10月5日のニュース:「イカ釣り」事件に新展開!代替召集される可能性を知っていたらそれを逃すようなことはしない-シャールル・ニザム、シャールル・ニザムは自身が代替召集選手候補であることを通達されていたはず-タン代表監督、シャールル・ニザムが代替召集される原因となったディオン・クールズがクラブの試合に出場

代替召集される可能性を知っていたらそれを逃すようなことはしない-シャールル・ニザム
 9月23日に発表されたヨルダン合宿と練習試合2試合に出場するマレーシア代表24名からケガ人が出たことにより代替召集されたシャールル・ニザム(トレンガヌFC)は10月1日の代表集合日に姿を見せず、その結果、ヨルダン合宿へ参加しませんでした。その時点では集合日に現れなかった理由やその背景も不明で、代表サポーターの間で様々な憶測を呼びましたが、昨日のこのコラムで取り上げたように、マレーシア代表のTM(チームマネージャー)で、マレーシアサッカー協会FAMの会長代理でもあるモハマド・ユソフ・マハディ氏がシャールル選手はイカ釣りで海に出ており、連絡が取れなかったと説明し、その真相が明らかになりました。
 しかしその後、様々な事実が明らかになり、その責任問題が複雑化しています。まず当のシャールル選手が自身の名が代替召集選手候補リストに載っていたことを知らされていなかったと説明していることをマレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。
 「9月29日の試合(マレーシアカップのスランゴールFC戦)後にチーム(トレンガヌFC)から5日間のオフを与えられ、特に予定もなかったのでケランタン州にある実家に戻った。実家は漁師をしているので、実家に戻れば自分も親を手伝って海に出ることもある。今回も漁に出たが、漁から戻ると自分が代表チームから召集を受けていたことを知らされて驚いた。」
 「しかも知らされた時には既に代表チームはヨルダンへ出発した後だった。代表チームに召集されたにも関わらず、集合日にチームに合流しなかったことは本当に申し訳ないと思っている。自分が召集されていたことを知った時は悲しみや失望などが入り混じり、さらにはやましい気持ちでいっぱいになった。『代表チームに敬意を示していない』『真剣にサッカーに取り組んでいない』といった誹謗中傷を受けたが、どんな選手でも代表チームでプレーすることが夢であり、もし自分が代替召集される可能性があることを知っていたら、自らその機会を逃すようなことはしない。」と述べて、自身がケガ人が出た場合の代替召集候補となっていたことを知らなかったとしています。
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 もしシャールル選手が真実を述べているとすれば、9月29日の試合後の段階ではシャールル選手も所属するトレンガヌFCもケガ人が出た場合には代替召集されるされることを知らなかったということになります。言い換えれば9月23日の代表メンバー発表の際には、この代替召集候補選手リストができていなかったということになりますが、次の記事を読むと、この前提が覆ってしまいます。


シャールル・ニザムは自身が代替召集選手候補であることを通達されていたはず-タン代表監督
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、シャールル・ニザムはケガ人が出た場合の代替召集選手候補であること、そしてそれに備えて待機しているべきであることを事前に通告されていたとタン・チェンホー監督が話していると報じています。
 15時間のフライトを経て合宿地であるヨルダンの首都アンマンに到着しているマレーシア代表は現在、検疫隔離期間中ということですが、スタジアムアストロの取材に答えたタン代表監督は「ヨルダン遠征のメンバーを発表した9月23日以前に、我々はシャールル選手に連絡を取り、代替召集選手候補であることを伝えているので、彼がそれを知らなかったはずはない。」と述べています。なおこの記事の中でタン代表監督は”I”ではなく”we”という表現を使っているので、タン代表監督がシャールル選手に直接、連絡を入れたわけではなさそうですが、それでも代表チームはシャールル選手が代替召集選手候補であることを通達していたことは事実のようです。
 なおタン代表監督は今回の召集はシャールル選手にとっても良い機会であったと述べる一方で、今後のプレーぶりを見ながら再び招集するかどうかを検討したいと述べています。
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 自身が召集される可能性があることを知らなかったと主張するシャールル選手と、既にその可能性を告知済みと述べたタン代表監督のどちらが本当のことを述べているのか、あるいは二人とも本当のことを述べていて、どこかでそれが正しく伝わらなかったのか。その真相は現在は不明ですが、最終的に誰も傷つかないようにする(=誰も責任を取らない)マレーシア的決着で真相追及が行われない可能性もあります。

シャールル・ニザムが代替召集される原因となったディオン・クールズがクラブの試合に出場
 9月23日に発表されたヨルダン遠征メンバー24名からケガによる辞退者が出たことで上の記事で取り上げたシャールル・ニザムが代替召集されましたが、そのケガによる辞退者の1人がデンマーク1部FCミィテッランに所属するDFディオン・クールズです。このクールズ選手の代表辞退とシャールル・ニザム選手の代替召集は9月30日にマレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookで発表されていますが、現地時間の10月1日にポルトガルのブラガにあるエスタディオ・ムニシパル・デ・ブラガで行われた欧州サッカー連盟UEFAヨーロッパリーグのFCミッティラン対SCブラガで、このクールズ選手がベンチ入りしていたことが判明し、マレーシア代表サポーターの間に波紋を広げました。
 さらにその2日後の10月3日にはダンマーク1部第11節のFCミィテッラン対オーフスFGでもクールズ選手は再びベンチ入りし、しかも79分には交代出場までしたことから、一旦は代表に招集されながら辞退した理由はFAMが発表したケガではなく、何か他の理由があるのではないかという疑惑が持ち上がりました。この件を取り上げたサッカー専門サイトのラ・ボラは、このヨルダン遠征がFIFA国際マッチデー期間にも関わらずクラブがコールズ選手の招集に否定的だった、ヨルダン遠征から帰国後の検疫期間の長さをクラブが嫌った、そして今年12月の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップがFIFA国際マッチデー期間外でクラブは選手の召集を拒否できることから、スズキカップでプレーできる選手だけを召集することにしたなどの理由を挙げていますが、実際の理由は何であれクールズ選手の辞退の理由を「ケガによるもの」とFAMが発表したことには疑問が残るとラ・ボラの記事は締めくくっています。
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 ここまでくるともう何が事実で何が嘘なのかはわからなくなりますが、それは置いておくとしても、クールズ選手がいない現在の代表に関して、個人的にはやはりタイ1部のチョンブリーFCでプレーするジュニオール・エルドストールが今回のヨルダン遠征メンバーに入らなかったことが疑問です。同じタイ1部でプレーするドミニク・タンは今季1度も試合に出場したいない一方で、エルドストール選手は全試合に先発フル出場しています。185cmのクールズ選手を欠く代表DF陣にとって身長が190cm近いエルドストール選手は有用ですし、昨季からタイリーグでプレーしていることでタイ代表のFW陣の特徴は把握できているはず。その一方でタン代表監督となってからは今年6月のW杯予選が初の召集で、代表召集自体も7年ぶりとなったエルドストール選手は今回の遠征と練習試合を通じてチームメートとの連携を強化するために呼ぶべきだった気がしてなりません。

10月4日のニュース:イカ釣りに出ていて船を逃したシャルル・ニザム、ケランタンFCはインドネシア出身ウィングと契約延長か

イカ釣りに出ていて船を逃したシャルル・ニザム
 FIFAの国際マッチデー期間に合わせてヨルダンでの合宿と練習試合を行うマレーシア代表は10月1日にマレーシアサッカー協会FAM本部に集合し、翌2日にヨルダンに向けて出発しましたが、今回の代表召集メンバーのムハマド・シャールル・ニザム・ロス・ハスニ(トレンガヌFC)が10月1日の集合日に何の連絡もなく姿を見せなかったことから様々な憶測が飛び交っていました。
 これについてマレーシア代表のモハマド・ユソフ・マハディ のチームマネージャーTMがその真相をマレーシアの通信社ブルナマに明かしています。
 今回の合宿参加メンバーは先月9月23日にFAMから発表になりましたが、その後、DFディオン・クールズ(デンマーク1部FCミッティラン)とDFシャーミ・サファリ(スランゴールFC)がいずれもケガのため代表合宿参加を辞退し、この2人に代わって招集されたのがいずれもDFのアリフ・ファルハン(クダ・ダルル・アマンFC)とシャールル・ニザムの両選手でした。アリフ選手は他の選手同様、10月1日にFAM本部に集合しましたが、招集メンバー20名の内、シャールル選手だけが集合部に姿を見せなかったことをFAMは公式Facebook上でその理由を説明せずに告知したため、シャールル選手が代表招集を拒否したのでは、といったものから彼女が国外に出ることを許さなかったといった荒唐無稽な理由まで様々な噂がソーシャルネットワーク上で飛び交っていました。
 FAMの会長代理でもあるモハマド・ユソフTMによればその真相というのは、シャールル選手はイカ釣りで海に出ていたため連絡がつかなかった、ということのようです。シャールル選手が所属するトレンガヌFCのズルファディル・ロジTMから直接、電話連絡を受けて状況が判明したようですが、その電話を受け取った時間も代表がヨルダンに出発する12時間前だったいうことで、10月1日の集合日の時点ではそういった状況すらFAMは把握できていなかったことになります。自身が対表チームのTMとなってから代表招集に応じなかった選手に出会ったことがないとモハマド・ユソフTMは話し、10月1日の午後にイカ釣りから戻ったシャールル選手は自身が代替招集されている話を聞いて驚いたと説明しています。
 さらにモハマド・ユソフ代表TMは、今回のシャールル選手の代替招集がヨルダン合宿出発直前だったことから自身が招集される可能性を考えなかった可能性もあるとして、FAM事務局に対してその詳細を調査するよう命じてことを明かしています。またトレンガヌFCのズルファディルTMはシャールル選手に対する処分が行われないよう求めているということです。
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 これを報じた記事がシャールル選手のイカ釣りに関連させて”miss the boat”(「船に乗り遅れる」転じて「機会を逃す」という意味)という見出し付きで取り上げていましたが、笑い話で済む話ではないでしょう。シャールル選手の代替招集がFAMのFacebookで告知されたのが9月30日の14時50分で、トレンガヌFCは9月29日にマレーシアカップグループステージのスランゴール戦を戦い、シャールル選手もこの試合に先発してフル出場しています。つまりこの9月29日の試合後の段階では当初招集されたクールズ、シャーミ両選手の代表辞退も発表されおらず、シャールル選手への代替招集も伝えられていなかったということになります。
 ここで気になるのは、FAMあるいは代表チームが代替招集される可能性がある選手を事前に選考し、それが該当選手に伝わっていたのか、ということです。シャールル選手自身が代替招集の対象であることを事前に伝えていた上で連絡が取れないようなイカ釣りに出ていたのであれば、シャールル選手への処分は必至でしょうが、ケガによる事態が相次いだといった理由でシャールル選手の代替招集が9月30日に決まったのであれば、マハディ・ユソフTMを含めた代表チームの運営に関する失態となります。
 本人との連絡が取れていないにも関わらずFAMがFacebookでシャールル選手の代替招集を発表した事実から、シャールル選手はケガ人が出た場合に代替招集される可能性について知らされていた可能性の方が高そうですが、そうであれば多くのファンが指摘しているように「代表に招集されるということの重み」を23歳のシャールル選手は理解できていなかったことになります。

ケランタンFCはインドネシア出身ウィングと契約延長か
 Mリーグ2部のケランタンFCに今季から加入したインドネシア出身のウィング、ナタナエル・シリンゴリンゴはプレミアリーグの試合で3ゴールを、またマレーシアカップグループステージではサバFC戦で1ゴールを決めていますが、クラブオーナーのノリザム・トゥキマン氏は自身のFacebook上でナタナエル選手の活躍に満足し、22歳のナタナエル選手を獲得した自分の目に狂いはなかったの述べています。
 ナタナエル選手のリーグ戦3ゴールはケランタンFCではヌルシャミル・アブドル・ガニの9ゴールに続くチーム2位のゴール数です。
 ノリザム オーナーはチームに勝点1をもたらした前述のサバFC戦での同点ゴール、そして先月9月に同じケランタン州コタバルのスルタン・モハマド4世スタジアムを共有するケランタン・ユナイテッドFCと「ケランタンダービー」での一戦で挙げた2ゴールを挙げ、来季の契約延長について言及しています。
 このナタナエル選手について取り上げたサッカー専門サイトのヴォケットFCは、このナタナエル選手について元韓国代表監督で現在はインドネシア代表の監督を務めるシン・テヨン監督に代表でのプレー機会を与えるべきだというインドネシアサポーターの声を紹介しています。

10月3日のニュース:FIFAのW杯隔年開催案にタン代表監督は賛成もオン前協会テクニカルディレクターは育成への影響を懸念、タイ1部第5節-代表コンビはエルドストールは出場もタンは5試合連続で出場なし

タン代表監督はFIFAのW杯隔年開催案に賛成も、オン前協会テクニカルディレクターは育成への影響を懸念
 マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長が200カ国以上が参加してオンラインで行われたFIFAの会合に出席し、FIFAが提案しているワールドカップ隔年開催案などについて説明を受けたことがFAMの公式Facebookに投稿されています。
 ハミディン会長はW杯を開催する機会がより多くの国に与えられるなどを理由からこれに賛同することを表明していますが、英字紙ニューストレイトタイムズはこの隔年開催案に対するマレーシア代表のタン・チェンホー監督と先月9月までFAMの前テクニカルディレクター(TD)を務めていたオン・キムスイて現サバFC監督のコメントを掲載しています。
 タン代表監督はこの提案に対して、欧州の巨大クラブはこの案に消極的かもしれないが、各国のサッカー協会、特にマレーシアのような小国の協会にとっては大会開催の間隔が短くなることである年の大会の出場機会を逃したとても次の大会まで待つ時間が短くなることの利点、さらに試合の頻度が増すことで年代別の代表選手が従来よりも短い期間でフル代表に加わるようになるだろうとも予想しています。
 一方でオン・キムスイ前TDは、W杯が隔年開催となることで弱小国がフル代表の強化により重きを置くようになり、その結果として若い選手の育成がおろそかになる恐れがある可能性を指摘しています。「国内サッカーの構造の中に各年代での育成の仕組みが十分に組み込まれている国にとってはこの隔年開催が及ぼす影響は大きくないだろうが、そうでない弱小国はW杯出場を目指して予算や人的資源をこれまで以上にフル代表に注力することが考えられる。そうなった場合に育成プログラムや各年代別の大会開催といった部分がおろそかにならないかと心配だ。」と述べているということです。

タイ1部第5節-代表コンビはエルドストールは出場もタンは5試合連続で出場なし
 2021/2022年シーズンのタイ1部リーグ第5節が10月1日と2日開催に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCとDFドミニク・タンが所属するポリス・テロFCの試合が行われました。

タイ1部リーグ第5節
2021年10月1日@チョンブリースタジアム
チョンブリーFC 2-3 シンハー・チェンライ・ユナイテッド
 首位チョンブリーFCがチェンライ・ユナイテッドをホームに迎えたこの試合では、チェンライ・ユナイテッドがブラジル出身FWロシマール・アマンシオのPKを含む3ゴールで、今季ここまで負けなしのチョンブリーFCに初黒星をつけています。
 今月の代表合宿とヨルダン、ウズベキスタンとの練習試合には招集されなかったジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)は先発しましたが、65分にいわゆるプロフェッショナルファウルで一発退場となっています。
 (試合のハイライト映像はチョンブリーFCの公式Youtubeチャンネルより)

https://youtu.be/xALpA89L-SY

2021年10月2日@ピッチャヤスタジアム
ノーンブワ・ピッチャヤFC 1-0 ポリス・テロFC
 第4節を終えてまだ勝利のないポリス・テロFCが今季1部に昇格したノーンブワ・ピッチャヤFCと対戦し、今季加入のハミルトン・スワレス・デ・サのゴールで敗れています。
 10月の代表合宿に招集されたドミニク・タンは既に代表に合流したのか、この試合ではベンチ入りしませんでした。今季開幕以来の5試合で一度もピッチに立っていないタン選手ですが、ここまで未勝利のポリス・テロFCで出場機会がないという現状での代表召集には疑問が残ります。

タイ1部リーグ順位表(第5節終了)

順位チーム試合得失差勝点
1ブリーラム・ユナイテッド5311610
2チョンブリー522188
3ポートFC522128
16ポリス・テロFC5023-42
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFC、ポリス・テロFCのみ表示しています。

10月2日のニュース:代表のヨルダン遠征メンバーは2名減って22名に、スタジアム観戦再開に向けてMリーグ各クラブが期待

代表のヨルダン遠征メンバーは2名減って22名に
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebookで、タン・チェンホー監督率いる代表20名が本日10月2日午前3時15分にクアラルンプール国際空港KLIAからヨルダンの首都アンマンへ向けて出発したことを伝えています。え?24名召集したのになぜ20名?
 24名の内、「国外組」のルクマン・ハキム・シャムスディン(ベルギー1部KVコルトレイク)とドミニク・タン(タイ1部ポリス・テロFC)は合宿地のヨルダンでチームに合流することが発表されており、KLIAからは代表22選手が出発する予定でした。
 マレーシア代表はヨルダンで代表合宿を行い、合宿中の10月6日にはヨルダン代表、10月9日にはウズベキスタン代表との練習試合を行うことになっていますが、これに先立って代表に招集された選手は昨日10月1日にはスランゴール州プタリンジャヤのFAM本部に集合して全体練習を行いましたが、ここで問題が起こりました。国外組を除く22名の内、今回初招集となったスランゴールFCのDFシャルル・ナジームはこの日FAM本部に集合したものの、ケガのため代表を辞退することが明らかになりました。また当初招集されていたDFディオン・クールズ(デンマーク1部FCミッティラン)がケガのため合宿参加を辞退したことにより代替招集されたトレンガヌFCのDFシャールル・ニザム・ロス・ハスニはこの日、FAM本部に現れなかったということです。FAMからはこの2選手に代わる選手の招集は告知されておらず、結局20名がヨルダンへ向かったというのが真相のようです。
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 新戦力を試したいというタン監督は、6月のFIFAワールドカップ2022年大会予選出場メンバー25名から主力選手のGKファリザル・マーリアス、DFラヴェル・コービン=オング、DFマシュー・デイヴィーズ、FWサファウィ・ラシドらJDTの選手を中心に半数以上の13名を外して、初招集の5名を含む12名と入れ替えています。直近のFIFAランキング154位のマレーシアにとって、今回は格上のヨルダン(同93位)、ウズベキスタン(同84位)との貴重な実践機会にも関わらず、試せる選手が24名から22名になってしまったのは残念です。今回の代表メンバーが発表になったのは9月23日ですが、今回辞退となったシャルル選手は9月26日から始まったマレーシアカップのグループステージ2試合にはいずれもベンチ入りしておらず、ケガの状況が代表に伝わっていたのかどうか不明です。また昨日FAM本部に現れなかったシャールル選手については、選手自身だけでなく所属するトレンガヌFCからも何の発表もありません。なおシャールル選手は9月29日のマレーシアカップ、スランゴールFC戦にフル出場しており、ケガということではなさそうです。ここで気になるのはFAMと代表の首脳陣はこういった場合に備えて代替選手の代替選手といったところまで準備していたのか、という点です。マレーシアに「根回し」という文化があるかどうかはわかりませんが、例えばそういった代替選手の代替選手候補にまで根回しをして、事前にパスポートの取得などを促しておけば、急な招集に雲隠れする選手も居なそうな気がします。

スタジアム観戦再開に向けてMリーグ各クラブが期待
 9月29日にイスマイル・サブリ・ヤアアコブ首相はワクチン接種を完了している18歳以上を条件に、サポーターのマレーシアカップでのスタジアム観戦戦を許可すると発表しましたが、これをうけてマレーシアカップ出場中の16チームは、10月29日から再開するマレーシアカップグループステージ第3節でのサポーターの入場に向けて準備をするめていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 KLシティFCのStanley・バーナードCEOは代表のヨルダン合宿などによる1ヶ月の中断期間がスタジアム観戦実施前に観戦の際の標準作業手順SOPを強化するのに良い準備期間になるだろうと述べています。「(KLシティFCの本拠地の)KLフットボールスタジアムは、昨季もSOP向上の実地例として活用されており、その際にはスタジアム観戦が実施された場合の問題となるとされた点は改善済みである。」と述べていつでもサポーターを迎え入れる準備ができていると胸を張っています。
 またクダ・ダルル・アマンFCのカマル・イドリスは今年5月9日以来となるサポーターのスタジアム観戦再開について、観戦に訪れるサポーターはMFLが設けるSOPを遵守してくれることを期待していると話す一方で、スタジアムにどのくらいの慣習を入れることができるのかは不明ながら、入場者を受け入れることによりチームの財政にも好影響が出ることを期待していると話しています。
 またマラッカ・ユナイテッドFCのジャスティン・リムCEOはマレーシア政府がスタジアム観戦を許可したことに感謝するとともに、、新型コロナ観戦の心配なくスタジアムで観戦できるよう、ワクチン接種完了者のみがスタジアム観戦を許されることを保証するとしています。
 マレーシアカップを主催するMFLは、マレーシア政府が新型コロナの感染状況に応じて設定している国家復興計画NRPの段階が州により異なることから、各試合会場よって入場可能なサポーターの人数が異なるとしていますが、その具体的な数字はまだ発表されていません。またマレーシアカップ中断期間中に各チームが予定している練習試合のスタジアム観客についても、現在、MFLは国内スポーツを統括する青年スポーツ省からの指示を待っている段階であると言うことです。
 なお現在最も規制が厳しい国家復興計画NRP第2段階がクダ州、ペナン州、ペラ州、ケランタン州、ジョホール州、サバ州に、第3段階がクアラルンプール、プトラジャヤ、スランゴール、マラッカ、プルリス、パハン、トレンガヌ、サラワク、そして最も規制が緩い第4段階がヌグリスンビランとラブアンに施行されています。
 ちなみに条件付き行動制限令CMCOが施行されていた時期はスタジアム定員の10%あるいは2000名が、復興に向けての行動制限令RMCO施行時には定員の25%あるいは8000名が上限としてスタジアムでの観戦が許可されていました。

10月1日のニュース:朗報!10月末のマレーシアカップ第3節からスタジアム観戦解禁、ディオン・クールズら3名がケガにより代表のヨルダン遠征を辞退

朗報!10月末のマレーシアカップ第3節からスタジアム観戦が解禁に
 Mリーグを運営するMFLは、10月29日と30日のマレーシアカップからスタジアム観戦が解禁されることを発表しています。
 イスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は10月1日付けで首都圏クランバリーとマラッカ州が国家復興計画NRPの第3段階に、北部のケダ州が同第2段階にそれぞれ移行すると発表しましたが、これにより最も厳しい移動制限措置が課せられる第1段階に指定されている州がなくなりました。さらに標準作業手順SOPについても変更が発表され、NRP第2段階から第4段階の地域では10月1日からワクチンを接種を完了した18歳以上に限り、マスク着用・飲食禁止の条件の下、スポーツの試合をスタジアム観戦できるようになります。
 これを受けてMFLは公式サイトで10月29日と30日に開催されるマレーシアカップグループステージ第3節よりサポーターによるスタジアム観戦を解禁すると発表しています。今年3月5日に開幕した今季2021年シーズンのMリーグは、新型コロナの感染拡大により5月9日以降は無観客で開催されたままシーズンが終了し、現在開催中のマレーシアカップグループステージも先週末の第1節と昨日、一昨日に行われた第2節は無観客での開催となっていました。
 なお10月4日から12日までのFIFA国際マッチデー期間に合わせて本日10月1日に招集されるマレーシア代表は明日からヨルダンでの代表合宿と現地でのヨルダン代表、ウズベキスタン代表との練習試合が予定されており、マレーシアカップグループステージはおよそ1ヶ月中断します。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサン会長はこのリーグ中断期間中にMFLとマレーシアカップに出場中のMリーグ各クラブがスタジアム観戦解禁に向けての準備を進めるとしています。またスタジアム観戦解禁後も、国家復興計画NRPの各段階により入場可能なサポーターの数が異なることから、その具体的な人数や、マレーシアカップ中断期間中に行われる各クラブの練習試合を有観客で開催可能かどうかなどについても国内スポーツを統括する青年スポーツ省からの指示を待っている段階であると言うことです。
 なお条件付き行動制限令CMCOが施行されていた時期はスタジアム定員の10%あるいは2000名が、復興に向けての行動制限令RMCO施行時には定員の25%あるいは8000名を上限としてサポーターの入場が許可されていました。

ディオン・クールズら3名がケガにより代表のヨルダン遠征を辞退
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebookで、ヨルダンで行われるマレーシア代表合宿と2試合の練習試合にデンマーク1部FCミッティランでプレーするDFディオン・クールズら3名が参加しないことを発表しています。
 FAMは今月9月23日にヨルダン代表、ウズベキスタン代表との練習試合を含むヨルダンでの代表合宿に参加する24名を発表していましたが、FAMの公式FacebookではDFディオン・クールズ、DFシャミ・サファリ(スランゴールFC)、FWアキヤ・ラシド(JDT)の3選手がいずれもケガのため代表合宿参加を辞退し、DFアリフ・ファルハン(クダ・ダルル・アマンFC)とDFシャールル・ニザム(トレンガヌFC)、FWファイヤド・ズルキフリ(クダ・ダルル・アマンFC)の3選手が代わって招集されたことを発表しています。
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 今回の代表合宿と練習試合は12月に開幕するアセアン東南アジアサッカー連盟選手権スズキカップに向けての色合いが強いものですが、このスズキカップ開催時期はFIFAの国際マッチカレンダー期間ではないことから、ディオン・コールズの招集は所属クラブのFCミッティランが拒否するだろうと当初から予想されており、来年2月のAFC選手権アジアカップ3次予選前に合流してくれえれば十分といったところでしょう。
 個人的に気になるのは今回の合宿にタイ1部チョンブリーFCでレギュラーのDFジュニオール・エルドストールが招集されなかったことです。今回の代表メンバーが発表になった時にエルドストール選手が含まれていなかったことに驚きましたが、ディオン・クールズが合宿に参加しなくなった今回もやはり招集されていないのは、タン・チェンホー監督の戦術に合わない選手なのかもしれません。ファリザル・マーリアス、サファウィ・ラシド、ラヴェル・コービン=オング、アリフ・アイマン(いずれもJDT)が招集されなかったのは、「新たな選手を試してみたい」と話すタン監督の方針だとしても、今年6月のFIFAワールドカップ予選でタン監督就任以来初の代表招集となったエルドストールは明らかに衰えが見えているアイディル・ザフアンの代わりとしても他の選手と連携を見てみても良いのではと思います。

9月30日のニュース:AFCU23アジアカップ出場のU23代表第2次合宿参加メンバー発表、AFC女子アジアカップ予選-タイがパレスチナを破りAFC女子アジアカップ本戦出場

 昨日のコラムではスランゴールFCがU23代表に多くの選手が招集されることに難色を示していると言う記事を取り上げましたが、本日発表になったU23代表は全25名中、結局スランゴールFCからは10名が招集されています。

AFC U23アジアカップ出場のU23代表第2次合宿参加メンバー25名を発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で10月4日から始まるU23代表第2次合宿の参加メンバー25名を発表しています。このU23代表合宿は10月25日からモンゴルのウランバートルで開催されるAFCU23アジアカップ予選J組に向けての合宿となります。
 8月30日から9月7日まで行われた第1次合宿のメンバー24名からは今季のMリーグ2部プレミアリーグでマレージア人選手としてはリーグ2位の8ゴールを挙げた19歳のアズハド・ハラズ・アルマン(FAM-MSNプロジェクト)や今季1部スーパーリーグデビューを果たしたアズリ・アブドル・ガニ(ペラFC)ら16名が残り、第1次合宿には招集されながら参加できなかったモハマド・アイマン・アフィル(クダ・ダルル・アマンFC)、シーク・イズハン・ナズレル(スランゴールFC 2)ら4名、さらに今回新たに招集されたニック・アキフ・シャヒラン(トレンガヌFC)、K・ティヴァンダラン(PJシティFC)ら5名の総勢25名がこの第2次合宿に参加します。
 また10月1日から行われるフル代表の合宿とヨルダン遠征に招集されているムカイリ・アジマル(20、スランゴールFC)、ハキミ・アブドラ(22、トレンガヌFC)、クェンティン・チェン(22、ペナンFC)、ルクマン・ハキム・シャムすディン(19、ペルギー1部KVコルトレイク)の4名はフル代表の遠征終了後にU23代表に合流する予定になっているということです。
 オーストラリア出身のブラッド・マロニー監督率いるU23代表はクアラルンプールのブキジャリルにある国立スポーツ評議会の施設で10月4日から合宿を行い、最終メンバー23名の選考を経て、10月20日に予選開催地のモンゴルへ出発する予定になっています。
 10月25日から31日までの予定で行われる今回の予選では、マレーシアはタイ、ラオス、モンゴルと同じ予選J組に入っています。
 なお今回の合宿参加25名はこちらです。
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 このブログで何度も取り上げているように、FAMは2024年のパリオリンピック出場を目指すための長期計画の一環として、このAFC U23アジアカップ予選にはパリオリンピック世代となるU20代表を派遣することを明言しており、実際に8月末から9月初旬に行われた合宿はU20代表合宿と銘打たれてていましたが、今回の合宿はしらっと(!)U23代表合宿という表記になっています。今回の予選にU20代表を派遣すれば、予選を勝ち上がるどころか予選J組最下位の可能性もあり、果たしてそれがチームの強化につながるのか疑問であり、むしろ来年2022年にウズベキスタンで開催されるU23アジアカップ出場権を獲得して、そこで強豪に揉まれる方が遥かに強化になるとこのブログでも何度か書いてきました。もちろん今回のメンバーでこの予選組最大のライバルであるタイに勝てる保証は全くありません。しかし実力勝負の結果ではなく「育成」目的のU20代表で臨めば、本来この大会に出るべき選手たちは成長する機会を奪われてしまい、それはフル代表の強化にもマイナスの影響が少なくないと思いますので、何の説明もないままの突然の方針転換ではあるものの、それは評価できる点だと思います。惜しむらくは、第2次合宿後にフル代表組を掛け持ちで合流させるのではなく、この年代の他の選手を招集してみても良かったのではないでしょうか。

タイがパレスチナを破りAFC女子アジアカップ本戦出場
 ニュースと言うには少々時間が経ってしまいましたが、マレーシアも出場したアジアサッカー連盟AFC女子アジアカップ2022年大会予選H組の最終戦で日本人の岡本三代氏が監督を務めるタイがパレスチナを7-0で破り、来年1月にインドで開催される本戦への出場を決めています。
 マレーシアを4-0で破ったタイとマレーシアに0-2で敗れたパレスチナの対戦となった最終戦は、この試合引き分け以上で予選突破となるタイが試合開始からパレスチナを圧倒し、前半を2-0で折り返すと後半にはイラマディー・マクリスがハットトリックを達成するなど5点を追加して、FIFA女子ワールドカップ2023年大会予選を兼ねるAFC女子アジアカップ2022年大会への出場権を獲得しています。

AFC女子アジアカップ予選H組最終順位

順位チーム得点失点勝点
1タイ22001106
2マレーシア2101243
3パレスチナ2002090

9月29日のニュース:スズキカップの開催国がシンガポールに決定、スランゴールFCがU20代表召集で協会と対立か

スランゴールFCがU20代表召集で協会と対立か
 英字紙ニューストレイトタイムズは、Mリーグ1部スーパーリーグのスランゴールFCが、近々予定されているU20代表合宿へ選手を派遣することに消極的であると報じています。
 スランゴールFCのセカンドチームで2部プレミアリーグのスランゴールFC 2からは多くの選手がU20代表に召集される見通しですが、この中にはトップチームに昇格して現在開催中のマレーシアカップに出場する選手もいることから、クラブがそういった選手の代表召集には応じない可能性があると報じられています。
 マレーシアサッカー協会FAMは10月25日から31日までモンゴルのウランバートルで開催されるアジアサッカー連盟AFC U23アジアカップ予選J組に本来のU23代表ではなく、2024年パリオリンピック出場を目指すための長期強化プログラムの一環としてU20代表を派遣することを決めていますが、その中心選手となるのがスランゴールFC 2の選手たちです。
 今回の件についてスランゴールFCのジョハン・カマル・ハミドンCEOはニューストレイトタイムズの取材に対して多くを語らず、FAMに問い合わせるべきと答えたということですが、このAFC U23アジアカップ予選はFIFA国際マッチーデー期間外で開催されるため、クラブには選手の召集を拒否することが可能であることが問題を複雑にしているようです。
 スランゴールFCとFAMは今回のU20代表合宿での選手召集について既に話し合いを行なっており、FAMのサイフディン・アブ・バカル事務局長は両者間の対立はなく、話し合いは実りあるものだったとしていますが、AFC U23アジアカップ予選まで既に1ヶ月を切った現在もU20代表の第2次合宿召集メンバーの発表はされていません。
 なおスランゴールFC からはシャルル・ナジーム(21)とムカイリ・アジマル(19)が10月1日から行われるフル代表の合宿とヨルダン遠征に召集されていますが、こちらはFIFA国際マッチーデー期間内に行われるため、問題は起きていません。

スズキカップの開催国がシンガポールに決定
 アセアン東南アジアサッカー連盟AFFは公式サイトで今年12月に開催予定のAFF選手権スズキカップ2020年大会をシンガポールで開催することを発表しています。
 12月5日に開幕するスズキカップは、当初は2020年末に予定されていましたが東南アジア各地で新型コロナの感染拡大により今年3月に延期され、その後も感染状況が改善されず、開催地として立候補する国もなかったことからさらに12月に延期されていました。
 またこれまではホーム&アウェー方式で行われたきたスズキカップですが、今大会は出場チームや関係者の安全を考慮し一カ国での集中開催方式となることが発表されており、9月27日にオンラインで行われたAFF理事会で今大会の開催地として立候補したタイとシンガポールからシンガポールが集中開催地と決定しています。
 なおスズキカップ2020年大会の組み合わせ抽選は既に終わっており、マレーシアは前回2018年大会の覇者ベトナム、インドネシア、カンボジア、ラオスと同じB組に入っており、初戦は12月6日のカンボジア戦となることが決まっています。グループステージ終了後にはA、B両組の上位2チームが準決勝に進み、準決勝以降は従来通りのホーム&アウェー形式で行われ、決勝は今年12月29日と2022年1月1日に予定されています。

9月28日のニュース:タイ1部リーグ第4節-エルドストールはフル出場もタンは4試合連続で出場なし、マレーシアカップは10月末からは有観客で開催か

タイ1部-代表コンビはエルドストールはフル出場もタンは4試合連続で出場なし
 2021/2022年シーズンのタイ1部リーグ第4節が9月25日と26日開催に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCとDFドミニク・タンが所属するポリス・テロFCの試合が行われました。

タイ1部リーグ第4節
2021年9月25日@コーンケンスタジアム
コーンケン・ユナイテッドFC 0-7 チョンブリーFC
 前節に続き今節も今季1部昇格組のコーンケン・ユナイテッドFCと対戦したチョンブリーFCは、今季同じ1部のナコーンラーチャシーマー・マツダFCから加入したデニス・ムリーリョが4ゴール、ウォーラチット・カニッシーバンペンが3ゴールを挙げる活躍で2連勝を飾るとともに、今季初となる首位に浮上しています。
 なぜか10月の代表合宿には招集されなかったジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)は先発してフル出場しています。
 (試合のハイライト映像はチョンブリーFCの公式Youtubeチャンネルより)

https://youtu.be/RtaNJJXv8zk

2021年9月26日@ブンヤジンダースタジアム
ポリス・テロFC 1-1 サムットプラーカーン・シティFC
 2連勝中のサムットプラーカーン・シティFCをホームに迎えたポリス・テロFCは2連敗中な上、今季まだ勝ち星がありません。ポリス・テロFCは40分にアイザック・ホニーのゴールで先制しますが、51分にサムットプラーカーン・シティFCがスパナン・ブリーラットのゴールで追いつき引き分け、ポリス・テロFCの今季初勝利はお預けとなりました。
 10月の代表合宿に招集されたドミニク・タンはベンチ入りしたものの、この試合でも出場はありませんでした。今季開幕以来の4試合で一度もピッチに立っていないタン選手ですが、代表では実戦不足が不安です。

タイ1部リーグ順位表(第4節終了)

順位チーム試合得失差勝点
1チョンブリー422098
2サムットプラーカーン・シティ422038
3ブリーラムU421147
15ポリス・テロFC4022-32
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFC、ポリス・テロFCのみ表示しています。

マレーシアカップは10月末からは有観客で開催か
 9月24日に国内スポーツを統括する青年スポーツ省は、国家復興計画第4段階で許可されることになっていたMリーグのスタジアム観戦について、これまで発表されていたスタジアム観戦手順を見直す必要があるとして、これを延期することを発表しましたが、マレーシア語紙のウトゥサンマレーシアは、10月末には現在開催中のマレーシアカップは有観客で開催できるようになる可能性があると報じています。
 先週末にグループステージ第1節が開催されたマレーシアカップは次節第2節(9月29日と30日)が終わると、マレーシア代表がFIFA国際マッチデー期間にあわせてヨルダンで代表合宿と練習試合を行うため中断期間に入り、第3節は1ヶ月ほど先の10月29日と30日に予定されていることから、マレーシアカップを運営するMFLのアブドル・ガニ・ハサン会長はこの第3節開催の時期には観客を入れての試合開催が可能になると確信していると話しています。
 「今回の解禁延期は一時的なものだと考えており、さほど心配はしていない。マレーシア政府が発表している国家復興計画の第4段階になれば、収容人員の50%を上限としてワクチン接種を完了したサポーターのスタジアム観戦が許可されることが決まっており、青年スポーツ省による最終調整が完了すれば、スタジアム観戦が実現するのは時間の問題である。」とウトゥサンマレーシアの取材に答えたアブドル・ガニMFL会長は、観戦が実現した後もホームゲームを主催するチームが観戦者に標準作業手順SOPを遵守させられない場合には、MFLの権限で無観客試合を実施するような処分を下す予定であるとも述べ、有観客試合実施に向けてMFL側も準備を進めていることも明らかにしています。

9月25日のニュース:Mリーグ2部-最終戦で勝利のケランタンUがマレーシアカップ出場を決める、マレーシアカップ出場全チームの組み合わせが決定、女子代表主将は女子リーグ設立を求める、クダ州サッカー協会の所得税未払い累計2億7500万円が発覚

Mリーグ2部-最終戦で勝利のケランタンUがマレーシアカップ出場を決める
 2部プレミアリーグの文字通り最終戦は、既にマレーシアカップ出場を決めているクチンシティFCと、勝てばマレーシアカップ出場となるケランタン・ユナイテッドFCが対戦しました。ケランタン・ユナイテッドはクチンシティFCディフェンス陣の緩慢な動きの隙をついて20分にシャフィズル・イクマルが20分に、またディフェンダーのクリアミスを22分にガッサマ・アルフセイネイが22分と立て続けにゴールを決め、ケランタン・ユナイテッドFCが先行します。しかしその直後の28分にペナルティエリア内でケランタン・ユナイテッドFCのDFエヴァン・ウェンスレーがクチンシティFCのMFモハマド・ザイヌディン・ボーリを倒してPKを与えてしまいます。ミシェル・イジェジーが蹴ったPKはケランタン・ユナイテッドFCのGKモハマド・フィクリ・チェ・ソーが弾いたものの、イジェジー選手がそれを冷静に押し込んでクチンシティFCが2-1 と1点差に詰め寄ります。しかし前半終了間際にペナルティエリアの外でファクルル・ザマンが蹴ったフリーキックが直接ゴールインし再びケランタン・ユナイテッドFCがリードを広げて前半を終了しました。後半は両チームとも無得点で結局、ケランタン・ユナイテッドFCがそのまま逃げ切り、連勝でマレーシアカップ出場を決めています。

Mリーグ2部プレミアリーグ第21節(9月11日より順延)
2021年9月21日@MBPGスタジアム(ジョホール州パシルグダン)
クチンシティFC 1-3 ケランタン・ユナイテッドFC
得点者:クチン-ミシェル・イジェジー(28分)、ケランタン-シャフィズル・イクマル・カイルディン(20分)、アルフセイネイ・ガッサマ(22分)、ファクルル・ザマン(45+2分) 
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は後半開始から出場して最後までプレーしています。またケランタン・ユナイテッドFCの谷川由来選手は先発してフル出場、深井脩平選手はハーフタイムで交代出場し最後までプレーしています。なお本山雅志選手はベンチ入りしましたが出場しませんでした。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ2021年シーズン最終順位

TeamGWDLGFGAGDP
1#^NS20125333161741
2#^SU20115437142338
3TFC2098337181935
4JDT2097438201834
5^KCH207662222027
6^KEL208392328-527
7^KU2072102528-226
8PDRM207582225-325
9SEL205962726124
10PRK2045111437-2317
11FAM2013161256-446
#ヌグリスンビランFCとサラワク・ユナイテッドFCは来季の1部昇格が決定しています。
^ヌグリスンビランFC、サラワク・ユナイテッドFC、クチンシティFC、ケランタンFC、ケランタン・ユナイテッドFCの5チームが9月26日に開幕するマレーシアカップ出場権を獲得しています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト

マレーシアカップ出場全チームの組み合わせが決定
 Mリーグ2部プレミアリーグの全日程が終了したことにより、9月26日に開幕するマレーシアカップ前出場チームの組み合わせが決定しました。昨日の試合で最後の枠に滑り込んだケランタン・ユナイテッドFCは、今季1部スーパーリーグ2位のクダ・ダルル・アマンFC、同8位のマラッカ・ユナイテッドFC、そして2部プレミアリーグチャンピオンのヌグリスンビランFCとともにC組に入っています。
(以下がマレーシアカップの最終組合わせ。Kumpulanはグループ、Kumpulan AはグループAという意味です。-MFLの公式Facebookより)

女子代表主将は女子リーグ設立を求める
 パレスチナで開催中のアジアサッカー連盟AFC選手権女子アジアカップ2022年大会予選に出場中のマレーシア女子代表は、予選H組でタイに0-4と敗れた後、パレスチナに2-0で勝利し、通算成績1勝1敗で全日程を終えています。今回の予選では各組の1位のみが本戦に出場するため、本日9月25日に行われるタイ対パレスチナ戦でタイが0-7以上のスコアで敗れない限り、前回大会ベスト4のタイが来年1月にインドで開催される本戦に出場します。
 今回の予選を終えたマレーシア代表のステフィ・サルジ・カウル主将は、国内女子サッカーの競技レベルの向上や選手育成をするめるためには女子リーグの設立が必要だと訴えています。
 代表チーム強化のためにはより多くの選手の中から代表選手を選ぶべきだと話すステフィ主将はマレーシアの通信社ブルナマの取材に対して「今回の予選出場で自分たちには可能性があることがわかった。後はより高いレベルでの練習やサッカーへ取り組む姿勢があれば、さらに向上できる。今回の予選に参加した選手には今後も練習を続けて心身両面で現在の調子を維持してもらいたい。」とステフィ主将が述べた一方で、GKのヌルル・アズリン・マスランは女子国内リーグが設立されれば、もっと多くの若い選手がサッカーをプレーするようになると確信していると述べ、パレスチナ戦ではゴールを決めた20歳のMFアンドレア・リーは、より多くの試合が国内で開催されることで選手はより多くの経験を積むことができると、やはり国内リーグ設立を望んでいると話しています。
 女子の大会としては、1976年から開催されている国内唯一の女子の全国大会であるトゥン・シャリファ・ロジアカップがありますが、昨年に続き、今年も新型コロナの影響で中止になっています。

クダ州サッカー協会の所得税未払い累計2億7500万円が発覚
 クダ州サッカー協会は運営していたMリーグクラブのクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)の選手および監督、コーチによる2015年以来の所得税未払いの累計が1040万リンギ(およそ2億7500万円)となっていることを公表しています。
 2015年から2018年までプレーしたサンドロ・ダ・シルヴァ(現サラワク・ユナイテッドFC)の230万リンギ(およそ6070万円)、リリドン・クラスニキ(現JDT)の178万リンギ(およそ4700万円)などを筆頭に複数の選手や、2014年にアシスタントコーチを務めたオーストラリア出身のイアン・ギラン、2017年にフィットネスコーチを務めたステファノ・インパグリアッツォ両氏などの未払い税金などがこの1040万リンギに含まれているということです。
 クダ州サッカー協会会長を兼任するクダ州のムハマド・サヌシ・モハマド・ノー州首相は、日本の国税庁にあたるマレーシア内国歳入庁からの滞納支払い請求を受け取ったことを明らかにした上で、自身が会長に就任する以前のクダ州サッカー協会の経営陣が選手から所得税分を徴収しておきながら、それを国内歳入庁へ支払っていなかったことを明らかにしています。
 その上でモハマド・サヌシ州首相は、国内歳入庁が滞納支払い請求があまりにも遅れて行われたことを指摘し、放置されていた期間が長い請求に関しては滞納帳消しを求めたいと話しています。「(自身がクダ州サッカー協会会長に就任した)2020年より前の滞納に関しては、(国内歳入庁は)もっと前に支払い請求訴訟を起こしておくべきだったがそうしなかった。さらに当時は旧経営陣の協力が得られなかったと説明しているが、(自身が率いる)新経営陣に旧経営陣の責任分を引き継げと言われても無理である。」と話し、Mリーグ1部のクダ・ダルル・アマンFCの来季のクラブライセンス発給の障害にならないよう、金融省や国内歳入庁に十分な配慮を求めたいとしています。
 なおMFLは選手やクラブライセンス発給の要件の一つとして、クラブ所属の選手、監督、コーチの所得税滞納がないことを挙げており、クダ州サッカー協会が滞納額を支払うか、国内歳入庁が所得税滞納額の「棒引き」を認めない場合、クダ・ダルル・アマンFCはクラブライセンスの発給が受けられず、Mリーグに参加できなくなる可能性があります。

9月24日のニュース:10月の代表合宿メンバー発表、代表のヨルダン戦とウズベキスタン戦が確定、3部のランカウィシティFCがボルシア・ドルトムントとの提携を発表

10月の代表合宿メンバー発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で10月1日から始まる代表合宿の参加メンバー24名を発表しています。
 今年2021年6月にアラブ首長国連邦で行われたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選のメンバー26名からは主将のDFアイディル・ザフアン・アブドル・ラザク(JDT)、GKカイルルアズハン・カリド(スランゴールFC)、DFディオン・クールズ(デンマーク1部FCミッティラン)ら12名が残り、残る12名は代表初招集となるGKカラムラー・アル-ハフィズ(PJシティFC)、DFクエンティン・チェン、FWアル-ハフィズ・ハルン(ペナンFC)、DFシャルル・ナジーム、MFムカイリ・アジマル(スランゴールFC)、ハキミ・アブドラ(トレンガヌFC)の6名と、今季Mリーグ1部スーパーリーグでマレーシア人選手最多の7ゴールを挙げているボドロル・バクティアル(クダ・ダルル・アマンFC)、2010年のスズキカップ優勝時のGKだったカイルル・ファアミ・チェ・マット(マラッカ・ユナイテッドFC)らベテランが融合したチーム編成となっています。
 なお今回の代表合宿は国外で開催され、10月1日に集合する代表は翌日10月2日にヨルダンのアンマンへ向けて出発し、10月10日に帰国予定になっています。
 今回の合宿参加メンバー全員のリストはこちらです。

代表のヨルダン戦とウズベキスタン戦が確定
 FAMの公式サイトでは代表合宿参加メンバー発表とともに、ヨルダン、ウズベキスタンとの練習試合が決定したことも発表されています。
 FIFA国際マッチデー期間(10月2日から12日)に国際Aマッチとして行われるこれらの試合は、いずれも合宿地のヨルダンで行われ、直近のFIFAランキング154位のマレーシアは10月6日にはアンマンのキング・アブドラII世スタジアムで同93位のヨルダンと、また10月9日にはアンマン国際スタジアムで同84位のウズベキスタンと対戦します。
 これらの試合は12月5日に開幕するアセアン東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会、さらに来年2022年2月から始まるアジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選に向けての準備の一環として行われます。

3部クラブがボルシア・ドルトムントとの提携を発表
 Mリーグ3部に当たるM3リーグのランカウィシティFCがドイツ1部のボルシア・ドルトムントとの育成を中心とした提携関係を結んだことをクラブ公式Facebook上で発表しています。
 いわゆるボルシア・ドルトムントの指導に基づき草の根レベルでの育成から、ユース向け大会などを開催する一方で、双方がスポーツツーリズムの観点なども踏まえて協力する内容になっています。
 なおこの提携は既に9月1日より発効しており、2023年12月31日まで継続されるということでです。
 この提携についてボルシア・ドルトムントのカルステン・クレイマーCEOはこの提携関係により双方がランカウィを含めたマレーシアの草の根レベルでの育成を支援という目的を果たせることを願っているというコメント寄せる一方で、ランカウィシティFCの支援者でもあり、ランカウィ島選手具の議員でもあるマハティル・モハマド元マレーシア首相も「今回の提携を喜ばしく思う。世界的な規模で見ても成功を収めているボルシア・ドルトムントからランカウィシティFCはピッチ内外で成功するために多くのことを学び、さらにそれがランカウィ島の住民にとっても実りあるものになることを望んでいる。」とコメントしています