12月18日のニュース
主力が大挙退団のクダは来季の運営資金削減を発表
代表FWシャフィクはクダへ期限付き移籍へ
給料未払いを明らかにしたサラワクUの主将が契約を1年残し退団

主力が大挙退団のクダは来季の運営資金削減を発表

 Mリーグ1部スーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCは、過去に在籍した選手への給料未払いが発覚した上、現役選手らについても数ヶ月の給料遅配も報じられる中、今季は2位の成績を挙げ、来季のAFCカップ出場権も獲得しています。しかし今季終了後には在籍した外国籍選手5名全員の退団に加え、バドロル・バクティアル、リザル・ガザリの代表コンビも同じスーパーリーグのサバFCへ移籍することが発表され、来季は主力選手が大幅に入れ替わることが明らかになっています。
 そのクダ・ダルル・アマンFCが来季は資金を今季より大幅に削減して運営されると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。クダ州州首相でもあるクダ州サッカー協会のムハマド・サヌシ・ノー会長は、クダ・ダルル・アマンFCの運営資金が今季の3000万リンギ(およそ8億800万円)から2200万リンギ(およそ5億9200万円)となることを発表し、外国籍選手と主力マレーシア人選手の退団により資金削減が可能になったと話しています。
 昨年2020年5月にクダ州首相就任と同時にクダ州サッカー協会の会長にも就任したサヌシ会長は、政敵でもあった前会長下での外国籍選手を含む複数の選手との高額契約がクラブの財政を圧迫していたことが現役選手の給料遅配につながったとして前会長によるクラブ運営を批判し、今後はクラブの資金規模にあった運営を行うと述べ、、高額契約の選手が退団、移籍したことで今後は給料未払いの問題は発生させないとしています。
 クダ・ダルル・アマンFCが昨季、今季と2季連続スーパーリーグで2位となったのは、同じスーパーリーグのトレンガヌFCへ移籍することが発表されたリベリア代表のクパー・シャーマン、チェチェ・キプレ(コートジボワール)のフォワードコンビ、そしてサバFCへ移籍する代表コンビらの力が大きかったのですが、彼らを含め今季の主力7名が抜ける上に、クラブの資金が2割以上も削減される来季は、他のクラブが積極的に補強を起こっているのとは対照的で、優勝争いどころか10年振りのBクラス(7位以下)の可能性もあります。

代表FWシャフィクはそのクダへ期限付き移籍へ

 現在開催中のスズキカップ2020に出場中のマレーシア代表でプレーするFWシャフィク・アフマドはMリーグ1部スーパーリーグのJDTに所属していますが、代表選手でありながら選手層が厚いJDTでは出場機会に恵まれず、今季のJDTの公式戦(リーグ戦およびカップ戦)33試合中、出場したのはわずか8試合でそのうち先発は2試合しかありません。
 シーズン中にはソーシャルメディアで「試合に出ている仲間を見ているのは楽しいな」と皮肉混じりに自身の不遇を託つと、チームのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下からは「チームを去りたければ自由にすれば良い」と言い放たれるなど、今季は散々なシーズンになりました。
 そんなシャフィク選手が期限付きで同じスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCに移籍が濃厚になったと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。クダ・ダルル・アマンFCの前身のクダFAのユースで育ち、プロデビューもクダFAだった26歳のシャフィク選手は2018年にJDTに移籍するとその才能が開花し、代表では2018年に3ゴール(8試合)、そして翌2019年にはFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選のアラブ首長国戦やインドネシア戦でもゴールを決め、この年は最終的に5ゴール(9試合)を挙げるなどして代表の主力として活躍しました。
 しかし新型コロナの影響でワールドカップ予選が延期となり、さらに国内リーグも短縮されて開催された昨年2020年12月のシーズンオフには、シャフィク選手は自身が運転する車で事故を起こし、生後22日の長男を含む3名が亡くなりました。その事故の影響があったかどうかはわかりませんが、今季開幕を迎えるとJDTのトップチームにはシャフィク選手の名はなく、今季の初出場はチームの6試合目でしかも90分からの途中出場でした。結局今季のスーパーリーグでは4試合に出場し、うち1試合が先発、出場時間は4試合合計で91分、その後に行われたマレーシアカップでも4試合に出場し、うち先発1試合、出場時間は4試合合計で88分といった状況でした。
 それでもタン・チェンホー代表監督は6月にアラブ首長国連邦で開催されたワールドカップ予選、そして10月に行われた中東遠征のいずれにもシャフィク選手を代表チームに招集し続け、そしてスズキカップ2020出場に出場している24名のマレーシア代表にもその名を連ねています。
 クダ・ダルル・アマンFCの期限付き移籍についてクラブ運営会社のカマル・イドリス・アリCEOはJDTとの交渉が行われていることを認め、さらにシャフィク選手自身からは再びクダでプレーしたいという希望が明かされているということです。
 JDTのオーナーのイスマイル殿下はシャフィク選手の移籍先についてAFC主催大会に出場できるチームを条件にしていると話し、これに当てはまるのはいずれもAFCカップに出場するクダ・ダルル・アマンFCとKLシティFCしかないことから、シャフィク選手のクダ・ダルル・アマンFC移籍は濃厚と見られています。
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 シャフィク選手のファンとしては、出場機会を得るための移籍は望ましいことに思えます。タン代表監督が気に入っているとは言え、今後も試合に出なければ試合感は鈍り、いつかは代表に呼ばれなくなるどころか、このまま選手としても向上せずに選手生命を終えてしまう可能性すらあります。一方でクダでは出場機会が得られるだけでなく、スーパーリーグ随一の堅牢さを誇るJDTを相手にプレーすることになり、それを破って得点を挙げられればシャフィク選手もかつての輝きを取り戻してくれるかも知れません。

給料未払いを明らかにしたサラワクUの主将が契約を1年残し退団

 今季Mリーグ2部で2位となり来季の1部昇格を決めているサラワク・ユナイテッドFCはシーズン終盤に一部選手への給料未払いが明らかになったものの、クラブのオーナーであるサラワク州サッカー協会がその速やかな解決を約束していましたが、実際にはその約束は守られていなかったようです。
 英字紙スターはサラワク・ユナイテッドFCのテイラー・リガン主将がクラブが給料未払い問題を解決する意思がないとして、1年の契約を残して退団し、この事態をFIFAに提訴済みであると報じています。この記事ではサラワク州サッカー協会はリガン選手を含めた複数の選手に対して給料未払いに加えて勝利給も未払いとなっているということです。さらにクラブの共同オーナーでもあるサラワク州サッカー協会のポサ・マジャイス会長は今年3月からクラブに姿を見せていないことにも失望していると話すリガン主将は、この現状を明らかにするためにチームを離れることを決意したと述べています。
 給料未払いの問題を抱えながらもプレーが続けられた理由として、チームメートや監督、コーチと良好な関係を挙げたリガン主将は、そういった仲間と一緒にプレーできたのは幸せだったとも話し、既に複数のクラブから受けている獲得オファーについてはクリスマス以降に決めたいとも話しています。
 来季1部昇格の権利を得ているサラワク・ユナイテッドFCですが、マレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンス発給である第一審査機関FIBからはこの給料未払い問題の解決を条件とした上で来季のクラブライセンスを発給されており、サラワク州サッカー協会のマジャイス会長は10月までに未払い給料を完済したと述べていました。しかし11月には複数の選手がマレーシアプロサッカー選手会PFAMに給料未払いを訴え出ており、事態の真偽を確かめるためMリーグを運営するMFLがサラワク州サッカー協会とマジャイス会長から聞き取りを行うことが発表されていました。現時点ではこの聞き取りについては現時点では何も明らかになっていませんが、給料未払い問題が解決されていない場合にはクラブの来季1部昇格が取り消しになるだけでなく、クラブライセンスの発給を受けられなくなることも考えられ、その場合には来季のMリーグ参戦も不可能になります。
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 サラワク・ユナイテッドFCの1部昇格が取り消しになれば、今季2部プレミアリーグで5位となったクチンシティFCが昇格となることも考えられますが、サラワク・ユナイテッドFCには最悪の場合にはチーム解散といった噂も出ており、MFLによる聞き取りの結果に注目が集まります。
 サラワク・ユナイテッドFC(当時はサラワクFA)は2019年シーズンにプレミアリーグで最下位の11位となり、Mリーグ3部のM3リーグで2位となったクチンFA(当時、現在のクチンシティFC)との入れ替え戦に敗れて3部降格が決まりましたが、経営不安を抱えていた同じプレミアリーグで9位のスランゴール・ユナイテッドFCを買収し、クラブの本拠地をスランゴール州からサラワク州に移してサラワク・ユナイテッドFCと名称変更する離れ業で2部に留まっています。

12月14日のニュース:スズキカップ2020-隔離を終えた3選手がチーム復帰、JDTがカブレラは退団を発表-大型補強敢行へ、クダはマラッカより韓国籍DFを獲得

スズキカップ2020-隔離を終えた3選手がチーム復帰

 マレーシアの通信社ブルナマは、新型コロナ検査で陽性となったことから隔離されていた4選手の内、GKカイルルアズハン・カリド、FWファイサル・ハリム、DFクェンティン・チェンの3選手がシンガポール政府保健省より隔離完了証明書を受け取ったと報じています。
 シンガポール入国時の検査で陽性となったカイルルアズハン、ファイサル両選手は開幕前に隔離となったことから今大会はベンチ入りすらできていませんでしたが10日間の隔離を終えたことで合流可能となっています。また12月9日のラオス戦前の検査で陽性となっていたチェン選手は追加で行われたPCR検査の結果が陰性だったことから隔離期間に入る前にチーム合流が許されたとブルナマは報じています。なおラオス1000枚の検査ではチェン選手と同じく陽性となっていたアキヤ・ラシドについては10日間の隔離となることが決まったようです。
 この4選手の隔離に加えて、初戦で腹筋を痛めていたジュニオール・エルドストルはコンディション不良、また所属クラブの試合日程の都合で今週木曜日12月16日にシンガポール入り予定のディオン・クールズも不在だったことから、12月12日のベトナム戦ではベンチ入り総勢18名で臨んでいました。
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 3選手の復帰は喜ばしいことですが、12月12日のベトナム戦では主将のアイディル・ザフアンとケガから復帰したばかりのシャールル・サアドの2人のセンターバックがいずれもケガ(ハムストリング)により途中交代しており、カンボジア戦で負傷し療養中のエルドストル選手も含めて3名のセンターバックがケガをしてます。これにより本職のセンターバックで現在残っているのはドミニク・タン1人となっており、グループステージ突破がかかるインドネシア戦に向けてクールズ選手の合流が待ち望まれます。

JDTがカブレラは退団を発表-大型補強敢行へ

 今季Mリーグ1部スーパーリーグで8連覇を達成したJDTですが、マレーシアカップ決勝で敗れたからか、例年にない大型補強を行いそうです。
 その手始めとなりそうなのがJDTのクラブ公式Facebookで発表されたゴンザロ・カブレラの退団です。アルゼンチン出身のカブレラ選手は2017年に期限付きでJDTに移籍すると翌2018年には完全移籍し、主に左ウィングとして活躍してきカブレラ選手はスーパーリーグで43ゴールを、そして国内カップ戦やACLなども含めると通算で152試合に出場し66ゴールを挙げ、いずれのゴール数もJDTのクラブ最多記録となっています。32歳のカブレラ選手はアルゼンチン出身ですが、イラクのパスポートも保持しているためJDTではAFC枠で登録されることもありましたが、今季はシーズン途中にオーストラリア出身のDFシェーン・ローリーが加入したことから、通常の外国籍選手枠となる一方で、同一国に継続して5年居住することで帰化選手としての出場が可能となることから、マレーシア代表の次の帰化選手候補として名前が上がることもありましたが、JDT自身が若い選手のみが帰化選手候補となると明言したことから、JDTでの帰化はなくなりました。しかし他のMリーグクラブに移籍してそこで帰化選手になる可能性も残っていることから、来季もカブレラ選手がMリーグでプレーする可能性は十分あります。

 さらにJDTの公式Facebookでは4名の外国籍選手と1名のマレーシア人選手との契約交渉中であることも報じられています。マレーシア人選手はスランゴールFCを退団したMFシャミ・サファリであることが濃厚ですが、4名の外国籍選手については何も明かされていません。
 なお4名の外国籍選手について1名はトップチームのJDTでプレーし、残る3名はセカンドチームのJDT IIに登録されるものの、ローテーションでシーズン中の入れ替えを行うとしています。現在JDT IIには2020年からプレーする廣瀬慧選手や今季JDT IIが所属したMリーグ2部プレミアリーグで16ゴールを挙げて得点王となったフェルナンド・ロドリゲスがいますが、この発表から察するに両選手ともJDT IIは今季で退団となりそうです。
 さらに英国1部プレミアリーグのウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC U23のナサニエル・シオ・ホンワンが来季2022年シーズンに向けて移籍し、英国生まれながらマレーシア人の母親を持つシオ選手がマレーシア人選手として登録されることも発表されている一方で、昨季、今季と2シーズンに渡ってJDTと同じMリーグ1部スーパーリーグでプレーしたブラジル出身のエンドリック・ドス・サントスを2023年(つまり来季ではなく2年後)に帰化選手として獲得することも発表しています。2018年からMリーグでプレーする現在26歳のエンドリック選手は来季もマレーシアでプレーすれば同一国に継続して5年居住となり、FIFAが規定する帰化選手としての登録が可能になります。

 JDTは期限付きで移籍する選手も発表しており、今季はJDT IIでプレーした元U23代表主将のMFイルファン・ファザイル(30)がU23時代のオン・キムスイ監督が指揮するサバFCへMFスチュアート・ウィルキンス(23)とともに移籍する他、2011年にはイルファン・ファザイルとともにスロバキアリーグのFC ViOnズラテー・モラフツェに派遣されたFWファドリ・シャス(30)とDFシャズワン・アンディック(25)がマラッカ・ユナイテッドFCへ移籍することも発表される一方で、現在、スズキカップにも出場しているシャフィク・アフマドも複数のクラブとやはり期限付き移籍について交渉中ということですが、その移籍先としてはマレーシアカップ2021を制したKLシティFC、Mリーグで今季2位のクダ・ダルル・アマンFCが有力とされています。

クダはマラッカより韓国籍DFを獲得

 今季Mリーグ1部スーパーリーグではJDTに次ぐ2位となり、来季のAFCカップ出場が決まっているクダ・ダルル・アマンFCですが、来季へ向けては5名の外国籍選手全員が退団し、代表選手2名も移籍が明らかになっており、アジアで戦うためのチーム強化が急務となっています。そんな中、今季は同じスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしたチャン・ソグォンの加入がクラブ公式Facebookで明らかにされています。
 チャン選手は32歳のDFで、来季のクダ・ダルル・アマンFCの外国籍契約第1号となっています。韓国U23代表としてアジア競技大会に出場し銅メダルを獲得しているチャン選手は、2017年に当時 J2のファジアーノ岡山に完全移籍したものの、ケガのためわずか2試合出場しただけで退団し、2019年からはマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしています。

12月11日のニュース:スズキカップ2020-マレーシア代表は陽性反応者がこれ以上増えれば大会辞退も、FAM-MSNプロジェクトは来季もMリーグ2部参加、FAM-MSNプロジェクトの監督が辞任-ペラFCの監督就任か

 シンガポールで開催中のスズキカップに関する報道で、ベトナム代表のパク・ハンソ監督がインドネシア対カンボジア戦を視察しながら、その試合の前に行われたマレーシア対ラオス戦はアシスタントコーチを派遣し自身は視察を行わなかったことがマレーシアではニュースになっています。パク監督はマレーシアは眼中にないのかな。

スズキカップ2020-マレーシア代表は陽性反応者がこれ以上増えれば大会辞退も

 12月3日のシンガポール入国時の新型コロナ検査で陽性反応を示したカイルルアズハン・カリドとファイサル・ハリムに加え、12月9日のラオス戦当日朝の検査で陽性反応を示したアキヤ・ラシドとクェンティン・チェンの4選手が隔離となっているマレーシア代表ですが、デンマーク1部FCミッティランでプレーするDFディオン・クールズは12月13日の国内カップ戦後に代表チーム合流が予定されていることから、明日12月12日に予定されているベトナム戦では、出場可能な選手は19名となっています。しかも腹部のケガで休養を強いられているジュニオール・エルドストルも回復状況によってベトナム戦には出場できない可能性があり、そうなるとなんと18名の選手で東南アジアNo. 1にチームに挑むことになります。
 なお初戦のカンボジア戦で活躍しMOMを受賞したアキヤ・ラシドは、ここまでの2試合で4ゴールを挙げているサファウィ・ラシドと同室で、しかも試合後には他の選手と勝利を喜び合う写真などもソーシャルメディアに上がっていることから、今後マレーシア代表に陽性反応者が増える可能性も懸念されています。そうなれば最悪の場合、選手がいない…と言うことも起こりかねません。
 スズキカップに参加しているのは全部で10チームですが、スポーツバブルの仕組みを使って開催されているこの大会でマレーシア代表は4名の陽性反応者が出ているのに対し、他の9チーム全てを合わせても明らかになっている陽性反応者はミャンマー代表に1名だけとなっています。

FAM-MSNプロジェクトは来季もMリーグ2部参加

 今季Mリーグ2部プレミアリーグに参加したFAM-MSNプロジェクトが来季2022年シーズンもプレミアリーグに参加すると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 FAMとマレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会(マレーシア語での短縮名MSN)が共同運営するこのチームは、やはりFAMとMSNが共同で運営するマレーシア国家サッカー選手育成プログラムNFDP所属の選手の内、プログラム卒業となる18歳の時点でにプロ契約に至らなかった選手を中心に編成されたチームで、今季開幕前に設立され、そのままプレミアリーグに参戦しましたが、20試合で1勝3分16敗の成績で11チーム中ダントツの最下位で、得点12、失点56はいずれもリーグ最低でした。 
 FAM-MSNプロジェクトの来季参戦を発表したFAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は、今季のチームの内、17名の選手が来季もこのチームでプレーすることも明らかにした一方で、NFDPの中核をなすエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDから10名ほどの選手が加わる予定であるとも話しています。
 またサイフディン事務局長はAMDのU19選手の移籍についても言及し、正規のトランスファーウィンドウ期間にU19選手をMリーグのクラブに期限付き移籍をすることについてFAMはこれを禁止する予定はないとする一方で、国家スポーツ評議会MSNが運営するAMD在籍中はいずれの選手も気完全移籍ではなく毅然つき移籍のみが可能であると話しています。

FAM-MSNプロジェクトの監督が辞任-ペラFCの監督就任か

 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、今季Mリーグ2部プレミアリーグに参加したFAM-MSNプロジェクトのユスリ・チェ・ラー監督が辞任したことを発表しています。
 FAMとマレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会(マレーシア語での短縮名MSN)が共同運営するこのチームは、やはりFAMとMSNが共同で運営するマレーシア国家サッカー選手育成プログラムNFDP所属の選手の内、プログラム卒業の18歳の時点でにプロ契約に至らなかった選手を中心に編成されたチームで、今季初めてMリーグに参戦し、20試合で1勝3分16敗、得点12、失点56の成績を残し、11チーム中最下位でした。。
 今季開幕前に発足したこのFAM-MSNプロジェクトの監督に就任したユスリ監督は、FAMと2年契約を結んでいましたが、FAMとユスリ監督の双方が合意の上、契約解除となったということです。
 なおFAM-MSNプロジェクトの監督を辞任したユスリ監督は、来季は2部プレミアリーグに降格するペラFCの監督就任が濃厚とされています。

12月9日のニュース:代表SBデイヴィーズが代表選出されなかった理由が明らかに、スズキカップ2020-ジュニオール・エルドストールがケガにより欠場へ、クダのエースがトレンガヌ移籍

 スズキカップが開催される一方で、Mリーグ各クラブは来季へ向けての巡撫を始めています。Mリーグ1部スーパーリーグのスリ・パハンFCは今季開幕から2試合で「アメリカ出身のトーマス・ドューリー監督とともに「休養」させられたアシスタントコーチのクリストファー・ギャメル氏の監督就任が濃厚となったようです。かつてはフィジー代表監督の経験もあるギャメル氏が今季10位とすんでのところで2部降格を免れ、今季所属の選手の内、外国籍選手5名や主将を務めたムスリム・アフマドら合計14選手との契約を更新しなかったスリ・パハンFCを立て直せるのでしょうか。
 また本山雅志、深井脩平、谷川由来の日本人3選手が所属する2部プレミアリーグのケランタン・ユナイテッドFCも、監督交代を含めた首脳陣刷新を発表しており、今季同じプレミアリーグのペラFCIIで指揮を取ったシャムスル・サアド氏に監督オファーを出しているとされています。

代表SBデイヴィーズが代表選出されなかった理由が明らかに

 現在シンガポールで開催中の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020に出場しているマレーシア代表には、タン・チェンホー監督が主力選手として起用してきた選手たちの中の数名が召集されていません。具体的には今季Mリーグ1部で8連覇を果たしたJDTのGKファリザル・マーリアスと、同じくJDTの両サイドバック、マシュー・デヴィーズとラヴェル・コービン=オングの3選手です。6月のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選など今年行われた代表戦にはほぼ全試合出場しているこの3選手を招集しなかった理由として、タン監督は「6月のW杯予選、その直後のAFCチャンピオンズリーグ、さらにはMリーグ、マレーシアカップと今年1年間を通して代表とクラブの両方で国内外の試合に休まず出場してきた選手に疲労回復と休養を与えるために今回の招集を見送った。代表チームの首脳陣は彼らの能力を熟知しており、JDTの監督、コーチらとも話し合いを行った結果、今回の選手選考となった。」と説明していました。
 特に先日のMリーグ年間表彰で今季の最優秀ディフェンダーを受賞したマシュー・デイヴィーズが代表に召集されなかったことで、その理由が「休養」と言う分かりづらい理由だったことからネット上はざわつきました。
 そんな中、マシュー・デイヴィーズが自身のインスタグラムに投稿し、マレーシア決勝にフル出場した後、ドイツに渡ってヘルニアの手術を受けていたことを明らかにしています。「ドイツでのスポーツヘルニア手術は成功。6ヶ月間苦しんできたので、早く痛みのない状態で体を動かしたい。JDTの手配のおかげで世界でもトップクラスの医師に執刀してもらうことができた。やっとくつろげる!」と言うコメントとともに、ベッドの上の写真を公開したディヴィーズ選手ですが、W杯カップ予選の時期にヘルニアを患ったようで、その後もACL、Mリーグ、そしてマレーシアカップを戦い切ったことが明らかになった今、その闘志に敬意を表するとともに来季に向けて術後の回復と休養を十分に取り、6月のアジアカップ最終予選にはベストコンディションで臨んでもらいたいです。

スズキカップ2020-ジュニオール・エルドストールがケガにより欠場へ

 スズキカップ2020に出場中のマレーシアは、入国時の新型コロナ検査で選手2名が陽性反応を示したことから隔離を強いられており、24名でシンガポールへ乗り込んだ代表は現在、22名となっています。ところがさらにケガ人が出たとマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 初戦のカンボジア戦で試合開始からわずか27分で交代していたジュニオール・エルドストルについて、試合後のタン・チェンホー監督は戦術上の交代であったと説明していましたが、本当の交代の理由はこの試合中に腹部を痛め、痛みと張りを訴えたからのようです。試合後の検査では休養が必要と診断されたエルドストル選手はすぐに戻れると思うとコメントしているようですが、エルドストル選手の休養により代表が現在、試合で起用できる選手は21名となってしまいました。
 所属するタイ1部のチョンブリーFCではセンターバックとして出場しているエルドストル選手ですが、カンボジア戦でタン代表監督は一つポジションを挙げて守備的MFとして起用していますが、中盤の選手はこれでバドロル・バクティアルとムカイリ・アジマルの2名だけになってしまいました。
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 タン監督は所属チームで左サイドバックでプレーする選手が複数いるにも関わらず、本来は右サイドバックのシャミ・サファリを起用し、上でも書いたように所属チームではセンターバックのエルドストル選手を中盤で起用するなど思い切ったポジション変更を行なっています。

クダのエースがトレンガヌ移籍

 Mリーグ1部スーパーリーグで今季は4位に終わったトレンガヌFCは、同じスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCで今季プレーしたリベリア代表FWのクパー・シャーマンの加入を公式Facebookで発表しています。
 今季はFIFAマッチデー期間中にMリーグの試合が強行されたことから、全試合に出場することができませんでしたが、それでもリーグ戦とマレーシアカップを合わせて23試合に出場し、14ゴールを挙げています。
 トレンガヌFCはMリーグが11試合に短縮となった昨季に6ゴールを挙げたモーリタニア出身のドミニク・ダ・シルヴァに代えて、インドネシア1部リーグでは2シーズンで35ゴール(42試合出場)の実績を提げ今季開幕前に加入したブラジル出身のFWデヴィッド・ダ・シルヴァがわずか7ゴール(13試合出場)に終わり、チームの得点数もリーグ5位の33得点に終わっています。
 なおトレンガヌFCは、上記のデヴィッド・ダ・シルヴァの他、同じくインドネシアリーグから移籍したマカン・コナテ(マリ)、デシ・マルセル(コートジボアール)、カルリ・デ・ムルガ(フィリピン)ら外国籍選手の退団を発表しています。これにより新加入のクパ・シャーマンと今季途中にセカンドチームから昇格したジョーダン・ミンター(ガーナ)、アルグジム・レゾヴィッチ(モンテネグロ)、ハビブ・ハルーン(バーレン)らが中心にチームを作り上げていく方針が見えてきました。なお退団するダ・シルヴァ、コナテの両選手は前所属のインドネシア1部リーグ、プルスバヤ・スラバヤへの復帰が濃厚な一方で、マルセル選手はシャーマン選手と交代するかのようにクダ加入の可能性が取り沙汰されています。
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 クパー・シャーマンが退団するクダは、このシャーマン選手と彼がW杯予選で不在だったときの穴を埋めて活躍したチェチェ・キプレ(コートジボアール)の2人とは契約を延長する一方で、ラビ・アタヤ(レバノン)、レノン・アルヴェス(ブラジル)、アヌマンサン・クマール(シンガポール)らの退団を発表しており、シャーマン選手のトレンガヌ移籍によって、チームの強化作の見直しが必要になりそうです。またキプレ選手もKLやスランゴールが獲得に動いていると言う報道もあり、クダは今季プレーした外国籍選手全員が退団となる可能性が高くなってきました。
 今季Mリーグ2位となり来季のAFCカップ出場が決まっているクダは、マレーシア人選手については代表コンビのMFバドロル・バクティアルと右サイドバックのリザル・ガザリがいずれもサバFCに移籍する一方で、右ウイングのアミルル・アズハン(ペラより加入)、MFカイルル・アズリン、右ウイングのアル=ハフィズ・ハルン、左ウィングのアメル・アズハル、左サイドバックのアズミール・アリス(いずれもペナンより加入)らを獲得しています。

12月8日のニュース:スズキカップ2020-アキヤ・ラシド「『ローカル』選手の実力を見せたかった」、新型コロナにより隔離のGKの代替招集が可能に、トレンガヌFCのナフジ監督は続投へ

 スズキカップでは初戦のカンボジア戦に快勝したものの、この勝利で帰化選手不要論がこれまで以上に声高に語られ、交代時に水の入ったボトルを投げたギリェルメ・デ・パウラの行動や、下の記事でも取り上げたアキヤ・ラシドの発言から「帰化選手対ローカル選手」の対立構造まで持ち出す報道が出るなど、代表チームを報じるニュースも賑やかになってきました。感情論ではなく、チーム内での純粋なポジション争いが激化すればそれは代表チームにとってプラスなるはず。是非、皆さんでガツガツ争っていただき、代表チームには準決勝とは言わず決勝進出して外野を黙らせて欲しいです。

スズキカップ2020-アキヤ・ラシド「『ローカル』選手の実力を見せたかった」

 12月5日にシンガポールで開幕した東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでは、初戦を白星で飾ったマレーシア代表。この試合でマンオブザマッチMOMに選ばれたのは22歳のアキヤ・ラシドでした。18歳で代表デビューすると、この天性のドリブラーはその試合でいきなりゴールを決め、その後の活躍が期待されました。しかしこの大会前まではキャップ数は26ながら、代表戦では途中出場のスーパーサブ的な起用にとどまり、デビュー戦のゴールも含めて通算4ゴールと期待に応えられていませんでした。
 そんなアキヤ選手が先日のカンボジア戦後のMOM表彰インタビューで発したのが冒頭の「『ローカル選手』の実力を見せたかった。」というコメントでした。
 ここ数年に渡り、マレーシアサッカー協会FAMは代表チーム強化のために帰化選手の活用を進めています。ここで言う帰化選手とは1)マレーシア国外で生まれ育ちながら父母や祖父母がマレーシア出身であることからマレーシア人の血を引く帰化選手(レガシー帰化選手)と、2)マレーシアジンの血は引かないものの国内で5年以上継続して生活しFIFAの規定によりマレーシア人として登録可能な帰化選手(ナチュラライズド帰化選手)に分かれます。1)で言えば、スズキカップ2020登録メンバーではドミニク・タン(シンガポール出身)、クエンティン・チェン(オーストラリア出身)ジュニオール・エルドストル(マレーシア生まれながらスウェーデンと英国育ち)、、ディオン・クールズ(マレーシア生まれながらベルギー育ちでU19代表経験あり)が、2)ではギリェルメ・デ・パウラ(ブラジル出身)が帰化選手です。また今回の代表には選ばれていないものの、今年6月のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選で主力としてプレーしたラヴェル・コービン=オング、ブレンダン・ガン、マシュー・デイヴィーズはレガシー帰化選手、ガンビア出身のモハマドゥ・スマレやコソボ出身のリリドン・クラスニキはナチュラライズド帰化選手です。
 特にナチュライズド帰化選手については、マレーシアサッカー協会が帰化選手プロジェクト委員会を協会内に捕捉させ、協会が主導する形で帰化選手獲得を進めてきた結果、去年と今年の2年間でリリドン・クラスニキとギリェルメ・デ・パウラがマレーシア国籍を取得し、6月のW杯予選に出場しています。W杯予選初戦のアラブ首長国連邦戦では、この両選手とモハマドゥ・スマレのナチュラライズド帰化選手3名に加え、レガシー帰化選手も合わせると先発11名中6名が帰化選手でした。このように帰化選手が増えれば、国内で生まれ育った「ローカル選手」の出場機会が減るわけで、このW杯予選でも代表入りしていたアキヤ・ラシドもその影響を受けた1人だったと言えるでしょう。
 しかし登録規定の都合もありこのW杯予選直前になっての代表参加となったデ・パウラとクラスニキ、さらにスマレのナチュラライズド帰化選手3名はこの予選でほとんど活躍できなかったことから、代表チームがW杯2次予選敗退後は帰化選手不要の声がサポーターから上がり、この批判を受けて可動かは分かりませんが、その後マレーシアサッカー協会は帰化選手の代表チームへの影響を見直すことを理由に帰化選手プロジェクトの一時停止を発表しています。
 そんな中でのスズキカップ2020でしたが、このカンボジア戦は27分に「戦術上の理由で」ジュニオール・エルドストールがムカイリ・アジマルと交代し、65分にはデ・パウラがルクマン・ハキムと交代したことで、図らずも帰化選手が1人もピッチ上にいない「ローカル選手」だけの布陣となりましたが、これは2017年のタン・チェンホー監督就任以来、初めてのことかも知れません。

新型コロナにより隔離のGKの代替招集が可能に

 スズキカップ開催のシンガポール入国時に行われた新型コロナの検査では、GKのカイルルハズハン・カリドとFWファイサル・ハリムの両選手が陽性反応を示したことから10日間の隔離となっいますが、マレーシアサッカー協会はスズキカップを主催する東南アジアサッカー連盟AFFに対して、代替招集の許可を求めていました。スズキカップの大会規定では、ゴールキーパーに限り・負傷などの理由などからの大会期間中の代替招集を認めています。
 これについてマレーシア通信社ブルナマはFAMによる代替招集の申請が認められたと報じ、サイフディン・アブ・バカルFAM事務局長は、既にタン・チェンホー代表監督と代替招集候補選手について話し合いを始めていると述べています。
 ただし今大会では背番号1をつけるカイルルアズハン選手の代替選手を招集した場合には、代わりにカイルルアズハン選手の出場選手登録が取り消され、隔離期間中の検査が陰性となっても今大会には出場できなくなります。
 報道ではカイルルアズハン、ファイサル両選手とも特に症状が現れていないと言うことで、隔離期間中の追加検査で陰性となれば、今後の試合には出場が可能となることから、サイフディンFAM軸曲調は代替選手を招集するかどうかの最終判断はタン監督に委ねられていることも明らかにしています。

トレンガヌFCのナフジ監督は続投へ

 今季のMリーグ1部スーパーリーグで4位、マレーシアカップは準決勝で敗退したトレンガヌFCは、ナフジ・ザイン監督に対して契約の延長をオファーしたことを明らかにしています。
 トレンガヌ州のアフマド・サムスリ・モクタル州首相が議長となり行われたトレンガヌFCの運営会社であるTFC社の理事会がこれを決定したと、ブルナマが報じています。
 TFC社のアブドル・ラシド・ジュソーCEOは、TFC社が来季の布陣を決定したことを受け、様々な要因を考慮した上で、来季の契約をオファーしたとしています。
 昨季は3位となったトレンガヌFCは今季、リーグ終盤に連敗するなどして最終的に4位となり昨季から順位を下げたことから、TFC社が設けた今季の重要業績評価指標KPIを達成していないとして、マレーシアカップも含めた今季の日程全てが終了した後もTFC社はナフジ監督の来季の契約に関して態度を表明していませんでした。
*****
 トレンガヌFCが来季の契約について時間をかけている間に、Mリーグの複数クラブがナフジ監督に接触したと言う噂もありますが、トレンガヌFCのサポーターは多くが続投を求めているとされ、またナフジ監督自身も今季終了後には来季の続投を希望していると話していることから、このオファーを受けるのは確実と見られています


12月5日のニュース:19歳のアリフ・アイマンが今季のMリーグMVP、FAMはMリーグクラブによる帰化選手申請を妨げず

19歳のアリフ・アイマンが今季のMリーグMVP

 今季2021年のMリーグ年間表彰式ナショナルフットボールアウォーズが昨日12月5日にオンラインで開催され、19歳のアリフ・アイマン(JDT)が史上最年少で今季のMVPを獲得しています。これ 今季2021年のMリーグ年間表彰式ナショナルフットボールアゥオーズが昨日12月5日にオンラインで開催され、19歳のアリフ・アイマン(JDT)が史上最年少で今季のMVPを獲得しています。これまでの最年少記録は2018年にサファウィ・ラシド(JDT)が記録した21歳でした。
 アリフ選手はJDTではリーグ戦、カップ戦合わせて今季31試合に出場し、成績自体は3ゴール、3アシストと目立った記録は残していませんが、記憶に残る活躍を見せており、MVPの他にベストFW賞と最も将来が期待される選手に与えら得るベストヤングプレーヤー賞も合わせて受賞しています。
 2021年年間表彰の受賞者は以下の通りです。

2021年ナショナルフットボールアウォーズ受賞者

最優秀GK:ファリザル・マーリアス(JDT)6度目
最優秀DF:マシュー・デイヴィーズ(JDT)2度目
最優秀MF:バドロル・バクティアル(クダ・ダルル・アマンFC)
最優秀FW:アリフ・アイマン(JDT)初受賞
最優秀監督:ボジャン・ホダック(KLシティFC)
最優秀外国籍選手:ロメル・モラレス(KLシティFC)
最優秀チーム:JDT
フェアプレー賞:FAM-MSNプロジェクト
ゴールデンブーツ(Mリーグとマレーシアカップを合わせた最多得点者):ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)- 30ゴール
Mリーグ1部最多得点(外国籍選手):イフェダヨ・オルセグン(スランゴールFC)- 26
Mリーグ1部最多得点(マレーシア人選手):バドロル・バクティアル(クダ・ダルル・アマンFC)- 7
Mリーグ2部最多得点(外国籍選手):フェルナンド・ロドリゲス(JDT II)/ ジョーダン・ミンター(トレンガヌFC II)- 16
Mリーグ2部最多得点(マレーシア人選手):ヌルシャミル・アブドル・ガニ(ケランタンFC)- 9

またサポーター投票による今季のベストXIは以下の通りです。(フォーメーション4-3-3で選出)
監督:ナフジ・ザイン(トレンガヌFC)
ゴールキーパー:ケヴィン・メンドーザ(KLシティFC)
右サイドバック:リザル・ガザリ(クダ・ダルル・アマンFC)
センターバック:レナン・アルヴェス(クダ・ダルル・アマンFC)、アリファジラー・アブ・バカル(トレンガヌFC)
左サイドバック:ラヴェル・コービン=オング(JDT)
ミッドフィルダー:ザフリ・ヤハヤ(KLシティFC)、バドロル・バクティアル(クダ・ダルル・アマンFC)、レアンドロ・ヴァレスケス(JDT)
右ウィング:アリフ・アイマン(JDT)
センターフォワード:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
左ウィング:ゴンザロ・カブレラ(JDT)

FAMはMリーグクラブによる帰化選手申請を妨げず

 マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長はMリーグクラブ主導による外国籍選手の帰化申請に関してクラブの意思に任せると述べています。
 代表チーム強化を目的としたFAM主導の帰化プログラムは、代表チームに帰化選手が加わることの効果について検討するため、現在は一時停止中ではあると述べたハミディン会長は、Mリーグクラブによる外国籍選手の帰化申請きに関してはクラブの権利であり、申請の条件を満たしているのであれば、FAMがそれを妨げることはしないと、マレーシアの通信社ブルナマの取材に答えています。
 FAMは代表チーム強化を目的として帰化選手申請プログラム委員会を発足させ、これまでにブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラ(JDT)とコソボ出身のリリドン・クラスニキ(JDTからインドスーパーリーグのオディシャFCに期限付き移籍中)の帰化申請を支援し、両選手は現在、マレーシア国籍を取得しています。またガンビア出身のムハマドゥ・スマレ(JDT)は当時所属していたパハンFAを運営していたパハン州サッカー協会の支援で帰化選手となっています。
 今日から開幕するスズキカップに出場するマレーシア代表にはこの3名の帰化選手の内、デ・パウラ選手だけしか召集されていないことを指摘されたハミディン会長は、タン・チェンホー監督の人選については異論がないと前置きした上で、移籍したばかりのクラスニキ選手は実戦が不足していることから召集せず、またスマレ選手は一旦は召集したもののケガによりチームから外れることになったと説明を受けていると述べています。
 マレーシアカップで優勝したKLシティFCは、コロンビア出身のロメル・モラレスについてFIFAが規定する同一国に5年以上継続して居住するという帰化選手の条件を満たすことから、帰化選手申請を行う計画があることを明らかにしている一方で、スリ・パハンFCは英国出身のリー・タックの帰化申請を始めていると現地メディアで報じられています。

12月2日のニュース:KLシティFCのマレーシアカップ優勝を祝って12月3日が祝日に、サバFCが来季に向けて大型補強を敢行、ペラFCの給料未払いは新オーナーが10日以内の解決を約束

 KLシティFCのマレーシアカップ優勝の興奮が冷めやらぬ中、多くのクラブが来季に向けて動き始めています。マレーシアでは一般に選手とクラブの契約は11月末までとなっており、前所属クラブとの契約満了を待って、次が変わった12月から続々と新加入選手の発表が行われそうです。

KLシティFCのマレーシアカップ優勝を祝って12月3日が祝日に

 11月30日に行われたマレーシアカップ決勝では、Mリーグ優勝との2冠達成を目指したJDTをKLシティFCが2-0で破り、前身のクアラルンプールFAから数えて32年振りとなるマレーシアカップ優勝を果たしていますが、これを祝してクアラルンプールを含む連邦直轄地では12月3日が祝日になることが発表されています。
 昨日急遽、開かれた記者会見でシャヒダン・カシム連邦直轄地担当大臣は、クアラルンプールだけでなくプトラジャヤ、ラブアンも含めた全ての連邦直轄地で12月3日が祝日となると発表しています。マレーシアにはどの州にも属さない政府の直轄地(マレーシアは連邦制をとっていることから連邦直轄地と呼ばれています。)があり、首都クアラルンプール、行政府が集まるプトラジャヤ、そして東マレーシア(ボルネオ島)の沖にあるオフショア金融センターのラブアン島がこれにあたります。
 マレーシアカップ決勝前にはJDTが勝てばジョホール州の祝日を設けるとジョホール州首相も話しており、サッカーで勝ったから祝日!というのはマレーシアでは「あるある」なのですが、前任者のアヌアル・ムサ前連邦直轄地大臣、そしてその前任者であるカリド・サマド元連邦直轄地大臣とともにスタンドでマレーシアカップ決勝を観戦しながら、前任者の2人はフィールドでの表彰式に呼ばれて参加した一方で、自分だけが呼んでもらえなかったといった愚痴を試合後に自身のFacebookに投稿したシャヒダン連邦直轄地担当大臣による発表だけに、祝日制定自体は合法とはいえ政治家特有の人気取りパフォーマンス的な面もありそうです。ちなみにアヌアル前連邦直轄地大臣はKLシティFCの会長、カリド元連邦直轄地大臣はクアラルンプールサッカー協会会長を務めています。

サバFCが来季に向けて大型補強を敢行

 今季のMリーグ1部スーパーリーグでは4勝7分け11敗で9位に終わったサバFCが次々と大物選手を獲得しています。昨季に続き今季も指揮を取ったインドネシア出身のクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督が後半戦10試合を0勝3分7敗としたことからリーグ閉幕後に解任され、マレーシアサッカー協会FAMのテクニカルディレクターを務めていたオン・キムスイ監督が10月1日付で就任したサバFCは、マレーシアカップではグループステージを突破し、マラッカ・ユナイテッドFCに敗れたもののベスト8に進出しています。
 2009年から2018年までU22やU23代表監督を務めてきたオン監督は、各年代に指導した選手がいることから、サバFCはその人脈を使った大型補強を次々と発表しています。2011年にインドネシアのジャカルタで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーでマレーシアは優勝していますが、この大会に出場したU23代表の指揮を取ったのがオン監督のもとで主将を務めたMFバドロル・バクティアルが同じ1部スーパーリーグで今季2位のクダ・ダルル・アマンFCから移籍する他、2018年のAFC U23選手権(現U23アジアカップ)予選で監督を務めたU23代表の主将DFドミニク・タンも出場機会がなかったタイ1部のポリス・テロFCからの移籍が決まっています。
 この他FAMのテクニカルディレクター時代に設立に関わったFAM-MSNプロジェクト(2部プレミアリーグ)でプレーし、今季リーグ戦でマレーシア人選手としてはリーグ2位の8ゴールを挙げた18歳のFWアズハド・ハラズの獲得のために地元サバ州サンポルナ出身のアズハド選手の実家を電撃訪問するなど、今季は得点はリーグ8位、失点はリーグ9位と降格した11位のチームとは勝点差がわずか3だったチームの立て直しを図るオン監督ですが、バドロル、タンの両代表選手やU22代表のアズハド選手に加え、今後も代表クラスの加入が噂されているサバFCは来季の台風の目になることは間違いなさそうです。
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 2部プレミアリーグから1部スーパーリーグへ昇格した際に、それまでクラブレベルでの指導経験がなく、インドネシアU23代表のアシスタントコーチの経験しかなかったクルニアワン・ドゥイ・ユリアント氏を監督に据えた時点で既にサバFCは失敗していたようにも思えます。また昨季の10位から捲土重来を期したクルニアワン氏でしたが、インドネシア代表では歴代2位の33ゴール(キャップ数59)を挙げている「レジェンド」にとっては、期待していた自国代表のFWサディル・ラムダニがケガによりシーズン途中で脱落するなどの誤算もあり、今季を最後まで全うすることができませんでした。

ペラFCの給料未払いは新オーナーが10日以内の解決を約束

 今季開幕直後から給料未払いが発覚し、大半の主力選手がシーズン途中に退団したことから今季のMリーグ1部スーパーリーグでは11位となり、来季の2部プレミアリーグ降格が決まっているペラFCですが、先日のこのブログでもニュースとして取り上げたように広告会社のインパクトメディアアンドコミュニケーション社(IMC社)がクラブの株式100%を購入して新たなオーナーとなっています。
 このIMC社に株式を譲渡したペラ州サッカー協会PAFAを統括するペラ州政府青年・スポーツ・コミュニケーション・マルチメディア委員会のカイルル・シャーリル委員長は、既に3ヶ月分を超えるとされる未払い給料について、IMC社がこの問題解決の時間を必要としているとして10日の猶予を与えたと話しています。なおペラFCの給料未払い問題に関しては、マレーシアプロサッカー選手会PFAMも選手から訴えがあったことを明らかにしています。
 また、このIMC社への株式譲渡にはペラ州サッカー協会メンバーの総意を得られないまま譲渡が決定したとして、臨時総会の開催を求めた協会傘下の地区サッカー協会の代表者12名をムハマド・ヤザン会長代行が評議員から免職処分を下すと、この12名が独自に臨時総会を告知する泥試合となっており、ペラFCを取り巻く問題はまだまだ一件落着とはならなそうな気配です。


12月1日のニュース:KLシティFCが32年ぶりにマレーシアカップ優勝、KLシティFCは来季AFCカップ出場権も獲得

KLシティFCが32年ぶりにマレーシアカップ優勝

 今季の国内サッカーの最終戦となるマレーシアカップの決勝が11月30日にクアラルンプールのブキジャリル国立競技場で開催され、KLシティFCがJDTを破り前身のクアラルンプールFAが1989年に優勝して以来32年ぶりの優勝を飾っています。
 前日の記者会見でJDTのベンヤミン・モラ監督がKLシティFCを「喰らいに行く」と宣言した通り、試合開始から猛攻を続けるJDTに対し、フィリピン代表に復帰したGKケヴィン・メンドーザの度重なるファインセーブなどでKLシティFCはこれを凌ぎます。しかし、果たしてこれがあと45分続けられるのか、と不安を残して始まった後半でしたが、後半に入るとKLシティFCは徐々にJDTサイドでのプレー時間が増え始め、アンダードックのKLシティFCが何度もあった好機に得点を奪えなかった王者JDTにプレッシャーをかけ始めます。
 そんな中、66分に左サイドのJ・パルティバンからのクロスにファーサイドのザフリ・ヤハヤが飛び込み、KLシティFCが欲しかった先制ゴールを挙げてリードします。ここ両チームの動きが活発になる中、74分にはライアン・ランバートからのパスをペナルティエリア内で受けた主将のパウロ・ジョズエが振り向きざまにシュートを決め、KLシティFCは2-0とさらにリードを広げます。
 ギアが上がったJDTはナチョ・インサらが得意の汚いプレーも見せながらゴールを狙いますが、この日一番のヒーロー、GKメンドーザが文字通りゴール前に仁王立ちして失点を許さず、最後は今季引退を発表しているシュコル・アダンを投入する余裕を見せたKLシティFCがこのまま2-0で勝利し、2部昇格からの32年ぶりマレーシアカップ優勝というシンデレラストーリーを達成して、100周年記念大会となった今季のマレーシアカップに花を添えるとともに今季のマレーシア国内サッカーシーズンのフィナーレを飾りました。
 スタッツを見れば、JDTのシュート数14(オンターゲット9)に対してKLシティFCのシュート数は5(オンターゲット2)、コーナーキックはJDTの6に対してKLシティFCは2、ボールポゼッションもJDTの60%に対してKLシティFCは40%と、数字的には明らかに優勢だったJDTでしたが、試合後のインタビューでボジャン・ホダック監督が話したように、DF陣だけでなく、FWの選手も含めた全員守備、そして全員攻撃で勝ち取った優勝でした。

2021年11月20日@ブキジャリル国立競技場(クアラルンプール)
KLシティFC 2-0 JDT
得点者:KL-アムリ・ヤハヤ(66分)、パウロ・ジョズエ(74分)
最優秀選手:アムリ・ヤハヤ
(下のダイジェスト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

KLシティFCは来季AFCカップ出場権も獲得

 今季のマレーシアカップで優勝を果たしたKLシティFCは、来季2022年のAFCカップ出場権も獲得しています。
 今季開幕前にマレーシアカップを運営するMFLは、Mリーグ1部スーパーリーグ優勝チームにはACLの出場権を、マレーシアカップとマレーシアFAカップそれぞれの優勝チームにはAFCカップ出場権が与えられるとしていましたが、新型コロナの影響によりマレーシアFAカップは昨季に続き中止となり、これによりAFCカップ出場枠はMリーグ2位のチームに与えられることになりました。またMリーグ優勝チームがマレーシアカップでも優勝した場合には、Mリーグ3位にAFCカップ出場権が授与されることも発表になっていましたが、KLシティFCがJDTを破ったため、KLシティFCはマレーシアカップ優勝チームとして、来季のAFCカップ出場を決めています、

11月30日のニュース:今季のフィナーレを飾るマレーシアカップは今日決勝、タイ1部第15節-代表コンビは揃って出場もタンは退団へ

今季のフィナーレを飾るマレーシアカップは今日決勝

 100周年記念大会となったマレーシアカップは今日11月30日午後9時からブキジャリル国立競技場を舞台に決勝が行われ、2019年に続き連覇を狙うJDT(Mリーグ1部今季1位)と決勝進出32年ぶりのKLシティFC(同6位)が対戦します。準々決勝、準決勝はいずれもホームアンドアウェイ方式で行われましたが、決勝は文字通りの一発勝負。JDT有利の予想が大方を占める中、KLシティFCのボジャン・ホダック監督が策士としての本領を発揮すれば、好試合が期待できそうです。ということで今回は今日の決勝戦にまつわる小ネタ集です。

1. 両チームともグループステージから無敗
 JDTはグループステージから準決勝までの10試合を8勝2分(19得点2失点)、一方のKLシティFCは6勝4分(17得点6失点)と無敗で勝ち上がっています。

2. 今季のリーグ戦ではJDTの1勝1分
 今季リーグ戦からマレーシアカップまでホームでは15戦無敗のKLシティFCは4月30日にJDTと対戦して1-1で引き分けており、この時のJDTのゴールは既に退団したシンガポール代表主将のハリス・ハッルンがゴールを決めています。またJDTがKLシティFCをホームに迎えた9月12日の今季Mリーグ最終戦では、KLシティFCはニック・シャールルのオウンゴールで1-2と敗れています。

3. KLシティFCのホダック監督は今回が4度目のマレーシアカップ決勝
 KLシティFCは32年ぶりの決勝進出ですが、クラブの指揮を取るボジャン・ホダック監督自身は今回が4回目のマレーシアカップ決勝です。2012年にケランタンFA(現ケランタンFC)を率いてマレーシアカップに優勝し、国内3冠(Mリーグ、マレーシアカップ、マレーシアFAカップ)を達成した浦ダック監督は翌2013年にもケランタンFAで2年連続でマレーシアカップ決勝に進出しましたが、この年は決勝で敗れています。その翌年の2014年にJDTの監督に就任したホダック監督は、前年同様パハンFA(現スリ・パハンFC)に決勝で敗れています。ただしこの2014年の決勝は前後半を終えて2-2から延長戦に入るも決着がつかず、最後はPK戦による惜敗でした。

4. 幻となった「師弟対決」
 前述の2014年の決勝ではサフィク・ラヒムがJDTの主将を務めており、今日の決勝戦では7年前の決勝では同じチームだったホダック監督との「師弟対決」になるはずでしたが、サフィク選手は11月26日の準決勝第2戦トレンガヌFC戦で試合中にトレンガヌFCのファイサル・ハリムに頭突きを喰らわせて1発退場となり、今日の決勝戦は出場停止になっています。

5. 3度目の優勝を目指すJDTに対しKLは32年前に3連覇達成
 2017年、2019年(2020年は新型コロナにより大会中止)に続く3度目の優勝を目指すJDTに対し、32年ぶりの決勝進出となったKLシティFCですが、1987年から1989年までは前身のクアラルンプールFAがファンデイ・アフマドとマレク・アワブ、K・カナンのシンガポールトリオの活躍で3連覇を果たしています。ちなみにこの3連覇の立役者で当時のクアラルンプール市長でクアラルンプールサッカー協会会長でもあったエリアス・オマー氏、そして3連覇を果たした監督のチョウ・カイラム氏はいずれも故人となりましたが、キャラクターが濃いこの2人の印象はちょうどマレーシアのサッカーを見始めたばかりの私にはとても印象深く残っています。

タイ1部第15節-代表コンビは揃って出場もタンは退団へ

 2021/2022年シーズンのタイ1部リーグ第15節が11月27日と28日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCはラーチャブリー・ミトポンFCに勝利し3位に浮上、一方DFドミニク・タンが所属するポリス・テロFCもチェンマイ・ユナイテッドに勝利し、順位を2つ下げて今季最高位の9位としています。

タイ1部リーグ第15節
2021年11月27日@ブンヤジンダースタジアム
ポリス・テロFC 1-0 チェンマイ・ユナイテッド
 11位のポリス・テロFCが最下位のチェンマイ・ユナイテッドに勝利し、今季最高位の9位に浮上しています。
 ドミニク・タンは88分から出場し、試合終了までプレーしています。

2021年11月28日@チョンブリースタジアム
チョンブリーFC 3-0 ラーチャブリー・ミトポンFC
 今季のACLではMリーグチャンピオンのJDTや名古屋グランパスと同組となったラーチャブリー・ミトポンFCと対戦したチョンブリーFC。4日前にはFAカップで最下位のチェンマイ・ユナイテッドに敗れる波乱がありましたが、この試合ではリーグ戦6試合無敗の好調を取り戻して解消しています。
 ジュニオール・エルドストールは先発してフル出場しています。

タイ1部リーグ順位表(第15節終了)

順位チーム試合得失差勝点
1ブリーラム・ユナイテッド1510231632
2バンコク・ユナイテッド1510231532
3チョンブリーFC158431428
9ポリス・テロFC15555-220
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFC、ポリス・テロFCのみ表示しています。
ドミニク・タンはポリス・テロ退団へ

 タイ1部ポリス・テロFCに所属するマレーシア代表DFドミニク・タンが自身のインスタグラムを更新し「ポリス・テロFC、素晴らしい思い出をありがとう。一生忘れません。でもこれは終わりではありません。私は戻ってきます。コップンカップ」というメッセージとともにチームメートとの写真を投稿しています。
 2019年にJDTから期限付き移籍で当時2部に在籍していたポリス・テロFCに加入していたタン選手は、翌2020年には完全移籍していました。
 昨季は21試合に出場しましたが、今季は第9節まで出場はなく、初出場となった第10節以降も終盤の起用が多く、第15節まででプレー時間の最長は29分でした。
 U23代表では主将も務めるなど将来の代表DF陣の中心選手と目されていただけに、この出場時間の少なさでは、今後は代表招集すら危うくなることからの退団のようです。
 ポリス・テロFC退団後は、U23代表時代の監督だったオン・キムスイ監督が就任したMリーグ1部のサバFCへの加入が濃厚と噂されています。今季Mリーグ2部のFAM-MSNプロジェクトでプレーし、マレーシア人選手としてはリーグ2位の8ゴールを挙げたU22代表でもプレーする18歳のFWアズハド・ハラズに4年契約をオファーする一方で、今季Mリーグ1部2位のクダ・ダルル・アマンFCからMFバドロル・バクティアル、DFリザル・ガザリ、マレーシアカップでベスト4のマラッカ・ユナイテッドFCからGKカイルル・ファミ・チェ・マットの代表トリオ獲得が噂されるなど、来季に向けた大型補強が噂される中、タン選手獲得もその一つと考えられています。

マレーシアカップ2021-準決勝第2試合結果-決勝のカードはJDT対KLシティFCに決定

 11月26日にマレーシアカップ準決勝第2戦の2試合が行われ、JDT(Mリーグ1部今季1位)が退場者を出しながらもトレンガヌFC(同4位)を3-0で一蹴し準決勝2試合通算のスコアを4-1として決勝進出をきめた一方、KLシティFC(同6位)対マラッカ・ユナイテッド(同8位)戦は90分を終えて1-1、さらに前後半合わせて30分の延長戦でも決着がつかず、PK戦へとも連れ込み、KLシティFCが5-3でマラッカ・ユナイテッドFCを振り切って、最後は日付が今日になっていた準決勝第2戦に勝利しています。この結果、11月30日にクアラルンプールのブキジャリル国立競技場で行われるマレーシアカップ100周年大会の決勝戦は、大会2連覇を目指すJDTと前回優勝した1989年以来32年ぶりの決勝進出となったKLシティFCの対戦となりました。
(試合の映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。)

マレーシアカップ準決勝第2戦
マラッカ・ユナイテッドFC 1-1 KLシティFC(通算スコア2-2、PK3-5)

2021年11月26日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
得点者:KL-J・パルティバン(9分)、シャミン・ヤハヤ(65分)
 停電により試合開始が1時間遅れて午後10時キックオフとなるなど波乱の予感が漂った試合は双方が総力戦で臨む中、パウロ・ジョズエのコーナーキックからのクリアボールを蹴ったアクラム・マヒナンのボールがゴール前に転がり、これをJ・パルティバンが振り向きざまにシュート。角度が変わったボールにマラッカ・ユナイテッドGKのカイルル・チェ・ファミが反応できずそのままゴールとなりKLシティFCが9分に先制し、そのまま前半は1-0で折り返します。
 後半に入るとマラッカ・ユナイテッドFCは65分にソニー・ノルデのコーナーキックからゴール前でアクマル・ザヒルが頭で流したボールをシャミン・ヤハヤが押し込んで同点とすると、その後は90分で決着がつかず、この試合は今大会初の延長戦に入りました。しかし延長前半、後半とも両チームがゴールを挙げることができず、120分で決着がつかなかった試合はPK戦に入りました。
 KLシティFCの先行で始まったPK戦は、1人目のキッカーに立った主将のパウロ・ジョズエからロメル・モラレス、インドラ・プトラ・マハユディン、ハディン・アズマンそしてジャンカルロ・ガリフォッコと5人全員がPKを決めたKLシティに対し、、マラッカ・ユナイテッドはアドリアーノ、マヌエル・オットと2人がいずれもPKを決めた後の3人目となったジョヴァンニ・ゴメスのシュートがゴールポストを叩いてい失敗となり、クラブ史上初のマレーシアカップ決勝進出はなりませんでした。

マレーシアカップ準決勝第1戦
JDT 3-0 トレンガヌFC(通算スコア4-1)

2021年11月26日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
得点者:JDT-ベルグソン・ダ・シルヴァ2(6分、15分)、ゴンザロ・カブレラ(11分)
 JDTのホームで行われたこの試合は、準決勝第1試合で負傷した主将カルリ・デ・ムルガ不在の影響もあり、試合開始直後から意思の疎通が取れていないトレンガヌFC守備陣の隙をついて7分にはエースのベルグソン・ダ・シルヴァがミドルシュートを決めて先制すると、11分にはゴンザロ・カブレラ、そして15分には再びベルグソン・ダ・シルヴァがゴールを決めるなど、試合開始からわずか15分でJDTが3-0として、勝負あったかと思われた試合でしたが、16分にはオフザボールの場面でJDTのサフィク・ラヒムがトレンガヌFCのファイサル・ハリムに頭突きを食らわせて1発レッドで退場となります。
 準決勝2試合の通算スコアが4-1となった試合展開にも関わらず元代表主将が起こした愚行はトレンガヌFCに有利に働くかと思われましたが、そこからのJDTは…いやぁ強かった。というかトレンガヌFCは好機にシュートが枠を捉えられず、またパスの精度も低くボールが繋がらない、繋がってもすぐにボールを奪われるなど、相手が10人という数的有利すら活かすことができず全くの完敗でした。10人全員が全力でボールに激しく寄せてくるJDTに対して、トレンガヌFCは緩慢な動きでパスのコースをことごとく潰され、最後はチャンスさえもほとんど作り出すことができず、個々の選手の技術や体力、さらにチーム力とすべての面でこの試合ではトレンガヌFCはJDTに完敗、審判の助けを借りずにで2019年に続く2連覇(2020年は新型コロナの影響でマレーシアカップは中止)、そして今季2冠を目指して決勝進出を決めています。