7月13日のニュース:Mリーグはリーグ再開に慎重姿勢、ウズベキスタンで10月に開催予定のAFC U19選手権に暗雲、汚職防止委員会が公立大学サッカー部のチームマネージャーを逮捕

Mリーグはリーグ再開に慎重姿勢
 先日のこのブログでも伝えましたが、8月15日からサッカーを含むスポーツの試合実施が解禁になることが発表されていますが、国内リーグのMリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは再開について慎重姿勢であると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 Mリーグは3月16日より中断中ですが、今月7月15日からは身体接触を含むチーム練習が可能となり、8月15日から試合実施が可能になることが、7月11日に行われたマレーシア政府の新型コロナウィルス関する定例記者会見で発表されています。
 当初のMリーグ再開は9月1日を予定していたMFLも、これに合わせて日程の前倒しを行う可能性がありましたが、MFLのガニ・アブドル・ハサンCEOはリーグ再開には慎重期することが重要だとして、試合実施許可が出たからといって、リーグを慌てて再開することは考えていないと語っています。
 さらにガニCEOは、MFLはMリーグ1部と2部で使用される20のスタジアムの消毒作業作業などが徹底されているかどうかの確認も必要だと話し、再開日程については予定通り9月1日となる可能性があるとしています。
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 Mリーグの各クラブに対しては、標準作業手順SOPに従った上で、身体接触を含まない練習の再開許可は既に出ており、7月15日から可能となる身体接触を含む練習が可能となることで、練習第2段階に入りますが、Mリーグ1部ではPDRM FC、2部ではケランタンFA、UKM FC、サラワク・ユナイテッドが練習再開許可を得られていません。綿棒検査で選手やスタッフの陰性が証明され、練習で使用する会場を消毒した上で登録することなどが練習許可申請の条件になっています。リーグ再開を9月1日と見越し、練習再開許可を未だに得られていないクラブにとって、リーグ再開が8月15日となれば明らかに時間が不足する可能性もあることが、ガニCEOの発言の根底にあるかも知れません。

ウズベキスタンで10月に開催予定のAFC U19選手権に暗雲
 アジアサッカー連盟AFCは、新型コロナウィルス感染拡大の収束に伴い、公式サイト上で今季のAFC主催の各大会の改定日程を発表しています。その内、マレーシアも出場権を獲得しているU19選手権は10月14日から31日の日程で、ウズベキスタンで開催されることになっています。
 しかしウズベキスタン全土が新型コロナウィルスの「赤色地域」に移行したとして、ウズベキスタン政府は7月10日から8月1日まで全国一律で移動や活動の制限措置の再強化を行うことを発表しています。この間は配達を除く飲食店の営業禁止やスポーツ施設の営業行為の禁止、屋外での3名以上での団体行動の禁止などの措置が取られることになっています。
 ニューストレイトタイムズ電子版は、この「ロックダウン」は状況が改善されなければ、8月1日以降も延長される可能性もあるとして、AFC U19選手権が今年中に開催されない可能性もあるのではないかとし、U19代表のブラッド・マロニー監督にその辺りの対応についてインタビューした記事を掲載しています。
 マロニー監督は「我々が(その決定に)関与できることではないので、状況を見守るしかない。日程変更などの発表があるまでは、従来の予定通りに準備を進めていきたい。」と話し、7月15日から解禁になる身体接触を含む練習が許可されたことを歓迎するとともに、練習試合なども組んでいきたいと話しています。 

汚職防止委員会が公立大学サッカー部のチームマネージャーを逮捕
 ニューストレイトタイムズ電子版によると、スタンゴール州にある公立大学のサッカー部のチームマネージャーが職権乱用の疑いでマレーシア汚職防止委員会により勾留されているということです。
 シャーアラム裁判所で勾留命令書が出されたというこのチームマネージャーは、マレーシア汚職防止法違反の疑いで勾留されているということです。
 42歳のこのチームマネージャーは大学内では青年スポーツ担当の職員ということで、汚職防止委員会は、この人物が自身の地位を使って、自分と利害関係にある会社を代理人に任命して、大学サッカー部が外国籍選手を獲得する際に利益を得ていた容疑がかけられているということです。
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 記事の中ではこの大学がMリーグに所属しているかどうかは述べられていませんが、もしそうだとすると、Mリーグ2部に所属し、マラ工科大学UITMが運営するUITM FCとマレーシア国立大学UKMが運営するUKM FCが国立大学を母体とするクラブなので、このいずれかの可能性があります。
 ちなみにこの記事が出た後に、UITMの体育課に勤務する知り合いに聞いたところでは、学内でそのような話は出ていないということですので、もしこれがMリーグのクラブに関する話なら、UKM FCの可能性が高そうです。

7月9日のニュース:一時帰国中の外国籍選手もマレーシア入国へ、青年スポーツ相がU19代表合宿を視察

パハンFAの外国籍選手はチーム合流に見通しが立たず
 英字紙スター電子版によると、Mリーグ1部パハンFAは、現在、国外滞在中の外国籍選手のマレーシア入国許可を出入国管理局より取得したものの、その選手たちのマレーシアへ来る手段がなくチームへの合流が遅れそうだということです。
 パハンFAにはMリーグ1部の規定通り5名の外国籍選手が所属していますが、その内、現在マレーシア国外にいるのがいずれも自国に帰国しているレバノン出身のカリル・カミスとフィリピン出身のアダム・リードです。
 パハンFAのチームマネージャーを務めるモハマド・スフィアン氏によると、出入国管理局のカイルル・ザイミー・ダウド局長自身がパハンFAを含めMリーグの複数のクラブの外国籍選手の入国申請の審査を行い、いずれの外国籍選手にもマレーシアの入国許可が認められたということです。
さらにモハマド・スフィアン チームマネージャーは「カリル、リード両選手も入国許可が出たものの、レバノンでは新型コロナウィルス感染が拡大中、またフィリピンでも新たな感染者が1000人単位で増加しているということで、航空会社の運行便数が制限されていることから、マレーシアへ戻る便を確保できてない。またマレーシア到着後も症状がなければ数日間の隔離検疫期間を経て、チームに合流できるだろう。」と話しています。
 今週から練習を再開したパハンFAの残る3名の外国籍選手であるディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)、イヴァン・カルロス(ブラジル)、エラルド・グロン(フランス)は、活動制限令MCOが3月半ばに発令された際もマレーシアに残り、現在はチームの練習に参加しているということです。

クダFA監督は外国籍選手の早期合流を期待
 また英字紙ニューストレイトタイムズは、練習を再開しているMリーグ1部クダFAの外国籍選手のチーム合流が遅れる見通しだということです。
 フィリピンに帰国中のアミン・ナザリは、マレーシア入国に必要な綿棒検査を受け、既に新型コロナウィルスの陰性が確認されている一方、ブラジルに帰国中のレノン・アウヴェスは現在、綿棒検査の結果を待っているとされています。
 自身も綿棒検査を経てマレーシア入国を許可されたシンガポール出身のアイディル・シャリン監督はアミン、アウヴェス両選手が来週までには合流できることを期待していると話しています。

青年スポーツ相がU19代表合宿を視察
 マレーシアサッカー協会FAMと共同で国家サッカー選手養成プログラムNFDPを運営している青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣が、AFCU19選手権に出場する代表選手候補合宿を見学し、チームの核となっているNFDP出身者を含めた選手を激励したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 スランゴール州プタリンジャヤにあるFAMの施設で行われているU19代表候補合宿をFAMのハミディン・モハマド・アミン会長と共に訪れたレーザル・メリカン青年スポーツ相は、NFDPの出身者がU19代表のレベルを高め、青年スポーツ省の予算を投入し、歴代大臣が関わってきたNFDPが結果を出すことを期待している、と述べています。
 本日7月9日には、現在は身体接触を含まない練習のみが許可されているスポーツの練習方法について、身体接触許可をを認めるかどうかの政府閣議が行われる予定で、現在は体力トレーニングが中心になっているU19代表も、数日以内に通常練習へと移行できる可能性を示唆した上で、10月にウズベキスタンで開催されるU19選手権へは万全の準備で臨んでもらいたいとも話しています。

7月8日のニュース:ペラ州政府がかつての名選手の支援を検討、FAMはアフリカ出身の帰化選手候補の審査を書類不十分により終了、「日本は東南アジアの才能豊かな若い選手に常に注目している」ヤクルト濱田社長

ペラ州政府がかつての名選手の支援を検討
 マレーシアの通信社ブルナマは、かつてペラ州サッカー協会PAFAが運営するペラFA(現ペラTBG)で活躍したストライカーのカリド・ジャムルスへの経済支援をペラ州政府が検討していると報じています。
 ペラ州のアーマド・ファイザル・アズム州首相は、ペラFAや代表で活躍したかつての名選手が苦境を聞くたびに心が痛むと話し、カリド選手に対してどのような支援を行えるかをPAFAと話し合ったことを明かしています。
 カリド選手は先週、現在の経済的困窮状況を明らかにした上で、2002年シーズンに17ゴールを決めて獲得したMリーグ得点王表彰のゴールデンブーツを1万500リンギ(およそ26万4000円)で手放したことを自身のFacebook上で明らかにしていました。このゴールデンブーツの他、現役時代のユニフォームや獲得した様々なメダルなどの記念品も併せてオークションで売却したとして、代表でも2004年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権で6ゴールを決めたかつての名選手の現状に同情が集まっていました。
 2012年を最後にMリーグでプレーしていないカリド選手は過去3年間は無職だったとも報じられています。

FAMはアフリカ出身の帰化選手候補の審査を書類不十分により終了
 マレーシアサッカー協会FAMは、コンゴ民主共和国出身のマルセル・カロンダから申請されていた帰化選手審査を終了すると公式サイトで発表しています。
 22歳のカロンダ選手は祖父がサバ州出身であるとしてマレーシア人の血筋を持つHeritage Playerの資格で帰化を申請していました。
 しかしFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長の発表によると、FAMはコンゴ共和国サッカー協会FECOFOOTや当地のコンゴ共和国領事館を取る一方で、カロンダ選手から提出されていた書類をマレーシア法務省下の国家登録局JPNに提出したところ、JPNからは一部の内容が無効であるという連絡を受け取ったということです。
 FAMは既にカロンダ選手に審査終了の連絡を通知したということです。
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 実はこのカロンダ選手については、3月頃から当地のサッカーファンの間では話題になっていました。しかし、その後も何の確証も現れず、単なる噂とカロンダ選手自身の主張のみを根拠に期待だけが大きくなっていったこともあり、このブログでは積極的には扱わないことを決め、取り上げたのも先月の一度だけでした。
 ここ数年は帰化選手の増加によってマレーシア代表の力が底上げされているのは事実ですが、マレーシア国内でプレーもせず、突然、マレーシア人の血筋を引いていると主張する外国籍選手は、所詮、現在居住する国では代表になれない選手たちが機会を求めているだけに過ぎないような気がします。
(下は公式Facebookに掲載されたカロンダ選手の審査終了の告知)

「日本はアセアンの才能豊かな若い選手に常に注目している」ヤクルト濱田社長
 マレーシアの国営テレビRTMにJ2岡山のハディ・ファイヤッド選手とヤクルトマレーシアの濱田浩志社長が出演したと、マレーシアのサッカー専門サイトのヴォケットFCが報じています。
 「国外へ選手派遣は有意義か、時間の無駄か」と題されたこの番組の中で司会者のニニ・イブラヒム氏は岡山からオンラインで出演したファディ選手に対して、現地の気候や文化、日本の新型コロナウィルス対策などサッカー以外の話題なども含めたインタビューを行い、ハディ選手もAチーム入りを目指す強い決意を表明しました。
 続いて番組に登場したの濱田社長は、新型コロナウィルスによって現在は停止しているものの、ヤクルト社がこれまで行ってきたマレーシア国内の草の根レベルのサッカー支援、そして今年後半に予定されている国内大会への支援、そして優勝チームの日本派遣などについて説明しました。
 その後、司会者からハディ選手を支援する理由を尋ねられた際は、ハディ選手の支援は同社の企業の社会的責任活動CSRの一環であると述べています。さらに他のマレーシア人選手を今後日本へ派遣する予定があるかどうかを尋ねられた濱田社長は、同社はサッカー選手の代理人ではないので、日本国内のクラブへの橋渡しはするが、選手を受け入れるかどうかは先方のクラブ次第であると述べた他、もし自ら望んで日本へ行きたい選手がいれば、日本のクラブへ紹介することはできる、と答え、その際には日本はアセアン(東南アジア諸国連合)の才能豊かな若い選手に常に注目していると話しています。
 なお、この番組の映像はこちらからご覧になれます。

7月6日のニュース:元U16監督の外国クラブへの若手派遣は意味なしの意見に元U23監督が反論、スランゴール州FAがサッカーコンサルとの契約を発表、ルクマンの渡欧が決定

元U16監督-外国クラブへの若手派遣は意味なし
 かつてU 16代表の監督を務めた他、マレーシア政府青年スポーツ省とマレーシアサッカー協会が共同して運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDP内のエリートアカデミーであるモクタル・ダハリアカデミーAMDのテクニカルダイレクターも務めたリム・ティオンキム氏は、若手選手の外国クラブへの「派遣」は時間の無駄であり、教育を受ける機会を奪うものだと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版とのインタビューで話しています。
 リム氏は、コーチの外国クラブへの派遣には、コーチの育成という観点から意味があるので賛成する一方で、若手選手の派遣には反対であると述べています。
 「マレーシアは日本や韓国と違い、外国のクラブのスカウト網には含まれていない。もし、スカウトされたという話があれば、それはうそだ。また、高校や大学に在学中の選手を外国のクラブへ派遣するとなった場合、その間の教育はどうなるのだろうか。教育は重要であり、もしその選手がプロになれなかった場合には、その後の人生では何を頼りに生きていくのかまで検討されているようには思えない。」
 自身は1980年代後半にドイツ1部リーグのヘルタ・ベルリンでもプレーし、その後はバイエルン・ミュンヘンのユースチームのコーチを務めたリム氏は、若手選手が外国クラブの目に留まる機会を作るためには国際大会に出場させることが近道であると述べています。
 「当初は10年計画として2002年に始まったNFPDだが、その後の2013年にNFPDの計画責任者として参加した私が直近の目標としていたのは2019年のU17 W杯への出場だった。具体的にはこの大会に出場し、各国から集まる監督、コーチ、そして世界各地のクラブのスカウトの目に留まる機会を作り、その後はNFDPの卒業生が海外のクラブでプレーするという目標を立てていた。」
 「海外、特にヨーロッパのクラブにマレーシアの選手が評価されるのは難しい。現在のNFPDも卒業生に海外のクラブでプレーさせるという目的は変わっていないが、実現は難しくなっている。と言うのもFAMは日本に選手を送り込んでおり、これは単なるマーケティングが目的である。」と話すリム氏は、自分をドイツから招聘した当時の青年スポーツ相のカイリ・ジャマルディン現科学技術およびイノベーション相とともに現在のNFDPの状況を憂いており、「若い選手には技術習得や性格形成などの機会を十分に与えるべきだが、現在のNFDPは直ちに結果を求めようとしている。」と批判的な意見を述べています。
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 2013年にバイエルン・ミュンヘンからNFDPへ三顧の礼をもって迎え入れられたリム氏は、2016年にはAMDのテクニカルダイレクターに、さらに2019年のU17W杯出場を目指したU16監督にも就任しました。しかしU17W杯のアジア予選を兼ねたアジアサッカー連盟AFC U16選手権2018年大会がマレーシアで開催されながら、グループステージ最下位で敗退した結果、リム氏はU16監督を解任され、2019年以降はNFDPとの契約が更新されず、事実上の解任となりました。
 ただしこの「解任」は、この年の選挙で1953年のイギリスからの独立後初の政権交代が起こった結果、旧与党が推奨するもの全てを否定するような「魔女狩り」にも似た風潮が生まれ、そのとばっちりを受けたような面もある解任だったと言う印象です。

元U23監督-海外クラブへの派遣は時間の無駄ではない
 上で取り上げたリム氏の意見に対して、元U23代表監督で、現在はマレーシアサッカー協会FAMのユース育成部門の責任者を務めるオン・キムスイ氏は、高いレベルの海外クラブに派遣することは、若い選手が成長するための道を切り開くものであると反論しています。
 「FAMは海外のクラブへ派遣した選手の状況を把握しており、派遣先のクラブもきちんとした組織を選んでいる。ヨーロッパのクラブは運営しているアカデミーが複数のレベルに分かれており、派遣する若手選手はアカデミーで練習中の選手ではなく、派遣する選手と同じ年代のトップチームと一緒に練習させることを目標にしている。」
 「我々は派遣先のクラブを選別する必要があるが、どのクラブであっても選手を派遣して直ちに我々の求めることが実現するわけではない。そのためにはクラブとの関係を構築して、長期間にわたって派遣を続ける必要があり、結果が出るまでには時間がかかることも承知している。」と話すオン氏は、FAMは現在、これまでの日本サッカー協会JFAとの関係に加えて、韓国サッカー協会KFAやヨーロッパの複数のクラブとの練習参加などの派遣プログラムを計画中ということです。
 またNFDPの状況にも常に目を配っていると話すオン氏は、第1期卒業生のサッカー人生が不安定な状況であるという指摘に対しては、全員がMリーグクラブに所属しており、10月に開催予定のAFC U19選手権に出場するチームの核となっていることまた、さらに昨年はこの卒業生たちが東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権やAFC U19選手権に出場したことを指摘し、放置されているという指摘は当たらないとしています。

スランゴール州FAがサッカーコンサルとの契約を発表
 Mリーグ1部スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは公式サイト上で、サッカー専門のコンサルティング会社であるハーカス・コンサルタンシー・グループHCG社と契約したことを発表しています。
 HCG社はバレンシア(スペイン)、ベンフィカ(ポルトガル)、AZアルクマール(オランダ)、レンジャーズ(スコットランド)といったヨーロッパのクラブの他、サイゴンFC(ベトナム)やタンピネス・ローバーズ(シンガポール)などとも契約しているということです。
 持続可能な運営、そしてスランゴールFCの完全民営化を目指すFASは、スカウティングやトレーニング、大会の開催やスタジアムの商業価値増大などサッカー関係の様々なサポートを行うHCG社と契約することで、ビジネスとしてサッカークラブ運営だけでなく、かつての黄金期を取り戻せるようクラブとしてのレベルアップを目指すということです。

ルクマンの渡欧が決定
 同じFASの公式サイトでは、Mリーグ2部、スランゴールFCのBチームであるスランゴール2に所属するルクマン・ハキム・シャムスディンのKVコルトレイクへの移籍を発表しています。
 マレーシア人富豪のヴィンセント・タン氏がオーナーを務めるベルギー1部リーグのKVコルトレイクはルクマン選手と5年契約を結んでいますが、新型コロナウィルスノエ教により、ルクマン選手はクラブに合流できないまま、ベルギーリーグは中断後にリーグ日程を短縮して2019/2020年シーズンを終えてしまったことから、練習環境を求めてスランゴール2と契約していました。
 上記でも取り上げたNFDPの第1期卒業生の一人でもあるルクマン選手は、チームはグループステージ敗退となりながら、2018年のAFC U16選手権では唐山翔自(現ガンバ大阪)らと得点王を分け合い、今年10月に開催されるAFC U19選手権予選でもやはり試合出場は2試合ながら得点王となるなど、マレーシアサッカーの将来を担う期待の星ですが、この度、FASとKVコルトレイクの間で移籍が合意されたということです。
 FASが育てたわけではないルクマン選手の移籍について、かなりの量の説明付きで報じているのは個人的には少々違和感がありますが、18歳のルクマン選手を暖かく送り出そうというFASの気持ちは伝わってくる移籍告知です。

7月4日のニュース:代表はW杯予選前にバーレーンと練習試合実施、FIFAからの支給金は各州FAには分配されず、マレーシア人マネージャーが明かすヤンゴンU成功の秘密

代表はW杯予選前にバーレーンと練習試合実施
 今年3月に予定されながら、新型コロナウィルス感染拡大により延期となり、その後は実施が危ぶまれていたバーレーンとの練習試合が行われることになったとマレー語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 10月2日に予定されているマナマでのアウェイマッチでは、最新のFIFAランキングで99位のバーレーンに同154位のマレーシアが挑むかたちですが、10月8日にやはりアウェイマッチとなるW杯予選のアラブ首長国連邦戦が控えるマレーシアにとっては、格好の腕試しとなるでしょう。
 代表のタン・チェンホー監督は、このバーレーン戦をUAE戦を控える代表にとって中東のプレースタイルと気候に慣れるための貴重な機会だと話しています。
 マレーシア代表はW杯アジア二次予選のグループDで現在、2位に付けており、残るUAE戦(10月8日)、ベトナム戦(10月13日ホーム)、タイ戦(11月17日アウェイ)の結果次第では、W杯三次予選への進出は難しくとも、開催国枠で出場した2007年以来のアジアカップ出場権獲得が期待されています。

FIFAからの支給金は各州FAには分配されず
 国際サッカー連盟FIFAから新型コロナウイルス感染による財政難への取り組みを手助けするために、マレーシアサッカー協会FAMに対して支給された150万米ドル(およそ1億6100万円)について、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、Mリーグクラブや、クラブを運営する各州FAに分配する予定はないことを明らかにしています。
 スチュアート事務局長がマレー語紙ブリタハリアンに語ったところによると、この支給金は新型コロナウイルス感染症の大流行で影響を受けたサッカーコミュニティーを手助けする救済が目的であり、未払い給料問題を抱えるクラブを支援することはFIFAの指針に反するものであるとして、剰余金が出た場合でもクラブへの分配は行わないとしています。
 6月29日にアジアサッカー連盟AFCのウインザー・ジョン事務局長は、FIFAが各国FAに対して150万米ドルを支給することを明らかにしており、スチュアートFAM事務局長の発言は、このAFCからの告知を受けて支援を求める可能性がある州FAに釘を刺すためのものと考えられています。

マレーシア人マネージャーが明かすヤンゴンU成功の秘密
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、ミャンマー1部リーグのヤンゴン・ユナイテッドFCのスポーツマネージャーを務めるマレーシア人のカイルル・アヌアル・アズミ氏とのインタビュー掲載し、ヤンゴン・ユナイテッドFCのビジネスモデルとその成功を紹介しています。
 2018年から現在の職についているカイルル・アヌアル氏によると、ヤンゴン・ユナイテッドFCはクラブ所有の施設が生み出す収入のおかげで、スポンサー代や広告料、入場料収入、グッズの売り上げといった収入に依存せずに運営ができていると話しています。
 ヤンゴン・ユナイテッドFCは4面の屋外フットサルコート、1面の屋内フットサルコート、バスケットボールコート、ジム、プール、バドミントンコートなどを所有し、これらを一般に開放して収入を得ている他、さらに所有する多目的ホールでは企業のイベントやディナーパーティー、そして結婚式の会場としても貸し出されているそうです。
 またサッカーアカデミー やスイミングスクールも併設されているということで、収入だけでなく地域社会のスポーツ文化育成などにも一役買っており、カイルル・アヌアル氏によれば、スポーツ施設を含めた施設の貸し出しで一月あたり15万リンギカラ17万リンギ(およそ376万円から426万円)の収入があるということです。
 今季もAFCカップに出場しているヤンゴン・ユナイテッドFCは、2013年からは横浜F・マリノスともパートナーシップ提携を行っているということです。
 この記事は、Mリーグのクラブもヤンゴン・ユナイテッドFCを見習って、より大きな視点でサッカークラブを運営するべきだと締めくくっています。
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 下はヤンゴン・ユナイテッドFCが所有するスポーツ施設の紹介映像ですが、これを見る限りでは総合スポーツ施設という感じで、ヨーロッパのスポーツクラブがモデルになっているような感じです。Mリーグのクラブは州政府の予算頼りのクラブが大半で、サッカークラブがビジネスとして成功するためには、公金に頼らないクラブ運営から始めなければなりませんが、その道はまだまだ遠そうです。

7月3日のニュース:今度はクランタン州FAの副会長が辞任、青年スポーツ相-身体接触を含む競技の再開は時間の問題、AFC選手権出場のU19代表候補合宿参加者35名が発表

今度はクランタン州FAの副会長が辞任
 わずか数日前に、現職の会長と会長補佐が「休職」となったケランタン州サッカー協会KAFAで、今度は副会長が辞任したことを、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 ワン・アブドル・ラヒム・ワン・アブドラ会長とアファンディ・ハムザ会長補佐の休職を発表したKAFAですが、後を追うようにモハマド・ロウィ・ドラー副会長が辞表を提出して退職しています。モハマド・ロウィ副会長は2019年に現職に就任し、副会長の任期は2023年まとなっていました。
 「自分はビジネスマンであり時間的な制約もあることから、KAFAの仕事に全力で取り組むことが難しくなっている。副会長としてKAFAのスポンサー獲得にも知って牌していることから辞職を申し出た。」と話すモハマド・ロウィ副会長からの辞職願について、KAFA事務局は受け取ったことを認めているということです。
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 このブログで何度も取り上げているように給料未払い問題の解決も見えない中、会長、会長補佐に続いて副会長までいなくなってしまったケランタン州FAの迷走はまだしばらくは続きそうです。

青年スポーツ相-身体接触を含む競技の再開は時間の問題
 国内のスポーツを監督する青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣は、国家安全保障委員会と保健省による正式発表は来週行われるとした上で、サッカーやセパタクローなどの競技再開が近いと語っていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 身体接触を含む練習再開については、7月9日に行われる閣議で議論されることは、昨日のこのブログでも取り上げましたが、これについてリーザル青年スポーツ相は、このようなスポーツを再開することで、国民に対してこれまでの日常に戻っていることが実感できるものとされることから、閣議では前向きに検討される可能性が高いと述べています。

AFC選手権出場のU19代表候補合宿参加者35名が発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上でアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場するマレーシアU19代表候補合宿参加選手35名を発表しています。
 代表候補合宿は7月6日から26日までスランゴール州プタリンジャヤPJのFAM施設で行われます。
 昨年2019年11月にカンボジアで開催された予選の最終戦では、優勝候補だった同組のタイに1ー0で勝利し本戦出場資格を獲得していますが、その時のU18代表からは14名が残っています。
 この他、今回の招集メンバーで注目を集めるのは、マレーシア人の両親を持つアメリカ出身のワン・アーマド・クズリ・ワン・アーマド・カマルと、FAMとマレーシア青年スポーツ省が共同で運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDPのチームで主将経験があり現在はタイのプーケットにあるブリティッシュインターナショナルスクールプケットBISPクルゼイロサッカーアカデミー所属のムハマド・アダム・ナズミ・ザムリです。クズリ選手は、兄のワン・クザイン・ワン・カマルが昨年末の東南アジア競技大会シーゲームズ出場のU23代表候補合宿に参加しています。
 また今回招集された35人以外には、U19選手権予選突破に貢献した主力選手のルクマン・ハキム・シャムスディン(KVコルトレイク-ベルギー)、ムカイリ・アジュマル・マハディ、ハリス・ハイカル・アダム・アフカル(いずれもスランゴール2)ら7人は、次の代表候補合宿からの参加が予想されています。
 10月14日から30日までウズベキスタンで開催されるAFC U19選手権では、マレーシアはグループDに回り、カタール、タジキスタン、イエメンと同組になっています。

6月30日のニュース:FAMは8月半ばのリーグ再開案を目指し身体接触を含めた練習許可を申請へ、Mリーグ3部と4部は来季からFAMが運営、AFCU19選手権出場の代表に新戦力参加か

FAMは8月半ばのリーグ再開案を目指し身体接触を含めた練習許可を申請へ
 マレーシアサッカー協会FAMは8月半ばのリーグ再開を目指して、身体接触を含む練習の許可申請を青年スポーツ省に行う予定であると、英字紙ニューストレイトタイムズNST電子版が報じています。
 FAMのハミディン・アミン会長がNSTとのインタビューで、7月半ばからの身体接触を含む練習再開許可を青年スポーツ省に対して近々、申請すると話しています。
 Mリーグ1部および2部のクラブの多くが先週から、社会的距離を維持した上で、少人数ごとに行う身体接触を含まない第一段階練習を再開しています。また青年スポーツ省は2021年の東京オリンピック出場を目指す他の競技の選手たちに対しては、標準作業手順SOPを遵守した上での通常練習を6月28日から許可したこともあり、FAMも身体接触を含み、より実践的な練習が可能になる第二段階練習の実施に向けて動き出すことにしたということです。
 「Mリーグの各クラブは身体接触を含まない第一段階練習を始めており、今後の数週間で問題が起こらなければ、7月第2週あるいは第3週からの身体接触を含む練習の許可を青年スポーツ省に申請する予定である。こちらの希望通りに許可が出れば、身体接触を含めた練習だけでなく練習試合も可能となり、そこから1ヶ月程度で実戦感を取り戻した上で8月半ばのリーグ再開を目指したい。当初予定していた9月1日よりもリーグ再開が早まれば、試合日程に余裕が出るだけでなく、10月からFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が再開する代表チーム参加選手の負担も少なくなる。」と話すハミディン会長ですが、複数の監督が希望しているサポーターのスタジアム観戦の許可については、リーグ再開が最優先であり、スタジアムへの入場許可はリーグ再開が実現した後に検討するとしています。

Mリーグ3部と4部は来季からFAMが運営
 国内リーグMリーグの3部にあたるM3リーグと同4部のM4リーグが来季2021年シーズンよりマレーシアサッカー協会FAMの主催によって行われる予定であると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 現在のM3リーグとM4リーグは、Mリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFL傘下のアマチュアフットボールリーグAFLが主催しています。
 これを発表したAFLのチェアマンでもあるFAMのユソフ・マハディ副会長は、MFLは1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、FAカップ、マレーシアカップといったプロリーグの運営に注力し、セミプロリーグのM3リーグとアマチュアリーグのM4リーグはFAMが運営するという構造にすることが目的であるということで、MFLは既にこれを了承しており、今後開催されるFAMの執行委員会による承認を経て、正式決定するということです。
 M3リーグはかつてはFAMカップという名称で、FAMが運営していた時期もあるため、ユソフ副会長はM3リーグをFAMが再び主催することには問題はないと考えていると話しています。

AFCU19選手権出場の代表に新戦力参加か
 マレー語紙ブリタハリアン電子版は、英国プレミアリーグのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC(BAHAFC)のU19チームに所属するジャミ・クレシュのU19代表参加が可能になったと報じています。
 現在17歳のクレシュ選手は英国生まれながら母親がマレーシア人であることから、マレーシア代表としてのプレーが可能です。父親でイラク出身のペルヴィズ・クレシュ氏はブリタハリアンによるソーシャルメディアを通じてのインタビューに対し、クレシュ選手が10月に開催されるAFC U19選手権に出場するマレーシアU19代表に正式に招集されることがあれば、所属クラブのBAHFCは代表参加を許可する用意があると答えています。
 またU19代表のチームマネージャーを務めるカマルル・アリフィン・モハマド・シャハル氏も、クレシュ選手をU19代表に招集したいとも話しています。
 さらにアリフィン氏は、アメリカ生まれのワン・クズリ・ワン・カマルの招集も決定しており、マレーシアサッカー協会FAMがその手配を行っている最中であることも明かしています。

6月24日のニュース:Mリーグクラブは完全隔離型練習実施に否定的、カロンダの代表入り議論は時期尚早、ハディ・ファイヤッドが岡山の観光大使に就任

Mリーグクラブは完全隔離型練習実施に否定的
 新型コロナウィルス観戦拡大を防ぐためチーム練習が禁じられていたMリーグの各クラブは、マレーシア政府保健省と国家安全保障委員会の許可により、先週から練習を始めていますが、練習再開にあたり標準作業手順SOPの遵守が条件となっています。
 このSOPでは、選手、監督、コーチらが綿棒検査を受けて陰性であることが証明されることや、身体接触を防ぐために練習中に選手同士が一定の距離を保っているかどうかを監視する担当者の任命、また不特定多数との接触を避けるために開かれたグラウンドではなくスタジアムでの練習を行うことなど様々な条件が課せれています。
 そしてこの次の段階として、選手を一か所に集めた完全隔離型の練習が提案されていますが、Mリーグの各クラブの中にはこの完全隔離型練習について、費用がかかる上に現実的でないと考えているクラブが複数あると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 Mリーグ1部のスランゴールFCと2部のスランゴール2を運営するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、3ヶ月間の自宅トレーニングからの体力増強が中心となる現状では、非接触型の現在の練習で十分であるとし、完全隔離型の練習では選手の移動や宿泊など様々な手配が必要になることから対費用効果を考えると現実的でないと話しています。
 またPDRM FCのイシャク・クンジュ監督も費用面が問題になるとし、他のクラブも完全隔離型の練習を選ばないのではないかと話し、現時点では屋外での練習の感覚を取り戻すことを優先しているとし、通常練習はまだ先で良いとしています。

カロンダの代表入り議論は時期尚早
 同じ英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、ソーシャルメディア上で話題になっている帰化選手候補について、現時点ではマレーシア国政取得が可能かどうかが不明であると話しています。
 マレーシアで「帰化選手」という場合、マレーシア国外で生まれてマレーシア国籍を持たなかったものの、父母や祖父母にマレーシア人がいることから国籍取得が可能となったブレンダン・ガン(スランゴールFC)やマシュー・デイヴィーズ、ラヴェル・コービン=オング(いずれもJDT)のようなHeritage Playerと、マレーシアでの継続居住歴5年以上というFIFAの規定を満たした結果、帰化資格を得て国籍取得に至ったNaturalized Playerがいます。なおこのNaturalized Playerは現在、ガンビア出身のモハマドゥ・スマレ(パハンFA)とコソボ出身のリリドン・クラスニキ(JDT)の2人がおり、ブラジル出身ので、だけです.
 近年のマレーシア代表は帰化選手の代表チーム加入によって強化されており、もっと最近の国際試合となるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選(2019年11月19日対インドネシア戦)では、上記のブレンダン・ガン、ラヴェル・コービン=オング、モハマドゥ・スマレの3選手が先発するなど、チームにとっては欠かせない存在になっています。そして、そういった帰化選手の活躍が、世界各国でプレーするHeritage Playerの資格がある選手がマレーシア代表に興味を示しているとされています。
 そう言った選手のうち、ここ数ヶ月、ソーシャルメディアで話題になっているのがマルセル・カロンダです。
 コンゴ生まれで22歳のカロンダ選手は現在、ザンビア1部リーグのゼスコ・ユナイテッドでディフェンダーとしてプレーしていますが、自身の祖父が東マレーシアのサバ州出身のマレーシア人であると主張しており、代表入りに興味を示しています。
 このカロンダ選手について、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、FAMは現在、カロンダ選手から先週届いたという書類を精査中で、代表入り資格云々のコメントはできないとしています。
 「資格審査は現在はまだ初期段階であり、さらに必要な書類が必要になることもある。そう言った書類が全て揃うまでは何も決定することはできない。」とスチュアート事務局長は話しています。

ハディ・ファイヤッドが岡山の観光大使に就任
 J2のファジアーノ岡山の公式サイトでは、マレーシア出身のハディ・ファイヤッドが「 岡山型ヘルスツーリズム連携協議会アンバサダー」に就任したことを発表しています。
 昨年から岡山に所属する20歳のハディ選手は、「マレーシアからの観光誘客を目的としたプロモーションにファジアーノ岡山とともに協力することとなった」ということ、岡山の観光PRのために動画出演なども行い、マレーシアに向けて岡山の魅力を伝えるだけでなく、ムスリム(イスラム教徒)でも安心して旅行ができる受け入れ環境なども紹介していくということです。
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 観光大使就任が発表される数日前に行われた広島とのトレーニングマッチではゴールを決めるなど、2年目を迎えて飛躍が期待されるハディ選手。将来の代表のエースを目指し、厳しい環境の中で逞しく育ち、国外へチャレンジせず満足している国内組の度肝を抜いて欲しいです。
(写真はファジアーノ岡山の公式サイトより)

6月21日のニュース:U19代表はAFC選手権前に国外遠征実施か、今年のスズキカップは前回同様のホームアンドアウェイ形式で開催、UAEの国内リーグの今季中止が決定

U19代表はAFC選手権前に国外遠征実施か
 マレーシアの通信社ブルナマは10月にウズベキスタンで開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場するマレーシアU19代表が、大会前に国外での練習試合を行う可能性を報じています。トルコでの4カ国対抗大会に出場する可能性を報じています。
 チームマネージャーのカマルル・アルフィン・モハマド氏はトルコのアンタルヤで開催される4カ国対抗大会への招待を受けていることを明かしています。ただし現在はマレーシア人の海外渡航が原則として禁じられていることから、出場するか否か、また国外遠征が可能かどうか関して国家安全保障委員会に意見を求めているとしています。
 カマルル・アルフィン チームマネージャーは「10月2日から9日の予定で開催されるトルコでの大会については、参加が確定しているわけではなく、現在も議論が続いており、国外の大会に参加が可能かどうかについて国家安全保障委員会の意見を待っているところである。」「すべてのサッカー活動は国家安全保障委員会の標準作業手順SOPに沿って行う必要があり、何も確定していない」と話しています。
 さらにカマルル・アルフィン チームマネージャーは、U19代表候補合宿は今月末から行うことが予定されており、完全隔離型で行うこと、またアメリカ在住のワン・クズリもこの代表候補合宿に参加することも明かしています。

今年のスズキカップは前回同様のホームアンドアウェイ形式で開催
 マレーシアのサッカー専門サイトのヴォケットFCによれば、今年11月から始まる東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップは、昨年同様の形式で行われることが決定したということです。
 新型コロナウィルスの感染者も少なく、他国ではリーグ中止や無観客試合が行われる中、世界で最初に観客を入れて国内リーグを開催したベトナムが、今年の大会全試合を同国で行う一国開催を提案していましたが、AFFはスズキカップ開催時期までには新型コロナウィルス感染も下火になるとの予想から、昨年同様、グループステージは変則ホームアンドアウェイ方式、ノックアウトステージはホームアンドアウェイ方式を採用することを決定したということです。なおグループステージの変則ホームアンドアウェイ方式では、各国がいずれも異なる相手とホームで2試合、アウェイで2試合を行います。前回2018年大会のグループステージではベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオスと同組となったマレーシアは、ラオスとミャンマーとはホームで、ベトナムとカンボジアはアウェイでそれぞれ対戦し、3勝1敗でノックアウトステージへ進出しました。
 またAFFは今大会に限り、各チームの登録選手枠を前回の23名から30名とすることも発表しています。

UAEの国内リーグの今季中止が決定
 アラブ首長国連邦UAEの1部リーグアラブガルフリーグは、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて3月15日から中断していましたが、UAEサッカー協会UAEFAが今季のリーグ中止決定を発表したことを英字紙スター電子版が報じています。
 UAEは10月再開予定のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアと同組であり、再開後の初戦となる10月8日にマレーシアはUAEとのアウェイ戦を控えています。
 マレーシアメディアやサポーターの中には、このリーグ中止決定により、試合感覚を養う機会がなくなることで、マレーシア に有利に働くのではないかという論調があり、しかもUAEは昨年2019年に12月22日にファン・マルワイク前監督に代わって就任したのがセルビア人のイヴァン・ヨヴァノヴィッチ監を解任しており、現在は代表監督が不在です。
 しかしマレーシア代表のタン・チェンホー監督は、リーグ中止が決定したことで長期に渡る代表候補合宿を行うことができ、近々発表されるとする新監督もチームを把握し強化するのに十分な時間が得られるとして、むしろ今よりもチームが強化されるのではないかという見通しを述べ、楽観的な論調に釘を刺しています。
 「UAEはアジアでもトップクラスの実力があるだけでなく、さらに10月の予選再開からは3名の帰化選手も加わると聞いている。また予選グループDの4位となっているUAEは、これまで消化した試合数が他国よりも1試合少なく、現在の順位にプレッシャーは感じていないだろう。」

6月20日のニュース:元U23代表の主力5名にヨーロッパのクラブが触手、そのうちの一人のシャミ・サファリは国外移籍の意思なし、JDTのテクニカルダイレクターは海外クラブからの問い合わせの噂を否定

元U23代表の主力5名にヨーロッパのクラブが触手
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によれば、マレーシアU23代表の主力選手の内、少なくとも5名の選手に対してマレーシア国外のクラブが接触していると報じています。
 希望的憶測も含めたいわゆる「飛ばし記事」が掲載されることもあるブリタハリアンですが、取り上げられているのはサファウィ・ラシド、アキヤ・ラシド、シャマー・クッティ・アッバ(以上ジョホール・ダルル・タジム)、イルファン・ザカリア(クダFA)、シャミ・サファリ(スランゴールFC)の5名です。
 2018年に中国で開催されたAFC U23選手権に出場したマレーシアU23代表は、マレーシアサッカー史上初となるベスト8に進出するも、ノックアウトステージ初戦の韓国戦で一度は同点に追いつきながら、終盤に失点して1-2で破れましたが、このときの主力であったサファウィ選手やシャマー選手、そしてシャミ選手は、同年末のAFF選手権スズキカップではフル代表にも招集され、現在、中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選にも代表選手として出場しています。やはりU23選手に出場したイルファン選手、そして彼らよりも若い今年21歳のアキヤ選手らは今後のフル代表の主力選手となる人材です。
 ブリタハリアンはそんな彼らにベルギー、デンマーク、クロアチア、スイス、ブルガリアといったヨーロッパ各国の主に2部リーグのクラブを含めた海外のクラブが関心を示していると報じています。
 記事の中では当地の代理人の話として、スイス1部リーグのFCチューリッヒとチェコ1部のスパルタ・プラハがサファウィ・ラシドに、ベラルーシ1部リーグのBATEボリソフが関心を示していると報じられています。
 この代理人は「ヨーロッパのクラブから問い合わせを受けているのは、現在はフル代表でプレーする2018年のAFC U23選手権ベスト8入りメンバーで、25歳以下の選手についての問い合わせが大半である。アジア出身の選手は豊富な運動力チームに貢献するタイプ、古くはパク・チソン、最近ならばソン・フンミンに代表されるようなウィングができる選手が好まれている。その観点からも特にサファウィ選手やアキヤ選手に関心が集まっているのだろう。」と話しています。
 その一方で、この代理人はMリーグの主力選手の給料は、ヨーロッパの2部リーグでプレーすることで得られる給料よりも高額であることから、国外移籍に興味がない選手がいることも明らかにしています。
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 各年代の代表レベルの選手で現在、マレーシア国外でプレーしているのは、やはり2018年のAFC U23選手権メンバーでもあるドミニク・タンとハディ・ファイアッドがそれぞれタイ1部リーグのポリス・テロFCとJ2のファジアーノ岡山で、またノーシャルル・イドラン・タラハがタイ1部のPGパトゥム・ユナイテッドFCに在籍しています。また、ベルギー1部のKVコルトレイクと5年契約を結んだ18歳のルクマン・ハキム・シャムスディンは今年10月にウズベキスタンで開催されるAFC U19選手権の主力選手です。

そのうちの一人のシャミ・サファリは国外移籍の意思なし
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版は、上で取り上げた元U23代表の主力の一人、スランゴールFCでプレーするシャミ・サファリとの一問一答を掲載しています。
 それによれば、シャミ選手は複数のクラブから接触があることを認める一方で、現時点では、Mリーグでプレーしたいと話しています。
 その理由としては、給料が下がることよりも、選手として常に試合に出られるようながあるかどうかに関心があると話しています。
 「(2018年の)U23選手権以降は複数のクラブから連絡を受けた。昨年はスエーデンのクラブから問い合わせを受けたが、マレーシアからの選手に対するヨーロッパのクラブの評価が不明なので、現時点ではヨーロッパでのプレーは考えていない。サファウィ選手やアキヤ選手もおそらく同じ理由を持っているのではないかと思う。」と話すシャミ選手ですが、ベルギー1部リーグのKVコルトレイクと契約したルクマン・ハキム・シャムスディンの動向は気になっていると話し、彼が活躍すれば、マレーシア人選手の評価も上がり、韓国や日本からの選手と同等の評価となるのではないかと話しています。
 海外でプレーしたい気持ちがあると話すシャミ選手は、その時が来れば是非、挑戦したいと話しています。
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 ヨーロッパが不安ならタイでも韓国でも日本でも挑戦する機会はありそうですが、結局のところ給料が下がるのが嫌なんでしょう。競争で勝ってポジションを掴む、という覚悟もなさそうです。マレーシアがアジアで上位を目指すためには、アジアの上位国のリーグに選手を送り込むのは得策だと思うのですが、チャレンジ精神が乏しいですねぇ。日本の様子なら岡山のハディ選手に聞けば概要はわかると思うのですが。

JDTのテクニカルダイレクターは海外クラブからの問い合わせの噂を否定
 また同じブリタハリアンは、JDTのアリスター・エドワーズTD(テクニカルダイレクター)の(前述の記事のような)海外のクラブからJDTの選手への問い合わせは全くないというコメントを掲載しています。
 エドワーズTDは「JDTの選手に興味があるクラブがまず連絡を取る相手はテクニカルダイレクターである自分か、あるいはスポーツダイレクターのマーティン・プレストのどちらかだが、私もマーティンも何も問い合わせを受けていない。」と話しています。
 さらに「海外のクラブからJDTの選手への問い合わせがあると主張する代理人がいるのであれば、それはその代理人の作り話か、その代理人が相手のクラブから金を騙し取ろうとしているかのどちらかだろう。万が一、JDTの選手に関心があるクラブが本当にあれば、我々に直接連絡をしてくるはずである。」
 「JDTはおそらくマレーシアで唯一の海外のクラブとのビジネス経験があるクラブだといって良いだろう。これまでの例としてFWホアン・マルティン・ルセロをメキシコ1部リーグのクラブ・ティファナに250万米ドル(およそ2億6700万円)で売った経験もある。」と話しています。