム編成となりそうです。
 マレーシアカップはPJシティFCのところでも書きましたが、グループステージ突破に向けてPJシティFCとの2位争いを繰り広げることになりそうですが、シーズン終盤の監督交代後も連敗して後半戦を0勝3分6敗で終えており、リーグ戦終了後に就任したオン・キムスイ元U23代表監督がどこまでチームを立て直してくるかが注目です。

10位 スリ・パハンFC 4勝6分12敗 得点23(リーグ8位)失点37(リーグ9位)
主な得点者:ケニー・アティウ4、リー・タック他6名が2
クリーンシート:3(ヘルミ・エリザ・エリアス3)
 アメリカ出身でワールドカップ1984年大会と88年大会には代表チームの主将として出場、東南アジアではフィリピン代表監督も務めたトーマス・ドゥーリー監督を招聘したスリ・パハンFCは、開幕戦から2連敗すると、ドゥーリー監督を「休養」させ、昨季監督を務めたドラー・サレー TM(チームマネージャー)を再登板させました。就任時からスリ・パハンFCの練習設備は自身がプレーしたドイツでは5部リーグ並みなどと発言したことなども「休養」の理由とされていますが、それでもあまりに早すぎる「休養」に周りが驚く中、昨季8位の成績を理由に解任されたドラー・サレー監督の再登板にはさらに驚かされました。ドラー監督就任後2試合目となる第4節に今季初勝利を挙げたものの、2勝目まではさらに7試合を要すなど、果たして監督交代に意味があったのかどうかに疑問が残る経営陣の判断でした。前半戦を3勝3分7敗、後半戦は1勝3分5敗で一部サポーターからはどラー監督解任やドゥーリー監督復帰の声も出る中、幸いなことに今季は下位のチームがスリ・パハンFCに輪をかけてひどい状況だったことから、なんとか1部残留を果たしています。
 マレーシアカップではペナンFC、KLシティFC、2部プレミアリーグ準優勝のサラワク・ユナイテッドFCと同じA組に入っていますが、グループステージ突破どころかA組4位でグループステージを終える可能性もあります。

11位 ペラFC 4勝4分14敗 得点20(リーグ10位)失点45(リーグ12位)
主な得点者:ギリェルメ・デ・パウラ4、カレッカ4、セルヒオ・アグエロ2
クリーンシート:5(ハフィズル・ハキム4、アズリ・アブドル・ガニ1)
 一昨年5位、昨年4位と順調に順位を上げてきたペラFCは、2017年から指揮を取るメフメト・ドゥラコビッチ監督が突然辞任しました。コロナ禍で家族と会えないことがその理由と発表されましたが、今振り返ればそれが果たして本当だったのか…。今季はクラブ創設100周年というペラFCは開幕直後から所属選手への給料未払いが明らかになると、それに呼応するようにチームも不振(というか選手のモチベーション不足?)に陥り、前半戦を3勝3分7敗の8位で終えました。
 また給料未払いの影響は大きく、前半戦終了直前のトランスファーウィンドウ期間には外国籍選手4名全員を含む8選手が退団、移籍しましたが、全員が今季開幕戦の先発XIに入っていたこの主力8選手の退団の影響は当然ながら大きく、後半戦は1勝1分7敗とリーグ最低の成績で100周年という記念の年にクラブ史上初の2部降格となりました。

12位 UITM FC 3勝4分15敗 得点16(リーグ11位)失点41(リーグ11位)
主な得点者:クォン・ヨンヒョン4、シーン・ジャネッリ3、ジョエル・ヴィニシウス 2、ナナ・ポク2
クリーンシート:4(ムハマド・アズファル・アリフ1、ザミル・スラマット3)
 大学のクラブとして初めて1部に昇格した昨季は短縮された日程だったもののリーグ6位(5勝2分4敗)と好成績を挙げたUITM FCは、開幕前に昨季在籍した外国籍選手5名中、チームの司令塔ラビ・アタヤや昨季チーム総得点17点中6点を挙げたFWグスタヴォなどを入れ替えましたがこれが大失敗でした。結局、唯一残った主将のヴィクター・ニレノルド以外は、今季途中のトランスファーウィンドウ期間で再び全員が入れ替えられ、チームの今季得点者トップ3全員がこのトランスファーウィンドウ期間に加入した選手たちであることからも明らかなように、前半戦は0勝2分11敗、またこの間は得点4失点30と、とにかく点が取れませんでした。外国籍選手が入れ替わった後半は3勝2分4敗と持ち直し、最終節まで1部残留の可能性が残りましたが前半戦の勝点がわずか2ではやはり残留は無理でした。
 1部スーパーリーグからマレーシアカップに出場できるのは11位までなので、12位のUITM FCは今季のマレーシアカップには出場できずに来季は2部に降格します。