12月21日のニュース:クラスニキはJDTに(やっぱり)加入、タム・シィアンツンはクダFAでの活躍を目指す、ミャンマーU22のスターにマレーシアやタイのクラブが触手

クラスニキ(やっぱり)JDTに加入
 マレーシアフットボールリーグMFL1部のジョホール・ダルル・タジムはFacebook上で、コソボ出身のリリドン・クラスニキのマレーシア人選手としての加入を発表しています。クダFAで4年間、マラッカ・ユナイテッドで1年間プレーしたクラスニキ選手は、FIFAの規定にある5年以上該当国で継続して居住することで帰化選手となることができる規定によりマレーシア人選手としての登録が可能とされており、マレーシアの国籍取得後はMFLではマレーシア人選手としてのプレーが可能です。
 過去数週間、JDTの練習施設で目撃されていたことから入団は秒読み段階と言われていましたが、やっぱりJDTに加入したようです。
 今季はMFL1部マラッカ・ユナイテッドでプレーしたクラスニキ選手は、開幕から6試合目に負傷し、それ以降は治療等でチームを離れ、今季終了後には契約満了で退団していました。昨季のクダFA退団の際、そして今季のマラッカ・ユナイテッドとの契約中に音信不通になるなど、悪い評判が立っていたクラスニキ選手について、JDTオーナーのジョホール皇太子トゥンク・イスマイル殿下は、練習中の態度を見る限りでは何の問題もないと述べており、クダFAで高い評価を受けていた頃のクラスニキ選手に戻ったのかも知れません。
 その一方で、やはり噂になっていた、マレーシア人の母親を持ちベルギーU21代表などの経験を持つディオン・コールズ(23歳、クラブ・ブルッヘ)について、トゥンク・イスマイル殿下は、世界でもトップクラスのベルギーでサッカーを続けてもらいたいとする一方、JDTの門戸はいつでも開いていると話しています。
 またトゥンク・イスマイル殿下は、JDTのBチーム、MFL2部に所属するJDT IIに日本人選手が加入予定であること、またJDTは来年2020年1月15日からドバイでキャンプを行うことなども併せて発表しています。
******
 クラスニキ選手については、アジアサッカー連盟AFCの承認を得ることでマレーシア代表でのプレーも可能で、マレーシアサッカー協会FAMも来季ペラTBGでプレーするギリェルメ・デ・パウラとこのクラスニキ選手を帰化選手として登録したい意向を表明しています。

タム・シィアンツンはクダFAでの活躍を目指す
 東京でマレーシア料理店を営むマレーシア人の両親のもとに生まれたタム・シィアンツンは2009年、13歳のときにJリーグ2部(当時)の横浜FCのU15チームにスカウトされ入団しました。しかし初のマレーシア人Jリーガー誕生かと期待されたかつての天才少年も今年24歳になりました。英字紙ストレイトタイムズ電子版はこのタム選手が、クダFAと来季の契約を結んだことを報じています。
 横浜FCU15からサガン鳥栖、そして水戸ホーリーホックと移籍したタム選手は、移籍先でチャンスを掴むことができず、2013年には中国1部リーグの上海申花のリザーブチームに加入しました。また同年には東南アジア競技大会通称シーゲームズ出場のマレーシアU22代表候補合宿に招集されましたが、当時のオン・キムスイ監督はタム選手を最終メンバーには選びませんでした。
 上海申花退団後は日本へ戻り、アビスパ福岡、カターレ富山、ガイナーレ鳥取へと移籍するも、結局、日本でも中国でも思うような成績が残すことはできませんでした。
 2016年に両親の故郷マレーシアへ戻ったタム選手はマラッカ・ユナイテッドと契約しますが、満足する結果を残せないまま契約満了とともにD’ARワンダラーズ(MFL3部)へ移籍していました。
******
 来季のクダFAはAFCチャンピオンズリーグACLの予選出場権を得たこともあり、クパ・シャーマン(PKNP FCより加入)、チェチェ・キプレ(トレンガヌFCより加入)攻撃陣を中心とした大型補強を行っており、タム選手が出場機会を得ることは容易ではなさそうです。
 東京育ちということで、家庭内では両親から中国語で話しかけられても日本語で返事をすることの方が多いというタム選手。このブログでは今後もその動向を追いかけてみたいと思います。

ミャンマーU22のスターにマレーシアやタイのクラブが触手
 今月12月初旬に開催された東南アジア競技大会シーゲームズで銅メダルを獲得したミャンマーU22の主力選手にマレーシアやタイのクラブが興味を示しているとミャンマーの英字紙ミャンマータイムズ電子版が伝えています。
 関心を集めているのはFWアウン・カウン・マン(21)で現在はエー・ユナイテッドFCに所属しており、マレーシアとタイのクラブからのオファーを検討中と報じられています。先日のシーゲームズでは、準優勝したインドネシア相手の準決勝や3位決定戦でのゴールを含む5ゴールを挙げ、ミャンマーの銅メダル獲得に貢献しています。
 但し、記事の中では自分のプレースタイルに合っているのはタイのサッカーだとして、マレーシアのクラブからのオファーを受けない可能性を示唆しており、MFLでカウン・マン選手を見る可能性は低そうです。
 なお同じミャンマーU22代表からは19歳のMFミャット・カウン・カン(ミャンマー1部リーグのヤダナボンFC所属)にもタイクラブからのオファーがあることも報じられています。

12月20日のニュース:N9とサバFAに新監督就任、ペラIIには元PKNP監督が就任、その一方でUITM FC監督が辞任

来季2020年のマレーシアフットボールリーグMFLの開幕は2月28日と発表になり、首脳陣が未定だったクラブが新監督の就任を発表しています。

ヌグリ・スンビランFAにはサザリ新監督就任
 マレーシアフットボールリーグMFL2部ヌグリ・スンビランFAは、サザリ・サイドン監督の就任をクラブの公式Facebookで発表しています。サザリ新監督は、今季2019年はプレジデントカップ(U22)チームの監督を務め、今季途中で解雇されたマット・ザン・マット・アリス監督を引き継いだザキ・シェイク・アーマド監督代行のアシスタントコーチも務めていました。
 また中武駿介選手、ともにブラジル出身のイゴール・ルイズとマテウス・ビーラの両選手の残留も発表になっています。

サバFAにはインドネシア出身のドゥイ・ユリアント監督が就任
 来季はMFL1部に昇格するサバFAは、現在インドネシアU23代表のアシスタントコーチを務めるクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督の就任を発表しています。
 MFLのインドネシア出身の監督は、2015年から2017年までTチーム(現トレンガヌFC II)を率いたラーマド・ダルマワン監督以来です。
 ドゥイ・ユリアント監督は、インドネシアサッカー界のレジェンドの一人で、先日引退を発表したバンバン・パムンカスに続くそれぞれ2位の代表キャップ数59とゴール数33という記録を持っています。
 また、現役時代にはサバ州の隣のサラワク州を拠点とするサラワクFA(現サラワク・ユナイテッド)で2005年から2006年までプレーし、31試合に出場し29ゴールを挙げています。
******
 今季クラブをMFL2部優勝に導いたジェリアス・アティン前監督(来季はアシスタントコーチ)はMFL1部での指導に必要となるAFCプロライセンスを所持していないことから、新監督を探していたサバFA。この他にはU22/U23代表のオン・キムスイ監督などもサバFA新監督の候補に上がっていました。インドネシアではU23代表だけでなくフル代表でもアシスタントコーチを務めたドゥイ・ユリアント新監督は、コーチとしての経験はあっても監督しての経験は皆無ですので、思い切った人選であるのは事実です。

ペラIIには元PKNP監督が就任
 MFL2部に降格したPKNP FCは、そのままペラTBGのBチームであるペラIIとなりましたが、その監督にはPKNP FCのアブ・バカル・ハジム監督が就任すると英字紙スター電子版で伝えられています。
 現役時代はペラFAでプレーし、引退後、過去4年間のPKNP FC監督を含め、アブ・バカル監督は15年以上、ペラFAのアシスタントコーチや監督、またU19チームのコーチ、監督を務めており、今後もペラ州サッカー協会に関わっていけることを喜んでいると話しています。
 PKNP FCからは数名が残り、来季はペラFAのプレジデントカップ(U21)チームだけでなく元PKNP FCのプレジデントカップチームからも選手を獲得していと述べていますが、その一方で若手だけでなく、経験のある選手も必要と話し、カイルル・アシュラフ・サヒザン、アーマド・シュクリ・アブドラ(元PKNP FC)やハミズル・イザイディ(ペラTBG)らMFL経験者にも期待しているとも述べています。

その一方でUITM FCが辞任
 MFL1部のPKNS FCが今季終了後、スランゴールFCのBチームであるスランゴールFC IIとなりました。MFLの規定によりBチームはAチームと同じリーグでプレーすることができないため、スランゴールFC IIはMFL2部に降格となり、MFL1部のチーム数が11となったため、今季MFL2部5位のUITM FCがMFL1部へ昇格することになりました。
 しかしUniversiti Teknologi Maraマラ工科大学が母体のUITM FCは、運営資金の不足から来季のMFL1部を自校の大学生のみで戦う方針を発表し、これを受けてイスマイル・ザカリア監督がUITM FC監督を辞任したとスター電子版が伝えています。
 イスマイル監督は、来季もUITM FCがMFL2部でプレーするのであれば費用削減は理解できるとする一方、国内のトップリーグであるMFL1部でプレーするのであれば、それ相応の資金が必要であると経営陣に訴えたものの、JDT、スランゴールFC、クダFAなどと対戦するにもかかわらず費用削減を第一とする方針に同意できなかったことから辞任を選んだと話しています。
 UITM FCは来季の布陣や新戦力獲得などの告知は行われていませんが、イスマイル監督の後任には、元マレーシアU23代表監督のドイツ人フランク・バーンハート氏を候補としているという噂があります。
 イスマイル監督は、MFL2部のクラブから複数のオファーを受けているとし、自身の来季については近々発表すると述べています。

12月19日のニュース:フェルダUに恵龍太郎選手加入、パレスチナがマレーシアとの親善試合を熱望

フェルダUに恵龍太郎選手加入
 今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL10位と1部に踏みとどまったフェルダ・ユナイテッドFC。しかし来季の運営資金上の問題から、池田圭選手や渡邉将基選手を含む外国籍選手やマレーシア人主力選手との契約更新を行なっていませんでしたが、ここにきて活発な補強を進めています。
 今月12月始めには元シンガポール代表FWカイルル・アムリをシンガポールリーグ1部のタンピネス・ローヴァーズから獲得していましたが、その後は特に大きな動きもなく、来季も指揮をとるニザム・ジャミル監督は若手を中心としたチーム編成を考えているとしていましたが、その期待の若手が他クラブへ移籍するなど予定が狂い、このブログでも取り上げましたが方針転換を表明していました。
 今回フェルダ・ユナイテッドに入団するMF恵龍太郎選手は、今季はシンガポール1部のタンピネス・ローヴァーズでプレーしており、カイルル選手ともチームメートだったことから、フェルダ・ユナイテッドでも二人のコンビネーションに期待が持てそうです。
 また恵選手の他にもセルビア出身のDFモムチロ・ラスポポヴィッチ(クロアチア1部リーグのHNKリエカより加入)、アルゼンチン出身のFWニコラス・ヴェレズポルトガル1部リーグのベレネンセスより加入、2018年にはネグリ・スンビランFAに在籍)も補強しています。
******
 来季の運営資金不足という話から一気の補強です。ただし、今季在籍選手の大量移籍、大量解雇により、来季は外国籍選手以外は初めてMFL1部でプレーする選手を何名も起用せざるを得ない状況は続きそうです。
 また恵選手の加入で、来季のMFLは1部フェルダ・ユナイテッドに恵選手、2部トレンガヌFC IIに鈴木ブルーノ選手、ヌグリ・スンビランFAに中武駿介選手、クチンFAに鈴木裕太選手と4名の日本人選手がプレーすることになります。

パレスチナがマレーシアとの親善試合を熱望
 マレーシアサッカー協会FAMのダト・ウィラ・ユソフ・マハディ副会長が明らかにしたところによると、来年2020年3月21日にパレスチナがガザでのマレーシアとの親善試合を希望しているようです。
 現地での安全確保が最優先としながらも、現在、FAMがオファーを出している親善試合相手からの返事次第では、この試合も実現する可能性がありそうです。
 FIFAワールドカップ2020年大会アジア二次予選では、ベトナムに次いでグループ2位につけているマレーシアは、2020年3月26日には成績不振からベルト・ファン・マルワイク監督を更迭したアラブ首長国連邦UAEとのアウェイ戦が、3月30日にはホームでベトナム戦が控えています。なお、フル代表のタン・チェンホー監督はワールドカップ予選前に2試合の親善試合を希望しており、FAMは現在、調整中ということです

12月18日のニュース:JDTオーナーが大物外国籍選手獲得を示唆、サファウィ・ラシドにJクラブが興味、アキヤ・ラシドの私生活を案じる声

JDTオーナーが大物外国籍選手獲得を示唆
 今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグ6連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーであるジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が12月20日に重大発表があると述べたことで、JDTが大物外国籍選手を獲得するのでは、という噂になっています。
(以下、JDTのFacebookより、なおhrhとはHis Royal Highness「殿下」です」。)

 そしてその候補となっているのは、以前このブログでも取り上げたベルギー出身で各年代でもベルギー代表候補経験のある、ベルギーリーグ1部クラブ・ブルッヘ所属のDFディオン・ヨハン・コールズ(23)です。
 今季に続き、来季2020年もAFCチャンピオンズリーグACLの本選から出場するJDTは、今季ACLでの勝点4以上の成績を目指すための補強と思われます。
 ただし今季のJDTはDFハリス・ハルン(シンガポール)、MFゴンザロ・カブレラ、MFレアンドロ・ベラスケス(いずれもアルゼンチン)、FWジオゴ・ルイ・サント、DFマウリシオ・ドス・サントス・ナシメント(いずれもブラジル)と5名の外国籍選手枠が埋まっているため、コールズ選手の加入となると、この中から誰かが退団することになる可能性があります。
 ただし、コールズ選手は母親がマレーシア人で、サラワク州クチン生まれということもあり、開幕前にマレーシア人選手としての登録が完了すれば、MFLではマレーシア人枠での出場が可能です。ただし、その場合、マレーシアは二重国籍を認めていませんので、ベルギーの国籍を放棄する必要があります。

サファウィ・ラシドにJクラブが興味
 またJDTオーナーのトゥンク・イスマイル殿下はメディアとの懇談で、今季MFL最優秀選手となったサファウィ・ラシドについて、複数のJリーグクラブやスイスリーグ1部のクラブから照会が来ていると述べています。
 現在、マレーシア国内では最高の選手とも言えるサファウィ・ラシドに興味を示しているクラブとして具体的にFCチューリヒの名前を挙げていますが、他のスイスのクラブや、やはり具体的に名前を挙げなかったもののJリーグのクラブからも、英語はborrowという表現になっているので期限付き移籍の照会が来ているようです。
また同じJDTのアキヤ・ラシドにも同様の問い合わせがきているとも、イスマイル殿下は述べています。
 またイスマイル殿下は、サファウィ選手とは具体的な話は何もしておらず、まずは選手が国外への移籍に前向きかどうかを話し合いたいとも述べいます。
******
 日本関連で言えば、J2ファジアーノ岡山に所属する19歳のハディ・ファイアッドは、今季2019年は4月29日10月14日育成マッチデーの2試合に出場しただけでしたが、スポンサーとなっているヤクルト・マレーシアのおかげで、来季の残留が決まったようです。しかしサファウィ選手の実力ならスポンサーなしでもJリーグのクラブは獲得に手を挙げるでしょう。国外移籍が実現するかどうかは、マレーシアではすでにスーパースターのサファウィ選手が、給料が下がっても国外でやりたいと思うのかどうかにかかっていると思います。

アキヤ・ラシドの私生活を案じる声
 マレー語サッカー専門サイトのラ・ボラ・マレーシアは、かつてクダFAやヌグリ・スンビランFAで監督を務めたアザアリ・コー・アブドラ氏がジョホール・ダルル・タジムJDTに所属する20歳のアキヤ・ラシドの将来を心配する声を挙げていることを報じています。
 今月初旬にU22代表のメンバーとして出場した東南アジア競技大会シーゲームズでも個人技に走りすぎて、チームに貢献していないという批判を浴びたアキヤ選手ですが、アザアリ氏はこのままではアキヤ選手が持っている才能をダメにしてしまうと心配しています。「アキヤ選手は才能があることから、最高の環境であるJDTでプレーする機会を得ているが、彼はその恵まれた機会を無駄にしている。さらには人間的に未熟で、プロサッカー選手としての自覚にも欠けている」と述べています。その上で、家族や友人がアキヤ選手を正しく導くことが必要だとしています。チーム内の競争も激しいJDTで今のような姿勢でプレーを続ければ、ポジションを失うどころか、退団の危機もあり、そうなればサッカー選手としての彼の人生にも影響が出るだろうと危惧しています。
 なおJDTのオーナーであるトゥンク・イスマイル殿下も今季中、クラブ規範を守らなかったこと、そしてクラブのイメージを損なう行為を行ったことで、アキヤ選手に対して何度か罰金を課したことを明らかにしています。
******
 今回このような記事が出た背景には、ソーシャルメディア上に広まった一枚の写真があります。お騒がせ系女優で歌手のエイカ・ファルハナと親しげな様子で撮られた写真は、シーゲームズで期待を裏切る惨敗の直後だったこともあり、期待以下のパフォーマンスに落胆してイアサッカーファンの怒りを買い、あっという間に炎上しました。しかもその写真にはU19代表から飛び級で昇格し、来季はベルギー1部でプレーする予定の17歳ルクマン・ハキムも一緒に写っていたことから、将来有望なルクマン選手にアキヤ選手の「悪影響」が伝わるのではないかと心配するファンがさらに炎上させる状況になってしまいました。
 プロのサッカー選手が休暇を過ごすことも、女優と浮名を流すことも(イスラム教国なので婚前交渉厳禁ですが)何も問題はないですが、時期が悪かったことと、アキヤ選手がファンの期待通りのプレーをできていないことでこんな騒ぎになったと言えるでしょう。

12月17日のニュース:スランゴールFCのサードジャージが大人気、スランゴールFA IIは外国籍選手加入を否定せず、スランゴールFCがアジアチャレンジ2020を開催、KLFAはM3リーグでプレーするBチーム設立を検討

スランゴールFCのサードジャージが大人気
 スランゴールFC(スランゴールFAから名称変更)のサードジャージが大人気となっていると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 12月14日にホームのシャーアラムスタジアムで行われたスランゴールフットボールデー2019の席上でお披露目されたスペインのメーカー、ホマ社製サードジャージは上下、ソックスとも黒一色。しかも限定2000着となれば、マレーシア語で言うところの「揚げたてのゴレン・ピサンのように」よく売れているようです。(ゴレン・ピサンとは、マレーシアで好まれるバナナフリッター。写真下)

 胸スポンサーは、スランゴールFCのBチームとなってしまったPKNS FCの親会社PKNS(スランゴール州開発公社)が採用されているのは皮肉ですが、このスポンサー名は暗闇で光る仕様に、また背番号と選手名は白地になっています。
******
 2019/2020年シーズンに創立100周年を記念して作られたボルシア・ドルトムントのパクリでは、などといった声もソーシャルメディア上で出ていますが、カッコ良いので細かなことは気にしません。ちなみに価格はサポーター使用、選手仕様ともに119リンギ(およそ3150円)となっています。

スランゴールFC IIは外国籍選手加入を否定せず
 MFL1部のPKNS FCを、同じMFL1部のスランゴールFA(現スランゴールFC)が吸収合併してBチーム化したスランゴールFC IIは、若い選手に出場機会を与えるというBチーム本来の目的を果たすため、来季2020年は外国籍選手とは契約しないとしていましたが、スランゴールFCとスランゴールFC IIを統括するスランゴール州サッカー協会のジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、MFL3部のM3リーグ降格の可能性がある場合には外国籍選手の獲得には躊躇(ちゅうちょ)しないと発言していると、マレー語紙シナルハリアン電子版が伝えています。
 外国籍選手との契約は、スランゴールFC IIのテクニカルダイレクターも兼任するドイツ人のミハエル・フェイヒテンベイナー新監督が必要とする場合に限るとしながらも、ジョハン・カマル事務局長は、スランゴールFC IIがM3に降格すれば、若手選手を高いレベルのリーグに参加させるというBチーム本来の目的を果たせないとして、当初の発言を翻しています。
 なお、同じ記事の中では、スランゴールFC IIの新監督が決定したことにより、PKNS FCのクリシュナサミ・ラヤゴパル監督との契約は解除となったことや、PKNS FCと契約が残っている選手はスランゴールFCでプレーすることなども合わせて報じられています。

スランゴールFCがアジアチャレンジ2020を開催
 この他のスランゴールFC関連のニュースとしては、来年2020年1月18日と19日の日程で、東南アジアの4クラブによるアジアチャレンジ2020と称する大会をがホームのシャーアラムスタジアムで開催されることも発表されています。今季MFL3位のスランゴールFCが主催する大会に参加予定のクラブは、ハノイFC(ベトナム、今季ベトナム1部リーグ優勝)、バンコク・ユナイテッド(タイ、同準優勝)、ペルシブ・バンドンFC(インドネシア、同7位)の3クラブです。
 スランゴール州サッカー協会のジョハン・カマル事務局長は、プレーシーズンマッチとしてだけでなく、アジアを目指すスランゴールFCが近隣諸国の強豪と対戦することで存在感を示すことが目的とていること、またこの大会では各クラブとも2試合ずつを行い、優勝クラブには賞金としては1万米ドルが与えられるとGoal. comの取材に答えています。
****** 
 ブレンダン・ガン(ペラTBGより移籍)、サフワン・バハルディン(パハンFAより移籍)、ニコラス・スウィラッド(PKNS FCより移籍)などを獲得し、来季の優勝候補の一つに躍り出た新生スランゴールFCのお披露目となる大会ですが、個人的には、ブリーラム・ユナイテッドから元日本代表の細貝萌選手が移籍したことで話題になっているバンコク・ユナイテッドとの対戦が注目カードです。

KLFAはM3リーグでプレーするBチーム設立を検討
 来季はスランゴールFC IIとペラTBG IIが参加するMFL2部。既存のJDT IIとトレンガヌFC IIと合わせ、リーグ所属12チーム中4チームがBチームという少々不思議なリーグになっていますが、今季からこのMFL2部でプレーするクアラルンプールFA(KLFA)は、MFL3部にあたるM3リーグにBチーム設立を検討していると、マレー語紙ハリアンメトロ電子版が伝えています。
 今季MFL1部で最下位12位となり、MFL2部に自動降格となったKLFAは、2021年のMFL1部復帰を目指していますが、それとは別に若手選手の出場機会を増やすためのBチーム設立を検討していることを、クアラルンプールサッカー協会のノクマン・ムスタファ事務局長が明らかにしています。ムスタファ事務局長は、これまでの移籍選手に依存したチーム強化から、自らの下部組織出身の選手を育てることに注力したいと述べ、U19やU21チームの選手がAチーム入りするための準備として、出場機会のない若い選手たちにより多くの実戦経験を積ませたいとしています。
******
 地元KL出身のKLFAの選手で代表チームに招集されたのは、今回のシーゲームズのU22代表にオーバーエイジ枠で招集されたイルファン・ザカリアが8年ぶりとなるほど(しかしイルファン選手も来季はクダFAでプレー)、KLFAには地元出身の有力選手が枯渇しています。今季フル代表に招集されたハディン・アズマン(クダFA)、ダニアル・アミール(フェルダ・ユナイテッド)やコギレスワラン・ラジ、ディネシュ・ラジャシンガム(いずれもパハンFA)などKL出身の有力選手は決して少なくはありませんが、KLFAを統括するクアラルンプールサッカー協会が人材流失を防ぐ努力をしてこなかった結果、地元に有力選手が残らず、KLFAもMFL2部で戦うことになったと言えるかも知れません。

12月16日のニュース:クダFAは5人目の外国籍選手加入が決定-杉本選手加入は噂止まり、トレンガヌFCも5人の外国籍選手枠が埋まる、鈴木ブルーノ選手はトレンガヌFCII残留が決まる

クダFAは5人目の外国籍選手加入が決定-杉本選手加入は噂止まり
 マレーシアフットボールリーグMFL1部クダFAはFacebookで、今季2019年はタイリーグのラーチャブリーFCでプレーしたフィリピン代表のMFアミン・ナザリの加入を発表しています。スウェーデン生まれながらイラン人とフィリピン人の両親を持つアミン選手は、スウェーデンU17代表などを経て、フィリピン代表としてのプレー経験もあります。
 アミン選手の加入により、今季2019年在籍したDFレナン・アウヴェス(ブラジル)とDFシャキール・ハムザ(シンガポール)、新規加入のFWチェチェ・キプレ(コートジボアール、トレンガヌFCより加入)とFWクパー・シャーマン(リベリア、PKNS FCより加入)と合わせてクダFAは来季2020年シーズンの外国籍選手枠5名が全て埋まり、このブログでも取り上げた浦和レッズの杉本健勇選手のクダFA加入は、結局、噂止まりとなりました。なおアミン選手はアジア選手枠での契約となっています。

トレンガヌFCも5人の外国籍選手枠が埋まる
 MFL1部のトレンガヌFCはFacebookで、セネガル出身のDFババカル・ディアロがフィンランド1部リーグのクオピオン・パロセウラから加入することを発表しています。
 ディアロ選手の他、同じく新加入となるFWファリス・ラムリ(シンガポール、ホウガン・ユナイテッドFCより加入)、FWドミニク・ダ・シルヴァ(モーリタニア、サイゴンFCより加入)、そして今季キャプテンを務めたFWリー・タック(イギリス)、2年目となるMFサンジャル・シャアフメドフ(ウズベキスタン)とともにトレンガヌFCも来季の5人の外国籍選手枠が全て埋まっています。

鈴木ブルーノ選手はトレンガヌFCII残留が決まる
 スポーツ専門サイトスアジアムアストロでは、MFL2部トレンガヌFC IIがFW鈴木ブルーノ選手との契約延長を発表したと報じています。
 今季終了後、鈴木選手はトレンガヌFCIIのAチームであるトレンガヌFCのバングラディシュ遠征に参加したにも関わらず、契約延長されないという話が出ていましたが、ここにきて急転直下、来季もトレンガヌFC IIでプレーすることになりました。また同じくバングラディシュ遠征に参加したMFマルセル・ングウェッセン(コートジボアール)も契約延長で合意したと発表された他、今季はMFL2部PDRM FCでプレーしたDFアルグジム・レゾヴィッチ(モンテネグロ)、FWジョーダン・ミンター(ガーナ、フィリピン1部カヤFCより加入)の2選手の加入も発表されており、トレンガヌFC IIの4人の外国籍選手枠は全て埋まりました。
******
 今季終了後、自身のインスタグラムで退団を発表していた鈴木選手でしたが、来季からトレンガヌFCIIの指揮を取るロシャディ・ワハブ監督自身は、今季トレンガヌFC IIの得点王でもあった鈴木選手の安定した力を高く評価した上で、来季も残留を望む発言を繰り返していたので、結局、無事残留となりました。(写真は鈴木選手のトレンガヌFC II残留を伝えるトレンガヌFCのホームページより)

12月15日のニュース:2021年のACLとAFCカップの割り当て決定、MFLは各クラブへ放映権料支給を取り止め、スランゴールFA監督がシーゲームズの結果についてコメント

2021年のACLとAFCカップの割り当て決定
 アジアサッカー連盟AFCが主催するアジアのクラブ王者決定戦AFCチャンピオンズカップACLは、2021年からは現行の32チームから40チームへと本戦出場チーム数が拡大しますが、これに伴いACLの各国割り当て枠が変更になり、マレーシアはこれまでの1+1(本戦出場枠1つと予選プレーオフ出場枠1つ)から1+0(本戦出場枠1つと予選プレーオフ出場枠0)へと、実質的には出場枠減になっています。
 なお来季2020年は、マレーシア国内最上位リーグとなるマレーシアフットボールリーグMFL1部優勝チームのジョホール・ダルル・タジムJDTがACL本戦に出場、全国レベルの国内カップとなるマレーシアFAカップ優勝のクダFAがACL予選プレーオフに出場となっています。
 なお今回の変更により東南アジアの各国は、AFC東地区でAFC加盟協会(MA-Member Association)ランキングが4位のタイが2+2、6位のフィリピンは1+1、8位のベトナム、9位のマレーシア、10位のシンガポールはいずれも1+0、12位のミャンマーは0+1の出場枠を割り当てられています。
 また今回のACLの出場枠割り当て変更に伴い、2021年AFCカップへの出場条件も変更になり、本選出場枠、予選プレーオフ出場枠を問わずACL出場枠が1つ以下のAFC加盟協会にはAFCカップの出場枠が与えられることになりました。この結果、マレーシアは本戦出場枠が2枠となり、来季2020年MFL1部2位のチームとマレーシアFAカップ優勝チームに出場権が与えられます。
******
 ACL予選プレーオフ枠は減ったものの、AFCカップ出場枠が2つ増えたことで、より多くのクラブが東南アジアで、さらにはアジアで力試しをする機会を得ることになりました。ACLとAFCカップに出場するクラブは、結果を出し続けてACLの出場枠を従来の1+1に引き戻すことを目指して欲しいです。

MFLは各クラブへ放映権料支給を取り止め
 マレーシアフットボールリーグMFLは、ホームページで所属各クラブへ分配予定だった放映権料の残りの支給を行わないことを正式に発表しています。
 緊急臨時総会を開いたMFLのダト・ハミディン・アミン会長は、MFLが抱える不安定な経営状況を回復させる必要があることから今回の決定に至ったと説明する一方で、今年2019年7月にはその不安定な経営状況下で各クラブに約束していた放映権料の半額を支払ったことへの理解を求めています。今年7月の時点では、MFL1部クラブには150万リンギ(およそ3970万円)が、MFL2部クラブには50万リンギ(およそ1320万円)が支給されています。
 また来季2020年分の放映権料については、MFLが得る放映権料と商業利益が総額が1800万リンギ(およそ4億7600万円)以下の場合には従来のMFL1部300万リンギ、MFL2部100万リンギから見直しを行うこと、そして2021年以降は放映権料分配は年末に行うことも併せて発表しています。
******
 このブログでも取り上げたマレーシアのマルチメディア企業テレコムマレーシアTMとMFLの間で2018年1月に締結された8年間で4億8000万リンギ(およそ127億円)という放映権料を含む巨大なスポンサー契約が今年2月に打ち切られたことにより、MFLには期待していた放映権そのものが全く入らない中、各クラブに約束していた金額の半分を支給した(噂では、資金源はジョホール州皇太子で前MFL会長のトゥンク・イスマイル殿下のポケットマネー)のが7月でした。残りは8月、11月と支給予定日を先送りしてきましたが、結局、無い袖は振れぬ、ということでした。

スランゴールFA監督がシーゲームズの結果についてコメント
 2019年東南アジア競技大会通称シーゲームズのサッカー男子に出場したU22代表は、大会前は準決勝出場間違いなし、そこから何色のメダルが取れるか、と言われていましたが、結果は予選グループで敗退し、準決勝に進出することができませんでした。
 シーズン末の大会であったことから疲労の蓄積、あるいは参加した選手の意欲の欠如など、様々な理由がメディアを賑わせましたが、スランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督は、この大会に臨んだ選手たちの姿勢が問題ではないかと指摘しています。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に出場しているフル代表のメンバー7名を含むU22代表のメンバーは近年でも最高のメンバーであるとする一方、代表チームでプレーするということはサッカー選手にとって最高の栄誉であることを理解していない選手がいたのではないかと述べています。
 今大会で優勝したベトナムにもフル代表でプレーする選手が含まれていたことからシーズン末の大会であることや疲労は理由にならないだろうとし、マレーシアが初戦のミャンマー戦の引き分け以降、低下していったことを指摘、選手たちが準決勝進出を諦めてしまったように感じたと述べています。
 またその一方で、ファンやサッカー関係者、メディアの何が何でもシーゲームズでは金メダル、という姿勢も変えるべきだとしています。金メダルを目指すこと自体は間違えていないが、時にはことの全体像を捉え、各大会ごとの目標を正しく設定すルことが重要とも指摘しています。サティアナタン監督は個人的な意見であると前置きした上で、(東南アジアのチームのみが参加する)シーゲームズの結果を選手やチーム評価基準として使うことには反対で、むしろ(アジアのチームが参加する)AFC主催の各大会を評価基準とするべきとし、例えば今回で言えば、U22代表ではなくU19代表をシーゲームズに出場させる、という考え方があっても良かったのではないかとも話しています。U19の選手にとって上の年代の選手との対戦は良い経験になるだけでなく、予選を突破したAFC U19選手権の準備にもなっただろうと述べていますが、同時に現在のファンやサッカー関係者、メディアの姿勢ではそのような方針は決して許されることはないだろうとも述べています。
******
 マレーシアサッカーがその域まで達しているかどうかは別として、例えば昨年2018年のアジア競技大会はU23代表が出場する大会でしたが、日本はU21代表を派遣しています。また、今回U22代表のオン・キムスイ監督はU19代表でプレーする17歳のルクマン・ハキムとウマル・ハキームの2選手を招集するなど、現場レベルでは、サティアナタン監督の考えが理解されているようですが、マレーシアサッカー協会幹部や、メダルの数が気になるマレーシアオリンピック協会(シーゲームズはオリンピック協会が統括)幹部がこの考えを理解できるかどうかは、マレーシアサッカーに対してどのくらい先まで見越した方針を持てるかどうかによりそうです。

12月14日のニュース:来季MFLは2月28日に開幕、スランゴールUが買収されサラワクUに名称変更、KLFAに新監督就任

来季MFLは2月28日に開幕
 マレーシアフットボールリーグMFLのホームページでは、来季のMFLが2月28日に行われる、MFL優勝チームJDTとマレーシアFAカップ優勝チームクダFAが対戦するスンバンシーカップで開幕し、7月19日に閉幕することが発表されています。
 スランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督を筆頭に、キャンプの予定が立てられないと来季の日程を発表しないMFLに対して不満が高まっていましたが、とりあえず開幕日は発表になりました。
 今回の日程発表の遅れについてMFLは、各クラブの経営状況を把握し、それぞれのクラブが予算範囲内で選手と契約し、給料未払い問題の発生を事前に防ぐための経済コントロールプログラムECPが来季2020年シーズンから導入されることによるものとしています。
 このECP導入により、MFL1部と2部所属の全クラブは全ての登録選手との契約予算をMFLに提出、それをもとにMFLが来年2020年1月15日までに各クラブの経営状況審査を行った上で認可することになっています。
 また、新規選手獲得期間となるトランスファーウィンドウは、各クラブの経営状況審査が終了する予定の1月16日から3月15日までに設定されています。

スランゴールUが買収されサラワクUに名称変更
 同じMFLのホームページでは、サラワク州サッカー協会FASによるMFL2部スランゴール・ユナイテッドFCの買収と、それに伴うチーム名変更申請を承認したと発表しています。この結果、来季2020年にはスランゴール・ユナイテッドFCはサラワク・ユナイテッドFCとしてMFL2部に参戦します。
 スランゴール州マレー人サッカー協会SMFAが運営するスランゴール・ユナイテッドFCは、1974にマレーシアマレー人サッカー協会PBMM FCとして創設され、2017年にはスランゴール州マレー人サッカー協会PBMS FCに、そして2018年にはスランゴール・ユナイテッドFCと名称変更しました、その2018年にはMFL3部にあたるFAMカップ(当時、現M3リーグ)で2位となりMFL2部に昇格、今季2019年はMFL2部で11チーム中9位となっていました。
 一方FASが統括するサラワクFAは今季MFL2部で最下位11位となり、M3リーグ2位のクチンFAとの入れ替え戦に臨みましたが1-3で敗れ、M3リーグ降格が決まっていました。
 この変更により、チームの本拠地はスランゴール州スナヤンスタジアムからサラワク州のサラワク州立スタジアムへとなり、
******
 スランゴール州サッカー協会が運営資金援助を停止し、資金繰りに苦しむスランゴール・ユナイテッドFCと、州サッカー協会が統括するクラブとしては唯一M3リーグでプレーすることを避けたかったFASの思惑が、両クラブの間に横たわる南シナ海を超えて一致した結果とは言え、結局のところスランゴール・ユナイテッドFCが持っていたMFL2部の座を、M3リーグ降格が決まっていたサラワクFAに金で売り渡した格好になっているのは、個人的にはすっきりしません。

KLFAに新監督就任
 今季2019年はMFL1部で最下位となり、来季2020年はMFL2部に降格するクアラルンプール(KL)FAは、今季マラッカ・ユナイテッドでアシスタントコーチを務めたニザム・アズハ・ユソフが新監督に就任したことを、KLを中心としたスポーツ関連情報のオンラインサイトスポーツタイムズが報じています。
 ニザム新監督は、クダFAでアシスタントコーチを務めていた2017年には、当時のタン・チェンホー監督のフル代表アシスタントコーチ就任に伴い、シーズン半ばで監督に昇格するとチームをマレーシアカップ決勝に導きました。しかし翌年2018年にスペイン人のラモン・マルコートのクダFA監督就任に伴い、再びアシスタントコーチに降格、しかしチームが開幕ダッシュに失敗するとわずか5試合で育成コーチに配置換えされたマルコートに代わって再び監督に復帰しました。今季2018年はマラッカ・ユナイテッドでザイナル・アビディン監督のもと、アシスタントコーチを務めていました。
 ニザム新監督は就任すると直ちに、マラッカ・ユナイテッドで今季主将を務めながら給料未払い問題によって試合出場を拒否していたベテランのシュコル・アダンや、クダFA時代の選手であるアクラム・マヒナン(PKNS FC)などを呼び寄せています。
******
 KLFAは、先日の東南アジア競技大会シーゲームズにオーバーエイジ枠で出場した地元出身のイルファン・ザカリアを含めた大量の選手が今季終了後に退団し、今季のチームから残留するのはわずか7名と、大幅な選手交代の最中です。残留する選手の中には2020年には39歳になるインドラ・プトラ・マハユディンもおり、ニザム監督は1部昇格を目指すチームにシュコル・アダン選手やインドラ・プトラ選手といったベテランの力が必要と判断したようです。

12月13日のニュース:デ・パウラはペラTBG加入、フェルダUは大量退団で方針転換、クダFAサポーターの間で浦和の杉本健勇加入が噂に

デ・パウラはペラTBG加入
 マレーシアフットボールリーグMFL1部で今季2019年は最下位となったクアラルンプール(KL)FAでプレーしたギリェルメ・デ・パウラがペラTBGに加入したことを英字紙スター電子版が報じています。
 数日前には、今季マラッカ・ユナイテッドに在籍したリリドン・クラシニキとともにジョホール・ダルル・タジムJDTのグラウンドで練習する姿が報道されていましたが、結局、ペラTBGへの加入に落ち着いたようです。
 KLFAでは、1980年代後半に活躍したファンディ・アーマド(現シンガポールU22監督)の持つチーム最多ゴール67まであと2ゴールと迫っていましたが、先月11月に契約満了に伴い退団していました。
 デ・パウラ選手が加入するペラTBGは、今季終了後にブレンダン・ガン、ノー・ハキム・ハサン(いずれもスランゴールFAへ移籍)、ロナウド・シルヴァ(母国ブラジルのクラブへ移籍)、ナシル・バシャルディン(トレンガヌFCへ移籍)、フセイン・エル・ドールらが退団する一方、来季に向けてのこれまでの補強はPKNPからハフィズ・ラマダンを獲得したのみでした。
 来季2020年はクラブ運営費用が削減されることで、既存の選手とプレジデントカップ(U22)チームからの昇格組とで来季を戦うことになっていましたが、2015年にスランゴールFAの監督を務めた際には一緒にプレーし、マレーシアカップ優勝にも貢献したデ・パウラ選手の獲得にメフメト・ドゥラコビッチ監督も安堵しているとスターは報じています。
 ペラTBGは、残留するレアンドロ・ドス・サントス、カレッカに続く3人目のブラジル人選手となるデ・パウラ選手が加入したことで、残る外国籍選手枠はアジア枠と東南アジア枠それぞれ1名となりました。
 昨季2018年はマレーシアカップで優勝し、MFL1部でも2位となったペラTBGは、マレーシアFAカップ決勝に進出しましたが、リーグ戦は5位、マレーシアカップも準々決勝で敗退するなど、今季は不調なシーズンとなりました。
******
 デ・パウラ選手は、クラシニキ選手と共にマレーシアサッカー協会FAMが帰化選手申請を検討している選手で、来季途中にはマレーシア国籍取得、そしてマレーシア代表でのプレーが可能と言われており、そうなるとリーグ戦でもマレーシア人選手扱いとなり、外国籍選手枠が一つ空くため、ペラTBGは(予算があれば)さらに外国籍選手獲得による補強が可能になります。
 別のメディアによると、ペラTBGはアジア枠と東南アジア枠で先日終了した東南アジア競技大会シーゲームズで優勝したベトナムU22の選手獲得を狙っているとも報じられていますが、今季2019年はMFL1部クラブで唯一、東南アジア枠の外国籍選手がいないクラブでした。

フェルダUは大量退団で方針転換
 今季最終戦で、クダFAを破り残留を決めたフェルダ・ユナイテッドは、シーズン終了後、クラブ運営予算の縮小により渡邉将基選手、池田圭選手、また今季フル代表にも招集されたキャプテンのハディン・アズマンに加え、クリスティ・ジャイエシレンやノラズラン・ラザリなど多くの主力選手との契約を延長せず、若手主体のチーム編成を目論んでいましたが、主力として期待していた若手選手までもが他のクラブからのオファーを受け移籍してしまっていることから、来季に向けて外国籍選手獲得へと方針転換を迫られていると、スター電子版が報じています。
 フェルダ・ユナイテッドのニザム・ジャミル監督は、今季フル代表にも招集され、先日の東南アジア大会シーゲームズにも出場したダニアル・アミールとともに来季のチームの核と期待していた、アンワル・イブラヒム(20)、ザハリル・アズリ・ザブリ(20)といったUI19代表でもプレー経験のある若手が移籍してしまったことから外国籍選手の獲得に方針転換せざるを得なくなったと述べています。
******
 来季フェルダ・ユナイテッドでプレーすることが決まっている外国籍選手は元シンガポール代表のカイルル・アムリのみなので、残り4つの枠が空いていますが、そもそそ予算縮減により主力が流失したチームに、チームに有用な外国籍選手を獲得する余力があるのかどうかは疑問です。

クダFAサポーターの間で浦和の杉本健勇加入が噂に
 浦和レッズの杉本健勇選手のインスタグラムに、MFL1部で今季4位となったクダFAサポーターの書き込みが急増していると、サッカー専門サイトのスムアニャボラが報じています。
 クダFAのアイディル・シャリン監督が来季の新戦力候補を求めて日本へ行っていたことはこのブログでも取り上げましたが、帰国後もアイディル監督は具体的に候補選手の名前などは挙げていませんでした。
 しかしスムアニャボラのサイトでも、それがいつ、どこでどのようにして広まったのかは不明としているものの、アイディル監督が連れてくるのは浦和の杉本健勇選手であるという噂が広まりました。
 そこからはクダFAサポーターが杉本選手のインスタグラムにクダFA加入が本当かどうかを尋ねたり、あるいはクダFA加入歓迎のメッセージを送るなど、ちょっとした混乱も起こっているようです。これに対してアイディル監督はクダFAサポーターの気持ちはわかるとしながらも、まだ加入するかどうかも明らかになっていない選手のソーシャルメディアにサポーターが勝手なメッセージを書き込むのは、当該選手からすればあまり気持ちの良いものではないだろうと話し、冷静になるように求め、新たな獲得選手については公式発表を待って欲しいとも述べています。

12月12日のニュース:シーゲームズ-マレーシアU22代表戦績

 昨日12月11日の閉会式と共に幕を閉じた第30回東南アジア競技大会通称シーゲームズ。各国のU22代表が対戦するサッカー男子では前回2017年大会で決勝に進出したものの0-1でタイに惜敗したマレーシアでしたが、今回は1勝1分2敗でグループステージ敗退となりました。
 そこシーゲームズ関連としては最後となる今回は、グループステージでのマレーシア代表の試合を振り返ります。
(各試合のスターティングXIと写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより、また試合のダイジェスト映像はアストロアリーナのYoutubeチャンネルより)

第1戦:11月25日
マレーシア1-1ミャンマー(リザル・メモリアルスタジアム、マニラ)
得点者:マレーシア-ハディ・ファイヤッド(24分)、ミャンマー-ソー・モー・チョウ(13分)
 ミャンマーU22代表のヴェリザール・ポポフ監督は、2016年にはマレーシアフットボールリーグMFLのケランタンFAの監督経験もある、いわばマレーシアサッカーの経験者。しかもFIFAランキングではミャンマーが136位に対して、マレーシアは154位となっています。
 開幕戦となったこの試合では、U19代表からの飛び級組FWルクマン・ハキムとMFウマル・ハキームの17歳コンビがいきなり先発で起用され、マレーシアのオン監督は彼らが単に人数合わせの招集ではないことを示しました。
 試合はミャンマーがライン・ボー・ボーのコーナーキックをソー・モー・チョウが頭で合わせてゴールし、13分に先制しますが、マレーシアもミャンマーDFのバックパスを奪ったアキヤ・ラシドからのクロスをハディ・ファイヤッドがこちらもヘディングでゴールを決め同点に追いつきます。その後はハディ選手のヘディングシュートやキャプテンのアダム・ノー・アズリンのフリーキックがポストに阻まれるなど、マレーシアはチャンスを生かせず、このまま試合終了となっています。

第2戦:11月29日
マレーシア0-1フィリピン
得点者:フィリピン-シュテファン・シュレック(74分)
 マレーシアの一部メディアでは、1991年の再演とも評されたこの敗戦ですが、当時とは状況が全く違っています。1991年にやはりマニラで開催された第16回大会でマレーシアはフィリピン相手に0-1で敗れ、グループステージで敗退していますが、1990年代のフィリピンはサッカー弱小国でしたので、マレーシアから見れば歴史的番狂わせ、フィリピンからすればまさにジャイアントキリングでした。
 しかし直近のFIFAランキングでは、マレーシアの154位に対してフィリピンは124位と「格上」です。今大会での敗戦は言わば順当な結果なわけで、それを受け入れられないファンやメディアは現状認識力がないということでしょう。
 オン監督はミャンマー戦で先発した17歳コンビに代わってニック・アキフ・シャヒランとディネシュ・ラジャシンガムを先発に起用しましたが、攻撃のリズムが好転することはなかったようで、結局、17歳コンビがこの2選手と交代で途中出場しています。試合は74分に代表フィリピンのオーバーエイジ枠で出場のシュテファン・シュレックのコーナーキックが直接ゴールに飛び込み、これが決勝点となりました。ゴールへ向かってくるボールに対するGKハジック・ナズリは位置取りも反応も悪く、前回大会決勝でやはりボールの起動を読み損ね、パンチングでクリアしたボールが自陣ゴール飛び込んでタイに決勝点を与えた頃から進歩が感じられないプレーでフィリピンに得点を許しました。

第3戦:12月2日
マレーシア4-0東ティモール
得点者:マレーシア-ジュリアオ(9分OG)、ハディ・ファイヤッド2(34分、43分)、アキヤ・ラシド(81分)
 1敗1分で迎えた第3戦は、勝利はもちろんのこと、マレーシアと最終戦で対戦するカンボジアが、既に東ティモール相手に5−0と大勝していたことから、得失差でグループ内の順位が決まる可能性もあり、できるだけ多くのゴールを挙げることが求められた試合でした。
 この前の試合のフィリピン戦の内容について「そんな実力もないのにメッシのような個人プレーはやめろ」と英字紙ニューストレイトタイムズに名指しで批判されたアキヤ・ラシドに代えて、ファイザル・ハリムを起用したオン監督でしたが、それでも途中出場したアキヤ選手もゴールを決め、チームは4点をとり快勝し、最終線維望みをつなぎました。

第4戦:12月4日
マレーシア1-3カンボジア
得点者:マレーシア-クェンティン・チャン(89分)、カンボジア-イン・ソダヴィド(56分)、シエン・チャンテア(57分)、ケオ・ソクペン(68分)
 東ティモール戦の勝利でわずかながら準決勝進出の可能性が残ったマレーシアは、このカンボジア戦に勝ち、この次の試合でフィリピンが東ティモールに負けるか引き分けならば準決勝進出が確定、またフィリピンが勝っても僅差の勝利であればやはり準決勝へ進出できる状況でした。
 しかし試合はカンボジアが一方的な勝利で準決勝を進出を決め、マレーシアは2015年大会以来のグループステージ敗退となりました。

 今回のグループステージ敗戦によってこの大会に臨むマレーシアの姿勢に疑問が残りました。グループステージで戦った主力選手のうち、シャミ・サファリ、アダム・ノー・アズリン、ドミニク・タン、シャマー・クティ、アキヤ・ラシド、ダニアル・アミールの6名はフル代表にも招集されており、U22代表合流は大会のわずか1週間前でした。オン監督は大会前の準備期間が好成績を残した昨年2018年のAFC U23選手権(ベスト8進出)、アジア競技大会(ベスト16進出)と比べると明らかに短かったことを挙げ、FAMにはこのような大会の準備にはより多くの時間を変えるべきとの提言を行っている他、東南アジア地域内にはいつでも勝てる相手はもう存在していない、ということを認識するべきとも話しています。
 今回は残念な結果に終わりましたが、この大会に勝ってもアジアや世界につながるわけではないので、フル代表の資格がある選手も含めたとにかくベストの布陣をひくのではなく、今回の17歳コンビの起用のような将来につながるようなチーム編成を考えるべきではないでしょうか。今大会でも19歳のハディ選手と17歳コンビを使い続けたように、オン監督には育てながら勝つ、という最も大変な役割が与えられていましたが、その信念を貫き続けた姿勢はもっと評価されて良いのではないかともいます。