4月6日のニュース:FAMが職員及び役員の給料削減を発表、MFLも職員の給料削減を発表、マラッカUの連敗は給料未払いが原因か

FAMがやっと職員および役員の給料削減を発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトで職員の一時的な給料削減を発表していますが、ただしその条件は現在発令中の活動制限令MCOが4月14日以降も継続となった場合に限るようです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、「政府期間からの要望により」運営管理および現場担当の全職員について、給料に基づいて10から20パーセントの給料削減となると発表しています。
 「FAMの財政安定を確保し、現在起こっている未曾有の事態を切り抜けるために様々な費用削減の手段を実施する中で、MCOが4月14日移行も継続された場合には全職員の給料を削減する」としており、この他FAM会長など選出された役員もその具体的な内容は伝えられていませんが報酬削減が行われるとしています。

MFLも遅れて職員の給料削減を発表
 国内リーグを統括するマレーシアフットボールリーグMFLもアブドル・ガニ・ハサンCEOの名前で、職員の給料を10から20パーセント削減すると発表しています。ただし、こちらもFAM同様、活動制限令MCOが4月14日移行も延長した場合に実施され、CEO発令中に限る措置であるとしています。
 FAMのハミディン・アミン会長はMFLの会長も兼任しているため、FAMが職員の給料削減を4月3日に発表されたことから、MFLでも同様の措置が取られることは予想されていましたが、ビデオコンファレンスで行われた取締役会を経て1日遅れの4月4日に発表になっています。
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 これら2つの記事で目を引くのは、いずれの給料削減措置も現在発令中の活動制限令MCOが4月14日以降も延長になった場合を条件にしていることです。リーグの各クラブにはそれ以前から選手と給料削減について交渉することを奨励しながら、自らは4月14日に予定されているMCOが解除になった場合に給料削減を行うというのは、共に痛みを分かち合う、という発想が全く欠如しているように感じます。

マラッカUの連敗は給料未払いが原因か
 今季のMFL開幕から2連勝と好スタートを切ったマラッカ・ユナイテッドは、第3節のフェルダ・ユナイテッド戦、第4節のパハンFA戦と連敗し、2勝2敗の成績でリーグ中断期間に入りましたが、マラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAの副会長はこの連敗の原因が給料未払いによる可能性があると語っています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、2月から支払われていない未払い給料が選手のパフォーマンスに影響を与えているのではないかとするユソフ・マハディMUSA副会長の発言を取り上げています。
 またユソフ・マハディMUSA副会長は、連勝ストップとなった第3節のフェルダ・ユナイテッド戦では、給料未払いにより一部選手が試合を放棄したこと、過去3ヶ月間の給料支払いが遅れていることも認めています。
 今年3月に起こった政変により各州の州議会でも多数派を占めていた与党が議席を失い、マラッカ州でも州知事が交代しています。マレーシアの多くの州と同様にマラッカ州サッカー協会MUSAの会長は州知事が兼任することから、MUSAの新会長にもたダト・スライマン・モハマド・アリ氏が就任していますが、給料未払い問題については新たな展開は無いようです。
 またマレー語紙ブリタハリアン電子版では、MUSAのファルハン・イブラヒム事務局長の話として、遅配となっている今季の給料ではなく、昨季の未払い給料の支払いを優先するとしており、リーグが再開されたとしても、給料の遅配が続けばマラッカ・ユナイテッドの選手たちのモチベーションが影響を受けることもありそうです。
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 マラッカ・ユナイテッドは、支払いが遅れている2月以降の給料の他に、昨季分の140万リンギ(およそ3490万円)の未払い給料がありますが、選手との間で同意していた期限までに支払いができなかったことから、MFLにより勝点3の剥奪処分を受けてており、こちらの未払い給料については4月30日までに支払いが完了しない場合、さらに勝点6が剥奪されることになっています。

4月5日のニュース:スーパーリーグの高額外国籍選手トップ12と高額マレーシア人選手トップ12

 このブログでも何度も記事を引用しているサッカー専門サイトのヴォケットFCが、サッカー情報を提供するドイツのTransfemarketを参考にマレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグの高額外国籍選手と高額マレーシア人選手という特集記事を掲載しています。元の記事は選手の市場価値を紹介しているだけなので、それをそのまま紹介するだけでは味気ないので、独断と偏見で内容を加筆してみました。
 (カッコ)内は、外国籍選手は年齢/ポジション/所属クラブ/国籍、マレーシア人選手は年齢/ポジション/所属クラブです。

高額外国籍選手トップ10

1位 ジオゴ(センターFW / ジョホール・ダルル・タジムJDT / 33歳 / ブラジル)
380万リンギ(およそ9500万円、1リンギはおよそ25円)
昨季2019年にタイ1部リーグのブリーラム・ユナイテッドからタイリーグ2度の得点王の実績を持って加入したジオゴ選手。ブリーラム・ユナイテッドとの契約がまだ1年残っていましたが、当時の報道では、JDTがブリーラム・ユナイテッドに500万タイバーツ(およそ646万リンギ)を支払って獲得してました。今季は4試合で2ゴールを決めています。

2位 ゴンザロ・カブレラ(左ウィング / JDT / 32歳 / イラク)
360万リンギ(およそ8960万円)
2017年にサウジアラビアのアル・ファイサリーから期限付き移籍でJDTに加入した際にはアルゼンチン出身の外国籍選手としてプレーしました。シーズン終了後に一旦、退団が発表されたものの、翌2018年シーズンには完全移籍でJDTに再加入、しかもイラク出身としてアジア枠で登録されました。

3位 レアンドロ・ヴェラスケス(攻撃的MF / JDT / 31歳 / アルゼンチン)
330万リンギ(およそ8820万円)
2015年にJDTに加入し、JDTのアジア初タイトルとなる同年AFCカップの決勝でゴールを決めるなど活躍しました。翌2016年にコロンビアのデポルティーボ・パストへ移籍、ティブローネス・ロホス・デ・ベラクルス (メキシコ)、リオネグロ・アギラス(コロンビア)を経て、今季2019年から再びJDTでプレーしています。

3位 サンジャル・シャアフメドフ(攻撃的MF / トレンガヌFC / 30歳 / ウズベキスタン)
330万リンギ(およそ8820万円)
昨季2019年シーズンにウズベキスタン1部リーグのロコモティフ・タシュケントからトレンガヌFCに加入し、主力選手として迎える2シーズン目の今季は4試合で2ゴールを決めています。

5位 マウリシオ・ドス・サントス・ナシメント(センターバック / JDT / 32歳 / ブラジル)
280万リンギ(およそ6980万円)
昨季2019年シーズンからJDTでプレーするマウリシオ選手は、パルメイラス(ブラジル)のユース出身で、スポルティング(ポルトガル)からセリエAのラツィオへ移籍しました。ラツィオから期限付き移籍で移籍したスパルタク・モスクワ(ロシア)では国内リーグ優勝に貢献、その後、期限付き移籍したレギア・ワルシャワ(ポーランド)を経て2019年にJDTに加入しています。ディフェンダーながらセットプレーでは得点に絡むことも多く、3月3日に行われた今季のAFCチャンピオンズリーグ水原三星戦で決勝ゴールを決めたのは記憶に新しいところです。

6位 デンバ・カマラ(センターFW / PJシティFC / 26歳 / ギニア)
190万リンギ(およそ4730万円)
今季2020年シーズンからマレーシアでプレーするカマラ選手は、イスラエルリーグのハポエル・テルアビブからPJシティFCに移籍しています。今季は4試合で2ゴールを決めています。

7位 イフェダヨ・オルセグン(FW / スランゴールFC / 29歳 / ナイジェリア)
180万リンギ(およそ4490万円)
昨季2019年の2度目の移籍期間トランスファーウィンドウで、バーレーンリーグのアル・リファーから移籍し、10試合で12ゴールを挙げ、今季も4試合で3ゴールと活躍しています。

8位 クパー・シャーマン(センターFW / クダFA / 28歳 / リベリア)
160万リンギ(およそ3990万円)
2018年シーズンにPJシティFCの前身である当時MFL2部のMISC-MIFAに入団し29試合で21ゴールを決め、昨季2019年シーズンはPKNS FCに移籍し、19試合で14ゴールを挙げてリーグ得点王となったシャーマン選手は、所属するPKNS FCが2019年シーズンを持って解散となり、今季はクダFAに移籍しています。今季は4試合で3ゴールを挙げています。

8位 ディクソン・ヌワカエメ(センターFW / パハンFA / 34歳 / ナイジェリア)
160万リンギ(およそ3990万円)
フランスリーグのアンジェSCOから2019年に加入したヌワカエメ選手は、「鉄人」のニックネームを持ち、パハンFAサポーターから絶大な人気を集めています。マレーシア1年目は13試合で7ゴール、前主将のマシュー・デイヴィーズがJDTに移籍した今季は新たに主将を務めながら4試合で2ゴールを決めています。

8位 カレッカ(攻撃的MF / ペラTBG / 25歳 / ブラジル)
160万リンギ(およそ3990万円)
スランゴールFCのオルセグン選手同様、昨季の2度目のトランスファーウィンドウでアトレチコ・アクレアーノ(ブラジル)から加入したカレッカ選手は10試合で7ゴールを挙げましたが、2年目の今季はまだゴールはありません。

8位 ドミニク・ダ・シウヴァ(センターFW / トレンガヌFC / 31歳 / モーリタニア)
160万リンギ(およそ3990万円)
今季2020年にベトナムリーグのサイゴンFCから移籍したダ・シウヴァ選手は、今季2試合目のクダFA戦で4ゴールを挙げています。

8位 レナン・アウヴェス(センターバック / クダFA / 28歳 / ブラジル)
160万リンギ(およそ3990万円)
昨季2019年にインドネシアリーグのボルネオFCから移籍し、クダFAの守備陣を引っ張るアウヴェス選手。昨季のFAカップ決勝前のリーグ戦でイエロー、レッドともらい決勝戦に出場できず、今季もAFCチャンピオンズリーグのプレーオフでソウルFC相手にゴール前で無意味なハンドでPKを与えるなど、個人的にはポカが多い選手という印象です。

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 トップ10にする予定でしたが、8位タイが4名となりトップ12になってしまいました。JDTはこのトップ12に4選手が入っていますが、さすが金満クラブの面目躍如というところでしょうか。興味深いのはクダFAとトレンガヌFCの2選手が含まれていること。特に開幕前には一部選手に給料未払いの噂も出ていたトレンガヌFCですが、財源が実は豊かなのか、あるいは後先考えずに予算を注ぎ込んでいるのか、今後が気になります。またクダFAは昨季からの外国籍選手をレナン・アウヴェス以外全員を入れ替えるなど、打倒JDTへの覚悟が見える補強を行っています。

高額マレーシア人選手トップ12

1位 リリドン・クラスニキ(攻撃的MF / JDT / 28歳)
210万リンギ(およそ5230万円)
コソボ共和国出身のクラスニキ選手は、2015年から2018年まではクダFA、昨季2019年はマラッカ・ユナイテッドでプレーした結果、FIFAの規定により国籍変更が認められ、今年3月にマレーシア国籍を取得したマレーシア人と血縁関係がない二人目の帰化マレーシア人選手です。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が再開されれば、クダFA時代の監督だったタン・チェンホー現代表監督派クラスニキ選手を招集することが予想されています。

2位 ナチョ・インサ(セントラルMF / JDT / 34歳)
180万リンギ(およそ4480万円)
2017年シーズン途中にJDTに加入したインサ選手は、スペイン出身ながら、祖母がマレーシアのサバ州出身であることから、弟のキコ・インサとともにマレーシア国籍を取得した帰化選手です。膝のケガで2019年シーズンを丸々棒に振ったインサ選手ですが、今季はAFCチャンピオンズリーグの水原三星に出場し、MFLでも今季4試合中3試合に出場するなど、代表復帰が見えてきています。

3位 ブレンダン・ガン(セントラルMF / スランゴールFC / 32歳)
160万リンギ(およそ3980万円)
オーストラリア生まれのガン選手は両親がマレーシアのヌグリスンビラン州出身であることから、オーストラリアとマレーシアの両国の代表でプレーする資格がありました。2012年にサバFAでプレーした際は外国籍選手登録でしたが、ケランタンFAでプレーした2014年からはマレーシア人選手としてに登録されています。U23代表でのプレーを経て招集されたフル代表では中心選手として、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアが2位にいる原動力となっています。今季からスランゴールFCでプレーしますが、ペラTBGからの移籍は大きな話題となりました。

4位 ラヴェル・コービン=オング(左バック / JDT / 29歳)
150万リンギ(およそ3730万円)
ロンドン生まれ、カナダ育ちのコービン=オング選手は、ドイツやオランダでのプレーを経て、2018年シーズンからJDTでプレーしています。国際親善試合ではカナダ代表としてのプレー経験もありますが、母親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得し、2017年にはフル代表でデビューし・現在も代表の主力選手として活躍しています。

5位 バドロル・バクティアル(右サイドハーフ / クダFA / 32歳 )
140万リンギ(およそ3480万円)
クダ州出身で、ユース時代からクダFA一筋にプレーするバドロル選手は、リーグ戦通算56ゴール、カップ戦も含めれば通算116ゴールを挙げているだけでなく、MFL1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、FAカップ、マレーシアカップと全てのタイトルを獲得した言わばクダFAのレジェンドです。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選では久しぶりにフル代表に復帰しています。

5位 シャルル・サアド(センターバック / ペラTBG / 26歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
ペラ州出身で、ハリマウC(U19代表)、ハリマウB(U21代表)、ハリマウA(U22代表)でプレーし、PKNS FCを経て2016年からペラTBGに所属するシャルル選手は、フル代表でも不動のセンターバックを務めています。

5位 サフィク・ラヒム(セントラルMF / マラッカ・ユナイテッド / 33歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
昨季2019年からはマラッカ・ユナイテッドでプレーするサフィク選手は、キャップ数75が示すようにフル代表で長年、主将を務めたこの世代で最高のマレーシア人選手として言われています。スランゴール州出身で、2007年にスランゴールFA( 当時)で選手としてのキャリアをスタートし、2013年にはJDTへ移籍しました。JDTのオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿からは、クラブ史上最高の主将と評価されています。

5位 マシュー・デイヴィーズ(右サイドバック / JDT / 25歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
開幕直前にパハンFAからJDTに電撃移籍したデイヴィーズ選手は、オーストラリア生まれながら母親がサバ州出身であることからマレーシア国籍を取得し、パハンFAに加入した2015年からU23代表として東南アジア競技大会通称シーゲームズでプレーし、現在はフル代表の右サイドバックを務めています。

5位 サファウィ・ラシド(右ウィング / JDT / 23歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
トレンガヌ州出身で2014年にT-Team(現トレンガヌFC II)のユースチームでプレーしたのち、T-Teamそして2017年からはJDTに所属しています。2018年、2019年と2年連続でリーグ最優秀選手に選ばれ、フル代表でも主力として活躍するなど、今後のマレーシアを引っ張るエースとして期待されています。

10位 モハマドゥ・スマレ(右ウィング / パハンFA / 29歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
ガンビア出身のスマレ選手は2013年からMFLでプレーし続け、FIFAの規定で国籍変更が認められたマレーシアサッカー史上初となるマレーシア人と血縁がない帰化選手第1号です。フル代表でもスピードに乗ったドリブルが魅力の主力選手です。

10位 シャミ・サファリ(右サイドバック / スランゴールFC / 22歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
スランゴール州出身でスランゴールFA(当時)のU19を経て、スランゴールFCでは積極的なオーバーラップを得意とするサイドバックとして活躍しています。U23代表からフル代表へと順調に成長し、マシュー・デイヴィーズとフル代表の右サイドバックのレギュラーポジションを争っています。

10位 ファリザル・マーリアス(ゴールキーパー / JDT / 34歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
パハン州出身ながらパハンFAではU19でのプレー経験しかなく、プルリスFA、ヌグリスンビランFA、ペラTBG、スランゴールFAを経て2015年からはJDTとフル代表のゴールを守り、フル代表では主将も務めています。

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 外国籍選手同様、トップ10の予定が10位タイが多く12名になってしまいました。マレーシア国外生まれの選手が6名、国内生まれの選手が6名と、ここ数年で顕著になってきたマレーシア人と血縁関係のある国外生まれの選手を帰化させて代表選手にするマレーシアサッカー協会FAMの方針が見て取れるランキングになっています。

3月28日のニュース:JDTの選手が給料を寄付、ハートマンはUITM FCの救世主となれるか

JDTの選手が給料を寄付
 ジョホール・ダルル・タジムJDTは公式Facebook上で、選手たちが給料の一部を寄付した事を公表しています。
 Facebookでは主将のハリス・ハルンのコメントの形で、新型コロナウィルスによって被害を受けた人々の負担を減らすため、JDTの本拠地があるジョホール州の災害基金に選手たちが寄付したとしています。
 ジョホール州は感染者数が250名超出ており、人口最大のスランゴール州、連邦直轄地のクアラルンプールとプトラジャヤに続いて感染者が多く、本日の時点で国内最大となる6人の方が亡くなっています。
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 各クラブが収入減による選手の給料削減を話題にする中、JDTはフィールドの内だでなく外でも模範となるクラブですが、これも一重に選手の皆さんが十分な給料をもらっているからでしょう。同じ事をしたくても今の給料ではそんな余裕がない、というやっかみが他のクラブの選手たちから聞こえてきそうです。
(下はJDTのFacebookより)

ハートマンはUITM FCの救世主となれるか
 マレーシアフットボールリーグMFLは3月15日の第4節を最後にリーグ戦が中断していますが、この3月15日は今年2020年1回目のマレーシア国内移籍期間トランスファーウィンドウの最終日でもありました。
 この最終日に移籍が決まった選手は3名おり、クダFAに加入したFWファイザット・ガザリ(昨季は2019年シーズン後に解散したMFL1部のPKNS FCでプレー)、PJシティFCに加入したタイ出身の右サイドバック、アナウィン・ジュジーン(昨季は2019年シーズン後に解散したタイ1部リーグのPTTラヨーンFCでプレー)そして、PJシティFCからUITM FCに期限付き移籍で加入した、イギリス生まれながらフィリピン代表経験もあるFWマーク・ハートマンです。
 今年2月にフィリピン1部リーグのセレス・ネグロスFCからPJシティFCに加入したばかりのハートマン選手は、開幕からPJシティFCがプレーした3試合全てに先発出場しています(トレンガヌFCと対戦予定だった第4節は、ホームゲームながら試合会場が用意できなく延期)。しかし、既に5名の外国籍選手枠が全て埋まっていたPJシティFCがアナウィン選手を獲得したため、押し出されるような形で、4名の外国籍選手しかいなかったUITM FCへ期限付き移籍となりました。
 27歳のハートマン選手は、2017年には当時はいずれもMFL1部スーパーリーグに所属していたサラワクFA(現MFL3部)とペナンFA(同MFL2部)でのプレー経験もあり、この他タイ1部リーグでもプレー経験があります。
 UITM FCはクラブを運営するマラ工科大学の学生と数名のプロ選手で構成されており、ハートマン選手の経験は若い選手が多いチームには貴重でしょう。
 このハートマン選手の加入を取り上げたサッカー専門サイトのヴォケットFCは、UITM FCのフランク・バーンハート監督が元U23代表のFWアリフ・アンワルや21歳のMFアリフ・アルラシドらを積極的に起用する一方で、ここまでの4試合ではブラジル出身のFWグスタボ・アルメイダ一人に頼りがちとなっていた攻撃陣にこのハートマン選手が加わる事で確実に戦力アップが期待できるとしています。
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 観戦記にも書きましたが、今季UITM FCの試合を完成した際に、個人的に最も印象に残ったのが攻撃的MFのラビ・アタヤでした。マラッカ・ユナイテッドとの試合では、中盤から効果的なパスを連発していたのですが、後半はパスを出しても決められない攻撃陣を不甲斐無く感じたのか、前線までボールを持って上がることが多くなり、その結果、周りの選手との連携が悪くなってしまうプレーが見られました。そんなUITM FCへのハートマン選手の加入は、アタヤ選手が持ち味を発揮しやすくなる非常に効果的な補強のように思えます。

3月27日のニュース:FAMとMFLはクラブにメディアではなく選手との対話を求める、PDRM FCの現役警官14名は最前線に立つ「フロントライナー」 、アセアンクラブ選手権は来年に延期へ

FAMとMFLはクラブにメディアではなく選手との対話を求める
 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLはそれぞれの公式サイトで、リーグ中断による収入減に苦しむ各クラブに対し、選手やスタッフと直接、話し合いの席につく機会を設けて、契約内容などについての話を行なうべきであると訴えています。
 さらにFAMとMFLは、各クラブがメディアに窮状を訴えている現在のやり方は適切でなく、まずは選手との対話をすべきとしています。この対話を通して、関係者全員が互いに協調し、現在の状況下で国内サッカー健全に維持するためにも、問題の平和的な解決を求めることを求めています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、ここでいう対話とは、クラブが選手側に対して一方的に給料削減に同意することを求めるものを指すのではないとしながらも、現在の状況はクラブの過失によるものではないとして、選手やスタッフに理解を求めています。
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 このブログでも過去数日にわたって、リーグ中断期間中のMFLの複数のクラブの状況を取り上げましたが、各クラブ任せだった協会とリーグが交渉を容認した形になります。ただし、協会あるいはリーグによる具体的な支援の話は出ておらず、実際には未だクラブ任せの状況なので、この訴えにどれだけ効果があるのかは疑問で、結局は各クラブの懐状況次第ということでしょう。

PDRM FCの現役警官14名は最前線に立つ「フロントライナー」
 MFLは第4節を最後に中断中で、ほとんどの選手は自宅で自主トレ、或いはチームから与えられた練習メニューをこなしていると思いますが、MFL1部のPDRM  FCの選手の中には、活動制限令MCO発令中の現在も仕事に勤しんでいるようです。
 PDRM FCはマレーシア王立警察PDRMが運営するクラブで、多くの選手が現役の警察官であることから、3月18日に発令されたMCO下では、クラブ所属の14名が通常の勤務についていると、英字紙スターが伝えています。
 FWカイルル・イズアン・アブドラはKL市内をパトロールする一方で、GKウィルフレッド・ジャブンは他のチームメイトとともに、要請に即応する部隊に配備されていると紹介しています。
 カイルル選手は現在の勤務状況では、個人的なトレーニングをする時間が十分取れないことを認める一方で、警察官として常に任務につく用意をしておかなければならないと話しています。またウィルフレッド選手は自分は普段はサッカーしているものの、警察官が自分の仕事であり、任務に就いた場合には国家の助けになれることを名誉と感じていると話しています。
 リーグ戦4試合では0勝1分3敗、しかも給料未払い問題があったことから開幕前に勝点3を剥奪(はくだつ)されたPDRM FCですが、イシャク・クンジュ・モハマド監督は、MFL1部で4試合をプレーし経験を積みつつあるチームについて、1部でプレーするために必要な事を学びつつあるとし、プロには引けを取らない事を見せたいと記事の中で語っています。

アセアンクラブ選手権は来年に延期へ
 アセアン(東南アジア諸国連合)サッカー連盟AFFの公式サイトでは、今年2020年から開催予定であったアセアンクラブ選手権ACCの2021年への延期、そして今後4ヶ月に開催が予定されているAFF主催大会の日程変更を発表しています。
 AFFのキエフ・サメト会長は、ACC延期の理由を新型コロナウィルスの感染拡大から参加する選手守るためとしながらも、10試合を5ヶ月間にわたって行なう日程のACCは、アセアン各国で中断中の国内リーグやアジアサッカー連盟AFCの大会の日程が未確定であることから、来年への延期が適切であると判断したと話しています。
 この他、AFF主催大会としては、5月にフィリピンで開催が予定されていたAFF女子選手権、いずれもインドネシアで開催予定だった6月のU18女子選手権、7月のU19選手権(男子)、8月のU16選手権(男子)もそれぞれ、後日発表される日程へと変更になりました。
 一方9月にインドネシアで開催予定のU15選手権、いずれもタイで開催予定のAFFフットサル選手権、フットサルクラブ選手権、ビーチサッカー選手権については現時点で予定通りの開催としています。
 また隔年開催で今年2020年が開催年となっているAFF選手権スズキカップも予定通り11月より開催となっています。

3月26日のニュース:PJシティFCのホームも改修工事完了、クダFAのフロントがリーグ中断の影響を明かす、元代表監督はマレーシアカップの開催を希望

PJシティFCのホームも改修工事完了
 昨日はスランゴールFCがホームのシャーアラムスタジアムの公式戦開催許可をマレーシアフットボールリーグMFLに申請したことを取り上げましたが、PJシティFCのホーム、スランゴール州プタリンジャヤにあるMBPJスタジアムも改修工事が終了したと、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 リーグ戦中断前の第4節に「ホームゲームを開催できる試合会場がない」という前代未聞の理由でトレンガヌFCとの試合を延期したPJシティFCですが、MBPJスタジアムでの公式戦開催に向け、現在はマレーシアフットボールリーグMFLによる施設検査が行われるのを待っている状況であると、チームマネージャーであるK・ラジャン氏は話しています。
 第4節の前にMFLによって行われた施設検査で不合格となり、ホームゲームが開催できなくなり、結局試合延期という対応をせざるを得なかったPJシティFCですが、4月14日までの延長が発表された活動制限令MCOが解除された段階で、MFLによる再検査を受けて合格となった後に公式戦開催が可能となります。

クダFAのフロントがリーグ中断の影響を明かす
 ここ数日にわたって、新型コロナウィルスの影響を受けたマレーシアフットボールリーグMFL中断による給料削減の話題を取り上げていますが、リーグ戦が中断中のスペインでも世界でも有数の金満クラブ、バルセロナでも選手が給料削減に応じる可能性が報じられるなど、この話題は世界的なものになりつつあります。
 この状況について、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLは各クラブに対し給料削減を行わないよう求め、それに従わないクラブについては罰則を科すとしています。
 しかし新型コロナウィルスの影響は、入場料収入への依存度が高いクラブを直撃しているだけではなく、各クラブを支援するスポンサー企業にも打撃を与えており、クラブへの支援に影響が出ていると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 この記事ではクダFAを運営するクダ州サッカー協会KFAのアスミルル・アリス名誉事務局長の発言として、第4節のスランゴールFC戦がジョホール・ダルル・タジムJDTやパハンFA戦などと並ぶいわゆるドル箱カードであり、それが無観客試合となったことで多額の入場料収入を失ったこと、また活動制限令によって収入減となったスポンサー企業の中には契約通りの支援を取りやめる企業がでてきていることなどを取り上げています。
 アスミルル事務長は、新型コロナウィルスによる影響下では、州政府に対して運営資金への支援を求める他、スポンサー企業と契約の見直しを行った上で支援の継続を求める、高給を取る選手には給与の削減を依頼する、などの方針も検討中だと話しています。

元代表監督はマレーシアカップの開催を希望
 新型コロナウィルスの影響で中断中のマレーシアフットボールリーグMFLは、既に発令中の活動制限令MCOが4月14日まで延長されたことにより、当初予定されていた第5節(4月3日から4日開催予定)と第6節(4月10日から13日に開催予定)の延期が決まりました。また、3月17日と18日に予定されていたFAカップの2回戦は既に延期されています。
 新型コロナウィルスの感染被害が収束した場合、延期されている国内日程だけでなく、やはり延期されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選の再開、さらには今年開催予定の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ開催も控えており、再開後の日程はかなりのハードスケジュールが予想されます。
 そこで取り沙汰されているのが、もう一つのカップ戦、マレーシアカップを中止て日程緩和を図るという方針です。MFL1部と2部の16クラブのみが出場するこの大会は、通常は8月にグループステージが始まりますが、国内リーグ戦とFAカップの勝者にはそれぞれ、アジアサッカー連盟AFCのAFCチャンピオンズリーグとAFCカップへの出場権が与えられる一方で、マレーシアカップは国内で完結してしまう大会であることから、今後、日程調整が難航した場合の「犠牲」となる可能性が一番高いというのが大半の見方です。
 しかし前PKNS FC監督で元代表監督でもあるラヤゴパル・クリシュナサミー氏は、異なる意見を持っているとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。ラヤゴパル氏はマレーシアカップの持つ歴史的価値を重じ、必要とあらばFAカップを中止し、マレーシアカップを開催することを提案しています。
 1921年(大正10年)にマラヤカップとして始まったこのカップ戦は、1942年から47年までは第二次大戦や日本軍による英領マラヤ占領などで中断されたものの、今年開催されれば94回目となるアジア最古の大会の一つです。(ちなみに日本のサッカー天皇杯も1921年より開催)
 もちろんマレーシアカップとFAカップの両カップ戦が開催されることが理想と話すラヤゴパル氏は、例えば、準々決勝からはホームアンドアウェイ方式となるFAカップを一発勝負のノックアウト形式とすれば試合数を減らすことができるとし、主催者のMFLとマレーシアサッカー協会FAMに試合形式を変更してでも、すべての大会を維持して欲しいとも述べています。
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 トップリーグは各州のサッカー協会が運営するクラブが大半を占めるマレーシアの国内リーグは、クラブ同士の試合以上に、サポーターが自分の出身州のクラブを応援する言わば州対抗戦の色合いが強いのが特徴で、その頂点にあるのがマレーシアカップの決勝戦でしょう。その熱狂度合いは1990年に始まったFAカップとは明らかに違い、スタジアムはおらがチームを応援するサポーターで一杯になります。
 FAカップの勝者がAFCカップに出場できるといった実利的な面以上に、ラヤゴパル氏と同様にマレーシアカップの持つ「伝統」を重視し、大会開催を支持する意見も決して少なくないでしょう。

3月25日のニュース:ペナンFAは給料削減を検討、フェルダU・ペラTBG・トレンガヌFCは給料削減を行う予定なし、スランゴールFCはシャーアラムスタジアムの使用許可を改めてMFLに要請

ペナンFAは給料削減を検討
マレーシアフットボールリーグMFL2部のペナンFAは、所属選手に対して自発的な給料削減を提案する予定であると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため3月16日より全てのサッカー活動が停止しているマレーシアでは、やはりMFL2部のケランタンFAが同様の対応を検討していることが既に報じられていますが、ペナンFAもリーグ中断による入場料収入が得られていないことを理由に、給料削減提案のための話し合いを選手と行うとしています。なお、ペナンFAのチームマネージャーであるオン・エンフア氏は、この提案を行うのは月給が1万リンギ(およそ25万円)以上の選手が対象としています。

フェルダU、ペラTBG、トレンガヌFCは給料削減を行わず
 一方、同じスタジアムアストロの記事では、MFL1部のフェルダ・ユナイテッドは、給料削減について検討していないとしています。フェルダ・ユナイテッドのアフィザン・アブ・オスマン事務局長は、リーグ中断期間中もスポンサーと連絡を取り合っているとし、選手への給料支払いに関しては何も問題はないとしています。
 またマレーシアの通信社ベルナマは、ペラTBGとトレンガヌFCも現時点の給料削減を行わないとしていると報じています。
 ペラTBGを運営するペラ州サッカー協会PAFAのモハマド・アズリン・モハマド・ナズリ事務長は、クラブ運営資金はシーズン終了までは十分あり、リーグ中断による入場料収入減の影響はないとして、選手は給料未払いの心配も無用であると話しています。
 またトレンガヌFCを運営するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTのテンク・ファロウク・フシン・テンク・アブドル・ジャリル事務長は、主要スポンサーであるトレンガヌ州政府やユニフォームの胸スポンサーであるレッドワン社を含む全てのスポンサーがリーグ中断期間も契約通りに支援を続けていることから運営資金のしんんパイはないとしています。また、入場料収入減の影響についても試合当日の審判や警備員などの経費に当てられており、クラブの運営への大きな影響はないと話しています。

スランゴールFCはシャーアラムスタジアムの使用許可を改めてMFLに要請
 スランゴールFCのホーム、シャーアラムスタジアムは観客席を覆うポリカーボネート製の屋根の一部が崩落し、観客が危険に晒される可能性があるとして、リーグ戦開催が認められていませんでしたが、スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会FASは観客の安全が確保されたとして、マレーシアフットボールリーグMFLに対して使用許可申請を行ったと英字紙スター電子版が伝えています。
 開場から30年が経つシャーアラムスタジアムは、今期開幕前にMFLが行った3度の施設検査に不合格となり、スランゴールFCは3月7日のホームゲームをブキジャリル国立競技場で開催することを余儀なくされています。
 記事の中でFASのジョハン・カマル・ハミドン事務局長は、崩落の危険性がある屋根は撤去が終わっており、マレーシア政府の機関である公共事業局と協力してスタジアムの安全は確保できたと話しています。またMFLのモハマド・シャズリ・シャイク・モハマドCOOは、FASから申請を受け取ったことを認めており、現在マレーシア全土に発令されている活動制限令解除後に施設検査を行うとしています。

3月17日のニュース:協会はリーグ中断中の給与未払に監視を強化、開幕からの4試合で3勝1分のJDT監督の進退問題?、東南アジア選手権2020年大会もスズキ自動車が冠スポンサーに

協会はリーグ中断中の給与未払いに監視を強化 
 新型コロナウィルスの影響を受け、3月16日から中断期間に入ったマレーシアフットボールリーグMFLですが、この中断期間に給与未払いが発生しないよう、マレーシアサッカー協会FAMは注意の目を光らせるつもりであると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガムCEOは、選手やスタッフはいずれもクラブと正式に契約を交わしていること、また各クラブともリーグ開幕前にMFLが行った審査で11月までの予算が確保されていることになっているので、財政問題による給料未払いが発生しないと信じていると話しています。同時にFAMは、今後の状況を詳しく監視し、もし給料を支払われない選手やスタッフからFAMに対して報告がされた場合には、それに応じて該当クラブに処分を行うとしています。
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 このブログでも数え切れないほど取り上げた給料未払い問題。特に問題がない場合でも給料未払い問題が普通に発生するマレーシアサッカー界では、今回の新型コロナウィルスによるリーグ中断は、経営者側による給料未払いの良い口実となりかねません。 
 スペインのラリガを参考に、MFLが今季開幕前に新たに導入したECP(経済コントロールプログラム)によって、各クラブの財務状況はMFLが審査済みのはずなので、もしクラブが今回の中断による救済措置などを求めるようであれば、MFLの審査そのものに問題ありとなり、非難がMFLへ向かう可能性もあります。

開幕からの4試合で3勝1分のJDT監督の進退問題?
 ジョホール・ダルル・タジムJDTはマレーシアフットボールリーグMFL1部で6連覇中ですが、今季は開幕戦で昨季FAカップチャンピオンのクダFAに1-0と勝利したものの、その後はいずれも今季1部に昇格したばかりのUITM FCに2-1、PDRM FCに1-0と辛勝、そして4戦目のフェルダ・ユナイテッドとは1-1と引き分けたことから、今季も圧倒的な勝利を予想するメディアの中にはモラ監督の進退について取り上げる新聞も出てきました。
 マレー語紙ブリタハリアンでは、MFLの各クラブがモラ監督の戦術に慣れた現状では、新たな戦術導入が必要とし、このままではモラ監督交代もありうるというマラ工科大学UITMのスポーツ科学科のモハマド・サデック・ムスタファ准教授のコメントを掲載しました。
 これに対し、JDTは公式Facebook上でテクニカル・ディレクターを務めるアリスター・エドワーズ氏が、開幕からの4試合で3勝1分の勝点10でリーグトップであること、他のクラブに比べるとAFCチャンピオンズリーグACLの試合を余分に戦って疲労がたまていることなどを挙げつつ、コーチでも元選手でもないサッカーとは無関係の学識経験者からのコメントを掲載したブリタハリアンに対して、単に現状を扇情的に扱っていると非難し、公平で正確な報道を求めるとしています。
(JDT公式FBに掲載されたエドワーズTDのコメント)

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 UITM FCやPDRM FCとの1点差勝利、そして昨季は最終節まで2部降格の可能性があったフェルダ・ユナイテッドと引き分けたことで、ソーシャルメディア上でも「今季のJDTは大丈夫か」のようなコメントは散見されました。
 「引分は負けに等しく、負けを大惨事のようにみなすサポーターの気持ちは理解できる一方で、良い日もあれば悪い日もあり、それがサッカーだと理解する必要がある」とJDTのオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下もモラ監督率いるチームを支持するコメントを出しています。
 4試合を消化して、3勝1分で勝点10を獲得しながら進退問題が話題になる監督は世界中を見回してもそうはいないでしょうが、言い換えれば、JDTに対するマレーシアサッカーファンの期待がどれだけ高いかを示しているとも言えるでしょう。
(JDT公式FBに掲載されたオーナーのトゥンク・イスマイル殿下のコメント)

東南アジア選手権2020年大会もスズキ自動車が冠スポンサーに
 東南アジアチャンピオンを決めるアセアンサッカー連盟AFF選手権は2年ごとに開催され、前回大会の2018年大会ではベトナムが通算スコア3-2でマレーシアを破って優勝しています。
 今年開催予定の第13回大会も予定通りであれば、今年半ばに予選のグループ分けが決定し、10月から11月にかけてグループステージが始まりますが、今年の大会もスズキ自動車がAFF選手権の冠スポンサーに就任したことをGoal. comが伝えています。
 タイガービールが冠スポンサーとして1996年に始まったことから当初はタイガーカップと呼ばれていたAFF選手権は、2004年のタイガービール撤退により単にAFF選手権と呼ばれていた時期を経て、スズキ自動車が冠スポンサーとなった2008年大会からはスズキカップと呼ばれています。
 また試合の開催方法も年とともに変わってきており、2016年の前々回大会までは、それぞれ4カ国が2つのホストカントリーに分かれてグループステージを行う形式でしたが、前回2018年大会からは2つのグループに分けられた5カ国が、ホーム2試合、アウェイ2試合を戦受け意識に変わりました。グループの上位2カ国が準決勝に進出し、またホームアンドアウェイで対戦、さらに決勝もホームアンドアウェイの通算成績で優勝が決まる形式は引き継がれたものの、この2018年大会は75万人を超える観衆を集める大会になりました。
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 今年、操業100周年、そして東南アジア進出90年を迎えるスズキ自動車の冠スポンサー継続は喜ばしいことですが、気になるのはやはり新型コロナウィルスの影響です。現在、国内リーグ中断中のマレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、また開幕を延期したフィリピンなどが、今後、国内リーグを再開し、さらに予定されている日程全てを消化しようとすれば、その試合日程が10月あるいは11月までずれ込む可能性があり、そうなるとスズキカップのグループステージが予定されている時期と重なる可能性があります。

3月16日のニュース:MFL第2節と第3節の入場者数

 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシアフットボールリーグMFLは、本日3月16日より1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、3部M3リーグ、4部M4リーグからマレーシアフットサルリーグMFSL、21歳以下のプレジデントカップ、19歳以下のユースカップまで、FAMとMFL管轄のあらゆるサッカー活動の中断を決定しています。
 また無観客試合として行ったMFL第4節以降の日程も発表しておらず、4月2日(金)から4日(日)に予定されている第5節までにこの中断期間が終了するのかどうかも定かではありません。
 なお、マレーシア政府は3月18日(水)から31日(火)まで国内全校の閉鎖や教会やモスクでの集会、スポーツを含むイベントの禁止などを発表しており、再会があるとしても4月以降の話になりそうです。
 そこで今回は、MFL1部と2部の第2節と第3節の入場者数に関するサッカー専門サイトのヴォケットFCの記事をまとめました。なお第1節についてはこちらをご覧下さい。

MFL第2節の入場者数
 マレーシアフットボールリーグMFL第2節は3月6日(金)と7日(土)に行われましたが、この第2節の11試合を観戦したのは7万5563人でした。3月6日(金)のUKM FC対ケランタンFAの試合が雷雨により中止となった、通常より1試合減って11試合が実施されました。
 リーグ別に見ると、1部スーパーリーグはジョホール・ダルル・タジムJDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムで開催されたJDT対UITM FC戦が2万2387人と、第2節最大の入場者を記録した一方で、スランゴール州のUITMスタジアムで開催されたPJシティFC対パハンFA戦の2110人が第2節最小入場者数でした。この試合はPJシティFCのホーム、MBPJスタジアムが改修工事中のため、UITMスタジアムでの開催でした。なお、1部スーパーリーグ第2節の1試合あたりの平均入場者数は1万466人で、第1節の1万3680人からおよそ24パーセント減少しています。
 また2部プレミアリーグでは、ペナンFAのホーム、シティスタジアムで開催されたペナンFA対スランゴール2戦が最大の5855人を集めた一方、最小がトレンガヌ州のスルタン・イスマイル・ナシルディン・シャースタジアムでのトレンガヌFC II対ペラII戦の350人となっています。2部プレミアリーグ第2節5試合の1試合あたりの平均入場者数は2130人で、第1節の平均入場者数の3438人からおよそ38パーセント減少しています。

MFL第3節の入場者数
 続く第3節の入場者数は1部スーパーリーグと2部プレミアリーグ合わせて4万8582人と、前節第2節からはおよそ36パーセント減、開幕節の第1節からほぼ半減の52パーセント減となっています。
 その理由として、3月10日(火)、11日(水)と平日開催であったこと、また新型コロナウィルスの患者数が国内でも徐々に増え始め、人が多く集まるイベントへの参加自粛が拡大したことなどが考えられます。
 第3節は1部スーパーリーグの6試合合計で3万3658人が観戦に訪れています。トレンガヌFC対スランゴールFC戦が開催されたトレンガヌ州のスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムが1万7200人と最大の観衆を集め、最小はスーパーリーグの試合で唯一、観衆が1000人を割ったフェルダ・ユナイテッドのホーム、トゥン・アブドル・ラザクスタジアムでのフェルダ・ユナイテッド対マラッカ・ユナイテッド戦でした。なお、1部スーパーリーグ第3節の1試合あたりの平均入場者数は5909人で、第2節の1万466人からはおよそ44パーセント、第1節の1万3680人からおよそ57パーセント減少しています。
 一方2部プレミアリーグは6試合で1万4914人の入場があり、ケランタン州のクラブ同士のいわゆる「ケランタンダービー」となったケランタンFA対ケランタン・ユナイテッド戦の入場者数が1万315人と最大の観衆を集めた一方で、KLフットボールスタジアムでのスランゴール2対サラワク・ユナイテッド戦、タンスリ・ダト・ハジ・ハサン・ユノススタ自マムでのジョホール・ダルル・タジムII対クアラルンプールFA戦、ヌグリスンビラン州のトゥンク・アブドル・ラーマンスタジアムでのヌグリスンビランFA対UKM FC戦の3試合で観客が1000人以下となっています。2部プレミアリーグ第3節の1試合あたりの平均入場者数は2485人で、第2節の2130人殻は増加したものの、第1節の平均入場者数の3438人からおよそ28パーセント減少しています。

MFL1部スーパーリーグ 2020年シーズン第4節結果

 マレーシアフットボールリーグMFLは、3月14日(土)と3月15日(日)の両日に、1部スーパーリーグMSLの第4節の6試合が行われました。以下結果です。
(ホームチームが左側です。)
 なお、MFLは第5節以降の試合の延期を決定しており、新たな日程は後日発表となります。

3月14日(土)
リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFA 2-2 ペラTBG
得点者:サバ-アジザン・ノーディン(5分)、ギー・グナブユ(27分)、ペラ-シャーレル・フィクリ2(17分、80分)
 ペラは開幕から4試合負けなしで中断期間へ、サバはホームでの連勝はなりませんでした。

ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州クルボン)
マラッカ・ユナイテッド 0-1 パハンFA
得点者:パハン-ディクソン・ヌワカエメ(67分)
 マラッカは開幕から2連勝の後で2連敗、一方のパハンは開幕から2連敗後の2連勝です。

スルタン・イブラヒムスタジアム
ジョホール・ダルル・タジムJDT 1-1 フェルダ・ユナイテッド
得点者:JDT-シャフィク・アーマド(21分)、フェルダ-フレデリック・ビュロ(52分)
 開幕戦から続いていたJDTの連勝は3でストップしましたが、JDTアカデミー出身の17歳、アリフ・アイマンがAチームデビューを果たしています。一方フェルダ・ユナイテッドは2017年9月28日以来のJDTからの勝点(ただしこの時は3-2で勝利しています)で、開幕からの4試合を1勝2分1敗として中断期間に入ります。
 フェルダ・ユナイテッドの恵龍太郎選手は先発してフル出場しています。

3月15日(日)
ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダFA 2-0 スランゴールFC
得点者:クダ-レナン・アウヴェス(25分)、クパ・シャーマン(45分)
 ここまで1分2敗と苦しんでいた昨季のFAカップチャンピオン、クダFAが、クパ・シャーマンの3戦連続ゴールなどでスランゴールFCを下して待望の今季初白星。

UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM FC 3-1 PDRM FC
得点者:UITM-ラビ・アタヤ(12分)、グスタヴォ・アルメイダ(45分PK)、ズルキフリ・ザカリア(分)、PDRM-エスカンダー・イスマイル(90+1分)
 11位と12位の対決は、11位のUITM FCが今季初勝利、12位のPDRM FCは今季チーム2ゴール目を挙げるも開幕から4戦で勝利はありません。

なお3月14日(土)に予定されていたPJシティFC対トレンガヌFCの試合は、ホームのPJシティFCが試合会場を用意できなかったため、順延となっています。

マレーシアスーパーリーグ順位表(第4節終了時)
*PDRM FCは給料未払い問題による処分を受け、勝点3が剥奪されています。
*第4節のPJシティFC対トレンガヌFCは、ホームのPJシティFCが試合会場を用意できなかったため順延となっています。

順位クラブ得点失点得失差勝点
1JDT431052310
2PRK42208448
3MLK42207526
4PHG42026516
5SBH41215505
6FEL412167-15
6SEL412167-15
8KDH41126604
9TFC311189-14
10UITM411256-14
11PJC311145-14
12PDRM401327-5-2

順位表のクラブ名称:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、PRK-ペラTBG、MLK-マラッカ・ユナイテッド、PHG-パハンFA、SEL-スランゴールFC、SBH-サバFA、FEL-フェルダ・ユナイテッド、TFC-トレンガヌFC、PJC-PJシティFC、KDH-クダFA、UITM-UITM FC、PDRM-PDRM FC

マレーシアスーパーリーグ ゴールランキング(第4節終了時)

ゴール数選手名所属
4ドミニク・シルヴァトレンガヌFC
3イヴァン・カルロスパハンFA
3シャーレル・フィクリペラTBG
3イフェダヨ・オルセグンスランゴールFC
3クパ・シャーマンクダFA
2ブレンダン・ガンら13名

3月14日のニュース:本日予定のPJシティFC対トレンガヌFC戦は試合会場が確保できず延期、予定されていた代表候補合宿も中止

本日予定のPJシティFC対トレンガヌFC戦は試合会場が確保できず延期
 無観客試合として開催されることが決定したマレーシアフットボールリーグMFL第4節ですが、その第4節の1試合、PJシティFC対トレンガヌFC戦が延期されることがMFLから発表されています。その理由は何と試合会場が確保できなかったからのようです。
 このブログでも取り上げましたが、PJシティFCは本拠地として使用するスランゴール州プタリンジャヤにあるMBPJスタジアムが改修工事中のため、ホームゲームとして予定されていた第2節のパハンFA戦を同じスランゴール州のUITMスタジアムで開催しました。
 それでもホーム2戦目となる3月14日の試合までには工事が終了すると、PJシティFC側は主張していましたが、結局、このような羽目になってしまいました。
 しかもこのこと最初に発表されたのがリーグ主催者のMFLでも、試合会場を用意できなかったPJシティFCでもなく、トレンガヌFCの公式Facebookだったこと、さらにはトレンガヌFCが公表したから5時間も経ってからMFLの公式サイトで発表されたことから、トレンガヌFCのサポーターを中心にMFLが責任回避をしているという非難がソーシャルメディア上で起こり、トレンガヌFCの公式ツイッターも「町内のサッカー大会ならまだしも、国内のトップリーグがこのような対応で良いのか」とMFLを酷評し、本来ならPJシティFCのみが罰せられる事態にもかかわらず、試合に向けて準備をしてきたトレンガヌFCも被害を受けるような処置は理解しがたいとコメントする事態になっています。
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 PJシティFCの試合棄権としてトレンガヌFCに勝点3を与えても良いくらいの失態だと思います。PJシティFCが非難されるのは当然ですあ、それ以上に責任が重いのが、PJシティFCの失態を試合日程延期で済まそうとしているMFLです。そもそも本拠地を用意するというリーグ参加要件を満たしていないPJシティFCのリーグ参加を認めたこと、さらに試合会場の手配をクラブに任せてこのような事態を招いたことで、MFLの国内リーグ運営能力にまた疑問符がついた格好で、仕組みは一流、使う人間は三流と揶揄されることが多いマレーシアを表す形になってしまいました。
(以下はトレンガヌFCが公表したMFLからトレンガヌFC宛に出された試合延期通達の手紙-トレンガヌFCのツイッターより)

予定されていた代表候補合宿も中止
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、マレーシアサッカー協会FAMが予定されていた代表候補合宿の中止を決めたと報じています。
 新型コロナウィルスの影響により、今月3月にFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が延期となったこと、また国際親善試合を組むことも現実的ではないこと、さらにはFIFAとアジアサッカー連盟AFCからの指針が出ていることなどから、選手招集を行わないことをFAMのハミディン・モハマド・アミン会長が明らかにしています。