1月30日のニュース:2020年マレーシアサッカー重大ニュース(前編)

世界中が新型コロナウィルスに振り回された2020年はマレーシアも御多分に洩れませんでした。異例ずくめだった今年のマレーシアサッカーをボラセパマレーシアJP的視点で2日間に分けて振り返ります。

Mリーグの長期中断と試合数半減
 2月28日に昨年2019年のMリーグ1部覇者ジョホール・ダルル・タジムJDTと同年のFAカップ覇者クダFAの対戦で開幕した今季のMリーグでしたが、新型コロナウィルスの影響を受け3月15日に開催された第4節をもって中断期間に入りました。
 その後、8月28日の第5節開催まで5ヶ月以上の中断期間を強いられたMリーグ主催者のマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季の日程をMリーグ1部、2部ともに通常の22試合から11試合へと半減して開催することを発表。今季のMリーグは最終的に各チーム1回戦総当たりという変則日程となりました。
 マレーシアサッカーの年間カレンダーは、1年間を大きく分けると前半はMリーグ、後半はマレーシアカップ、そしてMリーグの合間にFAカップという日程が通例ですが、今季は5ヶ月を超える中断期間によりFAカップは中止となりました。
 また8月のリーグ再開後はMリーグの全試合が無観客試合として開催されました。

マレーシアカップが1回戦開催後中止
 第1回大会が1921年(大正10年)に開催されたマレーシアカップは日本の天皇杯とともにアジア最古のカップ戦の一つです。マレーシア(当時は英領マラヤ)も戦場となった1942年から47年の太平洋戦争による中断時期を除き、毎年開催されてきたこの大会も、10月31日のMリーグ閉幕から1週間ほどで開催された11月初旬の1回戦終了後に国内感染者数が急増したことから、急遽、中止に追い込まれました。

M3リーグが中止
 Mリーグ3部にあたるセミプロリーグのM3リーグは、1部と2部より遅れて3月初旬に開幕しましたが、第2節を終えた時点で今季の中止が発表されました。
 1部と2部のクラブと比べると、スタジアムでなく観客席のないフィールドをホームとするクラブもあり、いわゆるソーシャルディスタンスを厳格に適応することができないことが理由とされましたが、M3リーグには経営基盤が万全でないクラブもあり、長期中断よりは中止を歓迎する声が上がったことも報じられました。
 今季のM3リーグには岸健太(PIB FC)、木下怜耶(アルティメイトFC)、高山龍(ランカウィシティ)、宮崎崚平(ムラワティFC)、米澤淳司(スマラクFC)の5名の日本出身選手が加入し、個人的には観戦をとても楽しみにしていましたが、残念ながら実現しませんでした。

JDTがMリーグ7連覇
 短縮日程となったMリーグ1部はJDTが9勝2分0敗、得失差25で2位のクダFAに勝点差7をつけた圧勝で7連覇を飾っています。
 優勝を決めたホームゲームでは、リーグ再開後は無観客試合とされていたにも関わらず選手家族をスタジアム観戦させて味噌をつけました(但しこれはJDTには何の落ち度もなく、それを許可したリーグ主催者MFLに非があります)が、対抗馬とされたクダFAやスランゴールFCが取りこぼしを繰り返すのを尻目に淡々と勝利を積み重ねた結果の順当な連覇でした。

JDTのACL辞退
 昨季のリーグ王者としてAFCチャンピオンズリーグACLに出場したJDTは、グループステージ開幕戦となったアウェイのヴィッセル神戸戦では1−5と大敗を喫したものの、次戦のホームでは今大会ベスト8に残った水原三星を2-1と撃破し、昨季の鹿島アントラーズ戦に続くACL2勝目を挙げ、1勝1敗と星を五分に戻したところでACLが新型コロナウィルスにより中断しました。
 一時はマレーシア国内での集中開催も発表されたACLグループステージでしたが、マレーシア国内の新規感染者が増加傾向にあったことから開催は取りやめ、結局は11月にカタールで集中開催が決定したものの、この時点で出入国を厳しく管理していたマレーシア政府は国外で開催されるACLへの出場に対してJDTに「強い勧告」を行い、これを受け入れたJDTは残り試合への参戦を辞退、これにより既に終了していたグループステージ2試合の結果も無効となりました。

複数クラブで給料未払いが明らかに
 今季ピッチ外での話題の中でボラセパマレーシアJPが最も多く取り上げたのが給料未払い問題でした。給料未払い問題はいわばマレーシアプロサッカーが抱える慢性的な問題であり、今に始まったことではありませんが、今季は特に新型コロナウィルスの影響で主な収入源の入場料収入を失い、さらに後ろ盾となる州政府(リーグ参加クラブの半数以上を占める州サッカー協会が運営するMリーグクラブは州政府から運営資金援助を受けています)がやはり新型コロナウィルスへの対応で予定外の出費を強いられた皺寄せで資金が削減されるなど、例年にも増して給料未払い問題がほじられる回数が多かった気がします。例えば今季Mリーグ1部に昇格したばかりのPDRM FCは、給料未払い問題を理由にリーグ開幕前に勝点3剥奪の処分を受け、勝点-3からのリーグスタートとなったことを皮切りに、同じ1部のマラッカ・ユナイテッドFC、さらに2部のケランタンFAも勝点3剥奪処分を受けました。(なおPDRM FCは結局、勝点-1でシーズンを終えています。)
 この他、開幕前に大型補強を行いJDTの連覇を阻む最有力候補の一つと見られていたクダFAがリーグ中断前の4試合を1勝1分2敗と予想に反する苦戦ぶりを見せましたが、のちに選手や監督、コーチには3月途中から給料が未払いとなっていることが明らかとなりました。給料未払い問題解決の目処がついたリーグ再開後は6勝0分1敗の成績を収めただけに残念でした。
 さらにリーグ中断期間中の8月には給料未払いを理由に1部パハンFAに所属するモハマドゥ・スマレがチームを離脱し、タイ1部のポリス・テロFCへ加入、一方のパハンFAは契約違反でスマレ選手を非難する事態になっています。

フェルダ・ユナイテッドFCがMリーグ撤退
 短縮された今季日程も最終節第11節を残すばかりとなった10月初旬に発表されたのがフェルダ・ユナイテッドFCが今季をもってMリーグから撤退するというニュースでした。
 政府系機関の連邦土地開発公社フェルダが運営するフェルダ・ユナイテッドFCは2007年創設と新しいクラブではあるものの、2部での優勝2回、1部でも2016年は2位、翌2017年も3位の成績で、2017年にはAFCカップに出場経験もあります。
 今季は降格圏との境界を行き来する成績だったフェルダ・ユナイテッドFCは、これまでのクラブ運営会社から本社に経営権が移った直後の撤退発表により、最終節に勝利すれば1部残留の可能性が残されていた中、スランゴールFCに6−1と大敗し、2部降格となりました。
 その後、旧運営会社の関係者が新たなスポンサーを獲得しクラブの存続を目指したものの、MFLはそのスポンサーの経営基盤が脆弱だとして旧経営会社関係者によるMリーグ参加存続の申請を却下し、Mリーグ撤退が決まりました。
 この他、同様に主要スポンサーだったマレーシア国立大学UKMがスポンサー撤退を表明した2部のUKM FCもMリーグ撤退が決まっています。

12月24日のニュース:来季のMリーグチケットは全試合オンライン販売のみ、FAMはMリーグクラブに対して1月の代表合宿への理解を求める、ケランタンFCは未払い給料を次々と完済

来季のMリーグチケットは全試合オンライン販売のみ
 マレーシア語紙ブリタハリアン電子版によると、来季2021年シーズンのMリーグのチケットはオンライン販売のみとなる様です。
 マレーシア政府は、来季のMリーグは開幕当初はスタジアムでの観戦者数を収容人員の10%のみ、しかも4000人を上限としており、この規制が適用されている間は、Mリーグ各試合のチケットはオンライン販売のみとし、スタジアムでは販売しないことをMリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOが明らかにしています。
 オンラインのみでの販売はチケット売り場に人が集まることを避けるための処置であると話すアブドル・ガニCEOは、オンラインで販売されるチケットもアウェイチームのサポーターが州境を超えて移動することを防ぐため、ホームチームのサポーターのみが対象とするとしています。

FAMはMリーグクラブに対して1月の代表合宿への理解を求める
 先日のこのブログでも2021年1月15日から26日の予定で代表合宿が開催される記事を取り上げましたが、マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、Mリーグ各クラブに対し、招集された選手の代表合宿参加をクラブの開幕前練習より優先させることを求めています。
 来季のMリーグは2月27日にJDTとクダFC(来季から、今季まではクダFA)の対戦で開幕しますが、1月半ばはどのクラブにとってもプレシーズン期間の真っ最中であることは理解していると話すスチュアート事務局長は、12日間の代表合宿が各クラブの開幕前の計画を妨げるものではないと話しています。
 「プレシーズン期間は各選手の体力強化だけでなく、開幕に向けてチーム練習が必要な時期であることは十分理解した上で、各クラブの理解と協力を求めたい。また各クラブでのプレシーズン期間の練習によって代表選手の体力が良い状態になっていることをタン・チェンホー代表監督も期待している。クラブで体力強化ができていれば、代表合宿はその分の練習に費やす時間が不要になり、短期間で合宿を開催できる。」とスチュアート事務局長は話しています。

ケランタンFCは未払い給料を次々と完済
 ケランタンFC(来季から、今季まではケランタンFA)は公式Facebook上で、これまで給料未払いとなっていたかつて在籍した外国籍選手や監督に対し、未払い分を完済したことを明らかにしています。
 今季2020年シーズンも給料未払いによりリーグ戦での勝点剥奪処分をFIFAから受けていたケランタンFCですが、公式Facebookによれば、昨季2019年に監督を務めたマルコ・クラリエヴィッチへ99万7000リンギ(およそ2540万円)、2018年から2019年シーズンに在籍したカッシオ・デ・ジェズスへ67万9000リンギ(およそ1730万円)、2017年シーズンに在籍したアブー・バクル・アル=ミルへ96万9000リンギ(およそ2470万円)の未払い給料を完済し、さらにFIFAから課されていた罰金の支払いも完了したということです。

12月21日のニュース:今季のMリーグ年間表彰式はオンライン開催-東山晃監督は最優秀監督候補に、タイ1部リーグ第15節-タンとスマレ所属のポリス・テロFCは下位クラブに大敗

今季のMリーグ年間表彰式はオンライン開催-東山晃監督は最優秀監督候補に
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは公式Facebook上で、今季2020年シーズンのナショナルフットボールアウォード(ABK20)表彰式を12月30日にオンラインで開催することを発表しています。
 今回で第20回となるこの表彰式はMリーグの今季最後の行事ですが、初のオンライン開催となるだけでなく、ファンが投票することができる初の表彰式となることが発表されています。
 Mリーグ1部と2部各クラブの監督、主将、メディアそれぞれ24名で構成される従来の審査員による投票が今回は全体の70%となり、残る30%がファン投票に配分され、最優秀ゴールキーパー、最優秀ディフェンダー、最優秀ミッドフィルダー、最優秀ストライカー、最優秀監督の5部門で投票は12月21日午前10時より12月25日午後11時59分までMリーグの公式FacebookTwitterInstagramで受け付けるということです。
 なお各部門の候補選手10名は以下の通りです。
<最優秀ゴールキーパー部門>
ファリザル・マーリアス(JDT)
イクバル・スハイミ(クチンFA)
カラムラ・アルハフィズ・マット・ロウィ(PJシティFC)
カイルル・ファミ・チェ・マット(マラッカU)
カイルルアズハン・カリド(スランゴールFC)
レメゼイ・チェ・ロス(UKM FC)
サミュエル・サマヴィル(ペナンFA)
シャビニー・アラウィ・ラムリ(パハンFA)
スハイミ・ハサン(トレンガヌFC II)
ザミル・スラマット(クアラルンプールFA)

<最優秀ディフェンダー部門>
アイディル・ザフアン・アブドル・ラザク(JDT)
アズミ・ムスリム(ペナンFA)
ラヴェル・コービン=オング(JDT)
マシュー・デイヴィーズ(JDT)
ラフィウディン・ロディン(ペラTBG)
シャールル・ニザム・ロス・ハスニ(ケランタンFA)
シャールル・サアド(ペラTBG)
シャキール・ハムザ(クダFA)
ヴィクトル・ニレノルド(UITM FC)
ワン・アミルル・アフィク・ワン・アブドル・ラーマン(マラッカU)

<最優秀ミッドフィルダー部門>
アフィク・ファザイル(JDT)
ブレンダン・ガン(スランゴールFC)
ファイサル・アブドル・ハリム(パハンFA)
ゴンザロ・カブレラ(JDT)
レアンドロ・ドス・サントス(ペラTBG)
レアンドロ・ヴェラスケス(JDT)
リー・タック(トレンガヌFC)
ノー・アザム・アブドル・アジー(パハンFA)
サファウィ・ラシド(JDT)
シャミ・サファリ(スランゴールFC)

<最優秀ストライカー部門>
カサグランデ(ペナンFA)
ジオゴ(JDT)
ドミニク・ダ・シルヴァ(トレンガヌFC)
アンク・ヌル・シャキル・アンク・ヤコブ(トレンガヌFC II)
フェルナンド・ロドリゲス(JDT II)
フランシス・コネ(クアラルンプールFA)
イフェダヨ・オモスイ(スランゴールFC)
ラマダン・サイフル・ウスマン(JDT)
シャーレル・フィクリ・ファウジ(ペラTBG)
チェチェ・キプレ(クダFA)

<最優秀監督部門>
アイディル・シャリン・サハク(クダFA)
東山晃(クチンFA)
ベンヤミン・モラ(JDT)
フランク・バーンハート(UITM FC)
マンゾール・アズウィラ・アブドル・ワヒド(ペナンFA)
メフメト・ドゥラコビッチ(ペラTBG)
マイケル・ファイヒテンバイナー(スランゴールFC)
ナフジ・ザイン(トレンガヌFC)
ニザム・アズハ・ユソフ(クアラルンプールFA)
ユスリ・チェ・ラー(ケランタンFA)

 また今季の年間表彰式では、従来行われていた最優秀チーム、最優秀外国籍枠選手、最優秀アセアン東南アジア枠選手などの表彰は行われないということです。
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 今季は新型コロナウィルスによるMリーグが5ヶ月以上中断された影響で日程は短縮、試合数も半減してしまったこともあるかと思いますが、各部門の候補にはMリーグ1部と2部の選手、監督が混在する形になっています。
 ボラセパマレーシアJP的に注目なのは今季Mリーグ2部でクチンFAを率い、2部昇格1年目ながら今季4位へ躍進させた日本出身の東山晃監督が最優秀候補に上がっていることです。日本国外で日本人指導者が年間表彰の対象になるのは稀有なことですが、今季はそうなるだけの実績を十分に残した東山監督がマレーシアサッカー界でどの様に評価されるのかに注目です。

タイ1部リーグ第15節-タンとスマレのポリス・テロFCは下位クラブに大敗
 タイ1部リーグは12月18日と19日に第15節が行われ、マレーシア代表のDFドミニク・タンとFWモハマドゥ・スマレが所属するポリス・テロFCはアウェイでナコーンラーチャシーマー・マツダFCと対戦し、0−4で敗れています。
 タン選手は先発出場し、64分に住まれ選手と交代、スマレ選手は試合終了まで出場しています。
 試合前の順位はポリス・テロFC9位、ナコーンラーチャシーマー・マツダFC14位、しかも前節では9試合ぶりの勝利を挙げたポリス・テロFCは勝利が期待されていましたが、この敗戦でポリス・テロFCは今季成績を5勝4分6敗とし11位に後退、ナコーンラーチャシーマー・マツダFCは13位に浮上しています。
 ポリス・テロFCは次節第16節では、現在16位最下位で、昨季はMリーグのPKNP FCでプレーしたDFアマニ・アギナルド(フィリピン)が所属するタラートFCとホームで対戦します。


 

12月19日のニュース:撤退表明のエアアジアが一転して来季Mリーグスポンサーに、代表合宿の1月開催が決定、JDTとユニセフが子供たちの人道支援で協力、サファウィの来季JDT復帰は既定路線

撤退表明のエアアジアが一転して来季Mリーグスポンサーに
 マレーシアの通信社ブルナマは、今季限りでスポンサーから撤退することを発表していた格安航空会社のエアアジアが、一転して来季のMリーグのスポンサーとなることを発表したと報じています。
 Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLのハミディン・アミン会長の話として伝えられており、最近、行われたエアアジアグループのトニー・フェルナンデスCEOとの会談の席上でトニーCEOから伝えられたということです。
 ハミディン会長は、MFLは来季2021年シーズンに向けてより多くのスポンサー獲得に奔走しているということで、エアアジア同様に撤退を表明したマレーシアの金融グループのCIMBグループもスポンサー復帰の可能性があると明かしています。
 エアアジアは昨季2019年と今季2020年シーズンのMリーグの公式エアラインとして、またCIMBグループは今季のMリーグ1部スーパーリーグの冠スポンサーとなっていましたが、今期終了後、いずれも契約を更新しないことを発表していました。
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 エアアジア・ジャパンは事業を廃止し、またエアアジアグループの中・長距離路線を運行しているエアアジアXは発行済み資本を99.9%減らし、減資で発生した資金を負債返済に充当することを発表するなど、新型コロナウィルスの影響を大きく受けたエアアジアのスポンサー撤退はやむを得ないのかと思いましたが、この発表は意外でした。 

代表合宿の1月開催が決定
 ブルナマは代表合宿が1月15日から26日までの日程で開催されると報じています。
 現在中断されているFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選件AFC選手権アジアカップ2023年大会予選が3月開催予定の中、当初は3月の大会直前とされていた日程が早まった格好です。
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長はによれば、タン・チェンホー監督はこの合宿には30名程度を招集する予定で、これまで予選に出場した選手に加え、初招集となる選手も数名いるということです。
 また今後の代表の予定については、3月初旬にバーレーンとアウェイで練習試合を行った後、そのまま3月25日のアブダビでのアラブ首長国(UAE)戦に臨むとスチュアート事務局長は話しています。FIFAの公式サイトによればUAE戦の後は、3月30日のホームでのベトナム戦、そして最終戦は6月15日のアウェイでのタイ戦が組まれています。
 W杯アジア二次予選でG組のマレーシアはここまでの5試合を3勝2敗の勝点9で現在はベトナムに次ぐ2位につけています。

JDTとユニセフが子供たちの人道支援で協力
 こちらもブルナマからですが、Mリーグ1部7連覇中のジョホール・ダルル・タジムJDTは東南アジア初のユニセフ(国連児童基金)公式パートナーとなり、子供たちの人道支援を行うことことが報じられています。
 ジョホール州皇太子でJDTのオーナーでもあるトゥンク・イスマイル殿下は今回の協力関係について、JDTブランドの国際化をさらに進めるための一環であると話しています。「子供たちのための人道支援はJDTが当初から行なっていることであり、ユニセフとの協力関係はJDTの目的とも一致している。ユニセフは200カ国以上にネットワークを持っているので、今回の協力関係を通じて、世界がJDTのことを知るようになるだろう。」
 トゥンク・イスマイル殿下はJDTが単なるサッカークラブではなく、社会に貢献する組織であると話し、1年間と発表されたパートナーシップについて、その後も延長する可能性を否定していないということです。
 またトゥンク・イスマイル殿下は来季のユニフォームの胸にユニセフのロゴが載る可能性があるとも話したということです。

サファウィの来季JDT復帰は既定路線
 ポルトガル1部のポルティモネンセSCに期限付きで移籍中のサファウィ・ラシドについて、所属先JDTのオーナーでジョホール皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、来季2021年シーズンには100%の確率でJDTに復帰すると語っています。
 マレーシア語紙ハリアン・メトロによれば、出演したテレビ番組「ボラ@ママック」の中でトゥンク・イスマイル殿下が明らかにしたもので、2月末に開幕となる2021年シーズンに間に合う様に帰国させると語ったということです。
 2018年、2019年とマレーシアサッカー協会FAMの年間最優秀選手賞を受賞している23歳のサファウイ選手は、これまでベンチ入りして入るもののリーグ戦出場はなく、U23リーグの1試合に出場したのみとなっています。
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 異国でのサッカーにも生活にも慣れてきたであろう時期の帰国をサファウィ選手自身が望んでいるかどうかはわかりませんが、今後のサッカー選手としての成長と23歳という年齢を考えるとあと数年は我慢して残してもと良いと思いますが、JDTオーナーは別の考えなのでしょう。まさか1年で目に見える結果が出ると思ってはいなかったでしょうが、マレーシアのNo.1選手の海外挑戦としては、あっけなかった印象です。

12月16日のニュース:FAMは前AMD責任者のリム氏のコメントに反論、タイ1部リーグ第14節-タンとスマレが揃って先発しチームは9試合ぶりの勝利、前スランゴールFC監督はサラワクUのTDに就任

FAMはリム氏のコメントに反論
 マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会NSCが共同で運営する「U20育成チーム」は来季2021年のMリーグ2部に参加しますが、この案にNSC傘下の国家サッカー選手養成プログラムやその中核となるエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDの前責任者であるリム・ティオンキム氏が反対しているという記事を昨日、紹介しましたが、FAMは早速これに反論しています。
 FAMのスバハン・カマル会長代理は、リム氏のコメントはあくまでも彼個人の見解であり、FAMは国内の若い選手に継続して実践経験を積ませることを重視しており、今回のリーグ参加はその場を提供することが目的である。」と話しています。
 さらにカマル会長代理は「FAMは若い選手、特にAMDの卒業生については、国内リーグでしか通用しない選手に育てるのではなく、フル代表で他国の代表選手と渡り合った際に役立つような経験を積ませたい。」と話し、将来的にはさらに経験を積むために国外遠征も視野に入れていることを明らかにしています。
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 アイディア自体は悪くないとは思いますが、カマル会長代理が話すように、将来の代表育成が目的ならば、なぜAMD卒業生40名全員を囲い込まず、トップ層の12名だけはスランゴールFCとJDTと契約させたのかが疑問です。この年代のトップの育成はクラブ任せで、いわばどのチームも欲しがらなかった残り物の選手(失礼!)をFAMとNSCで育成、しかもその方法は単に既存のリーグに参加させるだけで将来の代表選手が育成できるのなら、苦労はありません。

タイ1部リーグ第14節-タンとスマレが揃って先発しチームは9試合ぶりの勝利
 タイ1部リーグは第14節が行われ、代表のドミニク・タンとモハマドゥ・スマレが所属するポリス・テロFCは滝雅美監督率いるラヨーンFCとホームのブンヤジンダースタジアムで対戦し1−0と勝利しています。この勝利は9月13日以来となる9試合ぶりの勝利です。
 これまでの出場はいずれも途中からだったスマレ選手が初めてスタメン出場し、タン選手と揃ってスタメンに名を連ねた初の試合で、タン選手はフル出場、前節はケガのためにチームの遠征にも帯同しなかったスマレ選手は57分に交代しています。なおスマレ選手と交代して出場したキーラティ・ケアウソムバットがポリス・テロFCの唯一のゴールを決めています。
 この勝利でポリス・テロFCは5勝4分5敗となり9位に浮上、敗れたラヨーンFCは2勝1分11敗で最下位の16位となっています。
 次節第15節でポリス・テロFCは現在、14位のナコーンラーチャシーマー・マツダFCとアウェイで対戦します。

前スランゴールFC監督はサラワクUのTDに就任
 マレーシアの通信社ブルナマはMリーグ1部スランゴールFCのサティアナタン・バスカラン前監督がMリーグ2部のサラワク・ユナイテッドFCのテクニカルディレクターに就任したと報じています。契約期間は2年ということです。
 2013年のMリーグ2部プレミアリーグ優勝以来タイトルから遠ざかっているサラワク・ユナイテッドFCは今季は2部で10位と低迷しています。
 サティアナタンTDは、2022年シーズンでの1部昇格を果たすため、U21やU19チームを含めた若手の育成プログラムを担当し、今季に続き来季もチームの指揮を取るエラヴァラサン・エランゴワン監督とともに、サラワクFA時代のかつての栄光を取り戻す力になりたいと話しています。
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 サラワク・ユナイテッドFCについては、代表FWのノーシャルル・イドラン・タラハや今季のスランゴールFCで主将を務めたテイラー・リガンの加入をニュースを取り上げましたが、即戦力補強だけでなく、このサティアナタンTDの就任によりサラワク・ユナイテッドFCの本気度が伝わってきます。
 ただし気になるのが、サラワク・ユナイテッドFCにはこのサティナ監督と反りが合わず、スランゴールFCを退団しこのサラワク・ユナイテッドFCに移籍したアムリ・ヤハヤがいます。TDが直接、トップチームの運営に関わることはないかも知れませんが、遺恨再燃が心配ではあります。

12月15日のニュース:前エリートアカデミーTDは育成チームのMリーグ2部出場に反対、スランゴールFCとトレンガヌFCの来季本拠地は未定、ケランタンUの東山新監督は来季トップ4入りを目指す

前エリートアカデミーTDは育成チームのMリーグ2部出場に反対
 国家サッカー選手養成プログラムNFDPの卒業生を中心に編成されるU20「育成チーム」が、来季のMリーグ2部に参戦することが決まりましたが、サッカー専門サイトのヴォケットFCは、このNFDPや、その中核となるエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーでかつてテクニカルディレクターを務めたリム・ティオンキム氏がこの計画について猛反対していると報じています。
 NFDPを監督するマレーシア政府青年スポーツ省参加の国家スポーツ評議会MSNとマレーシアサッカー協会が共同で運営する「育成チーム」のMリーグ2部参加について、リム氏は「才能がある若い選手の育成という観点から、FAMが下した最も愚かな決断の一つである。」と一刀両断にし、「18歳の選手がプロと対戦することでどれほど有意義な経験を積めるのか。」と疑問視しています。
 ドイツリーグでのプレー経験もあり、また元バイエルンミュンヘンのユースチームのコーチ経験もあるリム氏は「この『育成チーム』に参加する選手全員が現時点で必ずしも高いレベルにあるわけでなく、そのレベルに達していない選手には育成に適した環境が必要である。そういった選手には時間が必要で、現在の自分のレベルにあったリーグでプレーするべきであり、Mリーグ2部はそのレベルではない。」と述べています。
 「この『育成チーム』の核となるのはNFDPの卒業生のトップレベルの選手をスランゴールFCやJDTが獲得した後の残りの選手たちであることを考えると、そういった選手を2部リーグでプレーさせて不必要なプレッシャーを与えるよりは、U21チームのリーグであるプレジデントカップやU19のリーグであるユースカップでプレーさせる方が遥かに良い。確かにU21やU19のリーグ参加は「育成チーム」がプレーする環境としては理想的ではないかもしれないが、FAMはそれ以外のリーグを用意することができない現状ではやむを得ない。」
 「NFPD卒業生全員が(NFPD出身でベルギーリーグに移籍した)ルクマン・ハキムや、(同じくNFPD出身でJDTに加入した)ウマル・ハキームではないので、成長するための時間を与えてあげる必要がある。「育成チーム」内でも選手のレベルは異なるが、そのレベルの違いを理解し、選手はそれぞれにあった時間を与えて育成されるべきだが、FAMはそれがわかっていない。」
 「マレーシアの選手の問題点はプレッシャーをかけられると冷静に組織だったプレーができないと言われるが、Mリーグ2部でプレーしてもそれを学ぶことはできない。マレーシアの多くのサッカーファンは代表チームがワールドカップに出場することを夢見ているが、育成の仕組みが正しくなければ、実現は難しいだろう。」などと話しています。

スランゴールFCとトレンガヌFCの来季本拠地は未定
 英字紙ニュースストレイトタイムズは、Mリーグ1部のスランゴールFCとトレンガヌFCの来季の本拠地が未定であると報じています。
 従来の本拠地であるシャーアラムスタジアムが今後2年ほどは改修工事中で使用できないスランゴールFCは、今季は1試合をブキジャリル国立競技場で行ったものの、その他のホームゲームはスランゴール州シャーアラムにあるUITM FCの本拠地UITM FCを使用しました。
 来季はやはりスランゴール州にあるPJシティFCの本拠地MBPJスタジアムを間借りすることが発表されていますが、クアラルンプール市内のムルデカスタジアムの使用も検討しているとされています。
 スランゴールFC(当時はスランゴールFA)が最後にムルデカスタジアムを本拠地として使用したのは1994年で、翌年の1995年に新たに完成したシャーアラムスタジアムへと本拠地を移しました。
 またトレンガヌFCも本拠地のスルタン・ザイナル・アビディンスタジアムの改修工事を今季開幕前に行いましたが、現在も照明を含めた施設に問題があり、新たな本拠地を探しているということです。
 来季はAFCカップにも出場するトレンガヌFCは、早急に新たな本拠地を見つける必要がありますが、Mリーグを運営するMFLは来季開幕前に各クラブの本拠地となるスタジアムの状況を調べるために視察を行うとしてますが、現時点では、トレンガヌFCからの本拠地変更の届出は提出されていないということです。

ケランタンUの東山新監督は来季トップ4入りを目指す
 Mリーグ2部のクチンシティFC(来季から、今季まではクチンFA)の監督を辞職し、来季は同じ2部のケランタン・ユナイテッドFCの指揮を取る東山晃新監督は、来季の目標にトップ4入りを挙げています。
 マレーシアの通信社ブルナマによれば、この目標は今季2部で8位となったケランタン・ユナイテッドFCのパフォーマンスをもとに立てた目標だということです。
 31歳の東山監督は新たな選手の獲得も含め、経営陣と協議中ということですが、トップ4入という目標達成には現場とフロントの協力が欠かせないとも述べています。
 「他のクラブに対抗する実力があると信じているので、目標のトップ4入りにも自信がある。練習開始後は練習試合なども組み、来季開幕前までにチームを強化したい。」と話す東山監督率いる新チームは来季に向けて、今月28日に指導するということです。
 今季初めて2部に昇格したケランタン・ユナイテッドFCですが、クラブ創設3年目にもかかわらずマレーシアカップへの出場権を獲得しています。

12月14日のニュース:スランゴールFCはドイツ出身DFと契約、ペナンFCはタジキスタン出身FW獲得、サラワクUにはマットヨーと前スランゴールFC主将が加入か、クアラルンプールUのCEOにMリーグ中継のコメンテーターが就任

スランゴールFCはドイツ出身DFと契約
 Mリーグ1部のスランゴールFCは公式Facebook上で、ドイツ出身のティム・ホイバッハの加入を正式発表しています。
 32歳のホイバッハ選手は身長192cmのDFで、イスラエル1部リーグのマッカビ・ネタニヤFCからの加入となっています。2017年にマッカビ・ネタニヤFCへ移籍する前にはドイツリーグのボルシア・メンヒェングラートバッハや1.FCカイザースラウテルンのリザーブチームなどでのプレー経験もあるということです。
 2017年からプレーするマッカビ・ネタニヤFCでは過去4シーズンで82試合に出場しています。
 「アジアではこれまでプレーしたことがないが、新たな挑戦の場としたい。」と話すホイバッハ選手はに、ドイツ出身で来季からスランゴールFCの指揮を取るカルステン・ナイチェル新監督とすでにドイツ国内で面会を済ませていることも明かしています。
 「ナイチェル監督の元でプレーしたことはないが、かつては敵味方に分かれて試合をしたことはある。面会した際にはナイチェル監督の考えや自分に期待していることなどを聞くことができた。」と話すホイバッハ選手は、スランゴールFCの試合はYoutubeなどで観戦済みということで、ナイチェル新監督とともにスランゴールFCでの新たな挑戦を楽しみにしていると話しています。
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 この記事とは別に、昨年の東南アジア競技大会通称シーゲームズに出場するU23代表に招集されながら、書類不備で参加できなかったアメリカ在住でアメリカ1部MLSのスポーティングカンザスシティに所属するワン・クザイン・ワン・カマルが最近、クラブから放出されており、スランゴールFCが彼を獲得するのではという噂が実しやかに流れています。

ペナンFCはタジキスタン出身FW獲得
 今季はMリーグ2部で優勝し、来季1部へ昇格するペナンFCは、公式インスタグラムでタジキスタン出身のシェリディン・ボボエフの加入を発表しています。
 21歳のボボエフ選手は182cmのセンターフォワードで、タジキスタン1部リーグで7連覇中のイスティクロル・ドゥシャンベから加入します。トランスファマルクトの記録では今季2020年シーズンは16試合に出場し、10ゴールを挙げているようです。
 ペナンFCは今季もプレーしたカサグランデ、エンドリック・サントス、ラファエル・ヴィトールのブラジルトリオは残留することが決まっている他、インドネシア1部のプルシジャ・ジャカルタよりリュウジ・ウトモが期限付き移籍で加入しており、外国籍選手のアジア枠を埋めるボボエフ選手の加入で、外国籍選手枠は全て埋まりました。
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 ペナンFCのアジア枠には日本人選手も候補に上がっているという報道もありましたが、実現しなかったようです。

サラワクUにはマットヨーと前スランゴールFC主将が加入か
 サッカー専門サイトのヴォケットFCは、今月いっぱいでタイ1部BGパトゥム・ユナイテッドを退団する代表FWのマットヨーことノーシャルル・イドラン・タラハと今季はスランゴールFCで主将を務めたオーストラリア出身のDFテイラー・リガンが、Mリーグ2部のサラワク・ユナイテッドFCに加入すると報じています。
 ノーシャルル選手のMリーグ復帰を明かした代理人のワン・モハマド・アンワリ氏は、サラワク州サッカー協会が運営するサラワク・ユナイテッドFCがかつての栄光を取り戻したいという目標に対し、BGパトゥム・ユナイテッドで出場機会がなかった代表FWノーシャルル選手がタイからの移籍に合意した結果であると話しています。
 またスポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、今季スランゴールFCで主将を務めたテイラー・リガンも同じサラワク・ユナイテッドFCへ加入すると報じています。
 2016年にヌグリスンビランFAでプレーした後、一旦は母国オーストラリアの1部リーグのアデレード・ユナイテッドに復帰しましたが、2019年にスランゴールFCに加入し、今季まで2年間プレーしています。
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 同じサラワク州内に拠点を持つクチンシティFCは今季2部で4位に躍進し、大きく差をつけられた格好のサラワク・ユナイテッドFCですが、この大型補強で巻き返しとなるのでしょうか。

KLユナイテッドFCのCEOにMリーグ中継のコメンテーターが就任
 今季Mリーグ2部で3位となり来季は1部に昇格するクアラルンプール・ユナイテッド(来季から、今季まではクアラルンプールFA)を運営するKLユナイテッドFC社は、新CEOとしてスタンリー・ベルナルド・ステファン・サミュエル氏の就任を発表しています。
 スタンリー氏は、現在はMリーグ中継やサッカー関連番組のコメンテーターとして知られていますが、現役晩年はクアラルンプールFAでプレーした他、インドI(アイ)リーグのスポルティング・クルーベ・デ・ゴアでプレーし、インドリーグでプレーした初めてのマレーシア人でもあります。また代表でのプレー経験もあります。

12月12日のニュース:前ケランタンFC監督の選手起用法は「育成チーム」向き、「育成チーム」にはMリーグクラブ所属選手も参加可能、選手会はMリーグ各クラブに新たな統一契約書を使用するよう忠告

前ケランタンFC監督の選手起用法は「育成チーム」向き
 マレーシアサッカー協会FAMと国家スポーツ評議会NSCによる「育成チーム」が来季のMリーグ2部に参戦すること、そしてそのチームの監督には今季ケランタンFCの監督を務めたユスリ・チェ・ラー氏が就任することは、昨日のこのブログで取り上げましたが、その詳細が明らかになってきました。
 前U23代表監督でもあるオン・キムスイFAMアシスタントテクニカルディレクター(ATD)は、若い選手により多くの機会を与えるユスリ監督の選手起用法が「育成チーム」監督招聘の理由の一つであるとしています。さらにユスリ監督の起用は暫定的措置ではなく、様々な検討の結果であると話し、現役時代は代表チームでプレーし、その後は様々なクラブでの指導経験があり、多くの若手選手を育てたユスリ監督は「育成チーム」の指導者としては適任であると述べています。
 1997年から2002年まで代表でプレーしキャップ数42のユスリ監督は、2007年の引退後は今季監督を務めたケランタンFCのほか、クアラルンプールFAなどでも監督の経験があります。
 マレーシアの通信社ブルナマは、この「育成チーム」(英語表記ではFAM-NSCプロジェクトチーム)にユスリ監督以下、アシスタントコーチにノー・ザイディ・ローマット、GKコーチにハムサニ・アフマド、コンディショニングコーチにノー・イクマル・マダルサの各氏が加わることも報じています。

育成チームにはMリーグクラブ所属選手も参加可能
 また英字紙ニューストレイトタイムズは、このチームがU20の選手およそ30名で構成されると報じ、パハン州にある国立のエリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDでトライアウトを行う他、トレンガヌ州、マラッカ州、クアラルンプール、そしてクダ州でも第一次のトライアウトが行われ、最終選考は来年1月7日から9日にかけてNSCがあるクアラルンプールのブキジャリルで行われるということです。
 NFDPプログラム卒業生で、既にMリーグクラブと契約済みの選手の参加もトライアウトに参加可能ということですが、その際には所属クラブからの了承が必要となるということです。
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 Mリーグにはかつてマレーシア語名「ハリマオ・ムダ」、英語名は「ヤングタイガーズ」と呼ばれたU22代表チームがプレーしていた時期がありました。2007年からMリーグ2部プレミアリーグに参加したチームは、その後U22とU21、さらにU19の複数チームに分裂するなどした後、2015年に解散しています。その間、U23代表は2009年と2011年には東南アジア競技大会通称シーゲームズで連覇を果たし、2010年にはフル代表も東南アジアサッカー連盟AFF選手権スズキカップで優勝するなど結果を出しています。

選手会はMリーグ各クラブに新たな統一契約書を使用するよう忠告
 マレーシアプロサッカー選手会PFAMはMリーグの各クラブに対し、今年11月19日より有効となった新たな統一契約書に基づいて契約を行うよう忠告しています。
 ブルナマによれば、新たな統一契約書には、契約期間中にクラブと選手の双方の利益を守るための修正事項が含まれており、その一つが2ヶ月以上給料が支払われなかった場合の契約解除の手順を定めた条項ということです。今季途中には給料未払いを理由にムハマドゥ・スマレがパハンFAを離脱するという事態が発生しましたが、この条項によって契約解除時の混乱を避けることができると、PFAMのイズハム・イスマイルCEOは述べています。
 またイズハムCEOは各クラブに対し、ケガや不調を理由に契約を解除することは出来なこと、さらに統一契約書の各項目と相反する追加条項をクラブの裁量で契約内容に付け加えることもできないことも強調しています。
 この他、選手側に対しては自身の利益保護のためにもFAMの登録済みの正規の代理人を使うべきであると述べ、その理由として不測の事態が発生した場合、FAMは正規の代理人以外とは交渉を行わないことを挙げています。


12月11日のニュース:ケランタンFC退団のニック・アキフらはトレンガヌFC加入、来季の2部リーグには国立アカデミー卒業生らの育成チームが参戦、FAMはコーチ教育部門他で新たな責任者就任を発表 

ケランタンFC退団のニック・アキフらはトレンガヌFC加入
 昨日のこのブログではMリーグ2部ケランタンFCの主力選手5名が補償不要で契約解除となったことを取り上げましたが、その内、MFニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マットとDFシャールル・ニザム・ロス・ハスニは早速、Mリーグ1部のトレンガヌFCに加入しています。
 クラブの公式Facebookで正式加入が発表された22歳のニジェイことシャールル・ニザム選手とと21歳のニック・アキフ選手はいずれも2年契約を結んだということです。
 なおトレンガヌFCは既にパハンFAを退団した22歳のFWファイザル・アブドル・ハリムとも2年契約を交わしています。
 来季のAFCカップ出場を控えながら、主将のリー・タックの他、リーグ3位の7ゴールを挙げたドミニク・ダ・シルヴァら外国籍選手5名全員と契約を更新しなかったトレンガヌFCですが、ファイザル選手を含めたU23代表トリオの加入によって、若手中心でアジアの強豪と対峙することになりそうです。
(下はトレンガヌFCに加入したU23代表トリオ-トレンガヌFCのFacebookより)

来季の2部リーグには国立アカデミー卒業生らの育成チームが参戦
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、国立サッカー選手養成プログラムNFDPの卒業生で構成される育成チームが、来季のMリーグ2部プレミアリーグに参戦することを発表しています。
 マレーシア政府青年スポーツ省傘下の国家スポーツ評議会NSCと共同で運営されるこのチームには、国立エリートアカデミーのモクタル・ダハリアカデミーAMDを卒業した17歳の選手たちの他、各クラブのプレジデントカップチーム(U21)やユースカップチーム(U17)、さらに各州のスポーツ専門学校などから集まる30名で構成されるということです。
 来季のMリーグ2部は、同1部から降格予定だったフェルダ・ユナイテッドFCがリーグ脱退を表明し、また運営の主体であったマレーシア国立大学UKMが支援を打ち切ったUKM FCもリーグ参加が不可能となったことから、従来より2チーム少ない10チームが参加する予定でしたが、この育成チームが11番目のチームとなります。
 また監督には、今季2部のケランタンFA(今季まで、来季はケランタンFC)の監督を務めたユスリ・チェ・ラー氏が就任するということです。
 青年スポーツ省のリーザル・メリカン・ナイナ・メリカン大臣は、「NFDP卒業生の将来の進路は、国内サッカーが発展していく上で非常に重要であり、能力の高い選手は早い段階でMリーグクラブが注目されるが、遅咲きの選手については、この育成チームでプレーすることで、再度Mリーグクラブが注目する機会をもうけることができるだろう。」とFAM本部で開かれた記者会見の席上で話しています。
 このチームに参加する選手はNSCの施設で練習を行い、宿泊や食事、医療面でのサポートを受ける他、金銭的な手当も支給され、さらに希望者には大学で教育を受ける機会も与えられるということです。

FAMはコーチ教育部門他で新たな責任者就任を発表 
 マレーシアサッカー協会FAMは公式Facebook上で、技術指導部門と育成部門の新たなスタッフ3名の就任を発表しています。
 元テクニカルディレクターTDのリム・キムチョン氏が、これまでオーストラリア出身のディヴィッド・アベラ氏が務めていたFAMのコーチ教育部門の責任者に就任しています。前NFDP責任者のリム・ティオンキム氏の兄でもあるリム氏は65歳で、プロコーチングライセンスを持ち、FIFAやアジアサッカー連盟AFCのコンサルタントなども務めるコーチ教育の専門家ということです。
 この他、クアラルンプールFAやパハンFAの監督経験もあるラジプ・イスマイル氏がユース部門の責任者に就任しています。この部署は前U23代表監督のオン・キムスイ氏がFAMのアシスタントTDに就任したため、空席になっていました。
 またキャメロン・レオン・ン氏がサミュエル・シュウ氏に代わり草の根サッカー指導部門の責任者に就任しています。

12月9日のニュース:卒業生獲得のクラブから国立アカデミーへの金銭補償なし、Mリーグ自身の給料未払い問題が明るみに、ケランタンFCは主力が流出

卒業生獲得のクラブから国立エリートアカデミーへの金銭補償なし
 マレーシア語紙ブリタハリアンは「JDTやスランゴールFCは幸せ者だ」という見出しの記事を掲載しています。
 国立のエリートサッカーアカデミーであるモクタル・ダハリアカデミーAMDの第2期卒業生40名の内、主力選手12名がMリーグ1部チャンピオンのジョホール・ダルル・タジムJDTとやはり1部のスランゴールFCと契約した話は、先日このブログでも取り上げました。
 ブリタハリアンによれば、マレーシア政府青年スポーツ省とFAMが共同で運営する国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中核となるモクタル・ダハリ・アカデミーAMDの卒業生を獲得するクラブは、AMDに対して選手獲得への金銭補償を支払う必要がないということで、同紙は国内でもトップクラスの才能がある17歳の選手をタダで入手できることから「幸せ者」という表現を使っています。
 青年スポーツ省傘下の行政組織でAMDを監督する国立スポーツ評議会NSCは、今年2020年よりAMDから選手を獲得希望するクラブに対して補償を求める予定でいましたが、かつてAMDの責任者を務め、バイエルンミュンヘンのユースチームでのコーチ経験もあるたリム・ティオンキム氏をはじめ多方面から反対意見が続出しました。具体的にはAMDでトレーニングする選手たちとNSCの間に契約関係がないことなどから、NSCが監督することをのみ根拠としてAMD卒業選手の「価格」をNSCが設定することの正当性が問われた結果、この補償を求める計画が頓挫した経緯があります。

Mリーグ自身の給料未払い問題が明るみに
 今季のMリーグは第4節以降は全試合が無観客試合となりましたが、Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、Mリーグ1部の全試合でテレビ中継すると同時にYoutubeの公式チャンネルを通じて無料でストリーム配信も行い、国内の多くのサッカーファンがその恩恵を受けることができました。
 中継された試合はいずれもマレーシア語あるいは英語による実況解説を行うコメンテーターが配置されていましたが、このコメンテーターに対しMFLが給料を支払っていないことが明らかになりました。
 英字紙ニューストレイトタイムズは9名のコメンテーターが昨年からすでに給料を全額支払われておらず、今年に至っては全く給料を受け取っていないと報じています。
 今季中継されたのはMリーグ1部の121試合と1回戦終了後に中止が決まったマレーシアカップの7試合の合計128試合ということです。
 Mリーグ中継のコメンテーターには1試合あたり550リンギから800リンギ(およそ1万4000円から2万500円)が払われるということですが、MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは昨年は一部のみが支払われ、今年は給料が未払いとなっていることを認めた上で、現在は未払い分の支払いを行う準備を進めているとしています。

ケランタンFCは主力が流出
 Mリーグ2部のケランタンFC(来季より、今季まではケランタンFA)の主力選手が流出です。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロによると、ケランタンFCは各選手に補償不要となる契約破棄用の書式を配布し、希望する選手が自由に契約を破棄できるようにした結果、MFニック・アキフ・シャヒラン・ニック・マット、FWナズリン・ナウィ、DFシャールル・ニザム・ロス・ハスニ、そしてMFダニアル・アシュラフ・アブドラの5選手がこれを提出して、退団したということです。
 今回退団した選手は、今季やはり退団したユスリ・チェ・ラー監督の不在がこの5選手が退団を選んだ大きな理由であるとスタジアムアストロは報じています。
 ナズリン選手は「新たに提示された契約内容はこれまでのものとは大きく異なっており、その内容に同意できないので放出を希望した。」と語り、新オーナーの元、クラブの目指す方向が明らかでないことを退団の理由に挙げています。
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 退団した5選手の中でも21歳のニック・アキフの補償なし放出には正直驚きました。地元ケランタン州出身でU19、U23と年代別代表でもプレーし、今季も全試合に出場、ケランタンFCでは将来が期待されている選手の一人だと思っていましたが、それをこうも簡単に放出するとは…。
 以前このブログでも100万リンギ(およそ2520万円)の契約解除違約金がニック・アキフに設定されていることを紹介しましたが、それが無くなればMリーグの多くのクラブが獲得に動くことは明らかですが、現在はMリーグ1部のトレンガヌFCとの契約が間近という噂です。