Mリーグ1部スーパーリーグ第17節結果

 8月3日から8月4日にかけてMリーグ1部スーパーリーグ第17節が開催されました。今節も首位JDTが勝利し、優勝が近づく一方で2部降格圏のペラFCとUITM FCが敗れ、降格チームも確定しそうです。
 試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。

2021年8月3日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 3-5 ペナンFC
得点者:ペラ-ナナ・ポク3(15分、36分、58分PK)、ペナン-ラファエル・ヴィトール3(1分、8分、28分)、カサグランデ(21分)、アジム・ラヒム(86分)
 前節でJDTに0-5で敗れたペラFCと、同じく前節にスランゴールFCに1-4で敗れたペナンFCの対戦は、開始10秒でペナンFCが先制する大荒れの予感を感じさせる展開で始まりました。その後も先制ゴールを決めたラファエル・ヴィトールが8分、28分とゴールを決め試合開始から28分でハットトリックを達成、さらにエースのカサグランデが後半戦初ゴールを決めるなどする一方、ナナ・ポクの2ゴールで追いすがるペラFCは前半を2-4のスコアで折り返しました。51分にはPKを得たペラFCがナナ・ポクのこの試合3得点目となるゴールでペナンFCに1点差と迫りますが、86分にアジム・ラヒムがペナンFCのこの試合5点目を決めてペラFCを突き放し、両チームでハットトリックを記録した大荒れのこの試合はペナンFCが勝利しています。
 2試合連続の5失点、さらに後半戦開始からの4試合で15失点と守備陣が崩壊し、チョン・イーファット監督を「休養」させて臨んだペラFCでしたがシャーリル・ニザム監督代行でもこの悪い状況は改善されませんでした。なおペラFCは次節は最下位のUITM FCとアウェイで対戦します。また試合のなかったクダ・ダルル・アマンFCを抜いて今季最高位の3位に浮上したペナンFCは次節でホームでマラッカ・ユナイテッドFCと対戦します。

2021年8月3日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 0-1 JDT
得点者:JDT-ベルグソン・ダ・シルヴァ(2分PK)
 この試合も開始20秒でJDTがPKを得ると、ベルグソン・ダ・シルヴァが今季17試合で16得点目となるゴールを決めてJDTが先制し、こちらも大荒れの予感でしたが、マラッカ・ユナイテッドFCのGKカイルル・ファミ・チェ・マットのファインセーブやJDT攻撃陣のシュートミスなどもあり、JDTが圧倒しながらスコアは1-0で終わっています。
 ボラセパマレーシアJPでは後半戦開幕前にマラッカ・ユナイテッドFCの展望として、前半戦13試合で19失点の守備が補強ポイントにもかかわらず新外国籍選手は2人だったことから補強ポイントが違うのでは、と書きましたが、それに反し、後半戦4試合で失点3と立て直してきています。
 僅差の試合となったものの、これで今季10試合目の完封勝利となったJDTは次節はホームでサバFCと、一方のマラッカ・ユナイテッドFCはアウェイでペナンFCと対戦します。

2021年8月3日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 2-0 UITM FC
得点者:シャルル・ナジーム(24分)、イフェダヨ・オルセグン(57分)
 シャルル・ナジームの今季初ゴールで先制したスランゴールFCは、後半にもリーグ得点王のイフェダョ・オルセグンが追加点を決め、ともにスランゴール州に本拠地を持つ「スランゴールダービー」はスランゴールFCがUITM FCを破っています。
 この試合でUTIM FCは不安定なスランゴールFCの守備をついて何度かチャンスを得たものの、スランゴールFCのGKカイルルアズハン・カリドの好守もあり無得点に終わっています。現在最下位のUITM FCは次節はホームに11位のペラFCを迎えますが、クダ・ダルル・アマンFCとの対戦が予定されていたスランゴールFCは、クダ・ダルル・アマンFCが新型コロナ感染者発覚による隔離期間中のため、次節は試合がありません。

2021年8月4日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 0-3 トレンガヌFC
得点者:トレンガヌ-デシ・マルセル(13分)、デヴィッド・ダ・シルヴァ(87分)、モハマド・ラフマット・マカスフ(90+2分)
 JDT追撃の一番手と目されながら、ここ2試合は下位のチームに1分1敗と結果を残せていなかったトレンガヌFCが快勝し、後半戦2勝目を挙げています。次節はトレンガヌFCは今節、試合がなかったスリ・パハンFCをホームに迎え、PJシティFCは「クラン渓谷ダービー」となるアウェイのKLシティFCが控えています。

2021年8月4日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 0-0 KLシティFC
得点者:サバ-レヴィ・マディンダ(65分)、KL-ランディ・バルー(22分OG)
 後半戦開始からの3試合で2分1敗とまた勝ち星のないサバFCはホームでの勝利を身座しましたが、DFランディ・バルーのオウンゴールでKLシティFCに先生を許す嫌な展開でしたが、それを救ったのが一時は退団が発表されながら、この試合前に急遽、再契約が発表されたレヴィ・マディンダでした。とは言え、この試合も引き分けたサバFCはこれで4試合勝ち星がありません。
 一方のKLシティFCは後半戦開幕から4試合連続の引き分けとなっています。次節ではサバFCはJDTとのアウェイマッチ、KLシティFCはホームにPJシティFCを迎えます。

 今節第17節に予定されていたスリ・パハンFC対クダ・ダルル・アマンFC戦(ダルル・マクムルスタジアム-パハン州クアンタン)は、クダ・ダルル・アマンFCに新型コロナ感染者が発覚し、チームが隔離期間中のため延期となっています。

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第17節終了時)

 ClubGWDLGFGAGDP
1JDT1713314083242
2TFC17104328141434
3PEN168442521428
4KDA138232113826
5SEL177553025526
6KL174942017321
7SBH174762021-119
8PJ164661118-718
9PHG164572025-517
10MU174761922-3*16
11PRK1734101736-1913
12UITM160214536-312
*マラッカ・ユナイテッドは給料未払いのため、勝点3剥奪処分を受けています。
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
ラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第17節終了時)

選手(クラブ)ゴール数
1イフェダヨ・オルセグン(SEL)17
ベルクソン・ダ・シルバ(JDT)17
3クパー・シャーマン(KDH)9
4パウロ・ジョズエ(KL)8
カサグランデ(PEN)8
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJC-PJシティ、MU-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-KLシティ

Mリーグ2部プレミアリーグ第16節結果

 8月3日の4日の両日にMリーグ2部プレミアリーグ第16節が開催されました。新型コロナ感染者発覚で出遅れていたサラワク・ユナイテッドFCが後半戦初登場となりましたが、今季無敗のトレンガヌFC IIに敗れて3位に後退、勝利したトレンガヌFCが2位に浮上しています。

2021年8月3日@スルタン・イスマイル・ナスルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
トレンガヌFC II 1-0 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:ジョーダン・ミンター(20分PK)
 トレンガヌFC IIは20分、サラワク・ユナイテッドFCのGKシャービニー・アラウィーに自身が倒された得たPKをリーグ得点王のジョーダン・ミンターが決め、 開幕からの無敗記録を14に伸ばすとともに、リーグ2位に浮上しています。
 後半戦開幕となった7月25日のペラFC II戦前の検査で新型コロナウィルスの陽性反応者が出たサラワク・ユナイテッドはこの試合が後半戦の開幕戦となりましたが、後半戦を白星でスタートできませんでした。
 トレンガヌFC IIの渡邉将基選手は先発出場して69分に交代しています。

2021年8月4日@UITMスタジアム(セランゴール州シャーアラム)
FAM-MSNプロジェクト 0-0 ヌグリスンビランFC
得点者:FAM-アズハド・ハラズ・アルマン(67分)、ヌグリスンビラン-アライン・アコノ(11分)、ザクアン・アドハ(55分)

2021年8月4日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC II 0-2 JDT II
得点者:モハマド・イルファン・ファザイル(70分)ダリル・シャム・K・K・ジョージ(90+1分)
 JDT IIの廣瀬慧選手は先発してフル出場しています。

2021年8月4日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 2-2 スランゴールFC2
得点者:ケランタン-ザフアン・アゼマン(33分)、アルフセイネイ・ガッサマ(55分)、スランゴール-アレクサンダー・アグヤクワ(70分)、サラヴァナン・ティルムルガン(87分)
 前々節第14節には試合終了後にアルフセイネイ・ガッサマがチームメートのザフアン・アゼマンを殴り、レッドカードが出される事態になったケランタン・ユナイテッドFCですが、この試合ではチームに謝罪したガッサマ選手と謝罪を受け入れたアゼマン選手が揃ってゴールを決めています。
 ケランタン・ユナイテッドFCの深井脩平、谷川由来の両選手は先発してフル出場し、本山雅志選手は73分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

*8月4日にサラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)で予定されていたクチンシティFC対PDRM FC戦は、新型コロナ陽性者が見つかったクチンシティFCが隔離中のため延期となっています。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ順位(第16節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1NS1585223111229
2TFC1477028111728
3SU127322181324
4JDT1364322111122
5SEL145632216621
6KU156272021-120
7KEL145361416-218
8PDRM145361315-218
9KCH10244912-310
10PRK142471028-1810
11FAM1503121043-333
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト
*今季の2部プレミアリーグは11チームが参加のため、各節で1チームだけ試合がありません。第16節はケランタンFCの試合がありませんでした。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ得点ランキング(第16節終了時)

選手名(クラブ)ゴール数
1ジョーダン・ミンター(TFC)14
2フェルナンド・ロドリゲス(JDT)10
3ウチェ・アグバ(SU)9
ガッサマ・アルフセイネイ(KU)9
5ジョージ・アトラム(SEL)8
アライン・アコノ(NS)8
クラブ名:NS-ヌグリスンビランFC、SU-サラワク・ユナイテッドFC、TFC-トレンガヌFC II、PRK-ペラFC II、SEL-スランゴールFC 2、KEL-ケランタンFC、KU-ケランタン・ユナイテッドFC、KCH-クチンシティFC、FAM-FAM MSNプロジェクト

8月5日のニュース:契約完了で退団のマディンダがサバFCと再び契約、元代表選手4名が新たにFIFAセンチュリークラブ入り

契約完了で退団のマディンダがサバFCと再び契約
 このブログでも「シーズン中ながらサバFCのマディンダが契約完了で退団」のタイトルで昨日取り上げたガボン出身のMFレヴィン・マディンダのサバFC退団のニュースですが、何とサバFCのクラブ公式Facebookでは、このマディンダ選手と再契約したことを発表しています。
 サバFCの公式Facebookでは詳細については言及されていませんが、これを取り上げたマレーシア語紙ハリアンメトロは、サバFCのマルズキ・ナシル チームマネジャー(TM)の話として、29歳のマディンダ選手とサバFCは今季終了までの契約延長に同意し、さらにこれには来年2022年5月までの延長オプションも含まれていることを明らかにしています。
 また先日発表された契約完了についてマルズキTMは、マディンダ選手が8ヶ月以上家族と離れ、しかもちょうど夫人が手術を受けることになったことから、帰国して夫人に付き添うことを理由に契約延長を希望していなかったと述べています。さらにマルズキTMは夫人の容態が安定していることに加えて、マディンダ選手自身は残留を希望し、やはり残留を望むサバFCがマディンダ選手の夫人がマレーシアへ来られるよう手配を行うことに同意したことから、今回の契約延長が決定したと説明しています。
*****
 マディンダ選手はチームに合流し、早速昨日のKLシティFC戦では0=1の劣勢から貴重な同点ゴールを決め、チームに早速貢献しています。
(左は8月2日のクラブ公式Facebookに投稿されたマディンダ選手退団に伴う感謝のメッセージ、そして右は8月4日に同じクラブ公式Facebookに投稿された再契約の告知)

元代表選手4名が新たにFIFAセンチュリークラブ入り
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、代表キャップ数100以上の選手のみがメンバーとなることができるFIFAセンチュリークラブに新たに4名の元マレーシア代表選手が加わったことを発表しています。
 今月8月に更新された発表によるとこの4名は元代表主将でソー・チンアン(195キャップ)、M・チャンドラン(115キャップ)、サントク・シン(100キャップ)、そして現在Mリーグ1部マラッカ・ユナイテッドFC監督を務めるザイナル・アビディン・ハサン(116キャップ)です。
 マレーシアからは今年2021年5月にもアブドル・シュコル・サレー(163キャップ)、モクタル・ダハリ(138キャップ)、R・アルムガム(131キャップ)のFIFAセンチュリークラブ入りが発表されており、今回の4名と合わせてメンバーが7名となりました。
 なおマレーシアサッカー協会FAMの記録ではソー・チンアン氏のキャップ数は252となっているますが、FIFAは国際Aマッチのみのをキャップ数計算の対象としていることから195と発表されているということです。
 1969年のキングズカップ大会(タイ)で代表デビューを果たし、1975年から引退した1984年のアジアカップ予選(インド)までは代表の主将を務めたソー・チンアン氏は現在は71歳ということですが、このニュースが伝えられると代表時代には外国のクラブチームなどとも試合を行った際のキャップ数が含まれていないのだろうと話し、それでも自分の代表歴が評価されたことは嬉しいと話しています。
 なお、ソー・チンアン氏の代表キャップ数195は、アフメド・ハサン(エジプト、184キャップ)、バデル・アル・ムタワ(クウェート、181キャプ)、アフメド・ムバラク(オマーン、180キャップ)を抑えて世界一となっています。(*現役選手ではポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドの173キャップが最多です。-今年3月時点)
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 マレーシアがまだアジアの強豪だった1970年代の古き良き時代にプレーしたソー・チンアン氏は1972年のミュンヘンオリンピック出場、1980年のモスクワオリンピック予選突破(ただしモスクワオリンピック自体ははマレーシアがボイコットしたために出場せず)、1974年のアジア競技大会銅メダルなど、そして今の代表からは考えられないような実績です。
 しかしボラセパマレーシアJP的に興味深いのは今回のFIFAセンチュリークラブ入り7名の人種構成です。マレー系3名(アブドル・シュコル・サレー、モクタル・ダハリ、ザイナル・アビディン・ハサン)、インド系3名(M・チャンドラン、R・アルムガム、サントク・シン)、中華系1名(ソー・チンアン)となっており、かつての代表チームは文字通り多民族国家マレーシアを表すようなチーム構成だったことがわかります。翻って、今年6月のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選に出場したマレーシア代表25名の顔ぶれを見ると、インド系、中華系はいずれも0名(*ドミニク・タンはシンガポール、ブレンダン・ガンはオーストラリア出身の中華系で、マレーシア国内出身は0名)、その一方でマレー系は16名と、現在の代表チームが帰化選手とマレー系選手のみで構成されていることがわかります。
 ちなみに現在開催中の東京オリンピックにマレーシアは10種目に男子12名、女子18名の計30名の選手を派遣していますが、その内訳はマレー系12名、中華系17名、東マレーシアの先住民族系1名となっており、マレー系だけがスポーツをしているわけではありません。では、なぜ現在の代表チームにインド系や中華系がいないのか。サッカーを通してマレーシアを紹介したいと思っているボラセパマレーシアJPでは、機会を見て考察してみたいと思います。
(下はFIFAセンチュリークラブ入りした7名-FAMの公式サイトより)