2022年シーズン開幕直前!
Mリーグ1部スーパーリーグクラブ紹介第4回
PJシティFC & マラッカ・ユナイテッドFC

Mリーグ2022年シーズンは2月26日のピアラ・スンバンシー(チャリティーカップ)で開幕しますが、今季開幕前に今季のMリーグ1部スーパーリーグの12クラブを紹介する第4回は、昨季Mリーグ7位のPJシティFCと同8位のマラッカ・ユナイテッドFCです。

PJシティFC(2021年シーズンスーパーリーグ7位)

本拠地:MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
2021年シーズン成績:7位(6勝6分10敗)得点16(リーグ11位タイ)失点31(同8位タイ)
過去5シーズンの成績:2017年8位-2018年7位-2019年6位-2020年9位-2021年7位
監督:P・マニアム(マレーシア)
外国籍選手:
在籍外国籍選手なし

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 #GKカラムラー・アル=ハフィズ
 DFラフィ・ナグールガニ
 DF P・カナダサン
 DFシュクリ・ハミド
 DF D・クガン
 DFフィレモン・アニル
 DFマハリ・ジュスリ
 DFラジェス・プルマイ
 MF S・チャンドラン
 MF V・ルヴェンティラン
 MF K・グルサミー
 MFサルモン・ラジ
 #MFコギレスワラン・ラジ
 FWシャーミ・ザムリ
 FWカイリル・ムハイミーン
 #FWダレン・ロック
 *FW S・クマーラン(マラッカ・ユナイテッドFCより加入)
 *FWアルーン・クマル(ヌグリスンビランFCより加入)

チーム紹介:
スーパーリーグで唯一の外国籍選手が1人もいないクラブがこのPJシティFCです。初めてこの方針を採用した昨季は、2部降格の一番手かと思われたものの、フタを開けてみればリーグ最小の16点得点(22試合)ながら勝点24を挙げ、堂々の7位でシーズンを終えています。外国籍選手がいなければ、当然ですがマレーシア人選手の出場時間も増えるわけで、十分な試合出場時間を確保したことで実績も積んだダレン・ロック、コギレスワラン・ラジ、そしてカラムラー・アル=ハフィズの3選手が代表に招集されています。(ただしロック選手はケガしていた箇所を代表合宿中に悪化させ途中辞退)

前身がインド系マレーシア人のためのサッカークラブだったことから、インド系の選手が多いのもこのクラブの特徴でが、今季はヌグリスンビランとマラッカ・ユナイテッドからやはりインド系の選手が加入していますが、アルーン・クマル、S・クマーラン両選手とも昨季所属していたクラブでは攻撃陣の主力選手としてプレーしており、昨季の「負けないサッカー」はマレーシア人選手だけでも十分にスーパーリーグでプレーできることを示せたことから、今季さらに点を取って「勝つサッカー」へと変貌を遂げられるかどうかを見てみたいクラブです。

ボラセパマレーシアJP的注目選手
・ダレン・ロック
昨季は開幕戦からゴールを重ねるもケガで長期離脱。シーズン終盤に復帰し、スズキカップ2020出場の代表合宿に招集されるものまたケガで辞退となったダレン・ロックは、ストライカー不足の代表の救世主となり得る存在ですが、キム・パンゴン新監督にアピールするためにもまずはケガなくシーズンを迎えて欲しいです。身体の強さを生かして泥臭く得点を挙げるスタイルは、現在の代表にはいないタイプの選手です。

・コギレスワラン・ラジ
3年振りの代表復帰となったスズキカップ2020では代表初ゴールを含む2ゴールを決めるなど、昨季はいい形でシーズンを終えたコギレスワラン・ラジですが、今季はPJシティでアタッキングミッドフィルダーとしての地位を確立し、キム監督の元でも代表チームでプレーしたいところ。フォワードのS・クマーランが加入したことで、今季はフォワードとの兼業はなさそうなので、スズキカップでも見せた得意の中盤からのオーバーラップを生かし、まずはチームでゴールを量産したいところです。

マラッカ・ユナイテッドFC(2021年シーズンスーパーリーグ8位)

本拠地:ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
2021年シーズン成績:7位(5勝9分8敗)得点25(リーグ7位)失点31(同8位)
過去5シーズンの成績:2017年8位-2018年7位-2019年6位-2020年9位-2021年8位
監督:リスト・ヴィダコヴィッチ(ボスニア)
外国籍選手:
 *FWイフェダヨ・オルせグン(カタール/ナイジェリア-AFC枠)
 *FWエマヌエル・オッティ(ガーナ)
FWアドリアーノ(ブラジル) 
MFソニー・ノルデ(ハイチ)
 *DFジャスティン・バース(フィリピン/オランダ-アセアン枠)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 *GKブライアン・シー(ペナンFCより加入)
 DFワン・アミルル・アフィク
 DFファリス・シャー
 DFカイルル・アンワル
 DFアクマル・ザヒル
 DFシャミン・ヤハヤ
 *DFシャズワン・アンディック(JDT IIより期限付き移籍で加入)
 MFワン・ザハルルニザム
 *MFシャールル・アズワリ(ケランタン・ユナイテッドFCより加入)
 *MFシュクリ・バハルン(サバFCより加入)
 *MFファドリ・イドリス(ペナンFCより加入)
 *FWファドリ・シャス(JDT IIより期限付き移籍で加入)
 *FWノーシャールル・イドラン・タラハ(サラワク・ユナイテッドFCより加入)

チーム紹介:
2020年、2021年シーズンと2季連続で選手や監督、コーチへの給料未払いが発覚し、勝点剥奪処分を受けたマラッカ・ユナイテッドFC(以下マラッカ)は、代表選手で正GKのカイルル・ファーミ・チェ・マットや昨季のチーム得点王S・クマーランらがチームを去っています。その一方でチームに残った選手たちの多くは過去3季指揮を取ったザイナル・アビディン・ハサン監督の残留を条件にしていたとされていますが、今年1月に入るとクラブはリスト・ヴィダコヴィッチ新監督の就任とザイナル監督の退任を発表しています。ザイナル監督では「タイトル」が取れる見込みがないという監督交代の理由をクラブのCEOが明らかにする一方で、給料未払いのままプレーし続けた選手たちがリーグ戦後のマレーシアカップでは1983年以来となる準決勝を果たしたのはザイナル監督が選手を鼓舞し続けたからとも言われており、開幕をおよそ1ヶ月に控えての監督交代が裏目に出る可能性もあります。

それでもCEO自らが「タイトル」を口にするだけのことはあり、シーズンオフの戦力補強は積極的に行われ、中でも最大の補強は昨季のリーグ得点王イフェダヨ・オルセグンの獲得です。マラッカへは2018年シーズン以来4季振りの復帰となるイフェダヨ選手は、昨季は26ゴールを挙げており、これはマラッカのチーム総ゴール数25を上回っています。リーグでも屈指となった得点力に加え、JDTのセカンドチームJDT IIからいずれも元代表のDFシャズワン・アンディックとFWファドリ・シャスも獲得するなどメンバーは揃ったマラッカですが、ここ数年のようなピッチ外での問題がなければトップ5入りが期待できる布陣です。

ボラセパマレーシアJP的注目選手
・イフェダヨ・オルセグン
イフェダヨ・オルセグンは、昨季のリーグ戦26ゴールを含め、過去3季在籍したスランゴールでは。リーグ戦43試合出場で50ゴールを挙げているスーパーリーグ屈指のストライカーです。昨季のスランゴールは若い選手が多く、自身へのマークが厳しくなりがちな中での26ゴールだったことを考えると、昨季から残留するアドリアーノや新戦力のエマヌエル・オティらFW陣や、そしてスーパーリーグでは一二を争う攻撃的MFソニー・ノルデらと共にプレーする今季はさらなるゴール数も期待できそうです。

・ノーシャールル・イドラン・タラハ
2019年シーズンにパハンFA(当時、現スリ・パハンFC)でプレーした後、タイ1部のBGパトゥム・ユナイテッドへ移籍するも出場機会に恵まれず、昨季は2部プレミアリーグのサラワク・ユナイテッドでプレーしていたマット・ヨーことノーシャールル選手。コロナ前の2019年末のFIFAワールドカップ予選では代表FWとして先発にその名を連ねていましたが、昨年6月に再開したW杯予選では出番もなく、昨年末のスズキカップでは代表へ招集されることもなく、このまま表舞台から消えてしまうのかと思われましたが、3年振りのスーパーリーグ復帰となりました。マラッカではスーパーサブ的な起用となるのか、それとも外国籍選手との競争に勝ってレギュラーポジションを奪取するのかは分かりませんが、自身の代表復帰も含め、復活に期待したいです。
 

2月20日のニュース
クランタン・ユナイテッドも4名の外国籍枠が埋まる
アセアンU23選手権-負けられないラオス戦を前に3名が陽性反応

クランタン・ユナイテッドも4名の外国籍枠が埋まる

Mリーグ2部プレミアリーグのクランタン・ユナイテッドFC(以下クランタン・ユナイテッド)はあらたな外国籍選手として、ナイジェリア出身のFWジェイコブ・ウンジョクとガーナ出身のMFアミドゥ・サリフの加入をクラブ公式Facebookで発表しています。

24歳のウンジョク選手はバーレーン2部リーグのアル・シャハブFCから加入し、1年契約ということですが、シャムスル・サアド監督はウイングやセカンドストライカーとして起用する可能性について言及しています。一方の29歳のサリフ選手は2010/2011シーズンにセリエBのヴィチェンツァでプロデビューを果たすと、その翌年にはセリエAのフィオレンティーナへ移籍、さらに期限付き移籍でペルージャ、ブレシアなどイタリア、セリエBの複数のクラブでプレーし、昨季はルーマニア1部のFCペトロルル・プロイェシュティでプレーしています。Mリーグ2部プレミアリーグは外国籍選手枠がAFC枠1を含めた4名の登録が可能ですが、クランタン・ユナイテッドは昨季のメンバーからMF本山雅志、DF深井脩平の両選手がが残留しており、ウンジョク選手とサリフ選手の加入で4名の枠が全て埋まりました。

今季の2部プレミアリーグは今季2部に降格するペラが給料未払いにより新規選手獲得の禁止処分を受けており、やはり今季2部に降格するUITM FCもクラブのオーナーシップ途上の問題で2月22日のトランスファーウィンドウ期間最終日までに新戦力獲得が完了しない可能性があります。そうなると昨季5位のクチンシティ、6位のクランタン、そして7位のクランタン・ユナイテッドの3チームが1部昇格を目指して三つ巴の戦いになる可能性があります。イルファン・バクティ監督が今季終了後の退任を表明しているクチンシティはイルファン監督の花道を飾ろうとリーグ戦に臨むでしょうし、クランタンはビジネスマンのノリザム・トゥキマンオーナーが来季の昇格をかけて外国籍選手4名全員をFWの選手で揃えるなど、この3チームの争いは熾烈なものになりそうです。

アセアンU23選手権-負けられないラオス戦を前に3名が陽性反応

2月18日にラオスU23代表に2-1で敗れ、準決勝進出には2月21日の試合で勝利が必要なマレーシアU23代表がピンチに見舞われています。マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebook上で、昨日2月19日に行われた検査の結果、3名の選手が新型コロナ陽性反応を示し、隔離されることを発表しています。陽性反応を示したのはアブドル・ハナフィ・トウキョウ(サバ)、ザイナル・アビディン・ジャミル(PJシティ)、そしてT・サラヴァナン(ペナン)の3名です。またカン・ハンメン コーチも陽性反応を示した問いことです。この4名は直ちに隔離され、本日、再検査のためにPCR検査を受けることになっているということです。

その一方で入国時の検査で陽性反応を示して隔離されていたファーミ・ダニエル・ザアアイム(スランゴール2)とシャフィ・アズスワド・サパリ(JDT II)は隔離が終了し、PCR検査結果が陰性ならば、今日中にチームに合流することも発表されています。


2022年シーズン開幕直前!
Mリーグ1部スーパーリーグクラブ紹介第3回
スランゴールFC & KLシティFC

Mリーグ2022年シーズンは3月5日ピアラ・スンバンシー(チャリティーカップ)で開幕しますが、今季開幕前に今季のMリーグ1部スーパーリーグの12クラブを紹介します。第3回は昨季Mリーグ5位のスランゴールFCと同6位のKLシティFCです。

スランゴールFC(2021年シーズンスーパーリーグ5位)

本拠地:MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
2021年シーズン成績:5位(10勝6分6敗)得点45(リーグ2位)失点30(同6位)
過去5シーズンの成績:2017年6位-2018年8位-2019年3位-2020年5位-2021年5位
監督:ミヒャエル・ファイヒテンバイナー(ドイツ)
外国籍選手(*は新加入選手):
 *FWユーリ・エンリケ・ジ・オリヴェイラ・コスタ(ブラジル)
 *FWカイオン(ブラジル)
 FWハインテットアウン(ミャンマー-アセアン枠)
 *MFバハー・アブドッラフマーン(ヨルダン-AFC枠)
 MFアレックス・アグヤクワ(ガーナ)
 *DFヤザン・アル=アラブ(ヨルダン-AFC枠)
 DFサフアン・バハルディン(シンガポール-アセアン枠)
 DFジョーダン・アイムビラ(ガーナ)
 DFジョージ・アトラム(ガーナ)
 
主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 #GKカイルルアズハン・カリド
 *#GKサミュエル・サマーヴィル(ペナンFCより加入)
 *#DFクエンティン・チェン(ペナンFCへ期限付き移籍終了)
 DFシャルル・ナジーム
 DFハリス・ハイカル
 DFアシュマウイ・ヤキン
 DFR・ディネシュ
 *DFファズリ・マズラン
 #MFブレンダン・ガン
 #MFムカイリ・アジマル
 MFハキム・ハサン
 MFアリフ・ハイカル
 FWダニアル・アスリ
 #FWシャーレル・フィクリ

チーム紹介:
1982年のマレーシアリーグ(ただし当時は現在とは違いアマチュアリーグ)発足以来リーグ優勝6回、1921年創設のマレーシアカップでは優勝33回、準優勝16回、そして1990年創設のFAカップでは優勝5回、準優勝3回とマレーシアサッカー界では圧倒的な歴史を誇る「赤い巨人」も、最後のリーグ優勝は2010年と、近年はマレーシアサッカー盟主の座をMリーグ8連覇中のJDTに奪われて久しいスランゴールFC(以下スランゴール)。特にここ数年は、長期的視点に欠けるチーム補強で迷走していましたが、2019年末にミヒャエル・ファイヒテンバイナーをテクニカルディレクターに迎え入れ、さらにマレーシアサッカー協会FAMと青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会NSCが共同で運営する国家サッカー選手育成プログラムNFDPの中核をなすエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDの第1期卒業生34名中、U19代表選手を中心に28名を獲得すると、過去2年はリーグ優勝よりもこの若い選手たちを育成しながら勝つ方針で2年連続5位となりました。

そんなチームからは。U23代表の主将でA代表にも招集されたムカイリ・アジマルや、リーグ戦とマレーシアカップを合わせてマレーシア人選手として昨季チーム最多の6ゴールを挙げたダニアル・アスリ、最終的にはケガで辞退したものの昨年はA代表に初めて招集されたシャルル・ナジーム、期限付き移籍したペナンFCでレギュラーポジションを掴むとU23代表、そしてスズキカップ2020に出場したA代表にも招集されたクエンティン・チャンら経験を積んだ選手たちが今季は主力となってリーグに臨みます。

若い選手たちに期待がかかる一方で、昨季のチーム総ゴール数43(チーム総得点45点中2点はオウンゴール)の内、26ゴールを挙げたイフェダヨ・オルセグンの退団による穴を埋めることができるかどうかが、今季のスランゴールの最大の問題となるでしょう。在籍した過去3シーズンで50ゴール(43試合)とチームの絶対的なエースの代わりをユーリ・エンリケ、カイオンのブラジルFWコンビに託すことになりますが、この2人が期待通りの働きができなければ。若いチームだけに一気にBクラス転落の可能性もあります。

ボラセパマレーシアJP的注目選手
・ブレンダン・ガン
昨年6月のW杯予選後に精巣腫瘍があることが判明し、昨季後半は治療に専念したガン選手ですが、既に今季のプレシーズン練習にも参加しています。また先日はガンの早期検診キャンペーンのイベントにもパネリストとして参加するなど、サッカー選手だけでなくガンを克服した模範として啓発活動を行うことも表明しています。そのガン選手不在が昨年後半のA代表の不振の原因の一つ、そしてスランゴールがスーパーリーグでトップ3に絡むことができなかった原因とも言えるでしょう。いわゆる「ボックストゥボックス」タイプのMFとして攻守に貢献するだけでなく、A代表、スランゴールいずれでも精神的支柱としてチームを鼓舞し続けるリーダーの復帰はクラブ、代表の両方で楽しみです。

・シャーレル・フィクリ、ダニアル・アスリ
新加入のブラジルFWコンビへの期待が高まる一方で、A代表のストライカー不足解消のためにも期待したいのが。昨季は2人合わせてわずか4ゴールに終わった2020年スーパーリーグのマレーシア人得点王シャーレル・フィクリと、同年プレミアリーグのマレーシア人得点王ダニアル・アスリの両選手です。新型コロナにより短縮された2020年シーズンでは、シャーレル選手は11試合で10ゴール、ダニアル選手は11試合で7ゴールを挙げており、実績は十分な2人が今季は合わせて10ゴール以上を挙げることができれば、スランゴールの上位進出の可能性は高まります。

・シャルル・ナジーム
リーグ優勝のJDTは完封勝ちが11試合、2位のペナンFCも無失点勝利が6試合ある一方で、スランゴールのクリーンシートはわずか3試合しかなく、昨季リーグ6位の30失点のDF陣をどう立て直すのかもスランゴールの今季の課題です。シャーミ・サファリ(JDTに移籍)、A・ナマテヴァン(ヌグリスンビランFCに移籍)と経験のあるDF2名がチームを去った中で、シンガポール代表のサフアン・バハルディンとともに今季のDF陣の中心となるのが独特の髪型から「アフロ」の愛称で呼ばれるシャルル・ナジームです。豊富な運動量を誇るものの、張り切りすぎた結果のミスも多い印象だった昨季を経て、チームのセンターバックとして活躍できれば、本人が憧れていると話すアイディル・ザフアン(JDT)に代わって代表のセンターバックとしてプレーする機会もありそうです。

KLシティFC(2021年シーズンスーパーリーグ6位)

本拠地:KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
2021年シーズン成績:6位(8勝9分5敗)得点27(リーグ6位)失点20(同2位)
過去5シーズンの成績:2017年2部1位-2018年10位-2019年12位-2020年2部3位-2021年5位
監督:ボヤン・ホダック(クロアチア)
外国籍選手(*は新加入選手):
 *FWケヴィン・クベンバ(コンゴ/フランス)
 FWロメル・モラレス(コロンビア)
 MFパウロ・ジョズエ(ブラジル)
 DFジャンカルロ・ガリフロッコ
 GKケヴィン・メンドーザ(フィリピン-アセアン枠)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 *GKアズリ・アブドル・ガニ(ペラFCより加入)
 #DFイルファン・ザカリア
 DFニック・シャールル
 DFカマル・アジジ
 DFライアン・ランバート
 *DFデクラン・ランバート(オランダ2部FCデン・ボスより加入)
 *DFムハマド・ファウジ(トレンガヌFCより加入)
 *DFナビル・ハキム(PJシティFCより加入)
 #MFアクラム・マヒナン
 MFザフリ・ヤハヤ
 MFハディン・アズマン
 MFファクルル・アイマン
 FWサフィ・サリー(2/21追加)

チーム紹介:
2020年シーズンに2部プレミアリーグで3位となり、昨季は2季振りとなる1部昇格を果たしたKLシティはスーパーリーグを6位で終えると、その後のマレーシアカップでは決勝でJDTを破るなど、ペナンFCとともにスーパーリーグの台風の目となりました。プレミアリーグで監督を務めたニザム・アズハ氏がスーパーリーグで監督を務めるためのAFCプロライセンスを保持していなかったことから、クランタンFA(現クランタンFC)ではリーグ、マレーシアカップ、FAカップの国内三冠を達成した他、現在リーグ8連覇中のJDTの初優勝時の監督だったボヤン・ホダック監督を招聘するとこれがピタリとはまり、今季のAFCカップ出場権まで獲得しています。

5位のスランゴールとは逆に、少ない得点を守り切るスタイルでシーズンを乗り切ったKLシティですが、ホームでは今季のリーグ戦11試合、マレーシアカップ5試合の計16試合で負けなし、さらにリーグ戦7試合、マレーシアカップ5試合の合計12試合がクリーンシートを達成していますが、32年ぶりの優勝を飾ったマレーシアカップの決勝は、守護神GKケヴィン・メンドーサが好セーブを連発し、まさに今季を代表するような試合でした。

そもそも守って勝つ試合運びをせざるを得なくなったのは、エースとして期待されていたFWドミニク・ダ・シルヴァが開幕直後のケガで離脱、2度目のトランスファーウィンドウ期間に獲得したFWキリアン・ヌワブエズもチーム合流後の初戦でケガを負った結果、出場はわずか1試合と、シーズンを通して攻撃力不足に苦しんだことが原因でした。窮余の策としてミッドフィルダーだったロメル・モラレスをシーズン途中でフォワードにコンバートし、結果的にはこの起用が実を結んだものの、年間を通しての得点力不足に悩んだボヤン・ホダック監督にとって今季加入のケヴィン・クベンバがはたして救世主となるのかどうかに注目です。

他のクラブが多くの外国籍選手を入れ替えたのに対し、KLシティは上記のクベンバ選手以外の4名が残留、マレーシア人選手も大半が残るなど、今季も上位を脅かすチームとなっていますが、気になるのはDFダニエル・ティンの退団です。昨季のチームの全試合33試合に出場し、そのうち32試合は先発するなどKLシティ躍進の鍵となったDF陣の中心選手の退団による穴が埋まらなければ、一気に下位転落もあり得ます。

ボラセパマレーシアJP的注目選手:
・ロメル・モラレス
今季は開幕からFWとして起用されるロメル・モラレスは、Mリーグでプレーするのは今季が5シーズン目となり、FIFAが規定する帰化選手の条件を満たすことから、KLシティはモラレス選手の帰化を進めることを明言しています。今年8月に25歳となるモラレス選手は、代表に貢献できていないという批判を受けている帰化選手のギリェルメ・デ・パウラ(JDT、今年36歳)、リリドン・クラスニキ(JDTからインド1部オディサFCに期限付き移籍中、今年30歳)と比べてもその若さが魅力ですが、マレーシア選手を凌駕する圧倒的な実力が帰化選手には求められることから、昨季の5ゴールからどれだけ上積みできるかが、クラブにとっても自身の帰化にとっても重要になりそうです。

・ライアン・ランバート
昨季開幕時はベンチ入りもできなかったライアン・ランバートですが、シーズン終盤には出場幾何も増え、リーグ戦終了後のマレーシアカップでは先発9試合を含めて11試合すべてに出場し、32年ぶりの優勝に貢献するなど、完全にレギュラーポジションを掴んでいます。メルボルン・ヴィクトリーのユースチームやオランダ2部のFCデン・ボスなど経て昨季からKLシティでプレーする23歳のランバート選手は母親がマレーシア人のため、マレーシア人選手として登録されており、今季も主力として活躍できれば、将来の代表入りも見えてきます。今季は双子の兄弟でDFデクラン・ランバートがチームメートとなり、チーム内の競争も激しくなりますが、兄弟揃っての代表入りとなれば話題にもなりそうです。
 

2022年シーズン開幕直前!
Mリーグ1部スーパーリーグクラブ紹介第2回
ペナンFC & トレンガヌFC

Mリーグ2022年シーズンは2月26日のピアラ・スンバンシー(チャリティーカップ)で開幕しますが、今季開幕を前に今季のMリーグ1部スーパーリーグの12クラブを紹介する第2回は、昨季Mリーグ3位のペナンFCと同4位のトレンガヌFCです。

ペナンFC(2021年シーズンスーパーリーグ3位)

本拠地:シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
2021年シーズン成績:3位(12勝5分5敗)得点37(リーグ4位)失点30(同6位)
過去5シーズンの成績:2017年12位-2018年2部10位-2019年2部7位-2020年2部1位-2021年1位
監督:トマーシュ・トルーハ (チェコ)
外国籍選手(*は新加入選手):
 *FWヒラル・エル=ヘルウェ(レバノン/ドイツ-AFC枠)
 FWカサグランデ(ブラジル)
 *FWクリスティアン・ロンティーニ(フィリピン/イタリア-アセアン枠)
 MFエンドリック(ブラジル)
 DFラファエル・ヴィトール

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 *GKムハマド・ハフィズル・ハキム(ペラFCより加入)
 DFアブドル・ラティフ・スハイミ
 DFアズミ・ムスリム
 DFアディブ・ラオプ
 DFシャミン・バハルディン
 *DFファイルズ・ザカリア(クダ・ダルル・アマンFCより加入)
 MFダニアル・アシュラフ
 MFファディル・イドリス
 MFタム・シャンツン
 MFファイズ・マズラン
 MFK・ティヴァンダラン
 FWジェフリ・フィルダウス・チュウ

チーム紹介:
2020年シーズンに2部プレミアリーグで優勝し、昨季は4季振りとなる1部昇格を果たすと、昇格初年度ながら快進撃を続け、終わってみれば2位のクダとは勝点差がわずか2と惜しくも3位となったペナン。2部プレミアリーグでも活躍したカサグランデ、エンドリック、ラファエル・ヴィトールのブラジルトリオが1部スーパーリーグでもチームを支え、リュウジ・ウトモ(インドネシア)やシェリダン・ボボエフ(タジキスタン)の外国籍選手とマレーシア人選手がそろって機能した結果でした。しかしリーグ終了後のマレーシアカップに入ると、グループステージ連敗が続きました。すると昇格初年度の3位という成績を忘れたのか、一部サポーターはトマーシュ・トルーハの選手起用がマレーシアカップ不調の原因としてその退陣を求め、チームもグループステージで敗退してしましました。

シーズンオフに入るとさらに混迷を深め、いずれも今年初めて代表に招集されたGKサミュエル・サマーヴィルやFWアル=ハフィズ・ハルンが退団を表明、さらにMFカイルル・アズリン、MFアメル・アズハル、MFデイヴィッド・ロウリーといった主力が退団し、さらに期限付き移籍だったウトモ選手は所属先のインドネシア1部プルシジャ・ジャカルタへ復帰、ボボエフ選手もチームをさり、その結果、2021年シーズンの開幕XIからはブラジルトリオ以外の8選手が移籍してしまう事態となっています。さらに今季がMリーグ5季目となるエンドリックが来季2023年はJDTで帰化選手としてプレーするとタンパリングまがいの発表も行われるなど、昇格1年目で3位という偉業がが忘れ去られてしまっています。

今季の布陣はサマーヴィル選手に加えて、控えGKのブライアン・シーも退団したところに、元代表GKのムハマド・ハフィズール・ハキムがペラから加入し、W杯アジア最終予選のメンバーにも選ばれているレバノン代表のFWヒラル・エル=ヘルウェ、フィリピンU23代表のFWクリスティアン・ロンティーニが加わりました。これら新戦力と残留したブラジルトリオを加えても、主力選手の大量退団による穴は大きく、若い選手がこれを機会と捉えて成長できるかどうかが、そのまま今季のペナンの成績に反映されそうです。

ボラセパマレーシアJP的注目選手:
ムハマド・ハフィズル・ハキム
昨季は給料未払いが数ヶ月間続き、シーズン途中に大量の主力選手が退団したペラで最後までチームに残ったハフィズル選手ですが、ペラは今季2部に降格したことで移籍を決意しています。ペラでは100試合近くに出場しており、28歳と老け込む歳でもないので、スランゴールに移籍したサマーヴィルの穴を埋める以上の活躍をして、代表復帰を目指して欲しいです。

タム・シャンツン
東京生まれながら両親がマレーシア人のタム選手は、昨季はクダに在籍したものの出場機会はほとんどないままペナンに移籍しています。ペナンでもいきなり先発とはならないでしょうが、プレシーズンマッチでは先発の機会も与えられているようなので、そこからスーパーサブ的な役割でも得られれば、そのユニークな背景から注目されるのではないでしょうか。

トレンガヌFC(2021年シーズンスーパーリーグ4位)

本拠地:スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
2021年シーズン成績:4位(11勝5分6敗)得点33(リーグ5位)失点20(同2位)
過去5シーズンの成績:2017年2部2位-2018年5位-2019年7位-2020年3位-2021年4位
監督:ナフジ・ザイン(マレーシア)
外国籍選手(*は新加入選手):
 *FWクパー・シャーマン(リベリア-クダ・ダルル・アマンFCから加入)
 *FWチェチェ・キプレ(コートジボアール-クダ・ダルル・アマンFCから加入)
 FWジョーダン・ミンター(ガーナ)
 MFハビブ・ハルーン(バーレーン-AFC枠)
 *MFマヌエル・オット(フィリピン/ドイツ-アセアン枠)
 *MFルーク・ウッドランド (フィリピン/英国-アセアン枠)
 *DFパペ・ディアキテ(セネガル)
 DF渡邉将基(日本-AFC枠)
 DFアルグジム・レゾヴィッチ(モンテネグロ)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 GKスハイミ・フシン
 GKラハディアズリ・ラハリム
 #DFアリフ・ファジラー
 #DFシャールル・ニザム
 DFアザム・アズミ
 DFアザルル・ナズリス
 DFアディブ・ザイヌディン(JDT IIから加入)
 MFファイズ・ナシル
 MFニック・アキフ
 #FWハキミ・アブドラー
 #FWファイサル・ハリム

チーム紹介:
打倒JDTの一番手と目された臨んだ昨季のトレンガヌは、第10節でJDTにとっては2季ぶりとなる黒星をつけるなど開幕前の予想に違わず、W杯予選によりMリーグが中断された第13節までの成績が8勝3分2敗とJDTを勝点差3で追走しました。しかし、およそ2ヶ月半後にMリーグが再開されると、JDTが残り9試合を全勝したのに対し、トレンガヌは3勝2分4敗と失速、特に最後のシーズン最後の5試合は1勝1分3敗で最終的には2019年シーズンよりも順位を下げて4位となりました。シーズン終了後には終盤の失速劇を重く見た経営陣が2019年途中から指揮を取るナフジ・ザイン監督との契約をなかなか更改せず、一時は交代も報じられましたが、結局、4季目も監督と務めることが発表されました。

終盤失速の原因の一つは、Jリーグのツエーゲン金沢やKリーグの浦項スティーラーズでもプレー経験があり、インドネシア1部のプルスバヤ・スラバヤでは42試合で35得点の実績を背負って加入したダビ・ダ・シルヴァが、シーズン通算7ゴールとMリーグでは前評判通りの結果が出なかったこと、そしてにそれでもナフジ監督がダ・シルヴァ選手の起用にこだわったことが挙げられます。セカンドチームのトレンガヌIIでは12試合で16得点、トレンガヌでも6試合で4得点とゴールを連発したジョーダン・ミンターを年間を通して起用せず、ダ・シルヴァ選手を最後まで使い続けた結果、シーズン最後の5試合を5得点5失点(ダ・シルヴァ選手は2得点)と逆転優勝どころかAFCカップ出場権のかかった2位も逃しています。そんなトレンガヌがシーズンオフに補強したのは、いずれもMリーグで過去3シーズンで33ゴールを挙げているクパー・シャーマン、そして過去5シーズンで46ゴールを挙げているチェチェ・キプレです。昨季はともにクダ・ダルル・アマンFCでプレーした両選手は合わせて23ゴールを挙げており、昨季のチーム総得点が33だったトレンガヌにとっては、得点力不足解消が期待できる補強となっています。

またマレーシア人選手が昨季からほぼ全員が残留したのも今季はプラスに作用しそうです。若い選手を多く起用した昨季は、リーグとマレーシアカップを合わせるとチーム最多の10ゴールを挙げ、覚醒した感のある24歳のファイサル・ハリム、リーグ戦21試合出場中12試合が途中出場とスーパーサブ的な使われ方をしながら5ゴールを挙げて、A代表に今年初めて招集された22歳のハキミ・アブドラ、そして今季はトップチームでの起用が増えるであろう、AFCU23アジアカップ予選で2ゴールを挙げたMFアズファル・フィクリに加えて、リーグ2位の20失点を支えたアリフ・ファジラー、シャールル・ニザム、アザム・アズミのDF陣も全員が20代前半で、昨季の経験を生かすことができれば、今季もJDTを脅かす一番手となりそうです。

ボラセパマレーシアJP的注目選手:
ファイサル・ハリム
それまで5シーズンを過ごしたパハンから移籍した昨季、ファイサル選手は、チームで唯一となるリーグ戦とマレーシアカップ全試合となる31試合先発を果たしています。一時はスペインのクラブが獲得に興味を示したという報道もありましたが、結局、それ以降は何もなかったようで今季もトレンガヌでプレーするようです。本来は左ウィングですが、タン・チェンホー前代表監督は、スズキカップ2020ではセンターフォワードとして起用するなど持ち味が活かされない場面がありましたが、キム・パンゴン新監督の元では自慢のスピードを駆使して本来のポジションでレギュラー獲得を目指して欲しい選手です。

タラハディアズリ・ラハリム
次世代の代表GK候補として19歳ながら昨年3月末のA代表合宿に招集されたものの、その合宿中に膝前十字靭帯ACL断裂の重傷を負ったタラハディアズリ選手は、このケガにより昨季を棒に振っています。今季はまずはセカンドチームのトレンガヌIIでの復活を目指すことになりそうですが、180cmに満たないマレーシア人GKが多い中で190cm超えの長身はそれだけで魅力的なので、是非、トップチームでのプレーを見てみたいです。

2022年シーズン開幕直前!ジョホール・ダルル・タジムJDT & クダ・ダルル・アマンFC

Mリーグ2022年シーズンは3月5日ピアラ・スンバンシー(チャリティーカップ)で開幕しますが、本日より全6回で今季のMリーグ1部スーパーリーグの12クラブを紹介します。第1回は昨季の覇者ジョホール・ダルル・タジムJDTと2位のクダ・ダルル・アマンFCです。

ジョホール・ダルル・タジムJDT(2021年シーズンスーパーリーグ優勝)

本拠地: スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
2021年シーズン成績:1位(18勝3分1敗)得点50(リーグ1位)失点9(同1位)
過去5シーズンの成績:2017年1位-2018年1位-2019年1位-2020年1位-2021年1位
監督:ベンヤミン・モラ(メキシコ)
外国籍選手(*は新加入選手):
 FWベルグソン・ダ・シルヴァ(ブラジル)
 *FWフェルナンド・フォレスティエリ(アルゼンチン/イタリア)
 *FWムサ・シディベ(マリ)
 FWフェルナンド・ロドリゲス(ブラジル)
 *FWビエンベニード・マラニョン(フィリピン-アセアン枠)
 MFレアンドロ・ベラスケス(アルゼンチン)
 DFマウリシオ(ブラジル)
 DFシェーン・ローリー (オーストラリア-AFC枠)
 *DFカルリ・デ・ムルガ(フィリピン-アセアン枠)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 #GKファリザル・マーリアス
 #DFアイディル・ザフアン
 #DFラヴェル・コービン=オング
 #DFマシュー・デイヴィーズ
 #*DFシャーミ・サファリ(スランゴールFCより加入)
 #DFアダム・ノー・アズリン
 #DFシャールル・サアド
 MFナチョ・インサ
 MFサフィク・ラヒム
 MFアフィク・ファザイル
 #MFナズミ・ファイズ
 #MFシャマー・クティ・アッバ
 *MFナサニエル・シオ・ホング・ワン(英国1部ウルヴァーハンプトンU23より加入)
 #FWサファウィ・ラシド
 #FWアキヤ・ラシド
 #FWアリフ・アイマン
 FWラマダン・サイフラー
 #FWモハマドゥ・スマレ
 #FWギリェルメ・デ・パウラ

チーム紹介:
ジョホール州王室の皇太子トゥンク・イスマイル殿下がオーナーを務めるJDTはスーパーリーグを2014年から7連覇中と国内では敵なしのクラブ。潤沢な資金で今季もフェルナンド・フォレスティエリ(セリエAのウディネーゼから加入)、ムサ・シディベ(スペイン2部のSDポンフェラディーナから加入)、ビエンベニード・マラニョン(フィリピン1部ユナイテッドシティより加入)、カルリ・デ・ムルガ(Mリーグのトレンガヌより加入)ら外国籍選手を獲得しています。さらにマレーシア代表シャーミ・サファリ(スランゴール)に加え、英国生まれながらマレーシア人の母親を持つ21歳のナサニエル・シオ・ホング・ワンを英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFCU23から獲得しマレーシア人選手として獲得するなど、リーグ戦はもちろん悲願のACLグループステージ突破に向けて余念がありません。

昨季からのメンバーを見てもリーグ2位の23ゴール(22試合)を挙げたエースのベルグソン・ダ・シルヴァに加え、マレーシア人選手もリーグMVPを獲得した19歳のアリフ・アイマン、スズキカップ2020で復活の兆しを見せた2018年と2019年のリーグMVPサファウィ・ラシド、さらに同じスズキカップ2020でゴールを決めたアキヤ・ラシドやシャールル・サアドなどメンバーははほぼ全員が代表選手という顔ぶれです。

なおMリーグ1部スーパーリーグの外国籍選手枠はAFC枠とアセアン枠を含めた5名、2部プレミアリーグはAFC枠を含めた4名ですが、JDTはセカンドチームのJDT IIが2部プレミアリーグに所属していることもあり、1部5名と2部4名の合わせて9名の枠いっぱいに外国籍選手を獲得しています。Mリーグを運営するMFLはトップチームとセカンドチームの間でのシーズン中の選手の入れ替え時期や回数に制限を設けていないため、9名の外国籍選手の中から調子の良い5名の選手をトップチームに置き、それ以外の4名の選手はセカンドチームでプレーさせることが可能です。個人的にはルールの盲点のような気もしますが、マレーシアのサッカーファンは「JDTのようにしたければ、他のクラブのセカンドチームをプレミアリーグでプレーさせれば良いだけだ」と、この仕組みにはあまり疑問を持っていないようです。

ボラセパマレーシアJP的注目選手:
・シャーミ・サファリ
ユース時代からプレーするスランゴールを飛び出したのは、ここ数年タイトル争いに絡めていないスランゴールへの不満か、それともより高いレベルでのプレーを目指す向上心からか。代表でも右サイドバックを争うマシュー・デイヴィーズとのチーム内での競争に勝てば、代表でも再び活躍できる日が訪れる日もそう遠くはなさそうです。

・ナサニエル・シオ・ホング・ワン-トゥンク
イスマイル殿下の帰化選手コレクションに新たに加わったシオ選手。MFが十分どころか多すぎるJDTに加わるシオ選手は守備的MFという触れ込みですが、ベテランのアイディル・ザフアンのバックアップという形でのデビューも考えられます。マレーシアの他に父親の出身国である中国や出生地の英国の代表としてプレーできる機会がある中でマレーシアを選んだのはなぜかにも興味が湧きますが、JDTは代表入りの近道ということもあるのかも知れません。

クダ・ダルル・アマンFC(2021年シーズンスーパーリーグ2位)

本拠地: ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
2021年シーズン成績:2位(13勝4分5敗)得点44(リーグ3位)失点9(同4位)
過去5シーズンの成績:2017年4位-2018年6位-2019年4位-2020年2位-2021年2位
監督:アイディル・シャリン・サハク(シンガポール)
外国籍選手(*は新加入選手):
 *FWロナルド・ンガ(カメルーン) 
 *FWデニス・ブシェニング(タイ/ドイツ-アセアン枠)
 *MFデチ・マルセル(コートジボアール)
 *DFチャン ソグォン(韓国-AFC枠)
 *DFマルク・バレス(アンドラ)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 GKシャーリル・サアリ
 GKイフワット・アクマル
 DFロドニー・ケルヴィン
 DFロクマン・ハキム
 DFファイルズ・ザカリア
 *MFカイルル・アズリン(ペナンFCより加入)
 MFアミルル・ヒシャム
 MFファズルル・ダネル
 MFファイアッド・ズルキフリ
 MFアリフ・ファルハン
 FWシャズワン・ザイノン
 FWフィクリ・ズルキフリ
 *FWアメル・アザハル(ペナンFCより加入)
 #*FWアル=ハフィズ・ハルン(ペナンFCより加入)
 #*FWシャフィク・アフマド(JDTより期限付き移籍で加入)

チーム紹介:
昨季途中に開幕から給料未払いだったことが明らかになったクダ。さらにMリーグがFIFA国際マッチデー期間に試合を開催したことで、自国の代表に招集されたリベリア代表のクパー・シャーマンやレバノン代表のラビ・アタヤがシーズン中に離脱するなど、チームの士気も上がらず、ベストメンバーで戦えない試合も少なくありませんでした。しかしシンガポール出身のアイディル・シャリン監督がその手腕を発揮して2季連続でJDTに次ぐリーグ2位となったのは見事としか言いようがありません。そのアイディル監督は昨季終了後に契約を延長し3年目を迎えますが、今季はさらに厳しい状況が続きそうです。何と言っても大きいのがユース時代からクダ一筋でプレーしてきた「ミスター・クダ」とも言えるMFバドロル・バクティアルの退団です。ここ数年間は主将としてチームを引っ張り、3年ぶりの代表復帰を果たすなどチームの中心だったバクティアル選手退団によって空いた穴を埋めるのは容易ではありません。さらに代表でもチームメートのDFリザル・ガザリも退団し、絶対的な主力選手2名抜けたクダは、外国籍選手5名も全員が入れ替わり、昨季とは全く違うチームになっています。

今季は若手中心の起用とならざるを得ないチーム状況の中、外国籍選手の内、昨季はトレンガヌでプレーしたデチ・マルセルと、マラッカでプレーしたチャン ソグォン、そして2部に降格したUITMでプレーしたデニス・ブシェニングといずれもMリーグでの経験がある選手が加入しています。またマレーシア人選手で言えばJDTから期限付きで移籍したシャフィク・アフマドと、ペナンから完全移籍したアル=ハフィズ・ハルンの代表FWコンビが加入したこと、そしてスランゴールから期限付き移籍していたロドニー・ケルヴィンの残留は明るい材料と言えます。

昨季はMリーグ1部スーパーリーグで2位となったことでAFCカップの出場権を得ているクダは、2019年のACLプレーオフ出場以来のアジアの舞台に臨みますが、これによる日程が過密になることで、選手勝の薄さが露呈しないかどうかが最大の懸念材料です。

ボラセパマレーシアJP的注目選手:
・ファズルル・ダネル、ファイアッド・ズルキフリ、フィクリ・ズルキフリ
名前がFで始まることからクダサポーターの間で「3F」と呼ばれるファズルル・ダネル、ファイアッド・ズルキフリ、フィクリ・ズルキフリのトリオの内、ファイアッド選手はリーグ戦とマレーシアカップ合わせて27試合に出場し、東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020の予備メンバーとして代表合宿に招集されるなど、主力定着間近です。またファズルル、フィクリ両選手も昨季の主力選手退団により今季は出場機会が多くなるはず。そこでチャンスをつかんで主力選手としてチームに定着できるかどうかが、クダの今季チーム成績にも大きく関わってきそうです。

・シャフィク・アフマド
新型コロナ前2019年のW杯予選ではインドネシアやアラブ首長国連邦を相手にゴールを挙げるなど、代表のエースとも言える活躍を見せたシャフィク選手ですが、昨季はJDTで出場わずか3試合、しかも通算出場時間は90分に満たないなどクラブでの出場機会をほとんど得られませんでした。それでも再開されたW杯予選やスズキカップ2020ではかつての活躍にもう一度期待したタン・チェンホー前監督によって代表に招集されましたが、失った輝きを取り戻すことができませんでした。自身が運転する車の事故で子どもを亡くし、またJDTでの出場機会が得られないことをSNSで呟いたところをクラブオーナーのトゥンク・イスマイル殿下にたしなめられるなど、ストレスが溜まる環境が影響したのかもしれません。そんな中で出場機会を求めてのクダへ期限付き移籍を選択したシャフィク選手ですが、ユース時代を過ごしたクダに戻った今季は、再びマレーシア屈指のストライカーとして新たに代表監督に就任したキム・パンゴン監督へ代表復帰アピールをして欲しいです。

2月17日のニュース
ACL東地区I組はマレーシアのジョホールでの集中開催が決定
Mリーグは今季もスタジアム内での飲食は禁止
Mリーグはペラの「支援」を表明

スズキカップ2020のマレーシア戦でMOMになったインドネシア代表のプラタマ・アルハンがJ2の東京ヴェルディ移籍、そしてAFF選手権ではU23代表が結局ラオスと2試合することになったなどのニュースも入ってきていますが、本題はACLとMリーグのニュースです。

ACL東地区I組はマレーシアのジョホールでの集中開催が決定

アジアサッカー連盟AFCは今季2022年AFCチャンピオンズリーグACLのグループステージ集中開催地を発表していますが、Mリーグ1部スーパーリーグのJDTが所属するI組は、マレーシアのジョホールで開催されることが決定しています。

4月15日から30日までの予定で開催されるグループステージI組は、スーパーリーグ8連覇中のJDTの他、昨季のJリーグ覇者である川崎フロンターレ、広州FC(中国)、そしてプレーオフで対戦する蔚山現代FC(韓国)とポートFC(タイ)の勝者の4チームで構成されており、この4チームが対戦する1回戦総当たりの6試合がJDTのホーム、スルタン・イブラヒムスタジアムを中心に開催されます。

JDTにとっては途中で棄権した2020年大会を含め4度目の挑戦となるACLですが、全試合本拠地開催の利点を生かして、初のグループステージ突破が果たせるかどうかに注目してみたいです。ちなみにJDTの過去3大会での戦績は以下の通りです。

2019年 グループステージE組4位(1勝1分4敗得点4失点8)
(A)鹿島 2-1 JDT、(H)JDT 1-0 鹿島 *JDTのACL初勝利
(A)山東魯能(現山東泰山) 2-1 JDT、(H)JDT 0-1 山東魯能 *JDTのACL初勝利
(A)慶南FC 2-0 JDT、(H)JDT 1-1 慶南FC *JDTのACL初勝点

2020年 グループステージG組4位(1勝0分1敗得点3失点7)*新型コロナ禍の中、一旦、中断後にカタールでの集中開催が決定したものの、マレーシア政府は渡航を認めずJDTは出場を辞退。このため公式記録上はJDTの試合は全て無効となっていますが、あえて書き記しておきます。
(A)神戸 6-1 JDT、(H)JDT 中止 神戸
(A)水原三星 中止 JDT、(H)JDT 2-1 水原三星
(A)広州恒大中止 JDT、(H)JDT 中止 広州恒大

2021年 グループステージG組3位(1勝1分4敗得点3失点9)
(A)名古屋 2-1 JDT、(H)JDT 0-1 名古屋
(A)浦項スティーラーズ 4-1 JDT、(H)JDT 0-2 浦項スティーラーズ
(A)ラーチャブリーミトポン 0-1 JDT、(H)JDT 0-0 ラーチャブリーミトポン

Mリーグは今季もスタジアム内での飲食は禁止

3月5日のMリーグ開幕まで2週間と迫り、新たなシーズンを前にファンの期待も高まる中、Mリーグを運営するMFLは、昨季に続き今季もスタジアム内での飲食が禁止となることをマレーシアの通信社ブルナマが報じています。

MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOによると、MFLは今季の開幕を前に、1)スタジアム内での飲食許可、2)現在は隔離が義務付けられている、検査が陰性ながら濃厚接触者である選手の試合出場許可、3)収容人員の50%あるいは最大2万人となっているスタジアム観戦者数制限の緩和の3点をマレーシア政府に求めたと説明しています。この内、2)については、昨年末にシンガポールで開催されたスズキカップ2020で採用された「国際基準」だということですが、マレーシア政府はこれを認めなかったということです。また3)については、1)と2)が認められた場合を前提としているということで、飲食許可と濃厚接触者ながら検査で陰性となった選手の出場が許可されない限り、スタジアムでの観戦者数は期待できなそうです。

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スタジアム内での飲食禁止とは言え、昨季はスタジアム周辺に屋台などは出ており、試合前と試合後はもちろん、試合中も柵越しに飲食物が購入されていたのをボラセパマレーシアJPは目撃しています。流石にスタンドまで持ち込む人は見ませんでしたが、スタンド下での飲食は試合中であっても黙認されており、規則を作っても取り締まる人間がいない状態でした。

Mリーグはペラの「支援」を表明

給料未払いによりFIFAとマレーシアサッカー協会MFLの双方から新たな選手獲得禁止処分を受けているペラFCは、今月2月22日に迫った今季1度目のトランスファーウィンドウ期間までに未払い給料を支払わなければ、新たな選手の獲得ができません。現在はチームの最小登録可能選手数の20名を割り込んでおり、このままではリーグへの参加ができませんが、この状況についてMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、登録選手が20名以下の場合でもリーグ参加を認める用意があると話しています。なおMリーグの規定では、リーグ出場するチームは最低20名、最高30名の選手を登録することが義務付けられています。

ペラFCの「苦境」を理解していると話すスチュアートCEOは「新たな選手の獲得を禁じられているペラFCは、昨季から残留する選手に加えて、U19チームやU17チームの選手が今季のリーグに出場することになるが、MFLはペラFCをできる限り『支援』する。」と述べています。スチュアートCEOはこれまでも、ペラFCの旧経営陣による「負の遺産」を引き継いだ新経営陣を規則に則って処分するのではなく、より現実的に対処することを繰り返し表明していることから、例外的にペラFCの参加を認める可能性が高そうです。

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給料未払いとなっている内の1人のジェオン・ヒョソクは2020年開幕前にペラFCと契約した選手です。契約直後にケガをしたと主張するジェオン選手とケガを隠して契約したとするペラFCとの間で起こった争いは、FIFAがペラFCに未払い給料支払いを求めることで決着しましたが、ペラFCはこれに応じなかった結果、FIFAによる新規選手獲得禁止処分を受けています。ペラFCがFIFAから処分を受けているにもかかわらず、MFLのクラブライセンス交付第一審機関FIBはペラFCに今季のクラブライセンスを交付していますが、これも「現実的な」対応だとすれば、FIBの独立性は根底から否定されてしまいます。




2月15日のニュース
アセアンU23選手権-新型コロナ陽性選手の交代選手も入国後の検査で陽性が判明
がん克服の代表MFはキム新監督率いる代表復帰に意欲

アセアンU23選手権-新型コロナ陽性選手の交代選手も入国後の検査で陽性が判明

昨日2月14日にカンボジアのプノンペンで開幕した東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するマレーシアU 23代表は、カンボジア入国時の検査でMFファーミ・ダニエル・ザアイム(トレンガヌFC II)が陽性反応を示し、現在はチームから隔離されています。このファーミ選手に代わり、昨日2月14日には交代選手としてMFシャフィ・アズワド・サパリ(JDT II)が早速、プノンペン入りしましたが、何とこのシャフィ選手も入国時の検査で陽性反応を示したと、マレーシアの通信社ブルナマが伝えています。この結果、本日2月15日のミャンマー戦を控えたマレーシアU23代表は登録人数制限より1人少ない27名で、この試合に臨みます。

オンラインで行われた試合前日の記者会見の席上で、U23代表のブラッド・マロニー監督は、シャフィ選手はマレーシアのクアラルンプール出国前に行なったPCR検査では陰性だったと説明し、カンボジア政府が新型コロナの陽性者に義務付けている措置に従い、7日間の検疫隔離を行なった後、再びPCR検査を受け、陰性が確定してから48時間後に隔離を解かれると説明しています。

またマロニー監督は、今大会の主将にモハマド・アイマン・アリフ(クダ・ダルル・アマンFC)を指名したことも明らかにしています。2019年からこの年代の年代別代表でプレーしているアイマン選手は、監督、コーチと選手間のコミュニケーションが円滑になるように責任を果たし、本日のミャンマー戦に向けて全力で臨みたいと話しています。

がん克服の代表MFはキム新監督率いる代表復帰に意欲

昨年6月のFIFAワールドカップ2020年大会アジア2次予選後に精巣腫瘍(精巣ガン)の初期段階と診断された代表MFのブレンダン・ガンは治療に専念するため、シーズン後半は出場がなく、ピッチからは半年以上離れていましたが、これが完治した現在は既に所属するスランゴールのプレシーズン練習に復帰して元気な姿を見せています。このガン選手が新たに就任したキム・パンゴン新監督率いる代表への復帰にも意欲を見せていると英字紙スターが報じています。

今月2月中旬に自身のコーチングスタッフを伴ってマレーシア入りが予定されているキム新監督は、3月5日に今季2022年シーズンが開幕するMリーグを視察した後、3月21日から29日にかけてのFIFA国際マッチデー期間に最初の代表合宿を行うとされていますが、33歳のガン選手はキム新監督が求めるサッカーに速やかに適応できるかどうかが代表復帰の鍵となると話しています。

「自分はこれまでにヨーロッパや南米、アジア、オーストラリアなど様々な地域からきた監督のもとでプレーしてきたが、試合に起用されるために最も重要なことはその監督が意図するサッカーに自分自身が適応できるかどうかだと考えている。キム新監督は代表に自身のサッカーを浸透させるために自分のコーチも引き連れてくると聞いている。そうであれば容易ではないかもしれないが、キム新監督のスタイルに自分が適応しなければならない。」と話すガン選手は、チームの雰囲気も良くするために選手たちも一致団結することが必要だとも述べています。

またがん治療後の体調について尋ねられたガン選手は、精神的にはこれまで以上に強くなったとして、練習であれ試合であれ常に全力を尽くすことを改めて自分に課していると話しています。「自分がサッカー選手としてこれまでしてきた努力は自分が十分に承知しているので、今は周りの評価を気にするのではなく、自分が今後もその努力を続けていけるのかどうかを見ていきたいし、それが最も重要なことだと考えている。その努力ができれば、それに見合った結果もついてくるはずだと考えている。」と述べています。

またガン選手は2月4日の国際がん啓発デーにちなんでスランゴールFCが主催したイベントに出席し、がん治療中の患者やがん克服者とともに、今季スランゴールFCが着用するセカンドジャージを発表しています。「手術とリハビリを経てがんに打ち勝ったことで、自分は生きていることが再認識できた。今回のイベントを通じて、がんに対する認識を高めたい。」

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ガン選手が代表でプレーした昨年6月のW杯予選では、格上のアラブ首長国連邦とベトナムには敗れたものの、タイとは引き分けるなど順当な結果を残しましたが、ガン選手離脱後の代表は2勝4敗と、ガン選手不在も代表チーム不調の原因の一つでした。

2月14日のニュース
アセアンU23選手権の最終メンバー28名が発表
未払い給料問題でリーグ出場危機のペラにお家騒動
MリーグのCEOは選手登録期間の延長の可能性を否定

アセアンU23選手権の最終メンバー28名が発表

マレーシアサッカー協会FAMは、明日2月15日にカンボジアのプノンペンで開幕する東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場する最終メンバー28名を発表しています。なおU23代表は、当初は2月11日メンバー発表、翌日12日にカンボジア入りの予定が発表されていましたが、予定を1日はやめて2月11日にカンボジア入りしており、メンバー発表と移動の順序が逆になってしまっています。

なおU 23代表はカンボジア入国時の検査でMFファーミ・ダニエル・ザアイム(トレンガヌFC II)が陽性反応を示したことから既にチームから隔離されており、MFシャフィ・アズワド・サパリ(JDT II)が既に代替選手として昨日、プノンペン入りしています。FAMが発表したU23代表28名のリストはこちらです。

未払い給料問題でリーグ出場危機のペラにお家騒動

前身のペラFAから数えてクラブ創設100周年記念となった昨季にMリーグ1部スーパーリーグで11位となり、Mリーグが現在の形式になって以来初の2部降格となったペラFC(以下ペラ)ですが、先日のこのブログでも取り上げた通り、3名の外国籍選手とその代理人に対して総額が170万リンギ(およそ4690万円)を超える未払い給料があることからFIFAとマレーシアサッカー協会FAMより新たな選手の獲得を禁じる処分を受けています。今季1度目のトランスファーウィンドウ期間の期限が2月22日と迫っており、それまでに未払い給料を完済しなければ今季の2部出場も危ぶまれる状況ですが、その問題の解決が遠のきそうな混乱がペラ州サッカー協会内で起こっていると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

ブルナマによると、ペラ州サッカー協会PAFAのモハマド・ヤザン・モハマド会長代行は自身が正式な会長であるとして2021年から2025年までの任期を全うすると宣言したことにより、PAFA内の権力争いが不雑化の様相を示しているということです。昨日2月13日に行われたPAFAの年次総会の席上で、モハマド・ヤザン会長代行は、PAFAに加盟する7つの地区協会の信任を得て自身が正式な会長として承認されたと主張し、自身を支持した7つの地区協会から2人の副会長を指名したことを総会後の記者会見で明らかにしていますが、その一方でPAFA内の別の派閥である14の地区協会が昨年12月に開かれた臨時総会の席上でアズハル・ジャマルディン会長を選出していることから、現在、PAFAには2人の会長が存在する以上事態と状況となっています。

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モハマド・ヤザン会長代行は、給料未払いによって最終的に昨季開幕戦の先発XI全員がチーム去った際にPAFAで会計を担当していた人物であり、さらに未払い給料の早期解決を求めた選手に「待てないならチームをされ」と逆ギレ発言をおこなっていた人物でもあります。今回の未払い給料問題についても、前経営陣の責任というまるで他人事のような理由を挙げた上で、会長職に固執している姿勢を見ると、このまま会長争いは残り1ヶ月を切ったMリーグ開幕前に解決しそうな気配もなく、このままでは被害を被るのは結局、選手とファンということになりそうです。

またこの外国籍選手への未払い給料以外にも、昨年の11月と12月の未払い給料が支払い期限の1月30日をすぎても支払われていないという別報道もあります。PAFAはこのシーズンオフにペラFCの株式を広告会社としては無名のインパクトメディアアンドコミュニケーション社(IMC社)に譲渡しており、本来ならそこから得た収入は外国籍選手やマレーシア人選手への給料支払いに当てられることになっていたはずなのですが、それについての報道はこれまで全く出ていませんでした。

MリーグのCEOは選手登録期間の延長の可能性を否定

上でも書いた通り今季1度目のトランスファーウィンドウ期間は2月22日が最終日となっていますが、Mリーグを運営するMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、この起源を延長することはないと明言しています。

未払い給料問題により、FIFAとFAMから新たな選手との契約を禁じる処分を受けているペラに加えて、同じ今季2部降格組のUITM FCもチーム所有権譲渡の交渉中ということで、両クラブは今季の準備までは手が回っていないと、スタジアムアストロは報じていますが、スチュアートCEOはペラ、UITM両チームについて、現在、在籍している(契約済みの)選手だけでのリーグ出場には何も問題はないと話しています。

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マレーシア人選手だけで戦うのはたとえ2部プレミアリーグとはいえ、容易ではありません。しかも今季は3部に当たるM3リーグもあり、プレミアリーグでも下位になれば入れ替え戦に回る可能性もあります。(ただし、今季のプレミアリーグは従来の12チームではなく10チームしかないので、たとえ最下位の10位となってもプレミアリーグ残留となる可能性もありますが。)

それでもやはりスッキリしないのは、ペラが未払い給料で処分を受けている外国籍選手の1人が2020年シーズン開幕前に一旦は契約しながら、その後にケガが発覚したことを理由に契約を解除したジェオン・ヒヨソク(韓国)であること。給料未払いが過去3年にわたって繰り返されたマラッカ・ユナイテッドが毎年、クラブライセンスを発給されたのは、給料未払いがクラブライセンス審査後に発覚したからという苦しい説明を行なった前科があるこのラマリンガム事務局長は、2020年から未払いが解消されていないジェオン選手の件で、ペラがFIFAから処分を受けていたことについてどうのような説明をするのか、聞いてみたいのですが、なぜどのメディアもMFLの責任問題についてはつつかないのかなぁ。


2月12日のニュース
アセアンU23選手権-マレーシアと同組のインドネシアがケガとコロナの影響で出場辞退
今季2部降格のペラにリーグ出場辞退の可能性が浮上
クランタンFCオーナーがFAMにVARシステム供与を提案もFAM会長は「メディアではなく俺に直接話せ」

アセアンU23選手権-マレーシアと同組のインドネシアがケガとコロナの影響で出場辞退

東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権に出場するU23代表は昨日2月11日に開催地であるカンボジアのプノンペン入りしていますが、この大会ではマレーシアと同じB組のインドネシアが出場を辞退したとマレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。前回2019年大会の優勝チームでもあるインドネシアですが、インドネシアサッカー協会PSSIが昨日発表したところによると、リーグ戦で怪我をした3選手に加え、選手7名とチーム関係者1名が新型コロナの検査で陽性反応を示し、さらに合宿で彼らと同室だった4名の選手が濃厚接触者となり隔離が必要となったことから、カンボジア出発を前にして大会出場辞退を決定したということです。インドネシアの出場辞退により、B組はマレーシアの他、ミャンマーとラオスの3チームとなりました。この大会はA組からC組までの3グループの1位と各組の2位の内、最も成績の良いチームが準決勝に進出します。

今季2部降格のペラにリーグ出場辞退の可能性が浮上

クラブ創設100周年となる昨季2021年シーズンにMリーグ1部スーパーリーグで11位となり、クラブ史上初の2部降格となったペラは、その理由は給料未払いによる主力選手の大量退団でした。そのペラは、既に退団した複数の選手に対して給料がいまだに支払われていないことが明らかになり、最悪の場合には今季のリーグ辞退もあり得ると、英字紙ニューストレイトタイムズが伝えています。

ペラは昨季在籍したいずれもブラジル出身のレアンドロ・ドス・サントスとカレッカ両選手への給料が未払いとなっている他、両選手の代理人への手数料支払いも滞っているということです。また2020年シーズン開幕前に一旦は契約しながら、その後にケガが発覚したことを理由に契約を解除したジェオン・ヒヨソク(韓国)に対しても同様の未払いがあるとされ、未払い給料と手数料の総額は170万リンギ(およそ4690万円)に上るということです。またこの未払い問題により、現在、ペラはFIFAとマレーシアサッカー協会FAMの両方から、外国籍、マレーシア人にかかわらず新たな選手の獲得を制限されていることも明らかになっています。既にペラは今季に向けてインドラ・プトラ・マハユディン、ザミル・スラマット(いずれもKLシティ)、ワン・ザック・ハイカル(スランゴール)、シャミン・ヤハヤ(マラッカ・ユナイテッド)ら新加入選手を発表していますが、今季1度目のトランスファーウィンドウは2月22日までとなっていることから、この日までに未払い給料問題が解決しなければ、これらの選手加入は無効となるだけでなく、チームそのものが存続できない可能性があります。

なお、この件についてFAMとMリーグを運営するMFLはこの記事作成時までには何も声明を発表していません。

昨季のペラはシーズン開幕からわずか数ヶ月後に給料未払い問題が明らかになり、最終的には開幕戦の先発XI全員が退団、移籍する異常事態となり、チームもシーズンで4勝(22試合)で11位となりMリーグが現在の方式となった1982年以来初の2部プレミアリーグ降格となっています。 

実はさらに深刻なのはペラが降格した2部プレミアリーグで、本来は12クラブで構成されるはずのリーグは、ここ数年で消滅、撤退したクラブもある一方で、新型コロナのため3部リーグのM3リーグが過去2年間行われず、入れ替え戦も実施されていません。このため今季は10クラブのみの参加となっているプレミアリーグですが、ペラが辞退となると9チームとなり、しかもその内の3クラブは1部スーパーリーグのセカンドチームというこれまた、2部リーグなのかリザーブリーグなのかわからない状況になっています。

クランタンFCオーナーがFAMにVARシステム供与を提案もFAM会長は「メディアではなく俺に直接話せ」

Mリーグ2部クランタンFCの「物言う」オーナーとしても知られているノリザム・トゥキマン氏がマレーシアサッカー協会FAMに対してVARの導入を求め、FAMに導入する資金がなければ自身がそのシステムを購入し、FAMに貸し出すことを提案しています。

審判の質が度々問題として取り上げられるMリーグですが、ノリザム オーナーは審判のレベルが向上すれば、クラブの民営化も含めたリーグの改革も上手くだけでなく、リーグ全体のレベルアップにもつながりと話し、VARの導入を強く主張しています。その上でVAR不採用の理由がFAMの資金不足であれば、自身がそのシステムを購入しFAMに貸し出すビジネスも検討していると、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。

今回のノリザム オーナーのコメントは、クランタンFCが昨季のマレーシアカップで審判の微妙な判定によりノックアウトステージ進出を逃した上、その判定をリザル・ザムブリ監督が批判した結果、FAMの懲罰委員会から罰金処分を受けたことが根底にあります。

VARの導入については、Mリーグ1部スーパーリーグの12の本拠地に導入する場合にはおよそ750万リンギ(およそ2億700万円)の費用がかかるという試算がされており、FAMはVARの導入については検討しているとしながらも、具体的な導入時期は発表していません。

またその続報としてハリアンメトロは、FAMのハミディン・アミン会長がその提案を歓迎する一方で、FAMに直接、提案するべきだと述べている、と報じています。「ノリザムオーナーのコメントは素晴らしいが、FAMを支援する意思があるなら。私やFAMの役員に直接、話をするべきであり、FAMは常に意見に対して聞く用意があり、メディアを通じて提案をする必要はない。」と述べ、ノリザム オーナーの取った方法を暗に批判しています。

2月11日のニュース
KDDIが本山雅志選手所属のクランタンUのスポンサーに
タイ1部リーグ第19節-チョンブリーは敗れエルドストールはベンチ外

今回開幕まで残り1ヶ月を切り、各地でプレシーズンマッチが行われています。一昨日はトレンガヌII対ペナンで乱闘が勃発し、中断した試合の再開にペナンに応じず、この試合を主催したトレンガヌが公式に謝罪声明を発表しています。暴力に訴えるのは明らかに間違えていますが、映像で乱闘までの経緯を見る限りではどっちもどっちの様相でした。

KDDIが本山雅志選手所属のクランタンUのスポンサーに

Mリーグ2部プレミアリーグのクランタン・ユナイテッドは、KDDIの現地法人KDDIマレーシア社とスポンサー契約を結んだことを、クラブ公式Facebookで発表しています。KDDIマレーシア社は15万リンギ(およそ417万円)をスポンサーとして提供する他、クランタン・ユナイテッドが行うユース育成プログラムの作成などにも関わっていくということです。クランタン・ユナイテッドのスポンサーとなった日系企業はヤクルトマレーシア社についで2社目です。また今回のKDDIマレーシア社のスポンサー契約締結を支援したヤクルトマレーシア社の濱田浩志社長はクランタン・ユナイテッドの諮問委員会の委員となったことと合わせて発表されています。

タイ1部リーグ第19節-チョンブリーは敗れエルドストールはベンチ外

タイ1部リーグ第19節が2月5日と6日に開催され、マレーシア代表のDFジュニオール・エルドストール(タイでの登録名はプテラ・マデル・アマラン・マデルネル)が所属するチョンプリーFCは、加藤恒平選手が所属するチェンライ・ユナイテッドFCに0-1で敗れたものの、リーグ3位を維持しています。

2022年2月6日@レオ・チェンライスタジアム
チェンライ・ユナイテッドFC 1-0 チョンブリーFC
チョンブリーの連勝は2でストップ。なおジュニオール・エルドストールは、今季2度目となるベンチ外でした。なお、エルドストール選手は2月9日に行われたリーグカップでもベンチ入りしませんでした。どうしたんだろう…。
(試合のハイライト映像はタイリーグの公式YouTubeチャンネルより)

タイ1部リーグ順位表(第19節終了時)

順位チーム得失差勝点
1ブリーラムU2013342042
2バンコクU2011451537
3チョンブリーFC2010551535
順位は上位3チームとマレーシア人選手が所属するチョンブリーFCのみ表示しています。