2025/26スーパーリーグの今季最終節となる第26節の6試合が5月15日から17日にかけて行われています。前節で2位に浮上したクチンシティと勝点差1でこれを追うスランゴールの2位争いは最終節まで絡れ込んでいましたが、クチンシティが4位のクアラルンプールシティとの接戦を制し、クラブ史上初となる2位となるとともに、来季2026/27シーズンのACL2出場権を獲得しています。
なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第26節はジョホール・ダルル・タジムの試合はありません。(試合のハイライト映像は、注がない限りマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより)
ペナンが最終戦で8試合ぶりの勝利
ホームのペナンが1月14日以来、8試合ぶりの勝利を挙げ、今季を8位で終えています。開幕から6試合目で今季初勝利を挙げるなど、当初から苦しいシーズンとなったペナンでしたが、他クラブが成績不振を理由に次々と監督を解任する中で、昨季途中に就任したワン・ロハイミ監督は一時はリーグ最下位に低迷するも、最後まで指揮をとっています。試合後の会見ではワン・ロハイミ監督、昨季から95%の選手が入れ替わった新チームについて、昨季の10位から成績が改善したこともあってか、賞賛に値するとも述べています。シーズン中に給料未払いが明らかになるなど、ピッチ外での問題があった事を考えると、ワン・ロハイミ監督の賞賛は必ずしも的外れではないのかもしれません。
一方、16年ぶりにマレーシアリーグに復帰し、終盤は6試合未勝利のまま10位に終わったDPMMのジェイミー・マカリスター監督は、チームの得点30に対して失点57となった今季を振り返り、戦術が徹底できなかったことに加えて、1試合平均2.4という守備陣の強化を来季の課題と話していました。
なおDPMMは、今季最終戦にも出場したCBジョーダン・ロドリゲス(ブラジル) 、MFイブラヒム・サリー(ガーナ)、元マレーシア代表FWシャフィク・アフマド、同じマレーシア人のSBファイルズ・ザカリア、そして190cmの長身FWクリスチャン・イロビソ(ナイジェリア)の以上5選手の退団を試合後に発表した他、インドネシア代表で今季は4ゴール3アシストの成績を残したFWラマダン・サナンタも退団することが明らかになっています。
マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月15日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 2-1 DPMM
⚽️ペナン:ディラン・ウェンゼル=ホールズ(58分)、ステファノ・ブルンド(83分)
⚽️DPMM:ジョーダン・マレー(41分)
ペナンの鈴木ブルーノ選手はこの試合はベンチ外でした。
2度の監督交代も効果なし-トレンガヌは5位で今期終了
今季ジョホールと引き分け、全勝優勝を阻んだトレンガヌは4位から勝点差7の5位でシーズンを終えています。
過去5シーズンを3位、4位、2位、6位、5位と上位に迫る勢いを見せていたトレンガヌは、昨季途中から暫定監督として指揮をとっていたバドロル・アフザン氏が成績に監督に就任し、トップ3入りを今季の目標にスタート。しかい開幕直後こそ上位争いに絡むも、第10節に5位まで落ちると、そこからは上昇することなく、前半戦終了とともにバドロル監督は解任され(トレンガヌU20監督へ転籍)、テンク・ハズマン コーチが暫定監督に就任しました 。しかしテンク・ハズマン代行監督も7勝4分5敗と爆発的な成績は残せませんでした。特にジョホール、クチン、スランゴールの上位3チーム相手にいずれも1勝1分としながら、取りこぼしも多く、その結果、4位のクアラルンプールとの勝点差7では、上位進出は遠い目標でした。
シーズン終盤には、過去数シーズンのクラブ運営による負債を理由に来季の1部スーパーリーグを撤退する可能性が報じられましたが、こちらはシーズン終了後にクラブを運営するトレンガヌ州サッカー協会が1部残留を明言しています。ただし、来季のクラブが最優先するのは積み上がった負債の整理とクラブ運営の仕組みの再編成となることも併せて発表されています。トレンガヌ州サッカー協会のアフマド・シャーリザル・ヤハヤ事務局長は、今後は地元出身選手の育成など「持続可能なクラブ運営」となることについてサポーターに理解を求めたいと述べています。
この試合の指揮をとった元マレーシアU19やU23代表監督の経験もあるフアン・トーレス監督が今季3人目の監督となったサバも、苦しいシーズンを送りました。過去3シーズン続けて3位と安定した力を見せていましたが、その原動力となっていたオン・キムスゥイ氏が昨季途中にインドネシア1部のプルシス・ソロ監督就任のため退団。今季はジャン=ポール・ド・マリニー新監督が就任してスタートしました。しかし開幕からの10試合を2勝4分4敗、マレーシアカップも昇格組のマラッカ相手に1回戦で敗れると、マリニー監督が辞任してしまいます。コーチから昇格したアルト・リナス代行監督も、シーズン途中にマレーシア代表MFスチュアート・ウィルキン、新加入ながらチーム得点王として13試合で8ゴールを挙げていたFWアイディン・ムヤギッチの両主力をいずれも王者ジョホールに引き抜かれ、さらにトーレス監督となった後も9試合を2勝3分4敗と浮上の兆しは見えませんでした。
マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月15日@リカス・スタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 0-1 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:シェルヴォニ・マバツショエフ(81分)
今季初昇格のイミグレセンは6位と健闘
いずれも今季が初の1部スーパーリーグ昇格となった両チームの対戦は引き分けに終わっています。
今季1部初参戦のイミグレセンは、下部リーグ時代に使用していたスタジアムがスーパーリーグの規定を満たしていないことから、ペナン州立スタジアムを新たな本拠地として開幕しました。スーパーリーグの多くのクラブのように州のサッカー協会と密接に関係するわけではなく、マレーシア入国管理局(イミグレーション)のクラブが母体のチームは、その後、照明施設の不備を理由に途中からプルリス州のトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムへと本拠地を移すなど、バタバタとしたシーズンになりました。ジョホール、クチン、スランゴールのトップ3チームに相手では未勝利でしたが、それ以外の相手には9勝5分4敗と勝ち越し、初年度で6位という好成績でシーズンを終えています。
なお今季終了後には、入国管理局を統括するマレーシア内務省のセイプディン・ナスティオン・イスマイル大臣は、来季はクラブの名称変更を含めたリブランディングを行うことを発表しています。新たな本拠地となったトゥンク・サイド・プトラ・スタジアムのあるプルリス州や隣接するクダ州のマレーシア北部には現在、スーパーリーグでプレーするクラブがなく、そういった地域のサッカーファン獲得のためのリブランディングであるとも説明しています。
そのイミグレセンと引き分けた同じく今季1部初参戦のマラッカは、マレーシア2部に当たるA1セミプロリーグの昨季の優勝チーム。チームを1部昇格に導いたK・デヴァン監督がそのまま今季も指揮を取りましたが、前半戦を12位で終えると、そのデヴァン監督は辞任しています。終わってみれば、昨季はA1セミプロリーグで優勝を争ったイミグレセンの勝点32に対して、マラッカは同19と大きく引き離された初の1部リーグとなりました。なお24試合でわずか18ゴールしか挙げられなかったことに加え、得点を挙げられなかった試合が全試合の半数に当たる12試合と得点力アップが来季の課題となります。
マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月16日@トゥンク・サイド・プトラ・スタジアム(プルリス州カンガー)
イミグレセン 1-1 マラッカ
⚽️イミグレセン:ファイヤド・ズルキフリ(46分)
⚽️マラッカ:ディノ・カレシッチ(69分)
ヌグリスンビランは終盤失速して7位
ジョホールとの開幕戦では敗れたものの3ゴールを挙げ(今季のジョホールの1試合最多失点)、スランゴールを2-1で破り、クチンと引き分けるなど、今季の「台風の目」との前評判に違わぬスタートを切ったヌグリスンビラン。しかし第4節以降は3勝5分6敗と勝ちきれない試合が続くと、ニザム・ジャミル監督への風当たりも強くなり、結局、辞任に追い込まれます。コーチから昇格したK・ラジャン代行監督の元では、DF大城蛍、MF平野佑一らをシーズン途中で補強、2勝5分と無敗ながらもリーグ下位のチームと引き分けるなど決め手を欠いた結果、7位で今季を終えています。
マレーシアリーグでは初となる1チームに同時の4名の日本人選手が所属したヌグリスンビランですが、今季最終戦終了後には大城、平野両選手に加えて、来季がチーム3シーズン目となるMF佐々木匠、そしてボスニア出身のFWヨバン・モティカの外国籍選手4名との契約更新が行われたことが発表されています。残る常安澪選手については、今季最終戦では先発して今季4点目となるゴールを決めたものの、外国籍選手の出場枠などもあり先発はわずか2試合にとどまったこともあり、退団が濃厚です。
またこの試合に敗れて12位に終わったクランタンは、4ヶ月に及ぶ給料未払いが続く中でのシーズンとなり、この試合後にも外国籍選手も含めた選手たちの窮状を訴えていました。
マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月16日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-1 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ
⚽️ヌグリスンビラン:クザイミ・ピー(9分)、常安澪(12分)
⚽️クランタン:アスラフ・アリフディン(28分)
ヌグリスンビランの大城蛍、平野佑一両選手は先発してフル出場、常安澪選手は先発して63分に佐々木匠選手と交代しています。佐々木匠選手は試合終了までプレーしています。
スランゴールは大勝も逆転2位ならず
2位クチンを勝点差2で追う最終節を迎えたスランゴールは、今季は伸び悩み、ブーイングを受けることもあったMFムカイリ・アジマルが自身初となるハットトリックを決めるなど、最下位のPDRMを相手に6点を挙げて大勝しましたが、クチンも勝利したため勝点差は埋まらず、昨季の2位から一つ順位を下げて今季は3位でシーズンを終えています。
昨シーズン途中に就任した喜熨斗勝史監督に期待を託してスタートした今季は、開幕からの5試合を2勝3敗とスタートダッシュに失敗すると、クラブはあっさりと喜熨斗監督を解任し、クリストファー・ギャメル代行監督を経て、前マレーシア代表監督のキム・パンゴンを招聘しました。
今季ホーム最終戦でもあったこの日の試合後にをサポーターに謝罪したキム監督でしたが、キム監督就任以来、スランゴールはリーグ戦は11試合連続無敗(8勝3分)でシーズンを終えています。ただし無敗とは言え、下位のサバとマラッカに引き分けたことが、取りこぼしがほとんどなかったクチンの勝点を上回ることができなかった原因でもあります。
3季連続の2位を逃したすらんごーるですが、来季に向けては、現在、ベトナム1部ハノイ公安でプレーしているブラジル出身のマレーシア代表帰化選手MFエンドリッキ、今季はクランタンでプレーした元マレーシア代表MFアザム・アジー、そしてキム監督がマレーシア代表監督時代に初招集したWGアディブ・ラオプ(ペナン)らの補強に動いているという報道もあります。
マレーシアスーパーリーグ2025/26 第26節
2026年5月17日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 6-0 PDRM
⚽️スランゴール:ムカイリ・アジマル3(8分、49分、89分)、アルヴィン・フォルテス2(27分、29分)、アリフ・イズワン(53分)
クチンがクラブ史上初の2位とACL2出場権獲得
1部スーパーリーグ昇格3シーズン目のクチンシティが、スランゴールとの2位争いを制して来季2026/27シーズンのACL2出場権を獲得しています。
初年度の13位から昨季の4位へと大躍進を果たし、昨季の最優秀監督賞を受賞したシンガポール出身のアイディン・シャリン監督が作り上げたのは、リーグ2位となる14失点(1位はジョホールの10点)の守り切るチーム。マレーシアリーグ6年目となる谷川由来とキャプテンのジェイムズ・オクウサの両CBと代表GKハジク・ナズリがこの試合でも、クアラルンプールシティの攻撃を封じています。また攻撃陣では今季代表デビューを果たしたFWラマダン・サイフラー、スランゴールから移籍して主力選手として活躍したWGダニアル・アスリの成長も躍進に貢献しています。
一方のクアラルンプールは、チーム得点王のマレーシア代表FWサファウィ・ラシドと守備の要CBジャンカルロ・ガリフオコの両選手が警告累積による出場停止となっていたことに加え、通算クラブ最多ゴール記録を持つ「ミスター・クアラルンプール」ことパウロ・ジョズエはチームと帯同しておらず、ベストメンバーとは言えない布陣でした。
マレーシアスーパーリーグ2025/26 第25節
2026年5月17日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
クチンシティ 1-0 クアラルンプールシティ
⚽️トレンガヌ:ジェローム・ムパコ・エタメ(29分)
クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。
2025/26マレーシアスーパーリーグ最終順位表
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 | |
| 1 | ジョホール | 24 | 23 | 1 | 0 | 117 | 10 | 107 | 70 |
| 2 | クチンシティ | 24 | 16 | 5 | 3 | 45 | 14 | 31 | 53 |
| 3 | スランゴール | 24 | 15 | 4 | 4 | 59 | 20 | 39 | 52 |
| 4 | クアラルンプール | 24 | 12 | 7 | 5 | 40 | 29 | 11 | 43 |
| 5 | トレンガヌ | 24 | 10 | 6 | 8 | 39 | 34 | 5 | 36 |
| 6 | イミグレセン | 24 | 9 | 5 | 10 | 38 | 43 | -5 | 32 |
| 7 | ヌグリスンビラン | 24 | 6 | 11 | 7 | 39 | 35 | 4 | 29 |
| 8 | ペナン | 24 | 6 | 7 | 11 | 26 | 41 | -15 | 25 |
| 9 | サバ | 24 | 5 | 8 | 11 | 29 | 44 | -15 | 23 |
| 10 | DPMM | 24 | 6 | 5 | 13 | 30 | 57 | -27 | 23 |
| 11 | マラッカ | 24 | 4 | 7 | 13 | 18 | 45 | -27 | 19 |
| 12 | クランタン | 24 | 4 | 3 | 17 | 17 | 63 | -46 | 15 |
| 13 | PDRM | 24 | 2 | 5 | 17 | 17 | 79 | -62 | 11 |
2025/26スーパーリーグ最終得点ランキングトップ10
| 得点 | 選手名 | 所属 | |
| 1 | 27 | ベルグソン・ダ・シウバ | ジョホール |
| 2 | 23 | クリゴール・モラレス | スランゴール |
| 3 | 14 | ジャイロ・ダ・シウバ | ジョホール |
| 4 | 13 | サファウィ・ラシド | クアラルンプール |
| 13 | ロナルド・ンガ | クチン | |
| 6 | 11 | *アイディン・ムヤギッチ | ジョホール |
| 11 | ウィルマー・ホルダン | イミグレセン | |
| 8 | 10 | エドゥアルド・ソーサ | イミグレセン |
| 10 | ジョセフ・エッソ | ヌグリスンビラン | |
| 10 | ディラン・ウェンゼル=ホールズ | ペナン |
