3月10日のニュース:タイ1部リーグ第23節から第25節と2部25節から第27節-代表組の近況、マットヨーにもタイ1部リーグ優勝メダルが贈られる、プレジデントカップとユースカップの開催方式が変更へ

タイ1部リーグ第23節から第25節と2部25節から第27節-代表組エルドストール、タン、スウィラッドの近況
 Mリーグが開幕で盛り上がっている一方、秋春シーズン制に移行したタイリーグは1部が第25節まで、2部は第27節まで進んでいます。以下、マレーシア関連選手の情報です。
 1部チョンブリーFCに所属する元代表DFジュニオール・エルドストール (タイでの登録名はプテラ・ナデール・アマルハン・マダナー)は第23節から第25節の3試合全てに先発フル出場しています。また同じ1部ポリス・テロFCに所属する代表DFドミニク・タンは2月24日の第22節からベンチ入りもしていませんでしたが、自身のSNSで2月26日に軽症の骨折による破片を取り除く手術を受けたことを明かし、また復帰も間近ということも報告しています。(下はタン選手のインスタグラム投稿)

 また2部のノーンブワ・ピッチャヤFCに加入した元代表DFニコラス・スウィラッドは、第25節のウタイ・タニFC戦で初めてベンチ入りしたものの出場機会はありませんでしたが翌第26節の馬場悠企選手や松村亮選手を擁するチェンマイFC戦では待望の2部リーグデビューを先発でフル出場を果たし、チームも4-1と快勝しています。続く第27節のチャイナット・ホーンビルFC戦では78分から途中出場し最後まで出場しています。
 開幕したばかりのMリーグの選手と比べ、実戦をすでに多くこなしているエルドストール選手には4月に予定されている代表合宿への招集に期待が高まります。また故障が言えればタン選手も、またレギュラーポジションを掴んで出場機会が増えればスウィラッド選手にも同様の期待ができそうです。
タイリーグ1部
第23節(2月28日)
チョンブリーFC 4-1 スパンブリーFC
 ジュニオール・エルドストールは先発でフル出場しています。
第24節(3月4日)
シンハ・チェンライ・ユナイテッドFC 4-3 チョンブリーFC
 ジュニオール・エルドストールは先発でフル出場しています。
第25節(3月7日)
ラーチャブリー・ミトポンFC 0-0 チョンブリーFC
 ジュニオール・エルドストールは先発でフル出場しています。


タイ1部リーグ(第25節終了時、マレーシア人選手所属クラブのみ)

順位クラブ勝点
9ポリス・テロ251035
10ナコーンラーチャシーマー25934
11チョンブリー25930

タイリーグ2部
第25節(2月28日)
ウタイ・タニFC 0-0 ノーンブワ・ピッチャヤFC
 ニコラス・スウィラッドはベンチ入りしましたが、出場はありませんでした。
第26節(3月3日)
ノーンブワ・ピッチャヤFC 4-1 チェンマイFC
 ニコラス・スウィラッドは先発でフル出場しています。
第27節(3月6日)
チャイナット・ホーンビルFC 1-1 ノーンブワ・ピッチャヤFC
 ニコラス・スウィラッドは78分から交代出場し、試合終了まで出場しています。

タイ1部リーグ(第25節終了時、マレーシア人選手所属クラブのみ)

1ノーンブワ・ピッチャヤ271761
2チェンマイ・ユナイテッド271656

マットヨーにもタイ1部リーグ優勝メダルが贈られる
 3月5日に開幕したMリーグに対して、隣国のタイリーグは新型コロナウィルスによるリーグ中断により、昨季から秋春制シーズンに移行しています。そのタイ1部リーグでは今季開幕から圧倒的な強さを誇ったBGパトゥム・ユナイテッドが第24節を終えて21勝3分0敗、2位のブリーラム・ユナイテッドは残る6節に全勝しても勝点の差が縮まらないことから、BGパトゥム・ユナイテッドが2020/2021年シーズンの優勝を決めています。
 開幕からの無敗記録を更新しながらも、シーズン途中でJDTを退団したジオゴ・ルイ・サントやJリーグ清水から代表FWティーラシン・デーンダーを獲得するなど積極的な補強を行ったBGパトゥム・ユナイテッドですが、このBGパトゥム・ユナイテッドを昨年末で退団し、今季はMリーグ2部のサラワク・ユナイテッドでプレーするマットヨーこと代表FWノーシャルル・イドラン・タラハにも優勝メダルが贈られると、サッカー専門サイトのヴォケットFCが報じています。このメダル受領により、ノーシャルル選手はタイ1部で優勝した初めてのマレーシア人選手となると言うことです。
 ヴォケットFCが代理人を通じノーシャルル選手に取材を行い、このメダル受領が明らかになったと言うことで、既にBGパトゥム・ユナイテッドからも連絡を受け取ったことを明かしています。またMリーグが開幕していることからタイでのメダル授与式には参加できないものの、後ほど手元に送られてくることになっていると言うことです。
 2019年シーズンはタイ2部で優勝したBGパトゥム・ユナイテッドは昇格1年目での偉業達成で、今季優勝チームに与えられる2022年のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ出場権も獲得しています。

プレジデントカップとユースカップの開催方式が変更へ
 マレーシアサッカー協会FAMは、FAMが主催するMリーグ各クラブのU21チームが出場するリーグ戦プレジデントカップ、同じくU19チームが出場するリーグ戦ユースカップの今季2021年シーズンの開催方式の変更を公式サイト上で告知しています。いずれも6月開幕予定ですが、今季この変更は暫定的に今季に限り採用されるということです。
 新型コロナウィルス禍の中、昨季はいずれも中止となったプレジデントカップ、ユースカップでしたが、今季はプレジデントカップには19チームが、ユースカップには20チームが出場を表明しているということです。
 マレーシアでは現在も国内では2000名前後で新型コロナウィルスの新規感染者が発生していることから、FAMは各チームの移動を最小限に抑えるため、今季はプレジデントカップ、ユースカップともホームアンドアウェイ方式で行うグループステージを地域ごとに3組に分て開催するとしています。
 このグループステージは8月までに終了する予定で、そこから上位16チームが次のステージへ進みます。なお、ベスト16から準決勝まではノックアウト方式ですが、決勝戦のみホームアンドアウェイ方式となると言うことです。
(以下はFAM公式サイトに掲載された今季の両リーグ戦のスケジュール)

2月27日のニュース:MFLはスポーツデータ企業とパートナー契約締結、国内銀行最大手と不動産投資の複合企業がMリーグスポンサー候補に浮上、タイ1部リーグ第22節-代表組のエルドストールはフル出場もタンはベンチ入りせず

MFLはスポーツデータ企業とパートナー契約締結
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、スポーツデータを提供するテック企業のジニアス・スポーツ社(GSC社)とパートナー契約を締結しています。GSC社はMリーグ1部スーパーリーグやマレーシアカップの試合中に様々なデータを収集し、それを試合の視聴者に向けてライブで発信し、試合観戦をより楽しめるようにしていくということです。
 またMFLはGSC社の賭博監視システムを利用することで、八百長試合やスポーツ賭博関連の不正を予防することができるとも話しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、試合の中継中だけでなく、まもなく発表される予定のMFLアプリShoot!やソーシャルメディア上でもデータのライブ配信が可能になるGSC社とのパートナー契約は、Mリーグの商業価値も引き上げてくれるものと期待しているとも話しています。
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 このGSC社はググってみると「スポーツデータ技術において世界大手」と言った表現がある一方で、「スポーツベッティングのデータカンパニー 」などの表記も見られる企業で、英国プレミアリーグやバスケットボールのNBA、さらには全米大学体育協会NCAAなどとも契約している大企業です。国教がイスラム教のマレーシアでは賭博でもあるスポーツベッティングは宗教上の理由もありご法度ですが、今回のMFLとの提携はデータの収集や配信以上に八百長対策という目的が大きいのかもしれません。
 マレーシアの国内リーグはこれまで何度も八百長により多くの選手が永久追放になり、その結果としてファン離れが起こるなど、リーグは危機に面してきた歴史があります。最近では2018年に疑わしいケースがあったことが報じられていますが、このブログでも何度も取り上げているように給料未払いが続くと、生活苦から「悪魔の囁き」に耳を貸してしまう選手もでかねないため、データ面での監視だけで安心せず、慢性的な問題でもある給料未払いが起こらないよう、MFLはクラブライセンス発給時の経営状況審査の厳格化などにも注力して欲しいです。

国内銀行最大手と不動産投資の複合企業がMリーグスポンサー候補に浮上
 3月5日のMリーグ開幕を1週間後に控える中、国内銀行最大手のメイバンクと不動産投資を中心とする複合企業ブルジャヤコーポレーションがMリーグの新たなスポンサー候補として挙げられていると、マレーシア語紙ウトゥサンマレーシア電子版が報じています。
 メイバンクは国内スポーツとは結びつきが強く、ゴルフやバドミントンのマレーシアオープンでは冠スポンサーとなった実績があります。なお昨季のMリーグ1部スーパーリーグはメイバンクに次ぐ国内第2位の金融グループCIMBがスポンサーでしたが、今季はスポンサーから降りています。
 ブルジャヤコーポレーションは不動産投資からリゾート開発までを手掛けている他、セブンイレブンやスターバックスの国内フランチャイズ権を保有する複合企業体です。また、ブルジャヤコーポレーション創業者のヴィンセント・タン氏は英国2部リーグのカーディフシティやベルギー1部リーグのKVコルトレイクのオーナーでもあります。
 なお、この記事の執筆時点では両企業からも、またMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLからも正式な発表はありません。

タイ1部リーグ第22節-代表組のエルドストールはフル出場もタンはベンチ入りせず
 タイ1部リーグ第22節が2月24日と25日行われ、DFドミニク・タンが所属するポリス・テロはスコータイFCと対戦し0-2と敗れています。なおこの試合ではタン選手はベンチ入りしませんでした。またDFジュニオール・エルドストール (タイでの登録名はプテラ・ナデール・アマルハン・マダナー)が所属するチョンブリーは細貝萌選手が所属するバンコク・ユナイテッドと対戦し1−5で大敗しています。なおエルドストール選手はスタメンでフル出場しています。
 第22節を終了し、ポリス・テロは7勝4分11敗で、今節は試合に敗れたものの前節より順位を一つ挙げて10位となっています。一方のチョンブリーは8勝2分12敗となり、ポリス・テロと入れ替わりで11位と順位を一つ下げています。
 なお検疫隔離を経てタイ2部リーグのノーンブワ・ピッチャヤに合流したDFニコラス・スウィラッドは、2月24日に行われたタイ2部リーグ第24節のサムットサーコーンFC戦ではベンチ入りしませんでした。なおノーンブワ・ピッチャヤは16勝8分0敗で2位に勝点差4をつけて首位を走っています。
タイ1部リーグ第22節(左がホーム、順位などは今節終了時のもの)
2月24日
ポリス・テロ(10位:8勝4分10敗) 0-2 スコータイ(13位:7勝3分12敗)
2月25日
バンコク・ユナイテッド(6位:10勝5分7敗) 5-1 チョンブリー(11位:8勝2分12敗)
タイ2部リーグ第24節(左がホーム、順位などは今節終了時のもの)
ノーンブワ・ピッチャヤ (1位:16勝8分0敗)5-1 サムットサーコーン(18位:2勝5分17敗)

2月26日のニュース:クチンシティもサラワク州外でのホームゲーム開催をMFLに正式申請、スウィラッドはタイ2部ノーンブワ・ピッチャヤに合流、経営難で消滅クラブの元選手らが未払い給料支払いを求めて民事訴訟を準備、2部ペラIIは今季リーグ残留が決定

クチンシティもサラワク州外でのホームゲーム開催をMFLに正式申請
 Mリーグ2部の鈴木雄太選手が所属するクチンシティはMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLに対し、3月5日に迎える今季のMリーグ開幕からのホームゲーム4試合について本拠地クチン市のあるサラワク州外での開催を正式に申請したと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 サラワク州は州内に複数のレッドゾーン(過去2週間で累積感染患者40名以上の地域)を複数抱えており、州外からの全ての渡航者に対して14日間の検疫隔離を義務付けています。このためサラワク州でMリーグの試合が行われる場合、対戦チームは試合の2週間以上前に渡航せねばならない上、検疫隔離中は練習が行えないことから、既に発表されている今季の日程が予定通りに開催できないことが懸念されていました。
 この状況について、同じサラワク州クチン市を本拠地にするMリーグ2部のサラワク・ユナイテッドは、既に州外でのホームゲーム開催をMFLに申請しており、先日発表になった今季日程では、スランゴール州スラヤンにあるMPSスタジアムを本拠地として使用することが発表されています。
 一方、対応が後手に回ってしまったクチンシティは、当初はイスラム教の断食月が始まる4月半ばまではホームゲームを首都圏で開催し、それ以降はクチンを本拠地とする案や、全ての試合をアウェイとして行う案を検討していたということです。なお、クチンシティは第2節の3月9日にトレンガヌIIを迎えてのホームゲームが予定されていますが、試合会場はまだ決まっていません。
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 MPSスタジアムを本拠地として使用することが決まっているサラワク・ユナイテッドですが、このMPSスタジアムは照明の光度がMFLの試合には不十分であることから、ここで開催される試合はいずれもマレーシアではまだ日中の暑さが残る午後4時45分キックオフとなっています。
 サラワク・ユナイテッドのサティアナタン・バースカラン テクニカルディレクターは、他のMリーグ2部のクラブの本拠地同様、午後9時キックオフが可能なスタジアムを抑えることができなかったと話し、暑さに対応するため、チームが目指すプレッシングサッカーから戦術変更の可能性も示唆しています。

スウィラッドはタイ2部ノーンブワ・ピッチャヤに合流
 タイ2部リーグのノーンブワ・ピッチャヤFCは、マレーシア代表経験もあるニック・スウィラッドのチーム合流を公式Facebookで発表しています。
 昨季はMリーグ1部スランゴールに所属していたスウィラッド選手はシーズン中はベンチを温めることも多く、シーズン終了後に契約解除となり、今季はクアラルンプール・ユナイテッドと契約直前までいったものの、結局は契約に至りませんでした。
 スウィラッド選手が加入したノーンブワ・ピッチャヤは、現在、タイ2部リーグで15勝8分0敗で2位に勝点差4をつけて首位を走っており、スウィラッド選手は残り11試合の契約となっています。
 スランゴールでは出場機会が少なかったこともあり、2019年3月を最後に代表招集がないスウィラッド選手ですが、ノーンブワ・ピッチャヤで出場機会を積み、さらに代表のタン・チェンホー監督にもアピールできれば再び招集もあるだろうと、サッカー専門サイトのヴォケットFCは予想しています。

経営難で消滅クラブの元選手らが未払い給料支払いを求めて民事訴訟を準備
 先日の2月21日にパハン州初の「市」となった州都クアンタン。かつてここにはMリーグ2部プレミアリーグでプレーするクアンタンFAというチームがありました。昨年ヌグリスンビランFA(現ヌグリスンビランFC)を最後に引退した中武駿介氏もかつて在籍したこのクアンタンFAは、2017年シーズンから給料未払い問題が明らかになり、その後、2018年には4ヶ月以上給料を支払われていない選手たちがリーグ戦当日に試合会場に現れないという事件を起こし、この年のリーグ開幕からわずか2ヶ月後にはチームはリーグ追放処分を受け、その後、クアンタンFAはチームが解散となりました。
 このクアンタンFAを当時買収しようとしていたのが当時のMリーグ3部にあたるFAMカップに所属していたセミプロクラブのマルセラ・ユナイテッドでした。このマルセラ・ユナイテッドの会長はクアンタンFAを買収してマルセラ・クアンタンFAとすると公言していましたが、結局それも実現せず、クアンタンFA解散後はマルセラ・ユナイテッドへ移籍してプレーを続ける選手もいましたが、マルセラ・ユナイテッドもやはりリーグ途中で解散してしまいました。
 この結果、クアンタンFAとマルセラ・ユナイテッドに所属していた選手や監督、コーチらは給料は未払いながら、請求先となるクラブが解散するという事態に直面していました。その後も当時の関係者などに問題解決のために連絡を取ろうとするも、これまで何年間もなしの礫。だったようです。
 しかしマレーシアの通信社ブルナマは、この両クラブの選手や監督、コーチらが記者会見を開き、クアンタンFAの26名の元選手と7名の監督、コーチ、そしてマルセラ・ユナイテッドの21名の選手と5名の監督以下スタッフが、2018年シーズンの未払い給料問題を解決するため、両クラブに責任を持つ人物に対して14日以内に連絡を取流よう求めていると、選手たちの弁護士を務めるスハイル・ラヒミ・アブドル・ラザク氏が述べていると報じています。平均して4ヶ月から5ヶ月分の給料が未払いとなっていると話すスハイル氏は「選手や監督、コーチは1年契約を結びながら、現在に至るまで全く何も支払われていない。しかも何年も支払いを求めながら何も進歩していないことに疲弊している。」と話し、旧クラブ関係者の誰も応じない場合には民事訴訟を起こす考えも明かしています

2部ペラIIは今季リーグ残留が決定
 今期開幕を控えながらリーグ不参加が取り沙汰されていたMリーグ2部のペラIIは、噂されていたチームの解散やMリーグ3部にあたるセミプロリーグM3リーグではなく、今季も2部に出場することが決定したと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 スタジアムアストロの取材に対してMリーグ1部ペラFCの運営理事会メンバーであるカイルル・シャーリル・モハメド氏は、ペラFCのセカンドチームであるペラIIは、今年1回目のトランスファーウィンドウが3月5日まで延長されたことで、選手確保のめどがったととしてリーグ残留を表明しています。
 「(ペラFCの)運営理事会内では解散の意見も出たことは事実だが、それはあくまでも最後の選択肢である。様々な意見を検討した結果、ペラIIは今季も2部でプレーすることを決定した。」
 また外国籍選手が1人も加入していない状況については、ペラIIは本来、トップチームのペラFCに供給する若手選手に出場機会を与えることが設立目的であることから、今季は外国籍選手を獲得しない可能性が高いとも述べています。

2月23日のニュース:ペラのドゥラコビッチ監督は自ら契約解除を希望、スリ・パハンはアグエロに帰化選手化計画、タイ1部リーグ20節・21節-エルドストールは2戦フル出場もタンは1戦のみ出場、連邦直轄地大臣杯でクランダービーが実現、ヤクルトは今年もマレーシア若手選手のC大阪派遣を支援

ペラのドゥラコビッチ監督は自ら契約解除を希望
 家族との時間を大事にしたい。突然明らかになったMリーグ1部ペラのメフメト・ドゥラコビッチ監督の契約解除問題は、昨日2月22日夕刻にドゥラコビッチ監督自身が記者会見を開き、自身の意思で契約解除を申し出たことが明らかになりました。
 クラブの本拠地があるペラ州イポーで開かれた会見でドゥラコビッチ監督は、新型コロナウィルスを理由にオーストラリアに残した家族の元に戻ることを自ら希望したと話し、難しい決断であったと述べ、契約解除については2月19日に合意されていたことを明かしています。「自分自身がこの決断を悲しく思う。昨年から続く新型コロナウィルスにより、家族と離れ1人孤独だった。そして今年も同じ状況であることから家族の元に戻ることにした。」と話すドゥラコビッチ監督の後任には元クアラルンプールFA(現クアラルンプール・ユナイテッド)監督のチョン・イーファット氏が就任するということです。
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 選手からの人望も集めていたとされるドゥラコビッチ監督の契約解除は、開幕まで2週間を切ったこの時期だけに、果たして額面通りの理由なのかどうか疑わしいですが、真相は明らかになることはなさそうです。

スリ・パハンはアグエロに帰化選手化計画
 Mリーグ1部スリ・パハンは今年2年契約を結んだばかりのFWセルジオ・アグエロ(注:マンチェスターシティのアグエロとは別の選手です)を今季はMリーグ2部のクラブに期限付き移籍させる計画があると英字紙スターが報じています。
 アルゼンチン出身で26歳のアグエロ選手は、2017年にはMリーグ1部マラッカ・ユナイテッド、2018年には同2部スランゴール・ユナイテッド(現在はクラブは解散)、2019年は同2部ペナンFA(現ペナンFC)、そして昨年2020年は同3部のKLローヴァーズでプレしており、今年2021年でマレーシア国内でプレーし始めてから5年目となることから、スリ・パハンは来季にはアグエロ選手を帰化させる計画があるということです。
 スリ・パハンのトーマス・ドゥーリー監督はアグエロ選手の練習熱心さを評価した上で、「アグエロ選手が帰化選手となれば是非、起用したいが、現状ではベンチを温める可能性が高いので、他のチームで試合経験を積んだ後、逞しくなって2022年シーズンに再びスリ・パハンに戻ってきることが、彼にとってもチームにとっても最善である。」と話しています。
 なおスリ・パハンはウクライナ出身で同国年代代表経験もあるFWイェウヘン・ボハシュヴィリをインドネシア1部PSSスレマンから獲得しています。ドゥーリー監督はこのボハシュヴィリ選手をFWペドロ・エンリケ・オリヴェリア(バングラデシュ1部シェイク・ラッセルKCから移籍、2019年にはMリーグ1部PJシティでプレー経験あり)とともに前線に配置し、トレンガヌから移籍の攻撃的MFリー・タックは中盤で司令塔して起用、新加入のDFママドゥ・ワグ(キプロス2部アルキ・オロクリニから移籍)はかつてチームメートでもあったチーム3年目のDFエラルド・グロンと組んで最終ラインを任せるという外国籍選手の起用法も明らかにしています。
 その一方でJDTやクダ・ダルル・アマン、スランゴールほどの資金はないとし、一部主力選手が残留しなかったことや自身が希望した選手は獲得できなかったこと、そして主力と控えの差が大きいことなどを挙げ、昨季のリーグ8位から少しでも上位を目指したいと弱気な発言もしています。

タイ1部リーグ20節・21節-エルドストールは2戦フル出場もタンは1戦出場のみ
 タイ1部リーグ第20節が2月17日と18日に、第21節が2月20日と21日に開催されました。第20節ではDFジュニオール・エルドストール (タイでの登録名はプテラ・ナデール・アマルハン・マダナー)が所属するチョンブリーはPTプラチュワップと対戦し0−1で敗戦しています。なおエルドストール選手はスタメンでフル出場しています。一方、DFドミニク・タンが所属するポリス・テロはラーチャブリー・ミトポンと対戦し0-4と大敗し、タン選手は先発出場したものの、45分に交代しています。
 続く第21節はチョンブリーとポリス・テロが対戦し、マレーシア代表経験者コンビが直接対決を果たし、試合はチョンブリーが1-0と勝利しています。この試合はエルドストール選手は4試合連続となる先発でフル出場を果たしましたが、タン選手はベンチ入りしたものの出場機会はありませんでした。
 第21節を終了して、チョンブリーは8勝2分11敗で10位、ポリス・テロは7勝4分10敗で11位となっています。
 なおタイ2部リーグのノーンブワ・ピッチャヤに移籍したニコラス・スウィラッドはベンチ入りしませんでした。

連邦直轄地大臣杯でクランダービーが実現
 マレーシアの通信社ブルナマはMリーグ1部のクアラルンプール・ユナイテッド(KLユナイテッド)が同1部のスランゴールと対戦する連邦直轄地大臣杯の詳細を報じています。クアラルンプールはプトラジャヤやラブアンとともに、どの州にも属さない連邦直轄地です。
 プレシーズンマッチとして2月27日にKLユナイテッドの本拠地KLフットボールスタジアムで開催されるこの試合は、プリハティン杯(プリハティンはマレーシア語で「気遣い」の意味)の別名もつけられており、アストロ・アリーナで中継されるこの試合の放映権料の一部はチャリティに寄付されることにもなっています。
 KLユナイテッドの運営理事会メンバーで前連邦直轄地大臣のカリド・アブドル・サマド氏は、この試合はクラブが目指す長期計画の一環として開催され、ファンディ・アフマッドがいた頃の栄光を取り戻すための第一歩とするだけでなく、地元クアラルンプールでのサポーター獲得にもつなげたいと話しています。
 またこの大会詳細発表の記者会見にはアヌアル・ムサ現連邦直轄地大臣も出席し、(連邦直轄地)のクアラルンプールを代表するクラブを成功させる責任があるとして、民営化されたクラブに対して練習施設の提供などを行なっていきたいと話しています。
 2年ぶりに1部へ復帰となるKLユナイテッドは同じ昇格組のペナンFCと3月6日の開幕戦で対戦します。
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 クアラルンプールとそれを囲むように存在するスランゴール州はその地域を流れるクラン川の流域にあることから、クランバリー(クラン渓谷)と呼ばれること多く、その中でも1980年代半ばから後半にかけてファンディ・アフマッド、マレク・アワブ、K・カナンのシンガポールトリオの活躍で1987年からMリーグでは2位、優勝、2位、またマレーシアカップでは1987年から3連覇を果たすなど当時は国内最強のチームでした。

ヤクルトは今年もマレーシア若手選手のC大阪派遣を支援
 今年も若い選手の育成を支援。英字紙ニューストレイトタイムズは、ヤクルト・マレーシア社がマレーシアの若手選手を日本に派遣するマレーシアドリームプロジェクトについて発表を行ったことを報じています。
 2018年にマレーシア、タイ、ベトナムの3カ国が参加して開催されたアセアンドリームプロジェクトとして始まったこのプロジェクトは、翌2019年にはベトナムに代わりミャンマーが参加して行われまし、このプロジェクトでは各国5名、計15名の参加者はセレッソ大阪での練習参加やJリーグの試合観戦などを経験しました。
 セレッソ大阪とアセアン(東南アジア)は戦略パートナー契約を結んでいるヤクルトの濱田浩志社長はセレッソ大阪の森島寛晃社長はオンラインで新たに契約を更新し、2021年の今回はマレーシアからより多くの選手が参加できるよう、単独で15名が参加するマレーシアドリームプロジェクト2021と名称となることを明かし、より多くのマレーシア人選手にセレッソ大阪での指導や練習試合参加などを経て経験を積んでもらいたいと考えており、新型コロナウィルスの感染がおさまればすぐにプロジェクトを実行したいと話しています。

2月16日のニュース:Mリーグは今季も交代枠5人制と2度の給水タイムを採用、タイリーグ-ジュニオール・エルドストールは2試合連続フル出場、ケランタンFCは外国籍選手枠4名が全て埋まる

 昨日2月15日からMリーグ各クラブはMFLの承認を得た上でチーム練習が解禁されていますが、スランゴールやPJシティ、UITMなどが早速、練習を再開しているようです。

Mリーグは今季も交代枠5人制と2度の給水タイムを採用
 3月5日に迫った今季2021年シーズンのMリーグ開幕を前に、リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは昨季に続き、交代枠5人制と2度の給水タイムを採用することを公式サイトで発表しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、新型コロナウィルス対策の活動制限令施行により禁止されていたチーム練習が昨日2月15日から解禁となったものの、開幕まで3週間を切っていることから、昨季に続く交代枠増と給水タイム採用は、各クラブの監督、コーチにとってリーグ戦に臨むチームづくりの助けになるだろうと話しています。
 「開幕までの期間が短すぎるという不満がMリーグ各クラブの監督、コーチから出ているが、MFLはリーグ存続を第一に日程作成をしていることを理解してもらいたい。MFLは今季は各クラブが全22試合(1部のみ。今季は10クラブ参加の2部は全18試合)を実施することを目指している。昨季のような試合数削減を行えば、スポンサーにも影響を及ぼし、それは結局、リーグやクラブの運営にも悪影響を与えることになる。」として、各クラブに理解を求めています。

タイリーグ-ジュニオール・エルドストールは2試合連続フル出場
 2月13日から14日にかけてタイ1部リーグ第19節と2部リーグ第21節が行われました。1部チョンブリーFCのDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・ナダル・アマルハン・マデルナー)は2試合連続のスタメンフル出場を果たしましたが、チームはトラートFCを相手に0-0の引き分けています。
 また同ポリス・テロFCのDFドミニク・タンは2試合ぶりの出場を果たすも、86分からの出場でした。なおチームは上位のポートFC相手に2-0で勝利し、2連勝となっています。
 タイ2部ノーンブワ・ピッチャヤFCと契約したニコラス・スウィラッドは、検疫隔離のため、チームには合流していないようです。
タイ1部リーグ第19節(左側がホームチーム。順位は今節終了時の順位)
2月14日
タラートFC(15位-3勝2分14敗)0-0 チョンブリーFC(12位-7勝2分10敗)
チョンブリーFCのジュニオール・エルドストールはスタメンフル出場しています。
2月13日
ポリス・テロFC(10位-7勝4分8敗)2-0 ポートFC(2位-13勝1分5敗)
ポリス・テロFCのドミニク・タンは86分に交代出場し試合終了まで出場しています。
タイ2部リーグ第21節(左側がホームチーム。順位は今節終了時の順位)
2月14日
ノーンブワ・ピッチャヤFC(1位-14勝7分0敗)0-0 チェンマイ・ユナイテッドFC(4位-11勝7分3敗)
ニコラス・スウィラッドはベンチ入りしていません。

ケランタンFCは外国籍選手枠4名が全て埋まる
 Mリーグ2部ケランタンFCは公式Facebook上でスペイン出身の守備的MFマリオ・アルケスの加入を発表しています。これでケランタンFCはMリーグ2部のクラブに割り当てられている4名の外国籍選手枠が全て埋まりました。
 29歳のアルケス選手はビジャレアルのユースチームなどを経験した後、昨季はインド1部リーグのケーララ・ブラスターズFC でプレーしています。
 このブログでも既報通り、ケランタンFCは今季の新戦力としてFWジャック・ヒンドル(英国)、DFクリストス・インジディス(ギリシャ)、FWナタナエル・シリンゴリンゴ(インドネシア)が既に加入しています。
(アルケス選手加入を伝えるケランタンFCの公式Facebookの投稿)

2月7日のニュース:今月予定の代表合宿が中止に、ベトナムサッカー協会もW杯予選の6月集中開催に同意、FIFAがパハン州FAに未払い給料1億2600万円の支払いを命じる、前スランゴールのスウィラッドがタイ2部クラブと契約

今月予定の代表合宿が中止に
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は今月2月に予定されていた代表合宿が中止になったことを報じています。代表が最後に合宿を行ったのは2019年11月で、来月3月に再開予定のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選を控え、1年3ヶ月ぶりの代表合宿が予定されていました。
 タン・チェンホー監督は1月13日にサラワク州を除くマレーシア全土に施行された活動制限令MCOが2月16日まで延期になったことを受け、このMCO中は各選手が所属するクラブの練習が禁止されており、招集する選手の体調が万全でないことを合宿中止の理由に挙げています。
 「(10日間が予定されていた)代表合宿に自宅のみで練習している選手を招集しても、簡単にケガをする可能性があり、そうなれば誰にとっても利益にならない。」と話すタン監督はマレーシアサッカー協会FAMと話し合いの末、来月のFIFAマッチデー期間に短期の合宿を行う予定であることも明らかにしています。
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 この次の記事でも取り上げますが、W杯アジア二次予選が6月の集中開催となることが濃厚となったことで、この時期に無理して合宿を行う必要がなくなったことが大きな理由でしょう。しかし、3月のFIFAマッチデー期間は3日しかなく、新戦力を試す時間もないため、6月に再開されるW杯予選に向けての選手選考は来月開幕するMリーグでの調子を見て、ということになりそうです。

ベトナムサッカー協会もW杯予選の6月集中開催に同意
 ニューストレイトタイムズはこれまで態度を表明してこなかったベトナムサッカー協会VFFが現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選の6月集中開催案を支持することを発表したと報じています。
 W杯アジア二次予選ではベトナム、マレーシア、タイ、アラブ首長国連邦UAE、インドネシアが予選G組に入っていますが、ベトナムを除く4カ国は既に6月の集中開催案に同意しており、ベトナムだけが態度を表明していませんでした。
 トラン・クオック・トゥアンVFF副会長は、アジアサッカー連盟AFCの決定を尊重し、また多くの国が新型コロナウィルス感染によって苦境にあるとし、W杯アジア二次予選の残り試合を集中開催で行うことに同意すると発表しています。なおG組の集中開催地はアラブ首長国連邦が濃厚ということです。

FIFAがパハン州FAに未払い給料1億2600万円の支払いを命じる
 FIFAはパハン州サッカー協会(パハン州FA)に対し、未払いとなっている120万米ドル(およそ1億2600万円)の給料をモハマド・スマレに支払うよう命じたと、ニューストレイトタイムズが報じています。
 パハン州FAが運営するパハンFA(現スリ・パハン)に昨季まで所属していたスマレ選手は、新型コロナウィルスによるリーグ中断期間中の昨年8月に未払い給料を理由にチームを離れ、タイ1部ポリス・テロFCに電撃移籍していました。
 今回のFIFAによる支払裁定は、スマレ選手からFIFAに持ち込まれた未払い給料に関する訴えについて裁定を下した結果です。
 ニューストレイトタイムズは、スマレ選手とパハンFAの間で1年ごとに5000米ドルの昇給が取り決められていた一方で、スマレ選手は2017年のパハンFA加入後は一度も昇給していないと主張していることも報じています。なおFIFAが算定した120万米ドルは昇給予定分の総額と2020年および2021年の契約違反の罰金の総額だとし、この金額はFIFAの裁定によりMリーグの選手が受け取った金額としては、ケランタンFA(現ケランタンFC)がやはりかつて所属したカッシオ・デ・ジェズスに支払った62万9620リンギ(およそ1630万円)を超える過去最高金額だということです。
 なおこの裁定を受け、パハン州FAは45日以内にスマレ選手に120万米ドルを支払うか、10日以内にスポーツ仲裁裁判所CASに控訴することが可能で、いずれかの対応を行わない場合、パハン州FAはFリーグでの勝点剥奪や新たな選手獲得の禁止などの処分がFIFAにより課されるということです。

前スランゴールのスウィラッドがタイ2部クラブと契約
 昨季2020年シーズンはスランゴールでプレーしたDFニコラス・スウィラッドがタイ2部リーグのノーンブワ・ピッチャヤFCと契約したことを英字紙スター電子版が報じています。
 29歳のスウィラッド選手は英国マンチェスター出身ですが、マレーシア人の母親を持つことからマレーシアの国籍取得後に帰化選手として2016年のJDT II加入以降、マラッカ・ユナイテッド、PKNSなどでもプレーしています。
 スウィラッド選手が加入するノーンブワ・ピッチャヤFCは現在、タイ2部リーグで14勝5分0敗、勝点47の成績で2位に勝点8差をつけて首位を快走しています。
 「(かつてJDT IIでチームメートだった同じく英国出身の帰化選手)ダニエル・ティングと今季はKLユナイテッドでプレーできると思っていたが、KLユナイテッドはレフトバックの選手を探していて実現しなかった。そんな時にノーンブアからの獲得オファーを受け、そこで早速、テイラー(リガン、サラワク・ユナイテッド)やブレンダン(ガン、スランゴール)、パトリック(ライヒェルト、タイ1部スパンブリーFC-かつてマラッカ・ユナイテッドでチームメート)らに相談し、タイ移籍を勧められた。」
 「ノーンブアは何もないところでバンコクからは8時間ほど離れているが、サッカーするには良い環境だと聞いているので、チャレンジすることを選んだ。」と話すスウィラッド選手は、この移籍が今後の代表チーム招集につながることも期待しているとも話しています。
 スウィラッド選手の移籍で、現在、タイでプレーするマレーシア人選手はドミニク・タン(ポリス・テロFC)、ジュニオール・エルドストール(チョンブリーFC)に続き3人目となりました。

2月6日のニュース:W杯アジア二次予選-ベトナムを除く4カ国同意も6月延期は未だ確定せず、帰化選手のクラスニキがオーストラリアリーグへ期限付き移籍

W杯アジア二次予選-ベトナムを除く4カ国同意も6月延期は未だ確定せず
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選は新型コロナウィルス感染拡大により現在は中断中ですが、予定されている3月の再開に向け、感染状況が改善しないマレーシアは試合の6月延期と集中開催を同組内各国サッカー協会に提案しています。これまでアラブ首長国連邦UAE、タイ、インドネシアからは同意を取り付けているとされる一方、現在はG組で首位のベトナムは変更提案にに同意していないと報じられており、先日のこのブログでも予選G組5カ国中4カ国が同意している変更について、アジアサッカー連盟AFCからベトナムサッカー協会に対しこれに同意するよう働きかけをして欲しいいうマレーシアサッカー協会FAMの要望を取り上げました。しかし、 その要望は簡単に通りそうもないと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 AFCのウインザー・ジョン事務局長は、各国に自国での試合実施の権利があるとし、予選G組内の多数決では変更は認められないと話していると言うことです。
 「アジア二次予選は原則としてホームアンドアウェイ形式で開催されることが理解できていれば、各国にホームでの開催権が与えられていることは明らかである。(多数決で日程変更を認めるべきと主張する)多くのメディアはこの点を正しく理解していない。シンガポールを例に挙げれば、感染者数が少ない上、シンガポール人以外にも出入国を許可していることから、シンガポールにホームでの試合を取りやめて集中開催に同意することを強いることは筋が通らない。各国でホームアンドアウェイ形式での試合開催が不可能となった時点で集中開催が決定されるべきだ。」
 「またこの他に考慮するべきこととして、各国のサッカー協会が契約しているスポンサーへの義務や放映権などの問題があり、これら無視して試合開催を考えることはできない。」と話すウインザー事務局長は、予選G組を含めた各組に対し2月15日までに日程を確定するように求めており、この期日までに確定できない場合にはAFCが決定を行うとしています。
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 感染者数が少なかったベトナムも国内の感染拡大を受け、1月29日の今季第3節終了後に国内リーグが中断しています。W杯アジア二次予選ではマレーシアは3月30日にホームで予選G組首位のベトナムとの直接対決という重要なカードが組まれていますが、一昨年の11月から一度も代表合宿を開催していないマレーシアにとっては明らかに準備不足で臨むことになる3月開催は何としても避けたいところです。

帰化選手のクラスニキがオーストラリアリーグのクラブへ期限付き移籍
 オーストラリア1部Aリーグのニューカッスル・ジェッツは公式サイトでMFリリドン・クラスニキとシャーリアン・アビマニュをMリーグ2部JDT IIから期限付き移籍で獲得したことを発表しています。
 コソボ出身で29歳のクラスニキ選手は2015年にクダFA(現クダ・ダルル・アマン)に加入し、その後はマラッカ・ユナイテッドでのプレーを経て昨季からJDT IIに加入していました。Mリーグで5年間連続でプレーしたことから帰化選手申請の資格を得たクラスニキ選手は、昨年2月にマレーシアの国籍を取得しています。
 一方、JDT初のインドネシア出身選手でもある21歳のシャーリアン選手は各年代での代表チームでのプレー経験を持ち、インドネシア1部リーグのマドゥラ・ユナイテッドから昨年2020年12月に獲得したばかりの選手です。
 両選手は既にオーストラリア入りしており、渡航者に義務付けられている検疫隔離期間中ということで、Aリーグのトランスファーウィンドウが開く2月16日以降にチームに合流するとされています。
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 ニューカッスル・ジェッツは現在Aリーグ1部で1勝1分4敗の12位最下位と低迷しており、すでに開幕時の監督は更迭されて、後任監督が先日決まったばかりという状況です。帰化した直後には代表に召集されW杯予選の秘密兵器となるだろうと期待されながらMリーグでは結局、トップチームに定着できなかったクラスニキ選手ですが、この移籍を機会に活躍し、クダFA時代の監督でもあるタン・チェンホー代表監督から召集される日が来るでしょうか。
(写真は両選手を告知するニューカッスル・ジェッツの公式Facebook投稿)

1月21日のニュース:KLユナイテッドは昨季Mリーグで9得点のFWらを獲得、FAMはMリーグ全クラブに改めて練習中止を指示、スランゴールFCのセカンドチームにガーナ出身の2選手が期限付き移籍、J3沼津移籍のハディ・ファイヤッドが入団発表会見

KLユナイテッドは昨季Mリーグで9得点のFWらを獲得
 今期からMリーグ1部に昇格するクアラルンプール・ユナイテッド(KLユナイテッド)は公式サイトで、昨季は1部のトレンガヌFCで9ゴールを挙げたFWドミニク・ダ・シルヴァの加入を発表しています。9ゴールはチーム最多、またリーグ全体でも3位に当たりますが、トレンガヌFCはダ・シルヴァ選手との契約を更新しませんでした。
 またKLユナイテッドは、モーリタニア出身のダ・シルヴァ選手の他にも、MFショーン・ガン・ジャネリトンとの契約更新やGKジュリアン・ヨハン・ベックラーの新加入も発表しています。ともにマレーシア人の母親を持つジャネリ選手とベックラー選手はマレーシア人選手として登録されます。クアラルンプール出身で24歳のジャネリ選手は地元のユースクラブなどでプレーした後、父親の母国であるイタリアの下部リーグでプレーした後、昨季からはクアラルンプールFA(現KLユナイテッド)と契約しましたが、ケガのため1試合に出場したのみでした。またミュンヘン出身のベックラー選手は私立大学の奨学生としてマレーシアへ渡航し、昨季はJDT IIIに所属したものの、試合出場はありませんでした。
 KLユナイテッドは、昨季はクダFA(現クダ・ダルル・アマン)でプレーした地元出身のDFイルファン・ザカリアの加入も数日前に発表しており、この他には昨季はマラッカ・ユナイテッドでプレーしたMFロメル・モラレスの獲得なども噂されています。

FAMはMリーグ全クラブに改めて練習中止を指示
 サラワク州を除くマレーシア全土に施行される活動制限令MCO期間中の代表合宿の開催が監督官庁である青年スポーツ省によって許可されたニュースは昨日のこのブログでも取り上げましたが、これはあくまでも代表チームにのみ許可されたものであり、Mリーグ1部と2部のクラブはMCO期間中の練習を行わないようマレーシアサッカー協会FAMが改めて指示を出しています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によれば、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLの理事でもあるFAMのモハマド・ユソフ・マハディ・ユソフ会長代理は、青年スポーツ省による代表合宿開催許可はあくまでも「国の利益のため」であり、Mリーグクラブの練習再開とは無関係であると明言しています。
 また明日1月22日からプルリス州、クダ州、パハン州、トレンガヌ州、ヌグリスンビラン州にも施行されるMCOは2月4日までの14日間とされており、2月26日開幕予定の今季Mリーグの日程への影響も必至で、そもそも各クラブがいつから練習を再開できるかも未定となっています。

スランゴールFCのセカンドチームにガーナ出身の2選手が期限付き移籍
 Mリーグ2部のスランゴール2は1部スランゴールFCのセカンドチームですが、このスランゴール2にガーナ2部リーグのアクラ・ライオンズFCから2選手が期限付き移籍で加入することがクラブの公式サイトで発表されています。
 今回期限付きで移籍するのはFWジョージ・アトラム(20)とDFジョーダン・アイムビラ(19)の2選手で、2人は既にマレーシアに入国しており、全渡航者に義務付けられている検疫隔離も終えているということです。
 スランゴールFCのマイケル・ファイヒテンバイナーTD(テクニカルダイレクター)とアクラ・ライオンズFCのライナー・クラフト監督が互いに知り合いであることから実現したというこの移籍について、ファイヒテンバイナーTDはストライカーのアトラム選手とセンターバックのアイムビラ選手はスランゴールFCのプレースタイルに適応が可能だと話しており、さらにこの機会を生かしてスランゴールFCをマレーシア人選手だけでなく、外国籍選手も育てられるクラブにしたいとも話しています。

J3沼津移籍のハディ・ファイヤッドが入団発表会見
 2年間在籍したJ2のファジアーノ岡山からJ3のアスルクラロ沼津へ期限付き移籍したU23代表のハディ・ファイヤッドが入団発表会見を行なったと、ブリタハリアンが報じています。
 今季から沼津に加入する10名の選手の1人として入団会見に臨んだハディ選手は今季から27番をつけるユニフォームを披露した後、早速、練習に参加したということです。岡山時代の28番から27番にした理由として、彼を支援しているヤクルトマレーシア社の濱田浩志社長のアドバイスもあり、岡山時代より一歩でも前に進みたいという決意の現れと話したハディ選手は、チームの戦力となり、できるだけ多くの試合に出場したいと話したということです。
(写真は練習に参加したハディ選手-アスルクラロ沼津の公式Facebookより)

1月9日のニュース:スランゴールFCは今後3年はMBPJスタジアムをホームに、サラワクU監督は今季優勝争い参戦に自信、元代表のジュニオール・エルドストールはタイ1部クラブに移籍

スランゴールFCは今後3年はMBPJスタジアムをホームに
 Mリーグ1部のスランゴールFCは今季から少なくとも3シーズンはスランゴール州プタリンジャヤにあるMBPJスタジアムを本拠地として使用するようです。
 これまで本拠地としてきた同州シャーアラムにあるシャーアラムスタジアムが総費用2億5000万リンギ(およそ64億4000万円)とされる大規模な改修工事に入ることから、スランゴールFC運営会社のジョハン・ハミドンCEOは今後2、3年は、同じMリーグ1部PJシティFCのホームでもあるMBPJスタジアムを本拠地とすることを、スランゴール州政府関連企業が発行するスランゴールキニ紙上で明かしています。
 スランゴールFCは昨季2020年シーズン開幕前に、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLからシャーアラムスタジアムの老朽化による危険を指摘されたことによりホームゲームを同スタジアムで開催できなくなり、昨季のホームゲームは同じ1部のUITM FCが使用するスランゴール州シャーアラムのUITMスタジアムを使用していました。(ただし1試合だけはブキジャリルスタジアムでホームゲームを開催したものの、FAMにブキジャリルスタジアムでのホームゲーム開催を禁じられています。)

 昨季2020年シーズンはMリーグ2部で10位、しかも11位のヌグリスンビランFC(旧ヌグリスンビランFA)とは勝点で並びながら得失差で10位となったサラワク・ユナイテッドFC。その監督として2年目となるエラヴァラサン・エランゴワン監督は、2月下旬に開幕予定の今季2021年シーズンに向けて優勝を目指す戦力が整ったと話しています。
 マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、その根拠は補強した新戦力にあるということです。昨季はスランゴールFCで主将を務めたテイラー・リガン(オーストラリア)の他、サンドロ・ダ・シルヴァ(スランゴールFCより加入)、ノーシャルル・イドラン・タラハ(タイ1部リーグBGパトゥム・ユナイテッドから加入)、リ・チャンホーン(ペナンFCから加入)らMリーグ経験者を集めたエラヴァラサン監督は、昨季とは大きく異なるチームの編成に自信を持っており、2部の優勝争いはサラワク・ユナイテッドFCを含めた全てのチームにチャンスがあると話しているということです。
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 フェルダ・ユナイテッドFCとUKM FCがリーグ参加を認められず、今季は10チームで争われる2部プレミアリーグですが、その内、4チームは1部スーパーリーグ所属チームのセカンドチームであることから1部昇格ができません。このため今季の2部リーグは6チームが1部昇格の2枠を争うことになります。

元代表のジュニオール・エルドストールはタイ1部クラブに移籍し
 かつてサラワクFA(現サラワク・ユナイテッドFC)やJDTでのプレー経験のあるDFジュニオール・エルドストールはマレーシア人の母親とスウェーデン人の父親を持ち、マレーシア代表でもプレー経験があります。2018年にJDTを退団後は英国7部リーグなどでプレーしていましたが、このエルドストール選手がタイ1部のチョンブリーFCと契約したことをマレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 マレーシア人選手のタイリーグ挑戦といえば、今季は既にノーシャルル・イドラン・タラハ(前BGパトゥム・ユナイテッドFC)とモハマドゥ・スマレ(前ポリス・テロFC)の代表コンビがいずれも尻尾を巻いて昨年末で契約を終えてマレーシアへ戻ってきたのは記憶に新しいところです。
 アセアン(東南アジア)枠での契約となるエルドストール選手は、若い選手が多いチョンブリーFCに自分の経験を伝えたいと話していますが、9歳とまだまだ老け込む歳でもないエルドストール選手の東南アジア復帰は、ワールドカップ2022年大会アジア二次予選を控えるマレーシア代表にとって朗報となることを期待したいです。
(チョンブリーFCと契約したエルドストール選手-チョンブリーFC公式サイトより)

1月5日のニュース:スマレはタイのクラブを退団し帰国、前U23代表監督がFAMのテクニカルディレクター就任、UITM FCから移籍のアタヤはクダFCに合流

スマレはタイのクラブを退団し帰国
 タイ1部ポリス・テロFCに所属していた代表FWのモハマドゥ・スマレがマレーシアへ帰国したことをマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 新型コロナウィルスによるリーグ中断期間中に数ヶ月間にわたる給料未払いを理由に当時所属していたパハンFA(当時、今季からはスリ・パハンFC)を離脱し、タイに入国しポリス・テロFCと契約していました。しかし、9月7日のクラブ加入後もコンディショニング不良などの理由から試合出場は4試合、プレー時間も111分間とプレー機会も少なく、ポリス・テロFCも昨年12月までとなっていた契約を更新せず、すまれ選手はわずか4ヶ月ほどでマレーシアに戻る羽目となりました。
 これまでもJDT移籍が何度も噂となっていたスマレ選手ですが、今回こそはそれが実現する可能性大です。

前U23代表監督がFAMのテクニカルディレクター就任
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で前U23代表監督のオン・キムスイ氏のテクニカルディレクターTD就任を発表しています。なおオン氏は1月1日付でのTD就任ということです。
 U23監督退任後はアシスタントTDに就任していた50歳のオン氏は、2017年からその職についていた前任者でオランダ出身のピーター・デ・ルー氏が昨年9月に契約満了で退任したことから、新たなTDの第一候補とされていました。
職に就くことが有力視されていましたが、それが実現した形になります。
 FAMの公式サイトでは「選手、そして指導者としてさまざまレベルを経験しているオン氏はFAMテクニカルディレクターに適任である。」と述べられており、U23代表監督としては2011年の東南アジア競技大会優勝、2017年の同大会準優勝の他、2018年のアジアサッカー連盟AFCU23選手権出場や同年のアジア競技大会でのベスト16進出などの実績があります。

UITM FCから移籍のアタヤはクダFCに合流
 昨季2020年シーズンはMリーグ1部に昇格したばかりのUITM FC6位躍進の立役者となったレバノン出身のMFラビー・アタヤが今季加入したクダ・ダルル・アマンFC(KDA FC)に合流するためクダ州に到着したと、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 家族を伴ってクダ州アロースターの空港に到着したアタヤ選手はKDA FCサポーターの歓迎を受けたということです。
 昨季から在籍するFWクパー・シャーマン、FWチェチェ・キプレ、DFレナン・アウヴェスが残留し、先日このブログでも取り上げたシンガポール代表MFアヌマンサン・モハン・クマールをASEAN東南アジア枠で獲得、さらにアジア枠でプレーするこのアタヤ選手の加入でクダ・ダルル・アマンFCの外国籍補強は終了となります。
(写真はクダ・ダルル・アマンFCの公式Facebookより。Hijau Kuning(マレーシア語でそれぞれ「緑」「黄色」)は、チームの愛称です。)