2月5日のニュース:ペラ州FAはサポーターから不評の新ロゴ変更の予定なし、JDT招待大会にクチンシティが唯一2部から出場

 Mリーグ2部ケランタン・ユナイテッドと契約した本山雅志選手は昨日、地元福岡を出発してマレーシアへ向かったと日本で報じられてます。マレーシアでは現在、全ての渡航者に10日から14日の検疫隔離が義務付けられており、入団発表まではまだ時間がかかりそうですが、その一方で今季は背番号10を背負うなどの報道もあり、ユニフォーム姿を見せる前から注目を集めています。

ペラ州FAはサポーターから不評の新ロゴ変更の予定なし
 ペラ州サッカー協会(ペラ州FA)は、今季のMリーグに臨むペラFC(前ペラTBG)の新たなロゴを発表しましたが、これがサポーターから大変な不評を買っています。これに対してペラ州FAは批判はサポーターの権利であるとしながらもロゴの変更は行わないことを明言しています。
 ペラ州FAのムハマド・ヤザン・モハマド副会長はマレーシアの通信社ブルナマの取材に対し、このロゴの採用を決定したのは現在のペラ州FAのトップではなく、前任者であるとしながらも、ロゴを変更する予定は当面はない話しています。
 2月1日発表された新しいロゴは黒色の背景に白いガウル(別名インドヤギュウ)を配置し、黄色の縁取りがされています。(写真左下が新しいロゴ、右下が昨季までのロゴ)

 サポーターからは「センスがない」「小学生がデザインしたのか」「創設100年目という伝統が感じられない」などの辛辣なコメントが出ており、一部には昨季までのロゴに戻すべきだという声もあります。ロゴの変更や修正について問われたムハマド・ヤザン副会長はペラ州政府(!)を含めた関係各所と話し合うとしていますが、同時にロゴの件以上に早急に解決しなければならない問題としてペラFCをペラ州FAから独立させる民営化を挙げており、当面はロゴの問題は棚上げとなる可能性を示唆しています。
 また11月から給料未払いが続いているとされるペラFCの選手に対しては、(3月5日に予定されている)今季のMリーグ開幕前には解決できるだろうと話しています。

JDT招待大会にクチンシティが唯一2部から出場
 3月5日に開幕を控えるMリーグですが、マレーシア全土に施行されている活動制限令により練習試合どころかチーム練習も行えない事態となっています。
 そんな中、サラワク州のサッカーを中心に報じるサイトのサラワク・クロックスがMリーグ1部7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDT主催の招待大会に居並ぶMリーグ1部のクラブに混じって2部のクチンシティが出場すると報じています。
 2月10日から25日に予定されているこの大会は1回戦総当たり形式で行われ、JDTとクチンシティの他には昨季1部で3位のトレンガヌ、同8位のスリ・パハン、同9位のマラッカ・ユナイテッドが出場します。
 JDTからの招待を受け取ったと話すクチンシティのイスワンディ・アリ・ハサンCEOは、2月8日ジョホール入りする予定であると話す一方で、同時にこの大会は新型コロナウィルスの感染状況次第では中止もあり得るとも話しています。
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 昨季開幕前にはJDTの新たな本拠地スルタン・イブラヒムスタジアムの柿落としでもJDTと対戦したクチンシティ。昨季2部ながら4位の実力をJDTに評価されているということかも知れません。
 

2月4日のニュース:M3リーグの開幕は6月延期が決定、今期のFAM理事会選挙は無風選挙か、JDTがティザーを投稿-新外国籍選手は近々発表か

M3リーグの開幕は6月延期が決定
 Mリーグ3部のM3リーグ以下を運営するアマチュアフットボールリーグAFLは、今季のM3リーグ開幕が当初予定されていた3月から6月へ延期すると発表しています。AFLのモハマド・ユソフ・マハディ チェアマンは新型コロウィルスから選手を含めた関係者全員の安全と健康を守ること延期が理由であるとしています。
 その一方でモハマド・ユソフ チェアマンは、今季M3リーグに参加するクラブの登録審査のための書類提出については3月末の期限を変更しないとしています。
 「リーグ開幕が延期されたことにで、各クラブから提出される書類を細部にわたって審査する時間を取る予定である。この期間を使って、登録を希望するクラブがM3リーグのセミプロ化に対応できるクラブかどうかを見極めたい。」と話すモハマド・ユソフ チェアマンは、M3リーグに参加するクラブの数が確定次第、試合方式や日程の検討に入るとしています。

今期のFAM理事会選挙は無風選挙か
 マレーシアサッカー協会FAMはその任期が2021年から2015年までとなる新たな理事会メンバー17名の選挙に向けて、各州サッカー協会など加盟20団体による候補者の推薦を2月11日まで受け付けています。
 この理事会選挙では、会長1名、会長代理2名、副会長4名、そして理事10名の計17名が選ばれますが、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、例年とは違い今回は「無風選挙」となることを予想しています。
  今回の選挙では会長や会長代理、副会長の役職を巡りいわゆる「大物政治家」が争う従来の図式が見られないだけでなく、役職によっては対立候補なしの無投票で決定される可能性もあるとしています。近年にない好成績を収めている代表チームを含め、国内サッカーに良い意味での変革をもたらしたハミディン・アミン会長もその1人とされ、2期目を目指すハミディン会長にとって変わるほどの候補者は見当たらないとブリタハリアンは報じています。
 また現職理事会メンバーを選出した2017年の選挙でMリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでもあるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下とFAM会長を争った経験もあるアヌアル・ムサ連邦直轄区担当大臣も今回の選挙には出馬しないことを明言しています。
 例年は理事会選挙に出馬する政治家の名前が事前にメディアなどで明らかになるのが常ですが、今回の選挙ではそう言った報道もなく、推薦が締め切られた2月11日後に明らかになるようです。なお理事会選挙は3月13日に開催される年次総会で投開票が行われる予定です。
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 今回の理事会選挙が静かなのは、数日前に報道されたトゥンク・イスマイル殿下の発言も影響していると見られています。前FAM会長でもあるイスマイル殿下は「政治家がFAM理事となれば国内サッカーが損害を受ける」として、理事会選挙への政治家の出馬に釘を刺す発言をしています。
 イスマイル殿下の発言を待つまでもなく、昨年の中央政府で「政変」により、クダ州やペラ州では州知事にあたる州首相がやはり政変で与野党が逆転した州議会から不信任を突きつけられて辞任させられています。これらの州では州首相がMリーグクラブを運営する州サッカー協会会長も兼務していたことから、クダFA(現クダ・ダルル・アマン)、ペラTBG(現ペラ)の選手たちが旧政権への見せしめのように給料未払いとなる事態も起こっています。

JDTがティザーを投稿-新外国籍選手は近々発表か
 Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジム(JDT)は公式Facebookにティーザーを投稿し、今季新たに加入する3名の選手を来週明らかにすることを発表しています。また現在建設中というJDTサイクリングスタジオ(トレーニング施設?)の公開や、今季のホームとアウェイのユニフォーム披露も2月24日に予定されているとしています。

2月3日のニュース:W杯アジア二次予選-マレーシアはUAEでの6月集中開催を希望、プロ選手会-これ以上のリーグ延期は国内サッカー産業全体への悪影響を及ぼす、スランゴールが今季のホームユニフォームを発表

 毎日発表される新規感染者数が高止まりしているマレーシアでは、2月4日終了予定だった活動制限令MCOが2月16日まで延長されることが発表されました。Mリーグ各クラブは今季開幕まで最低でも3週間の練習期間が必要とされていることから、3月4日に延期された開幕日がさらに延期される可能性も出てきました。

W杯アジア二次予選-マレーシアはUAEでの6月集中開催を希望
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアはベトナム、タイ、アラブ首長国連邦UAE、インドネシアとともに予選G組に入っています。当初は3月予定されていた予選再開についてアジアサッカー連盟AFCは、新型コロナウィルスの影響が各国で異なることから各予選組内での合意に従ってフォーマットや日程変更を認めるとしています。
 昨日2月2日の新規感染者数が3400名超と新型コロナウィルス感染の収束が見られないマレーシアはタイ、インドネシアとともにUAEでの6月集中開催を求めていますが、現在、予選G組首位のベトナムはこの6月開催に対して態度を明確にしていないとされています。これについてマレーシアの通信社ブルナマはAFCが多数派の意見を聞き入れた上で、6月開催に同意することを望んでいると報じています。
 マレーシアサッカー協会FAMのモハマド・ユソフ・マハディ会長代理は、ベトナム以外の予選G組各国が6月集中開催に同意しているとして、AFCが6月開催に同意した上で、態度を明確にしていないベトナムにも6月開催への同意を求めるよう働きかけてほしいと話しています。
 モハマド・ユソフ会長代理は、FAMは現在、AFCの決定を待っており、それの決定を待って今後の代表のスケジュールを決定したいとしています。代表チームのチームマネージャーでもあるモハマド・ユソフ会長代理は、ベトナムと比べるとUAEは国外のチームを招いた試合をより多く開催しているとし、UAEが集中開催地として望ましいとしています。

プロ選手会-これ以上のリーグ延期は国内サッカー産業全体への悪影響を及ぼす
 今季開幕が当初の2月16日から3月5日に延期された今季のMリーグについて、これ以上の延期、あるいは今季中止といった事態が起これば、選手や監督、コーチを含めた現場だけでなく国内サッカー産業全体に悪影響を及ぼすとマレーシアプロサッカー選手会PFAMが警告しています。
 PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、Mリーグは利益を享受する関係者全員が互いに関連し合っているとした上で、選手はクラブの影響を受け、クラブはスポンサーの影響を受け、さらにスポンサーは試合放映の影響を受けるとし、試合が行われればその放映を見るファンの支持も得られ、産業としてのサッカーへの投資家も繋ぎ止められる一方で、この連鎖がリーグ延期や中止で断ち切られることになれば、国内サッカー産業全体に計り知れないほどの悪影響が起こるとしています。
 「国内サッカー産業にはW杯予選参加中の代表チームも含まれており、再開予定のアジア二次予選の準備にも大きな悪影響が出るだろう。またシーズンパスやチームグッズを購入しているサポーターにとってもリーグ延期や中止は損失となる。」と話すイズハムCEOは、国家安全保障委員会NSCに対して、リーグが再開している欧州各国を参考に、Mリーグが厳格な標準作業手順SOPに従うことを条件として今季開幕を求めたいとしています。
 「SOPを遵守している各クラブがスタジアムで試合を行えば、関係者以外の立ち入りを禁止して感染予防が可能となる。また無観客試合で開催となっても試合が放映されればスポンサーが撤退することも防ぐことができる。これは既に欧州で実施されており、マレーシアでも十分可能である。」とイズハンCEOが話す一方で、今季からKLユナイテッドでプレーするサフィー・サリPFAM会長は、リーグが延期あるいは中止になれば、唯一の収入源を失うプロサッカー選手は感情的、精神的に大きな影響を受けるとして、開幕延期までは許容できても、各クラブが未払い給料問題を抱える可能性がるとしてリーグ中止は受け入れられないとしています。

スランゴールが今季のホームユニフォームを発表
 Mリーグ1部の*スランゴールは公式サイト上で、今季2021年シーズンのホームユニフォームを発表しました。今季のユニフォームはマレーシアサッカー史を語れば必ずその名が上がるスランゴールのレジェンド選手、モクタル・ダハリがエースだった1986年にスランゴールが着用していたユニフォームと同じ色使いを基調としています。
 国内最高のエリートアカデミーにもその名を残すモクタル・ダハリはこの1986年にチームを27度目となるマレーシアカップ優勝へ導いています。
 このユニフォームの赤、黄、緑の色使いはチームの最大のサポーターとも言えるスランゴール州皇太子の旗を模しており、当時の皇太子、現在はスランゴール州スルタンとなったスルタン・シャラフディン・イドリス・シャー殿下に敬意を表したものになっています。また近年のユニフォームでは左胸につけられているチームのエンブレムが、当時と同じように右胸につけられているのも特徴ということです。
 また今季のユニフォームはレトロなデザインの一方で、内襟にはクラブ創設85周年を記念する文言が入っていたり、背中側にはモクタル・ダハリのシルエットが描かれていたりと、今風のデザイン変更も施されています。
 最後のマレーシアカップ優勝が2015年、リーグ制覇は2010年とタイトルから遠ざかっているスランゴールにとって、このユニフォームがチームにかつての栄光を取り戻すインスピレーションとなることを経営陣は期待しているということです。
 Joma社製のこのユニフォームはプロモデルが109リンギ(およそ2830円)で販売中で、廉価版となるサポーターモデルは今月半ばの中国正月(旧正月)後に価格が発表されるということです。
(写真左は当時のユニフォームそっくりのレプリカ、右が今季のユニフォーム)

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 1986年と言えば、まだタバコメーカーが堂々とスポーツイベントに広告を出せる古き良き時代で、当時はダンヒルがMリーグ全体のスポンサーでした。左のユニフォーム写真を見るとわかりますが、Mリーグの他のチームのユニフォームの胸にもダンヒルの文字が踊っていましたが、今からは想像もつかないですね。

 *今季2021年シーズンよりMリーグの大半のクラブの名称が民営化により「○○FC」となるため、今後、このブログではクラブ名からFCを省いて表記します。

2月1日のニュース:AFL-M3リーグ今季開催を約束も開幕は6月か、スリ・パハンはアシスタントコーチにフランス人コーチを採用

AFL-M3リーグ今季開催を約束も開幕は6月か
 Mリーグ3部にあたるM3リーグが昨季に続き中止となるのでは、と心配する声を先日このブログで取り上げましたが、M3リーグ以下のアマチュアリーグを運営するアマチュアフットボールリーグAFLは、今季のM3リーグ開催を約束しています。
 マレーシア語紙ウトゥサンマレーシアはAFLのモハマド・ユソフ・マハディ チェアマンが今季のM3リーグ開催を約束した一方で、開幕については当初の3月から6月に延期される可能性あると述べていると伝えています。
 またモハマド・ユソフ チェアマンは、昨日1月31日となっていたM3リーグの各クラブのクラブ登録書類の提出期限については、新型コロナウィルスによる状況を考慮して来月2月15日を新たな期限として各クラブに通達したことも明かした上で、「各クラブが提出する登録書類については、リーグ開幕後に給料未払い問題が起こらないよう特に経営状況について精査する。また、リーグ開幕後の標準作業手順SOPについては、M3リーグにはスタジアムではなくスタンドがないフィールドを本拠地として使うクラブもあることから、Mリーグ1部と2部とは異なり人の移動の制限が難しいことから、各クラブには本拠地として使うスタジアムあるいはフィールド名を提出してもらい、それをAFLが審査する。」と話しています。
 ウトゥサンマレーシアによると、今季のM3リーグ参加を表明しているのは現時点で9クラブしかなく、残る19クラブについては参加を未だ検討中で、中には新型コロナウィルスの感染が収束していないことが予想される3月よりも6月開催を望むクラブもあるとしています。
 最後にモハマド・ユソフ チェアマンは昨季はM3リーグが中止となったことで、本来なら3部降格となる2部プレミアリーグの11位と12位が今季も2部でプレーすることから、2部リーグの競争を活発化させるためにも3部のM3リーグは開催する必要があると話しています。

スリ・パハンはアシスタントコーチにフランス人コーチを採用
 Mリーグ1部のスリ・パハンは、元フィジー代表監督のクリストフ・ギャメル氏をアシスタントコーチとして契約したことをマレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。
 フランス出身のギャメル氏は既にスリ・パハンの本拠地があるパハン州クアンタンにおり、現在は検疫隔離期間中であることをスリ・パハンのモハメド・スフィアン・アワンCEOが明かしています。今季就任したトーマス・ドゥーリー監督の求めに応じて採用された48歳のギャメル氏はマレーシア人のアフマド・ユソフ アシスタントコーチとともにドゥーリー監督を支えるということです。

1月31日のニュース:フットサルリーグなどの開幕が6月に延期、Mリーグの選手登録期限が延長か、ACLとAFCカップの集中開催地争いではマレーシアは不利

フットサルリーグなどの開幕が6月に延期
 マレーシアサッカー協会FAMは主催するマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLとMリーグのU21チームが参加するプレジデントカップ、同じくU19チームが参加するユースカップの開幕を6月に延期されると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 3月開幕が予定されていたこれらの大会は、暫定措置として6月開催が予定されているということです。FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は試合方式を変更し、プレジデントカップとユースカップには地域リーグ制を導入し、移動距離を短くすることで移動制限に対応できるすることも明らかにしています。この他、新型コロナウィルスによるロックダウンなどによって、FAMが設定する地域リーグ終了期限までにリーグ内の試合が全て終了できない場合は、その期限の時点で首位のチームがノックアウトステージへ進出するルールを採用するとしています。またMPFLは各節ごとに1カ所での集中開催で実施し、週ごとに開催地を変更する予定ということです。
 スチュアート事務局長は今年のイスラム教の断食月が4月13日から5月12日までであることも考慮した上での6月開幕を予定としているとも話しています。
 なおMPFL、プレジデントカップ、ユースカップはいずれも昨年2020年は新型コロナウィルスの影響により中止となっています。

Mリーグの選手登録期限が延長か
 今季2021年シーズンのMリーグの選手登録は2月14日が期限となっていますが、Mリーグの開幕が当初の2月26日から3月5日に延期されたことを受け、選手登録期限も延期される可能性が高いと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 現時点では外国籍選手枠(1部5名-アジア枠1名と東南アジア枠1名を含む、2部4名-アジア枠1名を含む)の全てが埋まっていないクラブもあり、そういったクラブには朗報となるだろうとしています。
 ただし選手登録変更期限の変更はマレーシアサッカー協会FAMとFIFAの承認が必要であるとしており、Mリーグを運営するアブドル・ガニ・ハサンCEOもリーグ開幕延期を各クラブに知らせた際には、選手登録期限の延期がFAMとFIFAの承認待ちであることも合わせて伝えてあるとスタジアムアストロのインタビューに答えています。
 なお外国籍選手枠が全て埋まっていないクラブはMリーグ1部のスリ・パハン、ペラ、マラッカ・ユナイテッド、サバの4クラブです。

ACLとAFCカップの集中開催地争いではマレーシアは不利
 1月27日に開催されたアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグとAFCカップのグループステージ抽選で、マレーシアからACLに出場するジョホール・ダルル・タジムJDTとAFCカップに出場するクダ・ダルル・アマンとトレンガヌの対戦相手が決定しました。
 今季のACLとAFCカップはいずれもグループステージは集中開催方式で行われることが決定しており、今後は予選各組の試合開催国が決定されていくことになります。集中会さということで、自国開催が最も望ましいところですが、新型コロナウィルスの感染状況を見る限り、マレーシアが自国開催権を手に入れることは難しいだろうと、サッカー専門サイトのスムアニャボラが予想しています。
 昨日1月29日にはマレーシア全土で合わせて5728人の新規感染者が出ており、JDTやクダ・ダルル・アマンやトレンガヌが本拠地での集中開催を希望しても、実現の可能性は低そうだと分析しています。例えばJDTが予選で同組となっている江蘇蘇寧(中国)や名古屋グランパスと比べても、中国はここ数日の新規感染者数平均が100名程度、日本は4000名程度と、マレーシアと比べると明らかに感染者数が少ないいずれかの国での開催が有力です。
 またAFCカップでクダ・ダルル・アマンと同組のライオンシティ・セイラーズ(シンガポール)とサイゴン(ベトナム)を比べても、マレーシアはシンガポール(新規感染者27名)とベトナム(同15名)の後塵を拝しており、トレンガヌ同組のカヤ-イロイロ(フィリピン)、シャン・ユナイテッド(ミャンマー)についてもフィリピンが1694名、ミャンマーが427名となっており、いずれの国もマレーシアよりはるかに新規感染者数が少ないため、こちらもマレーシアでのグループリーグ開催の可能性は限りなく低いと言えそうです。

1月30日のニュース:エリゼッチ氏側がKLサッカー協会に反論、2年連続でのM3リーグ中止をクラブは望まず、代表合宿開催決定も宿舎が決まらず

エリゼッチ氏側がKLサッカー協会に反論
 昨日のこのブログで取り上げたMリーグ1部のKLユナイテッドによるシモン・エリゼッチ氏と契約不履行について、その後、クアラルンプールサッカー協会KLFAのノクマン・ムスタファ事務局長が声明を発表し、エリゼッチ氏と契約したのはKLFAであり、民営化によってKLFAと別組織となったKLユナイテッドは無関係であり、KLユナイテッドを訴えるのは見当違いであるという声明を発表しました。
 これに対し、エリゼッチ氏の弁護士であるザフリ・アミヌラシド氏が早速、反論しています。マレーシア語紙ブリタハリアン電子版に対してザフリ弁護士は、KLFAとKLユナイテッドは(ノクマン事務局長の主張とは異なり)同一の組織であり、契約に携わったのがKLFA関係者かどうかは問題ではないとし。さらにエリゼッチ氏との契約後に(民営化により)クラブの運営権がKLFAからKLユナイテッドに移ったという主張についても、そもそも同一組織であることからKLユナイテッドは法的責任を負わないという類の話ではないとしています。
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 この記事では、同じザフリ弁護士の「エリゼッチ氏は名誉回復のために訴訟を起こしており、KLFAおよびKLユナイテッドが法定外での解決を求めるのであれば話を聞く用意がある。」という発言を掲載していますが、先日の記事では徹底的に裁判で争うような発言が書かれていましたので、名誉毀損で訴えるのが大好きなマレーシア人らしくその発言は単に相手を威嚇するだけのつもりだったのかも知れません。

2年連続でのM3リーグ中止をクラブは望まず
 新型コロナウィルスの新規感染者数が昨日1月29日には国内全体で5700人を超えたという報道も出るなど状況の改善が見られない中、Mリーグ3部にあたるM3リーグの今季開催が危ぶまれています。昨季2020年シーズンもMリーグ1部と2部は期間を短縮して開催された一方で、M3リーグ以下はシーズン途中で中止となりました。
 2年連続の中止は望まないというM3リーグの各クラブの声を代表して国軍FCのモハマド・ノーラザム・アブドル・ラザク チームマネージャー(TM)がブリタハリアンの取材に答えています。
 「M3リーグが2年連続で中止となればその影響は計り知れない。大半のクラブはと契約を済ませており、中には既に給料を支払ったクラブもある。昨季は新型コロナウィルスによる問題と初めて対峙したため、中止はやむを得なかったが、今季は開幕日を遅らせるなど、リーグ中止以外の解決策を(M3リーグを運営する)アマチュアフットボールリーグAFLに求めたい。」とノーラザムTMは話しています。
 昨季のM3リーグは開幕直後に新型コロナウィルス感染拡大によりリーグが中断した後、7月にシーズン中止が発表されました。

代表合宿開催決定も宿舎が決まらず
 国内スポーツを監督する青年スポーツ省と新型コロナウィルス対策を検討する国家安全保障委員会から、FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に出場するマレーシア代表の合宿開催許可が出ましたが、マレーシア語紙シナルハリアンは代表合宿の宿舎が決まっていないと報じています。
 当初予定されていた国家スポーツ評議会NSCが運営するブキジャリルの施設は他のスポーツの代表選手の多くが合宿している施設で、代表合宿開催の条件となっている外部との交流を断ち切る完全隔離型の合宿開催が難しいことが指摘されていました。
 代表チームのモハマド・ユソフ・マハディ チームマネージャーはシナルハリアンの取材に対して、練習はブキジャリル国立競技場で行うことが可能である一方で、合宿の宿舎が決まっていないことを明らかにしています。
 モハマド・ユソフTMは、宿舎は最終的にタン・チェンホー代表監督やマレーシアサッカー協会FAMとの話し合いで決定するとし、さらにその決定した宿舎の使用が国家安全保障委員会から認可される必要があることも説明しています。

1月29日のニュース:KLユナイテッドが契約不履行で訴えられる、AFCカップ グループステージ組み合わせ決定-アイディル監督はかつて指揮したクラブと同組に、ACLグループステージ組み合わせ決定-JDTは中国リーグ優勝クラブや名古屋と同組に、JDTは英国1部のU23チームでプレーするナサニエル・シオと契約

 今季Mリーグ1部に昇格するクアラルンプール・ユナイテッド(KLユナイテッド)が、チリ出身で前東ティモール代表監督のシモン・エリゼッチ氏の今季監督就任を昨年末に明らかにしたことはこのブログでも紹介しましたが、そのニュースを取り上げた時点ではエリゼッチ氏は既にマレーシア入りしており、渡航者全員に求められる検疫隔離期間でした。それが急遽、今月に入るとケランタンFCなどで監督を務めたクロアチア出身のボジャン・ホダック氏の監督就任が報じられる一方で、契約間近と思われたエリゼッチ氏に関する報道はぴたりと止みました。
 そのエリゼッチ氏が契約の不履行と、自身のコーチとしての実績を中傷しているとしてKLユナイテッドに対して法的措置を取ることを明らかにしてます。
 英字紙ニューストレイトタイムズは、エリゼッチ氏が弁護士を伴って開いた記者会見の様子を伝えています。この会見でエリゼッチ氏は、KLユナイテッドが正当な理由や手続きを踏まずに契約を解除したとして、その損害賠償を求めて民事訴訟を起こしたことを明らかにしています。
 KLユナイテッドはエリゼッチ氏が有効なプロコーチライセンスを保持していないことを主張しているとされていますが、記者会見に同席した弁護士はアジアサッカー連盟AFCとマレーシアサッカー協会FAMが承認している有効なライセンスを保持していると述べ、KLユナイテッドによる虚偽の告発によってエリゼッチ氏は評判を汚されたとして民事訴訟を起こす他、契約不履行をFIFAに訴えるとしています。なおエリゼッチ氏はKLユナイテッドに対して非常に失望していることから示談での解決を望んでいないことも弁護士が明らかにしています。
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 別の報道ではエリゼッチ氏が求めている損害賠償の額が350万リンギ(およそ9021万円)というものや、KLユナイテッドのスタンリー・バーナードCEOの関知しないところで契約が結ばれたなどというものもあり、両者による泥試合の様相を呈してきました。

AFCカップ グループステージ組み合わせ決定-アイディル監督はかつて指揮したクラブと対戦へ
 2021年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)とAFCカップのグループステージ組み合わせ抽選が1月27日にクアラルンプールのAFCハウスで行われ、Mリーグを代表して出場する3チームの対戦相手が決まりました。
 AFCカップには昨季Mリーグで2位のクダ・ダルル・アマンと3位のトレンガヌが出場します。クダ・ダルル・アマンは予選H組となり、昨季国内リーグ3位のサイゴン(ベトナム)、同3位のライオンシティ・セイラーズ(シンガポール)、そして現在は未定の第2プレイオフの勝者と同組となっています。クダ・ダルル・アマンのアイディル・シャリン監督はMリーグでの監督就任前にはライオン・シティ・セイラーズの前身であるホーム・ユナイテッドで2016年から2018年まで監督を務めており、自身が監督をする新旧チームの対戦となりました。
 マレーシアの通信社ブルナマの報道によれば、現在のライオンシティ・セイラーズのメンバーの80%を知っていると話すアイディル監督は、その強さも弱さも理解しているとしていますが、ライオンシティ・セイラーズがリーグ史上最高額となる300万シンガポールドル(およそ2億3500万円)の移籍金で最近獲得したブラジル人MFディエゴ・ロペスについて問われると、かつて監督を務めたクラブが今大会のタイトル獲得を真剣に狙っているとしながらも、クダ・ダルル・アマンはG組の他のチームと張り合う十分な力があると話しています。
 また予選I組となったトレンガヌは昨季国内2位のカヤ-イロイロ(フィリピン)、同4位のゲイラン・インターナショナル(シンガポールリーグ)、同1位のシャン・ユナイテッド(ミャンマー、ただしシャン・ユナイテッドがACL出場権を獲得した場合には同3位のエーヤワディー・ユナイテッドが繰り上げでこのグループに参加します。)と同組となりましたが、G組、H組と比べるとやや楽な組に入った印象です。
 トレンガヌのズル・ファドリ・ロジ チームマネージャーは、この組み合わせを好機と捉えてグループステージ突破を目指したいとブルナマに話しています。
 FCカップのアセアン地区グループステージは6月22日から28日に一回戦総当たりの集中開催が予定されています。(ただし開催地は未定。)

ACLグループステージ組み合わせ決定-JDTは中国リーグ優勝クラブや名古屋と同組に
 AFCカップのグループステージ組み合わせ抽選に続いて行われた2021年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ組み合わせ抽選で、Mリーグ7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTは予選G組となり、昨季の中国リーグチャンピオンの江蘇蘇寧、Jリーグ3位の名古屋グランパス、そして第3プレーオフの勝者と同組となっています。
 Mリーグ1部優勝チームがプレーオフを経ずにACLへ参加できるようになって今回が3大会目ですが、3年連続の出場となるJDTは過去2大会で日本のクラブとは1勝2敗、中国のクラブとは0勝2敗という成績を残しています。(注:新型コロナウィルスにより中断した昨季2020年ACLグループステージが集中開催で再開した際、JDTはマレーシア政府から開催地カタールへの渡航が認められれず大会途中で事態となり、正式記録では対ヴィッセル神戸(5-1でヴィッセルの勝利)の記録は無効になっている他、同組だった広州恒大(中国)とも対戦しませんでした。)
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 ACLでは既にホームでは勝点3を挙げているJDTの今季の現実的な目標はアウェイマッチでの勝点3獲得ですが、今季もなかなか厳しい組に入ってしまったようです。

JDTは英国1部のU23チームでプレーするナサニエル・シオと契約
 JDTは公式Facebookで英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズのU23チームでプレーする20歳のMFナサニエル・シオ・ホング・ワンと契約をしたことを発表しています。ロンドン生まれのシオ選手はジョホール州出身のマレーシア人の母親と中国人の父親を持ち、イギリス、マレーシア、中国の代表でプレーする資格があるということです。
 JDTの公式Facebookでは、シオ選手のマレーシア国籍取得を条件とした獲得であるとして、シオ選手の現在の契約が切れる6月以降からマレーシア国籍取得手続きを始めるとしています。

1月28日のニュース:スランゴールFCにスイス出身MFが加入、スランゴールFCのナイジェリア出身FWがアジア枠に変更か、スリ・パハンFC前監督がチームマネージャーに就任、マレーシアでも故ベングロシュ氏を悼む声

スランゴールFCにスイス出身MFが加入
 Mリーグ1部のスランゴールFCは公式サイト上で、スイス出身のMFオリヴァー・バフと契約したことを発表しています。
 U15からU21スイス代表でのプレー経験があるバフ選手は、2012年のロンドンオリンピック出場経験がある他、2009年のU17W杯で優勝したスイスU17代表のメンバーとして、大会7試合中6試合に出場しています。
 28歳のバフ選手はFCチューリッヒのユース出身で、2010年から2017年までトップチームでプレーした後、スペイン2部リーグのレアル・サラゴザ、キプロス1部リーグのアノルトシス・ファマグスタ、スイス2部グラスホッパー・クラブ・チューリッヒを経て、スランゴールFCに加入しています。
 アジアでプレーするのは今回が初めてのバフ選手はスランゴールFCからオファーを受けた後、カルステン・ナイチェル監督、そしてマイケル・ファイヒテンバイナーTD(テクニカルダイレクター)と話をする機会があり、2人からクラブの今後の計画を聞いた上で入団を決めたことも明かしています。
 またナイチェル監督もかつて自身が監督を務めていたドイツのクラブでこのバフ選手を獲得しようとしたものの実現しなかったこと、そしてFCチューリッヒ時代からバフ選手に関心を持っていたことを明かした上で「状況判断力があり攻守ともに質が高いバフ選手はスランゴールFCの若い選手の良い手本となりうる。スランゴールFCでは持てる力を全て発揮してほしい。」と話しています。

スランゴールFCのナイジェリア出身FWがアジア枠に変更か
 同じスランゴールFCのナイジェリア出身FWイフェダヨ・オモスイが、今季2021年シーズンはアジア枠外国籍選手として登録される可能性をスポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 スランゴールFCを運営するスランゴール州サッカー協会のシャーリル・モクタル会長代理によると、昨季のMリーグ1部の得点王でもあるイフェダヨ選手は現在、バーレーン国政機獲得の手続きを行なっているということです。これが実現すれば、アジアサッカー連盟のメンバーであるバーレーン国籍保持者はアジア枠外国籍選手としての登録が可能となります。
 スランゴールFCの今季の外国籍選手はこのイフェダヨ選手の他、上の記事で取り上げたバフ選手、ドイツ出身のDFティム・ホイバッハ、スリ・パハンから加入したアセアン東南アジア枠のMFサフアン・バハルディン(シンガポール)の4名が確定していますが、イフェダヨ選手がアジア枠となれば欧州やアフリカ、あるいは南米出身の選手の獲得も可能になります。

スリ・パハンFC前監督がチームマネージャーに就任
 Mリーグ1部のスリ・パハンFC(前パハンFA)は元アメリカ代表主将としてW杯出場経験もあるトーマス・ドゥーリー新監督が就任しましたが、昨季まで監督を務めたドラー・されー前監督は今季からスリ・パハンFCのチームマネージャーに就任すると、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 スリ・パハンFCのモハマド・スフィアン・アワンCEOは2人の「レジェンド」が協力することで、チームに好影響がもたらされることを期待していると話しています。「2人はいずれも選手として国際舞台も含めた豊富な経験を持っており、外国籍選手を含めた選手の力を引き出してくれるだろう。」と期待を述べています。
 選手として2大会のW杯出場の他、アメリカ代表のアシスタントコーチやフィリピン代表監督の経験もあるドゥーリー新監督に対して、ドラー前監督は選手としてはマレーシア代表として74試合に出場、監督としてはMリーグの複数クラブの他、マレーシア代表監督として58試合を指揮した経験を持っています。

マレーシアでも故ベングロシュ氏を悼む声
 2002年にジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド市原・千葉)を指揮したジョゼフ・ベングロシュ氏の訃報が報じられています。1月26日にスロヴァキアサッカー協会が公式サイトで発表したベングロシュ氏死去のニュースを報じる日本のメディアではその記述が全く見つけられませんでしたが、故ベングロシュ氏はかつてクアラルンプールFA(現クアラルンプール・ユナイテッドFC)やマレーシア代表で監督を務めた経験もあり、当時を知る人々からベングロシュ氏を悼む声が上がっていることをマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 1985年にクアラルンプールFAの監督に就任したベングロシュ氏は1986年にクラブ初タイトルとなるMリーグ1部優勝をもたらすと、そのまま代表監督に就任し、同じ1986年には日本も出場したムルデカ大会で優勝を果たしています。しかし期待されて臨んだ同1986年の韓国ソウルでのアジア大会では1分2敗の成績でグループステージを突破できませんでした。
 ベングロシュ氏が監督時代にクアラルンプールFAの主将を務めていたタン・シュウセン氏は「ベングロシュ氏の練習方法は単純明快で理解がしやすい上、性格の良さもあって選手たちはまずベングロシュ氏を敬意を持って受け入れ、彼のことがより詳しく理解できるようになると、今度は選手は父親のように慕う存在になった。その結果として、チームは彼の持ち込んだ練習方法や彼の知識を素直に受け入れ、それが1986年の初優勝に結びついた。」と話しています。
 また現在はMリーグ1部PJシティFCのU21チームの監督を務めるグナラン・カルピア氏はクアラルンプールFAと代表の両方でベングロシュ氏の指導を受けており、その思い出として時間に厳格だったことが印象に残っていると話し、ベングロシュ氏がクアラルンプールFA監督を務めた期間は2年弱ながら、チームに近代サッカーをもたらすという遺産を残したおかげで、彼がクラブを去り代表監督となった後も、クアラルンプールFAは1987年までマレーシアカップを3連覇することができたとも話しています。
(下はクアラルンプール・ユナイテッドFCの公式Facebookに投稿された追悼メッセージ)


1月27日のニュース:Mリーグ開幕は3月5日に延期-FAカップは2季連続で中止に、JDTのACL出場資格が確定、今季のACLとAFCカップグループステージは集中開催が決定

Mリーグ開幕は3月5日に延期-FAカップは2季連続で中止に
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、2月26日に予定されていた今季2021年シーズンの開幕を3月5日に延期することを公式サイトで発表しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、臨時のMFL理事会を開催後、Mリーグ各クラブ代表者から意見を聞き、その了承を得た上での延期であるとしている他、代表が出場するFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選、ジョホール・ダルル・タジムJDTが出場するアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ、クダ・ダルル・アマンFCとトレンガヌFCが出場するAFCカップなどの日程も考慮に入れた結果であることも明らかにしています。
 さらにアブドル・ガニCEOは、過密日程を避けるため昨季に続いてFAカップの中止を決定した一方で、Mリーグ1部と2部のクラブが出場するマレーシアカップとチャレンジカップについては開催するとしています。

JDTのACL出場資格が確定
 Mリーグ1部を7連覇中のJDTは、昨季2020年シーズンのアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場しながら、新型コロナウィルスによる中断を経たグループステージ再開時に集中開催地となったカタールへの渡航について、マレーシア政府の安全保障委員会NSCがJDTの渡航を許可しなかったことにより断念し、グループステージを途中辞退せざるを得ませんでした。
 しかしこのJDTが今季もMリーグチャンピオンとして出場資格を持つACLへの出場申し込みを行った際にAFCからの回答が保留されていたことから、昨季のACL途中辞退の罰則として今季のACL出場が認められない可能性が取り沙汰されていました。
 これについてマレーシア語紙ウトゥサンマレーシア電子版は、AFCの協議委員会がJDTのACL出場を認める決定を下したことを報じています。
 マレーシア人でもあるAFCのウインザー・ポール・ジョン事務局長は、マレーシア政府から書簡を受け取ったことを明かした上で、様々な要因を含めて検討した結果、出場許可が決定されたと話しています。

今季のACLとAFCカップは集中開催が決定
 本日1月27日には今季のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ(ACL)とAFCカップの組み合わせ抽選が行われますが、いずれも集中開催で行われることがAFCの公式サイトで発表になっています。今季から40クラブが出場するACLは従来通り西地区と東地区に分かれて開催、また今季から39クラブが出場するAFCカップは新たに加わる2地区を含めた5地区でグループステージが開催されます。
 ACLにはMリーグチャンピオンのJDTが出場しますが、JDTが所属する東地区のグループステージは4月21日から5月7日に予定されています。(集中開催地は未定)
 また今季のACLはグループステージは1回戦総当たり、その後、準々決勝までは1回戦のノックアウト方式、そして準決勝以降からがホームアンドアウェイ方式となります。以下、ACLの予定表です。

AFC Champions League 2021 match schedule

 一方のAFCカップには、マレーシアからは昨季Mリーグ2位のクダ・ダルル・アマンFCと3位のトレンガヌFCが出場します。両チームが所属するアセアン地区のグループステージは6月22日から28日に開催が予定されています。(開催地は未定)
 AFCカップも1回戦総当たりのグループステージ後は、アセアン地区の準決勝、決勝はいずれも1回戦のノックアウト方式となっています。その後、アセアン地区の勝者は南、中央、東の各地区の勝者と準決勝で対戦し、そこから決勝に進み、勝ち抜けると西地区の勝者と一発勝負の決勝戦に望むことになります。以下、AFCカップの予定表です。

AFC Cup 2021 match schedule

1月23日のニュース:AFCはW杯アジア二次予選の日程変更を許可、代表合宿実施もリーグ開幕直前の各クラブの反応は、ケランタンFCオーナーがFAMとMFL代表者と会談、TFC IIの渡邉選手を地元紙が特集

ネット上には今季のMリーグ中止決定といったフェイクニュースも出ているようですが、Mリーグの今季日程は来週には発表になるようです。では今日のニュースです。

AFCはW杯アジア二次予選の日程変更を許可
 3月に再開が予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選についてアジアサッカー連盟AFCが予選各組に日程の柔軟な変更を許可したと、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 ブリタハリアンとのインタビューでAFCのウィンザー・ポール・ジョン事務局長は、「(アジア二次予選)の日程は発表になっているが、新型コロナウィルスの感染状況が各国ごとに異なっていることから、各国は当初の日程通りに予選を開催するかどうかを予選同組内で話し合い、必要であれば(アジア二次予選各組最終戦が予定されている)6月まで延期することを可能とする。またその際には集中開催など方式の変更についても許可するが、6月以降の延期は認められない。」と話しており、マレーシアサッカー協会FAMが日程変更を求めるのであれば、アラブ首長国とベトナムの両サッカー協会と話し合いを持つ必要があるとしています。
 既に発表されている予定では、マレーシア代表は3月25日にアウェイのアラブ首長国戦、3月30日にはホームでベトナム戦、そして6月15日はアウェイのタイ戦が組まれています。
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 AFC関連ではこの他、AFCが主催するAFCチャンピオンズリーグACLとAFCカップも新型コロナウィルスの影響から集中開催の可能性が取り沙汰されています。ACLは4月14日から、AFCカップは4月6日から開幕が当初の予定で、ACLには昨季のMリーグ1部チャンピオンJDTが、AFCカップには同2位のクダ・ダルル・アマンFCと同3位のトレンガヌFCがそれぞれ出場します。

代表合宿実施もリーグ開幕直前の各クラブの反応は
 青年スポーツ省の許可が出たことで、一旦は中止とされていた代表合宿が行われることになりましたが、2月末のMリーグ開幕が迫った状況下での代表候補選手招集について、各クラブは板挟みになっているとマレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 タン代表監督は、3月に再開されるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に向けて、1月29日から2月7日までを代表合宿期間として希望しているとされていますが、この時期は2月26日に予定されているMリーグ開幕まで1ヶ月を切っている時期です。
 モハマド・ユソフ・マハディ代表チームマネージャーは、当初予定されていた1月15日から26日までの日程には同意していたMリーグ各クラブは、合宿の日程が変更になったことで招集に難色を示す可能性もあり、各クラブ代表者との話し合いが重要であると、ハリアンメトロとのインタビューで話ししています。

ケランタンFCオーナーがFAMとMFL代表者と会談
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebook上で、ケランタンFCのノリザム・トゥキマン オーナーとFAM、Mリーグを運営するMFLの代表者による会談が行われたことを明らかにしています。
 スランゴール州クラナジャヤにあるFAMの本部で行われた会談には、ノリザム オーナーの他、FAMからはモハマド・ユソフ・マハディ会長代理とスチュアート・ラマリンガム事務局長が、MFLからはFAM副会長でもあるアブドル・ガニ・ハサンCEOが出席した他、ケランタン州サッカー協会のアフマド・ムザッキル・ハミド副会長も出席したと言うことです。
 会談の詳細は明らかにされていませんが、投稿の表題には「3者間の問題解決」とあるので、これ以上の論争が続くことはなさそうです。
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 JDTのオーナーであるジョホール州皇太子のトゥンク・イブラヒム殿下からは「ただのビジネスマン」と評されたノリザム オーナーですが、今度はクランタンFCのピッチ上の成功で記事になってもらいたいものです。

TFC IIの渡邉選手を地元紙が特集
 今季Mリーグ2部のトレンガヌFC II(TFC II)でプレーする渡邉将基選手をハリアンメトロが「ワタナベの大きな使命」と題した特集記事を掲載しています。以下は記事の内容の抜粋です。
 「外国籍選手のマサキワタナベはTFC IIでの大きな使命があることを明らかにした。京都出身の35歳は今季のチャレンジカップ優勝とMリーグ2部優勝に加えて、チームの若い選手たちの「師匠」になりたいと話している。『自分がTFC IIを移籍先として選んだことは正しいと思っている。その理由はチームの雰囲気が良いことに加え、チーム内の若い選手たちが将来、(トップチームの)トレンガヌFCを担う質が高い選手たちであることだ。さらにバドルル・アフザン・ラザリ監督とスブリ・スロン コーチらの首脳陣もこのチームの重要な強みであると思っている。こういった点からも、今季はこのチームで優勝すること、そして若い選手たちのメンターの役割を果たすことを望んでいる。』昨季は同じ2部のケランタンFA(現ケランタンFC)、その前にはフェルダ・ユナイテッドやプルリスFAでもプレーしたマサキは、自分の好きなポジションを尋ねられた際には、監督が求めるポジションはどこでも自信を持ってプレーすると話す一方で、『自分の本来のポジションはセントラルディフェンダーだが、中盤もできるし、チームが求めるなら攻撃的なポジションでプレーすることもできる。』と話している。」
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 渡邉選手がMリーグでプレーするのは上の記事にもあるようにTFC IIが4クラブ目となりますが、ちなみにこれは鈴木ブルーノ選手(ヌグリスンビランFA-TFC II-TFC-PDRM FC)と並ぶ日本人タイ記録です。
 TFC II 昨季はMリーグ2部プレミアリーグで2位と好成績を収めており、リーグ優勝とチャレンジカップの二冠は至極現実的な目標ですので、是非、若い選手を背中で引っ張るメンターになりその目標を達成して欲しいです。