2月22日のニュース:ペラにさらに激震-ドゥラコビッチ監督契約解除か、サッカー協会会長が首相を表敬訪問、JDTは契約したばかりの新外国籍選手をインディペンディテへ期限付き移籍

ペラにさらに激震-ドゥラコビッチ監督退任か
 名将に退任の噂が。Mリーグ1部ペラはペラ州議会議員によるクラブ運営介入により混乱状態であることは先日のこのブログでも取り上げましたが、さらに状況を悪化させかねない噂をメディアが報じていますが、その内容は2017年からペラを率いるオーストラリア出身のメフメト・ドゥラコビッチ監督の契約解除が間近かだというものです。
 英字紙スター電子版はペラを運営するペラ州サッカー協会(ペラ州FA)が今年11月までとなっているドゥラコビッチ監督との契約を双方合意の上で契約解除とするための話し合いを行なっていると報じています。活動制限令により禁止されていたMリーグ各クラブの練習が解禁された今月15日から話し合いは行われており、2月19日の練習をドゥラコビッチ監督が欠席したとも報じています。スターの記事では、昨季までチームマネージャーを務めたアドリー・シャー・アフマド・ター氏に代わり新たに就任した前PKNP(現ペラII)のマネージャーでもあるリザル・ナイザリが混乱の元凶だとしています。また、ドゥラコビッチ監督が今季も指揮を取ることを理由にペラに残留した主力選手が多いとして、もし契約解除となればチームの士気への影響は計り知れないとしています。
 またスポーツ専門サイトのスタジアムアストロはこの噂を報じる一方、ペラの運営委員会のカイルル・シャーリル・モハメド委員の話を掲載し、運営委員会は契約解除の話し合いが行われていることは知らされていないと話しており、ドゥラコビッチ監督は現在も監督としての仕事についており、2月15日の練習欠席は体調不良によるものだとリザル・ナイザリ マネージャーから知らされているとも話しています。
 またマレーシア語紙ブリタハリアンは、ペラから公式声明は出されていないとしながらも、後任に2019年にKLFA(現KLユナイテッド)の監督代行を務めたチョン・イーファット氏の名前が上がっていると報じています。
 2017年の就任以来、チームはMリーグで2017年5位、2018年2位、2019年5位、2020年4位、また2018年にはマレーシアカップ優勝、2019年にはFAカップ準優勝と安定した成績を残しているドゥラコビッチ監督は2014年から2015年までスランゴールの監督も務めており、その際にも2014年2位、2015年2位、2015年マレーシアカップ優勝を達成しています。

サッカー協会会長が首相を表敬訪問
 マレーシアサッカー協会FAMのハミディン・アミン会長がムヒディン・ヤシン首相を訪問し、国内サッカーの将来の計画について説明を行なったと英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMのアブドル・ガニ・ハサン副会長やスチュアート・ラマリンガム事務局長を率いてムヒディン首相を官邸に訪問したハミディン会長は、新型コロナウィルスへの対応で忙しい時期に訪問の機会を与えられたことを感謝し、今後の代表チームの予定やMリーグが来月3月に開幕することを伝えたということです。その際には厳格な標準作業手順SOPに基づいて今季のMリーグを行うこと、そしてMリーグ開幕後も滞りなくリーグを続けていけるよう、できるだけ速やかにサッカー界でもワクチン接種を行いたい希望を伝えたということです。この他、連邦直轄地プトラジャヤに建設予定のFAMの新たな本部の計画についても話し合ったと報じられています。

JDTは契約したばかりの新外国籍選手をインディペンディテへ期限付き移籍
 Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTは今月2月8日に契約したばかりのFWジョナサン・エレーラを出身国であるアルゼンチン1部リーグのCAインデペンディエンテへ買取オプション付きで期限付き移籍させることをマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 タイ1部BGパトゥム・ユナイテッドへ移籍したFWジオゴ・サントスに代わるストリカーとして移籍金80万米ドル(およそ8430万円)を支払って獲得したエレーラ選手ですが、この選手を130万ドル(およそ1億3700万円)の買い取りオプション付きでCAインデペンディエンテに期限付き移籍させるということです。クラブからの公式発表はありませんが、ブリタハリアンはJDTのオーナーでジョホール州皇太子のTMJことトゥンク・イブラヒム殿下が自身のインスタグラムで明かしたということで、「(CAインデペンディエンテからの)オファーが拒否できなかったのは、現時点ではトロフィーよりもお金の方がより必要である。これもビジネスの一環である」というTMJのコメントも掲載しています。
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 「トロフィーよりもお金が大事」とは言ってもモハマドゥ・スマレも獲得しており、またAFCチャンピオンズリーグが4月21日から5月7日までの集中開催となったこの期間はMリーグが試合が組まれておらず、チームを二つに分けるローテーションも不要になるなど、お金を手に入れる上にトロフィーも手に入れられる環境は整っています。

2月19日のニュース:W杯予選G組の残り試合は6月に集中開催方式による実施が決定、今季のMリーグ2部は10チーム編成か-ペラIIに脱退の可能性が浮上、今季Mリーグ開幕戦はJDTの本拠地で開催決定、2022年AFCクラブライセンス申請受付開始-スリ・パハンとサバは申請せず、UITMは主催トーナメント開催を前にワクチン接種を希望

W杯予選G組の残り試合は6月に集中開催方式による実施が決定
 マレーシアの通信社ブルナマは現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選について、マレーシアが所属する予選G組の残り試合全て6月に延期され、さらに集中開催方式で行われることが決定したと報じています。
 アジアサッカー連盟AFCのウインザー・ポール事務局長は、マレーシアの他にベトナム、タイ、アラブ首長国連邦、インドネシアが所属する予選G組についてはAFCの判断で6月開催とすることを各国サッカー協会とのオンラインミーティングで伝えたと、ブル生の取材に答えています。
 またウインザー事務局長は、今後は集中開催となる開催地の選別に取り掛かると話しています。なお開催地となるためにはAFCが設ける複数の条件を満たすことが求められており、その中には国境が開かれていて人の往来が自由に行われていることや、試合のため入国するチームや関係者に対し検疫隔離などの措置が義務付けられていないことなどが挙げられています。

今季のMリーグ2部は10チーム編成か-ペラIIに脱退の可能性が浮上
 今季のMリーグは3月5日に開幕しますが、開幕まで1ヶ月を切ったこの時期に2部のペラIIの出場事態の可能性が報じられています。ペラIIはMリーグ1部ペラのセカンドチームとして昨季からMリーグ2部でプレーしています。
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサン事務局長は、ブリタハリアン紙の取材に対し、ペラIIのトップチームであるMリーグ1部ペラとペラIIの処遇についての話し合いが行われていることを認める一方で、現時点で何も確定しておらず、話し合いをしていること以上は明かすことができないとも述べています。
 ペラIIはセミプロクラブとしてMリーグ3部M3リーグに降格して再出発するという噂もあり、2019年シーズンにはMリーグ1部で最下位となり2部に降格したとはいえ、わずか数年前までトップリーグにいたクラブがセミプロクラブになってしまうのは残念ですが、それ以上に残念なのは今後プロサッカー選手を目指す若い選手たちの受け皿も減ってしまうことです。
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 ペラIIがMリーグ2部を脱退すれば、今季から参戦するFAM-MSNプロジェクトチーム(マレーシアサッカー協会FAMと国家スポーツ評議会MSNが運営する国営サッカーアカデミーの出身者で構成される間にあわせのチーム)を加えても10チーム編成となるMリーグ2部。しかもこのFAM-MSNプロジェクトやMリーグ1部クラブのセカンドチームであるJDT II、トレンガヌII、スランゴール2の3チームには1部への昇格権はありません。つまり今季は残る6チームで2つの昇格権を争う確率1/3の「お得な」シーズンとなっており、各チームが例年以上に積極的に補強しているのはこの機会を逃さないためでもあります。

今季Mリーグ開幕戦はJDTの本拠地で開催決定
 今季のMリーグ開幕戦では昨季の1部リーグチャンピオンJDTと2位のクダ・ダルル・アマンが対戦しますが、*スンバンシーカップとも呼ばれるこの開幕戦について、今季も含めて7年連続でJDTの本拠地で開催されていることから、一部ではMリーグを運営するMFLがJDTを優遇しているという声が出ているようです。こういった声についてMFLのアブドル・ガニCEOは「スンバンシーカップはMリーグ1部スーパーリーグチャンピオンのものであり、試合会場を変更する必要はない。」と述べています。
 JDTがMリーグ1部7連覇を達成していることから起こっているこの事態について、それ以前からもスンバンシーカップはその年のMリーグ開幕戦として、その前年のMリーグ1部優勝チームの本拠地で行われており、JDTを優遇しているわけではないと話すアブドル・ガニCEOは、もし他のMリーグクラブがスンバンシーカップを開催したければ、1部スーパーリーグで優勝すれば良いだけのことであると、外野の声を一蹴しています。
*スンバンシーカップ(スンバンシー:sumbangsihはマレーシア語で」寄付」の意。この試合は英国プレミアリーグのFAコミュニティーシールドを模しています。本国ではリーグチャンピオンとFAカップチャンピオンが対戦する英国サッカー協会FA主催の大会ですが、マレーシアではリーグチャンピオンとマレーシアカップチャンピオンが対戦し、Mリーグ公式戦の一環として行われます。マレーシアカップは2部のクラブが優勝する可能性もあるので、そうなった時にはリーグ戦扱いはできないのですが、その際にどうなるのかは不明です。

2022年AFCクラブライセンス申請受付開始-スリ・パハンとサバは申請せず
 MFLは公式サイトで来季2022年シーズンのクラブライセンス申請の状況を公表していますが、それによると今季2021年シーズンにMリーグ1部および2部でプレーする全18クラブがMFLに国内リーグ用クラブライセンス申請を行っています。
 また今回はアジアサッカー連盟AFC主催のAFCチャンピオンズリーグやAFCカップに出場する際に必要となるAFCライセンスの申請も受け付けが始まっていますが、こちらはMリーグ全クラブではなく1部と2部合わせて11クラブが申請しているようです。その内訳は1部はスリ・パハンとサバを除く1部10クラブと2部はサラワク・ユナイテッドの1クラブだけです。
 なお国内リーグ用クラブライセンスの申請は2月9日に締め切られているということですが、AFCライセンスの申請は今後も様々な書類の提出期限が続くということです。

UITMは主催トーナメント開催を前にワクチン接種を希望
 Mリーグ1部のUITMが1部のペラ、2部のトレンガヌIIとトーナメントを開催するニュースは先日取り上げましたが、Mリーグで初のスポーツバブル方式のテストとなるこのトーナメントを前に、UTIMのムスタザ・アフマドCEOは、スポーツ関連事業者としてMリーグクラブが初期のワクチン接種対象となることを望んでいると話しています。
 マレーシア語紙ハリアンメトロによると、今回のトーナメント期間中、UITMは各試合の前後に選手29名を含む関係者42名にPCR検査や抗体検査を行うということですが、今回のトーナメントでは1人1試合あたり検査費用として480リンギ(およそ12600円)かかるとムスタザCEOは話しており、ワクチン接種が行われればそうした費用も軽減できるとしています。

2月13日のニュース:MFLは選手登録期限の1週間延長を発表、スリ・パハンはフランス出身DFを獲得、ペラFCは国立大学敷地内での合宿隔離方式で練習再開、JDTがアイスホッケーチーム設立 

ペラFCは国立大学敷地内での合宿隔離方式で練習再開
 国家安全保障委員会NSCにより、2月15日よりMリーグ各クラブはチーム練習再開が許可されていますが、その際には合宿隔離方式あるいは自宅隔離方式での実施が条件となっています。Mリーグ1部のペラFCは州内にある国立大学の敷地内での合宿隔離方式で練習を再開するようです。
 ペラ州タンジュンマリムにあるスルタン・イドリス教育大学はその前身が1922年に創立された教員養成大学ですが、ペラFCは選手、監督、コーチ及びスタッフ全員がこの大学敷地内で宿泊と練習を行うということです。
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 マレーシア国内の大学は現在、新型コロナウィルス感染拡大防止のため原則として登校禁止、そして授業はオンラインで行われています。このためキャンパス内には学生がいないので、このような形の合宿隔離が可能となるのでしょう。

ペラFCは国立大学敷地内での合宿隔離方式で練習再開
 国家安全保障委員会NSCにより、2月15日よりMリーグ各クラブはチーム練習再開が許可されていますが、その際には合宿隔離方式あるいは自宅隔離方式での実施が条件となっています。Mリーグ1部のペラFCは州内にある国立大学の敷地内での合宿隔離方式で練習を再開するようです。
 ペラ州タンジュンマリムにあるスルタン・イドリス教育大学はその前身が1922年に創立された教員養成大学ですが、ペラFCは選手、監督、コーチ及びスタッフ全員がこの大学敷地内で宿泊と練習を行うということです。
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 マレーシア国内の大学は現在、新型コロナウィルス感染拡大防止のため原則として登校禁止、そして授業はオンラインで行われています。このためキャンパス内には学生がいないので、このような形の合宿隔離が可能となるのでしょう。

MFLは選手登録期限の1週間延長を発表
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季2021年シーズン第1回目の選手登録期限を2月12日から2月19日と変更することを公式Facebook上で発表してます。
 今季のMリーグは当初は2月26日開幕が予定されていましたが、新型コロナウィルス対策となる活動制限令が施行されたことから、開幕日が3月5日となっていました。これに合わせて選手登録期限も延長されることが予想されていましたが、今回、FIFAの承認を得られたことから正式に発表されています。
 FIFAからの電子メールが届いたのが当初の登録期限の2月12日前日の2月11日の午後9時だったということです。

スリ・パハンはフランス出身DFを獲得 
 Mリーグ1部スリ・パハンはフランス出身のDFママドゥ・ワグと契約したことをマレーシア語紙ブリタハリアン電子版が報じています。レバノン国籍も持つ31歳のワグ選手はアジア枠での登録となるということです。
 スリ・パハンのモハメド・スフィアン・アワンCEOによれば、今季3年目となるDFエラルド・グロンとこのワグ選手は当時フランス2部リーグのル・マンFCでもチームメートであった他、イラクのアル・ショルタSC在籍時の2018/2019シーズンにはイラク1部リーグ優勝なども経験しているということです。
 ワグ選手との契約で、グロン選手、FWリー・タック(英国、1部トレンガヌFCより加入)、FWセルヒオ・アグエロ(アルゼンチン、3部KLローヴァーズより加入)と5名中4名の外国籍選手が決定したスリ・パハンは、残る1枠となる東南アジア枠についてインドネシア1部アレマFCのFWクシェドヤ・ハリ・ユドの獲得に動いていると噂されています。
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 昨季は11試合で18失点(リーグ7位)と守備に苦しんだスリ・パハンですが、191cmのワグ選手が195cmのグロン選手と組むバックラインはリーグ屈指の高さとなります。

ペラFCは国立大学敷地内での合宿隔離方式で練習再開
 国家安全保障委員会NSCにより、2月15日よりMリーグ各クラブはチーム練習再開が許可されていますが、その際には合宿隔離方式あるいは自宅隔離方式での実施が条件となっています。Mリーグ1部のペラFCは州内にある国立大学の敷地内での合宿隔離方式で練習を再開するようです。
 ペラ州タンジュンマリムにあるスルタン・イドリス教育大学はその前身が1922年に創立された教員養成大学ですが、ペラFCは選手、監督、コーチ及びスタッフ全員がこの大学敷地内で宿泊と練習を行うということです。
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 マレーシア国内の大学は現在、新型コロナウィルス感染拡大防止のため原則として登校禁止、そして授業はオンラインで行われています。このためキャンパス内には学生がいないので、このような形の合宿隔離が可能となるのでしょう。

JDTがアイスホッケーチーム設立
 欧州型の総合スポーツクラブを目指すのか?昨季2020年までMリーグ1部で7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTは来月3月よりアイスホッケーチームを創設すること公式Facebookで告知しています。
 Facebookへの投稿によると、アイススケートリンクはジョホール州イスカンダル・プテリにあるトゥンク・マコタ・イスマイル青少年センター内に建設されるということです。さらにこの投稿ではJDTの名を冠したボクシングチームがあり、プロボクサーのファルハン・ハロンらを輩出しているということです。
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 マレーシアでアイスホッケー?と思われるかも知れませんが、2017年にクアラルンプールを中心に開催された東南アジア競技大会通称シーゲームズではアイスホッケーが競技種目としてデビューし5カ国が出場しています。結果はフィリピンが金、タイが銀、マレーシアが銅のメダルを獲得しています。また続く2019年のフィリピン大会にも5カ国が出場しはタイが金、シンガポールが銀、フィリピンが銅メダルという結果でした。

2月11日のニュース:サフィク・ラヒムがJDT復帰、マラッカ州FAが未払い給料2370万円を完済、今季のMリーグ公式試合球にナイキ社のFlightが決定、プロ選手会会長-感染者が出てもMリーグ中断をしないよう要望

サフィク・ラヒムがJDT復帰
 お帰りなさい、キャプテンマーベル。Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジムJDTとマレーシア代表で長年主将を務めたMFサフィク・ラヒムが3季ぶりに復帰することがJDTの公式Facebookで発表されています。
 2013年にスランゴールから移籍すると2014年から続いているJDTの連覇に貢献した他、JDTのアジア初タイトルである2015年のAFCカップ決勝イスティクロル・ドゥシャンベ(タジキスタン)戦ではマンオブザマッチMOMを獲得しています。また代表でも75試合に出場し、2010年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権では初優勝したマレーシア代表の主将としてもフル出場しています。
 2019年にマラッカ・ユナイテッドへ移籍する際には、JDTのトゥンク・イスマイル殿下からJDTで最も成功した選手、そしてクラブ史上最高の主将と評された上、いつでも戻ってこいと言われながらJDTを退団していました。
 なおサフィク選手の背番号は、退団前に着けていた8番となることも発表されています。
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 昨日のこのブログでも取り上げたモハマドゥ・スマレとジョナサン・エレラの加入に加え、サフィク選手の獲得により、今季のAFCチャンピオンズリーグでグループステージ突破を目指すJDTはさらに選手層に厚みが増し、いわゆるローテーションを行っても国内リーグで他を圧倒するのに十分な戦力を揃えつつあります。
(入団発表でのベンヤミン・モラ監督、サフィク選手、アリスター・エドワーズ テクニカルダイレクター(左から)、そして発表になった今季のJDTの布陣-いずれもJDTの公式Facebookより。)

マラッカ州FAが未払い給料2370万円を完済
 Mリーグ出場はギリギリセーフ!Mリーグ1部を運営するマラッカ州サッカー協会(マラッカ州FA)は総額91万5000リンギの未払い給料他を完済したと、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。この金額は未払い給料の他、諸手当や従業員積立基金などの積立金も合算した金額ということです。
 「我々はマラッカのサッカーのイメージを悪化させるような問題を避けるために、昨季在籍したウチェ・アグバ(Mリーグ2部サラワク・ユナイテッドへ移籍)と同じく昨季途中まで在籍したカラン・シン・ファーンズのの未払い給料と諸手当を支払った。またナルポン・ワイルド(タイ)の未払い給料についても早急に支払い、2度目のトランスファーウィンドウでの選手獲得禁止処分を受けないようにしたい。」と話すマラッカ・ユナイテッドのモハマド・サイフル・マット・サプリCEOは、このほかにも昨季のチームから選手18名と関係者17名が給料未払いとなっていることを明らかにし、こちらについても選手、関係者との間で分割払いとすることで同意を得ており、既に支払いを始めていることも明らかにしています。
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 こんな問題が開幕1ヶ月を切った段階で露呈してもリーグ出場禁止処分にもリーグ参加に必要なクラブライセンス剥奪にもならないようでは、クラブライセンス白球を担当する第一審機関FIBの資格審査能力に問題あり、とはならないのがマレーシアらしいです。

今季のMリーグ公式試合球にナイキ社のFlightが決定
 6年連続で公式試合球はナイキ社製に。Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは今季2021年シーズンのリーグ公式試合級としてナイキ社のFlightを採用することを公式Facebookで発表しています。Mリーグは2016年からナイキ社製のボールを公式試合球としています。
 このFlightは英国プレミアリーグ、イタリアのセリエAでも採用されており、アジアではオーストラリア(Aリーグ)、アラブ首長国連邦(UAEガルフリーグ)、中国(スーパーリーグ)、サウジアラビア(サウジプロリーグ)に続いてこのFlightを採用する5つ目リーグということです。
  このFlightは今季開幕戦となる3月5日のJDT対クダ・ダルル・アマン戦でお披露目となるということです。

プロ選手会会長-感染者が出てもMリーグ中断をしないよう要望
 スペインリーグに学べ。3月5日に今季開幕が予定されているMリーグについて、Mリーグ1部のクアラルンプール・ユナイテッドでプレーするサフィー・サリは、リーグ開幕後に新型コロナウィルス感染が選手間で発生しても、リーグを中断するべきではないと話しています。
 ブルナマはマレーシアプロサッカー選手会の会長でもあるサフィー選手の話として、Mリーグが業務提携をしているスペインのラ・リーガが感染者が出てもリーグを続行している点を指摘し、提携関係を活用してスペインリーグ主催者から学べるノウハウを採用するべきだとしています。
 ラ・リーガとMFLが共催したオンラインセミナーに出席したサフィー選手は「練習再開、そしてリーグ開幕が決まった今、最大の関心はMリーグ開幕後に出場選手に感染者が出た場合の対応である。選手間で感染者数が増えれば、リーグ中断、あるいは延期を、という声が上がる可能性があるが、その場合にはラ・リーガが採用している標準作業手順SOPをまねるべきだ。」と話し、これ以上のリーグ中断や延期が怒らないことを望んでいるとも話しています。

2月10日のニュース:Mリーグクラブに練習再開許可、ペラFCのロゴ問題-スルタンがコンペ開催を示唆、レジェンドFWがサバFCのテクニカルディレクターに就任、JDTがスマレら新入団選手を発表

Mリーグクラブに練習再開許可
 サラワク州を除くマレーシア全土に施行されている活動制限令によりチーム練習が禁止されていたMリーグの各クラブに朗報です。2月15日よりMリーグクラブのチーム練習が許可されることが昨日2月9日の新型コロナウィルス関連の定例記者会見で発表されました。なお許可されたチーム練習は選手や関係者が外部との接触を遮断される、いわゆる「バブル方式」で行われることも発表されています。
 これを受けてMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは公式Facebook上で今季の開幕日3月5日の変更がないことも改めて発表しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは「練習許可が出たことで、今後は各クラブの選手、関係者全員が責任を持って標準作業手順SOPを遵守することが求められる。万が一この責任を果たせない者が出れば、新型コロナウィルス感染がリーグ内に発生する可能性がある。」と話しています。
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 練習再開が許可されなければ既に2月26日から延期されていた3月5日の開幕がさらに遅れる可能性もあっただけにMリーグ各クラブにとっては朗報です。しかし、この発表前からジムなどで集団練習していたクラブがあるとの噂も出ており、今後も自らが負っている責任の重さを理解しない不届き者が出ないことを祈ります。

ペラFCのロゴ問題-スルタンがコンペ開催を示唆
 ペラFCの新しいロゴがサポーターの間で不評というニュースはこのブログでも取り上げましたが、ついに州王スルタンが動く事態となりました。
 ペラ州のスルタン・ナズリン・シャー殿下はペラ州サッカー協会(ペラ州FA)に対し、今季開幕前にペラFCの新たなロゴを決定するコンペを行うよう「助言」したとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。
 サポーターからの不評を無視して新たなロゴを採用しようとしたペラ州FAに対し、スルタンはサポーターの声を聞き、それに関心を持ち、さらに尊重するようにとの「助言」を受けたことを、ペラ州政府の青年スポーツおよびマルチメディア委員会のカイルル・シャーリル・モハマド委員長が明らかにしています。
 新たなロゴのコンペ参加条件などは近いうちに発表されるとしたカイルル委員長は、サポーターの投票前に応募作品から10程度のロゴを選び、5日間ほどの投票期間を設ける予定であるとしています。
 ペラ州FAのムハマド・ヤザン・モハマド副会長は1月30日にサポーターの不評にも関わらず、新たに発表したロゴを変更する予定はないと話していました。

レジェンドFWがサバFCのテクニカルディレクターに就任
 オールドファンには懐かしい名前が帰ってきました。1990年代後半、サバFCの前身サバFA時代に大活躍したオーストラリア出身のスコット・オルレンショー氏がMリーグ1部サバFCのテクニカルダイレクターに就任したことが、クラブの公式Facebookで発表されています。
 クラブの外国籍選手獲得やサバ州内の選手発掘などにも関わり、ユースプログラムの責任者も兼務するということです。
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 サバFA時代は赤毛のストライカーとして恐れられたオルレンショー氏ですが、下の写真では見る影もないですね。

JDTがスマレら新入団選手を発表
 JDTの帰化選手コレクション、いや代表選手コレクションにまた1人加わりました。Mリーグ1部で7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTは帰化選手のムハマドゥ・スマレとアルゼンチン出身のFWジョナサン・エレーラの加入を公式Facebookで発表しています。
 タイ1部BGパトゥム・ユナイテッドに移籍したジオゴ・サントスに代わる活躍が期待されるエレーラ選手ははアルゼンチン2部のCDリエストラから、スマレ選手は既にタイ1部のポリス・テロFCとの契約も満了していました。
 なおJDTは公式Facebookには「運転手さん、マレーシアでNo. 1のクラブに連れていってくれ。」というタイトルで始まり、スマレ選手がリムジンから降り立った先がJDTのクラブハウスだった、という映像を投稿しています。
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 パハン州サッカー協会がFIFAよりこのスマレ選手に対する給料未払い問題で490万リンギ(およそ1億2600万円)の支払いを命じる裁定を受けたニュースは先日取り上げましたが、JDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下がスマレ選手に掛け合って要求額を下げさせるよう説得すると話す記事まで掲載されると、パハンFA(当時)退団から腰掛けのようなタイクラブ移籍(しかもそのクラブには元JDTのドミニク・タンが在籍)、そして今回のJDT入団と全てがつながり、実は最初から仕組まれていたのでは?という感もしなくはないです。
(JDT加入が発表されたスマレ選手(左)とエレーラ選手-JDT公式Facebookより)

2月4日のニュース:M3リーグの開幕は6月延期が決定、今期のFAM理事会選挙は無風選挙か、JDTがティザーを投稿-新外国籍選手は近々発表か

M3リーグの開幕は6月延期が決定
 Mリーグ3部のM3リーグ以下を運営するアマチュアフットボールリーグAFLは、今季のM3リーグ開幕が当初予定されていた3月から6月へ延期すると発表しています。AFLのモハマド・ユソフ・マハディ チェアマンは新型コロウィルスから選手を含めた関係者全員の安全と健康を守ること延期が理由であるとしています。
 その一方でモハマド・ユソフ チェアマンは、今季M3リーグに参加するクラブの登録審査のための書類提出については3月末の期限を変更しないとしています。
 「リーグ開幕が延期されたことにで、各クラブから提出される書類を細部にわたって審査する時間を取る予定である。この期間を使って、登録を希望するクラブがM3リーグのセミプロ化に対応できるクラブかどうかを見極めたい。」と話すモハマド・ユソフ チェアマンは、M3リーグに参加するクラブの数が確定次第、試合方式や日程の検討に入るとしています。

今期のFAM理事会選挙は無風選挙か
 マレーシアサッカー協会FAMはその任期が2021年から2015年までとなる新たな理事会メンバー17名の選挙に向けて、各州サッカー協会など加盟20団体による候補者の推薦を2月11日まで受け付けています。
 この理事会選挙では、会長1名、会長代理2名、副会長4名、そして理事10名の計17名が選ばれますが、マレーシア語紙ブリタハリアン電子版は、例年とは違い今回は「無風選挙」となることを予想しています。
  今回の選挙では会長や会長代理、副会長の役職を巡りいわゆる「大物政治家」が争う従来の図式が見られないだけでなく、役職によっては対立候補なしの無投票で決定される可能性もあるとしています。近年にない好成績を収めている代表チームを含め、国内サッカーに良い意味での変革をもたらしたハミディン・アミン会長もその1人とされ、2期目を目指すハミディン会長にとって変わるほどの候補者は見当たらないとブリタハリアンは報じています。
 また現職理事会メンバーを選出した2017年の選挙でMリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでもあるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下とFAM会長を争った経験もあるアヌアル・ムサ連邦直轄区担当大臣も今回の選挙には出馬しないことを明言しています。
 例年は理事会選挙に出馬する政治家の名前が事前にメディアなどで明らかになるのが常ですが、今回の選挙ではそう言った報道もなく、推薦が締め切られた2月11日後に明らかになるようです。なお理事会選挙は3月13日に開催される年次総会で投開票が行われる予定です。
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 今回の理事会選挙が静かなのは、数日前に報道されたトゥンク・イスマイル殿下の発言も影響していると見られています。前FAM会長でもあるイスマイル殿下は「政治家がFAM理事となれば国内サッカーが損害を受ける」として、理事会選挙への政治家の出馬に釘を刺す発言をしています。
 イスマイル殿下の発言を待つまでもなく、昨年の中央政府で「政変」により、クダ州やペラ州では州知事にあたる州首相がやはり政変で与野党が逆転した州議会から不信任を突きつけられて辞任させられています。これらの州では州首相がMリーグクラブを運営する州サッカー協会会長も兼務していたことから、クダFA(現クダ・ダルル・アマン)、ペラTBG(現ペラ)の選手たちが旧政権への見せしめのように給料未払いとなる事態も起こっています。

JDTがティザーを投稿-新外国籍選手は近々発表か
 Mリーグ1部のジョホール・ダルル・タジム(JDT)は公式Facebookにティーザーを投稿し、今季新たに加入する3名の選手を来週明らかにすることを発表しています。また現在建設中というJDTサイクリングスタジオ(トレーニング施設?)の公開や、今季のホームとアウェイのユニフォーム披露も2月24日に予定されているとしています。

1月31日のニュース:フットサルリーグなどの開幕が6月に延期、Mリーグの選手登録期限が延長か、ACLとAFCカップの集中開催地争いではマレーシアは不利

フットサルリーグなどの開幕が6月に延期
 マレーシアサッカー協会FAMは主催するマレーシアプレミアフットサルリーグMPFLとMリーグのU21チームが参加するプレジデントカップ、同じくU19チームが参加するユースカップの開幕を6月に延期されると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 3月開幕が予定されていたこれらの大会は、暫定措置として6月開催が予定されているということです。FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は試合方式を変更し、プレジデントカップとユースカップには地域リーグ制を導入し、移動距離を短くすることで移動制限に対応できるすることも明らかにしています。この他、新型コロナウィルスによるロックダウンなどによって、FAMが設定する地域リーグ終了期限までにリーグ内の試合が全て終了できない場合は、その期限の時点で首位のチームがノックアウトステージへ進出するルールを採用するとしています。またMPFLは各節ごとに1カ所での集中開催で実施し、週ごとに開催地を変更する予定ということです。
 スチュアート事務局長は今年のイスラム教の断食月が4月13日から5月12日までであることも考慮した上での6月開幕を予定としているとも話しています。
 なおMPFL、プレジデントカップ、ユースカップはいずれも昨年2020年は新型コロナウィルスの影響により中止となっています。

Mリーグの選手登録期限が延長か
 今季2021年シーズンのMリーグの選手登録は2月14日が期限となっていますが、Mリーグの開幕が当初の2月26日から3月5日に延期されたことを受け、選手登録期限も延期される可能性が高いと、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが報じています。
 現時点では外国籍選手枠(1部5名-アジア枠1名と東南アジア枠1名を含む、2部4名-アジア枠1名を含む)の全てが埋まっていないクラブもあり、そういったクラブには朗報となるだろうとしています。
 ただし選手登録変更期限の変更はマレーシアサッカー協会FAMとFIFAの承認が必要であるとしており、Mリーグを運営するアブドル・ガニ・ハサンCEOもリーグ開幕延期を各クラブに知らせた際には、選手登録期限の延期がFAMとFIFAの承認待ちであることも合わせて伝えてあるとスタジアムアストロのインタビューに答えています。
 なお外国籍選手枠が全て埋まっていないクラブはMリーグ1部のスリ・パハン、ペラ、マラッカ・ユナイテッド、サバの4クラブです。

ACLとAFCカップの集中開催地争いではマレーシアは不利
 1月27日に開催されたアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグとAFCカップのグループステージ抽選で、マレーシアからACLに出場するジョホール・ダルル・タジムJDTとAFCカップに出場するクダ・ダルル・アマンとトレンガヌの対戦相手が決定しました。
 今季のACLとAFCカップはいずれもグループステージは集中開催方式で行われることが決定しており、今後は予選各組の試合開催国が決定されていくことになります。集中会さということで、自国開催が最も望ましいところですが、新型コロナウィルスの感染状況を見る限り、マレーシアが自国開催権を手に入れることは難しいだろうと、サッカー専門サイトのスムアニャボラが予想しています。
 昨日1月29日にはマレーシア全土で合わせて5728人の新規感染者が出ており、JDTやクダ・ダルル・アマンやトレンガヌが本拠地での集中開催を希望しても、実現の可能性は低そうだと分析しています。例えばJDTが予選で同組となっている江蘇蘇寧(中国)や名古屋グランパスと比べても、中国はここ数日の新規感染者数平均が100名程度、日本は4000名程度と、マレーシアと比べると明らかに感染者数が少ないいずれかの国での開催が有力です。
 またAFCカップでクダ・ダルル・アマンと同組のライオンシティ・セイラーズ(シンガポール)とサイゴン(ベトナム)を比べても、マレーシアはシンガポール(新規感染者27名)とベトナム(同15名)の後塵を拝しており、トレンガヌ同組のカヤ-イロイロ(フィリピン)、シャン・ユナイテッド(ミャンマー)についてもフィリピンが1694名、ミャンマーが427名となっており、いずれの国もマレーシアよりはるかに新規感染者数が少ないため、こちらもマレーシアでのグループリーグ開催の可能性は限りなく低いと言えそうです。

1月29日のニュース:KLユナイテッドが契約不履行で訴えられる、AFCカップ グループステージ組み合わせ決定-アイディル監督はかつて指揮したクラブと同組に、ACLグループステージ組み合わせ決定-JDTは中国リーグ優勝クラブや名古屋と同組に、JDTは英国1部のU23チームでプレーするナサニエル・シオと契約

 今季Mリーグ1部に昇格するクアラルンプール・ユナイテッド(KLユナイテッド)が、チリ出身で前東ティモール代表監督のシモン・エリゼッチ氏の今季監督就任を昨年末に明らかにしたことはこのブログでも紹介しましたが、そのニュースを取り上げた時点ではエリゼッチ氏は既にマレーシア入りしており、渡航者全員に求められる検疫隔離期間でした。それが急遽、今月に入るとケランタンFCなどで監督を務めたクロアチア出身のボジャン・ホダック氏の監督就任が報じられる一方で、契約間近と思われたエリゼッチ氏に関する報道はぴたりと止みました。
 そのエリゼッチ氏が契約の不履行と、自身のコーチとしての実績を中傷しているとしてKLユナイテッドに対して法的措置を取ることを明らかにしてます。
 英字紙ニューストレイトタイムズは、エリゼッチ氏が弁護士を伴って開いた記者会見の様子を伝えています。この会見でエリゼッチ氏は、KLユナイテッドが正当な理由や手続きを踏まずに契約を解除したとして、その損害賠償を求めて民事訴訟を起こしたことを明らかにしています。
 KLユナイテッドはエリゼッチ氏が有効なプロコーチライセンスを保持していないことを主張しているとされていますが、記者会見に同席した弁護士はアジアサッカー連盟AFCとマレーシアサッカー協会FAMが承認している有効なライセンスを保持していると述べ、KLユナイテッドによる虚偽の告発によってエリゼッチ氏は評判を汚されたとして民事訴訟を起こす他、契約不履行をFIFAに訴えるとしています。なおエリゼッチ氏はKLユナイテッドに対して非常に失望していることから示談での解決を望んでいないことも弁護士が明らかにしています。
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 別の報道ではエリゼッチ氏が求めている損害賠償の額が350万リンギ(およそ9021万円)というものや、KLユナイテッドのスタンリー・バーナードCEOの関知しないところで契約が結ばれたなどというものもあり、両者による泥試合の様相を呈してきました。

AFCカップ グループステージ組み合わせ決定-アイディル監督はかつて指揮したクラブと対戦へ
 2021年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)とAFCカップのグループステージ組み合わせ抽選が1月27日にクアラルンプールのAFCハウスで行われ、Mリーグを代表して出場する3チームの対戦相手が決まりました。
 AFCカップには昨季Mリーグで2位のクダ・ダルル・アマンと3位のトレンガヌが出場します。クダ・ダルル・アマンは予選H組となり、昨季国内リーグ3位のサイゴン(ベトナム)、同3位のライオンシティ・セイラーズ(シンガポール)、そして現在は未定の第2プレイオフの勝者と同組となっています。クダ・ダルル・アマンのアイディル・シャリン監督はMリーグでの監督就任前にはライオン・シティ・セイラーズの前身であるホーム・ユナイテッドで2016年から2018年まで監督を務めており、自身が監督をする新旧チームの対戦となりました。
 マレーシアの通信社ブルナマの報道によれば、現在のライオンシティ・セイラーズのメンバーの80%を知っていると話すアイディル監督は、その強さも弱さも理解しているとしていますが、ライオンシティ・セイラーズがリーグ史上最高額となる300万シンガポールドル(およそ2億3500万円)の移籍金で最近獲得したブラジル人MFディエゴ・ロペスについて問われると、かつて監督を務めたクラブが今大会のタイトル獲得を真剣に狙っているとしながらも、クダ・ダルル・アマンはG組の他のチームと張り合う十分な力があると話しています。
 また予選I組となったトレンガヌは昨季国内2位のカヤ-イロイロ(フィリピン)、同4位のゲイラン・インターナショナル(シンガポールリーグ)、同1位のシャン・ユナイテッド(ミャンマー、ただしシャン・ユナイテッドがACL出場権を獲得した場合には同3位のエーヤワディー・ユナイテッドが繰り上げでこのグループに参加します。)と同組となりましたが、G組、H組と比べるとやや楽な組に入った印象です。
 トレンガヌのズル・ファドリ・ロジ チームマネージャーは、この組み合わせを好機と捉えてグループステージ突破を目指したいとブルナマに話しています。
 FCカップのアセアン地区グループステージは6月22日から28日に一回戦総当たりの集中開催が予定されています。(ただし開催地は未定。)

ACLグループステージ組み合わせ決定-JDTは中国リーグ優勝クラブや名古屋と同組に
 AFCカップのグループステージ組み合わせ抽選に続いて行われた2021年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ組み合わせ抽選で、Mリーグ7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTは予選G組となり、昨季の中国リーグチャンピオンの江蘇蘇寧、Jリーグ3位の名古屋グランパス、そして第3プレーオフの勝者と同組となっています。
 Mリーグ1部優勝チームがプレーオフを経ずにACLへ参加できるようになって今回が3大会目ですが、3年連続の出場となるJDTは過去2大会で日本のクラブとは1勝2敗、中国のクラブとは0勝2敗という成績を残しています。(注:新型コロナウィルスにより中断した昨季2020年ACLグループステージが集中開催で再開した際、JDTはマレーシア政府から開催地カタールへの渡航が認められれず大会途中で事態となり、正式記録では対ヴィッセル神戸(5-1でヴィッセルの勝利)の記録は無効になっている他、同組だった広州恒大(中国)とも対戦しませんでした。)
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 ACLでは既にホームでは勝点3を挙げているJDTの今季の現実的な目標はアウェイマッチでの勝点3獲得ですが、今季もなかなか厳しい組に入ってしまったようです。

JDTは英国1部のU23チームでプレーするナサニエル・シオと契約
 JDTは公式Facebookで英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズのU23チームでプレーする20歳のMFナサニエル・シオ・ホング・ワンと契約をしたことを発表しています。ロンドン生まれのシオ選手はジョホール州出身のマレーシア人の母親と中国人の父親を持ち、イギリス、マレーシア、中国の代表でプレーする資格があるということです。
 JDTの公式Facebookでは、シオ選手のマレーシア国籍取得を条件とした獲得であるとして、シオ選手の現在の契約が切れる6月以降からマレーシア国籍取得手続きを始めるとしています。

1月27日のニュース:Mリーグ開幕は3月5日に延期-FAカップは2季連続で中止に、JDTのACL出場資格が確定、今季のACLとAFCカップグループステージは集中開催が決定

Mリーグ開幕は3月5日に延期-FAカップは2季連続で中止に
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、2月26日に予定されていた今季2021年シーズンの開幕を3月5日に延期することを公式サイトで発表しています。
 MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは、臨時のMFL理事会を開催後、Mリーグ各クラブ代表者から意見を聞き、その了承を得た上での延期であるとしている他、代表が出場するFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選、ジョホール・ダルル・タジムJDTが出場するアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ、クダ・ダルル・アマンFCとトレンガヌFCが出場するAFCカップなどの日程も考慮に入れた結果であることも明らかにしています。
 さらにアブドル・ガニCEOは、過密日程を避けるため昨季に続いてFAカップの中止を決定した一方で、Mリーグ1部と2部のクラブが出場するマレーシアカップとチャレンジカップについては開催するとしています。

JDTのACL出場資格が確定
 Mリーグ1部を7連覇中のJDTは、昨季2020年シーズンのアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場しながら、新型コロナウィルスによる中断を経たグループステージ再開時に集中開催地となったカタールへの渡航について、マレーシア政府の安全保障委員会NSCがJDTの渡航を許可しなかったことにより断念し、グループステージを途中辞退せざるを得ませんでした。
 しかしこのJDTが今季もMリーグチャンピオンとして出場資格を持つACLへの出場申し込みを行った際にAFCからの回答が保留されていたことから、昨季のACL途中辞退の罰則として今季のACL出場が認められない可能性が取り沙汰されていました。
 これについてマレーシア語紙ウトゥサンマレーシア電子版は、AFCの協議委員会がJDTのACL出場を認める決定を下したことを報じています。
 マレーシア人でもあるAFCのウインザー・ポール・ジョン事務局長は、マレーシア政府から書簡を受け取ったことを明かした上で、様々な要因を含めて検討した結果、出場許可が決定されたと話しています。

今季のACLとAFCカップは集中開催が決定
 本日1月27日には今季のアジアサッカー連盟AFCチャンピオンズリーグ(ACL)とAFCカップの組み合わせ抽選が行われますが、いずれも集中開催で行われることがAFCの公式サイトで発表になっています。今季から40クラブが出場するACLは従来通り西地区と東地区に分かれて開催、また今季から39クラブが出場するAFCカップは新たに加わる2地区を含めた5地区でグループステージが開催されます。
 ACLにはMリーグチャンピオンのJDTが出場しますが、JDTが所属する東地区のグループステージは4月21日から5月7日に予定されています。(集中開催地は未定)
 また今季のACLはグループステージは1回戦総当たり、その後、準々決勝までは1回戦のノックアウト方式、そして準決勝以降からがホームアンドアウェイ方式となります。以下、ACLの予定表です。

AFC Champions League 2021 match schedule

 一方のAFCカップには、マレーシアからは昨季Mリーグ2位のクダ・ダルル・アマンFCと3位のトレンガヌFCが出場します。両チームが所属するアセアン地区のグループステージは6月22日から28日に開催が予定されています。(開催地は未定)
 AFCカップも1回戦総当たりのグループステージ後は、アセアン地区の準決勝、決勝はいずれも1回戦のノックアウト方式となっています。その後、アセアン地区の勝者は南、中央、東の各地区の勝者と準決勝で対戦し、そこから決勝に進み、勝ち抜けると西地区の勝者と一発勝負の決勝戦に望むことになります。以下、AFCカップの予定表です。

AFC Cup 2021 match schedule

1月22日のニュース:タン代表監督はJDT本拠地での代表合宿を希望、ペラ州FA会長が辞任、トレンガヌFCとヤクルトマレーシアがスポンサー契約締結

タン代表監督はJDT本拠地での代表合宿を希望
 3月に予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選を控えるマレーシア代表は、新型コロナウィルス新規国内感染者が連日3000名近くで推移する中、完全隔離形式を条件に代表合宿の開催が許可されたニュースは昨日のこのブログでも取り上げました。
 完全隔離形式と言うことで、国家スポーツ評議機会NSCが運営するブキジャリルの施設が敷地内に練習場と宿泊施設の両方を備えていることから、代表合宿開催地の候補に上がっていますが、タン・チェンホー代表監督はNSCの施設よりもMリーグ1部ジョホール・ダルル・タジムJDTの施設での開催を希望していると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
  タン監督は「最も重要なことは代表合宿の内容なので、合宿をどこで行うかについてはマレーシアサッカー協会FAMの最終的な決定には従うつもりである。しかし、もしJDTの施設を使用できるのであれば、素晴らしいことだ。誰もがJDTの施設が国内随一のものであることは知っており、(JDTの施設で代表合宿を行うことは)間違いなく選手たちにとっても役立つだろう。」と話しています。
 NSCの施設は他のスポーツの代表選手も使用する施設でもあり、外部からは隔離されるものの、他のNSC施設利用者とは接触する可能性があり、代表チームが完全に隔離されるわけではないと伝えるニューストレイトタイムズの記事では、JDTの施設の方がより安全に代表チームを外部から隔離できることや、多くの代表選手がJDTから招集されるであろう点を挙げて、FAMはJDTの了承を得る努力をするべきだと提言しています。

ペラ州FA会長が辞任
 ペラ州サッカー協会(ペラ州FA)のアフマド・ファイザル・アズム会長とアドリ・シャー・アフマド・ター会長代理が昨日1月21日付で辞任したとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。2018年5月に州首相に就任したアフマド・ファイザル氏は、昨年3月に連邦政府で起こった政権交代の影響を受けた結果、与野党の力関係がが逆転したペラ州議会で不信任案が可決されたことから、昨年2020年12月5日にペラ州首相を辞任しています。
 伝統的にペラ州首相がペラ州FA会長を兼務していたことから、アフマド・ファイザル氏は2018年12月にペラ州FA会長に就任していましたが、今回の辞任については(州首相で亡くなった)自分が会長の座にいることで民間企業、政府系企業を問わずペラ州FAはスポンサーの獲得が困難になっており、自分が辞任することがペラ州FAの経営危機を解消する唯一の方法であると話しています。
 「選手やスタッフへの給料支払いは11月半ばから滞っており、その総額は既に200万リンギ(およそ5140万円)に及んでいる。自分ん辞任によりペラ州FAがペラ州政府や政府系企業からの支援を受け、選手や家族が生活できるようにすることが最も重要である。」と話すアフマド・ファイザル氏は「この(給料未払いの)状況が続けば、選手が他のクラブへの移籍を考える心配もあることから速やかに辞任することを決意した。」とも述べています。
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 政敵で行使されるペラ州政府は、アフマド・ファイザル氏が会長の座に留まる限り、ペラ州FAの支援を行うつもりは一切ない、といわばサッカーを人質に取ったような噂も出ていましたが、マラッカ州、クダ州に続き、ここでも政権交代でプロクラブがとばっちりを受けると言う、政治とサッカーが歪な形で結びついているマレーシアサッカーの暗部が露呈した格好です。そのためにもMリーグクラブの民営化が正しく機能することに期待したいです。

トレンガヌFCとヤクルトマレーシアがスポンサー契約締結
 Mリーグ1部のトレンガヌFCは公式Facebook上で、ヤクルトマレーシア社とのスポンサー契約締結を発表しています。
 昨日1月21日にトレンガヌFCを運営するTFC社で行われた調印式には、TFC社のラシド・ジュソCEOとヤクルトマレーシア社の濱田浩志社長が出席し、38万リンギ(およそ977万円)相当の支援と草の根レベルでのサッカー振興についての協力をトレンガヌFCと行っていくことを発表しています。
 支援先としてトレンガヌFCを選んだ理由を問われた濱田社長は、昨季はMリーグ3位の成績を収めて今季のAFCカップ出場権を獲得したことからもトレンガヌFCは質の高いチームであることがわかるが、そのチームがAFCカップでも好成績を収めるという目標の達成をヤクルトマレーシアとして協力したいと話しています。
(写真はトレンガヌFCの公式Facebookより)