3月9日のニュース:KLユナイテッドが開幕2日前にクラブ名変更、ケランタンFCオーナーがインドネシア2部のクラブ買収に関心、プロ審判化への第一歩-10名の審判がFAMのワークショップへ参加

KLユナイテッドが開幕2日前にクラブ名変更
 今季1部に昇格したクアラルンプール・ユナイテッドFC(KLユナイテッドFC)は、昨季はクアラルンプールサッカー協会が運営するクアラルンプールFAから名称変更したチームです。このKLユナイテッドが開幕まで2日を切った3月3日に突如クアラルンプールシティFC(KLシティFC)へとクラブの名称が変更されたと、英字紙ニュースとレイトタイムズが報じました。なお、変更は名称だけにとどまらず、ユニフォームの胸に付けられるチームのロゴも以下のように左のロゴから「改善」され、突如、虎の絵柄が入り、クアラルンプール市の紋章に酷似した中央のロゴへと変更になりました。(左がクアラルンプール市の紋章)

 突然の変更に納得がいかないKLユナイテッドのサポーターは、先月クアラルンプールサッカー協会が運営するフットサルクラブのKLシティFCの会長となった連邦直轄地大臣のアヌアル・ムサがこの変更に関わっているのではないかと、その関与を疑問視する声をあげました。
 この変更についてKLシティFCのスタンリー・バーナードCEOは、変更は事前に計画されていたものであったと話し、クラブがKLを基盤とし、昨季のロゴにもクアラルンプール市の紋章と似通った部分はあったと話しています。その上で、アヌアル・ムサ大臣はあくまでも相談役であり、理事会での話し合いを経ずに単独で物事を決められる立場にはないとしています。さらにクラブには長期的なプランがあり、全てに理由があるともスタンリーCEOは述べています。
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 今回のロゴの件然り、またボジャン・ホダック監督の前に監督就任が明らかになりながら契約解除騒動が起こった前東ティモール監督のシモン・エリゼッチ氏の件然り、クラブのイメージを損ねるような事例が続くと、長期的ビジョン云々が空々しく聞こえてきます。また連邦直轄地大臣としてプトララジャヤにクラブを立ち上げると言ったかと思えば、今度はKLのクラブに関わろうとするアヌアル・ムサ大臣は、出身地でもあるケランタン州FA時代にはサッカー振興の実績はあるものの、好意からかも知れませんが、同じことをKLでもやろうとするのはもう時代にはそぐわない気がします。

ケランタンFCオーナーがインドネシア2部のクラブ買収に関心
 サッカー専門サイトGoal. comインドネシア版は、Mリーグ2部ケランタンFCのオーナーのノリザム・トゥキマン氏がインドネシア2部リーグのクラブを物色中だと報じています。
 マレーシア国内で30以上を持つホテルチェーン「ザムバーガーホテルズ」を経営するノリザム氏は、インドネシアでの展開を目指してバリ島でホテルを物色中ということですが、同時に複数のインドネシア2部リーグのクラブと買収交渉中だということです。投資家としても知られるノリザム氏はすでに複数のクラブのオーナーと2ヶ月近く交渉を行っているとされ、買収実現が間近という噂もあります。
 交渉相手側からはいずれも好意的な反応を受け取っているとされ、その費用は数百万リンギ(1リンギはおよそ26.5円)とされていますが、インドネシアではケランタンFCでのノウハウをクラブ経営に持ち込むだろうとされています。
 この話を受けマレーシア語紙のハリアン・メトロがノリザム氏にインタビューを試みたところ、ニュース自体は認めたものの、詳細は語らなかったということです。

プロ審判化への第一歩-10名の審判がFAMのワークショップへ参加
 マレーシアサッカー協会FAMは今月30日に開催するプロ審判ワークショップに参加する10名の審判が選抜されたことを公式Facebook上に告知しています。
 今回のワークショップはマレーシアプロ審判システムMProRSプロジェクトの一環で、新型コロナウィルスの影響により昨年中に開催予定だったものが延期されていたとしています。
 最年長は38歳のズルカルナイン・ザカリア氏から最年少は26歳のモハマド・イズル・フィクリ・カマルザマン氏までの選抜された10名の審判は、今後複数回開催されるプロ審判ワークショップに最低でも3回は参加が義務付けられるということです。
 この10名からさらに選抜されるMProRSプロジェクトの第1期生は、カテゴリーAまたはBの審判資格を保持し、英語の4技能なども必要とされるということです。今後は、試合でのパフォーマンスや身体能力の審査や、ルールに関するテストなどを経て第1期生が選抜され、2022年のプロデビューを目指すということです。

2021年Mリーグ2部プレミアリーグ第1節結果

 2部プレミアリーグも2021年シーズンが3月6日にいよいよ開幕し、8月1日の最終第22節まで全110試合が開催されます。今季の2部プレミアリーグには日本出身選手が5チームに7名と大盛況です。なお試合のダイジェスト映像は各クラブの公式TVチャンネルからお借りしています。

2021年3月6日@スルタン・モハマド4世スタジアム(ケランタン州コタバル)
ケランタン 0-1 ペラII
得点者:ペラII-ムハンマド・ハキミ・マット・イサ(49分)
 外国籍選手なしで今季を戦う予定だったペラIIはセルジオ・アグエロをスリパハンから期限付き移籍で獲得し、この試合でも先発でフル出場しています。

https://youtu.be/H8oXPqGqXKE

2021年3月6日@スルタン・イスマイル・ナサルディン・シャースタジアム(トレンガヌ州クアラトレンガヌ)
トレンガヌII 4-0 FAM MSNプロジェクト
得点者:アミルル・シャズワン・ノー・アズミ(19分)、ムハマド・ヌル・アズファル・フィクリ(43分)、モハマド・リズアン(46分)、ワン・モハマド・ファズリ(90+4分)
 昨季2位のトレンガヌIIが今季暫定的にリーグ参加のFAM MSNプロジェクトに快勝しています。
 今季からトレンガヌIIでプレーする渡邉将基選手は先発でフル出場しています。

2021年3月6日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
PDRM 0-3 スランゴール2
得点者:ハイン・テット・アウン(43分)、ジョージ・アトラム2(59分、76分)
 JDTに負けじと「育成のスランゴール」を目指すスランゴール2は、ミャンマー出身の19歳ハイン・テット・アウンとガーナ出身の20歳ジョージ・アトラムがゴールを決めています。
 1部から降格したPDRMで今季からプレーする鈴木ブルーノ選手はこの試合に先発し、44分に交代しています。

https://youtu.be/1xIu65VOXdo

2021年3月6日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-1 JDT II
得点者:ヌグリスンビラン:モハマド・ザクアン・アドハ・アブドゥル・ラザク(24分PK)、アライン・ティエリ・アコノ・アコノ(52分PK)、JDT:モハマド・ラフィフィクリ(45+1分) 
 9年ぶりに地元クラブに復帰したザクアン選手と新戦力でカメルーン出身のアコノ選手がゴールを決め、今季2部優勝候補の一角、ヌグリスンビランが好発進しています。
 JDTIIの廣瀬慧選手は先発してフル出場しています。

2021年3月7日@ハンジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
サラワク・ユナイテッド 2-0 ケランタン・ユナイテッド
得点者:クリスティ・ジャヤシーラン(12分)、ウチェ・アグバ(32分PK)
 Mリーグ1部経験者を多数獲得してヌグリスンビランど並び今季の優勝候補最右翼と目されるサラワク・ユナイテッドが今季の仮のホームとなるマラッカ州のハンジェバスタジアムで快勝しています。
 ケランタン・ユナイテッドの日本人トリオは谷川由来、深井脩平の両選手は先発してフル出場、また本山雅志選手は46分から出場し、試合終了まで出場しています。
 この試合はサラワク・ユナイテッドがFacebookで中継をしており、それを見たのですが、本山選手は投入されるとチームの雰囲気が変わりるのがわかりました。しかし好機でのパスに攻撃陣が対応できず得点には至りませんでした。しかし、その辺りの修正ができれば今季のケランタン・ユナイテッドはリーグのダークホースとなれるかも知れません。

ClubGWDLGFGAGDP
1TFC11004043
2SEL11003033
3SU11002023
4NS11002113
5PRK11001013
6KCH00000000
7JDT100112-10
8KEL100101-10
9KU100102-20
10PDRM100103-30
11FAM100104-40
*今季の2部プレミアリーグは11チームが参加のため、各節で1チームだけ試合がありません。第1節は鈴木雄太選手が所属するクチンシティの試合がありませんでした。

2021年シーズンMリーグ2部プレミアリーグ得点ランキング(第1節終了時)

選手(所属クラブ)
1ジョージ・アトラム(SEL)2
2ムハンマド・ハキミ・マット・イサ(ペラII)他10名1

2021年Mリーグ1部スーパーリーグ第1節結果

 2021年シーズンが3月5日いよいよ開幕しました。1部スーパーリーグは8月8日の最終第22節まで全132試合が開催されます。なお現在は無観客試合での開催となっています。なお、対戦カードの左側がホームチームです。なお、試合のダイジェスト映像はいずれも各クラブの公式TVチャンネルからお借りしています。

2021年3月5日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 2- 0 クダ・ダルル・アマン
得点者:JDT-サファウィ・ラシド(35分)、ナチョ・インサ(68分)
 昨季の1位と2位が対決した開幕戦はボールへ寄るスピード、ボールキープやパスの精度などあらゆる面で得点差以上の実力差を見せたJDTが圧勝しています。この日が24歳の誕生日だったサファウィ・ラシドが今季のMリーグ初ゴールを決め、ナチョ・インサがダメ押しの2点目を決めています。新戦力のFWベルクソン・ダ・シルバがチームに合流できておらず、セカンドチームのJDT IIから一昨年はクダでプレーしたFWフェルナンド・ロドリゲスを招集する苦しい布陣にもかかわらず、試合はカウンター狙いで引き気味にプレーするクダを自陣に釘付けにして攻め続け、今季も圧倒的な優勝候補であることを見せつけました。
 なおクダにとっては守備陣のキーマンであるレノン・アルヴェスがコンディション不良で出場できなかった影響が大きそうですが、アイディル・シャリン監督は試合前から分かっていたことと、言い訳にはしたくないとメディアに語っています。

2021年3月6日@シティスタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 1-0 KLシティ
得点者:ペナン-デヴィッド・ロウリー(29分)
 試合の数日前にクラブ名称がクアラルンプール・ユナイテッドFCからクアラルンプールシティFCへと変更になるなどバタバタ感は試合中も見られました。ロウリー選手のゴールも守備陣の選手は棒立ちで、結果だけでなく試合内容も前半は明らかにペナンが勝っていました。後半に入るとKLが優勢に試合を進めましたが、ペナンのリュウジ・ウトモとラファエル・ヴィトールが中心の守備陣が持ちこたえ1部復帰初戦での勝利としています。なおペナンの守備陣がJDTやクダ、スランゴールといったクラブの攻撃陣に対応できれば、上位進出もありそうです。
 

https://youtu.be/WKEpGV3ESDc

2021年3月6日@UITMスタジアム(スランゴール州シャーアラム)
UITM 1-2 トレンガヌ
得点者:UITM-モハマド・ファウジ(34分)、トレンガヌ-ダビ・アパレシド・ダ・シルバ(77分)、モハマド・ハキミ・アブドゥラ(88分)
 トレンガヌは新戦力でJ2金沢でもプレー経験があるFWダビと、2部ケランタンFCが手放した理由が不明な若手有望株のFWモハマド・ハキミがゴールを決めています。いずれのゴールはこちらも新戦力のMFマカン・コナテのピンポイントのパスからのものでしたが、昨季もインドネシア1部のプルシブバンドンでチームメートだったコナテ・ダビのホットラインでのゴール量産もありそうですが、今後他のチームはこのコナテ選手に要注意でしょう。

2021年3月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 3-1 スリ・パハン
得点者:スランゴール-オリヴァー・バフ2(45+1分、90+3分)、シャーレル・フィクリ(55分)、パハン-モハド・ノル・アザム・アジ(70分)
 ストップJDTの一番手を目指すスランゴールはいずれも期待される新戦力の3ゴールで快勝しています。バフの1点目はペナルティーボックスの外から、ダメ押しの2点目はボックス内で躊躇なく放ったゴールでした。シャーレル・フィクリのゴールも含め、今季のスランゴールは昨季のイフェダヨ・オルセグン頼りから多彩な攻撃パターンを持つチームへ変貌したようです。

2021年3月6日@ハンジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ・ユナイテッド 1-1 サバ
得点者:マラッカ-クマーハン・サタシバン(63分)、サバ-ハムラン・ピーター(45分)
 マラッカが優勢に試合を進めながら、新加入の外国籍選手4名が合流できていないサバと引き分け、ホームのマラッカにはとっては痛い引き分けです。
(マラッカ・ユナイテッドとサバは公式チャンネルにダイジェスト映像がないので、試合のフル映像をUnifiからお借りしました。)

https://youtu.be/knFJRDCYNgs

3月7日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
ペラ 0-0 PJシティ
得点者なし
 開幕2週間前に監督が交代したペラと外国籍選手が1名もいないPJシティの試合は、今節で唯一のスコアレスドローとなっています。この試合では試合終了間際にPJシティのP・マニアム監督がイエローカードをもらっています。
(ペラとPJシティは公式チャンネルにダイジェスト映像がないので、試合のフル映像をUnifiからお借りしました。)

https://youtu.be/HMXUtVZPtkA

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ順位(第1節終了時)

ClubGWDLGFGAGDP
1SEL11003123
2JDT11002023
3TFC11002113
4PEN11001013
5MEL10101101
6SBH10101101
7PRK10100001
8PJ10100001
9UITM100112-10
10KL100101-10
11PHG100113-20
12KDH100102-20
項目:G-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、P-勝点
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ

2021年シーズンMリーグ1部スーパーリーグ得点ランキング(第1節終了時)

選手(所属クラブ)ゴール数
1オリヴァー・バフ(SEL)2
2サファウィ・ラシド(JDT)他9名1
クラブ名:KDA-クダ・ダルル・アマン、TFC-トレンガヌ、PRK-ペラ、SEL-スランゴール、PHG-スリ・パハン、PJ-PJシティ、MEL-マラッカ・ユナイテッド、SBH-サバ、PEN-ペナン、KL-クアラルンプールシティ