10月6日のニュース:U18中東遠征メンバー発表、MFLは来季のコーチングライセンス資格厳格化や変更点を発表

U18中東遠征メンバー発表
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、本日10月6日から18日まで行われるU18代表の中東遠征参加メンバーを発表しています。アラブ首長国連邦UAEのドバイで行われる合宿では、UAEのU18代表との練習試合2試合も予定されています。
 今回の合宿は、11月2日から10日にかけてカンボジアのプノンペンで開催されるアジアサッカー連盟AFC U16選手権予選グループGへの準備として行われるもので、マレーシアは開催国カンボジアの他、タイ、ブルネイ、北マリアナ諸島と同組となっています。
 今回の中東遠征の参加メンバーはこちらです。

MFLは来季のコーチングライセンス資格厳格化や変更点を発表’
 マレーシアフットボールリーグMFLとしては17年目を迎える来季2020年シーズンに向けて、MFLは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグのコーチングライセンスの厳格化を含む複数の変更点をホームページで公表しています。
 これによるとMFLに所属するクラブのコーチとなるためにはコーチングBライセンス以上を保持していることが条件となります。またゴールキーパーコーチについてはやはりコーチングBライセンスとレベル2のゴールキーパーコーチングライセンス以上の資格が必要になります。
 また各クラブのフィジオセラピストについても、マレーシアフィジオセラピスト協会に所属する者のみがクラブ帯同を許されることになっています。
 また同一クラブのAチームとBチーム間のシーズン中の選手の移籍に関しては、今季2019年まではトランスファーウィンドウ期間外であっても年間5名まで許されていたものが、来季2020年からはトランスファーウィンドウ期間外は移籍不可となります。(2019.10.10に訂正しました。)
 この他、MFL2部プレミアリーグの各クラブは4名の外国籍選手との契約が可能となり、その内3名は制限なし、1名はアジアサッカー連盟AFCあるいは東南アジアサッカー連盟AFF加盟国の選手であることが条件となっています。


 

観戦記:10月5日国際親善試合マレーシア代表対スリランカ代表@ブキ・ジャリル国立競技場

10月10日にFIFAワールドカップのアジア予選ベトナム代表戦を控えるマレーシア代表は、10月5日にスリランカ代表と国際親善試合を行いました。試合会場はクアラルンプールのブキ・ジャリル競技場、相手はスリランカ代表です。

この日は会場周辺が大渋滞。8時45分キックオフの試合でしたが、到着したのは試合開始から15分以上も遅れてしまいました。しかも、その時点で既にマレーシアが3-0とリードしていました。

座席は前から4列目とピッチに近く、選手の表情もよく見えました。でも、ピッチ全体を見渡すには近すぎる印象でした。

試合は3-0のまま前半終了。この時点で実力差は明らかでしたので、試合の興味はケガ人続出の状況で、主力にとって代わる選手がいるかどうかに移りました。

ハームタイムはスタジアム内の出店をチェック。飲食物については今回はフードトラックを構内に入れての販売でした。まずは飲み物編。マレーシアでは大人もよく飲むミロやスイカのジュースを売る店。

ココナツウォーターやサトウキビジュース、ココナツウォーターにココナツアイスクリームとココナツの果肉をブレンドしたココナツシェイクを売る店。

どぎつい黄色はマンゴーのジュース。店員はマレーシア代表のジャージを着ています。

シーココナツ(和名はオオミヤシ)と呼ばれるココナツの一種を使った飲み物を売る店。シーココナツ自体は甘みが強くないので、砂糖などで味付けされることが多いですが、ゼリー状の果肉の食感が楽しめます。

食べ物編。ケバブはマレーシアでも一般的です。

スタジアム内ながらご飯とおかずのセットを販売する店。鶏肉、牛肉、イカ、エビなどを揚げたものがメニューに並んでいます。

スタジアムの食べ物として一般的なのは、このソーセージやチキンナゲット、フィッシュボールなどを揚げたもの。これにチリソースなどをつけて食べます。

ミーゴレン(焼きそば)、ミーフンゴレン(焼きビーフン)、ナシゴレン(チャーハン)やナシルマ(ココナツミルクで炊いたご飯)なども並んでいます。

もう一つの定番が「ラムリーバーガー」。ビーフとチキンがあります。値段は1つ2リンギから3リンギ(50円から75円)。決して美味しいわけではないですが、これを食べると「スタジアムに来た」感が増します。

ちなみにバーガーはこんな感じです。

一番行列が長かったのはこのフライドチキンの店。イスラム教徒が人口の7割以上を占めるマレーシアでは、人種、宗教に関わらず食べられる鶏肉料理に人気があります。

揚げ物が大好きなマレーシア人に人気があるのがクロポ。魚のすり身を揚げたものでエビせんべいのようにカリカリに揚げたものと、厚めのものを揚げてモチモチ感を残したものとがあります。ここは小エビの唐揚げも売っています。

ちなみにこの日は2階席も解放されていたので、パノラマで撮ってみました。8万7000人終了のブキ・ジャリル国立競技場ですが、この日の発表では観衆は7,293人でした。

試合は後半にマレーシア代表が3点を追加して終了。ここまでのWC予選2試合で2ゴールと好調のシャフィク・アーマド(JDT)が、この試合ではハットトリックを達成しました。
 しかしその一方で、ケガを抱えるMFムハマドゥ・スマレ(パハンFA、1試合出場停止処分中)に代わってフル代表初スタメンとなったMFアキヤ・ラシド(JDT)はやはり1試合通して走り回る体力がないこと、ベトナム戦はケガのため出場が危ぶまれているMFノー・アザム・アジーに代わって出場したMFアクラム・マヒナン(PKNS FC)はあまり機能しないこと、不安定な守備陣立て直しのために招集されたDFアイディル・ザフアン(JDT)が加わっても、ディフェンスラインは1試合を通して安定するわけではないこと、といった課題が目につき、素人目線ですが、勝利によるモチベーション向上を除けば、ベトナム戦の準備としてはメリットがない試合に感じました。

試合終了後、スタジアムの外に出るとどう考えてもサッカー帰りとは思えない若者がたくさん歩いていました。そこで見つけたのがこの屋台。ショーン・メンデスというカナダの歌手のコンサートが国立競技場に隣接する屋内競技場で開催されていました。スタジアム周辺の渋滞は代表選ではなく、このコンサートでした。

10月4日のニュース:UKM FCは初タイトルを目指してチャレンジャーカップ決勝に臨む、スリランカ戦はスタメンに新戦力起用か、WCのアセアン開催立候補に向けタイが作業部会を設立

UKM FCは初タイトルを目指してチャレンジャーカップ決勝に臨む
 マレーシアフットボールリーグMFL2部で今季2019年は8位に終わったUKM FCは、マレーシア国立大学Universiti Kebangsaan Malaysiaの学生が主体のクラブチームで、2部プレミアリーグ昇格1年目の昨季は12チーム中7位と健闘しただけでなく、昨年第1回開催となったチャレンジャーカップ(マレーシアカップに出場しないMFL1部と2部のクラブを対象としたカップ戦)で決勝まで進出しています。その決勝ではトレンガヌFCのBチームであるトレンガヌFC IIに第1戦と第2戦の通算で4-2で敗れましたが、そのUKM FCは今季2019年も再びチャレンジャーカップ決勝戦に進出しています。
 7クラブが出場する今季のチャレンジャーカップのグループステージでUKM FCは、MFL1部12位のクアラルンプールKLFA、同2部4位のトレンガヌFC II、同2部9位のスランゴール・ユナイテッドと同組になり、3勝3分0敗と堂々のグループ首位で準決勝に進出しました。準決勝ではグループA2位のサラワクFAを第1戦と第2戦の通算成績7−1で撃破し、決勝の相手はMFL1部のジョホール・ダルル・タクジムJDTのBチームでMFL2部2位のJDT IIとなっています。
 UKM FCは、この大会ここまでの8試合で5ゴールを挙げているクロアチア出身のFWマテオ・ロスカムと同じく6ゴールのイラン出身のMFミラド・ザニドプール対今大会6試合で4失点のJDT II守備陣との戦いになりそうです。
 なおチャレンジャーカップ決勝第1戦はJDT IIのホーム、ジョホール州ジョホールバルのパシル・グダンスタジアムで10月4日に、第2戦はUKM FCのホーム、KLフットボールスタジアムで10月12日に開催されます。ちなみにUKM FCのスライマン・フサイン監督は、アジアサッカー連盟AFCのプロライセンスコース参加のため日本滞在中とのことで、10月4日の試合はジュザイリ・サミオン アシスタントコーチが指揮を取るようです。

スリランカ戦はスタメンに新戦力起用か
 9月30日から始まっているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選ベトナム戦へ向けた代表候補合宿には、DFシャルル・サアド、MFブレンダン・ガン、MFパルティバン・ジャナセカラン(以上ペラTBG)、MFノー・アザム・アジー(パハンFA)、ダニエル・アミル・ノーヒシャム(フェルダU)、アブドル・ハリム・サアリ(スランゴールFA)ら候補選手が初日からケガを抱えたまま合流していますが、このうちアザム選手は9月10日のWC予選対UAE戦で蹴られた足首の腫れが引かないとして、10月10日のベトナム戦ではなく、いずれもホームでの試合となる11月14日のタイ戦、同19日のインドネシア戦に間に合うように治療を進めていくと述べていると英字紙スター電子版が伝えています。
 また数日前にはペラのFWシャレル・フィクリが練習中に鼠蹊(けいそ)部を痛めるなど、主力選手にケガ人が多く出ていることから、タン・チェンホー監督は通常は試合に出る機会のない選手にチャンスを与えることを明言しています。なかでも今回久しぶりの招集となったJDTのDFアイディル・ザフアン・ラザクへの期待が高いようで、明日10月5日に予定されているスリランカとの国際親善試合前の記者会見には、キャプテンのGKファイザル・マーリアス(JDT)ではなく、アイディル選手が列席しています。(写真は左からスリランカ代表のカヴィンドゥ・イシャン首相、ニザム・パッキール・アリ監督、マレーシダ代表のタン監督、アイディル選手。FAMのFacebookより)
*10月5日修正:英字紙ニューストレイトタイムズ電子版の報道によると、スリランカとの国際親善試合では、今回の代表候補合宿参加選手中最多のキャップ数82のアイディル選手がキャプテンを務めるようです。)

WCのアセアン開催立候補に向けタイが作業部会を設立
 マレーシアの通信社ベルナマのポータルサイトによると、2034年のFIFAワールドカップの東南アジア諸国連合ASEAN共催を目指して、国内に作業部会を設立したことをタイの観光・スポーツ省のピパット・ラチャキットプラカン大臣が発表しています。
 そもそもは今年6月にタイのバンコクで開かれたアセアンサミットの席上でタイのプラユット・チャンオチャ首相がぶちあげたこの計画は、タイ国内では観光・スポーツ省主導で進められるようです。
 また同じ記事の中で、タイ国スポーツ局SATのコンサック・ヨドマニー局長の談話として、現在タイ国内にはFIFAの規格に合うピッチを持つスタジアムがないものの、バンコクのラジャマンガラ国立競技場やチェンマイの700周年記念スタジアム、ナコーンラーチャシーマー県のタイ国王80歳記念スタジアムなど既存のスタジアムの改修する他、2026年のユースオリンピック開催への立候補に合わせて建設されるチョンブリの新スタジアムなども試合会場候補になっているようです。

10月3日のニュース:PKNS FCは来季はスランゴールFAのBチーム化決定か、マレーシアカップ決勝はマレーシア人審判が担当、FAMが今季の審判に対する苦情申し立てと処分について発表

PKNS FCは来季はスランゴールFAのBチーム化決定か
 マレーシアのスポーツチャンネルアストロのポータルサイトでは、PKNS FCが来季2020年から同じスランゴール州を拠点とするスランゴールFAのBチームとなる可能性が高くなったと報じています。
 9月28日に開催されたスランゴールFAを運営するスランゴール州サッカー協会FASの臨時総会に参加した47名が、PKNS FCのスランゴールFA Bチーム化案に満場一致で賛成したことを受け、FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、今回が第一段階とし、PKNS FC側からも同意を得た上で、マレーシアフットボールリーグMFLへこの件を正式に報告することになるだろうと語っています。なお、PKNS FCがスランゴールFAのBチームとなることが決定すれば、同一クラブのAチームとBチームは同一リーグではプレーできないというMFLの規定により、今季はMFL1部9位のPKNS FCは、来季はMFL2部に降格してプレーすることになります。 
 このブログでも何度か紹介しましたが、PKNS FCはスランゴール州政府の機関であるスランゴール州開発公社PKNSを母体とするクラブで、その運営資金はスランゴール州政府から出ています。またスランゴール州サッカー協会FASにもやはりスランゴール州政府から運営資金が出されており、資金力に余裕のあるジョホール・ダルル・タクジムJDTのようなクラブと対等に戦うためにはこれら複数クラブに分散している運営資金を一本化することが必要だという考えに基づいたのが、PKNS FCのBチーム化案です。
 その一方で、やはりこのブログでも数日前に取り上げたU19チームを対象としたユースカップでは今季準優勝、そしてU21チームを対象としたプレジデントカップでは今季優勝するなど、伝統的に選手の育成に定評のあるPKNS FCはこの件についてはコメントを出しておらず、すんなりとBチーム化を受け入れるのかどうかに注目が集まります。

マレーシアカップ決勝はマレーシア人審判が担当
 マレーシアのカップ戦の一つFAカップの今季2019年決勝戦は、日本人の岡部拓人主審と八木あかね、野村修両副審が担当しましたが、11月2日に予定されているマレーシアカップの決勝戦はマレーシア人審判が担当することを、マレーシアサッカー協会FAMの審判委員会のモハマド・ダリ・ワヒド委員長が明言したとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 今年7月27日に行われたクダFA対ペラTBGのFAカップ決勝戦は、マレーシアサッカー史上初となる外国人審判が担当したカップ戦決勝でした。試合を担当した日本人審判団への高評価がメディアなどに散見した一方で、なぜ国内の試合をマレーシア人審判が担当しないのかという批判もありました。なお、この外国人審判採用については、昨季2018年のマレーシアカップ決勝でマレーシア人のスレシュ・ジャヤラマン主審が試合を十分にコントロールできず、退場者を両チームから出すなどの状況についてFAMへの非難が集中したことも一因です。
 ワヒド委員長は、今回の決定は今季FAカップでの日本人審判団とリーグ戦やカップ戦でのマレーシア人審判と比較検討した上での結論だとした上で、現在開催中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選件2023年アジアサッカー連盟AFC選手権予選の試合でマレーシア人審判が担当している事実を挙げ、一部で言われているほどマレーシア人審判の技量は低くないとも述べています。また既に候補者はリストアップされているようで、ワヒド委員長は、マレーシアカップ 準決勝での出来を見て、決勝戦担当の審判を発表するとしています。

FAMが今季の審判に対する苦情申し立てと処分について発表
 審判関連の話題が続きますが、FAMのワヒド審判委員会委員長は、今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFL、FAカップ、そして現在進行中のマレーシアカップの試合での審判について、これまでにマッチコミッショナーから34件、審判アセッサーから21件、当該チームから13件の不満や苦情申し立てが出されていることを明らかにしています。
 FAMは全ての申し立てを精査した上で、警告や試合割り当て停止の他、審判の再教育を含めた処分などを課していると話す一方で、審判に対する全ての苦情申し立ては正規の方法でFAMに行うべきだとし、マスメディアやソーシャルメディア上で「審判のせいで負けた」と言った審判批判は行うべきでないと各クラブのスタッフやフロントに警告しています。
 ちなみに直近では、9月29日に行われたマレーシアカップ 準々決勝スランゴールFA対ペラTBG戦でも、スランゴールFAの2点目となったカイリル・ムヒミンの45分のゴールがオフサイドではないかと議論になりましたが、これについては、FAMの審判委員会で映像を参考に確認したところ、明確にオフサイドとの判断にはならなかったものの、アズマン・イスマイル副審の位置取りが悪かったとして、アズマン副審には試合割り当て停止処分となるだろうとワヒド委員長は述べています。

10月2日のニュース:ペラTBG監督は主力選手残留を求める、マラッカUは未払い給料問題を抱えたまま終戦

ペラTBG監督は主力選手残留を求める
 マレーシアカップはベスト4が出揃いましたが、その一方でベスト4に残らなかったクラブは今季2019年の公式戦が全て終了し、来季2020年に向けて選手の残留や移籍と言った話題が出始めています。
 昨季2018年はリーグ2位、マレーシアカップ優勝の好成績を収めながら、今季はFAカップではクダFAに敗れて準優勝に終わったものの、リーグ5位、マレーシアカップはベスト8敗退となったペラTBGもその一つ。ペラTBGのメフメト・ドゥラコビッチ監督は、今季の主力選手たちと、先日行われたU21チームを対象としたプレジデントカップで準優勝したメンバーから選抜する若手を融合させることができれば、来季はより上位を狙えるとしています。
 ペラTBGは現在行われているフル代表候補合宿に6名の選手が招集されており、ドゥラコビッチ監督は特にこれら6選手の残留を経営陣に求めていると述べています。この6名とはGKハフィズル・ハキム、DFシャルル・サアド、DFナジルル・ナイム、MFパルティバン・ジャナセカラン、MFブレンダン・ガン、FWシャレル・フィクリですが、この内シャレル・フィクリを除く5名は今季で契約が切れることから、他のMFLクラブが獲得に乗り出しているという報道もあることから、今回のドゥラコビッチ監督の発言となった可能性もあります。

マラッカUは未払い給料問題を抱えたまま今季終了
 ペラTBG同様に、今季のマレーシアカップではベスト8で終わったマラッカ・ユナイテッドは準々決勝のパハンFAとの試合を通算成績1-6と大敗で終わりましたが、その準々決勝第1戦前にはシュコール・アダン主将がソーシャルメディア上で、過去2ヶ月分の給料が未払いになっていることを公表しただけでなく、準々決勝のチーム帯同を拒否する事態が起こりました。
 今季当初から予算を超える補強を行っていたマラッカ・ユナイテッドは、シーズン中も給料未払いが何度か取り沙汰され、シーズン終盤にかけては選手たちにも身が入らない状況が続いていたとされています。
 また現時点ではマラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAは来季に関しては何もコメントを出しておらず、マラッカ・ユナイテッドのザイナル・アビディン監督もフロントからは何も聞いていないと英字紙ニューストレイトタイムズ電子版に語っています。「自分はフロントの決定に全面的に従う準備ができており、チームもパハンFAに敗れたことで今季が終了したことから、MUSAの決定を待って、まずは休養したい」と述べています。
 これに関連して、先日、FAMが発表した来季2020年のクラブライセンス交付に際しては、マラッカ・ユナイテッドは、日本の年金制度にあたる従業員積立基金EPF、同じく労災補償にあたる従業員保証制度SOCSO、同じく国税局にあたる内国歳入庁IRB関連の書類の不備で条件つき交付となり、その不足書類の提出期限が今月10月30日とされていますが、その期限までに必要な書類が全て揃わない場合には、来季の2部に降格させられる可能性があります。

10月1日のニュース:PKNS FC U21がプレジデントカップ優勝、WC予選第3戦へむけてフル代表候補合宿始まる、U19代表は中東遠征を予定

PKNS FCがプレジデントカップ優勝
 先日紹介したユースカップに続いて、U21チームが争うプレジデントカップの決勝第2戦が行われ、PKNS FC U21は0-1でペラTBG U21に敗れたものの、第1戦の結果と合わせて通算2-1で初優勝を遂げています。
 プレジデントカップ(マレーシア語ではPiala Presiden)は、マレーシアサッカーリーグMFL1部の12クラブと、2部のUKM FC、JDT II、トレンガヌFC IIを除く9クラブのU21チームに加え、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府の青年スポーツ省が共同運営する国家サッカー選手養成プログラムの中核をなすモクター・ダハリアカデミーAMD U17チームとマレーシア国軍ATM FC U21チームの合計23チームが参加する育成リーグです。
 参加チームはグループA(11チーム)、グループB(12チーム)の二つのグループに別れて、ホームアンドアウェイで対戦し、それぞれのグループの上位4チームが準々決勝に進出し、さらにホームアンドアウェイで準々決勝、準決勝、決勝を戦います。
 今季2019年のプレジデントカップは、2月の開幕直後にプルリスFAが出場停止処分となったため、グループAは10チーム、グループBは12チームとなり、準々決勝にはグループAは1位JDT III、以下プタリンジャヤPJシティU21、スランゴールFA U21、UTIM U21が、グループBは1位ペラTBG U21、PKNS FC U21、トレンガヌFCIII、PKNP FC U21がノックアウトステージに進出しました。
 そこから決勝に進んだのはグループBの第1位ペラTBG U21と同2位のPKNS FC U21でした。PKNS FCのホームで開催された決勝第1戦はDFシヴァン・ピレイ・アソカンとMFアディブ・ハキミ・サブリのゴールでPKNS FC U21が2-0と勝利し、9月30日にペラTBG U21のホームで行われた第2戦はペラTBG U21が、FWムハマド・ユソフ・アブドゥラのゴールで1-0と勝利するも、通算成績を2-1としたPKNS FC U21が初優勝を遂げています。
 来季はスランゴールFAのBチーム化が噂されているPKNS FCですが、U19対象のユースカップ準優勝、そしてU21対象のプレジデントカップ優勝と「育成のPKNS FC」の看板は伊達ではないことを証明しました。(以下は決勝の両チームの先発XIと優勝を祝うPKNS FC U21。いずれもFAMのFacebookより。)

WC予選第3戦へむけてフル代表候補合宿始まる
 FIFAワールドカップアジア二次予選へ向けて9月30日から始まったフル代表候補合宿ですが、MFL2部のサバFAのMFモハマド・アジザン・ノーディンが追加招集されたとマレー語紙ウトゥサン・マレーシアの電子版が伝えています。マレーシアカップの準々決勝マラッカ・ユナイテッド戦で足首を負傷したパハンFAのMFノー・アザム・アブドゥル・アジーの回復が遅れていることによる追加招集のようで、ノー・アザム選手は代表に帯同するようです。ここまでの予選2試合ではいずれもスタメンでフル出場しているノー・アザム選手の回復が10月15日にハノイで行われるベトナム代表戦に間に合わないとすると、マレーシア代表にとっては痛手になりそうです。
 マレーシア代表のタン・チェンホー監督は、ノー・アザム選手の他にペラTBGのMFパルティバン・ジャナセカラン、MFブレンダン・ガン、DFシャルル・モハマド・サアドとスランゴールFAのMFアブドゥル・ハリム・サアリもケガを負っていると述べており、10月5に予定されているスリランカとの国際親善試合では、代わりとなる選手を含めて数名の選手や、今回追加招集されたJDTのDFモハマド・アイディル・ザフアン・アブドゥル・ラザクやスランゴールFAのGKモハマド・カイルルアズハン・モハマド・カリドをテストしたいと述べています。

U19代表は中東遠征を予定
 11月にアジアサッカー連盟AFC U19選手権予選が控えるU19代表は中東遠征を予定していると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 今年2019年8月に行われた東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権では、決勝でオーストラリアに0-1で敗れて連覇を逃したマレーシアですが、11月2日からカンボジアで開催されるAFC U19選手権への準備として、アラブ首長国連邦UAEでの10から12日間ほどの遠征と現地での練習試合を予定していることが報じられています。
 最近は収まってきてはいるものの、9月の間は隣国インドネシアでの焼畑による煙害が酷く、当地では学校が休校に追い込まれるほどで、サッカーなど屋外で運動する場合には健康に支障を及ぼすとされるレベルでしたので、そういった心配のない地域への遠征は理にかなっていると思われます。
 なお、マレーシアはAFC U19選手権予選ではグループGに入り、開催国カンボジアあのほか、タイ、ブルネイ、北マリアナ諸島と同組となっています。


 

9月30日のニュース:FAMが審判をVリーグに派遣、ユースカップはトレンガヌFC IVが優勝

FAMが審判をVリーグに派遣
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページによると、アジアサッカー連盟AFC審判の資格を持つ2名のマレーシア人審判がベトナムリーグ(Vリーグ)に派遣されることが決まったようです。
 派遣されるのはモハマド・アミルル・イズワン・ヤコブ氏とスハイジ・シュクリ氏の両氏審判で、ベトナムリーグ最終日の10月19日の試合をそれぞれ担当するようです。ベトナムサッカー連盟VFFのホームページでは両審判の担当試合の詳細が告知されています。
 FAMとベトナムサッカー協会VFFとの連携に基づくのこの派遣について、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、両氏がVリーグの試合で正確なレフェリングを見せてくれることに自信を示し、彼らが得た経験がマレーシアの他の審判にとっても有益なものになることを期待しているとしています。(以下はFAMのFacebookに掲載された告知です。)

ユースカップはトレンガヌFC IVが優勝
 ユースカップ(マレーシア語ではPiala Belia)は、マレーシアサッカーリーグMFL1部の12クラブと2部のPDRM FC、UKM FC、JDT II、トレンガヌFC IIを除く8クラブのU19チームに加え、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府の青年スポーツ省が共同運営する国家サッカー選手養成プログラムの中核をなすモクター・ダハリアカデミーAMDU16チームとクアラルンプールのスポーツ専門学校ブキ・ジャリルスポーツ学校BJSKU17チームの合計22チームが参加する育成リーグです。
 参加チームはA、B二つのグループに別れて、ホームアンドアウェイで対戦し、それぞれのグループの上位4チームがノックアウトステージとなる準々決勝、準決勝、決勝をホームアンドアウェイの形式で戦います。
 今季2019年のユースカップは、2月の開幕直後にプルリスFAが出場停止処分となったため、グループAは10チーム、グループBは11チームとなり、準々決勝にはグループAは1位PKNS U19、以下プタリンジャヤPJシティU19、UTIM U19、ケランタンFA U19が、グループBは1位トレンガヌFCIV、AMD U16、ペラTBG U19、スランゴールFA U19がノックアウトステージに進出しました。
 そこから決勝に進んだのは両グループの第1位PKNS FC U19とトレンガヌFCのU19チーム、トレンガヌFC IVでした。昨季2018年と同じカードとなった決勝戦はPKNS FCのホームで開催された第1戦は0-0、そして9月28日にトレンガヌFCのホームで行われた第2戦はトレンガヌFC IVが、マレーシアU18代表でもあるMFムハマド・ムスリフディン・アティク・マット・ザイドが63分に挙げたゴールで逃げ切り1−0で勝利、通算成績を1-0としてPKNS FC U19を破り、昨年の雪辱を果たすとともに初優勝を遂げています。(以下は決勝の両チームの先発XIと優勝を祝うトレンガヌFC IV。いずれもFAMのFacebookより。)

マレーシアカップ準々決勝第2戦の結果まとめ

マレーシアカップの準々決勝第2戦が9月28日(金)と29日(土)に行われ、準決勝に進出する4チームが決定しています。*左側がホーム、(カッコ)内は第1戦と第2戦の合計成績です。
 順当と言えば順当ですが、勝ち上がったのは今季のマレーシアフットボールリーグMFLの上位4チーム。準決勝のカードはMFL優勝チームJDT対同3位スランゴールFA、MFL2位パハンFA対同4位クダFAと決まり、第1戦は10月18日(金)から20日(日)のいずれか、第2戦は10月25日(金)あるいは26日(土)に予定されています。

ジョホール・ダルル・タクジムJDT4-0トレンガヌFC(5-1)
得点者:JDT-ゴンザロ・カブレラ2(16分PK、39分)、サファウィ・ラシド2(22分、36分)、トレンガヌFC-リー・タック(45分)
 昨季2018年シーズンのマレーシアカップ 準決勝で対戦した両チームは、第1戦がトレンガヌFCのホームで1−0、JDTのホームで開催された第2戦は2-2でトレンガヌFCが決勝に進みましたが、今季はJDTがトレンガヌFCに圧勝しています。

スランゴールFA3−1ペラTBG(3-2)
得点者:スタンゴールFA-シャズワン・ザイノン(34分)、カイリル・ムヒミーン2(45分、69分)、ペラTBG- ブレンダン・ガン(83分)
 通算で33回優勝(2位のペラは8回、但しかつてマレーシア国内リーグに参加していたシンガポールは24回優勝)とマレーシアカップ では圧倒的な強さを誇るスランゴールFAが昨季の覇者ペラTBGを破り、2015年以来4年ぶりの優勝を目指して準決勝に進出しました

クダFA4−1PKNP FC(6-2)
得点者:クダFA-ファルハン・ロスラン(24分)、ジョナサン・バウマン(25分)、ディヴィッド・ロウリー(72分)、ファアド・ズルキフリ(90分)、PKNP FC-ムクハイリ・アジュマル(80分)
 

パハンFA3−1マラッカ・ユナイテッド(6-1)
得点者:パハンFA-ラザラス・カイムビ(42分)、ディクソン・ヌワカエメ2(65分、76分)、マラッカ・ユナイテッド-ナズリン・ナウィ(55分)
 

9月28日から29日のニュース:スランゴールFAのGKがフル代表に招集、WC予選のベトナム戦のチケット1500枚が販売開始、かつての名選手チャンダラン選手が逝去

スランゴールFAのGKがフル代表に招集
 マレーシアサッカー協会FAMのFacebookでは、9月30日から始まる代表候補合宿に、スランゴールFAのGKカイルルアズハン・カリド(29)が、クダFAのGKイフワット・アクマル・チェ・カシム(23)に代わって招集されたことを告知しています。
 イフワット選手は9月25日に行われたマレーシアカップ 準々決勝第1戦のPKNP FC戦には出場したものの、体調が悪そうなそぶりを見せていたことから、今回の交代となったようです。
 カイルルアズハン選手は、MFL開幕時は控えGKとしてスタートしましたが、5月18日に行われたマレーシアフットボールリーグMFL1部第14節で正GKファリザル・ハルンが対戦相手のPKNP FCの選手を殴り、5試合の出場停止処分となって以降、スランゴールFAの正GKに定着しています。(写真はFAMのFacebookより)

WC予選のベトナム戦のチケット1500枚が販売開始
 同じくFAMのホームページでは、FIFAワールドカップアジア二次予選グループGのマレーシア対ベトナム戦のチケットを販売について告知しています。
 マレーシアにとっては予選3試合目となるこの試合は、10月5日にハノイのミーディン国立競技場で行われますが、マレーシアサポーター向けのチケット1500枚がFAMを通じて販売されるようです。10月2日の午後11時59分まで販売されるチケットは40マレーシアリンギ(約1030円)でマレーシア人サポーターのみ購入可能となっており、10月9日からハノイでの受け取りが可能となりますが、ベトナム人サポーターが購入した場合には引き渡しは行われないことが警告されています。(写真はFAMのFacebookに掲載されたベトナム戦のチケット購入方法の告知)

かつての名選手チャンダラン選手が逝去
 1972年のミュンヘンオリンピックにサッカーマレーシア代表が出場した際に主将を務めたM・チャンダランが9月28日に逝去したことを英字紙スター電子版が伝えています。享年77歳でした。
 アジア予選では日本を破ってミュンヘンオリンピックの出場権を獲得したマレーシア代表で活躍したチャンダラン氏は、1974年のアジア競技大会でのマレーシア代表の銅メダル獲得にも貢献しています。(マレーシア代表は1980年にもアジア予選を勝ち上がってモスクワオリンピックへの出場権を獲得していますが、アフガニスタン侵攻に抗議する形で出場を辞退していますので、実際にオリンピックにサッカーマレーシア代表が出場したのは1972年大会だけです。)
 DF(センターバック)としてマレーシア代表では1968年から1974年まで、やはり主将を務めたスランゴールFAでは1975年までプレーしたチャンダラン氏は、スランゴールFAとマレーシア代表でも監督を務めています。
 チャンダラン氏は15年以上にわたってパーキンソン病を患っていたということですが、故人のご冥福をお祈りします。(写真はFAMのFacebookに掲載されたチャンダラン氏の逝去を伝える告知)

9月27日のニュース:FAMはMFL1部9クラブと2部3クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付

MはMFL1部の9クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL1部に所属する12クラブの内、9クラブに来季2020年のクラブライセンスが交付されたことが告知されています。
 この9クラブは、ジョホール・ダルル・タクジムJDT、パハンFA、スランゴールFA、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、プタリンジャヤPJシティFC、フェルダ・ユナイテッド、クアラルンプールKLFAの9クラブです。
 FAMによるクラブライセンス制度は、各クラブに対して「競技」「施設」「組織運営・人事体制」「財務」「法務」の5分野において一定の基準により審査を行い、第一審機関 (First Instance Body、FIB) がライセンス交付の決定を行います。
 またマラッカ・ユナイテッドとPKNS FCついては5分野のうち基準に満たない分野があるとして、10月30日の期限までにFAMの基準を満たすことができれば、来季のライセンスを交付するとしていますが、その期限を過ぎた場合は2部への降格処分が課せられます。現に2017年シーズンではMFL1部で3位となったフェルダ・ユナイテッドが、クラブライ選手が取得できずに2部降格となった例もあります。
 この他、PKNP FCは申請が却下されたため、クラブライセンスは交付されず、来季は2部降格が確定しています。(ただしPKNP FCは今季1部で11位となり、下位2チームが降格するMFLの入れ替え規定により、すでに降格が決まっています。)
 また、クラブライセンスが交付された9クラブの内、JDT、スランゴールFA、クダFA、ペラTBG、トレンガヌFC、KLFAの6クラブはアジアサッカー連盟AFCのクラブライセンスも合わせて交付されており、AFCチャンピオンズリーグやAFCカップに出場することになれば、その資格も取得しています。
 なお今回交付されたクラブライセンスは2020年の1年間のみ有効ですが、2020年シーズン中に何か問題発生した場合、FAMが資格停止する権限を持っています。
 個人的には今回ライセンスの交付が受けられなかったクラブも結局、マレー人特有の「ティダアパ」(Tidak apa apa、マレーシア語で「問題なし」)とうやむやになってしまうのではないかと思っていますが、FAMが本当に強固な姿勢を取れるのかどうかに注目してみたいです。

MFL2部は3クラブに2020年シーズンのクラブライセンス交付
 同じくマレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、今季2019年マレーシアフットボールリーグMFL2部に所属する9クラブの内、3クラブに来季2020年のクラブライセンスが交付されたことが告知されています。(注:MFL2部は2019年は11クラブで構成されていますが、JDT IIとトレンガヌFC IIはそれぞれ1部のJDTとトレンガヌFCのBチームであるため審査対象外です。)
 この3クラブは、中武駿介選手が所属するヌグリ・スンビランFA、今季MFL2部で優勝し、来季は1部昇格が決まっているサバFA、そしてUITM FCの3クラブです。
 またPDRM FC、ペナンFA、スランゴール・ユナイテッドFCの3クラブについては5分野のうち基準に満たない分野があるとして、10月30日の期限までにFAMの基準を満たすことができれば、来季のライセンスを交付するとしていますが、その期限を過ぎた場合は3部となるM3リーグ(アマチュアリーグ)への降格処分が課せられます。
 さらにケランタンFA、サラワクFA、UKM FCの3クラブについては、今回がMFL2部プレミアリーグのクラブに資格審査を行う初年度ということから、10月30日まで資格審査を一時中断する一方で、やはり期限とする10月30日までに5分野で審査基準を満たすことができなければ、M3リーグ降格となると発表しています。