1月3日のニュース(2):スズキカップ2020-決勝第2戦のインドネシアの攻撃的布陣は苦肉の策だった?、また代表選手がサバ加入-今度は代表GKがマラッカUから移籍、2部降格のUITM FCは今季出場辞退の可能性も

スズキカップ2020-決勝第2戦のインドネシアの攻撃的布陣は苦肉の策だった?

タイの優勝で幕を閉じた東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020ですが、決勝第2戦では逆転勝利を目指して攻撃的な布陣を採用したと見られていたインドネシア代表ですが、どうもうそういうことではなかったというチームの実情をAFPが報じています。

この記事によると、インドネシア代表でいずれもDFのリズキー・リド、エルカン・バゴット、ヴィクター・イグボネフォ、リズキー・ドウィ・フェブリアントの4選手がおよそ2時間の間、宿泊先のホテルを抜け出して「シャンプーと石鹸を買いに出た」ことが判明し、東南アジアサッカー連盟AFFの懲罰委員会による調査の結果、この4選手は新型コロナ感染対策予防手順に違反したとして、大会運営本部からタイ代表との決勝第2戦の出場を禁止されていたということです。

この4選手の内、リズキー・リド選手はタイ代表との決勝第1戦に先発し、バゴット選手も後半開始から途中出場しています。またヴィクター選手とリズキー・ドウィ・フェブリアント選手もベンチ入りしていました。

インドネシア代表のシン・テヨン監督は、決勝第2戦後の記者会見でディフェンダーの4選手が出場禁止となった理由は了承できると話す一方で、この4選手の欠場が決勝第2戦に影響を与えたことを認めて失望していると話しています。

また代表選手がサバ加入-今度は代表GKがマラッカUから移籍

昨季2021年シーズンは降格権から勝点3で1部スーパーリーグ残留を決めたサバFCは、シーズン終了後から大型補強を続けていますが、そこにまた大物が移籍です。

サバFCのクラブ公式Facebookでは、先日終了したスズキカップ2020でもマレーシア代表のゴールキーパーとしてグループステージ4試合全てに先発しフル出場したカイルル・ファーミ・チェ・マットがサバFCへの移籍を告知しています。

32歳のカイルル・ファーミ選手は、昨季途中からサバFCの指揮を取るオン・キムスイ監督のもとでプレー経験があり、2011年に東南アジア競技大会通称シーゲームズでオン監督率いるU23代表が優勝した際の正ゴールキーパーでした。

オン監督就任以来、このオフシーズンは同じスーパーリーグのクダ・ダルル・アマンFCからMFバドロル・バクティアルとDFリザル・ガザリ、またタイ1部のポリス・テロFCからはDFドミニク・タンといずれもスズキカップ2020に出場した代表選手を獲得しています。

2部降格のUITM FCは今季出場辞退の可能性も

昨季2021年シーズンにMリーグ1部スーパーリーグで最下位となり、今季2022年シーズンは2部プレミアリーグ降格が決まっているUITM FCが経営上の問題から今季のリーグ出場を辞退する可能性があると、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

昨季のスーパーリーグで3勝4分15敗で最下位となったUITM FCは、国立大学のマラ工科大学UITMを母体とするクラブで、2020年はに大学のクラブとして初めてスーパーリーグでプレーしています。しかもこのシーズンは新型コロナの影響で試合数が半減したとは言え昇格初年度で6位となるなど大きな話題となりました。しかし2020年シーズン終了後にこの大躍進に貢献した外国籍選手5名の内、4名が退団するなど、この時点で運営資金が潤沢ではないことは明らかでした。

2021年シーズンは開幕から連敗が続き、前年から指揮を取るフランク・ベルンハルト監督を交代、外国籍選手を入れ替えるなどしたものの、シーズン初勝利は開幕から17試合目(Mリーグの1シーズンは22試合)では、2部降格は避けられませんでした。

ニューストレイトタイムズの記事では、今季プレミアリーグ参戦のためのスポンサーの獲得に困難を極めているとされており、Mリーグを運営するMFLものスチュアート・ラマリンガムCEOもUITM FCからの状況説明を待っている状態であると話し、Mリーグも事態を憂慮しているとしています。


12月14日のニュース:スズキカップ2020-隔離を終えた3選手がチーム復帰、JDTがカブレラは退団を発表-大型補強敢行へ、クダはマラッカより韓国籍DFを獲得

スズキカップ2020-隔離を終えた3選手がチーム復帰

 マレーシアの通信社ブルナマは、新型コロナ検査で陽性となったことから隔離されていた4選手の内、GKカイルルアズハン・カリド、FWファイサル・ハリム、DFクェンティン・チェンの3選手がシンガポール政府保健省より隔離完了証明書を受け取ったと報じています。
 シンガポール入国時の検査で陽性となったカイルルアズハン、ファイサル両選手は開幕前に隔離となったことから今大会はベンチ入りすらできていませんでしたが10日間の隔離を終えたことで合流可能となっています。また12月9日のラオス戦前の検査で陽性となっていたチェン選手は追加で行われたPCR検査の結果が陰性だったことから隔離期間に入る前にチーム合流が許されたとブルナマは報じています。なおラオス1000枚の検査ではチェン選手と同じく陽性となっていたアキヤ・ラシドについては10日間の隔離となることが決まったようです。
 この4選手の隔離に加えて、初戦で腹筋を痛めていたジュニオール・エルドストルはコンディション不良、また所属クラブの試合日程の都合で今週木曜日12月16日にシンガポール入り予定のディオン・クールズも不在だったことから、12月12日のベトナム戦ではベンチ入り総勢18名で臨んでいました。
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 3選手の復帰は喜ばしいことですが、12月12日のベトナム戦では主将のアイディル・ザフアンとケガから復帰したばかりのシャールル・サアドの2人のセンターバックがいずれもケガ(ハムストリング)により途中交代しており、カンボジア戦で負傷し療養中のエルドストル選手も含めて3名のセンターバックがケガをしてます。これにより本職のセンターバックで現在残っているのはドミニク・タン1人となっており、グループステージ突破がかかるインドネシア戦に向けてクールズ選手の合流が待ち望まれます。

JDTがカブレラは退団を発表-大型補強敢行へ

 今季Mリーグ1部スーパーリーグで8連覇を達成したJDTですが、マレーシアカップ決勝で敗れたからか、例年にない大型補強を行いそうです。
 その手始めとなりそうなのがJDTのクラブ公式Facebookで発表されたゴンザロ・カブレラの退団です。アルゼンチン出身のカブレラ選手は2017年に期限付きでJDTに移籍すると翌2018年には完全移籍し、主に左ウィングとして活躍してきカブレラ選手はスーパーリーグで43ゴールを、そして国内カップ戦やACLなども含めると通算で152試合に出場し66ゴールを挙げ、いずれのゴール数もJDTのクラブ最多記録となっています。32歳のカブレラ選手はアルゼンチン出身ですが、イラクのパスポートも保持しているためJDTではAFC枠で登録されることもありましたが、今季はシーズン途中にオーストラリア出身のDFシェーン・ローリーが加入したことから、通常の外国籍選手枠となる一方で、同一国に継続して5年居住することで帰化選手としての出場が可能となることから、マレーシア代表の次の帰化選手候補として名前が上がることもありましたが、JDT自身が若い選手のみが帰化選手候補となると明言したことから、JDTでの帰化はなくなりました。しかし他のMリーグクラブに移籍してそこで帰化選手になる可能性も残っていることから、来季もカブレラ選手がMリーグでプレーする可能性は十分あります。

 さらにJDTの公式Facebookでは4名の外国籍選手と1名のマレーシア人選手との契約交渉中であることも報じられています。マレーシア人選手はスランゴールFCを退団したMFシャミ・サファリであることが濃厚ですが、4名の外国籍選手については何も明かされていません。
 なお4名の外国籍選手について1名はトップチームのJDTでプレーし、残る3名はセカンドチームのJDT IIに登録されるものの、ローテーションでシーズン中の入れ替えを行うとしています。現在JDT IIには2020年からプレーする廣瀬慧選手や今季JDT IIが所属したMリーグ2部プレミアリーグで16ゴールを挙げて得点王となったフェルナンド・ロドリゲスがいますが、この発表から察するに両選手ともJDT IIは今季で退団となりそうです。
 さらに英国1部プレミアリーグのウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC U23のナサニエル・シオ・ホンワンが来季2022年シーズンに向けて移籍し、英国生まれながらマレーシア人の母親を持つシオ選手がマレーシア人選手として登録されることも発表されている一方で、昨季、今季と2シーズンに渡ってJDTと同じMリーグ1部スーパーリーグでプレーしたブラジル出身のエンドリック・ドス・サントスを2023年(つまり来季ではなく2年後)に帰化選手として獲得することも発表しています。2018年からMリーグでプレーする現在26歳のエンドリック選手は来季もマレーシアでプレーすれば同一国に継続して5年居住となり、FIFAが規定する帰化選手としての登録が可能になります。

 JDTは期限付きで移籍する選手も発表しており、今季はJDT IIでプレーした元U23代表主将のMFイルファン・ファザイル(30)がU23時代のオン・キムスイ監督が指揮するサバFCへMFスチュアート・ウィルキンス(23)とともに移籍する他、2011年にはイルファン・ファザイルとともにスロバキアリーグのFC ViOnズラテー・モラフツェに派遣されたFWファドリ・シャス(30)とDFシャズワン・アンディック(25)がマラッカ・ユナイテッドFCへ移籍することも発表される一方で、現在、スズキカップにも出場しているシャフィク・アフマドも複数のクラブとやはり期限付き移籍について交渉中ということですが、その移籍先としてはマレーシアカップ2021を制したKLシティFC、Mリーグで今季2位のクダ・ダルル・アマンFCが有力とされています。

クダはマラッカより韓国籍DFを獲得

 今季Mリーグ1部スーパーリーグではJDTに次ぐ2位となり、来季のAFCカップ出場が決まっているクダ・ダルル・アマンFCですが、来季へ向けては5名の外国籍選手全員が退団し、代表選手2名も移籍が明らかになっており、アジアで戦うためのチーム強化が急務となっています。そんな中、今季は同じスーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしたチャン・ソグォンの加入がクラブ公式Facebookで明らかにされています。
 チャン選手は32歳のDFで、来季のクダ・ダルル・アマンFCの外国籍契約第1号となっています。韓国U23代表としてアジア競技大会に出場し銅メダルを獲得しているチャン選手は、2017年に当時 J2のファジアーノ岡山に完全移籍したものの、ケガのためわずか2試合出場しただけで退団し、2019年からはマラッカ・ユナイテッドFCでプレーしています。

12月2日のニュース:KLシティFCのマレーシアカップ優勝を祝って12月3日が祝日に、サバFCが来季に向けて大型補強を敢行、ペラFCの給料未払いは新オーナーが10日以内の解決を約束

 KLシティFCのマレーシアカップ優勝の興奮が冷めやらぬ中、多くのクラブが来季に向けて動き始めています。マレーシアでは一般に選手とクラブの契約は11月末までとなっており、前所属クラブとの契約満了を待って、次が変わった12月から続々と新加入選手の発表が行われそうです。

KLシティFCのマレーシアカップ優勝を祝って12月3日が祝日に

 11月30日に行われたマレーシアカップ決勝では、Mリーグ優勝との2冠達成を目指したJDTをKLシティFCが2-0で破り、前身のクアラルンプールFAから数えて32年振りとなるマレーシアカップ優勝を果たしていますが、これを祝してクアラルンプールを含む連邦直轄地では12月3日が祝日になることが発表されています。
 昨日急遽、開かれた記者会見でシャヒダン・カシム連邦直轄地担当大臣は、クアラルンプールだけでなくプトラジャヤ、ラブアンも含めた全ての連邦直轄地で12月3日が祝日となると発表しています。マレーシアにはどの州にも属さない政府の直轄地(マレーシアは連邦制をとっていることから連邦直轄地と呼ばれています。)があり、首都クアラルンプール、行政府が集まるプトラジャヤ、そして東マレーシア(ボルネオ島)の沖にあるオフショア金融センターのラブアン島がこれにあたります。
 マレーシアカップ決勝前にはJDTが勝てばジョホール州の祝日を設けるとジョホール州首相も話しており、サッカーで勝ったから祝日!というのはマレーシアでは「あるある」なのですが、前任者のアヌアル・ムサ前連邦直轄地大臣、そしてその前任者であるカリド・サマド元連邦直轄地大臣とともにスタンドでマレーシアカップ決勝を観戦しながら、前任者の2人はフィールドでの表彰式に呼ばれて参加した一方で、自分だけが呼んでもらえなかったといった愚痴を試合後に自身のFacebookに投稿したシャヒダン連邦直轄地担当大臣による発表だけに、祝日制定自体は合法とはいえ政治家特有の人気取りパフォーマンス的な面もありそうです。ちなみにアヌアル前連邦直轄地大臣はKLシティFCの会長、カリド元連邦直轄地大臣はクアラルンプールサッカー協会会長を務めています。

サバFCが来季に向けて大型補強を敢行

 今季のMリーグ1部スーパーリーグでは4勝7分け11敗で9位に終わったサバFCが次々と大物選手を獲得しています。昨季に続き今季も指揮を取ったインドネシア出身のクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督が後半戦10試合を0勝3分7敗としたことからリーグ閉幕後に解任され、マレーシアサッカー協会FAMのテクニカルディレクターを務めていたオン・キムスイ監督が10月1日付で就任したサバFCは、マレーシアカップではグループステージを突破し、マラッカ・ユナイテッドFCに敗れたもののベスト8に進出しています。
 2009年から2018年までU22やU23代表監督を務めてきたオン監督は、各年代に指導した選手がいることから、サバFCはその人脈を使った大型補強を次々と発表しています。2011年にインドネシアのジャカルタで開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズの男子サッカーでマレーシアは優勝していますが、この大会に出場したU23代表の指揮を取ったのがオン監督のもとで主将を務めたMFバドロル・バクティアルが同じ1部スーパーリーグで今季2位のクダ・ダルル・アマンFCから移籍する他、2018年のAFC U23選手権(現U23アジアカップ)予選で監督を務めたU23代表の主将DFドミニク・タンも出場機会がなかったタイ1部のポリス・テロFCからの移籍が決まっています。
 この他FAMのテクニカルディレクター時代に設立に関わったFAM-MSNプロジェクト(2部プレミアリーグ)でプレーし、今季リーグ戦でマレーシア人選手としてはリーグ2位の8ゴールを挙げた18歳のFWアズハド・ハラズの獲得のために地元サバ州サンポルナ出身のアズハド選手の実家を電撃訪問するなど、今季は得点はリーグ8位、失点はリーグ9位と降格した11位のチームとは勝点差がわずか3だったチームの立て直しを図るオン監督ですが、バドロル、タンの両代表選手やU22代表のアズハド選手に加え、今後も代表クラスの加入が噂されているサバFCは来季の台風の目になることは間違いなさそうです。
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 2部プレミアリーグから1部スーパーリーグへ昇格した際に、それまでクラブレベルでの指導経験がなく、インドネシアU23代表のアシスタントコーチの経験しかなかったクルニアワン・ドゥイ・ユリアント氏を監督に据えた時点で既にサバFCは失敗していたようにも思えます。また昨季の10位から捲土重来を期したクルニアワン氏でしたが、インドネシア代表では歴代2位の33ゴール(キャップ数59)を挙げている「レジェンド」にとっては、期待していた自国代表のFWサディル・ラムダニがケガによりシーズン途中で脱落するなどの誤算もあり、今季を最後まで全うすることができませんでした。

ペラFCの給料未払いは新オーナーが10日以内の解決を約束

 今季開幕直後から給料未払いが発覚し、大半の主力選手がシーズン途中に退団したことから今季のMリーグ1部スーパーリーグでは11位となり、来季の2部プレミアリーグ降格が決まっているペラFCですが、先日のこのブログでもニュースとして取り上げたように広告会社のインパクトメディアアンドコミュニケーション社(IMC社)がクラブの株式100%を購入して新たなオーナーとなっています。
 このIMC社に株式を譲渡したペラ州サッカー協会PAFAを統括するペラ州政府青年・スポーツ・コミュニケーション・マルチメディア委員会のカイルル・シャーリル委員長は、既に3ヶ月分を超えるとされる未払い給料について、IMC社がこの問題解決の時間を必要としているとして10日の猶予を与えたと話しています。なおペラFCの給料未払い問題に関しては、マレーシアプロサッカー選手会PFAMも選手から訴えがあったことを明らかにしています。
 また、このIMC社への株式譲渡にはペラ州サッカー協会メンバーの総意を得られないまま譲渡が決定したとして、臨時総会の開催を求めた協会傘下の地区サッカー協会の代表者12名をムハマド・ヤザン会長代行が評議員から免職処分を下すと、この12名が独自に臨時総会を告知する泥試合となっており、ペラFCを取り巻く問題はまだまだ一件落着とはならなそうな気配です。


11月25日のニュース:広告会社IMC社がペラFCを買収し新オーナーに、VAR導入には時間が必要-FAM審判委員長、サバFAが大型補強敢行か

広告会社IMC社がペラFCを買収し新オーナーに

 開幕後に未払い給料問題が発生したことから開幕戦の先発XIの内8名がシーズン途中に退団し、その結果、今季1部スーパーリーグでは11位となり来季は2部プレミアリーグ降格が決まっているペラFCはですが、このペラFCを運営するペラ州サッカー協会のムハマド・ヤザン会長代行は、広告会社のImpact Media and Communication社(IMC社)がクラブの株式100%を購入して新たなオーナーとなったことを発表しています。なお買収額は公表されていません。
 ペラ州サッカー協会の事務所で行われた記者会見では、IMC社が現在、ペラFCが直面している全ての問題を解決することは望んでおらず、ペラ州サッカー協会と協力して解決方法を模索していくと述べ、まず現在クラブに在籍する選手たちとの話し合いを持つとしています。
 なお今回の買収により、州サッカー協会が全ての株式を売却し、民営化されたMリーグクラブはJDT、PJシティFC、スリ・パハンFC、ケランタンFCに続く5クラブ目となります。
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 シーズン中も絶えず給料未払いが発生していたとされるペラFCの買収については今年4月に化粧品会社を経営するハスミザ・オスマン氏やスポーツ関連企業のコパ・アリーナ社が名乗りを上げ、特にコパ・アリーナ社とはかなり交渉が進んだものの、ペラ州サッカー協会が未払いとなっている給料などに加えて州内のサッカー活動支援など契約開始時からより多くの費用を要求したことから交渉が決裂していました。
 そんな中でやや唐突な印象もあるIMC社による買収劇ですが、ペラ州サッカー協会内でも一部にしか知らされていなかったという報道もあり、またで「全ての問題を解決することは望んでいない」といった点はコパ・アリーナ社との交渉内容とは少々異なるようで何かスッキリしない印象も残ります。

VAR導入には時間が必要-FAM審判委員長

 隣国タイやインドネシアでビデオアシスタントレフリーVARの導入が進む中、先日はJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がMリーグもVAR導入の時期に来ていると発言しましたが、その実現にはまだ時間がかかりそうだと、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。
 この記事の中でマレーシアサッカー協会FAM審判委員会のS・シヴァサンダラム委員長は、国内でのVARの導入については実証実験の前の段階であり、導入に向けて様々な点の検討が残っていると話しています。
 「VAR導入についての議論は行われているが、導入には最低でも1800万リンギから2000万リンギ(およそ4億9000万円から5億4000万円)に費用が必要と試算されており、新型コロナ禍の現状でその費用の調達が調達可能な可能かどうかを精査する必要があり、またMリーグの試合を開催するスタジアムでのインターネット環境の改善もVAR導入には必要で、これらについては現在も検討中である。」と話すシヴァサンダラム委員長は、現時点ではVAR導入時期などについて述べることはできないとしています。

サバFAが大型補強敢行か

 今季のMリーグ1部スーパーリーグでは4勝7分11敗の9位に終わったサバFCですが、昨季から2季監督を務めたクルニアワン・ドゥイ・ユリアントを解任し、マレーシアカップ直前の10月1日に前FAMテクニカルディレクターのオン・キムスイ新監督が就任して以降はマレーシアカップグループステージを突破して準々決勝に進出するなど、新監督就任効果が現れているます。このサバFCが来季2022年シーズンに向けてはさらなる補強を行うようだと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 スーパーリーグの大物選手を複数獲得することが噂されているサバFCですが、その噂に上っているのが、今季スーパーリーグではマレーシア人選手として最多ゴールを挙げているMFバドロル・バクティアル(クダ・ダルル・アマンFC)とクラブ史上初となるマレーシアカップ準決勝進出に貢献しているGKカイルル・ファミ・チェ・マット(マラッカ・ユナイテッドFC)の代表コンビです。
 スタジアムアストロの取材に対してオン監督は、新戦力の獲得についてはフロントの許可が必要だが、名前はまだ明らかにできないもののの新戦力を獲得するための交渉が行われているのは事実であることを認め、最終的にはチームの20%から30%のメンバーが入れ替わるだろうと話しています。
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 2011年の東南アジア競技大会通称シーゲームズで金メダルを獲得した当時のU23代表は、オン監督、バドロル主将、正GKカイルルというメンバーだったことから、バドロル、カイルル両選手の移籍は濃厚ですが、バドロル選手が所属するクダ・ダルル・アマンFCは来季へ向けて残留交渉を行っていると報じられています。
 ユース時代からクダFA(当時、現クダ・ダルル・アマンFC)一筋でプレーし、リーグ戦とカップ戦合わせて通算123ゴールを挙げてきたバドロル選手に加え、チームメートでやはり代表選手のDFリザル・ガザリもサバFC移籍が噂されており、これが実現すれば、2季連続スーパーリーグ2位のクダ・ダルル・アマンFCは来季は大きくメンバーが変わることになりそうです。


マレーシアカップ-準々決勝第2戦結果

 11月14日にマレーシアカップ準々決勝第2戦の4試合が行われ、JDT(Mリーグ1部今季1位)、トレンガヌFC(同4位)、KLシティFC(同6位)、マラッカ・ユナイテッド(同8位)の4チームがベスト4に進出しています。準々決勝と同様、準決勝もホームアンドアウェイ方式で行われ、第1戦は11月22日、第2戦は11月26日に予定されています。

マレーシアカップ準々決勝第2戦
2021年11月18日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-0 スランゴールFC(2試合通算:KLシティFC 3-0 スランゴールFC)
得点者:KL-ロメル・モラレス(51分)
 絶好調を維持するロメル・モラレスがマレーシアカップ8試合で10ゴール目となるゴールを決めたKLシティFCが準々決勝2試合に連勝して、1992年以来29年振りとなる準決勝進出を決めています。KLシティFCの今季ホーム無敗記録はこの日の勝利で15試合(12勝3分)に伸びています。
 ケガでグループステージでの出場がなかった今季のリーグ得点王イフェダヨ・オルセグンが復帰したスランゴールFCは準々決勝1回戦とは明らかに別のチームで、選手同士の連動も目に見えて良くなっていました。後半には検疫隔離明けのU22代表主将のMFムカイリ・アジマルを投入するなど総力戦で臨みましたが、総合力で上回ったKLシティFCの軍門に降りました。
 いずれも首都圏クランバリーに本拠地を持つ両チームが対戦した「クランバリーダービー」に連勝したKLシティFCは準決勝ではマラッカ・ユナイテッドと対戦します。

2021年11月18日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 2-1 サバFC(2試合通算:マラッカ・ユナイテッドFC 3-1 サバFC)
得点者:マラッカ-アドリアーノ(3分)、ソニー・ノルデ(77分)、サバ-リスト・ミトレフスキ(90+3分PK)
 マラッカ・ユナイテッドFCがソニー・ノルデの2戦連発となるゴールなどでサバFCを破り、クラブ史上初となる準決勝進出を決めています。

2021年11月18日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 0-0 クダ・ダルル・アマンFC(2試合通算:JDT 1-0 クダ・ダルル・アマンFC)
得点者:JDT-アリフ・アイマン(40分)
 2019年に続く連覇(2020年は新型コロナ感染拡大により中止)を目指すJDTが19歳のFWアリフ・アイマンのゴールで挙げた1点を守り切り、準決勝に進んでいます。
 今季のMリーグ1部1位と2位の対決となった準々決勝第1戦のホームゲームを0-0で終えたクダ・ダルル・アマンFCは初戦を欠場したチェチェ・キプレが先発し、GKシャーリル・サアリの好セーブを連発しましたが、今季ホームでは12勝1分1敗と圧倒的な強さを誇るJDTの前に敗れています。
 JDTは準決勝でトレンガヌFCと対戦しますが、今季唯一の黒星がホームでのトレンガヌFC戦です。

2021年11月18日UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
サラワク・ユナイテッドFC 2-4 トレンガヌFC(2試合通算:サラワク・ユナイテッドFC 3-6 トレンガヌFC)
得点者:サラワク-サンドロ・ダ・シルヴァ(71分)、ウチェ・アグバ(89分)、トレンガヌ-ジョーダン・ミンター2(2分、64分)、ファイサル・ハリム(12分)、ファイズ・ナシル(45分)
 ホームでの準々決勝初戦に2-1と勝利していたトレンガヌFCはこの日もジョーダン・ミンターとファイサル・ハリムのFWコンビが絶好調。ミンター選手がマレーシアカップ4得点目となるゴールを決めて先制すると、ハリム選手も2戦連発となるマレーシアカップ5得点目となるゴールを決めるなど、前半で3−0、通算成績を5-1としてリードを広げて勝利したトレンガヌFCは、JDTと準決勝で対戦します。

マレーシアカップ2021-準々決勝第1戦結果

 情報が古くなってしまいましたが11月14日にマレーシアカップ準々決勝第1戦の4試合が行われました。今季のマレーシアカップ準々決勝に残ったののはJDT(今季のMリーグ1部スーパーリーグ1位)、クダ・ダルル・アマンFC(同2位)、トレンガヌFC(同4位)、スランゴールFC(同5位)、KLシティFC(同6位)、マラッカ・ユナイテッドFC(同8位)、サバFC(同9位)、サラワク・ユナイテッドFC(2部プレミアリーグ2位)の8チームです。ホームアンドアウェイ方式で行われるマレーシアカップはこの日の第1戦の後、第2戦は11月18日に予定されています。

マレーシアカップ準々決勝第1戦
2021年11月14日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 0-2 KLシティFC
得点者:KL-ロメル・モラレス(14分)、ハディン・アズマン(82分)
 共に首都圏に本拠地を持つ両クラブの対戦は伝統的に*クランバリーダービーと呼ばれています。今季のMリーグ1部での対戦ではいずれも1-1の引き分けに終わっていることからこの試合も拮抗することが予想されましたが、グループステージからの好調を維持するロメル・モラレスがマレーシアカップに入ってから7試合で9ゴール目となる先制ゴールを挙げてKLシティFCがリードを奪うと、シャーレル・フィクリを中心にスランゴールFCは反撃を試みるもグループステージ6試合で4失点のKLシティFC守備陣がその前に立ちはだかります。数少ない好機もオフターゲットのシュートが目立つなど、ケガによりマレーシアカップには出場していない今季リーグ得点王のイフェダヨ・オルセグン、アラブ首長国のドバイで合宿中のシンガポール代表に招集されたサフアン・バハルディン、さらにはU23アジアカップ予選に出場しモンゴルから帰国後の検疫隔離期間が延長されてチームに合流できていないムカリ・アジマルら主力を欠くチームは少なくともこの試合ではKLシティFCの脅威とはなりませんでした。
 第2戦はKLシティFCのホーム、KLフットボールスタジアムで行われますが、今季のKLシティFCはリーグ戦11試合、マレーシアカップ3試合の計14試合でホームでは無敗記録を継続中です。

2021年11月14日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 1-2 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:マラッカ-ソニー・ノルデ(52分)
 グループステージでは5勝1分と無敗で突破したマラッカ・ユナイテッドFCに対して、最終戦のPJシティFC戦に1-0と辛勝して準々決勝に進出したサバFCの対戦は、試合開始から好機を演出し続けたソニー・ノルデがマレーシアカップでは4ゴール目となる得点を決めて、アウェイとなるコタキナバルでマラッカ・ユナイテッドFCに貴重な勝利をもたらしています。

2021年11月14日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマンFC 0-0 JDT
得点者:なし
 2ヶ月分の給料未払いが封じられていたクダ・ダルル・アマンFCについて、試合前にはJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下と、クダ・ダルル・アマンFCを運営するクダ州サッカー協会会長でもあるモハマド・サヌシ・モハマド・ノークダ州首相の舌戦がソーシャルメディア上で繰り広げられるなど場外でも賑わったこの試合は、試合前に未払い給料が完済されたとの報道もあり、クダ・ダルル・アマンFCの選手たちのモチベーションも上がっていました。
 今季のMリーグでは0-2、0-1とJDTに完敗しているクダ・ダルル・アマンFCは、直近の過去20試合の対戦でもJDTに対して2勝4分14敗と明らかに分が悪く、さらにこの試合ではFIFAワールドカップ2022年大会アジア最終予選に出場するレバノンにラビ・アタヤが、またAFFスズキカップに向けてアラブ首長国連邦のドバイで合宿中のシンガポールが親善試合にアヌマンサン・モハン・クマールを招集、さらに今季のMリーグでチーム2位の10ゴールを挙げているチェチェ・キプレがケガと主力の外国籍選手3名抜きで今季のMリーグチャンピオンとの対戦となりました。
 そういった諸々の事情からクダ・ダルル・アマンFCのアイディル・シャリン監督はホームゲームにも関わらず守備重視の布陣を選択、「勝つ」ための戦術ではなく「負けない」戦術で臨みました。開始直後から双方はオンザボールはもちろん、オフザボールでも激しく当たり合うやや荒れ気味の試合になりましたが、レノン・アルヴェスとロドニー・ケルヴィンが最後まで守備陣をコントロールし続けたクダ・ダルル・アマンFCが守りきり、試合は結局0-0で終了しています。

2021年11月14日スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 0-0 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:トレンガヌ-ファイサル・ハリム(17分)、ファイズ・ナシル(51分)、サラワク-シャールル・ニザム(22分OG)
 Mリーグ1部スーパーリーグではシーズン終盤に失速して4位に終わったトレンガヌFCですが、リーグ戦後のマレーシアカップではセカンドチームでMリーグ2部プレミアリーグでプレーするセカンドチームのトレンガヌFC IIの選手も含めた選手層の厚さを見せつける形でグループリーグを5勝1分けと無敗で突破し、この準々決勝に進んでいます。試合ではマレーシアカップに入ってもリーグ戦からの好調を維持しているファイサル・ハリムがペナルティエリアの外から豪快にシュートを決めて先制し、オウンゴールで動転するもののこの試合ではたびたび好機を演出していた身長156cmの小兵ファイズ・ナシルが地震で決勝ゴールを決めて2-1でトレンガヌFCが勝利しています。
 一方、プレミアリーグ勢としては唯一、準々決勝に残ったサラワク・ユナイテッドFCはジャイキリを目論んでこの試合に臨みましたが、前半の序盤には構成を見せたものの、その後は守勢に回ることが多く、むしろ1点差で済んだのは幸いでした。しかしこの最小得点差のまま耐え切ったことで準々決勝第2戦ではジャイキリの機会が残ったとも言えそうです。


マレーシアカップ-グループステージ第6節結果

 マレーシアカップのグループステージ最終節となる第6節が11月10日と11日に行われ、各組の上位2チームが進出する準々決勝の組み合わせが決定しています。
 11月14日と18日にホームアンドアウェイ方式行われる準決勝の組み合わせはA組1位のKLシティFC対B組2位のスランゴールFC、B組1位のトレンガヌFC対B組2位のサラワク・ユナイテッドFC、C組1位のマラッカ・ユナイテッドFC対D組2位のサバFC、そしてD組1位のJDT対C組2位のクダ・ダルル・アマンFCとなっています。
 (各試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

グループステージA組
2021年11月10日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 0-1 KLシティFC
得点者:KL-ザフリ・ヤハヤ(83分PK)
 既に準決勝進出を決めているKLシティFCがスリ・パハンFCを破ってA組首位でグループステージを突破しています。
 マレーシアカップではここまでの5試合で8ゴールを挙げているロメル・モラレスや主将のパウロ・ジョズエ、さらにダニエル・ティンら主力メンバーを思い切って先発から外し休養させる余裕を見せたKLシティFCでしたが、0-0まま終了かと思われた83分にザフリ・ヤハヤが決勝ゴールを決め、グループステージ無敗でなんと29年ぶりとなる準々決勝に進出しています。その一方で前節のペナンFCで足首のケガを途中退場したDFイルファン・ザカリアがその後の診断で手術を要する重症で全治3ヶ月であることも発表されており、クラブにも代表にも文字通り痛い離脱となりました。KLシティFCは準々決勝では同じ首都圏に本拠地を持つスランゴールFCと「*クランバリーダービー」で対戦します。*クラン川に沿って発展したクアラルンプールとスランゴール州を含めた一帯の総称。
 今季のMリーグでは降格圏ギリギリの10位で1部残留を決めたスリ・パハンFCは、監督排斥運動が起こるほどの状況に陥っているペナンFC相手にに5-0、4-0と大勝したものの、結局、グループステージはこの2勝だけで、今季2部で2位だったサラワク・ユナイテッドFCにも2敗するなど、今後はドラー・サレー監督の進退が問われるのは必至です。まぁMリーグでの開幕2連敗で新監督のトマス・ドゥーリー監督を「休養」させて、昨季の不振を理由に一度は解任したドラー監督を再び監督に据えるような素人主導のフロント人事が来季も続くようであれば、来季は2部降格最有力候補となりそうです。

2021年11月10日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
サラワク・ユナイテッドFC 1-2 ペナンFC
得点者:サラワク-クリスティ・ジャヤシーラン(7分)、ペナン-ジェフリ・フィルダウス・チュウ(13分)、アメル・アザハル(43分)
 KLシティFC同様、既に準々決勝進出を決めているサラワク・ユナイテッドFCはほぼ主力メンバーが先発しましたが、マレーシアカップでは未勝利だったペナンFCに初勝利を献上しています。
 1点を先制されたペナンFCは13分に巧妙なトリックプレーを使ったフリーキックで同点に追いつくと、その前にもゴールポストに阻まれるなど惜しいシュートを放っていたアメル・アズハルがエンドリックからジェフリ・フィルダウス・チュウと繋がったパスを受けて決勝ゴールを決めています。
 チーム内の混乱から外国籍選手を含めた主力選手の退団が噂されているペナンFCですが、この日のゴールを決めたジェフリ・フィルダウス・チュウとアメル・アズハル、また63分にサラワク・ユナイテッドFCが得たPKを好セーブで防いだブライアン・シーらが来季の主力となっているかも知れません。

2021年マレーシアリーグ グループステージA組最終順位表(第6節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#KLC6420124814
2#SWU6312910-110
3SRP620411746
4PEN6114415-114
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PEN-ペナンFC、KLC-KLシティFC、SPP-スリ・パハンFC、SWU-サラワク・ユナイテッドFC
#KLシティFCとサラワク・ユナイテッドFCのグループステージに進出が決定しています。


グループステージB組
2021年11月10日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 1-1 トレンガヌFC
得点者:クチン-鈴木雄太(33分)、トレンガヌ-ラーマット・マカサフ(19分)
 B組首位での準々決勝進出を既に決めているトレンガヌFCは、今週日曜日から始まる準々決勝初戦に備えてか主力の一部を休ませる布陣で臨みましたが、クチンシティFCのミスに乗じてラーマット・マカサフが先制ゴールを決め、前半はトレンガヌFCがリードして終了します。
 後半が始まってすぐの46分には、ペナルティエリアの外でボールを得た鈴木雄太がシュートを放つとトレンガヌFCのDFに当たって覚悟が変わったボールがそのままゴールに吸い込まれてクチンFCが同点に追いつきます。先制点を許していたミスに絡んでた鈴木選手が自身のシュートで同点に追いつく展開となったこの試合はこのまま1-1で終了しています。今季2部で5位のクチンFCは1部の3チームを相手に6試合で1勝2分3敗と胸を張れる成績でマレーシアカップを終えています。
 リーグ戦では終盤失速して4位となったトレンガヌFCはこのマレーシアカップ優勝と優勝チームに与えられる来季のAFCカップ出場権獲得を目指し、準々決勝ではサラワク・ユナイテッドFCと対戦します。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年11月10日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 1-2 スランゴールFC
得点者:ペラ-ロイザット・ダウド(10分)、スランゴール-シーン・セルヴァラジ(72分)、ワン・ザック・ハイカル(85分)
 グループステージ敗退が決まっているペラFCが先制し、そのまま1-0が続いた試合はかつては琉球FCにも在籍したワン・ザック・ハイカルなどの2ゴールでスランゴールが逆転勝ちしています。
 スランゴールFCは準々決勝ではKLシティFCと対戦しますが、U23アジアカップ予選に出場し、帰国後の検疫隔離中のMFムカイリ・アジマルやDFハリス・ハイカルらが次戦からは出場可能となり、グループステージとは違ったチームが見られそうです。

2021年マレーシアリーグ グループステージB組最終順位表(第6節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#TFC65101641216
2#SEL6402128412
3KUC6123612-65
3PRK6014414-101
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:TFC-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、PRK-ペラFC、KUC-クチンシティFC

グループステージC組
2021年11月9日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 2-0 クダ・ダルル・アマンFC
得点者:マラッカ-マヌエル・オット( 24分)、ジョヴァンニ・ゴメス・ダ・シルヴァ(89分)
 C組の2位となるとD組1位のJDTが準々決勝の相手となることから、両チームともC組首位での突破を目指して対戦しました。Mリーグ1部では今季8位だったマラッカ・ユナイテッドFCが試合開始から終始優勢を保って試合を進め、リーグ2位のクダを抑えてC組首位で順々決勝進出を決めています。この結果、マラッカ・ユナイテッドFCは準々決勝ではサバFCと、クダ・ダルル・アマンFCはJDTと対戦します。

*11月9日に予定されていたヌグリスンビランFC対ケランタン・ユナイテッドFCの試合は、ヌグリスンビランFCの出場辞退により、ケランタン・ユナイテッドFCが3-0で不戦勝となっています。

2021年マレーシアリーグ グループステージC組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#MLU65101551016
2#KDA6402136712
3KLU6114812-44
4*NSE6105112-113
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDAークダ・ダルル・アマンFC、MLU-マラッカ・ユナイテッドFC、NSE-ヌグリスンビランFC、KLU-ケランタン・ユナイテッドFC
#マラッカ・ユナイテッドFCとクダ・ダルル・アマンFCのグループステージに進出が決定しています。
*ヌグリスンビランFCは新型コロナ感染者が多数発生したため、第3節以降を出場辞退しています。

グループステージD組
2021年11月9日@スルタン・モハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタンFC 0-4 JDT
得点者:JDT-シャフィク・アフマド(48分)、レアンドロ・ヴェラスケス(60分PK)、ギリェルメ・デ・パウラ(62分)、シャールル・サアド(90+1分)
 今季のMリーグチャンピオンのJDTが6戦無敗で準々決勝に進出し、リーグ優勝とマレーシアカップ優勝の今季2冠達成にまた一歩近づいています。

2021年11月9日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 1-0 PJシティFC
得点者:サバ-リスト・ミトレフスキ(21分PK)
 勝った方が準々決勝進出となる直接対決はサバFCがPJシティFCの猛攻を耐え忍んで1-0で勝利しています。この試合に引き分けても準々決勝への進出となっていたPJシティFCでしたが、リーグ戦では2勝、このマレーシアカップでも初戦は引き分けていたサバFCに対し、21分にサバFCのパク・タエスをK・プラバカランがペナルティエリア内で倒して与えたPKの1点に泣いています。

2021年マレーシアリーグ グループステージD組最終順位表(第6節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#JDT66001411318
2#SAB622269-38
3PJC612356-15
4KEL6024413-92
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PJC-PJシティFC、SAB-サバFC、KEL-ケランタンFC
#JDTとサバFCのグループステージに進出が決定しています。

マレーシアカップ-グループステージ第5節結果

 マレーシアカップのグループステージ第5節が11月6日と7日に行われ、A組ではKLシティFCがペナンFCに、サラワク・ユナイテッドFCがスリ・パハンFCに勝利し、それぞれベスト8進出を決めています。この他、B組のトレンガヌFCとスランゴールFC、C組のマラッカ・ユナイテッドFCとクダ・ダルル・アマンFC、D組のJDTの計7チームがノックアウトステージとなるベスト8進出を既に決めており、最終節となる次節第6節でベスト8最後のチームが決定します。
 (各試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

グループステージA組
2021年11月7日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-0 ペナンFC
得点者:KL-ロメル・モラレス(38分PK)
 A組首位のKLシティFCが接戦を制してグループ首位を確定させ、ベスト8進出を決めています。ペナンFCに攻め込まれる場面が多かったKLシティFCは、ゴール前の混戦からペナンFCの主将アズミ・ムスリムが痛恨のハンドでPKを得、これをロメル・モラレスがマレーシアカップ5試合で8ゴール目となるシュートを決めて先制し、そのまま逃げ切っています。KLシティFCはこれで今季はリーグ戦から14試合連続でホームで負けがなく(10勝4分0敗)、これはクラブの新記録ということです。(11/8に一部を訂正しました。)
 先日のこのブログでも取り上げた通り、リーグ戦の好調が嘘のような不振に陥っているペナンFCですが、この日は過去2試合で0得点11失点というのが信じられないほど攻守とも素晴らしく、過去2試合先発したGKブライアン・シーも何度もファインセーブを見せるなど、なぜこのチームがここまでの4試合で未勝利なのかが全くわかりませんでした。
 この試合はスタジアムに足を運びペナンFC側のスタンドで観戦しましたが、ゴール裏にはトマス・トルカ監督を糾弾する横断幕、そしてスタンドからはやはりトルカ監督を批判する声なども飛び交い、少なくとも現時点ではサポーターからの支持を得られていない様子が感じられました。

2021年11月7日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 1-2 サラワク・ユナイテッドFC 0-0 スリ・パハンFC
得点者:パハン-ケニー・アティウ(13分)、サラワク-サンドロ・ダ・シルヴァ(31分)、アブドル・ラヒム・アブドル・ラザク(90+5分)
 スリ・パハンFCは13分にマヌエル・イダルゴのバックヒールパスを受けたアシャ・アル=アフィズのクロスをケニー・アティウが2戦連続となるゴールを決めて先制しますが、サラワク・ユナイテッドFCもゴール前の混戦に詰めていたサンドロ・ダ・シルヴァのゴールで同点に追いつき、試合はそのまま引き分けかと思われた後半ロスタイムに途中出場のアブドル・ラヒム・アブドル・ラザクが決勝ゴールを決め、最終節を残してサラワク・ユナイテッドが2部プレミアリーグのクラブとして唯一、マレーシアカップのベスト8へ駒を進めています。

2021年マレーシアリーグ グループステージA組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#KLC5320114711
2#SWU531188010
3SRP520311656
4PEN5014214-121
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PEN-ペナンFC、KLC-KLシティFC、SPP-スリ・パハンFC、SWU-サラワク・ユナイテッドFC
#KLシティFCとサラワク・ユナイテッドFCのグループステージに進出が決定しています。


グループステージB組
2021年11月7日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 0-0 トレンガヌFC
得点者:スランゴール-シャーレル・フィクリ(33分)、トレンガヌ-ファイサル・ハリム(15分)、ジョーダン・ミンター2(72分、90分)
 現在のチーム力の差が如実に現れた試合は、トレンガヌFCがマレーシアカップでも絶好調が続くファイサル・ハリムとジョーダン・ミンターの活躍でスランゴールFCを圧倒しています。
 ドリブルでスランゴールFC陣に切り込んだファイサル選手からパスを受けたエンク・ヌル・シャヒールがシュートを放つも、スランゴールFCのGKカイルルニザムがセーブ、しかしそのこぼれ球をファイサル選手自身が蹴り込んでトレンガヌFCが先制します。スランゴールFCもケガからの代表復帰を目指すFWシャーレル・フィクリが同点ゴールを決め、1-1のまま試合は後半へ。
 後半に入ると、今季のMリーグでは2部のトレンガヌFC IIで16ゴール、トップチームのトレンガヌFCで4ゴールを挙げながらトップチームでの先発機会に恵まれないことから先週は「チームが自分を必要としていないなら、来季もトレンガヌFCに残るかどうかはわからない。」と発言したジョーダン・ミンターが終盤に2ゴールを挙げる活躍を見せてトレンガヌFCが快勝し、B組首位でのグループステージ突破を決めています。

2021年11月7日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 0-1 クチンシティFC
得点者:クチン-ラフィク・シャー・ザイム(72分)
 クチンシティFCは72分、ジョセフ・カラン・ティーからのパスに反応してDFラインの裏へ抜け出したマイケル・イジェジがペナルティーエリアへ持ち込むも、ペラFCのGKファルハン・アブドル・マジッドが好反応してこれをブロック、しかしそのこぼれ球を詰めていたラフィク・シャー・ザイムがゴールして先制し、そのまま逃げ切り、記念すべきマレーシアカップクラブ史上初勝利を挙げています。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年マレーシアリーグ グループステージB組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#TFC55001531215
2#SEL530210739
3KUC5113511-64
3PRK4013312-91
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:TFC-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、PRK-ペラFC、KUC-クチンシティFC

グループステージC組
2021年11月6日@スルタン・モハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 1-3 クダ・ダルル・アマンFC
得点者:ケランタン-ファクルル・ザマン(73分)、クダ-シャズワン・ザイノン( 34分)、バドロル・バクティアル(36分)、ファイヤド・ズルキフリ(85分)
 多数の新型コロナ陽性者が出たヌグリスンビランFCがマレーシアカップを途中で辞退したことから前節、前々節と試合がなかったクダ・ダルル・アマンFCはマレーシアカップ初先発となる第3GKのイルハム・アミルラー・ラザリを先発させ、チェチェ・キプレをベンチスタートさせる余裕を見せましたが、15分にはクパー・シャーマンのPKをケランタン・ユナイテッドFCのフィクリ・チェ・ソーに止められるなど嫌な雰囲気で試合は進みましたが、34分にはシャズワン・ザイノンが、また36分にはバドロル・バクティアルがそれぞれゴールを決めて試合の主導権を掴むと、ケランタン・ユナイテッドFCを1点に押さえて勝利しています。
 ケランタン・ユナイテッドFCの深井脩平、谷川由来の両選手は先発してフル出場し、本山雅志選手はベンチ入りしませんでした。

*11月6日に予定されていたヌグリスンビランFC対マラッカ・ユナイテッドFCの試合は、ヌグリスンビランFCの出場辞退により、マラッカ・ユナイテッドFCが3-0で不戦勝となっています。

2021年マレーシアリーグ グループステージC組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#MLU5410135813
2#KDA5401134912
3*NSE5105112-113
4KLU5014512-71
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDAークダ・ダルル・アマンFC、MLU-マラッカ・ユナイテッドFC、NSE-ヌグリスンビランFC、KLU-ケランタン・ユナイテッドFC
*ヌグリスンビランFCは新型コロナ感染者が多数発生したため、第3節以降を出場辞退しています。

グループステージD組
2021年11月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 1-2 JDT
得点者:PJ-R・ルヴェンティラン(11分)、JDTベルグソン・ダ・シルヴァ(14分PK)、マウリシオ(28分)
 相手ディフェンスのミスに乗じてPJシティFCがR・ルヴェンティランのゴールで先制。JDTはマレーシアカップ5試合目にして初の失点でしたが、この試合でも随所で素晴らしいドリブルを見せたJDTのアリフ・アイマンがペナルティエリアで倒されて得たPKをベルグソン・ダ・シルヴァが決めてすぐに同点とします。JDTはさらに28分にペナルティーエリアの外で得たPKからのこぼれ球をマウリシオが押し込んでリードを奪いそのまま逃げ切っています。
 この試合はスタジアムで観戦しましたが、得点力不足の代表に復帰して欲しいと個人的に注目していたPJシティFCのFWダレン・ロックにはほとんどボールが回らず、途中で交代しています。

2021年11月7日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 2-1 ケランタンFC
得点者:サバ-アムリ・ヤハヤ(7分)、サーリザン・サイディン(90+1分)、ケランタン-サフアン・ハズマン(5分)
 サバFCがこのグループステージで初勝利し、オン・キムスイ監督に初白星をプレゼントするとともに、次節最終節でのグループステージ突破の可能性を残しています。サバFCは次節は本拠地にPJシティFCを迎え、サバFCが勝てばサバFCが、引き分け以上ならPJシティFCがベスト8に進出します。
 ケランタンFCはオーナーのノリザム・トゥキマン氏がマレーシアカップに優勝すれば監督にポルシェをプレゼントするとしていましたが、チームはグループステージ敗退が決まりました。

2021年マレーシアリーグ グループステージD組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#JDT5500101815
2PJC51225505
3SAB512259-45
4KEL502349-52
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PJC-PJシティFC、SAB-サバFC、KEL-ケランタンFC

11月6日のニュース:AFCU23アジアカップ出場権獲得のU22代表監督は続投に意欲、サバFCのインドネシア代表選手が旧所属クラブの所得税未納で出国できず、MFLはSOP違反に厳格に対処-スチュアートCEO、JDTオーナーはガンによる給料半減の話は真実と改めて主張

AFC U23アジアカップ出場権獲得のU22代表監督は続投に意欲
 先日行われたアジアサッカー連盟AFC U23アジアカップ2022年大会予選を突破したマレーシアU22代表のブラッド・マロニー監督は、来年6月にウズベキスタンで開催されるAFC U23アジアカップ本選で指揮をとることに意欲を見せていると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 マロニー監督が率いたU22代表はモンゴルのウランバートルで開催された予選J組では宿敵タイと引き分けるなど2勝1分でグループ首位となり、2018年の中国大会に次ぐ2度目の本選出場権を獲得しています。なおこの2018年大会では現在はサバFCの監督を務めるオン・キムスイ氏が監督を務め、マロニー氏はアシスタントコーチでした。
 マロニー監督とFAMの契約は今年末までとなっており、マロニー監督は最終決定権はFAMにあるとしながらも
 来年2022年の本大会出場のU23代表候補には、今回の予選でクラブの召集拒否にあったフル代表でもプレーするFWアリフ・アイマン(JDT)やMFワン・クズリ・ワン・カマル(米国アクロン大学)、負傷により今回の代表召集を辞退したシャールル・ナジーム(スランゴールFC)、いずれも膝前十字靭帯損傷から復帰途中のFWハディ・ファイヤッド(J2岡山からJ3沼津に期限付き移籍中)やGKラハディアズリ・ラハリム(トレンガヌFC)、さらには現在開催中のマレーシアカップで活躍するダニアル・アスリ(スランゴールFC)など、今回の予選に出場できなかったタレント軍団も控えており、アストロ・アリーナの取材に対してマロニー監督は「最終的にはFAMが決定することだが、このチームに対する私の信頼はとても大きく、また選手達を誇りに思っており、可能であるならばこのチームとともにできる限り長く戦いたい。」と従来の発言を繰り返しています。
 マロニー監督はウズベキスタンでの本選に向けては現在、50名以上の候補選手をリストアップしていることも明かす一方で、出場資格のある全ての選手に(本大会に)出場するチャンスがあるとも述べ、この50名のリストから選手を選ぶことには固執していないとも話しています。

サバFCのインドネシア代表選手が旧所属クラブの所得税未納で出国できず
 サバFCでプレーするFWサディル・ラムダニはインドネシアU22代表とフル代表でプレーする選手ですが、リーグ戦終盤のケガでベンチを外れ、アジアサッカー連盟AFC U23アジアカップに出場するインドネシアU22代表に招集された際にはクラブがケガからの回復を理由に招集を拒否させるほどでした。
 そこで自国インドネシアへ戻って治療を受けようとしたラムダニ選手ですが、出国時の審査でおよそ4万3000リンギ(およそ117万円)の所得税未払いが発覚し、これを理由に出入国管理局に拘留されたことをインドネシアの全国紙、コンパスが報じました。この報道で明らかになったのは、所得税が未払いなのは現在、所属するサバFCではなく、2019年に在籍したパハンFA(現スリ・パハンFC)であることが報じられると驚きが広がりました。
 ラムダニ選手は全ての責任はかつて所属したクラブにあるとして、速やかな解決と即時の出国を求める事態になりましたが、スリ・パハンFCはこの報道が出ると直ちに対応したようで、クラブの公式Facebookでは内国歳入庁(日本の国税庁にあたる)と出入国管理局と交渉の結果、ラムダニ選手の出国が可能になったことを明らかにしています。
 この件についてはインドネシアのザイヌディン・アマリ青年スポーツ相がインドネシアサッカー協会PSSIとともにクアラルンプールのインドネシア大使館にラムダニ選手と接触するように求めるなどインドネシア側も巻き込んだ一騒動になっています。
 報道通りであれば、既にインドネシアに戻っているラムダニ選手ですが、これまではケガによりインドネシアU22代表とフル代表の監督を兼ねるシン・テヨン監督の招集に応じることができませんでしたが、12月にシンガポールで開催される東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップへの出場には意欲を見せているということです。

MFLはSOP違反に厳格に対処-スチュアートCEO
 現在開催中のマレーシアカップは10月29日の第4節から人数制限があるものの、スタジアムでの観戦が可能になっていますが、その一方で観戦者に対してはスタジアム内での常時マスク着用の義務や飲食の禁止などの標準作業手順SOPの遵守が求められています。
 そんな中、第4節のマラッカ・ユナイテッドFC対ケランタン・ユナイテッドFC戦が開催されたハン・ジェバスタジアムの一室で会食が行われている写真がネット上に流失し、マレーシアカップを主催するMFLがマラッカ・ユナイテッドFCを優遇しているとの批判が出ていると、マレーシア語紙シナルハリアンが伝えています。
 これに対してMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOはこの批判に反論し、あらゆるSOP違反に対しては厳格に対応すると述べ、マラッカ・ユナイテッドFCに対する調査を開始していると述べています。「MFLは既に事実確認のためにマラッカ・ユナイテッドFCに問い合わせを行なった。またこの件はMFL理事会で議論されることになる。」と述べたスチュアートCEOに対し、マラッカ・ユナイテッドFCのモハマド・サイフル・マット・サペリ理事はMFLの調査を受けたことを認め、現在はMFLに判断を委ねていると述べ、今後はスタジアム内での会食は行わないと述べています。
*****
 この第4節直前にはチーム内で20名以上の新型コロナ陽性者が見つかったヌグリスンビランFCがクラスター化したことからマレーシアカップグループステージを途中辞退しており、MFLとしてもスタジアムでの観戦解禁に合わせて感染予防と対策に特に力を入れていた際に起こったこのSOP違反疑惑ですが、結局は毎度お馴染みのお咎めなしといったマレーシア特有の誰も悪者にしない灰色決着に落ち着くんだろうなぁ。

JDTオーナーはガンによる給料半減の話は真実と改めて主張
 JDTオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が、ガン治療により試合に出場できない選手の給料を半減したクラブを批判し、これに該当すると思われるブレンダン・ガンと所属するスランゴールFCの双方がその事実を否定しているという記事をこのブログでも昨日取り上げましたが、スランゴールFCとガン選手が否定したことで、イスマイル殿下の情報が誤っている、さらにイスマイル殿下の発言はスランゴールFCへの当て擦りだという逆に批判的な声がネット上で上がる事態になっています。
 マレーシア語紙ハリアンメトロは、そういった声に対しイスマイル殿下は改めて自身の発言を事実であると述べていると報じ、この事実は該当する選手のチームメートから直接聞いたと話しているということです。(昨日のブログでは「イスマイル殿下は本人から直接聞いたと話している」と書きましたが、私が読み間違えていたようです。お詫びして訂正します。)
 「この選手はチームメートに対して、クラブが来季の給料を半減したがっていると話し、このチームメートがそのことを私に知らせてくれた。」と述べたイスマイル殿下は、さらにクラブが給料の半減をしたがっているのは今季ではなく来季2022年の給料であることも述べています。(ここも私が誤解していました。お詫びして訂正します。)
 さらに「この選手はクラブに大変な貢献をしてきたにも関わらず、ガンになったという理由だけで給料を半減されようとしていることから私が声を上げた。このようなクラブの対応をこの選手も公にしたいのではないか。」と述べたイスマイル殿下ですが、改めて自身の発言を肯定したことで、この騒動はまだまだ沈静化しそうにありません。

11月5日のニュース:闇金から借りるなら国会議員から寄付を募る方が良い-ペラFC、サバFCは一部経営陣の「背任行為疑惑」を公式に否定、ガン治療中のブレンダン・ガンはスランゴールFCによる給料半減を否定

闇金から借りるなら国会議員から寄付を募る方が良い-ペラFC
 給料未払い問題が明らかになり主力選手が大量に流失したことから今季のMリーグ1部では10位となり来季は2部に降格するペラFCのGMの行動がソーシャルメディア上で話題になっています。
 ペラFCのアズマン・ノーGMは一部の国会議員に対して、現在マレーシアカップに出場中のペラFCの移動や宿泊の費用などの経費を補うため、一人当たり最低2万リンギ(およそ54万円)の寄付を求めていることがソーシャルメディア上で広まり、マレーシア語紙のハリアンメトロがアズマンGMに直接、問い合わせたところ、SMSやワッツアップ(WhatsApp-マレーシアで最も一般的なメッセンジャーアプリ)で寄付を募ったことを認めているということです。
 寄付を求めたのは先週末10月30日(土)に本拠地ペラスタジアム(ペラ州イポー)で開催されたトレンガヌFC戦のためだったと説明し、支払いに使える手持ちの現金がなかったことから国会議員への寄付を募ったとその経緯を述べています。
「クラブは金がないのではなく、小切手の現金化に問題があったことから、たまたま手持ちの現金が不足していた。そこで複数の国会議員にメッセージを送り現金の支援を求めたのが真相である。それ以上でもそれ以下でもないので、殊更にこの件を大袈裟にする必要ない。我々も深刻な状況であり、そんな時に国会議員に助けを求めるのは普通のことだと考えている。ありがたいことに即座に現金による支援を受け取ることができた。」と説明したアズマンGMはマレーシアカップの残り試合に必要な経費の資金源を探している一方で、ペラFCのサポーターからも支援が集まっていることを感謝していると話しています。
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 この記事のタイトル「闇金から借りるなら国会議員から寄付を募る方が良い」は新聞記事の見出しの直訳ですが、ここで言う闇金とはマレーシアではAh long(マレーシア語で悪徳高利貸しや闇金融)と呼ばれる個人あるいは企業です。「期限までに借金が返せず、家のドアに赤いペンキをぶちまけられた。」「借金を完済したにも関わらず追加融資を持ちかけられ、断ると拳銃が写った写真付きメッセージが送られてきた。」などマレーシアの新聞を読んでいるとこのAh longの恐ろしさを報じる記事をよく目にしますが、確かにそんなAh longに借りるくらいなら、選挙民のために働く国会議員にお願いするのは至極、筋が通っているということなのでしょう。

サバFCは一部経営陣の「背任行為疑惑」を公式に否定
 Mリーグ1部サバFCはニュースサイトが報じたクラブ経営陣の不正行為疑惑を真っ向から否定するとともに、法的措置も辞さないことをクラブの公式Facebookで発表しています。
 これは東マレーシア(ボルネオ島のサバ州、サラワク州など)をカバーするニュースサイトのボルネオトゥデイが、サバFCの関係者が、選手の代理人と共謀して選手の給与を実際よりも高く設定して支払う一方で、その差額を懐に入れているという背任行為を行なっているという疑惑を報じたことが発端です。サバFCは昨季2020年シーズンからパク・タエス(韓国)を除く4名の外国籍選手を入れ替え、今季中のトランスファーウィンドウ期間にも1名を入れ替えた他、一旦退団が公式発表されたレヴィ・マディンダと数日後に再契約を発表するなど変わった動きもしていました。
 ボルネオトゥデイの記事では、サバFCの一部関係者が選手の給料を3万3000リンギ(およそ90万円)としながら実際には1万5000リンギ(およそ41万円)しか支払わずその差額を私的目的に利用するといった背任行為を例に挙げ、選手の入れ替えが頻繁に行われているのは、一部の関係者がこの背任行為を「商売」にしているからだとし、この状況が続けば選手は搾取され、クラブの一部関係者は私服を肥すことになると指摘していました。
 さらにボルネオトゥデイはスタジアムの照明が当初の30万リンギ(およそ820万円)の見積もりから購入時には80万リンギ(およそ2190万円)が支払われた点や、練習中に選手が使用する心拍数測定器の価格が当初の300リンギから支払い時には13万リンギとなった点などについてもその変更理由が疑わしいとしていました。
 今回のサバFCの声明は、これら全ての疑惑を真っ向から否定した上で、選手の移籍は正式な方法で行われたことや、スタジアムの照明はサバ州までの輸送費用を含んでいること、心肺測定装置の購入には代理店などを介さずに行なっていることを説明し、ボルネオトゥデイの主張が正しければその証拠を示すよう求めています。さらに専門家による監査を喜んで受けるとする一方で、今後も根拠のない中傷が続くようであれば法的措置も検討するとしています。

ガン治療中のブレンダン・ガンはスランゴールFCによる給料半減の噂を否定
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、マレーシア代表MFのブレンダン・ガンと所属するMリーグ1部のスランゴールFCが、いずれも給料半減の噂を否定していると報じています。
 事の発端は同じMリーグ1部のJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が「ガン治療中の選手が給料を半減されている。」と自身のインスタグラムで公表したことにあります。
 「その選手はガン治療中である。彼はこれまでクラブに貢献してきた選手にも関わらず、治療により試合に出場できないことを理由にクラブは彼の給料を半減している。このようなことをして選手の生活に責任を持っていると言えるのだろうか。多くの選手がこのクラブを出たいと言うのも理解できる。このクラブはソーシャルメディア上では良いことばかり発信しているが、その内実は反対のようである。クラブの成功に必要なものの第一は「人道」だ。」と投稿したイスマイル殿下ですが、ネット上ではこれがW杯予選後の7月に睾丸腫瘍の診断を受けて休養し、最近、練習を再開したスランゴールFCのブレンダン・ガンを指している可能性が高いと考えられています。
 イスマイル殿下のこのの投稿に対して、スランゴールFCのジョハン・カマル・ハミドンCEOは自身のツイッターで反論し、ガン選手の給料半減を真っ向から否定するとともに、スランゴールFCは選手との契約を尊重し、病気やケガなどで出場できない選手も含めた選手全員が契約通りの給料を遅れることなく支払っていると説明しています
 さらにガン選手本人も「ソーシャルメディア上で話題となっている内容を読んだが、自分は今季2021年シーズンの給料全額をスランゴールFCから受け取っているという事実を明らかにしておきたい。」と述べて、ジョハンCEOの説明内容を肯定しています。
 ただしイスマイル殿下はこの件を本人から直接聞いたとも述べているだけに、謎は深まっています。
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 リーグ8連覇を達成し、現在のMリーグの盟主を自負するJDTに対し、現在開催中のマレーシアカップ100年の歴史の中で優勝33回、準優勝16回(2位はシンガポールの優勝24回、準優勝19回、ちなみにJDTは前身のジョホールFCと合わせても優勝4回、準優勝2回)と「伝統」という点では他のクラブを圧倒するスランゴールFCと図式の中で、イスマイル殿下はスランゴールFCに向けては敵意剥き出しとも言える厳しい意見や批判的な発言を行うことが少なくありません。実際、スランゴールFCの最後のMリーグ優勝は2010年、マレーシアカップ優勝も2015年が最後なのに対し、リーグ8連覇進行中のJDTはマレーシアカップでも2017年と2019年(昨季2020年はコロナ禍により中止)と優勝しており、イスマイル殿下からすれば「伝統」にあぐらをかき盟主然とし、マレーシアサッカー全体の向上といった大局的視点を欠いているように見えるスランゴールFCには小言の一つ二つも言いたくなるのも当然と言えば当然かも知れません。