12月12日のニュース:シーゲームズ-マレーシアU22代表戦績

 昨日12月11日の閉会式と共に幕を閉じた第30回東南アジア競技大会通称シーゲームズ。各国のU22代表が対戦するサッカー男子では前回2017年大会で決勝に進出したものの0-1でタイに惜敗したマレーシアでしたが、今回は1勝1分2敗でグループステージ敗退となりました。
 そこシーゲームズ関連としては最後となる今回は、グループステージでのマレーシア代表の試合を振り返ります。
(各試合のスターティングXIと写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより、また試合のダイジェスト映像はアストロアリーナのYoutubeチャンネルより)

第1戦:11月25日
マレーシア1-1ミャンマー(リザル・メモリアルスタジアム、マニラ)
得点者:マレーシア-ハディ・ファイヤッド(24分)、ミャンマー-ソー・モー・チョウ(13分)
 ミャンマーU22代表のヴェリザール・ポポフ監督は、2016年にはマレーシアフットボールリーグMFLのケランタンFAの監督経験もある、いわばマレーシアサッカーの経験者。しかもFIFAランキングではミャンマーが136位に対して、マレーシアは154位となっています。
 開幕戦となったこの試合では、U19代表からの飛び級組FWルクマン・ハキムとMFウマル・ハキームの17歳コンビがいきなり先発で起用され、マレーシアのオン監督は彼らが単に人数合わせの招集ではないことを示しました。
 試合はミャンマーがライン・ボー・ボーのコーナーキックをソー・モー・チョウが頭で合わせてゴールし、13分に先制しますが、マレーシアもミャンマーDFのバックパスを奪ったアキヤ・ラシドからのクロスをハディ・ファイヤッドがこちらもヘディングでゴールを決め同点に追いつきます。その後はハディ選手のヘディングシュートやキャプテンのアダム・ノー・アズリンのフリーキックがポストに阻まれるなど、マレーシアはチャンスを生かせず、このまま試合終了となっています。

第2戦:11月29日
マレーシア0-1フィリピン
得点者:フィリピン-シュテファン・シュレック(74分)
 マレーシアの一部メディアでは、1991年の再演とも評されたこの敗戦ですが、当時とは状況が全く違っています。1991年にやはりマニラで開催された第16回大会でマレーシアはフィリピン相手に0-1で敗れ、グループステージで敗退していますが、1990年代のフィリピンはサッカー弱小国でしたので、マレーシアから見れば歴史的番狂わせ、フィリピンからすればまさにジャイアントキリングでした。
 しかし直近のFIFAランキングでは、マレーシアの154位に対してフィリピンは124位と「格上」です。今大会での敗戦は言わば順当な結果なわけで、それを受け入れられないファンやメディアは現状認識力がないということでしょう。
 オン監督はミャンマー戦で先発した17歳コンビに代わってニック・アキフ・シャヒランとディネシュ・ラジャシンガムを先発に起用しましたが、攻撃のリズムが好転することはなかったようで、結局、17歳コンビがこの2選手と交代で途中出場しています。試合は74分に代表フィリピンのオーバーエイジ枠で出場のシュテファン・シュレックのコーナーキックが直接ゴールに飛び込み、これが決勝点となりました。ゴールへ向かってくるボールに対するGKハジック・ナズリは位置取りも反応も悪く、前回大会決勝でやはりボールの起動を読み損ね、パンチングでクリアしたボールが自陣ゴール飛び込んでタイに決勝点を与えた頃から進歩が感じられないプレーでフィリピンに得点を許しました。

第3戦:12月2日
マレーシア4-0東ティモール
得点者:マレーシア-ジュリアオ(9分OG)、ハディ・ファイヤッド2(34分、43分)、アキヤ・ラシド(81分)
 1敗1分で迎えた第3戦は、勝利はもちろんのこと、マレーシアと最終戦で対戦するカンボジアが、既に東ティモール相手に5−0と大勝していたことから、得失差でグループ内の順位が決まる可能性もあり、できるだけ多くのゴールを挙げることが求められた試合でした。
 この前の試合のフィリピン戦の内容について「そんな実力もないのにメッシのような個人プレーはやめろ」と英字紙ニューストレイトタイムズに名指しで批判されたアキヤ・ラシドに代えて、ファイザル・ハリムを起用したオン監督でしたが、それでも途中出場したアキヤ選手もゴールを決め、チームは4点をとり快勝し、最終線維望みをつなぎました。

第4戦:12月4日
マレーシア1-3カンボジア
得点者:マレーシア-クェンティン・チャン(89分)、カンボジア-イン・ソダヴィド(56分)、シエン・チャンテア(57分)、ケオ・ソクペン(68分)
 東ティモール戦の勝利でわずかながら準決勝進出の可能性が残ったマレーシアは、このカンボジア戦に勝ち、この次の試合でフィリピンが東ティモールに負けるか引き分けならば準決勝進出が確定、またフィリピンが勝っても僅差の勝利であればやはり準決勝へ進出できる状況でした。
 しかし試合はカンボジアが一方的な勝利で準決勝を進出を決め、マレーシアは2015年大会以来のグループステージ敗退となりました。

 今回のグループステージ敗戦によってこの大会に臨むマレーシアの姿勢に疑問が残りました。グループステージで戦った主力選手のうち、シャミ・サファリ、アダム・ノー・アズリン、ドミニク・タン、シャマー・クティ、アキヤ・ラシド、ダニアル・アミールの6名はフル代表にも招集されており、U22代表合流は大会のわずか1週間前でした。オン監督は大会前の準備期間が好成績を残した昨年2018年のAFC U23選手権(ベスト8進出)、アジア競技大会(ベスト16進出)と比べると明らかに短かったことを挙げ、FAMにはこのような大会の準備にはより多くの時間を変えるべきとの提言を行っている他、東南アジア地域内にはいつでも勝てる相手はもう存在していない、ということを認識するべきとも話しています。
 今回は残念な結果に終わりましたが、この大会に勝ってもアジアや世界につながるわけではないので、フル代表の資格がある選手も含めたとにかくベストの布陣をひくのではなく、今回の17歳コンビの起用のような将来につながるようなチーム編成を考えるべきではないでしょうか。今大会でも19歳のハディ選手と17歳コンビを使い続けたように、オン監督には育てながら勝つ、という最も大変な役割が与えられていましたが、その信念を貫き続けた姿勢はもっと評価されて良いのではないかともいます。

12月11日のニュース:シーゲームズ-ベトナムがインドネシアを下して金メダル獲得、ミャンマーがカンボジアを下し銅メダル獲得、2020年ACL組み合わせ決定-JDTは日中韓のクラブと対戦、クダFAのプレーオフ対戦相手も決定

シーゲームズ-ベトナムがインドネシアを下して金メダル獲得
 第30回東南アジア競技大会通称シーゲームズのサッカー男子決勝がマニラのリザルメモリアルスタジアムで行われ、ベトナムがドゥオン・バン・ハオ(オランダ1部SCヘーレンフェーン)の2ゴールを含む3-0でインドネシアを下して金メダルを獲得しています。ベトナムは南ベトナム(ベトナム共和国)として優勝した東南ジア大会の前身となる第1回東南アジア半島大会1959年大会以来、60年ぶり2度目の優勝です。この優勝の後は、5度決勝に進出しながらいずれも準優勝に終わっていました。また今回のシーゲームズではサッカー女子もベトナムが有用しており、男女そろっての優勝となりました。
 試合は戦前の予想通りベトナムが優位に進め、試合中にはフル代表監督と兼任のベトナムのパク・ハンソ監督が主審に抗議しレッドカードで退場となる場面もありましたが、試合終了後はピッチに戻り胴上げされたとAFP通信が伝えています。
 今回の大会は、マレーシアで開催された前回2017年大会決勝に進出したタイ、マレーシアの両チームがいずれもグループステージで敗退する一方で、カンボジアが初めて準決勝に進出するなど、各チームの戦力が拮抗していることを印象付ける大会でした。その中で、ベトナムがFIFAワールドカップ予選でUAEやタイを抑えて予選グループトップに立つフル代表だけでなく、このU22世代でも東南アジアをリードする存在であることを知らしめた大会と言えるでしょう。
<東南アジア競技大会2019年大会決勝>
ベトナム3-0インドネシア
得点者:ベトナム-ドゥオン・バン・ハオ2(39分、73分)、ド・フン・ドゥン(59分)
(写真は胴上げされるパク監督と先制ゴールを決めたドゥオン選手-東南アジアサッカー協会AFFのホームページより)

シーゲームズ-ミャンマーがカンボジアを下し銅メダル獲得
 決勝の前に行われた3位決定戦では、ミャンマーがカンボジアをPK戦で下し、サッカー男子では2大会ぶりのメダルを獲得しています。今大会、予選グループではフィリピンと引き分け、マレーシアを破るなど上位チーム相手に旋風を巻き起こしたカンボジアでしたが、メダル獲得はなりませんでした。
 フルタイムを2−2で終えた両チームはPK戦に突入し、先攻のミャンマーは5人全員がPKを決め、後攻のカンボジアも4人がゴールしましたが、5番目のキッカーとなった主将のケオ・ソクペンがシュートをゴールポストに当てて外し、PK戦5-4でミャンマーが銅メダルを獲得しています。
<東南アジア競技大会2019年大会3位決定戦>
ミャンマー2-2カンボジア(PK戦ミャンマー5-4カンボジア)
得点者:ミャンマー-アウン・カウン・マン(9分)、ミヤッ・カウン・カン(35分)、カンボジア-シエン・チャンテア(1分)、ケオ・ソクペン(71分)

2020年ACL組み合わせ決定-JDTは日中韓のクラブと対戦
 アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグの組み合わせが決定し、今季2019年に続き本戦から出場するマレーシアフットボールリーグMFLチャンピオンのJDTは予選グループGに入り、日本、中国、韓国のクラブとの対戦が決定しました。
 同組となったのは、今季2019年ACL準決勝で浦和に敗れたファビオ・カンナバーロ監督率いる今季中国スーパーリーグチャンピオンの広州恒大淘宝、今季Kリーグ8位ながら韓国FAカップチャンピオンの水原三星ブルーウィングス、そして日本からは天皇杯優勝チームがこの組に加わります。
 今季初めてACL本選から出場となったJDTは、山東魯能(中国)、慶南FC(韓国)、鹿島アントラーズと同組となり、1勝1分4敗得点4失点8という成績でした。鹿島相手に1勝を挙げるなど初出場チームとしては結果を残しましたが、来季はそれぞれ過去ACL2度の優勝経験を誇る広州恒大(2013年と2015年のチャンピオン)、水原三星(2001年と2002年のチャンピオン)と同組となり、今季よりも厳しい組に入っています。
(来季2020年ACLの試合日程-JDTのFacebookより)

2020年ACL組み合わせ決定-クダFAのプレーオフ対戦相手も決定
 またマレーシアFAカップ優勝チームのクダFAは、ACL予備予選2回戦から登場しますが、1月21日にはホームのダルル・アマンスタジアムで今季香港リーグチャンピオンの大埔足球会と対戦し、この試合に勝てば1月28日に本戦出場をかけたプレーオフで今季Kリーグ3位のFCソウルと敵地で対戦します。そしてこの試合に勝つと本戦グループEに入ることができます。
(本戦までの道のり-クダFAのFacebookページより)

12月10日のニュース:シーゲームズ関連-決勝はインドネシア対ベトナム、マレーシアはグループステージ敗退、FAMはオン監督との契約を延長せず

東南アジア競技大会通称シーゲームズのサッカー男子では各国のU22代表(2名のオーバーエイジを含む)が対戦しますが、11月25日に開幕したこの大会は、本日12月10日の決勝と3位決定戦を残すのみとなりました。そこで今回はこのシーゲームズ関連の話題をまとめました。

決勝はインドネシア対ベトナム
 U22代表の東南アジアチャンピオンを決める決勝に進出したのは予選グループBを1位で通過したベトナムと同組2位のインドネシアです。準決勝では、ベトナムはFWハー・ジューク・チンのハットトリックを含む4-0(東南アジアサッカー連盟AFFによる試合の詳細はこちら)でグループA2位のカンボジアを一蹴、一方のインドネシアはグループA首位突破のミャンマーを延長の末4-2(AFFによる試合の詳細はこちら)と破り、それぞれ決勝進出を決めています。なお、この両者はグループステージで対戦し、ベトナムが2-1とインドネシアに勝利(AFFによる試合の詳細はこちら)しています。またベトナムとインドネシアに敗れたカンボジアとミャンマーは銅メダルをかけて3位決定戦を戦います。

マレーシアはグループステージ敗退
 シーゲームズの予選グループが発表になり、ベトナム、タイ、インドネシアなど強豪国とは別の予選グループAに入ったことで、国内サッカーファンの間では、マレーシアの準決勝進出に期待が高まっていました。
 大会前にはU22代表を率いるオン・キムスイ監督が、マレーシアフットボールリーグMFLで2年連続の最優秀選手に選ばれたサファウィ・ラシド(JDT)を招集しないことを発表、またアメリカ生まれでプロリーグMLSでのプレー経験もあるワン・クザイン(スポーティング・カンザスシティII)も代表候補合宿に参加しながら、書類上の問題で最終メンバーに選ばれないなどの不安要素がありましたが、それを補って余りあるタレント軍団という前評判で、マレーシアはシーゲームズに臨みました。
 しかし蓋を開けてみればグループステージ敗退、しかもグループ最下位の東ティモール相手に挙げた1勝のみの1勝1分2敗(勝点4)と期待を大きく裏切る結果になってしまいました。4試合で得点6、失点5、得失差+1の成績も、東ティモール戦での4-0の勝利を除けば、3試合で得点2、失点5、得失差-3となり、惨敗と言っても良い結果です。

FAMはオン監督との契約を延長せず
 マレーシアU22代表のグループステージ敗退が決まった翌日、マレーシアサッカー協会FAMは、12月末に切れるU22代表のオン監督との契約を更新しないことを発表しています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガムCEOは、当面はU22/U23代表の公式行事が残っていないことから契約を更新しないとしていますが、今回のシーゲームズ予選グループ敗退の結果に基づく決定でしょう。またラマリンガムCEOは、オン監督の後任についてはこれから検討するとも話しています。
 2009年に当時はハリマウ・ムダと呼ばれたU22/U23代表の監督に就任したオン監督は、2011年インドネシアで開催されたシーゲームズで金メダルを獲得した他、2018年にはベトナムで開催されたアジアサッカー連盟AFC U23選手権でベスト8、インドネシアのジャカルタで開催されたアジア競技大会ではベスト16と好成績を収めています。しかし今年2019年は、3月にクアラルンプールで開催されたAFC U23選手権2020年大会の予選で敗退、そして今回のシーゲームズでのグループステージ敗退と受難の年でした。
 今後についてオン監督は、まずは家族とゆっくり過ごす時間を撮りたいとしていますが。来季MFL1部昇格となるサバFAの監督候補という噂もあります。

11月28日と29日のニュース:ブレンダン・ガンとロナウドがペラTBG退団を発表、サバFAの監督候補にインドネシアのレジェンドが浮上、トレンガヌFCが新外国籍選手獲得発表、シーゲームズでU22代表はフィリピンに敗れる

ブレンダン・ガンはペラTBG退団を発表
 スランゴールFA移籍の噂が出ていたブレンダン・ガンが、自身のインスタグラムでペラTBG退団を発表しています。
 ペラTBGを統括するペラ州サッカー協会PAFAと来季の契約についての合意ができなかったことを退団の理由に挙げていますが、チームメートやサポーターへの感謝の気持ちを述べ、メフメト・ドゥラコヴィッチ監督やスタッフ、フロントへも賛辞を送っています。
 ガン選手は2012年にサバFAで外国籍選手としてプレーした後、オーストラリア生まれながらマレーシア人の父親を持つことから2014年から在籍したケランタンFAでは、マレーシアパスポートを取得しマレーシア人として登録されました。しかし2015年シーズン開幕戦で右前十字靭帯断裂し、このシーズンを棒に振り、2016年9月には左前十字靭帯を断裂し2017年シーズンはケランタンFAが契約を解除するなど、10ヶ月も戦列を離れることになりました。
 その後2018年にはペラTBGと契約し、リーグ戦では2位に、またクラブとしては18年ぶりとなるマレーシアカップ優勝に貢献するなど、今やペラTBGだけでなくフル代表でも欠かせない選手となっています。
 現時点では移籍先のクラブを明かしていませんが、スランゴールFA移籍が有力であると噂されています。

ロナウドもペラTBG退団を発表
 上記のブレンダン・ガンに加えて、通算で90試合近い出場数を誇ったモハマド・ナシル・バシャルディンがトレンガヌFCへ移籍など主力選手の流出が続くペラTBGは、ロナウドことロナウド・エンリケ・シウヴァもインスタグラムで自身の’退団を発表しています。
 今季2019年の2度目のトランスファーウィンドウ期間中に加入したロナウド選手は21試合に出場し12ゴールを挙げています。
 移籍先はマレーシア国内ではなく母国ブラジルのクラブということです。

サバFAの監督候補にインドネシアのレジェンドが浮上
 今季MFL2部で優勝し、来季はMFL1部でプレーするサバFAの監督候補にインドネシアのレジェンドが候補に上がっていると、マレーシア語のサッカー専門サイトボケットFCが報じています。
 候補に上がっているのは代表として59試合に出場し、33ゴールをあげているクルニアワン・ドゥイ・ユリアントです。昨年はフル代表のアシスタントコーチを、現在は東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場しているインドネシアU22代表のアシスタントコーチを務めていますが、2005年にはサラワクFAでプレーし29ゴールを挙げています。
 サバFAを今季MFL2部優勝に導いたジュリアス・アティン監督は、MFL1部監督の要件となるアジアサッカー連盟AFCのプロ指導者資格を保持していないことから、サバFAはアティン監督を来季はアシスタントコーチとし、新監督を探しています。

トレンガヌFCが新外国籍選手獲得発表
 攻撃陣の主力チェチェ・キプレがクダFAに移籍したトレンガヌFCは、モーリタニア出身のFWドミニク・ダ・シルヴァと契約したと、ボケットFCが報じています。
 30歳のドミニク選手は2017/2018年シーズンはベトナムリーグのホーチミンシティFCで、2018/2019年シーズンはサイゴンFCでプレーしていますが、エジプト、チュニジア、アラブ首長国連邦、キプロスなどでもプレー経験があります。

シーゲームズでU22代表はフィリピンに敗れる
 マニラで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーに出場中のマレーシアU22代表は開催国フィリピンと対戦し、0-1と敗れ、通算成績を0勝1分1敗としています。
 この結果、マレーシアは、首位ミャンマー(2勝1分0敗)、2位カンボジア(1勝1分1敗)、3位フィリピン(1勝1分1敗、順位は得失差によります)に続く4位(0勝1分1敗)となり、最下位は東ティモール(0勝0分2敗)となっています。
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 大会前はベトナム、タイ、インドネシアがひしめくグループAとならなかったことで準決勝進出を心配する声は上がりませんでしたが、ここに来てグループステージ敗退の可能性も出てきたマレーシア。各チームとも成績が橘高しているだけに、残りの東ティモール戦、カンボジア戦とも勝利は当然ですが、得失差を考えると大量得点で勝つことが必要です。

11月28日のニュース:クダFAが来季の布陣を発表、マラッカUも新たな外国籍選手2名の加入を発表、最新FIFAランキングでマレーシアは154位に上昇

クダFAが来季の布陣を発表
 今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL4位、FAカップ優勝、マレーシアカップ準優勝と好成績を収めたクダFAはFacebookで来季の布陣を発表しています。
 今季のメンバーからは主将のMFバドロル・バクティアル、GKイフワット・アクマル・チェ・カシム、MFファルハン・ロスラン、DFリザル・ガザリや、DFレナン・アウヴェス(ブラジル)、シャキール・ハムザ(シンガポール)など主力選手が残る一方で、昨日の記事で取り上げたMFイルファン・ザカリア(今季の所属はKLFA)や、今季はフル代表にも招集されたハディン・アズマン(同フェルダ・ユナイテッド)、U19やU22代表でのプレー経験もあるFWジャフリ・フィルダウス・チュー(PKNS FC)、また以前このブログでも取り上げたの他、今季のリーグ得点王FWクパー・シャーマン(同PKNS FC)、昨季のリーグ得点2位FWチェチェ・キプレ(同トレンガヌFC)とMFLでの経験豊富な二人の協力FWを獲得しています。また東京生まれのマレーシア人MFタム・シイアンツンの獲得も発表されています。
 この他、外国籍枠(アジア人枠)が空席のため、現在日本滞在中のアイディル・シャリン監督が日本人を連れてくる可能性もあり、クダFAの補強はまだまだ続きます。
 さらに来季のスポンサーにかつてはFCバルセロナ、現在はASローマなどの「胸スポンサー」となっているカタール航空とスポンサー契約の話し合いが進んでいるようで、現在、クダ州サッカー協会の会長でもあるムクリズ・マハティール クダ州知事(マハティール・モハマド首相の息子)がカタールのドーハで会談中とのこと。強力なスポンサーを獲得できれば、さらに補強も進みそうです。
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 今季2019年のFAカップ優勝チームとして、クダFAは来季2020年アジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグACLの予選への出場権を得ています。初戦となる二次予選は香港リーグのチャンピオン大埔足球会(タイ・ポFC)との対戦ですが、これに勝っても最終予選では中国、韓国、日本といったアジアの強豪のクラブと本戦入りをかけて戦うことになります。新布陣発表の記者会見の席上で、クダFAを統括するクダ州サッカー協会のアナス・ハフィズ・ムスタファ副会長はサポーターに対してこのACL予選を真剣に考えており、予選出場に満足するつもりはないと述べていますが、来季のクダFAはその言葉を信じて良いと思わせるくらい期待できるメンバーを揃えており、ACLだけでなく、国内リーグでも打倒JDTの一番手となりそうです。

マラッカUも新たな外国籍選手2名の加入を発表
 MFL1部のマラッカ・ユナイテッドを統括するマラッカ州サッカー協会MUSAは、今季2019年はMFL2部のPDRM FCでプレーしたナイジェリア出身のFWウチェ・アグバとジャマイカ代表でブレー経験のあるFWデショーン・ブラウンの加入をFacebookで告知しています。
 33歳のアグバ選手は今季の2度目のトランスファーウィンドウ期間にPDRM FCに加入し、PDRM FCのMFL2部3位という成績達成に貢献し、この結果、PDRM FCはMFL1部昇格を果たしています。
 一方、28歳のブラウン選手は、アメリカのメジャーリーグサッカーMLSのラピッド・コロラドやDCユナイテッドでもプレーし、今季はMLSの実質的な2部リーグにあたるユナイテッドサッカーリーグUSLのオクラホマシティエナジーに在籍しました。
 マラッカ・ユナイテッドは、韓国出身のDFチャン・ソクウォンが残留する他、スランゴールFAのBチーム化が決まったPKNS FCからMFロメル・モラレスが加入しており、アグバ選手とブラウン選手の加入で外国籍枠5つのうち4つが埋まりましたが、MUSAのダミアン・ヨー・シェンリー会長は、今季は外国籍選手のアセアン枠については選手の獲得を考えておらず、若手に出場機会を与えたいと話しており、外国籍選手の補強については、これで終了のようです。

最新FIFAランキングでマレーシアは154位に上昇
 最新となる11月のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回より4つランクを上げて154位となっています。
 2019年の試合が終了したFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアと同じグループGの各国は、予選1位のベトナムが3つランクを上げて94位、マレーシアに続く予選3位のタイが4つランクを下げて113位、予選4位のアラブ首長国連邦UAEがやはり4つランクを下げて71位、予選5位のインドネシアは2つランクを下げて173位となっています。
 他の東南アジアの国々では、フィリピンが2ランク上げて124位、ミャンマーが11ランク上がって136位、シンガポールが2ランクを上げて157位、カンボジアは1ランク下げてインドネシアと並び173位、、ラオスは変わらず188位、ブルネイも変わらず191位、東ティモールは2ランク上げて196位となっています。その他の国のランキングはこちらです。


11月27日のニュース:FAMはMFL各クラブに今季の未払い給料問題に関する申告を義務づけ、ブキ・ジャリル管理会社はインドネシア戦の施設破壊の賠償をFAMに請求、イルファン・ザカリアはシーゲームズに集中

FAMはMFL各クラブに今季の未払い給料問題に関する申告を義務づけ
 マレーシアサッカー協会FAMは、2020年にマレーシアフットボールリーグMFLに参加する全てのクラブに対して、現在抱えている未払い給料とそれをどのように解消するかの計画の申告を12月15日に行うことを義務付けたと発表しています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、今季発生した未払い給料や、日本の年金に当たる授業員積立基金EPF、所得税なども含めた負債を来季まで持ち越させないための措置であると述べ、未払い給料や負債を抱えるクラブを罰することが目的ではなく、各クラブがそういった金銭面の問題を抱え込まず、解決するためが目的であるとしています。
 「未払い給料の完済と負債の解消は各クラブがその責任を負うものであり、今季中に全てを解決し、来季に持ち越さないことを宣誓すること、また全ての未払い給料や負債を隠さず、明らかにすることを求め、それが守られない場合には、すでに各クラブが取得している来季のクラブライセンスをFAMが無効にする措置を取ることもありうる。」とマレーシアの通信社ベルナマにラマリンガム事務局長は述べています。
 また選手に対しては、今季の未払い給料が完済されない場合には、FAMに申し立てを行うことを求めており。そういった申し立てを受けた場合、FAMがクラブに対して指導を行うとしています。
 給料未払い問題では、MFL2部のケランタンFAが2017年にテクニカルダイレクターTDとして契約したウルグアイ出身のアルフレド・カルロス・ゴンザレスに対する未払い給料23万5686リンギ(およそ620万円)を指示された期間内に完済しなかったことから、FIFAの裁定により今季のMFLで勝点3を剥奪されています。

ブキ・ジャリル管理会社はインドネシア戦の施設破壊の賠償をFAMに請求
 ブキ・ジャリル国立競技場を管理するマレーシアスタジアム社は、11月19日に行われたFIFAワールドカップ2022大会アジア二次予選のインドネシア戦で、インドネシアサポーターによって破壊されたスタンドの座席の補修費用として1万1000リンギ(およそ29万円)をこの試合の主催者であるFAMに請求すると、ベルナマが伝えています。
 マレーシアスタジアム社のニック・ラジーン・アダム・ダウドCEOは、この賠償額は破壊された44席の補修費用であると発表しています。

イルファン・ザカリアはシーゲームズに集中
 先日新たにクアラルンプールサッカー協会会長に就任したカリド・アブドゥル・サマド会長は、統括するMFL2部のクアラルンプール(KL)FAを2021年シーズンには再びMFL1部に昇格させるとして、大幅な選手入れ替えを示唆、今季2019年在籍選手中18名が来季はKLFAでプレーしないことが発表になっています。
 現在、フィリピンで開催中の東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場中のマレーシアU22代表にオーバーエイジ枠で参加しているイルファン・ザカリアも、KLFAが来季契約を結ばない選手の一人ですが、イルファン選手はマレーシアの通信社ベルナマの取材に対して、自分の所属先を考える前に今はシーゲームズに集中し、優勝を目指したいと語っています。
 2016年からKLFAでプレーするイルファン選手については、ベルナマの記事ではKLFAからは来季へ向けて契約更新の打診があったようですが、イルファン選手は退団を選び、来季の所属先については急いで決めるつもりはないとしています。
 退団決定後から複数のクラブが獲得に動いているとされますが、U22代表のオン・キムスイ監督は、シーゲームズに集中させるため、MFL各クラブには大会終了までは接触を控えて欲しいとベルナマの取材に答えています。

11月26日のニュース:シーゲームズ開幕戦でマレーシアはミャンマーと引き分け、KLFA新会長-プレミアリーグは来季のみ、パハンFA監督は来季はUITM FCで監督か

シーゲームズ開幕戦でマレーシアはミャンマーと引き分け
 今回で第30回となる東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーがフィリピンのマニラで開幕し、初戦でミャンマーと対戦したマレーシアは1-1の引き分けでスタートしています。
 この日のマレーシアは、オーバーエイジ枠のアダム・ノー・アズリン(JDT)とイルファン・ザカリア(クアラルンプールFA)の二人を最終ラインに配置する一方、17歳のルクマン・ハキム・シャムスディンとムハマド・ウマル・ハキーム・スハル(いずれもモクタル・ダハリ・アカデミー)を先発メンバーで起用する思い切った布陣で試合に臨みました。

 2016年にはケランタンFAでの監督経験もあるヴェリザール・ポポフ監督率いるミャンマーとの試合は、13分に主将ライン・ボー・ボーのコーナーキックにソー・モー・チョウが頭で合わせてミャンマーが先制しましたが、マレーシアも24分に相手DFからボールを奪ったアキヤ・ラシド(JDT)があげたセンタリングをハデイ・ファイヤッド(ファジアーノ岡山)がヘディングでゴールへ叩き込み同点とします。
 その後もハディ選手のヘディングがゴールポストに阻まれるなどチャンスをものにできなかったマレーシアは追加点を奪えず、試合は1-1のまま終了しています。なお17歳コンビはルクマン選手がファイサル・ハリムと、ウマル選手はディネシュ・ラジャシンガム(いずれもパハンFA)と途中交代しています。
 マレーシアの次戦の相手は、この日、カンボジアとやはり0-0で引き分けた開催国フィリピン戦で、11月29日に行われます。
(写真は両チームのスターティングXI。FAMのFacebookより)

KLFA新会長-プレミアリーグは来季のみ
 クアラルンプール(KL)FAを統括する連邦直轄区クアラルンプールサッカー協会の会長選挙が行われ、唯一の立候補者であったカリド・アブドゥル・サマド連邦直轄区大臣が無投票で当選し、新たな会長に就任しています。
 会長就任あいさつでカリド会長は2021年シーズンには、今季2019年はマレーシアフットボールリーグMFL1部で最下位の12位となり、来季2020年は2部でプレーするKLFAを2021年シーズンには再びMFL1部でプレーさせる決意を表明しています。しかも2021年にはMFL1部の上位4チーム入りを目指すとも述べています。
 長らく低迷しているKLFAは昨季2018年にMFL1部に昇格するも7勝3分12敗(勝点24)の10位で1部残留を果たしましたが、今季は4勝2分16敗(勝点14)と最下位に沈みました。
 クラブは若手中心のメンバーに切り替えている方針も示したカリド会長ですが、その一方でKLFAは主力選手を含む大量の退団者を発表しています。ギリェルメ・デ・パウラ、ダルコ・マルコヴィッチ、ルーク・ウッドランド、ノ・ヘンソクら外国籍選手や現在、シーゲームズにオーバーエイジ枠で出場中のイルファン・ザカリア、アシュリ・チュチュなど大量18名が退団します。
 その一方でインドラ・プトラ・マハユディンやパウロ・ホスエなどの選手は、KLFAのTwitterにアップされた退団者への感謝を伝えるメッセージが添付された写真にその姿がないことから、残留の可能性もあります。さらには今季は2度も交代が起こった監督のポストも現在空席で、来季MFL2部で入れ替え戦出場権が得られる2位以内に入るための人選が重要な鍵を握りそうです。
(写真はKLFAのTwitterに掲載された退団選手への感謝のメッセージ)

パハンFA監督は来季はUITM FCで監督か 
 今季MFL1部で2位となったパハンFAのドラー・サレー監督が、来季MFL1部に昇格するUITM FC監督に就任するのでは、という噂が出ているとスポーツ専門サイトスタジアムアストロが報じています。
 この噂は現在、シンガポールU22代表の監督として東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場中のシンガポールのレジェンド、ファンディ・アーマド監督が来季のパハンFAの監督就任の噂が発端になっています。さらには今季MFL2部でUITM FCを率いたイスマイル・ザカリア監督が、MFL1部の監督となるために必要なアジアサッカー連盟AFCの資格を保持していないことでさらに信憑性を帯びています。
 しかしUITM FCのムスタファ・アーマドGMは、ドラー監督はクラブにとって監督として雇用するには「偉大すぎる」とこの噂を否定しています。
 ムスタファGMは、クラブをMFL1部昇格のレベルまで引き上げたイスマイル監督の手腕を評価しており、来季も指揮を取ってもらうことを期待しているものの、資格要件を満たしていない点についてはMFLの判断に従うとしています。

11月25日のニュース:クチンFAがMFL2部昇格、シーゲームズ前日会見で各コーチから不満続出、アムリ・ヤハヤ退団は監督との確執が原因

クチンFAがMFL2部昇格
 マレーシアフットボールリーグMFL2部11位のサラワクFAとMFL3部にあたるM3リーグ2位のクチンFAとの間で来季2部の座をかけて争われたプレーオフが、サラワクFAとクチンFAがともにホームとするサラワクスタジアムでおよそ5000人の観衆を集めて行われ、クチンFAがサラワクFAを3ー1で破り、MFL2部昇格を決めています。
 マレーシアの通信社ベルナマによると、サラワク州の州都クチンを本拠とするクチンFAがサラワク州サッカー協会が統括するサラワクFAを相手に、8分にはサハラン・アブドル・サマドのヘディングで先制します。52分にはサラワクFAのブラジル出身FWハドソン・ディアスのゴールで同点としますが、77分にはモハマド・ザイヌディン・ボハリ、85分には代表経験もあるジョセフ・カラン・ティがそれぞれゴールを挙げ、クチンFAがサラワクFAを突き放し、そのまま勝利しています。
 クチンFAには鈴木裕太選手が在籍しており、この試合でもスタメンでフル出場しています。

シーゲームズ前日会見で各コーチから不満続出
 本日11月25日に開幕する東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーは、各チームのコーチによる前日会見が行われましたが、試合開始前から様々な問題が起こっているとベルナマが伝えています。
 この日の前日会見では、フル代表でも監督を務めるベトナムU22代表のパク・ハンソ監督は、会見が予定されていた時間通りに始まらないことで不快感を表していましたが、その原因はやはりフル代表とU22代表の両方で監督を務めるタイの西野朗監督の遅刻にありました。予選グループBの6チームの中で最後に登場した西野監督は、4分ほどの遅刻を詫びながらも主催者から伝えられていた会見の時間が違っており、チームと行動していたための遅刻であると平然としていたとベルナマは伝えています。
 この二人はおよそ1週間前にFIFAワールドカップ予選で対戦し、0ー0で引き分けたばかり。しかも試合後には西野監督がベトナムの選手を「アンプロフェッショナル」と非難した一方で、ベトナムサッカー協会はタイ代表のササ・ヴェスナ・トディックアシスタントコーチがパク監督の体躯について「アンプロフェッショナル」なジェスチャーをしたことでAFCに提訴しています。(なおgoal. comでは、この席上で西野監督がパク監督にササ・トディックコーチの非礼を謝罪したともほうどうされています)。会見ではこの二人の間にインドネシアU22代表のインドラ・シャフリ監督が座っていたことで二人が直接、接触することはなかったということです。
 また、西野監督はシーゲームズ主催者に対して練習会場まで移動に2時間かかったこと、実際の試合会場は人工芝にもかかわらず用意された練習場は天然芝だったこと、また宿舎で出されている食事にも注文をつけたようです。
 今回のシーゲームズでは、マニラ入りした東ティモール代表やカンボジア代表が空港で8時間以上も待たされる、宿泊先でないホテルへ連れて行かれるなど、ロジスティック面での問題がすでに起こっており、ミャンマーやタイなども主催者側に不満を述べる事態となっています。

アムリ・ヤハヤ退団は監督との確執が原因
 スランゴールFAを退団するアムリ・ヤハヤは、バースカラン・サティアナタン監督の確執が原因で退団するようだとスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが伝えています。
 スタジアムアストロとのインタビューでは、サティアナタン監督の選手起用方が原因での退団と明言した上で、アムリ選手は来季の所属先を明らかにしなかったものの、スランゴールFAでは来季、自分がプレーするチームに勝つことはできないだろうと挑発的なコメントを残しています。
 アムリ選手の退団については、サティアナタン監督は自らの関与を否定し、アムリ選手自身意思によるものとしていますが、アムリ選手がより多くの出場機会を望む一方、サティアナタン監督は来季はアムリ選手をスランゴールFAのBチームでの起用を示唆するなど亀裂が深まっていました。
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 サティアナタン監督はこの報道の後、アムリ選手がマレーシアカップ準決勝のJDT戦での交代後、試合終了前に帰宅し、試合後のミーティングに参加しなかった件などを挙げ、チームの規律を乱す選手であることも暗示し、本人が残りたくないのであれば慰留はしないと話するなど、来季に向けて遺恨が残る事態になっています。
 マレーシアのスポーツ界では、今回のアムリ選手の様に自分が監督、コーチよりも上にいるかのような発言、行動をする選手の話を聞くことは少なくありません。実際にスーパースターであったり、フロントの子飼いの選手であったりと理由は様々ですが、今回アムリ選手が相手にしたのは絶対に選手を甘やかさないことで定評があるサティアナタン監督でしたので、いわゆる意地の張り合いの結果、当然ながら監督が一選手に勝利したという図式かと思われます。

11月24日のニュース:U22代表メンバー発表-ワン・クザインは含まれず、ブレンダン・ガンはスランゴールFAへ移籍か、スランゴールFA監督-アムリ・ヤハヤの退団は本人の意思、サフィク・ラヒムは来季もマラッカUでプレー

U22代表メンバー発表-ワン・クザインは含まれず
 今月11月25日からフィリピンのマニラで開幕する東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場するU22代表の最終メンバーがマレーシアサッカー協会のホームページで発表になっています。全員の選手名簿はこちらです。
 今回発表されたU22代表には、マレーシアで開催された前回2017年大会のチームからは7名が残っている一方で、今月初旬にカンボジアで行われたAFC U19選手権予選を全勝で勝ち抜けて本戦出場を獲得したU19代表からも3名が選ばれるなど、経験者と若手の融合したメンバー構成になっています。
 前回大会経験者は、GKハジック・ナズリ、MFシャマー・クティ・アッバ、FWアキヤ・ラシド、DFアダム・ノー・アズリン(以上JDT)、MFダニアル・アミル・ノーヒシャム(フェルダ・ユナイテッド)、DFイルファン・ザカリア(クアラルンプールFA)で、この内23歳のアダム・ノー・アズリンと24歳のイルファン・ザカリアはオーバーエイジ枠として出場します。
 またU19代表からはFWルクマン・ハキム・シャムスディンは、DFハリス・ハイカル・アダム・アフカル、FWムハマド・ウマル・ハキーム・スハルが初代表入りしています。
 この他、アメリカ生まれながらマレーシア人両親を持ち、メジャーリーグサッカーMLSでもプレー経験のあるワン・クザイン・ワン・カマルは、選手登録期限までに必要書類が揃わなかったということで、最終メンバーには残りませんでした。
 シーゲームズのサッカーは他の競技に先駆けて11月25日に開幕し、予選グループAに入ったマレーシアはミャンマー(11月25日)、フィリピン(11月29日)、東ティモール(12月2日)、カンボジア(12月4日)の順でグループステージを戦い、前回優勝のタイなどが入ったグループBの上位2チームとともに12月7日の準決勝、さらに12月10日の決勝と3位決定戦に進みます。

ブレンダン・ガンはスランゴールFAへ移籍か
 ワールドカップ予選タイ戦ではマンオブザマッチに選ばれるなど、フル代表でも主力選手の一人であるブレンダン・ガン(ペラTBG)にスランゴールFA移籍の噂が出ていると、スポーツ専門サイトフォックススポーツが伝えています。
 フォックスポーツの取材に対して、ガン選手はスランゴールFA移籍についての話し合いが進行中であることを認める一方で、ペラTBGには思い入れもあるとして、来季2020年のMFLでプレーするクラブを決めるにはもう少し時間が必要であると答えています。また、ガン選手はスランゴールFA以外にも複数のクラブが接触していること、自身の中にもプレーを希望するクラブがあることも認めた上で、結論が出たら速やかに報告したいと語っています。
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 オーストラリア生まれながら、マレーシア人の父親を持つガン選手は、サバFA、ケランタンFAでもプレー経験があり、昨季2018年からペラTBGでプレーし、昨季はマレーシアカップ優勝に貢献しています。パハンFAやクダFAもガン選手獲得に興味を持っているという噂もあり、スランゴールFAを含めた争奪戦に勝ったクラブは来季2020年は打倒JDTに一番手になる可能性が高くなります。

スランゴールFA監督-アムリ・ヤハヤの退団は本人の意思
 このブログでも取り上げたアムリ・ヤハヤのスランゴールFA退団について、契約を1年残しての退団となったことから、スランゴールFAの一部サポーターからは、アムリ選手退団の原因と槍玉に挙げられたバースカラン・サティアナタン監督が、退団はあくまでも本人の意思であると主張していると、スポーツ専門サイトスタジアムアストロが報じています。
 サティアナタン監督は、アムリ選手がチームに残るか否かの決定権は自分にはないと前置きした上で、「来季2020年はスランゴール州サッカー協会FASは(スランゴールFAとスランゴールFAのBチームとなることが決定したPKNS FCの)2つのクラブを持つが、FASはアムリ選手にはPKNS FCで若い選手を導く役割を期待していた」と述べています。
 MFLの規定では、各クラブのBチームは、Aチームと同じリーグでプレーすることができないため、もしアムリ選手がPKNS FCの登録となれば、MFL1部ではなくMFL2部でのプレーを余儀なくされることになり、それを嫌っての退団の可能性も考えられます。
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 スランゴールFAで400試合以上に出場し、100以上のゴールを挙げているアムリ選手は、いわばスランゴールFAのレジェンドの一人であり、スランゴールFAサポーターには「アムリ信者」も多いこと、また「モノ言う」指導者のサティアナタン監督に批判的なスランゴールFAサポーターも少なくないことが、このような批判につながった可能性があります。

サフィク・ラヒムは来季もマラッカUでプレー
 新たな外国籍選手やマレーシア人選手の移籍が次々と発表が報じられるマラッカ・ユナイテッドですが、フル代表では長年、主将も務めたサフィク・ラヒムが1年契約を新たに結んだことがチームのFacebookで告知されています。
 MFLで今季6位のマラッカ・ユナイテッドは、シーズン終盤のマレーシアカップ準々決勝第1戦を前に、主将のシュコール・アダンがマラッカ・ユナイテッドを統括するマラッカ州サッカー協会MUSAが過去2ヶ月間の給料を払っていないことをソーシャルメディア上で告発し、ベンチ入りどころか、スタンドにも姿を見せないという事態が起こり、準々決勝も2試合で1-6とパハンFAに大敗しています。
 サフィク選手は来季はチームのメンバーも大きく変わることが考えられるが、自分は全力を尽くしたいと抱負を述べる一方、MUSAのデミアン・ヨー・シェンリー新会長はシュコール・アダンの退団を受けて、サフィク選手がマラッカ・ユナイテッドの新キャプテンとなることも発表しています。

11月23日のニュース:MFLとラ・リーガが提携、放映権料分配は半額で終了か、ベルギーリーグから代表選手誕生か

MFLとラ・リーガが提携
 マレーシアフットボールリーグMFLはスペインのラ・リーガと提携したことをホームページで発表しています。
 ラ・リーガのビジネススクールの教育部門が、プロサッカー選手、マレーシアサッカー協会、MFL各クラブ及びフットボール関係者を対象として2020年よりスポーツ関連教育を担当しますが、具体的には3ヶ月ごとに様々なコースを開催し、手始めとして来年2020年3月27日から30日までの予定でスポーツマーケティングコースが開催することになっています。
 MFLのケヴィン・ラマリンガムCEOによると、MFL各クラブの特にフロントを中心に理論と実践両面から「プロとして意識と技術」つまりプロフェッショナリズムを植え付けることを目的にしており、この提携関係によって、MFLはフィールド上だけでなくフロントもサポートして、国内サッカーを一大産業として発展させたいとしています。
 ラ・リーガのビジネススクールは、スポーツ産業の人材育成とスポーツマネージメントの専門知識習得を目的に設立されたプログラムで、メキシコ、エジプト、コロンビア各国が既にこのプログラムを実践しているということです。
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 このブログで繰り返し取り上げている給料未払い問題は、雇用主としての各クラブのフロントにも問題があるのは明らかです。そのフロントを「教育」することで、プロリーグとして恥ずべき給料未払い問題を撲滅して欲しいですね。

放映権料分配は半額で終了か
 スポーツ専門サイトフォックススポーツは、MFL各クラブに分配される予定だった放映権料が当初の半額となりそうであると報じています。
 MFLは当初、各クラブに支給予定だった報奨金について、報償金ではなく放映権料であるとした上で、昨年2018年と同額のMFL1部スーパーリーグの各クラブに300万リンギ(およそ7800万円)、MFL2部プレミアリーグの各クラブには100万リンギ(およそ2600万円)の放映権料を分配するしていました。
 しかし、この放映権料の支払いはMFL開幕後も実施されず、結局7月に入ってスーパーリーグクラグには150万リンギ(およそ3900万円)、プレミアリーグクラブには50万リンギ(およそ1300万円)の「半額」が分配され、残り半分は8月に分配するとしていました。
 しかし8月に入ると、MFLは十分なスポンサーが確保できていないとして、その分配時期を11月に延期すると発表していました。そして11月も月末に近づく一方で各クラブに対してMFLからは何も説明のなく状況が続いていました。
 フォックススポーツの取材に対して、MFL取締役会のダト・ウィラ・ユソフ・マハディ取締役は「今季開幕前にMFL各クラブは放映権収入の75%を受け取ることで同意していたが、今季は放映権収入が全くなかったため、各クラブに分配する資金ない。しかしながら各クラブとの同意を尊重し、MFLは予定していた放映権料の半額については何とか調達したが、残りの半額について支払うための資金がないことから、残り半分の支給は実現しない可能性が高い。各クラブが残り半分の支給を求めていることは理解しているが、少なくとも現時点で至急の目処は立っていない。」と答えています。マレーシアサッカー協会FAM副会長でもあるユソフ氏にとっても、ない袖は触れぬといったところでしょうが、各クラブに給料未払い問題の是正を求めているMFLにとっても頭の痛い問題でしょう。
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 この問題は、MFLがマレーシアのテレコミュニケーション企業テレコム・マレーシア(TM)と結んだスポンサー契約が「突如」3月に打ち切られたことに端を発します。
 2018年1月に発表された8年間総額4億8000万マレーシアリンギ(およそ125億円)の大型スポンサー契約はマレーシアのスポーツ史上最大のものでしたが、1年ほどで頓挫。この契約ではTMがMFLとマレーシアカップの冠スポンサーとなり、全ての試合を放映することになっていました。この契約が打ち切られたことで、今季のMFLは財政的に非常に厳しい状況に置かれることになりました。

ベルギーリーグから代表選手誕生か
 ディオン・ヨハン・コールズは、現在はベルギー1部リーグの強豪クラブ・ブルッへでプレーするDFですが、現在23歳のディオン選手がマレーシア代表入りに関心を持っているのでは、と話題になっています。
 外国生まれながらマレーシア人の親を持ち、世界各地のマレーシア代表入り資格を持つ選手を取りあげているツイッターHarimau Abroadでは、このコールズ選手が自身のインスタグラムにマレーシア代表のユニフォームを着ている写真を意味深なメッセージとともに掲載していることを取り上げています。
 マレーシアのサラワク州クチン生まれで、母親がマレーシア人であることからマレーシア代表としてプレーする資格のあるコールズ選手については、現在のフル代表タン・チェンホー監督の前任者であるネロ・ヴィンガダ前監督が招集しようとしましたが、その際は実現しませんでした。
 各年代でも代表経験があり、UEFAチャンピオンズリーグでのプレー経験もあるものの、一度もフル代表招集がないコールズ選手がベルギー代表ではなく、マレーシア代表でプレーするのであれば、攻撃陣に比べ弱いとされる守備陣を持つマレーシア代表にとっては朗報です。しかも現在のフル代表のラヴェル・コービン=オング、マシュー・デイヴィーズ、ブレンダン・ガンといった外国生まれの選手に加われば、チーム力は明らかにアップします。
 単なる冷やかしなのか、それともマジか。今後の動向に注目です。
(写真はコールズ選手のインスタグラムに挙げられた写真)