10月15日のニュース:シーゲームズの組み合わせ決定、MFLはTMに対する訴訟取り下げ、PKNS FC監督はスランゴールFAのBチーム化再検討を求める

シーゲームズの組み合わせ決定
 今年2019年11月30日からフィリピンのマニラを中心に開催される東南アジア競技大会SEA Games(シーゲームズ)のサッカーの日程がアジアサッカー連盟AFCのホームページで発表されています。
 オリンピックのアジア版とも言えるシーゲームズは、東南アジア諸国連合加盟の10カ国と東ティモールの計11カ国が参加する各年開催の大会ですが、サッカーはその中でも目玉競技の一つで、2017年からは各国のU22代表(および2名のオーバーエイジ選手)がメダルを争っています。
 今大会男子ではグループAに入ったマレーシアは、開催国フィリピン、ミャンマー、カンボジア、東ティモールと同組になり、ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポール、ラオス、ブルネイがグループBとなっています。
 過去3大会は男子はタイが連覇しており、前回は自国開催ながら決勝で0-1と敗れたマレーシアは2011年大会以来の4大会ぶりの金メダルを目指します。また1985年から始まった女子では、過去10回の大会で、それぞれ5回ずつ優勝のベトナムとタイがインドネシアと同組になっています。
 男子のサッカーは大会開幕前の11月25日から12月10日まで、女子は11月28日空12月9日までの日程となっています。(画像はAFCのホームページより)

MFLはTMに対する訴訟取り下げ
 マレーシアフットボールリーグMFLのホームページでは、マレーシアの国内最大通信会社テレコム・マレーシアTMに対する訴訟取り下げを発表しています。
 MFLとTMは2018年1月に、同社のインターネットサービスプロバイダーブランドUnifiがMFL1部スーパーリーグおよびカップ戦マレーシアカップの冠スポンサー、さらにはFAカップの協賛として8年間で4億8000万リンギ(およそ124億円)の大型契約を締結しましたが、今季2019年MFL開幕前に年間6000万リンギ(およそ15億5000万円)のスポンサー料が支払われなかったとして、MFLはこの契約を破棄すると同時に、契約不履行に基づく賠償請求として4億2800万リンギ(およそ110億円)の訴訟を3月に起こしていました。
 この騒動は、今年3月15日にMFL側がTMとの契約を破棄することを発表したことを発端とし、これに対して3月18日にTM側は昨年2018年11月の時点で、スポンサー契約の最終合意ができていなかった、つまり契約締結には至っていなかったことを主張する発表を行い、これを受けてMFL側が3月21日にTMを提訴していました。なおこのニュースを受け、MFLの主張が認められれば将来の収益を下押しするとの見方から同社の株が売られ、一時は株価が2%近く下落する事態にもなりました。
 訴訟取り下げについての告知記事の中でダト・ハミディン・モハマド・アミンMFL会長は、今回の訴訟取り下げはMFLとTMが共有するスポーツマン精神に基づくものであり、TMは2015年から(MFLの前身である)フットボールマレーシアLLP(Limited Liability Partnership、有限責任事業組合)のスポンサーであること、2000年からマレーシアサッカー協会FAMのスポンサーでもあることなどを挙げ、今回の訴訟取り下げによって、マレーシアサッカーファンが期待するような環境が実現できるよう両者の協力関係を強固にできるとも述べています。さらにマレーシアのサッカーの発展のため、MFLは企業と手を携えていきたいというメッセージも送りたいとしてます。
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 TMの大型契約はTMJことジョホール皇太子トゥンク・イスマイル・イドリス殿下がMFL会長在籍時の2018年に結ばれましたが、この年の5月には1957年の英国独立以来政権を担っていた与党連合国民戦線が総選挙で大敗、現在のマハティール・モハマド首相率いる希望同盟が政権につくというマレーシアでは歴史的な出来事がありました。
 マハティール首相は国民戦線でも首領を務めましたが、その頃から王族の権限縮小に積極的で、それを嫌う「物言う王族」イスマイル殿下とはメディアなどを通じて丁々発止とやりあってきました。そのマハティール首相が政権に復帰したことが、政府系企業でもあるTMの姿勢転換によってイスマイル殿下に「お灸を据えた」のでは、というのが当地のもっぱらの噂です。

PKNS FC監督はスランゴールFAのBチーム化再検討を求める
 このブログでもほぼ確定的と書いたMFL1部PKNS FCのスランゴールFAのBチーム化について、PKNS FCのラヤゴパル・クリシュナサミ監督が再検討を求めて声を挙げているとスポーツ専門チャンネルスタジアムアストロのポータルサイトが報じています。
 U23代表の監督として2009年の東南アジア大会シーゲームズで優勝、フル代表の監督として2011年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップでも優勝と近年のマレーシア代表監督としては抜群の実績を誇るラヤゴパル監督は、Bチーム化案が浮上するまでに十分な検討がされていないこと、またここ数週間はBチーム化がまるで決定したかのような空気でそれ以外の選択肢を検討する余地がなくなっているとして、記事から苛立ちを隠さずに語っている空気が伝わってきます。
 PKNS FCはユース育成に定評があり、今季2019年もMFLのU22チームが対戦するプレジデントカップでは優勝、U19チームが対戦するユースカップでは準優勝しています。PKNS FCのBチーム化により、ラヤゴパル監督はこういったユース育成が今後も続くのかどうかも疑問視しているとし、PKNS FCのフロントにはBチームか再考を求めていくと語っています。
 また実際にPKNS FCがスランゴールFAのBチームになることがあれば、自分とスランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督が同一チームにいるということはあり得ないだろうとも述べています。
 本日10月15日現在、PKNS FCのフロントからも何も公式発表がないということで、ラヤゴパル監督はこれまで通り、週3回のトレーニングでチームを指導しています。
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 この記事にもある通り、代表監督としても実績のあるラヤゴパル監督と、ケランタンFAでマレーシアカップ優勝、国軍ATM FCやフェルダ・ユナイテッドをMFL2部から1部へ昇格させるなど国内での実績が高いサティアナタン監督が同じクラブのAチームとBチームを指導するということは考えられない、というよりももったいないのは事実です。PKNS FCのBチームかとなれば、どちらかがスランゴールFAのAチームの監督になるでしょうが、もう一方は他のクラブの監督に就任する可能性は高いです。



 

10月14日のニュース:予算増で第二、第三のルクマンを、ワールドカップ の前にアジアのスタンダード到達を目指せ、日本滞在中のMFLコーチが台風19号の恐怖を語る

予算増で第二第三のルクマンを
 マレーシアのリム・グアンエン財務相は10月11日、連邦議会下院で2020年度国家予算案を発表しましたが、その中で国家サッカー選手養成プログラムNFDPへ4500万リンギ(およそ11億6000万円)が投入されることが明らかになりました。これは昨年度の配分額1500万リンギ(およそ3億9000万円)から大幅な増額になっています。
 マレーシア政府の肝煎(きもい)りで2014年から始まったこのプログラムは、政府のスポーツ青年省を中心に教育省(日本の文科省に相当)、マレーシアサッカー協会FAMなどが共同で運営する東南アジア最大の養成プログラムで、毎年1月、専任のスカウトチームが国内を回って探し出した7歳から17歳の選手およそ5万5000人がセレクションを受験し、その半数以下ほどの合格者が国内123箇所にあるユースアカデミー(Akademi Tunas)に所属して、無償でコーチングを受けることができるようになっています。そのユースアカデミーからさらに選抜された選手たちは、パハン州モクタル・ダハリアカデミー(AMD)に集められ、さらにトレーニングを積みますが、先日、このブログでも紹介した2002年生まれの注目選手60人に選ばれたロクマン・ハキム・シャムスディンは、このAMDのU17チームに所属しています。
 青年スポーツ省傘下の国家スポーツ委員会NSCのダト・アーマド・シャパウイ・イスマイル事務局長はマレーシアの通信社ベルナマの取材に対し、現在はNFDPに所属しているおよそ1万5000人の選手が今回の予算増によって海外遠征などがより可能になる他、女子選手育成にも大きな助けになると述べています。

ワールドカップの前にアジアのスタンダード到達を目指せ
 FIFAワールドカップアジア2020年大会二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選では、ベトナムに1-0と破れ、3試合で勝点3、予選グループGでは5チーム中4位という位置につけているマレーシア ですが、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版ではアジトパル・シン記者の署名入りで「ワールドカップの前にアジアのスタンダード到達を目指せ」という記事を掲載しています。
 シン記者はベトナム戦を振り返って、FIFAランキング99位のベトナムは158位のマレーシアと比べるとスピード、組織力、判断力などあらゆる面で優っていたとし、東南アジアトップレベルとマレーシアの差はこれまで以上に開いていると述べています。その一方で帰化選手を含めたマレーシア代表も明らかに進歩しているとし、教科の方向性は間違えてはないと指摘。そこでまず提案されているのが国際親善試合のマッチメイキングです。
 今年2019年のマレーシア代表の国際親善試合の相手はシンガポール(直近のFIFAランキング157位)、アフガニスタン(同146位)、ネパール(同161位)、ヨルダン(同98位)、スリランカ(同202位)とヨルダンを除けば、ほぼ似たようなランクか格下の相手ばかりとなっていますが、同じ予選グループGで来月対戦する1タイ(同114位)はインド(同104位)、中国(同68位)、ウルグアイ(同6位)、ベトナム、コンゴ共和国(同90位)と全てが格上相手の試合を組んでいます。
 国内リーグを通しての選手強化は、リーグの規模を考えると限界があるとして、より強い相手との国際親善試合の必要性をシン記者は述べ、さらにはワールドカップではなく、アジアカップの最終予選出場を目指すことが現実的な目標であると述べています。
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 ワールドカップ二次予選の残り5試合中、ホームでの試合は11月14日のタイ戦、11月19日のインドネシア戦そして来年2020年3月31日のベトナム戦が残っていますが、この3試合に勝利することができれば、マレーシアは各グループ3位、あるいはグループ4位チームの内の上位4チームに出場権が与えられる最終予選に進出できる可能性が高いです。

日本滞在中のMFLコーチが台風19号の恐怖を語る
 台風19号は日本各地で猛威を振るいましたが、ちょうど同じ時期にマレーシアフットボールリーグMFL所属クラブの監督数名が、アジアサッカー連盟AFCディプロマコースに参加するために日本に滞在しており、そのときの恐怖を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版で語っています。
 このコースに参加していたのはドラー・サレー(MFL1部パハンFA)、メフメト・ドゥラコビッチ(同ペラTBG)、ザイナル・アビディン・ハサン(同マラッカ・ユナイテッド)、デヴァン・クプサミー(同プタリンジャヤシティFC)、スライマン・ハシン(MFL2部UKM FC)の各監督とイルファン・バクティ前トレンガヌFC監督の6名で、コース終了後に新潟のホテルに滞在中に台風19号に見舞われたようです。
 この中でUKM FCのスライマン監督は、人生で初めて台風というものを経験したそうで、生きた心地がしなかったと記事の中で述べています。ホテルの中にいるように指示を受けたので、何か被害があったわけではないものの、台風が新潟を襲った午後4次ごろから真夜中までは他の監督も皆、恐怖を感じ、もう二度と同じ経験はしたくないとも語っています。
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 マレーシアでは豪雨が降ることはあっても、台風が来ることはありませんので、この時期日本にいたマレーシア人にとっては、各地で記録的な大雨をもたらした台風19号に恐怖を感じたというのは、決して大袈裟な表現ではないのだろうと思います。

10月13日のニュース:チャレンジカップはJDT IIがPK戦の末辛勝、試合後に出されたイエローカード、マレーシア代表主将「11月の2試合で勝点6獲得を目指す」

チャレンジカップはJDT IIがPK戦の末辛勝
 チャレンジカップは、マレーシアフットボールリーグMFLの1部12位と2部の6位以下の合計7クラブが出場する大会で、マレーシアカップに出場できないクラブのために昨年から始まった大会です。フェルダ・ユナイテッドの池田圭選手がブログの中で「小さなカップ戦」と呼んでいる大会です。
 参加7チームを2つのグループに分け、その上位2チームが準決勝に進み、その勝者が決勝で対戦します。今季2019年の決勝に進んだのはMFL1部のジョホール・ダルル・タクジムJDTのBチームJDT II(リーグ戦2位)と、マレーシア国立大学UKMの大学生を中心としたUKM FC(同9位)でした。
 ホームアンドアウェイ形式で行われる決勝の第1戦はJDT IIのホームで10月4日に開催され、JDT IIが1-0でUKM FCに勝利しています。そして昨日10月12日にUKM FCのホームで行われた第2戦はUKM FCが1ー0で勝利。その後の延長戦でも決着がつかずPK戦となった結果、JDT IIのGKハジック・ナズリが3本のシュートを止める活躍で、JDT IIが6-5でUKM FCを破ってチャレンジカップを獲得しました。
 JDT IIはMFLの新たな規定変更によって、今季はMFL1部のJDTに登録されていたDFファドリ・シャスとFWアーマド・ハズワン・バクリがこの試合の直前に合流しました。代表チームでもプレー経験のある二人が加わったJDT IIでしたが、フルタイムでは0-1と敗戦したものの、結局、このファドリ選手が決勝のPKを決めています。
 UKM FCは昨年の決勝でもトレンガヌFC IIに敗れており、2年連続で涙を飲みました。この勝利でJDT IIは賞金20万リンギ(およそ520万円)を、準優勝のUKM FCは7万5000リンギ(およそ200万円)を獲得しています。
 なお、このチャレンジカップでは、準決勝で敗退したトレンガヌFCのBチーム、トレンガヌFC IIでプレーする鈴木ブルーノ、この日の試合でゴールを決めたUKM FCのマテオ・ロスカム、ミラド・ゼネイドプールの3選手が8ゴールで得点王を分け合っています。
(写真はマレーシアフットボールリーグMFLのFacebookより)

試合後に出されたイエローカード
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選のベトナム戦では、マレーシア代表DFアイディル・ザフアンが試合終了後(!)に、この試合の主審を務めたアリ・ミルザベイギ主審(イラン)からイエローカードを出されるというハプニングがありました。この件について、アイディル選手がGoal. comに真相を語っています。
 試合全体を通して判定に納得できなかったマレーシア代表の選手たちですが、特に疑惑の判定だったのが後半終了間際にDFラヴェル・コービン=オングがベトナムのペナルティーボックス付近で倒された場面の判定でした。このプレーは一見、ファウルのように見えたものの、主審は試合続行を指示しましたが、試合終了のホイッスル後に、この判定に疑問を持ったアイディル選手がこの判定について尋ねようと主審に駆け寄ると、主審は答えずにそのままイエローカードをアイディル選手に出しました。
 これに対してアイディル選手は、自分が主審に駆け寄ったことが原因かも知れないと述べつつも、何も言わずにイエローカードを出した主審の真意はわからないとしています。

マレーシア代表主将「11月の2試合で勝点6獲得を目指す」
 ワールドカップ予選の初戦インドネシア戦の勝利の後、強豪アラブ首長国連邦UAEと接戦の末敗れたマレーシア代表は、ホームでの2試合の後、意気揚々とアウェイのベトナム戦に臨みましたが、結果は0-1の敗戦。3試合で獲得した勝点は3で予選グループ5チームで4位となっています。
 今後の予定はタイ戦(11月14日)、インドネシア戦(11月19日)と再びホームの連戦が控えており、この11月の2試合が非常に重要であると主将でもあるGKファリザル・マーリアスがGoal. comに語っています。
 ノックアウトステージへ進む可能性を残すためには、11月の2試合で勝点6を取ることが必要であり、そのためには特に3試合で5失点の守備陣については、自信を取り戻すことと、集中力が切れるなどここまでのミスの修正が課題であるとし、自らは守備陣とのコミュニケーションの強化を課題に挙げています。
 


 

10月12日のニュース:ベトナム戦のGoal. comによるプレーヤーレイティング

ベトナム戦のGoal. comによるプレーヤーレイティング
 今回はニュースではありませんが、10月10日に行われたWC予選ベトナム戦に1-0と敗れたマレーシア。サッカー素人の私には細かな評価ができないので、Goal. comマレーシア版による、ベトナム戦の選手レイティングを掲載します。(原文はマレーシア語です)
 GKファリザル・マーリアス 5/10
 簡単にゴールを許した。ベトナムFW陣をゴールに近づけないようDF陣に指示を出すべきだった。ベトナムFW陣の攻撃を防ぐためにゴールエリアから出過ぎてDF陣を心配させた。
 DFマシュー・デイヴィーズ 6/10
 ベトナムは(デイヴィーズ選手が守る)右サイドを狙って何度も仕掛けてきたため、オーバーラップする際に、高い位置でボールを供給できなかった。
 DFシャルル・サアド 6/10
 グエン・クアン・ハイが得点した場面では、(シャルル選手は)クアン・ハイ選手の後ろを走っていたので、止めることは難しかったが、その前にベトナムの選手のポジショニングを確認しておくべきだった。また右サイドを責めるベトナムに対してデイヴィーズ選手をサポートできていなかった。ゴールライン上でグエン・アン・ドックのシュートを素早い反応でクリアしたのは素晴らしかった。
 DFアイディル・ザフアン 7/10
 経験を生かして、ベトナムの攻撃を読み、何度もそれを防いだ。
 DFコービン・オング 6/10
 左サイドからのオーバーラップによって、(右サイドの)デイヴィーズよりも多くのチャンスを作った。
 MFブレンダン・ガン 6/10
 (守備的MFの)ハリム・サアリがいることで、本来ならばもっと高い位置でプレーしたかったところだが、ベトナムがロングボールを多用したため、自陣でのプレーが多くなった。
 MFハリム・サアリ 6/10
 DF陣の前で守備をすることが期待されたが、素早いベトナムのMF陣に押し込まれる場面が目立った他、ロングボールへの守備にも追われた。
 MFモハマドゥ・スマレ 5/10
 統制の執れたベトナムDF陣に封じられ、デイヴィーズ選手とともにこの試合で右サイドが機能しなかった原因となった。インドネシア戦とは違い、守備に対してもも不十分だった。
 MFシャフィク・アーマド 6/10
 豊富な運動量でスペースを作ろうとするも、ベトナムの厳しいマークによって仕事をさせてもらえず、チームメートからも十分なサポートが得られなかった。
 MFサファウィ・ラシド 5/10
 スマレ選手同様、この試合では効果的な役割を果たさなかった。プレースタイルがベトナムに把握された上に、厳しいマークにあい、攻撃陣の役に立たなかった。
 FWノーシャルル・イドラン・タラハ 5/10
 ベトナムが中央に配置した3人のDFが、マレーシア攻撃陣がボールを持つたびにノーシャルルが厳しくマークされたことで、ボールをもらうことも、パスをすることも封じられ、FWとしての仕事をさせてもらえなかった。
 MFアキヤ・ラシド 評価なし
 56分にノーシャルル選手と交代。攻撃の力にはなったものの、ベトナムの守備を崩すまでには至らなかった。
 DFシャミ・サファリ 評価なし
 90分にデイヴィーズ選手と交代。

 なお英字紙ニューストレイトタイムズも、この試合の出場選手をオイ・キンファイ記者が採点しています。詳細はこちらです。

10月11日のニュース:サバFAは新戦力を求めてトライアウト実施、ルクマンが次世代のトップ60に選ばれる、BBCがマレーシア選手のサクセスストーリーを紹介

サバFAは新戦力を求めてトライアウト実施
 今季2019年にマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグで優勝し、来季2020年はMFL1部スーパーリーグでプレーするサバFAは新戦力を求めてトライアウトを開催しています。
オンラインスポーツサイトのスタジアムアストロが報じる現在開催中のトライアウトにはブラジルとアルゼンチン出身の選手が参加中で、今後はインドネシアや韓国からの選手も参加予定のようです。
 サバ州サッカー協会のピーター・アンソニー会長は、全てのポジションで強化が必要なことから、FW、MF、DFと様々な選手のトライアウトを行うとしています。
 その一方で今季サバFAに在籍する4名の外国籍選手、FWロドルジュブ・パウノヴィッチ(セルビア)、DFパク・タエスー(韓国)、MFアフメット・アタエフ(トルクメニスタン)、FWアギナルド・メンデス・ヴェイガ(アンゴラ)については、今年末に契約が切れるため、近いうちに今後の更新の有無について発表するとしています。

ルクマンが次世代の注目選手60名の一人に選ばれる
 英国の新聞ガーディアンによる「2002年生まれ注目選手60人」2019年版で17歳のFWルクマン・ハキム・シャムスディンがアジア出身の6名の選手として選ばれています。
 2018年にマレーシア開催となったアジアサッカー連盟AFC U16選手権では、チームはグループステージ敗退ながら得点王を分け合ったルクマン選手は、Jリーグのセレッソ大阪なども獲得に動いていたとされますが、今年9月にはマレーシア人のヴィンセント・タン氏がオーナーを務めるベルギー1部リーグに所属するKVコルトレイクと契約し、18歳になるのを待って入団が決定しています。
 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府の青年スポーツ省が合同で運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDP出身のルクマン選手はこのリストに選ばれた初めてのマレーシア人で、今回、この他のアジアの選手としてはFW西川潤(桐光学園高校)、FWノア・ボティチ(オーストラリア、ドイツ-TSG1899ホッフェンハイム)、FWスファナット・ムエアンタ(タイ、ブリーラム・ユナイテッド)、GKカサノヴァ・ムクリディン(タジキスタン、パルヴォーズ・ボボジョン・ガフロフ)、MFジャスールベク・ジャロリディノフ(ウズベキスタン、FCブニョドコル)がリストに名を連ねています。

BBCがマレーシア選手のサクセスストーリーを紹介
 英国放送協会BBCのニュースポータルでは「一本の電話がセミプロ選手を代表選手に変えた」と題した記事で、今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグのJDT IIでプレーしたFWダレン・ロークを取り上げています。
 ローク選手は3年前までは英国国民保健サービス下の精神科病棟で勤務する一方、英国国内リーグでは最上位であるプレミアリーグから数えて5つ下のディビジョン、実質6部にあたるナショナルリーグ・サウスのイーストボーン・ボロFCでプレーしていました。しかしあるサッカー雑誌に掲載されたローク選手のインタビュー記事を読んだ代理人からかかってきた一本の電話が彼の人生を大きく変えたとしています。
 電話をかけたのは現在、ローク選手の代理人を務めるオーストラリア人のスコット・オルレンショー氏でした。オーストラリア代表としてのプレー経験もあり、またマレーシアリーグのサバFAでも100試合以上に出場したオルレンショー氏は、ローク選手にマレーシアでプレーするつもりはないかどうかを打診したそうです。その後、オルレンショー氏から、父親がマレーシア人(母親は英国人)であることからマレーシアの国籍が取得できること、そしてマレーシア代表でプレーできる可能性があることを告げられたローク選手は、仕事をしながらセミプロとしてプレーしている状況から、サッカーに集中できる環境に移れる機会を逃すべきではないとして、その決断は簡単ではなかったものの、最終的にマレーシア行きを決めたと述べています。
 2016年5月にJDT IIと契約したものの、マレーシアのパスポート取得に手間取り、同年9月にマレーシア人選手としてMFLデビューしたローク選手は、JDT IIでわずか2試合に出場した後の同年10月7日には早速、シンガポール代表との国際親善試合で代表デビュー、また翌年2017年8月22日のシリア戦では代表初ゴールも挙げています。ローク選手は「わずか数ヶ月前はイギリスのセミプロ選手だった自分がマレーシア代表として国際試合に出場するということは素晴らしい経験だったが、マレーシアへ来てからの数ヶ月間でメディアのインタビューをいくつもこなすという、セミプロだった自分にとっては全く初めての経験もした」「シンガポール代表戦では2万人を超える観衆の前でプレーしたが、これも初めてで、英国ではせいぜい500人程度の観客しかいなかった」などと述べています。
 生まれ故郷の英国から離れて暮らすローク選手ですが、サッカーができる限り、JDTでプレーしたいと最後に語っています。
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 今季2019年はJDT IIでも9試合で2ゴールと振るわなかったローク選手ですが、インタビューの中ではJDT愛が溢れています。BBCのインタビューでは、英国人にJDTの凄さを伝えるために、様々な点を挙げていますが、マレーシアのクラブとしては初めてウイイレにも含まれている、と語っている点が良いなと思いました。

10月10日のニュース:速報 FIFAワールドカップアジア二次予選 マレーシア0-1ベトナム

FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼2023年AFC選手権アジアカップ予選のベトナム対マレーシアが10月10日にハノイのミーディンスタジアムで行われ、ベトナムが40分にグエン・クアン・ハイのゴールで挙げた1点を守り切り、1ー0でマレーシアに勝利しています。

 この日のスターティングXIは、前回のUAE戦の先発メンバーからは、ケガからの回復が思わしくないMFノー・アザム・アジー(パハンFA)と守備にやや不安のあるDFアダム・ノー・アズリン(JDT)に代わってそれぞれMFハリム・サアリ(スランゴールFA)とDFザフアン・アイディルが入った以外は変更なし。好調のシャフィク・アーマド(JDT)がワントップのノーシャルル・イドラン・タラハの後ろに控える4-4-1-1とこれまで通りの布陣で試合に臨みました。
 仕事の都合で後半しか見られなかったのですが、後半は自陣でプレーする時間が長く、パスも横や後ろへのものが多く、ボールポゼッションでベトナムを上回っていたようですが、チャンスらしいチャンスはなし。予選が始まってから好調が続くMFシャフィク・アーマド(JDT)も、下がってボールをもらう機会が目立ちました。MFムハマドゥ・スマレ(パハンFA)、MFサファウィ・ラシド(JDT)もチャンスを作れず、後半だけで見れば、強いチームが単純に勝ったように見えました。
 前半はダイジェスト映像で見ましたが、ゴールのシーンはDFシャルル・サアドがまたもや相手FWを追いかけるような位置どりで、これまでと同じように相手の実力というよりはミスでの失点だったように素人目には見えました。
 またMF陣もベトナムの速いプレスに思うようなパスが出せず、焦って出したパスは相手に渡るなど精度が低いボールが多く、FW陣チャンスを作ることができませんでした。
 ここまでの予選2試合は期待が持てるような試合をしたマレーシア代表だっただけに、今回の敗戦はFIFAランキングを順当に反映した結果のように思えました。
 この敗戦でマレーシアは1勝2敗の勝点3、ベトナムは1勝1分の勝点4、タイも1勝1分の勝点4となっています。この他、UAEが1勝で勝点3、インドネシアは2敗で勝点0となっていますが、この両チームは本日この後、UAEのホームで対戦します。
(下はこの日のマレーシアのスターティングXI。マレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

10月10日のニュース:MFL2部に3つ目のBチーム誕生は茶番だ、ベトナム戦を前に-練習場で一触即発、ベトナム戦を前に-最近の対戦成績をおさらい、FIFAによるインドネシア連盟への制裁が発表

MFL2部に3つ目のBチーム誕生は茶番だ
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版はアジトパル・シン記者の署名入り記事として、マレーシアフットボールリーグMFL2部に3つ目のBチームが誕生することに警鐘を鳴らしています。
 先日もこのブログで取り上げましたが、MFL1部所属のスランゴールFAを運営するスランゴール州サッカー協会の臨時総会席上で、同じMFL1部所属のPKNS FCをスランゴールFAのBチーム化する案を満場一致で可決しました。PKNS FCからMFLに対しては来季2020年のリーグ戦をBチームと参加することの申請はまだ出ていないようですが、MFLは内諾を与えていると言われています。
 同一クラブが同じリーグでプレーすることができないMFLの規定により、PKNS FCはBチーム化が確定した時点で、今季2019年MFL1部スーパーリーグで9位だったにもかかわらず、MFL2部プレミアリーグへ降格となります。これによりMFL2部は、JDT II、トレンガヌFC II、PKNS FCと昇格権を持たないBチームが3クラブと、予算上の問題から1部昇格を望んでいないとされる大学を母体とするUITM FCとUKM FCの2クラブ、つまりMFL2部12クラブ中の5クラブが1部を目指さない状況となります。
 さらにPKNS FCと同様に州政府関連機関であるペラ州開発公社を母体とするPKNP FCにも、同じペラ州を拠点とするペラTBGのBチーム化の噂もあり、この通りであればMFL2部は所属クラブの半数が1部昇格を目座なしクラブで占められることになります。
 スランゴール州サッカー協会が先日発表した声明では、スランゴール州を拠点とするスランゴールFA、PKNS FC、スランゴール・ユナイテッドを統合する案はこれまでも何度か浮上したものの、様々な障害があり実現しなかったとしています。3つのクラブの運営資金は合計で4400万リンギ(およそ11億3000万円)ながら、結果を出しているのは、MFL1部3位、マレーシアカップ でも準決勝に残っているスランゴールFAだけであるとし、今回の統合では1600万リンギ(およそ4億1000万円)が節約できるだけでなく、スポンサー獲得や入場料収入などでも統合による利点は多いとしています。
 またBチームはスランゴールFAのプレジデントカップチーム(u21チームを対象としたリーグ参加チーム)に所属できなくなる22歳以上の選手がAチーム入りするための育成の場としたいとしています。
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 MFL2部で今季5位だったUITM FCや9位だったスランゴール・ユナイテッド、さらにMFL3部にあたるM3所属のスランゴール州内クラブなど、プレジデントカップを卒業した選手がプレーできるようなBチームとしてスランゴールFAが活用できるクラブは他にあるにもかかわらず、スランゴールFAがPKNS FCのBチーム化にこだわるのは、PKNS FCに提供されている運営資金にあると言われています。個人的にはまずスランゴール・ユナイテッドとの統合を考える方が先だと思うのですが、育成云々よりも単純に運営資金を増やしてJDTに負けない補強したい、と言う考えがあるのだと思います。また、PKNS FCは以下のような意味深な写真をFacebookにアップしています。

ベトナム戦を前に-練習場で一触即発
 本日10月10日はFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権2023年大会予選のベトナム対マレーシアがハノイのミーディンスタジアムで行われますが、英字紙ニューストレイトタイムズによると、同じ練習会場を割り当てられたマレーシア代表とベトナム代表が一触即発になったと伝えています。
 ベトナムサッカー連盟VFFユーストレーニングセンターを練習会場として割り当てられたマレーシア代表は、練習開始時間とされた午後6時より前の5時45分に到着したところ、練習中だったベトナム代表のパク・ハンソ監督がこれに気づき、マレーシア代表のタン・チェンホー監督とチームに6時までバスから降りずに、フィールドが見えない離れたところでで待つように依頼したそうです。その後マレーシアの選手たちが着替えを行う間、タン監督はベトナム代表の練習を見続けたため、腹を立てたパク監督は練習を終了時間前に切り上げ、別の場所へ移動して続けたとのことです。
 また、試合前日の記者会見では、過去の対戦成績は関係なく当日の試合に集中したいと語ったパク監督は、100%勝利するとは言えないが全力を尽くすと語ったそうです。では、過去の対戦成績とはどうなっているのかを次の記事で紹介します。

ベトナム戦を前に-最近の対戦成績をおさらい
 マレーシアとベトナムは、昨年2018年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップの決勝で対戦していますが、FIFAワールドカップ予選やAFC選手権アジアカップ予選で対戦するのは、実は今回が初めてです。
 両チームの対戦成績は下のインフォグラフィックの通り、1991年からの19試合ではベトナムの11勝3分5敗で、マレーシアがベトナムを最後に破ったのは2014年12月11日のAFF選手権スズキカップの準決勝まで遡らなければなりません。なおこの試合は今回の試合と同じミーディンスタジアムで開催され、現在の代表チームにも所属するFWノーシャルル・イドラン・タラハのゴールを含めた4-2で快勝しています。しかし、マレーシアがベトナムを敵地で破ったのはこの1度きり。残りの4勝は全てマレーシアのホームゲームでした。
 また昨年末のAFF選手権スズキカップでは、グループステージで0-2で敗れ、マレーシアのホーム、ブキ・ジャリル国立競技場で行われた決勝第1戦は2-2の引き分け、ベトナムのホームゲームとなった決勝第2戦は0-1で敗れています。
 ベトナムと対戦したスズキカップ決勝第2戦のメンバーからは、半数近い選手が入れ替わっています。参考までのスズキカップ決勝第2戦のスターティングXIと、2019年9月10日のワールドカップ予選のスターティングXIを併記しておきます。
<2018年12月15日スズキカップ決勝第2戦の先発メンバー>
*太字はUAE戦にも先発したメンバーです。
GK:ファリザル・マーリアス(JDT)
DF:シャミ・サファリ(スランゴールFA)、アイディル・ザフアン(JDT)、シャルル・サアド(ペラFA)、シャズワン・アンディック(JDT)
MF:モハマドゥ・スマレ(パハンFA)、シャマール・クティ・アッバ(JDT)、アクラム・マヒナン(PKNS FC)、サファウィ・ラシド(JDT)、ザクアン・アドハ(クダFA)
FW:ノーシャルル・イドラン・タラハ(パハンFA)
<2019年9月10日WCアジア二次予選UAE戦の先発メンバー>
GK:ファリザル・マーリアス(JDT)
DF:マシュー・デイヴィーズ(パハンFA)、シャルル・サアド(ペラFA)、アダム・ノー・アズリン(JDT)、ラヴェル・コービン=オング(JDT)
MF:モハマドゥ・スマレ(パハンFA)、ブレンダン・ガン(ペラTBG)、ノー・アザム・アジー(パハンFA)、サファウィ・ラシド(JDT)、シャフィク・アーマド(JDT)
FW:ノーシャルル・イドラン・タラハ(パハンFA)
(下のインフォグラフィックはマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

FIFAによるインドネシア連盟への制裁が発表
 9月5日にジャカルタで行われたFIFAワールドカップアジア二次予選の対インドネシア戦では、マレーシアサポーターは投石されてケガをした方が出たり、試合後にマレーシア代表は警察の装甲車両でホテルへ戻るなど騒乱状態となり、マレーシアサッカー協会FAMはFIFAとアジアサッカー連盟AFCへ正式に抗議する事態に発展しました。
 マレーシアの通信社ベルナマのポータルサイトによると、FIFAからの裁定が発表され、インドネシアサッカー協会PSSIに対しては4万5000スイスフラン(およそ490万円)の罰金が課せられました。またこれを受けてPSSIのラトゥ・ティシャ・デストリア事務局長はこの裁定を受け入れ、課せられた罰金を支払うことを発表しています。
 また同様の事態を避けるために、10月15日に予定されている同じワールドカップ予選の対ベトナム代表戦の会場はジャカルタからバリへ変更されています。

10月9日のニュース:リーガン「MFLはAリーグよりやりがいがある」、ローリー「ブレンダン・ガンのようになりたい」、キプレ「来季の話は聞いていない」

今回は外国籍選手関連の話題です。

リーガン「MFLはAリーグよりやりがいがある」
 マレーシアフットボールリーグMFL1部のスランゴールFAでプレーするオーストラリア出身のDFテイラー・リーガンが母国のサッカー専門ラジオ「フットボールネイションラジオFNR」のホームページで、マレーシアサッカーとMFLについて語っています。
 「多くのオーストラリア人はMFLは(オーストラリアのプロサッカーリーグ)のAリーグより劣ると考えているが、それは選手のレベルが理由ではなく、天候や環境が原因だろう。マレーシアでは試合開始前に4時間連続して雨が降ることがあり、その結果としてピッチの状態は悪くなり、サッカーの試合というよりはただの蹴り合いになってしまうことがある。マレーシア人選手の能力は決して低くない。」
 2016年シーズンにAリーグのニューカッスルからMFLのヌグリ・スンビランFAに移籍し、1シーズンでまたAリーグのアデレード・ユナイテッドに復帰した際にはサッカー選手としてレベルアップをしている驚かれたと話すリーガン選手は、その理由として、MFLではAリーグの選手以上の年棒を稼いでいる各チームの外国籍FWを相手に続けたことを挙げています。
 「今季のマレーシアカップ準決勝で対戦するJDTのFWはヨーロッパやブラジルのトップクラブでプレーした経験があり、Aリーグの大半のFWよりも対戦しがいがある。」と語るリーガン選手が話題にしているのは、ギリシャのオリンピアコスFC時代にはチェルシー、リバプールと言ったチームからも注目され、その後移籍したタイリーグでは105試合出場で101ゴールを挙げ、今季2019年にJDTへ移籍したジオゴ選手です。
 その後、リーガン選手はアデレード・ユナイテッドに2年契約を提示されますが、「自分が求められるのは(高額の移籍金を払える)中東や日本、中国のリーグではなく、東南アジアのリーグであり、東南アジアのクラブは高額の移籍金は払えない」と考え、30万オーストラリアドル(およそ2170万円)に設定された移籍金を、給料を下げることを条件に、5万オーストラリアドル(およそ360万円)に下げてもらうことを申し出たそうです。
 しかし契約満了前にスランゴールFAから獲得オファーを受けたリーガン選手は、なんとこの5万オーストラリアドルの移籍金を自ら支払った上で移籍したそうです。
 スランゴールFAとの1年契約は11月末に切れるとのことですが、リーガン選手はおそらく来季2020年もMFLでプレーするだろうとFNRに語っています。

ローリー「ブレンダン・ガンのようになりたい」
 マレーシアカップ準決勝に進出したクダFAのMFデイヴィッド・ローリーは、マレーシアフットボールMFLのインタビューの中で、同じオーストラリア出身のマレーシア代表MFブレンダン・ガン(ペラTBG)は自分のアイドルであり、彼のような選手になりたいと述べています。
 マレーシア人の父親を持つガン選手は、帰化選手としてサバFAやケランタンFAでプレーした後、昨季2018年にペラTBGへ移籍、そして現在は代表チームの主力として活躍していますが、2015年には右足の、2016年には左足の膝前十字靱帯(ひざぜんじゅうじじんたい:ACL)の重傷を負いながら復活した選手です。
 ガン選手同様、オーストラリア生まれのローリー選手は、母親がマレーシア人であることから外国籍選手としてではなく、マレーシア人選手として昨季2018年にはPDRM FCとヌグリ・スンビランFAでプレーし、今季2019年はMFL2部のケランタンFAと契約しましたが、トランスファーウインドウ期間にクダFAへ移籍しています。
 29歳のローリー選手は、いつかガン選手と代表で一緒にプレーすることが夢だと語り、同じ帰化選手のDFマシュー・デイヴィーズ(パハンFA、オーストラリア出身で母親がマレーシア人)、DFラヴェル・コービン=オング(JDT、ロンドン生まれカナダ育ち、母親がマレーシア人)といった代表選手も尊敬していると話しています。
 ドイツやルクセンブルグ、タイなどでもプレー経験のあるローリー選手ですが、今季の開幕を迎えたケランタンFAでは、クラブ財政不安の問題からシーズン途中で外国籍選手全員が契約解除となり、ローリー選手も9試合の出場にとどまりました。
 しかしケランタンFA在籍中にマルコ・クラリェヴィッチ監督(当時)にそれまでのFWから守備的MFへの転向を勧められ、退任したクラリェヴィッチ監督を引き継いだユスリ・チェ・ラー監督もそれを支持し、さらに移籍したクダFAのアイディル・シャリン監督自身がかつては守備的MFだったことで才能が開花し、現在はクダFAのマレーシアカップ 準決勝進出に大きく貢献しています。

キプレ「来季の話は聞いていない」
 トレンガヌFCのFWチェチェ・キプレは、来月末に満了となる契約について、クラブとは今後についての公式の話し合いを持っていないとする一方で、契約満了前には他クラブへの移籍などについては考えていないと、オンラインサイトのスタジアムアストロに語っています。
 2017年にトレンガヌFCに加入したコートジボアール出身のキプレ選手は、リーグ戦、カップ戦合わせて15試合で12ゴールを決め、チームの1部昇格へ貢献しています。さらに昨季2018年は32試合で24ゴールを挙げ、チームをマレーシアカップ 準優勝へ導くなど素晴らしいと活躍しましたが、今季2019年は開幕から極度の不調に苦しみました。MFL21試合で6ゴール、準決勝で敗退したFAカップでは4試合で2ゴール、準々決勝で敗れたマレーシアカップ ではグループステージ6試合で5ゴールを挙げるも、準々決勝のJDT戦では第1戦、第2戦とも不発でした。
 トレンガヌFCは5月16日に、チームの成績不振の責任を取ってたイルファン・バクティ監督が辞任しましたが、期待されていたキプレ選手の絶不調もチームの成績不振の一因でした。

10月8日のニュース:マレーシアカップ準決勝クダFAのホームゲームオンライン販売分は既に売り切れ、ベトナム戦試合会場は30以上の防犯カメラで監視

マレーシアカップ準決勝クダFAのオンライン販売分は既に売り切れ
 マレーシアカップ準決勝第1戦となる10月19日のクダFA対パハンFAは、クダFAのホーム、クダ州アロースターのダルル・アマンスタジアムで開催されますが、オンライン販売分はすでに売り切れたことが、クダFAのFacebookで告知されています。
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式スポンサーでもあり、もう一つのカップ戦FAカップの冠スポンサーでもあるシンガポールのネット通販サイトShopee(ショッピー)は、MFLやFAカップ、マレーシアカップのチケットを販売していますが、今季は開幕当初から「チケット1枚購入につき1枚無料」キャンペーンを行なっていますが、今回はその結果2000枚プラス2000枚の計4000枚があっという間に売れてしまったようです。絶対に売れるチケットなのにこんなキャンペーンを継続するとは太っ腹なのか、商売下手なのかはわかりませんが…。
 なお残りのチケットは試合前日の10月18日に試合会場となるダルル・アマンスタジアムのカウンターで販売が行われるようです。
 ちなみに、英語では飛ぶように売れることを”like a hot cake”「パンケーキのように」(売れる)と言いますが、このチケット騒動を取り上げた記事を読んで、マレーシア語では同様のことを”macam goreng pisang panas”と言うのを初めて知りました。macam(マチャム)は「〜のように」、goreng(ゴレン)はナシゴレンのゴレンで「炒める、揚げる」、pisang(ピサン)は「バナナ」、panas(パナス)は「熱い・暑い」なので「熱々のバナナフリッターのように」(売れる)となりますが、確かに揚げたてのゴレンピサンは外側がカリッ、中がトロリと美味しいので納得です。(オンライン販売終了を伝えるクダFAのFacebookでの告知)

ベトナム戦試合会場は30以上の防犯カメラで監視
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選グループGのベトナム対マレーシアは10月10日に行われますが、その会場となるハノイのミーディン国立競技場には30代以上の防犯カメラが設置されているとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 スタジアム管理会社の話として、2017年から設置されているこれらの防犯カメラは、サポーター同士のトラブルなどの問題が発生する前に対応できるようになっており、挙動不審者や、発煙筒や爆竹の投げ込みなどをカメラが捉えた場合には保安要員が現場に直行できる体制を取っているとしています。
 また入場前には警察によるボディチェックを行なわれ、来場者の安全確保に最大の注意を払っている点をスタジアム管理会社は強調しています。
 3-2と勝利したジャカルタでのインドネシア戦では、マレーシアサポーターはインドネシアサポーターの投石などでケガ人を出し、マレーシア代表自体も警察の装甲車両でスタジアムから宿舎まで移動せざるを得なくなるなどの事態を経験しています。特に今回はFIFAランキング99位のベトナム対158位のマレーシアながら、接戦が予想されるだけに、万が一マレーシアが敵地で勝つようなことがあれば、試合後は大荒れになることも予想されます。

10月7日のニュース:マラッカU監督の去就は未定、インドネシアはWC予選をバリで開催、チャナティップはケガのためUAE戦回避か

マラッカU監督の去就は未定
 今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFLでは6位に終わったマラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAが今月10月末に開催する会合の席でザイナル・アビディン監督の去就を決めるようです。
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、MUSAのファルハン・イブラヒム事務局長の談話として、来月11月末に契約切れとなるザイナル監督の今後については、マラッカ州知事でもあるアドリ・ザハリMUSA会長が決定するとしています。
 ファルハン事務局長は、ザハリ会長が今季6位という結果に満足しているものの、最終的な決定は今月末の会合で下されるとしています。
 またザイナル監督もここまでMUSAとの契約更新に関する話し合いなどは行われていないと話しており、来季については全くの白紙のようです。
 今季は給料未払い問題が何度か浮上し、先日のマレーシアカップ準々決勝では、試合直前にシュコール・アダン主将が、過去数カ月の給料未払いを理由に試合への出場を拒否、またマレーシアサッカー協会も来季2019年のクラブライセンスについて条件付きで交付するなど、チームを取り巻く環境は決して良くはありません。

インドネシアはWC予選をバリで開催
 アジアサッカー連盟AFCのホームページでは、インドネシアサッカー協会PSSIによるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選の試合会場変更要請を受けたAFCは、インドネシア代表のホーム次戦をバリ島で開催することを了承したことを告知しています。インドネシアは今回のワールドカップアジア二次予選ではマレーシアと同組になっています。
 この結果、10月15日に予定されているベトナム代表との対戦は、当初予定されていたジャカルタのゲロラ・ブン・カルノGBKスタジアムからバリ島に本拠地を持つバリ・ユナイテッドのホーム、キャプテン・I・ワヤン・ディプタスタジアムへ移されます。
 9月5日にGBKスタジアムで行われたマレーシア代表との対戦では、観客の乱入しで試合が一時中断したほか、訪れたマレーシアサポーターがインドネシアサポーターから投石などでケガをしたほか、試合後にはマレーシア代表が警察の装甲車両に乗車して宿舎へ戻るなどなどの混乱が発生し、マレーシアサッカー協会FAMは国際サッカー連盟FIFAとAFCに公式に文書による告発を行う事態に発展しています。

チャナティップはケガのためUAE戦回避
 タイ代表のチャナティップ・ソングラシンが、10月15日に予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選のアラブ首長国UAE戦の招集をケガの辞退したことが所属先のJ1コンサドーレ札幌のホームページで伝えられています。タイは今回のワールドカップアジア二次予選ではマレーシアと同組になっています。
 現在、予選グループGの首位をいくタイは、ここまでベトナムと引き分け、インドネシアに勝利しています。
 タイの英字紙バンコクポスト電子版によると、チームドクターは完治まで2、3週間が必要と述べているとのことで、所属クラブの札幌もタイへの移動による悪化を懸念して、札幌での静養を求めたということです。
 タイ代表は同じく日本でプレーするMFティティパン・プアンチャン(大分トリニータ)、MFピーラドン・チャムラツァミー(サムットプラーカーン・シティFC)の両選手がベトナム代表戦によるケガで招集されず、DFトリスタン・ドゥ(バンコク・ユナイテッドFC)もケガのため招集を辞退しています。
 チームの調子もさることながらが、やはり怖いのは主力選手のケガ。現マレーシア代表で言えば、絶好調のシャフィク・アーマド、サファウィ・ラシド、ブレンダン・ガン、マシュー・デイヴィーズ辺りがケガを負うと代わりがいないので、とにかくケガには気をつけていただきたいです。