4月29日のニュース:FAMはMリーグ再開が8月中に実現しなければ今季中止の方針、2022年までにMリーグ全クラブを民営化、マラッカUは2月分の遅配給料を支払い開始

FAMはリーグ再開が8月中に実現しなければ今季中止の方針
 マレーシアサッカー協会FAMが現在中断中のMリーグが8月中に再開できない場合には、今季の残り試合を中止することを検討していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 FAMのモハマド・ユソフ・マハディ副会長は、3月18日より中断している国内リーグMリーグについて、10月あるいは11月に再開となった場合には年内に全日程を終了することは不可能だとし、8月中にマレーシア政府よりリーグ戦再開が実現しない場合には全日程を中止せざるを得ないだろうと話しています。
 リーグ再開についてはマレーシア政府による許可を待つしかないと話すユソフ副会長のコメントは、昨日4月28日の定例記者会見でのイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相がMリーグ再開についてのコメントに反応したものです。サブリ上級相は活動制限令が解除となった後でも直ちにMリーグの再開許可は出ないだろうとして、例えば6月中に解除となった場合は、10月からの再開になるだろうとコメントしていました。

Mリーグクラブの民営化
 マレーシアの国内リーグMリーグの大半のクラブは、マレーシア各州サッカー協会(州FA)によって運営されています。このブログでもクラブ名が○○FAとなっているクラブは、その○○州FAがそのクラブを運営していることを表しています。
 国内リーグは元は各州対抗の試合だったという歴史的背景もありますが、州FAがMリーグクラブを運営する最大の利点は、州政府から運営資金が提供されることです。ただし政治家が金だけ出して、口を出さないわけはないので、州FAの会長はサッカーについては全く素人で、他にやるべき仕事を大量に抱える各州の州知事が務めています。
 そういったクラブが大口スポンサーとして州政府を抱えながら給料未払い問題を起こす構造は定かではないですが、1989年のセミプロリーグ化、そして1994年の完全プロリーグ化以降も長年、この運営形態が維持されてきました。
 しかし、新型コロナウィルスの影響によってこれまでの「日常」が大きく変わっている現在、州FAが運営するクラブを民営化する時期に来ているのではないか、という記事をマレー語紙ハリアンメトロ電子版が掲載しています。
 新型コロナウィルス感染拡大の影響で、マレーシア各州政府はその対策に新たな州予算を設けて対応していますが、新たな支出を強いられた州政府が当初予定していた多くの予算をこの新型コロナウィルス対策へと回していることから、スポンサー料として州FAへ回る予定だった予算もそちらへ振り分けられ、その結果とし、Mリーグの多くのクラブが運営資金不足から選手、スタッフの給料削減をせざるを得ない状況になっています。
 マレーシアサッカー協会FAMのクラブライセンスプロジェクトチームのモハマド・フィルダウス・モハメド委員長によると、現在のMリーグ1部スーパーリーグと2部プレミアリーグに所属する24クラブ中、ジョホール・ダルル・タジムJDT、PJシティFC(以上スーパーリーグ)、サラワク・ユナイテッド(プレミアリーグ)の3クラブが完全に民営化されたクラブということです。言い換えれば、これらのクラブは選手、スタッフへの給料支払いが州政府の財政状況に左右されずに運営されるクラブであるということです。(筆者注:州FAが運営するクラブ以外でも、フェルダ・ユナイテッドはマレーシア政府の機関である連邦土地開発庁が、UKM FCとUITM FCはそれぞれ国立大学が、PDRM FCはマレーシア警察が運営するクラブで、州政府同様、公的機関が運営するクラブです。)
 フィルダウス委員長は「新型コロナウィルス感染拡大後に表面化したクダFAの給料未払い問題から明らかなように、州政府が優先するのは州民の福利であり、州FAのクラブへの対応はその後になる」、「もしクラブのオーナーがサッカーを愛し、十分な資金を持つ企業や個人であれば、対応方法は異なるだろう」と話し、Mリーグのクラブを運営する各州FAはクラブのオーナーとなる企業や個人を見つけて民営化を進めるべきであると述べています。また「クラブのオーナーは1人や2人である必要はなく、最大8人で構成する運営委員会によるクラブ所有も可能である」とも話しています。
 FAMのクラブライセンスプロジェクトチームは、2021年シーズン開幕までにMリーグの全てのクラブが州FAから独立した民営化クラブとなることを支援する目的で昨年2019年5月に設立され、各州FAのクラブは今年9月を期限としてクラブ名からFAを外しFCして登録することになっていました。なお、フィルダウス委員長は新型コロナウィルスの影響から、この期限を延長する予定であることを明言し、各クラブの完全民営化は2022年までに完了したいとしています。
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 このブログでもスランゴールFC、トレンガヌFC、マラッカ・ユナイテッド、ペラTBGなどFAがつかないクラブ名を使ってきましたが、実情はこれらのクラブも州政府からの予算で運営されているクラブであり、名称にFAがついたクラブと何ら変わりはないということです。

マラッカUは2月分の遅配給料を支払い開始
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、Mリーグ1部のマラッカ・ユナイテッドは遅配となっていた2月分の給料を昨日4月28日より支払い始めたようです。
 マラッカ州サッカー協会MUSAのモハマド・ユソフ・マハディ副会長(筆者注:最初の記事に出てくるFAM副会長と同一人物です。念のため)は、60万リンギ(およそ1470万円)を超える未払い給料をマレーシア人選手と外国籍選手に支払ったということです。
 3月末に起こったマレーシア国会での政変でマラッカ州知事も、それまでの国会与党出身者から政変後に与党となった政党出身者へと交代した結果(筆者注:マレーシアでは州知事を選ぶ地方選挙はなく、州議員による選挙で選ばれます)、2月分の給料遅配問題が解決したと話すMUSAのユソフ副会長は、こちらも遅配となっている3月分の給料についても近いうちに支払いが始まると話しています。

4月28日のニュース:Mリーグの今後について各監督の意見は、Mリーグは早ければ10月再開の可能性が浮上

国内リーグの今後について各監督の意見は
 マレーシア国内リーグのMリーグは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグは第4節終了時点で、3部M3リーグは第2節終了時点でそれぞれのリーグが中断しています。新型コロナウィルス感染拡大を防ぐためにマレーシア全土に発令中の活動制限令解除後MCO解除のMリーグの早期再開について、マレーシア政府が否定的であることは先日このブログでも取り上げましたが、ここ数日で早期再開どころか年内再開すら怪しくなり、今季2020年シーズンはこのまま終了という気配が濃厚になっています。
 マレーシア政府のイスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相が「ピッチ上に22人が集まるサッカーも、集団が形成される活動であり、活動制限令MCOが解除になっても許可されないであろう」と話したことから、検討されていた無観客試合すら実施が難しい状況になっていますが、そんな状況について、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が各クラブの反応を取り上げています。
 スーパーリーグで首位のジョホール・ダルル・タジムJDTを勝点2で追うペラTBGのメフメト・ドゥラコビッチ監督は、リーグ最下位の是非は専門家に任せるべきだと話しています。「マレーシア政府の保健省や国家安全保障委員会が再開許可を出せば、再開すれば良いし、そうでなければ選手やスタッフ、審判など関係者全員の安全を優先するべきだ」「自分たちは専門家の意見を聞く立場であって、リーグ再開の是非を決める立場にない。例えリーグを再開する必要があっても、関係者全員の安全が最優先である」と話しています。
 一方、スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は今季のリーグ中止後の影響が心配であるとしています。「リーグが中止となった場合には、クラブは選手やスタッフの契約内容見直しを行う必要があるだろう。また、来季2021年シーズンのアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグにマレーシア代表としてどのクラブが出場するべきなのかも疑問である」開幕4試合でスランゴールFCは上位のクラブとの対戦が続いたとは不運であったとも述べて、第4節までの結果でACL出場クラブを決めるべきではないことをほのめかしています。
 また、今季スーパーリーグに昇格したばかりのUITM FCでチームマネージャーを務めるムスタザ・アーマド氏は、第4節で12位のPDRM FCを破って、今季初勝利を飾ったチームの調子が上向いてきたところでの中断だったして、スーパーリーグ12クラブ中11位ながら、UITM FCはリーグ再開を望んでいると話しています。
 フェルダ・ユナイテッドFCのニザム・ジャミル監督は「第4節終了時点で5位という順位には満足しているが、リーグは本来なら22試合あり、現在の各クラブの順位はリーグの状況を正確には反映していない」と述べ、とにかく政府の方針が決定するのを待つしかないと語っています。
 この他、スーパーリーグ最下位12位でリーグ中断となったPDRM FCのイシャク・クンジュ監督はこの中断のおかげで今季の2部降格が猶予されたと考え、このままリーグが中止となれば、来季2021年シーズンもPDRM FCは1部スーパーリーグで戦えると話し、そうなれば評価を覆す可能性はあると話しています。
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 筆者注:突然ですが、今回から国内リーグの表記をこれまでの「MFL」から「Mリーグ」とすることにしました。国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLは組織名であり、記事の中でこの組織を指す場合とリーグそのものを指す場合に同じ表記では曖昧となることからの措置です。

 マレーシアの通信社ブルナマによると、活動制限令が解除されてから最大で4ヶ月後にはMリーグが再開される可能性があるということです。
 本日4月28日の定例記者会見の席上で、イスマイル・サブリ・ヤアコブ上級相は、現在中断中のMリーグの再開について、現在発令中の活動制限令が解除となった後、4ヶ月程度の「冷却期間」が必要だと述べたということです。
「マレーシアサッカー協会と国内リーグを統括するマレーシアフットボールMFLがMリーグを7月に再開する希望があることは理解しているが、活動制限令が解除されてから1、2ヶ月での再開は時期尚早である。しかし、活動制限令が6月中に解除となれば、10月あるいは11月のリーグ再開については、無観客試合などの条件付きで、政府が許可する可能性がある」と述べています。
 しかしその一方で、サブリ上級相はMリーグ再開についての最終判断は、保健省の指示や助言を仰ぐことも明言しています。「保健省による助言は必要であり、FAMと(FAMを統括する)スポーツ青年省からのリーグ再会の提案を受けた段階で、マレーシア政府が最終決断を下す」と述べています。
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 マレーシア政府関係者がMリーグ再開の具体的な時期について述べたのは今回が初めてです。これは朗報と言えるのではないでしょうか。ただし10月あるいは11月に再開許可が出た場合、時期的に今季2020年シーズンの再開となるのか、2020/2021シーズンとなるのかは不明です。

4月27日のニュース:FAMは手当未払い問題を抱える審判に報告を求める、全てのクラブで給料削減の合意ができているわけではない、スランゴールFCは給料削減を5月から11月まで実施

FAMは手当未払い問題を抱える審判に報告を求める
 マレーシアの通信社ブルナマは、マレーシアの国内リーグでの審判への手当て未払い問題について、マレーシアサッカー協会FAMは該当する審判に状況を報告するよう求めていると報じています。
 FAMのスチュアート・ラマインガム事務局長は、正確な状況を把握するために書面にて正式な申し立てが必要であり、そういった申し立てがあれば、FAMの審判委員会が対処すると話しています。その一方で、FAMへの申し立てを行わず、メディアに対して不服を述べるだけでは解決のより時間がかかる可能性も指摘しています。
 「FAMの審判委員会に必要な情報を電子メールあるいは書面で提出してもらえれば、FAMとして問題解決のために必要な手段を講じることができるが、それがなければ何試合で手当の支払いが行われていないのか、カップ戦やリーグ戦のどの試合なのかなどが不明のため、FAMとしては何もできない」とラマリンガム事務局長は話しています。
 また一部のサポーターからこの審判手当未払い問題についてFAMの責任を問う声が出ていることについて、ラマリンガム事務局長は「FAMが責任を負うのは試合を担当する審判の指名と、審判の養成のみであり、審判手当の支払いは国内リーグを運営するマレーシアフットボールMFLの役割である」と説明しています。

全てのクラブで給料削減の合意ができているわけではない
 マレーシアサッカー協会FAMは国内リーグ1部と2部の全てのクラブに対して、選手やスタッフとの給料削減交渉の状況やクラブの経営状況の報告を4月22日を期限として求めていました。
 全てのクラブは既に状況を報告済みであることはFAMが発表していますが、給料削減交渉については合意できていないクラブがあるようだと、マレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 全てのクラブが選手との交渉を行い、合意に至っているクラブは個々の選手の給料削減額や削減が行われる期間などをFAMに提出済みであるのに対し、複数あるとされる合意に至ってないクラブは、交渉は行われているものの選手側が給料削減額や期間に同意していないということです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、各クラブの報告内容を精査した上で、新型コロナウィルス感染拡大による悪影響がクラブおよび選手、スタッフに及ばないような策を講じたいと話しています。

スランゴールFCは給料削減を5月から11月まで実施
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは、選手およびスタッフとの契約内容を見直し、5月から11月までの給料を削減すると発表しています。
 FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、新型コロナウィルスによるリーグ中断による入場料収入が途絶えている以上に、現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令によって影響を受けている複数のスポンサーからの広告料の支払いが遅れていることが給料削減実施の主な理由であるとしています。
 既に選手、スタッフには詳細を説明済みということですが、総額で290万リンギ(およそ7150万円)程度の損失が発生していることからクラブの運営が難しくなっており、今回の給料削減に踏み切らざるを得なかったとジョハン事務局長は説明しています。
 給料削減は給料の額や既婚か未婚かなどの条件をもとに3%から33%で実施し、25%以上の給料削減対象となるのは選手、スタッフ全体の5%程度になるとしています。
 しかしその一方で、この条件での給料削減に同意しているのは全体の60%程度ということで、残りの40%の選手、スタッフとは給料削減について合意に達していないということです。

4月26日のニュース:次代のエースは当面は国内で練習へ、TFC主将は給料削減の追加を申し出る、国内リーグ主催者は未払いの審判手当の支給を約束か

次代のエースは当面は国内で練習へ
 マレーシアU19代表で活躍したルクマン・ハキム・シャムスディンは、昨年2019年の東南アジア競技大会シーゲームズでは飛び級でU23代表でプレーし、今年2月には英国2部のカーディフシティーでの練習に参加した後、ベルギー1部リーグのKVコルトレイクに加入が予定されていました。しかし就労ビザ発給が遅れ、その後は新型コロナウィルス感染がヨーロッパ各地で拡大したことから、現在はマレーシア国内に留まり、当面はMFL2部のスランゴール2でのプレーを検討中であると英字紙スター電子版が報じています。
 ルクマン選手が今年最初の移籍期間にスランゴール2に登録されたことは既にこのブログでも取り上げていますが、ルクマン選手が移籍予定のベルギーリーグはリーグ打ち切りを決めながらも欧州サッカー連盟UEFAの「圧力」で決定を取り消すなど混乱が続いており、ルクマン選手の渡欧はすぐには実現しそうもありません。
 4月23日にさらに2週間の延期が発表された活動制限令下は自宅で練習中というルクマン選手は、今季のリーグ戦ではスランゴール2ではまだプレーしていませんが、リーグ再開に備えて準備を続けたいとしています。
 カーディフシティー、KVコルトレイクともマレーシア人ビジネスマンのヴィンセント・タン氏が所有するクラブで、ルクマン選手はKVコルトレイクと5年契約を結んでいます。
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 2018年のアジアサッカー連盟AFC U16選手権では、マレーシア代表はグループステージで敗退したものの、5ゴールを挙げたルクマン選手は、優勝した日本代表の西川潤選手(セレッソ大阪)らと大会得点王を分け合っています。
 ところで、このルクマン選手は練習以外の時間に、バイクで食べ物などのデリバーを行なっているという報道もあります。今はサッカーのことだけを考えて生活しても良いのではとも思いますが、とにかく、他のデリバリーの方々同様、新型コロナウィルス感染や運転するバイクの事故などには気をつけて欲しいです。

TFC主将は給料削減の追加を申し出る
 トレンガヌFCのリー・タックはイギリス出身の外国籍選手ながらチームの主将を務めていますが、このタック主将がクラブによる給料削減に加え、さらなる削減を自ら申し出たことをタック選手の代理人が明かしています。
 2018年からトレンガヌFCでプレーしているタック選手の代理人を務めるエフェンディ・ジャガン・アブドラ氏は、タック選手に代わってクラブと給料削減についての交渉を行い、その席で決まった削減額を伝え、タック選手もその額に同意したそうです。しかし、その翌日に、タック選手から連絡があり、自分の給料をさらに削減するようクラブに伝えるよう依頼があったそうで、タック選手は最終的には「かなりの額」を削減することになったということです。タック選手の他、シンガポール出身のファリス・ラムリら複数の外国籍選手の代理人も務めるエフェンディ氏は、他の外国籍選手も給料削減の必要性を理解していると話しています。
 これを報じたマレー語紙ハリアンメトロ電子版は、具体的な金額は明らかにしていないものの、この給料削減は4月分の給料から行われ、チーム練習が再開するまで続くというエフェンディ氏のコメントも紹介しています。

国内リーグ主催者は未払いの審判手当の支給を約束か
 マレーの通信社ブルナマは、国内リーグの運営するマレーシアフットボールリーグMFLが、未払いとなっている審判手当について今月中に支払う予定であるようだと報じています。
 昨季2019年シーズンのマレーシアカップ、国内リーグ3部のM3リーグ、そして今季2020年のFAカップでの試合の審判手当が未払いとなっている件について、審判を手配している複数の州サッカー協会審判部にSNSでメッセージが送られ、MFLは5月前にまでには支給するという連絡が届いたとしてます。
 この情報を得て、ブルナマはMFLとマレーシアサッカー協会FAMに審判の手当未払い問題が存在するかどうかを確認しようとしたそうですが、その問い合わせについてはMFL、FAMとも返事をしなかったとも報じています。
 なお審判手当の未払いについては、MFL、FAMともこれまで公式な発表は行っていません。
 この審判手当未払い問題は、4月21日に地元テレビ局が第一報を報じたことに端を発しますが、その際の報道内容は」審判手当の支給をMFLに拒否されたという話がSNS上で国内サッカーファンの関心を集めている」というものでした。
 ブルナマによれば、審判手当の未払いはMFLクラブとは無関係であること、またこの審判手当未払いは、つい最近の問題ではなく、過去にも起こっていたということです。
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 もしこの報道が事実だとすれば、未払い給料問題を抱えるクラブをMFLが罰するという図式に説得録がなくなるどころか、むしろそれが滑稽に見えてしまいます。しかし果たして実際はどうなのかは、MFLおよびFAMからの公式声明もないということですので、続報を待ちたいと思います。

4月25日のニュース:FAMとMFLは活動制限令解除後リーグ再開希望を公式表明、パハン州協会はリーグ戦を来年まで延期することを提案、FAMがAFCのエリート育成事業計画の正式メンバー入り

FAMとMFLは活動制限令解除後のリーグ再開希望を公式表明
 マレーシアサッカー協会FAMの公式Facebookでは、FAMが国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLと共同で、政府関係筋に今季2020年シーズンの再開を希望する意思を公式に表明したことを明かしています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長名で出された声明では、昨日4月23日にFAMのラマリンガム事務局長とハミディン・アミンFAM会長、そしてMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOが国内のスポーツを統括するマレーシア政府の青年スポーツ省のトップであるリーサル・メリカン・ビン・ナイナ・メリカン青年スポーツ相を公式訪問し、その席で活動制限令MCO解除後の国内リーグ再開許可を青年スポーツ省を通じて国家安全保障委員会と保健省に申請したとしています。
 なおラマリンガム事務局長は、リーグ再開の可否ににかかわらずFAMとMFLは国家安全保障委員会と保健省の指示に全面的に従う意向を示しています。
 また4月22日を期限にMFL1部と2部に所属するクラブに提出を求めていた選手との給料削減についての交渉状況やクラブの経営状況を、調査検討中であることも発表しています。国際サッカー連盟FIFAやアジアサッカー連盟AFCとも意見交換を行っているとするFAMは、各クラブから提出された報告内容は今後の方針を決める際の判断材料となるとしています。
(以下はFAM、MFLと政府筋との会談について知らせるFAMのFacebookページ)

パハン州協会はリーグ戦を来年まで延期することを提案 
 マレーシアの通信社ブルナマによると、マレーシアフットボールリーグMFL1部のパハンFAを運営するパハン州サッカー協会PBNPは、国内リーグ戦を含めた今季のマレーシア国内の全てのサッカー活動を来年まで延期することを提案しました。
 PBNPのトゥンク・アブドル・ラーマン・スルタン・アーマド・シャー会長は声明を発表し、その声明の中でマレーシアサッカー協会FAMとMFLに対して新型コロナウィルス感染拡大の収束が見通せない現状では、今季のサッカー活動を全て来年まで延期するという判断を直ちに下すことが、国内サッカーに関わる全ての者の不安を解消する手段であるとしています。
 自身もスタジアムで試合を観戦できないのは残念であるとしながらも、パハンFAだけでなく国内の全てのサポーターに対して現在は辛抱が必要であるとも述べています。

FAMがAFCのエリート育成事業の正式メンバー入り
 アジアサッカー連盟AFCの公式サイトは、マレーシアサッカー協会FAMがキルギスタンサッカー協会、ミャンマーサッカー協会とともにAFCのエリートユース育成事業の正式メンバーと認められたことを発表しています。
 またAFCのウインザー・ジョン事務局長は、FAMがマレーシア政府青年スポーツ省とともに運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDP傘下のエリートユースアカデミーであるモクタル・ダハリアカデミーAMDがAFCのユース委員会によって二つ星評価を得たことも合わせて発表しています。
 FAMのハミディン・アミン会長は、マレーシアではユース育成の改善を目指しており、AFCのエリートユース育成事業計画のメンバーとなったことで、今後は育成の適切な組織が構築できることを期待していると話しています。
 FAMは3月初旬にAFCの副テクニカル・ダイレクターであるラースロー・サライ氏らAFCによる審査のための視察団を受け入れていました。
 AFCのエリートユース育成事業計画は、各国のサッカー協会が運営するユース育成プログラムのさらなる発展をAFCが助成する事業で、参加メンバーとなるためには施設、指導者、財政などの計画内容から参加者の教育や福利など20分野での資格審査を通過する必要があります。
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 AMDはこの前の記事で取り上げたルクマン選手が第1期卒業生ですが、このAMDの二つ星評価については、最高で三つ星となる中での二つ星のようです。同時にメンバーとなったキルギスタンサッカー協会のオシにあるアカデミーや、ミャンマーサッカー協会のヤンゴン、マンダレー、バセインにあるアカデミーはいずれも一つ星評価ということなので、
(FAMがAFCエリートユース育成事業計画のメンバーとなったことを伝えるFacebookページ-FAMのFacebookより)


4月23日のニュース:フェルダU主将がクラブが発表した給料削減内容に反論、国内リーグのクラブの半数が選手との給料削減についてさらに時間が必要、プルリス・ユナイテッド主将はクラブに選手の再契約を求める、給料未払い問題があればリーグへ報告を-アマチュアリーグ会長

フェルダU主将がクラブの発表に反論
 昨日のこのブログでは、マレーシアフットボールリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCの選手およびスタッフが5%から20%の給料削減を受け入れたという記事を取り上げましたが、フェルダ・ユナイテッドの主将は給料削減には同意したものの、金額には同意していないようです。
 昨日の記事を報じた英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、フェルダ・ユナイテッドのジャサズリン・ジャマルディン主将は、活動制限令MCOの発令期間中の選手は給料削減には同意したもののその金額については昨日の発表内容に同意していないということです。
 主将としてチームの総意を伝えたいとするジャサズリン主将は「クラブの置かれた状況は理解しており、給料削減については同意しているが、クラブも選手の状況を理解して欲しい。もともと給料が低い選手が多いので20%の削減は多すぎる。」「1万リンギ(およそ24万5000円)以上の給料をもらっている選手にとっては10%の給料削減は受け入れられるかもしれないが、それ以下の給料の選手にとっては5%程度が受け入れられる限度であり、給料削減は一律で行うべきではない。」と話しています。

国内リーグのクラブの半数が選手との給料削減についてさらに時間が必要
 国内リーグ1部と2部のおよそ半数のクラブが選手との同意にさらに時間が必要だと、英字紙スター電子版が伝えています。
 マレーシアサッカー協会FAMは昨日4月22日までに国内リーグの各クラブと選手およびスタッフとの間で給料削減について合意することを求めていましたが、およそ半数のクラブが未だ合意に達していないということです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、クラブと選手およびスタッフとの給料削減交渉について、1部と2部の全24クラブと連絡を取り合っていることを明かし、およそ半数のクラブは両者が同意し、残りの半数は同意はしているものの詳細が確定していないと話しています。その上で、交渉が完了していないクラブには数日の猶予を与える予定であるとしています。
 なお、クラブと選手およびスタッフの間で給料削減が合意に至らない場合には、FAMが仲裁に入ることになっています。

プルリス・ユナイテッド主将はクラブに選手の再契約を求める
 数日前に国内リーグ3部のM3リーグに所属するプルリス・ユナイテッドが選手に契約解除の書類へのサインを強要しているという噂について取り上げましたが、どうもこの話は噂ではなく事実のようです。
 マレー語紙ブリタハリアンによると、プルリス・ユナイテッドのアジジ・マット・ロズ主将はクラブ経営陣に対して、半分しか支払われていない3月分の給料を全額を支払いと、契約解除の取り消しを求めているということです。
 アジジ主将は3月分の給料を全額支払う条件として、クラブ経営陣が用意した「自発的な」契約解除を認める書類に全選手がサインすることを強制され、選手は給料を受け取るためにその書類にサインせざるを得なかったと明かしています。
 さらにアジジ主将は「自分たちはクラブを愛しているので、再びこのクラブでプレーしたいと考えており、特に若い選手たちにはこのクラブに残ってもらいたい。また給料については1月から3月までの3ヶ月分の給料が半分しか支払われておらず、全額の支払いを望んでいる。選手が望んでいるのはこの給料支払いと再契約である」と話しています。

給料未払い問題があればリーグへ報告を-アマチュアリーグ会長
 国内リーグ3部のM3リーグを統括するマレーシアアマチュアフットボールリーグAFLは、給料未払い問題が発生しているクラブの選手に対して、AFLへ報告するよう求めています。
 AFLのウィラ・モハマド・ユソフ・マハディ会長は、現時点では給料未払い問題について何の報告も受けていないとした上で、セミプロリーグであるM3リーグ所属の各クラブに対し、クラブの状況を報告するように求めていると話しています。
 「給料未払い問題が発生した場合には、選手はAFLあるいはマレーシアフットボールリーグMFLに直接、不服申し立てを行って欲しい。また各クラブにはそういった状況に対してどのような対処をしているのかも報告を求める予定である。」と話すユソフ会長は「どのくらいの数のクラブが問題を抱えており、どのくらいの数の選手が影響を受けているのかを把握する必要がある。」とも話しています。
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 同じブリタハリアン電子版上でプルリス・ユナイテッドの「強制」契約解除の記事と、「問題があればリーグへ連絡をするべき」というリーグトップの発言を取り上げた記事が同居しているのを見ると、リーグは選手の権利を積極的に守る意識があるのか疑問に感じてしまいます。指導的立場にあるリーグには、選手の権利を守るために経営問題を抱えるクラブに対しては、報告を待つだけではなく積極的に介入して欲しいと思います。

4月21日のニュース:協会会長が今季のリーグ続行中止の可能性に言及、スランゴールFC監督はリーグ中止が起きた場合のサッカー界への影響を懸念、元代表選手がフィンランドでUEFFライセンス取得へ

FAM会長が今季のリーグ続行中止の可能性に言及
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版では、マレーシアサッカー協会FAMは今季リーグ戦の中止も選択肢の一つと考えているようだと報じています。
 3月18日にマレーシア全土で発令された活動制限令MCOも既に35日目となり、その効果が現れ始めたのか新たな患者数は本日、4月21日で5日間連続で二桁となりましたが、その一方で、FAMのハミディン・アミン会長は国内リーグのフォーマット変更や開催期間の短縮などについて検討していると話しています。
 国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLの会長も兼ねるハミディンFAM会長は、クラブ、選手、スタッフ、そしてサポーターの安全が第一であるとして、マレーシア政府保健省が作成する指針を遵守するとし、状況次第では今季のリーグ戦およびカップ戦を中止することも選択肢の一つであるとも述べています。
 MCO発令当初、FAMとMFLは5月1日、6月1日、7月1日をリーグ再開の予定日候補としてあげていましたが、4月14日解除の予定だったMCOが2週間延長されたことで、5月1日のリーグ再開は現実的ではなくなっています。
 FAMは国際サッカー連盟FIFAやアジアサッカー連盟AFCとも協議中ということですが、4月28日にMCOが解除となるかどうかも定かではなく、また解除となった場合でも多くの人が集まるサッカーの試合のようなイベントなどは半年程度は禁止されるという報道もあります。
 なお、ハミディン会長は来週、今後の予定や給料削減などについて報道陣向けに声明を発表するとしており、詳細はそこで明らかになりそうです。
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 マレーシアでは4月24日からイスラム教の断食月が始まり、そのおよそ1ヶ月後の5月24日から26日にはハリラヤと呼ばれる断食明けの公休日(祝日)があります。日本で言えば、元旦のような祝日で、都市部に住む地方出身のイスラム教徒が帰省し、大規模な人の移動が発生します。しかし今年はこの大移動に伴う新型コロナウィルス感染拡大も懸念されることから、ハリラヤ公休日の変更について検討しているという報道もあり、国内リーグやカップ戦もその影響を受ける可能性があります。
 なお、世界最大のイスラム教徒を抱える隣国インドネシアでは、マレーシアのハリラヤに相当するレバランの連休を12月に移動させることを既に発表しており、インドネシアの国内リーグはレバラン連休明けの5月29日までの中断と7月1日の再開が予定されています。

スランゴールFC監督はリーグ中止が起きた場合のサッカー界への影響を懸念
 同じニューストレイトタイムズ電子版では、国内リーグが中止となることへの危惧を取り上げています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、国内リーグが中止となれば、サッカー界全体に影響が及ぶだろうと話しています。
 マレーシア政府が現在発令中の活動制限令MCOを延長、あるいは解除となっても多くの人間が集まる教示の開催を禁止する可能性がある中、サティアナタン監督はマレーシアサッカー協会FAMがあらゆる可能性を追求して、リーグを再開することを望んでいると話しています。
 「リーグを中止するとなれば、広告主やスポンサーに対する義務を果たせなくなり、今後はそういったスポンサーがリーグから手を引く可能性もある。国内リーグの多くのクラブ入場料収入が多くないため、そういったスポンサーに依存しており、万が一スポンサーが手を引けば、クラブや選手、スタッフだけでなくサッカー界全体が大打撃を受ける可能性がある。」と話し、国内リーグが再開する場合には、無観客試合として実施、テレビ放映やストリーミングなどで中継するなどの方法もあるとし、多くの失業者を生み出す可能性があるリーグ中止だけは起こらないことを願っていると述べています。

元代表選手がフィンランドでUEFFライセンス取得へ
 新型コロナウィルス関連の暗いニュースが続く中、英字紙スター電子版は、元代表選手がフィンランドで欧州サッカー連盟UEFAのコーチライセンス取得間近であるという記事を掲載しています。
 ペラTBGやフル代表で活躍したサラヴァナン・ヴェル氏は現在、フィンランド在住で今年中にUEFA Aライセンスを取得できる予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で遅れが出ているようです。
 現在はフィンランド1部リーグのHJKヘルシンキでU12チームのコーチを務めているサラヴァナン氏によると、理論などの講義はオンライン形式で行われており予定通りに進んでいるものの、実技に関しては延期となっているということで、Aライセンスの取得は予想より遅れそうだと話しています。
  U21代表、U23代表を経て2000年から2004年までフル代表として43キャップを獲得し、ペラTBGではマレーシアカップで2度優勝を経験したサラヴァナン氏によれば、フィンランドは人々の外出が許されてはいるものの、学校やサッカースクールなどは閉鎖されているということで、現在は、選手たちが送ってくる映像をチェックする毎日を過ごしているそうです。
 マレーシアでフィジオセラピストとして勤務経験がある奥様の出身国フィンランドに移り住んで7年目となるというサラヴァナン氏が取得予定のUEFA Aライセンスは、プロライセンスの1つ下のライセンスで、U18までのチーム、1部リーグのBチーム、2部リーグのクラブなどでの指導が可能になるライセンスだということです。

4月19日のニュース:国内リーグ再開は6月あるいは7月の可能性、3部リーグで選手の同意なしに契約解除を行ったクラブの噂、マレーシアサッカーコーチ協会は給料削減に同意を表明、 6月の代表強化合宿は実施せず

国内リーグ再開は6月あるいは7月の可能性
 マレーシアフットボールリーグMFLは、リーグ再開について慎重な態度で臨んでいると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 インドネシアは5月29日までのリーグ中断と7月1日のリーグ再開を、タイは9月からのリーグ再開をそれぞれ発表していますが、マレーシアの国内リーグを運営するMFLはリーグ再開の時期について何も発表していません。
 これについてMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、MFLは現在発令中の活動制限令解除後のリーグ再開については、マレーシア政府の保健省からの指針が出るのを待っている状況であると説明しています。さらに現在、中断中のリーグについては6月あるいは7月に再開する計画があるとしながらも、活動制限令が(現時点で予定されている)4月28日に解除されれば、リーグ再開の時期が早まる可能性があるとも話しています。
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 スタジアムアストロの別の記事では、国内リーグの再開は保健省からの指針に基づいて国家安全委員会が決定するとされており、実際のところ、MFL自体にはその時期を決定する権利はないようです。

3部リーグで選手の同意なしに契約解除を行ったクラブの噂
 今季2020年シーズンからマレーシアフットボールリーグMFL3部のM3リーグでプレーするプルリス・ユナイテッドは、マレーシア最北端にあるプルリス州カンガーに本拠地を持つクラブですが、マレー語紙ハリアンメトロ電子版では、クラブが所属選手との契約を強制的に解除し、それを拒否した選手には給料支払いを行わないと脅されているという噂があることを報じています。
 記事によると、プルリス・ユナイテッドは、選手への事前通告を行わずに契約を解除した上、選手に対しては自主的に契約解除に応じたとする書類にサインするように求めているということです。
 新型コロナウィルスの影響でM3リーグは3月15日の第2節終了後に中断していますが、プルリス・ユナイテッドの選手たちは4月分の給料が払われないことは問題にしていないとする一方で、クラブのフロントは契約解除を了承するという書類にサインしない選手には3月分の給料も支払わないとしており、選手たちはサインせざるを得ない状況に追い込まれているということです。
 またプルリス・ユナイテッドのフロントは選手たちがサインした契約解除承認の書類をマレーシアサッカー協会FAMとM3リーグを統括するマレーシアアマチュアフットボールリーグAFLに提出して、選手たちが自主的にクラブを離れたことにしようとしているということです。
 ハリアンメトロの記事は、FAMとAFLに実際の状況を調査し、この噂が事実かどうかを確認するべきとしています。
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 プルリス州サッカー協会PFAは、昨季2019年に運営していたMFL2部のプルリスFAが悪質な給料未払いがあったとして、クラブはMFLから出場停止を受け、未払い給料を完済するまで国内でのあらゆるサッカー活動に関わることが禁止されています。このため、FAMはプルリス州を拠点とする全てのクラブに対して、かつてのPFA関係者をクラブのフロントやスタッフとして雇用しないよう通達を出しています。この記事では、PFAとプルリス・ユナイテッドの関連性については何も書かれていませんが、この記事に書かれたことが事実であれば、ずさんな経営で失職した元PFA関係者の関与も考えられるかも知れません。

マレーシアサッカーコーチ協会は給料削減に同意を表明
 ブリタハリアン電子版では、マレーシアサッカーコーチ協会PJBMが各クラブに対し、給料削減に同意をする一方で、過度な削減への反対と各クラブの監督による同意の上での給料削減実施を求めていると伝えています。
 スランゴールFCの監督でもあるPJBMのサティアナタン・バスカラン会長は、各クラブの監督、コーチは給料削減に応じる用意があるとしながらも、クラブ側と監督、コーチのいずれにとっても納得できる条件のもとで行われるべきと話しています。
 「PJBMはクラブが給料削減についての交渉を行うことに同意するが、削減については給料の額に応じて行うこと、またクラブと監督、コーチとの同意に基づいて行うことを求める」と話すサティアナタンPJBM会長は、給料削減を行った後に給料の遅配が起こらないようにすることも求めています。

6月の代表強化合宿は実施せず
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、6月に予定されていた代表強化合宿が行われない見通しであるとしています。
 今年6月1日から9日までは国際サッカー連盟FIFAが設定するインターナショナルウィンドウ期間でしたが、FIFAは既に6月中の公式戦を全て延期することを発表しているだけでなく、各クラブが6月中の代表チーム招集に応じる必要はないこと、またこの期間中に代表に招集された選手は、クラブを優先して招集を拒否することも許されています。マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は予定されていたマレーシア代表強化合宿は実施しないだろうと話しており、現在中断中の国内リーグが再開となれば、国内リーグ日程として使われる可能性があるとしています。
 ラマリンガム事務局長は、現在、FAMは国内リーグを主催するマレーシアフットボールリーグMFLが再開後の日程について話し合いを続けている一方で、アジアサッカー連盟AFC加盟国も国際試合を行う予定がないとして、新型コロナウィルス感染拡大が鎮静化し、リーグが再開できれば、国内リーグ開催を優先したいと話しています。

4月17日のニュース:ケランタンは一律で給料削減を行わないことを約束、クダは未払い給料問題の存在を認める、 TMJは自分を批判したクダ州FA事務局長を非難、マラッカU主将は給料削減に関する州協会の説明に理解を示す

ケランタンFAは一律で給料削減を行わないことを約束
 今季から渡邉将基選手がプレーするケランタンFAを運営するケランタン州サッカー協会KAFAは、全ての選手から一律で減額するような給料削減を行わないことを約束しているとマレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。。
 KAFAのフシン・デラマン事務局長は、若い選手の中には給料が2000リンギから3000リンギ(およそ5万から7万4000リンギ)という選手もおり、そういった選手の給料削減は行わないこと、また公正を期するために各選手の給料額を元に削減額を検討するとしています。
 デラマン事務局長は「選手の中には給料が1万リンギ(およそ24万6000円)以下の者もいれば、数万リンギの者もおり、KAFAとしては20%から30%の給料削減を行う希望があるが、個々の選手と削減額について近いうちに話し合う予定がある」と話し、選手の同意なしに給料削減を行わないことも併せて表明しています。

クダFAは未払い給料問題の存在を認める
 クダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アヌアル・アリス名誉事務局長は、3月18日の活動制限令発令以来、クラブのスポンサーによる支援が滞っていることを明らかにしています。
 ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が「暴露」したクダFAの未払い給料問題について、クダ州議会議員でもあるアスミルル名誉事務局長は、活動制限令MCOによる経済停滞の影響からスポンサーによる支援を得られておらず、またKFAのスポンサーであるクダ州政府も州予算をMCOで影響を受けているビジネスの補助や州民の生活支援を優先しているとする一方で、クダ州政府には十分な資金があり、MCO解除後直ちに未払い給料問題解決に取り組む予定であると話しています。
 また国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLとマレーシアサッカー協会FAMが何度も会合を開いておきながらリーグ再開予定の発表が遅れている点を非難し、日程が決まらない状況ではKFAを含めた各州FAは選手との給料削減についての話し合いを行うことが難しいとし、選手との交渉はリーグ再開日程が発表になってからになることを示唆しています。
 さらにアスミルル名誉事務局長は、2018年5月以降は給料が未払いだったことはなく、今回の未払い給料問題とされているのは新型コロナウィルスの影響による給料の遅配であり、クダ州サッカー協会KFAの外部の人間が、KFA内の問題に介入することの合法性や、その問題をメディアに公開するその目的は疑わしいものであるとしています。
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 隣国タイやインドネシアでは暫定的とはいえ、リーグ再開日程が発表になっている一方で、マレーシアではMFL、FAMいずれからも日程については何の発表もないまま、給料削減だけを推奨するという不可解な状況になっているのは事実です。また最期の部分で触れられている、「州協会内の問題に介入し、その問題をメディアに公開する」という表現はJDTのイスマイル殿下に向けられている批判だと思われますが、どう表現しようと給料未払いは事実なので、こちらについては少々お門違いな批判に思えます。

TMJは自分を批判したKFA事務局長を非難
 上で取り上げたクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アヌアル・アリス名誉事務局長による自分への批判に対して、TMJことジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、KFA内の問題に介入するつもりはないとする一方で、クダFAの選手がJDTの選手に伝えた内容を明かしただけであるとしています。
 イスマイル殿下は自らのインスタグラム上で、給料未払い問題についてKFA自身ではなく他人を批判すルべきではなく、また給料未払い問題を隠すことはサポーターを欺く行為である、と述べています。
 自分自身の利益のためにクラブを運営する政治家の口先だけの約束に長い間苦しんでいるマレーシアのサッカー選手全員の声を代弁しているだけである、とするイスマイル殿下は、未払い給料は新型コロナウィルス発生前のものであること、また未払い給料についてはクダFAの外国籍ストライカーがJDTの選手に告げたものであることを明かし、インスタグラムの投稿には、自分を批判したKFAのアスミルル名誉事務局長の写真も添えています。

マラッカU主将は給料削減に関する州協会の説明に理解を示す
 マラッカ・ユナイテッドの主将で、元代表主将のサフィク・ラヒムは、クラブを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAの給料削減についての説明に理解を示していると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 マラッカ・ユナイテッドの選手は、先月3月末のマレーシア国会を中心に起こった政変により全面的に交代したMUSAの会長およびフロントと2ヶ月分の未払い給料問題の解決についての話し合いを行い、サフィク主将は全員が納得のいく説明を受けたとしています。
 サフィク主将は、選手が給料の一部削減を受け入れたことを認める一方で、未払いとなっている2月と3月の給料については、削減対象でないことを明かし、さらに4月分から削減される給料についても、どの程度の削減になるかはまだ確定していないと話しています。
 サフィク主将ら11人の選手やザイナル・アビディン監督と話し合いをおこなったMUSAのウィラ・モハマド・ユソフ・マハディ副会長は、話し合いは建設的で友好的だったと述べ、外国籍選手を含めた残りの選手との話し合いは今後行われるとする一方で、全ての選手が未払い給料問題と給料削減については説明に納得していると話し、未払い給料については、1ヶ月程度で完済する予定であることも明かしています。

4月15日のニュース:選手会は給料削減の前に未払い給料問題を解決することを求める、JDTオーナーも選手会の主張を支持、「八百長」の心配はない-FAM

選手会は給料削減の前に未払い給料問題を解決することを求める
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは未払い給料問題を抱えるクラブに対して、所属選手の給料削減を検討する前に未払い給料を完済するべきであると主張しています。
 活動制限令MCOが4月28日まで延長されたことを受け、国内リーグ各クラブが給料削減交渉を活発化させることが予想されますが、PFAMは契約内容の遵守を原則とした上で、MFLのクラブに対して以下の2つの条件を提示しています。
1. 未払い給料問題を抱えるクラブは、リーグ中断を理由として選手と給料削減交渉を行う前に未払い給料を完済すること。
2. 各クラブが給料削減交渉を行う際は、各選手の給料が異なることを考慮し、全選手に同一の削減案を提示するのではなく、各選手と個別に削減額について話し合うこと。
 MFL1部のPJシティーFCでプレーするPFAMのサフィ・サリー会長は、選手と事前に交渉を行わずに給料削減を行なったクラブが複数あるという情報を得ているとして、マレーシアサッカー協会FAMや国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLに対して、クラブと選手の間の交渉が誠実に行われるよう監視するよう求めています。
 「(新型コロナウィルス発生以前の)給料未払い問題を抱えているクラブは、未払いの給料が完済できない口実として新型コロナウィルスを利用し、その上、さらに給料削減を行おうとしている。しかもそういった給料未払い問題を抱えているクラブが、リーグ中断期間中の給料削減に関して最も声高に主張しているのは皮肉なことである。」と述べるサフィPFAM会長は、さらに「給料が決して高額ではない選手が数ヶ月に渡って給料が支払われていない場合、その選手に対してさらにクラブが給料削減を行ったらどうなるかを想像して欲しい。そういった選手は家や車など生活に必要な多くのものを失うことになるだろう。」と話しています。

JDTオーナーも選手会の主張を支持
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMの主張を支持するように、国内リーグ1部で7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーであるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下も、JDTの公式Facebook上で給料未払い問題を抱えるクラブはまず、その問題を解決してから給料削減を行うべきであると述べています。
 イスマイル殿下は、国内リーグでプレーする大半の選手は新型コロナウィルス感染拡大によって運営が苦しくなったクラブと給料削減について協力する用意があるとする一方で、クダFA、ケランタンFA、マラッカ・ユナイテッド、ペナンFAなど具体的なクラブ名を挙げた上で、未払い給料問題を抱えるクラブは給料削減を行う前に未払い給料を完済するべきであるというコメントをFacebook上で行っています。
 「大半のクラブはその運営資金全額を州政府から配分されているはずで、そういったクラブが給料未払い問題を抱えている理由が理解できない」として、クラブが州政府の重荷になってはいけないと話しています。
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 国内リーグ1部や2部でプレーするクラブの大半が州サッカー協会によって運営され、州サッカー協会(州FA)のトップは州知事、クラブの最大のスポンサーが州政府、という現在の状況が続く限り、今年3月末に起きたような政変で州議会内での与党、野党が変われば州FAのトップも変わり、長期的な視野でのクラブ運営を行うことは今後も難しいでしょう。また今回のようにイスマイル殿下が正論を吐けるのは、自らがオーナーを務めるJDTがその財源を州政府に依存せず、ジョホール王室からの資金で運営されているからです。(写真はイスマイル殿下の投稿-JDTの公式Facebookより)

「八百長」の心配はない-FAM
 先日のこのブログでは、給料未払いに加えて国内リーグ中断による給料削減が行われようとしているマレーシアサッカー界には、「八百長」が起きやすい環境が整いつつある、という記事を取り上げました。
 しかしマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長によれば、昨年以来、「八百長」と疑われる試合は起きていないと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 2018年に就任したラマリンガム事務局長は、自分が就任以来、八百長の疑いがもたれた件が2件あったものの、いずれも八百長ではないと裁定されているそうです。
 かつてマレーシアやシンガポールは八百長試合など不正工作の温床とされていましたが、近年は状況が変わっており、アジアサッカー連盟AFCも過去6年間でアジアでの八百長試合が減少していることを公表しています。
 なおFAMは各州FAの不正防止員会を通じてマレーシア警察やマレーシア政府汚職防止委員会と協力して八百長試合が起こらないよう監視している他、異常な賭け率変動がないかを監視するために国際サッカー連盟FIFAの早期警戒システムEWS社と契約しています。
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 マレーシア国内でのサッカー賭博は非合法ですが、国際的にはオンライン賭博の対象となっており、八百長が起こる可能性は常に存在します。FAMが契約しているEWS社は世界中の賭博事業者と提携し、各国の試合の掛け率などを24時間監視しています。そしてマレーシア国内での試合の掛け率の急激な変動など、不正操作の可能性がある場合には、即座にFAMに警告が通知される仕組みになっています。