5月13日のニュース:ペラFCの選手流出-1.退団のケニー・パッラジはKLシティに加入、2. GKハフィズルには複数クラブが接触、スリ・パハンのリー・タックはMリーグ他クラブへ期限付き移籍か、マラッカUは外国籍FW2名を入れ替えへ

 イスラム教の断食月明けの休みハリラヤが今日から始まるマレーシア。国民の7割近くがイスラム教徒のマレーシアでは1年間で最大の祝日ですが、新型コロナウィルス感染拡大が続く状況下では、昨年に続き今年も静かなお祝いとなりそうです。

ペラFC選手流出-1. 退団のケニー・パッラジとJ・パルティバンはKLシティに加入
 給料未払い問題で選手の流出が止まらないMリーグ1部スーパーリーグのペラFCからケニー・パッラジとJ・パルティバンの両選手がが同じスーパーリーグのKLシティに加入したことを英字紙スター電子版が報じています。
 今季第13節までの10試合の先発を含む11試合に出場したケニー選手と、9試合の先発を含む10試合に出場したパルティバン選手の退団は、先日このブログでも取り上げた主将のシャールル・サアドとブラジル出身で帰化選手のギリェルメ・デ・パウラの退団(その後はいずれもスーパーリーグのJDTに加入)に続く主力選手の流失で、ペラFCはリーグ再開後もクラブ史上初となる2部降格の危機に面することになりそうです。
*****
 両選手を獲得したKLシティのボジャン・ホダック監督は、今季1部に昇格したチームの前半戦を振り返り、一部の選手は1部でのプレーに適応できていない話しており、ケニー、パルティバン両選手の獲得は大幅な戦力増になると話しています。

ペラFC選手流出-2. GKハフィズルには複数クラブが接触
 同じペラFCの正GKハフィズル・ハキムはマレーシアの通信社ブルナマの取材に対し、スーパーリーグの3クラブから接触があったことを明らかにしています。「東海岸のクラブ」「クランバリー(KLとスランゴールを含む首都圏)のクラブ」そして「南部のクラブ」からの獲得オファーを受けたと話すハフィズル選手は、今後については決定しておらず、現在は家族と協議中としていますが移籍が濃厚です。
 ペラ州出身のハフィズル選手は、地元を離れるのは辛いとしながらも、未払い給料問題の解決に対して明確な回答が得られていないこと、さらに経営陣からの「ペラFCでプレーしたくなければ他のクラブを探せば良い」という発言に自分を含めた多くの選手が失望したと述べています。

スリ・パハンのリー・タックはMリーグ他クラブへ期限付き移籍か
 トランスファーウィンドウ期間中に獲得した新外国籍選手らの活躍で2連勝中のスリ・パハンは、開幕からプレーしていた英国出身のリー・タック選手が外国製選手枠の都合で出場登録を外れましたが、ドラー・サレー監督はこのタック選手を期限付き移籍で獲得したいというオファーを受け取っていると、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 最終的な移籍先はオーナーであるパハン州スルタンで現国王のトゥンク・アブドラ殿下の叔父に当たるトゥンク・アブドゥル・ラーマン・スルタン・アフマド・シャー殿下が決定するとしています。
 またマレーシア語紙ウトゥサン・マレーシア電子版は、期限付き移籍先として昨季まで3季に渡って在籍した同じスーパーリーグのトレンガヌが有力だと報じています。
*****
 2017年からMリーグでプレーするタック選手は、祖母がマレーシア人とされ、これまで何度も帰化選手候補としてその名前が挙がっていましたが、書類の不備などを理由に実現していませんでした。しかし今季も継続してマレーシアでプレーすれば連続在籍期間が5年となり、FIFAが求める帰化選手の条件を満たすことから、パハンは自チームでプレーできなくともタック選手との契約を維持し、来季は帰化申請を支援した上で帰化選手(=マレーシア人選手)として外国籍選手枠を気にせずプレーさせる意向があると言われています。

マラッカUは外国籍FW2名を入れ替えへ
 第13節を終えて3勝5分5敗の11位と降格圏で前半戦を終えたマラッカ・ユナイテッドはステファン・ニコリッチ(モンテネグロ)とアレックス・ドス・サントス・ゴンサウヴェス(ブラジル)の両FWとの契約を解除し、新たなストライカー2名を獲得すると、ウトゥサンマレーシアが報じています。
 マラッカ・ユナイテッドはここまで13試合で15得点を挙げていますが、これはUITM(4点)、PJシティ(10点)、ペラ(14点)に続き、リーグ全体で4位の少なさで、この15得点中、ニコリッチ選手が4点、アレックス選手が3点を挙げています。
 マラッカ・ユナイテッドのシャイフル・モハマド・サペリCEOはニコリッチ、アレックス両選手には既に契約解除が伝えられていることを明かし、新たに2人のブラジル出身が代わりに加入すると述べています。そのうち1人は既にクアラルンプールで検疫隔離に入っており、もう1人はブラジルのリーグ戦に出場中で、近いうちにマレーシアに到着予定だということです。
 ニコリッチ、アレックス両選手以外にマラッカ・ユナイテッドにはDFチャン・ソグォン(韓国)、MFソニー・ノルデ(ハイチ)、MFマヌエル・オット(フィリピン)が在籍していますが、この3選手については後退はないと話すシャイフルCEOは、サポーターからもチーム不振の責任を取るべきと解任要求が出ているザイナル・アビディン・ハサン監督について今日からハリラヤ(始まるイスラム教の断食月明けの休み)後に続投か否かを決定すると話しています。

5月12日のニュース:「神の手」ゴール-FAMは審判らを処分対処に、ペラ州FA-ペラFC経営陣は給料未払い問題の迅速な解決を、MFL-サポーターの発煙筒投入でペラFCを処分

 Mリーグは断食月明けの祝日もあり先週末で中断期間に入りました。5月16日からはW杯予選に出場する代表候補合宿が始まり、6月には代表はW杯予選、昨季チャンピオンのJDTはAFCチャンピオンズリーグ、同2位と3位のクダ・ダルル・アマンとトレンガヌはAFCカップがそれぞれ控えています。なお、Mリーグは1部スーパーリーグは7月9日から、2部プレミアリーグは6月18日から再開します。
 また5月30日までは今年2度目のトランスファーウィンドウ期間となっており、前半戦不振のクラブを中心に今月は選手の加入、退団などのニュースが多くなりそうです。

「神の手」ゴール-FAMは審判らを処分対処に
 先週末に開催されたMリーグ1部スーパーリーグ第13節のUITM FC対KLシティFCでは、ロスタイムにKLシティのシュコル・アダンが「神の手」ゴールで同点に追いつき、UITMの今季初勝利が「奪われ」ました。映像で見る限りはゴール前に上がったパウロ・ジョズエのフリーキックに対して両手を挙げた跳んだシュコル選手の手に当たっているように見える一方で、身体の他の部分は接触していませんでした。UITMの選手は主審に激しく抗議しましたが、主審はそれを受け付けませんでしたが、さらに酷かったのは試合後に発表されたFAMの公式記録では得点者がシュコル選手となっていたことでした。これがシュコル選手の後ろにいたUITMの選手の自殺点とされれていればおそらく話はここで終わりましたが、シュコル選手のゴール認定により、公式に「神の手」が認められたことになります。
 マレーシアの通信社ブルナマの報道によれば、この一件についてマレーシアサッカー協会FAM審判委員会のS・シヴァスンダラム委員長は、(UITMの勝利から引き分けと)試合の結果を変えることになった反則を見逃すという職務怠慢を理由に、シャリザン・ソリヒム主審を含めこの試合の全ての審判に対して処分を行うことを発表しています。
*****
 審判の処分は決まっても、試合の結果が覆ることがないでしょうからUITMにとってはやられ損、シュコル選手はやり得で結局、話が終わってしまいそうです。また今回の一件で審判に対する心証もさらに悪くなってしまうことは必至です。

ペラ州FA-ペラFC経営陣は給料未払い問題の迅速な解決を
 給料未払い問題により選手が練習ボイコット、さらに主力選手が続々と退団し始めたMリーグ1部スーパーリーグのペラFCに対し、ペラ州サッカー協会(ペラ州FA)は先日、責任を取って辞任したペラFCのリザル・アリ・ナイザリCEOに対し、辞任後も継続して給料未払い問題の解決に取り組むことを求めていると、ブルナマが報じています。
 ペラ州FAのムハマド・ヤザン・モハマド会長代行は、リザルCEOの辞任は問題の解決には繋がらないだけでなく、この問題の責任をとるべき人物が不在となる事態を非難しています。またペラ州FAはこの給料未払い問題に関しての責任を負うつもりがないとも話しています。
 この問題の責任をとることを理由に辞任したリザルCEOですが、ペラFCのオーナーを広く募集したいとしているものの、それ以上は何もせず辞任したことに対し非難が集まっていました。
 ペラ州FAのヤザン会長代行は、給料未払い問題は目新しい問題ではなく、クラブは州政府に資金を依存する体質が変わらないまま運営されてきた結果だとし、まずはクラブの生き残りのために新たなオーナーを探すことが優先されるべきとしています。
*****
 国内サッカーは州対抗戦として始まった歴史的背景もあり、州政府からの資金で運営されてきた大半のMリーグクラブにとっては人ごとではない問題です。コロナウィルスによる無観客試合による入場料収入減なども不遇な面もありますが、コロナ禍のここ1年でもこのペラFC以外にもクダ・ダルル・アマン、スリ・パハン、マラッカ・ユナイテッド、さらにはPDRMなどで給料未払いが起こっており、今後も同様の問題が明らかになる可能性があります。

MFL-サポーターの発煙筒投入でペラFCを処分
 給料未払い問題から主将のシャールル・サアドと帰化選手のギリェルメ・デ・パウラが退団したペラFCは、先週末に行われた第13節、本拠地で開催されたスリ・パハンFCでは経営陣に不満を表明する一部サポーターが試合中のピッチに発煙筒を投げ込み、試合が一時中断する事態が起こりました。
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、新型コロナウィルス感染拡大防止のため入場制限を行なっている最中で起こったこの件を重く見て、試合主催者のペラFCを処分すると述べています。
 現在はマッチコミッショナーの報告を待っていると述べたアブドル・ガニCEOは、現在のクラブを取り巻く状況に不満を持った一部のペラFCサポーターによる行動だろうと述べ、このような行動はむしろ自身が応援するクラブにとって不利益になることを理解するべきだと話し、このような行為に対して厳罰で対処すると話しています。
 なおこの試合はペラFCはスリ・パハンFCに敗れています。

5月11日のニュース:W杯アジア2次予選へ向けて代表候補25名発表、JDTのハリス主将が退団、JDT得点王のベルグソンの去就に注目が集まる、PJシティはトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手獲得の意思なし

W杯アジア2次予選へ向けて代表候補25名が発表
 マレーシアサッカー協会はFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選に出場する代表候補25名を発表しています。この25名は5月16日から行われる合宿を経て、6月3日のアラブ首長国戦を皮切りに、6月11日はベトナムと、6月15日にはタイと集中開催地となっているアラブ首長国のドバイで対戦します。25名中19名が3月に行われた代表候補合宿に引き続き召集されています。
 3月の合宿に召集されたメンバーからはシャーレル・フィクリ(スランゴール)とシャルル・サアド(JDT)がケガのため外れた一方で、サミュエル・サマーヴィル(ペナン)、帰化選手のリリドン・クラスニキ(オーストラリア1部ニューカッスルジェッツ)、アリフ・アイマン(JDT)の3名が初招集となった他、3月の合宿にはケガのため参加できなかったサファウィ・ラシド(JDT)や国外でプレーするドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)、ジュニオール・エルドストール(タイ1部チョンブリFC)の3名が代表復帰を復帰しています。
 代表チームは5月16日から19日までブキジャリル国立競技場で合宿を行った後、ドバイ入りし5月23日にはクウェート代表と、そして5月28日にはバーレーンのマナマでバーレン代表との練習試合を行う予定です。
 なおマレーシア国外でプレーするクラスニキ、タン、エルドストール各選手とルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)はいずれも滞在国から直接、ドバイ入りし、現地で代表チームに合流するということです。
 マレーシアはアジア2次予選G組でこれまで5試合を戦い3勝0分2敗の勝点8で、グループ首位のベトナム(勝点11)に次ぐ2位となっており、3位タイ(勝点8)、4位UAE(勝点6)、5位インドネシア(勝点0)と続いています。
 なお今回の予選のマレーシアの試合日程は以下の通りです。
6月3日(木)UAE戦@ザビールスタジアム、ドバイ
6月11日(金)ベトナム戦@アール・マクトゥーム・スタジアム、ドバイ
6月15日(火)タイ戦@アール・マクトゥーム・スタジアム、ドバイ
*試合開始はいずれもマレーシア時間深夜12時45分(現地時間午後8時45分)

マレーシア代表候補合宿(5月16日〜)参加メンバー

氏名年齢所属
GKファリザル・マーリアス35JDT
カイルルアズハン・カリド32SEL
サミュエル・サマーヴィル27PNG
DFマシュー・デイヴィーズ26JDT
アイディル・ザフアン34JDT
アダム・ノー・アズリン25JDT
ラヴェル・コービン=オング30JDT
シャマー・クティ・アバ24JDT
シャミー・サファリ23SEL
イルファン・ザカリア26KL
リザル・ガザリ29KDA
ジュニオール・エルドストール30CHO
ドミニク・タン24POL
MFナズミ・ファイズ・マンソル27JDT
モハマドゥ・スマレ27JDT
ブレンダン・ガン33SEL
ノー・アザム・アジー26PHG
リリドン・クラスニキ29NCJ
FWアキヤ・ラシド22JDT
シャフィク・アフマド26JDT
サファウィ・ラシド24JDT
アリフ・アイマン19JDT
ギリェルメ・デ・パウラ35JDT
ルクマン・ハキム19KOR
ノーシャルル・イドラン35SU
所属クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PEN-ペナン、KL-KLシティ、SU-サラワク・ユナイテッド、CHO-チョンブリーFC(タイ)、POL-ポリス・テロFC(タイ)、NCJ-ニューカッスルジェッツ(オーストラリア)、KOR-KVコルトレイク(ベルギー)

******
 JDTからは13名が選ばれていますが、リリドン・クラスニキはニューカッスルジェッツへJDTのセカンドチームJDT IIから期限付き移籍しており、クラスニキ選手を含めれば25名中14名がJDTとなります。現在リーグ2位のトレンガヌからは1名も召集されず、3位のクダ・ダルル・アマンと4位のペナンからそれぞれ1名ずつの召集となった一方で、今季はMリーグでのプレー時間が少ないアキヤ・ラシドやシャフィク・アフマド、また国外でプレーしながら十分な出場機会が得られていないルクマン・ハキムやリリドン・クラスニキらも召集したのは、かつて日本が「海外組」を偏重した風潮とも重なりますが、果たしてこのメンバーでどこまでいけるのか。W杯最終予選進出は現実的ではありませんが、アジアカップ出場に少しでも近づけるようグループ3位が目標でしょうか。

JDTのハリス・ハルン主将が退団
 Mリーグ1部スーパーリーグで首位のJDTは公式Facebook上で、主将でシンガポール出身のハリス・ハルンの退団を発表しています。
 シンガポール代表でも史上最年少の16歳で代表デビューしたハリス選手は、2012年からMリーグに参加したシンガポールサッカー協会FASが運営したシンガポールXIIでプレーし、2013年にMリーグで優勝を果たすとその年の11月にはJDTと契約、2014年シーズンのデビュー以来7年間JDT一筋でプレーし、JDTが昨季2020年に成し遂げたMリーグ1部スーパーリーグ7連覇の中心選手として活躍し、2015年のAFCカップ優勝も経験しています。
 守備的MFとして、JDT在籍7年間で197試合出場(試合出場時間は1万5367分)、12ゴール5アシストを記録したハリス選手は、新型コロナウィルス影響もあり家族と時間を過ごすためにシンガポールへ戻ることを退団の理由としています。
******
 ハリス選手の退団に際して、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は戻ってくるため喉はいつでも空いている、と述べていますが、ハリス選手の前任者でもあるJDT元主将のサフィク・ラヒムが退団する際にも同じことを述べ、今季そのサフィク選手が33歳でJDTに3年ぶりに復帰していることから、コロナ禍が下火になれば現在30歳のハリス選手の復帰も十分に有り得ます。
(下はJDTの公式Facebookに掲載されたハリス・ハルン首相の獲得トロフィー

JDT得点王のベルグソンの去就に注目が集まる
 今季途中からJDTに加入したもののここまで8ゴールとリーグ2位の得点を挙げているFWベルグソン・ダ・シルヴァの期限付き契約が今月5月末に切れることからその去就に注目が集まっています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、JDTは4ヶ月間の期限付きで移籍してきたベルグソン選手との契約延長についてはまだ何も決定していないと報じる一方、ベンヤミン・モラ監督がなんとしても残留して欲しいと話しているとも報じています。
 「チームの得点王としてほぼ全ての試合でゴールを決めているベルグソン選手はチームにとっても、監督を務める自分にとっても重要だ。彼にはチームに残って欲しいが、その決定権は私ではなく、チームのスポーツダイレクターとオーナーにある。」と述べたモラ監督は、チームにとって貴重な財産であり、残留を希望することを強く望んでいると話しています。

PJシティはトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手獲得の意思なし
 スーパーリーグは第13節を終えましたが、外国籍選手が一人もいないPJシティは現在2位のトレンガヌや4位のペナンに引き分けるなど上位相手とも引き分けるなど、3勝6分4敗の8位と開幕前の下馬評を覆す善戦を繰り広げています。
 PJシティのP・マニアム監督は現在のチームノパファーマンスに満足していると話し、7月初旬まで5月3日から始まっているトランスファーウィンドウ期間中も外国籍選手を獲得する予定はないと話す一方で、ケガから復帰の目処が立っていないエースのダレン・ロックに代わるマレーシア人ストライカーを物色中と話しています。

Mリーグ1部スーパーリーグ第13節結果

 新型コロナ感染者が再び増加しているマレーシア。1日あたりの新規感染者が4000人前後で高止まりする日が続き、国内各地では活動制限令MCOや条件付き活動制限令CMCOが施行され、Mリーグの試合は無観客で開催されています。
 Mリーグに目を向けると5月3日から開いている今年2度目のトランスファーウィンドウ期間に加入した選手たちが今節の試合に出場し、中には早速ゴールを決めるなど活躍する選手も出ています。
 なおスーパーリーグは今節終了後、5月16日から始まる代表候補合宿、そして6月3日から始まるW杯アジア2次予選、さらにアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグやAFCカップが続くことから、2ヶ月の中断期間に入り、次節第14節は7月9日から再開します。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年5月8日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 0-1 クダ・ダルル・アマン
得点者:サバ-、クダ-クパー・シャーマン(79分)
 激しい雨のため1時間近く中断した試合は再開後もボールが水たまりで止まってしまうような状況でしたが、それでも双方が激しくせめぎ合う中、サバ守備陣のミスをついてクパー・シャーマンが貴重なゴールを決めて勝利しています。
 サバは新加入のFWヨシプ・イヴァンチッチを起用するなど本拠地4連勝を目指しましたが、反撃も及びませんでした。

2021年5月8日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM 1-1 KLシティ
得点者:UITM-クォン・ヨンヒョン(84分)、KL-シュコル・アダン(90+4分)
 今季ここまで未勝利のUTIMは終盤に新加入のFWクォン・ヨンヒョンのゴールで先制し、このまま逃げ切ると思われたロスタイムに失点を喫し、今季初勝利を逃しています。
 しかしこのシュコル・アダンの同点ゴールは映像で見るとヘディングに跳びながら手を高く挙げてゴールを決めた「神の手」ゴールに見え(写真下、写真はUITM FCの公式Facebookより、中央で手を挙げているのがシュコル選手)、UTTMの選手もこれに激しく抗議しましたが、主審はそれを認めませんでした。とここまでは手に触れていることを見逃した主審のミスということになりますが、FAMが発表した公式記録でもシュコル選手を得点者としていることから、Mリーグはシュコル選手の手を使ったゴールを認めたことになります。ちなみに41歳のシュコール選手はこのゴールで先日、サバFCのアムリ・ヤハヤ選手が作ったMリーグ最年長ゴール記録を更新しています。

2021年5月8日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 0-3 JDT
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(15分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(43分)、モハマドゥ・スマレ(51分)
 リーグ首位を快走するJDTは前節第12節で脳震盪(のうしんとう)を起こして退場したゴンザロ・カブレラに代わりセカンドチームからフェルナンド・ロドリゲスを昇格させ、またサファウィ・ラシドとアリフ・アイマンを初めてともに先発させるなど布陣を変えて臨んだ試合でしたが、ペナンを一蹴しています。
 DFリュウジ・ウトモをケガで欠くペナンFCはこれまで起用していたDFムハンマド・ファディル・イドリスに代えてベテランのDFアズミ・ムスリムを先発させるなどJDT対策を立てながらの完敗でした。また自身のゴールが認められなかったことに抗議してイエローカードをもらっていたエースのカサグランデがその後の反則で2枚目のイエローで退場、これに抗議したトマス・トゥルチャ監督も退場となるなどペナンFCにとっては後味の悪い敗戦となりました。

2021年5月9日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 0-0 PJシティ
得点者:なし
 本拠地では3連敗中のマラッカが終始、優勢に試合を進めるもPJシティのGKカラムラー・アルハフィズの好セーブなどもあり無得点。スーパーリーグで唯一、外国籍選手がいないPJシティと引き分けています。

2021年5月9日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 2-3 スリ・パハン
得点者:ペラ-レアンドロ・ドス・サントス(68分PK)、カレッカ(90+5分)、パハン-アウン・カウン・マン (35分)、ケニー・アティウ2(58分、88分)
 トランスファーウィンドウ期間中の新加入組の内、検疫隔離により合流が遅れていたミャンマーU22代表のアウン・カウン・マンが先発しデビュー戦で早速ゴールを決めています。また同じ新加入組ののケニー・アティウも2ゴールを決めるなど、新戦力の活躍でパハンが連勝しています。前節に1ゴール1アシストで勝利に講演したマヌエル・イダルゴとともに新戦力の加入で全く別のチームになったパハンは、リーグ再開後の台風の目となりそうです。
 一方のペラは給料未払い問題により退団が噂されているブラジル出身コンビがゴールを決めましたが、これは獲得を狙う他チームへの良いアピールとなったのではないでしょうか。またこの他にも退団の可能性が報道されたケニー・パッラジ・ダバラギやパルティバン・ジャナセカランの両主力選手はこの大事な試合にベンチ入りせず、移籍の可能性が濃厚です。

2021年5月9日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 1-2 トレンガヌ
得点者:スランゴール-イフェダヨ・オルセグン(50分PK)、トレンガヌ-エンク・ヌル・シャキル(73分)、カルリ・デ・ムルガ(87分)
 トレンガヌが敵地で逆転勝ちし、JDTとの勝点差を3として再び2位に浮上しています。
 引き分けを挟んで3連勝のスランゴールは前節のスリ・パハン戦に続き、終盤にゴールを許すなど勝ちきれない試合が続き、トップ3とは徐々に勝点の差が開き始めました。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第13節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT139312862230
2TFC138322012827
3KDA138232113826
4PEN136431814422
5SEL135442220219
6KL134541714317
7SBH134451717016
8PJ133641014-415
9PHG133371622-612
10PRK133371421-712
10MU133551519-4*11
12UITM130211430-262
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第13節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)11
3クパー・シャーマン(KDH)9
4カサグランデ(PEN)7
パウロ・ジョズエ(KL)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

Mリーグ2部プレミアリーグ第12節結果

 イスラム教の断食月が明けると代表候補合宿、そして6月3日からのW杯2022年大会アジア2次予選と続きますが、プレミアリーグは今節が終わると中断期間に入り、次節第13節は6月19日に再開します。今年2度目のトランスファーウィンドウ期間も5月30日までとなっていることから、この中断期間中に選手の入れ替えを行うチームもありそうです。

2021年5月7日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
FAM-MSN プロジェクト 1-6 トレンガヌII
得点者:FAM-ムハイミン・イズディン・ムハマド・アスリ(51分)、トレンガヌ-ムハムマド・ムスリフディン・アティク・マット・ザイド(3分)、ジョーダン・ミンター4(7分、16分、48分、53分)、ムハムマド・イサ・ラマン(89分)
 今季1部スーパーリーグでも4得点を上げているジョーダン・ミンターが格の違いを見せるなどトレンガヌIIが圧勝しています。
 トレンガヌIIの渡邉将基選手は先発出場し、60分に交代しています。

2021年5月7日@スルタン・イスマイル・ナシルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
ケランタン・ユナイテッド 2-3 サラワク・ユナイテッド
得点者:ケランタン-スチュアート・ウォーク(58分OG)、アルフセイネイ・ガッサマ(68分)、サラワク-クリスティ・ジャヤシラン(45+1分)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(71分)、アブドル・ラヒム・アブドル・ラザク(80分)
 上位のサラワク・ユナイテッドとの勝点差を詰めたいケランタン・ユナイテッドは本山雅志選手が今季3度目となる先発出場し、一時はリードを奪ったものの終盤の2ゴールで敗れています。
 一方のサラワク・ユナイテッドはこの日引き分けたヌグリスンビランに代わって首位に浮上しました。
 ケランタン・ユナイテッドの本山雅志、深井脩平、谷川由来の3選手はいずれも先発してフル出場しています。

2021年5月7日@タンスリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタジアム(ジョホール州ラーキン)
JDT II 0-0 ヌグリスンビラン
得点者:なし  
 JDTの廣瀬慧選手は先発してフル出場しています。

2021年5月8日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
スランゴール2 0-1 PDRM
得点者:PDRM-鈴木ブルーノ(58分)
 PDRMが鈴木ブルーノ選手のPDRM移籍後初でもある今季初ゴールで勝利し、試合のなかったクチンシティ、ペラFC IIを抑えて一気に8位と順位を上げています。
 鈴木ブルーノ選手は先発してフル出場しています。

*今節開催が予定されていたペラII対ケランタン@ペラスタジアム(ペラ州イポー)は、ケランタンFCに新型コロナウィルス感染者が見つかったことから延期となっています。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ順位(第12節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1SU107212061423
2NS1161169722
3TFC1147024111319
4JDT114431711616
5KU115151415-116
6SEL104331813515
7KEL104241010014
8PDRM113261014-411
9KCH10244912-310
10PRK10235916-79
11FAM11029838-302
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビラン、SU-サラワク・ユナイテッド、TFC-トレンガヌII、PRK-ペラII、SEL-スランゴール2、KEL-ケランタン、KU-ケランタン・ユナイテッド、KCH-クチンシティ、FAM-FAM MSNプロジェクト
*今季の2部プレミアリーグは11チームが参加のため、各節で1チームだけ試合がありません。第12節は鈴木雄太選手が所属するクチンシティの試合がありませんでした。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ得点ランキング(第12節終了時)

選手名(所属クラブ)ゴール数
1ジョーダン・ミンター11
2ウチェ・アグバ(SU)8
フェルナンド・ロドリゲス(JDT)8
3ジョージ・アトラム(SEL)7
4アラン・オコノ(NS)6
ガッサマ・アルフセイネイ(KU)6
クラブ名:NS-ヌグリスンビラン、SU-サラワク・ユナイテッド、TFC-トレンガヌII、PRK-ペラII、SEL-スランゴール2、KEL-ケランタン、KU-ケランタン・ユナイテッド、KCH-クチンシティ、FAM-FAM MSNプロジェクト

5月9日のニュース:ペラの代表コンビがJDT加入、ペラFCはクラブ史上初の2部降格危機に、サバとUITMには新外国籍選手加入

ペラの代表コンビがJDT加入
 Mリーグ1部スーパーリーグのJDTは公式Facebook上で、DFシャールル・サアドとFWギリェルメ・デ・パウラの加入を発表しています。シャールル、デ・パウラ両選手は今年3月の代表候補合宿にも参加しており、5月16日から予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選代表候補合宿にも召集が予想されています。
 シャールル選手、そしてブラジル出身ながら帰化選手のデ・パウラ選手の加入で、JDTはチーム内で出場機会を巡っての競争も激化しそうです。またJDTは同じスーパーリーグのサバ、マラッカ・ユナイテッド、スリ・パハン、UITMに期限付きで選手を移籍させる方針を発表しており、チーム内で出場機会がなければ代表候補でも期限付き移籍となる可能性すらあります。
*****
 このブログではシャールル選手がスリ・パハンから獲得オファーを受けていることは取り上げましたが、結局はマレーシア人選手なら誰もがプレーしたいJDTが移籍先に決まりました。
 シャールル、デ・パウラ両選手の加入により、JDTのマレーシア人選手は全員が代表選手という布陣も可能で、国内リーグで代表チームプラス外国籍選手という圧倒的な強さを持つチームがプレーするといういびつな状況にもなります。代表チームの強化という点では良いかもしれませんが、すでにJDTの1強時代が続いているMリーグに対してはJDTのサポーター以外は興味を失ってしまうかも知れません。
 タン・チェンホー代表監督もAFC選手権アジアカップ2019年大会予選の際に14名のJDT選手を召集してサッカーファンからJDTへ贔屓(ひいき)という批判を浴びた結果、そのJDT選手たちを代表から外さざるを得なくなるといった事態も起きています。国内の良い選手を選んだら結果としてJDTの選手ばかりになってしまったということでしょうが、今回の二人の移籍でそういったことが起こる可能性が高まりました。

ペラFCはクラブ史上初の2部降格危機に
 第12節を終え、今季9位のペラFCは1982年のリーグ創設以来、常に1部でプレーしてきたクラブですが、今季は降格の危機に直面していると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 ペラFCは2ヶ月以上の給料未払いが噂されており、上の記事で取り上げたシャールル・サアドとギリェルメ・デ・パウラの退団の原因ともなっているとされていますが、今週金曜日5月7日にはやはり給料未払いに端を発して選手と監督、コーチが練習参加を拒否したことも報じられていました。
 これについてペラFCのリザル・アリ・ナイザリCEOはこの報道を否定し、3月までの給料は支払済身だと主張する一方で、デ・パウラ、カレッカ、レアンドロ・ドス・サントスのブラジル出身3選手にについては資金不足から全額を支払えていないことを認めています。
 経営陣と選手側は昨日5月8日に交渉を行ったということですが、経営陣は選手の練習ボイコットを非難する一方で、クラブの経営状況を説明するのみに止まり、給料未払いについての解決策は明示されなかったということです。
 この結果、カレッカ、レアンドロ両選手に加え、アセアン(東南アジア)枠で加入のシャキル・ハムザ、さらにはアズリ・ガニ、J・パルティバン、D・ケニー・パルラジら主力選手も退団の意向を表明しているということで、このままではペラFCの今季の1部残留は難しいだろうとこの記事は結んでいます。

サバとUITMには新外国籍選手加入
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの公式Facebookでは、Mリーグ1部スーパーリーグのサパFCとUITM FCに加入した選手を告知しています。
 サバFCに加入したのはクロアチア出身のFWヨシプ・イヴァンチッチでボスニア・ヘルツェゴビナ1部ルーグのHŠKズリニスキ・モスタルより加入しています。またこれに伴いサバFCからはFWサム・ジョンソン(リベリア)が退団しています。
 また今季未勝利でリーグ最下位と低迷するUTIM FCには韓国出身のMFクォン・ヨンヒョンが加入しています。クォン選手は韓国2部釜山アイパークより加入し、やはり昨日5月8日の第13節対KLシティ戦に先発出場し、デビュー戦でゴールを挙げています。
 UITM FCにはクォン選手の他、DFヒシャムディン・シャアリとDFアリフ・サムスディンがいずれもKLシティより加入した一方でFWアブー・バクル・アル=ミル(レバノン)が退団しています。

5月8日のニュース:W杯予選-タン代表監督はケガの昨季のリーグ得点王を招集断念、ペラFC主将はスリ・パハンからの獲得オファーを認める、JDTがスーパーリーグ4クラブに選手を期限付き移籍

W杯予選-タン代表監督はケガの昨季のリーグ得点王を招集断念
 5月16日から予定される代表候補合宿を前に、タン・チェンホー代表監督はケガを負ったFWシャーレル・フィクリ(スランゴール)を招集しないことを明らかにしています。シャーレル選手は3月に行われた代表候補合宿にも招集されていました。
 5月5日のMリーグ1部第12節スリ・パハンFC戦の後半から途中出場したシャーレル選手は、ムスリム・アフマッドのタックルを受けて負傷し、プレー時間わずか10分で交代し、タンカで運ばれて退場しましたが、その後、腓骨の骨折が明らかになり、完治まで6ヶ月から8ヶ月と診断されています。
 マレーシアの通信社ブルナマの取材に対して、昨季2020年のスーパーリーグではペラでプレーし、マレーシア人選手として最多の11ゴールを挙げたシャーレル選手が招集できないことはチームに取って痛手であり、W杯予選に向けて別の戦略を立てる必要があると話したタン監督は、ギリェルメ・デ・パウラ(ペラ)、シャフィク・アフマド(JDT)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(サラワク・ユナイテッド)、ルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)らがシャーレル選手に代わるストライカー候補であると述べています。

ペラFC主将はスリ・パハンからの獲得オファーを認める
 Mリーグ1部スーパーリーグで今季は低迷するペラFCの主将で代表DFシャールル・サアドが同じスーパーリーグのスリ・パハンFCから獲得オファーを受けていることを、スポーツ専門サイトスタジアムアストロとのインタビューで明かしています。
 今季はケガで出遅れ、5月5日のスーパーリーグ第12節PJシティ戦が今季2試合目の出場となったシャールル選手ですが、移籍についてはスリ・パハンFCからのオファーを受けていることは認めながらも、今はまだ何も決定していないとして、現在はペラFCの選手として目の前の試合に集中したいとインタビューで答えています。
 ペラFCはシーズン開幕時から給料未払いが噂されており、5月3日から開いているトランスファーウィンドウ期間中に主力選手が流出するのではとソーシャルメディア上では話題になっており、今回のスタジアムアストロのインタビューはそんな中で行われたものです。ちなみに今週末の第13節でペラFCは、新加入のマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)ら新加入の選手らの活躍で前節第12節にスランゴールFCと引き分けたスリ・パハンFCと対戦します。

JDTがスーパーリーグ4クラブに選手を期限付き移籍
 Mリーグ1部スーパーリーグで首位のJDTは公式Facebook上で、同じスーパーリーグの4クラブへ選手を期限付きで移籍させることを発表しています。
 アリスター・エドワーズ テクニカルディレクター名で発表された告知では、サバ(現在リーグ7位)、マラッカ・ユナイテッド(同10位)、スリ・パハン(同11位)、UITM(同12位)が移籍先として明らかにされています。
 Mリーグは5月3日から5月30日までが今年2度目のトランスファーウィンドウ期間となっています。
 突然行われたこの告知の真意は不明で、JDTのどの選手が移籍するのかは発表になっていませんが、代表候補合宿に召集されているJDT所属の選手の中には、シャフィク・アフマドやアキヤ・ラシドなど試合出場時間が十分に確保できていない選手もいるので、この辺りの選手が移籍する可能性があります。また「飼い殺し」状態の選手を移籍させることで、下部組織からさらに若い選手の昇格なども見越しての戦略とも考えられます。

Mリーグ1部スーパーリーグ第12節結果

 今節第12節からいよいよ後半戦が始まりますが、今節の注目カードは何と言っても首位攻防戦のクダ・ダルル・アマン対JDTでした。また5月3日から開いているトランスファーウィンドウ期間に加入した新戦力を早速投入しているクラブもあり、そういった選手たちが、後半戦の局面を大きく変える可能性もあります。
 その一方で、今週半ばは試合が組まれていない2部プレミアリーグのケランタンFCの選手に新型コロナウィルス感染者が見つかり、今週末のペラFC II対ケランタンFCが延期されています。
 各試合のハイライト映像はMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの公式Youtubeチャンネルからお借りしています。

2021年5月4日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマン 0-1 JDT
得点者:JDT-ベルクソン・ダ・シルヴァ(90+2分PK)
 新型コロナウィルスの影響で急遽、無観客試合となって行われたこの試合は、両チーム共にチャンスがありながらそれを活かせない展開が続き、このまま引き分けかと思われたロスタイム、クダの守備ラインをかわしてペナルティエリアへボールを持ち込んだJDTのムハマドゥ・スマレをレノン・アルヴェスが倒して万事休す。これで得たPKをベルグソン・ダ・シルヴァが蹴り込み、これが決勝ゴール。この日は活躍したクダGKシャアリル・サアリでも止められませんでした。
 残り数分は明らかな時間稼ぎをするJDTと試合を進めたいクダの選手との間で何度か争いも起き、試合終了後もそれが続く後味の悪い試合となりました。
 クダにとっては本拠地で最低でも勝点1が欲しい試合でしたが、開幕戦に続き、JDTに0封されての敗戦でした。
 またハイライト映像には写っていませんが、56分にはペナルティーエリア手前でドリブルで持ち込んだJDTのゴンザロ・カブレラをレノン・アルヴェスが「ブロック」して衝突。カブレラ選手は脳震盪(のうしんとう)を起こし退場となりましたが、その後の報道で無事に退院したことが伝えられています。

2021年5月4日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティ 3-1 ペナン
得点者:KL-パウロ・ジョズエ3(35分、52分PK、88分)、ペナン-ダニアル・アシュラフ(64分)
 昨季の2部プレミアリーグ優勝チームのペナンと同2位の対戦となったこの試合は、9戦負けなしでリーグ3位と好調のペナンが有利と目されていましたが、KLシティが主将パウロ・ジョズエのハットトリックで解消して、この日が誕生だったボジャン・ホダック監督に勝利をプレゼントしています。

2021年5月4日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌ 3-0 UITM
得点者:トレンガヌ-デヴィッド・ダ・シルヴァ(8分)、ファイザル・ハリム(10分)、モハマド・ラーマット・マカスフ(77分)
 トレンガヌが最下位のUITMに快勝し、JDTに敗れたクダに代わって再び2位に浮上しています。
 UITMは5月3日に開いたトランスファーウィンドウ期間に加入したMFウスマン・ファネ(フランス)とFWジョアン・ペドロ・フレイタス(東ティモール)の新戦力が先発しましたが、5試合連続無得点となりました。

2021年5月5日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 2-2 スランゴール
得点者:パハン-マヌエル・イダルゴ(48分)、アブドル・マリク・アリフ(90+5分)、スランゴール-ハイン・テット・アウン(76分)、イフェダヨ・オルセグン(87分)
 11位のパハンはトランスファーウィンドウ期間にDFエラルド・グロンを除く4名の外国籍選手を入れ替えましたが、その内、MFアブバカル・ヤクブ(ガーナ)とFWマヌエル・イダルゴ(アルゼンチン)が先発、FWケニー・アティウ(南スーダン/オーストラリア)が途中出場とこの試合でデビューしていますが、早速イダルゴ選手ががスランゴール守備陣のパスミスから作ったチャンスを生かしてゴールを決め、さらに同点ゴールにつながるFKでアシストを上げるなど活躍し、強烈な印象を残しています。ちなみにパハンのドラー・サレー監督はもう1人の新戦力FWアウン・カウン・マン (ミャンマー)も起用する予定だったようですが、国際移籍証明書ITCが試合までに
 スランゴールはエースのイフェダヨ・オルセグンの技ありの逆転ゴールで逃げ切るかと思われましたが、パハンの同点ゴールのきっかけとなったFKを与えたDFシャールル・ナジームが2枚のイエローで退場し、最後のセットプレーで数的不利となったことが悔やまれます。

2021年5月5日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 0-1 ペラ
得点者:セルヒオ・アグエロ(26分)
 引き分けを挟んで3連敗中だったペラが5試合ぶりの勝利で順位を一つ上げ9位となっています。
 ペラは新加入のFWナナ・ポク(前UITM)を獲得して得点力不足に悩む攻撃陣を補強し、この勝利から巻き返しを図りたいところですが、主将で代表DFシャルル・サアドがスリ・パハンからの獲得オファーを受けていることを明らかにしており、もしシャルル選手が移籍となれば、今度は守備陣が大きな痛手となるため、その行方が

2021年5月5日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 3-1 マラッカ・ユナイテッド
得点者:サバ-アムリ・ヤハヤ2(6分、47分)、モハマド・アジザン・ノルディン(16分)、マラッカ-モハマド・ファクルラー・ロスリ(66分)
 40歳のアムリ・ヤハヤの3試合連続ゴールで先制したサバは、その後もアムリ選手のこの日2点目となるダメ押しゴールでマラッカを突き放して勝利し、引き分けを挟んで3連勝を記録しています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第12節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT128312561927
2TFC127321811724
3KDA127232013723
4PEN126421811722
5SEL125432118319
6KL124441613316
7SBH124441716116
8PJ123541016-614
9PRK123361216-412
10MU123451519-4*10
11PHG122371320-79
12UITM120111329-261
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第12節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)12
2ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)10
3クパー・シャーマン(KDH)8
4カサグランデ(PEN)7
パウロ・ジョズエ(KL)7
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

5月6日のニュース:選手が新型コロナ感染でケランタンFCの試合が延期に、移動制限令施行によりMリーグ4試合が無観客で開催

選手が新型コロナ感染でケランタンFCの試合が延期に
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、公式サイト上で今週末5月7日(金)にペラスタジアム(ペラ州イポー)で予定されていたMリーグ2部プレミアリーグ第12節のペラFC II対ケランタンFCの試合延期を発表してています。
 MFLのアブドル・ガニ・オスマンCEOはケランタンFCの選手2名が新型コロナウィルス検査で陽性となったことを試合延期の理由としています。なおこの2選手はスランゴール州内の病院で隔離されているということです。
 この2選手は第11節に行われたスランゴール2対ケランタンFCの試合前に行われた抗原検査と抗体検査により感染が判明し、直ちにチームから隔離され、当日の試合にも出場しなかったということです。またケランタンFCの他の選手は全員が陰性だったということですが、マレーシア保健省は濃厚接触者に10日間の行動自粛を求めていることから、MFLはペラFC II戦を延期する決断に至ったということです。

移動制限令施行によりMリーグ4試合が無観客で開催
 スランゴール州の大半の地域には今日5月6日から、またクアラルンプールには5月7日からいずれも5月17日まで移動制限令MCOが発令されますが、これに伴いスランゴール州とクアラルンプールで開催されるMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの試合は全て無観客試合で開催することをMFLが公式サイト上で発表しています。
 無観客で行われるのはスランゴール州で開催されるいずれもスーパーリーグの5月8日のUITM対KLシティ(UITMスタジアム)と5月9日のスランゴール対トレンガヌ(MBPJスタジアム)、そしてプレミアリーグの5月7日のFAM-MSNプロジェクト対トレンガヌII(UITMスタジアム)、またクアラルンプールで開催される5月8日のスランゴール2対PDRM(KLフットボールスタジアム)の計4試合です。
 今週末のスーパーリーグ第13節とプレミアリーグ第12節の後は、FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選により両リーグとも中断期間に入り、AFCチャンピオンズリーグに出場するJDTやAFCカップに出場するクダ・ダルル・アマンやトレンガヌが所属するスーパーリーグは7月9日に、プレミアリーグは6月19日にそれぞれ再開されます。

5月5日のニュース:今季のフットサルリーグMPFLの参加チームが決定、UITM退団のナナ・ポクがペラに加入、UITMにはウスマン・ファネが復帰、トレンガヌのクリス・ハードは長期離脱へ

今季のフットサルリーグMPFLの参加チームが決定
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、今季2021年シーズンのマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLに参加する男子20チームと女子12チームを発表しています。今季リーグは男子は6月に、女子は8月にそれぞれ開幕の予定です。
 2019年から始まったこのMPFLですが、昨季は新型コロナウィルスの感染拡大から中止されており、2年ぶり2度目の開催となり、男子は昨季の12チームから20チームに増え、6月12日から8月28日までが20チームが2つのグループに分かれてグループステージが行われ、その後は上位8チームによるトーナメントで優勝チームが決定します。一方、女子は8月12日から22日までの2つのグループに分かれて行うグループステージを経て、やはり上位8チームが決勝トーナメントに進みます。
(上が男子、下が女子のMPFL参加チーム-FAM公式サイトより)

UITM退団のナナ・ポクがペラに加入
 今季からMリーグ1部スーパーリーグのUITM FCに加入したガーナ出身のFWナナ・ポクは目立った活躍がないまま退団しましたが、そのポク選手が先日開いたトランスファーウィンドウ期間に同じスーパーリーグのペラFCに移籍が決定したことをマレーシア語紙ウトゥサン・マレーシア電子版が報じています。
 これまでポク選手の代理人がペラFCのチョン・イーファット監督とポク選手が一緒に写っている写真のソーシャルメディア上で公開しており、ペラFC加入が濃厚だと言われていましたが、ペラFCのリザル・アリ・ナイザリCEOがポク選手との契約を認めています。
 この他、ブラジル出身の別の選手もペラ入りしており、現在はマレーシアが渡航者全員に義務付けている14日間の検疫隔離期間中ということです。
 第11節を終えて10位のペラFCは11得点と最下位のUITM FC(3得点)、6位のPJシティ(10点)に次いで得点が少ない一方、失点は最下位のUITM FC(26失点)に続く18失点と得点力不足の解消が課題となっています。
*****
 とは言え、UITM FCでも今季2得点というポク選手の獲得が、攻撃陣増強に繋がるかどうかはわかりませんが、その2得点がいずれもペラFCとの対戦で決めてゴールだったこととは無関係ではないかも知れません。 

UITMにはウスマン・ファネが復帰
 ナナ・ポクと入れ替わるようにUITM FCはMFウスマン・ファネとFWジョアン・ペドロ・フレイタスの加入を公式Facebookで発表しています。
 フランス出身のファネ選手は昨季2020年シーズンはUITM FCでリーグが短縮され11試合となった中で10試合に出場し、1部に昇格したばかりのUITM FCの6位躍進に貢献しましたがシーズン終了後は契約が更新されず、今年3月にはインドネシア1部のプルシラジャ・バンダ・アチェと契約していました。一方の東ティモール出身で20歳のジョアン・ペドロ選手は公式Facebookに掲載された情報によると、タイ3部のノース・バンコク大学FC やウボン・ユナイテッドFC(既に解散)でウイングとしてプレーした経験があるということです。

トレンガヌのクリス・ハードは長期離脱へ
 第10節ではJDTに土をつけながらも翌第11節にはペナンFCに大敗したトレンガヌFCは今季既にFWペトルス・シテンビ、GKラハディアズリ・ラハリム、DFアザリヌラー・アリアスの3選手が膝前十字靭帯ACLの断裂や損傷で今季絶望となっていますが、MFクリス・ハードも最低でも2ヶ月の離脱となったことをスポーツ専門サイトのスカンズが報じています。
 トレンガヌFCのズル・ファドリ・ロジ チームマネージャーによれば、ハード選手は既に手術を受けているということですが、ケガについてはACLではないということですが回復までに少なくとも6〜7週間はかかるということで、トランスファーウィンドウ期間中の新戦力獲得の可能性も否定しなかったということです。
 Mリーグは今週末に開催される第13節が終わると、W杯予選やAFCチャンピオンズリーグやAFCカップなどがあることから7月上旬まで中断期間に入ることから、新戦力の獲得を早急に行う必要性は感じていないと話しています。