4月15日のニュース:選手会は給料削減の前に未払い給料問題を解決することを求める、JDTオーナーも選手会の主張を支持、「八百長」の心配はない-FAM

選手会は給料削減の前に未払い給料問題を解決することを求める
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版によると、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは未払い給料問題を抱えるクラブに対して、所属選手の給料削減を検討する前に未払い給料を完済するべきであると主張しています。
 活動制限令MCOが4月28日まで延長されたことを受け、国内リーグ各クラブが給料削減交渉を活発化させることが予想されますが、PFAMは契約内容の遵守を原則とした上で、MFLのクラブに対して以下の2つの条件を提示しています。
1. 未払い給料問題を抱えるクラブは、リーグ中断を理由として選手と給料削減交渉を行う前に未払い給料を完済すること。
2. 各クラブが給料削減交渉を行う際は、各選手の給料が異なることを考慮し、全選手に同一の削減案を提示するのではなく、各選手と個別に削減額について話し合うこと。
 MFL1部のPJシティーFCでプレーするPFAMのサフィ・サリー会長は、選手と事前に交渉を行わずに給料削減を行なったクラブが複数あるという情報を得ているとして、マレーシアサッカー協会FAMや国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLに対して、クラブと選手の間の交渉が誠実に行われるよう監視するよう求めています。
 「(新型コロナウィルス発生以前の)給料未払い問題を抱えているクラブは、未払いの給料が完済できない口実として新型コロナウィルスを利用し、その上、さらに給料削減を行おうとしている。しかもそういった給料未払い問題を抱えているクラブが、リーグ中断期間中の給料削減に関して最も声高に主張しているのは皮肉なことである。」と述べるサフィPFAM会長は、さらに「給料が決して高額ではない選手が数ヶ月に渡って給料が支払われていない場合、その選手に対してさらにクラブが給料削減を行ったらどうなるかを想像して欲しい。そういった選手は家や車など生活に必要な多くのものを失うことになるだろう。」と話しています。

JDTオーナーも選手会の主張を支持
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMの主張を支持するように、国内リーグ1部で7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTのオーナーであるジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下も、JDTの公式Facebook上で給料未払い問題を抱えるクラブはまず、その問題を解決してから給料削減を行うべきであると述べています。
 イスマイル殿下は、国内リーグでプレーする大半の選手は新型コロナウィルス感染拡大によって運営が苦しくなったクラブと給料削減について協力する用意があるとする一方で、クダFA、ケランタンFA、マラッカ・ユナイテッド、ペナンFAなど具体的なクラブ名を挙げた上で、未払い給料問題を抱えるクラブは給料削減を行う前に未払い給料を完済するべきであるというコメントをFacebook上で行っています。
 「大半のクラブはその運営資金全額を州政府から配分されているはずで、そういったクラブが給料未払い問題を抱えている理由が理解できない」として、クラブが州政府の重荷になってはいけないと話しています。
******
 国内リーグ1部や2部でプレーするクラブの大半が州サッカー協会によって運営され、州サッカー協会(州FA)のトップは州知事、クラブの最大のスポンサーが州政府、という現在の状況が続く限り、今年3月末に起きたような政変で州議会内での与党、野党が変われば州FAのトップも変わり、長期的な視野でのクラブ運営を行うことは今後も難しいでしょう。また今回のようにイスマイル殿下が正論を吐けるのは、自らがオーナーを務めるJDTがその財源を州政府に依存せず、ジョホール王室からの資金で運営されているからです。(写真はイスマイル殿下の投稿-JDTの公式Facebookより)

「八百長」の心配はない-FAM
 先日のこのブログでは、給料未払いに加えて国内リーグ中断による給料削減が行われようとしているマレーシアサッカー界には、「八百長」が起きやすい環境が整いつつある、という記事を取り上げました。
 しかしマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長によれば、昨年以来、「八百長」と疑われる試合は起きていないと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 2018年に就任したラマリンガム事務局長は、自分が就任以来、八百長の疑いがもたれた件が2件あったものの、いずれも八百長ではないと裁定されているそうです。
 かつてマレーシアやシンガポールは八百長試合など不正工作の温床とされていましたが、近年は状況が変わっており、アジアサッカー連盟AFCも過去6年間でアジアでの八百長試合が減少していることを公表しています。
 なおFAMは各州FAの不正防止員会を通じてマレーシア警察やマレーシア政府汚職防止委員会と協力して八百長試合が起こらないよう監視している他、異常な賭け率変動がないかを監視するために国際サッカー連盟FIFAの早期警戒システムEWS社と契約しています。
******
 マレーシア国内でのサッカー賭博は非合法ですが、国際的にはオンライン賭博の対象となっており、八百長が起こる可能性は常に存在します。FAMが契約しているEWS社は世界中の賭博事業者と提携し、各国の試合の掛け率などを24時間監視しています。そしてマレーシア国内での試合の掛け率の急激な変動など、不正操作の可能性がある場合には、即座にFAMに警告が通知される仕組みになっています。

4月14日のニュース:現在の状況が「八百長」につながる可能性を元MFLクラブ監督が警告、代表FWがタイで告訴される

現在の状況が「八百長」につながる可能性を元MFLクラブ監督が警告
 英字紙ニューストレイトタイムズ電子版は、新型コロナウィルス感染収束後にリーグが再開される時期には「八百長」試合が行われる可能性があると危惧する記事を掲載しています。
 マレーシア国内リーグではこれまでも、給料の遅配や給料未払いに苦しむ選手の中から金のために八百長に加担する選手が出る歴史が繰り返されてきましたことから、今回のリーグ中断による収入源から各クラブが選手の給料削減を行った場合、報酬を持ちかけるブッキー(八百長の仲介者)につけ込まれる選手が出る可能性があるとしています。
 マレーシアでは1994年に21人の選手とコーチが解雇、58人が出場停止、さらに126人が警察の捜査を受けるという大規模な八百長事件が発生しています。
 現在でもマレーシアのサッカー界には腐敗は存在している一方で、リーグ関係者の多くがこの話題に触れることを避けていると報じるニューストレイトタイムズは、ジョホールFA(現ジョホール・ダルル・タジムJDT II)、ペラTBGやケランタンFAなどで監督の経験があるスティーブ・ダービー氏とのインタビューし、ダービー氏の八百長体験を掲載ています。
 イギリス人のダービー氏がまず語ったのはジョホールFA時代に初めて経験した八百長試合の話です。ある試合でハーフタイムとなり、ピッチから引き上げようとしていたところに相手チームの外国籍選手が近づいてきて、この試合はジョホールFAが2-0で勝つ、と告げたそうです。なぜそんなことがわかるのかと尋ねたダービー氏に対して、自分はマレーシア語が理解できると答えたそうです。実際にその試合では84分と89分にジョホールFAがゴールを決め、本当に2-0で勝利しました。自分のチームが勝てばそれを喜び、当初それを八百長を疑うことはなかった、と話すダービー氏は、やはり自分のチームが勝った別の試合では、相手のGKは目立ったミスをしなかったものの、ポジショニングが悪い上に、シュートはキャッチせずパンチングで凌ぎ、しかもそのパンチングしたボールは自分のチームのチャンスになる場面も目撃したと語っています。
 またダービー氏は1人のマレーシア人選手から聞いた話として、ブッキーはクラブの外の人間では知り得ない給料の額などの個人情報を知っており、例えば給料が3000リンギ(およそ75000円)の選手がおり、その選手の給料が2ヶ月遅配となっているときに、10000リンギ(およそ25万2000円)の報酬で八百長を持ちかけてくるケースがあるとしています。そしてもし、選手が拒否すれば、母親が買い物に行く店の名前や子供の通う学校名などを具体的に出し、行動を把握していることをちらつかせ、選手が八百長加担に同意する様に仕向けるそうです。そして一旦加担すれば、「次回」があり、しかも既に加担済みという弱みを握られ報酬額も減らされてしまうと述べています。
 また数年前の話としてヌグリスンビランFAの数名の若手選手が八百長に加担していることを知り、その選手たちになぜ、クラブを運営する州サッカー協会や警察に訴えでないのかと尋ねる機会があった際には、八百長に関わっているのが誰なのかも、どの地位にいる人間かも分からないの上、自分の親に借金があったり、子供のために金が必要な場合には、そんな倫理を無視せざるを得ないときもあるときもあるという答えが返ってきたそうです。
 さらにペラTBGの監督時代には選手から八百長を持ちかけられたことを聞かされたダービー氏は、その選手がブッキーと一緒に写っている写真を添えて、ペラTBGを運営するペラ州サッカー協会PAFAに報告し、PAFAはマレーシアサッカー協会FAMと警察に報告したものの、FAMは何も行動を起こさず、警察もダービー氏に事情聴取を行ったものもそれ以上の捜査はなかったことも明かしています。
 自分が監督するチームの11試合で八百長が行われたと考えるダービー氏は、そのうちの一つとしてケランタンFAの監督時代の2014年にAFCカップで対戦したベトナムのビッサイ・ニンビンFC戦を挙げています。(筆者注:この試合で八百長を行ったビッサイ・ニンビンFCの選手はベトナムの裁判所により有罪判決を受け、クラブはこの2014年シーズンをもって解散しています)
 この他、審判の買収はも八百長の方法の一つであり、マレーシア国内リーグにはブッキーに買収されている審判もいるという根強い噂があると指摘するダービー氏は、試合中にブッキーが審判に合図を送っている映像などをみたことがあり、これもFAMに報告したものの、やはり何の行動も起きなかったとしています。
 この記事の最後で、ダービー氏は八百長を完全に防ぐことは難しいとしながらも、次の様な手段でそれを減らすことは可能であると述べています。
・選手の給料をきちんと払うこと-未払いや遅配はブッキーがつけ込む機会になる。
・特に若い選手に対して八百長を行わないよう教育する-若い選手は買収するのにかかる費用が安い上、誘惑に負けやすい。
・報酬を理由に八百長に関わった選手は永久追放し、指導者やフロントとなってもあらゆるサッカー活動に関わらせない。
・マレーシア国内でのサッカー賭博の合法化
・選手に接触する手先の小物ではなく、八百長を企てる大物の逮捕
******
 上で取り上げられている1994年の八百長事件以外にも、最近で言えば2018年2月には当時MFL2部のサラワクFAの2選手とブッキーが逮捕された件の他、アマチュアリーグでもここ数年、何度か発覚しています。上の記事でインタビューに答えているダービー氏は、八百長とは単に試合の勝ち負けやゴール数だけではなく、試合の後半にレッドカードが出るかどうかなども賭けの対象となりうると話しており、多くの関係者が気づかないところで現在も八百長が行われている可能性は否定できません。
 また東南アジアでサッカーの八百長と言えば、マレーシアやシンガポールがその中心と言われることが多いのですが、この地域で八百長の黒幕として知られ、既に有罪判決を受けたシンガポール人のウィルソン・ラジ・プルマルが書いたKelong Kingsという本には、国際試合で行われた八百長や審判を買収しての買収などが詳細に書かれています。興味がある方はこのKelong Kingsの公式サイトでその一部を見ることもできます。

代表FWがタイで告訴される
 昨日のこのブログで取り上げた、タイ1部リーグでプレーするマレーシア代表のノーシャルル・イドラン・タラハが、今度はタイの代理人に告訴されたと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 当初はノーシャルル選手がタイ1部リーグのBGパトゥム・ユナイテッドと契約する際に代理人契約を交わしたシンガポールのOffside Sports社のアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏との連絡が取れなくなっているとする記事が出て、その続報としてアブドル・ハリム氏がノーシャルル選手が自分と代理人契約をする前にタイで代理人業務を行うPro 24社と契約をしていたとして、ノーシャルル選手を非難、これをノーシャルル選手が否定しているという記事が出ました。そして今度はPro 24社がノーシャルル選手を契約違反で告訴されるという事態に発展しています。
 ニューストレイトタイムズの記事では、BGパトゥム・ユナイテッドへの移籍の際、ノーシャルル選手はPro 24社とOffside Sports社の両方と代理人契約を交わしたとされており、Pro 24社はノーシャルル選手は信用するに足らないとし、今後は話し合いをする予定はないとしています。なお、記事によれば、この訴訟が解決するまでノーシャルル選手はタイを出国できないとされています。
******
 選手の移籍などの情報が詳しいドイツのサッカー情報サイト、トランスファーマルクでは、ノーシャルル選手の代理人はPro 24社となっています。代理人と連絡が取れなくなり、新型コロナウィルス感染拡大と何か関係があるのでは、として取り上げたこの話題でしたが、結局は二股をかけたノーシャルル選手が不誠実だった、という単純な話だったようです…。

4月13日のニュース:選手会はクラブに誠実な話し合いを求める、タイでプレーする代表FWの代理人が音信不通に 、音信普通とされた代理人は代表FWに反論(続報)

選手会はクラブに誠実な話し合いを求める
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの選手はクラブと契約の見直しについて話し合いをする用意があるとして、選手の同意なしに契約内容を変更しないようクラブ側に警告しています。
 英字紙スター電子版によると、PFAMのイズハム・イスマイルCEOは、選手との契約をクラブが一方的に改編することはできないことを理解した上で、先日、FIFAが発表した新型コロナウィルス感染拡大に伴う契約見直しの指針を参考に、クラブは選手とともに契約内容の見直しについて真摯に話し合うべきであると述べ、PFAMはクラブが選手と自由に交渉することを認めています。
 選手はクラブと給料削減についての交渉の席につくべきではないという主張をこれまで繰り返してきたPFAMは、選手に給料削減を強制しているのではなく、クラブとの間で両者が合意できる様な解決を目指すべきと主張するマレーシアサッカー協会FAMと対立していましたが、PFAMは今は争う時期ではないとして、クラブに誠実に話し合うことを求めています。
******
 4月14日までとされていた活動制限令MCOが4月28日まで延長することがマレーシア政府から発表され、既に延期が決まっていたMFL第5節と第6節に加えて第7節から第9節までの延期も確定したことから、PFAMも軟化したしたのかも知れません。
 ただしマレーシア政府はMCO期間中の給料削減や解雇は認めないとしており、プロサッカー選手だけにその権利を認めないわけにいかないことから、FAMには交渉による合意を勧めることしかできません。同様の措置をとっている英国政府が選手に給料削減の受け入れを求めたことに対して、選手会はダブルスタンダードであると反発しており、FAMが強硬な姿勢を取れば、PFAMも態度も再び態度を硬化させる可能性があります。

タイでプレーする代表FWの代理人が音信不通に
 今季から隣国タイでプレーするノーシャルル・イドラン・タラハは、新型コロナウィルス感染拡大とともに自分の代理人と音信不通になったと話していると、英字紙ニューストレイトタイムズに語っています。
 マレーシアフットボールリーグMFLで13年間プレーしたノーシャルル選手は、今季からタイ1部リーグのBGパトゥム・ユナイテッドでプレーしていますが、タイ1部リーグは5月2日まで中断となっており、これに伴いクラブが給料削減について選手と交渉を始めたことから、代理人と相談ををしようとしたところ、連絡が取れなくなっているようです。
 「マレーシアと同様にタイでもクラブと選手が給料削減について交渉をするよう促されており、その相談のために代理人に何度も電話を入れたが、返事もメッセージもなく、その理由が不明である」と話すノーシャルル選手は、数日前にその代理人がマレーシアではシンガポール出身の選手が高く評価されている、というこの代理人のコメントをメディアを読んだとして、ケガや病気で連絡が取れないのではないことはわかっていると話し、「もし彼がこの記事を読んでいたら、連絡が欲しい」と訴えています。
******
 ノーシャルル選手が言及しているシンガポール選手の記事は、このブログでも取り上げたMFL公式サイトの記事を指すと思われますが、そこに登場する代理人はアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏なので、このアブドル・ハリム氏とノーシャルル選手との間で何らかのトラブルが起こっているのかも知れません。

音信普通とされた代理人は代表FWに反論(続報)
 上の記事が出た翌日のニューストレイトタイムズに続報が掲載されました。
 ノーシャルル選手の代理人(正確には元代理人)のアブドル・ハリム氏が自分の知らないところで、ノーシャルル選手が新たな代理人と契約したと話していることに対して、ノーシャルル選手はその内容を否定しているという内容です。
 ノーシャルル選手は、アブドル・ハリム氏が取締役を務めるOffside Sports社との契約を解除し、タイで代理人業務を行なっているPro 24社と新たに代理人契約を結んだことを認めていますが、その契約変更については、アブドル・ハリム氏自身が直接、クラブを話しをすることを了承し、何も問題はないはずであると述べています。さらにノーシャルル選手が所属するBGパトゥム・ユナイテッドがアブドル・ハリム氏に報酬を支払っていないと主張している点についても、クラブからは支払済だと聞いていると話し、この件については円満に解決することを望んでいるとしています。
 一方アブドル・ハリム氏は、自分がBGパトゥム・ユナイテッドとノーシャルル選手の契約をまとめようとしたところに、Pro 24社の代理人が現れたとしています。そしてノーシャルル選手との契約書を自分に見せた上で、クラブとの契約を完了したとし、そのためにアブドル・ハリム氏には報酬は渡らなかったと話しています。さらにノーシャルル選手は自分と契約をする前に、既にPro 24社と契約しており、契約書にサインする段階でPro 24社が現れて騒動になったとし、一連の騒動でノーシャルル選手に対して失望したと話しています。。
******
 この続報を読むと、ノーシャルル選手とアブドル・ハリム氏との間で泥仕合の様相ですが、タイリーグでは開幕戦の第1節と第2節にはいずれも先発しながら、第3節ではベンチ入りも出場なし、第4節ではベンチ入りすらなかったことは、この騒動が艦型しているのかも知れません。
 マレーシア代表の主力選手としては初めてタイリーグへの移籍を実現させたノーシャルル選手が、リーグ再開後に問題なくプレーできるよう、この騒動の早期解決を望みたいでう。

4月11日のニュース:MFLの東南アジア枠選手はシンガポール出身が最多、スランゴールFC監督もシンガポール出身選手に高評価

MFLの東南アジア枠選手はシンガポール出身が最多 
 マレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトでは、MFL1部スーパーリーグの東南アジア枠でプレーする選手を取り上げて特集しています。MFL1部のクラブは最大5人の外国籍選手を登録することができ、その中にはアジア枠1人、東南アジア枠1人が含まれています。
 文化的にも言語的にもマレーシアと似通っているいることから、東南アジア枠の選手獲得を考える多くのMFLクラブがまず検討するのがシンガポールである、と話すのは選手のエージェント業務を行なっているアブドル・ハリム・アブドル・シュコル氏です。シンガポールは1965年に離脱し独立するまではマレーシアの一部でしたが、独立後もシンガポールチームは2015年シーズンまではマレーシア国内リーグでプレーしていたことから、両国のサッカーの歴史や文化は似通っており、他の東南アジアの国々出身の選手に比べると、シンガポール出身の選手はマレーシアの環境に適応しやすいだろうとアブドル・ハリム氏は話しています。
 MFL1部スーパーリーグにシンガポール出身の選手はジョホール・ダルル・タジムJDTの主将ハリス・ハルン、クダFAのシャキル・ハムザ、スランゴールFCのサフワン・バハルディン、トレンガヌFCのファリス・ラムリ、そしてフェルダ・ユナイテッドのカイルル・アムリ・カマルの5名が在籍しています。
 スーパーリーグの東南アジア枠選手には、この他にタイ出身のナルポン・ワイルド(マラッカ・ユナイテッド)、アナウィン・ジュジーン(PJシティFC)、デニス・ブシェニング (サバFA)、フィリピン出身のアダム・リード(パハンFA)、マーク・ハートマン(UITM FC)、カンボジア出身のチエリー・チャンタ・ビン(ペラTBG)おり、PDRM FCは東南アジア枠を使っていません。また、クダFAはフィリピン出身のアミン・ナザリをアジア枠で登録しています。
(写真はMFL公式サイトより)

スランゴールFC監督もシンガポール出身選手に高評価 
 上の記事とは別に、マレーシアの通信社ブルナマはスランゴールFC監督がシンガポール出身の選手を高く評価しているという記事を配信しています。
 スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン監督は、マレーシアフットボールリーグMFLでプレーしているシンガポール出身の選手は、他の東南アジア諸国出身の選手と比べると非常に質が高いと話しています。
 その理由の一つとして、MFLでプレーするシンガポール出身の選手は全員がシンガポール代表の主力、あるいはかつて主力選手だったことを挙げています。「シンガポール出身の選手は、好不調の波がなく安定しており、ベトナムやタイの選手と比べると給料も高くない。またベトナムやタイの選手は様々な条件を出してくることもあり、文化や言語も違うマレーシアでプレーすることをさほど望んでいないのではないか」と話しています。なお、サティアナタン監督が率いるスランゴールFCの東南アジア枠の選手はシンガポール出身のサフアン・バハルデインです。
 サティアナタン監督は、性格、技術、規律の正しさ、そしてファンやメディアとの良好な関係を築く能力などを、シンガポール出身選手を好む理由として挙げています。
******
 MFLでプレーするシンガポール出身選手の代表キャップ数(カッコ内)は、カイルル・アムリ・カマル(132)、ハリス・ハルン(101)、サフアン・バハルディン(96)、ファリス・ラムリ(56)、シャキル・ハムザ(51)となっており、サティアナアン監督が指摘するように代表での経験が豊富で、タイ出身のアナウィン・ジュジーン(5)、ナルポン・ワイルド(0)、デニス・ブシェニング(0)、フィリピン出身のマーク・ハートマン(26)、アダム・リード(5)、アミン・ナザリ(2)、そしてカンボジア出身のチエリー・チャンタ・ビン(36)らのキャップ数と比べても明らかに経験が違っています。(キャップ数はウィキペディアを参考にしています)

4月10日のニュース:M4のクラブが財務状況を公開、FAMはクラブと選手がFIFAが発表した指針に従うことを求める

M4のクラブが財務状況を公開
 マレーシアフットボールリーグMFL4部にあたるM4リーグに所属するクルテーFCがクラブの公式Facebookで2019年の財務状況を公開しています。
 マレー半島東海岸にあるトレンガヌ州のクルテーを本拠地にするクルテーFCは、トレンガヌ州アマチュアリーグの2019年チャンピオンで、MFLのアマチュアリーグであるM4リーグに所属し、今季2020年シーズンのFAカップでは1回戦から登場し、MFL3部のM3リーグのノーザンライオンズFC-マーサに惜しくも敗れています。
 クラブの公式Facebookに掲載されたインフォグラフィックでは、収入の内訳はビジネス(収入全体の62%)、スポンサーからの支援(同35%)、投資(同3%)が三本柱で、さらにビジネス収入の内訳は石油とガス(ビジネス収入全体の53%)、サッカースクール(同18%)、広告(同11%)、リーグ(同11%)、グッズ売り上げ(同4%)、ライブストリーミング(同3%)となっています。
 クルテーは石油とガス供給を行う企業としてはマレーシア最大の国営企業ペトロナスのトレンガヌ州での事業拠点であり、クルテーFCの「石油とガス」関連の収入もペトロナス関連の人材供給と機材のレンタルから。また「ライブストリーミング」はトレンガヌ州のアマチュアリーグの試合の中継などから得られる収入としています。
 またクルテーFCの支出の内訳は給料及び手当(支出全体の24%)、石油とガス(同22%)、リーグ(同18%)、メディアおよび販促(同8%)、育成プログラム(6%)、トレーニング器具(4%)、その他(同18%)となっています。
 クルテーFCはトレンガヌ州のアマチュアリーグに初めて参加したのは昨季2019年シーズンからで、アマチュアリーグ参加によりクラブの支出は前年2018年と比較する2019年シーズンは164%増加したそうですが、同時期の収入も232.8%と大幅に増加し、利益率は24.1%だったことも公表しています。
******
 公開されている情報では、収支の具体的な金額は公表されていませんが、支出の内、手当と給料が占める割合が24%(MFL1部と2部のプロクラブの平均は80%以上)となっている点や、大型スポンサー1社に頼らず、複数の収入源をもつ点などはMFL1部や2部のプロクラブも見習う必要がありそうです。
(以下のインフォグラフィックはクルテーFCのFacebookより)

FAMはクラブと選手がFIFAが発表した指針に従うことを求める
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、国内リーグの利害関係者全員に対し、国際サッカー連盟FIFAが発表した新型コロナウイルスの感染拡大によって生じうる選手との契約に対処するための指針に従うことを求めています。
 FIFAは4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大によって生じうる、選手との契約や移籍全般に関する問題に対処するためのガイドラインを公式HPで発表し、感染拡大が世界各国のクラブの財政にも大きな影響を与えていることから、選手の給与減額に関しても、中断期間中にクラブと選手が解決策を見つけることを強く推奨しています。
 FIFAの指針が出たことで、FAMは強気になったのか、活動制限令が発令されている期間中に以下のことを求めています。
1)契約内容の見直し:契約内容の見直しが必要な場合、適切な労働協約を締結するためにクラブは選手やコーチ、監督と直接、交渉を行わなければならない。また新たな労働協約は4月22日までに合意されなければならない。
2)国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLと、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、4月22日までに合意できるよう関係者全員が同意できる臨時の給与体系について直ちに協議を行うことを求める。
3)選手とクラブの間で円満に解決することができない場合には、FAMに判断を委ねることができる。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、FIFAの指針は現在の膠着状態を解決する助けになると話し、MFLのクラブに対しては透明性の高い方法で選手やコーチ、監督およびスタッフと交渉を行うことも併せて求めています。
 またラマリンガム事務局長は、FIFAの指針は、クラブと選手は活動制限令中の契約内容を見直すために交渉の席につくべきとした、FAMとMFLが共同で発表した3月26日の提言と一致していると述べています。
 しかしその翌日3月27日には、PFAMがクラブは選手との給料など契約内容を遵守することを求める声明を発表しており、これについてラマリンガム事務局長はPFAMの強硬な姿勢は誰の利益にもならず、円満解決に必要となる貴重な時間を無駄にしていると非難し、今後は関係者全員がFIFAの指針に従うべきとしています。
 また選手やコーチ、監督やスタッフが現行の契約通りの給料を受け取る一方で、クラブが経営不安定となり、その結果として経営破綻を起こし・多くの人間が仕事を失う様なことは避けなければならないと話し、FAMの決定はリーグ、クラブ、選手ら全員の複利を考えてのものであると理解を求めています。
******
 FAMの宣言を受け、今後各クラブが選手と積極的に交渉を始める可能性がありますが、本日予定されているマレーシア政府からの発表次第ではあるものの、活動制限令MCOがいるまで延長されるかわからない現状で、FAMが4月22日という期限を設ける理由も不明です。
(下はFAM公式サイトより『FAMは関係者全員がFIFAの提案に従うことを求める」というタイトルがつけられた告知

4月9日のニュース:マレーシアはAFF選手権出場辞退予定なし、FAMは今季の残り全試合の中止は検討せず、元パハンFAの選手が禁固刑の可能性

マレーシアはAFF選手権の出場辞退はなし
 タイが今年11月に予定されているアセアン(東南アジア)サッカー連盟AFF選手権スズキカップの辞退を検討しているという報道を受けて、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、マレーシアは現時点では、スズキカップの出場辞退の予定はないことを表明しています。
 タイの国内リーグは5月2日まで中断となっており、それが再開されれば、今シーズンの試合日程が今年後半にずれ込む可能性があります。さらに7月以降に延期が決定しているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選がスズキカップと近い時期に開催される可能性があることなどを考慮して、タイサッカー協会FATはワールドカップ予選に専念するためにスズキカップの出場辞退を検討中という報道があります。
 これに対して、FAMのラマリンガム事務局長は、現時点でスズキカップへの出場可否を検討するの時期尚早だと、マレー語紙ブリタハリアン電子版に語っています。
 FATは国内リーグの日程を決める都合などから、早めの決断を行ったのではないか、と述べるラマリンガム事務局長は、FAMはまだ様子を見る時間があると考えており、スズキカップ出場についても時間をかけて判断したいと話しています。

FAMは今季の残り全試合の中止は検討せず
 マレーシアサッカー協会FAMは、新型コロナウィルス感染拡大が続く場合でも、今季の国内リーグ戦など残り試合全ての中止を検討する予定はないとしていると、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 マレーシアの国内リーグやカップ戦を直接運営するのはマレーシアフットボールリーグMFLですが、MFLはFAMの方針に従って運営されていることから、MFLはFAMが決めた方針を遵守することが考えられます。
 新型コロナウィルスの感染拡大がどの時点で収束へ向かうのかは不明であり、収束後のマレーシア政府の方針も発表になっておらず、現時点では政府の方針決定を待つしかないと、FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は話しています。
 また、MFL各クラブのU19チームが対戦するユースカップとU21チームが対戦するプレジデントカップはFAMが直接、運営しているため、今季の残り試合を継続するか否かの決定は容易であるとする一方で、冠スポンサーがついているMFL1部やマレーシアカップ、FAカップは、スポンサーに対する義務もあることから、たとえその必要がある場合でも慎重な判断が必要になるとも話しています。

元パハンFAの選手に禁固刑の可能性
 昨季2019年シーズンにはパハンFAでプレーし、現在はインドネシア1部リーグのバヤンガラFCでプレーするインドネシア代表のサディル・ラマダニが禁固7年の刑に処せられる可能性があると、インドネシアの新聞コンパス電子版が伝えています。
 南東スラウェシ州出身のラマダニ選手は、3月27日に州都のコタ・クンダリでの自宅近くで酔っ払いに自分の母親が侮辱されたことに腹を立て、その侮辱した相手に重傷を追わせた容疑で告発されており、最悪の場合には禁固7年が求刑される可能性があるとコンパスは報じています。
 現在は警察による捜査が進行中ということで、ラマダニ選手には警察署への出頭命令が出されているのみで、逮捕されてはいないということですが、バヤンガラFCのフロントは有罪となれば解雇とすることを示唆しておりで、U23代表だけでなくフル代表でも左ウィングでプレーする21歳のラマダニ選手は、判決次第では選手生命が断たれてしまう可能性もあります。
 ラマダニ選手は自分の家族が侮辱されるのを見過ごすわけにはいかなかったと述べ、自らの行為については責任を負う覚悟があると話しているということです。

4月8日のニュース:MFL3部の選手は政府チャーター機で自国民退避をアシスト、マレーシアは27年AFC選手権開催地に立候補の予定なし、UAEが1試合も行わずに監督を解任

MFL3部の選手は政府チャーター機で自国民退避をアシスト
 マレーシアフットボールリーグMFL3部にあたるM3リーグのムラワティFCには宮崎崚平選手が所属していますが、このムラワティFCのアフィフ・ナジミ・ムハマド・イズワンがマレーシア政府が用意したチャーター機を操縦して、マレーシア国民の退避に関わった際の話を英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が取り上げています。
 29歳のアフィフ選手は元フットサルのマレーシア代表という経歴を持つサッカー選手であると同時に、マレーシアの航空会社エアアジア社のパイロットでもあり、3月21日にイランのテヘランからマレーシア人46人、シンガポール人8人、インドネシア人1人の合計55人を退避させるための政府チャーター機のパイロットを務めました。
 これまでで最も思い出深いフライトだったと話すアフィフ選手によれば、3人の機長と2人の副機長全員は感染予防のため頭から足の先まで防護服で完全に覆われ、55人の乗客は機内に入る前に一人一人検査された上、機内でも乗務員、医療チーム、乗客はそれぞれ別の区域に搭乗したそうです。
 この55人の中から新型コロナウィルスの陽性患者は出なかったということですが、アフィフ選手は14日間の自宅待機を経て、前ヌグリスンビランFA監督のマット・ザン・マット・アリス監督の元、現在は自宅でトレーニングを再開しているということです。
(写真の左手前がアフィフ選手-写真はスムアナニャボラのFacebookより拝借)

マレーシアは27年AFC選手権開催地に立候補の予定なし
 アジアサッカー連盟AFCは、2027年開催予定のAFC選手権アジアカップの開催地立候補の受付期間を6月30日まで延長したことはこのブログでも紹介しましたが、マレーシアサッカー協会FAMはこの延長を利用して開催地立候補を検討することはなさそうなことを英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が報じています。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、「アジアカップのような大規模な大会には政府の協力が必要だが、現在をそういったことを検討するのに適した時期ではない。」と話し、現在の新型コロナウィルス感染拡大が広がっている状況下では、マレーシアがアジアカップ開催に立候補することはないだろうとしています。
 なお現時点では、サウジアラビアが開催国として立候補としている唯一の国ですが、この記事の中では、AFCが開催地立候補の受付を延長したことを受けて、インドが立候補を検討しているとも伝えています。。
 また2034年のFIFAワールドカップ開催地としてタイ、インドネシア、シンガポール、ベトナムと合同で立候補する計画についても、先月予定されていた会合が延期になったことから、こちらについても一時保留とすることも併せて発表されています。
(筆者注:AFCの公式サイトの表記はAsian Cupですが、日本のサッカー関連メディアの多くが「アジアカップ」という表記を使っているので、日本語のこのブログでもこちらを採用します。)
******
 マレーシアは2007年にタイ、ベトナム、インドネシアとともにアジアカップを共催した経験があります。このときはイラン、ウズベキスタン、中国と同組となったグループステージでは0勝3敗の最下位となり、共催した他の3カ国の中でグループステージを突破したのはベトナムだけでした。なお、マレーシア代表がアジアカップ本戦に出場したのはこの2007年が最後で、その前の出場は1980年、1976年の2回となっています。

UAEが1試合も行わずに監督を解任
 イギリスの通信社ロイターは、アラブ首長国連邦サッカー協会がイヴァン・ヨヴァノヴィッチ監督を一度も試合をすることなく解任したことを伝えています。
 アラブ首長国連邦UAEはFIFAワールドカップ2022年アジア二次予選ではマレーシアと同じグループGに属しており、これまで4試合を終了して2勝2敗のグループ4位につけています。アジア二次予選開始時に監督を務めていたオランダ人のベルト・ファン・マルワイク氏は、予選でマレーシアとインドネシアに連勝しましたが、タイとベトナム相手に連敗を喫し、さらにその後に開催されたガルフカップでもイラク戦、カタール戦と連敗したことから昨年2019年12月4日に解任されています。昨年12月22日にファン・マルワイク前監督に代わって就任したのがセルビア人のヨヴァノヴィッチ監督でした。
 キプロスの国内リーグでAPOELニコシアを4度優勝させ、2011/12年シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝進出を果たした実績を持つヨヴァノヴィッチ監督は、UAEサッカー協会と6ヶ月契約を結んでいましたが、先日のこのブログでも伝えたように6月中のFIFA主催の試合はすべて延期となったため、契約満了を待たず、UAEを率いて1度も試合に臨むことなく解任されています。

4月7日のニュース:クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付、FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定 、活動制限令違反でサッカー選手を逮捕、MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備

クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付
 東マレーシアのマレー語紙ウトゥサンボルネオ電子版によると、マレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグのクチンFAは、選手が4月分の給料を5パーセント削減することに同意したことに加えて、その削減分を新型コロナウィルスのための基金に寄付すると発表しています。
 クチン地区サッカー協会KDFAのファズルディン・アブドル・ラーマン会長は、選手とスタッフの給料削減分は活動制限令によって影響を受けている家庭を支援するための基金へ寄付されることになっており、クラブとして全ての選手とスタッフの協力に感謝していると話しています。 
******
 クラブの経費節約のために給料削減に応じるのではなく、新型コロナウィルス感染拡大による影響で苦しむ人を助ける目的で給料削減を行うのは、単なる給料削減とは全く意味が違います。FAMやMFLも単にクラブと選手の間での給料削減交渉を促すのではなく、クラブを助けるのではなく、より苦しんでいる人を助けることを目的とすべき、といったその使い道にまで言及することで、社会の中でのプロサッカーの存在意義が高められると思うのですが、そういうことは考えないのでしょうか。 

FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定
 フランスの通信社AFPは、国際サッカー連盟FIFAが6月に予定されていた全ての試合の中止を決定したと伝えています。
 新型コロナウィルスの影響に関する専門調査委員会の初会合の席上で決定したということです。ビデオ会議で行われたこの委員会は、現在延期となっているFIFAワールドカップ2022年大会予選の新たな日程を決めることも求めています。
 この他、東京オリンピックの1年延期を受けて、サッカー競技の選手出場資格を「1997年1月1日以前に生まれた者とする」とした現行の資格を維持することもこの委員会で提案されています。

活動制限令違反でサッカー選手を逮捕
 現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令MCO下では、不要不急の外出を避けるように求められていますが、屋外で練習していたプロサッカー選手が逮捕され、有罪判決を受けたとマレー語紙シナルハリアンが報じています。
 自宅のあるクアラルンプール市内のコンドミニアム敷地内で練習をしていたアーマド・ルトゥフィ・アジズル・ラーマンは、自宅に戻ることを命じた警察官の2度に渡るに従わず、さらに反抗的な行動をしたとしてMCO違反および公務執行妨害で逮捕され、アンパン下級裁判所で罰金800リンギ(およそ2万円)あるいは禁固1ヶ月の判決を受けたとしています。22歳のルトゥフィ選手は罪を認めています。
******
 なお記事の中では、このルトゥフィ選手が所属するクラブ名が書かれていませんが、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの登録選手リストには名前がありませんので、MFL3部のM3リーグ以下のリーグでプレーする選手ということなのかもしれません。

MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備
 マレーシアフットボールリーグMFLは公式サイトで、4月14日に解除予定の活動制限令MCOが延長された場合、国内リーグを再開するにあたっての選択肢を複数用意していることを発表しています。
 MFLのアブ・ガニ・ハサンCEOは、国内リーグやカップ戦再開そのものが、MCOがいつ解除になるか、また解除後のマレーシア政府の保健省のアドバイスの内容次第としたています。(筆者注:なお、ここで言われている国内リーグやカップ戦とはMFL1部から3部、FAカップ、マレーシアカップ、チャレンジカップを指します。)
 またアブ・ガニ・ハサンCEOは、JDT、クチンFA、UKM FCに倣って、他のクラブも契約内容の見直しを行うように提言している他、マレーシア最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア、、マレーシア第2の金融グループCIMB、オンライン通販大手のショッピーShopeeの各社は契約通りの支援を続けることも発表しています。
******
 このブログで何度も取り上げたように、所属選手は給料削減を了承していないと公言しているUKM FCを例にして、活動制限令MCOが延長になった場合に限って職員の給料削減を行うとするMFLのCEOが、MCOの延長が決定されてない現段階でクラブと選手に契約内容の見直しを提言する姿勢はどれだけ選手たちの指示を得られるのかが、甚だ疑問です。JDTやクチンFAに倣うのは、クラブではなくむしろFAMやMFLでは無いのかと思ったりもしてしまいます。

4月6日のニュース:FAMが職員及び役員の給料削減を発表、MFLも職員の給料削減を発表、マラッカUの連敗は給料未払いが原因か

FAMがやっと職員および役員の給料削減を発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトで職員の一時的な給料削減を発表していますが、ただしその条件は現在発令中の活動制限令MCOが4月14日以降も継続となった場合に限るようです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、「政府期間からの要望により」運営管理および現場担当の全職員について、給料に基づいて10から20パーセントの給料削減となると発表しています。
 「FAMの財政安定を確保し、現在起こっている未曾有の事態を切り抜けるために様々な費用削減の手段を実施する中で、MCOが4月14日移行も継続された場合には全職員の給料を削減する」としており、この他FAM会長など選出された役員もその具体的な内容は伝えられていませんが報酬削減が行われるとしています。

MFLも遅れて職員の給料削減を発表
 国内リーグを統括するマレーシアフットボールリーグMFLもアブドル・ガニ・ハサンCEOの名前で、職員の給料を10から20パーセント削減すると発表しています。ただし、こちらもFAM同様、活動制限令MCOが4月14日移行も延長した場合に実施され、CEO発令中に限る措置であるとしています。
 FAMのハミディン・アミン会長はMFLの会長も兼任しているため、FAMが職員の給料削減を4月3日に発表されたことから、MFLでも同様の措置が取られることは予想されていましたが、ビデオコンファレンスで行われた取締役会を経て1日遅れの4月4日に発表になっています。
******
 これら2つの記事で目を引くのは、いずれの給料削減措置も現在発令中の活動制限令MCOが4月14日以降も延長になった場合を条件にしていることです。リーグの各クラブにはそれ以前から選手と給料削減について交渉することを奨励しながら、自らは4月14日に予定されているMCOが解除になった場合に給料削減を行うというのは、共に痛みを分かち合う、という発想が全く欠如しているように感じます。

マラッカUの連敗は給料未払いが原因か
 今季のMFL開幕から2連勝と好スタートを切ったマラッカ・ユナイテッドは、第3節のフェルダ・ユナイテッド戦、第4節のパハンFA戦と連敗し、2勝2敗の成績でリーグ中断期間に入りましたが、マラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAの副会長はこの連敗の原因が給料未払いによる可能性があると語っています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、2月から支払われていない未払い給料が選手のパフォーマンスに影響を与えているのではないかとするユソフ・マハディMUSA副会長の発言を取り上げています。
 またユソフ・マハディMUSA副会長は、連勝ストップとなった第3節のフェルダ・ユナイテッド戦では、給料未払いにより一部選手が試合を放棄したこと、過去3ヶ月間の給料支払いが遅れていることも認めています。
 今年3月に起こった政変により各州の州議会でも多数派を占めていた与党が議席を失い、マラッカ州でも州知事が交代しています。マレーシアの多くの州と同様にマラッカ州サッカー協会MUSAの会長は州知事が兼任することから、MUSAの新会長にもたダト・スライマン・モハマド・アリ氏が就任していますが、給料未払い問題については新たな展開は無いようです。
 またマレー語紙ブリタハリアン電子版では、MUSAのファルハン・イブラヒム事務局長の話として、遅配となっている今季の給料ではなく、昨季の未払い給料の支払いを優先するとしており、リーグが再開されたとしても、給料の遅配が続けばマラッカ・ユナイテッドの選手たちのモチベーションが影響を受けることもありそうです。
******
 マラッカ・ユナイテッドは、支払いが遅れている2月以降の給料の他に、昨季分の140万リンギ(およそ3490万円)の未払い給料がありますが、選手との間で同意していた期限までに支払いができなかったことから、MFLにより勝点3の剥奪処分を受けてており、こちらの未払い給料については4月30日までに支払いが完了しない場合、さらに勝点6が剥奪されることになっています。

4月5日のニュース:スーパーリーグの高額外国籍選手トップ12と高額マレーシア人選手トップ12

 このブログでも何度も記事を引用しているサッカー専門サイトのヴォケットFCが、サッカー情報を提供するドイツのTransfemarketを参考にマレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグの高額外国籍選手と高額マレーシア人選手という特集記事を掲載しています。元の記事は選手の市場価値を紹介しているだけなので、それをそのまま紹介するだけでは味気ないので、独断と偏見で内容を加筆してみました。
 (カッコ)内は、外国籍選手は年齢/ポジション/所属クラブ/国籍、マレーシア人選手は年齢/ポジション/所属クラブです。

高額外国籍選手トップ10

1位 ジオゴ(センターFW / ジョホール・ダルル・タジムJDT / 33歳 / ブラジル)
380万リンギ(およそ9500万円、1リンギはおよそ25円)
昨季2019年にタイ1部リーグのブリーラム・ユナイテッドからタイリーグ2度の得点王の実績を持って加入したジオゴ選手。ブリーラム・ユナイテッドとの契約がまだ1年残っていましたが、当時の報道では、JDTがブリーラム・ユナイテッドに500万タイバーツ(およそ646万リンギ)を支払って獲得してました。今季は4試合で2ゴールを決めています。

2位 ゴンザロ・カブレラ(左ウィング / JDT / 32歳 / イラク)
360万リンギ(およそ8960万円)
2017年にサウジアラビアのアル・ファイサリーから期限付き移籍でJDTに加入した際にはアルゼンチン出身の外国籍選手としてプレーしました。シーズン終了後に一旦、退団が発表されたものの、翌2018年シーズンには完全移籍でJDTに再加入、しかもイラク出身としてアジア枠で登録されました。

3位 レアンドロ・ヴェラスケス(攻撃的MF / JDT / 31歳 / アルゼンチン)
330万リンギ(およそ8820万円)
2015年にJDTに加入し、JDTのアジア初タイトルとなる同年AFCカップの決勝でゴールを決めるなど活躍しました。翌2016年にコロンビアのデポルティーボ・パストへ移籍、ティブローネス・ロホス・デ・ベラクルス (メキシコ)、リオネグロ・アギラス(コロンビア)を経て、今季2019年から再びJDTでプレーしています。

3位 サンジャル・シャアフメドフ(攻撃的MF / トレンガヌFC / 30歳 / ウズベキスタン)
330万リンギ(およそ8820万円)
昨季2019年シーズンにウズベキスタン1部リーグのロコモティフ・タシュケントからトレンガヌFCに加入し、主力選手として迎える2シーズン目の今季は4試合で2ゴールを決めています。

5位 マウリシオ・ドス・サントス・ナシメント(センターバック / JDT / 32歳 / ブラジル)
280万リンギ(およそ6980万円)
昨季2019年シーズンからJDTでプレーするマウリシオ選手は、パルメイラス(ブラジル)のユース出身で、スポルティング(ポルトガル)からセリエAのラツィオへ移籍しました。ラツィオから期限付き移籍で移籍したスパルタク・モスクワ(ロシア)では国内リーグ優勝に貢献、その後、期限付き移籍したレギア・ワルシャワ(ポーランド)を経て2019年にJDTに加入しています。ディフェンダーながらセットプレーでは得点に絡むことも多く、3月3日に行われた今季のAFCチャンピオンズリーグ水原三星戦で決勝ゴールを決めたのは記憶に新しいところです。

6位 デンバ・カマラ(センターFW / PJシティFC / 26歳 / ギニア)
190万リンギ(およそ4730万円)
今季2020年シーズンからマレーシアでプレーするカマラ選手は、イスラエルリーグのハポエル・テルアビブからPJシティFCに移籍しています。今季は4試合で2ゴールを決めています。

7位 イフェダヨ・オルセグン(FW / スランゴールFC / 29歳 / ナイジェリア)
180万リンギ(およそ4490万円)
昨季2019年の2度目の移籍期間トランスファーウィンドウで、バーレーンリーグのアル・リファーから移籍し、10試合で12ゴールを挙げ、今季も4試合で3ゴールと活躍しています。

8位 クパー・シャーマン(センターFW / クダFA / 28歳 / リベリア)
160万リンギ(およそ3990万円)
2018年シーズンにPJシティFCの前身である当時MFL2部のMISC-MIFAに入団し29試合で21ゴールを決め、昨季2019年シーズンはPKNS FCに移籍し、19試合で14ゴールを挙げてリーグ得点王となったシャーマン選手は、所属するPKNS FCが2019年シーズンを持って解散となり、今季はクダFAに移籍しています。今季は4試合で3ゴールを挙げています。

8位 ディクソン・ヌワカエメ(センターFW / パハンFA / 34歳 / ナイジェリア)
160万リンギ(およそ3990万円)
フランスリーグのアンジェSCOから2019年に加入したヌワカエメ選手は、「鉄人」のニックネームを持ち、パハンFAサポーターから絶大な人気を集めています。マレーシア1年目は13試合で7ゴール、前主将のマシュー・デイヴィーズがJDTに移籍した今季は新たに主将を務めながら4試合で2ゴールを決めています。

8位 カレッカ(攻撃的MF / ペラTBG / 25歳 / ブラジル)
160万リンギ(およそ3990万円)
スランゴールFCのオルセグン選手同様、昨季の2度目のトランスファーウィンドウでアトレチコ・アクレアーノ(ブラジル)から加入したカレッカ選手は10試合で7ゴールを挙げましたが、2年目の今季はまだゴールはありません。

8位 ドミニク・ダ・シウヴァ(センターFW / トレンガヌFC / 31歳 / モーリタニア)
160万リンギ(およそ3990万円)
今季2020年にベトナムリーグのサイゴンFCから移籍したダ・シウヴァ選手は、今季2試合目のクダFA戦で4ゴールを挙げています。

8位 レナン・アウヴェス(センターバック / クダFA / 28歳 / ブラジル)
160万リンギ(およそ3990万円)
昨季2019年にインドネシアリーグのボルネオFCから移籍し、クダFAの守備陣を引っ張るアウヴェス選手。昨季のFAカップ決勝前のリーグ戦でイエロー、レッドともらい決勝戦に出場できず、今季もAFCチャンピオンズリーグのプレーオフでソウルFC相手にゴール前で無意味なハンドでPKを与えるなど、個人的にはポカが多い選手という印象です。

*******
 トップ10にする予定でしたが、8位タイが4名となりトップ12になってしまいました。JDTはこのトップ12に4選手が入っていますが、さすが金満クラブの面目躍如というところでしょうか。興味深いのはクダFAとトレンガヌFCの2選手が含まれていること。特に開幕前には一部選手に給料未払いの噂も出ていたトレンガヌFCですが、財源が実は豊かなのか、あるいは後先考えずに予算を注ぎ込んでいるのか、今後が気になります。またクダFAは昨季からの外国籍選手をレナン・アウヴェス以外全員を入れ替えるなど、打倒JDTへの覚悟が見える補強を行っています。

高額マレーシア人選手トップ12

1位 リリドン・クラスニキ(攻撃的MF / JDT / 28歳)
210万リンギ(およそ5230万円)
コソボ共和国出身のクラスニキ選手は、2015年から2018年まではクダFA、昨季2019年はマラッカ・ユナイテッドでプレーした結果、FIFAの規定により国籍変更が認められ、今年3月にマレーシア国籍を取得したマレーシア人と血縁関係がない二人目の帰化マレーシア人選手です。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選が再開されれば、クダFA時代の監督だったタン・チェンホー現代表監督派クラスニキ選手を招集することが予想されています。

2位 ナチョ・インサ(セントラルMF / JDT / 34歳)
180万リンギ(およそ4480万円)
2017年シーズン途中にJDTに加入したインサ選手は、スペイン出身ながら、祖母がマレーシアのサバ州出身であることから、弟のキコ・インサとともにマレーシア国籍を取得した帰化選手です。膝のケガで2019年シーズンを丸々棒に振ったインサ選手ですが、今季はAFCチャンピオンズリーグの水原三星に出場し、MFLでも今季4試合中3試合に出場するなど、代表復帰が見えてきています。

3位 ブレンダン・ガン(セントラルMF / スランゴールFC / 32歳)
160万リンギ(およそ3980万円)
オーストラリア生まれのガン選手は両親がマレーシアのヌグリスンビラン州出身であることから、オーストラリアとマレーシアの両国の代表でプレーする資格がありました。2012年にサバFAでプレーした際は外国籍選手登録でしたが、ケランタンFAでプレーした2014年からはマレーシア人選手としてに登録されています。U23代表でのプレーを経て招集されたフル代表では中心選手として、現在中断中のFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選でマレーシアが2位にいる原動力となっています。今季からスランゴールFCでプレーしますが、ペラTBGからの移籍は大きな話題となりました。

4位 ラヴェル・コービン=オング(左バック / JDT / 29歳)
150万リンギ(およそ3730万円)
ロンドン生まれ、カナダ育ちのコービン=オング選手は、ドイツやオランダでのプレーを経て、2018年シーズンからJDTでプレーしています。国際親善試合ではカナダ代表としてのプレー経験もありますが、母親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得し、2017年にはフル代表でデビューし・現在も代表の主力選手として活躍しています。

5位 バドロル・バクティアル(右サイドハーフ / クダFA / 32歳 )
140万リンギ(およそ3480万円)
クダ州出身で、ユース時代からクダFA一筋にプレーするバドロル選手は、リーグ戦通算56ゴール、カップ戦も含めれば通算116ゴールを挙げているだけでなく、MFL1部スーパーリーグ、2部プレミアリーグ、FAカップ、マレーシアカップと全てのタイトルを獲得した言わばクダFAのレジェンドです。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選では久しぶりにフル代表に復帰しています。

5位 シャルル・サアド(センターバック / ペラTBG / 26歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
ペラ州出身で、ハリマウC(U19代表)、ハリマウB(U21代表)、ハリマウA(U22代表)でプレーし、PKNS FCを経て2016年からペラTBGに所属するシャルル選手は、フル代表でも不動のセンターバックを務めています。

5位 サフィク・ラヒム(セントラルMF / マラッカ・ユナイテッド / 33歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
昨季2019年からはマラッカ・ユナイテッドでプレーするサフィク選手は、キャップ数75が示すようにフル代表で長年、主将を務めたこの世代で最高のマレーシア人選手として言われています。スランゴール州出身で、2007年にスランゴールFA( 当時)で選手としてのキャリアをスタートし、2013年にはJDTへ移籍しました。JDTのオーナーのジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿からは、クラブ史上最高の主将と評価されています。

5位 マシュー・デイヴィーズ(右サイドバック / JDT / 25歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
開幕直前にパハンFAからJDTに電撃移籍したデイヴィーズ選手は、オーストラリア生まれながら母親がサバ州出身であることからマレーシア国籍を取得し、パハンFAに加入した2015年からU23代表として東南アジア競技大会通称シーゲームズでプレーし、現在はフル代表の右サイドバックを務めています。

5位 サファウィ・ラシド(右ウィング / JDT / 23歳)
140万リンギ(およそ3480万円)
トレンガヌ州出身で2014年にT-Team(現トレンガヌFC II)のユースチームでプレーしたのち、T-Teamそして2017年からはJDTに所属しています。2018年、2019年と2年連続でリーグ最優秀選手に選ばれ、フル代表でも主力として活躍するなど、今後のマレーシアを引っ張るエースとして期待されています。

10位 モハマドゥ・スマレ(右ウィング / パハンFA / 29歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
ガンビア出身のスマレ選手は2013年からMFLでプレーし続け、FIFAの規定で国籍変更が認められたマレーシアサッカー史上初となるマレーシア人と血縁がない帰化選手第1号です。フル代表でもスピードに乗ったドリブルが魅力の主力選手です。

10位 シャミ・サファリ(右サイドバック / スランゴールFC / 22歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
スランゴール州出身でスランゴールFA(当時)のU19を経て、スランゴールFCでは積極的なオーバーラップを得意とするサイドバックとして活躍しています。U23代表からフル代表へと順調に成長し、マシュー・デイヴィーズとフル代表の右サイドバックのレギュラーポジションを争っています。

10位 ファリザル・マーリアス(ゴールキーパー / JDT / 34歳)
130万リンギ(およそ3230万円)
パハン州出身ながらパハンFAではU19でのプレー経験しかなく、プルリスFA、ヌグリスンビランFA、ペラTBG、スランゴールFAを経て2015年からはJDTとフル代表のゴールを守り、フル代表では主将も務めています。

******
 外国籍選手同様、トップ10の予定が10位タイが多く12名になってしまいました。マレーシア国外生まれの選手が6名、国内生まれの選手が6名と、ここ数年で顕著になってきたマレーシア人と血縁関係のある国外生まれの選手を帰化させて代表選手にするマレーシアサッカー協会FAMの方針が見て取れるランキングになっています。