2月21日のニュース
タイ1部リーグ第20節-ディオン・コールズ、サファウィ・ラシドは揃って先発フル出場も明暗別れる
3月の代表戦の相手は香港とトルクメニスタンに決定
開幕直前の外国籍選手の駆け込み獲得は続く

スーパーリーグ開幕まで残り1週間となった先週末は、リーグ王者ジョホール・ダルル・タジム(JDT)やスランゴールFC、クダ・ダルル・アマンFCなどのチームが今季のユニフォームを発表しています。また2月24日に迫ったトランスファーウィンドウ期間終了前に駆け込みで新戦力補強を行うチームもあります。

タイ1部リーグ第20節-ディオン・コールズ、サファウィ・ラシドは揃って先発フル出場も明暗別れる

タイ1部リーグ第20節が行われ、マレーシア代表のDFディオン・コールズ(ブリーラム・ユナイテッド)とFWサファウィ・ラシドはいずれも先発しフル出場、DFジュニオール・エルドストール(PTプラチュワプFC)はベンチ外でした。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式サイトのYouTubeより)

タイ1部リーグ第20節
2023年2月17日@ドラゴン・ソーラー・パークスタジアム
ラーチャブリーFC 0-1 バンコク・ユナイテッドFC
2位と4位の対戦となったこの試合は、90分を過ぎても0-0と引き分け濃厚でしたが、ロスタイムにラーチャブリーFCが痛恨のPKを献上し、バンコク・ユナイテッドに勝ち越しを許しています。またこの敗戦、ラーチャブリーFCはチェンライ・ユナイテッドFCと入れ替わりで5位に交代しています。
サファウイ・ラシドは先発して、フル出場しています。

2023年2月18日@BGスタジアム
BGパトゥム・ユナイテッドFC 2-1 PTプラチュワプFC
ジュニオール・エルドストールはベンチ外でした。

2023年2月18日@チャン・アリーナ
ブリーラム・ユナイテッドFC 3-0 ポリス・テロFC
この試合も危なげない勝利を収めたブリーラム・ユナイテッドFCはリーグ再開からの5試合で4勝1分。この成績は5連勝のバンコク・ユナイテッドに次ぐ好成績です。
ディオン・コールズは先発して、フル出場しています。

タイ1部リーグ順位表(第20節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU20164053173652
2バンコクU2013433592643
3チョンブリー19113534181636
5ラーチャブリー2096524141033
12プラチュワップ2055102741-1420
3月の代表戦の相手は香港とトルクメニスタンに決定

今年最初のFIFA国際マッチデーカレンダー期間ととなる来月3月に、マレーシア代表は香港、そしてトルクメニスタンと対戦することが発表されました。マレーシアサッカー協会FAMの本部で開かれた記者会見の席で、キム・パンゴン代表監督自身が発表しています。

キム監督がかつて監督を務めた香港とは、昨年6月に対戦し2-0で勝利を収め、またトルクメニスタンとはやはり昨年行われたAFC選手権アジアカップ2023年大会最終予選で対戦し、こちらは3-1で勝利しています。

現在、クアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場はピッチの張り替えなども含む改修工事中であることから、この両試合はジョホール・ダルル・タジム(JDT)のホームスタジアムであるスルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)で行われることも発表されています。

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FIFAランキングではマレーシアが145位なのに対し、同146位の香港、同135位のトルクメニスタンとの対戦は、2026年FIFAワールドカップのアジア予選に向けて、少しでも多くポイントを獲得して、少しでもFIFAランキングを上げたいというFAMの目標に則したものです。アジアのFIFAランキング上位25チームに入らない場合、ワールドカップ予選へはまずプレイオフを戦わねばならず、プレイオフ出場を避毛、1回戦から出場したいマレーシア代表にとってこの上位25チーム入りが今年最大の目標の一つです。

開幕直前の外国籍選手の駆け込み獲得は続く
ヌグリスンビランFCは駆け込みでさらに外国籍選手2名を獲得へ

先日のこのブログでは、スーパーリーグで昨季4位となったヌグリスンビランFCが、9名まで登録可能な外国籍選手を3名のみで今シーズンに臨むという記事を取り上げましたが、一昨日行われた今季のチーム発表イベントで、さらに2名の外国籍選手獲得が明らかになっています。

4人目の外国籍選手は昨季までペナンFCでプレーしたFWカサグランデです。Mリーグでは通算7シーズン目となるカサグランデですが、昨季は6月18日の第10節PJシティ戦中に右頬骨を骨折。その後、手術は無事終了したものの、完治まで数ヶ月を要することから、ペナンFCとの契約はシーズン前半終了待たずに解除されています。それでもペナンFC在籍中は30試合で21ゴールを挙げるなど、スーパーリーグでの実績はある選手です。また5人目の外国籍選手はカサグランデと同じブラジル出身のMFヴィニシウス・レオネル・ダ・シルヴァ(CEオペラリオ・ヴァルゼア=グラデンセから移籍)の加入が発表されています。

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2月15日のこのブログでは、昨季からプレーする長身センターバックのエラルド・グロン(フランス)、今季新加入で東南アジアでのプレー経験が豊富な長身のストライカー、エゼシエル・エンドゥアセル(チャド、インドネシア1部バヤンガラFCから移籍)の両選手に加え、MFレヴィ・マディンダ(ガボン、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)から期限付き移籍)が今季の外国籍選手となる記事を取り上げましたが、今回のブラジル出身2選手を獲得を報じたブリタハリアンの記事では、エゼシエル・エンドゥアセルについての記述がない一方で、外国籍選手は4名とされていることから、エゼシエル・エンドゥアセルについては、メディアで報じられたものの、実際には加入しないようで、最終的にヌグリスンビランFCの外国籍選手は4名、しかもアジア枠、東南アジア枠の外国籍選手がいないため、実際にピッチに立てるのは4名のうち3名となります。

クランタンFCの外国籍選手は元JDT選手が加わり総勢9名に

5シーズンぶりにスーパーリーグでプレーするクランタンFCは2月19日に今季のチーム発表イベントを行い、外国籍選手枠は登録上限いっぱいの9名となったを発表しています。新たに発表されたのは、昨季は同じスーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTでプレーしたDFカルリ・デ・ムルガとFWイスマヒル・アキネード(ナイジェリア、前バングラデシュ1部シェイク・ラッセルKCから移籍)の両選手です。

クランタンFCは今季、Jリーグの大分でもプレーしたチェ・ムンシク監督が就任し、これまでにいずれも韓国出身のDFキム・ミンギュ(韓国1部浦項スティーラーズFCから移籍)、DFキム・ミンギュ(韓国1部浦項スティーラーズFCから移籍)、いずれもスペイン出身のMFマリオ・アルケス(前ベトナム1部ソンラム・ゲアンFC)、DFミゲル・シフエンテス(前スペイン2部UDイビサ)に加えFWヌハ・マロング(ガンビア、インド2部ラジャスタン ユナイテッドFCから移籍)、DFクリスティアン・ロンティーニ(フィリピン、スリ・パハンFCから移籍)の6選手が新たに加入する一方で、昨季クランタンFCでプレーしたFWケルヴェンス・ベルフォール(ハイチ)、現在インドネシア1部のデワ・ユナイテッドへ期限付き移籍中のFWナタナエル・シリンゴリンゴ(インドネシア)の両選手は残留しています。

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一時はWikipediaのクラブ紹介ページに所属選手としてJリーグの甲府や仙台でプレーした道渕諒平選手の名前も書かれていましたが、期限付き移籍中のナタナエル・シリンゴリンゴを加えると外国籍枠上限となる9名を超える10名が在籍するクランタンFCでは、少なくとも今季前半はプレーすることはなさそうです。

サバFCはFCソウルで150試合以上出場のレジェンドMFを獲得

昨季はスーパーリーグ3位となり、AFCカップ出場権を獲得しているサバFCは。韓国1部FCソウルでプレーした34歳のMFコ・グアンミンの獲得を発表しています。FCソウルでは2011年から昨年まで在籍し、その間180試合以上に出場しているクラブの「レジェンド」で、ポジションは左サイドバックが本職ということです。

経験という点でサバFCにとって心強いのは、コ選手がアジアの舞台を知る選手だということ。ACLでは33試合に出場経験があるコ選手の加入は、1995年に当時のアジアカップウィナーズカップ(国内のカップ戦勝者を集めた大会。2002年廃止)でベスト16に進出して以来となるサバFCにとって大きな力となりそうです。

2月18日のニュース
サッカー協会が「ニセ」マレーシア代表の存在をFIFAとAFCに報告
PDRM FCは今季のホームスタジアムにMBPJスタジアムを使用
BRM FCがメインスポンサーを失いM3リーグ出場を辞退

サッカー協会が「ニセ」マレーシア代表の存在をFIFAとAFCに報告

英字紙ニューストレイトタイムズは、マレーシアサッカー協会FAMがニセマレーシア代表の存在をFIFAとアジアサッカー連盟AFCに報告したと報じています。 

サッカーコメンテーターのマーク・スタッフォード氏が昨年11月に自身のポッドキャストで明らかにしたところによると、米国1部メジャーリーグサッカーMLSのLAギャラクシーがマレーシア代表と親善試合を行い4-1で勝利しましたが、試合後にそのチームがマレーシア代表に成り済ました別のチームであることが発覚したということです。

FAMのハミディン会長は、近年、マレーシア代表はアメリカ合衆国へ試合のための遠征は行っておらず、誰かがマレーシア代表の名を語って試合を行ったと述べ、現在はその詳細を把握中だと説明し、またこの件はすでにFIFAとAFCにも報告済みであると述べています。. 

スタッフォード氏によると、サッカー賭博の胴元がLAギャラクシーに、AFC選手権アジアカップのための準備と称してマレーシア代表との親善試合を持ちかけ、その条件はスタジアム使用料などの経費は全てマレーシア代表持ちの上、試合報酬を支払うというものだったということです。その後は「マレーシアサッカー協会関係者」が公式に書面で試合を依頼したことで、LAギャラクシー側はこの申し出を受け入れ、実際の試合は¥LAギャラクシーが4-1で「マレーシア代表」に勝利したということです。

さらにスタッフォード氏は試合の時期を明らかにしなかったものの、この試合は八百長試合で「5ゴール以上」に賭けた八百長仕掛け人が数百万の利益を得たとしています。

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この他、2009年にマレーシア代表がFIFAの承認を得た国際Aマッチとしてジンバブエ代表とと7月12日と7月14日に試合を行い、マレーシア代表がそれぞれ4-0、1ー0で勝利しましたが、その後、ジンバブエサッカー協会はこの「ジンバブエ代表」はその名を語ったクラブチームであったと発表し、この手配をしたのが八百長仕掛け人として有名なウィルソン・ラジ・プルマルだったことを明らかになっています。また同じ2009年の9月11日に「レソト代表」と行いマレーシア代表が5-0で勝利した国際Aマッチも八百長が仕組まれていたことが明らかになっています。

また2015年にはマレーシアとガーナの両サッカー協会が知らない間にマレーシア代表タイガーナ代表の試合が開催され、この試合の開催が明るみに出ると、両協会とも試合を申し込んでも受け入れてもいないことを明らかにしています。

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このニセマレーシア代表については、昨年11月にも同じ様な記事がマレーシアの各紙で掲載されており、ニューストレイトタイムズがほぼ同じ内容の記事を再び掲載した理由は不明ですが、このブログでは昨年11月に出た記事をスルーしていたので、今回取り上げました。
 今回の記事では、マレーシア人選手が直接関わったのかどうかは不明ですが、マレーシアのサッカーの歴史を語る上で八百長の話題は、避けて通ることができない問題なのも事実です。このブログでも取り上げており、興味のある方は過去記事から「八百長」をキーワードで検索していただくと見つかると思います。
 上の記事で名が出ているウィルソン・ラジは、世界各地の試合で選手を買収する自称「世界一の八百長仕掛け人」として知られていた人物で、出身地のシンガポールだけでなく、フィンランドやハンガリーでも八百長で有罪となり実刑判決を受けています。

PDRM FCは今季のホームスタジアムにMBPJスタジアムを使用

今季3年ぶりにスーパーリーグに復帰するPDRM FCは、今季のホームスタジアムにスランゴール州プタリンジャヤのMBPJスタジアムを使用することを、スーパーリーグを運営するMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOが正式に発表しています。

PDRM FCは2020年シーズンから昨季まではクアラルンプールにあるKLフットボールスタジアムをホームとしてKLシティFCと同居していましたが、今季はMBPJスタジアムをスランゴールFCと共用することになりました。MBPJスタジアムは昨季まではスランゴールFCとPJシティFCが同居していましたが、今季から変更されたスーパーリーグの方針とクラブの方針が一致しないとして、PJシティFCがスーパーリーグ不参加を決めており、PDRM FCはこのPJシティFCの後釜に入ることとなります。

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PDRM FCがMBPJスタジアムにホームを変更するのは、MFLが今季から設けた1スタジアムにつきホームとするチームは最大2チームという規定によるものだと思われます。KLフットボールスタジアムは、KLシティFCとKLシティFCのセカンドチームが使用することから、PDRM FCが入る余地が無くなってしまった様です。なお、MBPJスタジアムをホームとするスランゴールFCのセカンドチームは、やはりリーグを撤退したUITM FCが使っていたUITMスタジアムを、PDRM FCのセカンドチームはサイバージャヤのマレーシアマルチメディア大学(MMU)の持つスタジアムをホームとすることが、各セカンドチームが出場するMFLカップの日程表で明らかになっています。

BRM FCがメインスポンサーを失いM3リーグ出場を辞退

Mリーグ3部に当たるM3リーグは3月4日に今季が開幕しますが、開幕まで1ヶ月を切ったこの時期にBRM FCが、クラブ公式Facebookで今季のリーグ出場辞退を発表しました。昨季のM3リーグではノックアウトステージの準決勝まで残ったBRM FCは、今季は優勝を目指して5日前には今季着用の新たなユニフォームを発表しましたが、それからわずか4日後の2月17日に出場辞退を表明しています。

「今回のメインスポンサーの件で迷惑を被った関係者全員に謝罪する」というクラブCEO名義による謝罪投稿とともに発表された今回のリーグ出場辞退の原因は、新ユニフォームの胸に入っていたメインスポンサーのロゴでした。ペラ州クアラ・カンサーを本拠地とするBRM FCの新ユニフォーム発表では電子タバコ会社の名前がユニフォームの胸スポンサーとして掲げられていましたが、M3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグは電子タバコとは言え、タバコ会社であることも問題視していました。

最終的には、AFLはタバコ会社をスポンサーとすることを認めず、この結果、BRM FCは今季リーグ前にメインスポンサーを失うことになりました。開幕までおよそ2週間と迫ったこの時期に新たなスポンサー獲得は難しいと判断したBRM FCは、スポンサーなしでは今季のリーグに参戦できないとして、今季のリーグ出場を辞退しています。(下の写真は発表されたばかりのBRM FCの今季ユニフォーム。胸の黒地に金のロゴが電子タバコ会社のロゴです。)

2月17日のニュース
MFLは給料未払い問題に厳罰で対処することを再度確認
新型コロナ対策に尽力した前保健相がJDTの役員に就任
2021年のリーグ得点王の去就は未だ決まらず

MFLは給料未払い問題に厳罰で対処することを再度確認

Mリーグ1部マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、マレーシアサッカー協会FAMと協力して、スーパーリーグのクラブで給料未払い問題にはこれまで同様、厳罰で対処することを表明しています。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、過去数年間に渡って給料未払い問題を防ぐための厳格な規則と、問題を起こしたクラブに対する厳格な処分の結果、実際に報告された給料未払い問題の件数は2018年の200件以上から、近年では10件前後に減少したと話し、これまでの努力が功を奏していることに加え、今季のクラブライセンスが交付されなかったマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCを例に挙げて、MFLとFAMがこの問題をなくすためには厳格な処分も辞さない覚悟であると説明しています。

スチュアートCEOは、「Mリーグでプレーするクラブは慎重な経営に加え、選手に対しては契約内容を遵守し、遅配のない給料支払いを行わなければならないことを理解していると確信している。選手への給料支払いが滞りなく行われているかどうかは、クラブライセンス交付の際の重要な判断基準になる」と述べて、こういった問題が再発しないことを望んでいると話しています。

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Mリーグがタイリーグに次ぐ東南アジア第2位のリーグであると、MFLがその「価値」の高さをどれほど主張しようと、毎年の様に発生する給料未払い問題によって、Mリーグがプロリーグとしては「二流」と言わざるを得ないでしょう。前述の様にマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCはクラブライセンスに交付せず、国内トップリーグへの参加を認めなかったことはこれまではあり得ないことでしたが、その一方で、両クラブを運営していたサラワク州とマラッカ州のサッカー協会は未だ、給料未払い問題を解決していないにもかかわらず、新たなチームを立ち上げて3部リーグへの参加が認められています。
 3部リーグの運営はMFLではなくアマチュアフットボールリーグAFLの管轄とは言え、給料未払い問題未解決を放置している同じ人間が国内サッカーに関わることができる状況を容認している限りは、結局のところ、MFLがいう厳格な対応はいくらでも抜け道はあるということです。

新型コロナ対策に尽力した前保健相がJDTの役員に就任

前マレーシア政府保健相のカイリー・ジャマルディン氏は、所属していた政党「統一マレー国民組織」(UMNO)の党規則に違反したとして、UMNOを除名されていますが、このカイリー氏がマレーシアスーパーリーグ8連覇中のジョホール・ダルル・タジム(JDT)の役員に就任したと、英字紙スターが報じています。

父親が外交官だったカイリー氏は、シンガポールのインターナショナルスクールからオックスフォード大学の看板学部である哲学・政治・経済学部(PPE)へ進み、卒業後は英国の経済誌エコノミストなどでジャーナリストして働いた後、2008年の下院議員選挙に出馬し当選、政界に転身しました。
 自身もポロの選手として2017年の東南アジア競技大会通称シーゲームズでメダルを獲得するほどのスポーツマンでもあるカイリー氏は、2007には当時のパハン州皇太子、現在はマレーシア国王であるアブドラ国王に代わって、マレーシアサッカー協会FAMの副会長に就任したこともあります。
 2013年の総選挙で議席を守ると、当時のナジブ・ラザク首相政権下で青年スポーツ相に就任し、2013年から2018年までの大臣在籍時にはバイエルン・ミュンヘンのユースチームでコーチをしていた元マレーシア代表のリム・ティオンキム(現ペラFC監督)を2013年に招聘し、2018年にマレーシアで開催されるAFCU16アジアカップのトップ3入りを目指して青年スポーツ省とマレーシアサッカー協会が共同で設立した国家サッカー選手育成プログラム(NFDP)の責任者に就任させています。
 2018年の総選挙では再選を果たしたものの閣僚から外れましたが、2020年に再度議席を守ると、今度は科学・テクノロジー・イノベーション相に就任して中国とのワクチン供与の契約を結び、ワクチン接種計画の特任大臣に任命されると、その後は保健相に就任しました。
 2022年の総選挙ではそれまでの選挙区とは別の選挙区から出馬して落選、さらに所属するUMNOの執行部を批判したことから今年1月には除名処分を受けていました。

将来の首相候補とも言われ、与野党支持者を問わず人気の高いカイリー氏にはUMNOを除名された直後から各政党から声がかかっていましたが、同時にジョホール州皇太子でジョホール・ダルル・タジム(JDT)オーナーのトゥンク・イスマイル殿下も、ジョホール州の若者へのアドバイザーとして、またJDTも将来のクラブCEOへつながる様なポストをオファーしていました。

最終的にイスマイル殿下からのオファーを受ける形になったカイリー氏は、「一つの扉が閉まっても、別の扉が開くものだ。マレーシアNo.1のクラブに加わることができて光栄だ」と述べ、「アジアのトップクラブとなることを目指して、自身の経験を生かしてJDTを更なる高みへと押し上げたい」と自身のSNSでJDTの役員となったことを正式に表明しています。

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KJの愛称で知られるカイリー氏は、保守的な性格のUMNOの中では主流派ではなかった一方で、必要があればNGOや与党政治家などとも意見を交換を厭わない、柔軟な思考を持った政治家で、上の記事でも書いた通り将来の首相候補でもあります。14年の議員生活ながら3つの省で大臣を務めた実績もあり、最終的にはまた政界へ戻ることになるでしょうが、カイリー氏が加わることで、ピッチ内はもちろん、ピッチ外での補強も万全なJDTは、やはり国内では頭ひとつ抜けた存在と言わざるを得ません。

2021年のリーグ得点王の去就は未だ決まらず

ナイジェリア出身のFWイフェダヨ・オルセグンは、2021年にはスランゴールFCで26ゴール(22試合)を挙げてリーグ得点王になっていますが、3季在籍したスランゴールFCからマラッカ・ユナイテッドFCに移籍した昨季は、ケガなどもあり7ゴール(12試合)と成績を落としています。所属していたマラッカ・ユナイテッドFCは、2022年シーズンの給料未払い問題が未解決となっていることから、今季のリーグ参加に必要なクラブライセンスが交付されず、リーグ撤退を余儀なくされ、イフェダヨ選手は未だに今季の所属が決まっていません。

2019年のスランゴールFC加入前年の2018年にもマラッカFA(当時)でプレーしていたイフェダヨ選手は、今季Mリーグでプレーすれば「当該協会(ここではマレーシアサッカー協会FAM)管轄区域において最低5年間の居住」条件を満たすことになり、マレーシア国籍を取得すればマレーシア代表としてプレーが可能になります。

しかし、今年31歳のイフェダヨ選手は、マレーシア国籍取得には興味がないと、スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロとのインタビューで答えています。これまでスランゴールFC復帰の噂があったイフェダヨ選手ですが、スランゴールFCは一昨日に加入が発表されたベネズエラ出身のMFヨハンドリ・オロスコを今季開幕前の「最後の加入選手」としていることから、イフェダヨ選手のスランゴールFC復帰はなくなりました。

Mリーグ通算104試合出場で87ゴールの実績は、未知数の外国籍選手を獲得するよりも遥かに確実な補強になりそうですが、昨季終了後のイフェダヨ選手はそれどころではなかった様です。「昨年末に父を亡くし、非常に困難な時を過ごさざるを得なかった。昨季終了後から、スランゴールFCを含めた多くのクラブから実際にオファーを受けたのは事実だが、その時は自分にはサッカーのことを考える余裕がなかった。」とは話したイフェダヨ選手は、マレーシア国籍を取得して代表入り云々の前に、自分のトップフォームを取り戻すことが最優先だと、スタジアム・アストロのインタビューに答えています。

2月16日のニュース
本田圭佑氏がスランゴールFCを訪問
政府がMリーグアウェイ試合のパブリックビューイング実施を検討中
各チームが来週に迫った開幕前に駆け込みチーム補強実施

本田圭佑がスランゴールFCを訪問

元日本代表の本田圭佑氏がスランゴールFCを訪問下と、マレーシア語紙のハリアンメトロが報じています。スランゴールFCの練習施設を訪れ、スランゴール州皇太子のテンク・アミル殿下とも話を交わしたということですが、この記事では選手としてでもコーチとしてでもなく、施設の見学に訪れたと説明されています。

既に自身のSNSでクアラルンプールに滞在中であることを明らかにしてた本田氏の訪問は、これまで東スポにスランゴールFC加入の噂記事が出たこともあり、一部SNSが本田氏がスランゴールFC加入か?とざわついた様ですが、残念ながら今回はハノイ、バンコクに次ぐ休暇での訪問だった様です。

スランゴール州皇太子のテンク・アミル殿下(左)に施設を案内される本田氏
政府がMリーグアウェイ試合のパブリックビューイング実施を検討中

今季のマレーシアスーパーリーグは来週2月24日に開幕しますが、マレーシア政府のコミュニケーション・デジタル省(KKD)と青年スポーツ省(KBS)がこのスーパーリーグのパブリックビューイングの開催を検討していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

「各州に大型スクリーンを設置し、サポーターが地元チームがアウェイで行う試合を見ることができれば、地元にいてもアウェイの試合の臨場感を味わいながら試合観戦ができるだろう。」と話したコミュニケーション・デジタル省のファーミ・ファジル大臣は、このパブリックビューイング実施について青年スポーツ省のハンナ・ヨー大臣と検討していると話しています。

各チームが開幕前に駆け込みチーム補強実施
スランゴールFCにはベネズエラ出身のMFヨハンドリ・オロスコが加入

スランゴールFCはクラブ公式サイトでベネズエラ出身のMFヨハンドリ・オロスコの加入を発表しています。コロンビア1部のデポルテス・トリマから加入するオロスコ選手は31歳で過去2シーズン在籍したデポルテス・トリマは2021/2022シーズンはリーグ2位となったチームですが、オロスコ選手は過去2シーズンで114試合に出場し、12ゴールと18アシストの記録を残していると、クラブ公式サイトで説明されています。

今季のスランゴールFCは、マレーシア代表トリオのFWファイサル・ハリム、MF V・ルヴェンティラン、DFクザイミ・ピーらマレーシア人選手に加え、ヨルダン代表MFヌール・アル=ラワブデ(ヨルダン1部アル・ファイサリーSCから加入)、提携関係にあるアゴラ・ライオンズ(ガーナ)から加入した20歳のFWラウフ・サリフ(ガーナ)、そしてFWエイロン・デル・ヴァイエ(コロンビア、コロンビア1部オンせ・カルダスから移籍)を新たに獲得していますが、クラブ公式サイトではオロスコ選手が7人目で最後の新戦力であると述べられています。

クランタンFCはスペイン出身DFミゲル・シフエンテスを獲得

2012年にはリーグ戦、FAカップ、マレーシアカップの国内三冠を達成したこともあるクランタンFCは、低迷期を経て今季は5年ぶりにスーパーリーグに戻ってきました。昨季は2部プレミアリーグで2位だったチームに、スペイン出身のDFミゲル・シフエンテスが加入したことがクラブ公式Facebookで告知されています。32歳のシフエンテス選手は1年契約で、スペイン2部のUDイビサを昨年9月に退団しています。

クランタンFCは大分トリニータでプレー経験がある韓国出身のチェ・ムンシク監督が今季から指揮を取りますが、これまでにいずれも韓国出身のDFキム・ミンギュ(韓国1部浦項スティーラーズFCから移籍)、FWカン・イーチャン(韓国1部江原FCから移籍)の他、DFクリスティアン・ロンティーニ(フィリピン、スリ・パハンFCから移籍)、MFマリオ・アルケス(スペイン、前ベトナム1部ソンラム・ゲアンFCから移籍)、FWヌハ・マロング(ガンビア、インド2部ラジャスタン ユナイテッドFCから移籍)、FWイスマヒル・アキネード(ナイジェリア、前バングラデシュ1部シェイク・ラッセルKCから移籍)の6選手の加入が発表されています。

PDRM FCはミャンマー代表MFチョン・ミン・ウーの加入を発表

2020年シーズン以来3年ぶりのスーパーリーグ復帰となるPDRM FCはマレーシア王立警察が母体のチームで、今季は鈴木ブルーノ選手が1年ぶりに復帰して今すが、このPDRM FCがミャンマー代表で26歳のMFチョン・ミン・ウーの加入を発表しています。ミャンマー1部リーグのヤンゴン・ユナイテッドから加入するチョン選手は昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップでも活躍しましたが、同様に三菱電機カップにも出場し、スランゴールFCでは今季3年目を迎えたFWハイン・テット・アウン、今季からペナンFCでプレーするDFゾー・ミン・トゥンに続く、スーパーリーグでプレーする3人目のミャンマー出身の選手となりました。

スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロの取材に対し、ハイン、ゾー両選手からスーパーリーグでのプレーを勧められたと話したチョン選手は、ミャンマー国内ではモデルとしても活動しているということですが、あくまでもサッカーをしていない時の余暇としての活動だと話し、まずはPDRM FCに貢献するために全力を尽くしたいと話しています。

2月15日のニュース
サッカー協会が9月の代表戦で日本との対戦を熱望
サッカー協会-9月のアジア大会にU23代表は派遣せず
ヌグリスンビランは外国籍選手3名のみで開幕

昨日2月14日はバレンタインデーでした。マレーシアでもあちこちに臨時の花屋が開業し、花束を抱えて歩く男性が目につきましたが、その一方でマレーシア政府機関であるイスラム開発局(JAKIM)は、バレンタインデーがイスラムの文化と無関係なことから、ムスリム(イスラム教徒)これを祝うべきではないとの声明を発表しています。またここ数日は、自動車事故に遭って警察へ足を運んだ女性や、病院の救急外来を訪れた女性(いずれも華人女性)がともに「公共の施設にそぐわない衣服」を着用しているという理由で追い返されたというニュースもメディアで取り上げられています。ムスリムによる異文化への中傷はあまり取り上げられない一方で、ムスリム以外のムスリムへの発言は過度に取り上げられる傾向が強まっている印象を受ける今日この頃です。そんなマレーシアから2月15日のサッカーニュースをお届けします。

サッカー協会が9月の代表戦で日本との対戦を熱望

マレーシアサッカー協会FAMは9月のFIFA国際マッチデーカレンダー(FIFAカレンダー)期間に日本との対戦を熱望していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。9月のFIFAカレンダーでは、キム・パンゴン監督がかつて代表監督を務めた香港との対戦はほぼ確定している様ですが、もう1試合の相手に日本を指名し、現在は日本サッカー協会JFAからの返事を待っているということです。

FAMのハミディン・アミン会長は「9月のFIFAカレンダー期間中、マレーシア代表は国外で2試合を行う予定で、香港との対戦はほぼ確定していおり、もう1試合については各国のサッカー協会会長に連絡を取っており、現在は返事を待っている状況である。」と説明しています。

なおブルナマの記事では、日本との対戦が実現しなかった場合には、台湾、中国、ウズベキスタンがその代替候補に上がっているということです。

またハミディン会長は、3月のFIFAカレンダー期間に行う試合については、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)のホーム、スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州)で行うことも明らかにしています。対戦相手は既にトルクメニスタンが決定しており、もう1試合は台湾かクウェートのいずれかで、今週中には決定するということです。

また6月のFIFAカレンダー期間はスルタン・イブラヒムスタジアムで1試合、もう1試合はトレンガヌFCのホーム、スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州)、スリ・パハンFCのホーム、ダルル・マクモルスタジアム(パハン州)、そしてペナン州立スタジアムのいずれかで行い、首都圏以外に住むサポーターが気軽に観戦できるようにする予定であることも明らかにし、なお、その際の対戦相手にはイエメンがほぼ決まっており、もう1試合の相手はシリアあるいはオマーンが候補に上がっていると述べています。

また10月のFIFAカレンダー期間に開催予定のムルデカ大会では、既に参加が決まっているパレスチナに加え、インド、レバノン、中国の中から2チームが参加し、マレーシアを加えた4チームで行われると、ハミディン会長は述べています。

来年1月には延期されているAFC選手権アジアカップ2022年大会が予定されており、その前の11月あるいは12月に、マレーシア代表は2試合の対外試合を行う予定もあるということですが、こちらの対戦相手は現時点では未定ということです。

サッカー協会-9月のアジア大会にU23代表は派遣せず

マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長は、今年9月23日から中国の杭州市で開催されるアジア競技大会にU23代表を派遣しないことを明らかにしています。マレーシアの通信社ブルナマの報道によると、同じ9月にAFC U23アジアカップ2024年大会の予選が予定されていることから、そちらを優先することが理由だということです。

9月4日から12日にかけて予定されているAFC U23アジアカップ2024年予選は2024年のパリオリンピック予選を兼ねることから、ハミディン会長はアジア競技大会よりもこの大会を優先すると説明し、この他には5月に予定されている東南アジア競技大会通称シーゲームズ、そして11月に予定されている東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権が今季のU23代表が重視する大会である説明しています。

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2018年にインドネシアで開催された前回の東南アジア大会では、オン・キムスイ監督(現サバFC監督)率いるU23代表は、ソン・フンミン(トットナムを擁した韓国を破るなどしてベスト16に進出しましたが、ベスト16の日本戦では90分にPKを献上し、これを上田綺世選手が決めて0-1で敗退しています。

ヌグリスンビランは外国籍選手3名で開幕

今季のマレーシアスーパーリーグで登録可能な外国籍選手枠は、昨季までのアジアと東南アジアそれぞれ1枠を含めた5枠から、9枠(ただしベンチ入りは6枠、ピッチ上はアジア、東南アジア枠を合わせた5枠)へと大幅増となりました。これに伴い、昨季は国内三冠を達成したジョホール・ダルル・タジム(JDT)や昨季2位のトレンガヌFCの他、KLシティFCやペナンFCなどもこの9枠の上限いっぱいまで外国籍選手を獲得しています。そんな中で昨季4位に終わったヌグリスンビランFCは、昨季よりさらに少ない3名の外国籍選手のみで今季のスーパーリーグに臨むと、マレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。

昨季からプレーする長身センターバックのエラルド・グロン(フランス)、今季新加入で東南アジアでのプレー経験が豊富な長身のストライカー、エゼシエル・エンドゥアセル(チャド、インドネシア1部バヤンガラFCから移籍)の両選手に加え、先日のKLシティFCとのプレシーズンマッチにも出場したMFレヴィ・マディンダ(ガボン、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)から期限付き移籍)が今季の外国籍選手となります。

驚きをもって受け止められたヌグリスンビランFCの発表でしたが、K・ディヴァン監督はブリタハリアンの取材に対して、今季の外国籍選手枠はクラブ経営陣の求めに応じた結果だと説明し、開幕に向けての準備に不安があるとしながらも、マレーシア人選手を主体としてチーム戦術を変更せざるを得ないとも述べています。

昨季のヌグリスンビランFCの外国籍選手は、エラルド・グロンの他、FWコシ・アデトゥ(トーゴ)、FWマテウス・アウヴェス(ブラジル)、MFミド・ナザリ(フィリピン)、MFデヴィッド・マウーター(ガーナ/タジキスタン)の5名で開幕しましたが、シーズン途中のトランスファーウィンドウ期間にデヴィッド・マウーター、コシ・アデトゥの両選手との契約を解除し、J3の鹿児島ユナイテッドでもプレー経験があるFWグスタヴォ(ブラジル)とFWヤーセル・ピント(パレスチナ)両選手を獲得しました。グスタヴォ選手はシーズン途中から加入しながらも13試合で11ゴールをあげる活躍をし、2部プレミアリーグからの昇格初年度ながら、スーパーリーグ4位という成績に貢献していました。

2月14日のニュース
今日はフットサル関連2題
フットサルリーグは今週末に開幕-注目は今季初参戦のジョホール
現在空席のフットサル代表監督は近日中に発表予定

マレーシアスーパーリーグは2月24日に昨季の王者ジョホール・ダルル・タジム(JDT)対昨季2位トレンガヌFCの対戦で開幕しますが、国内フットサルリーグのマレーシアプレミアフットサルリーグ(MPFL)はそれより一足早い今週末の2月18日に開幕します。

マレーシアプレミアフットサルリーグ概要

今季は新たにアジア枠の外国籍選手枠が追加され、各チームと2名の外国籍選手がプレー可能になっています。今季は参加14チームが2つのグループに分かれて8月5日の決勝を目指して戦いますが、そのグループ分けは以下の通りです。

A組
マレーシア国軍(ATM)、クダ、KPT-PSTマスタングズ(国内の大学の選抜チーム)、パハン・レンジャーズFC、ペナン、サバ、トレンガヌ
B組
ジョホール・ダルル・タジム(JDT)、KLシティFC、クアラルンプール、PFAオディン・サラワク、スランゴールMAC、スランゴールTOTユナイテッド、シャーアラムシティ

開催方法ですが、各組のリーグ戦はホームアンドアウェイ方式で行われ、それぞれの組の上位4チームがノックアウトステージへ進みます。7月29日に予定されている準々決勝から始まるノックアウトステージは、なぜか準決勝は一発勝負で行われますが、準決勝と決勝はリーグ戦同様、ホームアウェイ形式で行われます。

またリーグ決勝後の8月19日から9月23日にかけては、マレーシアフットサルカップが予定されています。リーグ戦各組の上位3チームに加え、4位と5位のチームの間で行われるプレーオフの勝者2チームの合計8チームが出場し、決勝までの全ての試合がホームアンドアウェイ方式で行われます。

今季のマレーシアプレミアフットサルリーグに参加する14チームのロゴ
注目は今季初参戦のジョホール・ダルル・タジム(JDT)

今季のマレーシアプレミアフットサルリーグの最大の話題は、今季から参戦するジョホール・ダルル・タジム(JDT)です。マレーシアスーパーリーグで8連覇中のJDTがフットサルチームを新設してMPFL参戦を発表したことが十分なニュースでしたが、その後のチーム強化がその方法も含めて注目されています。

監督にレアル・ベティスフットサルの監督だったフアン・アントニオ・ミゲル・ガルシア氏を招聘すると、昨季のリーグとマレーシアフットサルカップの二冠を達成したスランゴールMACからGKアズルル・ハディー・トフィクを筆頭にアズワン・イスマイル、エクマル・シャーリン、アズリ・ラーマンと4名のマレーシア代表選手を引き抜き獲得、さらに昨季準優勝のパハン・レンジャーズFCからは昨季のリーグMVPアブ・ハニフ・ハサン、アワルディン・マット・ナウィの両マレーシア代表選手も獲得しています。サッカーのJDT同様、チームの主力全員が代表選手、しかも後述する外国籍選手も加わることで、さらにベンチにも代表選手が控えるという豪華な布陣を短期間で揃えています。

その外国籍選手ですが、リーグの外国籍選手枠は2枠(その内の1つはアジア枠)で、その枠には2016年にUEFAフットサルカップで優勝経験のあるカイオ・セザール・ガルシア・レゴ(ブラジル)をAFCカイラト(カザフスタン)から、そしてアジア枠でアブドル・ラーマン・サラニ(イラン)をガンド・カトリン・アモルFC(イラン)からそれぞれ獲得しています。

昨季二冠のスランゴールMACと準優勝のパハン・レンジャーズFCも外国籍選手を獲得して対抗

主力マレーシア人選手がいずれもJDTに流出した昨季二冠の覇者スランゴールMACと、リーグ戦、カップ戦ともその後塵を排したパハン・レンジャーズFCは、チームの強化を外国籍選手に託しています。

リーグ3連覇を狙うスランゴールMACは、前述の通り代表選手4名がJDTに移籍した他、もう2名もやはりJDTに移籍しており、昨季までとは大きく陣容が変わっています。また残る主力選手の1人で元代表キャプテンでもあるカイルル・エフェンディがケガのため今季の出場が絶望となるなど、厳しい状況にあります。昨季オフに就任したブラジルの強豪カルロス・バルボーザ出身のエドガー・バラダッソ監督は、残った若い選手主体のチーム編成となることを明言していますが、それを支えるのが今季が2年目となるやはりブラジル出身のセアラことマテウス・ヴァスコンセロス、そしてスニチ・サヴェーSFC(イラン)から加入するレザ・スパンダル(イラン)の両外国籍選手です。

またスペイン出身で2020年に就任しながら、新型コロナによるリーグ中止により今季が実質2シーズン目となるヘラルド・カサス監督が率いるパハン・レンジャーズFCも3期連続リーグ2位から優勝を目指して、ブラジル出身の23歳マテウス・アウグストと、アジア枠では同じイラン出身で代表経験もあるアミン・ナスロラ・ザデを獲得しています。

現在空席の代表監督は近日中に発表予定

またこの他のフットサル関連のニュースでは、現在、空席となっているフットサルマレーシア代表監督について、マレーシアサッカー協会FAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長によれば近日中に発表されるということです。

これまで監督を務めていたチュウ・チュンヨン監督は、昨年4月の東南アジアサッカー連盟AFFフットサル選手権ではタイとインドネシアに敗れてグループステージを突破できずに敗退、また翌5月に開催された東南アジア競技大会ベトナム大会でも、出場5チームで争われた中、0勝1分4敗で得点7失点20の最下位となったこともあり、契約が延長されませんでした。なお今季のフットサルマレーシア代表は10月の東南アジアサッカー連盟AFFフットサル選手権、そして11月のアジアインドア&マーシャルアーツゲームズに出場を予定しています。

2月13日のニュース
タイ1部リーグ第19節-ディオン・コールズはフル出場、サファウィ・ラシドは前節に続き途中出場
トレンガヌFCがリリドン・クラスニキの加入を発表

タイ1部リーグ第19節-ディオン・コールズはフル出場、サファウィ・ラシドは前節に続き途中出場

タイ1部リーグ第19節が行われ、マレーシア代表のDFディオン・コールズ(ブリーラム・ユナイテッド)とFWサファウィ・ラシドはいずれも出場し、DFジュニオール・エルドストール(PTプラチュワプFC)はベンチ外でした。(試合のハイライト映像はタイリーグ公式サイトのYouTubeより)

タイ1部リーグ第19節
2023年2月11日@サームアーオスタジアム
PTプラチュワプFC 3-1 チョンブリーFC
昨季はチョンブリーFCに在籍したジュニオール・エルドストールにとっては古巣との対決のはずでしたが、この試合ではベンチ外でした。

2023年2月12日@ブンヤジンダースタジアム
ポリス・テロFC 1-0 ラーチャブリーFC
3試合ぶりの敗戦となったラーチャブリーFCですが、サファウィ・ラシドは前節に先発を外れ、64分に交代出場しています。


2023年2月12日@サンダー・ドームスタジアム
ムアントン・ユナイテッド 4-4 ブリーラム・ユナイテッド
両チーム合わせて8ゴールを挙げた試合は、一時はムアントン・ユナイテッドに3点のリードを許したブリーラム・ユナイテッドが、ロスタイムに追いついて引き分けに持ち込んでいます。
ディオン・コールズは先発して、フル出場しています。

タイ1部リーグ順位表(第18節終了時、上位3チームとマレーシア人選手所属チームのみ)

順位チーム勝点
1ブリーラムU19154050173349
2バンコクU1912433492540
3チョンブリー19113534181636
4ラーチャブリー1996424131133
12プラチュワップ195592639-1320
トレンガヌFCがリリドン・クラスニキの加入を発表

トレンガヌFCはクラブ公式サイトでリリドン・クラスニキの加入を発表しています。コソボ出身ながら、マレーシアサッカー協会FAMによる代表チーム強化のための帰化支援プログラムによってマレーシア国籍を取得しているクラスニキ選手は、ジョホール・ダルル・タジム(JDT)から今季末までの期限付き移籍の形で加入し、マレーシア人選手として登録され、背番号は80となることも発表されています。

東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップによる中断前までタイ1部のコンケーン・ユナイテッドFCに期限付き移籍していたクラスニキ選手は、昨年末でコンケーン・ユナイテッドFCを退団しており、かつて在籍していたクダ・ダルル・アマンFC(在籍当時はクダFA)や、クダFA在籍時の首脳陣だったタン・チェンホー監督とラモン・マルコートコーチがいるスランゴールFCなどが獲得に動いているという噂がありました。

クラスニキ選手は2015年から2018年までクダFA(当時)、2019年にはマラッカ・ユナイテッドFCでプレーし、FIFAが規定する5年間同一国でプレーすればその国の代表選手としてプレーできる規定に基づき、FAMの支援で2020年3月にマレーシア国籍を取得しています。マレーシア国籍取得直前にJDTに移籍したものの、2020年シーズン途中にローストラリア1部のニューカッスル・ジェッツに期限付き移籍すると、2021年にはオディシャFC(インディアンスーパーリーグ)、2022年には前述のコンケーン・ユナイテッドとチームを転々とする一方で、期待された代表戦では2021年に4試合、そしてキム・パンゴン監督が就任した2022年以降は、キム監督就任直後の昨年3月にシンガポールで行われたシンガポール、フィリピンとの3カ国対抗でシンガポール相手にゴールを決めたものの、それ以降は代表に召集されていません。

2月12日のニュース
3月の代表戦はJDTのホームでの開催が濃厚に
U23代表候補合宿参加者25名を発表
クランタンFCの新外国籍選手への殺害予告犯を警察が特定

3月の代表戦はJDTのホームでの開催が濃厚に

「ハリマウ・マラヤ(マレーの虎)」の愛称で知られるマレーシア代表は、クアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場がホームスタジアムですが、今年は芝の張り替えを含めた大規模な改修工事が予定されており、それが完了するのは9月とされています。
 この間には3月と6月にそれぞれFIFA国際マッチカレンダー(FIFAカレンダー)設けられていることから、代表戦の開催地がどこになるかが関心を集めていましたが、英字紙スターによると、スーパーリーグ王者ジョホール・ダルル・タジム(JDT)のホームスタジアム、スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)となりそうだということです。

マレーシアサッカー協会FAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長は、スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州)、ペナン州立スタジアム、ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州)なども候補に上がっており、最終決定は今月末あるいは来月初旬に開かれるFAMの代表チーム運営委員会で決定すると述べた上で、様々な条件を加味して考えるとスルタン・イブラヒムスタジアムになるだろうと述べています。

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JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は既に、ブキ・ジャリル国立競技場が使用できない間、代表チームに対してスルタン・イブラヒムスタジアムの使用を申し出ていることから、ノー・アズマン事務局長は何も決定していないと述べているものの、3月の代表戦(そして6月も国内開催なら)はスルタン・イスマイルスタジアムで開催されることが濃厚です。今回のブキ・ジャリル国立競技場の改修工事で張り替えられるピッチはゼオン・ゾイシア芝になりますが、この芝を既に使用しているスルタン・イブラヒムスタジアムは、どう考えても国内では最高の試合環境であるのは明らかです。

U23代表候補合宿参加者25名を発表

マレーシアサッカー協会FAMは、2月14日から19日まで行われる今年1回目のU23代表候補合宿の参加メンバー25名を公式サイトで発表しています。A代表のコーチと兼任のE・エラヴァラサン監督が率いるU23代表は、4月29日から5月15日までの予定でカンボジアで開催される東南アジア競技大会通称シーゲームズが今年最初の公式戦となります。

今回のメンバーは全員が22歳以下で、昨年のU23代表からは19名が入れ替わっていますが、前回のシーゲームズに参加し、今回のシーゲームズにも出場資格がある選手については、来月3月の第2回合宿に召集されるということです。なお今回のシーゲームズでは規定が変更となり、男子サッカーは従来の23歳以下から22歳以下と変更になっており、U23代表合宿初参加者が多いのは、新戦力の発掘の目的もあるようです。なお今回の合宿の参加者はこちらです。

クランタンFCの新外国籍選手への殺害予告犯を警察が特定

昨季はペナンFCでプレーし、今季クランタンFCに移籍したフィリピン代表DFのクリスティアン・ロンティーニに殺害予告が送られていた事件で、警察はこの予告を送ったとされる容疑者の特定を終えたと、マレーシア語紙のハリアンメトロが報じています。

この事件はロンティーニ選手のSNSに「クランタンで活躍できなければ、命を失うことになると覚えておけ。」というメッセージ送れられたことを、クランタンFCのオーナーのノリザム・トゥキマン氏が明かし、ロンティーニ選手が警察に通報し、捜査担当者に証拠の提出を行なったことが既に報じられていました。

「新加入の選手が公式戦でプレーする前にも関わらず、こういったメッセージを送ってきたクランタンFCのサポーターに対し、驚くとともに失望している。真のサポーターならば、新加入の選手に不要なプレッシャーや心配をかけるのではなく、加入を歓迎するとともに、マレーシアの文化が友好的であることを伝えるべきだ。」と述べ、既に警察とマレーシア通信マルチメディア委員会に通報したことも明らかにしていました。

ハリアンメトロの記事によると、警察は既に殺害予告を送って人物の特定を終えており、ノリザム オーナーは警察の速やかな対応に感謝するとともに、この人物の逮捕も直ちに行なって欲しいと述べているということです。

2月11日のニュース
今季のスーパーリーグ公式球がORBITA MFL1に決定
FAカップ1回戦および2回戦の組み合わせ発表-JDTは初戦で鈴木ブルーノ選手所属のPDRM FCと対戦
3月4日開幕のM3リーグの今季日程が発表

今季のスーパーリーグ公式球がORBITA MFL1に決定

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季のリーグ公式球にプーマ社のORBITA MFL1が採用されたことを公式サイトで発表しています。このORBITA MFL1はスーパーリーグ公式戦の他、マレーシアカップやFAカップなど今季MFLが主催するすべての公式戦で使用されるということです。

プーマ社のORBITAは、スペインのラ・リガやイタリアのセリエA、そして英国2部EFLチャンピオンシップなどでも採用されているボールです。なおMFLは一昨季、昨季にもプーマ社のMFL Accelerate 21.1 Proをリーグ公式球に採用しています。

FAカップ1回戦および2回戦の組み合わせ発表-JDTは初戦で鈴木ブルーノ選手所属のPDRM FCと対戦

今季のFAカップの1回戦と2回戦の組み合わせ抽選が行われ、昨季優勝のジョホール・ダルル・タジム(JDT)に加え、スーパーリーグ2位のトレンガヌFC以下、サバFC、ヌグリスンビランFC、スランゴールFC、KLシティFC、そして昨季の2部プレミアリーグで2位のクランタンFCと3位のクチンシティFCの合計8チームはシードされています。

このシードされた8チームは2回戦から登場する一方で、昨季のスーパーリーグの下位3チームのスリ・パハンFC、クダ・ダルル・アマンFC、ペナンFCと、プレミアリーグの会3チームのクランタン・ユナイテッドFC、PDRM FC、ペラFC、そして3部M3リーグの6チームの合計12チームはは1回戦から登場します。しかしなぜか、このうち4チームは1回戦が不戦勝となっており、1回戦から出場するPDRM FCは不戦勝で2回戦に進みJDTとの対戦が決まっており、同様に3部のPIB シャー・アラムFCはヌグリスンビランFCと、3部のマラッカFCはトレンガヌFCと、そしてクランタン・ユナイテッドFCはサバFCと2回戦での対戦が決まっています。

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FAカップは言わば日本の天皇杯にあたる全国規模の大会で、かつては4部リーグのチームにまで門戸が開かれていましたが、新型コロナ禍で2年間中止となり、3年ぶりに再開された昨季は3部リーグ以下ではシーズンそのものが中止されていたため1部と2部のチームのみが出場しました。しかし蓋を開けてみれば1部スーパーリーグの14チームと3部14チーム中6チームという何とも中途半端な大会となっています。しかも1回戦不戦勝の4チームを作るくらいなら、3部からもう4チーム出場させて不戦敗を無しとするとか、或いは3部の全14チームの4チームは予選ラウンドから、残る10チームを1回戦から出場させるなどのフォーマットも考えられたはず。今季は2部が休止されているため入れ替え戦がない3部のチームにとってこのFAカップは、この国のトップリーグのクラブとガチで試合ができる貴重な機会かと思うのですが、MFLも3部以下を統括するAFLもそういった発想はないようです。

3月4日開幕のM3リーグの今季日程が発表

Mリーグ3部にあたるM3リーグ以下を統括するアマチュアフットボールリーグAFLは、今季第3節までの日程を公式Facebookで発表しています。

昨季までの1部スーパーリーグと2部プレミアリーグが今季から統合、改編されて「新」スーパーリーグとなった結果、今季は2部プレミアリーグが中止となり、このM3リーグが実質2部リーグとなっています。またトップリーグであるプレミアリーグの改編に合わせて、これまでここのチームの判断に任されていたプロ選手との契約は、今季からは全チームに最低10名の選手とプロ契約を結ぶことを義務付けるなど、M3リーグもセミプロリーグ化へと舵を切っています。.

プロ選手との契約の義務化は、M3リーグ各クラブがプロクラブとして運営されるための経験を積ませるためだと説明するAFLのユソフ・マハディ会長は、実質国内2部リーグであるM3リーグの各クラブが今後トップリーグへ昇格するための準備として、この規則改変が必要だと説明しています。

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昨季スーパーリーグでプレーしたPJシティFCやプレミアリーグでプレーしたUITM FCが今季のスーパーリーグ参加を取りやめた他、給料未払い問題が未解決を理由にスーパーリーグでプレーするためのクラブライセンスが交付されなかったマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCもスーパーリーグを離脱し、昨季の1部と2部で合わせて4つのプロクラブがスーパーリーグから撤退しています。これにより行き場を失った選手たちにとっても、M3リーグのセミプロリーグ化は朗報となっています。さらに今季のM3リーグには、ノーシャルル・イドラン・タラハやハフィズル・ハキムといった元マレーシア代表を揃え、監督には前述のPJシティFCで昨季の監督を務めたP・マニアム氏を起用するハリニFTなど、積極的な補強を行うチームあり、従来のM3リーグとは全く別物になりそうです。

2月10日のニュース
タイFAカップ ベスト16-マレーシア人選手対決は実現せず
批判の多いマラッカFCとサラワク・ユナイテッドFCのM3リーグ参加は州内サッカー発展のためとアマチュアリーグ会長は説明
キナバル・ジャガーズFCのM3リーグ不参加はAFLのダブルスタンダードが原因?

昨日のニュースではKLシティFCの株式51%が金融コンサルティング企業のリナニ・グループ社に売却された件を取り上げましたが、KLシティFCを運営しているクアラルンプールサッカー協会(KLFA)のサイド・ヤジド副会長は、先日調印式が行われた株式譲渡について確定したわけではないと発言していると、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。KLFAのカリド・サマド会長も出席した調印式まで開きながら、こんな話が出てくるのは、KLFA内で権力闘争が起こっている可能性があります。「ポリティッキング」と呼ばれる、スポーツ団体内ではよく見られる派閥争いはマレーシアでは珍しくはありませんが、これがKLシティFCの民営化に支障をきたさないよう、見守りたいです。

タイFAカップ ベスト16-マレーシア人選手対決は実現せず

2月8日にタイFAカップベスト16の8試合が行われ、マレーシア代表DFディオン・コールズが所属するタイ1部のブリーラム・ユナイテッドが、元U19代表のFWザフアン・アゼマンが所属するタイ2部のウタイターニーFCと対戦しました。マレーシア人選手対決が期待された試合でしたが、コールズ選手は94分から途中出場したものの、ザフアン選手はベンチ入りせず、実現はしませんでした。試合は延長戦に入りましたが、119分にロンサナ・ドゥンブヤがPKを決めて、ブリーラム・ユナイテッドが準々決勝進出を決めています。

タイFAカップ ベスト16
2023年2月8日@ウタイターニースタジアム
ウタイターニーFC 1-2 ブリーラム・ユナイテッド
ディオン・コールズは94分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

試合のハイライト映像はタイリーグ公式YouTubeチャンネルより
批判の多いマラッカFCとサラワク・ユナイテッドFCのM3リーグ参加は州内サッカー発展のためとアマチュアリーグ会長は説明

昨季のスーパーリーグ10位のマラッカ・ユナイテッドFCと同11位のサラワク・ユナイテッドFCは、いずれも選手や監督、コーチへの給料未払い問題が解消されていないことを理由に今季のクラブライセンスが交付されませんでした。このため両クラブはアマチュアリーグのM3リーグへ参戦しますが、多くのサッカーファンは、この両チームが最下部の5部に当たるM5リーグからではなく、M3リーグに無条件で参加を認められた点を疑問視しています。これについてM3リーグ以下を統括するアマチュアフットボールリーグAFLのユソフ・マハディ会長は、マラッカ、サラワク両州のサッカーの発展のためと説明していると、マレーシア語紙のブリタハリアンが報じています。

「(2019年に)プルリス州サッカー協会(プルリス州FA)が外国籍選手への給料未払いを理由にFIFAから活動停止処分を受けて以降、州内のサッカー活動が停滞した。そして現在に至るまで、スーパーリーグにはプルリス州に本拠地を持つクラブがないことからも分かるように、その影響は計り知れない。

「各州のトップクラブがMリーグでプレーすれば、そのトップクラブを頂点とした州内のサッカー活動が停滞する心配がないことから、AFLはサラワク・ユナイテッドFCとマラッカFCにM3リーグへの参戦を許可した。」

さらにユソフAFL会長は、M3リーグに参加するマラッカFCは、昨季のスーパーリーグでプレーしたマラッカ・ユナイテッドFCとは全く別のクラブであると説明した上で、マラッカ・ユナイテッドFCの給料未払い問題は、両クラブのオーナーが異なることから、マラッカFCとは無関係の問題であるとも説明しています。

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マラッカFCを運営するマラッカ州サッカー協会は、マラッカ・ユナイテッドFCの主要株主ではなかったものの、一部株式を保有しており、全くの無関係というのは詭弁に聞こえます。またユソフAFL会長はマラッカ州サッカー協会の副会長を務めたこともあり、今回の決定には何の忖度もなかったのかという点には疑問が残ります。さらに言えば、このマラッカFC、そしてサラワク・ユナイテッドFCともに、昨季のスーパーリーグでプレーした選手はだれも残っておらず、果たしてM3リーグで試合ができるレベルのチームなのかどうかも疑問です。なし崩し的に解決しようとするマレーシア的な対応で損をするのは、未払い給料が解決しない昨季のマラッカ・ユナイテッドFCとサラワク・ユナイテッドFCの選手、得をするのはマラッカ州とサラワク州サッカー協会に関わる政治家という図式が透けて見えます。

キナバル・ジャガーズFCのM3リーグ不参加はAFLのダブルスタンダードが原因?

サバ州のコタキナバルを本拠地とするキナバル・ジャガーズFCは、今季のM3リーグに参加予定でしたが、ホームスタジアムが見つからないことを理由に参加を見送っていますが、その実はM3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグAFLのダブルスタンダードが理由ではないかと、スポーツ専門サイトのハリマウマラヤが指摘しています。

キナバル・ジャガーズFCは、当初はコタキナバルにあるリカススタジアムをホームスタジアムとして使用する予定でしたが、Mリーグ1部スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、各クラブに対してホームスタジアムを共有する場合には最大2チームまでとする、という規則を新たに発表したことで、リカススタジアムの使用ができなくなってしまいました。

リカススタジアムは、スーパーリーグで昨季3位に終わったサバFCのホームスタジアムとして使われていますが、、今季から発足するMFL各クラブのU23チームのためのリザーブリーグに出場するサバFC U23もこのリカススタジアムをホームとすることから、サバFCとサバFC U23の両チームで、MFLが規定する「スタジアム共有は最大2チームまで」の上限に達してしまうため、キナバル・ジャガーズFCはリカススタジアムの使用ができなくなりました。

と、ここまでなら規則なのでやむを得ない、となるところですが、各クラブのU23チームを「1チーム」とカウントすると、今季のMFLで使用される複数のスタジアムでこの「スタジアム共有は最大2チームまで」が守られていないと、ハリマウマラヤが指摘しています。

その一つがクランタン州のスルタン・ムハマド4世スタジアムです。このスタジアムは昨季もクランタンFCとクランタン・ユナイテッドFCが共用していますが、前述のようにそれぞれのクラブのU23チームも加えれば、一気に4チームが共用することになると指摘しています。またクアラルンプールのKLフットボールスタジアムもKLシティFCとPDRM FCが共用しており、やはりそれぞれのU23チームを勘定に加えると4チームとなります。(注:この記事ではPDRM FCのホームスタジアムが、昨季と同様にKLフットボールスタジアムである前提で書かれていますが、先日発表された今季の日程では、PDRM FCのホームゲームはスランゴール州のMBPJスタジアムで開催するとされています。MBPJスタジアムはスランゴールFCのホームスタジアムなので、こちらで4チーム共用が起こることになります。)なおKLフットボールスタジアムは昨季のM3リーグ準優勝チーム、KLローヴァーズFCもホームスタジアムとする予定とされており、そうなると同じM3リーグに参加予定だったキナバル・ジャガーズFCがリカススタジアムを使えないという決定は文字通りダブルスタンダードということになります。

ハリマウマラヤの記事では、国内サッカーではピッチコンディションの悪さがたびたび話題になることから、良いピッチコンディションでプレーができるよう、MFLが同じスタジアムを共有するチーム数を制限すること自体は良いことだとする一方で、スルタン・モハマド4世スタジアムやKLフットボールスタジアムで許可されていることが、理カススタジアムで許可されていないことについてはその理由が不明であるとしています。