マレーシアカップ2021-準決勝第2試合結果-決勝のカードはJDT対KLシティFCに決定

 11月26日にマレーシアカップ準決勝第2戦の2試合が行われ、JDT(Mリーグ1部今季1位)が退場者を出しながらもトレンガヌFC(同4位)を3-0で一蹴し準決勝2試合通算のスコアを4-1として決勝進出をきめた一方、KLシティFC(同6位)対マラッカ・ユナイテッド(同8位)戦は90分を終えて1-1、さらに前後半合わせて30分の延長戦でも決着がつかず、PK戦へとも連れ込み、KLシティFCが5-3でマラッカ・ユナイテッドFCを振り切って、最後は日付が今日になっていた準決勝第2戦に勝利しています。この結果、11月30日にクアラルンプールのブキジャリル国立競技場で行われるマレーシアカップ100周年大会の決勝戦は、大会2連覇を目指すJDTと前回優勝した1989年以来32年ぶりの決勝進出となったKLシティFCの対戦となりました。
(試合の映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。)

マレーシアカップ準決勝第2戦
マラッカ・ユナイテッドFC 1-1 KLシティFC(通算スコア2-2、PK3-5)

2021年11月26日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
得点者:KL-J・パルティバン(9分)、シャミン・ヤハヤ(65分)
 停電により試合開始が1時間遅れて午後10時キックオフとなるなど波乱の予感が漂った試合は双方が総力戦で臨む中、パウロ・ジョズエのコーナーキックからのクリアボールを蹴ったアクラム・マヒナンのボールがゴール前に転がり、これをJ・パルティバンが振り向きざまにシュート。角度が変わったボールにマラッカ・ユナイテッドGKのカイルル・チェ・ファミが反応できずそのままゴールとなりKLシティFCが9分に先制し、そのまま前半は1-0で折り返します。
 後半に入るとマラッカ・ユナイテッドFCは65分にソニー・ノルデのコーナーキックからゴール前でアクマル・ザヒルが頭で流したボールをシャミン・ヤハヤが押し込んで同点とすると、その後は90分で決着がつかず、この試合は今大会初の延長戦に入りました。しかし延長前半、後半とも両チームがゴールを挙げることができず、120分で決着がつかなかった試合はPK戦に入りました。
 KLシティFCの先行で始まったPK戦は、1人目のキッカーに立った主将のパウロ・ジョズエからロメル・モラレス、インドラ・プトラ・マハユディン、ハディン・アズマンそしてジャンカルロ・ガリフォッコと5人全員がPKを決めたKLシティに対し、、マラッカ・ユナイテッドはアドリアーノ、マヌエル・オットと2人がいずれもPKを決めた後の3人目となったジョヴァンニ・ゴメスのシュートがゴールポストを叩いてい失敗となり、クラブ史上初のマレーシアカップ決勝進出はなりませんでした。

マレーシアカップ準決勝第1戦
JDT 3-0 トレンガヌFC(通算スコア4-1)

2021年11月26日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
得点者:JDT-ベルグソン・ダ・シルヴァ2(6分、15分)、ゴンザロ・カブレラ(11分)
 JDTのホームで行われたこの試合は、準決勝第1試合で負傷した主将カルリ・デ・ムルガ不在の影響もあり、試合開始直後から意思の疎通が取れていないトレンガヌFC守備陣の隙をついて7分にはエースのベルグソン・ダ・シルヴァがミドルシュートを決めて先制すると、11分にはゴンザロ・カブレラ、そして15分には再びベルグソン・ダ・シルヴァがゴールを決めるなど、試合開始からわずか15分でJDTが3-0として、勝負あったかと思われた試合でしたが、16分にはオフザボールの場面でJDTのサフィク・ラヒムがトレンガヌFCのファイサル・ハリムに頭突きを食らわせて1発レッドで退場となります。
 準決勝2試合の通算スコアが4-1となった試合展開にも関わらず元代表主将が起こした愚行はトレンガヌFCに有利に働くかと思われましたが、そこからのJDTは…いやぁ強かった。というかトレンガヌFCは好機にシュートが枠を捉えられず、またパスの精度も低くボールが繋がらない、繋がってもすぐにボールを奪われるなど、相手が10人という数的有利すら活かすことができず全くの完敗でした。10人全員が全力でボールに激しく寄せてくるJDTに対して、トレンガヌFCは緩慢な動きでパスのコースをことごとく潰され、最後はチャンスさえもほとんど作り出すことができず、個々の選手の技術や体力、さらにチーム力とすべての面でこの試合ではトレンガヌFCはJDTに完敗、審判の助けを借りずにで2019年に続く2連覇(2020年は新型コロナの影響でマレーシアカップは中止)、そして今季2冠を目指して決勝進出を決めています。

11月26日のニュース:マレーシアカップ関連4題-トレンガヌFCとMFLがSOP違反で罰金処分、SOP違反が続けばマレーシアカップ決勝は無観客開催の可能性も、マレーシアカップ決勝は飲食禁止で定員2万人も変わらず、MFLは準決勝を前に審判の質の向上を求めるも今言われてもなぁ…

トレンガヌFCとMFLがSOP違反で罰金処分

 11月22日に開催されたマレーシアカップ準決勝トレンガヌFC対JDTの試合で標準作業手順SOPの違反があったとして、トレンガヌ州政府保健局は、この試合を開催したトレンガヌFCとマレーシアカップ主催者のMFLに対しそれぞれ1万リンギ(およそ27万円)の罰金処分を課しています。
 トレンガヌ州ゴンバダのスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで行われたこの試合についてトレンガヌ州保健局のカセマニ・エムボン局長は、観衆のマスク着用やソーシャルディスタンス維持といった州内での試合開催における標準作業手順SOPが十分に守られなかったことに対する処分であると述べています。
 この試合を開催したトレンガヌFCは5万人収容可能なスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで入場者を2万人に制限し、入場前の体温検査実施や新型コロナ対策アプリMySejahteraのQRコードを読み取りによる入場などの対策をとっていましたが、ソーシャルメディア上には塀を乗り越えて出入りするサポーターの映像が拡散するなど、対策の不備が指摘されていました。

SOP違反が続けばマレーシアカップ決勝は無観客開催の可能性も-MFL

 マレーシアカップを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは公式サイト上で、上の記事でも取り上げた準決勝第1戦での標準作業手順SOP違反を受け、今日11月26日に開催される準決勝第2戦でも同様の事態が起これば、11月30日にブキジャリル国立競技場で予定されているマレーシアカップ決勝が中止になる可能性があると話しています。
 新型コロナの新規感染者数は昨日11月25日には6日ぶりに6000人台に達するなどがここ数日は再び増加傾向にあり、マレーシア政府は感染拡大に躍起となっていることから、本日の準決勝第2戦でもサポーターがSOP遵守を怠れば、政府は方針を転換してスタジアム観戦を禁じ、その結果としてマレーシアカップ100周年記念大会の決勝を無観客で行わなければならなくなる可能性があると述べたスチュアートCEOは、サポーターに対して良識ある行動を求めています。
 準決勝第1戦でSOP違反が起きたことはマレーシアカップ主催者として残念だと話したスチュアートCEOは、新規感染者数が増加していることを真剣に受け止めて、スタジアムに足を運ぶサポーターに対してマレーシア政府が設けたSOPの遵守を改めて呼びかけています。

マレーシアカップ決勝は飲食禁止で定員2万人も変わらず


 MFLは公式サイト上でマレーシア政府に働きかけていたマレーシアカップ決勝の入場定員増とスタジアム内での飲食許可がいずれも却下されたことを明らかにしています。
 マレーシアカップグループステージ第3節の10月29日からおよそ6ヶ月ぶりにスタジアムでの観戦が可能になったマレーシアですが、感染拡大防止の観点からスタジアム内での飲食は禁止されています。店内での飲食はもとより映画館でも飲食が既に許可されていることもあり、スタジアムに足を運ぶサポーターからはスタジアム内での飲食解禁を求める声が多く上がっており、国内の新型コロナ対策を統括するマレーシア政府の国家安全保障委員会NSCに対して、せめて決勝戦だけでも飲食が可能となるよう、国内スポーツを統括する青年スポーツ省を通じて申請をしていましたが、国家安全保障委員会によってこの申請が却下されたことをMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOが明らかにしています。これについてスチュアートCEOは決勝戦入場前に飲食が済ませられるよう、ブキジャリル国立競技場を運営するマレーシアスタジアム社と協力して屋台やフードトラックなどの停波医を行うとしています。
 またスチュアートCEOは現在は2万人となっているマレーシアカップ決勝戦のスタジアム観戦者数の制限緩和も合わせて申請していましたが、こちらも申請が却下されたということです。クアラルンプールは国家復興プラン第4段階に入っていますが、この第4段階ではスポーツ施設への入場制限は定員の50%あるいは2万人の少ない方とすることが国家安全保障委員会により規定されており、マレーシアカップ決勝が開催されるクアラルンプールのブキジャリル国立競技場の定員が8万7000人超であることから、定員の半数程度の4万人を目処に制限緩和を求めていました。

MFLは準決勝を前に審判の質の向上を求めるも今言われてもなぁ…

 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、審判の質を直ちに向上するよう求めています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロの取材に対し、審判に関してはMFLの管轄外であると断った上で、質が低い審判はマレーシアカップだけでなくMリーグのイメージを損なうものだと述べ、マレーシアカップ準決勝第2戦ではより質が高い審判を求めたいと話しています。
 マレーシアカップ準決勝第1戦のトレンガヌFC対JDT戦では、ヤシン・モハマド主審がJDT選手の目に余る悪質な反則プレーが自身の前で起こっていたにもかかわらずカードを出さなかったことからトレンガヌFCサポーターだけでなく、国内の多くのサッカーファンからも槍玉に挙げられていました。
 アブドル・ガニCEOは「準決勝で主審が悪質なプレーを見過ごした回数はわずか数回だったかもしれないが、マレーシアカップ準決勝ともなれば利用チームのサポーターだけでなく多くのサッカーファンの注目も集まっており、そう言った見過ごしが特に目立ってしまった。審判がミスをするのは避けられないが、(審判を統括するマレーシアサッカー協会FAMには)それを改善するために直ちに手を打って欲しい。」と述べて、速やかな改善策を求めています。


11月24日のニュース:スランゴールFC-5選手と長期契約締結の一方で今季更迭された監督が来季はコーチに、JDT選手の蛮行を見逃した審判に批判が集中-JDTオーナーは審判の質を批判しVAR導入を提案も問題はそこなのかな?、クダはアイディル監督との契約更新へ

スランゴールFCが若手5選手と長期契約締結

 スランゴールFCは今季主力としてプレーした若手5選手との長期契約を結んだことをクラブ公式サイトで発表しています。今回長期契約を交わしたのは、AFC U23アジアカップ2022年大会予選に出場し本戦出場権を獲得したU22代表で主将を務め、来月12月のスズキカップに出場するA代表にも招集されているMFムカイリ・アジマル(20)、同じくU22代表の招集されながらケガで辞退となったアフロヘアーがトレードマークのDFシャルル・ナジーム(22)、昨季はMリーグ2部プレミアリーグでマレーシア人選手最多の7ゴールを挙げ、今季は1部スーパーリーグとマレーシアカップでやはりマレーシア人選手としてはチーム最多の6ゴールを挙げているFWダニアル・アスリ(21)、今季は24試合に出場し、かつてはJリーグでプレーすることが夢だと語ったこともあるMFアリフ・ハイカル(21)、そして来月12月開催されるスズキカップに出場するミャンマー代表に招集されているFWハイン・テット・アウン(20)の5名です。
 スランゴールFCはこれら若手選手の他、このブログでも取り上げたガン治療中のMFブレンダン・ガン(33)、代表GKのカイルルアズハン・カリド(32)、U22代表で今季は期限付き移籍していたペナンFCから復帰予定のDFクェンティン・チェン(22)の他、MFノー・ハキム・ハサン(30)、DFアシュマウイ・ヤキン(27)らと次々に契約を更新したことを発表しています。

ナイチェル前スランゴールFC監督はコーチに降格

 スランゴールFCは今季クラブのテクニカルダイレクターを務めたミヒャエル・ファイテンバイナー氏の来季監督就任を発表しましたが、今季開幕前に就任しながらチームがリーグ5位に終わり更迭されたカルステン・ナイチェル前監督と2年契約を結んでいたことからその去就に注目が集まっていました。
 そんな中、クラブ公式サイトでナイチェル前監督のトップチームアシスタントヘッドコーチ(?)就任が発表されました。マレーシアカップ準々決勝敗退から48時間後に更迭が発表されたナイチェル氏ですが、クラブ公式サイトでは「来季はナイチェル氏にはスランゴールFCのプレースタイルと哲学を浸透させるために、今季の経験を生かしたトップチームへの指導、そしてファイテンバイナー監督の支援を求めたい。」と淡々と述べられています。
 またスランゴールFCは前フェルダ・ユナイテッドFC(2019年に解散)監督で、スランゴールFCの前身、スランゴールFAでのプレー経験もあるニザム・ジャミル氏の来季のトップチームアシスタントヘッドコーチ(?)就任も発表されています。スランゴール州出身で、スランゴールFAでトップチームデビューを果たしたニザム氏はそこから2004年までプレーし、その後はPKNS FCなどでもプレー経験があります。

JDT選手の蛮行を見逃した審判に批判が集中-JDTオーナーは審判の質を批判しVAR導入を提案も問題はそこなのかな?

 11月22日に行われたマレーシアカップ2021準決勝第1試合のトレンガヌFC対JDT戦では、JDT選手がトレンガヌFCの選手に対して度を超えたラフプレーを繰り返し、しかもそれに対して主審がイエローカードすら出さなかったことから、この試合で主審を務めたモハマド・ヤシン氏に対する非難が集まっています。
 この試合で映像で確認できるだけでもJDTのシェーン・ローリーが自陣ペナルティエリア内で倒れたトレンガヌFCのジョーダン・ミンターを突き飛ばし、さらにそれを止めに入ったトレンガヌFCのGKスハイミ・フシンを投げ倒し、またJDTのナチョ・インサはトレンガヌFCのエンク・ヌル・シャキルに対してブロックやショルダーチャージというよりは明らかにエルボーをかまして倒していますが、いずれも主審の目の前で起こったにもかかわらず、両選手には注意が与えられただけだったことからトレンガヌFCの選手がもう抗議するも聞き入れられませんでした。
 これらの判定にたいしてトレンガヌFCサポーターからは、JDTのオーナーがジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下であることから、その威光を恐れてカードが出せなかったのではといった批判まで飛び出す事態になっています。
 その一方でJDTオーナーのイスマイル殿下も、この日の試合については自チーム選手の行為には触れなかったものの、この試合の審判の質が低かったことを指摘した上で、VARの導入を提案しています。
 「マレーシア人の審判の質が低いのはこの試合(トレンガヌFC対JDT)だけではない。Mリーグの多くの試合でも同様で、それも毎年繰り返されている。マレーシアサッカー協会FAMは何かしらの行動を起こすべきだ。」と自身のTwitterに投稿し、VAR導入を検討すべきと提言しています。
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 国内リーグやカップ戦における審判の問題はこれまで何度も取り上げられながら、解消されずにきたマレーシアサッカーの長年の問題点の一つです。FAMは審判のプロ化に向けた計画を発表したものの中断?頓挫?しているのが現状です。選手も監督、コーチ、さらにサポーターも審判に対して敬意を払わず信用もしていない中、前年2018年のマレーシアカップ決勝ではやはり判定に多くに批判が集まったことから、日本人の岡部拓人主審と八木あかね、野村修両副審が2019年のFAカップ決勝で審判を務めたこともあります。
 ただしこの審判の問題は、その質だけでなく、上の記事でトレンガヌFCサポーターが指摘しているような「見えざる手」の影響も否定できません。マレーシアサッカー協会FAMが審判を外部からのあらゆる干渉から守る覚悟、そして選手による不正行為を厳格に罰する覚悟を持っているか否かにかかっていますが、その覚悟は…まだ感じられません。

クダはアイディル監督との契約更新へ

 Mリーグでは昨季に続き2位となりAFCカップ出場権を獲得したクダ・ダルル・アマンFC。マレーシアカップは外国籍選手の離脱などもあり準々決勝で敗退していますが、今季3年目を終えたアイディル・シャリン・サハック監督は来季も続けて指揮を取るようだと、マレーシア語紙ブリタハリアンが報じています。
 2019年はリーグ4位、マレーシアカップ準優勝、マレーシアFAカップ優勝、昨季2020年と今季2021年はいずれもJDTに次ぐリーグ2位という成績を収めているクダ・ダルル・アマンFCですが、クラブ運営会社のカマル・イドリス・アリCEOはアイディル監督に対して来季の契約延長を申し出ていると話しています。
 「クラブとしては既に契約を延長したい旨をアイディル監督に伝えており、現在は返事を待っている状態である。来季のMリーグはさらに激しい争いになることが予想され、クラブにとってアイディル監督は必要であると考えている。来季の戦力についてはまだ明らかにすることはできないが、およそ80%は確定している。」と話したカマルCEOは、来季に向けて外国籍選手を中盤のポジションで補強することも明らかにしており、現在の候補者はいずれもMリーグでプレー経験があると話しています。

11月23日のニュース(1):マレーシアカップ2021-準決勝第1試合結果

 11月22日にマレーシアカップ準決勝第1戦の2試合が行われ、JDT(Mリーグ1部今季1位)をホームに迎えたトレンガヌFC(同4位)、マラッカ・ユナイテッド(同8位)をホームに迎えたKLシティFC(同6位)がいずれも1-1で引き分けています。ホームアンドアウェイ形式行われる準決勝の第2戦は11月26日に予定されています。
(試合の映像はMFLの公式YouTubeチャンネルよりお借りしています。)

マレーシアカップ準決勝第1戦
KLシティFC 1-1 マラッカ・ユナイテッドFC

2021年11月22日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
得点者:KL-ザフリ・ヤハヤ(28分)、マラッカ-アドリアーノ(8分)
 準々決勝のスランゴールFC戦後にサポーターがピッチになだれ込んだことに対する処分として無観客で開催されたこの試合は、今季ホームでは無敗を誇るKLシティFCが先制を許すも、ザフリ・ヤハヤがパウロ・ジョズエのクロスに合わせたヘディングシュートで同点とし、そのまま引き分けて今季のホーム無敗記録を16に伸ばしています。
 マラッカ・ユナイテッドFCは先制ゴールを決めたアドリアーノやマレーシアカップでは好調なソニー・ノルデ、マヌエル・オットが連動し、試合前の豪雨で水が浮くピッチに悩まされながらもグループステージから続く果敢な攻撃を繰り広げ、1-1と引き分けたもののアウェイゴールのアドバンテージを得て次戦のホームゲームに臨みます。

マレーシアカップ準決勝第1戦
トレンガヌFC 1-1 JDT

2021年11月22日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
得点者:トレンガヌ-ジョーダン・ミンター(8分)、JDT-ベルグソン・ダ・シルヴァ(50分)
 今季のMリーグでJDTに唯一の黒星をつけているトレンガヌFCは、リー・タックのクロスにジョーダン・ミンターが頭で合わせて先制し、前半を1-0とリードして折り返します。後半に入ってもトレンガヌFCはジョーダン・ミンターが積極的にゴールを狙いますが、得点には至りません。追加点が奪えないまま試合が進んだ50分、JDTはアリフ・アイマンからのパスを受けたエースのベルグソン・ダ・シルヴァがとトレンガヌDFをかわして同点ゴールを決めています。
 トレンガヌFCはその後もジョーダン・ミンターを中心にゴールを狙いますが、このまま試合は引き分けに終わり、こちらも次戦はJDTがアウェイゴールのアドバンテージを持ってホームでトレンガヌFCを迎え撃ちます。

マレーシアカップ-準々決勝第2戦結果

 11月14日にマレーシアカップ準々決勝第2戦の4試合が行われ、JDT(Mリーグ1部今季1位)、トレンガヌFC(同4位)、KLシティFC(同6位)、マラッカ・ユナイテッド(同8位)の4チームがベスト4に進出しています。準々決勝と同様、準決勝もホームアンドアウェイ方式で行われ、第1戦は11月22日、第2戦は11月26日に予定されています。

マレーシアカップ準々決勝第2戦
2021年11月18日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-0 スランゴールFC(2試合通算:KLシティFC 3-0 スランゴールFC)
得点者:KL-ロメル・モラレス(51分)
 絶好調を維持するロメル・モラレスがマレーシアカップ8試合で10ゴール目となるゴールを決めたKLシティFCが準々決勝2試合に連勝して、1992年以来29年振りとなる準決勝進出を決めています。KLシティFCの今季ホーム無敗記録はこの日の勝利で15試合(12勝3分)に伸びています。
 ケガでグループステージでの出場がなかった今季のリーグ得点王イフェダヨ・オルセグンが復帰したスランゴールFCは準々決勝1回戦とは明らかに別のチームで、選手同士の連動も目に見えて良くなっていました。後半には検疫隔離明けのU22代表主将のMFムカイリ・アジマルを投入するなど総力戦で臨みましたが、総合力で上回ったKLシティFCの軍門に降りました。
 いずれも首都圏クランバリーに本拠地を持つ両チームが対戦した「クランバリーダービー」に連勝したKLシティFCは準決勝ではマラッカ・ユナイテッドと対戦します。

2021年11月18日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 2-1 サバFC(2試合通算:マラッカ・ユナイテッドFC 3-1 サバFC)
得点者:マラッカ-アドリアーノ(3分)、ソニー・ノルデ(77分)、サバ-リスト・ミトレフスキ(90+3分PK)
 マラッカ・ユナイテッドFCがソニー・ノルデの2戦連発となるゴールなどでサバFCを破り、クラブ史上初となる準決勝進出を決めています。

2021年11月18日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダルプテリ)
JDT 0-0 クダ・ダルル・アマンFC(2試合通算:JDT 1-0 クダ・ダルル・アマンFC)
得点者:JDT-アリフ・アイマン(40分)
 2019年に続く連覇(2020年は新型コロナ感染拡大により中止)を目指すJDTが19歳のFWアリフ・アイマンのゴールで挙げた1点を守り切り、準決勝に進んでいます。
 今季のMリーグ1部1位と2位の対決となった準々決勝第1戦のホームゲームを0-0で終えたクダ・ダルル・アマンFCは初戦を欠場したチェチェ・キプレが先発し、GKシャーリル・サアリの好セーブを連発しましたが、今季ホームでは12勝1分1敗と圧倒的な強さを誇るJDTの前に敗れています。
 JDTは準決勝でトレンガヌFCと対戦しますが、今季唯一の黒星がホームでのトレンガヌFC戦です。

2021年11月18日UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
サラワク・ユナイテッドFC 2-4 トレンガヌFC(2試合通算:サラワク・ユナイテッドFC 3-6 トレンガヌFC)
得点者:サラワク-サンドロ・ダ・シルヴァ(71分)、ウチェ・アグバ(89分)、トレンガヌ-ジョーダン・ミンター2(2分、64分)、ファイサル・ハリム(12分)、ファイズ・ナシル(45分)
 ホームでの準々決勝初戦に2-1と勝利していたトレンガヌFCはこの日もジョーダン・ミンターとファイサル・ハリムのFWコンビが絶好調。ミンター選手がマレーシアカップ4得点目となるゴールを決めて先制すると、ハリム選手も2戦連発となるマレーシアカップ5得点目となるゴールを決めるなど、前半で3−0、通算成績を5-1としてリードを広げて勝利したトレンガヌFCは、JDTと準決勝で対戦します。

11月18日のニュース:KLシティFCはモラレスの帰化を画策、ペラFC主将は条件付きで2部降格クラブへの残留を表明、タン代表監督はコービン=オングらJDT選手を招集しなかった理由を説明

 昨日は12月5日に開幕する東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップに出場する代表候補が発表されましたが、今季の代表戦7試合の総得点が4点という慢性的な得点力不足に悩む代表のタン・チェンホー監督は今季リーグ戦の大半を棒に振るほどのケガから復帰のシャーレル・フィクリ(スランゴールFC)とダレン・ロック(PJシティFC)の2人のFWを招集しています。そんな火力不足の攻撃陣に朗報、という話題から始めましょう。

KLシティFCはモラレスの帰化を画策
 マレーシアカップ準々決勝は今日11月18日にホームアンドアウェイ方式の第2戦が行われますが、グループステージから通算して7試合で9ゴールを挙げているKLシティFCのロメル・モラレスはチームのベスト16進出の原動力となっています。
 昨季2020年シーズンはトレンガヌFCでプレーしたドミニク・ダ・シルヴァ(モーリタニア)を獲得したものの開幕からわずか6試合で今季絶望の負傷を負い、後半戦に向けてシーズン中のトランスファーウィンドウ期間に獲得したキリアン・ヌワブエズ(アメリカ)に至っては加入後初出場となった試合で負傷しこちらも今季絶望となるなど、ストライカーを立て続けに失ったボジャン・ホダック監督はMFのロメル・モラレスをFWにコンバートするとこれが大成功。リーグ戦では5ゴールにとどまったものの、マレーシアカップに入ってからはゴールを量産しています。
 そんなモラレス選手が代表の救世主となるのでは、とマレーシア語紙のブリタハリアンが報じています。24歳のモラレス選手は2018年にMリーグ1部のPKNS FC(当時、後にチームはスランゴールFCと合併)に加入し、2020年シーズンはマラッカ・ユナイテッドFC、そしてKLシティFCに移籍した今季がマレーシアでの4年目のシーズンになることから、来季2022年もマレーシアでプレーすればFIFAが認める「継続して5年間の居住歴を持つこと」というマレーシアの帰化選手となる条件を満たすことになります。
 KLシティFCのスタンリー・バーナードCEOはブリタハリアンの取材に対して、クラブとして支援していく計画があることも認めており、またコンバートを命じたホダック監督もモラレス選手の身体の強さや技術に加え24歳という年齢も帰化選手として代表に貢献できるだろうと話しています。
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 モラレス選手のコンバートについてホダック監督は「他に候補者がいなかったことに加えて、(モラレス選手は)守備をしたがらないから、とりあえず前線に置いてみた。」と冗談とも本気ともわからないコメントを述べていますが、FWとなってからは身体を絞り込むなど意識も変わったことに加えて、本人の努力がゴールという結果になって出ていることも好結果が続いている理由だろうと分析しています。
 マレーシアの帰化選手(マレーシア人の父母や祖父母を持たないマレーシア国外生まれの選手)は2018年4月にマレーシア国籍を取得し同年10月に代表に招集されてマレーシアサッカー史上初の帰化選手となったガンビア出身のモハマドゥ・スマレ(27歳、JDT)、2020年2月にマレーシアサッカー協会FAMの支援で帰化したコソボ出身のリリドン・クラスニキ(29歳、JDTからインドスーパーリーグのオディシャFCに期限付き移籍中)、同じくFAMの支援で帰化したブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラ(35歳、JDT)の3選手がいますが、今年6月のFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選では3選手ともに活躍することができず、国内サッカーファンからはFAMの帰化プログラムに避難が集中し、FAMもプログラム見直しを表明する事態となりました。

ペラFC主将は条件付きで2部降格クラブへの残留を表明
 今季開幕後に発覚した給料未払い問題により、主力の大半がシーズン途中に退団した結果、Mリーグ1部で11位となり来季は2部に降格するペラFCの正GKで主将でもあるハフィズル・ハキムは、来季もペラFCでプレーするとしながらもそのためにはゼネラルマネージャー(GM)とチームマネージャー(TM)の留任を条件としていると、マレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。
 ペラ州イポー出身でペラFCのユースチーム上りでもあるハフィズル選手は、アズマン・ノーGMとラシディ・ラヒムTMが来季もペラFCに残るのであれば、自身もペラFCに残留すると話していますが、ペラFCは一昨日の11月16日にアズマンGMを理事に任命した上でGM職を廃止し、ペラ州サッカー協会の理事でもあるハイリル・アンワル氏をCEOに任命する人事を敢行しています。
 「アズマンGMとラシディTMに対しては自身の来季残留を約束したが、もし両名がクラブに残らなければ、約束を果たす義理もなくなるので、残留に関する自分の考えも変わる可能性がある。」と話すハフィズル選手は、同じMリーグ1部のペナンFCを含めた複数のクラブからのオファーがあることを明らかにした上で、近々予定されている新たに就任したハイリルCEOとの面談で直接、説明を聞いてから最終決定を行うとしています。
 ウトゥサンマレーシアの記事では既にU22代表のGKでスズキカップ出場の代表候補にも選ばれているGKアズリ・アブドル・ガニとMFアディブ・ラオプは既に他のクラブと移籍交渉を行っており、ペラFCが選手の不信感を払拭できなければさらに選手の流出は続くとしています。

タン代表監督はコービン=オングらJDT選手を招集しなかった理由を説明
 東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会に出場する代表候補が昨日発表されましたが、そのメンバーから代表でも主力として活躍するJDTの選手が複数漏れていましたが、これについてタン・チェンホー代表監督がその理由を説明しています。
 Mリーグ1部で8連覇を達成したJDTの主力選手でもあり、代表でも今年の試合にはほぼ全て出場したGKファリザル・マーリアス、DF(左SB)のラベル・コービン=オング、DF(右SB)のマシュー・デイヴィーズ、そしてU22代表招集をチームが拒否したFWアリフ・アイマンらがスズキカップ出場の代表候補に選ばれなかった理由についてマレーシアの通信社ブルナマは、疲労と休養をタン監督が理由にしていると報じています。
 「6月のW杯予選、その直後のAFCチャンピオンズリーグ、さらにはMリーグ、マレーシアカップと今年1年間を通して代表とクラブの両方で国内外の試合に休まず出場してきた選手に疲労回復と休養を与えるために今回の招集を見送った。代表チームの首脳陣は彼らの能力を熟知しており、JDTの監督、コーチらとも話し合いを行った結果、今回の選手選考となった。」と説明しています。さらに主力が欠場するスズキカップは他の選手にとってはポジション奪取のための好機であるとも述べて、来年6月に予定されているAFC選手権アジアカップ3次予選に向けて代表チームの選手層を厚くするための選手選考であるとも説明しています。
 この他、ノー・アザム・アジー(スリ・パハンFC)、シャマー・クティ・アッバ(JDT)、ブレンダン・ガン(スランゴールFC)についてもそれぞれヒザの負傷、太ももの負傷、精巣腫瘍の治療を理由に招集しなかったことを説明しています。
*****
 東南アジアNo.1の称号が懸かるスズキカップですが、今回の招集メンバーは現在の代表が目指すべきはこのスズキカップ優勝ではなく、来年6月のアジアカップ予選突破であるというタン監督の決意の表れとも理解できます。その一方で前回大会では準優勝したスズキカップでメンバーを落として結果がグループステージ敗退となれば、アジアカップの前に自身の更迭論にも発展しかねません。
 そうならないためにもタン監督の覚悟に今回招集された選手たちが応えることに期待しましょう。

マレーシアカップ2021-準々決勝第1戦結果

 情報が古くなってしまいましたが11月14日にマレーシアカップ準々決勝第1戦の4試合が行われました。今季のマレーシアカップ準々決勝に残ったののはJDT(今季のMリーグ1部スーパーリーグ1位)、クダ・ダルル・アマンFC(同2位)、トレンガヌFC(同4位)、スランゴールFC(同5位)、KLシティFC(同6位)、マラッカ・ユナイテッドFC(同8位)、サバFC(同9位)、サラワク・ユナイテッドFC(2部プレミアリーグ2位)の8チームです。ホームアンドアウェイ方式で行われるマレーシアカップはこの日の第1戦の後、第2戦は11月18日に予定されています。

マレーシアカップ準々決勝第1戦
2021年11月14日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 0-2 KLシティFC
得点者:KL-ロメル・モラレス(14分)、ハディン・アズマン(82分)
 共に首都圏に本拠地を持つ両クラブの対戦は伝統的に*クランバリーダービーと呼ばれています。今季のMリーグ1部での対戦ではいずれも1-1の引き分けに終わっていることからこの試合も拮抗することが予想されましたが、グループステージからの好調を維持するロメル・モラレスがマレーシアカップに入ってから7試合で9ゴール目となる先制ゴールを挙げてKLシティFCがリードを奪うと、シャーレル・フィクリを中心にスランゴールFCは反撃を試みるもグループステージ6試合で4失点のKLシティFC守備陣がその前に立ちはだかります。数少ない好機もオフターゲットのシュートが目立つなど、ケガによりマレーシアカップには出場していない今季リーグ得点王のイフェダヨ・オルセグン、アラブ首長国のドバイで合宿中のシンガポール代表に招集されたサフアン・バハルディン、さらにはU23アジアカップ予選に出場しモンゴルから帰国後の検疫隔離期間が延長されてチームに合流できていないムカリ・アジマルら主力を欠くチームは少なくともこの試合ではKLシティFCの脅威とはなりませんでした。
 第2戦はKLシティFCのホーム、KLフットボールスタジアムで行われますが、今季のKLシティFCはリーグ戦11試合、マレーシアカップ3試合の計14試合でホームでは無敗記録を継続中です。

2021年11月14日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 1-2 マラッカ・ユナイテッドFC
得点者:マラッカ-ソニー・ノルデ(52分)
 グループステージでは5勝1分と無敗で突破したマラッカ・ユナイテッドFCに対して、最終戦のPJシティFC戦に1-0と辛勝して準々決勝に進出したサバFCの対戦は、試合開始から好機を演出し続けたソニー・ノルデがマレーシアカップでは4ゴール目となる得点を決めて、アウェイとなるコタキナバルでマラッカ・ユナイテッドFCに貴重な勝利をもたらしています。

2021年11月14日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロースター)
クダ・ダルル・アマンFC 0-0 JDT
得点者:なし
 2ヶ月分の給料未払いが封じられていたクダ・ダルル・アマンFCについて、試合前にはJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下と、クダ・ダルル・アマンFCを運営するクダ州サッカー協会会長でもあるモハマド・サヌシ・モハマド・ノークダ州首相の舌戦がソーシャルメディア上で繰り広げられるなど場外でも賑わったこの試合は、試合前に未払い給料が完済されたとの報道もあり、クダ・ダルル・アマンFCの選手たちのモチベーションも上がっていました。
 今季のMリーグでは0-2、0-1とJDTに完敗しているクダ・ダルル・アマンFCは、直近の過去20試合の対戦でもJDTに対して2勝4分14敗と明らかに分が悪く、さらにこの試合ではFIFAワールドカップ2022年大会アジア最終予選に出場するレバノンにラビ・アタヤが、またAFFスズキカップに向けてアラブ首長国連邦のドバイで合宿中のシンガポールが親善試合にアヌマンサン・モハン・クマールを招集、さらに今季のMリーグでチーム2位の10ゴールを挙げているチェチェ・キプレがケガと主力の外国籍選手3名抜きで今季のMリーグチャンピオンとの対戦となりました。
 そういった諸々の事情からクダ・ダルル・アマンFCのアイディル・シャリン監督はホームゲームにも関わらず守備重視の布陣を選択、「勝つ」ための戦術ではなく「負けない」戦術で臨みました。開始直後から双方はオンザボールはもちろん、オフザボールでも激しく当たり合うやや荒れ気味の試合になりましたが、レノン・アルヴェスとロドニー・ケルヴィンが最後まで守備陣をコントロールし続けたクダ・ダルル・アマンFCが守りきり、試合は結局0-0で終了しています。

2021年11月14日スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴンバダ)
トレンガヌFC 0-0 サラワク・ユナイテッドFC
得点者:トレンガヌ-ファイサル・ハリム(17分)、ファイズ・ナシル(51分)、サラワク-シャールル・ニザム(22分OG)
 Mリーグ1部スーパーリーグではシーズン終盤に失速して4位に終わったトレンガヌFCですが、リーグ戦後のマレーシアカップではセカンドチームでMリーグ2部プレミアリーグでプレーするセカンドチームのトレンガヌFC IIの選手も含めた選手層の厚さを見せつける形でグループリーグを5勝1分けと無敗で突破し、この準々決勝に進んでいます。試合ではマレーシアカップに入ってもリーグ戦からの好調を維持しているファイサル・ハリムがペナルティエリアの外から豪快にシュートを決めて先制し、オウンゴールで動転するもののこの試合ではたびたび好機を演出していた身長156cmの小兵ファイズ・ナシルが地震で決勝ゴールを決めて2-1でトレンガヌFCが勝利しています。
 一方、プレミアリーグ勢としては唯一、準々決勝に残ったサラワク・ユナイテッドFCはジャイキリを目論んでこの試合に臨みましたが、前半の序盤には構成を見せたものの、その後は守勢に回ることが多く、むしろ1点差で済んだのは幸いでした。しかしこの最小得点差のまま耐え切ったことで準々決勝第2戦ではジャイキリの機会が残ったとも言えそうです。


マレーシアカップ-グループステージ第6節結果

 マレーシアカップのグループステージ最終節となる第6節が11月10日と11日に行われ、各組の上位2チームが進出する準々決勝の組み合わせが決定しています。
 11月14日と18日にホームアンドアウェイ方式行われる準決勝の組み合わせはA組1位のKLシティFC対B組2位のスランゴールFC、B組1位のトレンガヌFC対B組2位のサラワク・ユナイテッドFC、C組1位のマラッカ・ユナイテッドFC対D組2位のサバFC、そしてD組1位のJDT対C組2位のクダ・ダルル・アマンFCとなっています。
 (各試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

グループステージA組
2021年11月10日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 0-1 KLシティFC
得点者:KL-ザフリ・ヤハヤ(83分PK)
 既に準決勝進出を決めているKLシティFCがスリ・パハンFCを破ってA組首位でグループステージを突破しています。
 マレーシアカップではここまでの5試合で8ゴールを挙げているロメル・モラレスや主将のパウロ・ジョズエ、さらにダニエル・ティンら主力メンバーを思い切って先発から外し休養させる余裕を見せたKLシティFCでしたが、0-0まま終了かと思われた83分にザフリ・ヤハヤが決勝ゴールを決め、グループステージ無敗でなんと29年ぶりとなる準々決勝に進出しています。その一方で前節のペナンFCで足首のケガを途中退場したDFイルファン・ザカリアがその後の診断で手術を要する重症で全治3ヶ月であることも発表されており、クラブにも代表にも文字通り痛い離脱となりました。KLシティFCは準々決勝では同じ首都圏に本拠地を持つスランゴールFCと「*クランバリーダービー」で対戦します。*クラン川に沿って発展したクアラルンプールとスランゴール州を含めた一帯の総称。
 今季のMリーグでは降格圏ギリギリの10位で1部残留を決めたスリ・パハンFCは、監督排斥運動が起こるほどの状況に陥っているペナンFC相手にに5-0、4-0と大勝したものの、結局、グループステージはこの2勝だけで、今季2部で2位だったサラワク・ユナイテッドFCにも2敗するなど、今後はドラー・サレー監督の進退が問われるのは必至です。まぁMリーグでの開幕2連敗で新監督のトマス・ドゥーリー監督を「休養」させて、昨季の不振を理由に一度は解任したドラー監督を再び監督に据えるような素人主導のフロント人事が来季も続くようであれば、来季は2部降格最有力候補となりそうです。

2021年11月10日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
サラワク・ユナイテッドFC 1-2 ペナンFC
得点者:サラワク-クリスティ・ジャヤシーラン(7分)、ペナン-ジェフリ・フィルダウス・チュウ(13分)、アメル・アザハル(43分)
 KLシティFC同様、既に準々決勝進出を決めているサラワク・ユナイテッドFCはほぼ主力メンバーが先発しましたが、マレーシアカップでは未勝利だったペナンFCに初勝利を献上しています。
 1点を先制されたペナンFCは13分に巧妙なトリックプレーを使ったフリーキックで同点に追いつくと、その前にもゴールポストに阻まれるなど惜しいシュートを放っていたアメル・アズハルがエンドリックからジェフリ・フィルダウス・チュウと繋がったパスを受けて決勝ゴールを決めています。
 チーム内の混乱から外国籍選手を含めた主力選手の退団が噂されているペナンFCですが、この日のゴールを決めたジェフリ・フィルダウス・チュウとアメル・アズハル、また63分にサラワク・ユナイテッドFCが得たPKを好セーブで防いだブライアン・シーらが来季の主力となっているかも知れません。

2021年マレーシアリーグ グループステージA組最終順位表(第6節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#KLC6420124814
2#SWU6312910-110
3SRP620411746
4PEN6114415-114
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PEN-ペナンFC、KLC-KLシティFC、SPP-スリ・パハンFC、SWU-サラワク・ユナイテッドFC
#KLシティFCとサラワク・ユナイテッドFCのグループステージに進出が決定しています。


グループステージB組
2021年11月10日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティFC 1-1 トレンガヌFC
得点者:クチン-鈴木雄太(33分)、トレンガヌ-ラーマット・マカサフ(19分)
 B組首位での準々決勝進出を既に決めているトレンガヌFCは、今週日曜日から始まる準々決勝初戦に備えてか主力の一部を休ませる布陣で臨みましたが、クチンシティFCのミスに乗じてラーマット・マカサフが先制ゴールを決め、前半はトレンガヌFCがリードして終了します。
 後半が始まってすぐの46分には、ペナルティエリアの外でボールを得た鈴木雄太がシュートを放つとトレンガヌFCのDFに当たって覚悟が変わったボールがそのままゴールに吸い込まれてクチンFCが同点に追いつきます。先制点を許していたミスに絡んでた鈴木選手が自身のシュートで同点に追いつく展開となったこの試合はこのまま1-1で終了しています。今季2部で5位のクチンFCは1部の3チームを相手に6試合で1勝2分3敗と胸を張れる成績でマレーシアカップを終えています。
 リーグ戦では終盤失速して4位となったトレンガヌFCはこのマレーシアカップ優勝と優勝チームに与えられる来季のAFCカップ出場権獲得を目指し、準々決勝ではサラワク・ユナイテッドFCと対戦します。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年11月10日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 1-2 スランゴールFC
得点者:ペラ-ロイザット・ダウド(10分)、スランゴール-シーン・セルヴァラジ(72分)、ワン・ザック・ハイカル(85分)
 グループステージ敗退が決まっているペラFCが先制し、そのまま1-0が続いた試合はかつては琉球FCにも在籍したワン・ザック・ハイカルなどの2ゴールでスランゴールが逆転勝ちしています。
 スランゴールFCは準々決勝ではKLシティFCと対戦しますが、U23アジアカップ予選に出場し、帰国後の検疫隔離中のMFムカイリ・アジマルやDFハリス・ハイカルらが次戦からは出場可能となり、グループステージとは違ったチームが見られそうです。

2021年マレーシアリーグ グループステージB組最終順位表(第6節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#TFC65101641216
2#SEL6402128412
3KUC6123612-65
3PRK6014414-101
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:TFC-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、PRK-ペラFC、KUC-クチンシティFC

グループステージC組
2021年11月9日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッドFC 2-0 クダ・ダルル・アマンFC
得点者:マラッカ-マヌエル・オット( 24分)、ジョヴァンニ・ゴメス・ダ・シルヴァ(89分)
 C組の2位となるとD組1位のJDTが準々決勝の相手となることから、両チームともC組首位での突破を目指して対戦しました。Mリーグ1部では今季8位だったマラッカ・ユナイテッドFCが試合開始から終始優勢を保って試合を進め、リーグ2位のクダを抑えてC組首位で順々決勝進出を決めています。この結果、マラッカ・ユナイテッドFCは準々決勝ではサバFCと、クダ・ダルル・アマンFCはJDTと対戦します。

*11月9日に予定されていたヌグリスンビランFC対ケランタン・ユナイテッドFCの試合は、ヌグリスンビランFCの出場辞退により、ケランタン・ユナイテッドFCが3-0で不戦勝となっています。

2021年マレーシアリーグ グループステージC組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#MLU65101551016
2#KDA6402136712
3KLU6114812-44
4*NSE6105112-113
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDAークダ・ダルル・アマンFC、MLU-マラッカ・ユナイテッドFC、NSE-ヌグリスンビランFC、KLU-ケランタン・ユナイテッドFC
#マラッカ・ユナイテッドFCとクダ・ダルル・アマンFCのグループステージに進出が決定しています。
*ヌグリスンビランFCは新型コロナ感染者が多数発生したため、第3節以降を出場辞退しています。

グループステージD組
2021年11月9日@スルタン・モハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタンFC 0-4 JDT
得点者:JDT-シャフィク・アフマド(48分)、レアンドロ・ヴェラスケス(60分PK)、ギリェルメ・デ・パウラ(62分)、シャールル・サアド(90+1分)
 今季のMリーグチャンピオンのJDTが6戦無敗で準々決勝に進出し、リーグ優勝とマレーシアカップ優勝の今季2冠達成にまた一歩近づいています。

2021年11月9日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 1-0 PJシティFC
得点者:サバ-リスト・ミトレフスキ(21分PK)
 勝った方が準々決勝進出となる直接対決はサバFCがPJシティFCの猛攻を耐え忍んで1-0で勝利しています。この試合に引き分けても準々決勝への進出となっていたPJシティFCでしたが、リーグ戦では2勝、このマレーシアカップでも初戦は引き分けていたサバFCに対し、21分にサバFCのパク・タエスをK・プラバカランがペナルティエリア内で倒して与えたPKの1点に泣いています。

2021年マレーシアリーグ グループステージD組最終順位表(第6節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#JDT66001411318
2#SAB622269-38
3PJC612356-15
4KEL6024413-92
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PJC-PJシティFC、SAB-サバFC、KEL-ケランタンFC
#JDTとサバFCのグループステージに進出が決定しています。

11月10日のニュース:Mリーグでプレーする2選手がミャンマー代表に招集、今季3位のペナンFC監督は進退伺を提出か、ファンはスタジアムでの飲食解禁を求める

 東南アジアNo.1を決めるスズキカップまで1ヶ月を切ったことから、このスズキカップ関連のニュースが増えてきています。先日のブルネイ代表の大会辞退は残念なニュースでしたが、その一方で吉田達磨監督率いる開催国シンガポールはアラブ首長国連邦のドバイで、韓国出身のシン・テヨン(申台龍)率い、ペナンFCのリュウジ・ウトモやJDTのMFシャフリアン・アビマニュも代表に招集されているインドネシア、そしてこの後の記事でも取り上げるミャンマー代表はいずれもトルコでの代表合宿を既に開始しています。なお、シンガポールはキルギスやモロッコと、インドネシアはアフガニスタンやミャンマーと、そしてミャンマーはインドネシアの他にブルンジとの練習試合も予定しており、各国代表チームは大会に向けて着々と準備整えています。また東南アジア勢として唯一、FIFAワールドカップ2022年大会アジア最終予選に出場し、明日は日本戦、その後にはサウジアラビア戦を控えるベトナムは11月19日から国内合宿を予定しており、国内リーグを優先しているのはタイとマレーシアだけです。タイはリーグ戦が11月28日まで続き、マレーシアはカップ戦のマレーシアカップ決勝が11月30日に予定されており、12月5日開幕のスズキカップ直前まで試合が続く両国代表が、シンガポールでどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかが気になります。

Mリーグでプレーする2選手がミャンマー代表に招集
 東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップ2020年大会開幕まであと1ヶ月を切り、出場国の中には代表候補を発表する国も出てきています。そんな中、Mリーグでプレーする2名の選手がスズキカップに出場するミャンマー代表候補に招集されています。
 2019年10月に就任したドイツ出身のアントワーヌ・ヘイ監督が率いるミャンマー代表23名は既に先月10月下旬からトルコのアンタルヤで合宿中ですが、スリ・パハンFCでプレーするFWアウン・カウン・マン (23)とスランゴールFCでプレーするFWハイン・テット・アウン(20)の両選手がこの代表合宿に招集されたと、サッカー専門サイトのヴォケットFCが伝えています。
 ヴォケットFCによれば、既にマレーシアカップグループステージ敗退が決まっているスリ・パハンFCのアウン・カウン・マン選手はグループステージ最終戦となる今日11月10日のKLシティFC戦終了後に、また準々決勝進出を決めているスランゴールFCのハイン・テット・アウン選手はチームの敗退後直ちに代表に合流するということです。なお、スランゴールFCは11月14日と18日にホームアンドアウェイ方式での準々決勝を戦います。

今季3位のペナンFC監督は進退伺を提出か
 今季2部から1部に昇格するといきなりリーグ3位となったペナンFCですが、マレーシアカップに入った途端にここまでの5試合で0勝1分4敗、得点2失点14と全く別のチームになってしまっていることは、このブログでも何度か取り上げましたが。このペナンFCを率いるチェコ出身のトマス・トルカ監督がクラブに対して進退伺を提出したとマレーシア語紙ウトゥサンマレーシアが報じています。
 よく似た風貌からマレーシアの「ユルゲン・クロップ(現リバプールFC監督)」と呼ばれているトルカ監督ですが、リーグ戦時からあまりにも変わってしまったチームの状態を受け、クラブのサポーターからは批判が集まっています。11月7日のKLシティFC戦後の記者会見では、クラブとの契約は残っていることから来季に向けてさらにチームを強化したいと話したトルカ監督はその一方で、実際の状況の判断はチームに委ねているとも述べています。
 トルカ監督自身は2部リーグとはプレーのレベルが異なる1部リーグに昇格し、1シーズンを全うしたことで主力選手にケガが相次いだことがリーグ戦時から急落したチーム状況の原因であると説明しています。「マレーシアカップ前にも説明したように、リーグ戦では複数の選手はケガからの回復が不十分なまま試合に出続けた。その結果が3位だったが、その代償として7名の主力選手が現在、ケガで試合出場ができなくなっている。」と述べたトルカ監督は、残る最終戦も現状の戦力で戦うことになるが、自身は選手のパフォーマンスに満足していると話しています。
*****
 リーグ戦3位からマレーシアカップは5試合で0勝とまさに天国から地獄といった変貌を遂げているペナンFCですが、1部昇格初年度で3位という快挙が既に忘れられた上での批判のように思えます。11月7日のKLシティFC戦はスタジアムで観戦しましたが、この試合ではエースのカサグランデ、代表GKのサミュエル・サマーヴィル、U23代表戦に出場し帰国後の隔離期間中のクエンティン・チェンなど主力を欠きながらもKLシティFCと互角に渡り合ったペナンFCは賞賛されることはあっても、批判されることはなさそうに見えました。2001年に当時の1部リーグだったリガ・プルダナ優勝以来の好成績をあげた監督への批判は、個人的には贔屓の引き倒しにしか思えず、これでトルカ監督が退任したとしても、来季は1部で下位に低迷することになった際に現在、監督批判を繰り広げているサポーターは何と言うのでしょうか。
 外国籍のトルカ監督を排斥して、昨季は監督として1部昇格に貢献したマレーシア人のマンズール・アズウィラ コーチ(1部で監督を務めるためのAFCプロ指導者資格を保持していないことから今季はコーチとしてベンチ入り)を復帰させるために監督批判をしているサポーターもいるようですが、そうなるとサポーターって何?と言う感じです。

ファンはスタジアムでの飲食解禁を求める
 10月29日のマレーシアカップグループステージ第4節からは入場者数制限はあるもののスタジアムでの観戦が解禁になっていますが、2度のワクチン接種を終えていることを条件にチケット購入はオンラインのみ、しかもチケットには氏名と身分証明書番号が記載されて、入場時にはパスポートなどで本人確認が行われるなど観戦実現のために様々な標準作業手順SOPが導入されています。試合中は常にマスクをしていること、観客同志は1.5メートル以上の間隔を空けて着席すること、「密」を避けるためハームタイムでのトイレの使用禁止などのSOPに加えて、スタジアム内では飲食が禁止されています。先日のこのブログではマラッカ・ユナイテッドFCの関係者が飲食している様子がソーシャルメディア上に流出してマレーシアカップを主催するMFLが捜査に乗り出す事態となっていることを取り上げましたが、これは明らかにSOP違反でした。
 とは言え、夜間でも気温が30度近いこともあるマレーシアで観客には水を飲むことすら許されていないことからスタジアムでの飲食解禁を求める声が出ているとウトゥサンマレーシアが報じています。マレーシアでは新型コロナ対策のための規制が徐々に緩和されており、現在は店内飲食の際に複数の客が同じテーブルに座ることが許可されている他、9月には映画館が営業を再開し、映画鑑賞中の飲食も許可される一方でスタジアムでの飲食が現在も禁止されています。
 素人考えでは、店内での飲食が許可されている現状では、閉鎖的な空間である映画館よりも屋外のスタジアムの方があらゆる面で安全なようにも思えますが、新型コロナ対策を担う国家安全保障委員会NSCはそうは考えていないようで、マレーシアカップを主催するMFLはNSCに対してスタジアム内での飲食の許可を求めているようです。
 マレーシアカップ第5節からはワクチン接種を終えていれば18歳以下の子どももでスタジアム観戦が可能となるなど、11月14日から始まるノックアウトステージに向けて、徐々に観客が増えていく可能性がありますが、飲食禁止によりスタジアム内で熱中症になっては笑い話にもならないので、MFLには積極的に飲食解禁を政府に働きかけて欲しいものです。
*****
 と書きましたが、そこはマレーシア。現状は大っぴらで無ければ飲食は黙認されています。私が観戦に訪れたMBPJスタジアムとKLサッカースタジアムでは、ハーフタイムになると入場ゲート越しに飲み物、食べ物を購入することができ、周りの関係者や警察もそれを止める様子はありませんでした。流石にスタンドまで飲食物を持ち込んでいるファンはいませんでしたが、ハーフタイムの間にスタンド下で水分補給をしているファンが多く見受けられました。

マレーシアカップ-グループステージ第5節結果

 マレーシアカップのグループステージ第5節が11月6日と7日に行われ、A組ではKLシティFCがペナンFCに、サラワク・ユナイテッドFCがスリ・パハンFCに勝利し、それぞれベスト8進出を決めています。この他、B組のトレンガヌFCとスランゴールFC、C組のマラッカ・ユナイテッドFCとクダ・ダルル・アマンFC、D組のJDTの計7チームがノックアウトステージとなるベスト8進出を既に決めており、最終節となる次節第6節でベスト8最後のチームが決定します。
 (各試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

グループステージA組
2021年11月7日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
KLシティFC 1-0 ペナンFC
得点者:KL-ロメル・モラレス(38分PK)
 A組首位のKLシティFCが接戦を制してグループ首位を確定させ、ベスト8進出を決めています。ペナンFCに攻め込まれる場面が多かったKLシティFCは、ゴール前の混戦からペナンFCの主将アズミ・ムスリムが痛恨のハンドでPKを得、これをロメル・モラレスがマレーシアカップ5試合で8ゴール目となるシュートを決めて先制し、そのまま逃げ切っています。KLシティFCはこれで今季はリーグ戦から14試合連続でホームで負けがなく(10勝4分0敗)、これはクラブの新記録ということです。(11/8に一部を訂正しました。)
 先日のこのブログでも取り上げた通り、リーグ戦の好調が嘘のような不振に陥っているペナンFCですが、この日は過去2試合で0得点11失点というのが信じられないほど攻守とも素晴らしく、過去2試合先発したGKブライアン・シーも何度もファインセーブを見せるなど、なぜこのチームがここまでの4試合で未勝利なのかが全くわかりませんでした。
 この試合はスタジアムに足を運びペナンFC側のスタンドで観戦しましたが、ゴール裏にはトマス・トルカ監督を糾弾する横断幕、そしてスタンドからはやはりトルカ監督を批判する声なども飛び交い、少なくとも現時点ではサポーターからの支持を得られていない様子が感じられました。

2021年11月7日@ダルル・マクムルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハンFC 1-2 サラワク・ユナイテッドFC 0-0 スリ・パハンFC
得点者:パハン-ケニー・アティウ(13分)、サラワク-サンドロ・ダ・シルヴァ(31分)、アブドル・ラヒム・アブドル・ラザク(90+5分)
 スリ・パハンFCは13分にマヌエル・イダルゴのバックヒールパスを受けたアシャ・アル=アフィズのクロスをケニー・アティウが2戦連続となるゴールを決めて先制しますが、サラワク・ユナイテッドFCもゴール前の混戦に詰めていたサンドロ・ダ・シルヴァのゴールで同点に追いつき、試合はそのまま引き分けかと思われた後半ロスタイムに途中出場のアブドル・ラヒム・アブドル・ラザクが決勝ゴールを決め、最終節を残してサラワク・ユナイテッドが2部プレミアリーグのクラブとして唯一、マレーシアカップのベスト8へ駒を進めています。

2021年マレーシアリーグ グループステージA組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#KLC5320114711
2#SWU531188010
3SRP520311656
4PEN5014214-121
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PEN-ペナンFC、KLC-KLシティFC、SPP-スリ・パハンFC、SWU-サラワク・ユナイテッドFC
#KLシティFCとサラワク・ユナイテッドFCのグループステージに進出が決定しています。


グループステージB組
2021年11月7日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴールFC 0-0 トレンガヌFC
得点者:スランゴール-シャーレル・フィクリ(33分)、トレンガヌ-ファイサル・ハリム(15分)、ジョーダン・ミンター2(72分、90分)
 現在のチーム力の差が如実に現れた試合は、トレンガヌFCがマレーシアカップでも絶好調が続くファイサル・ハリムとジョーダン・ミンターの活躍でスランゴールFCを圧倒しています。
 ドリブルでスランゴールFC陣に切り込んだファイサル選手からパスを受けたエンク・ヌル・シャヒールがシュートを放つも、スランゴールFCのGKカイルルニザムがセーブ、しかしそのこぼれ球をファイサル選手自身が蹴り込んでトレンガヌFCが先制します。スランゴールFCもケガからの代表復帰を目指すFWシャーレル・フィクリが同点ゴールを決め、1-1のまま試合は後半へ。
 後半に入ると、今季のMリーグでは2部のトレンガヌFC IIで16ゴール、トップチームのトレンガヌFCで4ゴールを挙げながらトップチームでの先発機会に恵まれないことから先週は「チームが自分を必要としていないなら、来季もトレンガヌFCに残るかどうかはわからない。」と発言したジョーダン・ミンターが終盤に2ゴールを挙げる活躍を見せてトレンガヌFCが快勝し、B組首位でのグループステージ突破を決めています。

2021年11月7日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラFC 0-1 クチンシティFC
得点者:クチン-ラフィク・シャー・ザイム(72分)
 クチンシティFCは72分、ジョセフ・カラン・ティーからのパスに反応してDFラインの裏へ抜け出したマイケル・イジェジがペナルティーエリアへ持ち込むも、ペラFCのGKファルハン・アブドル・マジッドが好反応してこれをブロック、しかしそのこぼれ球を詰めていたラフィク・シャー・ザイムがゴールして先制し、そのまま逃げ切り、記念すべきマレーシアカップクラブ史上初勝利を挙げています。
 クチンシティFCの鈴木雄太選手は先発してフル出場しています。

2021年マレーシアリーグ グループステージB組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#TFC55001531215
2#SEL530210739
3KUC5113511-64
3PRK4013312-91
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:TFC-トレンガヌFC、SEL-スランゴールFC、PRK-ペラFC、KUC-クチンシティFC

グループステージC組
2021年11月6日@スルタン・モハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン・ユナイテッドFC 1-3 クダ・ダルル・アマンFC
得点者:ケランタン-ファクルル・ザマン(73分)、クダ-シャズワン・ザイノン( 34分)、バドロル・バクティアル(36分)、ファイヤド・ズルキフリ(85分)
 多数の新型コロナ陽性者が出たヌグリスンビランFCがマレーシアカップを途中で辞退したことから前節、前々節と試合がなかったクダ・ダルル・アマンFCはマレーシアカップ初先発となる第3GKのイルハム・アミルラー・ラザリを先発させ、チェチェ・キプレをベンチスタートさせる余裕を見せましたが、15分にはクパー・シャーマンのPKをケランタン・ユナイテッドFCのフィクリ・チェ・ソーに止められるなど嫌な雰囲気で試合は進みましたが、34分にはシャズワン・ザイノンが、また36分にはバドロル・バクティアルがそれぞれゴールを決めて試合の主導権を掴むと、ケランタン・ユナイテッドFCを1点に押さえて勝利しています。
 ケランタン・ユナイテッドFCの深井脩平、谷川由来の両選手は先発してフル出場し、本山雅志選手はベンチ入りしませんでした。

*11月6日に予定されていたヌグリスンビランFC対マラッカ・ユナイテッドFCの試合は、ヌグリスンビランFCの出場辞退により、マラッカ・ユナイテッドFCが3-0で不戦勝となっています。

2021年マレーシアリーグ グループステージC組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#MLU5410135813
2#KDA5401134912
3*NSE5105112-113
4KLU5014512-71
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDAークダ・ダルル・アマンFC、MLU-マラッカ・ユナイテッドFC、NSE-ヌグリスンビランFC、KLU-ケランタン・ユナイテッドFC
*ヌグリスンビランFCは新型コロナ感染者が多数発生したため、第3節以降を出場辞退しています。

グループステージD組
2021年11月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティFC 1-2 JDT
得点者:PJ-R・ルヴェンティラン(11分)、JDTベルグソン・ダ・シルヴァ(14分PK)、マウリシオ(28分)
 相手ディフェンスのミスに乗じてPJシティFCがR・ルヴェンティランのゴールで先制。JDTはマレーシアカップ5試合目にして初の失点でしたが、この試合でも随所で素晴らしいドリブルを見せたJDTのアリフ・アイマンがペナルティエリアで倒されて得たPKをベルグソン・ダ・シルヴァが決めてすぐに同点とします。JDTはさらに28分にペナルティーエリアの外で得たPKからのこぼれ球をマウリシオが押し込んでリードを奪いそのまま逃げ切っています。
 この試合はスタジアムで観戦しましたが、得点力不足の代表に復帰して欲しいと個人的に注目していたPJシティFCのFWダレン・ロックにはほとんどボールが回らず、途中で交代しています。

2021年11月7日@リカススタジアム(サバ州コタキナバル)
サバFC 2-1 ケランタンFC
得点者:サバ-アムリ・ヤハヤ(7分)、サーリザン・サイディン(90+1分)、ケランタン-サフアン・ハズマン(5分)
 サバFCがこのグループステージで初勝利し、オン・キムスイ監督に初白星をプレゼントするとともに、次節最終節でのグループステージ突破の可能性を残しています。サバFCは次節は本拠地にPJシティFCを迎え、サバFCが勝てばサバFCが、引き分け以上ならPJシティFCがベスト8に進出します。
 ケランタンFCはオーナーのノリザム・トゥキマン氏がマレーシアカップに優勝すれば監督にポルシェをプレゼントするとしていましたが、チームはグループステージ敗退が決まりました。

2021年マレーシアリーグ グループステージD組順位表(第5節終了時)

TeamGWDLGFGAGDP
1#JDT5500101815
2PJC51225505
3SAB512259-45
4KEL502349-52
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:PJC-PJシティFC、SAB-サバFC、KEL-ケランタンFC