1月29日のニュース:KLユナイテッドが契約不履行で訴えられる、AFCカップ グループステージ組み合わせ決定-アイディル監督はかつて指揮したクラブと同組に、ACLグループステージ組み合わせ決定-JDTは中国リーグ優勝クラブや名古屋と同組に、JDTは英国1部のU23チームでプレーするナサニエル・シオと契約

 今季Mリーグ1部に昇格するクアラルンプール・ユナイテッド(KLユナイテッド)が、チリ出身で前東ティモール代表監督のシモン・エリゼッチ氏の今季監督就任を昨年末に明らかにしたことはこのブログでも紹介しましたが、そのニュースを取り上げた時点ではエリゼッチ氏は既にマレーシア入りしており、渡航者全員に求められる検疫隔離期間でした。それが急遽、今月に入るとケランタンFCなどで監督を務めたクロアチア出身のボジャン・ホダック氏の監督就任が報じられる一方で、契約間近と思われたエリゼッチ氏に関する報道はぴたりと止みました。
 そのエリゼッチ氏が契約の不履行と、自身のコーチとしての実績を中傷しているとしてKLユナイテッドに対して法的措置を取ることを明らかにしてます。
 英字紙ニューストレイトタイムズは、エリゼッチ氏が弁護士を伴って開いた記者会見の様子を伝えています。この会見でエリゼッチ氏は、KLユナイテッドが正当な理由や手続きを踏まずに契約を解除したとして、その損害賠償を求めて民事訴訟を起こしたことを明らかにしています。
 KLユナイテッドはエリゼッチ氏が有効なプロコーチライセンスを保持していないことを主張しているとされていますが、記者会見に同席した弁護士はアジアサッカー連盟AFCとマレーシアサッカー協会FAMが承認している有効なライセンスを保持していると述べ、KLユナイテッドによる虚偽の告発によってエリゼッチ氏は評判を汚されたとして民事訴訟を起こす他、契約不履行をFIFAに訴えるとしています。なおエリゼッチ氏はKLユナイテッドに対して非常に失望していることから示談での解決を望んでいないことも弁護士が明らかにしています。
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 別の報道ではエリゼッチ氏が求めている損害賠償の額が350万リンギ(およそ9021万円)というものや、KLユナイテッドのスタンリー・バーナードCEOの関知しないところで契約が結ばれたなどというものもあり、両者による泥試合の様相を呈してきました。

AFCカップ グループステージ組み合わせ決定-アイディル監督はかつて指揮したクラブと対戦へ
 2021年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)とAFCカップのグループステージ組み合わせ抽選が1月27日にクアラルンプールのAFCハウスで行われ、Mリーグを代表して出場する3チームの対戦相手が決まりました。
 AFCカップには昨季Mリーグで2位のクダ・ダルル・アマンと3位のトレンガヌが出場します。クダ・ダルル・アマンは予選H組となり、昨季国内リーグ3位のサイゴン(ベトナム)、同3位のライオンシティ・セイラーズ(シンガポール)、そして現在は未定の第2プレイオフの勝者と同組となっています。クダ・ダルル・アマンのアイディル・シャリン監督はMリーグでの監督就任前にはライオン・シティ・セイラーズの前身であるホーム・ユナイテッドで2016年から2018年まで監督を務めており、自身が監督をする新旧チームの対戦となりました。
 マレーシアの通信社ブルナマの報道によれば、現在のライオンシティ・セイラーズのメンバーの80%を知っていると話すアイディル監督は、その強さも弱さも理解しているとしていますが、ライオンシティ・セイラーズがリーグ史上最高額となる300万シンガポールドル(およそ2億3500万円)の移籍金で最近獲得したブラジル人MFディエゴ・ロペスについて問われると、かつて監督を務めたクラブが今大会のタイトル獲得を真剣に狙っているとしながらも、クダ・ダルル・アマンはG組の他のチームと張り合う十分な力があると話しています。
 また予選I組となったトレンガヌは昨季国内2位のカヤ-イロイロ(フィリピン)、同4位のゲイラン・インターナショナル(シンガポールリーグ)、同1位のシャン・ユナイテッド(ミャンマー、ただしシャン・ユナイテッドがACL出場権を獲得した場合には同3位のエーヤワディー・ユナイテッドが繰り上げでこのグループに参加します。)と同組となりましたが、G組、H組と比べるとやや楽な組に入った印象です。
 トレンガヌのズル・ファドリ・ロジ チームマネージャーは、この組み合わせを好機と捉えてグループステージ突破を目指したいとブルナマに話しています。
 FCカップのアセアン地区グループステージは6月22日から28日に一回戦総当たりの集中開催が予定されています。(ただし開催地は未定。)

ACLグループステージ組み合わせ決定-JDTは中国リーグ優勝クラブや名古屋と同組に
 AFCカップのグループステージ組み合わせ抽選に続いて行われた2021年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ組み合わせ抽選で、Mリーグ7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTは予選G組となり、昨季の中国リーグチャンピオンの江蘇蘇寧、Jリーグ3位の名古屋グランパス、そして第3プレーオフの勝者と同組となっています。
 Mリーグ1部優勝チームがプレーオフを経ずにACLへ参加できるようになって今回が3大会目ですが、3年連続の出場となるJDTは過去2大会で日本のクラブとは1勝2敗、中国のクラブとは0勝2敗という成績を残しています。(注:新型コロナウィルスにより中断した昨季2020年ACLグループステージが集中開催で再開した際、JDTはマレーシア政府から開催地カタールへの渡航が認められれず大会途中で事態となり、正式記録では対ヴィッセル神戸(5-1でヴィッセルの勝利)の記録は無効になっている他、同組だった広州恒大(中国)とも対戦しませんでした。)
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 ACLでは既にホームでは勝点3を挙げているJDTの今季の現実的な目標はアウェイマッチでの勝点3獲得ですが、今季もなかなか厳しい組に入ってしまったようです。

JDTは英国1部のU23チームでプレーするナサニエル・シオと契約
 JDTは公式Facebookで英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズのU23チームでプレーする20歳のMFナサニエル・シオ・ホング・ワンと契約をしたことを発表しています。ロンドン生まれのシオ選手はジョホール州出身のマレーシア人の母親と中国人の父親を持ち、イギリス、マレーシア、中国の代表でプレーする資格があるということです。
 JDTの公式Facebookでは、シオ選手のマレーシア国籍取得を条件とした獲得であるとして、シオ選手の現在の契約が切れる6月以降からマレーシア国籍取得手続きを始めるとしています。

1月27日のニュース:Mリーグ開幕は3月5日に延期-FAカップは2季連続で中止に、JDTのACL出場資格が確定、今季のACLとAFCカップグループステージは集中開催が決定

Mリーグ開幕は3月5日に延期-FAカップは2季連続で中止に
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、2月26日に予定されていた今季2021年シーズンの開幕を3月5日に延期することを公式サイトで発表しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、臨時のMFL理事会を開催後、Mリーグ各クラブ代表者から意見を聞き、その了承を得た上での延期であるとしている他、代表が出場するFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選、ジョホール・ダルル・タジムJDTが出場するアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ、クダ・ダルル・アマンFCとトレンガヌFCが出場するAFCカップなどの日程も考慮に入れた結果であることも明らかにしています。
 さらにアブドル・ガニCEOは、過密日程を避けるため昨季に続いてFAカップの中止を決定した一方で、Mリーグ1部と2部のクラブが出場するマレーシアカップとチャレンジカップについては開催するとしています。

JDTのACL出場資格が確定
 Mリーグ1部を7連覇中のJDTは、昨季2020年シーズンのアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場しながら、新型コロナウィルスによる中断を経たグループステージ再開時に集中開催地となったカタールへの渡航について、マレーシア政府の安全保障委員会NSCがJDTの渡航を許可しなかったことにより断念し、グループステージを途中辞退せざるを得ませんでした。
 しかしこのJDTが今季もMリーグチャンピオンとして出場資格を持つACLへの出場申し込みを行った際にAFCからの回答が保留されていたことから、昨季のACL途中辞退の罰則として今季のACL出場が認められない可能性が取り沙汰されていました。
 これについてマレーシア語紙ウトゥサンマレーシア電子版は、AFCの協議委員会がJDTのACL出場を認める決定を下したことを報じています。
 マレーシア人でもあるAFCのウインザー・ポール・ジョン事務局長は、マレーシア政府から書簡を受け取ったことを明かした上で、様々な要因を含めて検討した結果、出場許可が決定されたと話しています。

今季のACLとAFCカップは集中開催が決定
 本日1月27日には今季のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ(ACL)とAFCカップの組み合わせ抽選が行われますが、いずれも集中開催で行われることがAFCの公式サイトで発表になっています。今季から40クラブが出場するACLは従来通り西地区と東地区に分かれて開催、また今季から39クラブが出場するAFCカップは新たに加わる2地区を含めた5地区でグループステージが開催されます。
 ACLにはMリーグチャンピオンのJDTが出場しますが、JDTが所属する東地区のグループステージは4月21日から5月7日に予定されています。(集中開催地は未定)
 また今季のACLはグループステージは1回戦総当たり、その後、準々決勝までは1回戦のノックアウト方式、そして準決勝以降からがホームアンドアウェイ方式となります。以下、ACLの予定表です。

AFC Champions League 2021 match schedule

 一方のAFCカップには、マレーシアからは昨季Mリーグ2位のクダ・ダルル・アマンFCと3位のトレンガヌFCが出場します。両チームが所属するアセアン地区のグループステージは6月22日から28日に開催が予定されています。(開催地は未定)
 AFCカップも1回戦総当たりのグループステージ後は、アセアン地区の準決勝、決勝はいずれも1回戦のノックアウト方式となっています。その後、アセアン地区の勝者は南、中央、東の各地区の勝者と準決勝で対戦し、そこから決勝に進み、勝ち抜けると西地区の勝者と一発勝負の決勝戦に望むことになります。以下、AFCカップの予定表です。

AFC Cup 2021 match schedule

1月26日のニュース:マレーシアのW杯予選は6月に開催か、W杯予選出場の代表選手も新型コロナウィルスワクチン接種の対象に、AFCがU19選手権など主催大会中止を正式に発表

マレーシアのW杯予選は6月に開催か
 3月に再開が予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアが所属する予選G組の4カ国が日程変更に同意していると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 予選G組はマレーシア、アラブ首長国連邦UAE、ベトナム、タイ、インドネシアの5カ国で構成されていますが、この5カ国のうちベトナムを除く4カ国が予選開催時期を予鈴されている3月から6月へと変更することに同意しているということです。
 新型コロナウィルスの感染状況が各国ごとに異なることから、アジアサッカー連盟AFCは、予選各組内で予選再開時期についての同意を得るよう求めています。
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、FAMが行った予選再開を6月とする提案について、ベトナムを除く各国から同意を得られていることを明かし、残るベトナムについても近々話し合いを行った上で、新たな予選の日程を提案したいと話しています。
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 6月再開となった場合、予選G組の残る試合は集中開催で行われるとされており、マレーシアを含めた各国が自国開催に動いているという別報道もあります。

W杯予選出場の代表選手も新型コロナウィルスワクチン接種の対象に
 早ければ来月2月からマレーシアでも始まる新型コロナウィルスのワクチン接種ですが、早期接種の対象にサッカーマレーシア代表選手が含まれるとニューストレイトタイムズが報じています。
 W杯アジア二次予選が当初の予定通り3月に再開される場合と条件つきながら、科学技術革新省のカイリ・ジャマルディン大臣はこの件について、マレーシアサッカー協会FAMと協議中であることを明らかにしてしています。、
 タン・チェンホー代表監督はチーム全員が安心してアジア二次予選に望むことができるとして、この早期接種案を歓迎すると述べています。
 「(新型コロナウィルスワクチンの)早期接種の対象を誰とするべきかについては、いろいろな考えがあることは理解しているが、W杯予選に臨む自分たちが接種を受けられるのであれば、国外で試合をするチームにとっても心強い。ワクチンの安全性を疑問視する声もあるが、移動中に感染する可能性もあることから、チームにとって良いと思えることについては積極的に検討したい。」とタン監督は話しています。
 この他、当初予定されていた国家スポーツ評議会NSCが運営するブキジャリルの施設で完全隔離形式で行う予定の代表合宿については、既にNSCの施設を数100名の他の競技の選手が利用している上、6名で1部屋に宿泊する必要があるなど、完全隔離の実効性についてNSCとFAMが協議中であることもこの記事で取り上げられています。

AFCがU19選手権など主催大会中止を正式に発表
 アジアサッカー連盟AFCは公式サイト上で予定されていたU19選手権などの中止を正式に発表しています。
 このブログでは以前にもAFCからインドネシアサッカー協会に送られた書簡から大会中止が濃厚というニュースを取り上げましたが、それが正式に決定したことになります。
 新型コロナウィルス感染が各地で収束を見せない中、今年に延期されていたU19選手権やU17選手権は、FIFAが既にその上位大会となるU20W杯、U17W杯をそれぞれ中止が決定したことを受けて、又参加チームの安全と健康を考慮した結果、中止が決定したということです。
 なおこれも既報通り、当初の開催国であったウズベキスタンとバーレーンが、次回大会となる2023年大会からそれぞれ名称が変更となるAFC U20アジアカップとAFC U17アジアカップの開催国となるということです。
 AFCはこの他、2020年から延期されていたフットサル選手権(クウェート)、ビーチサッカーアジアカップ(タイ)の中止と、同じ開催国での2022年AFCフットサルアジアカップと2023年のAFCビーチサッカーアジアカップの開催も発表しています。

1月23日のニュース:AFCはW杯アジア二次予選の日程変更を許可、代表合宿実施もリーグ開幕直前の各クラブの反応は、ケランタンFCオーナーがFAMとMFL代表者と会談、TFC IIの渡邉選手を地元紙が特集

ネット上には今季のMリーグ中止決定といったフェイクニュースも出ているようですが、Mリーグの今季日程は来週には発表になるようです。では今日のニュースです。

AFCはW杯アジア二次予選の日程変更を許可
 3月に再開が予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選についてアジアサッカー連盟AFCが予選各組に日程の柔軟な変更を許可したと、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 ブリタハリアンとのインタビューでAFCのウィンザー・ポール・ジョン事務局長は、「(アジア二次予選)の日程は発表になっているが、新型コロナウィルスの感染状況が各国ごとに異なっていることから、各国は当初の日程通りに予選を開催するかどうかを予選同組内で話し合い、必要であれば(アジア二次予選各組最終戦が予定されている)6月まで延期することを可能とする。またその際には集中開催など方式の変更についても許可するが、6月以降の延期は認められない。」と話しており、マレーシアサッカー協会FAMが日程変更を求めるのであれば、アラブ首長国とベトナムの両サッカー協会と話し合いを持つ必要があるとしています。
 既に発表されている予定では、マレーシア代表は3月25日にアウェイのアラブ首長国戦、3月30日にはホームでベトナム戦、そして6月15日はアウェイのタイ戦が組まれています。
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 AFC関連ではこの他、AFCが主催するAFCチャンピオンズリーグACLとAFCカップも新型コロナウィルスの影響から集中開催の可能性が取り沙汰されています。ACLは4月14日から、AFCカップは4月6日から開幕が当初の予定で、ACLには昨季のMリーグ1部チャンピオンJDTが、AFCカップには同2位のクダ・ダルル・アマンFCと同3位のトレンガヌFCがそれぞれ出場します。

代表合宿実施もリーグ開幕直前の各クラブの反応は
 青年スポーツ省の許可が出たことで、一旦は中止とされていた代表合宿が行われることになりましたが、2月末のMリーグ開幕が迫った状況下での代表候補選手招集について、各クラブは板挟みになっているとマレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 タン代表監督は、3月に再開されるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に向けて、1月29日から2月7日までを代表合宿期間として希望しているとされていますが、この時期は2月26日に予定されているMリーグ開幕まで1ヶ月を切っている時期です。
 モハマド・ユソフ・マハディ代表チームマネージャーは、当初予定されていた1月15日から26日までの日程には同意していたMリーグ各クラブは、合宿の日程が変更になったことで招集に難色を示す可能性もあり、各クラブ代表者との話し合いが重要であると、ハリアンメトロとのインタビューで話ししています。

ケランタンFCオーナーがFAMとMFL代表者と会談
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebook上で、ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーとFAM、Mリーグを運営するMFLの代表者による会談が行われたことを明らかにしています。
 スランゴール州クラナジャヤにあるFAMの本部で行われた会談には、ノリザム オーナーの他、FAMからはモハマド・ユソフ・マハディ会長代理とスチュアート・ラマリンガム事務局長が、MFLからはFAM副会長でもあるアブドル・ガニ・ハサンCEOが出席した他、ケランタン州サッカー協会のアフマド・ムザッキル・ハミド副会長も出席したと言うことです。
 会談の詳細は明らかにされていませんが、投稿の表題には「3者間の問題解決」とあるので、これ以上の論争が続くことはなさそうです。
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 JDTのオーナーであるジョホール州皇太子のトゥンク・イブラヒム殿下からは「ただのビジネスマン」と評されたノリザム オーナーですが、今度はクランタンFCのピッチ上の成功で記事になってもらいたいものです。

TFC IIの渡邉選手を地元紙が特集
 今季Mリーグ2部のトレンガヌFC II(TFC II)でプレーする渡邉将基選手をハリアンメトロが「ワタナベの大きな使命」と題した特集記事を掲載しています。以下は記事の内容の抜粋です。
 「外国籍選手のマサキワタナベはTFC IIでの大きな使命があることを明らかにした。京都出身の35歳は今季のチャレンジカップ優勝とMリーグ2部優勝に加えて、チームの若い選手たちの「師匠」になりたいと話している。『自分がTFC IIを移籍先として選んだことは正しいと思っている。その理由はチームの雰囲気が良いことに加え、チーム内の若い選手たちが将来、(トップチームの)トレンガヌFCを担う質が高い選手たちであることだ。さらにバドルル・アフザン・ラザリ監督とスブリ・スロン コーチらの首脳陣もこのチームの重要な強みであると思っている。こういった点からも、今季はこのチームで優勝すること、そして若い選手たちのメンターの役割を果たすことを望んでいる。』昨季は同じ2部のケランタンFA(現ケランタンFC)、その前にはフェルダ・ユナイテッドやプルリスFAでもプレーしたマサキは、自分の好きなポジションを尋ねられた際には、監督が求めるポジションはどこでも自信を持ってプレーすると話す一方で、『自分の本来のポジションはセントラルディフェンダーだが、中盤もできるし、チームが求めるなら攻撃的なポジションでプレーすることもできる。』と話している。」
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 渡邉選手がMリーグでプレーするのは上の記事にもあるようにTFC IIが4クラブ目となりますが、ちなみにこれは鈴木ブルーノ選手(ヌグリスンビランFA-TFC II-TFC-PDRM FC)と並ぶ日本人タイ記録です。
 TFC II 昨季はMリーグ2部プレミアリーグで2位と好成績を収めており、リーグ優勝とチャレンジカップの二冠は至極現実的な目標ですので、是非、若い選手を背中で引っ張るメンターになりその目標を達成して欲しいです。
 
 

1月18日のニュース:FIBはクラブライセンス交付をけた3クラブを今後も監視、ケランタンFCオーナー対MリーグCEOの第2ラウンド勃発、マレーシアが出場予定のAFC U19選手権は結局中止に

 ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーがマレーシアサッカー協会FAM、マレーシアンフットボールリーグMFLと繰り広げている舌戦が第2ラウンドに入りました。野次馬根性丸出しで取り上げています。

FIBはクラブライセンス交付をけた3クラブを今後も監視
 マレーシアサッカー協会FAMが、条件付きで2021年のクラブライセンスが交付されていた7クラブの内、UKM FCを除いた6クラブにフルクラブライセンスを交付したことは、先日のこのブログでも取り上げましたが、ライセンス交付を担当するFAMのクラブライセンス交付第一審査機関(FIB)のシーク・モハマド・ナシル議長は、Mリーグ1部のマラッカ・ユナイテッド、スリ・パハン、そして2部のサラワク・ユナイテッドの3クラブについて、FIBに提出された宣言書の内容が守られなかった場合には交付されたクラブライセンスの無効も含めた措置を取る可能性があるとし、今後もこの3クラブを監視していくと話しています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によれば、選手の税金と労働者積立金を滞納しているマラッカ・ユナイテッドと未払い給料を抱えるスリ・パハンとサラワク・ユナイテッドは、いずれもこれらを分割で支払うことを関係機関及び選手との間で合意しており、マラッカ・ユナイテッドは1回目の支払い分となる47万6160リンギを、ケランタンFA(ケランタンFCではありません)は4万4327リンギの支払いをそれぞれ終えており、残る未払い給料も予定されている日程に沿って支払われることになっているということです。またサラワク・ユナイテッドは来月2月よりやはり分割で未払い給料の支払いを行うということです。
 この状況についてシーク・モハマド・ナシルFIB議長はこの3クラブがフルライセンス交付に当たっての条件となっている分割払いが行われる状況を監視し続けるとし、この分割払いが予定通り行われない場合や、マレーシア人以外の選手への未払い給料問題が発覚した場合には、クラブライセンスの無効化も含めた処分を行うと話しています。

ケランタンFCオーナー対MリーグCEOの第2ラウンド勃発
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーに対して、MFLの方針に反するコメントを公言することは、倫理規定に反する行為であると非難しましたが、ノリザム オーナーはこれに対してさらに反論を行なっているとブリタハリアンが報じています。
 未払い給料問題を抱えるケランタン州サッカー協会(ケランタン州FA)がこの問題を解決しなければ、FAMはケランタンFCの勝点剥奪処分を課すという発言の有無をめぐってFAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長とメディア上で非難の応酬を繰り広げたノリザム オーナーはその流れでMFLへも非難の矛先を向けました。これに対してMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは既に各クラブに対して説明済みの問題を敢えて蒸し返したとして倫理規定に違反するとしてノリザム オーナーを非難し、理由説明書を送付して説明を求めました。
 これで一件落着かと思いきや、ノリザム オーナーは理由説明書を受け取ったことを明らかにした上で、MFLのアブドル・ガニCEOに対して「MFLのCEOであるにも関わらず、ケランタン州FAとケランタンFCは民営化の結果、互いに別の組織となったことを理解していない。Mリーグ参加クラブを所有しているのが誰なのかをもっと正確に把握するべきだ。」と改めて非難しています。
 昨年9月にケランタン州FAからクラブの経営権を買い取ったノリザム オーナーは所有するケランタンFCがMリーグやMFLにマイナスイメージを植え付ける意図は全くはないとした上で、MFLに対して組織の透明性をより高め、Mリーグクラブのオーナーともミーティングを行うなど、プロらしく行動するべきであると提言しています。
 「MFLは経営状況を公開し、信用性、透明性、法令遵守をより高めるべきである。ケランタンFCは現在に至るまでMFLから会計監査の結果や年次総会の日程などの連絡を全く知らされていない。」とも述べているノリザム オーナーは、自身がMFLに求めているのはMリーグの地位や価値を高めるために、企業経営の監督管理を改善するための行為であるとも話しています。

AFC U19選手権は結局中止に
 東南アジアサッカー連盟AFFの公式サイトでは、昨年から延期されていたアジアサッカー連盟AFC U19選手権とU16選手権がいずれも中止となったと報じています。
 インドネシアサッカー協会(PSSI)のモハマド・イリアワン会長が今月1月15日にAFCから中止決定を知らせる内容を公式に書面で受け取ったことを報じている他、その書面にはAFCフットサル選手権とAFCビーチサッカー選手権の中止も書かれていたということです。
 マレーシアも出場予定だったAFC U19選手権は昨年10月にウズベキスタンで開催予定でしたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で今年3月に日程が変更になっていました。また同U16選手権は9月にバーレーンで開催予定でしたが、こちらも今年3月から4月にかけての開催に日程が変更になっていました。またこの両選手権の上位チームが出場する予定だったFIFA U20W杯と同U17W杯は既に中止が決まっていました。
 この中止決定を受け入れたと話すイリアワンPSSI会長は、AFCの決定を尊重するとし、中止によってPSSIはU16代表とU19代表の強化により多くの時間が取れると話しているということです。
 また中止となった選手権は2023年にAFC U20アジアンカップ、AFC U16アジアンカップとしてそれぞれウズベキスタンとバーレーンで開催される予定ということです。
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 U19選手権とU16選手権中止のニュースはAFCの公式サイトでは一切発表されていないのですが、AFFの公式サイトで記事となっていたので、取り上げました。

1月30日のニュース:2020年マレーシアサッカー重大ニュース(前編)

世界中が新型コロナウィルスに振り回された2020年はマレーシアも御多分に洩れませんでした。異例ずくめだった今年のマレーシアサッカーをボラセパマレーシアJP的視点で2日間に分けて振り返ります。

Mリーグの長期中断と試合数半減
 2月28日に昨年2019年のMリーグ1部覇者ジョホール・ダルル・タジムJDTと同年のFAカップ覇者クダFAの対戦で開幕した今季のMリーグでしたが、新型コロナウィルスの影響を受け3月15日に開催された第4節をもって中断期間に入りました。
 その後、8月28日の第5節開催まで5ヶ月以上の中断期間を強いられたMリーグ主催者のマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季の日程をMリーグ1部、2部ともに通常の22試合から11試合へと半減して開催することを発表。今季のMリーグは最終的に各チーム1回戦総当たりという変則日程となりました。
 マレーシアサッカーの年間カレンダーは、1年間を大きく分けると前半はMリーグ、後半はマレーシアカップ、そしてMリーグの合間にFAカップという日程が通例ですが、今季は5ヶ月を超える中断期間によりFAカップは中止となりました。
 また8月のリーグ再開後はMリーグの全試合が無観客試合として開催されました。

マレーシアカップが1回戦開催後中止
 第1回大会が1921年(大正10年)に開催されたマレーシアカップは日本の天皇杯とともにアジア最古のカップ戦の一つです。マレーシア(当時は英領マラヤ)も戦場となった1942年から47年の太平洋戦争による中断時期を除き、毎年開催されてきたこの大会も、10月31日のMリーグ閉幕から1週間ほどで開催された11月初旬の1回戦終了後に国内感染者数が急増したことから、急遽、中止に追い込まれました。

M3リーグが中止
 Mリーグ3部にあたるセミプロリーグのM3リーグは、1部と2部より遅れて3月初旬に開幕しましたが、第2節を終えた時点で今季の中止が発表されました。
 1部と2部のクラブと比べると、スタジアムでなく観客席のないフィールドをホームとするクラブもあり、いわゆるソーシャルディスタンスを厳格に適応することができないことが理由とされましたが、M3リーグには経営基盤が万全でないクラブもあり、長期中断よりは中止を歓迎する声が上がったことも報じられました。
 今季のM3リーグには岸健太(PIB FC)、木下怜耶(アルティメイトFC)、高山龍(ランカウィシティ)、宮崎崚平(ムラワティFC)、米澤淳司(スマラクFC)の5名の日本出身選手が加入し、個人的には観戦をとても楽しみにしていましたが、残念ながら実現しませんでした。

JDTがMリーグ7連覇
 短縮日程となったMリーグ1部はJDTが9勝2分0敗、得失差25で2位のクダFAに勝点差7をつけた圧勝で7連覇を飾っています。
 優勝を決めたホームゲームでは、リーグ再開後は無観客試合とされていたにも関わらず選手家族をスタジアム観戦させて味噌をつけました(但しこれはJDTには何の落ち度もなく、それを許可したリーグ主催者MFLに非があります)が、対抗馬とされたクダFAやスランゴールFCが取りこぼしを繰り返すのを尻目に淡々と勝利を積み重ねた結果の順当な連覇でした。

JDTのACL辞退
 昨季のリーグ王者としてAFCチャンピオンズリーグACLに出場したJDTは、グループステージ開幕戦となったアウェイのヴィッセル神戸戦では1−5と大敗を喫したものの、次戦のホームでは今大会ベスト8に残った水原三星を2-1と撃破し、昨季の鹿島アントラーズ戦に続くACL2勝目を挙げ、1勝1敗と星を五分に戻したところでACLが新型コロナウィルスにより中断しました。
 一時はマレーシア国内での集中開催も発表されたACLグループステージでしたが、マレーシア国内の新規感染者が増加傾向にあったことから開催は取りやめ、結局は11月にカタールで集中開催が決定したものの、この時点で出入国を厳しく管理していたマレーシア政府は国外で開催されるACLへの出場に対してJDTに「強い勧告」を行い、これを受け入れたJDTは残り試合への参戦を辞退、これにより既に終了していたグループステージ2試合の結果も無効となりました。

複数クラブで給料未払いが明らかに
 今季ピッチ外での話題の中でボラセパマレーシアJPが最も多く取り上げたのが給料未払い問題でした。給料未払い問題はいわばマレーシアプロサッカーが抱える慢性的な問題であり、今に始まったことではありませんが、今季は特に新型コロナウィルスの影響で主な収入源の入場料収入を失い、さらに後ろ盾となる州政府(リーグ参加クラブの半数以上を占める州サッカー協会が運営するMリーグクラブは州政府から運営資金援助を受けています)がやはり新型コロナウィルスへの対応で予定外の出費を強いられた皺寄せで資金が削減されるなど、例年にも増して給料未払い問題がほじられる回数が多かった気がします。例えば今季Mリーグ1部に昇格したばかりのPDRM FCは、給料未払い問題を理由にリーグ開幕前に勝点3剥奪の処分を受け、勝点-3からのリーグスタートとなったことを皮切りに、同じ1部のマラッカ・ユナイテッドFC、さらに2部のケランタンFAも勝点3剥奪処分を受けました。(なおPDRM FCは結局、勝点-1でシーズンを終えています。)
 この他、開幕前に大型補強を行いJDTの連覇を阻む最有力候補の一つと見られていたクダFAがリーグ中断前の4試合を1勝1分2敗と予想に反する苦戦ぶりを見せましたが、のちに選手や監督、コーチには3月途中から給料が未払いとなっていることが明らかとなりました。給料未払い問題解決の目処がついたリーグ再開後は6勝0分1敗の成績を収めただけに残念でした。
 さらにリーグ中断期間中の8月には給料未払いを理由に1部パハンFAに所属するモハマドゥ・スマレがチームを離脱し、タイ1部のポリス・テロFCへ加入、一方のパハンFAは契約違反でスマレ選手を非難する事態になっています。

フェルダ・ユナイテッドFCがMリーグ撤退
 短縮された今季日程も最終節第11節を残すばかりとなった10月初旬に発表されたのがフェルダ・ユナイテッドFCが今季をもってMリーグから撤退するというニュースでした。
 政府系機関の連邦土地開発公社フェルダが運営するフェルダ・ユナイテッドFCは2007年創設と新しいクラブではあるものの、2部での優勝2回、1部でも2016年は2位、翌2017年も3位の成績で、2017年にはAFCカップに出場経験もあります。
 今季は降格圏との境界を行き来する成績だったフェルダ・ユナイテッドFCは、これまでのクラブ運営会社から本社に経営権が移った直後の撤退発表により、最終節に勝利すれば1部残留の可能性が残されていた中、スランゴールFCに6−1と大敗し、2部降格となりました。
 その後、旧運営会社の関係者が新たなスポンサーを獲得しクラブの存続を目指したものの、MFLはそのスポンサーの経営基盤が脆弱だとして旧経営会社関係者によるMリーグ参加存続の申請を却下し、Mリーグ撤退が決まりました。
 この他、同様に主要スポンサーだったマレーシア国立大学UKMがスポンサー撤退を表明した2部のUKM FCもMリーグ撤退が決まっています。

12月2日のニュース:クチンシティFCにイルファン新監督就任、ヌグリスンビランFAは前PJシティ監督のデヴァン氏が新監督就任、ラジャゴパル元代表監督がブルネイ代表監督に就任、AFCカップのグループステージは集中開催方式に変更

クチンシティFCにイルファン新監督就任
 3昇格後初のMリーグ2部で今季は4位と検討したクチンシティFC(来季より、今季はクチンFA)は前トレンガヌFC監督のイルファン・バクティ・アブ・サリム新監督の就任を発表しています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によれば、クチンシティFCのファズルディン・アブドル・ラーマン会長は、クラブからの契約延長オファーを断って辞任した東山晃監督に代わって就任するイルファン新監督にはその豊富な経験でクラブにより良い成績をもたらしてくれることを期待していると話しています。
 さらにファズルディン会長はワン・ジャマク・ワン・ハサン元代表監督をテクニカルディレクターTCとして招聘する予定も明らかにしています。
 「ワン・ジャマク氏には自身の経験と専門性をクチンシティFCだけでなくサラワク州全体のサッカー発展のために活用してもらいたい。またワン・ジャマク氏はコーチライセンス取得のためのコースを開催する指導者資格も保持しているので、マレーシアサッカー協会FAMと協力しながら、サラワク州内でコーチライセンス取得のためのコースを開催したい。」とも話し、サラワク州内の指導者のコース受講が簡単になるようにしたいとファズルディン会長は話しています。

ヌグリスンビランFAは前PJシティ監督のデヴァン氏が新監督就任
 今季Mリーグ2部で11位と低迷したヌグリスンビランFAは、今季Mリーグ1部PJシティFCの監督を務めたディヴァン・クップサミー氏の監督就任を発表しています。
 ヌグリスンビラン州出身で、現役時代もヌグリスンビランFAでプレーしたデヴァン氏は、これまで2003年から2006年、そして2015年シーズンもヌグリスンビランFAで監督を務めており、今回は3度目の監督就任となります。
 ブリタハリアンとのインタビューで、ヌグリスンビランサッカー協会PBNSの会長でもあるヌグリスンビラン王族のラズマン・アル・カドリ殿下は、地元出身でもあり、これまのヌグリスンビランFAを指導した監督の中で最も多くのトロフィーを獲得していること、さらに今季は1部でPJシティFCを7位の成績に導いたことなどがデヴァン監督採用の理由であると明かしています。その上で、2022年シーズンにはヌグリスンビランFAが1部でプレーできるよう、PBNSはデヴァン監督に来季2021年シーズンでの1部昇格を求めていると話しています。
 なおデヴァン監督はかつてヌグリスンビランFAで監督を務めた際には、2003年にFAカップ優勝を、2005-2006年シーズン(このシーズンは2005年12月開幕、2006年5月閉幕)には1部スーパーリーグ優勝を果たしています。

ラジャゴバル元代表監督がブルネイ代表監督に就任
 ブルネイサッカー協会NFABDが元マレーシア代表監督のラジャゴバル・クリシュナサミ氏のブルネイ代表監督就任を発表したとブリタハリアンが報じています。
 NFABDのマトゥシン会長は、公募した代表監督職にはドイツやセルビアなどからも応募があったと話し、ラジャゴパル監督採用までには様々な議論が行われたとしています。その上で、2009年の東南アジア大会優勝や2010年の東南アジア選手権スズキカップ優勝などの実績に加え、ラジャゴバル氏がかつてブルネイも参加してたマレーシア国内リーグでのクラブ監督の経験もあることから、ブルネイの選手の状況も理解しており、代表チーム強化にはその理解も利点となるとなると判断したということです。なおラジャゴバル監督との契約期間は2年間ということです。

AFCカップのグループステージは集中開催方式に変更
 来年2021年のアジアサッカー連盟AFCカップでは、これまでのホームアンドアウェイ方式で開催されていたグループステージが集中開催方式へと変更されると、ブリタハリアンが報じています。
 この結果、来年5月から6月かけての開催が予定されているアセアン東南アジアゾーンのグループステージでは、各チームが7日間で3試合を行うことになるということです。
 AFCのウィンザー・ポール事務局長は、グループステージの開催地についてはまだ決まっていないと話している他、AFCチャンピオンズリーグについての変更については、まだ何も決まっていないと話すにとどまっています。
 2021年のAFCカップはマレーシアからは今季2位のクダFAと3位のトレンガヌFCの本戦出場が決まっています。

11月30日のニュース:来年2月にスタジアムでの観戦は可能か、代表のFIFAランキングが1ランクアップ、マレーシア国王も故マラドーナ氏へ追悼メッセージ、クチンシティFCの新監督候補に前フェルダU監督も浮上

来年2月にスタジアムでの観戦は可能か
 マレーシアの通信社ブルナマは「来年2月にスタジアムでの観戦は可能か」という見出しで、新型コロナウィルスによるシーズン中断後は全試合が無観客試合として行われたMリーグの来季の展望記事を電子版サイトに掲載しています。
 記事の中では英国プレミアリーグが来月より感染リスクの低い地域に4000人を上限としてスタジアムに観客を入れることを取り上げ、今回発表されたボリス・ジョンソン首相による観戦許可が、総額5億英ポンド(およそ693億円)とも言われる新型コロナウィルスによる損失を被った国内各クラブの財務状況に好影響を与えることは明らかだとしています。
 またこの記事では英国の他、フランス、オランダ、さらにアメリカ合衆国や日本、韓国、中国そしてベトナムでもスタジアム観戦に関する規則が緩和されていることも報じた上で、この世界的な傾向から、Mリーグの来季2021年シーズンが来年2月に予定通り開幕すれば、マレーシア政府が人数は制限するもののスタジアムでの観戦を許可するのではないかとしています。(ただし観戦許可が発表された11月23日からわずか3日後の11月26日、英国では新たな感染者が1万1299人と発表されています。)
 ブルナマによると、今季のMリーグ1部チャンピオンJDTが2位のクダFAと対戦する来季開幕戦のスルタン・ハジ・アフマド・シャートロフィーでは、主催者のマレーシアンフットボールリーグMFLが国家安全委員会に対して、厳しい標準作業手順SOPの実行を条件にして300人の観客を入れて試合を開催できるよう要望しているということです。
 今季、リーグ全体では入場券収入やグッズ売上収入なども含めリーグ全体で700万リンギ(およそ1億7900万円)の損失を被っていると報じている記事は、スタジアムでの観戦許可はMリーグを再び活気づけるだけでなく、リーグの商業価値を高めることになると結んでいます。

代表のFIFAランキングが1ランクアップ
 11月26日にFIFAの男子ランキングが更新され、マレーシアは前回9月16日発表のランキングより1ランク上がって153位(AFCでは31位)となったことが発表されています。
 なお、FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアと同じG組で現在首位のベトナムは前回と変わらず東南アジアトップの94位(同14位)、3位のタイは1ランク下げて114位(同20位)、4位のアラブ首長国連邦UAEと最下位のインドネシアはいずれも変わらずそれぞれ71位(同8位)と173位(同36位)となっています。
 現在中断中で、来年3月に再開予定のW杯予選ではUAE戦(アウェイ)、ベトナム戦(ホーム)、そしてタイ戦(アウェイ)が残っています。

マレーシア国王も故マラドーナ氏へ追悼メッセージ
 11月25日に亡くなったディエゴ・マラドーナ氏には、世界各地で追悼の声が上がっていますが、マレーシア王宮の公式Facebookは、アブドゥラ・リアヤトゥディン・アルムスタファ・ビラ・シャー国王による故マラドーナ氏への哀悼の言葉とともにアブドゥラ国王と故マラドーナ氏のツーショット写真を投稿しています。
 この投稿によると、アブドゥラ国王と故マラドーナ氏が最後に会ったのは2017年にスイスのチューリヒで開催されたFIFA年間表彰式の席で、アブドゥラ国王は故マラドーナ氏の持つカリスマ性やユーモアのセンスに魅了され、互いに共通するサッカーの話題で長話をしたということです。またアブドゥラ国王が最も好きなサッカー選手であると公言する故マラドーナ氏との思い出は現在でもアブドゥラ国王の中に残っているということです。
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 1984年から2014年までマレーシアサッカー協会FAM会長を務められた父君のスルタン・アフマド・シャー殿下の後継として2014年から2017年までFAMの会長を務めたアブドゥラ国王はスポーツ好きとしても知られており、アジアホッケー連盟の会長を務めています。(写真はマレーシア王宮の公式Facebookより)

クチンシティFCの新監督候補に前フェルダU監督も浮上
 先日のこのブログでは、前トレンガヌFCのイルファン・バクティ・アブ・サリム氏がクチンシティFC(来季より、今季の名称はクチンFA)と話し合いを持ったという記事を紹介しましたが、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロでは、新たに前フェルダ・ユナイテッドFC監督のニザム・ジャミル氏の名前が新監督候補者として上がっていることが報じられています。
 今季のクチンFAは日本人の東山晃監督の元、2部昇格後初めてのシーズンながらリーグ4位の成績を収め、クラブ史上初のマレーシアカップ出場を果たすなど躍進しました。
 クチンシティFCのファズルディン・アブドル・ラーマン会長は、東山監督の残留を第一と考えていたものの、東山監督自身が退団を希望していることからイルファン・バクティ、ニザム・ジャミルの両氏が、来季の監督の有力候補であることを認めており、現在は両氏からの返事を待っている状況であるということです。
 ニザム・ジャミル氏は指導者としてのキャリアを続けていくためにはチームを選ぶつもりはなく、自分に関心を持ってくれるクラブなら1部でなくとも話を聞く用意があると話しているということです。

11月24日のニュース:代表監督はW杯予選再開に向けて過密日程による選手のコンディションを憂慮、マット・ヨーは今季限りでBGパトゥムUを退団、トレンガヌFC退団の主将がパハンと交渉

代表監督はW杯予選再開に向けて選手のコンディションを憂慮
 タン・チェンホー代表監督は、来年3月に再開予定のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選を前に、最大の懸念材料として選手のコンディショニングを挙げていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 タン監督は代表選が全くなかった2020年は、Mリーグの試合数も半減された上、マレーシアカップも中止となり、代表候補選手たちが真剣勝負の場を失ったことから、選手たちのコンディション不良が問題になる可能性を指摘しています。
 「代表監督として選手たちのコンディションに対する不安はある。今年は一度も代表合宿を開催することができず、国際親善試合も組むことができなかった。選手の健康と安全が心配なことは理解できるが、これほど長期間にわたり代表合宿も代表戦も行われない状況下では、選手のパフォーマンスに影響が出ることは必至である。」と話すタン監督は、年が明けて2021年になっても、2月に開幕するMリーグに備えて選手は所属クラブでの練習が中心となることから、代表合宿への招集はFIFAの国際マッチデー直前の3月半ばまでできないことも悩みの種であるとしています。
 残る3試合のアジア二次予選の内、3月25日にはアラブ首長国連邦戦(アウェイ)、3月30日にはベトナム戦(ホーム)が予定されていますが、両国はいずれも既に国際親善試合や代表合宿を行なっていることから、タン監督はマレーシア代表が難しい状況にいることは認めて上で、2月のMリーグ開幕後の過密日程に備えて選手一人一人が肉体と精神の両面でしっかり準備をしてくれることに期待するしかないと話しています。

マット・ヨーは今季限りでBGパトゥムUを退団
 マット・ヨーの愛称で知られる代表FWノーシャルル・イドラン・タラハは今季限りで在籍するタイ1部リーグのBGパトゥム・ユナイテッドを契約満了により今年いっぱいで退団すると、サッカー専門サイトのGoal. comタイ版が報じています。
 ノーシャルル選手は今季2020年シーズン前に、Mリーグ1部のパハンFAからBGパトゥム・ユナイテッドで移籍しました。2月15日の開幕戦ではスタメン出場で前半し流量とともに交代、第2節でもスタメン出場して75分間プレーしたものの、第3節は出場機会がなく、第4節はベンチ入りせず、タイリーグは新型コロナのため中断しました。
 9月に再開された後も11月21日に開催された第12節までで、第8節は先発出場し61分間プレーし、また第10節は途中出場で12分間プレーしたものの、それ以外は出場機会がなく、ベンチ入りすらしなかった試合も数試合あります。
 しかもBGパトゥム・ユナイテッドはMリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムからFWジオゴを獲得した他、Jリーグ清水でプレーするタイ代表FWのティーラシン・デーンダーの獲得もタイメディアが報じており、その辺りもノーシャルル選手の契約が更新されたなかった理由の一つとされています。
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 自由な渡航が制限されているマレーシアでは、国外からの選手の獲得が難しいことから、ノーシャルル選手はMリーグへの復帰が濃厚ですが、個人的にはタイで新たなクラブを探してプレーを続け、ポリス・テロFCのドミニク・タンやムハマドゥ・スマレとともにタイリーグにマレーシア人選手としての足跡を残す様な活躍をして欲しいです。

トレンガヌFC退団の主将がパハンと交渉
 マレーシアカップ中止により、Mリーグ3位ながら棚ぼたでAFCカップ出場枠を獲得したトレンガヌFCは、多くの若手選手との契約を更新する一方で、今季のチーム得点王FWドミニク・ダ・シルバや主将のMFリー・タックなど高額がネックとされる外国籍選手との契約を更新しない方針を明らかにしています。
 2017年のヌグリスンビランFAへ入団して以来、Mリーグでプレーし続けているリー・タックが同じMリーグ1部のパハンFAと交渉をしていることを、パハンFAのチームマネージャーTMが認めていると、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 パハンFAのモハマド・スフィアン・アワンTMはタック選手の他に、一昨年はペナンFAでプレーしたアルゼンチン出身のFWセルヒオ・アグエロ(マンCのアグエロとは当然別人です)との交渉中であることを認めています。なおアグエロ選手は、今季はMリーグ3部に当たるM3リーグのクアラルンプールローヴァーズに所属していました。
 この二人との交渉が明らかになったことで、契約期間1年が残っているDFエラルド・グロンが残留する一方で、今季、パハンFAに在籍していたFWイヴァン・カルロス(ブラジル)やDFカリル・カミス(レバノン)、MFアダム・リード(フィリピン)らは対談が濃厚であると記事は結ばれています。

11月21日のニュース:タン代表監督は2022年まで契約延長、代表は来年3月から始動、UITM FCのベルンハルト監督は契約を1年延長

タン代表監督は2022年まで契約延長
 マレーシアサッカー協会FAMはタン・チェンホー代表監督との契約を2022年まで延長したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 現在の契約が今年の12月31日までとなっているタン監督との契約は2022年12月31日まで延長されたということです。
 ポルトガル出身のネロ・ヴィンガダ前代表監督が成績不振のため辞任し、アシスタントコーチから2017年12月に代表監督に昇格したタン監督は、2018年には東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップで準優勝にチームを導いた他、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選では5試合を終えて勝点9を獲得し、ライバルのタイやインドネシアを抑えて、ベトナムに次ぐグループ2位につけています。

代表は来年3月から始動
 タン監督の留任が決まったものの、新型コロナウィルスの影響で今年1年間は何の活動もなかったフル代表の再始動は来年3月になりそうだと、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 W杯アジア二次予選で同組のタイは先日の国際マッチデーに国内リーグのオールスターとの練習試合を組んだ他、やはり同組のアラブ首長国連邦UAEはすでに複数の国際親善試合を行い、ベトナムも代表合宿を行って練習を再開している一方、マレーシア代表は予定されていた年内の合宿の話も新型コロナウィルス感染拡大が続いていることから中止となりました。この状況にはタン監督は「現時点ではできることは何もなく、年が開ければMリーグの各クラブはリーグ開幕に備えて練習を開始するだろう。そうなれば、代表合宿が開催できるのは早くとも3月になり、それまで代表としての活動ができないことを憂慮している。」と述べています。
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 アジアサッカー連盟AFCは、W杯アジア二次予選を来年3月には再開する予定であることを発表しており、マレーシア代表合宿はその直前に行われる可能性が高そうです。Mリーグの開幕は2月26日なので、開幕後すぐに代表合宿、そしてW杯予選(しかもAFCは3月中に2試合を予定)という日程になりそうです。

UITM FCのベルンハルト監督は契約を1年延長
 Mリーグ1部のUITM FCはフランク・ベルンハルト監督の契約を1年延長したとマレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。
 今季2部から昇格したUITM FCは、昨季でPKNS FCがスランゴールFCに統合されたことから、昨季は2部で5位ながら1部へ昇格しました。国立大学が運営する初のMリーグ1部クラブと話題は先行していたものの、その実力は疑問視されていましたが、短縮された今季とは言え、12チーム中6位と同じ昇格組のサバFA(昨季2部1位、今季1部10位)、PDRM FC(昨季2部3位、今季1部12位)を遥かに上回る好成績を収めています。
 UITM FCのアジザン・アブドラ会長は「他の経験豊富なクラブと同等の結果を残すしたベルンハルト監督にチームをもう1年任すことにした。リーグ6位、そしてマレーシアカップ準々決勝出場の結果を見る限り、クラブはベルンハルト監督の能力を信頼して、更なる飛躍を期待したい。」と話し、AFC主催大会への出場を目指すとしています。
 ベルンハルト監督の他、今季のチームからアズファル・アリフやアーマド・クザイミ・ピーら9名との契約更新も発表したUITM FCは、来月12月にはマレーシア人選手を対象とした公開セレクションを開催することも発表しています。
 この公開セレクションについてベルンハルト監督は、今季在籍した複数の選手が他のMリーグクラブからより良いオファーを受けて退団したことを理由としてします。また自身の契約更新についても、今季の成績がフロックではなく、クラブの運営理念が正しかったことを来季も好成績を示すことで証明するために残留を決意したと話しています。
 また今季チーム躍進の核となった外国籍選手の多くが退団することについては、クラブの限られた予算の中から同様の選手を獲得したいと話しています。
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 今季在籍した外国籍選手のうち、レバノン代表でもあるラビー・アタヤはクダFAと契約間近とされています。素人目で見ても今季のMリーグではトップクラスの活躍とクラブへの貢献を果たしたアタヤ選手の退団はUITM FCにとって大きな痛手ですが、その状況下でどのようにチーム作りをしていくのかはベルンハルト監督のお手並みを拝見したいと思います。