6月12日のニュース:MリーグのSOP作成にラ・リーガが支援を申し出る、ケランタン州協会にFIFAから新たな未払い給料支払命令が届く、クダFAの主力選手が契約解除を申し出る

MリーグのSOP作成にラ・リーガが支援を申し出る
 マレーシアの通信社ブルナマは、9月の再開が予定されているMリーグの標準業務手順SOP作成にスペインのラ・リーガが支援を申し出ていると報じています。
 国内リーグのMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは、実現可能なSOPを作成し、これをマレーシア政府保健省と国家安全保障委員会が了承することがリーグ再開のための条件となっています。このSOP作成について、ラ・リーガの国際事業開発担当のジョルジオ・ポムピリ・ロッシ氏は6月12日に再開するラ・リーガのSOPをもとに、マレーシアの環境に適したSOP作成の支援を行いたいと話しています。
 「Mリーグとのビジネスパートナーとして、是非とも(SOP作成に)協力したい。ラ・リーガによる規制はスペイン国内の環境を考慮したものだが、その内容はMFLがSOPを作成する際の参考になるはずである。」と話すロッシ氏によると、ラ・リーガの安全対策としては、試合は無観客で実施、ベンチ内の選手間の安全な距離の確保、試合後の記者会見はオンラインで実施などがあるということです。
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 Mリーグとラ・リーガは、クラブ経営が健全に行われることを監視する経済コントロールプログラムなどで協力関係にあり、その関連でこのような話が上がっていると考えられます。人口が5000万弱のスペインでは2万7000人が新型コロナウィルスで亡くなっており、人口3200万弱で亡くなった方の数は120人にも満たないマレーシアが参考にすることが果たしてあるかどうはここでは重要ではないようです。

ケランタン州協会にFIFAから新たな未払い給料支払命令が届く
 かつて在籍した外国籍選手への未払い給料問題を抱えるケランタン州サッカー協会KAFAに国際サッカー連盟FIFAより新たな未払い給料の支払命令が届いていると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 2018年から2019年途中まで在籍したブラジル出身のカッシオ・フランシスコ・デ・ジーザスに62万9820リンギ(およそ1570万円)、2018年に在籍したやはりブラジル出身のブルーノ・ロペスに14万1100リンギ(およそ352万円)の未払い給料があることはこのブログでも取り上げましたが、今回、FIFAから届いた支払命令は2018年に在籍したチュニジア出身のアレディン・ボスリミに対する15万7380リンギ(およそ393万円)です。
 FIFAからの命令を受け取ったことを明かしたKAFAのアーマド・ムザッキル行動委員会委員長は、外国籍コーチも含め合計で8件の支払命令が届く予定であることも明かした上で、KAFAは総額が500万リンギ(およそ1億2500万円)を超えるとされる未払い給料について、選手との再交渉などを行いながら、解決していきたいと話しています。
 またムザッキル委員長は、未払い給料解決のために支援を求めてサポーターに募っている寄付が、これまでにおよそ2万5000リンギに達していることも明かしています。

クダFAの主力選手が契約解除を申し出る
 未払い給料問題を抱えるクダFAでは、主力選手の一人が契約解除を求める手紙をクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAに贈り、それが受理されたとブリタハリアン電子版が報じています。なおその選手は現在、KFAからの返事を待っている状態だということです。
 記事の中では名前は明かされていないものの、5月29日付で契約解除を申し出たというこの選手はクダFAの主力選手で、2016年のクダFAのマレーシアカップ優勝に貢献した選手でもあるということです。
 ブリタハリアンとのインタビューの中でこの選手は、代理人を通じて契約解除を申し出たことを認め上で「個人的な事情で契約解除を申し出ており、今後は家族とより多くの時間を過ごしたい。また自分の契約が解除になれば、KFAの負担も減り、少しは役に立てると思っている。」とも話しています。
 なお、KFAはこの選手の契約解除については何も発表していないということです。
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 2016年のマレーシアカップ優勝に貢献とわざわざ書かれていることから、昨季のFAカップ優勝時には在籍していなかった選手の可能性があり、そうなると今季2020年シーズンにクアラルンプールFAから2年ぶりに復帰したDFアズミール・ユソフ辺りが当てはまりそうです。

6月11日のニュース:FAM会長がファンの質問に答える、時代のエース候補がついにベルギーリーグへ出発、PDRM FCは4月分までの未払い給料を完済

FAM会長がファンの質問に答える
 マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・モハマド・アミン会長がファンからの質問に対して答える「あなたの質問に会長が答えます」企画については、ファンからの質問を募集していることをこのブログでも取り上げましたが、その解答編がYoutube上に公開されました。
 この映像の中でハミディン会長が、Mリーグだけでなく、ビーチサッカーや女子サッカー、そして若手育成に関してなど、現在のマレーシアサッカーに関するありとあらゆる質問だけでなく、「老朽化したFAM本部の建て替え計画はないのか」「次の会長候補は誰か」、さらには「幼い頃に将来なりたかった職業は何か」といった個人的な質問までときにはユーモアを交えながら答えています。
 ところでマレー語紙ブリタハリアン電子版は、この映像の中の質問の一つに焦点を当て、「外国籍選手枠の縮小を検討」といった見出しの記事を掲載しています。
 記事の中では、ハミディン会長がファンからの質問に答えて、Mリーグの将来的な外国籍選手枠の縮小を検討する用意がある、と答えたとしています。
 しかし実際の映像では、質問に対して「その提案は良いですね。考えてみましょう。」と簡単に答えただけで、それ以上は何も言及せずに次の質問に移っており、ブリタハリアンがそれだで見出しにするには、やや「盛りすぎ」の感があります。
 またハミディン会長は、Mリーグ1部と2部のチーム数を増やしてはという別のファンからの提案には、リーグの質を維持するために現状ではチーム数増加は考えていないと話しています。
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 このブログでも何度か取り上げていますが、Mリーグ2部プレミアリーグのケランタンFAがかつて在籍した複数の外国籍選手との間で抱える70万リンギ(およそ1800万円)を超える未払い給料など、外国籍選手の給料がクラブ経営を圧迫している例もありますが、それは各クラブが予算範囲内で外国籍選手と契約をすれば良いだけの話です。Mリーグはマレーシア人選手の育成だけでなく、娯楽でもあり、まさにハミディン会長が述べているような「質」が重要です。
 Mリーグは2009年から2011年の間は外国籍選手の加入が認められていませんでした。これによりマレーシア人選手の出場機会が増えたことと、2010年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップの優勝は無関係ではないでしょうが、この頃の国内リーグはコアなサポーター以外からはほとんど支持されない状況でした。
(下はFAMの公式YouTubeチャンネルでのハミディン会長の解答編。外国籍選手枠の質問は17分32秒から35秒までです。なお、全編マレーシア語です。)

時代のエース候補がついにベルギーリーグへ出発
 ブリタハリアン電子版は、ルクマン・ハキム・シャムスディンが所属先のベルギー1部リーグのKVコルトレイクから連絡を受け、いよいよベルギーへ向けて出発する予定であると報じています。
 今年3月に18歳になったばかりながら、昨年2019年の東南アジア競技大会ではU22代表へ飛び級で参加し、主力として出場するなど、将来が嘱望されているルクマン選手は昨年9月に、マレーシア人の富豪ヴィンセント・タン氏がオーナーのKVコルトレイクと5年契約を結んでいます。(正式に契約書にサインしたのは18歳になった今年3月でした。)
 ルクマン選手は本来ならば今春に渡欧する予定でしたが、新型コロナウィルスの影響により先方よりマレーシアでの待機を求められており、現在はスランゴールFCのBチーム、スランゴール2に登録されています。しかし今回、晴れてチームへ合流することになりました。
 なおベルギー1部リーグは5月19日に各クラブとも1試合を残して第29節終了時点でシーズンが終了しており、、21勝7分1敗のクラブ・ブルッヘが優勝、ルクマン選手が加入するKVコルトレイクは9勝6分14敗の11位でした。
 現在は海外渡航が制限されているマレーシアですが、ルクマンセンスは政府への許可を申請し、来週には出発することを期待しているということです。

PDRM FCは4月分までの未払い給料を完済
 Mリーグ1部スーパーリーグのPDRM FCは4月までの未払い給料を完済したと、ブリタハリアン電子版が伝えています。
 マレーシア王立警察が運営するPDRM FCのズルキフリ・ヤハヤ事務局長は、130万リンギ(およそ3280万円)に上る今年4月分までの未払い給料を完済したことを発表しています。
 本職ではマレーシア王立警察副長官でもあるズルキフリ事務局長は、未払い給料問題が取り沙汰される度に名前が挙げられていたPDRM FCについて、「今季2020年シーズン開幕時には未払い給料問題により勝点3を剥奪されたが、所属全選手の4月分までの給料は完済し、トップチームの選手に関しては4月以降の給料についても完済済である。」と述べています。
 またU21のプレジデントカップチームとU19のユースカップチームについては、プレジデントカップチームに所属する警察官でない5名の選手については、両大会が中止となり試合がなくなったことの補償を行う予定であると話し、補償額は給料の25%を最低ラインとしているマレーシアサッカー協会が提示している指針に従って行うとしています。

6月10日のニュース:M3リーグ中止に安堵するクラブも、給料未払い問題を抱えるクダ州FAはトップ3のポストが空席に、サバFAは東マレーシアのクラブにも公平な日程を求める

M3リーグ中止に安堵するクラブも
 一昨日発表されたMリーグ3部M3リーグの今季2020年シーズン中止について、関係者の安全に考慮した結果として受け入れるクラブがある一方で、慢性的な運営資金不足にクラブにとってはむしろ朗報だったとする記事を、マレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトが掲載しています。
 取り上げられているのはM3リーグのクラシコFCで、チームマネージャーのカイリル・アヌアル氏の話として、各クラブはリーグを運営するアマチュアフットボールリーグAFLによる今季の中止決定を正しい判断であると指示していると話す一方で、もしM3リーグ最下位となっていたら、クラシコFCはリーグ参加を辞退していた可能性があると話しています。
 「今季に向けて準備をしてきた他のクラブには申し訳ないが、リーグ中止の知らせには正直、安堵している。クラシコFCのスポンサーや広告主も新型コロナウィルスによる様々な影響を受けており、約束されていた広告収入の支払いが滞っていたり、スポンサーを辞退するケースも起きたりしている。我々のような状況にいる他のクラブにとっても、むしろ来季のスポンサー獲得により多くの時間をかけられるので、このリーグ中止を好意的に捉えているだろう。」と話しています。
 またクラシコFCは社会人選手が大半のため、月給制度ではなく、試合給を支払う形を取っていると言うことで、選手への給料支払いに関しては大きな影響は出ていないと話しています。
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 MFLはAFLの上部組織であることから、このような記事を掲載したのだと思いますが、AFLによる今後の予定の発表がないまま、リーグ中止の正当性をリーグ権傾斜ではなく、M3リーグのクラブ関係者に語らせるだけの記事には、個人的には無責任な空気を感じます。今年はM3リーグ改革年、2021年にはセミプロ化という大風呂敷を広げて始まった今季でしたが、改革は来年に持ち越されるのか、それとも頓挫してしまうのか、このブログでも見守っていきたいと思います。

給料未払い問題を抱えるクダ州FAはトップ3のポストが空席に
 今年2月からの給料未払い問題が明らかになったMリーグ1部のクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAは、会長、副会長、事務長のトップ3のポストが空席になっていると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 昨日開かれたKFAの理事会後にプレスリリースを発表したアブドル・ラーマン・アブドラ会長代理によれば、ムクリズ・マハティール会長、アナス・ハフィズ・ムスタファ副会長、アミルル・アヌアル・アリス名誉事務長から提出されていた辞職願が理事会で受理されたということです。
 空席となった3つのポストについては、候補者の人選を進め、KFAに加盟する各組織に推薦者の有無などを問う連絡がされ、その後は臨時総会を開催して、空席となったポストを早急に埋めたいとしています。
 またアブドル・ラーマン会長代理は、選手やスタッフへの未払い給料問題についても、KFAの理事会が現在の経営状況に沿った解決方法を模索していくと話しています。
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 前州首相のムクリズ・マハティール氏が州政府内の与野党逆転により権力を失った結果、州首相を辞任、兼任していた州FA会長職も辞任という構図ですが、これまで伝統的に州首相が兼任してきたKFA会長職には、現州首相が就任しておらず、その結果として未払い給料問題も進展していないようです。選手の苦境を引き伸ばすことで、前政権のイメージを悪くするといった政治的な魂胆も見え隠れするだけに、それに巻き込まれた形の選手たちが最大の被害者ながら、さらに災難に巻き込まれた格好になっています。

サバFAは東マレーシアのクラブにも公平な日程を求める
 サバ州サッカー協会SAFAのピーター・アンソニー会長は、9月に再開が予定されているMリーグの日程について、日程を作成するマレーシアフットボールリーグMFLに対して、東マレーシアのクラブにとって負担にならない公平な日程作成を求めていると、英字紙スターが報じています。
 マレー半島から南シナ海を隔てて位置する東マレーシア(ボルネオ島)に本拠地を持つサバFA、サラワク・ユナイテッド、クチン FAは、半島部のクラブとの試合では飛行機による移動を強いられます。新型コロナウィルスの感染者数が減少しているとは言え、いわゆる「三密」状態となりやすい飛行機での移動、半島内を移動するクラブに比べると高額になる移動費用の負担など、東マレーシアのクラブが不利にならないような日程作成を求めたいとしています。
 2012年シーズン以来のMリーグ1部スーパーリーグ復帰となったサバFAは、リーグが中断した第4節終了時点で1勝2分1敗でリーグ4位につけています。

6月8日のニュース:クダFA監督は給料未払い選手のモチベーション低下を憂慮、代表復帰を目指すアペックは時間との勝負に挑戦、パハン監督は来季のフットサルリーグの早期開幕を希望

クダFA監督は給料未払い選手のモチベーション低下を懸念
 昨日のマレーシア政府は、サッカーなど接触プレーのあるスポーツの禁止は8月31日まで継続されることを発表し、Mリーグの8月中の再開の可能性が限りなく低くなりましたが、例えMリーグが再開となった場合でも、クダFAのアイディル・シャリン・サハック監督は給料未払い問題が解決していない選手のモチベーション低下を懸念していると英字紙ニュースとレイトタイムズ電子版に語っています。
 一説には総額200万リンギ(およそ5140万円)とされる、クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAによる給料未払い問題について、アイディル監督はクダ州のサヌシ・モハマド・ノー新州首相が解決してくれることを期待しているとしつつも、「選手のモチベーション低下を防ぐためにも、KFAには直ちに問題を解決して欲しい。もし未払い給料問題の解決が遅れるようであれば、たとえシーズンが再開しても、自分だけでは選手のモチベーションを引き出すことは難しいだろう」と話しています。
 現在は自宅のあるシンガポールに戻っているアイディル監督は、チームに合流するため、既にシンガポールのマレーシア大使館に入国許可を申請中ということです

代表復帰を目指すアペックは時間との勝負に挑む
 Mリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドのアペックことGKカイルル・ファミ・チェ・マットは2010年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権に優勝し、一気にスターの仲間入りをした選手ですが、タン・チェンホー監督が2017年末に代表監督に就任してからは、出場機会が減少し続け、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会予選では代表入りしていません。そんなカイルル選手は再び代表入りを目指しているものの、新型コロナウィルスの影響により時間との戦いであると、ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 代表に復帰するにはタン監督の目に留まることが必要ですが、現在中断中のMリーグは新型コロナウィルスの影響で日程短縮を余儀なくされ、今季は1回戦総当たり形式になることが発表されています。12クラブで構成されるMリーグ1部と2部はいずれも既に第4節まで終了しており、今季の残り試合は各クラブとも7試合です。
 「2020年の自分の目標は代表復帰だが、今季開幕から4試合全てに先発して、その気持ちがさらに強くなった。しかし新型コロナウィルスの影響で3ヶ月間、試合から遠ざかり、Mリーグの残り7試合で自分の評価を上げていくしかない。最終的にはタン監督が決めることではあるが、自分はできる限りの努力をするつもりだ。」とカイルル選手は話しています。
 ただしカイルル選手が所属するマラッカ・ユナイテッドは、選手への給料未払いによりMFLによって勝点3を剥奪されており、降格権の10位に低迷しています。
 これについてカイルル選手は「未払い給料については、1月から3月分までを受け取っており、4月と5月分の支払いを待っているところである。給料削減についての話し合いも進行中だが、試合に出場するとなれば、自分は全力でプレーする。」と話しています。
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 最後に代表でプレーしたのは昨年2019年3月の国内招待大会エアマリンカップでしたが、31歳と老け込むにはまだ早いカイルル選手。闘志を全面に出してチームを鼓舞するタイプのGKは、若い選手が多い今の代表には貴重な存在だと思います。個人的にも好きな選手なので、代表復帰に向けて頑張って欲しいです。

監督は来季のフットサルリーグの早期開幕を希望
 当初はMリーグとともに9月1日の再会が予定されながら、急転直下で今季の中止が決定したマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLに所属するパハンレンジャーズFCのジェラール・カサス監督は、マレーシアサッカー協会FAMに対してより早い時期の開幕を期待したいと述べています。
 パハンレンジャーズFCのFacebookへの投稿の中で、自宅にあるスペインに帰国中のカサス監督は、マレーシア政府による新型コロナウィルスに対する対応を評価しながらも、今季2020年シーズンは強いチームを準備して臨んだ分、リーグ中止にがっかりしていると述べています。
 カサス監督は「初戦(対サラワク戦)は無観客試合で行われながら、9-1と圧勝した際に選手たちが見せた意気込みを思い出すと、リーグ中止には失望している。安全が第一なのでFAMの判断は正しいと思うが、今後、新型コロナウィルスの状況が改善することがあれば来季2021年シーズンは、早めに開幕して欲しい。」と述べ、さらに「国内にはフットサルのレベル向上を目指すクラブがあり、パハンレンジャーズFCはその一つである。FAMにはそういったクラブの努力を理解して欲しい」とも綴っています。

6月7日のニュース:W杯予選前のチーム練習期間として最低2週間は必要-代表監督、U19代表最大の敵は寒さ、異色の経歴を持つディルガ選手のスーパーリーグまでの道のり

W杯予選前のチーム練習期間として最低2週間は必要-代表監督
 アジアサッカー連盟AFCが延期されていたワールドカップ予選の日程を発表したことを受け、マレーシア代表のタン・チェンホー監督は代表候補合宿を完全隔離型で行うことか許可された場合、最低でも2週間の合宿が必要であると話しています。
 英字紙スターによれば、予選再開後の初戦が10月7日のアウェイでのアラブ首長国連邦UAE戦に決まり、マレーシアサッカー協会FAMが計画している完全隔離型の代表候補合宿について、タン監督は「FAMの計画が承認されれば、チームを集めて重要な試合の準備を行える」と歓迎し、活動制限令MCO期間中に各自が自宅でトレーニングを続けていたとは言え、それでは全く不十分だとして、トレーニングをゼロから始めると考えると最低でも2週間は必要である。」と話しています。
 さらに練習だけでは不十分であり練習試合の必要性も訴え、中止が決まったバーレーンとの練習試合の再検討を求めたいと話しています。「世界中の空港は再開され始めており、UAEとの試合前に中東で練習試合が行うことは可能である。(W杯予選で同じグループにいる)ベトナムは国内リーグを再開させ、タイはリーグ中断中ながら練習は行われている。またUAEの国内リーグも6月10日に再開されると聞いており、(国内リーグ再開の目処が立っていない)マレーシアは他のチームに大きく遅れを取っていることから、やらなければならないとことがたくさんある。」と話しています。

U19代表最大の敵は寒さ
 10月14日から始まるAFC U19選手権に出場するU19代表の最大の敵は寒さではないか、と英字紙スターが報じています。
 今回、AFC U19選手権が開催されるウズベキスタンは、10月の気温が6度から19度とマレーシア人に取っては非日常的な寒さであり、U19代表の選手たちはそのような寒い高校の中ではプレーした経験がありません。
 それでもU19代表のブラッド・マロニー監督は、前任のU23代表コーチ時代の2018年1月に中国で開催されたにU23代表を率いてAFC U23選手権を戦った経験を生かして、現地あるいは近隣諸国に先乗りして選手を寒さに慣らす計画を立てていると話しています。
 2018年のAFC U23選手権に出場したマレーシアU23代表は大会前に韓国のモッポ市で合宿を張り、練習試合を数試合行うなどの寒さに選手を慣らす対策を行いました。
 マロニー監督は、気候がプレーに与える影響は大きいとして、気候に慣れるために先乗りする重要性を主張しています。

異色の経歴を持つディルガ選手のスーパーリーグまでの道のり
 英字紙ニューストレイトタイムズは、Mリーグ1部スーパーリーグのPDRM FCでプレーするディルガ・スルディの移植の経歴を取り上げた記事を掲載しています。
 マレーシア王立警察が運営するクラブPDRM FCでプレーするディルガ選手は東マレーシアのサバ州コタキナバルの出身ですが、マレーシア国内の多くのプロサッカー選手が経験するような、Mリーグのクラブのユースカップ(U19)チームや、プレジデントカップ(U21)チームでのプレー経験がありません。しかも2年前まではMリーグ4部より下になるアマチュア地域リーグでプレーしていたということです。
 「高校時代は州代表どころか(その下の)地域代表が自分がプレーした最高レベルだった。それでも自分が出会った多くのコーチが諦めずに努力することを勧めてくれたおかげで、月給が800リンギ(およそ2万円)の地域リーグのクラブでプレーしていたところを、自分のプレーを見たM3のプチョン・フェルザのナズレルワン・マクモー監督が自分をクラブに招いてくれた。おそらくこれが転機だったのだと思う。そして今年初めにPDRM FCとの練習試合に出場し、そこからPDRM FCのトライアウトに招かれた。PDRM FCからのトライアウト参加を求める電話も、最初は悪戯かと思ったほどだった。」と話すディルガ選手は、高校時代は州代表にも選ばれなかった自分だが、諦めずにプロになる目標を追い続けたことで、今は胸を張って自分をプロサッカー選手と紹介できるようになった。似たような境遇の選手たちにも諦めずに頑張って欲しい。」と述べています。

6月5日のニュース:犬を抱いたスマレの姿にサポーターが騒つく、ケランタン州協会はカッシオに未払い給料のディスカウントを求める、マットヨーは名誉毀損でマレーシアの英字紙を相手取って訴訟を起こす

犬を抱いたスマレの姿にサポーターがネット上で騒つく
 MリーグのパハンFAでプレーするモハマドゥ・スマレは、ガンビア出身ながら、マレーシアで初めてFIFAの規定による帰化選手となり、現在は代表チームの主力選手として活躍しています。
 このスマレ選手は、自身のインスタグラムでインスタグラムライブを行い、ファンの質問に答えることがあるのですが、、先日、自身のインスタグラムライブで犬を抱いている映像をアップしたことから、ネット上が騒ついているとマレー語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 一般にイスラム教徒は犬を忌み嫌うのですが、イスラム教徒であるスマレ選手が犬を抱いている映像をアップしたことで、その行いを自身の宗教に反しているのではと問うコメントが直ちにあったということです。なお、ブリタハリアンによれば、スマレ選手は即座に反論することはなかったということです。
 そしてその後、改めて「犬を抱くことによって自分の信仰心が変わるものではなく、犬も神が創り出したものであり、愛情を注ぐことは間違っていない。」というコメントを返したスマレ選手は、その犬は自分が飼っているものではなく、訪ねてきた知人が連れてきたものであることも併せて説明したということです。
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 イスラム教徒と犬は確かに相容れないもののようで、国民の7割近くがイスラム教徒であるマレーシアでは、野良犬狩りはあっても、野良猫狩りの話は聞いたことがなく、野良猫は本当にあちらこちらで見かけます。
 ところでイスラム教では、犬をかうことが全面的に禁じられているわけではなく、家畜を追い込む牧羊犬や狩り、あるいは農耕のために飼う犬は問題がないとされていますが、その一方で愛玩用、つまりペットとして犬を飼うことについては多くの意住む京都が否定的な考えを持っています。

ケランタン州協会はカッシオに未払い給料のディスカウントを求める
 Mリーグ2部のケランタンFAを運営するクランタン州サッカー協会KAFAは、FIFAよりその未払い給料を支払うことを命じられているカッシオ・フランシスコ・デ・ジーザス選手に未払いとなっている給料の支払額の減額を求める予定があると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 KAFAの行動委員会のアーマド・ムザッキル・ハミド委員長は、カッシオ選手への支払いが命じられている62万9620リンギ(およそ1600万円)の未払い給料について、減額を依頼するのも未払い給料解決の方法の一つと考えていると話しています。
 これまでに分割払いと支払い期限の延長といった方法が検討されていると話すムザッキル委員長は、これらの提案に加えて、支払額の減額も検討していくとしています。
 しかしカッシオ選手の弁護士を務めるザフリ・アミヌラシド氏は、カッシオ選手の権利をひじするため、KAFAとの再交渉は2社で直接行わず、スポーツ仲介裁判所CASの調停という形で行いたいとしています。
 また同じ記事の中でムザッキル委員長は、現在もKAFAがサポーターから募っている寄付は、カッシオ選手への未払い給料問題を解決するだけではなく、他の未払い問題の解決にも使うことを表明しています。これは先週、別の外国籍選手であるブルーノ・ロペスへの未払い給料14万1100リンギ(およそ360万円)の解決をFIFAに迫られただでなく、総額で200万リンギ(およそ5100万円)とされる未払い給料があるとされるケランタンFAのマレーシア人選手への支払いも視野に入れた発言だと考え

マットヨーは名誉毀損でマレーシアの英字紙を相手取って訴訟を起こす
 マレーシアの通信社ブルナマのマレーシア語電子版によると、タイのBGパトゥム・ユナイテッドでプレーするマットヨーこと、ノーシャルル・イドラン・タラハが、マレーシアの英字紙ニューストレイトタイムズとその編集者2名を相手取った訴訟をおこなしたことが報じられています。
 このブログでも取り上げましたが、昨季在籍したMリーグのパハンFAからBGパトゥム・ユナイテッドに移籍した際に、このノーシャルル選手がタイ国内の代理人業者のプロ24社とマレーシアやシンガポールを基盤に代理人業務を行うアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏の両者と契約したいわゆる二股契約であり、プロ24社がタイサッカー協会FATに報告し、これによりノーシャルル選手はFATにより出国を止められているとニューストレイトタイムズが報じました。
 これについてノーシャルル選手は、昨年2019年11月30日にパハンFAを退団後、プロ24社と契約し、移籍先を探し始め、その後、プロ24社によりタイ1部リーグのスコータイFCよりオファーを受けたものの、望んでいた給料とは開きがあったことから契約に至らなかったと、裁判所に提出した書類で明らかにしています。さらにその後、アブドル・ハリム氏によってBGパトゥム・ユナイテッドとの契約に至ったものの、新型コロナウィルス感染拡大により、タイリーグの各クラブが選手と給与削減交渉を始めた際にアブドル・ハリム氏が姿を消し、その理由が二股契約であったこともニューストレイトタイムズは報じました。
 これについてノーシャルル選手は、プロ24社によるFATへの訴えも、FATによる出国禁止措置もなかったこと、BGパトゥム・ユナイテッドとの契約時にはプロ24社とはすでに契約関係になかったことを挙げ、ニューストレイトタイムズの記事が事実に基づかない名誉毀損にあたるとして訴訟を起こしたとしています。
 なお裁判は7月22日予定されているということです。

 

6月4日のニュース:FAMは国内リーグの早期再開の可能性を探る、FAM会長がサポーターの質問に答えるイベントを実施、パハン州FAは給料未払いではなく遅配と説明も事実ははっきりせず

FAMは国内リーグの早期再開の可能性を探る
 マレーシアの通信社ブルナマによると、マレーシアサッカー協会FAMの FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局は、国内リーグMリーグが予想より早く再開する手応えを感じているということです。
 10月以降に控える代表候補合宿を完全隔離型で実施できるよう、国家安全保障委員会へ提出する必要書類を作成しているというスチュアート事務局長は、新型コロナウィルス新規感染者の減少傾向により、7月からのチーム練習再開、そして8月からのリーグ再開の可能性が出てきていると話しています。
 「ここ数週間の(減少傾向にある)新規感染者数を見れば、早期再開の可能性はあると考えているが、それを期待しているわけではなく、FAMとしてはただ待つしかないことは理解している。しかし、今後、新規感染者数がさらに減少すれば、予想よりも早くサッカーを見ることができる日が帰ってくる可能性があると考えている。」とも話しています。
 さらにスチュアート事務局長は「現時点では、FAMとMFLは、8月からのチーム練習再開と9月からのリーグ再開と考えており、それより早くなることがあれば、関係者全員にとって朗報となる。」とも話しています。
 FAMとMFLは先月5月に、7月からのチームトレーニング再開および8月からのリーグ再開についての要望書をマレーシア政府に提出しましたが、拒否されています。
 感染者数がマレーシアよりも圧倒的に多かった韓国やドイツのリーグが開幕し、同様にイタリアやスペインも6月中のリーグ再開が決まる中、スチュアート事務局長は他国とマレーシアを比べることに意味はなく、今は新たな感染者数を増やさないためにも、各自が責任ある行動をとることが大事であるとしています。

FAM会長がサポーターの質問に答えるイベントを実施
 マレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookでは、サポーターにハミディン・アミン会長に対する質問を募っています。
 この記事を書いている時点で150ほどの質問が挙がっていますが、この中から選ばれた質問に対し、ハミディン会長がビデオの形で回答するということです。
 挙がっている質問を見ると、数が多いのが「帰化選手」についてです。次の帰化選手候補が誰かをたずねる質問もあれば、帰化選手による代表強化策はマレーシアのFIFAランクが上がるまで続くものなのか、また帰化選手を増やすことでマレーシア人選手の機会が奪われるという考えをどう思うかなど、興味深い質問もあります。
 さらにはMリーグのチーム数を現在の12から15あるいは18へ増やすべき、リーグ戦とは別にカップ戦では外国籍選手の登録数を減らすべき、また代表専用のトレーニング施設を建設してはどうかなどの意見もあります。
 こういった質問の中から、国内リーグを運営するマレーシアフットボールMFLの会長でもあるハミディンFAM会長がどんな質問を選び、またどのように答えるのかは、また後日このブログでも取り上げる予定です。
(下はFAMの公式Facebookより。「あなたは質問するだけ、会長が答えます」と書かれています。)

パハン州FAは給料未払いではなく遅配と説明も事実ははっきりせず
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版はMリーグのパハンFAを運営するパハン州サッカー協会PFAが2ヶ月分を支払っていないと報じましたが、これに対してPFAは記事の内容が不正確であると抗議をしているということです。
 ハリアンメトロは昨日、PFAが複数の選手の給料を2ヶ月支払っていないと報じましたが、PFAの関係者の話しでは、これは給料未払いではなく遅配であり、その遅れも報道された2ヶ月ではなく2週間程度であると反論しています。しかも遅配となっているのは選手ではなく、スタッフであることし、このPFAの関係者は常に選手の福利に気を配っていることも併せて主張しています。
 ハリアンメトロは、クダFA、ケランタンFA、マラッカ・ユナイテッドなど、すでにネット上で明らかになっている給料未払い問題を抱えるクラブとは別に、他にも同様のクラブがあるとして、パハンFAを取り上げ、3月以降は給料未払いとなっており、クラブのスタッフが今年2月以降は1ヶ月分の給与しか支払われていないと話す記事を掲載していました。
 なおハリアンメトロはPFAの経営陣に対し、この給料未払い問題について問い合わせを行ったということですが、記事の執筆時までには返事がもらえなかったことも明かしています。

6月3日のニュース:FAMは完全隔離型の代表合宿開催を検討、FAMは中止となった国内フットサルリーグ参加クラブに対して給料の一部支払いを指示、ケランタン州FAにFIFAから新たな支払い命令が届く

FAMは完全隔離型の代表合宿開催を検討
 マレーシアサッカー協会FAMは10月に再開予定のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選、そして11月に開催予定の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップに向けて、代表候補選手を完全隔離する形での合宿を検討していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 東京オリンピックを目指すバドミントンやヨットのマレーシア代表チームはは既にこの方式で合宿を行なっており、FAMもこの方式を追随する可能性があるとしています。
 フル代表のほか、U19代表は来年2021年のFIFA U20ワールドカップの予選となるAFC U19選手権(11月2日から、於ウズベキスタン)に出場しますが、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長によれば、U19代表はオリンピック予選を目指す他の競技団体が採用している標準業務手順SOPに従って、ブキジャリル国立競技場に隣接する国立スポーツセンターでの完全隔離型の代表候補合宿を行う予定だということです。
 またフル代表の合宿に関しては、マレーシア政府の保健省、青年スポーツ省及び国家安全保障委員会の承認を得ることが先決と述べた上で、活動制限令の解除が発表されてから合宿の日程などの検討に入る予定であるとしています。
 オンラインで行われた記者会見の席上、新型コロナウィルス感染を心配して代表招集を辞退する選手が出た場合の対応を尋ねられたスチュアート事務局長は、FAMとしてはあらゆる認可が下りた段階で選手との話し合いを行うとしていますが、最終的にはタン・チェンホー代表監督と選手との話し合いが重要になるだろうと述べています。

FAMは中止となった国内フットサルリーグ参加クラブに対して給料の一部支払いを指示
 FAMは中止を発表したMリーグ各クラブのU21チームが対戦するプレジデントカップ、U19チームのユースカップ、そしてフットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLに参加する各チームに対し、契約書に記載された給料額の最低25%を選手およびスタッフに払うよう命じていると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 プレジデントカップとユースカップ、そしてMPFLはいずれも第3節終了後に、マレーシア政府が発令した活動制限令により中断となり、一昨日には主催者であるFAMが中止を発表しています。
 今回の中止決定についてスチュアート・ラマリンガム事務局長は、選手とスタッフの安全を最優先した結果の判断であると話し、所属チームが給料の25%以下しか支払わない場合には、選手にFAMへ申し立てを行うよう求め、FAMの選手地位委員会が対応することを表明しています。

ケランタン州FAにFIFAから新たな支払い命令が届く
 2018年から2019年途中までケランタンFAでプレーしたカッシオ・フランシスコ・デ・ジーザス選手への未払い給料支払いを命じられているケランタン州サッカー協会KAFAに、FIFAから別の選手に対する新たな支払い命令が届いたと、ブリタハリアン電子版が報じています。
 今回支払命令の対象となっているのは、アルビレックス新潟やモンテディオ山形でもプレー経験があるブラジル出身のFWブルーノ・ロペスです。
 KAFAが運営するケランタンFAでは、2018年シーズンにわずか5試合しかプレーしていませんが、契約解除となる前までの未払い給料14万2000リンギ(およそ360万円)を45日以内に支払うことを命じる手紙がFIFAからKAFAに届いたということです。
 カッシオ選手との再交渉が決まり、近々、その支払い方法を提示する予定だったKAFAのフシン・デラマン事務局長は、カッシオ選手の場合と同様に、スポーツ調停裁判所CASに調停を求め、支払い期限の延期を求める予定だと話しています。

6月2日のニュース:MFLはチーム練習の厳禁を改めて改めて通達、FAMはフットサルリーグやU21リーグの中止を発表、若手選手は来季の契約更新を憂慮

MFLは改めてチーム練習の厳禁を通達
 昨日のこのブログでは、9月の予定を前倒しして8月からMリーグが再開するかも知れない、という記事を取り上げましたが、マレーシア国内リーグを運営するマレーシアフットボールMFLは、公式サイトでMリーグの各クラブに対して、マレーシア政府の国家安全保障委員会の認可が下りるまではチーム練習を行わないことを通達し、この通達を守らないクラブに対しては罰則を科すことを告知しています。
 この通達は、発令中の活動制限令をその解除が予定されている6月9日まで、Mリーグ各クラブが遵守すること求めるためのものであるとMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは話しています。
 「Mリーグの各クラブに通達されている通り、国家安全保障委員会、保健省、青年スポーツ省による指示により、規模の大小に関わらず、ジムの使用も含めたチーム練習は禁じられており、この通達を破るクラブに対してはMFLが厳罰を科す」とアブドル・ガニCEOは話しています。
 さらアブドル・ガニCEOは活動制限令の解除には、MFLとしての標準業務手順SOPを作成した上で、改めてMリーグ再開を申請するとしてします。
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 スランゴールFCがスランゴール州政府の承認を得て6月9日に練習を再開することを発表していましたが、一昨日の定例の記者会見の席上でイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相は、練習再開の決定は州政府の権限ではなく、マレーシア政府が決定することであると改めて述べるなど、再開へ向けてクラブの勇足を嗜める発言を行なっています。

FAMはフットサルリーグやU21リーグの中止を発表
 マレーシアサッカー協会FAMは、Mリーグ各クラブのU21チームのリーグ戦であるプレジデントカップ、同じくU19のユースカップ、そして国内フットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLの今季中止を正式に発表しています。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、国家安全保障委員会が禁ずる「接触のあるスポーツ」の禁止、そして「屋内で密接するスポーツ」の禁止という条件に抵触するるフットサルリーグの開催は困難であり、マレーシア政府の保険省の助言に基づいて中止を決定したと話しています。
 またプレジデントカップについては、来季は年齢制限をU22として実施することで、今季で年齢制限を超えてしまう選手のプレーを可能にする他、各クラブのU22とU19それぞれの選手のシーズン途中でのMリーグへの登録を許可し、Mリーグでプレーすることを可能にするとしています。
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 フットサルリーグMPFLについては、FAMはMリーグ同様、9月1日の再開を目指して国家安全委員会と保健省に申請を行うという記事を載せたばかりですが、その保健省の助言により、急転直下、状況が変わったようです。

若手選手は来季の契約更新を憂慮
 今季のMリーグ再開が確定しない中、若手選手の中には来季の契約を心配する選手が出始めていると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 記事で取り上げられているのは、現在、スランゴールFCのBチーム、Mリーグ2部のスランゴール2に所属するアンワル・イブラヒムとザハリル・アズリ・ザブリです。ともにフェルダ・ユナイテッドから今季開幕前に、スランゴール2へ移籍した両選手は、リーグ中断前の4試合全てに出場していますが、来季は自分たちの所属先がなくなるのではないかと心配しているそうです。
 昨年は東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場しているアンワル選手は「リーグ中断によって、プレーを見せることができなくなり、その結果、自分が評価してもらえなくなれば、来季の契約更新が危うくなる」と話し、自分ができることないので、経営陣の判断に任せるしかないと、来季を憂慮しているということです。
 ニューストレイトタイムズは、他のクラブでも若手選手の多くが、来季も契約できるかどうかを心配しているとしています。

6月1日のニュース:Mリーグは8月に再開の可能性も、「マレーシア人選手はタイリーグを目指すべき」-マットヨー、そこでタイリーグでプレーすべきマレージア人選手7人

Mリーグは8月に再開の可能性も
 6月9日に予定されている条件付き活動制限令CMCOの解除が近づいてきました。これまで何度か延長が繰り返されてきた活動制限令も、今回は解除されることが予想されていますが、そうなれば予定を前倒しにして8月のリーグ再開の可能性があると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 マレーシア政府の国家安全保障委員会と保険省は今月6月中に、Mリーグ再開時期を決定するとしています。
 マレーシアサッカー協会FAMとMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは4月には、標準業務手順SOPを設けた上で9月のリーグ再開許可をマレーシア政府へ申請しましたが、今月6月9日に予定通りCMCOが解除された場合、7月には通常のチーム練習の再開、そして8月にはリーグが再開される可能性があるとして、各方面と協議に入っているということです。
 また、8月にMリーグが再開となれば日程に余裕ができ、選手のケガや疲労などの不安が解消されるだけでなく、10月に再開予定のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選にも選手が万全の状態で臨めるなどの利点もあるとしています。

「マレーシア人選手はタイリーグを目指すべき」-マットヨー
 今季からタイ1部リーグのBGパトゥム・ユナイテッドでプレーするマットヨーことノーシャルル・イドラン・タラハは、マレーシア人選手にタイリーグでのプレーを目指すべきと話していると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 スタジアムアストロに関連するスポーツニュース番組のナディアリーナに出演したノーシャルル選手は、タイを目指すべき理由として給料の支払いが遅延なく行われることを一番の理由に挙げています。「経営陣も練習施設も充実しているが、給料の支払いはMリーグのクラブよりもはるかに確実に行われている。」と話しています。
 実際にMリーグ1部スーパーリーグの選手数名がノーシャルル選手に現地の状況を問合せ、タイでプレーする可能性を考えて情報収集を行っていることも明らかにしています。
 「タイのクラブと同様の環境が得られるのは、マレーシアではジョホール・ダルル・タジムJDTくらいであり、マレーシア人選手はタイでプレーすることを考えるべきだ。」と話しています。
 タイでのプレーに関心があり、ノーシャルル選手に問い合わせてきた選手の中には代表選手も数名いるということです。
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 マレーシア国内ではケランタンFA、JDT、パハンFAなどでプレーし、代表のキャップ数も80を数えるノーシャルル選手。往年のキレは無くなったものの、タイリーグでプレーしてくれていることで、後進への道筋は付けられたということでしょうか。
 なおタイ1部リーグでは、ノーシャルル選手のほか、ドミニク・タンがポリス・テロFCでプレーしています。

そこでタイリーグでプレーすべきマレージア人選手7人
 上のような記事が出るとすぐに関連記事を掲載するサッカー専門サイトのヴォケットFCが今回も早速、やってくれました。
 現時点では東南アジアでトップといえるタイリーグでプレーすべきマレーシア人選手としてヴォケットFCが選んだのは以下の7人です。僭越ながら、その後に個人的なコメントも書いてみました。
1 シャフィク・アーマド(ジョホール・ダルル・タジム)
現時点では国内のトップストライカーとされるシャフィク選手は、国外で揉まれることより良い選手となれるだろうと、ヴォケットFCは評しています。
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FIFAワールドカップアジア二次予選での2ゴールを含め、昨年は代表では5ゴールを挙げる安定したパフォーマンスを発揮しながら、JDTでは絶対的なエースとはなり切れていないシャフィク選手。25歳という年齢を考えると、JDTでのプレーに拘らず、他のクラブで飛躍をして欲しいという思いは私も同感です。

2 ノー・アザム・アジー(パハンFA)
アザム選手はパハンFAと代表の中盤のキープレーヤー。タイリーグでプレーすることで、その実力が磨かれるだろうとしています。
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代表でもレギュラーとして活躍するアザム選手で気になるのはその線の細さ。選手層があまり厚くない代表では、25歳ながら換えの効かない選手なので、タイリーグでプレーして当たりに強い選手になって欲しいです。

3 シャルル・サアド(ペラTBG)
国内でトップのDF(センターバック)は2018年のマレーシアカップ優勝に貢献するなど実績もあります。さらなるレベルアップを目指して国外でプレーするべきとしています。
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個人的にはポカの多い選手という印象が強いシャルル選手ですが、センターバックに人材不足の代表ではやはり欠かせない選手です。27歳という年齢も国外でのレベルアップには最後のチャンスかも。

4 アダム・ノー・アズリン(JDT)
代表ではアイディル・ザフアンとシャルル・サアドの影に隠れることが多いですがアダム選手ですが、国外でプレーすることでワンランク上の選手になってくれるでしょう。
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シャフィク・アーマド同様、24歳ながら代表で準レギュラーとしてプレーしながら、JDTでは絶対的なレギュラーに慣れていないアダム選手に求めたいのは、確実なプレーです。出場機会が増えるなら、是非、移籍を考えて欲しいです。

5 サファウイ・ラシド(JDT)
誰もが認める現時点でのトッププレーヤーは、国外でプレーするべきときが来ています。
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個人的にはタイよりは日本や韓国、あるいはヨーロッパなどもう一つ上のリーグを目指して欲しい、まさにマレーシアのエースです。23歳ながら2年連続リーグMVPを獲得するなど、もうマレーシアで手に入れられるものは全て手に入れたサファウィ選手には、タイを踏み台にしてさらに上を目指して欲しいです。

6 シャミ・サファリ(スランゴールFC)
代表ではマシュー・デイヴィーズ(JDT)と右サイドバックのポジションを争うシャミ選手。国外でプレーすることで不動のレギュラー獲得に近づくでしょう。
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22歳とは言え過去2年間で既に18キャップを獲得しているシャミ選手。2018年のAFF選手権スズキカップ準決勝のタイ戦でゴールエリアの外から決めた美しいゴールはタイ代表の選手の印象にも残っているはずですので、是非、その印象が残っているうちに挑戦して欲しいです。

7 ハリス・ハイカル・アダム・アフカル(スランゴール2)
次世代の代表DF陣の中心となることが期待されている18歳のハリス・ハイカルは、国外でプレーすることで彼の持つポテンシャルを引き出せるのではないでしょうか。
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今回の7人の中で唯一の10代の選手。このブログでも取り上げているルクマン・ハキム・シャムスディンとともにU22代表でもプレーしています。個人的にはタイリーグから、アセアン枠のある韓国や日本でのプレーを目指して欲しい選手です。