2月9日のニュース
クチンシティに4人目の外国籍選手加入
アセアンU23選手権出場のU23代表が練習試合でサバと引き分け
マレーシア代表カラーのエアバスをマレーシア航空が披露-U23代表はこの機体でカンボジアへ

クチンシティに4人目の外国籍選手加入

Mリーグ2部プレミアリーグのクチンシティは、クラブ公式Facebookで4人目の外国籍選手となるキアヌ・マーシュ=ブラウンの加入を発表しています。英国生まれのマシュー=ブラウン選手はアーセナルのユースからフラムのユースを経て、2009年にフラムで初のプロ契約を結びオルダム・アスレチックやスコットランド1部リーグのダンディー・ユナイテッドなどを経てアメリカへ渡り、直近ではバーレーン1部リーグのイースト・リファー・クラブと契約していたようです。

29歳のマシュー= ブラウンは英国とガイアナの国籍を持つストライカーということですが、このマシュー・ブラウン選手の加入で、先日のこのブログでも紹介したリベリア代表FWアブ・リザルド・カマラ、昨季から残留するDFアレモン(ブラジル)、そして2季振りの復帰となるMF谷川由来と4名の外国籍選手枠が埋まりました。

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このマシュー=ブラウン選手がガイアナ代表と聞いて真っ先に思い浮かべたのが「ガイアナの悲劇」だったという事実はさておき、ネットでも指摘されていますが、ウィキペディアのマシュー=ブラウン選手のページには「双方合意の上契約解除」という記述が複数回でてきます。イルファン・バクティ監督が今季いっぱいでの退任を表明している中で1部昇格を手土産に送り出したいクチンシティですが、マシュー=ブラウン選手とクチンシティがシーズン途中での「双方合意の上契約解除」とならないことを祈っています。

アセアンU23選手権出場のU23代表が練習試合でサバと引き分け

今月2月14日から26日までカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するU23代表は、初の練習試合としてMリーグ1部スーパーリーグのサバFCと対戦し、を行い、1-1と引き分けています。シーズンオフの大規模な補強により、昨年末のAFF選手権スズキカップ2020に出場した代表の選手4名が先発に名を連ねたサバFCに対し、76分にT・サラヴァナンのゴールで先制したU23代表でしたが、81分にはサバFCのスチュアート・ウィルキンスに同点ゴールを決められています。

サバFCの本拠地リカススタジアム(サバ州コタキナバル)で行われたこの試合はU23代表が合宿を始めて以来初の実戦となりましたが、代表4名の他、外国籍選手なども先発しほぼベストメンバーのサバに対して前半はむしろ優勢に試合を進める展開となりました。今回のU23代表は、昨年10月に行われたAFC U23アジアカップ予選で主力となったルクマン・ハキム(ベルギー1部KVコルトレイク)、ムカイリ・アジマル、クエンティン・チェン(いずれもスランゴール)ら含まれておらず、U23代表のブラッド・マロニー監督は今回のAFF U23選手権をそういった主力に続く戦力を探すための大会と位置付けています。

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またマレーシアの通信社ブルナマによると、マロニー監督が米国の大学でプレーするワン・クズリについて、今回の代表には参加しないことを明らかにしています。「個人的な問題」を理由に米国を出国できずにいたワン・クズリ選手ですが、マロニー監督はAFF U23選手権前に全選手が顔を揃えることを条件としており、現在マレーシア政府が全ての渡航者に義務付けている最低でも5日間の検疫隔離の時間を考えると、今週月曜日までにマレーシアへ入国できない場合は、今回のU23代表に参加させないことを明らかにしていました。

マレーシア代表カラーのエアバスをマレーシア航空が披露<br>-U23代表はこの機体でカンボジアへ

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、マレーシア代表「ハリマウ・マラヤ(マレーの虎)」のエンブレムがプリントされたエアバス330-300Fを披露しています。FAMの公式エアラインでもあるマレーシア航空が運営するこのエアバスは、「ハリマウ・マラヤ」のシンボルカラーでもある黄色と黒色で塗装されています

ハリマウ・マラヤのエンブレムに加えてマレーシア国旗も描かれているワイドボディーの機体は、FAMのハミディン・アミン会長やマレーシア航空のイズハム・イスマイルCEOらが出席したの披露式典で公開されています。また。この席上ではカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するU23代表は今月12日にこの機体に搭乗してカンボジア入りすることも発表されています。マレーシア航空は2019年からFAMの公式エアラインとなり、昨年のA代表の中東遠征の際にマレーシア航空によって運行されたチャーター便も、ハリマウ・マラヤ仕様の期待となっていました。


2月4日のニュース
アセアンU23選手権-アメリカ在住のワン・クズリの参加は見送りか
KLシティは長身FWが5人目の外国籍選手
クチンシティにはリベリア代表FWが加入

アセアンU23選手権-アメリカ在住のワン・クズリの参加は見送りか

今月2月14日から26日までカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFFU 23選手権に向けてマレーシアU23代表は合宿を行っています。先日は5名が追加招集される一方で、アメリカの大学でプレーするワン・クズリ・ワン・カマルは未だ合流できていません。この状況について、ブラッド・マロニーU23代表監督は、カンボジア出発前に大会に参加する全選手が揃うことを望んでいると話し、合流が遅れているワン・クズリ選手についてはマレーシア入国後の検疫隔離期間が必要なことから、2月6日までに合流が確定しない場合には候補選手名簿から外す方針を明らかにしています。

スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによれば、ワン・クズリ選手と直接、電話で話をし、本人がU23代表参加を望んでいることを確認したと話すブラッド・マロニーU23代表監督は、ワン・クズリ選手のU23代表への合流を望んでいるものの、2月12日と迫ったカンボジア出発前にチームに合流できなければ、戦力として考慮しないと話しています。U23代表は本日2月4日にサバへ出発し、2月5日にMリーグ1部スーパーリーグのサバと練習試合を行い、その後クアラルンプールに戻って2月10日にKLシティと最後の練習試合を行った後、カンボジアへ向けて出発する予定になっています。

マレーシアU23代表は昨年10月にモンゴルで行われたAFC U23アジアカップ予選を1位通過していますが、この時の主力選手は今回のU23代表には招集されておらず、マロニー監督は今回のAFF U23選手権を主力以外のメンバーの底上げと位置付けており、ワン・クズリ選手についても合流しても自動的にボジションが与えられるわけではないと話しています。また今回のU23代表合宿には、MFアシャル・ハディ(JDT II)、FWカイリ・スフィアン、DFファイズ・アメル(スランゴール2)、アズハド・ハラズ(サバ)、GKアイザット・アイマン、DFウバイドラー・シャムスル(FAM-MSNプロジェクト)の6名のU19代表も招集されています。

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タイはU19代表が参加、開催国カンボジアは本田圭佑氏が指揮を取る、またリーグ戦中にも関わらず主力5名の選手をU23代表に招集されたバンバン・パムンガス監督(ブルシジャ・ジャカルタ)が怒っている、などと大会が近づくにつれ、さまざまなニュースが入ってきていますが、U23代表はこのAFF U23選手権後には5月に東南アジア競技大会通称シーゲームズ(ベトナム)、6月にはAFC U23アジアカップ(ウズベキスタン)、そして9月にはアジア競技大会(中国)と大会が目白押し。しかもA代表と掛け持ちの選手はAFCアジアカップ2023大会予選が6月に、AFF選手権スズキカップ2022が12月にも控えており、FAMがしっかりと優先順位をつけて選手を招集して欲しいです。

KLシティは長身FWが5人目の外国籍選手

5つ目の外国籍選手枠が埋まっていなかったKLシティは、元コンゴ代表でフランス生まれのFWケヴィン・クベンバの加入をクラブ公式Facebookで発表しています。192cmと長身のクベンバ選手は28歳で、フランス1部のLOSCリール、ブルガリア1部CSKAソフィアなどでもプレーし、昨季はいずれもアゼルバイジャン1部のサバフFKとKSテウタ・ドゥラスに所属していました。

昨季のKLシティはFWドミニク・ダ・シルヴァが開幕直後のケガで離脱、2度目のトランスファーウィンドウ期間に獲得したFWキリアン・ヌワブエズはチーム合流後の初戦でケガを負うなど、シーズンを通して攻撃力不足に苦しみました。窮余の策としてMFロメル・モラレス(コロンビア)をシーズン途中でフォワードにコンバートしたところ、シーズン後半にはこの起用が実を結んだものの、年間を通しての得点力不足に悩んだボヤン・ホダック監督にとってクベンバ選手は喉から手が出るほど欲しかったストライカーの獲得となりました。シーズン終盤のマレーシアカップでは8試合で10ゴールを挙げた188cmと長身のモラレス選手とクベンバ選手の「ツインタワー」はスーパーリーグのライバルにとって脅威となりそうです。

クチンシティにはリベリア代表FWが加入

Mリーグ2部プレミアリーグのクチンシティは、リベリア代表FWアブ・リザルド・カマラの加入をクラブ公式Facebookで発表しています。北マケドニア1部リーグのFKマケドニヤ・ジョルチェ・ペトロフから加入するカマラ選手はKFドゥカジニ(コソボ)、NKルダル・ヴェレニエ(スロベニア)などでもプレー経験があります。またFIFAの公式サイトによると、昨年9月から11月にかけて行われたFIFAワールドカップ2022年大会アフリカ2次予選でリベリア代表として5試合に出場し(FIFAの記録では登録選手名がAbu KamaraではなくAbu Rizardとなっています)、1部スーパーリーグのトレンガヌでプレーする同じリベリア代表のクパー・シャーマンとチームメートでもあります。25歳のカマラ選手の加入で、クチンシティは昨季から残留するDFアレモン(ブラジル)、2季振りの復帰となるMF谷川由来と3名の外国籍選手枠が埋まっています。また残る1人については英国出身ということをイルファン・バクティ監督自身がメディアに明らかにしています。

1月30日のニュース
マレーシアが2030年までにアジアトップ5入りするための指針F:30は見直しが必要
スズキカップ惨敗はFAMの意思疎通や計画性の欠如と監督の指導力不足が原因-JDTオーナー

マレーシアがアジアトップ5入りするための指針F:30は見直しが必要

マレーシア代表が2030年までにアジアのトップ5入するための指針「F:30」を作成したマレーシアサッカー協会FAMですが、FAMのハミディン・アミン会長は、新型コロナの影響によりこの指針の修正が必要となっていることを認める発言をしていると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。なお、ハミディンFAM会長は今月就任したスコット・オドネル テクニカルディレクターTDがこの修正を担当するとも話しています。

2018年10月にFAMが発表して指針「F:30」は、12年後の2030年までにマレーシア代表をアジアでのトップ5入りを実現するという何とも無謀な計画を進めるための指針です。2019年から今年2022年までの第一段階では、目標実現のためにマレーシアサッカーの基礎を固めるために、運営、競技レベル、人材育成および設備の各分野を向上させ、2023年から2026年までの第二段階では、これをアジアの上位国並みの水準まで引き上げ、第三段階となる2027年から2030年にはアジアはもとより世界と戦えるマレーシア代表チームを作り上げるという内容がこの指針では示されています。

ハミディン会長は新型コロナによる影響で過去2年間は指針で示された計画が進んでいないことを認めた上で、オドネルTDに対して2ヶ月程度を期限に必要に応じた指針の修正案を作成するよう指示したということです。「F:30」は単に代表チーム強化についてだけの指針ではなく、ユースや女子、フットサル、ビーチサッカー、さらには指導者や審判、また運営や財務などといった内容までを含むマレーシアサッカー再興のためのものであることを常に意識しておく必要がある。」と述べたハミディンFAM会長は、代表チームの成績は上がり下がりするもので、AFC選手権アジアカップ2023 出場という目標が達成できれば、東南アジアサッカー連盟AFF選手権ススキカップ2020でのグループステージ敗退により指針から遅れた分は取り戻すことができると話しています。

スズキカップ惨敗はFAMの意思疎通や計画性の欠如と監督の指導力不足が原因-JDTオーナー

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーで、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、意思疎通や計画性の欠如と監督の指導力不足がスズキカップ2020でのグループステージ敗退の原因だと指摘し、大会後にマレーシアサッカー協会FAMが依頼した独立委員会による敗因分析すら時間の無駄だったと酷評しています。

JDTがプレシーズン合宿中のアラブ首長国連邦のドバイで、スポーツ専門チャンネルのアストロアリーナのインタビューに答えたイスマイル殿下は「何の見通しもないまま計画を立てることは夢を見るのと同じことだ。JDTでは、自分のところに報告が上がって来れば、それをもとに判断し、必要なことを直ちに実行する。判断にはスピードが必要で、形式的な手続きにこだわり過ぎると物事は前に進めなくなる。JDTではミーティングを何度も行うことはなしない。」と述べています。

また代表チームの選手選考に影響を及ぼした「見えない手」の存在や、さらにその「見えない手」がイスマイル殿下自身なのではないかという疑惑について問われると、それを一笑に付した上で、マレーシアサッカー協会FAMと代表監督だけが代表チームに関する決定権を持っていると指摘した上で、スズキカップグループステージ敗退については、そのFAMとタン・チェンホー前代表監督がその責任を負うべきであると個人的には考えていると述べています。「まず第一に意思疎通が不十分だった。FAMは当初、スズキカップ2020にはU23代表を派遣する予定でいたが、突如それがA代表派遣に変わった。またタン前代表監督には指導力が欠けていた。大会前から明確な計画が示されておらず、それが今回の惨敗につながった。またFAMは代表選手招集の際に、JDTの複数の選手がスズキカップに出場できない理由をメディアに説明しなかった。マシュー・デイヴィーズはスポーツヘルニアの手術を受け、ラヴェル・コービン=オングとシャマー・クティ・アッバはいずれも鼠蹊部の痛み、ナチョ・インサは心臓検査のためスペインへ帰国していたが、FAMはなぜこの事実をメディアを通じてファンに知らせなかったのか。その結果、JDTの選手がマレーシア代表でプレーすることを自分が望んでいなかった印象をファンに与えてしまった。」「また代表チームでは戦術に対する理解を監督と話し合って確認するのではなく、コーチングボード上で指示されただけだったと聞いている。その結果の戦術理解不足がスズキカップ敗退の原因であれば、監督がその責任を負うべきである。」

さらにイスマイル殿下はJDTの選手がそもそも代表チームでプレーすることに興味がないのではないかと指摘されると、代表チームでプレーすることは選手の履歴において重要であり、マレーシア人選手なら誰でも代表チームでプレーすることを望んでいるとし、「代表チームが勝てば誰もJDTについて言及しないが、代表チームが敗れるとなぜかJDTが非難される。スズキカップでも(JDTの)サファウィ・ラシドやアキヤ・ラシド、シャールル・サアドがゴールを決めているにもかかわらず、誰もそれを話題にしない理由が自分にはわからない。」とも述べ、指導力不足の監督と意思疎通能力が欠如しているFAMとは無関係にも関わらず、自分が諸悪の根源のように批判されていると話す一方で、誰かを避難することは簡単だが、それでは問題解決にはつながらないとして、問題の解決方法を模索することが重要だとしています。

またマレーシア代表の監督に就任したキム・パンゴン氏については、FAMはキム監督にチームマネージャの権限も与えた上で、その手腕を評価する前に一定の時間を与えるべきだとも述べています。自身の戦術や戦略、そしてその元になる哲学を代表チームに浸透させるには時間が必要だとして、今年6月のAFC選手権アジアカップ2023大会最終予選での成功を期待するべきではなく、また代表選手の選考についてはキム監督を全面的に支え、それに介入するべきではないとも提言しています。

1月28日のニュース
クチンシティのイルファン監督は今季終了後に勇退へ
AFF選手権に向けてU23代表が始動
ヤクルトがチャリティーマッチの収益で聴覚障害者スポーツ支援

クチンシティのイルファン監督は今季終了後に勇退へ

英字紙ニューストレイトタイムズはMリーグ2部プレミアリーグのクチンシティを率いるイルファン・バクティ・アブ・サリム監督が今季終了後に勇退すると報じています。Mリーグ監督としては最年長となる73歳のイルファン監督は今季終了後に26年に渡る指導者としての生活を終えることを決めており、クチンシティの1部スーパーリーグ昇格を実現し、それ置き土産として勇退したいと考えていると言うことです。

2011年にはトレンガヌを率いてFAカップ優勝を果たしているイルファン監督は、Mリーグではヌグリスンビラン、スランゴール、ペナンなどを含む10のクラブで監督経験がある他、2007年にはインドネシア1部のプルシプラ・ジャヤプラでの指導経験もあります。

イルファン監督最後のシーズンとなるクチンシティは、昨季からプレーするセンターバックのアイルトンと、同じプレミアリーグのクランタン・ユナイテッドから2年ぶりに復帰する谷川由来の両外国籍選手は決まっており、残る2名の外国籍選手枠には今月末にリームに合流する予定の、いずれもストライカーの英国とリベリア出身選手が加わると言うことです。

AFF選手権に向けてU23代表が始動

先日参加メンバーが発表されたU23代表の第一次合宿が昨日1月27日よりスタンゴール州プタリンジャヤのPKNSグラウンドで始まっています。来月2月にカンボジアのプノンペンで開催される東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に向けての代表合宿初日には、母国オーストラリアで休暇を過ごし、マレーシア入国後の検疫隔離中のブラッド・マロニー監督とアメリカから参加予定のワン・クズリを含めた8名の選手が参加しなかったものの23名の選手が参加し、マロニー監督がチームに合流する2月3日までカン・ハンメン コーチが指揮を取ると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

取材に対応したカン コーチは合流が遅れている選手について、Mリーグでプレーする7選手については所属クラブのプレシーズン練習などで合流が2月6日になると話す一方で、ワン・クズリについては「個人的な事情」から合流が遅れているとして、現在も交渉を続けていることを明らかにしています。なお、U23代表は2月3日にサバFCと、2月8日にはクダあるいはFAM-MSNプロジェクトと、そして2月10日にはKLシティと練習試合を行った後、2月12日にはカンボジアへ向けて出発し、2月15日には予選B組の初戦となるミャンマー、2月18日にはラオスといずれもビサカスタジアムで、また2月21日にはインドネシアとモロドクテコ国立競技場で対戦し、予選A、B、C各組の首位と最も良い成績を収めた2位が出場する準決勝進出を目指します。

ヤクルトがチャリティーマッチで集めた寄付をデフサッカー支援に寄付

4年に1度、世界規模で行われる聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会デフリンピックが今年5月にブラジルで開催されますが、この大会に選手を派遣するマレーシア聴覚障害者スポーツ協会MSDeafは記者会見を開き、ヤクルトマレーシア社が24万3700リンギ(およそ670万円)の支援を行ったことを発表しています。

ブルナマの報道によれば、これはヤクルトマレーシア社が昨年12月11日に主催したチャリティーマッチで集めた31万5000リンギから経費を引いた金額ということです。なお、このチャリティーマッチでは、デフサッカー(聴覚障害者サッカー)マレーシア代表と元日本代表の本山雅志(クランタン・ユナイテッド)らMリーグでプレーする日本人選手とマレーシア代表のノーシャルル・イドラン・タラハ(サラワク・ユナイテッド)らマレーシア人選手で構成されたチームが試合を行いました。

MSDeafのオン会長はヤクルトマレーシア社からの支援について、マレーシアからはバドミントン、陸上、マウンテンバイク、空手、ボーリングの5つの競技に24選手が出場する今年5月のデフリンピックの準備の他、今年10月に韓国で行われるアジア太平洋地区デフサッカー予選の準備などにも使われる予定であると説明しています。



1月27日のニュース
A代表チームマネージャーが辞任
キム新監督のマレーシア人候補が決定

A代表チームマネージャーが辞任

マレーシア代表のモハマド・ユソフ・マハディ チームマネージャーが辞任したと、マレーシア語紙ブリタハリアンが伝えています。タン・チェンホー代表監督は既に辞任していますので、今さら?といった感もないですが、辞任の理由は東南アジアサッカー連盟選手権スズキカップ2020で代表チームがグループステージで敗退したからではなく。Mリーグ3部にあたるM3リーグやその下のリーグを運営するアマチュアフットボールリーグAFLのチェアマンの職に集中したい、とマレーシアサッカー協会のハミディン・アミン会長に説明したと言うことです。

スズキカップ敗退後には辞任を求める声が多かったモハマド・ユソフ氏は、FAMの会長代行でもあり帰化選手委員会委員長や代表チーム運営委員会の副委員長なども兼任していますが、辞任の理由の中にはスズキカップ敗退に関する責任については言及されていないようです。先日、発表された独立委員会によるスズキカップ敗退の原因分析では、このモハモド・ユソフ氏が独断でスズキカップ決勝進出を重要業績評価指標KPIとしていたことや、タン前監督が代表に招集したい選手がいても、その支援を行わなかったことなど、モハマド・ユソフ代表チームマネージャーの独断かつ非協力的な姿勢について言及されていましたが、それに対する言い訳も詫びもないままの辞任となっています。

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独立委員会は代表マネージャー職の廃止を提言しており、FAMが同様の役職を設ける場合には、権利や運営の権限は与えず、あくまでも儀礼的な職とすべきとしています。まぁマネージメントをしない、あるいは不要なマネージメントで代表監督の足を引っ張るような職がこれまでの代表チームマネージャーで、もうそんな職は独立委員会は不要と提言したと言うことです。このモハマド・ユソフ氏は3季連続で給料未払い問題を起こしているマラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAの出身で、まぁその無能っぷりは出身母体のMUSAに負けず劣らずといったところでしょうか。

キム新監督のマレーシア人コーチ候補が決定

マレーシアサッカー協会FAMは、A代表の新監督にキム・パンゴン(金判坤)氏の就任が発表されていますが、このキム新監督率いる首脳陣にマレーシア人のアシスタントコーチの候補が10人に絞り込まれていると、マレーシアの通信社ブルナマが伝えています。FAMのモハマド・サイフディン・アブ・バカル事務局長は、経験豊富な「大物」も含めて10名の指導者がFAMのスコット・オドネル テクニカルダイレクターTDによって絞り込まれていることをブルナマの取材で明らかにしています。

FAMによって厳選されたこの10名の候補者は、キム監督が予定されている来月にマレーシアに入国後に面談を行ったのちに決定されると言うことで、最終的な判断はキム新監督に一任されていますが、マレーシア人コーチの入閣は、キム新監督自身が望んだこともサイフディン事務局長は明らかにしています。


1月23日のニュース(2)
スズキカップ敗因分析に基づくFAMへの提言-FAM独立委員会報告
AFF U23選手権出場のU23代表候補選手発表

スズキカップ敗因分析に基づくFAMへの提言-FAM独立委員会報告

スズキカップ2020の敗因分析のために設立された独立委員会は、前述のスズキカップ敗因分析に基づく代表チームへの提言も合わせて行っています。将来の代表運営関係者や代表チームに向けて、チーム強化のために改善されるべき点も指摘されている10の提言は以下の通りです

  1. 最低限の準備期間の確保
    年に数回開催される代表合宿期間はFAMが作成する代表チームの年間予定の中に前もって含まれるべきであり、国際大会に出場する前の合宿については最低でも14日間は確保し、最低でも練習試合は2試合行うべきである。
  2. 現場での支援体制の強化
    代表チームを支える支援スタッフには技術委員、スポーツ科学及び医療の専門家、さらに専属のパフォーマンス分析担当者を含めるべきである。
  3. 代表チームマネージャー職の廃止
    FAMの理事あるいは職員を代表チームマネージャーに任命する慣例を廃止し、代表監督にチームマネージャーとしての権限も与えるべきである。必要に応じて代表チームの「団長」職を設ける場合でもその職はあくまでも儀礼的なものとし、それ以上の代表チームの運営には関与するべきではない。
  4. 代表チーム運営委員会の委員構成
    FAMの代表チーム運営委員会の委員は高いレベルで指導経験あるいはプレー経験を持つ者が就任するべきで、十分な技術的な観点を持たない者は委員となるべきではない。
  5. 技術委員会と育成委員会
    FAMの技術委員会と育成委員会は、代表チームの技術面を詳細に研究し、その観点に基づき、定期的に代表チームに助言を行うべきである。
  6. 代表選手選考
    代表選手のMリーグでのパフォーマンスを分析し、一貫性を持った選手選考を行うためのデータベース作成が必要である。このデータベースにより、代表監督は「印象」ではなく実際の試合出場時間やパフォーマンスの内容に基づいて選手を専攻することができる。またデータベースの項目などは随時見直しを行うべきであり、より多くの選手の中から代表選手選考を行うために、すべてのクラブの選手がこのデータベースに登録されるべきである

    また選手選考の際の代表監督と選手、および選手の所属チームとのコミュニケーションは改善されるべきである。これには代表候補選手選考に対する外部からの干渉を防ぐことも含まれる。
  7. MFLとの協力体制の強化
    FAMはMリーグを運営するMFLと協力関係を強化し、代表チーム強化を優先するような年間日程の作成を行うべきである。Mリーグのスポンサーや放映権についても、MFLには代表チーム強化という観点に基づいた配慮を求めるべきである。
  8. 新型コロナ対策
    新型コロナ対策についても、FAMは後手に回らないことに加え、様々な観点から対処方法を考える必要がある。代表チーム強化が継続的に行えるように、代表合宿を国外で行うなど柔軟な思考も持つべきである。
  9. 2022年の目標設定
    FAMは2022年に開催される国際大会について、その優先順位を明確にするべきである。個々の大会での目標を設定したとしても代表チームが出場する全ての大会でそれを達成するのは容易ではない。
  10. 現場からの報告書式の統一化
    年代別代表も含めたすべての代表チームの監督、コーチがFAMに報告をあげる際の書式のテンプレートをFAMが作成するべきである。共通の書式を使用することで、各大会後のパフォーマンス評価や、次の大会へ向けてのフィードバックや提言などがより容易になる。
AFF U23選手権出場のU23代表候補選手発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に向けた代表候補合宿の参加選手30名と予備候補選手5名を発表しています。このAFF U23選手権は来月2月14日から26日までカンボジアのプノンペンで開催されます。

昨年10月に開催され、グループ首位で本戦出場を決めたAFC U23アジアカップ(旧U23選手権)の予選のメンバー23名からは9名が残り、その他は初招集組やU23アジアカップ予選出場の最終候補に残れなかった選手が招集されています。U23代表候補30名と予備候補5名のリストはこちらです。

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AFC U23アジアカップ予選ではタイ、ラオス、モンゴルと同組なったマレーシアは3試合を2勝1分0敗の勝点7でグループをトップ通過しましたが、この3試合で失点を全く許さなかった守備陣で3バックを構成したジクリ・カリリ、ハリス・ハイカル、アズリン・アフィク(いずれもスランゴール2)や守護神GKアズリ・アブドル・ガニ(KLシティ)はいずれも選ばれておらず、A代表でもプレーするDFクエンティン・チャンやMFムカイリ・アジマル(スランゴール)も今回は選ばれていません。その一方でアメリカ育ちながらマレーシア人の両親を持つワン・クズリ(米国アクロン大学)を呼ぶなど、今年5月の東南アジア競技大会通称シーゲームズや6月のAFC U23選手権に向けて主力以外の選手選考を意図したメンバーにも見えます。インドネシア、ミャンマー・ラオスと同じB組に入ったマレーシアですが、C組でベトナム、シンガポールと同組のタイはこの大会にU19代表を派遣する事を発表しており、シーゲームズ、AFC U23アジアカップ、そして9月のアジア競技大会とU23代表の試合が続く2022年は、上の独立委員会が指摘しているように、どの大会に優先順位を置くのかにより、各大会の代表選手の顔ぶれも変わることになりそうです。

1月23日のニュース
マレーシア代表監督に韓国出身の元香港代表監督キム・パンゴン氏就任
スズキカップの敗因はFAMの支援不足やチーム内不和などが原因-FAM独立委員会報告

マレーシア代表監督に韓国出身の元香港代表監督キム・パンゴン氏就任

昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020でのグループステージ敗退の責任をとってタン・チェンホー監督が辞任して以降は空席となっていたマレーシア代表監督に韓国出身で元香港代表監督の キム・パンゴン(金判坤)氏が就任することをマレーシアサッカー協会FAMが公式サイト上で発表しています。 53歳のキム氏は現在、韓国サッカー協会の代表チーム運営の責任者で、それ以前には2009年から2010年までと2012年から2017年までは香港代表監督を務め、低迷していた香港代表を立て直して2018年W杯予選では中国代表との間で歴史的とも言える2度の引き分けを含めて勝点14を挙げたことから「香港のフース・ヒディンク」とも呼ばれています。なおFAMはマレーシア代表監督には日本をはじめ、ヨーロッパや南米諸国から応募があった事を明らかにする一方で、クラブチームだけでなく代表チームレベルでの指導経験がある点や、韓国代表に過去4年間関わってきた経歴を重視した結果の決定であるとしています。

マレーシア代表史上、初のアジア出身監督となるキム新監督は今回、FAMと2年契約を結んでおり、双方が望めばさらに2年間の契約延長も契約内容に含まれているという事です。なおキム新監督は自身のスタッフ4名(アシスタントコーチ、ゴールキーパーコーチ、フィットネスコーチそしてアナリスト)を伴って来月2月中旬にマレーシア入りする予定で、3月4日から始まるMリーグの視察を行なった後、3月21日から29日までのFIFA国際マッチデー期間に今季初の代表合宿を行う予定があることも発表されています。

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ベトナム代表のパク・ハンソ監督やインドネシア代表のシン・テヨン監督に続き、マレーシアにも韓流ブーム到来といったところですが、FAMの発表によればキム新監督は英語も堪能という事なので、選手と直接、対話ができるのは大きな利点に思えます。通訳を介して選手たちと対話するベトナム代表のパク・ハンソ監督やインドネシア代表のシン・テヨン監督に対して、選手はもちろん、Mリーグクラブの監督やFAM内の人間とも直接、対話できることが好結果につながる事を期待したいです。ただし気になるのは、キム監督との2年間の契約期間中は具体的な重要業績評価指標KPIを設けないと言明している点です。KPIそのものが必要かどうかは別として、タン・チェンホー監督にはスズキカップ決勝進出というKPIを設け、タン監督自身も本音かどうかは別としてそのKPIを達成できなかった事を辞任理由の一つとしており、単なる希望をKPIとしたFAMがタン前監督の失敗から学んだといえば聞こえは良いですが、ある意味ではキム監督に「丸投げ」してしまうFAMの任命責任は今後も追求していく必要があるでしょう。

スズキカップの敗因はFAMの支援不足やチーム内不和などが原因-FAM独立委員会報告(ちょっと長いですが)

昨年末のスズキカップ2020でグループステージ敗退を喫したマレーシア代表の敗因について分析を行うため、マレーシアサッカー協会FAMは外部識者で構成される独立委員会を1月7日に設立しましたが、この委員会が報告をまとめ、その中でスズキカップの早期敗退の原因が「チーム内の対立と不和」であると発表しています。

元代表選手でもありマレーシア王立警察クアラルンプール本部長も務めたデル・アクバル・カーン氏を委員長として設立された独立委員会は1月7日の設立以降は4度、会合を開いた他、代表チームの選手や首脳陣を含めた関係者と面談を行った結果を以下のように発表しています。

  1. 主力選手の不参加
    スズキカップ2020に出場したマレーシア代表は多くの主力選手を欠いていたが、これはタン・チェンホー前代表監督とモハマド・ユソフ・マハディ代表チームマネージャ、さらにはFAMの代表チーム運営委員会との間で十分な意思疎通が行われなかったことが原因である。タン前監督は特定のクラブが主力選手を招集しようとした際には、十分な支援が得られなかったと考えており、代表チームマネージャーと代表チーム運営委員会は、タン前監督が臨んだ選手は誰でも招集できると公言した一方で、それが実現するための支援は実際には行われなかったことが判明した。
  2. 大会前の準備期間の不足
    大会前の準備期間の不足はマレーシアカップが11月末まで開催されていたことが原因である。これにより代表チームのスズキカップに向けた準備が影響を受けたことは明らかであり、今後はFAMは代表チームが十分な準備期間を得られるよう、国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLと十分な対話を行い、日程調整を主導するべきである。
  3. 新型コロナウィルスの影響
    新型コロナウィルスの影響については、大会中にスポーツバブルの中で過ごさねばならなかった影響なども含めて独立委員会内では議題とならなかった。
  4. 不適切な大会での達成目標設定
    スズキカップ2020での決勝進出という目標は、モハマド・ユソフ・マハディ代表チームマネージャーが単独で設定したものであり、それが結果としてタン前監督を始め、チームの選手にプレッシャーとなった。
  5. 実力不足の選手の代表招集
    スズキカップのような国際大会に出場するレベルに達していない選手が代表に選ばれており、そういった選手の技量や経験、さらには体力面がこの大会に臨むには不十分であることが、特にベトナム戦やインドネシア戦で露呈した。
  6. 不慣れなポジションでの選手起用
    日頃からプレーするポジションとは異なるポジションで選手を起用した戦術は有効ではなかったが、これは大会前の準備期間が十分ではなかったことに起因する
  7. FAMによる代表チームへの支援の不足
    FAMによる代表チームへの支援は完全に不十分であった。代表チームが必要としていたスポーツ科学や医療面の支援が不十分だっただけでなく、その他の分野でも支援が不十分であった。
  8. チーム内不和
    チーム内での選手間の不和については深刻な問題は見られなかったが、帰化選手が期待された働きをしなかったことがチーム全体に必要以上のプレッシャーをかけたことは考えられる。
  9. 帰化選手による代表強化
    FAMによる帰化選手プログラムはスズキカップ2020では効果がなかった。今後同様のプログラムを進める際にはより慎重で体系化されたものを新たに作成する必要がある。
  10. 大会中の栄養管理
    代表チーム運営委員会の準備不足により、選手の栄養接種に問題があった。大会中には大会主催者によって提供された食事は「弁当」だったことにより、選手の福利について必要な対応がなされなかった。

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FAMによって発表された独立委員会の報告とは別に、デル・アクバル委員長はメディアの質問に答えた中で、代表チーム内には帰化選手(国外生まれでFIFAによる5年連続滞在の要件を満たし国籍を取得した選手)、ハイブリッド帰化選手(国外生まれながらマレーシア人の親を持ち国籍を取得した選手)、マレーシア人選手(ここではマレーシアで生まれ育った選手を指します)の3つの派閥が形成されていたことが選手への聞き取りの結果判明したと説明し、これによるチーム内で調和が取れんていなかったことに加え、シンガポール出発前日の1日しかなかった代表チームの全体練習が今回のスズキカップで敗退の主な要因であったと説明する一方で、時間的な制約などから関係者からの聞き取りは十分ではなく、特にタン前代表監督は直接、面談ができず電話での聞き取りとなったことも明らかにしています。

1月19日のニュース
元U16代表監督「自分ならA代表監督に自分自身を選ぶ」
FAMが英国1部クラブU18チームの選手をU19代表に招集しなかった理由を説明

元U16代表監督「自分ならA代表監督に自分自身を選ぶ」

昨日のこのブログではマレーシアサッカー協会FAMが4名の韓国人指導者を次のマレーシア代表監督に候補としているというニュースを取り上げましたが、スズキカップ2020グループステージ敗退の責任を取るという名目で契約期間を全うせず辞任したタン・チェンホー前代表監督を批判したリム・ティオンキム氏が、自分がFAMの担当者なら間違いなく自分を次期代表監督に指名すると話しています。

低迷していた香港代表を立て直したことから「香港のフース・ヒディンク」と呼ばれているキム・パンゴン(金判坤)、前韓国U23代表監督のキム・ハクボム(金鶴範)の両氏を中心にFAMが人選を進めているとされるマレーシア代表の監督候補ですが、国内サッカーファンの間では元バイエルンミュンヘンのユースチームコーチで、U16マレーシア代表元監督でもあるリム氏を推す声も多いですが、ソーシャルメディア上でのファンから4名の候補者の内、最もマレーシア代表に適しているの誰かを尋ねられたキム氏は「自分なら自分自身を選ぶ」と答えていますが、その一方での代表監督就任に関してFAMからは何も連絡がないことも明らかにしています。これまでもFAMやマレーシア国内の育成システムなどを度々批判しているキム氏ですが、単なる批判ではなく、的を得た指摘や建設的批判も少なく、またマレーシア人指導者としては数少ない「世界を知っている」指導者でもあることから、FAMは度量の大きさを見せて、キム氏に再び年代別代表を任せてその手腕を発揮してもらうことを考えてみてもいいのではないでしょうか。

FAMが英国1部クラブU18チームの選手をU19代表に招集しなかった理由を説明

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、2020年に起こったジャアミ・クレシのU19代表招集騒動の顛末を説明しています。クレシ選手は現在英国1部EPLのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCのU18チームでセンターバックとしてプレーしていますが、英国生まれながらイラク人の父親とマレーシア人の母親を持つことから、英国、イラク、マレーシアいずれかの代表選手としてプレーする資格がある選手です。このクレシ選手がマレーシア代表としてプレーする意思を示した一方で、FAMがその意思を無視したといった非難が出ていることから、FAMはこの騒動を時系列に沿って説明しています。

マレーシアU19代表は2020年10月にウズベキスタンで開催予定だったAFC U19選手権2020年大会への出場を決めていましたが、当時16歳だったクレシ選手を招集するため、FAMはクレシ選手の父親と所属するブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCのアカデミーの責任者に連絡を入れたのが発端ということです。その後、同年7月に予定されているU19代表合宿招集についての話し合いを行なっていく中でクレシ選手の父親が、クレシ選手に無条件でマレーシア国籍取得の支援を求めたとFAMは説明しています。一度もU19代表の練習にも参加せず、ブラッド・マロニーU19代表監督(当時)に評価の機会が与えられない条件下でのこの要求をFAMは一旦は拒否し、その上でFAMとブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCのアカデミーは話し合いを続け、FAMはブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCのアカデミーとAFCU19選手権に向けてのU19代表の練習内容や日程を共有する一方で、クラブからはクレシ選手のプレーする様子の映像を受け取ったということです。

7月のU19代表合宿への参加を了承したクレシ選手の父親に対し、FAMはマレーシアが翌2021年にインドネシアで開催が予定されていたFIFA U19ワールドカップにマレーシアが出場となった際には、クレシ選手は英国U19代表に招集された場合でも、マレーシアU19代表としてプレーするという確約を求めると、この父親は当時マレーシア政府が全ての渡航者に求めていた2週間の検疫隔離を理由に、クレシ選手のU19代表合宿参加を撤回する一方で、マレーシア国籍取得手続きは始めるように依頼したということです。

FAMはこれに対して1)マレーシア国籍取得手続きのためにはクレシ選手がマレーシアに入国すること、2)FIFA U19ワールドカップ2021大会ではマレーシア代表としてプレーするという確約、3)U19代表首脳陣が評価するため、U19代表合宿参加すること、の3つの条件を提示したところ、クレシ選手の父親からはこれら全てには同意が得られなかったことから、FAMはクレシ選手のU19代表招集を見送った、というのが騒動の顛末だと説明し、FAMが有望な若手選手の招集に努力を怠っているという批判は当たらないとしています。

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FAMの説明がどこまで本当なのかは分かりませんが、実際にU19代表の練習や合宿に参加せずマレーシア国籍取得を求めたのであれば、FAMがその要求を拒否したのは当然です。その結果としてクレシ選手は現在はイラク国籍を取得して、同国代表としてプレーする意思があると父親は話しており、クレシ選手自身もイラク代表サポーターに対して自身のソーシャルメディア上で自分への支持を感謝するコメントを出しています。マレーシア人の母親を持ち米国3部リーグのニューイングランドレヴォリューションのセカンドチームでプレーするMFアイザック・アングキング(22)も昨年2021年にはマレーシアではなく父親の母国プエルトリコ代表でプレーすることを選び、既に6試合に出場しています。

1月18日のニュース(2)
マレーシア政府によるサッカー協会向け予算2億7000万円に疑問の声も
FAMによる代表新監督候補は韓国人に絞られた?

マレーシア政府によるサッカー協会向け予算2億7000万円に疑問の声も

マレーシア政府はマレーシアサッカー協会FAMに対し、サッカー振興の目的で1000万リンギ(およそ2億7000万円)の政府支援を発表しています。マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、この支援は国内サッカーの発展に対して政府が真剣に関わっていく姿勢を示すものだと述べ、既に閣議での承認燃えているとし話しています。

連邦直轄地プトラジャヤに建設されるFAMの新たな本部の起工式の席上で正式に発表されたこの支援ですが、FAMのハミディン・アミン会長は新型コロナで影響を受けた「産業」としてのサッカーにとっては大きな支援であると政府に感謝の意を表していますが、その一方で2週間ほど前にはマレーシア政府が資金不足を理由にオリンピックや国際大会でメダル獲得を目指す各種スポーツ選手144名へのトレーニング資金支援のための予算打ち切りを発表されていただけに、新型コロナの影響を受けたのはあらゆるスポーツにも関わらず、サッカーだけでに集中した今回の政府支援については疑問の声も上がっています。

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マレーシア各州のサッカー協会会長は州首相が、協会役員も州会議員が就任するケースが多く、その肩書きが自身に箔をつけるため、あるいは人気取りといった自身の政治的な目的で使われることも少なくなく、今回の1000万リンギの大盤振る舞いはサッカーだけでなくサッカーファンへ向けての現政権のアピール的な色合いもあります。イスマイル・サブリ首相は草の根支援の資金として使われることを望むと述べていますが、新型コロナの影響を最も大きく受けているのはFAM自体や州協会そのものであることから、草の根育成にまで資金が回るのかどうかは正直疑問です。また物価高騰などで市民の生活が圧迫されている中で巨額を投じてプトラジャヤに建設されるFAMの新本部と練習グラウンドなどの施設についても、既に計画されていたものとは言え、政治に近いサッカーというスポーツという恩恵を得ているように思えます。

FAMによる代表新監督候補は韓国人に絞られた?

サッカー専門サイトのスモアニャボラは現在、空席となっているマレーシア代表監督の候補者としてマレーシアサッカー協会FAMは韓国人指導者4名をリストアップしていると伝えています。スポーツサイトのスタジアムアストロの記事を引用しているこの記事では、キム・パンゴン(金判坤)元香港代表監督、キム・ハクボム(金學範)前韓国U23代表監督、パク・ジンサブ(朴珍燮)現全北現代モータース(韓国1部リーグ)セカンドチーム監督、そしてキム・ビュンスー(金炳秀)前江原FC(韓国1部リーグ)監督の名前を挙げ、その中でも代表あるいは年代別代表を率いた経験から、キム・パンゴン氏あるいはキム・ハクボム氏を推しています。

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東南アジアサッカーの「韓流ブーム」にマレーシアも便乗しようということでしょうか。昨年末のスズキカップでは、準決勝進出4ヶ国代表中、ベトナムとインドネシアが韓国人、シンガポールは先日Jリーグの甲府監督に就任した吉田達磨氏が指揮を取っていました。マレーシア代表は、これまでの歴史を見てもマレーシア人監督を除けば、アジア人が監督を務めたことはありません。イギリスの植民地だった経緯もあるのか、サッカーに関してはアジアよりはヨーロッパ好きといった傾向の強いマレーシアでアジア人がどのように監督を務めるのかはそれがどこの国出身であれ見てみたい気がします。

1月17日のニュース(2)
FAM-マレーシア政府の厳格なSOPがアジアカップ予選開催を困難に
MFLはMリーグ日程への負担を減らすためACLとAFCカップGSの国内開催を希望
タイ1部リーグ第17節-エルドストールが先発に復帰

FAM-マレーシア政府の厳格なSOPがアジアカップ予選開催を困難に

アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ2023年大会3次予選の開催地決定が来月2月24日と迫る中、この3次予選に出場するマレーシアは自国での予選開催を目論んでいますが、マレーシア政府が設けている厳格なSOP(標準作業手順)のせいで実現が難しいと英字紙ニューストレイトタイムズが伝えています。アジアカップ2023年大会は開催国の中国の他、日本や韓国、オーストラリアやベトナムなど既に13カ国が出場を決めており、残る11枠をこの3次予選に出場する24ヶ国が争います。

マレーシアサッカー協会FAMのモハマド・ユソフ・マハディ会長代行は、アジアカップ2023大会3次予選の集中開催地として立候補する旨を既にAFCに伝えていることを明らかにする一方で、マレーシア政府が全ての渡航者に課している検疫隔離と厳格なSOPが自国開催実現の際の障害になる可能性があると述べています。モハマド・ユソフ会長代行はさらにマレーシア政府が大規模な国際スポーツ大会そのものの国内開催を認めない可能性もあると話していますが、政府による支持が得られ、AFCにより集中開催地に選ばれた場合には、ブキジャリル国立競技場を会場に開催する計画があることも明らかにしています。

MFLはMリーグ日程への負担を減らすためACLとAFCカップGSの国内開催を希望

また同じニューストレイトタイムズは、Mリーグを運営するMFLがやはり集中開催が決まっているAFCチャンピオンズリーグACLと、ACLの下部大会AFCカップのグループステージGS開催に意欲を示していると伝えています。マレーシアからはMリーグ1部スーパーリーグ昨季2021年シーズンのチャンピオンとしてJDTがACLグループステージに、また昨季スーパーリーグ2位のクダと昨季マレーシアカップ優勝のKLシティがAFCカップグループステージに出場します。

MFLは今季のリーグ日程作成の際に、このACLやAFCカップのグループステージが国外で開催された場合に備え、Mリーグクラブのために帰国後の検疫隔離期間として28日間を予備日として設けてあるということですが、ACLやAFCカップのグループステージにマレーシアが集中開催地に選ばれれば、この検疫隔離期間が不要になり、国内リーグ日程の過密化を防げることから、国内開催を強く希望しているということです。

タイ1部リーグ第17節-エルドストールが先発に復帰

タイ1部リーグ第17節が1月15日と16日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCは今季1部昇格のノーンブワ・ピッチャヤFCに敗れたものの、リーグ3位を維持しています。

2022年1月15日@チョンブリースタジアム
ノーンブワ・ピッチャヤFC 3-2 チョンブリーFC
 前節第16節はベンチ入りしなかったジュニオール・エルドストールは、スズキカップ2020後は初出場となるこの試合で先発し、85分にはイエローカードをもらっています。チームも89分に決勝ゴールを決められて敗戦。連続無敗記録も8で止まってしまいました。
(試合のハイライト映像はチョンブリーFCの公式YouTubeチャンネルより)

https://youtu.be/dUefR_bPX7U

タイ1部リーグ順位表(第17節終了)

順位チーム得失差勝点
1ブリーラムU1611231935
2バンコクU1610331533
3チョンブリーFC168541329
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFCのみ表示しています。