10月10日のニュース:速報 FIFAワールドカップアジア二次予選 マレーシア0-1ベトナム

FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼2023年AFC選手権アジアカップ予選のベトナム対マレーシアが10月10日にハノイのミーディンスタジアムで行われ、ベトナムが40分にグエン・クアン・ハイのゴールで挙げた1点を守り切り、1ー0でマレーシアに勝利しています。

 この日のスターティングXIは、前回のUAE戦の先発メンバーからは、ケガからの回復が思わしくないMFノー・アザム・アジー(パハンFA)と守備にやや不安のあるDFアダム・ノー・アズリン(JDT)に代わってそれぞれMFハリム・サアリ(スランゴールFA)とDFザフアン・アイディルが入った以外は変更なし。好調のシャフィク・アーマド(JDT)がワントップのノーシャルル・イドラン・タラハの後ろに控える4-4-1-1とこれまで通りの布陣で試合に臨みました。
 仕事の都合で後半しか見られなかったのですが、後半は自陣でプレーする時間が長く、パスも横や後ろへのものが多く、ボールポゼッションでベトナムを上回っていたようですが、チャンスらしいチャンスはなし。予選が始まってから好調が続くMFシャフィク・アーマド(JDT)も、下がってボールをもらう機会が目立ちました。MFムハマドゥ・スマレ(パハンFA)、MFサファウィ・ラシド(JDT)もチャンスを作れず、後半だけで見れば、強いチームが単純に勝ったように見えました。
 前半はダイジェスト映像で見ましたが、ゴールのシーンはDFシャルル・サアドがまたもや相手FWを追いかけるような位置どりで、これまでと同じように相手の実力というよりはミスでの失点だったように素人目には見えました。
 またMF陣もベトナムの速いプレスに思うようなパスが出せず、焦って出したパスは相手に渡るなど精度が低いボールが多く、FW陣チャンスを作ることができませんでした。
 ここまでの予選2試合は期待が持てるような試合をしたマレーシア代表だっただけに、今回の敗戦はFIFAランキングを順当に反映した結果のように思えました。
 この敗戦でマレーシアは1勝2敗の勝点3、ベトナムは1勝1分の勝点4、タイも1勝1分の勝点4となっています。この他、UAEが1勝で勝点3、インドネシアは2敗で勝点0となっていますが、この両チームは本日この後、UAEのホームで対戦します。
(下はこの日のマレーシアのスターティングXI。マレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

10月10日のニュース:MFL2部に3つ目のBチーム誕生は茶番だ、ベトナム戦を前に-練習場で一触即発、ベトナム戦を前に-最近の対戦成績をおさらい、FIFAによるインドネシア連盟への制裁が発表

MFL2部に3つ目のBチーム誕生は茶番だ
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版はアジトパル・シン記者の署名入り記事として、マレーシアフットボールリーグMFL2部に3つ目のBチームが誕生することに警鐘を鳴らしています。
 先日もこのブログで取り上げましたが、MFL1部所属のスランゴールFAを運営するスランゴール州サッカー協会の臨時総会席上で、同じMFL1部所属のPKNS FCをスランゴールFAのBチーム化する案を満場一致で可決しました。PKNS FCからMFLに対しては来季2020年のリーグ戦をBチームと参加することの申請はまだ出ていないようですが、MFLは内諾を与えていると言われています。
 同一クラブが同じリーグでプレーすることができないMFLの規定により、PKNS FCはBチーム化が確定した時点で、今季2019年MFL1部スーパーリーグで9位だったにもかかわらず、MFL2部プレミアリーグへ降格となります。これによりMFL2部は、JDT II、トレンガヌFC II、PKNS FCと昇格権を持たないBチームが3クラブと、予算上の問題から1部昇格を望んでいないとされる大学を母体とするUITM FCとUKM FCの2クラブ、つまりMFL2部12クラブ中の5クラブが1部を目指さない状況となります。
 さらにPKNS FCと同様に州政府関連機関であるペラ州開発公社を母体とするPKNP FCにも、同じペラ州を拠点とするペラTBGのBチーム化の噂もあり、この通りであればMFL2部は所属クラブの半数が1部昇格を目座なしクラブで占められることになります。
 スランゴール州サッカー協会が先日発表した声明では、スランゴール州を拠点とするスランゴールFA、PKNS FC、スランゴール・ユナイテッドを統合する案はこれまでも何度か浮上したものの、様々な障害があり実現しなかったとしています。3つのクラブの運営資金は合計で4400万リンギ(およそ11億3000万円)ながら、結果を出しているのは、MFL1部3位、マレーシアカップ でも準決勝に残っているスランゴールFAだけであるとし、今回の統合では1600万リンギ(およそ4億1000万円)が節約できるだけでなく、スポンサー獲得や入場料収入などでも統合による利点は多いとしています。
 またBチームはスランゴールFAのプレジデントカップチーム(u21チームを対象としたリーグ参加チーム)に所属できなくなる22歳以上の選手がAチーム入りするための育成の場としたいとしています。
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 MFL2部で今季5位だったUITM FCや9位だったスランゴール・ユナイテッド、さらにMFL3部にあたるM3所属のスランゴール州内クラブなど、プレジデントカップを卒業した選手がプレーできるようなBチームとしてスランゴールFAが活用できるクラブは他にあるにもかかわらず、スランゴールFAがPKNS FCのBチーム化にこだわるのは、PKNS FCに提供されている運営資金にあると言われています。個人的にはまずスランゴール・ユナイテッドとの統合を考える方が先だと思うのですが、育成云々よりも単純に運営資金を増やしてJDTに負けない補強したい、と言う考えがあるのだと思います。また、PKNS FCは以下のような意味深な写真をFacebookにアップしています。

ベトナム戦を前に-練習場で一触即発
 本日10月10日はFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼アジアサッカー連盟AFC選手権2023年大会予選のベトナム対マレーシアがハノイのミーディンスタジアムで行われますが、英字紙ニューストレイトタイムズによると、同じ練習会場を割り当てられたマレーシア代表とベトナム代表が一触即発になったと伝えています。
 ベトナムサッカー連盟VFFユーストレーニングセンターを練習会場として割り当てられたマレーシア代表は、練習開始時間とされた午後6時より前の5時45分に到着したところ、練習中だったベトナム代表のパク・ハンソ監督がこれに気づき、マレーシア代表のタン・チェンホー監督とチームに6時までバスから降りずに、フィールドが見えない離れたところでで待つように依頼したそうです。その後マレーシアの選手たちが着替えを行う間、タン監督はベトナム代表の練習を見続けたため、腹を立てたパク監督は練習を終了時間前に切り上げ、別の場所へ移動して続けたとのことです。
 また、試合前日の記者会見では、過去の対戦成績は関係なく当日の試合に集中したいと語ったパク監督は、100%勝利するとは言えないが全力を尽くすと語ったそうです。では、過去の対戦成績とはどうなっているのかを次の記事で紹介します。

ベトナム戦を前に-最近の対戦成績をおさらい
 マレーシアとベトナムは、昨年2018年の東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップの決勝で対戦していますが、FIFAワールドカップ予選やAFC選手権アジアカップ予選で対戦するのは、実は今回が初めてです。
 両チームの対戦成績は下のインフォグラフィックの通り、1991年からの19試合ではベトナムの11勝3分5敗で、マレーシアがベトナムを最後に破ったのは2014年12月11日のAFF選手権スズキカップの準決勝まで遡らなければなりません。なおこの試合は今回の試合と同じミーディンスタジアムで開催され、現在の代表チームにも所属するFWノーシャルル・イドラン・タラハのゴールを含めた4-2で快勝しています。しかし、マレーシアがベトナムを敵地で破ったのはこの1度きり。残りの4勝は全てマレーシアのホームゲームでした。
 また昨年末のAFF選手権スズキカップでは、グループステージで0-2で敗れ、マレーシアのホーム、ブキ・ジャリル国立競技場で行われた決勝第1戦は2-2の引き分け、ベトナムのホームゲームとなった決勝第2戦は0-1で敗れています。
 ベトナムと対戦したスズキカップ決勝第2戦のメンバーからは、半数近い選手が入れ替わっています。参考までのスズキカップ決勝第2戦のスターティングXIと、2019年9月10日のワールドカップ予選のスターティングXIを併記しておきます。
<2018年12月15日スズキカップ決勝第2戦の先発メンバー>
*太字はUAE戦にも先発したメンバーです。
GK:ファリザル・マーリアス(JDT)
DF:シャミ・サファリ(スランゴールFA)、アイディル・ザフアン(JDT)、シャルル・サアド(ペラFA)、シャズワン・アンディック(JDT)
MF:モハマドゥ・スマレ(パハンFA)、シャマール・クティ・アッバ(JDT)、アクラム・マヒナン(PKNS FC)、サファウィ・ラシド(JDT)、ザクアン・アドハ(クダFA)
FW:ノーシャルル・イドラン・タラハ(パハンFA)
<2019年9月10日WCアジア二次予選UAE戦の先発メンバー>
GK:ファリザル・マーリアス(JDT)
DF:マシュー・デイヴィーズ(パハンFA)、シャルル・サアド(ペラFA)、アダム・ノー・アズリン(JDT)、ラヴェル・コービン=オング(JDT)
MF:モハマドゥ・スマレ(パハンFA)、ブレンダン・ガン(ペラTBG)、ノー・アザム・アジー(パハンFA)、サファウィ・ラシド(JDT)、シャフィク・アーマド(JDT)
FW:ノーシャルル・イドラン・タラハ(パハンFA)
(下のインフォグラフィックはマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

FIFAによるインドネシア連盟への制裁が発表
 9月5日にジャカルタで行われたFIFAワールドカップアジア二次予選の対インドネシア戦では、マレーシアサポーターは投石されてケガをした方が出たり、試合後にマレーシア代表は警察の装甲車両でホテルへ戻るなど騒乱状態となり、マレーシアサッカー協会FAMはFIFAとアジアサッカー連盟AFCへ正式に抗議する事態に発展しました。
 マレーシアの通信社ベルナマのポータルサイトによると、FIFAからの裁定が発表され、インドネシアサッカー協会PSSIに対しては4万5000スイスフラン(およそ490万円)の罰金が課せられました。またこれを受けてPSSIのラトゥ・ティシャ・デストリア事務局長はこの裁定を受け入れ、課せられた罰金を支払うことを発表しています。
 また同様の事態を避けるために、10月15日に予定されている同じワールドカップ予選の対ベトナム代表戦の会場はジャカルタからバリへ変更されています。

10月8日のニュース:マレーシアカップ準決勝クダFAのホームゲームオンライン販売分は既に売り切れ、ベトナム戦試合会場は30以上の防犯カメラで監視

マレーシアカップ準決勝クダFAのオンライン販売分は既に売り切れ
 マレーシアカップ準決勝第1戦となる10月19日のクダFA対パハンFAは、クダFAのホーム、クダ州アロースターのダルル・アマンスタジアムで開催されますが、オンライン販売分はすでに売り切れたことが、クダFAのFacebookで告知されています。
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式スポンサーでもあり、もう一つのカップ戦FAカップの冠スポンサーでもあるシンガポールのネット通販サイトShopee(ショッピー)は、MFLやFAカップ、マレーシアカップのチケットを販売していますが、今季は開幕当初から「チケット1枚購入につき1枚無料」キャンペーンを行なっていますが、今回はその結果2000枚プラス2000枚の計4000枚があっという間に売れてしまったようです。絶対に売れるチケットなのにこんなキャンペーンを継続するとは太っ腹なのか、商売下手なのかはわかりませんが…。
 なお残りのチケットは試合前日の10月18日に試合会場となるダルル・アマンスタジアムのカウンターで販売が行われるようです。
 ちなみに、英語では飛ぶように売れることを”like a hot cake”「パンケーキのように」(売れる)と言いますが、このチケット騒動を取り上げた記事を読んで、マレーシア語では同様のことを”macam goreng pisang panas”と言うのを初めて知りました。macam(マチャム)は「〜のように」、goreng(ゴレン)はナシゴレンのゴレンで「炒める、揚げる」、pisang(ピサン)は「バナナ」、panas(パナス)は「熱い・暑い」なので「熱々のバナナフリッターのように」(売れる)となりますが、確かに揚げたてのゴレンピサンは外側がカリッ、中がトロリと美味しいので納得です。(オンライン販売終了を伝えるクダFAのFacebookでの告知)

ベトナム戦試合会場は30以上の防犯カメラで監視
 FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選グループGのベトナム対マレーシアは10月10日に行われますが、その会場となるハノイのミーディン国立競技場には30代以上の防犯カメラが設置されているとマレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 スタジアム管理会社の話として、2017年から設置されているこれらの防犯カメラは、サポーター同士のトラブルなどの問題が発生する前に対応できるようになっており、挙動不審者や、発煙筒や爆竹の投げ込みなどをカメラが捉えた場合には保安要員が現場に直行できる体制を取っているとしています。
 また入場前には警察によるボディチェックを行なわれ、来場者の安全確保に最大の注意を払っている点をスタジアム管理会社は強調しています。
 3-2と勝利したジャカルタでのインドネシア戦では、マレーシアサポーターはインドネシアサポーターの投石などでケガ人を出し、マレーシア代表自体も警察の装甲車両でスタジアムから宿舎まで移動せざるを得なくなるなどの事態を経験しています。特に今回はFIFAランキング99位のベトナム対158位のマレーシアながら、接戦が予想されるだけに、万が一マレーシアが敵地で勝つようなことがあれば、試合後は大荒れになることも予想されます。

10月7日のニュース:マラッカU監督の去就は未定、インドネシアはWC予選をバリで開催、チャナティップはケガのためUAE戦回避か

マラッカU監督の去就は未定
 今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFLでは6位に終わったマラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAが今月10月末に開催する会合の席でザイナル・アビディン監督の去就を決めるようです。
 マレー語紙ブリタハリアン電子版によると、MUSAのファルハン・イブラヒム事務局長の談話として、来月11月末に契約切れとなるザイナル監督の今後については、マラッカ州知事でもあるアドリ・ザハリMUSA会長が決定するとしています。
 ファルハン事務局長は、ザハリ会長が今季6位という結果に満足しているものの、最終的な決定は今月末の会合で下されるとしています。
 またザイナル監督もここまでMUSAとの契約更新に関する話し合いなどは行われていないと話しており、来季については全くの白紙のようです。
 今季は給料未払い問題が何度か浮上し、先日のマレーシアカップ準々決勝では、試合直前にシュコール・アダン主将が、過去数カ月の給料未払いを理由に試合への出場を拒否、またマレーシアサッカー協会も来季2019年のクラブライセンスについて条件付きで交付するなど、チームを取り巻く環境は決して良くはありません。

インドネシアはWC予選をバリで開催
 アジアサッカー連盟AFCのホームページでは、インドネシアサッカー協会PSSIによるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選の試合会場変更要請を受けたAFCは、インドネシア代表のホーム次戦をバリ島で開催することを了承したことを告知しています。インドネシアは今回のワールドカップアジア二次予選ではマレーシアと同組になっています。
 この結果、10月15日に予定されているベトナム代表との対戦は、当初予定されていたジャカルタのゲロラ・ブン・カルノGBKスタジアムからバリ島に本拠地を持つバリ・ユナイテッドのホーム、キャプテン・I・ワヤン・ディプタスタジアムへ移されます。
 9月5日にGBKスタジアムで行われたマレーシア代表との対戦では、観客の乱入しで試合が一時中断したほか、訪れたマレーシアサポーターがインドネシアサポーターから投石などでケガをしたほか、試合後にはマレーシア代表が警察の装甲車両に乗車して宿舎へ戻るなどなどの混乱が発生し、マレーシアサッカー協会FAMは国際サッカー連盟FIFAとAFCに公式に文書による告発を行う事態に発展しています。

チャナティップはケガのためUAE戦回避
 タイ代表のチャナティップ・ソングラシンが、10月15日に予定されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選のアラブ首長国UAE戦の招集をケガの辞退したことが所属先のJ1コンサドーレ札幌のホームページで伝えられています。タイは今回のワールドカップアジア二次予選ではマレーシアと同組になっています。
 現在、予選グループGの首位をいくタイは、ここまでベトナムと引き分け、インドネシアに勝利しています。
 タイの英字紙バンコクポスト電子版によると、チームドクターは完治まで2、3週間が必要と述べているとのことで、所属クラブの札幌もタイへの移動による悪化を懸念して、札幌での静養を求めたということです。
 タイ代表は同じく日本でプレーするMFティティパン・プアンチャン(大分トリニータ)、MFピーラドン・チャムラツァミー(サムットプラーカーン・シティFC)の両選手がベトナム代表戦によるケガで招集されず、DFトリスタン・ドゥ(バンコク・ユナイテッドFC)もケガのため招集を辞退しています。
 チームの調子もさることながらが、やはり怖いのは主力選手のケガ。現マレーシア代表で言えば、絶好調のシャフィク・アーマド、サファウィ・ラシド、ブレンダン・ガン、マシュー・デイヴィーズ辺りがケガを負うと代わりがいないので、とにかくケガには気をつけていただきたいです。

10月6日のニュース:U18中東遠征メンバー発表、MFLは来季のコーチングライセンス資格厳格化や変更点を発表

U18中東遠征メンバー発表
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、本日10月6日から18日まで行われるU18代表の中東遠征参加メンバーを発表しています。アラブ首長国連邦UAEのドバイで行われる合宿では、UAEのU18代表との練習試合2試合も予定されています。
 今回の合宿は、11月2日から10日にかけてカンボジアのプノンペンで開催されるアジアサッカー連盟AFC U16選手権予選グループGへの準備として行われるもので、マレーシアは開催国カンボジアの他、タイ、ブルネイ、北マリアナ諸島と同組となっています。
 今回の中東遠征の参加メンバーはこちらです。

MFLは来季のコーチングライセンス資格厳格化や変更点を発表’
 マレーシアフットボールリーグMFLとしては17年目を迎える来季2020年シーズンに向けて、MFLは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグのコーチングライセンスの厳格化を含む複数の変更点をホームページで公表しています。
 これによるとMFLに所属するクラブのコーチとなるためにはコーチングBライセンス以上を保持していることが条件となります。またゴールキーパーコーチについてはやはりコーチングBライセンスとレベル2のゴールキーパーコーチングライセンス以上の資格が必要になります。
 また各クラブのフィジオセラピストについても、マレーシアフィジオセラピスト協会に所属する者のみがクラブ帯同を許されることになっています。
 また同一クラブのAチームとBチーム間のシーズン中の選手の移籍に関しては、今季2019年まではトランスファーウィンドウ期間外であっても年間5名まで許されていたものが、来季2020年からはトランスファーウィンドウ期間外は移籍不可となります。(2019.10.10に訂正しました。)
 この他、MFL2部プレミアリーグの各クラブは4名の外国籍選手との契約が可能となり、その内3名は制限なし、1名はアジアサッカー連盟AFCあるいは東南アジアサッカー連盟AFF加盟国の選手であることが条件となっています。


 

観戦記:10月5日国際親善試合マレーシア代表対スリランカ代表@ブキ・ジャリル国立競技場

10月10日にFIFAワールドカップのアジア予選ベトナム代表戦を控えるマレーシア代表は、10月5日にスリランカ代表と国際親善試合を行いました。試合会場はクアラルンプールのブキ・ジャリル競技場、相手はスリランカ代表です。

この日は会場周辺が大渋滞。8時45分キックオフの試合でしたが、到着したのは試合開始から15分以上も遅れてしまいました。しかも、その時点で既にマレーシアが3-0とリードしていました。

座席は前から4列目とピッチに近く、選手の表情もよく見えました。でも、ピッチ全体を見渡すには近すぎる印象でした。

試合は3-0のまま前半終了。この時点で実力差は明らかでしたので、試合の興味はケガ人続出の状況で、主力にとって代わる選手がいるかどうかに移りました。

ハームタイムはスタジアム内の出店をチェック。飲食物については今回はフードトラックを構内に入れての販売でした。まずは飲み物編。マレーシアでは大人もよく飲むミロやスイカのジュースを売る店。

ココナツウォーターやサトウキビジュース、ココナツウォーターにココナツアイスクリームとココナツの果肉をブレンドしたココナツシェイクを売る店。

どぎつい黄色はマンゴーのジュース。店員はマレーシア代表のジャージを着ています。

シーココナツ(和名はオオミヤシ)と呼ばれるココナツの一種を使った飲み物を売る店。シーココナツ自体は甘みが強くないので、砂糖などで味付けされることが多いですが、ゼリー状の果肉の食感が楽しめます。

食べ物編。ケバブはマレーシアでも一般的です。

スタジアム内ながらご飯とおかずのセットを販売する店。鶏肉、牛肉、イカ、エビなどを揚げたものがメニューに並んでいます。

スタジアムの食べ物として一般的なのは、このソーセージやチキンナゲット、フィッシュボールなどを揚げたもの。これにチリソースなどをつけて食べます。

ミーゴレン(焼きそば)、ミーフンゴレン(焼きビーフン)、ナシゴレン(チャーハン)やナシルマ(ココナツミルクで炊いたご飯)なども並んでいます。

もう一つの定番が「ラムリーバーガー」。ビーフとチキンがあります。値段は1つ2リンギから3リンギ(50円から75円)。決して美味しいわけではないですが、これを食べると「スタジアムに来た」感が増します。

ちなみにバーガーはこんな感じです。

一番行列が長かったのはこのフライドチキンの店。イスラム教徒が人口の7割以上を占めるマレーシアでは、人種、宗教に関わらず食べられる鶏肉料理に人気があります。

揚げ物が大好きなマレーシア人に人気があるのがクロポ。魚のすり身を揚げたものでエビせんべいのようにカリカリに揚げたものと、厚めのものを揚げてモチモチ感を残したものとがあります。ここは小エビの唐揚げも売っています。

ちなみにこの日は2階席も解放されていたので、パノラマで撮ってみました。8万7000人終了のブキ・ジャリル国立競技場ですが、この日の発表では観衆は7,293人でした。

試合は後半にマレーシア代表が3点を追加して終了。ここまでのWC予選2試合で2ゴールと好調のシャフィク・アーマド(JDT)が、この試合ではハットトリックを達成しました。
 しかしその一方で、ケガを抱えるMFムハマドゥ・スマレ(パハンFA、1試合出場停止処分中)に代わってフル代表初スタメンとなったMFアキヤ・ラシド(JDT)はやはり1試合通して走り回る体力がないこと、ベトナム戦はケガのため出場が危ぶまれているMFノー・アザム・アジーに代わって出場したMFアクラム・マヒナン(PKNS FC)はあまり機能しないこと、不安定な守備陣立て直しのために招集されたDFアイディル・ザフアン(JDT)が加わっても、ディフェンスラインは1試合を通して安定するわけではないこと、といった課題が目につき、素人目線ですが、勝利によるモチベーション向上を除けば、ベトナム戦の準備としてはメリットがない試合に感じました。

試合終了後、スタジアムの外に出るとどう考えてもサッカー帰りとは思えない若者がたくさん歩いていました。そこで見つけたのがこの屋台。ショーン・メンデスというカナダの歌手のコンサートが国立競技場に隣接する屋内競技場で開催されていました。スタジアム周辺の渋滞は代表選ではなく、このコンサートでした。

10月4日のニュース:UKM FCは初タイトルを目指してチャレンジャーカップ決勝に臨む、スリランカ戦はスタメンに新戦力起用か、WCのアセアン開催立候補に向けタイが作業部会を設立

UKM FCは初タイトルを目指してチャレンジャーカップ決勝に臨む
 マレーシアフットボールリーグMFL2部で今季2019年は8位に終わったUKM FCは、マレーシア国立大学Universiti Kebangsaan Malaysiaの学生が主体のクラブチームで、2部プレミアリーグ昇格1年目の昨季は12チーム中7位と健闘しただけでなく、昨年第1回開催となったチャレンジャーカップ(マレーシアカップに出場しないMFL1部と2部のクラブを対象としたカップ戦)で決勝まで進出しています。その決勝ではトレンガヌFCのBチームであるトレンガヌFC IIに第1戦と第2戦の通算で4-2で敗れましたが、そのUKM FCは今季2019年も再びチャレンジャーカップ決勝戦に進出しています。
 7クラブが出場する今季のチャレンジャーカップのグループステージでUKM FCは、MFL1部12位のクアラルンプールKLFA、同2部4位のトレンガヌFC II、同2部9位のスランゴール・ユナイテッドと同組になり、3勝3分0敗と堂々のグループ首位で準決勝に進出しました。準決勝ではグループA2位のサラワクFAを第1戦と第2戦の通算成績7−1で撃破し、決勝の相手はMFL1部のジョホール・ダルル・タクジムJDTのBチームでMFL2部2位のJDT IIとなっています。
 UKM FCは、この大会ここまでの8試合で5ゴールを挙げているクロアチア出身のFWマテオ・ロスカムと同じく6ゴールのイラン出身のMFミラド・ザニドプール対今大会6試合で4失点のJDT II守備陣との戦いになりそうです。
 なおチャレンジャーカップ決勝第1戦はJDT IIのホーム、ジョホール州ジョホールバルのパシル・グダンスタジアムで10月4日に、第2戦はUKM FCのホーム、KLフットボールスタジアムで10月12日に開催されます。ちなみにUKM FCのスライマン・フサイン監督は、アジアサッカー連盟AFCのプロライセンスコース参加のため日本滞在中とのことで、10月4日の試合はジュザイリ・サミオン アシスタントコーチが指揮を取るようです。

スリランカ戦はスタメンに新戦力起用か
 9月30日から始まっているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選ベトナム戦へ向けた代表候補合宿には、DFシャルル・サアド、MFブレンダン・ガン、MFパルティバン・ジャナセカラン(以上ペラTBG)、MFノー・アザム・アジー(パハンFA)、ダニエル・アミル・ノーヒシャム(フェルダU)、アブドル・ハリム・サアリ(スランゴールFA)ら候補選手が初日からケガを抱えたまま合流していますが、このうちアザム選手は9月10日のWC予選対UAE戦で蹴られた足首の腫れが引かないとして、10月10日のベトナム戦ではなく、いずれもホームでの試合となる11月14日のタイ戦、同19日のインドネシア戦に間に合うように治療を進めていくと述べていると英字紙スター電子版が伝えています。
 また数日前にはペラのFWシャレル・フィクリが練習中に鼠蹊(けいそ)部を痛めるなど、主力選手にケガ人が多く出ていることから、タン・チェンホー監督は通常は試合に出る機会のない選手にチャンスを与えることを明言しています。なかでも今回久しぶりの招集となったJDTのDFアイディル・ザフアン・ラザクへの期待が高いようで、明日10月5日に予定されているスリランカとの国際親善試合前の記者会見には、キャプテンのGKファイザル・マーリアス(JDT)ではなく、アイディル選手が列席しています。(写真は左からスリランカ代表のカヴィンドゥ・イシャン首相、ニザム・パッキール・アリ監督、マレーシダ代表のタン監督、アイディル選手。FAMのFacebookより)
*10月5日修正:英字紙ニューストレイトタイムズ電子版の報道によると、スリランカとの国際親善試合では、今回の代表候補合宿参加選手中最多のキャップ数82のアイディル選手がキャプテンを務めるようです。)

WCのアセアン開催立候補に向けタイが作業部会を設立
 マレーシアの通信社ベルナマのポータルサイトによると、2034年のFIFAワールドカップの東南アジア諸国連合ASEAN共催を目指して、国内に作業部会を設立したことをタイの観光・スポーツ省のピパット・ラチャキットプラカン大臣が発表しています。
 そもそもは今年6月にタイのバンコクで開かれたアセアンサミットの席上でタイのプラユット・チャンオチャ首相がぶちあげたこの計画は、タイ国内では観光・スポーツ省主導で進められるようです。
 また同じ記事の中で、タイ国スポーツ局SATのコンサック・ヨドマニー局長の談話として、現在タイ国内にはFIFAの規格に合うピッチを持つスタジアムがないものの、バンコクのラジャマンガラ国立競技場やチェンマイの700周年記念スタジアム、ナコーンラーチャシーマー県のタイ国王80歳記念スタジアムなど既存のスタジアムの改修する他、2026年のユースオリンピック開催への立候補に合わせて建設されるチョンブリの新スタジアムなども試合会場候補になっているようです。

10月1日のニュース:PKNS FC U21がプレジデントカップ優勝、WC予選第3戦へむけてフル代表候補合宿始まる、U19代表は中東遠征を予定

PKNS FCがプレジデントカップ優勝
 先日紹介したユースカップに続いて、U21チームが争うプレジデントカップの決勝第2戦が行われ、PKNS FC U21は0-1でペラTBG U21に敗れたものの、第1戦の結果と合わせて通算2-1で初優勝を遂げています。
 プレジデントカップ(マレーシア語ではPiala Presiden)は、マレーシアサッカーリーグMFL1部の12クラブと、2部のUKM FC、JDT II、トレンガヌFC IIを除く9クラブのU21チームに加え、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府の青年スポーツ省が共同運営する国家サッカー選手養成プログラムの中核をなすモクター・ダハリアカデミーAMD U17チームとマレーシア国軍ATM FC U21チームの合計23チームが参加する育成リーグです。
 参加チームはグループA(11チーム)、グループB(12チーム)の二つのグループに別れて、ホームアンドアウェイで対戦し、それぞれのグループの上位4チームが準々決勝に進出し、さらにホームアンドアウェイで準々決勝、準決勝、決勝を戦います。
 今季2019年のプレジデントカップは、2月の開幕直後にプルリスFAが出場停止処分となったため、グループAは10チーム、グループBは12チームとなり、準々決勝にはグループAは1位JDT III、以下プタリンジャヤPJシティU21、スランゴールFA U21、UTIM U21が、グループBは1位ペラTBG U21、PKNS FC U21、トレンガヌFCIII、PKNP FC U21がノックアウトステージに進出しました。
 そこから決勝に進んだのはグループBの第1位ペラTBG U21と同2位のPKNS FC U21でした。PKNS FCのホームで開催された決勝第1戦はDFシヴァン・ピレイ・アソカンとMFアディブ・ハキミ・サブリのゴールでPKNS FC U21が2-0と勝利し、9月30日にペラTBG U21のホームで行われた第2戦はペラTBG U21が、FWムハマド・ユソフ・アブドゥラのゴールで1-0と勝利するも、通算成績を2-1としたPKNS FC U21が初優勝を遂げています。
 来季はスランゴールFAのBチーム化が噂されているPKNS FCですが、U19対象のユースカップ準優勝、そしてU21対象のプレジデントカップ優勝と「育成のPKNS FC」の看板は伊達ではないことを証明しました。(以下は決勝の両チームの先発XIと優勝を祝うPKNS FC U21。いずれもFAMのFacebookより。)

WC予選第3戦へむけてフル代表候補合宿始まる
 FIFAワールドカップアジア二次予選へ向けて9月30日から始まったフル代表候補合宿ですが、MFL2部のサバFAのMFモハマド・アジザン・ノーディンが追加招集されたとマレー語紙ウトゥサン・マレーシアの電子版が伝えています。マレーシアカップの準々決勝マラッカ・ユナイテッド戦で足首を負傷したパハンFAのMFノー・アザム・アブドゥル・アジーの回復が遅れていることによる追加招集のようで、ノー・アザム選手は代表に帯同するようです。ここまでの予選2試合ではいずれもスタメンでフル出場しているノー・アザム選手の回復が10月15日にハノイで行われるベトナム代表戦に間に合わないとすると、マレーシア代表にとっては痛手になりそうです。
 マレーシア代表のタン・チェンホー監督は、ノー・アザム選手の他にペラTBGのMFパルティバン・ジャナセカラン、MFブレンダン・ガン、DFシャルル・モハマド・サアドとスランゴールFAのMFアブドゥル・ハリム・サアリもケガを負っていると述べており、10月5に予定されているスリランカとの国際親善試合では、代わりとなる選手を含めて数名の選手や、今回追加招集されたJDTのDFモハマド・アイディル・ザフアン・アブドゥル・ラザクやスランゴールFAのGKモハマド・カイルルアズハン・モハマド・カリドをテストしたいと述べています。

U19代表は中東遠征を予定
 11月にアジアサッカー連盟AFC U19選手権予選が控えるU19代表は中東遠征を予定していると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 今年2019年8月に行われた東南アジアサッカー連盟AFF U19選手権では、決勝でオーストラリアに0-1で敗れて連覇を逃したマレーシアですが、11月2日からカンボジアで開催されるAFC U19選手権への準備として、アラブ首長国連邦UAEでの10から12日間ほどの遠征と現地での練習試合を予定していることが報じられています。
 最近は収まってきてはいるものの、9月の間は隣国インドネシアでの焼畑による煙害が酷く、当地では学校が休校に追い込まれるほどで、サッカーなど屋外で運動する場合には健康に支障を及ぼすとされるレベルでしたので、そういった心配のない地域への遠征は理にかなっていると思われます。
 なお、マレーシアはAFC U19選手権予選ではグループGに入り、開催国カンボジアあのほか、タイ、ブルネイ、北マリアナ諸島と同組となっています。


 

9月28日から29日のニュース:スランゴールFAのGKがフル代表に招集、WC予選のベトナム戦のチケット1500枚が販売開始、かつての名選手チャンダラン選手が逝去

スランゴールFAのGKがフル代表に招集
 マレーシアサッカー協会FAMのFacebookでは、9月30日から始まる代表候補合宿に、スランゴールFAのGKカイルルアズハン・カリド(29)が、クダFAのGKイフワット・アクマル・チェ・カシム(23)に代わって招集されたことを告知しています。
 イフワット選手は9月25日に行われたマレーシアカップ 準々決勝第1戦のPKNP FC戦には出場したものの、体調が悪そうなそぶりを見せていたことから、今回の交代となったようです。
 カイルルアズハン選手は、MFL開幕時は控えGKとしてスタートしましたが、5月18日に行われたマレーシアフットボールリーグMFL1部第14節で正GKファリザル・ハルンが対戦相手のPKNP FCの選手を殴り、5試合の出場停止処分となって以降、スランゴールFAの正GKに定着しています。(写真はFAMのFacebookより)

WC予選のベトナム戦のチケット1500枚が販売開始
 同じくFAMのホームページでは、FIFAワールドカップアジア二次予選グループGのマレーシア対ベトナム戦のチケットを販売について告知しています。
 マレーシアにとっては予選3試合目となるこの試合は、10月5日にハノイのミーディン国立競技場で行われますが、マレーシアサポーター向けのチケット1500枚がFAMを通じて販売されるようです。10月2日の午後11時59分まで販売されるチケットは40マレーシアリンギ(約1030円)でマレーシア人サポーターのみ購入可能となっており、10月9日からハノイでの受け取りが可能となりますが、ベトナム人サポーターが購入した場合には引き渡しは行われないことが警告されています。(写真はFAMのFacebookに掲載されたベトナム戦のチケット購入方法の告知)

かつての名選手チャンダラン選手が逝去
 1972年のミュンヘンオリンピックにサッカーマレーシア代表が出場した際に主将を務めたM・チャンダランが9月28日に逝去したことを英字紙スター電子版が伝えています。享年77歳でした。
 アジア予選では日本を破ってミュンヘンオリンピックの出場権を獲得したマレーシア代表で活躍したチャンダラン氏は、1974年のアジア競技大会でのマレーシア代表の銅メダル獲得にも貢献しています。(マレーシア代表は1980年にもアジア予選を勝ち上がってモスクワオリンピックへの出場権を獲得していますが、アフガニスタン侵攻に抗議する形で出場を辞退していますので、実際にオリンピックにサッカーマレーシア代表が出場したのは1972年大会だけです。)
 DF(センターバック)としてマレーシア代表では1968年から1974年まで、やはり主将を務めたスランゴールFAでは1975年までプレーしたチャンダラン氏は、スランゴールFAとマレーシア代表でも監督を務めています。
 チャンダラン氏は15年以上にわたってパーキンソン病を患っていたということですが、故人のご冥福をお祈りします。(写真はFAMのFacebookに掲載されたチャンダラン氏の逝去を伝える告知)

9月26日のニュース:MFLは11月をめどに未払い助成金支給、来季の助成金は減額の可能性も、香港での国際親善試合は中止に、ペナンFAのFIFA提訴をCASが仲裁へ

MFLは11月をめどに未払い助成金を支給
 マレーシアの通信社ベルナマによるニュースポータルサイトによると、マレーシアフットボールリーグMFLのダト・モハマド・ユソフ・マハディ役員は、MFLから所属各クラブへ支払う予定の助成金の未払い分について、11月末までには全額払えるだろうと発言しています。
 MFL1部スーパーリーグ所属クラブには300万リンギ(約7700万円)、2部プレミアリーグ所属クラブには100万リンギ(約2600万円)の助成金が支給されることになっていますが、ここまで各クラブに対してはその半額しか支給されていません。7月半ばに支給された際には、残りの助成金は8月末までに支給することを約束していましたが、実現していませんでした。
 今年1月にマレーシア最大の電気通信会社テレコム・マレーシア社がリーグ戦とマレーシアカップ の冠スポンサーとしてMFLと結んでいた8年間で4億8000万リンギ(約123億円)の大型契約を破棄したことから、MFLの財政が厳しくなっていることはこれまでも報じられていましたが、その影響はまだ続いているようです。
 約束された助成金を期限までに支給できないリーグと、選手に対して未払い給料を抱えるクラブ。しかも両者ともその遅れに対して正当な理由があるかのように振る舞っています。ここにマレーシアサッカーの根本的な問題があるのかもしれません。

来季の助成金は減額の可能性も
 上の記事に関連する内容で、MFLのダト・モハマド・ユソフ・マハディ役員は通信社ベルナマの取材に対して、MFL所属クラブへの助成金は、来季以降はスポンサー次第では減額の可能性があると述べています。
 今季はMFL1部クラブへは300万リンギ(約7700万円)、2部プレミアリーグ所属クラブには100万リンギ(約2600万円)が四球さることになっていますが、マレーシアサッカー協会FAM副会長でもあるマハディ役員は、今季の支給額は以前のスポンサー(テレコム・マレーシアを指すと思われます。-筆者注)から受け取るはずであった金額をもとに算定したものだとしています。
 新たなスポンサー探しが難航しているとした上でマハディ役員は、スポンサーから得られる支援に基づいた助成金額を設定する必要があるため、来季以降の助成金については、今年と同額とはならない可能性に言及しています。

香港での国際親善試合は延期に
 マレーシアサッカー協会FAMのFacebookでは、10月15日に予定されていた香港代表との国際親善試合の延期を発表しています。なお、新たな試合予定については発表されていません。
 Facebookでの告知では、香港サッカー協会HKFAに対して、社会不安が顕著な現状では、選手たちの安全上の問題から現在の香港での試合は不可能とし、状況が回復した後の試合を提案したようです。またFAMはHKFAに対して、10月15日の試合をブキ・ジャリル国立競技場で行うことも提案したようですが、これに対してはHKFAより同意が得られなかったとしています。(下は香港代表戦が延期になったことの告知。FAMのFacebookより)

ペナンFAのFIFA提訴をCASが仲裁へ
 国際サッカー連盟FIFAはMFL2部のペナンFAに対して、在籍した外国籍選手への給料支払い遅れから、勝点剥奪の処分をマレーシアサッカー協会FAMに通達しまた。その結果、ペナンFAは来季の1部昇格権を手にしながら、剥奪された勝点によってリーグでの順位が下がり、自動昇格の資格を失っています。
 実際にはペナンFAは、給料未払いをFIFAに訴えていたブラジル出身のレイナルド・ロボに対して、FIFAが規定した30日間の期限を過ぎてはいたものの、未払い給料を全額支払っています。しかしFIFAは勝点剥奪を当初の決定を変えず、勝点剥奪をFAMに命じました。そしてこれを不服としたペナンFAは、スイスのローザンヌにあるスポーツ仲裁裁判所CASに仲裁を求めていました。
 英字紙ニューストレイトタイムズの電子版では、ペナンFAのアマル・プリトパル・アブドラ会長の話として、CASはペナンFAの提訴に基づき仲裁を行うことを決定し、既にペナンFAの聴聞は終了していると述べています。今後、CASはFIFAの聴聞を行い、近いうちに判断が下されるだろうとも述べています。
 ペナンFAはすでに弁護士費用として2万スイスフラン(約220万円)を支払っており、提訴が受け入れられたことによりさらに2万スイスフランの費用が発生するようですが、仮にこの仲裁により勝点剥奪処分が撤回されれば、来季の1部昇格となりますので、4万スイスフランも決して高くはないでしょう。