2月25日のニュース:クダFAはJDTにチケット割り当て数増を求める、FAカップ2回戦のカードが決定、タイ1部リーグ第2節-代表コンビはともに出場

クダFAはJDTにチケット割り当て数増を求める
 今季のマレーシアフットボールリーグMFLは、今週金曜日2月28日のスンバンシーカップで開幕します。このスンバンシーカップは、英国プレミアリーグのチャリティーシールド(現コミュニティーシールド)を模した試合で、前年のMFL1部スーパーリーグ優勝クラブとマレーシアカップの優勝クラブが対戦する大会です。なお、昨季はスーパーリーグ、マレーシアカップとジョホール・ダルル・タジムJDTが優勝していることから、JDTはマレーシアFAカップ優勝クラブのクダFAと、開場したばかりのJDTの新本拠地スルタン・イブラヒムスタジアムで対戦しますが、このスンバンシーカップのチケットをめぐって、ちょっとした騒動が起こっていると英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が伝えています。
 このスンバンシーカップは、MFL1部スーパーリーグの公式戦として、JDTのホームゲームとして開催されますが、アウェイチームのクダFAに割り当てられたチケットが500枚となっていることが騒動の発端です。MFLの規定では、収容人数が2万人未満のスタジアムでは300枚、2万人以上4万人未満のスタジアムでは500枚、4万人以上のスタジアムでは1000枚のチケットをアウェイチームに割り当てることになっており、JDTはスルタン・イブラヒムスタジアムの収容人数が3万5000人であることから、MFLの規定に従って500枚のチケットをクダFAに割り当てましたが、クダFAはMFLを通じて1000枚のチケットを求めています。記事では、JDTは規定通りの対応をしており、MFLもJDTが割り当て増に応じない限り、何もできないとしています。
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 この問題はこのスンバンシーカップが本家のコミュニティーシールとは異なり、リーグ戦の一部となっていること、そして試合が中立地で行われていないことに端を発しています。特にJDTがリーグ6連覇中と言うことで、スンバンシーカップは今回も含め6回連続でJDTのホームでの開催になっています。
 しかしこれをコミュニティーシールドや隣国タイのチャンピオンズカップのように、リーグ開幕前に行い、会場も例えばブキジャリル国立競技場のような中立地とすれば、何の問題も発生しないどころか、MFLの主催試合として収入も得られると思うのですが、そんな発想はMFLにはないのでしょうか。

FAカップ2回戦のカードが決定
 先週末に行われたFAカップ1回戦の結果を受けて、昨日2月24日にFAカップ2回戦の組み合わせ抽選が行われました。なお、このFAカップは3年連続でシンガポールのEコマース(ネットショッピング)サイトShopee「ショッピー」が冠スポンサーとなり、Shopee FAカップと名称が変更になっています。
 以下は3月17日から18日かけて行われるFAカップ2回戦のカードです。注目のカードの下に小ネタを添えてみました。
*(カッコ)内は所属リーグ:(1)はMFL1部スーパーリーグ、(2)はMFL2部プレミアリーグ、(3)はMFL3部M3リーグ、(4)はMFL4部M4リーグ

PJシティFC(1)対イミグレーション(入国管理局)FC(3)
 内紛騒動で揺れるPJシティFCと、給料未払い問題未解決のためM3出場停止になったジョホールFAに代わって急遽参加したイミグレーションFCの対戦。チーム内にゴタゴタがあるとは言え、M3相手では順当にPJシティFCが勝利するでしょう。
サバFA(1)対クアラルンプールFA(2)
 昨季MFL2部優勝クラブと昨季MFL1部最下位クラブの対戦です。来季の1部昇格を目指すクアラルンプールFAにとっては、負けられない相手でしょう。
クダFA(1)対パハンFA(1)
 2回戦でMFL1部同士が対戦するのは少々残念ですが、今季大型補強を行った昨季4位のクダFAが昨季2位のパハンFAと対戦する2回戦屈指の好カードです。
フェルダ・ユナイテッド(1)対ケランタン・ユナイテッド(2)
 昨季MFL3部で圧勝して2部に昇格したケランタン・ユナイテッドと、すんでのところでMFL1部残留を果たしたフェルダ・ユナイテッドの対戦です。フェルダUには、恵龍太郎選手が在籍しています。
ペナンFA(2)対ヌグリスンビランFA(2)
 今季のMFL2部のクラブの中で最も1部昇格に近いクラブ同士の対戦です。ヌグリスンビランFAには中武駿介選手が在籍しています。
スランゴールFC(1)対サラワク・ユナイテッド(2)
 スランゴールFCのサティアナタン監督と反りが合わず退団したアムリ・ヤハヤが加入したのがサラワク・ユナイテッド。「自分が加入するクラブをスランゴールFCは倒せない」という捨て台詞が正しかったのかどうかが見ものです。
UITM FC(1)対クチンFA(2)
 今月上旬のプレシーズンマッチで対戦し、UITM FCが3-2と勝っているカード。ただし、プレシーズンマッチということで、その結果はあてにはならないでしょう。クチンFAには鈴木雄太選手とタニガワユウキ選手が在籍しています。
KLローバーズ(3)対ジョホール・ダルル・タジムJDT(1)
 昨季MFL2部でプレーした外国籍選手2名を補強し、M3では別格のKLローバーズは国内最強のJDTとの対戦です。MFL2部のクラブなら意外に勝てるかとも思いましたが、今回は相手が悪すぎます。
ケランタンFA(2)対プロタップFC(3)
 外国籍選手がなかなか決まらなかったクランタンFAには、昨季フェルダ・ユナイテッドでプレーした渡邉将基選手が加入し、MFL2部でプレーする選手は6名になりました。
マラッカ・ユナイテッド(1)対ランカウィシティFC(3)
クアタグFC(4)対KSRサイエンスFC(3)
SS FC(4)対UKM FC(2)
ノーザンライオンズFCマーサ対PDRM FC
マークレスST(4)対AF(国軍) FC(3)
ペラTBG(1)対KTローバーズ(3)
サラワク・ユナイテッドII(3)対トレンガヌFC(1)
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 なおShopeeがスポンサーとなったことで、FAカップやMFLの試合もShopeeのサイトからオンラインで購入できます。詳しくはこちらをどうぞ。チケット1枚購入につき1枚無料(!)のキャンペーンもやっています。

ちなみにFAカップのスポンサーとなったShopeeは、インドネシア1部リーグのスポンサーにもなっていますが、あのクリロナにひどいダンスを踊らせたことでも有名です。

https://www.youtube.com/watch?v=fHH3QfBSs7I

タイ1部リーグ第2節-代表コンビはともに出場
 隣国タイリーグ1部の第2節が行われ、ノーシャルル・イドラン・タラハが所属するBGパトゥム・ユナイテッドはアウェイでプラチュワップFCと対戦し0-0の引き分けでした。なおノーシャルル選手は第1節に続いて先発出場し、75分に交代しています。
 またドミニク・タンが所属するポリス・テロFCはアウェイでトラートFCと対戦し3−1と勝利し、開幕2連勝を飾っています。タン選手は73分に途中出場し、試合終了までプレーしました。
 なお明日2月26日に行われる第3節では、2人の所属するクラブが直接対決する「マレーシア選手ダービー」がBGパトゥム・ユナイテッドのホーム、レオスタジアムで開催されます。
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 マレーシア人選手の動向はタイリーグの公式サイトで調べるのですが、タイリーグのサイトは一部が英語になっているので、記事は読めなくとも記録を調べるにはとても便利です。MFLもこれくらいのサイトを作ってくれると、より多くの情報を世界に発信できるのでありがたいのですが…。

MFL1部スーパーリーグのクラブ紹介と今季の順位予想(6):パハンFA、JDT

今季2020年シーズンのマレーシアフットボールリーグMFL1部と2部は2月28日に開幕します。そこで前回に続き、今季のMFL1部スーパーリーグでプレーするクラブの紹介と、独断と偏見に基づいてた順位予想を行います。今回は最後となる第6回です。(人名の後に特に表記がない場合はマレーシア人です)

パハンFA(ホーム:ダルル・マクムールスタジアム-パハン州クアンタン)
(昨季結果:MFL1部2位 / 今季予想:4位)
<監督>
ドラー・サレー(パハンFA監督4季目)
<外国籍選手>
FWディクソン・ヌワカエメ(ナイジェリア、昨季より移籍)
DFエラルド・グロン(フランス、昨季より残留)
FWイヴァン・カルロス・フランサ・コエーリョ(ブラジル、キプロス1部リーグのAELリマソールより移籍)
DFカリル・カミス(レバノン、レバノン1部リーグのアル・アヘドFCから移籍-アジア枠)
DFアダム・マイケル・リード(フィリピン、タイ1部リーグのチャイナート・ホーンビルFCより加入ASEAN東南アジア枠)
<主力選手>
GKヘルミ・エリザ
DFファイザル・ロスリ
MFアザム・アジー
FWモハマド・スマレ
<クラブ概要>
 パハン州サッカー協会PFAが運営するクラブで、2017年のドラー・サレー監督就任後はリーグ戦では2位、4位、2位、マレーシアFAカップは準優勝、優勝、ベスト4と、マレーシアカップ準優勝とカップ戦では好成績を収めました。
 しかし、昨季終了後はエラルド・グロン以外の外国籍選手との契約を延長せず、サフアン・バハルディン(シンガポール、スランゴールFCへ移籍)、サディル・ラムダニ(インドネシア、バヤンガラFCに移籍)らを放出、さらにノーシャルル・イドラン・タラハ(タイ1部BGパトゥム・ユナイテッドに移籍)も退団する一方で、新戦力獲得のニュースもないままでしたが、ここに来てパハンFAサポーターからの支持も多かったディクソン・ヌワカエメが今季も残留することが決まり、今季の布陣も整ったかと思ったところで飛び込んできた代表でもプレーするマシュー・ディヴィーズ退団のニュースは衝撃的でした。しかも移籍先はライバルのJDTとなれば、パハンFAサポーターにとっては二重のショックです。ということで、予想はクダFAやスランゴールFCより下位の4位としました。

ジョホール・ダルル・タジムJDT(ホーム:スルタン・イスマイルスタジアム-ジョホール州イスカンダル・プトゥリ)
(昨季結果:MFL1部1位 / 今季予想:1位)
<監督>
ベンジャミン・モラ(メキシコ、JDT監督2季目)
<外国籍選手>
FWジオゴ(ブラジル・昨季から残留)
MFレアンドロ・ヴァレスケス(アルゼンチン・昨季から残留)
FWゴンザロ・カブレラ(イラク、昨季から残留-アジア枠)
MFハリス・ハルン(シンガポール、昨季から残留-ASEAN東南アジア枠)
DFマウリシオ(ブラジル、昨季から残留)
<主力選手>
GKファリザル・マーリアス
DFマシュー・デイヴィーズ(パハンFAより移籍)
DFラヴェル・コービン=オング
MFナズミ・ファイズ
MFリリドン・クラスニキ(マラッカ・ユナイテッドより移籍)
FWサファウィ・ラシド
<クラブ概要>
 ジョホール州皇太子トゥンク・イブラヒム殿下がオーナーのクラブで、MFL1部を6連覇中です。昨季は初出場となったACLで鹿島を破るなど、現在、マレーシアのトップクラブです。
 主力選手の欄には書ききれなかったアイディル・ザフアン、シャフィク・アーマド、アキヤ・ラシド、アダム・ノー・アズリン、アフィック・ファザイル、シャマー・クティ・アッバなど、昨季は代表でプレーした選手たちがいますが、帰化選手となったリリドン・クラスニキやマシュー・デイヴィーズを補強したことで、彼らがベンチを温める可能性があるほどの選手層の厚さを誇るクラブになりました。
 主力選手の代表招集やACL本戦に備えて、いわゆる「ローテーション」が可能になるよう、BチームのJDT IIには昨季はクダFAで活躍したFWフェルナンド・ロドリゲス(スペイン)や廣瀬慧(インドネシア1部リーグのプルセラ・ラモンガンから移籍)も在籍し、いつでも外国籍選手の入れ替えを可能にする用意周到ぶりです。
 昨季の16勝5分1敗も素晴らしい成績でしたが、今季は無敗で終える可能性すらあり、そんな中であえて心配な点を探すとすれば、代表招集やACL出場による選手の疲弊やシーズン中のケガくらいしかなく、むしろそういった外因がない限りはMFL7連覇が濃厚ということでもあります。