12月19日のニュース:フェルダUに恵龍太郎選手加入、パレスチナがマレーシアとの親善試合を熱望

フェルダUに恵龍太郎選手加入
 今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL10位と1部に踏みとどまったフェルダ・ユナイテッドFC。しかし来季の運営資金上の問題から、池田圭選手や渡邉将基選手を含む外国籍選手やマレーシア人主力選手との契約更新を行なっていませんでしたが、ここにきて活発な補強を進めています。
 今月12月始めには元シンガポール代表FWカイルル・アムリをシンガポールリーグ1部のタンピネス・ローヴァーズから獲得していましたが、その後は特に大きな動きもなく、来季も指揮をとるニザム・ジャミル監督は若手を中心としたチーム編成を考えているとしていましたが、その期待の若手が他クラブへ移籍するなど予定が狂い、このブログでも取り上げましたが方針転換を表明していました。
 今回フェルダ・ユナイテッドに入団するMF恵龍太郎選手は、今季はシンガポール1部のタンピネス・ローヴァーズでプレーしており、カイルル選手ともチームメートだったことから、フェルダ・ユナイテッドでも二人のコンビネーションに期待が持てそうです。
 また恵選手の他にもセルビア出身のDFモムチロ・ラスポポヴィッチ(クロアチア1部リーグのHNKリエカより加入)、アルゼンチン出身のFWニコラス・ヴェレズポルトガル1部リーグのベレネンセスより加入、2018年にはネグリ・スンビランFAに在籍)も補強しています。
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 来季の運営資金不足という話から一気の補強です。ただし、今季在籍選手の大量移籍、大量解雇により、来季は外国籍選手以外は初めてMFL1部でプレーする選手を何名も起用せざるを得ない状況は続きそうです。
 また恵選手の加入で、来季のMFLは1部フェルダ・ユナイテッドに恵選手、2部トレンガヌFC IIに鈴木ブルーノ選手、ヌグリ・スンビランFAに中武駿介選手、クチンFAに鈴木裕太選手と4名の日本人選手がプレーすることになります。

パレスチナがマレーシアとの親善試合を熱望
 マレーシアサッカー協会FAMのダト・ウィラ・ユソフ・マハディ副会長が明らかにしたところによると、来年2020年3月21日にパレスチナがガザでのマレーシアとの親善試合を希望しているようです。
 現地での安全確保が最優先としながらも、現在、FAMがオファーを出している親善試合相手からの返事次第では、この試合も実現する可能性がありそうです。
 FIFAワールドカップ2020年大会アジア二次予選では、ベトナムに次いでグループ2位につけているマレーシアは、2020年3月26日には成績不振からベルト・ファン・マルワイク監督を更迭したアラブ首長国連邦UAEとのアウェイ戦が、3月30日にはホームでベトナム戦が控えています。なお、フル代表のタン・チェンホー監督はワールドカップ予選前に2試合の親善試合を希望しており、FAMは現在、調整中ということです

12月18日のニュース:JDTオーナーが大物外国籍選手獲得を示唆、サファウィ・ラシドにJクラブが興味、アキヤ・ラシドの私生活を案じる声

JDTオーナーが大物外国籍選手獲得を示唆
 今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグ6連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が12月20日に重大発表があると述べたことで、JDTが大物外国籍選手を獲得するのでは、という噂になっています。
(以下、JDTのFacebookより、なおhrhとはHis Royal Highness「殿下」です」。)

 そしてその候補となっているのは、以前このブログでも取り上げたベルギー出身で各年代でもベルギー代表候補経験のある、ベルギーリーグ1部クラブ・ブルッヘ所属のDFディオン・ヨハン・コールズ(23)です。
 今季に続き、来季2020年もAFCチャンピオンズリーグACLの本選から出場するJDTは、今季ACLでの勝点4以上の成績を目指すための補強と思われます。
 ただし今季のJDTはDFハリス・ハルン(シンガポール)、MFゴンザロ・カブレラ、MFレアンドロ・ベラスケス(いずれもアルゼンチン)、FWジオゴ・ルイ・サント、DFマウリシオ・ドス・サントス・ナシメント(いずれもブラジル)と5名の外国籍選手枠が埋まっているため、コールズ選手の加入となると、この中から誰かが退団することになる可能性があります。
 ただし、コールズ選手は母親がマレーシア人で、サラワク州クチン生まれということもあり、開幕前にマレーシア人選手としての登録が完了すれば、MFLではマレーシア人枠での出場が可能です。ただし、その場合、マレーシアは二重国籍を認めていませんので、ベルギーの国籍を放棄する必要があります。

サファウィ・ラシドにJクラブが興味
 またJDTオーナーのトゥンク・イスマイル殿下はメディアとの懇談で、今季MFL最優秀選手となったサファウィ・ラシドについて、複数のJリーグクラブやスイスリーグ1部のクラブから照会が来ていると述べています。
 現在、マレーシア国内では最高の選手とも言えるサファウィ・ラシドに興味を示しているクラブとして具体的にFCチューリヒの名前を挙げていますが、他のスイスのクラブや、やはり具体的に名前を挙げなかったもののJリーグのクラブからも、英語はborrowという表現になっているので期限付き移籍の照会が来ているようです。
また同じJDTのアキヤ・ラシドにも同様の問い合わせがきているとも、イスマイル殿下は述べています。
 またイスマイル殿下は、サファウィ選手とは具体的な話は何もしておらず、まずは選手が国外への移籍に前向きかどうかを話し合いたいとも述べいます。
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 日本関連で言えば、J2ファジアーノ岡山に所属する19歳のハディ・ファイアッドは、今季2019年は4月29日10月14日育成マッチデーの2試合に出場しただけでしたが、スポンサーとなっているヤクルト・マレーシアのおかげで、来季の残留が決まったようです。しかしサファウィ選手の実力ならスポンサーなしでもJリーグのクラブは獲得に手を挙げるでしょう。国外移籍が実現するかどうかは、マレーシアではすでにスーパースターのサファウィ選手が、給料が下がっても国外でやりたいと思うのかどうかにかかっていると思います。

アキヤ・ラシドの私生活を案じる声
 マレー語サッカー専門サイトのラ・ボラ・マレーシアは、かつてクダFAやヌグリ・スンビランFAで監督を務めたアザアリ・コー・アブドラ氏がジョホール・ダルル・タジムJDTに所属する20歳のアキヤ・ラシドの将来を心配する声を挙げていることを報じています。
 今月初旬にU22代表のメンバーとして出場した東南アジア競技大会シーゲームズでも個人技に走りすぎて、チームに貢献していないという批判を浴びたアキヤ選手ですが、アザアリ氏はこのままではアキヤ選手が持っている才能をダメにしてしまうと心配しています。「アキヤ選手は才能があることから、最高の環境であるJDTでプレーする機会を得ているが、彼はその恵まれた機会を無駄にしている。さらには人間的に未熟で、プロサッカー選手としての自覚にも欠けている」と述べています。その上で、家族や友人がアキヤ選手を正しく導くことが必要だとしています。チーム内の競争も激しいJDTで今のような姿勢でプレーを続ければ、ポジションを失うどころか、退団の危機もあり、そうなればサッカー選手としての彼の人生にも影響が出るだろうと危惧しています。
 なおJDTのオーナーであるトゥンク・イスマイル殿下も今季中、クラブ規範を守らなかったこと、そしてクラブのイメージを損なう行為を行ったことで、アキヤ選手に対して何度か罰金を課したことを明らかにしています。
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 今回このような記事が出た背景には、ソーシャルメディア上に広まった一枚の写真があります。お騒がせ系女優で歌手のエイカ・ファルハナと親しげな様子で撮られた写真は、シーゲームズで期待を裏切る惨敗の直後だったこともあり、期待以下のパフォーマンスに落胆してイアサッカーファンの怒りを買い、あっという間に炎上しました。しかもその写真にはU19代表から飛び級で昇格し、来季はベルギー1部でプレーする予定の17歳ルクマン・ハキムも一緒に写っていたことから、将来有望なルクマン選手にアキヤ選手の「悪影響」が伝わるのではないかと心配するファンがさらに炎上させる状況になってしまいました。
 プロのサッカー選手が休暇を過ごすことも、女優と浮名を流すことも(イスラム教国なので婚前交渉厳禁ですが)何も問題はないですが、時期が悪かったことと、アキヤ選手がファンの期待通りのプレーをできていないことでこんな騒ぎになったと言えるでしょう。

12月15日のニュース:2021年のACLとAFCカップの割り当て決定、MFLは各クラブへ放映権料支給を取り止め、スランゴールFA監督がシーゲームズの結果についてコメント

2021年のACLとAFCカップの割り当て決定
 アジアサッカー連盟AFCが主催するアジアのクラブ王者決定戦AFCチャンピオンズカップACLは、2021年からは現行の32チームから40チームへと本戦出場チーム数が拡大しますが、これに伴いACLの各国割り当て枠が変更になり、マレーシアはこれまでの1+1(本戦出場枠1つと予選プレーオフ出場枠1つ)から1+0(本戦出場枠1つと予選プレーオフ出場枠0)へと、実質的には出場枠減になっています。
 なお来季2020年は、マレーシア国内最上位リーグとなるマレーシアフットボールリーグMFL1部優勝チームのジョホール・ダルル・タジムJDTがACL本戦に出場、全国レベルの国内カップとなるマレーシアFAカップ優勝のクダFAがACL予選プレーオフに出場となっています。
 なお今回の変更により東南アジアの各国は、AFC東地区でAFC加盟協会(MA-Member Association)ランキングが4位のタイが2+2、6位のフィリピンは1+1、8位のベトナム、9位のマレーシア、10位のシンガポールはいずれも1+0、12位のミャンマーは0+1の出場枠を割り当てられています。
 また今回のACLの出場枠割り当て変更に伴い、2021年AFCカップへの出場条件も変更になり、本選出場枠、予選プレーオフ出場枠を問わずACL出場枠が1つ以下のAFC加盟協会にはAFCカップの出場枠が与えられることになりました。この結果、マレーシアは本戦出場枠が2枠となり、来季2020年MFL1部2位のチームとマレーシアFAカップ優勝チームに出場権が与えられます。
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 ACL予選プレーオフ枠は減ったものの、AFCカップ出場枠が2つ増えたことで、より多くのクラブが東南アジアで、さらにはアジアで力試しをする機会を得ることになりました。ACLとAFCカップに出場するクラブは、結果を出し続けてACLの出場枠を従来の1+1に引き戻すことを目指して欲しいです。

MFLは各クラブへ放映権料支給を取り止め
 マレーシアフットボールリーグMFLは、ホームページで所属各クラブへ分配予定だった放映権料の残りの支給を行わないことを正式に発表しています。
 緊急臨時総会を開いたMFLのダト・ハミディン・アミン会長は、MFLが抱える不安定な経営状況を回復させる必要があることから今回の決定に至ったと説明する一方で、今年2019年7月にはその不安定な経営状況下で各クラブに約束していた放映権料の半額を支払ったことへの理解を求めています。今年7月の時点では、MFL1部クラブには150万リンギ(およそ3970万円)が、MFL2部クラブには50万リンギ(およそ1320万円)が支給されています。
 また来季2020年分の放映権料については、MFLが得る放映権料と商業利益が総額が1800万リンギ(およそ4億7600万円)以下の場合には従来のMFL1部300万リンギ、MFL2部100万リンギから見直しを行うこと、そして2021年以降は放映権料分配は年末に行うことも併せて発表しています。
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 このブログでも取り上げたマレーシアのマルチメディア企業テレコムマレーシアTMとMFLの間で2018年1月に締結された8年間で4億8000万リンギ(およそ127億円)という放映権料を含む巨大なスポンサー契約が今年2月に打ち切られたことにより、MFLには期待していた放映権そのものが全く入らない中、各クラブに約束していた金額の半分を支給した(噂では、資金源はジョホール州皇太子で前MFL会長のトゥンク・イスマイル殿下のポケットマネー)のが7月でした。残りは8月、11月と支給予定日を先送りしてきましたが、結局、無い袖は振れぬ、ということでした。

スランゴールFA監督がシーゲームズの結果についてコメント
 2019年東南アジア競技大会通称シーゲームズのサッカー男子に出場したU22代表は、大会前は準決勝出場間違いなし、そこから何色のメダルが取れるか、と言われていましたが、結果は予選グループで敗退し、準決勝に進出することができませんでした。
 シーズン末の大会であったことから疲労の蓄積、あるいは参加した選手の意欲の欠如など、様々な理由がメディアを賑わせましたが、スランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督は、この大会に臨んだ選手たちの姿勢が問題ではないかと指摘しています。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に出場しているフル代表のメンバー7名を含むU22代表のメンバーは近年でも最高のメンバーであるとする一方、代表チームでプレーするということはサッカー選手にとって最高の栄誉であることを理解していない選手がいたのではないかと述べています。
 今大会で優勝したベトナムにもフル代表でプレーする選手が含まれていたことからシーズン末の大会であることや疲労は理由にならないだろうとし、マレーシアが初戦のミャンマー戦の引き分け以降、低下していったことを指摘、選手たちが準決勝進出を諦めてしまったように感じたと述べています。
 またその一方で、ファンやサッカー関係者、メディアの何が何でもシーゲームズでは金メダル、という姿勢も変えるべきだとしています。金メダルを目指すこと自体は間違えていないが、時にはことの全体像を捉え、各大会ごとの目標を正しく設定すルことが重要とも指摘しています。サティアナタン監督は個人的な意見であると前置きした上で、(東南アジアのチームのみが参加する)シーゲームズの結果を選手やチーム評価基準として使うことには反対で、むしろ(アジアのチームが参加する)AFC主催の各大会を評価基準とするべきとし、例えば今回で言えば、U22代表ではなくU19代表をシーゲームズに出場させる、という考え方があっても良かったのではないかとも話しています。U19の選手にとって上の年代の選手との対戦は良い経験になるだけでなく、予選を突破したAFC U19選手権の準備にもなっただろうと述べていますが、同時に現在のファンやサッカー関係者、メディアの姿勢ではそのような方針は決して許されることはないだろうとも述べています。
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 マレーシアサッカーがその域まで達しているかどうかは別として、例えば昨年2018年のアジア競技大会はU23代表が出場する大会でしたが、日本はU21代表を派遣しています。また、今回U22代表のオン・キムスイ監督はU19代表でプレーする17歳のルクマン・ハキムとウマル・ハキームの2選手を招集するなど、現場レベルでは、サティアナタン監督の考えが理解されているようですが、マレーシアサッカー協会幹部や、メダルの数が気になるマレーシアオリンピック協会(シーゲームズはオリンピック協会が統括)幹部がこの考えを理解できるかどうかは、マレーシアサッカーに対してどのくらい先まで見越した方針を持てるかどうかによりそうです。

12月12日のニュース:シーゲームズ-マレーシアU22代表戦績

 昨日12月11日の閉会式と共に幕を閉じた第30回東南アジア競技大会通称シーゲームズ。各国のU22代表が対戦するサッカー男子では前回2017年大会で決勝に進出したものの0-1でタイに惜敗したマレーシアでしたが、今回は1勝1分2敗でグループステージ敗退となりました。
 そこシーゲームズ関連としては最後となる今回は、グループステージでのマレーシア代表の試合を振り返ります。
(各試合のスターティングXIと写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより、また試合のダイジェスト映像はアストロアリーナのYoutubeチャンネルより)

第1戦:11月25日
マレーシア1-1ミャンマー(リザル・メモリアルスタジアム、マニラ)
得点者:マレーシア-ハディ・ファイヤッド(24分)、ミャンマー-ソー・モー・チョウ(13分)
 ミャンマーU22代表のヴェリザール・ポポフ監督は、2016年にはマレーシアフットボールリーグMFLのケランタンFAの監督経験もある、いわばマレーシアサッカーの経験者。しかもFIFAランキングではミャンマーが136位に対して、マレーシアは154位となっています。
 開幕戦となったこの試合では、U19代表からの飛び級組FWルクマン・ハキムとMFウマル・ハキームの17歳コンビがいきなり先発で起用され、マレーシアのオン監督は彼らが単に人数合わせの招集ではないことを示しました。
 試合はミャンマーがライン・ボー・ボーのコーナーキックをソー・モー・チョウが頭で合わせてゴールし、13分に先制しますが、マレーシアもミャンマーDFのバックパスを奪ったアキヤ・ラシドからのクロスをハディ・ファイヤッドがこちらもヘディングでゴールを決め同点に追いつきます。その後はハディ選手のヘディングシュートやキャプテンのアダム・ノー・アズリンのフリーキックがポストに阻まれるなど、マレーシアはチャンスを生かせず、このまま試合終了となっています。

第2戦:11月29日
マレーシア0-1フィリピン
得点者:フィリピン-シュテファン・シュレック(74分)
 マレーシアの一部メディアでは、1991年の再演とも評されたこの敗戦ですが、当時とは状況が全く違っています。1991年にやはりマニラで開催された第16回大会でマレーシアはフィリピン相手に0-1で敗れ、グループステージで敗退していますが、1990年代のフィリピンはサッカー弱小国でしたので、マレーシアから見れば歴史的番狂わせ、フィリピンからすればまさにジャイアントキリングでした。
 しかし直近のFIFAランキングでは、マレーシアの154位に対してフィリピンは124位と「格上」です。今大会での敗戦は言わば順当な結果なわけで、それを受け入れられないファンやメディアは現状認識力がないということでしょう。
 オン監督はミャンマー戦で先発した17歳コンビに代わってニック・アキフ・シャヒランとディネシュ・ラジャシンガムを先発に起用しましたが、攻撃のリズムが好転することはなかったようで、結局、17歳コンビがこの2選手と交代で途中出場しています。試合は74分に代表フィリピンのオーバーエイジ枠で出場のシュテファン・シュレックのコーナーキックが直接ゴールに飛び込み、これが決勝点となりました。ゴールへ向かってくるボールに対するGKハジック・ナズリは位置取りも反応も悪く、前回大会決勝でやはりボールの起動を読み損ね、パンチングでクリアしたボールが自陣ゴール飛び込んでタイに決勝点を与えた頃から進歩が感じられないプレーでフィリピンに得点を許しました。

第3戦:12月2日
マレーシア4-0東ティモール
得点者:マレーシア-ジュリアオ(9分OG)、ハディ・ファイヤッド2(34分、43分)、アキヤ・ラシド(81分)
 1敗1分で迎えた第3戦は、勝利はもちろんのこと、マレーシアと最終戦で対戦するカンボジアが、既に東ティモール相手に5−0と大勝していたことから、得失差でグループ内の順位が決まる可能性もあり、できるだけ多くのゴールを挙げることが求められた試合でした。
 この前の試合のフィリピン戦の内容について「そんな実力もないのにメッシのような個人プレーはやめろ」と英字紙ニューストレイトタイムズに名指しで批判されたアキヤ・ラシドに代えて、ファイザル・ハリムを起用したオン監督でしたが、それでも途中出場したアキヤ選手もゴールを決め、チームは4点をとり快勝し、最終線維望みをつなぎました。

第4戦:12月4日
マレーシア1-3カンボジア
得点者:マレーシア-クェンティン・チャン(89分)、カンボジア-イン・ソダヴィド(56分)、シエン・チャンテア(57分)、ケオ・ソクペン(68分)
 東ティモール戦の勝利でわずかながら準決勝進出の可能性が残ったマレーシアは、このカンボジア戦に勝ち、この次の試合でフィリピンが東ティモールに負けるか引き分けならば準決勝進出が確定、またフィリピンが勝っても僅差の勝利であればやはり準決勝へ進出できる状況でした。
 しかし試合はカンボジアが一方的な勝利で準決勝を進出を決め、マレーシアは2015年大会以来のグループステージ敗退となりました。

 今回のグループステージ敗戦によってこの大会に臨むマレーシアの姿勢に疑問が残りました。グループステージで戦った主力選手のうち、シャミ・サファリ、アダム・ノー・アズリン、ドミニク・タン、シャマー・クティ、アキヤ・ラシド、ダニアル・アミールの6名はフル代表にも招集されており、U22代表合流は大会のわずか1週間前でした。オン監督は大会前の準備期間が好成績を残した昨年2018年のAFC U23選手権(ベスト8進出)、アジア競技大会(ベスト16進出)と比べると明らかに短かったことを挙げ、FAMにはこのような大会の準備にはより多くの時間を変えるべきとの提言を行っている他、東南アジア地域内にはいつでも勝てる相手はもう存在していない、ということを認識するべきとも話しています。
 今回は残念な結果に終わりましたが、この大会に勝ってもアジアや世界につながるわけではないので、フル代表の資格がある選手も含めたとにかくベストの布陣をひくのではなく、今回の17歳コンビの起用のような将来につながるようなチーム編成を考えるべきではないでしょうか。今大会でも19歳のハディ選手と17歳コンビを使い続けたように、オン監督には育てながら勝つ、という最も大変な役割が与えられていましたが、その信念を貫き続けた姿勢はもっと評価されて良いのではないかともいます。

12月11日のニュース:シーゲームズ-ベトナムがインドネシアを下して金メダル獲得、ミャンマーがカンボジアを下し銅メダル獲得、2020年ACL組み合わせ決定-JDTは日中韓のクラブと対戦、クダFAのプレーオフ対戦相手も決定

シーゲームズ-ベトナムがインドネシアを下して金メダル獲得
 第30回東南アジア競技大会通称シーゲームズのサッカー男子決勝がマニラのリザルメモリアルスタジアムで行われ、ベトナムがドゥオン・バン・ハオ(オランダ1部SCヘーレンフェーン)の2ゴールを含む3-0でインドネシアを下して金メダルを獲得しています。ベトナムは南ベトナム(ベトナム共和国)として優勝した東南ジア大会の前身となる第1回東南アジア半島大会1959年大会以来、60年ぶり2度目の優勝です。この優勝の後は、5度決勝に進出しながらいずれも準優勝に終わっていました。また今回のシーゲームズではサッカー女子もベトナムが有用しており、男女そろっての優勝となりました。
 試合は戦前の予想通りベトナムが優位に進め、試合中にはフル代表監督と兼任のベトナムのパク・ハンソ監督が主審に抗議しレッドカードで退場となる場面もありましたが、試合終了後はピッチに戻り胴上げされたとAFP通信が伝えています。
 今回の大会は、マレーシアで開催された前回2017年大会決勝に進出したタイ、マレーシアの両チームがいずれもグループステージで敗退する一方で、カンボジアが初めて準決勝に進出するなど、各チームの戦力が拮抗していることを印象付ける大会でした。その中で、ベトナムがFIFAワールドカップ予選でUAEやタイを抑えて予選グループトップに立つフル代表だけでなく、このU22世代でも東南アジアをリードする存在であることを知らしめた大会と言えるでしょう。
<東南アジア競技大会2019年大会決勝>
ベトナム3-0インドネシア
得点者:ベトナム-ドゥオン・バン・ハオ2(39分、73分)、ド・フン・ドゥン(59分)
(写真は胴上げされるパク監督と先制ゴールを決めたドゥオン選手-東南アジアサッカー協会AFFのホームページより)

シーゲームズ-ミャンマーがカンボジアを下し銅メダル獲得
 決勝の前に行われた3位決定戦では、ミャンマーがカンボジアをPK戦で下し、サッカー男子では2大会ぶりのメダルを獲得しています。今大会、予選グループではフィリピンと引き分け、マレーシアを破るなど上位チーム相手に旋風を巻き起こしたカンボジアでしたが、メダル獲得はなりませんでした。
 フルタイムを2−2で終えた両チームはPK戦に突入し、先攻のミャンマーは5人全員がPKを決め、後攻のカンボジアも4人がゴールしましたが、5番目のキッカーとなった主将のケオ・ソクペンがシュートをゴールポストに当てて外し、PK戦5-4でミャンマーが銅メダルを獲得しています。
<東南アジア競技大会2019年大会3位決定戦>
ミャンマー2-2カンボジア(PK戦ミャンマー5-4カンボジア)
得点者:ミャンマー-アウン・カウン・マン(9分)、ミヤッ・カウン・カン(35分)、カンボジア-シエン・チャンテア(1分)、ケオ・ソクペン(71分)

2020年ACL組み合わせ決定-JDTは日中韓のクラブと対戦
 アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグの組み合わせが決定し、今季2019年に続き本戦から出場するマレーシアフットボールリーグMFLチャンピオンのJDTは予選グループGに入り、日本、中国、韓国のクラブとの対戦が決定しました。
 同組となったのは、今季2019年ACL準決勝で浦和に敗れたファビオ・カンナバーロ監督率いる今季中国スーパーリーグチャンピオンの広州恒大淘宝、今季Kリーグ8位ながら韓国FAカップチャンピオンの水原三星ブルーウィングス、そして日本からは天皇杯優勝チームがこの組に加わります。
 今季初めてACL本選から出場となったJDTは、山東魯能(中国)、慶南FC(韓国)、鹿島アントラーズと同組となり、1勝1分4敗得点4失点8という成績でした。鹿島相手に1勝を挙げるなど初出場チームとしては結果を残しましたが、来季はそれぞれ過去ACL2度の優勝経験を誇る広州恒大(2013年と2015年のチャンピオン)、水原三星(2001年と2002年のチャンピオン)と同組となり、今季よりも厳しい組に入っています。
(来季2020年ACLの試合日程-JDTのFacebookより)

2020年ACL組み合わせ決定-クダFAのプレーオフ対戦相手も決定
 またマレーシアFAカップ優勝チームのクダFAは、ACL予備予選2回戦から登場しますが、1月21日にはホームのダルル・アマンスタジアムで今季香港リーグチャンピオンの大埔足球会と対戦し、この試合に勝てば1月28日に本戦出場をかけたプレーオフで今季Kリーグ3位のFCソウルと敵地で対戦します。そしてこの試合に勝つと本戦グループEに入ることができます。
(本戦までの道のり-クダFAのFacebookページより)

12月10日のニュース:シーゲームズ関連-決勝はインドネシア対ベトナム、マレーシアはグループステージ敗退、FAMはオン監督との契約を延長せず

東南アジア競技大会通称シーゲームズのサッカー男子では各国のU22代表(2名のオーバーエイジを含む)が対戦しますが、11月25日に開幕したこの大会は、本日12月10日の決勝と3位決定戦を残すのみとなりました。そこで今回はこのシーゲームズ関連の話題をまとめました。

決勝はインドネシア対ベトナム
 U22代表の東南アジアチャンピオンを決める決勝に進出したのは予選グループBを1位で通過したベトナムと同組2位のインドネシアです。準決勝では、ベトナムはFWハー・ジューク・チンのハットトリックを含む4-0(東南アジアサッカー連盟AFFによる試合の詳細はこちら)でグループA2位のカンボジアを一蹴、一方のインドネシアはグループA首位突破のミャンマーを延長の末4-2(AFFによる試合の詳細はこちら)と破り、それぞれ決勝進出を決めています。なお、この両者はグループステージで対戦し、ベトナムが2-1とインドネシアに勝利(AFFによる試合の詳細はこちら)しています。またベトナムとインドネシアに敗れたカンボジアとミャンマーは銅メダルをかけて3位決定戦を戦います。

マレーシアはグループステージ敗退
 シーゲームズの予選グループが発表になり、ベトナム、タイ、インドネシアなど強豪国とは別の予選グループAに入ったことで、国内サッカーファンの間では、マレーシアの準決勝進出に期待が高まっていました。
 大会前にはU22代表を率いるオン・キムスイ監督が、マレーシアフットボールリーグMFLで2年連続の最優秀選手に選ばれたサファウィ・ラシド(JDT)を招集しないことを発表、またアメリカ生まれでプロリーグMLSでのプレー経験もあるワン・クザイン(スポーティング・カンザスシティII)も代表候補合宿に参加しながら、書類上の問題で最終メンバーに選ばれないなどの不安要素がありましたが、それを補って余りあるタレント軍団という前評判で、マレーシアはシーゲームズに臨みました。
 しかし蓋を開けてみればグループステージ敗退、しかもグループ最下位の東ティモール相手に挙げた1勝のみの1勝1分2敗(勝点4)と期待を大きく裏切る結果になってしまいました。4試合で得点6、失点5、得失差+1の成績も、東ティモール戦での4-0の勝利を除けば、3試合で得点2、失点5、得失差-3となり、惨敗と言っても良い結果です。

FAMはオン監督との契約を延長せず
 マレーシアU22代表のグループステージ敗退が決まった翌日、マレーシアサッカー協会FAMは、12月末に切れるU22代表のオン監督との契約を更新しないことを発表しています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガムCEOは、当面はU22/U23代表の公式行事が残っていないことから契約を更新しないとしていますが、今回のシーゲームズ予選グループ敗退の結果に基づく決定でしょう。またラマリンガムCEOは、オン監督の後任についてはこれから検討するとも話しています。
 2009年に当時はハリマウ・ムダと呼ばれたU22/U23代表の監督に就任したオン監督は、2011年インドネシアで開催されたシーゲームズで金メダルを獲得した他、2018年にはベトナムで開催されたアジアサッカー連盟AFC U23選手権でベスト8、インドネシアのジャカルタで開催されたアジア競技大会ではベスト16と好成績を収めています。しかし今年2019年は、3月にクアラルンプールで開催されたAFC U23選手権2020年大会の予選で敗退、そして今回のシーゲームズでのグループステージ敗退と受難の年でした。
 今後についてオン監督は、まずは家族とゆっくり過ごす時間を撮りたいとしていますが。来季MFL1部昇格となるサバFAの監督候補という噂もあります。

11月28日と29日のニュース:ブレンダン・ガンとロナウドがペラTBG退団を発表、サバFAの監督候補にインドネシアのレジェンドが浮上、トレンガヌFCが新外国籍選手獲得発表、シーゲームズでU22代表はフィリピンに敗れる

ブレンダン・ガンはペラTBG退団を発表
 スランゴールFA移籍の噂が出ていたブレンダン・ガンが、自身のインスタグラムでペラTBG退団を発表しています。
 ペラTBGを統括するペラ州サッカー協会PAFAと来季の契約についての合意ができなかったことを退団の理由に挙げていますが、チームメートやサポーターへの感謝の気持ちを述べ、メフメト・ドゥラコヴィッチ監督やスタッフ、フロントへも賛辞を送っています。
 ガン選手は2012年にサバFAで外国籍選手としてプレーした後、オーストラリア生まれながらマレーシア人の父親を持つことから2014年から在籍したケランタンFAでは、マレーシアパスポートを取得しマレーシア人として登録されました。しかし2015年シーズン開幕戦で右前十字靭帯断裂し、このシーズンを棒に振り、2016年9月には左前十字靭帯を断裂し2017年シーズンはケランタンFAが契約を解除するなど、10ヶ月も戦列を離れることになりました。
 その後2018年にはペラTBGと契約し、リーグ戦では2位に、またクラブとしては18年ぶりとなるマレーシアカップ優勝に貢献するなど、今やペラTBGだけでなくフル代表でも欠かせない選手となっています。
 現時点では移籍先のクラブを明かしていませんが、スランゴールFA移籍が有力であると噂されています。

ロナウドもペラTBG退団を発表
 上記のブレンダン・ガンに加えて、通算で90試合近い出場数を誇ったモハマド・ナシル・バシャルディンがトレンガヌFCへ移籍など主力選手の流出が続くペラTBGは、ロナウドことロナウド・エンリケ・シウヴァもインスタグラムで自身の’退団を発表しています。
 今季2019年の2度目のトランスファーウィンドウ期間中に加入したロナウド選手は21試合に出場し12ゴールを挙げています。
 移籍先はマレーシア国内ではなく母国ブラジルのクラブということです。

サバFAの監督候補にインドネシアのレジェンドが浮上
 今季MFL2部で優勝し、来季はMFL1部でプレーするサバFAの監督候補にインドネシアのレジェンドが候補に上がっていると、マレーシア語のサッカー専門サイトボケットFCが報じています。
 候補に上がっているのは代表として59試合に出場し、33ゴールをあげているクルニアワン・ドゥイ・ユリアントです。昨年はフル代表のアシスタントコーチを、現在は東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場しているインドネシアU22代表のアシスタントコーチを務めていますが、2005年にはサラワクFAでプレーし29ゴールを挙げています。
 サバFAを今季MFL2部優勝に導いたジュリアス・アティン監督は、MFL1部監督の要件となるアジアサッカー連盟AFCのプロ指導者資格を保持していないことから、サバFAはアティン監督を来季はアシスタントコーチとし、新監督を探しています。

トレンガヌFCが新外国籍選手獲得発表
 攻撃陣の主力チェチェ・キプレがクダFAに移籍したトレンガヌFCは、モーリタニア出身のFWドミニク・ダ・シルヴァと契約したと、ボケットFCが報じています。
 30歳のドミニク選手は2017/2018年シーズンはベトナムリーグのホーチミンシティFCで、2018/2019年シーズンはサイゴンFCでプレーしていますが、エジプト、チュニジア、アラブ首長国連邦、キプロスなどでもプレー経験があります。

シーゲームズでU22代表はフィリピンに敗れる
 マニラで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーに出場中のマレーシアU22代表は開催国フィリピンと対戦し、0-1と敗れ、通算成績を0勝1分1敗としています。
 この結果、マレーシアは、首位ミャンマー(2勝1分0敗)、2位カンボジア(1勝1分1敗)、3位フィリピン(1勝1分1敗、順位は得失差によります)に続く4位(0勝1分1敗)となり、最下位は東ティモール(0勝0分2敗)となっています。
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 大会前はベトナム、タイ、インドネシアがひしめくグループAとならなかったことで準決勝進出を心配する声は上がりませんでしたが、ここに来てグループステージ敗退の可能性も出てきたマレーシア。各チームとも成績が橘高しているだけに、残りの東ティモール戦、カンボジア戦とも勝利は当然ですが、得失差を考えると大量得点で勝つことが必要です。

11月27日のニュース:FAMはMFL各クラブに今季の未払い給料問題に関する申告を義務づけ、ブキ・ジャリル管理会社はインドネシア戦の施設破壊の賠償をFAMに請求、イルファン・ザカリアはシーゲームズに集中

FAMはMFL各クラブに今季の未払い給料問題に関する申告を義務づけ
 マレーシアサッカー協会FAMは、2020年にマレーシアフットボールリーグMFLに参加する全てのクラブに対して、現在抱えている未払い給料とそれをどのように解消するかの計画の申告を12月15日に行うことを義務付けたと発表しています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、今季発生した未払い給料や、日本の年金に当たる授業員積立基金EPF、所得税なども含めた負債を来季まで持ち越させないための措置であると述べ、未払い給料や負債を抱えるクラブを罰することが目的ではなく、各クラブがそういった金銭面の問題を抱え込まず、解決するためが目的であるとしています。
 「未払い給料の完済と負債の解消は各クラブがその責任を負うものであり、今季中に全てを解決し、来季に持ち越さないことを宣誓すること、また全ての未払い給料や負債を隠さず、明らかにすることを求め、それが守られない場合には、すでに各クラブが取得している来季のクラブライセンスをFAMが無効にする措置を取ることもありうる。」とマレーシアの通信社ベルナマにラマリンガム事務局長は述べています。
 また選手に対しては、今季の未払い給料が完済されない場合には、FAMに申し立てを行うことを求めており。そういった申し立てを受けた場合、FAMがクラブに対して指導を行うとしています。
 給料未払い問題では、MFL2部のケランタンFAが2017年にテクニカルダイレクターTDとして契約したウルグアイ出身のアルフレド・カルロス・ゴンザレスに対する未払い給料23万5686リンギ(およそ620万円)を指示された期間内に完済しなかったことから、FIFAの裁定により今季のMFLで勝点3を剥奪されています。

ブキ・ジャリル管理会社はインドネシア戦の施設破壊の賠償をFAMに請求
 ブキ・ジャリル国立競技場を管理するマレーシアスタジアム社は、11月19日に行われたFIFAワールドカップ2022大会アジア二次予選のインドネシア戦で、インドネシアサポーターによって破壊されたスタンドの座席の補修費用として1万1000リンギ(およそ29万円)をこの試合の主催者であるFAMに請求すると、ベルナマが伝えています。
 マレーシアスタジアム社のニック・ラジーン・アダム・ダウドCEOは、この賠償額は破壊された44席の補修費用であると発表しています。

イルファン・ザカリアはシーゲームズに集中
 先日新たにクアラルンプールサッカー協会会長に就任したカリド・アブドゥル・サマド会長は、統括するMFL2部のクアラルンプール(KL)FAを2021年シーズンには再びMFL1部に昇格させるとして、大幅な選手入れ替えを示唆、今季2019年在籍選手中18名が来季はKLFAでプレーしないことが発表になっています。
 現在、フィリピンで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場中のマレーシアU22代表にオーバーエイジ枠で参加しているイルファン・ザカリアも、KLFAが来季契約を結ばない選手の一人ですが、イルファン選手はマレーシアの通信社ベルナマの取材に対して、自分の所属先を考える前に今はシーゲームズに集中し、優勝を目指したいと語っています。
 2016年からKLFAでプレーするイルファン選手については、ベルナマの記事ではKLFAからは来季へ向けて契約更新の打診があったようですが、イルファン選手は退団を選び、来季の所属先については急いで決めるつもりはないとしています。
 退団決定後から複数のクラブが獲得に動いているとされますが、U22代表のオン・キムスイ監督は、シーゲームズに集中させるため、MFL各クラブには大会終了までは接触を控えて欲しいとベルナマの取材に答えています。

11月26日のニュース:シーゲームズ開幕戦でマレーシアはミャンマーと引き分け、KLFA新会長-プレミアリーグは来季のみ、パハンFA監督は来季はUITM FCで監督か

シーゲームズ開幕戦でマレーシアはミャンマーと引き分け
 今回で第30回となる東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーがフィリピンのマニラで開幕し、初戦でミャンマーと対戦したマレーシアは1-1の引き分けでスタートしています。
 この日のマレーシアは、オーバーエイジ枠のアダム・ノー・アズリン(JDT)とイルファン・ザカリア(クアラルンプールFA)の二人を最終ラインに配置する一方、17歳のルクマン・ハキム・シャムスディンとムハマド・ウマル・ハキーム・スハル(いずれもモクタル・ダハリ・アカデミー)を先発メンバーで起用する思い切った布陣で試合に臨みました。

 2016年にはケランタンFAでの監督経験もあるヴェリザール・ポポフ監督率いるミャンマーとの試合は、13分に主将ライン・ボー・ボーのコーナーキックにソー・モー・チョウが頭で合わせてミャンマーが先制しましたが、マレーシアも24分に相手DFからボールを奪ったアキヤ・ラシド(JDT)があげたセンタリングをハデイ・ファイヤッド(ファジアーノ岡山)がヘディングでゴールへ叩き込み同点とします。
 その後もハディ選手のヘディングがゴールポストに阻まれるなどチャンスをものにできなかったマレーシアは追加点を奪えず、試合は1-1のまま終了しています。なお17歳コンビはルクマン選手がファイサル・ハリムと、ウマル選手はディネシュ・ラジャシンガム(いずれもパハンFA)と途中交代しています。
 マレーシアの次戦の相手は、この日、カンボジアとやはり0-0で引き分けた開催国フィリピン戦で、11月29日に行われます。
(写真は両チームのスターティングXI。FAMのFacebookより)

KLFA新会長-プレミアリーグは来季のみ
 クアラルンプール(KL)FAを統括する連邦直轄区クアラルンプールサッカー協会の会長選挙が行われ、唯一の立候補者であったカリド・アブドゥル・サマド連邦直轄区大臣が無投票で当選し、新たな会長に就任しています。
 会長就任あいさつでカリド会長は2021年シーズンには、今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL1部で最下位の12位となり、来季2020年は2部でプレーするKLFAを2021年シーズンには再びMFL1部でプレーさせる決意を表明しています。しかも2021年にはMFL1部の上位4チーム入りを目指すとも述べています。
 長らく低迷しているKLFAは昨季2018年にMFL1部に昇格するも7勝3分12敗(勝点24)の10位で1部残留を果たしましたが、今季は4勝2分16敗(勝点14)と最下位に沈みました。
 クラブは若手中心のメンバーに切り替えている方針も示したカリド会長ですが、その一方でKLFAは主力選手を含む大量の退団者を発表しています。ギリェルメ・デ・パウラ、ダルコ・マルコヴィッチ、ルーク・ウッドランド、ノ・ヘンソクら外国籍選手や現在、シーゲームズにオーバーエイジ枠で出場中のイルファン・ザカリア、アシュリ・チュチュなど大量18名が退団します。
 その一方でインドラ・プトラ・マハユディンやパウロ・ホスエなどの選手は、KLFAのTwitterにアップされた退団者への感謝を伝えるメッセージが添付された写真にその姿がないことから、残留の可能性もあります。さらには今季は2度も交代が起こった監督のポストも現在空席で、来季MFL2部で入れ替え戦出場権が得られる2位以内に入るための人選が重要な鍵を握りそうです。
(写真はKLFAのTwitterに掲載された退団選手への感謝のメッセージ)

パハンFA監督は来季はUITM FCで監督か 
 今季MFL1部で2位となったパハンFAのドラー・サレー監督が、来季MFL1部に昇格するUITM FC監督に就任するのでは、という噂が出ているとスポーツ専門サイトスタジアムアストロが報じています。
 この噂は現在、シンガポールU22代表の監督として東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場中のシンガポールのレジェンド、ファンディ・アーマド監督が来季のパハンFAの監督就任の噂が発端になっています。さらには今季MFL2部でUITM FCを率いたイスマイル・ザカリア監督が、MFL1部の監督となるために必要なアジアサッカー連盟AFCの資格を保持していないことでさらに信憑性を帯びています。
 しかしUITM FCのムスタファ・アーマドGMは、ドラー監督はクラブにとって監督として雇用するには「偉大すぎる」とこの噂を否定しています。
 ムスタファGMは、クラブをMFL1部昇格のレベルまで引き上げたイスマイル監督の手腕を評価しており、来季も指揮を取ってもらうことを期待しているものの、資格要件を満たしていない点についてはMFLの判断に従うとしています。

11月25日のニュース:クチンFAがMFL2部昇格、シーゲームズ前日会見で各コーチから不満続出、アムリ・ヤハヤ退団は監督との確執が原因

クチンFAがMFL2部昇格
 マレーシアフットボールリーグMFL2部11位のサラワクFAとMFL3部にあたるM3リーグ2位のクチンFAとの間で来季2部の座をかけて争われたプレーオフが、サラワクFAとクチンFAがともにホームとするサラワクスタジアムでおよそ5000人の観衆を集めて行われ、クチンFAがサラワクFAを3ー1で破り、MFL2部昇格を決めています。
 マレーシアの通信社ベルナマによると、サラワク州の州都クチンを本拠とするクチンFAがサラワク州サッカー協会が統括するサラワクFAを相手に、8分にはサハラン・アブドル・サマドのヘディングで先制します。52分にはサラワクFAのブラジル出身FWハドソン・ディアスのゴールで同点としますが、77分にはモハマド・ザイヌディン・ボハリ、85分には代表経験もあるジョセフ・カラン・ティがそれぞれゴールを挙げ、クチンFAがサラワクFAを突き放し、そのまま勝利しています。
 クチンFAには鈴木裕太選手が在籍しており、この試合でもスタメンでフル出場しています。

シーゲームズ前日会見で各コーチから不満続出
 本日11月25日に開幕する東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーは、各チームのコーチによる前日会見が行われましたが、試合開始前から様々な問題が起こっているとベルナマが伝えています。
 この日の前日会見では、フル代表でも監督を務めるベトナムU22代表のパク・ハンソ監督は、会見が予定されていた時間通りに始まらないことで不快感を表していましたが、その原因はやはりフル代表とU22代表の両方で監督を務めるタイの西野朗監督の遅刻にありました。予選グループBの6チームの中で最後に登場した西野監督は、4分ほどの遅刻を詫びながらも主催者から伝えられていた会見の時間が違っており、チームと行動していたための遅刻であると平然としていたとベルナマは伝えています。
 この二人はおよそ1週間前にFIFAワールドカップ予選で対戦し、0ー0で引き分けたばかり。しかも試合後には西野監督がベトナムの選手を「アンプロフェッショナル」と非難した一方で、ベトナムサッカー協会はタイ代表のササ・ヴェスナ・トディックアシスタントコーチがパク監督の体躯について「アンプロフェッショナル」なジェスチャーをしたことでAFCに提訴しています。(なおgoal. comでは、この席上で西野監督がパク監督にササ・トディックコーチの非礼を謝罪したともほうどうされています)。会見ではこの二人の間にインドネシアU22代表のインドラ・シャフリ監督が座っていたことで二人が直接、接触することはなかったということです。
 また、西野監督はシーゲームズ主催者に対して練習会場まで移動に2時間かかったこと、実際の試合会場は人工芝にもかかわらず用意された練習場は天然芝だったこと、また宿舎で出されている食事にも注文をつけたようです。
 今回のシーゲームズでは、マニラ入りした東ティモール代表やカンボジア代表が空港で8時間以上も待たされる、宿泊先でないホテルへ連れて行かれるなど、ロジスティック面での問題がすでに起こっており、ミャンマーやタイなども主催者側に不満を述べる事態となっています。

アムリ・ヤハヤ退団は監督との確執が原因
 スランゴールFAを退団するアムリ・ヤハヤは、バースカラン・サティアナタン監督の確執が原因で退団するようだとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが伝えています。
 スタジアムアストロとのインタビューでは、サティアナタン監督の選手起用方が原因での退団と明言した上で、アムリ選手は来季の所属先を明らかにしなかったものの、スランゴールFAでは来季、自分がプレーするチームに勝つことはできないだろうと挑発的なコメントを残しています。
 アムリ選手の退団については、サティアナタン監督は自らの関与を否定し、アムリ選手自身意思によるものとしていますが、アムリ選手がより多くの出場機会を望む一方、サティアナタン監督は来季はアムリ選手をスランゴールFAのBチームでの起用を示唆するなど亀裂が深まっていました。
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 サティアナタン監督はこの報道の後、アムリ選手がマレーシアカップ準決勝のJDT戦での交代後、試合終了前に帰宅し、試合後のミーティングに参加しなかった件などを挙げ、チームの規律を乱す選手であることも暗示し、本人が残りたくないのであれば慰留はしないと話するなど、来季に向けて遺恨が残る事態になっています。
 マレーシアのスポーツ界では、今回のアムリ選手の様に自分が監督、コーチよりも上にいるかのような発言、行動をする選手の話を聞くことは少なくありません。実際にスーパースターであったり、フロントの子飼いの選手であったりと理由は様々ですが、今回アムリ選手が相手にしたのは絶対に選手を甘やかさないことで定評があるサティアナタン監督でしたので、いわゆる意地の張り合いの結果、当然ながら監督が一選手に勝利したという図式かと思われます。