MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(3):PJシティFC、トレンガヌFC

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで今回も、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第3回です。
(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

PJシティFC(ホーム:MBPJスタジアム-スランゴール州プタリンジャヤ)
(昨季結果:MFL1部8位 / 今季予想:8位)
<監督>
デヴァン・クップサミー(PJシティFC監督3季目)
<外国籍選手>
FWデンバ・カマラ(ギニア共和国、イスラエル1部リーグのハポエル・テルアビブFCより移籍)
MFキム・ボングジン(韓国、ベトナム1部リーグのホアンアイン・ザライFCより移籍)
FWワシントン・ブランドン(ブラジル、昨季から残留)
DFエリゼウ・アラウージョ・デ・メロ・バティスタ(ブラジル、昨季から残留)
<主力選手>
GKムハイミン・モハマド
MFラジェシュ・プルマル
FWサフィ・サリー
<クラブ概要>
 MFL1部では唯一の私企業が運営するクラブですが、運営企業のQNet社は連鎖販売取引(日本ではいわゆる「マルチ商法」と呼ばれる販売形態)で成長した企業です。2018年シーズンはMFL2部では3位でしたが、上位のクラブが給料未払い問題により解散したため、棚ぼた式に昨季初めてMFL1部に昇格したクラブです。その前身はMalaysia Indian Football Association, MIFA(インド系マレーシア人サッカー協会)だったことから、インド系マレーシア人の選手の割合が他のクラブに比べると高いのも特徴です。
 昨季の8位という成績は、初昇格のクラブとしては上出来だと思いますが、昨季終了後、主力のマレーシア人選手が大量に流出しており、メンバーが大きくかわていることから、選手間の連携に不安があります。シーズン開幕後も連携に問題があるようだと、昨日のブログで9位と予想したフェルダ・ユナイテッドと入れ替わって9位になる可能性もあります。ヌグリスンビランFAやスランゴールFAを率いてMFL1部優勝経験もあるデヴァン・クップサミー監督の手腕が問われるシーズンとも言えます。

トレンガヌFC(ホーム:スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム-トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
(昨季結果:MFL1部7位 / 今季予想:5位)
<監督>
モハマド・ナフジ・ザイン(トレンガヌFC監督2年目)
<外国籍選手>
MFファリス・ラムリ(シンガポール、シンガポールリーグのホウガン・ユナイテッドより移籍-ASEAN東南アジア枠)
FWドミニク・ダ・シルヴァ(アルゼンチン、ベトナム1部リーグのサイゴンFCより移籍)
DFババカル・ディアロ(セネガル、フィンランド1部リーグのクオピオン・パロセウラより移籍)
MFリー・タック(イングランド、在籍3年目)
MFサンジャル・シャアフメドフ(ウズベキスタン、昨季より残留)
<主力選手>
DFナスルラー・ハニフ
DFカマル・アジザ
MFファイズ・ナシル(スランゴールFCより移籍)
<クラブ概要>
 トレンガヌ州サッカー協会PBSNTFが運営するクラブ。昨季途中にイルファン・バクティ前監督が辞任し、コーチから昇格したナフジ・ザイン監督は、今季は「暫定」がとれて正式に監督になりました。
 今季はJDTの連覇に待ったをかけるクラブの一つと目されていますが、ここに来て昨季の給料未払い問題が浮上し、場合によってはMFLより勝点剥奪(はくだつ)処分を受ける可能性もでてきています。在籍する選手の中にも給料の受け取りが数ヶ月遅れている選手もいるという報道もあり、開幕前にこの問題が解決しないと、果たしてそういった選手たちがチームのためにプレーできるのかというモラル面に不安があります。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(2):サバFA、フェルダ・ユナイテッド

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで前回に続き、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第2回です。
(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

サバFA(ホーム:リカススタジアム-サバ州コタキナバル)
(昨季結果:MFL2部1位 / 今季予想:10位)
<監督>
クルニアワン・ドゥイ・ユリアント(インドネシア、前インドネシアU22代表コーチ)
<外国籍選手>
MFペトルス・シテンビ(ナミビア、ザンビアリーグのルサカ・ダイナモFC移籍)
FWエクトル・オマー・ラモス(プエルトリコ、エルサルバドールリーグのアリアンザFCより移籍)
FWデニス・ブシェニング(タイ、タイ1部リーグのチャイナート・ホーンビルFCより移籍-ASEAN東南アジア枠)
FWロドルリュブ・パウノビッチ(セルビア、昨季から残留)
DFパク・タエスー(韓国、昨季から残留)
<主力選手>
GKロザイミ・ロヒム
DFラウィルソン・バトゥイル
DFモハマド・ズビル・モハマド・アズミ(パハンFAから移籍)
MFアジザン・ノーディン
FWアルト・リナス
FWマクシアス・ムサ
<クラブ概要>
 サバ州サッカー協会SAFAが運営するクラブで、1996年には1部リーグでの優勝経験もありますが、その後は低迷が続き、MFL1部は2012年以来8年振りの復帰となります。
 昨季のMFL2部では、2位のJDT IIに勝点10の差をつけて優勝していますが、昨季、指揮を取ったジュリアス・アティン監督は、MFL1部の監督となるのに必要なAFCプロライセンスを保持していないことから、今季はコーチとしてベンチ入りし、インドネシアのレジェンドでもあり、サバFAでもプレー経験のあるユリアント監督を招聘(しょうへい)しました。ただしユリアント監督はこれまでコーチ経験しかないため、その経験不足が不安要素となる可能性があります。
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 1990年代にはイングランド代表との試合で2ゴールを決めたマトラン・マンジャン(この試合は当時のムルデカ・スタジアムで観戦しましたが、スタジアム全体が興奮状態で鳥肌が立ちました)などを輩出したサバFAですが、近年はMFL2部が定位置でした。久しぶりのMFL1部では、UITM FCとPDRM FCがいるので1シーズンで2部に逆戻りという心配はないものの、戦力的にも得点力不足の心配があり上位のクラブにどこまで(いつまで)付いていけるかは不明です。開幕戦のPDRM FC、第2節のフェルダ・ユナイテッドと比較的楽な相手が続くので、この2試合でどれだけ勝点を積み重ねられるかどうかが鍵になりそうです。

フェルダ・ユナイテッドFC(ホーム:トゥン・アブドル・ラザクスタジアム-パハン州ジェンカ)
(昨季結果:MFL1部10位 / 今季予想:9位)
<監督>
モハマド・ニザム・ジャミル(フェルダ・ユナイテッド監督3年目)
<外国籍選手>
MF恵龍太郎(日本、シンガポールリーグのタンピネスローバーズより移籍-アジア枠)
FWカイルル・アムリ(シンガポール、昨季から残留-ASEAN東南アジア枠)
FWニコラス・ヴェレズ(アルゼンチン、ポルトガルリーグのベレネンセスより移籍)
DFニコラ・ラスポポヴィッチ(セルビア、チェコ2部リーグのドゥキア・プラハより移籍)
MFフレデリック・ビュロ(ガボン、J2のFC岐阜より移籍)
<主力選手>
MFダニエル・アミール
MFジャサズリン・ジャマルディン
<クラブ概要>
 マレーシアの政府機関Federal Land Development Authority(連邦土地開発庁)が運営するクラブで、ホームのトゥン・アブドル・ラザクスタジアムはMFL1部と2部で使用されるスタジアムでは唯一、人工芝のピッチを持つスタジアムです。
 昨季は何度も降格圏ギリギリまで行きながら、最終戦でクダFAにまさかの勝利を収めて1部に踏みとどまったフェルダ・ユナイテッドですが、クラブ運営予算の削減によって、代表にも選ばれたエースFWハディン・アワンや渡邉将基、池田圭といった主力を失っています。
 当初はフェルダが運営する農村出身の若い選手を鍛えて、、、という話も出ましたが、むしろ昨季以上に積極的な補強を行い、最終的に外国籍選手5人は埋まっています。
 ただし期待されていた将来のエース、ダニエル・アミールが開幕前に中足骨骨折で手術を受け開幕には間に合わなくなっています。フェルダ・ユナイテッドからフル代表へ選出された唯一の選手の回復状況が気になります。
 また新加入の恵選手は、かつてタンピネスローバーズでカイルル・アムリと一緒にプレーしており、2017年から2019年には2人合わせて57ゴールを決めたということなので、このコンビが機能すれば、ゴール量産が期待できるかも知れません。
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 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督がフェルダ・ユナイテッドの監督を務めていた2017年にアシスタントコーチに就任し、サティアナタン監督退任後の2018年にフェルダ・ユナイテッドを率いてから3年目となるニザム・ジャミル監督は、MFLでは個人的に好きな監督の1人です。昨季在籍した渡邉将基、池田圭選手を試合のたびごとに高く評価していたのが印象的ですが、そのニザム監督が獲得した恵選手には是非、活躍してもらいたいです。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(1):UITM FC、PDRM FC

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで今回から数回に渡って、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいた順位予想を行います。今回はその第1回です。

UITM FC(ホーム:UITMスタジアム-スランゴール州シャーアラム)
(昨季結果:MFL2部5位 / 今季予想:11位)
<監督>
フランク・バーンハート(ドイツ、元マレーシアU22代表監督)
<外国籍選手>
FWラビ・アタヤ(レバノン、レバノンリーグのアル・アヘドFCより期限付き移籍-アジア枠)
FWグスタボ・アルメイダ・ドス・サントス(ブラジル、ベトナムリーグのナムディンFCより移籍)
MFウスマン・ファネ(フランス、イングランド3部リーグのシュルーズベリー・タウンFCより移籍)
DFヴィクター・ニレノルド(フランス、ベトナムリーグのダナンFCより移籍)
*MFL1部スーパーリーグは5人の外国籍選手(内1人はアジア枠、1人はASEAN東南アジア枠)の登録が可能ですが、UITM FCは4人のみの登録です。
<クラブ概要>
 Universiti Teknologi Mara(マラ工科大学)が運営するクラブで、大学が運営母体のクラブがMFL1部でプレーするのは初めてです。
 昨季のMFL2部では、2位のJDT IIと4位のトレンガヌFC IIがそれぞれMFL1部のクラブのBチームのためMFL1部への昇格権がなく、またMFL1部9位のPKNS FCがスランゴールFCのBチームとなりMFL2部に降格となったことから、棚ぼたでMFL1部に昇格しています。
 外国籍選手、マレーシア人プロ選手、UITMの学生による混成チームですが、当初はUITMの学生だけで今季のチーム編成を行う予定だったことから、これに納得できない昨季まで監督を務めたイスマイル・ザカリア氏が監督を辞任、後任に就任したのがバーンハート監督です。
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 UITM FCの今季はMFL1部残留が目標となると思いますが、PDRM FCとともに他のMFL1部のクラブと比べると、戦力が劣ります。キーになるのはマレーシア人プロ選手ですが、メディアなどでは具体的な名前が上がっておらず、外国籍選手と大学生とのチーム編成では、1部残留は厳しいでしょう。

PDRM FC(ホーム:KLFAスタジアム-クアラルンプール)
(昨季結果:MFL2部3位 / 今季予想:12位)
<監督>
イシャク・クンジュ・モハメド(前M3マルセラ・ユナイテッド監督)
<外国籍選手>
FWアントニオ・ジャーマン(グレナダ、昨季はスランゴールFCで3試合出場)
MFセルダール・ゲルディエフ(トルクメニスタン、トルクメニスタンリーグのFKアルティン・アシルより移籍)
DFショフラト・ソユノフ(トルクメニスタン、トルクメニスタンリーグのFKアハルより移籍)
*MFL1部スーパーリーグは5人の外国籍選手(内1人はアジア枠、1人はASEAN東南アジア枠)の登録が可能ですが、PDRM FCは3人のみの登録です。
<主力選手>
FWスレンドラン・ラシア(PKNS FCより移籍)
FWサティシュ・クリシュナン(PJシティFCより期限付き移籍)
DFモハマド・アスリ・マルズキ(クダFAより期限付き移籍)
FWディルガ・スルディ(M3マンジュンシティFCより移籍)
<クラブ概要>
 Polis Di Raja Malaysia(マレーシア王立警察)が運営するクラブです。
 昨季のMFL2部では、2位のJDT IIがMFL1部のクラブのBチームのためMFL1部への昇格権がなかったことから、MFL1部に昇格しています。
 昨季は開幕4試合で1分3敗の11位となった時点で「休養」したモハマド・ファウジ・ピルウス監督と交代で就任したエラヴァラサン・エランゴワン監督がそこからチームを立て直し、昇格まで達成しました。しかし、シーズン終了後、エラヴァラサン監督がクラブの補強姿勢に納得せず辞任し、イシャク・クンジュ・モハメド監督が就任しています。(エラヴァラサン前監督はその後、MFL2部のサラワク・ユナイテッドの監督に就任しています。)
 外国籍選手、マレーシア人プロ選手以外は全員が現職警察官によるチーム編成もさることながら、PDRM FCは昨季の未払い給料問題が解決していないことから、今季リーグ戦での勝点3の剥奪(はくだつ)が既に決定しています。なお、この問題が2月29日までに解決しない場合には、さらに勝点6が剥奪されることになっています。
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 昨季のMFL1部では勝点16が1部残留のラインでしたが、PDRM FCは当初、今季22試合で勝点22を獲得して残留を目指すとしていました。しかし上記で述べたように勝点がマイナスからのスタートとなってしまったため、勝点22とするためには実質で勝点25を獲得する必要があります。昨季はPJシティFCが勝点26で8位でしたが、他のクラブとの戦力差を考えると、PDRM FCは8位どころか降格候補の一番手です。

2月18日のニュース:TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か、ディヴィーズはやはりJDTへ、FAカップ1回戦の組み合わせ決定

TFCにも給料未払いによる勝点剥奪処分か
 先月1月31日までに未払い給料問題の解決、あるいは支払い方法を選手やスタッフと同意することをMFLが求め、それを遂行できなかったPDRM FCは今季開幕前にもかかわらず既に勝点3を剥奪(はくだつ)されていますが、トレンガヌFC(TFC)でも同様の問題が発生しているとマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 記事によるとトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTは、選手やスタッフと同意していた今月2月10日に支払い予定の未払い給料を支払われず、それについての連絡が何もないということです。なおこの未払い給料は2018年シーズンと昨季2019年分の一部で、アーマド・シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッドへ移籍)、アディブ・アイズディン・アブドル・ラティフ、カイルル・アズリン・カザリ(ペナンFAへ移籍)や前監督のイルファン・バクティ・アブ・サリム氏らが未払いとなっている他、外国籍選手の中にはこの事態を国際サッカー連盟FIFAへ報告した者もいるということで、トレンガヌFCはこの公約違反により、PDRM FC同様、開幕前に勝点3を剥奪される可能性が出てきました。
 この件に関して、ブリタハリアンがPBSNTに問い合わせを行ったようですが、返事がもらえていないということも併せて報道されています。
 またスポーツ専門サイトのスタジアムアストロでは、給料の支払いを受けていない選手の中で現在もトレンガヌFCに在籍している選手はこの問題をあえて口にしていないということです。
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 MFLの根深い問題である給料未払い問題が、開幕まで2週間を切ったこの時期にまた頭をもたげてきました。今季のMFLでジョホール・ダルル・タジムJDT優位を脅かす可能性があるクラブの一つとして挙げられていたトレンガヌFCですが、いきなり勝点3の剥奪となれば、優勝争いどころか上位進出すら怪しくなります。

ディヴィーズはやはりJDTへ
 JDTのFacebookでは、パハンFAを電撃退団したDFマシュー・デイヴィーズと3年契約を結んだことが発表されています。
 2015年、20歳のときにオーストラリアのパース・グローリーU23からパハンFAに加入したデイヴィーズ選手は、オーストラリアで生まれ育つもマレーシアのサバ州出身の母親を持つことからマレーシア代表としてプレーする資格があり、マレーシアU23代表、フル代表とキャリアアップし、昨季は代表戦12試合に出場しています。
 昨季は主将を務めたパハンFAとの契約はあと1年残っていたことから、JDTへの移籍は来季ではないかとされていましたが、JDTがヴィッセル神戸に1ー5と大敗したことから、守備陣強化の要として急遽、JDTが獲得に動いたとされています。なお一部では移籍金が1600万リンギ(およそ4億2400万円)という報道もありますが、デイヴィーズ選手自身はこれを否定しており、実際には100万から200万リンギとされています。
(写真は入団記者会見でベンヤミン・モラ監督(左)、チームマネージャーのルシアーノ・フィゲロア氏と写真に収まるデイヴィーズ選手-JDTのFacebookより)

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 デイヴィーズ選手の加入で代表の4バックのうち3名がJDTの選手となりましたが、これより気になるのは、JDTのオーナーでTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下が昨年のクリスマスにツイートした以下の内容です。

@jjmi_kei_と@rodriguez9roは、それぞれ今季からJDTのBチームJDT IIでプレーする新加入のMF廣瀬慧(前インドネシアリーグ1部プルセラ・ラモンガン)と昨季のMFL1部の得点王FWフェルナンド・ロドリゲス(前クダFA)のこと。また@matttdaviesは今回加入のデイヴィーズ選手のことなので、残るのはデイヴィーズ選手と同僚だったパハンFAの帰化選手モハマドゥ・スマレ(@sumareh_inr26)とスランゴールFCから今季はペナンFAに移籍したエンドリック(@endricksantos14)となるのですが、果たして残る二人もJDT入りとなるのでしょうか。

FAカップ1回戦の組み合わせ決定
 先週末にMFL3部と4部にあたるM3リーグとM4リーグのクラブが出場した予選ラウンドが終了し、FAカップはいよいよ1回戦が始まりますが、この1回戦の組み合わせ抽選が昨日2月17日に行われ、2月22日と23日に行われる1回戦24試合のカードが決まっています。(以下はMFLのFacebookより)

1回戦注目のカードは、予選ラウンドを6-1と大勝したサラワク・ユナイテッドII(M3)対M3のムラワティFCを破ったリアル・チュカイFC(M4)、かつてはMFL1部スーパーリーグに所属していたこともあるマレーシア国軍のクラブAFFC(M3)対SAユナイテッドFC(M4)、デービー・クロード・アンガン(MFL1部マラッカ・ユナイテッドより加入)、セルヒオ・アグエロ(MFL2部ペナンFAから加入)とMFLでプレー経験のある外国籍選手を揃えたクアラルンプール・ローバーズ(M3)対M3のマンジュンシティFCを破ったサザンFC(M4)などがあります。
 その中でも最も注目されるのは、M3同士の戦いとなるハリニKSFC対ノーザンライオンズFCマーサです。昨季は同じM3のプロタップFCの監督を務め、今季はハリニKSFCの指揮を取るドゥサン・モムチロヴィッチ監督がMFアジダン・サルディン、代表経験もあるFWアブドゥル・マナフ・ママト、MFファクルラジ・ムサなど経験豊富な選手を揃える一方で、アザムリ・アリ監督率いるノーザンライオンズFCマーサには、国際サッカー連盟FIFAの2016年プシュカス賞を受賞したFWファイズ・サブリがおり、2回戦へ向けて白熱した試合が期待されています。

2月8日のニュース:TMが正式にMFLのスポンサーに-試合のストリーミング配信も実施、マレーシアよりインドネシアで有名なマレーシア人コーチ、Jクラブへお勧めのCB3名

TMが正式にMFLのスポンサーに-試合のストリーミング配信も実施
 マレーシア最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア(TM社)は子会社のTMマルチメディア社TMMを通じて、マレーシアフットボールリーグMFLのメインスポンサーとなったことを、MFLの公式サイトが公表しています。
 今回のスポンサー契約期間は3年間で、TM社はマレーシアカップの冠スポンサーとなり、今季2020年シーズンからその名称がTMマレーシアカップとなることも併せて発表されています
 さらにTM社のインターネット接続事業部門Unifi(ユニファイ)のストリーミングチャンネルUnifi TVが、MFL1部スーパーリーグとマレーシアカップは全試合を、またFAカップは一部の試合をストリーム配信することも併せて発表されています。(MFL2部プレミアリーグのストリーム配信はないようです。)
 なお配信を観戦するには、Unifiと契約すればテレビはもちろん、携帯のアプリなどでも感染が可能なようです。またUnifiと契約しなくとも、試合観戦パックを購入することも可能で、価格は以下の通りとなっています。
・1試合観戦パス – 3リンギ(およそ80円)
・1ヶ月観戦パス – 15リンギ
・スーパーリーグ年間パス – 100リンギ
・FAカップ年間パス – 100リンギ
・マレーシアカップ年間パス – 50リンギ
・チームVVIPチームマレーシアパス – 120リンギ
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 最後の「チームVVIPチームマレーシアパス」の内容がどのようになっているのかは記事からはわかりませんが、スタジアムに足を運べば入場料が最低でも15リンギはするので、多くの試合を見たいサポーターにはお得な価格設定だと言えるでしょう。
 ちなみに昨季はNetflixの廉価版ともいえるiFlixがスーパーリーグやマレーシアカップの試合を無料で配信していたのですが、MFLの発表では「独占」放映権という表現も見られたので、今季の配信は行われない可能性が高そうです。
 なお別のメディアの報道では、TM社とのスポンサー契約発表会見に集まった報道陣からスポンサー金額についての質問が出た際、MFLのダト・ハミディン・モハマド・アミン会長はその金額についてMFL1部と2部の各クラブには伝えると話す一方で、メディアに伝える必要はないと公表を拒否したとのことです。以前このブログでも取り上げたTM社とMFLの大型スポンサー契約が頓挫(とんざ)したことから、MFLは少々神経質になっているのかも知れません。(ネット上では3年間で3000万リンギ(およそ8億円)といった噂もみられます。)
 またTM社に加えて、マレーシア第2の銀行グループCIMB社がカップ戦スポンサーに参入する噂も出ていますので、こちらも確定次第、取り上げたいと思います。

マレーシアよりインドネシアで有名なマレーシア人コーチ
 フル代表監督としてアセアンサッカー連盟AFF選手権スズキカップで優勝経験もある元PKNS FC監督のラヤゴパル・クリシュナサミ氏が海外での指導を希望している、という話を取り上げた際、既に海外で指導しているマレーシア人コーチとして紹介したラジャ・イサ・ラジャ・アクラム氏を、サッカー専門サイトヴォケットFCがちょうど取り上げています。
 ラジャ・イサ氏がインドネシアへ来たきっかけは、前回も書いた通り元トレンガヌFCのイルファン・バクティ・アブ・サリム氏がインドネシアのパプア州にあるプルシプラ・ジャヤプラ監督として招聘(しょうへい)された際のアシスタントコーチを務めたことでした。
 ヴォケットFCのインタビューでは、2007年、プルシプラ・ジャヤプラは当時の監督だったブルガリア人のイヴァン・コレフがインドネシア代表監督に就任したことによって監督不在となり、招聘されたラジャ・イサ氏が自分の代わりにイルファン・バクティ氏を推薦し、自分がアシスタントコーチになったと話しています。
 「当時、自分はペルシス・ソロ(中央ジャワにあるクラブ)の監督に就任するつもりだったが、イルファン・バクティ氏に招かれて、共にプルシプラ・ジャヤプラを指導することになった」と話すラジャ・イサ氏ですが、イルファン・バクティ氏がマレーシアのプルリスFAの監督に就任することとなり、その半年後には、プルシプラ・ジャヤプラの監督に就任し、2007年のコパインドネシア(当時、現インドネシアンカップ)では、当時絶頂期だったスリウィジャヤFCにPK戦で敗れるも準優勝を果たします。
 その後は下のインフォグラフィックにもある通り、その後もラジャ・イサ氏は2015年から2016年までUITM FCの監督を務めた以外は、インドネシア1部から3部リーグまでの様々なクラブで指導を続けてきました。(インフォグラジックはヴォケットFCのサイトより)

 そんなラジャ・イサ氏によると、サッカーに対する関心はマレーシアとは比較にならないほど高いようで、例え3部リーグの試合であっても数千人の熱狂的なサポーターが集まるということで、毎試合スタジアムが満員になるクラブが数えるほどしかないマレーシアリーグと比べると、観客動員という点では、インドネシアに軍配が上がるようです。しかしその一方で練習施設や競技場といったインフラの面ではマレーシアに遅れをとっているということです。
 54歳のラジャ・イサ氏は、将来は代表チームの監督を目指したいと話しており、実際に2010年には東ティモール代表の監督就任の話もあったようですが、そのときは残念ながら実現しなかったようです。

Jクラブへお勧めのCB3名
 昨日取り上げた、日本のクラブがマレーシア人センターバックを探している、という記事を掲載したサッカー専門サイトのヴォケットFCが続報として、Jクラブへお勧めのセンターバック3選手を紹介する記事を掲載しています。
 東南アジアの選手にとって日本でプレーすることは競技レベルの高い環境でプレーできることだけでなく、ヨーロッパでプレーする飛び石にもなる、という書き出しで書かれた記事で紹介されているのは以下の3選手です。
1. アダム・ノー・アズリン(JDT、24歳)
 昨年の東南アジア競技大会シーゲームズでは、オーバーエイジ選手としてU22代表にも加わったアダム選手は、代表でも完全なセンターバックというよりも守備的ミッドフィールダーです。フル代表では準レギュラーと言った位置付けですが、JDTでは主力選手として活躍し、AFCチャンピオンズリーグACLで対戦したアウェイの鹿島戦でもフル出場し、日本のサッカーを体験している選手です。
2. シャルル・サアド(ペラTBG、26歳)
 現代表のセンターバックを務めるシャルル選手は、準優勝した2018年のスズキカップでも活躍し、今回のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選全てに出場しています。
3. ハリス・ハイカル(スランゴールFC II、18歳)
 マレーシアサッカー協会FAMが運営するエリート選手アカデミーのAMDを卒業し、スランゴールFCのBチーム、スランゴールFC IIに加入したばかりのハリス選手は、昨年2019年のAFF U18選手権準優勝に貢献しただけでなく、飛び級でU22代表に招集され東南アジア競技大会にも参加するなど最も期待されているディフェンダーで、守備だけでなく積極的な攻撃参加も魅力的な選手です。
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 日本のクラブ(探しているのはJ2のクラブらしいです)が求めるのが即戦力なのか、育成枠扱いなのかにもよりますが、個人的にはハリス選手にチャンスが巡ってくると良いですね。この年代は東南アジアでは良い成績を残している年代なので、高みを目指してほしいです。そしてフル代表になったときに、国内ではなく日本のクラブから招集される、なんてことになるとフル代表も強くなりそうです。

2月7日のニュース:クラスニキのマレーシア国籍取得に様々な反応、TMが今季のMFLスポンサーに復帰、日本のクラブがマレーシア人選手を募集、MFLがFAカップ予選詳細を発表

クラスニキのマレーシア国籍取得に様々な反応
 先日、このブログでも取り上げたコソボ出身のリリドン・クラスニキ(JDT)のマレーシア国籍取得について、英字紙ニューストレイトタイムズは、ソーシャルメディア上では様々な反応がみられると報じています。
 クダFAで4年、マラッカ・ユナイテッドで1年プレーし、国際サッカー連盟FIFAが規定する帰化選手の条件を満たすクラスニキ選手がマレーシア国籍を取得したことに対し、多くのサッカーファンはクラスニキ選手が今後、フル代表でプレーすれば代表の戦力強化につながるとしてこれを歓迎しています。
 しかしその一方で、マレーシア国内にいる「無国籍」状態の子どもの問題と絡めて、「無国籍の子どもは全員JDTでプレーすれば良い。そうすればすぐにマレーシア国籍が取得できる」と皮肉を込めたツイートや、「マレーシア国籍を申請するには最低12年の滞在歴が必要であると憲法で規定されているが、クラスニキ選手がマレーシアに来たのは2015年である」と憲法を持ち出して非難するツイートなどもみられるます。
 この他、マレーシアサッカー協会FAMが帰化選手を活用してアジアの強国と競えるようになることへの期待がある一方で、帰化選手に安易に依存することへの批判などもあるとニューストレートタイムズは報じています。
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 クラスニキ選手の国籍取得が「無国籍」状態の子どもと対比されているのは、それだけ「無国籍」状態の子どもがマレーシアでは深刻な問題であるため、このような反応となって現れたのでしょう。例え片親がマレーシア人であっても、両親が正式な婚姻届を提出する前に生まれた子どもには自動的にマレーシア国籍が与えられないため、その子どもは「無国籍」状態になってしまいます。またインドネシアやフィリピンからやって来るいわゆる出稼ぎ(そしてビザを持たない不法の)労働者とマレーシア人女性の間に子どもが生まれ、届出をすれば自分の不法就労がバレてしまうことから、届出をせずにいるケースも多いようです。
 「無国籍」状態の子どもの数はフィリピンやインドネシアと隣り合うサバ州ではおよそ5万人、一説には全国では20万人を超えるとされ、不法労働者の中には数十年に渡ってマレーシアに滞在しているケースもあることから、「無国籍」状態の親が産んだ子どもが「無国籍」になるケースなどもあり、正確な人数の把握は難しいようです。また、そういった子どもたちが教育を受けられなかったり、仕事につけないなど人権問題にもなっています。
 また無国籍状態の子どもがマレーシア国籍を取得できる年齢の上限が21歳と法律で定められており、それを過ぎると国籍取得は事実上困難になるため、28歳のクラスニキ選手がマレーシア滞在わずか5年で国籍を取得したことがダブルスタンダードであると非難する声が上がっています。

TMが今季のMFLスポンサーに復帰
 マレーシア最大のマルチメディア企業のテレコムマレーシア社TMが、今季のマレーシアフットボールリーグMFLの冠スポンサーとして復帰すると、マレーシアの通信社ベルナマが報じています。
 TM社は子会社TMマルチメディア社を通じて、マレーシアフットボールリーグMFLとのスポンサー契約締結イベントをを本日2月7日に開催することをメディア向けに告知しているようです。
 記事のタイトルに「復帰」とつけましたが、2018年1月にTM社はインターネットサービスプロバイダー事業部門のUnifi(ユニファイ)をリーグの冠スポンサーとしたスポンサー契約をMFLとの間で締結しました。その額は8年契約で4億8000万リンギ(およそ128億円)で、マレーシアのスポーツスポンサー契約としては史上最大として大きなニュースになりましたが、その翌年2019年3月にはMFLとTM社の双方が契約破棄を発表し、1年ほどでこの契約は頓挫してしまいました。その後、MFLはTM社に対する損害賠償訴訟を起こしましたが、昨年2019年10月には訴訟を取り下げていました。

日本のクラブがマレーシア人選手を募集
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、日本の選手エージェントがマレーシアで選手を募集していると報じています。
 ヴォケットFCによれば、選手募集を行っているのは「世界中で愛されているサッカーを通じ、日本から世界へ挑戦をする人達のベストパートナーとなることを目指している」Goal Sports Agencyで、Twitter上に以下のようなツイートを日本語で掲載しています。

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 このように日本語でツイートしているということは、このGoal Sports Agencyさんが募集しようとしているのは「日本から世界へ挑戦をする」選手、つまり日本から来てマレーシアリーグでプレーしたい選手ということでしょうか、それとも日本語が読める人に向けてマレーシア人選手を紹介してほしい、ということなのか、この情報だけではわかりませんね。
 日本のクラブがマレーシア人を求めているとすると、この年代でMFLの試合に出ている選手と言えば、アキヤ・ラシド(JDT)くらいしか思いつきませんが、彼はFWなので該当しません。年代的には各クラブのプレジデントカップ(U21)やユースカップ(U19)チームに所属している選手となるので、MFL(Aチーム)でプレーできていない段階で、日本へ行っても試合に出られるのかどうかはわかりません。
 そう言えばスランゴールFCのBチーム、スランゴールFC IIには今季、マレーシアサッカー協会FAMのエリート養成のサッカーアカデミーAMDからの卒業生が退去加入しているので、その辺りなら候補者がいるかも知れません。

MFLがFAカップ予選詳細を発表
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトでは、今季のFAカップ予選の詳細が発表されています。
 MFL3部と4部に当たるM3リーグとM4リーグに所属する30クラブが対戦する予選は今月2月15日と16日の対戦カードは既に決まっていましたが、試合会場や時間は発表になっていませんでした。なお、予定されていた試合のうち、ノッサブキジュルトンFCとクルアンFAの試合は、クルアンFAが出場を取りやめたため、ノッサブキジュルトンFCが一回戦へと駒を進めています。
 この予選を勝ち上がった16クラブと予選を不戦勝で勝ち上がった8クラブが1回戦で対戦し、2回戦からはMFL1部と2部のクラブが登場します。
 詳しい試合日程はこちらです。

2月5日のニュース:シーズン開幕を前にPDRM FCの勝点3剥奪(はくだつ)が確定、デ・パウラの帰化申請の結果発表は数週間後、ACLは新型コロナウィルの影響で一部日程が変更に

シーズン開幕を前にPDRM FCの勝点3剥奪が確定
 先日もこのブログで取り上げた通り、マレーシアフットボールリーグMFL1部のPDRM FCは2月28日のMFL開幕を前にして、既に勝点3の剥奪が確定しました。
 マレーシアサッカー協会FAMは、1月31日までに未払い給料完済あるいは未払い給料支払い方法について選手及びスタッフとの間で合意を得られなければ、今季MFLでの勝点剥奪処分を科すとの警告を、PDRM FCの他、MFL1部のマラッカ・ユナイテッドFCとMFL2部のケランタンFAにも出していましたが、マラッカ・ユナイテッドFCは270万リンギ(およそ7130万円、1リンギはおよそ26.4円)ある負債の内210万リンギを、ケランタンFAは160万リンギの負債の内の100万リンギを既に支払っており、また残る未払い給料については両クラブとも選手との間で完済まで期限についての合意が得られているということで今回、勝点の剥奪がないことが、FAMのホームページで告知されています。
 マレーシア王立警察が運営するPDRM FCは、2月28日までにこの未払い給料問題の解決ができない場合、さらに勝点6が剥奪されることになっています。
 またFAMは選手への給料未払い問題が解決した後は、税務署、従業員積立基金EPF、従業員社会保障制度SOCSOなど公的機関に対する各クラブの負債の有無についての調査を行うとしています。
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 PDRM FCの給料未払い問題については、昨季在籍し、5ヶ月以上の給料が未払いになっているコーチ選手がクラブから話し合いの提案などを全く受けていないことを他のメディアで明らかにしており、クラブの姿勢に疑問が出ています。2月28日の期限を過ぎ、次の期限となる3月30日にまでに進展がなければ、今季の出場停止と自動降格の処分が下されることになっています。
(下はFAMのホームページで発表された各クラブへの処分の告知)

デ・パウラの帰化申請の結果発表は数週間後
 一昨日発表されたリリドン・クラスニキ(JDT)のマレーシア国籍獲得の際に話題となったのが、もう1人の帰化選手候補であるブラジル出身のギルェルメ・デ・パウラ(ペラTBG)。このデ・パウラ選手の帰化申請について、マレーシアサッカー協会のスチュアート・ラマリンガム事務局長がマレー語紙シナルハリアンのインタビューに答えています。
 2016年シーズンはPDRM FCで、その後は昨季までクアラルンプールFAに所属、今季はペラTBGでプレーするデ・パウラ選手について、ラマリンガム事務局長はいくつか解決が必要な問題があるものの、2週間程度でそれらは解決できるだろうとしています。
 ラマリンガム事務局長は、FAMは(国籍取得を扱う)マレーシア内務省に対して一方的に国籍取得許可を依頼することはできず、、マレーシア人となるべき適切な人物を推薦し、関係各省と協力しながら国籍取得をサポートしていると述べています。

ACLは新型コロナウィルの影響で一部日程が変更に
 アジアサッカー連盟AFCは本部のあるクアラルンプールで緊急会議を開催し、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、AFCチャンピオンズリーグACLグループステージの一部日程変更をホームページで告知しています。
 具体的には中国の4クラブ(北京国安、上海上港、上海申花、広州恒大)について、第1節から第3節までに予定されていた試合は全て4月あるいは5月まで延期となりました。また第4節以降についても、状況が大きく変化する叶瀬があることから、各試合日から21日前までに予定通り試合実施が可能かどうかを決定し、試合実施が不可能となった場合は試合日より14日前までにホームチームの責任で試合を行う中立国を決定するなどの措置をとることも言及しています。
 またこれに伴い、各グループの上位2クラブが出場するノックアウトステージ(ベスト16)の試合はは第1戦が6月16日あるいは17日、第2戦が6月23日あるいは24日へと変更になっています。
 AFCは当初、今季のACLグループステージ第3節までの中国クラブのホームゲームを全て対戦クラブのホームゲームと入れ替えることで対処しようとしていましたが、オーストラリアサッカー協会などから、中国からの入国が一時的に制限されており試合の開催が不可能であるとして、日程変更を求める声が上がっていました。
 この日程変更の結果、MFLチャンピオンとして出場するジョホール・ダルル・タジムJDT関連では、第2節の2月19日にJDTのホームで開催が予定されていた広州恒大との試合が5月20日に延期となっています。

2月3日のニュース:JDTが今季ユニフォームをド派手に発表、ファイズ・スブリはM3のクラブから再起を目指す、フェルダUは期待の若手が開幕に間に合わず

JDTが今季ユニフォームをド派手に発表
 今季のマレーシアフットボールリーグで7連覇を目指すジョホール・ダルル・タジムJDTが、今季着用するユニフォームの発表イベントを開催したことをFacebookで告知しています。5000人近いサポーターが参加したこのイベントで発表されたユニフォームは3年連続のナイキ社製ですが、なんとホーム、アウェイとも胸スポンサーがありません。胸スポンサーがない理由についてJDTのFacebookでは「JDTは、MFLで初の資産価値10億リンギ(およそ264億円)クラブという目標実現に向けて、(スポンサーが無くとも)クラブ自体の商業価値のみで運営可能であることを表現している」としています。
 なおマレーシアの通信社ベルナマの報道によれば、JDTとナイキ社のユニフォーム提供の契約は2023年まで延長されたようです。
 ユニフォーム発表イベントはFacebookでライブストリーミングで中継された他、ユニフォーム紹介の映像もFacebook上で公開されています。内容はドラマ仕立て版ミュージックビデオ仕立て版となっていて、ドラマ仕立て版では西部劇に出てくるようなサロン風の店にムスリム(イスラム教徒)の選手がいるのは良いのか、など突っ込みどころもありますが、選手の皆さんの素人っぽい演技には個人的には好感が持てました。
(下はユニフォーム発表イベントの様子と、今季着用の新ユニフォーム-いずれもJDTのFacebookより)

 ちなみに早速、ネット上ではナイキ社製のJDTの新ユニフォームが、ブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルトの今季ホームユニフォーム(写真右)とただの色違いとの指摘も出ています。

でも、そんなこと言ったらロット社製のクダFAの今季サードユニフォームは、やはり同じブンデスリーガ、1.FSVマインツ05の昨季のカーニバルユニフォーム(写真右)との色違いだよ!

ファイズ・スブリはM3のクラブから再起を目指す
 国際サッカー連盟FIFAが2009年に創設したプスカシュ賞は、前年10月から当年9月までに開催されたリーグ戦やカップ戦、FIFA主催大会がで最も優れたゴールをした選手が授賞対象はとなる賞です。2016年にこの賞をアジア人として初めて受賞したのが当時MFLのペナンFAでプレーしていたファイズ・スブリでした。受賞対象となった、当時「重力の法則を無視した」と表現されたフリーキックの映像は下に張りましたが、ファイズ選手自身はその後、目立った活躍もないまま、2018年シーズン後にペナンFAを退団、このブログでもその後の所属クラブが決まらないことを取り上げましたが、結局、昨季はMFLでプレーすることはありませんでした。
 そのファイズ選手が、今季はMFL3部にあたるM3リーグのMAHSAノーザンライオンズFCでプレーすることが、クラブのFacebookで発表になっています。なおファイズ選手が所属するMAHSAノーザンライオンズFCは、今月中旬に行われるマレーシアFAカップ予選でクルテーFCと対戦することになっています。
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 プスカシュ賞を受賞したフリーキックの映像と、表彰式の映像を張りましたが、フリーキックの方は、どのように蹴ればあのような軌道になるのか、と思うような驚くような変化をするので、是非、見ていただければと思います。

2016年2月16日のMFL1部パハンFAとの試合で決めたフリーキックの映像はこちら。
プスカシュ賞授賞式でのスピーチはこちらです。

フェルダUは期待の若手が開幕に間に合わず
 フェルダ・ユナイテッドのアフィザル・アブ・オスマン事務局長は、チーム期待の若手であるダニエル・アミール・ノーヒシャムが昨年から患っている中足骨骨折の手術を受けることを公表しています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、手術は明日2月4日に行われ、3週間程度は療養が必要であると語っています。昨季からのこの中足骨には悩まされており、昨季も5試合ほどは出場を見送るなどしていましたが、今季開幕前の手術に踏み切ることになったとアフィザル事務局長は話しています。
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 クラブで唯一のフル代表選手でもあるダニエル選手のこの時期の離脱は本人はもちろん、チームにとっても痛手なのは明らかです。チームはプレシーズンもメダンの大会で優勝するなど、開幕に向けて順調に来ていただけに、ダニエル選手の早期復帰が望まれます。

1月6日のニュース:UITM FCには元U22監督が就任、MFLが今季前半の日程を発表、ケランタンFAが元代表GKらと未払い給料支払い方法で合意

UITM FCには元U22監督が就任
 今季2020年シーズンはマレーシアフットボールリーグMFL1部に昇格するUITM FCの新監督に元マレーシアU22代表監督を務めたフランク・バーンハート氏が就任することがUITM FCのFacebookで告知されています。
 UITM FCは、今季の昇格に貢献したイスマイル・ザカリア前監督が、財政事情から1部昇格にもかかわらず現役大学生主体のチーム作りを進めるフロントと合意に至らず辞任し監督不在となっていました。
 2015年から2017年までU22代表監督を務めたバーンハート氏は、マレーシアサッカー協会FAMの会長にJDTオーナーのトゥンク・イスマイル殿下が就任すると同時に解雇されていますが、これはFAM会長就任前から、バーンハート氏によるJDTの選手の招集期間の長さに不満を持っていた事が原因とされています。
 UITM FCの会長を務めるアジザン・アブドラ教授は、UITM FCがMFL1部でプレーするのを見るのが夢だったと語っていますが、MFL1部でプレーする大学を母体とする初のクラブとなったUITM FCは、MFL2部に在籍していた昨季と同じ額の運営予算でMFL1部を戦うことを明言しており、今後の新戦力補強次第ではMFL1部の数合わせで終わり、1シーズンにMFL2部へ戻る可能性は大いにあります。
(握手するバーンハート新監督とアジザン会長-UITM FCのFacebookより)

MFLが今季前半の日程を発表
 マレーシアフットボールリーグMFLのホームページでは、MFL1部スーパーリーグMFL2部プレミアリーグの今季前半日程を発表しています。
 2月28日に行われる、昨季のMFL1部チャンピンJDTとFAカップチャンピオンのクダFAがJDTの新しいホームとなるスルタン・イブラヒムスタジアムで対戦するスンバンシーカップ(日本で言えば「富士ゼロックススーパーカップ」に該当しますが、この試合はMFL1部公式戦でもあります。)を皮切りに前半戦最終節となる第11節(5月13日)までの日程が発表になっています。
 日程がリーグ前半のみと発表となっているのは、FIFAワールドカップアジア二次予選兼2023年アジアサッカー連盟AFC選手権アジアカップ予選や、AFCチャンピオンズリーグACLを考慮したもので、開幕が例年に比べて遅くなっているのは、各クラブが予算以上の選手獲得に歯止めをかける経済コントロールプログラムECPが今季から導入され、開幕前に各クラブから提出される経営状況を精査する時間を確保するためとしています。
 またMFLのホームページでは、リーグ戦日程の他、FAカップやマレーシアカップの日程も発表になっています。今年のFAカップは予選がMFL開幕前の2月3日から始まり、本選は2月22日に1回戦が始まり、決勝は7月25日、またマレーシアカップは8月4日からグループステージが始まり、決勝は10月31日に予定されています。
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 ムスリム(イスラム教徒)が選手の大半を占めるマレーシアのプロサッカーリーグMFLですが、断食月(今年2020年は4月24日から5月23日の予定)中の試合実施について各クラブから特に反対意見も出なかったようで、昨年同様、試合開始時間を午後10時からとして行われます。これは断食明けとなる日没後の礼拝マグリブ(Magrib)が今年の断食月の頃だと午後7時20分過ぎとなるため、この時間に断食明けの食事をしてから試合に臨みます。もっと早く試合を開始しても良いのでは、と思う方がいるかも知れませんが、就寝前に行う1日の最後の礼拝イシャ(Isha)は同じく午後8時30分過ぎですので、この礼拝の後に試合開始となります。なお、断食月以外でもMFLの試合は1部、2部を問わずほとんどの試合が午後9時開始となっています。
 断食月中にプレーするムスリムの選手も大変ですが、断食月中の試合は午前0時近くに終了するため、観戦者にとってもなかなか大変です。特にムスリムのサポーターは、日の出と同時に始まる断食(今年だと午前6時前後)前には朝食を終えてないと日没まで何も食べられなくなってしまうため、眠るのが遅い時間になるにもかかわらず早起きを強いられます。

ケランタンFAが元代表GKらと未払い給料支払い方法で合意
 MFL2部のケランタンFAがかつて所属した元代表GKのカイルル・ファミ・チェ・マットと元キャプテンのピヤことモハマド・バドリ・ラジと未払い給料の支払い方法で合意したと英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
  驚いたことに2016年から持ち越された未払い給料はアペックことカイルル選手が14万3000リンギ(およそ378万円)、ピヤことバドリ選手は18万リンギ(およそ475万円)とのことで、これを5ヶ月の分割払いで支払うことがケランタンFAを運営するレッドウォリアーズ社と両選手との間で合意されたということです。
 2009年から2018年までケランタンFAに在籍したカイルル選手と2007年から2018年まで在籍したバドリ選手はともにケランタンFAがリーグ戦、FAカップ、マレーシアカップの三冠を獲得した2012年、マレーシアカップ連覇を果たした2013年と絶頂時の頃の主力選手でした。
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 別のメディアでは今月1月から5月までの間に未払い給料を完済すると話すレッドウォリアーズ社のダト・ワン・ラケミ・ザハリ代表の話を紹介していますが、気になるのは今月分の支払いは、先日行われたクダFAとケランタンFAの練習試合の入場料収入で支払われたと話している点です。未払い給料を解決するために設定された試合ではないでしょうから、このような自転車操業を行なっているようでは、この入場料収入の本来の使い道(現役選手の給料かもしれませんし、スタッフの給料かもしれません)がとばっちりを受けることになりかねません。
 昨季、ケランタンFAはかつて在籍した外国籍選手が給料未払い給料問題をFIFAに提訴し、その結果としてリーグ戦では勝点3を剥奪されています。また上でも述べた経済コントロールプログラムECPの導入により、未払い問題の解決の目処が立たないクラブは今季のクラブライセンスが発給されない可能性もあり、それを裂けつためにケランタンFAは給料未払い問題解決を急いでいるようです。ただしビッグネームの二人の問題が片付いても、他にも同じように未払い給料問題で困っている選手が複数いるとされるケランタンFAの前途は多難のように見えます。 


 

1月4日のニュース:FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的、MFLでは多くの選手が減給に直面

FAMは給料未払いクラブのMFL参加停止には消極的
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、給料未払い問題が解決していないクラブの今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL参加停止については慎重に対応したいと述べていると、スポーツ専門サイトフォックススポーツが報じています。。
 今季開幕を2月29日に控えるMFLですが、その参加クラブの中には昨季2019年シーズンの未払い給料問題が解決していないクラブが複数あり、給料を受け取っていない選手たちからはそういったチームの今季MFL参加をMFL自身やFAMが停止するべきという声が上がっています。
 これに対してラマリンガム事務局長は、この事態をFAMが手をこまねいて見ているわけではないとしながらも、クラブのMFL出場停止についてはその措置による影響の大きさを考慮して慎重に対応したいと述べています。
 「クラブが出場停止になれば、スポンサーを失い、サポーターも失い、結果的にはクラブの解散という事態も起こりうる。クラブが解散すれば、そのクラブと契約した選手やコーチ、クラブを運営するフロントなどなども収入源を失い、誰も得をしない状況となる可能性がある。」
 「例え分割払いのような方法になったとしても、クラブが未払い給料を選手に支払うことの方が、クラブが解散して一文も払われないよりは良いだろう。」
 「この方法は現実的で、大半のクラブはこの方法で未払い給料を支払えるだろうが、もし選手が全額を一括払いで求めるのであれば、難しいだろう。」などと発言しています。なお、給料未払い問題を抱えるクラブとしてマラッカ・ユナイテッド、PDRM FC(以上MFL1部)、サラワク・ユナイテッド、ペナンFA、ケランタンFA(以上MFL2部)などの名前が上がっています。
 またラマリンガム事務局長は、給料未払い問題を抱えるクラブに対しては「FAMの寛容さを利用することなく、真剣に問題に取り組むことを求め、必要な場合には今季のクラブライセンスの無効化なども含めた断固とした措置を取る用意があることも併せて強調しています。
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 メディアの報道によると、給料未払い問題を抱えるクラブの中には、給料が支払われていない選手たちの気持ちを逆撫でするように、今期に向けて新たな外国籍選手を獲得するクラブなどもあり、選手に給料を支払わないプロクラブを抱えるリーグMFLやそれを統括するサッカー協会FAMがこの状況にどう対処していくのかに注目です。

MFLでは多くの選手が減給に直面
 これまで高給を取っていたMFL所属クラブの選手たちの多くが、今季は50パーセント以上の減俸を受け入れて契約しているという代理人の話を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。代表クラスの選手は依然として高給を受け取っているものの、「元代表選手」や「準レギュラー」クラスの選手たちは、生活がかかっているためクラブとの契約獲得に必死で、従来より低い給料での契約を受け入れているとしています。
 今季はMFLの多くのクラブが年間運営資金削減を行っており、記事の中では、MFL2部のマレーシア国立大学UKMを母体とするUKM FCは運営資金が昨季の400万リンギ(およそ1億500万円)から今季は150万リンギ(およそ4000万円)となっていること、マラ工科大学UITMを母体とし、MFL1部に昇格したUITM FCは現役大学生が、同じ昇格組でマレーシア王立警察が母体のPDRM FCは新規採用の警察官が今季のチームの主力になっていることなどを報じ、ジョホール・ダルル・タジムJDT、スランゴールFC、クダFAなど今季に向けて大型補強を行ったクラブはむしろ例外的であるとしています。
 また、MFL2部に所属するJDT II、トレンガヌFC II、ペラTBG II、スランゴールFC IIといったMFL1部クラブのBチームは育成目的で若手主体のチーム編成となっており、これまで高給を取ってきた選手たちの所属先とはならないことや、スランゴールFCに合併吸収されて同クラブのBチーム、スランゴールFC IIとなったPKNS FC(昨季MFL1部9位)や、サラワクFA(同MFL2部11位)に買われたスランゴール・ユナイテッドFC(同MFL2部9位)の選手たちの多くは所属先を失ったため、市場に選手があふれているとしています。
 また記事の中では、所属先を探す選手からの問い合わせが例年になく多いと話す選手の代理人の談話を紹介し、これまでなら月額4万から5万リンギ(およそ105万から131万円)の給料を取っていた選手たちが、今季は1万5千から2万リンギ(およそ40万円から53万円)の給料でも契約していることを述べ、その結果、これまで月額2万リンギやそれ以下の給料を取っていた選手の所属先が見つからなくなって現状を紹介しています。中にはより低い給料でMFL3部にあたるM3リーグでプレーすることを選ぶ選手もいるそうですが、この代理人の話では、M3リーグではトップの選手でも月額5千リンギ(およそ13万円)を超えることはないそうです。
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 選手を苦しめる給料未払い問題の発生を防ぐためには、各クラブは「身の丈に合った経営」を行う必要がありますが、その一方でクラブが選手の給料を低く設定しすぎて、プロサッカー選手という職業に魅力がなくなれば、プロリーグそのものが衰退してしまう可能性もあります。雇用主である各クラブやリーグを運営するMFLは、マレーシアプロサッカー選手会PFAM、さらにはマレーシアサッカー協会FAMなどとも協議をしながら、問題解決の糸口を探る必要がありそうです。