10月24日のニュース:2021年のU20ワールドカップはインドネシア開催が決定、最新のFIFAランキングでマレーシアは158位と変わらず、JDT II監督が退任

2021年のU20ワールドカップはインドネシア開催が決定
 スポーツ系ニュースのポータルサイトであるフォックススポーツは、10月24日に中国の上海で開かれた国際サッカー連盟FIFAの定例会議の席上で、U20ワールドカップの開催国にインドネシアが決定したと報じています。
 当初はタイ、ミャンマーも含めた8カ国が開催に立候補していましたが、今年8月にタイとミャンマーが立候補を取りやめたことにより、インドネシアは東南アジアで唯一の立候補国となっていました。その後、最終的にはブラジル、ペルーとの争いになっていたようですが、両国に勝って、開催権を獲得したようです。
 またこの定例会議では、新たに24チームが出場する新たなクラブワールドカップが2021年に中国で、またU17ワールドカップが2021年にペルーでそれぞれ開催されることも発表しています。
(下はインドネシアサッカー協会PSSIのインスタグラムに挙げられた大会ロゴ)

最新のFIFAランキングでマレーシアは158位と変わらず
 10月24日に最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回と変わらず158位と変わりませんでした。
 東南アジアでは、ベトナムが97位(前回は99位)、先日のワールドカップ予選でアラブ首長国連邦を破った西野朗監督のタイが109位(同114位)、同じく中国と0-0で引き分けたフィリピンが126位(同127位)とトップ3を構成しています。
 これに続くのがミャンマーの147位(同145位)で、これに続くマレーシアは東南アジアでは5番手につけています。
 マレーシア以下の国では吉田達磨監督のシンガポールが159位(同157位)、インドネシアが171位(同167位)、本田圭佑氏が実質的な指揮を取るカンボジアは172位(169位)、以下ラオス188位(同187位)、ブルネイ191位(同191位)、東ティモール198位(同199位)と続いています。
(以下はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

JDT II監督が退任
 先日のチャレンジカップ でPK戦の末、UKM FCを下して初優勝したジョホール・ダルル・タクジムJDTのBチーム、JDT IIのエルヴィン・ボバン監督が退任することがJDTのホームページで伝えられています。
 クロアチア出身のボバン監督は1989年から1995年まで、JDTの前身となったジョホールFAでプレーし、1991年にはマレーシアカップ優勝に貢献しています。当時のチームメートには、現JDTテクニカルダイレクターのアリスター・エドワーズ、アッバス・サアドなどがいました。
 その後、2015年からはJDT III(U21チーム)、そして昨年2018年からはJDT IIの監督を務め、選手、コーチとして12年間に渡ってジョホールFAそしてJDTに関わってきたボバン監督ですが、今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグで優勝したサバFAに勝点で10点も離された2位になり、チャレンジカップでも、決勝第2戦ではUKM FCに敗れるなど苦しいシーズンとなっていました。(下はJDTのFacebookより)

10月23日のニュース:FAMは華人社会のサッカー界へのさらなる参加を期待、U22監督はルクマンの早急な昇格に慎重姿勢

FAMは華人社会のサッカー界へのさらなる参加を期待
 マレーシアサッカー協会のダト・ハミディン・モハマド・アミン会長は、華人社会からのより積極的な国内サッカーへの参加を期待していると述べています。
 マレーシアの通信社ベルナマの報道によれば、FAMはマレーシア華人サッカー協会MCFAと協力して、選手、コーチ、審判、フロントなど様々な分野に華人のより積極的な参加を促すためのプログラムを検討中と言うことです。
 多民族国家のマレーシアは、大雑把に人種構成を見てみるとマレー系と先住民族を含めたブミプトラと呼ばれるグループが全国民の約69%を占め、中華系マレーシア人(華人)が約23%、インド系マレーシア人が約7%、その他が1%となっていますが、例えば先日のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選ベトナム戦に招集された23名のうち、帰化選手を除いた19名の顔ぶれを見ると、華人はドミニク・タン(タイリーグ2部、ポリス・テロFC)1名のみ、インド系に至っては0名でした。
 しかし1970年代から80年代にかけては多くの中華系やインド系マレーシア人がプレーしていたようです。ちなみにマレーシアが初めてサッカーで出場した1972年のオリンピックチーム19名は11名がマレー系、6名が中華系、2名がインド系でした。
 FAMのハミディン会長によると、中華系の選手が少ない理由としては、中華系家庭の理解不足があるとしています。子どもがサッカーを続けていくことで、たとえプロになれない場合でも、選手の代理人やスポーツ関連産業や企業への就職につながっていくと言った進路もあることなどが理解されれば、中華系の子たちの草の根レベルからの参加も増えることが期待できるともハミディン会長は述べています。
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 子どもの教育は自分の老後のための投資、と考える中華系マレーシア人の親は私の周りでも見かけますが、そう言った方々から見れば、プロサッカー選手はやはり不安定な仕事に見えるのでしょう。そう言った方々からの理解が得られない限り、中華系のサッカー選手数が増えることはなさそうです。
 その一方で、非常に興味深いのは、現在のフル代表のタン・チェンホー監督、U22代表のオン・キムスイ監督、フットサル代表のチュウ・チュンヨン監督はいずれも中華系マレーシア人だということ。さらにU18代表の監督はオーストラリア人ですが、u16代表のマニアム・パチャイアパン監督、女子フル代表のジェイコブ・ジョセフ監督はいずれもインド系マレーシア人で、ブミプトラ系のマレーシア人指導者が代表レベルにはいないと言うことも書き添えておきます。

U22監督はルクマンの早急な昇格に慎重姿勢
 12月にフィリピンで開催される東南アジア競技大会、通称シーゲームズに参加するU22代表のオン・キムスイ監督は、17歳のルクマン・ハキム・シャムスディンのフル代表への招集を求める多くのサッカーファンに対して、まずはU19代表チームで経験を積み、さらにはU22代表で、それからフル代表へと言う手順を踏んで昇格していくことへの理解を求めています。
 まずは召集されているU19代表で来月11月2日から10日までカンボジアのプノンペンで開催されるAFC U19選手権予選でパフォーマンスを見た上で判断するべきと、ベルナマの取材に答えています。さらにU16代表とU22代表はAFC選手権予選で敗退していることから、U19代表のAFC選手権本大会出場が重要であること、また現在のU19代表の選手たちは、2024年パリオリンピック予選に出場するU22代表の候補でもあることから、アジアのトップが揃うU19選手権本大会出場を優先するべきなど述べた上で、ルクマン選手が今、この時点でフル代表に参加するのは適切でないとしています。
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 ルクマン選手にこれだけ期待が高まるのは、ワントップのノーシャルル・イドラン・タラハ(パハンFA)を含めた攻撃陣の不調が原因として挙げられますが、その他には先日の対アラブ首長連邦国UAE戦で決勝ゴールを決めたタイ代表の20歳エカニット・パンヤ、そしてこの試合で途中出場した17歳のスファナット・ムエアンタの存在があります。隣国のフル代表でプレーする若手を見て、何故、マレーシアにもそう言った選手が現れないのか、と考えるファンもいるようですが、ルクマン選手は国家サッカー選手養成プログラムNFDPといった、いわば純粋培養で育てられた選手です。その一方でパンヤ選手やムエアンタ選手は既に国内リーグ戦でプレーしているなど、その環境も大きく異なります。
 NFDP1期生であるルクマン選手とその同期34名はここでプログラムから卒業しますが、そのうちの多くの選手がJDT、スランゴールFA、クダFAなどの有力クラブと契約済みと言われていますので、そういった選手たちがMFLでプレーするようになれば、マレーシアにもパンヤ選手やムエアンタ選手のように10代で代表入りする選手が現れるかもしれません。

10月21日のニュース:フル代表はWC予選タイ戦前にタジキスタンと対戦、WC予選ベトナム戦にUAEのエースが欠場

フル代表はWC予選タイ戦前にタジキスタンと対戦
 マレーシアサッカー協会FAMのFacebookでは、マレーシア代表が11月9日にブキ・ジャリル競技場でタジキスタン代表と国際親善試合を行うことが告知されています。 直近のFIFAランキングでは、マレーシアが158位に対して、タジキスタンは115位となっています。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権2023年アジアカップ予選では、アウェイとなった初戦のインドネシア戦では3-2と快勝したものの、ホームのUAE戦は1-2の逆転負け、そして続くアウェイでのベトナム戦は0-1の完封負けと失速気味。この後は11月14日にタイ戦、同19日にはインドネシア戦がいずれもブキ・ジャリル国立競技場で予定されていますが、その前にFIFAランキングで格上チームと対戦することで、負ければワールドカップどころかAFCカップ出場すら遠のいてしまう可能性があるホームでの2戦に備えようというところでしょう。 ベトナム戦の前にはスリランカ(FIFAランキング202位)との国際親善試合を組み6-0と圧勝したものの、格下相手の試合をいくらこなしてもチーム力が向上しないのは素人の私にも分かります。このタジキスタン戦では、ここ数試合ミスの目立つDFシャルル・サアド(ペラTBG)ら守備陣、そして得点に絡めていないシャフィク・アーマド(JDT)以外の攻撃陣が格上相手にどんなプレーを披露してくれるのかに注目です なおタジキスタン代表は今回のワールドカップ予選では日本と同じグループFに所属し、2勝1敗でグループ3位となっています。

WC予選ベトナム戦にUAEのエースが欠場
 ワールドカップ予選ではマレーシアと同組で、現在はタイと並ぶ勝点7ながら得失点差によりグループGの2位となっているベトナムは、次戦はグループ3位のアラブ首長国連邦UAEと対戦しますが、このUAEのFWアリー・マブフートが累積警告のため、ベトナム戦は欠場となります。 マレーシア戦とタイ戦でそれぞれイエローカードをもらったことによる累積警告による出場、FIFAの規定で ここまでの予選3試合でマレーシアを粉砕した2ゴール、そしてインドネシア戦でのハットトリックなど、合計6ゴールを挙げているマブフート選手の欠場は、ベトナムにとっては朗報でしょう。また、このグループ1位通過候補とされていたUAEにとっては、このベトナム戦の結果いかんでは、タイ、ベトナムの後塵を排してワールドカップアジア二次予選で敗退の可能性もあります。 マブフート選手は、ワールドカップアジア二次予選では、シリアのオマル・アッ=ソーマの7ゴールに次ぐ6ゴールを挙げています。

10月17日のニュース:サバFAは新監督を外部招聘、トレンガヌFAは新たにTDを設置、ルクマンをU22代表候補合宿へ招集か

サバFAは新監督を外部招聘
 今季2019年のMFL2部プレミアリーグ優勝のサバFAは、新監督を外部から招聘する予定であることが、東マレーシアの英字紙デイリーメイル電子版で伝えられています。
 今季サバFAの監督を務めたジュリアス・アティン監督は、来季2020年よりマレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグへ昇格しますが、スーパーリーグが監督資格の一つとして挙げているアジアサッカー連盟AFCのプロライセンスを保持していないため、今回の外部招聘となったと、サバ州サッカー協会SABA年次総会席上でサバFAのダト・ピーター・アンソニー会長が発表しています。
 元サバFAの主将も務めたアティン監督を含め、サバFA内にはAFCプロライセンス保持者がいないため新監督はサバ州外から招聘すること、既に候補者の人選も終わっていることなどなども発表されています。またアティン監督は今季の新監督の元でアシスタントコーチを務めることになっています。
 新監督の他、新外国籍選手も最終候補者が決まっているようで、ピーター会長の言葉を借りると「新外国籍選手は皆を驚かすような選手で、JDTの選手よりも良い選手である」とも述べています。
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 JDTの選手より良い選手、というのがとても気になります。ジオゴ級の選手を獲得するくらいの気概があれば、昇格組ながらスーパーリーグに旋風を巻き起こすかも知れません。

トレンガヌFAは新たにTDを設置
 来季に向けて今季途中から指揮を取っていたナフジ・ザイン監督代行が新監督に昇格するトレンガヌFC。このトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTは、来季からテクニカルダイレクターTDを職を設けることを発表しています。なおマレーシアサッカー協会FAMは、MFL各クラブへの来季クラブライセンス交付要件の一つにTD設置を挙げています。
 PBSNTのヒシャムディン・アブドゥル・カリム副会長は、トレンガヌFC各年代のチーム(トレンガヌFC IからトレンガヌFC V)の監督、コーチが全員決定した後になること、またPBSNTの経営状況にもよるとしながら、トレンガヌFC全体を統括するTDの人選を進めたいと話していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
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 トレンガヌFC関連では、来季のトレンガヌFC II(Bチーム)はテンク・ハズマン・ラジャ・ハサン監督が退任し、後任にロシャディ・ワハブアシスタントコーチの昇格が決まっている他、トレンガヌFC III(U22チーム)はバドルル・アフザン・ラザリ監督、トレンガヌFC IV(U19チーム)はワン・アドレミー・インデラ・ワン・アドナン監督の就任が決まっています。

ルクマンをU22代表候補合宿へ招集か
 このブログでも何度か取り上げたマレーシア期待の17歳ルクマン・ハキム・シャムスディンが、来月11月末から開催される東南アジア競技大会シーゲームズに出場するU22代表候補合宿に招集されたようです。
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、11月2日から10日までカンボジアのプノンペンで開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権予選に出場した後、U22代表候補合宿に参加するようです。
 U22代表のオン・キムスイ監督は、ルクマン選手に取っては初めての飛び級となるU22代表レベルで通用するかどうかを見ることが第一で、当然ながらポジションが自動的に与えられるわけではないとし、シーゲームズまでの合宿や練習試合の結果で、他の選手と同じように評価されるとしています。
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 先日のベトナム戦敗戦を受け、不振のFWノーシャルル・イドラン・タラハの代わりにルクマン選手を使うべきといった新聞記事(記事はマレーシア語です)なども出ており、ルクマン選手の今後に注目したいと思います。

10月16日のニュース:タイがホームでUAEに勝利、トレンガヌFCの来季の監督決定、JDTがハズワン育成失敗の批判に反論

タイがホームでUAEに勝利
 今日は何と言ってもこの話題から始めなければならないでしょう。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアと同組のタイはホームでアラブ首長国連邦と対戦し2-1で勝利しています。26分にFWティーラシン・デーンダーのゴールでタイが先制した試合は、マレーシア戦で2ゴールを挙げたFWアリー・マブフートが45分に同点ゴールを決めて前半を終了しました。しかし後半開始直後の51分に19歳のMFエカニット・パンヤが決勝ゴールを決め、そのまま逃げ切っています。
 この試合の英字紙バンコクポストの記事はこちら、ザネイションはこちらです。
 西野朗監督率いるタイは直近のFIFAランキングは114位、一方UAEは66位と明らかに格上相手の勝利はまさに金星ですが、タイのメッシことMFチャナティップ・ソングラシン(札幌)などを欠きながらの勝利したことがすばらしいです。
 またこの日には、グループGのインドネシア対ベトナムの試合がバリ島で開催され、こちらはベトナムがインドネシアを3-1で破っています。
 この試合の結果、タイは予選グループGのトップ、以下ベトナム、UAEと続きマレーシアは4位となっています。
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 マレーシアは既にホームでUAEと対戦し、序盤は1-0とリードしながらも逆転されて2-1で敗れています。試合自体はマレーシアのほぼベストゲームだっただけに、先日も書きましたがマレーシア代表チームは明らかに良くなっているものの、それ以上にタイ代表、ベトナム代表が強くなっており、その差は逆に開いて来ているのかも知れません。
 なおワールドカップアジア二次予選でのマレーシアの次戦は、ホームで行われる11月14日のタイ戦です。先日のベトナム戦ではほぼ完敗だったマレーシア代表ですが、このタイとの試合が東南アジアでのマレーシア代表の現在位置を知る試金石になりそうです。
 (以下の順位表はアジアサッカー連盟AFCのFacebookより)

トレンガヌFCの来季の監督決定
 マレーシアフットボールリーグMFL1部で今季2019年は7位に終わったトレンガヌFCの来季2019年が発表になっています。トレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会(PBSNT)の年次総会が昨日10月15日に開催され、今季途中からトレンガヌFCの指揮を取ったモハマド・ナフジ・ザイン監督代行が、正式に監督に就任することになりました。また今季はトレンガヌFCのU19チームを指揮したスブリ・スロン監督がアシスタントコーチに就任します。
 マレーシアの通信社ベルナマの報道によると、これは年次総会の席上でトレンガヌ州知事でもあるダト・スリ・ドクター・アーマド・サムスリ・モクタルPBSNT会長が発表したもので、成績不振のためシーズン途中で退任したイルファン・バクティ監督の後任として、短期間で州内出身の選手を中心にチームを立て直したことを評価した結果の続投依頼であるとしています。
 またアーマド・サムスリ会長は、来季のトレンガヌFCの選手は約60%が下部組織から昇格する選手で、選手の入れ替えにより経費が30%縮小されること、トレンガヌFCのBチームでMFL2部でプレーするトレンガヌFC IIにはU22チームのトレンガヌFC IIIやU19チームのトレンガヌFC IVから若手を昇格させること、将来的にはトレンガヌ州出身者が80%となるようにしたいことも述べています。
 この他、アーマド・サブリ会長はトレンガヌFCが今季、ホームとして使用したスルタン・ナサルディン・シャースタジアムに代わって、来季は改修工事が終了したスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムを再びホームとすることも発表しています。これにより収容可能な観客数は約1万人から約5万人となります。
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 別の記事では主将を務めるFWリー・タック(イギリス)とMFサンジャル・シャアフメドフ(ウズベキスタン)の二人の外国籍選手は、契約が来季末まで残っているため、来季2020年もトレンガヌFCでプレーすることが報じられています。その一方でFWチェチェ・キプレ(コートジボアール)とチエリー・チャンタ・ビン(カンボジア)の契約更新に関しては、モハマド・ナフジ・ザイン新監督が判断するようで、両選手との契約が更新されない場合には、今季MFL1部の得点王、PKNS FCのFWクパ・シャーマンなども新外国籍選手の候補に上がっているようです。
(写真はトレンガヌFCのFacebookより。向かって左がイルファン・バクティ前監督、右がナフジ・ザイン新監督。撮れらたのは日本のようですね。)

JDTがハズワン育成失敗の批判に反論
 MFL1部ジョホール・ダルル・タクジムJDTのFacebookでは、かつてはフル代表で活躍したFWアーマド・ハズワン・バクリ選手がここ数年活躍できていないことをJDTの育成失敗のせいであるとする複数のソーシャルメディアに対して反論しています。
 2017年にスランゴールFAからJDTへ移籍したハズワン・バクリ選手は、2016年にはフル代表で12試合に出場し、4ゴールを挙げるなど将来を嘱望されたストライカーでしたが、JDT移籍以降は2017年はMFLとカップ戦を合わせて31試合出場で7ゴール、2018年は38試合出場で4ゴール、2019年に至っては8試合(しかも先発出場は0)で0ゴールという成績になっています。
 JDTのFacebookでは「ハズワン選手はいくつかのMFLクラブで起こっているような給料未払い問題の心配もないどころか、JDTでぷれーすることで高額の給料を手にする可能性を秘めている」という記述もあります。
 ハズワン選手の現状についてソーシャルメディアを賑わせたのは、先日行われたチャレンジャーカップ(マレーシアカップに出場できないクラブのための大会)決勝直前に、今季はJDTに登録されていたハズワン選手が、突如、決勝に出場するJDTのBチームJDT IIへの移籍が発表されたことがきっかけです。
 2012年には20歳で既にフル代表に招集され、デビュー2戦目には史上最年少でハットトリックを達成するなど、マレーシアを背負って立つストライカーとして嘱望されましたが、2018年3月のモンゴル戦以降は招集されることもなく、今季は久しぶりに代表候補合宿に招集されたものの、国際親善試合のヨルダン戦に最後の10分ほどプレーしただけで、ワールドカップ予選出場の最終候補には残りませんでした。

10月15日のニュース:シーゲームズの組み合わせ決定、MFLはTMに対する訴訟取り下げ、PKNS FC監督はスランゴールFAのBチーム化再検討を求める

シーゲームズの組み合わせ決定
 今年2019年11月30日からフィリピンのマニラを中心に開催される東南アジア競技大会SEA Games(シーゲームズ)のサッカーの日程がアジアサッカー連盟AFCのホームページで発表されています。
 オリンピックのアジア版とも言えるシーゲームズは、東南アジア諸国連合加盟の10カ国と東ティモールの計11カ国が参加する各年開催の大会ですが、サッカーはその中でも目玉競技の一つで、2017年からは各国のU22代表(および2名のオーバーエイジ選手)がメダルを争っています。
 今大会男子ではグループAに入ったマレーシアは、開催国フィリピン、ミャンマー、カンボジア、東ティモールと同組になり、ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポール、ラオス、ブルネイがグループBとなっています。
 過去3大会は男子はタイが連覇しており、前回は自国開催ながら決勝で0-1と敗れたマレーシアは2011年大会以来の4大会ぶりの金メダルを目指します。また1985年から始まった女子では、過去10回の大会で、それぞれ5回ずつ優勝のベトナムとタイがインドネシアと同組になっています。
 男子のサッカーは大会開幕前の11月25日から12月10日まで、女子は11月28日空12月9日までの日程となっています。(画像はAFCのホームページより)

MFLはTMに対する訴訟取り下げ
 マレーシアフットボールリーグMFLのホームページでは、マレーシアの国内最大通信会社テレコム・マレーシアTMに対する訴訟取り下げを発表しています。
 MFLとTMは2018年1月に、同社のインターネットサービスプロバイダーブランドUnifiがMFL1部スーパーリーグおよびカップ戦マレーシアカップの冠スポンサー、さらにはFAカップの協賛として8年間で4億8000万リンギ(およそ124億円)の大型契約を締結しましたが、今季2019年MFL開幕前に年間6000万リンギ(およそ15億5000万円)のスポンサー料が支払われなかったとして、MFLはこの契約を破棄すると同時に、契約不履行に基づく賠償請求として4億2800万リンギ(およそ110億円)の訴訟を3月に起こしていました。
 この騒動は、今年3月15日にMFL側がTMとの契約を破棄することを発表したことを発端とし、これに対して3月18日にTM側は昨年2018年11月の時点で、スポンサー契約の最終合意ができていなかった、つまり契約締結には至っていなかったことを主張する発表を行い、これを受けてMFL側が3月21日にTMを提訴していました。なおこのニュースを受け、MFLの主張が認められれば将来の収益を下押しするとの見方から同社の株が売られ、一時は株価が2%近く下落する事態にもなりました。
 訴訟取り下げについての告知記事の中でダト・ハミディン・モハマド・アミンMFL会長は、今回の訴訟取り下げはMFLとTMが共有するスポーツマン精神に基づくものであり、TMは2015年から(MFLの前身である)フットボールマレーシアLLP(Limited Liability Partnership、有限責任事業組合)のスポンサーであること、2000年からマレーシアサッカー協会FAMのスポンサーでもあることなどを挙げ、今回の訴訟取り下げによって、マレーシアサッカーファンが期待するような環境が実現できるよう両者の協力関係を強固にできるとも述べています。さらにマレーシアのサッカーの発展のため、MFLは企業と手を携えていきたいというメッセージも送りたいとしてます。
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 TMの大型契約はTMJことジョホール皇太子トゥンク・イスマイル・イドリス殿下がMFL会長在籍時の2018年に結ばれましたが、この年の5月には1957年の英国独立以来政権を担っていた与党連合国民戦線が総選挙で大敗、現在のマハティール・モハマド首相率いる希望同盟が政権につくというマレーシアでは歴史的な出来事がありました。
 マハティール首相は国民戦線でも首領を務めましたが、その頃から王族の権限縮小に積極的で、それを嫌う「物言う王族」イスマイル殿下とはメディアなどを通じて丁々発止とやりあってきました。そのマハティール首相が政権に復帰したことが、政府系企業でもあるTMの姿勢転換によってイスマイル殿下に「お灸を据えた」のでは、というのが当地のもっぱらの噂です。

PKNS FC監督はスランゴールFAのBチーム化再検討を求める
 このブログでもほぼ確定的と書いたMFL1部PKNS FCのスランゴールFAのBチーム化について、PKNS FCのラヤゴパル・クリシュナサミ監督が再検討を求めて声を挙げているとスポーツ専門チャンネルスタジアムアストロのポータルサイトが報じています。
 U23代表の監督として2009年の東南アジア大会シーゲームズで優勝、フル代表の監督として2011年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでも優勝と近年のマレーシア代表監督としては抜群の実績を誇るラヤゴパル監督は、Bチーム化案が浮上するまでに十分な検討がされていないこと、またここ数週間はBチーム化がまるで決定したかのような空気でそれ以外の選択肢を検討する余地がなくなっているとして、記事から苛立ちを隠さずに語っている空気が伝わってきます。
 PKNS FCはユース育成に定評があり、今季2019年もMFLのU22チームが対戦するプレジデントカップでは優勝、U19チームが対戦するユースカップでは準優勝しています。PKNS FCのBチーム化により、ラヤゴパル監督はこういったユース育成が今後も続くのかどうかも疑問視しているとし、PKNS FCのフロントにはBチームか再考を求めていくと語っています。
 また実際にPKNS FCがスランゴールFAのBチームになることがあれば、自分とスランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督が同一チームにいるということはあり得ないだろうとも述べています。
 本日10月15日現在、PKNS FCのフロントからも何も公式発表がないということで、ラヤゴパル監督はこれまで通り、週3回のトレーニングでチームを指導しています。
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 この記事にもある通り、代表監督としても実績のあるラヤゴパル監督と、ケランタンFAでマレーシアカップ優勝、国軍ATM FCやフェルダ・ユナイテッドをMFL2部から1部へ昇格させるなど国内での実績が高いサティアナタン監督が同じクラブのAチームとBチームを指導するということは考えられない、というよりももったいないのは事実です。PKNS FCのBチームかとなれば、どちらかがスランゴールFAのAチームの監督になるでしょうが、もう一方は他のクラブの監督に就任する可能性は高いです。



 

10月14日のニュース:予算増で第二、第三のルクマンを、ワールドカップ の前にアジアのスタンダード到達を目指せ、日本滞在中のMFLコーチが台風19号の恐怖を語る

予算増で第二第三のルクマンを
 マレーシアのリム・グアンエン財務相は10月11日、連邦議会下院で2020年度国家予算案を発表しましたが、その中で国家サッカー選手養成プログラムNFDPへ4500万リンギ(およそ11億6000万円)が投入されることが明らかになりました。これは昨年度の配分額1500万リンギ(およそ3億9000万円)から大幅な増額になっています。
 マレーシア政府の肝煎(きもい)りで2014年から始まったこのプログラムは、政府のスポーツ青年省を中心に教育省(日本の文科省に相当)、マレーシアサッカー協会FAMなどが共同で運営する東南アジア最大の養成プログラムで、毎年1月、専任のスカウトチームが国内を回って探し出した7歳から17歳の選手およそ5万5000人がセレクションを受験し、その半数以下ほどの合格者が国内123箇所にあるユースアカデミー(Akademi Tunas)に所属して、無償でコーチングを受けることができるようになっています。そのユースアカデミーからさらに選抜された選手たちは、パハン州モクタル・ダハリアカデミー(AMD)に集められ、さらにトレーニングを積みますが、先日、このブログでも紹介した2002年生まれの注目選手60人に選ばれたロクマン・ハキム・シャムスディンは、このAMDのU17チームに所属しています。
 青年スポーツ省傘下の国家スポーツ委員会NSCのダト・アーマド・シャパウイ・イスマイル事務局長はマレーシアの通信社ベルナマの取材に対し、現在はNFDPに所属しているおよそ1万5000人の選手が今回の予算増によって海外遠征などがより可能になる他、女子選手育成にも大きな助けになると述べています。

ワールドカップの前にアジアのスタンダード到達を目指せ
 FIFAワールドカップアジア2020年大会二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選では、ベトナムに1-0と破れ、3試合で勝点3、予選グループGでは5チーム中4位という位置につけているマレーシア ですが、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版ではアジトパル・シン記者の署名入りで「ワールドカップの前にアジアのスタンダード到達を目指せ」という記事を掲載しています。
 シン記者はベトナム戦を振り返って、FIFAランキング99位のベトナムは158位のマレーシアと比べるとスピード、組織力、判断力などあらゆる面で優っていたとし、東南アジアトップレベルとマレーシアの差はこれまで以上に開いていると述べています。その一方で帰化選手を含めたマレーシア代表も明らかに進歩しているとし、教科の方向性は間違えてはないと指摘。そこでまず提案されているのが国際親善試合のマッチメイキングです。
 今年2019年のマレーシア代表の国際親善試合の相手はシンガポール(直近のFIFAランキング157位)、アフガニスタン(同146位)、ネパール(同161位)、ヨルダン(同98位)、スリランカ(同202位)とヨルダンを除けば、ほぼ似たようなランクか格下の相手ばかりとなっていますが、同じ予選グループGで来月対戦する1タイ(同114位)はインド(同104位)、中国(同68位)、ウルグアイ(同6位)、ベトナム、コンゴ共和国(同90位)と全てが格上相手の試合を組んでいます。
 国内リーグを通しての選手強化は、リーグの規模を考えると限界があるとして、より強い相手との国際親善試合の必要性をシン記者は述べ、さらにはワールドカップではなく、アジアカップの最終予選出場を目指すことが現実的な目標であると述べています。
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 ワールドカップ二次予選の残り5試合中、ホームでの試合は11月14日のタイ戦、11月19日のインドネシア戦そして来年2020年3月31日のベトナム戦が残っていますが、この3試合に勝利することができれば、マレーシアは各グループ3位、あるいはグループ4位チームの内の上位4チームに出場権が与えられる最終予選に進出できる可能性が高いです。

日本滞在中のMFLコーチが台風19号の恐怖を語る
 台風19号は日本各地で猛威を振るいましたが、ちょうど同じ時期にマレーシアフットボールリーグMFL所属クラブの監督数名が、アジアサッカー連盟AFCディプロマコースに参加するために日本に滞在しており、そのときの恐怖を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版で語っています。
 このコースに参加していたのはドラー・サレー(MFL1部パハンFA)、メフメト・ドゥラコビッチ(同ペラTBG)、ザイナル・アビディン・ハサン(同マラッカ・ユナイテッド)、デヴァン・クプサミー(同プタリンジャヤシティFC)、スライマン・ハシン(MFL2部UKM FC)の各監督とイルファン・バクティ前トレンガヌFC監督の6名で、コース終了後に新潟のホテルに滞在中に台風19号に見舞われたようです。
 この中でUKM FCのスライマン監督は、人生で初めて台風というものを経験したそうで、生きた心地がしなかったと記事の中で述べています。ホテルの中にいるように指示を受けたので、何か被害があったわけではないものの、台風が新潟を襲った午後4次ごろから真夜中までは他の監督も皆、恐怖を感じ、もう二度と同じ経験はしたくないとも語っています。
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 マレーシアでは豪雨が降ることはあっても、台風が来ることはありませんので、この時期日本にいたマレーシア人にとっては、各地で記録的な大雨をもたらした台風19号に恐怖を感じたというのは、決して大袈裟な表現ではないのだろうと思います。

10月13日のニュース:チャレンジカップはJDT IIがPK戦の末辛勝、試合後に出されたイエローカード、マレーシア代表主将「11月の2試合で勝点6獲得を目指す」

チャレンジカップはJDT IIがPK戦の末辛勝
 チャレンジカップは、マレーシアフットボールリーグMFLの1部12位と2部の6位以下の合計7クラブが出場する大会で、マレーシアカップに出場できないクラブのために昨年から始まった大会です。フェルダ・ユナイテッドの池田圭選手がブログの中で「小さなカップ戦」と呼んでいる大会です。
 参加7チームを2つのグループに分け、その上位2チームが準決勝に進み、その勝者が決勝で対戦します。今季2019年の決勝に進んだのはMFL1部のジョホール・ダルル・タクジムJDTのBチームJDT II(リーグ戦2位)と、マレーシア国立大学UKMの大学生を中心としたUKM FC(同9位)でした。
 ホームアンドアウェイ形式で行われる決勝の第1戦はJDT IIのホームで10月4日に開催され、JDT IIが1-0でUKM FCに勝利しています。そして昨日10月12日にUKM FCのホームで行われた第2戦はUKM FCが1ー0で勝利。その後の延長戦でも決着がつかずPK戦となった結果、JDT IIのGKハジック・ナズリが3本のシュートを止める活躍で、JDT IIが6-5でUKM FCを破ってチャレンジカップを獲得しました。
 JDT IIはMFLの新たな規定変更によって、今季はMFL1部のJDTに登録されていたDFファドリ・シャスとFWアーマド・ハズワン・バクリがこの試合の直前に合流しました。代表チームでもプレー経験のある二人が加わったJDT IIでしたが、フルタイムでは0-1と敗戦したものの、結局、このファドリ選手が決勝のPKを決めています。
 UKM FCは昨年の決勝でもトレンガヌFC IIに敗れており、2年連続で涙を飲みました。この勝利でJDT IIは賞金20万リンギ(およそ520万円)を、準優勝のUKM FCは7万5000リンギ(およそ200万円)を獲得しています。
 なお、このチャレンジカップでは、準決勝で敗退したトレンガヌFCのBチーム、トレンガヌFC IIでプレーする鈴木ブルーノ、この日の試合でゴールを決めたUKM FCのマテオ・ロスカム、ミラド・ゼネイドプールの3選手が8ゴールで得点王を分け合っています。
(写真はマレーシアフットボールリーグMFLのFacebookより)

試合後に出されたイエローカード
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選のベトナム戦では、マレーシア代表DFアイディル・ザフアンが試合終了後(!)に、この試合の主審を務めたアリ・ミルザベイギ主審(イラン)からイエローカードを出されるというハプニングがありました。この件について、アイディル選手がGoal. comに真相を語っています。
 試合全体を通して判定に納得できなかったマレーシア代表の選手たちですが、特に疑惑の判定だったのが後半終了間際にDFラヴェル・コービン=オングがベトナムのペナルティーボックス付近で倒された場面の判定でした。このプレーは一見、ファウルのように見えたものの、主審は試合続行を指示しましたが、試合終了のホイッスル後に、この判定に疑問を持ったアイディル選手がこの判定について尋ねようと主審に駆け寄ると、主審は答えずにそのままイエローカードをアイディル選手に出しました。
 これに対してアイディル選手は、自分が主審に駆け寄ったことが原因かも知れないと述べつつも、何も言わずにイエローカードを出した主審の真意はわからないとしています。

マレーシア代表主将「11月の2試合で勝点6獲得を目指す」
 ワールドカップ予選の初戦インドネシア戦の勝利の後、強豪アラブ首長国連邦UAEと接戦の末敗れたマレーシア代表は、ホームでの2試合の後、意気揚々とアウェイのベトナム戦に臨みましたが、結果は0-1の敗戦。3試合で獲得した勝点は3で予選グループ5チームで4位となっています。
 今後の予定はタイ戦(11月14日)、インドネシア戦(11月19日)と再びホームの連戦が控えており、この11月の2試合が非常に重要であると主将でもあるGKファリザル・マーリアスがGoal. comに語っています。
 ノックアウトステージへ進む可能性を残すためには、11月の2試合で勝点6を取ることが必要であり、そのためには特に3試合で5失点の守備陣については、自信を取り戻すことと、集中力が切れるなどここまでのミスの修正が課題であるとし、自らは守備陣とのコミュニケーションの強化を課題に挙げています。
 


 

10月12日のニュース:ベトナム戦のGoal. comによるプレーヤーレイティング

ベトナム戦のGoal. comによるプレーヤーレイティング
 今回はニュースではありませんが、10月10日に行われたWC予選ベトナム戦に1-0と敗れたマレーシア。サッカー素人の私には細かな評価ができないので、Goal. comマレーシア版による、ベトナム戦の選手レイティングを掲載します。(原文はマレーシア語です)
 GKファリザル・マーリアス 5/10
 簡単にゴールを許した。ベトナムFW陣をゴールに近づけないようDF陣に指示を出すべきだった。ベトナムFW陣の攻撃を防ぐためにゴールエリアから出過ぎてDF陣を心配させた。
 DFマシュー・デイヴィーズ 6/10
 ベトナムは(デイヴィーズ選手が守る)右サイドを狙って何度も仕掛けてきたため、オーバーラップする際に、高い位置でボールを供給できなかった。
 DFシャルル・サアド 6/10
 グエン・クアン・ハイが得点した場面では、(シャルル選手は)クアン・ハイ選手の後ろを走っていたので、止めることは難しかったが、その前にベトナムの選手のポジショニングを確認しておくべきだった。また右サイドを責めるベトナムに対してデイヴィーズ選手をサポートできていなかった。ゴールライン上でグエン・アン・ドックのシュートを素早い反応でクリアしたのは素晴らしかった。
 DFアイディル・ザフアン 7/10
 経験を生かして、ベトナムの攻撃を読み、何度もそれを防いだ。
 DFコービン・オング 6/10
 左サイドからのオーバーラップによって、(右サイドの)デイヴィーズよりも多くのチャンスを作った。
 MFブレンダン・ガン 6/10
 (守備的MFの)ハリム・サアリがいることで、本来ならばもっと高い位置でプレーしたかったところだが、ベトナムがロングボールを多用したため、自陣でのプレーが多くなった。
 MFハリム・サアリ 6/10
 DF陣の前で守備をすることが期待されたが、素早いベトナムのMF陣に押し込まれる場面が目立った他、ロングボールへの守備にも追われた。
 MFモハマドゥ・スマレ 5/10
 統制の執れたベトナムDF陣に封じられ、デイヴィーズ選手とともにこの試合で右サイドが機能しなかった原因となった。インドネシア戦とは違い、守備に対してもも不十分だった。
 MFシャフィク・アーマド 6/10
 豊富な運動量でスペースを作ろうとするも、ベトナムの厳しいマークによって仕事をさせてもらえず、チームメートからも十分なサポートが得られなかった。
 MFサファウィ・ラシド 5/10
 スマレ選手同様、この試合では効果的な役割を果たさなかった。プレースタイルがベトナムに把握された上に、厳しいマークにあい、攻撃陣の役に立たなかった。
 FWノーシャルル・イドラン・タラハ 5/10
 ベトナムが中央に配置した3人のDFが、マレーシア攻撃陣がボールを持つたびにノーシャルルが厳しくマークされたことで、ボールをもらうことも、パスをすることも封じられ、FWとしての仕事をさせてもらえなかった。
 MFアキヤ・ラシド 評価なし
 56分にノーシャルル選手と交代。攻撃の力にはなったものの、ベトナムの守備を崩すまでには至らなかった。
 DFシャミ・サファリ 評価なし
 90分にデイヴィーズ選手と交代。

 なお英字紙ニューストレイトタイムズも、この試合の出場選手をオイ・キンファイ記者が採点しています。詳細はこちらです。

10月11日のニュース:サバFAは新戦力を求めてトライアウト実施、ルクマンが次世代のトップ60に選ばれる、BBCがマレーシア選手のサクセスストーリーを紹介

サバFAは新戦力を求めてトライアウト実施
 今季2019年にマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグで優勝し、来季2020年はMFL1部スーパーリーグでプレーするサバFAは新戦力を求めてトライアウトを開催しています。
オンラインスポーツサイトのスタジアムアストロが報じる現在開催中のトライアウトにはブラジルとアルゼンチン出身の選手が参加中で、今後はインドネシアや韓国からの選手も参加予定のようです。
 サバ州サッカー協会のピーター・アンソニー会長は、全てのポジションで強化が必要なことから、FW、MF、DFと様々な選手のトライアウトを行うとしています。
 その一方で今季サバFAに在籍する4名の外国籍選手、FWロドルジュブ・パウノヴィッチ(セルビア)、DFパク・タエスー(韓国)、MFアフメット・アタエフ(トルクメニスタン)、FWアギナルド・メンデス・ヴェイガ(アンゴラ)については、今年末に契約が切れるため、近いうちに今後の更新の有無について発表するとしています。

ルクマンが次世代の注目選手60名の一人に選ばれる
 英国の新聞ガーディアンによる「2002年生まれ注目選手60人」2019年版で17歳のFWルクマン・ハキム・シャムスディンがアジア出身の6名の選手として選ばれています。
 2018年にマレーシア開催となったアジアサッカー連盟AFC U16選手権では、チームはグループステージ敗退ながら得点王を分け合ったルクマン選手は、Jリーグのセレッソ大阪なども獲得に動いていたとされますが、今年9月にはマレーシア人のヴィンセント・タン氏がオーナーを務めるベルギー1部リーグに所属するKVコルトレイクと契約し、18歳になるのを待って入団が決定しています。
 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府の青年スポーツ省が合同で運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDP出身のルクマン選手はこのリストに選ばれた初めてのマレーシア人で、今回、この他のアジアの選手としてはFW西川潤(桐光学園高校)、FWノア・ボティチ(オーストラリア、ドイツ-TSG1899ホッフェンハイム)、FWスファナット・ムエアンタ(タイ、ブリーラム・ユナイテッド)、GKカサノヴァ・ムクリディン(タジキスタン、パルヴォーズ・ボボジョン・ガフロフ)、MFジャスールベク・ジャロリディノフ(ウズベキスタン、FCブニョドコル)がリストに名を連ねています。

BBCがマレーシア選手のサクセスストーリーを紹介
 英国放送協会BBCのニュースポータルでは「一本の電話がセミプロ選手を代表選手に変えた」と題した記事で、今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグのJDT IIでプレーしたFWダレン・ロークを取り上げています。
 ローク選手は3年前までは英国国民保健サービス下の精神科病棟で勤務する一方、英国国内リーグでは最上位であるプレミアリーグから数えて5つ下のディビジョン、実質6部にあたるナショナルリーグ・サウスのイーストボーン・ボロFCでプレーしていました。しかしあるサッカー雑誌に掲載されたローク選手のインタビュー記事を読んだ代理人からかかってきた一本の電話が彼の人生を大きく変えたとしています。
 電話をかけたのは現在、ローク選手の代理人を務めるオーストラリア人のスコット・オルレンショー氏でした。オーストラリア代表としてのプレー経験もあり、またマレーシアリーグのサバFAでも100試合以上に出場したオルレンショー氏は、ローク選手にマレーシアでプレーするつもりはないかどうかを打診したそうです。その後、オルレンショー氏から、父親がマレーシア人(母親は英国人)であることからマレーシアの国籍が取得できること、そしてマレーシア代表でプレーできる可能性があることを告げられたローク選手は、仕事をしながらセミプロとしてプレーしている状況から、サッカーに集中できる環境に移れる機会を逃すべきではないとして、その決断は簡単ではなかったものの、最終的にマレーシア行きを決めたと述べています。
 2016年5月にJDT IIと契約したものの、マレーシアのパスポート取得に手間取り、同年9月にマレーシア人選手としてMFLデビューしたローク選手は、JDT IIでわずか2試合に出場した後の同年10月7日には早速、シンガポール代表との国際親善試合で代表デビュー、また翌年2017年8月22日のシリア戦では代表初ゴールも挙げています。ローク選手は「わずか数ヶ月前はイギリスのセミプロ選手だった自分がマレーシア代表として国際試合に出場するということは素晴らしい経験だったが、マレーシアへ来てからの数ヶ月間でメディアのインタビューをいくつもこなすという、セミプロだった自分にとっては全く初めての経験もした」「シンガポール代表戦では2万人を超える観衆の前でプレーしたが、これも初めてで、英国ではせいぜい500人程度の観客しかいなかった」などと述べています。
 生まれ故郷の英国から離れて暮らすローク選手ですが、サッカーができる限り、JDTでプレーしたいと最後に語っています。
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 今季2019年はJDT IIでも9試合で2ゴールと振るわなかったローク選手ですが、インタビューの中ではJDT愛が溢れています。BBCのインタビューでは、英国人にJDTの凄さを伝えるために、様々な点を挙げていますが、マレーシアのクラブとしては初めてウイイレにも含まれている、と語っている点が良いなと思いました。