4月7日のニュース:クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付、FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定 、活動制限令違反でサッカー選手を逮捕、MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備

クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付
 東マレーシアのマレー語紙ウトゥサンボルネオ電子版によると、マレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグのクチンFAは、選手が4月分の給料を5パーセント削減することに同意したことに加えて、その削減分を新型コロナウィルスのための基金に寄付すると発表しています。
 クチン地区サッカー協会KDFAのファズルディン・アブドル・ラーマン会長は、選手とスタッフの給料削減分は活動制限令によって影響を受けている家庭を支援するための基金へ寄付されることになっており、クラブとして全ての選手とスタッフの協力に感謝していると話しています。 
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 クラブの経費節約のために給料削減に応じるのではなく、新型コロナウィルス感染拡大による影響で苦しむ人を助ける目的で給料削減を行うのは、単なる給料削減とは全く意味が違います。FAMやMFLも単にクラブと選手の間での給料削減交渉を促すのではなく、クラブを助けるのではなく、より苦しんでいる人を助けることを目的とすべき、といったその使い道にまで言及することで、社会の中でのプロサッカーの存在意義が高められると思うのですが、そういうことは考えないのでしょうか。 

FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定
 フランスの通信社AFPは、国際サッカー連盟FIFAが6月に予定されていた全ての試合の中止を決定したと伝えています。
 新型コロナウィルスの影響に関する専門調査委員会の初会合の席上で決定したということです。ビデオ会議で行われたこの委員会は、現在延期となっているFIFAワールドカップ2022年大会予選の新たな日程を決めることも求めています。
 この他、東京オリンピックの1年延期を受けて、サッカー競技の選手出場資格を「1997年1月1日以前に生まれた者とする」とした現行の資格を維持することもこの委員会で提案されています。

活動制限令違反でサッカー選手を逮捕
 現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令MCO下では、不要不急の外出を避けるように求められていますが、屋外で練習していたプロサッカー選手が逮捕され、有罪判決を受けたとマレー語紙シナルハリアンが報じています。
 自宅のあるクアラルンプール市内のコンドミニアム敷地内で練習をしていたアーマド・ルトゥフィ・アジズル・ラーマンは、自宅に戻ることを命じた警察官の2度に渡るに従わず、さらに反抗的な行動をしたとしてMCO違反および公務執行妨害で逮捕され、アンパン下級裁判所で罰金800リンギ(およそ2万円)あるいは禁固1ヶ月の判決を受けたとしています。22歳のルトゥフィ選手は罪を認めています。
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 なお記事の中では、このルトゥフィ選手が所属するクラブ名が書かれていませんが、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの登録選手リストには名前がありませんので、MFL3部のM3リーグ以下のリーグでプレーする選手ということなのかもしれません。

MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備
 マレーシアフットボールリーグMFLは公式サイトで、4月14日に解除予定の活動制限令MCOが延長された場合、国内リーグを再開するにあたっての選択肢を複数用意していることを発表しています。
 MFLのアブ・ガニ・ハサンCEOは、国内リーグやカップ戦再開そのものが、MCOがいつ解除になるか、また解除後のマレーシア政府の保健省のアドバイスの内容次第としたています。(筆者注:なお、ここで言われている国内リーグやカップ戦とはMFL1部から3部、FAカップ、マレーシアカップ、チャレンジカップを指します。)
 またアブ・ガニ・ハサンCEOは、JDT、クチンFA、UKM FCに倣って、他のクラブも契約内容の見直しを行うように提言している他、マレーシア最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア、、マレーシア第2の金融グループCIMB、オンライン通販大手のショッピーShopeeの各社は契約通りの支援を続けることも発表しています。
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 このブログで何度も取り上げたように、所属選手は給料削減を了承していないと公言しているUKM FCを例にして、活動制限令MCOが延長になった場合に限って職員の給料削減を行うとするMFLのCEOが、MCOの延長が決定されてない現段階でクラブと選手に契約内容の見直しを提言する姿勢はどれだけ選手たちの指示を得られるのかが、甚だ疑問です。JDTやクチンFAに倣うのは、クラブではなくむしろFAMやMFLでは無いのかと思ったりもしてしまいます。

4月5日のニュース:スーパーリーグの高額外国籍選手トップ12と高額マレーシア人選手トップ12

 このブログでも何度も記事を引用しているサッカー専門サイトのヴォケットFCが、サッカー情報を提供するドイツのTransfemarketを参考にマレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグの高額外国籍選手と高額マレーシア人選手という特集記事を掲載しています。元の記事は選手の市場価値を紹介しているだけなので、それをそのまま紹介するだけでは味気ないので、独断と偏見で内容を加筆してみました。
 (カッコ)内は、外国籍選手は年齢/ポジション/所属クラブ/国籍、マレーシア人選手は年齢/ポジション/所属クラブです。

高額外国籍選手トップ10

1位 ジオゴ(センターFW / ジョホール・ダルル・タジムJDT / 33歳 / ブラジル)
380万リンギ(およそ9500万円、1リンギはおよそ25円)
昨季2019年にタイ1部リーグのブリーラム・ユナイテッドからタイリーグ2度の得点王の実績を持って加入したジオゴ選手。ブリーラム・ユナイテッドとの契約がまだ1年残っていましたが、当時の報道では、JDTがブリーラム・ユナイテッドに500万タイバーツ(およそ646万リンギ)を支払って獲得してました。今季は4試合で2ゴールを決めています。

2位 ゴンザロ・カブレラ(左ウィング / JDT / 32歳 / イラク)
360万リンギ(およそ8960万円)
2017年にサウジアラビアのアル・ファイサリーから期限付き移籍でJDTに加入した際にはアルゼンチン出身の外国籍選手としてプレーしました。シーズン終了後に一旦、退団が発表されたものの、翌2018年シーズンには完全移籍でJDTに再加入、しかもイラク出身としてアジア枠で登録されました。

3位 レアンドロ・ヴェラスケス(攻撃的MF / JDT / 31歳 / アルゼンチン)
330万リンギ(およそ8820万円)
2015年にJDTに加入し、JDTのアジア初タイトルとなる同年AFCカップの決勝でゴールを決めるなど活躍しました。翌2016年にコロンビアのデポルティーボ・パストへ移籍、ティブローネス・ロホス・デ・ベラクルス (メキシコ)、リオネグロ・アギラス(コロンビア)を経て、今季2019年から再びJDTでプレーしています。

3位 サンジャル・シャアフメドフ(攻撃的MF / トレンガヌFC / 30歳 / ウズベキスタン)
330万リンギ(およそ8820万円)
昨季2019年シーズンにウズベキスタン1部リーグのロコモティフ・タシュケントからトレンガヌFCに加入し、主力選手として迎える2シーズン目の今季は4試合で2ゴールを決めています。

5位 マウリシオ・ドス・サントス・ナシメント(センターバック / JDT / 32歳 / ブラジル)
280万リンギ(およそ6980万円)
昨季2019年シーズンからJDTでプレーするマウリシオ選手は、パルメイラス(ブラジル)のユース出身で、スポルティング(ポルトガル)からセリエAのラツィオへ移籍しました。ラツィオから期限付き移籍で移籍したスパルタク・モスクワ(ロシア)では国内リーグ優勝に貢献、その後、期限付き移籍したレギア・ワルシャワ(ポーランド)を経て2019年にJDTに加入しています。ディフェンダーながらセットプレーでは得点に絡むことも多く、3月3日に行われた今季のAFCチャンピオンズリーグ水原三星戦で決勝ゴールを決めたのは記憶に新しいところです。

6位 デンバ・カマラ(センターFW / PJシティFC / 26歳 / ギニア)
190万リンギ(およそ4730万円)
今季2020年シーズンからマレーシアでプレーするカマラ選手は、イスラエルリーグのハポエル・テルアビブからPJシティFCに移籍しています。今季は4試合で2ゴールを決めています。

7位 イフェダヨ・オルセグン(FW / スランゴールFC / 29歳 / ナイジェリア)
180万リンギ(およそ4490万円)
昨季2019年の2度目の移籍期間トランスファーウィンドウで、バーレーンリーグのアル・リファーから移籍し、10試合で12ゴールを挙げ、今季も4試合で3ゴールと活躍しています。

8位 クパー・シャーマン(センターFW / クダFA / 28歳 / リベリア)
160万リンギ(およそ3990万円)
2018年シーズンにPJシティFCの前身である当時MFL2部のMISC-MIFAに入団し29試合で21ゴールを決め、昨季2019年シーズンはPKNS FCに移籍し、19試合で14ゴールを挙げてリーグ得点王となったシャーマン選手は、所属するPKNS FCが2019年シーズンを持って解散となり、今季はクダFAに移籍しています。今季は4試合で3ゴールを挙げています。

8位 ディクソン・ヌワカエメ(センターFW / パハンFA / 34歳 / ナイジェリア)
160万リンギ(およそ3990万円)
フランスリーグのアンジェSCOから2019年に加入したヌワカエメ選手は、「鉄人」のニックネームを持ち、パハンFAサポーターから絶大な人気を集めています。マレーシア1年目は13試合で7ゴール、前主将のマシュー・デイヴィーズがJDTに移籍した今季は新たに主将を務めながら4試合で2ゴールを決めています。

8位 カレッカ(攻撃的MF / ペラTBG / 25歳 / ブラジル)
160万リンギ(およそ3990万円)
スランゴールFCのオルセグン選手同様、昨季の2度目のトランスファーウィンドウでアトレチコ・アクレアーノ(ブラジル)から加入したカレッカ選手は10試合で7ゴールを挙げましたが、2年目の今季はまだゴールはありません。

8位 ドミニク・ダ・シウヴァ(センターFW / トレンガヌFC / 31歳 / モーリタニア)
160万リンギ(およそ3990万円)
今季2020年にベトナムリーグのサイゴンFCから移籍したダ・シウヴァ選手は、今季2試合目のクダFA戦で4ゴールを挙げています。

8位 レナン・アウヴェス(センターバック / クダFA / 28歳 / ブラジル)
160万リンギ(およそ3990万円)
昨季2019年にインドネシアリーグのボルネオFCから移籍し、クダFAの守備陣を引っ張るアウヴェス選手。昨季のFAカップ決勝前のリーグ戦でイエロー、レッドともらい決勝戦に出場できず、今季もAFCチャンピオンズリーグのプレーオフでソウルFC相手にゴール前で無意味なハンドでPKを与えるなど、個人的にはポカが多い選手という印象です。

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 トップ10にする予定でしたが、8位タイが4名となりトップ12になってしまいました。JDTはこのトップ12に4選手が入っていますが、さすが金満クラブの面目躍如というところでしょうか。興味深いのはクダFAとトレンガヌFCの2選手が含まれていること。特に開幕前には一部選手に給料未払いの噂も出ていたトレンガヌFCですが、財源が実は豊かなのか、あるいは後先考えずに予算を注ぎ込んでいるのか、今後が気になります。またクダFAは昨季からの外国籍選手をレナン・アウヴェス以外全員を入れ替えるなど、打倒JDTへの覚悟が見える補強を行っています。

高額マレーシア人選手トップ12

1位 リリドン・クラスニキ(攻撃的MF / JDT / 28歳)
210万リンギ(およそ5230万円)
コソボ共和国出身のクラスニキ選手は、2015年から2018年まではクダFA、昨季2019年はマラッカ・ユナイテッドでプレーした結果、FIFAの規定により国籍変更が認められ、今年3月にマレーシア国籍を取得したマレーシア人と血縁関係がない二人目の帰化マレーシア人選手です。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が再開されれば、クダFA時代の監督だったタン・チェンホー現代表監督派クラスニキ選手を招集することが予想されています。

2位 ナチョ・インサ(セントラルMF / JDT / 34歳)
180万リンギ(およそ4480万円)
2017年シーズン途中にJDTに加入したインサ選手は、スペイン出身ながら、祖母がマレーシアのサバ州出身であることから、弟のキコ・インサとともにマレーシア国籍を取得した帰化選手です。膝のケガで2019年シーズンを丸々棒に振ったインサ選手ですが、今季はAFCチャンピオンズリーグの水原三星に出場し、MFLでも今季4試合中3試合に出場するなど、代表復帰が見えてきています。

3位 ブレンダン・ガン(セントラルMF / スランゴールFC / 32歳)
160万リンギ(およそ3980万円)
オーストラリア生まれのガン選手は両親がマレーシアのヌグリスンビラン州出身であることから、オーストラリアとマレーシアの両国の代表でプレーする資格がありました。2012年にサバFAでプレーした際は外国籍選手登録でしたが、ケランタンFAでプレーした2014年からはマレーシア人選手としてに登録されています。U23代表でのプレーを経て招集されたフル代表では中心選手として、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアが2位にいる原動力となっています。今季からスランゴールFCでプレーしますが、ペラTBGからの移籍は大きな話題となりました。

4位 ラヴェル・コービン=オング(左バック / JDT / 29歳)
150万リンギ(およそ3730万円)
ロンドン生まれ、カナダ育ちのコービン=オング選手は、ドイツやオランダでのプレーを経て、2018年シーズンからJDTでプレーしています。国際親善試合ではカナダ代表としてのプレー経験もありますが、母親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得し、2017年にはフル代表でデビューし・現在も代表の主力選手として活躍しています。

5位 バドロル・バクティアル(右サイドハーフ / クダFA / 32歳 )
140万リンギ(およそ3480万円)
クダ州出身で、ユース時代からクダFA一筋にプレーするバドロル選手は、リーグ戦通算56ゴール、カップ戦も含めれば通算116ゴールを挙げているだけでなく、MFL1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、FAカップ、マレーシアカップと全てのタイトルを獲得した言わばクダFAのレジェンドです。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選では久しぶりにフル代表に復帰しています。

5位 シャルル・サアド(センターバック / ペラTBG / 26歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
ペラ州出身で、ハリマウC(U19代表)、ハリマウB(U21代表)、ハリマウA(U22代表)でプレーし、PKNS FCを経て2016年からペラTBGに所属するシャルル選手は、フル代表でも不動のセンターバックを務めています。

5位 サフィク・ラヒム(セントラルMF / マラッカ・ユナイテッド / 33歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
昨季2019年からはマラッカ・ユナイテッドでプレーするサフィク選手は、キャップ数75が示すようにフル代表で長年、主将を務めたこの世代で最高のマレーシア人選手として言われています。スランゴール州出身で、2007年にスランゴールFA( 当時)で選手としてのキャリアをスタートし、2013年にはJDTへ移籍しました。JDTのオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿からは、クラブ史上最高の主将と評価されています。

5位 マシュー・デイヴィーズ(右サイドバック / JDT / 25歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
開幕直前にパハンFAからJDTに電撃移籍したデイヴィーズ選手は、オーストラリア生まれながら母親がサバ州出身であることからマレーシア国籍を取得し、パハンFAに加入した2015年からU23代表として東南アジア競技大会通称シーゲームズでプレーし、現在はフル代表の右サイドバックを務めています。

5位 サファウィ・ラシド(右ウィング / JDT / 23歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
トレンガヌ州出身で2014年にT-Team(現トレンガヌFC II)のユースチームでプレーしたのち、T-Teamそして2017年からはJDTに所属しています。2018年、2019年と2年連続でリーグ最優秀選手に選ばれ、フル代表でも主力として活躍するなど、今後のマレーシアを引っ張るエースとして期待されています。

10位 モハマドゥ・スマレ(右ウィング / パハンFA / 29歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
ガンビア出身のスマレ選手は2013年からMFLでプレーし続け、FIFAの規定で国籍変更が認められたマレーシアサッカー史上初となるマレーシア人と血縁がない帰化選手第1号です。フル代表でもスピードに乗ったドリブルが魅力の主力選手です。

10位 シャミ・サファリ(右サイドバック / スランゴールFC / 22歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
スランゴール州出身でスランゴールFA(当時)のU19を経て、スランゴールFCでは積極的なオーバーラップを得意とするサイドバックとして活躍しています。U23代表からフル代表へと順調に成長し、マシュー・デイヴィーズとフル代表の右サイドバックのレギュラーポジションを争っています。

10位 ファリザル・マーリアス(ゴールキーパー / JDT / 34歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
パハン州出身ながらパハンFAではU19でのプレー経験しかなく、プルリスFA、ヌグリスンビランFA、ペラTBG、スランゴールFAを経て2015年からはJDTとフル代表のゴールを守り、フル代表では主将も務めています。

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 外国籍選手同様、トップ10の予定が10位タイが多く12名になってしまいました。マレーシア国外生まれの選手が6名、国内生まれの選手が6名と、ここ数年で顕著になってきたマレーシア人と血縁関係のある国外生まれの選手を帰化させて代表選手にするマレーシアサッカー協会FAMの方針が見て取れるランキングになっています。

4月3日のニュース:給料削減はリーグ再開日程確定後にすべき、UKM FCの選手は発言を捏造したMFLを批判、国家スポーツ委員会はユースコーチの手当未払い問題解決を約束

給料削減はリーグ再開の日程確定後にすべき
 現在中断中のマレーシアフットボールリーグMFLの各クラブは、試合が開催されないため入場料収入を失い、契約していた支援を取りやめるあるいは支援ができなくなるスポンサーが現れるなど苦境に立たされています。その結果、各クラブが選手と給料削減や特別手当てなどの契約内容の見直しを求めていますが、選手側はその交渉を始めるにはまだ早いという意見のようだと英字紙スター電子版が報じています。
 少なくとも国内リーグを運営するMFLが再開日程を決めてくれれば、選手は団結してマレーシアサッカー に関わる全員にとって何が最善かを話し合う用意があると話すのは、スランゴールFCのブラジル人MFサンドロです。
 「現在、世の中で起こっていることについては、我々選手がその責任を負うべきでないので、給料削減などを受け入れることは難しい。しかしその一方でクラブが置かれた厳しい状況も理解できる。だからこそ、選手はリーグがいつまで中断されるかを知る必要があり、リーグ再開の日程が決まれば選手は給料削減などについての妥協点を見つける努力ができるだろう。マレーシアサッカー協会FAMとMFLは難しい決断を迫られていることも理解している」とサンドロ選手は話しています。
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 不要不急の外出を禁じる活動制限令が発令されたのは3月18日で、現在は4月14日まで続くことが決定しています。MFLの当初の試合日程は、3月後半にはFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が予定されていたことから試合が組まれておらず、第5節(4月3日〜4日)と第6節(4月10日〜12日)の2試合の延期が確定しています。
 マレーシア国内での新型コロナウィルス感染者数のピークは4月中旬が予想されることを保健省が発表しており、活動制限令は4月末までの延長も噂されています。その場合には第7節(4月17日〜19日)、第8節(4月25日〜26日)、第9節(4月28日〜29日)までの3試合が延期されることになります。その場合には流石に選手も交渉のテーブルに着く可能性はあるでしょうが、選手の立場で言えば、2試合の延期が確定しただけでクラブ側が給料削減を持ち出すのはいくら何でも早すぎる、ということでしょう。

UKM FCの選手は発言を捏造したMFLを批判
 マレーシアフットボールリーグMFL2部のUKM FCは、MFL1部JDTに続き選手が給料削減に同意したクラブと報道されていましたが、その後、選手はクラブに同意していないという記事が出るなど情報が錯綜しています。それでもマレーシアサッカー協会FAMと国内リーグを運営するMFLは、他のクラブもUKM FCに倣って、選手と給料削減の話し合いをすべきとコメントしています。
 しかし英字紙ニューストレイトタイムズは、UKM FCの選手たちは給料削減には全く同意していないというアスナン・アーマド主将の発言を報じています。記事によれば、アスナン主将とUKM FCの選手が15から20パーセントの給料削減に同意したという発言はMFLによって捏造されたものであるとしています。
 記事の中でアスナン主将は、この捏造された発言を元にFAMとMFLが新型コロナウィルス感染拡大によるリーグ中断による給料削減を他のクラブに奨励していることが許せないとしています。
 さらに、UKM FCの選手の大半は給料が5000リンギ(およそ12万4000円)以下で、しかも国内リーグが公式に終了する11月よりも2ヶ月も短い9月までの契約となっていることなどを挙げ、選手たちは給料削減について不当行為であると感じていると語り、選手はあくまでも給料削減に関してクラブとの話し合いの席に着くことに同意しただけで、内容については全く同視していないとしています。
 またリーグ中断による入場料収入減やユニフォームなどグッズの売上減についても、そもそもUKM FCはその分野の収入はほとんどなかったので、それを選手の給料削減の根拠として持ち出されても筋が通らないとも話しています。
 この他、「今季開幕前には9月まで運営する十分な予算があるとしていたクラブが、なぜ今、給料削減を持ち出すのかが理解できない。クラブは単に新型コロナウィルスを利用して経費を節約しようとしているだけである。」「(33パーセントの給料削減に同意した)ジョホール・ダルル・タジムJDTとUKM FCでは状況が全く違う。JDTの選手の給料は高額なので、給料削減は大した問題ではいだろう。しかもJDTが行なったように、削減した給料を新型コロナウィルスで苦しむ人々へ寄付するといった計画もUKM FCにはない。」とアスナン主将は話しています。
 また同じ記事の中では、DFルーベン・カティリピライは、選手が給料削減に同意したと報道されたことから、他のクラブの選手から同意したことを非難され、この選手が所属するクラブはUKM FCが先例を作ったことで、選手に給料削減に同意するように迫っていると聞かされていると述べています。
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 今回のUKM FCが行おうとしている給料削減については、今季開幕からわずか2試合で契約解除となった外国籍選手の補償金を生み出すためという噂もあります。MFLが公表している登録選手名簿では、UKM FCは今季、DFイグナシウス・アドゥコール(ガーナ)、FWイ・スンウ(韓国)、FWジュリアン・ボッターロ(アルゼンチン)、FWアカニ=サンデイ・ワシィウの4名を登録していますが、リーグ中断前の第4節までで試合に出場しているのは韓国出身のイ選手だけなので、噂は強ち的外れではないのかも知れません。

国家スポーツ委員会はユースコーチの手当未払い問題解決を約束
 マレーシア政府の青年スポーツ省とマレーシアサッカー協会FAMが統括する国家サッカー選手育成プログラムNFDPは、マレーシアの時代を担うユース育成プログラムですが、このプログラムに関わるパートタイムコーチの手当が支払われていないというニュースをサッカー専門サイトのスムアニャボラが伝えたのが4月1日のことでした。
 記事の中では、1月分と2月分のコーチ手当は3月分と共に3月末に支給されることになっていましたが、これが4月分と合わせて4月末に支給と発表になった一方で、NFDPの中核となるエリートアカデミーAMDのコーチは全員が予定通り給料を受け取っている点などを指摘されていました。
 そしてその続報が翌4月2日の同サイトで報じられました。FAMの副会長でもあるスバハン・カマルNFPD技術委員長がMSNと会見を行い、手当未払いの問題についてはNFDPとMSNが責任を負うものであることを認め、その理由としてMSN内でのNFDPを管轄部署が変更となったことなどを挙げ、NFDPは1週間以内に未払い手当を支給するとしています。
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 ユースプログラムからトップリーグまで、マレーシアのサッカー界に蔓延するこの給料未払い問題。見栄っ張りの傾向があるマレー人気質によるものなのか、あるいは計画性のなさなのか、あるいはその両方か。「マレー人は…。」と一般化するのは間違いなことは理解していますが、あらゆるレベルで起こるのを見るとついついそう考えてしまいます。

4月2日のニュース:FAMは契約書に「不可抗力」条項の導入を検討、元U19代表監督は小規模クラブの将来を憂慮、AFCは2027年アジアカップ開催希望の申請受付を3ヶ月延長

FAMは契約書に「不可抗力」条項の導入を検討
 隣国インドネシアでは新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため、5月29日まで国内リーグ中断が確定していますが、これに伴い、インドネシアサッカー協会PSSIは、3月から6月までの期間に限り、国内リーグの各クラブに対して給料の25パーセントを上限として支払うことを認める特別措置を取っています。そしてPSSIがこの措置の根拠として挙げているが、国内リーグの中断は”Force majeure「不可抗力」”によるものであるという考え方です。
 手元にあるスーパー大辞林によれば「不可抗力」とは「 通常,必要と認められる注意や予防方法を尽くしても,なお損害を防ぎきれないこと。債務不履行・不法行為の責任を免れる」となっており、今回のPSSIの場合で言えば、「契約書通りの給料を払う義務を免除される」という解釈でしょう。
 これに倣ってかどうかはわかりませんが、マレーシアサッカー協会FAMが「不可抗力」条項を契約書に盛り込むことを検討中であることを、マレー語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。この記事では、この条項を契約書に盛り込むことにより、現在、マレーシアの国内リーグを揺るがせているリーグ中断に伴う給料削減問題のような事態に対処することが容易になるとしています。
 この「不可抗力」条項導入について、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、今回の新型コロナウィルスによるリーグ中断はFAMにとっても全く未知の経験であるとし、今後このような状況に直面した際には選手との契約を見直す必要があるとして、各クラブやマレーシアプロサッカー選手会PFAMを含めた関係者と一緒に検討していきたいと話しています。
 その一方で、この「不可抗力」は様々な解釈が可能であり、ヘイズ(煙霧-マレーシアやインドネシアで行われている焼畑が原因とされ、健康被害なども引き起こす大気汚染公害:筆者注)や豪雨なども含めるのかなどマレーシアでの適用条件やその目的などを包括的に検討する必要性があることや、マレーシアフットボールリーグMFLで使われている契約書は国際サッカー連盟FIFAが作成した定型書式を採用していることから内容の変更にはFIFAの承認が必要であることなどを指摘した上で、ラマリンガム事務局長は選手、クラブの双方はもちろん、サッカーファンにとっても公平となるようなものとしたいと話しています。

元U19代表監督は小規模クラブの将来を憂慮
 クロアチア人のボヤン・ホダック氏は、現在マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグ7連覇中のジョホール・ダルル・タジムが連覇をスタートした2014年に監督を努めた他、2012年にはケランタンFAを率いてスーパーリーグ、FAカップ、マレーシアカップの三冠を達成した名将です。その後2017年から昨年2019年まではマレーシアU19代表の監督を務め、2018年には東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権優勝、さらにはアジアサッカー連盟AFC U19選手権本選に14年振りにマレーシアを出場させています。しかし、マレーシアでこれだけの実績がありながら、葉に絹着せぬ発言で知られるホダック氏はU19代表監督の契約を更新されず、現在はインドネシア1部リーグのPSSマカッサルの監督を務めています。
 インドネシアの国内リーグが中断中ということで、クアラルンプールに滞在しているホダック氏は英字紙ニューストレイトタイムズ電子版のインタビューに答え、MFLの多くのクラブが州政府や政府機関を大口スポンサーとしており、現在の新型コロナウィルス感染が拡大する状況では、そう言った州政府や政府機関が充当していたクラブ運営資金が新型コロナウィルス感染対策に使われている可能性があるという持論を展開し、他のスポンサーを持たないクラブ、多くの入場料収入が期待できないクラブは生き残りが困難になり、そのツケは選手にも回ってくるだろうと話しています。
 「年間予算1000万リンギ(およそ2億4600万円)程度のクラブが試合をせずにどのくらい持ちこたえることができるだろうか」と話すホダック氏は、州政府や政府機関といったクラブのスポンサーが既に年間支援額全額を支給していれば良いが、毎月、あるいは四半期ごとに支援が行われるクラブであれば持ちこたえるのが困難になるだろうと述べ、既に負債を抱えているクラブ(=給料未払い問題を抱えているクラブ)では選手が苦しむことになるのではないかと危惧していると語っています。
 さらに中国、韓国、日本といった国のクラブは資金的に余裕があり、リーグを運営する組織から支援も期待できるが、国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFL自身が十分なスポンサーを獲得できていないマレーシアはもとより、似たような状況に置かれている東南アジア各国のクラブが心配であるとしています。
 また上の記事でも取り上げたインドネシアリーグの給料削減問題についても、報道されている内容とは異なり、選手会との交渉なしに決定されたと話すホダック氏は、アジアを含めた世界のサッカークラブの9割以上を占める小規模クラブの多くは、リーグ中断期間が3ヶ月以上に及べば破産しかねないのではと予測しています。

AFCは2027年アジアカップ開催希望の申請受付を3ヶ月延長
 4年ごとに開催されるアジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ。昨年2019年にアラブ首長国連邦で開催された第17回大会では、カタールが日本を3-1で破って優勝しています。2023年開催予定の第18回大会は中国での開催が既に決まっていますが、その次の大会となる2027年の第19回大会について、AFCは開催希望国から出される申請の締め切りを3月31日から6月30日に延長したと、英国の通信社ロイターが報じています。
 AFCは、十分な準備期間を与えられるように開催地をできるだけ早く確定したかったようですが、新型コロナウィルスの感染拡大により各国のサッカー協会がその対応に追われている現状を考慮した結果の決定であるとしています。
 2027年大会については、過去3回の優勝実績を誇りながら、自国開催の経験がないサウジアラビアが開催に立候補している唯一の国となっています。

3月31日のニュース:JDTの選手らが33パーセントの給料カットに同意、FAMは他のクラブもJDTに倣うことを期待 、その一方で選手は協会とリーグの役員報酬削減を要求

マレーシアでは明日4月1日より、現在発令中の活動制限令MCOがより強化され、これまで通常営業が許されていたスーパーマーケット、食料品店、飲食店などが全て午前8時から午後8時までの営業となります。フードデリバリーなども同様の営業時間となり、この時間帯以外に妥当な理由なき外出をすれば警察に逮捕される、いわば夜間外出禁止状態となります。このような状況下では、読んでいて楽しいニュースはなかなかないのですが、数日ぶりのブログを書いてみました。

JDTの選手らが33パーセントの給料カットに同意
 ジョホール・ダルル・タジムJDTは公式Facebookページにて、選手、コーチ、スタッフが33パーセントの給料削減に同意したと発表しています。3月28日のこのブログでは、選手が給料の一部を本拠地があるジョホール州の災害基金に寄付した事を取り上げましたが、この寄付が削減された33パーセントの一部から拠出されたものなのか、残りの給料64パーセントから選手が寄付したものかは、発表された内容を読む限りでは明らかではありません。
 JDTはこれまでも、2017年にはペナン州で起こった洪水被害者への支援、昨年2019年には元フランス代表のロベール・ピレスやダヴィド・トレセゲ、ルイ・サハ、元オランダ代表のエドガー・ダーヴィッツ、元イタリア代表のマルコ・マテラッツィなど豪華メンバーをそろえて開催したチャリティーマッチで68万リンギ(およそ1700万円)を国立がん協会へ寄付するなど、社会活動に熱心なクラブです。
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 MFLのクラブとしては初めて給料削減を公表したJDTですが、この給料削減と寄付行為は、マレーシアサッカー協会FAMやマレーシアサッカーリーグMFLの公式サイトで取り上げられた他、アジアサッカー連盟AFCのウィンザー・ジョン事務局長(マレーシア人)からも称賛されています。

FAMは他のクラブもJDTに倣うことを期待
 JDTが選手、コーチ、スタッフと給料削減について同意したことで、マレーシアサッカー協会FAMは、他のMFLクラブもJDT同様に選手と交渉することを期待していると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 現在、マレーシアフットボールリーグMFLは暫定的に4月30日までの中断が決まっていますが、マレーシア国内に発令中の活動制限令MCOは今後も延長される可能性があり、実際には国内リーグ再開の目処は立っていません。
 試合が開催できない状況下で入場料収入が途絶えたMFLクラブが窮状を訴えていることは、何度かこのブログでも取り上げましたが、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、クラブが選手・スタッフと真摯に交渉を行い、選手・スタッフもある程度の歩み寄りを見せることで、妥協点を見つけるよう努力を求めています。

その一方で選手は協会とリーグの役員報酬削減を要求
 同じニューストレイトタイムズ電子版では、選手やスタッフに給料削減への理解を求めるのであれば、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアサッカーリーグMFLの役員がまずは報酬削減を表明するべきではないか、という選手の声を取り上げています。
 FAMとMFLは、クラブと選手・スタッフとの間で給料削減の交渉を行うべきと提案していることは上で取り上げましたが、MFl1部スーパーリーグのクラブに所属する匿名の選手は、FAMとMFLの役員が率先して報酬を削減すれば、選手やスタッフもそれに続くだろうと話す一方で、そもそも給料削減が議論になる根拠がないとして、給料全額が払われるべきだとしています。
 この選手はインタビューの中で、ユベントスやバルセロナの選手も給料削減に同意している事を指摘されると、リーグも違えば給料の額も違うとして比較の対象にはならないと反論しています。
 4月30日までリーグ中断が続けば、給料削減についての話し合いに応じる可能性があると話すこの選手は、ここまで2週間の中断で給料削減の話が出ること自体、多くのクラブが経営状況に問題がある証であると指摘し、この程度で経営が難しくなるクラブが多いのであれば、MFLは今季のリーグを中止すれば、簡単な話だと過激なことも発言しています。
 またインドネシアサッカー協会PSSIがリーグ中断期間中は各クラブが選手に支払う金額を実際の給料の25パーセントまでで良いとする措置をとった事をAFCが評価していますが(詳しくは下をご覧下さい)、これについては、PSSIがインドネシアのプロサッカー選手会への相談なしで行われたことから、インドネシアの選手は非常に腹を立てていると話し、マレーシアのプロサッカー選手会PFAMには、選手の福利が守られるよう頑張ってもらいたいと話しています。
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 インドネシアサッカー協会PSSIは、3月28日に国内リーグを5月29日まで中断することを発表し、さらに3月から6月までの期間は「不可抗力(force majure)」を理由に、各クラブが選手、コーチ、スタッフに支払う給料を、契約した金額の25パーセントを上限として良いとする決定をしています。PSSIの発表はこちらです。
 例えばオーストラリアサッカー協会FFAは職員の70パーセントを削減しており、「痛み」を共有するのであれば、マレーシアでも協会やリーグ運営組織でも職員の給与削減、あるいは役員報酬の削減が話題になっても良いはずですが、この記事の選手が指摘しているようにマレーシアサッカー協会FAMやマレーシアフットボールリーグMFLからはそういった話は残念ながら全く聞こえてきません。

3月28日のニュース:JDTの選手が給料を寄付、ハートマンはUITM FCの救世主となれるか

JDTの選手が給料を寄付
 ジョホール・ダルル・タジムJDTは公式Facebook上で、選手たちが給料の一部を寄付した事を公表しています。
 Facebookでは主将のハリス・ハルンのコメントの形で、新型コロナウィルスによって被害を受けた人々の負担を減らすため、JDTの本拠地があるジョホール州の災害基金に選手たちが寄付したとしています。
 ジョホール州は感染者数が250名超出ており、人口最大のスランゴール州、連邦直轄地のクアラルンプールとプトラジャヤに続いて感染者が多く、本日の時点で国内最大となる6人の方が亡くなっています。
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 各クラブが収入減による選手の給料削減を話題にする中、JDTはフィールドの内だでなく外でも模範となるクラブですが、これも一重に選手の皆さんが十分な給料をもらっているからでしょう。同じ事をしたくても今の給料ではそんな余裕がない、というやっかみが他のクラブの選手たちから聞こえてきそうです。
(下はJDTのFacebookより)

ハートマンはUITM FCの救世主となれるか
 マレーシアフットボールリーグMFLは3月15日の第4節を最後にリーグ戦が中断していますが、この3月15日は今年2020年1回目のマレーシア国内移籍期間トランスファーウィンドウの最終日でもありました。
 この最終日に移籍が決まった選手は3名おり、クダFAに加入したFWファイザット・ガザリ(昨季は2019年シーズン後に解散したMFL1部のPKNS FCでプレー)、PJシティFCに加入したタイ出身の右サイドバック、アナウィン・ジュジーン(昨季は2019年シーズン後に解散したタイ1部リーグのPTTラヨーンFCでプレー)そして、PJシティFCからUITM FCに期限付き移籍で加入した、イギリス生まれながらフィリピン代表経験もあるFWマーク・ハートマンです。
 今年2月にフィリピン1部リーグのセレス・ネグロスFCからPJシティFCに加入したばかりのハートマン選手は、開幕からPJシティFCがプレーした3試合全てに先発出場しています(トレンガヌFCと対戦予定だった第4節は、ホームゲームながら試合会場が用意できなく延期)。しかし、既に5名の外国籍選手枠が全て埋まっていたPJシティFCがアナウィン選手を獲得したため、押し出されるような形で、4名の外国籍選手しかいなかったUITM FCへ期限付き移籍となりました。
 27歳のハートマン選手は、2017年には当時はいずれもMFL1部スーパーリーグに所属していたサラワクFA(現MFL3部)とペナンFA(同MFL2部)でのプレー経験もあり、この他タイ1部リーグでもプレー経験があります。
 UITM FCはクラブを運営するマラ工科大学の学生と数名のプロ選手で構成されており、ハートマン選手の経験は若い選手が多いチームには貴重でしょう。
 このハートマン選手の加入を取り上げたサッカー専門サイトのヴォケットFCは、UITM FCのフランク・バーンハート監督が元U23代表のFWアリフ・アンワルや21歳のMFアリフ・アルラシドらを積極的に起用する一方で、ここまでの4試合ではブラジル出身のFWグスタボ・アルメイダ一人に頼りがちとなっていた攻撃陣にこのハートマン選手が加わる事で確実に戦力アップが期待できるとしています。
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 観戦記にも書きましたが、今季UITM FCの試合を完成した際に、個人的に最も印象に残ったのが攻撃的MFのラビ・アタヤでした。マラッカ・ユナイテッドとの試合では、中盤から効果的なパスを連発していたのですが、後半はパスを出しても決められない攻撃陣を不甲斐無く感じたのか、前線までボールを持って上がることが多くなり、その結果、周りの選手との連携が悪くなってしまうプレーが見られました。そんなUITM FCへのハートマン選手の加入は、アタヤ選手が持ち味を発揮しやすくなる非常に効果的な補強のように思えます。

3月27日のニュース:FAMとMFLはクラブにメディアではなく選手との対話を求める、PDRM FCの現役警官14名は最前線に立つ「フロントライナー」 、アセアンクラブ選手権は来年に延期へ

FAMとMFLはクラブにメディアではなく選手との対話を求める
 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLはそれぞれの公式サイトで、リーグ中断による収入減に苦しむ各クラブに対し、選手やスタッフと直接、話し合いの席につく機会を設けて、契約内容などについての話を行なうべきであると訴えています。
 さらにFAMとMFLは、各クラブがメディアに窮状を訴えている現在のやり方は適切でなく、まずは選手との対話をすべきとしています。この対話を通して、関係者全員が互いに協調し、現在の状況下で国内サッカー健全に維持するためにも、問題の平和的な解決を求めることを求めています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、ここでいう対話とは、クラブが選手側に対して一方的に給料削減に同意することを求めるものを指すのではないとしながらも、現在の状況はクラブの過失によるものではないとして、選手やスタッフに理解を求めています。
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 このブログでも過去数日にわたって、リーグ中断期間中のMFLの複数のクラブの状況を取り上げましたが、各クラブ任せだった協会とリーグが交渉を容認した形になります。ただし、協会あるいはリーグによる具体的な支援の話は出ておらず、実際には未だクラブ任せの状況なので、この訴えにどれだけ効果があるのかは疑問で、結局は各クラブの懐状況次第ということでしょう。

PDRM FCの現役警官14名は最前線に立つ「フロントライナー」
 MFLは第4節を最後に中断中で、ほとんどの選手は自宅で自主トレ、或いはチームから与えられた練習メニューをこなしていると思いますが、MFL1部のPDRM  FCの選手の中には、活動制限令MCO発令中の現在も仕事に勤しんでいるようです。
 PDRM FCはマレーシア王立警察PDRMが運営するクラブで、多くの選手が現役の警察官であることから、3月18日に発令されたMCO下では、クラブ所属の14名が通常の勤務についていると、英字紙スターが伝えています。
 FWカイルル・イズアン・アブドラはKL市内をパトロールする一方で、GKウィルフレッド・ジャブンは他のチームメイトとともに、要請に即応する部隊に配備されていると紹介しています。
 カイルル選手は現在の勤務状況では、個人的なトレーニングをする時間が十分取れないことを認める一方で、警察官として常に任務につく用意をしておかなければならないと話しています。またウィルフレッド選手は自分は普段はサッカーしているものの、警察官が自分の仕事であり、任務に就いた場合には国家の助けになれることを名誉と感じていると話しています。
 リーグ戦4試合では0勝1分3敗、しかも給料未払い問題があったことから開幕前に勝点3を剥奪(はくだつ)されたPDRM FCですが、イシャク・クンジュ・モハマド監督は、MFL1部で4試合をプレーし経験を積みつつあるチームについて、1部でプレーするために必要な事を学びつつあるとし、プロには引けを取らない事を見せたいと記事の中で語っています。

アセアンクラブ選手権は来年に延期へ
 アセアン(東南アジア諸国連合)サッカー連盟AFFの公式サイトでは、今年2020年から開催予定であったアセアンクラブ選手権ACCの2021年への延期、そして今後4ヶ月に開催が予定されているAFF主催大会の日程変更を発表しています。
 AFFのキエフ・サメト会長は、ACC延期の理由を新型コロナウィルスの感染拡大から参加する選手守るためとしながらも、10試合を5ヶ月間にわたって行なう日程のACCは、アセアン各国で中断中の国内リーグやアジアサッカー連盟AFCの大会の日程が未確定であることから、来年への延期が適切であると判断したと話しています。
 この他、AFF主催大会としては、5月にフィリピンで開催が予定されていたAFF女子選手権、いずれもインドネシアで開催予定だった6月のU18女子選手権、7月のU19選手権(男子)、8月のU16選手権(男子)もそれぞれ、後日発表される日程へと変更になりました。
 一方9月にインドネシアで開催予定のU15選手権、いずれもタイで開催予定のAFFフットサル選手権、フットサルクラブ選手権、ビーチサッカー選手権については現時点で予定通りの開催としています。
 また隔年開催で今年2020年が開催年となっているAFF選手権スズキカップも予定通り11月より開催となっています。

3月26日のニュース:PJシティFCのホームも改修工事完了、クダFAのフロントがリーグ中断の影響を明かす、元代表監督はマレーシアカップの開催を希望

PJシティFCのホームも改修工事完了
 昨日はスランゴールFCがホームのシャーアラムスタジアムの公式戦開催許可をマレーシアフットボールリーグMFLに申請したことを取り上げましたが、PJシティFCのホーム、スランゴール州プタリンジャヤにあるMBPJスタジアムも改修工事が終了したと、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 リーグ戦中断前の第4節に「ホームゲームを開催できる試合会場がない」という前代未聞の理由でトレンガヌFCとの試合を延期したPJシティFCですが、MBPJスタジアムでの公式戦開催に向け、現在はマレーシアフットボールリーグMFLによる施設検査が行われるのを待っている状況であると、チームマネージャーであるK・ラジャン氏は話しています。
 第4節の前にMFLによって行われた施設検査で不合格となり、ホームゲームが開催できなくなり、結局試合延期という対応をせざるを得なかったPJシティFCですが、4月14日までの延長が発表された活動制限令MCOが解除された段階で、MFLによる再検査を受けて合格となった後に公式戦開催が可能となります。

クダFAのフロントがリーグ中断の影響を明かす
 ここ数日にわたって、新型コロナウィルスの影響を受けたマレーシアフットボールリーグMFL中断による給料削減の話題を取り上げていますが、リーグ戦が中断中のスペインでも世界でも有数の金満クラブ、バルセロナでも選手が給料削減に応じる可能性が報じられるなど、この話題は世界的なものになりつつあります。
 この状況について、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLは各クラブに対し給料削減を行わないよう求め、それに従わないクラブについては罰則を科すとしています。
 しかし新型コロナウィルスの影響は、入場料収入への依存度が高いクラブを直撃しているだけではなく、各クラブを支援するスポンサー企業にも打撃を与えており、クラブへの支援に影響が出ていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 この記事ではクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アリス名誉事務局長の発言として、第4節のスランゴールFC戦がジョホール・ダルル・タジムJDTやパハンFA戦などと並ぶいわゆるドル箱カードであり、それが無観客試合となったことで多額の入場料収入を失ったこと、また活動制限令によって収入減となったスポンサー企業の中には契約通りの支援を取りやめる企業がでてきていることなどを取り上げています。
 アスミルル事務長は、新型コロナウィルスによる影響下では、州政府に対して運営資金への支援を求める他、スポンサー企業と契約の見直しを行った上で支援の継続を求める、高給を取る選手には給与の削減を依頼する、などの方針も検討中だと話しています。

元代表監督はマレーシアカップの開催を希望
 新型コロナウィルスの影響で中断中のマレーシアフットボールリーグMFLは、既に発令中の活動制限令MCOが4月14日まで延長されたことにより、当初予定されていた第5節(4月3日から4日開催予定)と第6節(4月10日から13日に開催予定)の延期が決まりました。また、3月17日と18日に予定されていたFAカップの2回戦は既に延期されています。
 新型コロナウィルスの感染被害が収束した場合、延期されている国内日程だけでなく、やはり延期されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選の再開、さらには今年開催予定の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ開催も控えており、再開後の日程はかなりのハードスケジュールが予想されます。
 そこで取り沙汰されているのが、もう一つのカップ戦、マレーシアカップを中止て日程緩和を図るという方針です。MFL1部と2部の16クラブのみが出場するこの大会は、通常は8月にグループステージが始まりますが、国内リーグ戦とFAカップの勝者にはそれぞれ、アジアサッカー連盟AFCのAFCチャンピオンズリーグとAFCカップへの出場権が与えられる一方で、マレーシアカップは国内で完結してしまう大会であることから、今後、日程調整が難航した場合の「犠牲」となる可能性が一番高いというのが大半の見方です。
 しかし前PKNS FC監督で元代表監督でもあるラヤゴパル・クリシュナサミー氏は、異なる意見を持っているとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。ラヤゴパル氏はマレーシアカップの持つ歴史的価値を重じ、必要とあらばFAカップを中止し、マレーシアカップを開催することを提案しています。
 1921年(大正10年)にマラヤカップとして始まったこのカップ戦は、1942年から47年までは第二次大戦や日本軍による英領マラヤ占領などで中断されたものの、今年開催されれば94回目となるアジア最古の大会の一つです。(ちなみに日本のサッカー天皇杯も1921年より開催)
 もちろんマレーシアカップとFAカップの両カップ戦が開催されることが理想と話すラヤゴパル氏は、例えば、準々決勝からはホームアンドアウェイ方式となるFAカップを一発勝負のノックアウト形式とすれば試合数を減らすことができるとし、主催者のMFLとマレーシアサッカー協会FAMに試合形式を変更してでも、すべての大会を維持して欲しいとも述べています。
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 トップリーグは各州のサッカー協会が運営するクラブが大半を占めるマレーシアの国内リーグは、クラブ同士の試合以上に、サポーターが自分の出身州のクラブを応援する言わば州対抗戦の色合いが強いのが特徴で、その頂点にあるのがマレーシアカップの決勝戦でしょう。その熱狂度合いは1990年に始まったFAカップとは明らかに違い、スタジアムはおらがチームを応援するサポーターで一杯になります。
 FAカップの勝者がAFCカップに出場できるといった実利的な面以上に、ラヤゴパル氏と同様にマレーシアカップの持つ「伝統」を重視し、大会開催を支持する意見も決して少なくないでしょう。

3月25日のニュース:ペナンFAは給料削減を検討、フェルダU・ペラTBG・トレンガヌFCは給料削減を行う予定なし、スランゴールFCはシャーアラムスタジアムの使用許可を改めてMFLに要請

ペナンFAは給料削減を検討
マレーシアフットボールリーグMFL2部のペナンFAは、所属選手に対して自発的な給料削減を提案する予定であると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため3月16日より全てのサッカー活動が停止しているマレーシアでは、やはりMFL2部のケランタンFAが同様の対応を検討していることが既に報じられていますが、ペナンFAもリーグ中断による入場料収入が得られていないことを理由に、給料削減提案のための話し合いを選手と行うとしています。なお、ペナンFAのチームマネージャーであるオン・エンフア氏は、この提案を行うのは月給が1万リンギ(およそ25万円)以上の選手が対象としています。

フェルダU、ペラTBG、トレンガヌFCは給料削減を行わず
 一方、同じスタジアムアストロの記事では、MFL1部のフェルダ・ユナイテッドは、給料削減について検討していないとしています。フェルダ・ユナイテッドのアフィザン・アブ・オスマン事務局長は、リーグ中断期間中もスポンサーと連絡を取り合っているとし、選手への給料支払いに関しては何も問題はないとしています。
 またマレーシアの通信社ベルナマは、ペラTBGとトレンガヌFCも現時点の給料削減を行わないとしていると報じています。
 ペラTBGを運営するペラ州サッカー協会PAFAのモハマド・アズリン・モハマド・ナズリ事務長は、クラブ運営資金はシーズン終了までは十分あり、リーグ中断による入場料収入減の影響はないとして、選手は給料未払いの心配も無用であると話しています。
 またトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTのテンク・ファロウク・フシン・テンク・アブドル・ジャリル事務長は、主要スポンサーであるトレンガヌ州政府やユニフォームの胸スポンサーであるレッドワン社を含む全てのスポンサーがリーグ中断期間も契約通りに支援を続けていることから運営資金のしんんパイはないとしています。また、入場料収入減の影響についても試合当日の審判や警備員などの経費に当てられており、クラブの運営への大きな影響はないと話しています。

スランゴールFCはシャーアラムスタジアムの使用許可を改めてMFLに要請
 スランゴールFCのホーム、シャーアラムスタジアムは観客席を覆うポリカーボネート製の屋根の一部が崩落し、観客が危険に晒される可能性があるとして、リーグ戦開催が認められていませんでしたが、スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは観客の安全が確保されたとして、マレーシアフットボールリーグMFLに対して使用許可申請を行ったと英字紙スター電子版が伝えています。
 開場から30年が経つシャーアラムスタジアムは、今期開幕前にMFLが行った3度の施設検査に不合格となり、スランゴールFCは3月7日のホームゲームをブキジャリル国立競技場で開催することを余儀なくされています。
 記事の中でFASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、崩落の危険性がある屋根は撤去が終わっており、マレーシア政府の機関である公共事業局と協力してスタジアムの安全は確保できたと話しています。またMFLのモハマド・シャズリ・シャイク・モハマドCOOは、FASから申請を受け取ったことを認めており、現在マレーシア全土に発令されている活動制限令解除後に施設検査を行うとしています。

3月24日のニュース:エリートアカデミーに何が起こっているのか、U21とU19チームの給料未払いをケランタン州協会会長が認める、ミャンマー代表監督がマレーシアとの試合を拒否した理由とは

エリートアカデミーに何が起こっているのか
 マレーシアフットボールリーグMFL所属クラブのU19チームが対戦するユースリーグには、マレーシア国内から選手が選抜されている国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中核をなすエリートアカデミーのモクター・ダハリアカデミーAMDのU16チームも参加していますが、このAMD U16が出場した試合で撮られた写真が様々な憶測を生んでいます。
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版によれば、ロゴが外された古いユニフォームを着た選手たちが写った写真についてコメントしたのはKJことカイリー・ジャマルディン科学・テクノロジー・イノベーション相です。2013年から2018年の総選挙で下野するまでNFDPを統括する青年スポーツ相を務め、在任中はマレーシア人として初めてヨーロッパでプレーし、当時バイエルン・ミュンヘンU19チームのアシスタントコーチを務めていたたリム・テオンキム氏をNFDPへ招聘しました。今年2月末に起こった政権交代により再入閣を果たしたカイリー大臣は、停滞していたユース育成プログラム改善に尽力したこともあり、この「異変」に敏感に反応し、NFDPの公式インスタグラムに「2019年の予算として配分された4500万リンギ(およそ11億2000万円)はどこへいったのか」とこの状況に疑問を呈するコメントを残しました。
(胸部分にあったロゴが外されたユニフォーム-NFPD公式インスタグラムより)

 しかしカイリー大臣のコメントはその後なぜか削除され、その後NFPDがインスタグラムに削除を求めたこと、またその理由としてコメントがAMDの評判を貶めるものであることがその理由であることが公表されました。
 ユニフォームの問題以外にも、各地のNFDP参加のトレーニングセンターの閉鎖、トレーニング用具の供給の遅れ、コーチの給与削減なども起こっているようで、ここ数年間の政治の不安定によってサッカー界の将来を担う貴重なプロジェクトが個人の利益を目論む輩につけ込まれていると記事は結んでいます。

ケランタンFAU21の

U21とU19チームの給料未払いをケランタン州協会会長が認める
 ケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAがリーグ中断による入場料収入減から所属選手の給料削減を検討している事はこのブログでも取り上げましたが、プレジデントカップに出場するU21チームにも給料未払い問題があることをKAFAのフシン・デラマン事務局長が認めたことをマレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 U21チームの29名とU19の22名の合計51名の選手に対し、昨季2019年シーズンの給料4ヶ月分に加えて今季は全く給料が支払われていない他、トレーニングにかかる費用等も選手負担で、過去7ヶ月間に渡ってこの状態が放置されているということです。
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 このような状況が過去数ヶ月にわたって起こっていることを把握できないまま、ケランタンFAの今季リーグ参加を承認したマレーシアサッカー協会FAMやリーグ主催者のマレーシアフットボールリーグMFLの調査能力の低さ(あるいは問題意識の希薄さ)によって、あらゆるサッカー活動が止まり、収入減に苦しむクラブが出てくることが予想される今後も同様の問題が露呈する可能性が高まってきました。

ミャンマー代表監督がマレーシアとの試合を拒否した理由とは
 新型コロナウィルス感染者が増加する状況下では世界各地でサッカー活動が止まっていますが、今月3月に予定されていたマレーシア代表とミャンマー代表の国際親善試合を中止されています。
 マレーシアサッカー協会FAMがミャンマー代表を招待する形で行われる予定だった試合は、新型コロナウィルスの影響により中止になっていますが、ミャンマーの英字紙ミャンマータイムズ電子版によれば、ミャンマー代表の監督を務めるドイツ人のアントワーヌ・ヘイ氏が直近のFIFAランキングで136位のミャンマーが同154位のマレーシアに敗れた場合、FIFAランキングが下がってしまうことを恐れたことも中止の理由の一つであるというミャンマーサッカー協会MFFのウ・コ・コ・テイン事務局長のコメントを伝えています。
 2018年にミャンマー代表とU23代表の両チームの監督に就任しながら、同年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでの敗退で一旦解任されながら、昨季から再びミャンマー代表監督に復帰したヘイ監督は、ミャンマーよりがFIFAランキングが高い国との試合を希望しているというウ・コ・コ・テインMFF事務局長のコメントも記事には併せて掲載されています。