MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(3):PJシティFC、トレンガヌFC

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで今回も、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第3回です。
(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

PJシティFC(ホーム:MBPJスタジアム-スランゴール州プタリンジャヤ)
(昨季結果:MFL1部8位 / 今季予想:8位)
<監督>
デヴァン・クップサミー(PJシティFC監督3季目)
<外国籍選手>
FWデンバ・カマラ(ギニア共和国、イスラエル1部リーグのハポエル・テルアビブFCより移籍)
MFキム・ボングジン(韓国、ベトナム1部リーグのホアンアイン・ザライFCより移籍)
FWワシントン・ブランドン(ブラジル、昨季から残留)
DFエリゼウ・アラウージョ・デ・メロ・バティスタ(ブラジル、昨季から残留)
<主力選手>
GKムハイミン・モハマド
MFラジェシュ・プルマル
FWサフィ・サリー
<クラブ概要>
 MFL1部では唯一の私企業が運営するクラブですが、運営企業のQNet社は連鎖販売取引(日本ではいわゆる「マルチ商法」と呼ばれる販売形態)で成長した企業です。2018年シーズンはMFL2部では3位でしたが、上位のクラブが給料未払い問題により解散したため、棚ぼた式に昨季初めてMFL1部に昇格したクラブです。その前身はMalaysia Indian Football Association, MIFA(インド系マレーシア人サッカー協会)だったことから、インド系マレーシア人の選手の割合が他のクラブに比べると高いのも特徴です。
 昨季の8位という成績は、初昇格のクラブとしては上出来だと思いますが、昨季終了後、主力のマレーシア人選手が大量に流出しており、メンバーが大きくかわていることから、選手間の連携に不安があります。シーズン開幕後も連携に問題があるようだと、昨日のブログで9位と予想したフェルダ・ユナイテッドと入れ替わって9位になる可能性もあります。ヌグリスンビランFAやスランゴールFAを率いてMFL1部優勝経験もあるデヴァン・クップサミー監督の手腕が問われるシーズンとも言えます。

トレンガヌFC(ホーム:スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム-トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
(昨季結果:MFL1部7位 / 今季予想:5位)
<監督>
モハマド・ナフジ・ザイン(トレンガヌFC監督2年目)
<外国籍選手>
MFファリス・ラムリ(シンガポール、シンガポールリーグのホウガン・ユナイテッドより移籍-ASEAN東南アジア枠)
FWドミニク・ダ・シルヴァ(アルゼンチン、ベトナム1部リーグのサイゴンFCより移籍)
DFババカル・ディアロ(セネガル、フィンランド1部リーグのクオピオン・パロセウラより移籍)
MFリー・タック(イングランド、在籍3年目)
MFサンジャル・シャアフメドフ(ウズベキスタン、昨季より残留)
<主力選手>
DFナスルラー・ハニフ
DFカマル・アジザ
MFファイズ・ナシル(スランゴールFCより移籍)
<クラブ概要>
 トレンガヌ州サッカー協会PBSNTFが運営するクラブ。昨季途中にイルファン・バクティ前監督が辞任し、コーチから昇格したナフジ・ザイン監督は、今季は「暫定」がとれて正式に監督になりました。
 今季はJDTの連覇に待ったをかけるクラブの一つと目されていますが、ここに来て昨季の給料未払い問題が浮上し、場合によってはMFLより勝点剥奪(はくだつ)処分を受ける可能性もでてきています。在籍する選手の中にも給料の受け取りが数ヶ月遅れている選手もいるという報道もあり、開幕前にこの問題が解決しないと、果たしてそういった選手たちがチームのためにプレーできるのかというモラル面に不安があります。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(2):サバFA、フェルダ・ユナイテッド

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで前回に続き、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第2回です。
(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

サバFA(ホーム:リカススタジアム-サバ州コタキナバル)
(昨季結果:MFL2部1位 / 今季予想:10位)
<監督>
クルニアワン・ドゥイ・ユリアント(インドネシア、前インドネシアU22代表コーチ)
<外国籍選手>
MFペトルス・シテンビ(ナミビア、ザンビアリーグのルサカ・ダイナモFC移籍)
FWエクトル・オマー・ラモス(プエルトリコ、エルサルバドールリーグのアリアンザFCより移籍)
FWデニス・ブシェニング(タイ、タイ1部リーグのチャイナート・ホーンビルFCより移籍-ASEAN東南アジア枠)
FWロドルリュブ・パウノビッチ(セルビア、昨季から残留)
DFパク・タエスー(韓国、昨季から残留)
<主力選手>
GKロザイミ・ロヒム
DFラウィルソン・バトゥイル
DFモハマド・ズビル・モハマド・アズミ(パハンFAから移籍)
MFアジザン・ノーディン
FWアルト・リナス
FWマクシアス・ムサ
<クラブ概要>
 サバ州サッカー協会SAFAが運営するクラブで、1996年には1部リーグでの優勝経験もありますが、その後は低迷が続き、MFL1部は2012年以来8年振りの復帰となります。
 昨季のMFL2部では、2位のJDT IIに勝点10の差をつけて優勝していますが、昨季、指揮を取ったジュリアス・アティン監督は、MFL1部の監督となるのに必要なAFCプロライセンスを保持していないことから、今季はコーチとしてベンチ入りし、インドネシアのレジェンドでもあり、サバFAでもプレー経験のあるユリアント監督を招聘(しょうへい)しました。ただしユリアント監督はこれまでコーチ経験しかないため、その経験不足が不安要素となる可能性があります。
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 1990年代にはイングランド代表との試合で2ゴールを決めたマトラン・マンジャン(この試合は当時のムルデカ・スタジアムで観戦しましたが、スタジアム全体が興奮状態で鳥肌が立ちました)などを輩出したサバFAですが、近年はMFL2部が定位置でした。久しぶりのMFL1部では、UITM FCとPDRM FCがいるので1シーズンで2部に逆戻りという心配はないものの、戦力的にも得点力不足の心配があり上位のクラブにどこまで(いつまで)付いていけるかは不明です。開幕戦のPDRM FC、第2節のフェルダ・ユナイテッドと比較的楽な相手が続くので、この2試合でどれだけ勝点を積み重ねられるかどうかが鍵になりそうです。

フェルダ・ユナイテッドFC(ホーム:トゥン・アブドル・ラザクスタジアム-パハン州ジェンカ)
(昨季結果:MFL1部10位 / 今季予想:9位)
<監督>
モハマド・ニザム・ジャミル(フェルダ・ユナイテッド監督3年目)
<外国籍選手>
MF恵龍太郎(日本、シンガポールリーグのタンピネスローバーズより移籍-アジア枠)
FWカイルル・アムリ(シンガポール、昨季から残留-ASEAN東南アジア枠)
FWニコラス・ヴェレズ(アルゼンチン、ポルトガルリーグのベレネンセスより移籍)
DFニコラ・ラスポポヴィッチ(セルビア、チェコ2部リーグのドゥキア・プラハより移籍)
MFフレデリック・ビュロ(ガボン、J2のFC岐阜より移籍)
<主力選手>
MFダニエル・アミール
MFジャサズリン・ジャマルディン
<クラブ概要>
 マレーシアの政府機関Federal Land Development Authority(連邦土地開発庁)が運営するクラブで、ホームのトゥン・アブドル・ラザクスタジアムはMFL1部と2部で使用されるスタジアムでは唯一、人工芝のピッチを持つスタジアムです。
 昨季は何度も降格圏ギリギリまで行きながら、最終戦でクダFAにまさかの勝利を収めて1部に踏みとどまったフェルダ・ユナイテッドですが、クラブ運営予算の削減によって、代表にも選ばれたエースFWハディン・アワンや渡邉将基、池田圭といった主力を失っています。
 当初はフェルダが運営する農村出身の若い選手を鍛えて、、、という話も出ましたが、むしろ昨季以上に積極的な補強を行い、最終的に外国籍選手5人は埋まっています。
 ただし期待されていた将来のエース、ダニエル・アミールが開幕前に中足骨骨折で手術を受け開幕には間に合わなくなっています。フェルダ・ユナイテッドからフル代表へ選出された唯一の選手の回復状況が気になります。
 また新加入の恵選手は、かつてタンピネスローバーズでカイルル・アムリと一緒にプレーしており、2017年から2019年には2人合わせて57ゴールを決めたということなので、このコンビが機能すれば、ゴール量産が期待できるかも知れません。
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 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督がフェルダ・ユナイテッドの監督を務めていた2017年にアシスタントコーチに就任し、サティアナタン監督退任後の2018年にフェルダ・ユナイテッドを率いてから3年目となるニザム・ジャミル監督は、MFLでは個人的に好きな監督の1人です。昨季在籍した渡邉将基、池田圭選手を試合のたびごとに高く評価していたのが印象的ですが、そのニザム監督が獲得した恵選手には是非、活躍してもらいたいです。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(1):UITM FC、PDRM FC

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで今回から数回に渡って、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第1回です。

UITM FC(ホーム:UITMスタジアム-スランゴール州シャーアラム)
(昨季結果:MFL2部5位 / 今季予想:11位)
<監督>
フランク・バーンハート(ドイツ、元マレーシアU22代表監督)
<外国籍選手>
FWラビ・アタヤ(レバノン、レバノンリーグのアル・アヘドFCより期限付き移籍-アジア枠)
FWグスタボ・アルメイダ・ドス・サントス(ブラジル、ベトナムリーグのナムディンFCより移籍)
MFウスマン・ファネ(フランス、イングランド3部リーグのシュルーズベリー・タウンFCより移籍)
DFヴィクター・ニレノルド(フランス、ベトナムリーグのダナンFCより移籍)
*MFL1部スーパーリーグは5人の外国籍選手(内1人はアジア枠、1人はASEAN東南アジア枠)の登録が可能ですが、UITM FCは4人のみの登録です。
<クラブ概要>
 Universiti Teknologi Mara(マラ工科大学)が運営するクラブで、大学が運営母体のクラブがMFL1部でプレーするのは初めてです。
 昨季のMFL2部では、2位のJDT IIと4位のトレンガヌFC IIがそれぞれMFL1部のクラブのBチームのためMFL1部への昇格権がなく、またMFL1部9位のPKNS FCがスランゴールFCのBチームとなりMFL2部に降格となったことから、棚ぼたでMFL1部に昇格しています。
 外国籍選手、マレーシア人プロ選手、UITMの学生による混成チームですが、当初はUITMの学生だけで今季のチーム編成を行う予定だったことから、これに納得できない昨季まで監督を務めたイスマイル・ザカリア氏が監督を辞任、後任に就任したのがバーンハート監督です。
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 UITM FCの今季はMFL1部残留が目標となると思いますが、PDRM FCとともに他のMFL1部のクラブと比べると、戦力が劣ります。キーになるのはマレーシア人プロ選手ですが、メディアなどでは具体的な名前が上がっておらず、外国籍選手と大学生とのチーム編成では、1部残留は厳しいでしょう。

PDRM FC(ホーム:KLFAスタジアム-クアラルンプール)
(昨季結果:MFL2部3位 / 今季予想:12位)
<監督>
イシャク・クンジュ・モハメド(前M3マルセラ・ユナイテッド監督)
<外国籍選手>
FWアントニオ・ジャーマン(グレナダ、昨季はスランゴールFCで3試合出場)
MFセルダール・ゲルディエフ(トルクメニスタン、トルクメニスタンリーグのFKアルティン・アシルより移籍)
DFショフラト・ソユノフ(トルクメニスタン、トルクメニスタンリーグのFKアハルより移籍)
*MFL1部スーパーリーグは5人の外国籍選手(内1人はアジア枠、1人はASEAN東南アジア枠)の登録が可能ですが、PDRM FCは3人のみの登録です。
<主力選手>
FWスレンドラン・ラシア(PKNS FCより移籍)
FWサティシュ・クリシュナン(PJシティFCより期限付き移籍)
DFモハマド・アスリ・マルズキ(クダFAより期限付き移籍)
FWディルガ・スルディ(M3マンジュンシティFCより移籍)
<クラブ概要>
 Polis Di Raja Malaysia(マレーシア王立警察)が運営するクラブです。
 昨季のMFL2部では、2位のJDT IIがMFL1部のクラブのBチームのためMFL1部への昇格権がなかったことから、MFL1部に昇格しています。
 昨季は開幕4試合で1分3敗の11位となった時点で「休養」したモハマド・ファウジ・ピルウス監督と交代で就任したエラヴァラサン・エランゴワン監督がそこからチームを立て直し、昇格まで達成しました。しかし、シーズン終了後、エラヴァラサン監督がクラブの補強姿勢に納得せず辞任し、イシャク・クンジュ・モハメド監督が就任しています。(エラヴァラサン前監督はその後、MFL2部のサラワク・ユナイテッドの監督に就任しています。)
 外国籍選手、マレーシア人プロ選手以外は全員が現職警察官によるチーム編成もさることながら、PDRM FCは昨季の未払い給料問題が解決していないことから、今季リーグ戦での勝点3の剥奪(はくだつ)が既に決定しています。なお、この問題が2月29日までに解決しない場合には、さらに勝点6が剥奪されることになっています。
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 昨季のMFL1部では勝点16が1部残留のラインでしたが、PDRM FCは当初、今季22試合で勝点22を獲得して残留を目指すとしていました。しかし上記で述べたように勝点がマイナスからのスタートとなってしまったため、勝点22とするためには実質で勝点25を獲得する必要があります。昨季はPJシティFCが勝点26で8位でしたが、他のクラブとの戦力差を考えると、PDRM FCは8位どころか降格候補の一番手です。

2月19日のニュース:ブキジャリル国立競技場の芝を張り替えへ、M3リーグのクラブが抱える問題

ブキジャリル国立競技場の芝を張り替えへ
 マレーシア代表のホーム、クアラルンプールのブキジャリル国立競技場SNBJは施設は東南アジアでもトップクラスながら、国内外を問わずどのチームがプレーしてもピッチの状況の悪さが批判されてきました。
 そんなSNBJのピッチの芝が張り替えられるようだと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 記事によると、SNBJを管理するマレーシアスタジアム社とマレーシア政府の青年スポーツ省が共同して、いわゆる「カウグラス」と呼ばれる現在の芝を、ジョホール・ダルル・タジムの新しいホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムやシンガポール国立競技場などでも使用されているゼオン・ゾイシア(zeon zoysia)という芝への張り替えを今年後半に予定しているようです。なお、張り替えからピッチが使用できるようになるまでは3ヶ月、費用は1000万リンギ(およそ2億6400万円)かかるとしています。

M3リーグのクラブが抱える問題
 マレーシアフットボールリーグMFLは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグはプロリーグという位置づけである一方、3部のM3リーグや4部のM4リーグはアマチュアリーグという扱いです。これをMFLの主導で、M3リーグを段階的にセミプロリーグへ、そしてM4リーグ以下をアマチュアリーグとする改革が現在進行中ですが、そんな中、サッカー専門サイトのスムアナニャボラが、M3クラブの抱える問題を取り上げた記事を掲載しています。
 その問題とはスポンサー獲得の難しさです。M3クラブの平均的な年間運営費用とされる75万リンギ(およそ1980万円)を支援するスポンサーの獲得がM3リーグのクラブ、特にクアラルンプールやスランゴール州など都市部のクラブでは難しくなっているということです。
 記事の中で例として挙げられているのは、昨季はM3に所属していたトゥン・ラザクFCです。このトゥン・ラザクFCは当初予定していたスポンサーが支援を中止した結果、主力選手が次々と退団していき、最終的にはシーズン26試合中23敗で勝点7、しかも失点140という成績で今季はM4リーグへ降格しています。
 また同じ記事の中では、スランゴール州プチョンを拠点としていたプチョン・フェルザFCが、獲得した有力スポンサーの地元ペラ州マンジョンへクラブを移し、マンジュンシティFCとクラブ名称を変えることでM3に残留していることも取り上げられています。
 地方では数千人の集客が可能なM3リーグの試合も、娯楽が多い都市部では観客が数百人という試合が珍しくないことから、企業がスポンサーとして支援するメリットを提供できず、その結果、都市部のクラブにはスポンサーのなり手が見つからないと記事はまとめられています。
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 先日観戦したMFL2部クチンFA対M3クラブのタイ・スランゴールFCの試合も、プレーシーズンマッチとはいえ、日曜日の午後5時過ぎに開始だったにもかかわらず100名にも満たない観衆でしたので、この記事が言わんとすることが実感できました。特にMFL2部昇格を目指して、有力選手や外国籍選手を獲得しようとすれば運営費用はさらに膨らむわけで、有力スポンサーを獲得できるかどうかはM3クラブにとっては死活問題です。


2月18日のニュース:TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か、ディヴィーズはやはりJDTへ、FAカップ1回戦の組み合わせ決定

TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か
 先月1月31日までに未払い給料問題の解決、あるいは支払い方法を選手やスタッフと同意することをMFLが求め、それを遂行できなかったPDRM FCは今季開幕前にもかかわらず既に勝点3を剥奪(はくだつ)されていますが、トレンガヌFC(TFC)でも同様の問題が発生しているとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 記事によるとトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTは、選手やスタッフと同意していた今月2月10日に支払い予定の未払い給料を支払われず、それについての連絡が何もないということです。なおこの未払い給料は2018年シーズンと昨季2019年分の一部で、アーマド・シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッドへ移籍)、アディブ・アイズディン・アブドル・ラティフ、カイルル・アズリン・カザリ(ペナンFAへ移籍)や前監督のイルファン・バクティ・アブ・サリム氏らが未払いとなっている他、外国籍選手の中にはこの事態を国際サッカー連盟FIFAへ報告した者もいるということで、トレンガヌFCはこの公約違反により、PDRM FC同様、開幕前に勝点3を剥奪される可能性が出てきました。
 この件に関して、ブリタハリアンがPBSNTに問い合わせを行ったようですが、返事がもらえていないということも併せて報道されています。
 またスポーツ専門サイトのスタジアムアストロでは、給料の支払いを受けていない選手の中で現在もトレンガヌFCに在籍している選手はこの問題をあえて口にしていないということです。
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 MFLの根深い問題である給料未払い問題が、開幕まで2週間を切ったこの時期にまた頭をもたげてきました。今季のMFLでジョホール・ダルル・タジムJDT優位を脅かす可能性があるクラブの一つとして挙げられていたトレンガヌFCですが、いきなり勝点3の剥奪となれば、優勝争いどころか上位進出すら怪しくなります。

ディヴィーズはやはりJDTへ
 JDTのFacebookでは、パハンFAを電撃退団したDFマシュー・デイヴィーズと3年契約を結んだことが発表されています。
 2015年、20歳のときにオーストラリアのパース・グローリーU23からパハンFAに加入したデイヴィーズ選手は、オーストラリアで生まれ育つもマレーシアのサバ州出身の母親を持つことからマレーシア代表としてプレーする資格があり、マレーシアU23代表、フル代表とキャリアアップし、昨季は代表戦12試合に出場しています。
 昨季は主将を務めたパハンFAとの契約はあと1年残っていたことから、JDTへの移籍は来季ではないかとされていましたが、JDTがヴィッセル神戸に1ー5と大敗したことから、守備陣強化の要として急遽、JDTが獲得に動いたとされています。なお一部では移籍金が1600万リンギ(およそ4億2400万円)という報道もありますが、デイヴィーズ選手自身はこれを否定しており、実際には100万から200万リンギとされています。
(写真は入団記者会見でベンヤミン・モラ監督(左)、チームマネージャーのルシアーノ・フィゲロア氏と写真に収まるデイヴィーズ選手-JDTのFacebookより)

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 デイヴィーズ選手の加入で代表の4バックのうち3名がJDTの選手となりましたが、これより気になるのは、JDTのオーナーでTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が昨年のクリスマスにツイートした以下の内容です。

@jjmi_kei_と@rodriguez9roは、それぞれ今季からJDTのBチームJDT IIでプレーする新加入のMF廣瀬慧(前インドネシアリーグ1部プルセラ・ラモンガン)と昨季のMFL1部の得点王FWフェルナンド・ロドリゲス(前クダFA)のこと。また@matttdaviesは今回加入のデイヴィーズ選手のことなので、残るのはデイヴィーズ選手と同僚だったパハンFAの帰化選手モハマドゥ・スマレ(@sumareh_inr26)とスランゴールFCから今季はペナンFAに移籍したエンドリック(@endricksantos14)となるのですが、果たして残る二人もJDT入りとなるのでしょうか。

FAカップ1回戦の組み合わせ決定
 先週末にMFL3部と4部にあたるM3リーグとM4リーグのクラブが出場した予選ラウンドが終了し、FAカップはいよいよ1回戦が始まりますが、この1回戦の組み合わせ抽選が昨日2月17日に行われ、2月22日と23日に行われる1回戦24試合のカードが決まっています。(以下はMFLのFacebookより)

1回戦注目のカードは、予選ラウンドを6-1と大勝したサラワク・ユナイテッドII(M3)対M3のムラワティFCを破ったリアル・チュカイFC(M4)、かつてはMFL1部スーパーリーグに所属していたこともあるマレーシア国軍のクラブAFFC(M3)対SAユナイテッドFC(M4)、デービー・クロード・アンガン(MFL1部マラッカ・ユナイテッドより加入)、セルヒオ・アグエロ(MFL2部ペナンFAから加入)とMFLでプレー経験のある外国籍選手を揃えたクアラルンプール・ローバーズ(M3)対M3のマンジュンシティFCを破ったサザンFC(M4)などがあります。
 その中でも最も注目されるのは、M3同士の戦いとなるハリニKSFC対ノーザンライオンズFCマーサです。昨季は同じM3のプロタップFCの監督を務め、今季はハリニKSFCの指揮を取るドゥサン・モムチロヴィッチ監督がMFアジダン・サルディン、代表経験もあるFWアブドゥル・マナフ・ママト、MFファクルラジ・ムサなど経験豊富な選手を揃える一方で、アザムリ・アリ監督率いるノーザンライオンズFCマーサには、国際サッカー連盟FIFAの2016年プシュカス賞を受賞したFWファイズ・サブリがおり、2回戦へ向けて白熱した試合が期待されています。

2月17日のニュース:タイリーグが開幕-代表コンビは揃って勝利に貢献、クラスニキのWC予選出場が可能に、スランゴールFCはMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性も

タイリーグが開幕-代表コンビは揃って勝利に貢献
 マレーシアフットボールリーグMFLは今季は2月28日に開幕しますが、隣国タイのリーグは一足早く先週末に開幕しました。ボラセパマレーシアJP的に注目したいのは、今季、タイ1部リーグへ移籍した代表コンビの動向です。
 昨季は2部で優勝し、今季は1部に昇格したBGパトゥム・ユナイテッドには、MFLパハンFAからノーシャルル・イドラン・タラハが、また昨季2部準優勝でやはり今季1部に昇格したポリス・テロFCにはJDTからドミニク・タンが加入しました。
 ノーシャルル選手は、昨季5位のムアントン・ユナイテッド戦に先発しました。ちなみにBGパトゥム・ユナイテッドのFacebookでは、先発メンバーを告知するページにタイ語、英語に加えてマレーシア語の表記も登場するなど、マレーシア人サポーターにも親切な作りになっていました。なお、タイ代表の西野朗監督も視察に訪れたこの試合では、背番号99番のノーシャルル選手は前半終了と同時に交代しています。(写真はBGパトゥム・ユナイテッドのFacebookより)

 一方、タン選手が所属するポリス・テロFCは昨季2位のブリーラム・ユナイテッドと対戦、タン選手はチームが1−0とリードした74分に交代出場し、そのまま試合終了まで出場しました。(写真はポリス・テロFCのFacdbookより)

この他、タイ3部上部(北側)リーグのアーントーンFCにもやはりマレーシア人のMFザフアン・アゼマンが在籍していますが、背番号9のザフアン選手もチャチューンサオFCとの試合に先発出場し、前半終了と同時に交代しています。なおこの試合ではアーントーンFCは0−4と敗れています。(写真はアーントーンFCのFacebookより)

クラスニキのWC予選出場が可能に
 今季、MFLのジョホール・ダルル・タジムに加入したコソボ出身のリリドン・クラスニキはマレーシアサッカー協会FAMによる帰化プログラムを経て、マレーシア国籍を取得しました。これによって、国内リーグMFLではマレーシア人選手としての登録が可能となりましたが、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版によると、国際サッカー連盟FIFAからもマレーシア代表として試合に出場する許可が出たようです。
 FAMの帰化プログラム委員会の委員長を務めるダト・モハマド・ユソフ・マハディFAM副会長によれば、クラスニキ選手のマレーシア代表選手としての登録を許可する旨の連絡をFIFAより受け取ったとのことで、来月3月26日に予定されているFIFAワールドカップアジア二次予選のアラブ首長国連邦UAE戦に代表選手として出場するかどうかはタン・チェンホー監督に委ねると話しています。
 またもう一人の帰化選手候補であるペラTBGのギリェルメ・デ・パウラ(ブラジル)については、まずマレーシア国籍を取得した上で、FIFAの判断を仰ぐとしています。
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 クラスニキ選手がMFLで初めてプレーしたクダFAの当時の監督が、現在のタン・チェンホー代表監督ということもあり、一部では「問題児」とも言われているクラスニキ選手ですが、ケガや体調不良などの問題がなければ、フル代表に招集されるでしょう。
 3月26日対戦するUAEもFWセバスティアン・ルーカス・タグリアブエ(アルゼンチン)、FWカイオ・カネド・コレア、MFファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマ(いずれもブラジル)と3人の帰化選手を擁するチームですので、クラスニキ選手の加入は大きな補強になりそうです。

スランゴールFCはMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性も
 スランゴールFCのホームは8万人収容のシャー・アラムスタジアムですが、MFLの今季開幕前の施設検査で改修が必要との判断が出されています。英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、予定されているMFLによる2度目の施設検査でシャー・アラムスタジアムのMFLでの使用許可が下りない場合には、同じスランゴール州のクラナジャヤにあるMBPJスタジアムが今季のホームとなる可能性が浮上しています。
 1994年開場のシャー・アラムスタジアムは、施設検査後にピッチや更衣室の状況がMFLの規定する条件に合わない上、観客席を覆う屋根の部分についても改修を求める要望が出ていました。
 これについてスランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、改修作業が行われている原序を踏まえ、2度目の施設検査で使用許可は下りるだろうと述べています。
 なおスランゴールFCの今季最初のホームゲームはMFL第2節の3月7日にペラTBGとの試合が予定されています。
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 この記事では観客席を覆う屋根の部分についての言及がありませんでしたが、この改修についてはハミドンFAS事務局長はすぐには対処できないことを明言しており、ここが使用許可の争点になれば、今季のシャー・アラムスタジアムの使用は難しいとされています。
 個人的には家から近いMBPJスタジアムでスランゴールFCの試合が観戦できるようになると嬉しいのですが、こちらは収容人数が2万5000人程度で、スランゴールFCにとっては入場料収入などで大きな損失を負う可能性もあります。

2月16日のニュース:パハンFAの外国籍選手5名が確定も主力の流出は続く、FAカップ予選ラウンド結果

パハンFAの外国籍選手5名が確定も主力の流出は続く
 マレーシアフットボールリーグMFL1部に所属するパハンFAの今季の外国籍選手5名が確定したことを英字紙スター電子版が報じています。
 昨季はMFL2位ながら他のMFLクラブに比べやや出遅れ感がありましたが、2月28日に迫ったMFL開幕を前にようやく布陣が整ったようです。
 昨季もパハンFAでプレーしたDFエラルド・グロン(フランス)は契約を2021年まで延長して残留、そして今季新加入のFWイヴァン・カルロス・フランサ・コエーリョ(ブラジル)とMFアダム・マイケル・リード(フィリピン)がこれまで確定していた外国籍選手でしたが、さらに昨季のアジアサッカー連盟AFCカップで4.25体育団(北朝鮮)を破って優勝したアル・アヘドFC(レバノン)から期限付き移籍で加入するレバノン代表DFカリル・カミス(レバノン)と、今年1月から水面下で残留交渉が行われていたというFWディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア)の二人が加わりました。
 25歳のカリル選手は190cmと長身のDFですが、レバノンリーグではその体躯だけでなくボール使いの上手い選手として知られているそうです。また33歳のヌワカエメ選手は、パハンFAに4年ぶりに復帰した昨季は鼠蹊(そけい)部のケガなどで18試合で10ゴールという成績に終わりましたが、パハンFAに前回所属した2014年と2015年の2シーズンは69試合で100ゴールという実績があります。
 新戦力獲得のニュースの一方で、マレーシア代表でもプレーするDFマシュー・デイヴィーズの退団が本人のツイッターで告知されています。今月初めからJDT移籍の噂は出ていましたが、これを執筆している時点では移籍先は不明です。なおパハンFAは、MFL2位となった昨季のメンバーから代表でもプレーするFWノーシャルル・イドラン・タラハ(タイ1部リーグBGパトゥム・ユナイテッドへ移籍)、インドネシア代表のMFサディル・ラマダニ(インドネシア1部リーグのバヤンカラFCへ移籍)、シンガポール代表MFサフアン・バハルディン(スランゴールFCへ移籍)ら主力選手を既に失っています。

FAカップ予選ラウンド結果
 マレーシア最大のカップ戦であるFAカップの予選ラウンドが2月15日と16日に行われ、以下のような結果になっています。この予選ラウンドは今季MFL3部と4部にそれぞれあたるM3リーグとM4リーグのクラブが出場します。
*(3)はMFL3部、(4)はMFL4部所属のクラブです。
<2月15日の結果>
サラワク・ユナイテッドII(元サラワクFA)(3)6-1レッドスペイド・ユナイテッドFC(4)
小ネタ:サラワクFA時代の1992年にはFAカップ優勝経験があるサラワク・ユナイテッドIIは、ウガンダ人のサム・ティムべ監督が就任したばかりですが、この試合ではアズリザン・アーマドが4ゴールを決めています。
マラッカ・ユナイテッドFC(3)2-1イクラム・ヤングFC(3)
KTローバーズ(元BTK FC)(3)3-0アルティメイトFC(3)

小ネタ:アルティメイトFCは元代表のアズマン・アドナンがプレーイングマネジャーです。
リアル・チュカイFC(4)1-0ムラワティFC(元DDM FC)(3)
ランカウィ・シティFC(元ランカウィ・グローリー・ユナイテッドFC)(3)1-0パンダン・ユナイテッドFC(4)
プロタップFC(3)4-1KBイスマ・シャーアラム(4)
SAユナイテッドFC(4)2-2(PK10-9)アンダーソニアンFC(4)
マークレスST(4)2-1スピリトFC(4)

<2月16日の結果>
KLローバーズ3-0クラシコFC
ノーザンライオンズFCマーサ(3)2-0クルテーFC(4)
AFFC (前ATM FC)(3)3-1デリマ・ウォリアーズFC(4)

小ネタ:AFFCはマレーシア国軍のクラブチームで、イギリス人のケヴィン・クーパー監督が2019年から指揮を取る、外国籍選手不在のクラブです。
ハリニFC(元バトゥ・ドゥアFC)(3)5-2クアラプルリスFC(4)
サザンFC(4)1-1(PK3-2)マンジュンシティFC(前プチョンフェルザFC)(3)
ゲームストップFC(4)1-0セマラクFC(3)
SSFC(4)3-0PIB FC(3)

小ネタ:この試合はPIB FCの選手登録が試合までに完了しなかったことから、SSFCの不戦勝、PIB FCの不戦敗、記録上はSSFC 3-0PIB FCとなります。
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予選ラウンドで勝利した15のクラブとこの予選ラウンドはくじ引きにより予選ラウンドが免除となった残りのM3/M4所属の7クラブの合計22クラブが1回戦へ進出しましていす。なお1回戦の組み合わせは後日発表となります。
 昨季はMFL4部にあたるM4リーグのアマチュアクラブ、ジェラントゥトFAが3回戦まで進出する快進撃をみせましたが、今季もジャイアントキリングは起こるのでしょうか。

2月15日のニュース:JENESYS杯に参加するU17代表候補発表、クチンFAがプレシーズンマッチで半島部へ遠征

JENESYS杯に参加するU17代表候補発表
 マレーシアサッカー協会FAMは、2月24日から3月4日まで鹿児島県で開催されるJENESYS杯に参加するU17代表の候補合宿参加者18名を公式サイトで発表しています。
 FAMとマレーシア政府青年スポーツ省が運営し、プロサッカー選手を目指すエリート選手養成機関のモクタ・ダハリラ・アカデミーAMDに所属するこの18名は、ラジャ・アズラン・シャー・ラジャ・ショイブ監督のもと、スランゴール州クラナジャヤにあるFAMのトレーニング施設で2月19日からの合宿に参加します。参加者の名簿はこちらです。
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 FAMのサイトで「JENESYS杯」とされているのは、外務省による対日理解促進交流プログラム「21世紀東アジア青少年第交流計画」、別称JENESYSプログラムの一環として鹿児島県で行われる大会のことを指しているようです。
 この大会は、日本サッカー協会JFAのサイトによると「ASEAN地域の10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネ シア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム) 及び、東ティモールと日本 代表の年代別代表が交流を図る大会」として「アジア貢献・国際交流事業」として位置付けられています。

クチンFAがプレシーズンマッチで半島部へ遠征
 マレーシアはマレー半島部とボルネオ島(東マレーシア)で構成されていますが、ボルネオ島にあるサラワク州の州都クチンを拠点とするクチンFAがマレー半島部へ遠征し、プレシーズンマッチを行なっています。
 今季2020年シーズンはマレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグに昇格したクチンFAは、1月11日にMFL1部スーパーリーグ6連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTの新しいホームとなるスルタン・イブラヒムスタジアムのこけら落としとなる試合でJDTに0-4と敗れて以降、MFLクラブとの練習試合の情報がありませんでした。(写真はJDTのFacebookより)

 そして昨日2月14日、半島部遠征の初戦としてスランゴール州シャーアラムで今季はMFL1部に昇格したUITM FCと対戦し、前半を2−0とリードして折り返したものの後半の3失点で2-3と逆転で敗れています。
 今季開幕を前に、クチンFAは外国籍選手を含めた新戦力についてのニュースが乏しかったのですが、この試合には4人の外国籍選手が出場していました。昨季からクチンFAでプレーする鈴木雄太、昨季はサラワクFAでプレーしたブラジル人のFWハドソン・ジェズス、昨季はサウジアラビア2部リーグのアル・サファFCに在籍した「レオ」ことFWレオナルド・パッソス・アルベス、そしてDFタニガワユウキ選手がその4人ですが、おそらく彼らが開幕時点で外国籍選手として登録されるようです。DFのタニガワ選手については、情報が乏しいのですが(カタカナ表記になっているのはそういった理由です)、関係者の話では大学を卒業したばかりの選手ということです(この試合は私も観戦しましたが、大学卒業から即プロ入りと考えると試合中の落ち着いた様子が非常に印象的でした。)。
 なお、クチンFAは明日2月16日にMFL1部のPDRM FCとの練習試合が予定されています。

2月13日のニュース:Jの壁は高かった-JDTがACLで5失点の完敗

Jの壁は高かった-JDTがACLで5失点の完敗
 ゴールを決めた古橋亨梧もドウグラスでも、またハットトリックを決めた小川慶治朗でもなく、アンドレス・イニエスタ1人にやられた感のある試合はジョホール・ダルル・タジムの完敗でした。
 13分の1点目につながった、自陣ハーフから出されたイニエスタ選手の浮き球のパスを受けた小川選手がJDTのGKファイザル・マーリアスと一対一になった段階で勝負有りでしたが、小川選手がこのボールをノートラップで絶妙なコースにシュートし神戸が先制しました。
 27分にはトーマス・フェルメーレンのハンドの反則で得たPKをサファウイ・ラシドが決めて同点とし、ここから反撃か、と思われたその1分後、今度は古橋選手のノートラップシュートで神戸に勝ち越しを許してしまいました。
 試合開始直後から、神戸が高い位置からプレスをかけ続け、JDTはバックラインから攻撃を組み立てる自分たちのサッカーをさせてもらえませんでした。前方へのフィードも精度が低く、前線にいるエースのジオゴまでボールが渡わらず、ジオゴのポジションがどうしても下がり気味になり、そこからなんとかゴール前まで運んでもサポートがおらず、なかなかシュートまで持っていくことができませんでした。そうするうちに2−1と神戸のリードで前半が終了しました。
 後半に入り、58分にはイニエスタ選手から酒井高徳とつないだボールを小川選手がゴールし、神戸がリードを2点に広げ、65分にはアイディル・ザフアンが上がってきたドゥグラスにあっさり振り切られた上にそのままシュートを決められ4−1、そして72分には「魔術師」というニックネームが伊達ではないことを示すような美しく精度の高いループパスをイニエスタ選手がJDTの守備陣の裏、ファーポストへ上げ、小川選手はフリーヘッダーでゴールを決め、ハットトリックを達成しました。
ACL第1節
JDT 1-5ヴィッセル神戸
得点者:神戸-小川慶治朗3(13分、58分、72分)、古橋亨梧(28分)、ドゥグラス(65分)、JDT-サファウィ・ラシド(27分PK)
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 素人目で見ても、守備ラインの裏にいとも簡単にパスを出すイニエスタ選手は別格でした。正直なところ、JDTはよく5失点で済んだなという印象でした。鹿島と接戦だった昨季のACLは何だったのでしょう…。
 試合の結果は別として、この日のJDTは、昨季の主力メンバーからシャフィク・アーマドに代わりナズミ・ファイズが、アダム・ノー・アズリンに代わりアフィク・ファザイルが先発しました。ナズミ・ファイズはドバイでのプレシーズンマッチでも先発出場を続けていたようですので、JDTのベンヤミン・モラ監督はこの試合を見越してテストしていたのかも知れません。ACLでは、ジオゴ、ゴンザロ・カブレラ、マウリシオの3人が外国籍選手枠を占めることになるでしょうから、MFレアンドロ・ヴァレスケスの代わりとしてこのナズミ・ファイズが今後もスタメンとなる可能性が高いです。
 個人的には、昨季は絶好調だったシャフィク・アーマドの出番が少なかったのが残念ですが、今後のACLに期待したいと思います。
(以下はこの日の試合のダイジェスト-AFCのYoutubeチャンネルより)

2月12日のニュース:ソーシャルメディアのフォロワー数トップの東南アジアのクラブはプルシブ・バンドン、MFLが今季の公式試合球を発表、東南アジアクラブ選手権出場チーム発表-マレーシアからは出場なし

ソーシャルメディアのフォロワー数トップの東南アジアのクラブはプルシブ・バンドン
 サポーター獲得の重要な手段として活用されるソーシャルメディアは、東南アジアはもとより世界中のサッカークラブが活用していますが、スポーツ関連のデジタルコミュニケーションとマーケティングを扱うドイツのリザルトスポーツ社のサイトでは、世界のクラブのソーシャルメディアなど電子媒体上での存在感の大きさの指標を示す「2020年版グローバルデジタルフットボールベンチマーク」なるものを公表しています。その内容はFacebook、インスタグラム、Twitter、Youtube、Sina Weiboとその他のソーシャルメディアにおける合計フォロワー数をもとにランクづけしたもので、そのトップ3は、1位がバルセロナFC(スペイン)で2億6000万フォロワー、2位がレアルマドリー(スペイン)で2億5800万、3位がマンチェスター・ユナイテッド(英国)の1億4200万となっています。
(以下はリザルトスポーツのサイトより。)

 また、大陸ごとで見ると南北アメリカの1位はフラメンゴ(ブラジル、全体では16位)、アフリカ大陸1位はアル・アハリ(エジプト、同18位)、アジア1位はプルシブ・バンドン(インドネシア、同22位)となっています。

 ここから東南アジアの上位10クラブを取り出したのが以下の表です。表は左から東南アジアでの順位(世界での順位)、クラブ名、所属リーグのある国名、フォロワー数(人)、となっています。

1位(22位)プルシブ・バンドンインドネシア1700万
2位(50位)プルシジャ・ジャカルタインドネシア600万
3位(81位)ムアントン・ユナイテッドタイ300万
4位(87位)ジョホール・ダルル・タジムマレーシア300万
5位(97位)アレマFCインドネシア200万
6位(103位)ブリーラム・ユナイテッドタイ200万
7位(120位)プルスバヤ・スラバヤインドネシア200万
8位(137位)バリ・ユナイテッドインドネシア100万
9位(146位)スリウィジャヤFCインドネシア100万
10位(194位)チョンブリFCタイ 100万

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 東南アジアでは上位10クラブ中6クラブがインドネシアのクラブですが、このブログでも以前取り上げたマレーシアとインドネシアの両国でクラブ監督の経験があるプルシブ・バンドンのロバート・アルバーツ監督や、マレーシア人ながらインドネシアで多くのクラブを指導してきたラジャ・イサ氏のコメントにあったように、インドネシア国内でのサッカー人気は、近隣諸国と比べてもその熱狂度が遥かに高いことがこの数字からも実証されているようです。例えばプルシブ・バンドンの1700万フォロワーという数字は、その数字の正確さ自体はともかく、マレーシアの総人口の半分にあたるフォロワーがいる計算になります。

MFLが今季の公式試合球を発表
 マレーシアフットボールリーグMFLはTwitterで今季2020年シーズンに使用される公式試合球を発表しています。昨季の公式試合球「マーリン」の後継モデル「マーリンII」が今季の試合球で、ナイキ社製のボールは5年連続でMFLに採用されています。
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 ちなみにこの「マーリンII」はイタリアセリエAの2019/2020シーズンや北中米カリブ海サッカー連盟CONCACAF選手権ゴールドカップの試合球にもなっています。ちなみにGoogleで検索してみたところ、そのお値段は115英国ポンド(およそ16400円)でした。MFLのロゴなど入れると価格はもっと跳ね上がるのでしょうね。

東南アジアクラブ選手権出場チーム発表-マレーシアからは出場なし
 東南アジアサッカー連盟AFFが主催し、東南アジア各国の1部リーグ優勝クラブややカップ戦優勝チームなどが出場する東南アジア(ASEAN)クラブ選手権ACCの出場クラブが確定しました。
 このACCは2003年、2005年と既に2回開催されていますが、2003年大会はインドネシア、2005年大会はブルネイに各クラブが集まり、10日から2週間で完結する大会でした。しかし今年2020年から開催される大会は、3月から11月までの間にホームアンドアウェイ形式で行われる方式に変更になっています。
 なお、ACC2020年大会に参加するのは以下のクラブです。
・チェンライ・ユナイテッド(2019年タイリーグ優勝)
・プラチュワップFC(2019年タイリーグカップ優勝)
・バリ・ユナイテッド(2019年インドネシアリーグ1優勝)
・プルスバヤ・スラバヤ(2019年インドネシアリーグ1準優勝)
・ハノイFC(2019年ベトナムVリーグ優勝)
・ホーチミンシティーFC(2019年ベトナムVリーグ準優勝)
・シャン・ユナイテッド(2019年ミャンマーナショナルリーグ優勝)
・タンピネス・ローヴァーズ(2019年シンガポールプレミアリーグ優勝)
 以上8クラブは既にACC本戦出場が決まっていますが、この8クラブに加えてプレーオフを勝ち上がった2クラブが加わり、全部で10クラブがACCに出場します。なお、プレーオフに出場するのは以下の4クラブで、この中から2クラブが本戦に出場します。
・スヴェイ・リエンFC(2019年メットフォンカンボジアリーグ優勝)
・ラオ・トヨタFC(2019年ラオスプレミアリーグ優勝)
・セレス・ネグロスFC(2019年フィリピンフットボールリーグ優勝)
・インドラFC(2019年ブルネイスーパーリーグ4位)
 見出しにも書きましたがACC2020年大会にはマレーシアのクラブは出場しませんが、これはマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長が既に明言していたので、特に驚くことではありません。FAMは当初からマレーシアからクラブを出場させる条件として、ACCがアジアサッカー連盟AFCによって公式に承認されることを求めていた他、2020年大会については国内リーグとの日程調整の難しさ、さらにはフル代表のワールドカップ予選前合宿などとの兼ね合いなどを理由に出場見送りを決めていました。
 FAMは、MFLの上位クラブをAFF主催の大会よりもAFC主催のAFCチャンピオンズリーグACLやAFCカップに出場させたい方針で、ACCがMFL3位のクラブにまで出場資格を広げるのであれば、出場を検討するとしていました。