12月3日のニュース
AFF選手権出場の代表候補から11名辞退のジョホールオーナーがAFF選手権不要論

Mリーグ1部スーパーリーグ、ジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーでジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は「物言うオーナー」としても知られていますが、このイスマイル殿下が東南アジアサッカー連盟AFF選手権は「気を散らすもの」だとして、その必要性に疑問を投げかけています。

キム代表監督の選手招集拒否批判に反論

ことの発端は先月11月29日から始まっている代表候補合宿で当初、招集予定だった41名中、JDTから11名の辞退者が出たことでした。今月末に開幕するAFF選手権三菱電機カップは、FIFAの国際マッチカレンダー期間外ということもあり、各クラブは選手招集を拒否できることから、これ自体には何も問題はありませんが、これを受けてキム・パンゴン監督は「自身の監督経験の中で、これほど多くの主力選手が代表招集を拒否したのは初めてだ。」と暗に選手招集を拒否したクラブを批判する発言を行い、これに反応したのがイスマイル殿下でした。

イスマイル殿下は自身のインスタグラムに「選手は動き続ける機械ではなく、シーズン終了後には休養も必要だ。」と投稿し、代表招集辞退の正当性を説明しています。「Mリーグの選手たちは1月から練習と試合を続けてきている。しかもリーグ中断期間には代表合宿が繰り返し行われ、代表選手は全く休養を取ることができない。近隣諸国は試合があれば、その前の1週間に代表合宿を行なっているが、マレーシアは3週間選手を拘束する政界でも類がない長期の代表候補合宿を行う国である。」と代表合宿の方式を批判したイスマイル殿下は、かえす刀でAFF選手権にも言及しています。

AFF選手権重視は大局的見地の欠如

「AFF選手権はMリーグの選手と年間スケジュールをめちゃくちゃにするものものである。今回の大会は決勝が来年の1月15日に予定されているが、(春秋制を採用するMリーグの)各クラブは例年1月から練習を開始する。これで選手にいつ休養を取れと言うのか。」

イスマイル殿下の舌鋒はさらにキム監督にも向けられます。「代表チームの監督は何の考慮もせず、他人の持ち物を借りているだけの存在である。選手に投資し、給料を支払っているのは全てクラブである。その点を無視してクラブを批判するという姿勢はいかがなものか。」

「代表選手たちは(最終予選を突破し)アジアカップ2023年大会の出場権を獲得するなど、既にその義務を果たしている。世界の誰も注目しないAFF選手権にそれほど注力する必要は果たしてあるのか。マレーシアサッカーが成功するためにはもっと大局的に考える必要がある。」と述べています。

代表合宿初日の参加者は30名中17名

最終メンバー30名が発表された今回の代表候補合宿初日は、17名が参加したのみでした。なお11月26日に行われたマレーシアカップ決勝に出場したJDTの2選手とスランゴールの7選手は12月5日から参加することが発表されています。またU23代表候補にもなっているラーディアズリ・ラハリム(トレンガヌ)は12月6日に終わるU23代表候補合宿終了後に、またチェコ1部のFKヤブロネツでプレーするディオン・クールズ12月16日日にそれぞれ合流する予定です。

しかし、その後の報道で初日に参加した17名のうち、KLシティのDFデクラン・ランバートとMFアクラム・マヒナンも「個人的な事情」を理由に今回の合宿参加辞退を表明し、最終メンバーは結局、28名になっています。なおKLシティは今季AFCカップに出場し、9試合をアジア各地で戦っています。

強者ゆえに試合数が多くなるJDT

辞退した11名を含め、合計13名が今回の合宿に招集されたJDTは、リーグ戦22試合、いずれも優勝したFAカップとマレーシアカップではそれぞれ5試合と7試合、さらにACLではグループステージ4試合、ノックアウトステージ1試合とクラブとして今季39試合の公式戦を戦っています。さらに先日行われたインドネシア1部プルシス・ソロや、ドイツ1部ボルシア・ドルトムントとの親善試合や、開幕前に行なったMŠKジリナ(スロバキア1部)、スパルタ・モスクワ(ロシア1部)などとの合計6試合のプレシーズンマッチなども合わせれば2022年はクラブとして45試合こなしたことになります。

しかもJDTの選手の多くが代表でも主力選手として、3月にシンガポールで開かれたフィリピンとの3カ国対抗、アジアカップ2023年大会予選など今年の代表戦7試合にも出場しています。もちろん全員が全ての試合に出場しているわけではないですが、1年間にこれだけの試合をプレーした選手を、優勝しても東南アジアでの評価以上のものは得られないAFF選手権に出すよりは、来季のリーグ10連覇やACLのベスト8入などの目標のために十分に休養させたい、とイスマイル殿下が考えるのは理解できなくもありません。しかも来季はアジアカップがあり、年間日程は今季よりもさらに密になることも予想され上、アジアカップではまた選手がほぼクラブごと代表に招集されてしまうJDTにとっては、12月しか選手を休ませられる期間がないということです。.

なお、マレーシア代表は12月9日のカンボジア、そして12月14日のモルジブとの親善試合後に23名の最終メンバーが決定し、FIFAワールドカップカタール大会決勝の3日後、12月21日に開幕するAFF選手権三菱電機カップでは、初戦となるミャンマー戦(ヤンゴン)に臨みます。



11月25日のニュース
AFF選手権出場の代表候補発表-お疲れのジョホールからは2名のみ選出
U23代表候補発表-J3沼津のハディ・ファイヤッドが6月のシーゲームズ以来の招集

いよいよ今日11月26日は今季のマレーシアサッカーのフィナーレを飾るマレーシアカップの決勝です。決勝に駒を進めたリーグ9連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTが現在のマレーシアサッカーをリードするクラブだとすれば、その相手となるスランゴールはマレーシアカップ優勝回数22回と最多を誇るものの、近年は低迷するかつてのリーグ盟主です。タン・チェンホー前マレーシア代表監督就任以来、リーグ戦からマレーシアカップ決勝まで8試合無敗のスランゴールがその連勝記録を伸ばすのか、昨季の決勝ではKLシティに敗れたJDTが3年ぶりの優勝を果たし、リーグ戦、FAカップに続く今季国内三冠を達成するのか。本日午後9時(マレーシア時間、日本時間午後10時)キックオフのマレーシアカップ決勝はこちらから視聴可能です。

AFF選手権出場の代表候補30名が発表-お疲れのジョホールからは2名のみ選出

12月21日に開幕する東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップに出場するマレーシア代表の候補合宿参加メンバーをマレーシアサッカー協会FAMが発表しています。今月11月29日から始まる代表候補合宿に招集されたのは30名(29名発表後、スランゴールのファズリ・マズランが追加で招集)です。

比較的若い選手中心の構成となった今回、初のA代表招集となったのはリーグ3位のサバでプレーするMFスチュアート・ウィルキンの他、DFアリフ・ハイカル(スランゴール)、GKアズリ・ガニ、FWハキミ・アジム・ロスリ(いずれもKLシティ)、そしてMFデヴィッド・ローリー、MFリー・タック、MFエセキエル・アグエロ(いずれもスリ・パハン)の7名です。

この中で注目なのは英国出身で34歳のリー・タックとアルゼンチン出身で28歳のエセキエル・ アグエロの両選手。いずれもMリーグで5年間プレーしたことで、FIFAの規定により帰化選手となる条件を満たした両選手は、所属するスリ・パハンとパハン王室の支援もあり、今年マレーシア国籍を取得しており、今回、晴れて代表入りを果たしています。ちなみに今回初招集されたスチュアート・ウィルキンとデヴィッド・ローリーも、それぞれイギリスとオーストラリアの出身です、いずれもマレーシア人の親を持つ「ハイブリッド」帰化選手です。

なお初招集となった、DFアリフ・ハイカル、GKアズリ・ガニ、そしてMFムカイリ・アジマルとDFクエンティン・チェン(以上スランゴール)の各選手は、今年6月にウズベキスタンで開催されたAFC U23アジアカップに出場したマレーシアU23代表でもプレーしています。

また、これまで代表招集経験があるものの、キム監督就任以来初の招集となったのは、FWラマダン・サイフラー(JDT)、MFファイズ・ナシル(トレンガヌ)、FWノル・ハキム・ハサン、DFファズリ・マズラン(いずれもスランゴール)、MFアクラム・マヒナン(KLシティ)、コギレスワラン・ラジ(PJシティ)の6名です。

今回、30名中、13名の新顔が揃ったのには訳があります。三菱電機カップはFIFAの国際マッチデー期間外で開催されるため、Mリーグのクラブは選手の代表招集に応じる義務がありません。春秋制を採用するMリーグでプレーする選手にとって12月と言えば、今季の全日程を終えて、疲労も溜まり、体調も落ちている時期です。そのためか、ACLでノックアウトステージに進出するなど、今季はMリーグのどのチームよりも多く試合をしているJDTからは、ラヴェル・コービン=オングとマシュー・デイヴィーズの両サイドバックや、おそらく今季もリーグMVPを獲得するであろうアリフ・アイマンら代表主力選手(JDTからは10名程度が召集を辞退したと噂もあります)がケガや家庭の事情を理由に召集を辞退しており、これが今回の代表候補メンバーが従来のメンバーから様変わりしている理由です。

なお三菱電機カップの前には12月9日に対カンボジア、12月14日には対モルジブの国際新全試合も予定されていますが、キム監督はこの2試合後に三菱電機カップ出場の最終メンバー23名を決定するということです。

三菱電機カップではB組に入っているマレーシアは、12月21日にアウェイのミャンマー戦、12月24日にはクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場でラオス戦、27日には再びアウェイのベトナム戦、そしてグループステージ最終戦はブキ・ジャリル国立競技場に戻って1月3日のシンガポール戦が組まれています。そしてB組の上位2位に入れば、ホームアンドアウェイ形式で行われる準決勝(1月6日または7日と、9日または10日)、そして決勝(1月13日と16日)が控えています。

以下が今回、代表候補合宿に参加する30名です。

POS選手氏名年齢クラブ
FWサファウィ・ラシド25JDT
FWラマダン・サイフラー22JDT
DF シャルル・ナジーム23SEL
MF ブレンダン・ガン34SEL
MFムカイリ・アジマル21SEL
DFアリフ・ハイカル22SEL
FWノル・ハキム・ハサンSEL
DFクェンティン・チャン23SEL
DFファズリ・マズラン28SEL
GK ラーディアズリ・ラハリム21TRE
FWファイサル・ハリム24TRE
DFアザム・アズミ21TRE
MFファイズ・ナシル30TRE
GK アズリ・ガニ23KLC
DF. デクラン・ランバート24KLC
MF. アクラム・マヒナン29KLC
FWハキミ・アジム・ロスリ19KLC
GKカラムラー・アル=ハフィズ27*PJC
FW ダレン・ロック31*PJC
MF V・ルヴェンティラン21*PJC
FW コギレスワラン・ラジ24*PJC
MF. リー・タック34SRP
MFデヴィッド・ローリー32SRP
MF. エセキエル アグエロ28SRP
DFクザイミ・ピー29NSE
GKシーハン・ハズミ26NSE
DFドミニク・タン25SAB
MF スチュアート・ウィルキン24SAB
DFディオン・コールズ26FKJ
FWヌル・シャミ・イスズアン27SWU
JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌ、SAB-サバ、NSE-ヌグリスンビラン、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、SRP-スリ・パハン、PJC-PJシティ、SWU-サラワク・ユナイテッド、FKJ-FKヤブロネツ(チェコ1部)
U23代表候補発表-ハディ・ファイヤッドが6月のシーゲームズ以来の招集

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、U23代表候補合宿参加メンバー25名を発表しています。今回の合宿は直近の試合はないものの、A代表のコーチでもあるE・エラヴァラサン監督が指揮を取る最初の合宿となります。なおU23代表合宿は11月27日から12月6日まで予定されています。

来年2023年のU23代表の最初の公式戦はアセアン東南アジアサッカー連盟AFF U23選手権です。今年2月に開催された2022年大会では、マレーシアU23代表はラオスと2チームのみとなったグループステージで1-2、0-2とラオスを相手に2戦2敗し、まさかのグループステージ敗退を喫しています。

来年の2つ目の公式戦は東南アジア競技大会、通称シーゲームズです。今年の2023年大会はカンボジアが開催国で、5月に開催が予定されています。シーゲームズは従来は隔年開催の大会ですが、新型コロナの影響で延期された2021年ベトナム大会が今年開催され、マレーシアU23代表は準決勝ではベトナムに敗れ、さらに3位決定戦ではPK戦でインドネシアに敗れるなど、2019年フィリピン大会に続くメダルなしで終わっています。

また今年は、AFC U23アジアカップ2024年大会の予選も控えています。現在、ワールドカップが開催されているカタールが開催地となるこの大会の予選は来年9月に開催が予定されています。なおマレーシアU23代表は、今年開催されたAFC U23アジアカップ2022年大会に出場しましたが、ベトナム、タイ、韓国と同組となったグループステージでは0勝3敗得点1失点9でグループ最下位に終わっています。

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POS選手氏名クラブ年齢
FWシャヒル・バシャーSEL21
DFジクリ・カリリSEL20
FWダニアル・アスリSEL22
GKシャーミ・アディブ・ハイカルSEL219
MFアリフ・イズワン・ユスランSEL218
DFファイズ・アメルSEL219
7.ファクルル・ファリーズ・アイディSEL U2119
8.ハイカル・ハキーミ・ハイリSEL U1919
DFハイリー・ハキムTRE22
FWシャフィク・イスマイルTRE22
GKラーディアズリ・ラハリムTRE21
DFサフワン・マズランTRE220
MFアリフ・シャキリン・スハイミKLC22
DFニック・ウマル・ニック・アジジKLC21
MFナズウィン・サレーKLC U2121
MFシャキミ・ロジKEL U2120
MFイズディン・アスリKEL U2120
DFハスヌル・ザイムSRP U2120
DFイブラヒム・マヌシSRP U2121
FWハディ・ファイヤッドアスルクラロ沼津22
DFアリフ・ナジミKLU22
FWアイマン・アフィフKDA21
MFT・サラヴァナンPEN U2121
MFA・セルヴァンNSE22
GKフィルダウス・イルマン・ファディルPDRM U2121
SEL-スランゴール、SEL2-スランゴール2、TRE-トレンガヌ、TRE2-トレンガヌII、SAB-サバ、NSE-ヌグリスンビラン、KLC-KLシティ、SRP-スリ・パハン、PJC-PJシティ、SWU-サラワク・ユナイテッド、KDA-クダ、PEN-ペナン、KEL-クランタン、KLU-クランタン・ユナイテッド

11月19日のニュース
クラブライセンス不交付で来季トップリーグ不参加のマラッカ・ユナイテッドFCはマラッカFCと名称変更して3部リーグに参戦
マレーシアカップ決勝会場がブキ・ジャリル国立競技場に決定-最高のVIP席チケットは6200円
マレーシア代表の2022-2024年用新ユニフォーム発表

今日11月19日は独立以来第15回となるマレーシアの国政選挙投票日。昨日は急遽、国民の祝日となり、週末を兼ねて実家へ戻って投票する人の帰省ラッシュで、多くの幹線道路は渋滞したようです。

また複数の州では州議会選挙が同時に行われますが、ここで州政府内の政権交代が起これば、Mリーグクラブの将来にも影響が出る可能性があります。Mリーグのクラブは大半が各州のサッカー協会(州FA)がその運営に関与しているだけでなく、州FA会長を州首相(州の知事)が兼任し、クラブの運営費用を州政府からの公金に依存しているケースが少なくありません。政権交代が起これば、州知事は交代、つまり州FA会長が交代することになります。この政権交代により州FAによるクラブ運営方針が変わるだけでなく、予算配分などにも影響があります。その良い例が昨季のペラFCです。2020年に州議会内で議員の鞍替えによる与野党逆転が起こった結果、ペラFCに多額の資金支援を認めていた州首相が失職し、同時に州FA会長を退任すると、新たな州首相が州FA会長に就任した途端、クラブへの支援を削減しました。その結果、給料未払いが起こり、2020年シーズン終了後、外国籍選手を含めた主力選手の大半が退団しただけでなく外国籍監督とも契約を解除、その結果、2020年は1部スーパーリーグで4位だったクラブは昨季2021年シーズンは11位にとなり2部プレミアリーグに降格しています。

こういった政治とサッカーの結びつきを断ち切ろうと、マレーシアサッカー協会FAMが取り組んでいるのがクラブの民営化です。クラブの運営を州FAからクラブ運営会社に移すことで、上記のような政権交代などによるクラブへの政治的影響を無くそうという目的ですが、大半の資金を州政府から受け取ってきたクラブの体質改善は難しく、完全な民営化ができているのはジョホール・ダルル・タジムJDTやクランタンFCしかありません。他のクラブもクラブ運営会社を立ち上げたものの、クラブの資金源となるスポンサーは州政府が運営する企業が大半で、結局のところ、州政府から直接支援を受けるのではなく、州政府系企業経由と見た目が変わっただけに過ぎません。

ここ数年は新型コロナ対策やインフレ対策などにより、州政府の財政にも以前ほどの余裕がなくなっていることから、政権交代をきっかけにMリーグクラブへの支援が見直される可能性があり、これによりMリーグの勢力分布が変わってしまう可能性もあります。

クラブライセンス不交付で来季トップリーグ不参加のマラッカ・ユナイテッドFCはマラッカFCと名称変更して来季の3部リーグに参戦

来季のクラブライセンスが交付されず、Mリーグ1部スーパーリーグへの参加ができなくなったマラッカ・ユナイテッドFCが、クラブ名をマラッカFCと変更して、来季はMリーグ3部に当たるM3リーグに参加することを発表しています。

今季のスーパーリーグで10位に終わったマラッカ・ユナイテッドFCは、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLが設定した期限までに給料未払い問題が解決しなかったことから、国内のクラブライセンス交付機関である第一審期間FIBがクラブライセンスを交付しませんでした。これにより来季のスーパーリーグ参加が不可能となったマラッカ・ユナイテッドFCを運営するマラッカ・ユナイテッドサッカー協会MUSAは、協会名をマラッカ州サッカー協会MAFAと変更するとともに、クラブの名称もマラッカFC取りブランディングすることを発表しています。

マラッカ州首相でもあったスライマン・モハマド・アMUSA会長に代わり、新たに会長に就寝したヌル・アズミ・アフマッド氏は、マラッカ州サッカー協会の名称をMUSAからMAFAとすることについて、これまで結果を伴わなかったMUSAはクラブの再生にそぐわないとしてMAFAとすることにしたと説明しています。

また新生マラッカFCは、既に来季2月開幕のM3リーグに向けて練習を開始していることを明らかにしたヌル・アズミMAFA会長は、来季のFAカップ参戦、そして2024年のスーパーリーグ復帰がクラブの目標となると述べ、未払い給料問題の解決を最優先とするとともに、今後同様の問題が起こらないような運営を行うことも約束しています。

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今季のスーパーリーグとMリーグ2部のプレミアリーグが統合され、来季は新たに14チーム編成となる「新」スーパーリーグの発足に伴い、来季はプレミアリーグが開催されないことが決まっています。このためマラッカFCはアマチュアリーグのM3リーグ参戦を余儀なくされています。これにより、今季の主力選手の多くが退団することが予想され、既にGKブライアン・シーはペラFCへ、DFファドリ・シャスはヌグリスンビランFCへの加入などが発表されています。

なお同様の給料未払い問題により今季スーパーリーグ11位のサラワク・ユナイテッドFCもクラブライセンス不交付により、来季のスーパーリーグ参戦ができなくなっていますが、こちらについては来季の方針などは未だ発表になっていません。

マレーシアカップ決勝の会場がブキ・ジャリル国立競技場に決定-最高のVIP席チケットは6200円

現在準決勝まで進んでいるマレーシアカップは今年が第96回大会。今大会は11月26日に決勝が予定されていますが、その試合会場がクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場に決定したことを、マレーシアカップを主催するマレーシアンフットボールリーグMFLが公式サイトで発表しています。一時は地方開催の可能性も報じられていた決勝戦ですが、MFLはピッチの状況、観客収容能力、サポーターのアクセスのしやすさなど様々な点から.ブキ・ジャリル国立競技場に決定したと説明しています。

またMFLはこのマレーシアカップ決勝のチケット価格も発表しています。今季のFAカップ決勝と同様で最も高額なメインスタンドVIP席は200マレーシアリンギ(およそ6200円)、最も安価な一般席は50マレーシアリンギ(およそ1500円)となっています。Jリーグと比べれば驚くような価格ではないかもしれませんが、Mリーグ1部スーパーリーグの公式戦の場合、チケットの価格帯は20マレーシアリンギ(およそ620円)から50マレーシアリンギであることを考えると、VIP席はなかなかいいお値段です。

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今年9月に8万4000人の観衆を集めた今季のFAカップの決勝を既に開催しているブキ・ジャリル国立競技場は、各クラブの本拠地と比べれば明らかにピッチの手入れ状況なども良く、昨季に続きマレーシアカップの決勝戦会場となったのは当然と言えます。国内のスタジアムではジョホール・ダルル・タジムJDTの本拠地、スルタン・イブラヒムスタジアムもピッチの管理が良いことで知られていますが、この決勝戦にはJDTが勝ち上がる可能性もあり、公正と中立を期すれば、スルタン・イブラヒムスタジアムでの開催は難しいのが現実です。

マレーシア代表の2022-2024年用新ユニフォーム発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、2022年から2024年までマレーシア代表が着用する新たなユニフォームを発表しています。

ハリマウ・マラヤ「マレーの虎」の愛称持つマレーシア代表のユニフォームは、虎の黄色時に黒の縞模様にちなんで、黄色と黒が基調になることが多いですが、今回はホームがほぼ全面が黄色で丸首の部分だけが黒で、アウェイは胴で濃淡の差はあるもののほぼ全面が袖と黒という配色になり、デザイン的にはこれまでのユニフォームよりもシンプルになっています。マレーシアがタイ、インドネシア、ベトナムと共催した2007年のAFC選手権アジアカップから代表ユニフォームを提供するナイキ社による今回のユニフォームのデザインのテーマは「胸のバッジのために」となっており、国のために戦う闘争心を象徴しているということです。

この新ユニフォームは今年12月20日に開幕する東南アジアサッカー連盟選手権、三菱電機カップの前に行われる12月9日の国際親善試合カンボジア戦から使用され、女子代表や年代別代表、フットサルやビーチサッカー代表もこのユニフォームを使用するということです。

ちなみにお値段はホーム、アウェイユニフォームとも299マレーシアリンギ(およそ9200円)で11月24日から国内スポーツショップのアル=イクサンの店舗とオンラインストア、そしてナイキ・マレーシアのオンラインストアで購入可能ということです。
(下の写真はマレーシアサッカー協会FAMのFacebookより。)

10月11日のニュース
マレーシアが予選を1位突破し来年のAFC U17アジアカップ出場権を獲得
MFLはマレーシアカップ出場権剥奪のマラッカの選手の特例移籍案を拒否

マレーシアが予選を1位突破し来年のAFC U17アジアカップ出場権を獲得

見事なお手並み、お見逸れ致しました。

インドネシアのボゴールで開催されていたAFC U17アジアカップ予選B組は10月9日に最終第5節が行われ、ここまで2勝1分で2位につけていたマレーシアU16代表と、3勝全勝で首位のインドネシアU16代表が激突し、5-1で勝利したマレーシアがB組1位として本戦出場権を獲得しています。

前節第4節にアラブ首長国連邦UAEを相手にロスタイムのゴールで3-2と勝利し、代わってグループ2位となったマレーシアは、B組1位突破をかけて、開催国インドネシアと対戦しました。ここまでの3試合を3勝0敗、得点19失点2のインドネシアに対し、マレーシアのオスメラ・オマロ監督は、前節のUAE戦と全く同じ先発XIを起用しました。

試合は開始からからインドネシアに攻め込まれる展開となりましたが、マレーシアのGKファリシュ・ファルハンが再三、好セーブを見せてピンチを防ぐと、徐々にペースを掴み始めたマレーシアはザイヌルハキミ・ザイン(AMD U16)が今大会2点目となるゴールを17分に決めてマレーシアが先制すると、20分にはアラミ・ワフィ(AMD U16)がパレスチナ戦、UAE戦に続く今大会3点目となるゴールを決めてリードを広げます。さらに23分にはアンジャスミルザ・サフルディン(AMD U16)がやはり今大会3点目となるゴールを、また26分にはアフィク・ダニシュ(AMD U16)が今大会初ゴールを決め、試合開始から26分で4-0と大量リードします。さらに38分には相手パスを奪い、ドリブルでペナルティエリアに持ち込んだアンジャスミルザ・サフルディンが倒されてPKを得ると、アラミ・ワフィがこのPKを決めてさらにリードを広げます。

試合はこのまま進み、後半のロスタイムに失点し完封は逃したものの、マレーシアが5-1でインドネシアを破り、3勝1分で勝点10となりB組1位として、来年のU17アジアカップ本戦出場を決めています。マレーシアは開催国枠で出場した2018年大会に以来、通算6回目の出場、予選を突破しての出場は、アリフ・ハイカル(スランゴール)、アリフ・サフワン(UITM)、イズリーン・イズワンディ(KLシティ)らを擁した2016年以来となります。

また第5節のもう一つの試合は、パレスチナがグアムを4-0で破り、今回の予選で初勝利を挙げ、通算成績を1勝3敗で4位に、またグアムは通算成績を0勝1分3敗として5位で今回の予選を終えています。

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マレーシアは、1-1で引き分けたグアム戦以外の3試合はほぼ同じメンバーが先発し、グアム戦で主力を休ませるオスメラ・オマロ監督の戦略が功を奏しました。
 この日の試合でも、14-0と大勝したグアム戦と8名が同じ先発メンバーだったインドネシアに対し、マレーシアは1-1と引き分けたグアム戦の先発メンバーとは9名が異なっています。4試合をほぼ同じメンバーで戦ったインドネシアと、グアム戦を利用して選手を上手くローテーションしたマレーシアの選手マネージメントの差が出たと言っても良いでしょう。
 もちろんグアム戦で引き分けたときには、UAE戦、インドネシア戦が残っている中で、まさかこのまま予選敗退…という不安もよぎり、UAE戦もロスタイムのゴールで薄氷を履む勝利だったところから、この日のインドネシア戦も大丈夫か?という感じでしたが、蓋を開けてみれば堂々のグループ1位突破となりました。

AFC U17アジアカップ予選B組第5節
2022年10月9日@パカンサリスタジアム(インドネシア、ボゴール)
インドネシア 1-5 マレーシア
⚽️インドネシア:アルハン・カカ・プトラ(90+3分)
⚽️マレーシア:ザイヌルハキミ・ザイン(17分)、アラミ・ワフィ2(20分、38分)、アンジャスミルザ・サハルディン(23分)、アフィク・ダニシュ(38分)
🟨インドネシア(2):ナビル・アシュラ、アンドレ・パンゲストゥ
🟨マレーシア(1):アフィク・ダニシュ

AFC U17アジアカップB組 最終順位表

チーム勝点
1MYS4310134910
2IDN4301207139
3UAE420217966
4PSE4103710-33
5GUM4013128-271
UAE-アラブ首長国連邦、IDN-インドネシア、MYS-マレーシア、PSE-パレスチナ、GUM-グアム

AFC U17アジアカップは、昨日までに本戦出場する16チームが決定しています。東南アジアからはB組1位のマレーシアの他、ベトナム、タイ、ラオスの4チームが出場します。本戦が新型コロナ感染拡大のために中止になってしまった2020年大会ではインドネシアが東南アジア唯一の本戦出場、2018年はインドネシア、タイ、ベトナム(マレーシアは開催国として出場)、2016年はマレーシア、ベトナム、タイ、2014年はマレーシア(タイは開催国として出場)が出場と、過去5大会では東南アジアから4チームが予選を突破したことはありません。2023年大会は当初の開催国だったカタールが開催を辞退したため、未だ開催国は決まっていませんが、東南アジアの4チームには是非、その存在感を見せつけて欲しいです。

MFLはマレーシアカップ出場権剥奪のマラッカの選手の特例移籍案を拒否

給料未払い問題が未解決のため、今季のマレーシアカップ出場権剥奪処分を受けたMリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッド(以下マラッカ)の選手について、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、Mリーグを運営するMFLに対して、マラッカ所属の選手がマレーシアカップに出場する他のクラブへの期限付き移籍を特例として認めるよう提案していましたが、MFLはこれを拒否したと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

あと2節を残す今季のスーパーリーグですが、このリーグ戦終了後の10月25日開幕するのが、国内最大のカップ戦、マレーシアカップです。昨年開催100周年を迎えたこのマレーシアカップは、スーパーリーグ1位から11位までの11チームと、2部プレミアリーグの上位5チームの合計16チームが対戦しますが、もともとカップ戦から始まったマレーシアサッカーの原点とも言える大会です。

この伝統ある大会に出場できなくなったマラッカは、収入面でも痛手を受け、その結果、選手への未払い給料問題がさらに長引く可能性他があることから、マラッカ所属のの選手の救済策として、PFAMはMFLに対して特例としてマレーシアカップ期間中の期限付き移籍を認めるよう提案していました。、

MFLは、現在が移籍が可能となるトランスファーウィンドウ期間でないこと、また1クラブのために特例としてトランスファーウィンドウを開くことはできないことを理由に挙げて、この提案は受け入れられないとしています。さらにマラッカは現在も継続中のスーパーリーグでプレーしており、中断期間でない時期のトランスファーウィンドウは開くことはできないこと、マレーシアカップの規定では大会のための追加登録はできないことなどを、MFLのスチュアート・ラムリンガムCEOは説明しています。

マラッカは、現在のオーナーであるケンチーム社のCEOで、マラッカの運営会社のCEOでもあるジャスティン・リム氏が、未払い給料問題を解決した後にクラブの全株式を売却するつもりであることも明らかにしており、この株式の売却が実現しなければ、マラッカは来季のスーパーリーグから撤退する最悪の可能性もあります。

10月8日のニュース
AFC U17アジアカップ予選B組-マレーシアはUAEに劇的勝利ででグループ1位突破の可能性も
マレーシアカップの暫定組み合わせが決定

AFC U 17アジアカップ予選B組-マレーシアはUAEに劇的勝利でグループ1位突破の可能性も

ロスタイムのゴールで劇的勝利!

インドネシアのボゴールで開催中のAFC U17アジアカップ予選B組は10月7日に第4節が行われ、前節第3節にグループ最下位のグアムと引き分けたマレーシアは、グループ2位のアラブ首長国連邦UAEと対戦し、2点のリードを追いつかれたものの、ロスタイムに決勝点を挙げてUAEに勝利し、最終節第5節のインドネシア戦で勝利すればグループ1位で予選を突破できる可能性が復活しています。

初戦のパレスチナ戦から先発7名を入れ替えた第2戦グアム戦から一転して、この試合では初戦の先発XI中10名が戻ったマレーシアは、前半終了間際の45+1分にアラミ・ワフィ(モクタル・ダハリアカデミーU16)のゴールでリードすると、51分にはアンジャスミルザ・サハルディン(モクタル・ダハリアカデミーU16)のゴールでリードを広げます。

しかしUAEも76分にサイード・アメルのゴールで1点差に迫ると、84分にはアブドルアジズ・アルマズーキがゴールを決めて、同点とします。この試合を引き分ければ、本戦出場可能となる各組2位の内の上位6チームに入るのも難しくなるマレーシアは、最後まで攻め続けた結果、90+3分にファリス・ダニシュ(モクタル・ダハリアカデミーU16)が決勝ゴールを決め、UAEに劇的な勝利を収めています。

AFC U17アジアカップ予選B組第4節
2022年10月7日@パカンサリスタジアム(インドネシア、ボゴール)
マレーシア 3-2 UAE
⚽️マレーシア:アラミ・ワフィ(45+1分)、アンジャスミルザ・サハルディン(51分)、ファリス・ダニシュ(90+3分)
⚽️UAE:サイード・アメル(76分)、アブドルアジズ・アルマズーキ(84分)
🟨マレーシア(2):アイマン・ユスフ、ザイヌルハキミ・ザイン
🟨UAE(3):ラシド・サイフ、フサイン・マフムード・イスマイル、スハイリ・カリド・オバイディ

なお第4節のもう1試合は開催国インドネシアがパレスチナを2-0で破り、3連勝を飾っています。この結果、最終節第5節で対戦するインドネシアとマレーシアの内、勝者がこのB組の首位として本戦出場を決めることになります。

AFC U17アジアカップB組 順位表(第2節終了時)

チーム勝点
1IDN3300192179
2MYS32108357
2UAE420217966
4GUM3012124-231
5PSE3003310-70
UAE-アラブ首長国連邦、IDN-インドネシア、MYS-マレーシア、PSE-パレスチナ、GUM-グアム

10月6日のこのブログでは、「或いは戦略?このグアム戦の先発XIは、初戦のパレスチナ戦の先発XIからは7名が変わっており、この試合は最初から重視されていなかったのかも」と書きましたが、マレーシアU17代表のオスメラ・オマロ監督は先発メンバーを初戦のパレスチナ戦とほぼ同様に戻し、パレスチナ戦でゴールを決めた3選手がこのUAE戦でもゴールを決めており、やはり2戦目のグアム戦は主力を温存し、このUAE戦と最終節のインドネシア戦に賭けていたのかもしれません。これで最終節のインドネシア戦であわよくば勝利、最悪引き分けでも、本戦出場が見えてきます。

マレーシアカップの暫定組み合わせが決定

マレーシアサッカーの今シーズン最後を飾るマレーシアカップの組み合わせ抽選が10月6日に行われ、その結果がマレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトで発表されています。

日程の事情から、従来のグループステージを行わず、各チームがいきなりトーナメントで対戦する方式となった今季のマレーシアカップですが、出場するのはMリーグ1部スーパーリーグの1位から11位までの11チームと、2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、スーパーリーグ所属クラブのセカンドチームを除く)の16チームです。なお、スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドは給料未払い問題が未解決のため、Mリーグを運営するMFLから今回のマレーシアカップ出場権剥奪の処分を受けていますが、マラッカが11位以内に入った場合の対応については、今回は発表されていません。

また、既に全日程が終了しているプレミアリーグに対し、スーパーリーグは今週末の第20節を含めあと3節を残しており、最終順位は決定していません。このため、この日の組み合わせ抽選では対戦カードも確定せず、今回の組み合わせは暫定的なものになっています。

この日の組み合わせ抽選は、スーパーリーグ1位から4位までの4チームがポットA、スーパーリーグと5位、6位クダとプレミアリーグの上位2チーム(クランタン、クチンシティ)がポットB、残る8チームがポットCとなり、一回戦ではポットAあるいはポットBのチーム対ポットCのチームが対戦する形になっています。

一回戦は10月25日と26日にポットCのチームのホームゲームでスタートするマレーシアカップは、準々決勝、準決勝ともホームアンドアウェイ形式で開催され、11月26日に予定されている一発勝負の決勝まで熱い戦いが続きます。

10月6日のニュース
AFC U17アジアカップ予選B組-マレーシアはグアム相手にまさかの引き分けで予選突破が遠のく
AFCカップ地区間プレーオフ決勝-PK戦を再び制したKLシティが決勝進出

AFC U17アジアカップ予選B組-マレーシアはグアム相手にまさかの引き分けで予選突破が遠のく

インドネシアのボゴールで開催中のAFC U17アジアカップ予選B組は10月5日に第3節が行われ、前節第2節に試合がなかったマレーシアは、グループ最下位のグアムと対戦しましたが、1-1とまさかの引き分けで、通算成績を1勝1分としています。

初戦のパレスチナ戦に4-0と快勝したマレーシアは、勝点3を目指して既に2敗のグアムと対戦しましたが、前半は両チームとも得点がなく終了。後半に入ってもこう着状態が続いたものの、マレーシアはカヒル・ザキリンのゴールで73分にリードを奪います。

初戦はアラブ首長国連邦UAEに0-9、2戦目はインドネシアに0-14と敗れているグアムを相手に、マレーシアは勝点3はもちろん、大量点を奪って10月7日の次節第4節グループ首位のUAE戦に臨みたいところでしたが、84分にはグアムのリク・メイヤーにまさかの同点ゴールを許してしまいます。

試合はそのまま終了し、大量点も勝点3も手にできなかったマレーシアは、グループステージ突破のためには、UAEとインドネシアの両チームに勝利するしかなくなりましたが、グアムと引き分けているようでは…。

なおこの日の第2試合ではインドネシアがUAEを3-2で破っており、勝点で並んだもののと得失差でインドネシアが1位、UAEが2位となり、以下マレーシア、グアム、パレスチナと続いています。

2022年10月5日@パカンサリスタジアム(インドネシア、ボゴール)
マレーシア 1-1 グアム
⚽️マレーシア:カイル・ザキリン(73分)
⚽️グアム:リク・メイヤー(84分)
🟨マレーシア(3):アダム・ミカエル、カイル・ザキリン、ファリス・ダニシュ
🟨グアム(1):アルバン・アマンテ・テノリオ・ラミレス
🟥マレーシア(1):ナビル・フィトリ

AFC U17アジアカップB組 順位表(第2節終了時)

チーム勝点
1IDN2200172156
2UAE320115696
3MYS21105144
4GUM3012124-231
5PSE200238-50
UAE-アラブ首長国連邦、IDN-インドネシア、MYS-マレーシア、PSE-パレスチナ、GUM-グアム

或いは戦略?このグアム戦の先発XIは、初戦のパレスチナ戦の先発XIからは7名が変わっており、この試合は最初から重視されていなかったのかも知れません。
 というのも、マレーシアの入っている予選B組はマレーシア、インドネシア、UAE、パレスチナ、グアムの5チームで構成されていますが、E組からJ組の6組は4チーム編成となっています。このため、グループを首位で突破できなかった場合に、予選各組の2位チームのうち、本選に進む上位6チーム(開催予定地だったバーレーンの出場辞退により1枠増えています)の決定は、各組上位3チームの対戦成績を元にすることが決まっており、この日のグアム戦と初戦のパレスチナ戦の成績に関係なく、残るUAE戦とインドネシア戦に連勝すれば、2位での本戦出場となります。
 B組で全勝を目指してして首位突破を計るのではなく、最初から2位狙いだとしたら、マレーシアU17代表のオスメラ・オマロ監督はなかなかの策士ですが、果たして残り2試合の結果はどうなるでしょうか。

AFCカップ地区間プレーオフ決勝-PK戦を再び制したKLシティが決勝進出

KLシティの快進撃は止まりません!

ウズベキスタンのジザフで行われたAFCカップ地区間プレーオフ決勝に出場したMリーグ1部スーパーリーグのKLシティFCは、敵地でPFCソグディア(ウズベキスタン)を撃破し、東南アジアのクラブとしては2クラブ目となるAFCカップ決勝進出を果たしています。

このブログでも取り上げた通り、KLシティのボヤン・ホダック監督は、この試合で起用する外国籍選手4名を試合直前まで検討するとしていましたが、蓋を開けてみると、この試合ではFWジョーダン・ミンターの代わりに、グループステージを含め、これまでAFCカップでは出場のなかったGKケヴィン・メンドーザを起用しました。そして、この起用が最後のPK戦も含めてこの試合の重要なポイントとなりました。

本拠地のクアラルンプールからは20度以上も低い気温に加え、時にはボールが奇妙に跳ねる劣悪なピッチに悩まされたKLシティは、試合開始からホームのPFCソグディアに攻め込まれる場面が続きます。GGことジャンカルロ・ガイオフコと、イルファン・ザカリアの両センターバックを中心に耐えるも、最後の砦となったケヴィン・メンドーザでした。ボヤン・ホダック監督の器用に答えてスーパーセーブを連発して失点を防ぎ続けました。

両チームとも無得点のまま、90分間では決着がつかなかったこの試合は、延長に入っても0-0のままで、最後はPK戦にも連れ込みました。先攻のKLシティはパウロ・ジョズエ、ロメル・モラレス、ハディン・アズマン、アクラム・マヒナン、ジャンカルロ・ガリフオコの5名全員が成功したのに対し、後攻のPFCソグディアナは2人目のシャクボツ・ジュラべコフのPKがKLシティのケヴィン・メンドーザに止められた結果、KLシティが5-3で勝利し、東南アジア地区準決勝のベトテルFC(ベトナム)戦に続くPK戦を制したKLシティが決勝進出を決めています。

10月22日に予定されている決勝では、もう一つの準決勝でアル・リファーSC(バーレーン)を4-0で破ったアル・シーブ・クラブ(オマーン)と、KLシティの本拠地、KLフットボールスタジアムで対戦します。中東のクラブが席巻するこのAFCカップですが、KLシティは、2015年に東南アジアのクラブとして初めて優勝した同じスーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDT以来、Mリーグ2チーム目となる優勝を目指します。

AFCカップ地区間プレーオフ決勝
2022年10月5日@ジザフ総合運動場(ウズベキスタン、ジザフ)
PFCソグディアナ 0-0 KLシティ(PK戦3-5)
🟨PFCソグディアナ(1):サルドル・クルマトフ
🟨KLシティ(1):パウロ・ジョズエ

(下は両チームの先発XIと試合のハイライト映像。ハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)

10月2日のニュース AFC U17アジアカップ予選-マレーシアは初戦でパレスチナに快勝
AFFビーチサッカー選手権-マレーシアはタイに敗れて2位に
噂関連2題-PJシティはリーグ撤退、JDTはトレンガヌ選手獲得オファーの噂を否定

AFC U17アジアカップ予選-マレーシアは初戦でパレスチナに快勝

インドネシアのボゴールで開催中のAFC U17アジアカップ予選B組に出場中のマレーシアU 17代表は、10月1日(土)に行われた初戦でパレスチナと対戦し、前半は0-0だったものの、後半に4ゴールを決めて快勝しています。

AFC U17アジアカップ予選B組第1節
2022年10月1日@パカンサリスタジアム(インドネシア、ボゴール)
パレスチナ 0-4 マレーシア
⚽️マレーシア:アンジャスミルザ・サハルディン(51分)、ファリス・ダニシュ(69分)、アラミ・ワフィ(75分)、ザイヌルハキミ・ザイン(87分)
🟨パレスチナ(1):レダ・サバー
🟨マレーシア(1):アフィク・ダニシュ

このB組第1節のもう1試合、アラブ首長国連邦UAE対グアムは9-0で、UAEが圧勝しています。

明日10月3日(月)に開催されるB組第2節ではマレーシアは試合がなく、UAE対パレスチナ、グアム対インドネシアの2試合が組まれています。

AFFビーチサッカー選手権-マレーシアはタイに敗れて2位に

東南アジアサッカー連盟AFFビーチサッカー選手権2022年大会がタイのチョンブリで開催されていましたが、マレーシアは最終戦となったタイとの試合に1-3で敗れ、2位に終わっています。

2019年以来3年ぶりの開催となった今大会には、前々回2018年大会の覇者ベトナムは出場せず、開催国タイ、マレーシア、インドネシアと3カ国のみが出場しました。マレーシアは初戦のインドネシアに9−2と勝利しており、同じインドネシアを相手に5−2で勝利したタイと最終戦で対戦しました。

得失差もあり、この試合で引き分け以上なら、自国開催だった2014年大会以来2度目の優勝となるマレーシアでしたが、結局、タイに敗れて2位となっています。一方のタイは前回2019年大会に続く2連覇となりました。

PJシティのCEOはクラブのスーパーリーグ撤退の噂を否定

今季のMリーグ1部スーパーリーグで10位と低迷するPJシティが今季をもってMリーグを撤退するのでは、といった噂がSNS上などで出ていることを受け、PJシティのCEOがこの噂を否定する事態になっていると、英字紙スターが報じています。

リ現在のチームオーナーであるQI社がクラブを売却する用意があるとも噂されていることに対して、PJシティのS・ガネシュCEOは、クラブは売りには出されてないと噂を否定する一方で、来季に向けてさまざまな構造改革がクラブ内で行われていることを明らかにしています。

その改革の具体的な内容に関しては、まだそれを明らかにする時期ではない、と話したガネシュCEOは、来季2023年シーズンに向けてMリーグのクラブライセンス、そしてAFCのガイドラインに従ったクラブライセンスの申請を既に行なったことも説明した上で、オーナーのQI社の負担を減らすよう、商業的に自立したクラブになるための改革であるとしています。

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前身のインド系マレーシア人サッカー協会MISC-MIFAから転じたPJシティは、スーパーリーグデビューとなた2019年には8位、さらに2020年と2021年には7位の成績を収め、今季は外国籍選手を1人も獲得せず、”Yakini Lokal”(「マレーシア人選手を信じろ」とでも訳せるでしょうか)をスローガンに今季はここまで18試合で3勝8分7敗、得点18失点29の勝ち点17の10位という成績ですが。その一方で、外国籍選手がいないことによってマレーシア人選手が出場機会をより多く得られることで、今季チームからはダレン・ロック、V・ルヴェンティラン、カラムラー・アル=ハフィズ、R・コギレスワランが代表に召集されています。

国体で活躍のトレンガヌ若手選手への獲得オファーの噂をJDTが否定

Mリーグ1部スーパーリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTは、クラブ公式Facebookなどで、同じスーパーリーグのトレンガヌのセカンドチームに所属するムスリフディン・アティクに対して獲得オファーを出したという噂を否定しています。

先月9月に開催されたマレーシアの国体、マレーシアゲームズのサッカーで12年ぶりの優勝を果たしたトレンガヌの主力選手として3ゴールを挙げるなど、時の人となったムスリフディン選手ですが、トレンガヌ州政府の青年スポーツ委員会のワン・スカイリ・ワン・アブドラ委員長のもとに、このムスリフディン選手獲得について所属するトレンガヌとJDTの間で獲得交渉が行われていると発言していました。

しかしJDTはアリスター・エドワーズ テクニカル・ディレクターTD名でFacebookに投稿し、元U19代表ストライカーでもあったムスリフディン選手について、JDTのクラブ関係者は誰1人としては獲得交渉を行っておらず、むしろ交渉中という話自体に驚いたとしています。

9月29日のニュース
MFLがMリーグ2部と3部の入れ替え戦中止を発表
代表好調の裏で帰化選手不要論が再燃か

MFLがMリーグ2部と3部の入れ替え戦中止を発表

先日行われたMリーグ3部に当たるM3リーグの決勝は、PIB FCがPK戦の末にKLローヴァーズFCを破ってM3リーグチャンピオンとなりました。決勝に進出した両リームは、Mリーグ2部プレミアリーグの下位チーム、ペラFCとUITM FCとの入れ替え戦を行うことになっていましたが、Mリーグを運営するMFLはこの入れ替え戦の実施を中止すると発表しています。これにより、今季のプレミアリーグと1部スーパーリーグを合併して再編成する新スーパーリーグに参加する18チームの顔ぶれが確定しました。

MFLはマレーシアサッカー協会FAMよりマレーシアにおけるクラブライセンス制度の制定及び運用の委任を受けており、マレーシアにおけるクラブライセンス交付機関として、クラブライセンス制度を運営し、国内クラブに対してクラブライセンスを交付します。このクラブライセンス交付判定については第三者機関であるクラブライセンス交付第一審機関FIBが行いますが、今回、このFIBが2023年シーズンに向けたM3リーグ上位2チームとプレミアリーグ回2チームとの入れ替え戦を行わないことを決定したということです。

この件についてFIBのシーク・モハマド・ナシル議長が状況を説明し、MFLではなくアマチュアフットボールリーグAFLが運営するアマチュアリーグのM3リーグに今季参加した20クラブ中、優勝したPIB FCを含む7クラブのみがアマチュアクラブライセンスの申請を行なっており、その申請内容に関してはPIB FCとハリニ FTの2チームが条件を満たしている、と述べています。しかし両クラブともMFL傘下のプロリーグに参加するためのプロクラブライセンス取得のための条件は満たしておらず、既にプロクラブライセンス申請期限は過ぎているとしています。

シーク・モハマド・ナシルFIB議長は、今回の事例をもとに、2024年以降に行われる予定の入れ替え戦に向けて、現在のM3リーグクラブには入れ替え戦出場、そしてプロリーグ参加のための必要条件などについて、理解を進めていきたいと話しています。

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リーグ戦の試合数が少なすぎる、というFIFAの指導を受け、来季からのMFLは大規模なリーグ改編を発表しています。具体的には現在の1部スーパーリーグと2部プレミアリーグを合併して18チームによる新たなスーパーリーグを発足させ、プレミアリーグは一時的に中止となります。またアマチュアリーグのM3リーグは、来季からセミプロリーグ化を目指して開催され、MFLが一定のレベルに達したと判断した時点で、M3リーグのクラブが新たなプレミアリーグを構成します。

リーグ再編は既に決まってしまったものですが、東南アジアの中では人口が3200万人と比較的少ないマレーシアがトップリーグを18チームで構成する一方で、、7000万人近い人口を抱えるタイのトップリーグは16チーム、1億人を超えるベトナムは14チーム、さらには2億7000万人のインドネシアは18チームで構成されていることを考える、今回のリーグ再編の内容には、正直、疑問を感じます。人口600万人に満たない隣国シンガポールは、トップリーグが8クラブで構成され、各チームがホーム、アウェイそれぞれ2試合ずつ行い、1チームあたり28試合を行なっており、試合数自体が問題であれば、シンガポールを参考にしながら各チームの対戦カードを例えば3試合制にするなどの方法も考えられました。

このブログでも頻繁に取り上げているように、給料未払い問題が頻発するMリーグでは、勝点剥奪や下位リーグ降格という罰則があることで、その問題発生数が抑えられているとも言えます。しかしリーグ拡大により、従来のリーグ11位、12位であっても来季は下部リーグ降格の心配がないクラブは、再び給料の遅配や未払いを起こす可能性もあります。また18クラブでトップリーグを構成しても、その実態は上位クラブと下位クラブの差が大きい、分断されたリーグとなり、サポーターが望むような白熱した試合が行われないことも考えられます。まぁ、そんあ心配が取り越し苦労だった、となってくれれば良いのですが。

代表好調の裏で帰化選手不要論が再燃か

キム・パンゴン監督就任以降、好調なマレーシア代表。43年ぶりとなるAFCアジアカップ出場権獲得に続き、先日のキングズカップでもFIFAランキングで上位のタイ、そしてタジキスタンと90分間で引き分け、サポーターの期待も近年にないほど高まっています。

44年ぶりの優勝がかかったキングズカップの決勝、タジキスタン戦で、キム監督は初戦のタイ戦からメンバーを入れ替えて臨みましたが、その中の1人、モハマド・スマレー(JDT)は気合が空回りしており、さらに危険なタックルであわやレッドカードといったハラハラする場面を演出し、試合後はSNSだけでなく、スポーツメディアなどでも、そのプレーに批判が集まり、かつてクダの監督を務め、2007年、2008年と2季続けてリーグ・マレーシアカップ・FAカップの三缶、トレブルを達成しているアズライ・コー氏などは、スマレ選手は試合では全くチームに貢献しておらず、マレーシアは10人で試合をしているようなものだったと酷評しています。

今回のキングズカップでは、代表のパフォーマンスについては概ね良い評価が与えられていた中で、このスマレ選手についてだけは、久しぶりの出場で興奮したのか、他の選手に負けまいと焦っていたのかわかりませんが、平常心で試合には望めていないことが分かるほどで、頻繁にボールを奪われたり、危険なタックルを繰り返すなど、実際にそのプレーには問題があったのは事実でした。

前述のコー氏は、そこから行動に問題があり、精神的に不安定な住まれ選手は代表チームに不要と話し、さらに代表チームにはそもそも帰化選手は不要と、マレーシア語紙のハリアンメトロの取材に答えています。

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また、このような「帰化選手批判」の声があちこちで上がったことを受け、コソボ出身でやはり帰化選手のリリドン・クラスニキ(タイ1部コーンケン・ユナイテッドFC)が自身のインスタグラムで「(帰化選手は、チームが試合に)勝てばマレーシア人扱い、負ければ外国人扱いされる。」と投稿するなど、批判を受けている帰化選手にも不満が溜まっていることが見て取れます。

スマレ選手はコロナ禍前の2019年のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選では活躍して多くのサポーターから賞賛されましあ。またクラスニキ選手も、かつて在籍したクダでは多くの地元サポーターから愛された選手です。しかし、この2人とブラジル出身のギリェルメ・デ・パウラ(JDT)の3選手はコロナ禍による中断のW杯予選や昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権などではチームに貢献できなかったことから、サポーターだけでなく、元代表選手などが代表チームへの帰化選手不要論を公言し、これを受けたかどうかはわかりませんが、マレーシアサッカー協会FAMは協会主導で進めていた「代表チーム強化を目的とした外国籍選手のマレーシア帰化支援プログラム」の一時中止を決めルことを発表しています。

Mリーグの帰化選手には、いわゆるハイブリッド帰化選手と呼ばれる、マレーシア国外で生まれ育ったものの父母あるいは祖父母がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得した選手と、そういったマレーシア人の血縁を持たない帰化選手がいます。代表チームを見ると、ハイブリッド帰化選手は今回のキングズカップ出場メンバーでは、ラヴェル・コービン=オング、ディオン・クールズ、ドミニク・タン、マシュー・ディヴィーズ、デクラン・ランバート、ブレンダン・ガン、ダレン・ロックと7名、帰化選手がスマレ1名と25名のメンバー中、およそ3分の1が帰化選手ですが、ハイブリッド帰化選手が批判を受けることはほとんどありません。

9月26日のニュース
マレーシアは44年ぶりのキングズカップ優勝を逃す

マレーシアは44年ぶりのキングズカップ優勝を逃す

タイのチェンマイで開催されていた第48回キングズカップの決勝が行われ、タジキスタンがPK戦を制して優勝、マレーシアは準優勝となっています。

直近のFIFAランキング111位のタイを破り、決勝へ進んだ同148位のマレーシアは、トリニダード・トバゴ(同101位)を破ったタジキスタン(同109位)との対戦となりました。

マレーシアのキム・パンゴン監督はタイ戦からは4選手を入れ替え、てこの試合に臨んでいます。DF陣はマシュー・デイヴィーズ(JDT)、ディオン・クールズ(チェコ1部FKヤブロネツ)、クザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)の3バックから、ラヴェル・コービン=オング(JDT)が下がり気味の4バックへ、中盤はブレンダン・ガン(スランゴール)、前の試合でレッドカードをもらい出場停止となったアザム・アジー(スリ・パハン)に代えてナズミ・ファイズ(JDT)を起用、この2人の前にはセカンドストライカー的にサファウィ・ラシド(JDT)を配置、FWはアリフ・アイマンに代えてモハマドゥ・スマレ(いずれもJDT)が右サイドに入り、この試合ではキャプテンを務めたシャフィク・アフマドとアキヤ・ラシド(いずれもJDT)が先発し、タイ戦の3-4-3から4-3-3へとシステムも変更しています。

この決勝の前に雨の中で行われた3位決定戦により既にピッチは荒れていた上、この試合開始時にも激しい雨が降る中で行われたこの試合で、ピッチが滑りやすくなっている上、蹴ったボールが止まってしまう最悪のコンディションでした。前半は両チームともこのコンディションに苦しみ、互いに後期を作ることができ前戦でしたが、こう後半に入るとマレーシア、タジキスタンともピッチの状態に慣れ、激しくせめぎあいます。しかしマレーシアGKシーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)、タジキスタンGKルスタム・ヤチモフ(タジキスタン1部FCイスティクロル)が好セーブを度々見せ、試合は0-0のまま進みます。

マレーシアの最大のピンチは84分、集中力が切れたかのように、DF陣のミスからルスタム・ソイロフ(エストニア1部レバディア・タリン)にシュートを決められますが、これがオフサイドの判定となり九死に一生を得ました。

その後も両チームともゴールを破ることができず、90分間では決着がつかなかった試合は、マレーシアにとっては2試合連続となるPK戦へと突入しました。

PK戦先攻のタジキスタンはキャプテンのアフタム・ナザロフがゴール正面にチップキックを放ちますが、コースを読み間違えたシーハン・ハズミが素晴らしい反応を見せてこのシュートを弾き、マレーシアが有利な状況になりました。しかしマレーシアの1人目のディオン・クールズのシュートはゴールポストに当たり失敗、タジキスタンは続く2人がPKを決めたのに対し、マレーシアは2人目ナズミ・ファイズのシュートはGKルスタム・ヤチモフに止められ、3人目サファウィ・ラシドのゴールはゴールポストを直撃してしまいます。タジキスタンの4人名は前述のゴールがオフサイド判定されていたルスタム・ソイロフでしたが、このPKは決まって、タジキスタンがPK戦を3-0で制して、第48回キングズカップの優勝を果たしています。

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タイ、タジキスタンといずれもFIFAランキング上位のチームとの引き分けは、来年のAFCアジアカップ出場権獲得に続き、昨年末の東南アジアサッカー連盟AFF選手権のグループステージ敗退で失った自信を取り戻すのには十分な結果です。しかし、タイ、タジキスタン相手に90分で勝利できなかったのも事実です。就任から1年も経たない内に代表チームのプライドを取り戻し、サポーターの期待を高めたキム・パンゴン監督の手腕は見事というしかありませんが、こうなると今年年末の東南アジア選手権へ向けての期待も当然高まります。年末のこの大会ではベトナム、ミャンマー、シンガポール、ラオスとの同組となることが決まっていますが、グループステージを突破し、準決勝進出はサポーターが期待する最低ラインでしょう。

下はこの試合の両チームの先発XIと試合のハイライト映像。ハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

9月23日のニュース
キングズカップ-マレーシアがタイをPK戦で下して決勝へ

キングズカップ-マレーシアがタイをPK戦で下して決勝へ

タイのチェンマイで開催中のキングズカップに出場中のマレーシアは、タイを相手にPK戦で勝利し、対タイ戦の無敗記録を6に伸ば巣と共に、決勝進出を決めています。1995年にU23代表が参加して以来、27年ぶりの出場となったマレーシアは、もう一つの準決勝でトリニダード・トバゴを2-1でくだしたタジキスタンと1978年以来5度目の優勝を賭けて、9月25日に対戦します。

この日のマレーシアはFWにダレン・ロック(PJシティ)、サファウィ・ラシド(JDT)、ファイサル・ハリム(トレンガヌ)、MFはラヴェル・ゴービン=オンとアリフ・アイマン(いずれもJDT)が左右両サイド、精巣腫瘍の治療から1年ぶりの復帰となったブレンダン・ガン(スランゴール)とやはり久し振りの代表復帰となったアザム・アジー(スリ・パハン)が中央で縦に並び、DFはクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)、この日はキャプテンを務めたディオン・クールズ(チェコ1部FKヤブロネツ)、マシュー・ディヴィーズ(JDT)の3-4-3のシステムで試合に臨みました。

アウェイということもあり、慎重に試合に入ったマレーシアに対し、タイは試合開始から積極的に仕掛け、マレーシアは自陣に押し込まれる転換が続きました。しかし15分に負傷のチャナティップ・ソングラシン(川崎フロンターレ)が交代退場すると、マレーシアは徐々に前線にボールを運べるようになりはじめます。そして、32分には右サイドのサファウィ・ラシドからのクロスをラヴェル・コービン=オングが押し込み、JDTコンビが先制点を挙げて、マレーシアがリードします。

マレーシアがリードを守って前半を終えたものの、後半に入ると再びタイが優勢となりましたが、そこに立ちはだかったのがマレーシアGKのシーハン・ハズミでした。タイFWと一対一になる場面が何度かありながら、ことごく相手のシュートを弾き返し、このまま1-0でマレーシアが逃げきるかと思われたロスタイムに、アザム・アジーがペナルティーエリアのすぐ外でピティワ・スクジッタムマクー(BGパトゥム・ユナイテッド)を倒してFKを与えてしまします。しかもアザム・アジーはこの試合2枚目のイエローで退場となり、マレーシアは10人となってしまいます。そしてピティワ・スクジッタムマクー自身が蹴ったFKにパンサ・ヘーミボーン(ブリーラム・ユナイテッド)が頭であわせたシュートが決まり、土壇場でタイが試合を振り出しに戻りました。

両チームとも追加点がないままロスタイムを終えた試合は、大会規定によりPK戦となりました。PK戦に入ると、先攻のマレーシアはディオン・クールズ、途中出場のシャフィク・アフマド(JDT)、マシュー・ディヴィーズ(JDT)、やはり途中出場で代表戦初出場となったデクラン・ランバート(KLシティ)と4人が連続でPKを決めると、タイもパタムポール・チャロエンラタナピロム(BGパトゥム・ユナイテッド)、スパナット・ムエアンタ(ブリーラム・ユナイテッド)、クリサダ・カマン(チョンブリー)まで3人が連続で決めて一歩も譲りません。しかしこの日はいわゆる「ゾーン」に入っていたマレーシアGKシーハン・ハズミがタイの4人目スパチョーク・サラチャートのシュートを止めてマレーシアが4-3とリードし、マレーシアの5人目、ラヴェル・コービン=オングのPKを決め、マレーシアがPK戦を5-3で制し、決勝進出を決めています。

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この試合のマンオブザマッチMOMは、マレーシアGKシーハン・ハズミでしょうが、個人的にはブレンダン・ガンの存在感の大きさを感じました。昨年6月のFIFAワールドカップ2022アジア二次予選以来の代表復帰となったブレンダン・ガンは、マレーシアでNo. 1のボックストゥボックスプレーヤーの評判が全く褪せていないことを証明してくれました。また、やはり久し振りの復帰となったアザム・アジーはヒザのケガが完治していないのか、今一つ動きが悪い場面も見られ、その結果がイエロー2枚となってしまった印象です。それでもこの復帰組の2人は来年のAFCアジアカップには欠かせない選手であるのは間違い無いでしょう。

キングズカップ2022
2022年9月22日@700周年記念スタジアム(タイ、チェンマイ)
タイ 1-1 マレーシア(PK3-5)
⚽️タイ:パンサ・ヘーミボーン(90+5分)
⚽️マレーシア:ラヴェル・コービン=オング(32分)
(下はこの試合の両チームの先発メンバーとハイライト映像。ハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。)


キングズカップのもう1試合はタジキスタンがトリニダード・トバゴを逆転で破り、決勝に進出し、マレーシアと優勝をかけて戦います。一方のトリニダード・トバゴはタイとの3位4位決定戦にまわります。

キングズカップ2022
2022年9月22日@700周年記念スタジアム(タイ、チェンマイ)
トリニダード・トバゴ 1-2 タジキスタン
⚽️トリニダード・トバゴ:ジュダ・ガルシア(27分)
⚽️タジキスタン:ムハンマジョン・ラキモフ(47分)、エフサン・パンジュシャンベ(75分)
(下はこの試合ハイライト映像。ハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。