5月20日のニュース:プレジデントカップとユースカップは今季中止の可能性、ハリラヤ前にクダFA選手の遅配給料支給が始まる、タイ代表アディサク選手におすすめのMリーグの4クラブ

プレジデントカップとユースカップは今季中止の可能性
 英字紙スター電子版は、マレーシアサッカー協会FAMが主催するプレジデントカップとユースカップが中止になる可能性を報じています。
 新型コロナウィルスの影響で全てのサッカー活動が停止中のマレーシアでは、Mリーグ各クラブのU 21チームがリーグ戦形式で対戦するプレジデントカップは3月12日の第4節終了から、そしてU19チームが対戦するユースカップは3月15日の第5節終了からそれぞれ中断しています。
 U21チームとU19チームを運営するMリーグ各クラブはリーグ中断による観客収入減やスポンサー、広告主の撤退により財政を圧迫されていること、さらに両大会はスタンドなどがない会場で行われ、マレーシア政府が求める無観客試合として行うことが難しいこと、そして再開となれば無観客試合など多くの制約が課せられることからFAMは両大会の中止を検討しているとスターは伝えています。
 またFAMはU21とU19チームに所属する有望選手はMリーグでプレーできるよう、所属クラブに働きかける一方、新型コロナウィルスの感染拡大が収まれば、プレジデントカップをU22チームの大会として刷新した上で、今年11月より2021年シーズンとして行うことも計画しており、Mリーグ各クラブからの意見を募っている最中ということです。
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 マレーシアU19代表は、今年10月14日から31日にかけてウズベキスタンで開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権に出場しますが、U19のユースカップが中止となったことで新戦力の補強が難しくなったU19代表のブラッド・マロニー監督は、本大会でも予選を突破したチームの選手が主力となるだろうと話しています。

ハリラヤ前にクダFA選手の遅配給料支給が始まる
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、2月の給料の一部を含め3月、4月分の給料が支払われていないクダFAの選手たちに対して、クダ州サッカー協会KFAが支払いを始めたと言うことです。
 KFAのアスミルル・アヌアル・アリス名誉事務長によると、先日、辞任したムクリズ・マハティール前クダ州首相が辞任の二日前に、州政府からKFAに対して200万リンギ(およそ4960万円)の配分を承認していたと言うことです。また、そのうち50万リンギは既に5月14日に選手およびスタッフに支払済みであることも明かし、残る150万リンギについては、新州首相率いる州政府がKFAに直ちに支払うことを期待しているとも話しています。
 アスミルル名誉事務長は、クダ州の新州政府がKFAの支援を続けてくれることも期待していると話しています。
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 断食明け大祭のハリラヤ前にクダFAの選手が一部とはいえ給料を受け取れたのはよかったです。今年のハリラヤはマレーシア政府が州境を跨いだ移動を禁じていることから例年のような大規模な帰省ラッシュは起こらないことが予想されますが、クダFAの選手たち、特にイスラム教徒の選手にとっては大事な祭りを少しは気分良く迎えられるのではないでしょうか。
 現在は自宅のあるシンガポールに戻っているアイディル・シャリン監督も、別の記事ではこのハリラヤ明けにはクダ州に戻ると話しており、開幕ダッシュに失敗したチームをリーグ再開までに立て直せるかどうかに注目です。

タイ代表アディサク選手におすすめのMリーグの4クラブ
 タイ代表のFWアディサク・クライソーンと言えば、2018年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ準決勝のマレーシア戦でPKを失敗(しかもその失敗によりマレーシアはアウェイゴールルールでタイを破って決勝進出)したことで知られていますが、このアディサク選手が引退する前に国外でのプレーを希望し、そこにMリーグも含まれていたことで一躍話題になっています。
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、早速、アディサク選手にうってつけのMリーグ1部スーパーリーグのクラブを独断と偏見に基づき4つ挙げていますので、与太話(失礼!)に付き合ってみましょう。
・パハンFA
 ディクソン・ヌワカエメが攻撃陣を率いるパハンFAですが、ヌワカエメ選手の衰えが見え始めている現在、その代わりとなれる選手としてアディサク選手をヴォケットFCは勧めています。
・フェルダ・ユナイテッド
 今季のフェルダ・ユナイテッドはカイルル・アムリが攻撃陣を牽引しています。ヴォケットFCは、攻撃陣の顔ぶれ変更を考えるのであれば、アムリ選手同様、東南アジアのサッカーを熟知する経験豊富なアディサク選手はクラブにとって理想的であるとしています。
・PJシティFC
 攻撃陣が弱点のため、今季のリーグでは10位に低迷するPJシティFCにとってFWの補強は最優先事項であり、アディサク選手はその目的に最適の選手であるとヴォケットFCはアディサク選手を勧めています。
・サバFA
 今季のサバFAの外国籍選手はロドリュブ・パウノヴィッチとギー・ナブユの両FWが4試合でそれぞれ1ゴールずつと活躍できていませんが、そのどちらかの代わりにアディサク選手を獲得することを考えてもいいのでは、とヴォケットFCは提案しています。

5月16日のニュース:クダFA選手への給料未払いは混乱する州政府が原因、タイリーグの代表コンビも給料削減に同意、トレンガヌFCがこのタイミングで?限定版ユニフォーム発表、一方スランゴールFCはチャリティーTシャツを発表

クダFA選手への給料未払いは混乱する州政府が原因
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、Mリーグ1部のクダFAで起こっている給料未払い問題は、クダ州政府内の権力闘争によってさらに複雑化していると報じています。
 以前の報道では、クダFAの選手は30%しか支払われていない2月の給料の残りを先週末に、全く支払われていない3月と4月の給料をイスラム教の断食明けの祝日ハリラヤ前に支払うと約束されていましたが、クダ州議会で起こっている権力闘争によって、その約束が守られておらず、本来ならば1年で最も賑やかに祝われるハリラヤが、今年はそうならないだろうとスタジアムアストロが報じています。
 ことの発端は今年2月にマレーシアで起こった政変による与党連合の再編でした。これにより旧与党連合が政権を握っていた多くの州政府では州首相の交代が起こっています。日本でも有名なマハティール・モハマド前首相の三男、ムクリズ・マハティール氏が州首相を務めるクダ州でも与党連合から複数の議員が離党したことで、与党勢が過半数を割り込み、これまで議会工作などによって政権にしがみついていたムクリズ氏の失脚、そして政権交代が今週中にも起こるだろうと言われています。
 そして州政府が最大のスポンサーであり、州首相が会長を兼任するクダ州サッカー協会KFAは。ここ数ヶ月続いているこの政治的混乱の影響を受けているとされています。
 現在は自宅のあるシンガポールに帰国しているアイディル・シャリン監督は「この給料未払いにより選手のモラルが低下しているのではないかと心配している。政権を担当するのが誰であれ、クラブの福利を考えてくれる人物を支持したい。」と話し、PKNS FCから今期、クダFAに加入したクパ・シャーマンは「この3ヶ月間は非常に苦しかった。クラブの全員が状況を理解してはいるものの、我々にも家族があり給料が必要だ。この状況を改善するために誰かが何かをしてくれるのを祈りながら待つしかできない。」と話しています。
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 同じような状況はマラッカ州でも起きており、マラッカ・ユナイテッドで起こっている給料未払い問題も、州首相の就任による政権交代が原因にあるのは明らかです。旧与党連合が政権を握っていたのはこの他にスランゴール州、ヌグリスンビラン州などがあり、こういった州のサッカー協会が運営するクラブでも、今後同様の問題が発生する可能性はあります。

タイリーグの代表コンビも給料削減に同意
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、タイ1部リーグでプレーするマレーシア代表のドミニク・タンとノーシャルル・イドラン・タラハがいずれも所属するクラブからの給料削減に応じたと報じています。
 ポリス・テロFCでプレーするタン選手は「新型コロナウィルスによって世界中で引き起こされていることを理解し、タイサッカー協会FATによって発表された50%の給料削減を受け入れた」と話しています。
 またBGパトゥム・ユナイテッドでプレーするノーシャルル選手は先月から、給料が30%削減されていることを明かしています。さらに「クラブと自分との間で、3ヶ月間は給料を30%削減することで同意している。また、クラブがトップ3でリーグを終了すれば、削減された分の給料も支払われることになっている。」とも話しています。
 タン選手とノーシャルル選手は、リーグが再開した時点で契約通りの給料を受け取ることになっていることもスタジアムアストロは報じています。

トレンガヌFCがこのタイミングで?限定版ユニフォーム発表
 Mリーグ1部のトレンガヌFCは公式Facebook上で、新しいユニフォームの販売を告知しています。今季のトレンガヌFCのユニフォームサプライヤーのAl-Ikhsan Sports社製で1000着限定で発売されるこのユニフォームはblackout版と名づけられ、クラブのロゴも含めて全てが鉱物のオニキスに因んだ黒色のユニフォームで、速乾性のスマートドライという生地が使われています。
 本日5月16日より販売となり、価格は149リンギ(およそ3670円)でトレンガヌ州のスポーツショップのほか、クアラルンプール市内でも販売されることになっています。
 写真はトレンガヌFCの公式サイトより。鈴木ブルーノ選手とリータック選手がモデルになっています。
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 Blackoutとは停電ですが、漆黒の闇くらい黒いということでしょうか…。 

一方スランゴールFCはチャリティーTシャツを発表
 一方スランゴールFCは公式Facebook上で、Never give upの文字と、スランゴールFCの選手の顔がデザインされたTシャツの販売を発表しています。
 値段は35リンギで(およそ860円)で、このTシャツの売り上げの一部は、新型コロナウィルスの影響を受けている方々への支援に使われるということです。

5月15日のニュース:来季のMリーグは外国籍選手が減少の可能性、タイ代表に来季のJDT加入の噂、スランゴールFAは給料削減が11月までには終えられることを期待

来季のMリーグは外国籍選手が減少の可能性
 マレー語紙ハリアンメトロ電子版は、経営難に苦しむMリーグのクラブの中から今後は高額外国籍選手との契約解除を行うクラブが出るの可能性を報じています。
 新型コロナウィルスの影響により3月中旬から国内リーグMリーグは中断していますが、その再開の可能性は早くとも9月とされており、収入不足から多くのクラブが給料削減を行っています。
 ハリアンメトロによれば、Mリーグの複数のクラブが外国籍選手の契約を来季まで延長しない、契約完了前の早期契約解除、所属する外国籍選手数の削減などの方法で、リーグ中断による経営難に対処しようとしているとしています。
 特に多くのクラブが検討中であるとされるのが、今季終了後に契約が切れる外国籍選手についてはその契約を延長しないケースです。ハリアンメトロはその理由として解約期間中の契約解除などと比べると法的問題が発生しないことを挙げています。
 マレーシアで代理人業務を行なっているエフェンディ・ジャガン・アブドラ氏によれば、外国籍選手1人との契約を解除することで、クラブは1ヶ月あたり2万リンギ(およそ49万3000円)から5万リンギ(およそ123万円)の節約できるとし、今季終了時にそういった選手との契約を解除し、来季には代わりに給料がより安い外国籍選手を獲得するクラブがあるだろうと予想しています。
 「外国籍選手は各クラブに良い影響をもたらすものの、来季はMリーグでプレーする外国籍選手の数が減り、外国籍選手枠(Mリーグ1部は5名、2部は4名、3部は2名+U20 2名)いっぱいまで獲得しないクラブも出るだろう。」と話しています。
 なおハリアンメトロによれば、今季のMリーグ1部スーパーリーグの外国籍選手の平均給料はおよそ2万リンギということです。

タイ代表に来季のJDT加入の噂
 タイ代表の主力選手で現在はタイ1部リーグのムアントン・ユナイテッドに所属するDFサーラット・ユーイェンに来季、JDT入りの噂があります。
 サッカー専門サイトのヴォケットFCによれば、サーラット選手に来季、Mリーグのクラブへの移籍の噂があり、獲得に関心を持っているクラブの一つがMリーグ6連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTだということです。さらに現在、JDTの主将を務めるシンガポール出身のハリス・ハルンに代わって、来季の東南アジア枠での加入となるなどの詳細も噂されています。
 サーラット選手は現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権2023年大会予選で、マレーシアと同組となっているタイ代表の全試合にスタメン出場しており、また2014年と2016年のタイ代表の東南アジア選手権スズキカップの優勝メンバーでもあります。またクラブでは2012年と2016年のリーグ優勝や2016年と2017年のタイリーグカップ優勝なども経験しています。
 なお、この噂が出た後、サーラット選手はタイの英字紙バンコクポストの取材に対して「自分はムアントン・ユナイテッドに満足しているが、何人もの素晴らしい選手や大きなスタジアムを持つJDTのようなクラブに自分が関連づけられて噂されるのは興味深い。現時点では噂ではあるが、もしJDTから獲得オファーがあれば、クラブはその内容を検討するだろう。」と話し、完全に否定をしているわけではありません。
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 来季まで契約が残っているというサーラット選手にも、またクラブにも現時点では正式な獲得オファーは届いていないということですが、ムアントン・ユナイテッドは近年、チャナティップ・ソングラシン(コンサドーレ札幌)、テーラトン・ブンマタン (横浜F・マリノス)、ティーラシン・デーンダー(清水エスパルス)など主力選手を移籍、あるいは期限付き移籍させているということで、「火のないところに…。」といったところかも知れません。

スランゴールFAは給料削減が11月までには終えられることを期待
 スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは、給料削減が11月までには終わるだろうという予測を立てていると英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 自身も給料削減を受け入れているというFASのジョハン・ハミドン事務局長は、1980年代には国内で最も裕福な州FAと言われていたFASも新型コロナウィルスの影響で、3ヶ月間、10%から30%の給料削減を行っていると話す一方で、この状況は11月までには改善し、12月には給料の全額支給が可能になるよう、スポンサーや広告主に支援の継続を求めていることを明かしています。
 Mリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLが予定している通り、9月に再開し、カップ戦も含めて11月までに全日程が終了すれば、クラブ運営の経費も少なくて済むと話すジョハン事務局長は、万が一、リーグが12月まで続くようだと、12月の試合のための予算を計上していないFASにとって大きな問題になるだけでなく、おそらく他のMリーグクラブにとっても問題になる、とも話しています。
 ジョハン事務局長は、リーグが再開されても無観客試合となる可能性があるMリーグについて、MFLによるリーグ再開の際の指針を待っていると話し、FASは年間パスを持っているサポーターに対して、今季の年間パスは来季も使えるようにする予定であると話しています。

5月10日のニュース:ザフアン・アゼマンはタイ3部リーグのクラブと契約解除、クアラルンプールFAはリーグ再開を待たずに解散も、クチンFAは今月からFAMの給料削減指針を採用

ザフアン・アゼマンはタイ3部リーグのクラブと契約解除
 タイ3部リーグでプレーするマレーシア人選手のアザフ・ザフアン・アゼマンが自らのインスタグラム上で契約解除となったことを発表しています。
 昨年2019年8月からタイ3部リーグのアーントーンFCに所属していたザフアン選手は、新型コロナウィルスの影響によりクラブとアゼマン選手が契約解除に合意したとしています。
 インスタグラムのコメントではクラブの会長、スタッフ、コーチ、チームメートそしてクラブ関係者全員に向けて、加入以来、世話になったことへの感謝の意を表し、またこのクラブにいつか戻って来たいと話しています。
 またアゼマン選手はヴォケットFCに対しては、タイに来たことは自分にとって大いに役に立ったこと、タイ3部とMリーグは違いがあるものの似ている点もたくさんあると話し、試合会場のピッチの状況はタイ3部の方がはるかに上で、質の高いプレーヤーもたくさんいるとも話しています。
 なおタイ1部には代表選手のノーシャルル・イドラン・タラハ(BGパトゥム・ユナイテッド)、ドミニク・タン(ポリス・テロ)が在籍しています。
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 タイリーグに関するツイートを見ると、3部だけでなく1部でも外国籍選手が次々に契約解除になっているようで、外国籍選手は全員が契約解除になるのではという噂もある様です。9月まで試合がないタイリーグは今後も契約解除が続きそうで、そうなればノーシャルル選手やタン選手にもその影響が及ぶ可能性もあります。

クアラルンプールFAはリーグ再開を待たずに解散も
 マレー語氏ハリアンメトロ電子版では、Mリーグ2部のクアラルンプールFAが経営困難に直面しており、予定されている9月のリーグ再開までクラブが存続できない可能性があると伝えています。
 クアラルンプールFAを運営するクアラルンプールサッカー協会KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長によると。今期2020年シーズン開幕前には来季の1部復帰へ向けて相応の費用をかけてチームを強化したものの、一部のスポンサーや広告主からのスポンサー料や広告費が支払われておらず、選手およびスタッフへの給料支払いに支障が出ているとしており、「今後もこの状況が続けば、Mリーグの再開が予定されている9月までの3ヶ月間、クラブを存続させていくことが難しくなるだろう。」と話しています。
 クアラルンプールFAの苦境は、新型コロナウィルスによるリーグ中断に加えて、KLFA内での人事も影響しています。KLFAはクアラルンプールを統治する連邦直轄地大臣でもあったカリド・サマド前会長が昨年11月に就任後、2部に降格したクラブを1年で1部へ戻すための手厚い支援を約束していましたが、今年3月の政変でカリド氏は連邦直轄地大臣を解任され、連邦直轄地大臣が会長を務めるKLFAの会長職も辞任、その結果、クアラルンプールFAの運営方針も変更されています。
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 ここでもやはり公的機関や政府機関へ依存するMリーグクラブの問題点が露呈しています。マレーシアの連邦直轄地であるクアラルンプールは連邦政府の管轄で、KLFAの運営には他の州FA同様、公的資金が使われています。連邦直轄地大臣だったカリド氏の国民信用党はマハティール前首相率いる希望同盟の構成党でしたが、3月に発生した政変により希望同盟は政権を失い、野党となった国民信用党のカリド氏は大臣職を解任されてしまいました。カリド氏はKLFAの会長も辞任、KLFAはシーズン途中のトップ交代で方針転換を迫られた上、新型コロナウィルス対策で連邦政府からの支援方針も変更になり、経営困難に陥った、という図式です。

クチンFAは今月からFAMの給料削減指針を採用
 東マレーシア(ボルネオ島)のサッカー専門サイトのサラワク・クロックスは、Mリーグ2部のクチンFAが今月5月からの選手およびスタッフに対する給料削減について、先日、マレーシアサッカー協会FAMが発表した指針に沿って行うと報じています。
 クチンFAのファズルディン・アブドル・ラーマン会長によると、クラブはFAMが示す指針に従うことには依存はなく、この指針に沿ってマレーシア人選手、外国籍選手およびスタッフに対して給料削減を行うとしています。
 ファズルディン会長は「新型コロナウィルスによって影響を受けた他の産業と同様に、Mリーグの各クラブも困難ではあるがFAMの指針に沿った給料削減を行う必要がある」と話しています。
 FAMは自らが示した指針について、既に給料削減についての選手およびスタッフとの合意が得られているクラブには適用できないとしていることから、クチンFAが既に行った給料削減について選手との合意に達していたのは4月分までということがわかります。
 なおクチンFAには鈴木雄太選手と谷川由来選手が在籍しています。

5月9日のニュース:タイのクラブがジオゴ獲得を画策か、その一方でJDTはタイの選手獲得を画策か、そこでMリーグにお勧めのタイ代表5選手

リーグ中断が2ヶ月近く続き、給料未払い問題以外はMリーグ関連のネタが少なくなってきたので、今回は「噂」をもとにした記事3本です…。

タイのクラブがジオゴ獲得を画策?
 サッカー専門サイトのヴォケットFCによると、タイのバンコクをホームとするクラブが、Mリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTのエース、ジオゴ・ルイス・サントスの獲得を狙っているという「噂」がある様です。
 タイのサッカー関連のツイッターAll Things Thai Footballが以下の様な内容をツイートしているということです。
・バンコクをホームにするタイリーグの「トップクラブ」が、JDTのジオゴ・ルイス・サントス獲得についての問い合わせをJDTに対して行った。
・そのJDTはタイ代表でプレーする選手の獲得を目論んでいる。
この噂を取り上げたAll Things Thai Footballは、JDTとこのトップクラブとの間の交換トレードの可能性についても言及しているということです。
 この噂をもとにヴォケットFCが調べたところ、バンコクにホームを持つクラブは1部リーグ所属でマレーシア代表のドミニク・タンが在籍するポリス・テロFC、ポートFC、そして3部のバンコクFCがあり、この内、ポートFCは昨季2019年シーズンのタイFAカップのチャンピオンです。
 また経営的にはタイで最大のレムチャバン港とバンコク港を運営するタイ港湾公社もオーナーの一つであることから、ポートFCが上記の3クラブの中では最も可能性が高いクラブであるとヴォケットFCの記事は結んでいます。
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 JDT加入までの2015年から2018年まではタイ1部のブリーラム・ユナイテッドでプレーし、105試合出場したリーグ戦で、101ゴールを挙げるなど、驚異的な記録を残しているジオゴ選手は、2015年にはブリーラム・ユナイテッドのの国内5冠に貢献するなど

その一方でJDTはタイの選手獲得を画策?
 同じTwitter投稿をもとに、フットボール・トライブのマレーシア版はJDTのタイ代表選手獲得の噂を取り上げています。
 現在、中段中のMリーグはリーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLが9月再開を計画しているものの、マレーシア政府による認可を待っている状態です。そんな中でMリーグのクラブが選手の獲得に動くのかどうかはわかりませんが、フットボール・トライブは、JDTの外国籍選手全員が30歳を超えている事実を挙げて、その可能性を探っています。
 「ジオゴ選手は33歳でJDTで最年長の外国籍選手であり、主将のハリス・ハルンは今年30歳になる。しかし、選手の年齢は、選手がピークのパフォーマンスを維持できていれば問題にならない。現JDTのチームマネージャーを務めるルシアーノ・フィゲロアは35歳までJDTでプレーし、37歳で一度現役に復帰している。この事実からわかることは、JDTの外国籍選手はあと数年はプレーしても不思議ではない。」と、結局は噂扱いかと思いきや、「しかし、JDTがAFCチャンピオンズリーグでより上のレベルを目指すのであれば、選手を入れ替える可能性は否定できない。」とも述べています。

Mリーグにお勧めのタイ代表5選手
 JDTがタイ代表獲得、というのはあくまでも噂なのですが、少々気の早いヴォケットFCは、Mリーグでプレーすればリーグの質を高めてくれるだろうタイ代表選手5名を紹介しています。なお各選手の評価はヴォケットFCの評価をそのまま使っています。
1)FWスパチャイ・ジャディード (ブリーラム・ユナイテッド)
22歳のスパチャイ選手は、ウィングとしてもストライカーとしてもプレーできる現在、売り出し中の若手のエースです。
2)MFティティパン・プアンチャン(BGパトゥム・ユナイテッド)
昨季2019年シーズンはJリーグの大分でプレーしたティティパン選手は、その経験でクラブのプレーの質を高めてくれる選手です。
3)攻撃的MFエカニット・パンヤ(チェンライ・ユナイテッド)
昨季のタイ1部リーグのチャンピオン、チェンライ・ユナイテッドの主力として優勝に貢献したエカニット選手は、弱冠20歳ながらフル代表でもプレーしています。
4)DFアディソン・プロムラク(ムアントン・ユナイテッドFC)
タイでプレーするDFの中でもトップクラスのアディソン選手は、クラブでは2016年のタイリーグ優勝、代表では2012年と2014年のAFF選手権スズキカップ優勝など多くのタイトルを獲得しています。
5)エリアス・ドラ(ポートFC)
ポートFCの主力の1人で、西野朗氏のタイ代表監督就任とともに代表へ招集されるようになった優れたDFです。
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 2つ目の記事を参考にすると、ポートFCがジオゴ選手と交換で選手を放出するとなれば、当てはまるのはドラ選手となります。代表選手としての経験は少ないものの、年齢が27歳、しかも198cmのセンターバックはJDTの現職マウリシオよりも年齢で4歳、身長で13cm高く、ACLでは守備力が課題のJDTの補強ポイントとも合致します。

4月22日のニュース:フェルダ・ユナイテッドが給料削減を決定、一方、ケランタン・ユナイテッドはMCO延長の場合に給料削減を検討、インドネシア代表が新ユニフォーム発表

フェルダ・ユナイテッドが給料削減を決定
 マレーシアフットボールリーグ1部のフェルダ・ユナイテッドFCは、選手や監督、コーチに対して5%カラ20%の給料削減を行うことを発表したと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 給料削減実施を決定したのは、ジョホール・ダルル・タジムJDT、ケランタンFA、マラッカ・ユナイテッド、ペナンFA、クダFAに次いで6クラブ目となります。
 なお、今季から恵龍太郎選手も所属するフェルダ・ユナイテッドの給料削減は、4月14日にクラブと選手やスタッフとの間で合意されたとしており、現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令MCO期間中のみを対象としているということです。
 ニザム・ジャミル監督は、クラブが2018年分の未払い給料を完済したことも明らかにした上で、現場の選手だけでなく、フロントのスタッフらとともに現状を乗り越えるために給料削減をクラブの全員が受け入れたとしています。
 またフェルダ・ユナイテッドのアフィザル・アブ・オスマン事務局長は、ニザム監督とジャサズリン・ジャマルディン主将との話し合いを経て、クラブ全員の同意が取れたとし、U21のプレジデントカップチーム、U19ユースカップチーム、アカデミーの選手を含めた関係者全員に給料削減を知らせる手紙を送ったことを明らかにしています。
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 この記事では、フェルダ・ユナイテッドを含めて6クラブが給料削減に同意とありますが、クチンFAも給料を削減し、その一部を寄付した記事をこのブログで取り上げましたので、正確には7クラブが給料削減に同意ということになります。

一方、ケランタン・ユナイテッドはMCO延長の場合に給料削減を検討
 今季2020年シーズンからマレーシアフットボールリーグMFL2部でプレーするケランタン・ユナイテッドFCは、現在発令中の活動制限令MCOがさらに延長された場合には、給料削減を検討する予定であると、英字紙マレーメール電子版が報じています。
 ケランタン州選出の国会議員でもあるケランタン・ユナイテッドのチェ・アブドラ・マット・ナウィ会長は、現時点でクラブは選手に対して契約通りの給料を支払っていると話す一方で、現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令が解除を予定されている4月28日以降も延長される場合には、選手や監督、コーチと給料削減に関する話し合いを持たなければならないだろうと話しています。

インドネシア代表が新ユニフォーム発表
 インドネシアサッカー協会PSSIの公式サイトでは、代表の新たなユニフォームが発表されています。
 2007年からナイキ社製のユニフォームを使用していたインドネシア代表ですが、今年2020年1月には、タイのWarrix(ウォリックス)社と契約を結び、新ユニフォームが発表されていました。(1月に発表されたホーム(左)とサード(右)-Warrix社のFacebookより)

 しかし今回、発表された新ユニフォームは地元スポーツメーカーのミルズ社製で、これは多くのサポーターからインドネシアのブランドを使うべき、という声が上がったことからPSSIがWarrix社との契約を取りやめたことによるものであるという報道も見られました。

 ミルズ社はインドネシア最大のスポーツメーカーで、トレーニング用ユニフォームは今年2月から代表チームに供給していたようですが、今月4月に試合用ユニフォームのサプライヤーとなったようです。
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 インドネシア代表の伝統的な赤のホームユニフォームには、左右の肩から前面にかけて「ガルーダ・ハグ」と呼ばれる翼がデザインされています。(筆者注:「ガルーダ」はインドの神話に登場する鳥で、ヒンドゥー教の「維持」の神であるヴィシュヌが乗る神鳥。ガルーダはインドネシア代表の愛称でもあります)アウェイやサードユニフォームは追って発表されるということですが、新型コロナウィルスの影響で当面は国際試合が行われる予定もなく、お披露目はまだ先になりそうです。

4月16日のニュース:選手会がJDTオーナーの支持表明に感謝、クダFAサポーターはクラブに未払い問題があることに驚く 、タイ協会は9月に国内リーグ再開を予定、AFCは6月末までの公式戦を全て延期

選手会がJDTオーナーの支持を感謝
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMは公式Facebook上で、「未払い給料問題を抱えるクラブは給料削減の交渉を始める前に未払い給料を支払うべき」というPFAMの主張への支持を表明したジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下に感謝の意を表明しています。
 イスマイル殿下がJDT公式Facebook上で支持を表明すると、直ちにPRAMはサフィ・サリーPFAM会長(PJシティFC)以下、シャーロム・アブドル・カラム(ヌグリスンビランFA)、ラズマン・ロスラン、カイルル・ファミ・チェ・マット(いずれもマラッカ・ユナイテッド)、ファリザル・マーリアス(JDT)、ザクアン・アドハ・アブドゥル・ラザク(クダFA)、スブラマニアム・スーリャパラド(クアラルンプールFA)、シャルル・サアド(ペラTBG)の連名で、「イスマイル殿下がPFAMの主張への指示表明は、殿下がプロサッカー選手に対して心遣い持つことの証であり、また給料削減交渉を行う前にプロサッカー選手の権利と福利が尊重されるべきであることをはっきりと示したものである」、さらに「未払い給料問題を抱えるクラブは速やかに未払い給料を支払い、その上で公平で透明性が高い方法で各選手と個別に給料削減方法の交渉を行うべきである」という内容をFacebook上に投稿しています。
(下はイスマイル殿下に感謝の意を表すPFAMの投稿-TMJはTunku Mahkota Johor「ジョホール皇太子」の意味)

クダFAサポーターはクラブに未払い問題があることに驚く
 マレー語紙ブリタハリアン電子版では、JDTのオーナーでジョホール皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がクダFAに給料未払い問題が存在することを公表したことで、クダFAのサポーターの間で驚きが広がっていると報じています。イスマイル殿下はJDTの公式Facebook上でクダFAの他、マラッカ・ユナイテッド、ケランタンFA、ペナンFAも未払い給料問題を抱えていることを公表し、この4クラブは未払い給料問題を解消してから新型コロナウィルス感染拡大防止のためのリーグ中断い伴う給料削減交渉を行うべきであると述べています。
 ブリタハリアンの記事では、23団体あるクダFAサポーターグループの代表者であるモハマド・サファリザル・モハマド・ソブリ氏の「クダFAが未払い給料問題を抱えていることは驚きであり、(クダFAを運営する)クダ州サッカー協会KFAがこれを深刻な問題とし、クラブのイメージや評判を維持するためにも迅速に対応してほしい」というコメントを紹介しています。さらにサフィリザル氏は「クダFAのサポーターも知り得なかった内部の情報がどのようにして外部(のトゥンク・イスマイル殿下)に伝わったのか、またその内部情報が正確なのかどうかについて、KFAに公式発表を求めてたいとしています。

タイ協会は9月に国内リーグ再開を予定
 隣国タイの英字紙バンコクポスト電子版では、現在中断中の今季のタイリーグ1部と2部は今年9月にリーグを再開する予定であると報じています。
 タイサッカー協会FATのソムヨット会長は、新型コロナウィルスによる被害が収束すること条件ながら、今季2020年シーズンを9月から再開し、来年2021年5月終了とすることがFAT役員および1部と2部のクラブの代表者の満場一致で決まったと話しています。なおカップ戦は予定通り行われることも合わせて発表しています。
 また、今季のリーグ戦が9月再開となった場合、ヨーロッパ各国のリーグと同様の9月開幕5月閉幕という日程は、来年以降もタイリーグで採用される可能性があるとしています。
 さらにソムヨット会長は、1部と2部のクラブに対して最大で50%の選手給料削減を許可すると話す一方で、影響を受ける選手から訴訟を起こされることを避けるため、国際サッカー連盟FIFAおよびアジアサッカー連盟AFCと協議を行なっていくとしています。
 この他、タイリーグの放映権を持つTrueVisionsは、7月にFATへ今季2度目の放映権料を支払う予定であるとしながらも、リーグは開幕から第4節終了後に中断していることからどのくらいの放映権料が支払われるかは不明であり、これによりFATから各クラブへ助成金が支給されるかどうかは決まっていないこと、またタイ代表の西野朗監督の給料も50%削減されることも明らかにしています。
 ソムヨット会長は、さらにタイリーグ3部と4部クラブとの会談は今後行われるよていであること、そして以前このブログでも取り上げた今年年末に予定されている東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップについては、国内リーグ開催時期と重なることから、若い選手にあるいは「2軍」の代表チームが参加する可能性も示唆しています。

AFCは6月末までの公式戦を全て延期
 アジアサッカー連盟AFCは公式サイトにて、新型コロナウィルス感染拡大防止とアジア各国で実施されている移動制限を考慮して、5月と6月に予定されていたAFC主催試合を期限を設けずに延期すると発表しています。AFCは既に3月と4月に予定されていたAFCチャンピオンズリーグACLグループステージなどのAFC主催試合を全て延期しています。
 本来ならば8月から始まるACLノックアウトステージも、グループステージを7月中に終了しない限り、予定通りには始まらないことになりました。マレーシアからはジョホール・ダルル・タジムJDTが出場しているACLグループステージのグループGは全12試合中、3試合しか終了しておらず、ACLが再開となっても、おそらく同時に再開となる各国の国内リーグとの日程調整が難しい上、やはり順延となっているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選件2023年AFC選手権アジアカップ予選もあり、今年後半のサッカーカレンダーは、アジアのサッカー選手に負担を強いるものになりそうです。
 また今回のAFCの発表により、東京オリンピックの女子サッカー出場権をかけた中国対韓国戦も当初予定されていた6月1日と9日の試合が延期となっています。

4月13日のニュース:選手会はクラブに誠実な話し合いを求める、タイでプレーする代表FWの代理人が音信不通に 、音信普通とされた代理人は代表FWに反論(続報)

選手会はクラブに誠実な話し合いを求める
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの選手はクラブと契約の見直しについて話し合いをする用意があるとして、選手の同意なしに契約内容を変更しないようクラブ側に警告しています。
 英字紙スター電子版によると、PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、選手との契約をクラブが一方的に改編することはできないことを理解した上で、先日、FIFAが発表した新型コロナウィルス感染拡大に伴う契約見直しの指針を参考に、クラブは選手とともに契約内容の見直しについて真摯に話し合うべきであると述べ、PFAMはクラブが選手と自由に交渉することを認めています。
 選手はクラブと給料削減についての交渉の席につくべきではないという主張をこれまで繰り返してきたPFAMは、選手に給料削減を強制しているのではなく、クラブとの間で両者が合意できる様な解決を目指すべきと主張するマレーシアサッカー協会FAMと対立していましたが、PFAMは今は争う時期ではないとして、クラブに誠実に話し合うことを求めています。
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 4月14日までとされていた活動制限令MCOが4月28日まで延長することがマレーシア政府から発表され、既に延期が決まっていたMFL第5節と第6節に加えて第7節から第9節までの延期も確定したことから、PFAMも軟化したしたのかも知れません。
 ただしマレーシア政府はMCO期間中の給料削減や解雇は認めないとしており、プロサッカー選手だけにその権利を認めないわけにいかないことから、FAMには交渉による合意を勧めることしかできません。同様の措置をとっている英国政府が選手に給料削減の受け入れを求めたことに対して、選手会はダブルスタンダードであると反発しており、FAMが強硬な姿勢を取れば、PFAMも態度も再び態度を硬化させる可能性があります。

タイでプレーする代表FWの代理人が音信不通に
 今季から隣国タイでプレーするノーシャルル・イドラン・タラハは、新型コロナウィルス感染拡大とともに自分の代理人と音信不通になったと話していると、英字紙ニューストレイトタイムズに語っています。
 マレーシアフットボールリーグMFLで13年間プレーしたノーシャルル選手は、今季からタイ1部リーグのBGパトゥム・ユナイテッドでプレーしていますが、タイ1部リーグは5月2日まで中断となっており、これに伴いクラブが給料削減について選手と交渉を始めたことから、代理人と相談ををしようとしたところ、連絡が取れなくなっているようです。
 「マレーシアと同様にタイでもクラブと選手が給料削減について交渉をするよう促されており、その相談のために代理人に何度も電話を入れたが、返事もメッセージもなく、その理由が不明である」と話すノーシャルル選手は、数日前にその代理人がマレーシアではシンガポール出身の選手が高く評価されている、というこの代理人のコメントをメディアを読んだとして、ケガや病気で連絡が取れないのではないことはわかっていると話し、「もし彼がこの記事を読んでいたら、連絡が欲しい」と訴えています。
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 ノーシャルル選手が言及しているシンガポール選手の記事は、このブログでも取り上げたMFL公式サイトの記事を指すと思われますが、そこに登場する代理人はアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏なので、このアブドル・ハリム氏とノーシャルル選手との間で何らかのトラブルが起こっているのかも知れません。

音信普通とされた代理人は代表FWに反論(続報)
 上の記事が出た翌日のニューストレイトタイムズに続報が掲載されました。
 ノーシャルル選手の代理人(正確には元代理人)のアブドル・ハリム氏が自分の知らないところで、ノーシャルル選手が新たな代理人と契約したと話していることに対して、ノーシャルル選手はその内容を否定しているという内容です。
 ノーシャルル選手は、アブドル・ハリム氏が取締役を務めるOffside Sports社との契約を解除し、タイで代理人業務を行なっているPro 24社と新たに代理人契約を結んだことを認めていますが、その契約変更については、アブドル・ハリム氏自身が直接、クラブを話しをすることを了承し、何も問題はないはずであると述べています。さらにノーシャルル選手が所属するBGパトゥム・ユナイテッドがアブドル・ハリム氏に報酬を支払っていないと主張している点についても、クラブからは支払済だと聞いていると話し、この件については円満に解決することを望んでいるとしています。
 一方アブドル・ハリム氏は、自分がBGパトゥム・ユナイテッドとノーシャルル選手の契約をまとめようとしたところに、Pro 24社の代理人が現れたとしています。そしてノーシャルル選手との契約書を自分に見せた上で、クラブとの契約を完了したとし、そのためにアブドル・ハリム氏には報酬は渡らなかったと話しています。さらにノーシャルル選手は自分と契約をする前に、既にPro 24社と契約しており、契約書にサインする段階でPro 24社が現れて騒動になったとし、一連の騒動でノーシャルル選手に対して失望したと話しています。。
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 この続報を読むと、ノーシャルル選手とアブドル・ハリム氏との間で泥仕合の様相ですが、タイリーグでは開幕戦の第1節と第2節にはいずれも先発しながら、第3節ではベンチ入りも出場なし、第4節ではベンチ入りすらなかったことは、この騒動が艦型しているのかも知れません。
 マレーシア代表の主力選手としては初めてタイリーグへの移籍を実現させたノーシャルル選手が、リーグ再開後に問題なくプレーできるよう、この騒動の早期解決を望みたいでう。

4月11日のニュース:MFLの東南アジア枠選手はシンガポール出身が最多、スランゴールFC監督もシンガポール出身選手に高評価

MFLの東南アジア枠選手はシンガポール出身が最多 
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトでは、MFL1部スーパーリーグの東南アジア枠でプレーする選手を取り上げて特集しています。MFL1部のクラブは最大5人の外国籍選手を登録することができ、その中にはアジア枠1人、東南アジア枠1人が含まれています。
 文化的にも言語的にもマレーシアと似通っているいることから、東南アジア枠の選手獲得を考える多くのMFLクラブがまず検討するのがシンガポールである、と話すのは選手のエージェント業務を行なっているアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏です。シンガポールは1965年に離脱し独立するまではマレーシアの一部でしたが、独立後もシンガポールチームは2015年シーズンまではマレーシア国内リーグでプレーしていたことから、両国のサッカーの歴史や文化は似通っており、他の東南アジアの国々出身の選手に比べると、シンガポール出身の選手はマレーシアの環境に適応しやすいだろうとアブドル・ハリム氏は話しています。
 MFL1部スーパーリーグにシンガポール出身の選手はジョホール・ダルル・タジムJDTの主将ハリス・ハルン、クダFAのシャキル・ハムザ、スランゴールFCのサフワン・バハルディン、トレンガヌFCのファリス・ラムリ、そしてフェルダ・ユナイテッドのカイルル・アムリ・カマルの5名が在籍しています。
 スーパーリーグの東南アジア枠選手には、この他にタイ出身のナルポン・ワイルド(マラッカ・ユナイテッド)、アナウィン・ジュジーン(PJシティFC)、デニス・ブシェニング (サバFA)、フィリピン出身のアダム・リード(パハンFA)、マーク・ハートマン(UITM FC)、カンボジア出身のチエリー・チャンタ・ビン(ペラTBG)おり、PDRM FCは東南アジア枠を使っていません。また、クダFAはフィリピン出身のアミン・ナザリをアジア枠で登録しています。
(写真はMFL公式サイトより)

スランゴールFC監督もシンガポール出身選手に高評価 
 上の記事とは別に、マレーシアの通信社ブルナマはスランゴールFC監督がシンガポール出身の選手を高く評価しているという記事を配信しています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、マレーシアフットボールリーグMFLでプレーしているシンガポール出身の選手は、他の東南アジア諸国出身の選手と比べると非常に質が高いと話しています。
 その理由の一つとして、MFLでプレーするシンガポール出身の選手は全員がシンガポール代表の主力、あるいはかつて主力選手だったことを挙げています。「シンガポール出身の選手は、好不調の波がなく安定しており、ベトナムやタイの選手と比べると給料も高くない。またベトナムやタイの選手は様々な条件を出してくることもあり、文化や言語も違うマレーシアでプレーすることをさほど望んでいないのではないか」と話しています。なお、サティアナタン監督が率いるスランゴールFCの東南アジア枠の選手はシンガポール出身のサフアン・バハルデインです。
 サティアナタン監督は、性格、技術、規律の正しさ、そしてファンやメディアとの良好な関係を築く能力などを、シンガポール出身選手を好む理由として挙げています。
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 MFLでプレーするシンガポール出身選手の代表キャップ数(カッコ内)は、カイルル・アムリ・カマル(132)、ハリス・ハルン(101)、サフアン・バハルディン(96)、ファリス・ラムリ(56)、シャキル・ハムザ(51)となっており、サティアナアン監督が指摘するように代表での経験が豊富で、タイ出身のアナウィン・ジュジーン(5)、ナルポン・ワイルド(0)、デニス・ブシェニング(0)、フィリピン出身のマーク・ハートマン(26)、アダム・リード(5)、アミン・ナザリ(2)、そしてカンボジア出身のチエリー・チャンタ・ビン(36)らのキャップ数と比べても明らかに経験が違っています。(キャップ数はウィキペディアを参考にしています)

4月9日のニュース:マレーシアはAFF選手権出場辞退予定なし、FAMは今季の残り全試合の中止は検討せず、元パハンFAの選手が禁固刑の可能性

マレーシアはAFF選手権の出場辞退はなし
 タイが今年11月に予定されているアセアン(東南アジア)サッカー連盟AFF選手権スズキカップの辞退を検討しているという報道を受けて、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、マレーシアは現時点では、スズキカップの出場辞退の予定はないことを表明しています。
 タイの国内リーグは5月2日まで中断となっており、それが再開されれば、今シーズンの試合日程が今年後半にずれ込む可能性があります。さらに7月以降に延期が決定しているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選がスズキカップと近い時期に開催される可能性があることなどを考慮して、タイサッカー協会FATはワールドカップ予選に専念するためにスズキカップの出場辞退を検討中という報道があります。
 これに対して、FAMのラマリンガム事務局長は、現時点でスズキカップへの出場可否を検討するの時期尚早だと、マレー語紙ブリタハリアン電子版に語っています。
 FATは国内リーグの日程を決める都合などから、早めの決断を行ったのではないか、と述べるラマリンガム事務局長は、FAMはまだ様子を見る時間があると考えており、スズキカップ出場についても時間をかけて判断したいと話しています。

FAMは今季の残り全試合の中止は検討せず
 マレーシアサッカー協会FAMは、新型コロナウィルス感染拡大が続く場合でも、今季の国内リーグ戦など残り試合全ての中止を検討する予定はないとしていると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 マレーシアの国内リーグやカップ戦を直接運営するのはマレーシアフットボールリーグMFLですが、MFLはFAMの方針に従って運営されていることから、MFLはFAMが決めた方針を遵守することが考えられます。
 新型コロナウィルスの感染拡大がどの時点で収束へ向かうのかは不明であり、収束後のマレーシア政府の方針も発表になっておらず、現時点では政府の方針決定を待つしかないと、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は話しています。
 また、MFL各クラブのU19チームが対戦するユースカップとU21チームが対戦するプレジデントカップはFAMが直接、運営しているため、今季の残り試合を継続するか否かの決定は容易であるとする一方で、冠スポンサーがついているMFL1部やマレーシアカップ、FAカップは、スポンサーに対する義務もあることから、たとえその必要がある場合でも慎重な判断が必要になるとも話しています。

元パハンFAの選手に禁固刑の可能性
 昨季2019年シーズンにはパハンFAでプレーし、現在はインドネシア1部リーグのバヤンガラFCでプレーするインドネシア代表のサディル・ラマダニが禁固7年の刑に処せられる可能性があると、インドネシアの新聞コンパス電子版が伝えています。
 南東スラウェシ州出身のラマダニ選手は、3月27日に州都のコタ・クンダリでの自宅近くで酔っ払いに自分の母親が侮辱されたことに腹を立て、その侮辱した相手に重傷を追わせた容疑で告発されており、最悪の場合には禁固7年が求刑される可能性があるとコンパスは報じています。
 現在は警察による捜査が進行中ということで、ラマダニ選手には警察署への出頭命令が出されているのみで、逮捕されてはいないということですが、バヤンガラFCのフロントは有罪となれば解雇とすることを示唆しておりで、U23代表だけでなくフル代表でも左ウィングでプレーする21歳のラマダニ選手は、判決次第では選手生命が断たれてしまう可能性もあります。
 ラマダニ選手は自分の家族が侮辱されるのを見過ごすわけにはいかなかったと述べ、自らの行為については責任を負う覚悟があると話しているということです。