KLシティの冒険が終わる
AFCカップ決勝
KLシティ0-3アル・シーブ

AFCカップ2022年大会決勝が10月22日にマレーシアのクアラルンプールで開催され、オマーンのアル・シーブクラブがMリーグ1部スーパーリーグのKLシティFCを3-0で破り優勝しています。オマーンのクラブとしてはAFCカップ初優勝となりました。

FIFAランキングでは75位のオマーンで、2021/22シーズンには国内リーグ、国内カップ戦、そしてスーパーカップの三冠を獲得したアル・シーブと、同146位のマレーシアでリーグ戦ではなくマレーシアカップ優勝で出場権を獲得したKLシティの対戦となったこの試合は、主力に6名のオマーン代表選手を擁するアル・シーブに対し、KLシティの代表選手はデクラン・ランバートとザフリ・ヤハヤ(マレーシア)、ケヴィン・メンドーザ(フィリピン)の3名と、試合前の下馬評は、アル・シーブ有利でした。

また、2004年から開催されているAFCカップは、過去17回の大会の歴史を見ても中東のチームが15回優勝している大会です。中東のチーム以外では2011年のナサフ・カルシFC(ウズベキスタン)と2015年のMリーグのジョホール・ダルル・タジムJDTの2チームしか優勝しておらず、KLシティは東南アジアのクラブとしてJDTに続く2チーム目の優勝を目指しました。

またこの試合で注目されたのは、KLシティの外国籍選手の顔ぶれでした。Mリーグの外国籍選手枠はいわゆる3+1+1(無条件の外国籍3名、アジア枠1名、東南アジア枠1名)となっていますが、AFCカップの外国籍枠は3+1(無条件の外国籍3名、アジア枠1名)で、KLシティのボヤン・ホダック監督は、グループステージから地区プレーオフ準決勝までは、FWロメル・モラレス(コロンビア)、FWジョーダン・ミンター(ガーナ)、MFパウロ・ジョズエ(ブラジル)、DFジャンカルロ・ガリフオコ(オーストラリア)の4名を起用しましたが、地区プレーオフ決勝のPFCソグディアナ(ウズベキスタン)との試合では、FWジョーダン・ミンターに代わってGKケヴィン・メンドーザ(フィリピン)を起用しました。準決勝では、このメンドーザ選手が試合中にスーパーセーブを連発、さらに延長戦を経てPK戦に持ち込まれたこの試合では、相手のPKを止めて、チームを勝利に導いています。このため、この決勝戦ではモラレス、ジョズエ、ガリフオコの3選手に加えて、攻撃を重視しジョーダン・ミンターを起用するのか、守備を重視しケヴィン・メンドーザを起用するのかが注目されましたが、ホダック監督は、ケヴィン・メンドーザを起用しています。

この試合はボラセパマレーシアJPも観戦に出かけました。クアラルンプールがあるマレーシア東海岸は雨季に入っており、この日の天気予報も夕方から雨となっていたにも関わらず、試合前にはピッチに水が撒かれるの見て「えっ!」と思いましたが、田んぼのようなピッチでもリーグ戦を行うMリーグのKLシティに有利に、早く短いパス回しを得意とする中東のチームには不利になるようにかと邪推しましたが、その辺りの真相は不明です。

そしていよいよキックオフ。案の定、キックオフ前から激しく雨が降り始めており、ボールが転がりにくいピッチで試合が始まります。慣れないピッチに戸惑うアル・シーブに対して、KLシティはキックオフから一気に相手陣内へ攻め込み、外れてしまったものの開始から1分で早くもパウロ・ジョズエがシュートを放つなど、2万7000人を超える観衆の大半となるKLシティサポーターの期待が高まります。

さらに18分には左サイドのJ・パルティバンからのクロスをパウロ・ジョズエがスルー、これをザフリ・ヤハヤがシュートしますが、アル・シーブのGKアフマド・アル=ラワヒがこのシュートを足で止め、KLシティは先制ゴールを挙げられません。

逆に徐々にピッチに慣れてきたアル・シーブは、22分にCKを得ます。ニアポストに選手が集まる中、右サイドからアリ・アル=ブサイディが蹴ったこのCKは、飛び出したケヴィン・メンドーザの指先を掠めて、誰もいないファーポスト側に直接ゴールインし、アル・シーブが先制します。

これに対しKLシティは34分、再びザフリ・ヤハヤがシュートを放つも、アル・シーブのGKアフマド・アル=ラワヒの正面となり、GKがこれをキャッチします。逆にその直後の37分には、左サイドからのクロスにアブドルアジズ・アル=ムクバリが頭で合わせてゴール!。アル・シーブはリードを2点に拡げます。

この辺りで既に「判断のスピード」、「パスを出すスピード」といった両チームの「スピード」の差が明らかになっていました。Mリーグでは一般的にDFが相手選手に速いプレスをかけることが少なく、攻撃側がパスを受けてから周りを見る時間が十分にありますが、この試合ではアル・シーブの選手の速い寄せに対してKLシティの選手が焦ってとりあえず蹴り出すという場面が何度も見られました。これはACLでJDTが浦和と対戦した時も顕著でしたが、この辺りはMリーグのクラブがアジアの舞台で戦う際の課題になりそうです。

試合に話を戻すと、このまま前半を2-0で折り返しましたが、試合開始直後を除くとKLシティは小劇の決め手を描き、FWジョーダン・ミンターではなくGKケヴィン・メンドーザを選んだことの影響が感じられる前半でした。

後半に入り、点差を詰めたいKLシティに対し。69分にアル・シーブはDFラインの裏へのパスに抜け出したオマーン代表FWムフセン・アリ=アルガッサニが、KLのDFをかわして3点目のゴール。KLシティは72分にペナルティエリアの外で得たFKにロメル・モラレスが頭で合わせるもアル・シーブのGKアフマド・アル=ラワが再び好セーブで防ぎ、KLシティはゴールを破れません。試合はこのまま進み、アル・シーブが3-0のスコア以上に完勝でオマーンのクラブとしてAFCカップ初優勝を飾っています。

試合後の記者会見でKLシティのボヤン・ホダック監督は、この試合のGKケヴィン・メンドーザが触れられずに直接ゴールとなった1点目のコーナーキックがこの試合の分岐点となったと述べています。「試合を通して、相手は決定機が2度しかなかったにもかかわらず、1点目となったGKのミスでこちらは3失点してしまった。アル・シーブのようなアジアのトップクラスのチームは、こう言ったミスを見逃してくれることは決してない。」と述べましています。また、外国籍選手枠でFWジョーダン・ミンターを起用し、GKにはケヴィン・メンドーザの代わりにマレーシア人のアズリ・アブドル・ガニを起用しなかったことを後悔していないかどうかを問われると、ホダック監督は準決勝でのPK戦セーブなどのおかげでチームは決勝に進出できたことから、MリーグのNo. 1GKであるケヴィン・メンドーザは決勝でプレーするのは至極当然なことであり、と答えています。

なお優勝したアル・シーブは優勝賞金として150万米ドル(およそ2億2300万’円)、準優勝のKLシティは75万米ドル(およそ1億1200万円)を獲得しています。またアル・シーブは、来季のACLグループステージの出場権も合わせて獲得しています。

AFCカップ2022決勝
2022年10月22日@ブキ・ジャリル国立競技場(クアラルンプール)
KLシティ(マレーシア) 0-3 アル・シーブ(オマーン
⚽️アル・シーブ:アリ・アル=ブサイディ(22分)、アブドルアジズ・アル=ムクバリ(37分)、ムフセン・アリ=アルガッサニ(69分)
🟨KLシティ(3):アクラム・マヒナン、ジャンカルロ・ガリフオコ、アンワル・イブラヒム
🟨アル・シーブ(3):モハメド・アル=ハブシ、アフメド・アル=シヤビ、モハメド・アル=ムサラミ

(以下はこの試合のスタッツ、先発XIとハイライト映像。スタッツと先発XIはAFCのTwitterから、またハイライト映像はアストロアリーナのYouTubeチャンネルから)


10月21日のニュース
MFLがスーパーリーグの今季ペストXIを発表

MFLがスーパーリーグの今季ペストXIを発表

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、元代表選手でMFL公式サイトにも寄稿するシャーロム・カリム氏が選んだ、1部スーパーリーグの今季ベストXIを公式サイトで発表しています。そこでマレーシアで最も好まれる4-3-3に合わせてシャーロム氏の選んだ11名に、ボラセパマレーシアJPの勝手なコメントを書き添えました。

GKシーハン・ハズミ(ヌグリスンビラン)

昨季所属したPJシティではカラムラ・アル=ハフィズの台頭によって出場機会が減り、押し出される形でヌグリスンビランに移籍したシーハン選手。しかしこの移籍が大正解でした。出場機会が増えたことでキム・パンゴン代表監督の目にも止まり、今年初めてA代表に招集されると6月のAFCアジアカップ2023最終予選や9月のキングズカップ(タイ)では、それまでの代表正GKファリザル・マーリアス(JDT)に代わって、代表ゴールを守りました。ここまでの活躍を見るとリーグベストGKという良rも今季のマレーシア人のベストGKと言えるでしょう。
 ちなみに今季のスーパーリーグで全22試合に出場したGKはこのシーハン・ハズミ、カイルル・ファーミ(サバ)、ケヴィン・メンドーザ(KLシティ)の3名ですが、クリーンシートはシーハン・ハズミとケヴィン・メンドーザが7、カイルル・ファーミが5となっています。ボラセパマレーシアJP的にはケヴィン・メンドーザが今季No.1ですが、マレーシア人選手に限ればシーハン選手が間違いなく現在のNo. 1のGKです。

DFラヴェル・コービン=オング(ジョホール・ダルル・タジムJDT)

左サイドバックを務めるラヴェル・コービン=オングは、今季はこれまで以上い安定したプレーをMリーグだけでなくACLや代表戦でも見せ、クラブにも代表にも欠かせない選手となりました。これまでは攻撃への意識が行きすぎて、たびたびオーバーラップした裏側を相手に取られる場面などもありましたが、今季はそういったことがほとんどなく、安心して見ていられるプレーぶりでした。JDTのリーグ9連覇達成に欠かせなかったコービン=オン選手の貢献度が高いことは、ACLなどでチームがローテーションを行う中、今季のスーパーリーグで全試合に先発したチーム唯一の選手であることからも分かります。

DFクザイミ・ピー(ヌグリスンビラン)

GKシーハン・ハズミ同様、ヌグリスンビランへの移籍が転機となったのがこのクザイミ・ピーです。昨季プレーしたUITMが1部で最下位となり2部に降格すると、それを入れ替わる形で昇格したヌグリスンビランへ移籍。そこからはシーハン選手同様、そのプレーぶりがキム代表監督の目に留まって、今年3月のシンガポールサッカー協会FAS主催の3カ国対抗戦で6年ぶりに代表に招集されました。4バックの左センターバックとしてポジションを勝ち取ると、6月のアジアカップ2023最終予選や9月のキングズカップでも主力として活躍しています。1部昇格初年度のヌグリスンビランは今季の失点がリーグ3位タイの26失点でしたが、DF陣の要にこのクザイミ選手がいたことが大きいでしょう。また攻撃の起点にもなれるDFでもあり、代表戦でも低く早いクロスでアシストを記録しています。

DFパぺ・ディアキテ(トレンガヌ)

東南アジアリーグの外国籍選手に多い長身のセンターバックですが。パぺ・ディアキテもそんな選手の1人。今季ベトナムのサイゴンFCから加入した、194cmとリーグ2位の長身を生かし、昨季のトレンガヌに欠けていた頼れるセンターバックとして、22試合中19試合に先発しています。ディアキテ選手は常に冷静なプレーでDF陣のリーダーを務め、チームが今季リーグ2位の失点20(22試合)となった原動力の1人です。

DFマシュー・デイヴィーズ(ジョホール・ダルル・タジムJDT)

昨季末にヘルニアの手術を受け、今季の出場が危ぶまれていましたが、結局17試合に出場したマシュー・デイヴィーズ。JDTだけでなく、代表の右サイドバックとしてチームになくてはならない存在になっています。クラブと代表のいずれでもチームメイトのラベル・コービン=オング同様。積極的なオーバーラップから精度の高いクロスを上げる能力もあり、攻守のバランスが取れた選手です。

MFパク・タエスー(サバ)

本来のセンターバックあるいは守備的MFから今季途中に攻撃的MF的に起用されると、FW陣を押しのけてチーム最多の8ゴールを挙げています。もともとFKの上手い選手でしたが、過去2シーズンで3ゴールしか挙げていないパク選手のコンバートは大成功だったと言えるでしょう。
 最新のニュースでは、今季終了後に契約が切れる33歳のパク選手に対して、サバが契約を2年延長するオファーを行い、パク選手もこれに同意し、既に契約書にサインしたことが報じられています。2019年からサバでプレーするパク選手は、今回の契約で2024年までサバでプレーすることが決まっています。

MFレアンドロ・ヴァレスケス(JDT)

JDTのセカンドチーム、JDT II時代も合わせると今季が在籍5季目となるレアンドロ・ヴェラスケスはMリーグでもトップクラスの攻撃的MF。FKも良いし、シュート力もあり、33歳という年齢を全く感じさせないエネルギッシュな選手です。あえて今季の残念な点を挙げるとすれば、ACLグループステージの累積警告により、Jリーグ浦和とのノックアウトステージに出場できなかったことでしょう。ヴァレスケス選手がいたら、エクトル・ビダリオ監督もDFジョルディ・アマトのMF起用といった奇策を講じる必要もな句、浦和に冷や汗くらいは欠かせられたのではないかと悔やまれます。

MFペトラス・シテムビ(トレンガヌ)

トレンガヌにとっては欠かすことのできない選手ではありますが、今季のMリーグベストXIに入る選手かと言われれば、ボラセパマレーシア的にはこの人選に異論ありです。攻撃的MFとしては、少々物足りなく、前述のパク、ヴァレスケス両選手と比べると、正直なところ、少々見劣りする印象です。さらにこのポジションにはパウロ・ジョズエ(KLシティ)、マヌエル・イダルゴ(スリ・パハン)らもおり、やはりベストXIには該当しないのではないでしょうか。

FWベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)

今季19試合に出場し、2位のカイオン(スランゴール)に14ゴール差をつけ、リーグ新記録となる29ゴールを挙げたベルグソン・ダ・シルヴァ。ちなみのこの29得点は、8位のPJシティの今季チーム総得点22を上回っている他、マラッカ、サラワク、ペナンといった下位チームの今季チーム総得点をも上回っています。
 その強烈な左足から昨季も23ゴールを挙げながら、26ゴールを挙げたイフェダヨ・オルセグン(当時スランゴール、現マラッカ)にリーグ得点王の座を譲りましたが、今季はおるせ軍選手の作ったリーグ最多得点記録を更新して、得点王となりました。
 韓国のサッカーに詳しい方からは、韓国リーグでは成功しなかったと伺いましたが、フィジカルの強さよりも、スピードとポジション取りの巧みさでゴールを量産するタイプのベルグソン選手はMリーグの水に合っているのかもしれません。

FWアリフ・アイマン(JDT)

昨季はMリーグ史上最年少の19歳でリーグMVPを獲得したアリフ・アイマンも、今季を通じて着実に成長した右ウイング選手です。スピードに乗ったドリブルを武器に、右サイドを駆け上がってのクロスを前述のベルグソン選手が決める「ホットライン」は今季もJDTに多くのゴールをもたらしています。ボラセパマレーシアJP的には、もっと自分でゴールを狙ってもらいたい思いますが、そこはチーム内での役割もあるのかもしれません。また、今年20歳という年齢もあり、Mリーグでのプレーに満足せず、マレーシアを飛び出し、より厳しい環境でプレーしてもらいたい選手でもあります。

FWファイサル・ハリム(トレンガヌ)

絶対的なレギュラーに定着したことで、今季最も成長し選手と言えるファイサル・ハリム。158cmと小柄なことから愛称は「ミッキー」の左ウイングは、一度ピッチに立てば、スピードに加えて巧みなドリブル突破からクロスも上げられれば、自身でも積極的にシュートを打つ選手でもあります。今季の6ゴールも、もっと自己中になり、自身でシュートを打つ選択をしていればもっと増えていたはずです。来季はスランゴール移籍の噂もありますが、どこでプレーするにせよ、来季は2桁ゴールを狙って欲しい選手です。

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今回の11名は終了したばかりのスーパーリーグ上位4チームのみから選ばれており、チームの好成績に貢献した選手という意図があるかもしれません。そう言ったものを払拭してボラセパマレーシアJPが選ぶとすれば、DFはパぺ・ディアキテの代わりにジャンカルロ・ガリフオコ(KLシティ)、MFはペトラス・シテムビの代わりには、前述したパウロ・ジョズエ(KLシティ)やマヌエル・イダルゴ(スリ・パハン)、パク・タエスーの代わりにはブレンダン・ガン(スランゴール)あたりが選ばれても良いのではないかと思います。

10月19日のニュース
AFCがFIFAと共同でマレーシアにスタジアムを建設
AFCカップ決勝-KLシティサポーターからはキックオフ時間変更を求める声が上がる

AFCがFIFAと共同でマレーシアにスタジアムを建設

アジアサッカー連盟AFCは、マレーシアのプトラジャヤにサッカー専用スタジアムとなるAFCスタジアムを建設すること公式サイト上で発表しています。

15.43エーカー(東京ドームおよそ1.3個分)の敷地に建てられるスタジアムは1万人収容の観客席や地下駐車場を持ち、また同じ敷地内にはAFCの事務局も入るということです。なお、このスタジアムの建設はFIFAがその資金を支援し、マレーシアサッカー協会FAMとマレーシア政府もこの建設を資金以外の面から支援するということです。

FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長も出席したAFCの執行委員会で発表されたこの計画について、AFCのシャイフ・サルマーン会長は、「これまで技術向上や審判育成のためのコースやワークショップ、セミナーはAFCハウスがその活動の中心だったが、この新たなAFCスタジアムが完成すれば、より多くの活動が行えると期待している」と述べ、今回のスタジアム建設を支援するFIFAとマレーシア政府に感謝の意を表しています。

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このスタジアムが建設されるマレーシアの連邦直轄地プトラジャヤは、各省庁やその関連政府機関が集まる行政の中心地です。現在、AFCの本部であるAFCハウスがあるクアラルンプールからは30kmほど離れており、そこに住んでいるのは政府関係機関の職員とその家族が大半となっている場所です。もともとは何もなかった土地を切り開いて作った人工都市なので、土地は余っているのでしょうし、国外から来る場合にはクアラルンプール国際空港も近く便利なのだと思います。ただこのスタジアムで、マレーシアの標準キックオフ時間の午後9時開始の試合があったら、よほどのことがない限り、見に行く気力はないなぁ。

AFCスタジアムの完成予想シミュレーションなども見られる元記事はこちらです。

AFCカップ決勝-KLシティサポーターからはキックオフ時間変更を求める声が上がる

今週土曜日の10月22日には、マレーシアのクアラ・ルンプールにあるブキ・ジャリル国立競技場で今季のAFCカップ決勝が開催され、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティがオマーンのアル・シーブクラブと対戦します。

2015年のジョホール・ダルル・タジムJDT以来、東南アジアのクラブとしては2チーム目の優勝を狙うKLシティですが、そのサポーターからキックオフ時間の変更を求める声が上がっていると、サッカー専門サイトの ヴォケットFCが伝えています。

10月22日の決勝は、午後7時期キックオフと発表されていますが、実はこの時間、マレーシアの国境でもあるイスラム教の日没後の礼拝時間に近く、国内サッカーファンの大半はイスラム教徒であることから、キックオフ時間の変更を求める声が上がっています。

イスラム教では1日5回の礼拝が義務付けられていますが、その中に日没後の礼拝Maghrib「マグリブ」があります。礼拝の時間は時期や地域によって微妙に変わりますが、ちなみにこの記事を書いている10月19日のクアラ・ルンプールのマグリブの時間は午後7時1分(1日の礼拝時間は、マレーシアで毎日、新聞に掲載されています)

礼拝の時間とあまりに近いキックオフ時間はムスリム(イスラム教徒の別称)の配慮が足りないとして、KLシティのサポーターは、クラブとマレーシアサッカー協会FAMに対し、AFCにキックオフ時間の再考を促すよう求めています。

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実際にSNS上でもこういった投稿は散見され、KLシティのクラブ公式Facebook上でも、8時、いや7時30分で良いのでキックオフ時間を変更して欲しい、といった投稿が複数見られます。

今回の決勝は、VARを導入することを決めたAFCが、VARを使用するには照明の明るさが足りないことを理由に、試合会場をKLシティのホームのKLフットボールスタジアムからブキ・ジャリル国立競技場へと変更しています。従来のホームで試合ができなくなったことで、KLシティサポーターからは不満が出ていたところに今回のキックオフ時間の件が重なり、不満がさらに増幅している印象です。決勝まで後3日ですが、AFCがこれを無視するのか、サポーターの声を聞くのか。なお、決勝のチケットは既に一昨日から販売が始まっています。


Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン最終節第22節結果とハイライト

10月15日にMリーグ1部スーパーリーグの今季最終節となる第22節が行われました。ジョホール・ダルル・タジムJDTのリーグ9連覇が既に決まっていますが、来季2023年シーズンのAFCカップ出場権が与えられる2位争いは熾烈で今節までもつれ込んでいました。前節まで2位のサバはJDTに敗れて勝点42のままの一方で、勝点差1で3位に付けていたトレンガヌは7位クダに改称して勝点44、同じ勝点差1でサバを追っていた4位のヌグリスンビランは8位のスリ・パハンに敗れて勝点41のままとなり、トレンガヌが2位となりAFCカップ出場権を獲得しています。
 また今節でスーパーリーグの最終順位が決定したことで、10月25日に開幕するマレーシアカップの対戦カードも確定しています。

2022年10月15日@シティースタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナン 1-1 スランゴール
⚽️ペナン:ラファエル・ヴィトール(31分)
⚽️スランゴール:ノル・ハキム(36分)
🟨ペナン(1):アブドル・アジム・ラヒム
🟨スランゴール(3):ハリス・ハイカル、ジクリ・カリリ、ヤザン・アル=アラブ
🟥スランゴール(1):シャールル・ナジーム
MOM:ラファエル・ヴィトール(ペナン)
 目標は既にマレーシアカップへ
 ボールを蹴るたびに水しぶきが上がる、田んぼのようなピッチでの試合は、10人となったスランゴールが追いつき引き分けに終わっています。
 スランゴールは29分、自陣ペナルティエリア内でハンドの反則を犯したシャールル・ナジームがペナンにPKを与えるとともに退場となり、早々と10人での戦いを強いられます。タン監督が標榜するショートパスを繋ぐサッカーもこのピッチでは機能せず、最下位が確定しているペナンを相手に同点にするのが精一杯。タン監督就任から続いた連勝も3でストップしています。それでも一時は9位まで下がったスランゴールでしたが、今季を5位で終えています。
 この試合でも先発し、ケガのブレンダン・ガンに代わりキャプテンを務めたムカイリ・アジマルは20歳11ヶ月でトップチームでの50試合出場を達成しましたが、これはザイナル・アビディン・ハサン前ペナン監督に続くクラブ史上最年少2位の記録になっています。
 最終節となったこの試合前に、ペナンは途中退任のトマス・トルチェ監督に代わってここまで指揮を取ってきたザイナル・アビディン・ハサン監督の「休養」と、マンズール・アズウィラ コーチの昇格を発表しました。2020年にペナンが2部プレミアリーグで優勝した際には監督として指揮をとりながら、1部スーパーリーグで指揮を取るのに必要なAFCプロライセンスを保持していなかったことから、コーチにとどまっていましたが、現在はライセンスを取得したということかも知れません。いずれにしても、本来なら1部でも指揮を取り続ける予定だったマンズール監督ですので、マレーシアカップではそのお手並み拝見、となりそうです。

2022年10月15日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 1-0 マラッカ・ユナイテッド
⚽️サラワク:ボリス・コック(86分)
🟨サラワク(3):ノル・アジジ・ラムリー、ラジャ・イムラン・シャー、ボリス・コック
🟨マラッカ(1):ワン・アミルル・アフィク
MOM:ボリス・コック(サラワク・ユナイテッド)
 この試合で両チームは見納め?
 スーパーリーグで12チーム中、来季の国内クラブライセンスが交付されないことが発表された2チームが対戦する皮肉なカードとなったこの試合は、既に両チームとも順位が確定している状況でしたが、11位のサラワクが10位のマラッカを破っています。
 マラッカは、給料未払い問題が未解決なことから、リーグ戦後に開幕するマレーシアカップへの出場権剥奪処分をMFLより受けており、この試合で今季の全日程が終了したことになります。

2022年10月15日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 1-0 KLシティ
⚽️PJシティ:ダレン・ロック(40分)
🟨PJシティ(1)):ザイナル・アビディン・ジャミル
🟨KLシティ(2):カマル・アジジ、イルファン・ザカリア
MOM:ダレン・ロック(PJシティ)
 ホームで優秀の美
 PJシティがチーム得点王ダレン・ロックの今季10得点目、マレーシア人選手としてはリーグ最多となるゴールで上げた1点を守り切って、2連勝でリーグ戦を終えています。スーパーリーグ唯一の外国籍選手が1名もいないクラブながら、リーグ戦最後は2連勝で順位も9位と大健闘しました。
 KLシティは来週10月22日にAFCカップ決勝を控えているからか、ここまで全試合に先発してきたキャプテンのパウロ・ジョズエと、守備の要のイルファン・ザカリアがベンチスタート。特にスーパーリーグ屈指のMFパウロ・ジョズエを欠いたチームは単調な攻撃を繰り返しては、PJシティのDF陣に跳ね返される展開が続きました。後半からこの両選手が交代出場したものの、その流れは変えられず、PJシティとは逆に2連敗で今季を終え、最終順位は6位でした。

2022年10月15日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 2-0 ヌグリスンビラン
⚽️スリ・パハン:デヴィッド・ローリー2(28分、47分)
🟨スリ・パハン(4):ノル・アザム・アジー、バキウディン・シャムスディン、シェルゾド・ファイジエフ、ママドゥ・サマサ
🟨ヌグリスンビラン(3):サイフル・リズアン・スラマット、イズディン・ロスラン、ナスルラー・ハニフ
🟥ヌグリスンビラン(1):ナスルラー・ハニフ(🟨x2)
MOM:デヴィッド・ローリー(スリ・パハン)
 逆転2位ならず。
 2位のサバに勝点差1の4位でこの試合を迎えたヌグリスンビランは、この試合に勝てば他力ながら、AFCカップの出場権が懸かる2位の可能性もありましたが、8位のスリ・パハンに敗れ、最終順位は4位と変わりませんでした。
 この勝利で最終順位を一つ挙げて7位としたスリ・パハンは、マレーシアカップからはマレーシア国籍を取得した英国出身のリー・タックとアルゼンチン出身のエセキエル・アグエロ両選手の出場が可能となります。ヌグリスンビランとの試合で2ゴールを挙げたオーストラリア出身のデヴィッド・ローリー、英国出身のニック・スワイラッドとともに帰化選手が4名となり、外国籍選手5名と合わせた布陣はさながら「リトルJDT』とも言えそうで、マレーシアカップの台風の目となりそうです。

2022年10月15日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ 0-3 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:ファイサル・ハリム(4分)、チェチェ・キプレ2(16分、74分)
⚽️クダ:デシ・マルセル(88分)
🟨ヌグリスンビラン(0)
🟨マラッカ(0):
MOM:チェチェ・キプレ(トレンガヌ)
 9連勝でAFCカップ出場権獲得。
 一時はリーグ最下位、前半戦を終えて7位だったトレンガヌは、ナフジ・ザイン監督の解任なども噂れる事態でしたが、最後はリーグ戦破竹の9連勝で逆転2位となり、来季のAFCカップ出場権を獲得しています。今季大成長し、代表でもレギュラー定着が見えてきたファイサル・ハリムのゴールで開始4分に先制したクダは、昨季はクダに在籍したチェチェ・キプレの2ゴールで勝利を確定しています。
 2020年、2021年シーズンはいずれもJDTに次ぐ2位だったクダですが、クダ一筋だったキャプテンのバドロル・バクティアル、代表DFのリザル・ガザリ(いずれもサバへ移籍)、さらに2トップのクパー・シャーマン、チェチェ・キプレ(いずれもトレンガヌへ移籍)を失って、リーダー不在、攻撃力欠如、といった開幕から懸念されてきた不安が最後まで解消されないシーズンでした。さらに年間を通してケガ人も多く、この試合でも今季13ゴールのエース、ロナルド・ンガがケガのため出場できないなど「シンガポールのグラディオラ」ことアイディル・シャリン監督の攻撃的サッカーも、人材を欠いては機能しませんでした。

2022年10月15日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 3-0 サバ
⚽️JDT:ベグルソン・ダ・シルヴァ2(17分、55分)、アリフ・アイマン(39分)
🟨JDT(0)
🟨サバ(1):アルト・リナス
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
 堅守してきた2位から最後に陥落
 既に優勝を決めているJDTが、リーグ新記録となる29得点となるゴールを挙げたベルグソン・ダ・シルヴァの活躍などで優秀の美を飾っています。
 後半戦ではこれまで2位を堅持してきたサバは、最終節で敗れ、勝点差1で3位につけていたトレンガヌが勝利したため、逆転されて3位に後退、スーパーリーグ2位に与えられるAFCカップ出場権を逃しています。2位を維持しながらもシーズン終盤の9月、10月で1勝1分4敗と調子を落とし、第20節の直接対決でも敗れたトレンガヌに2位の座を明け渡しています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発し、76分に交代しています。

2022年シーズン スーパーリーグ 最終順位表

チーム勝点
1JDT22175061124956
2TRE22142839201944
3SAB22133636261042
4NSE2212553326741
5SEL228683933630
6KLC228593031-129
7SRP2284103331228
8KDA2283113241-927
9PJC226882230-826
10MEL2246122243-2118
11SWU2252151950-3117
12PEN2225152245-2311
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 最終得点ランキング

ゴール数選手名所属
129ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
214カイオンSEL
313フェルナンド・フォレスティエリJDT
13ロナルド・ンガKDA
13チェチェ・キプレPJC
511グスタヴォNSE
610ダレン・ロックPJC
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

10月13日のニュース
来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず
国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も
AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

来季のスーパーリーグは18ではなく16チームで開催?FIBが2チームの国内クラブライセンスを交付せず

Mリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは、今季Mリーグ1部スーパーリーグ所属の10クラブと2部プレミアリーグ所属の6クラブに対して、来季2023年シーズンの国内クラブライセンスが交付されたことを発表しています。またスーパーリーグ所属のマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドの2クラブは、交付条件を満たしていないとして、今回の交付が見送られたことも併せて発表しています。

MFLは、国内リーグ戦の試合数が少ないというFIFAの指導を受け、現在のスーパーリーグとプレミアリーグを統合して、来季は新たにスーパーリーグを再編することを発表しています。今季はスーパーリーグが12チーム、プレミアリーグは10チーム(ただし、統合の対象となるのは6チーム)で編成されており、新スーパーリーグは18チーム編成となる予定でしたが、これでマラッカ・ユナイテッドとサラワク・ユナイテッドを除いた16チーム編成となる可能性がでてきました。

MFLは、マレーシアフットボール協会FAMからマレーシアにおけるクラブライセンス制度の制定および運用の委任を受けており、マレーシアにおけるライセンス交付機関としてMリーグのクラブライセンス制度を運営し、Mリーグのクラブに対して国内クラブライセンスを交付します。なお、国内クラブライセンスの交付判定については、MFLから独立した第三者機関であるクラブライセンス交付第一審機関FIBが行っていますが、このFIBが今回、国内クラブライセンスが交付されなかった2クラブについて、その理由を説明しています。

マラッカ・ユナイテッドについては、選手や監督、コーチに対して未払いとなっている今年8月分の給料支払い証明が提出されておらず、さらにクラブの経営状況を示す複数の書類も未提出になっているということが、今回、FIBが国内クラブライセンスを交付しなかった理由としています。またサラワク・ユナイテッドについては、書類の不備に加え、FIFAの紛争解決室DRCが決定した、旧所属2選手の延滞債務も完済されていないことが理由としています。(なおこの「かつて所属した2選手」とは、このブログでも取り上げたサンドロ・ダ・シルヴァテイラー・リガンの両選手です。)

なお、今回の交付見送りに対して、マラッカ・ユナイテッド、サラワク・ユナイテッドとも、10月19日までに再度の国内クラブライセンス交付申請が可能となっていることも併せて発表されています。

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今回、国内クラブライセンス交付を見送られた2クラブについて、MFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、来季は2部プレミアリーグが開催されないことから、両クラブはアマチュアフットボールリーグAFLが統括する3部リーグのM3リーグでのプレーが可能と述べています。ただし、その場合にはM3リーグがMFLの管轄外であるため、最終決定はAFLが行うということです。

国内総選挙がマレーシアカップの日程に影響も

マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は10月10日付で下院解散を発表しました。これに伴う総選挙は、解散後60日以内に開催することが憲法で定められていますが、11月中旬になると各地で洪水を引き起こす北東モンスーンが到来することから、11月上旬の開催が有力視されています。 そしてこの総選挙日程が、10月25日開幕予定のマレーシアカップの開催日程にも影響を及ぼす可能性があると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

Mリーグを運営するMFLのスチュアート・ラマリンガムCEOは、Mリーグでのグループステージでは各スタジアムで多くの観衆が足を運ぶと期待されているとして、そのスタジアム警備が総選挙の日程次第では手薄になってしまう懸念があると述べています。

「各スタジアムの警備や安全維持は警察が行っているが、総選挙の開催日程次第では、全国で行われる総選挙の投票会場に多くの警察官が配備されることはもちろん、その前の選挙運動期間中も様々な形で警察が動員される可能性がある。MFLとしては、10月20日に選挙委員会が日程を決定するために行う会議での発表を待ちたい。」と述べています。

AFCカップ決勝はブキ・ジャリル国立競技場での開催が決定

ACL決勝を新国立競技場開催の話となんだか似ているなぁ。

10月22日に行われるAFCカップ決勝は、Mリーグ1部スーパーリーグのKLシティとオマーンのアル・シーブクラブが対戦しますが、その試合会場が当初予定されていたKL指定の本拠地、KLフットボールスタジアムからブキ・ジャリル国立競技場へ変更されたと、マレーシア語紙のブリタ・ハリアンが報じています。

AFCカップを主催するアジアサッカー連盟からの公式発表は未だないものの、KLシティのボヤン・ホダック監督によると、「技術的な問題」により試合会場が変更されたと説明しています。

「AFCは、決勝戦ではVARを採用するとしており、そのためにはスタジアム内の照明が1800ルクス以上であることが条件となるが、KLフットボールスタジアムの照明はその条件を満たしていないことから、試合会場が変更となった。」と述べる一方で、「選手たちも自分も慣れ親しんだKLフットボールスタジアムでの試合を望んでいたが、技術的な問題ではどうしようもなく、我々はブキ・ジャリルで試合をせざるを得なくなった。」とも話しています。

*****

レバノンのアル・アヘドFCと北朝鮮の4.25体育団が対戦した2019年のAFCカップ決勝は、やはりこのKLフットボールスタジアムで開催され、アル・アヘドFCが1-0で勝利していますが、この時はまだ、VARはAFCカップには導入されていなかったのかな。

This is the second time KL City has played at Bukit Jalil National Stadium in the final after winning the Malaysia Cup last year.

Previously, the Cheras Football Stadium hosted the AFC Cup final when the Lebanese club, Al-Ahed defeated the North Korean club, April 25 1-0 in 2019.

Mリーグ1部スーパーリーグ
2022年シーズン第21節結果とハイライト

10月11日にMリーグ1部スーパーリーグの第21節が行われています。既にジョホール・ダルル・タジムのリーグ9連覇が決まっているものの、3チームが勝点1差の中にひしめく2位争いは今節でも決着がつかず、最終節第22節に持ち越されています。なお最終節は今週末の10月15日(土)に全試合午後9時キックオフ(マレーシア時間)で開催されます。

2022年10月12日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 0-1 スランゴール
⚽️スランゴール:ハイン・テット・アウン(71分)
🟨スランゴール(1):ファズリ・マズラン
🟨サラワク(3):アブドル・ラーマン・イスマウィ、チャントゥール・スピア、スチュアート・ウォーク
MOM:ムカイリ・アジマル(スランゴール)
 3連勝で今季初の5位浮上。
 タン・チェンホー監督就任後2連勝のスランゴールが、引き分けを挟んで5連敗中のサラワクと対戦。6月19日の第10節の同じカードでは、サラワクに7-0と圧勝しているスランゴールがこの日も試合を優位に進めるも、サラワクもスランゴールのミスに付け込み好機を作るなど、スランゴールにとってはフラストレーションの溜まる展開が続きます。試合が動いたのは71分、アレクサンダー・アギャルクワがサラワクDFラインの裏に出した絶妙なパスを受けたハイン・テット・アウンが相手GKを交わしてこの試合唯一のゴール!3試合連続完封勝ちのスランゴールが、順位を今季最高位となる5位に上げています。一方のサラワクは、今季11試合目の完封負けで、今季の最終順位が11位に確定しました。

2022年10月12日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 1-2 サバ
⚽️スリ・パハン:スティーヴン・ロドリゲス(85分)
⚽️サバ:ドミニク・タン(89分)、パク・タエス(90+2分)
🟨スリ・パハン(5):ムスリム・アフマド、アズワン・アリピン、シェルゾド・ファイジェフ、スティーヴン・ロドリゲス、ズハイル・アイザット
🟨サバ(4):N・タナバラン、パク・タエスー、ゲイリー・スティーヴン・ロバト、ラウィルソン・バトゥイル
MOM:カイルル・ファーミ(サバ)
 土壇場の決勝ゴールで2位死守。
 現在2位のサバは、トレンガヌとヌグリスンビランの猛追を受け、勝点差1まで迫られています。しかも、10月15日の最終節では既に今季のリーグ優勝を決めているJDTとの対戦が残っており、2位死守のためには下位のチーム相手の試合では勝点3を積み上げたいところです。そのサバは敵地で8位のスリ・パハンと対戦しています。
 8位とは言えタレント揃いのスリ・パハンは、守備では197cmの長身GKママドゥ・サマサが立ちはだかり、攻撃ではリーグNo.1の攻撃的MFマヌエル・イダルゴ、そして今季途中加入ながら8ゴールを挙げているFWスティーヴン・ロドリゲスらをサバDFがかろうじて防ぐ展開で試合が進みます。
 そしてこのまま引き分けかと思われた85分、ホームのスリ・パハンがスティーヴン・ロドリゲスが2試合連続となる今季9ゴール目を決めて、リードを奪います。負ければ一気に4位転落の可能性もあるサバは、ここから反撃に出て、89分には右サイドのサディル・ラムダニからのクロスをゴール左で加賀山泰毅選手が折り返したところを、ドミニク・タンが押し込んで同点とします。
 この試合では引き分けではなく勝利が必要なサバは、さらにゴールを目指し、ロスタイムとなった90+3分には、加賀山泰毅選手の左サイドからのクロスをゴール前でドミニク・タンが後ろへ流し、そのボールをパク・タエスーがゴール右隅に蹴り込んで逆転し、そのまま逃げ切っています。
 サバの加賀山泰毅選手は62分に交代出場し、試合終了までプレーしています。

2022年10月12日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 2-0 ペナン
⚽️PJシティ:フィレモン・スタンドリ(18分)、マハリ・ジュスリ(86分)
🟨PJシティ(0)
🟨ペナン(3):カイルル・アクマル、アディプ・ラオプ、スクリ・ハミド
MOM:マハリ・ジュスリ(PJシティ)
 ペナンは今季の最下位が確定。
 PJシティがマハリ・ジュスリの活躍で最下位のペナンに勝利しています。18分にこの試合1点目となるフィレモン・スタンドリのゴールをアシストしたマハリ・ジュスリは、試合終了間際の86分には、ゴール前の混戦からのこぼれ球を押し込んで、今季2点目を挙げています。
 エンドリックら主力の外国籍選手をケガで欠いたペナンは、ヒラル・アルヘルウェが一人気を吐いたものの、サポートが得られず無得点で敗れ、今季の最下位が確定しています。

2022年10月12日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティ 1-2 トレンガヌ
⚽️KLシティ:ロメル・モラレス(64分)
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(39分)、チェチェ・キプレ(45+2分)
🟨KLシティ(4):ライアン・ランバート、ハディン・アズマン、イルファン・ザカリア、アリフ・シャキラン
🟨トレンガヌ(2):ニック・シャリフ・ハセフィ、ズアシュラフ・ズルキフリ
MOM:ケヴィン・メンドーザ(KLシティ)
 2位争いに猛追。
 およそ10日後にAFCカップ決勝を控えるKLシティが、2位のサバを勝点差1で追うトレンガヌをホームに迎えての一戦は、この試合前まで7連勝と2位のサバを猛追するトレンガヌが前半で挙げたリードを守りきって勝利しています。
 39分にマヌエル・オットのゴールで先制したトレンガヌは、前半終了間際の45+2分にチェチェ・キプレがヘディングシュートを決めてリードを広げます。KLシティも得意のセットプレーからトレンガヌゴールを狙いますが、ここまでの20試合で18失点のトレンガヌDF陣がことごとくクリア、またゴールポストに嫌われる場面もあり、64分にロメル・モラレスのゴールで1点を返すのが精一杯でした。

2022年10月12日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 2-0 マラッカ・ユナイテッド
⚽️ヌグリスンビラン:ナスルラー・ハニフ(28分)、グスタヴォ(84分)
🟨ヌグリスンビラン(0)
🟨マラッカ(3):ファウザン・ファウジ
MOM:グスタヴォ(ヌグリスンビラン)
 こちらも負けじと2位争いに残る。
 2位のサバとは勝点差1、また3位のトレンガヌと勝点差なし、得失差で4位となっているヌグリスンビランは、給料未払い問題未解決のため、リーグ戦後のマレーシアカップ出場権を剥奪されているマラッカを本拠地に迎えた試合は、終始優位を保ったヌグリスンビランが危なげなく勝利し、2位争いに残っています。

2022年10月12日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
JDT 4-1 クダ
⚽️JDT:ベグルソン・ダ・シルヴァ2(50PK分、89分)、シャフィク・アフマド2(63分、67分)
⚽️クダ:ロナルド・ンガ(45分)
🟨JDT(1):ベルグソン・ダ・シルヴァ
🟨クダ(4):へシャムディン・アフマド、マフムード・アル=マルディ、カイル・アズリン、ロナルド・ンガ
MOM:シャフィク・アフマド(JDT)
 再生映像を見ているよう。
 1週間前の10月4日にクダの本拠地で行われたこのカードは、クダがロナルド・ンガのゴールで先制するも、JDTがベルグソン・ダ・シルヴァのゴールで追いつと、さらに追加点を挙げてクダに勝利しています。
 JDTの本拠地に舞台を移して行われたこのカードは既視感のあるような展開でした。前半終了間際の45分にマフムード・アル=マルディのパスに抜け出したエースのロナルド・ンガが技ありのチップキックでゴールを決め、でクダが先制し、前半を折り返します。しかし50分に自陣ペナルティエリア内でクダのロクマン・ハキムが痛恨のハンド。これで得たPKをエース、ペルグソン・ダ・シルヴァが決め、JDTが後半早々に同点に追いつきます。あれ?ここまでの展開は先週と同じ?
 前回の対戦では、同点に追いつかれたクダがプレッシャーに押しつぶされるようにミスを繰り返しましたが、この試合では、63分にはFKを得たJDTが素早いリスタートで、クダDF陣の反応が遅れる中、シャフィク・アフマドが逆転ゴールを決め、さらにその3分後にもシャフィク・アフマドがいわゆるボールウォッチング状態のクダDFのマークを外して連続ゴールを決め、クダを突き放します。さらに試合終了前の89分にはベルグソン・ダ・シルヴァがヘディングシュートが決まり、JDTが4-1で勝利しています。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第21節終了時)

チーム勝点
1JDT21165058124653
2SAB21133536231342
3TRE21132636191741
4NSE2112543424941
5SEL218583832629
6KLC218583030029
7KDA2183103138-727
8SRP2174103131025
9PJC215882130-923
10MEL2146112242-2018
11SWU2142151850-3214
12PEN2124152144-2310
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第21節終了時)

ゴール数選手名所属
127ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
214カイオンSEL
313フェルナンド・フォレスティエリJDT
13ロナルド・ンガKDA
511チェチェ・キプレPJC
11グスタヴォNSE
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

10月12日のニュース
AFCカップ決勝進出のKLシティを支えるガリフオッコはMリーグでプレーした12番目のWC出場選手となるか
U17アジアカップ出場権獲得のU16代表監督は中東や日本への遠征を希望

AFCカップ決勝進出のKLシティを支えるガリフオッコはMリーグでプレーした12番目のWC出場選手となるか

10月22日にKLフットボールスタジアムで開催される今季AFCカップ決勝に出場するMリーグ1部スーパーリーグのKLシティは、2度のPK戦勝利を含む5試合に勝利して決勝に進出しています。ここまでの8試合で4失点(12得点)の強固な守備陣の中心となっているのがオーストラリア出身のセンターバック、ジャンカルロ・ガリフオッコです。28歳のガリフオッコ選手は187cmの長身センターバックで、今季はKLシティで2シーズン目となりますが、昨季のマレーシアカップ優勝などにも大きく貢献し、KLシティ守備陣のまさに大黒柱です。

そんなガリフオッコ選手については、サッカーファンのSNS上では、KLシティでの活躍によって、来月にカタールで開催されるFIFAワールドカップのオーストラリア代表にガリフオッコ選手が招集されるのでは、と言った話題が上がっています。ガリフオッコ選手はオーストラリアのU17、U20、U23など年代別代表でのプレー経験はあるものの、まだA代表に招集されたことはありません。

英字紙ニューストレイトタイムズは、このガリフオッコ選手のオーストラリア代表選出について、KLシティのボヤン・ホダック監督にインタビューしていますが、ホダック監督は、ガリフオッコ選手の招集は、かつてJリーグの広島でもプレーしたグラハム・アーノルド監督次第としながらも、オーストラリア代表のトップ選手は欧州など東南アジアより厳しい環境でプレーしており、またセンターバックには多くの有力選手がいることから、代表入りは容易ではないと話す一方で、代表でプレーするだけの技量は備え持っていると話し、可能性が全く無いとは言えないとも話しています。

また同じニューストレイトタイムズの記事では、Mリーグでプレーしたワールドカップ出場選手を紹介しています。これまでMリーグではワールドカップ出場経験のある11名の選手がプレーしているということです。

  1. カレル・ストロムシック(GK、チェコスロバキア)
    プレーしたのがチェコスロバキアという国名からして時代を感じますが、1982年のワールドカップスペイン大会ではイングランド戦とフランス戦に出場しています。Mリーグでは1989年から1991年までスランゴールFA(現スランゴールFC)でプレーしています。
    *ボラセパマレーシアJP:この選手はよく覚えています。外国籍選手のGKは当時は、珍しかったですが、当時のMリーグではダントツNo.1のGKでした。ストロムシック選手が在籍した3年間は、リーグ優勝2回、カップ戦優勝1回、準優勝2回と今は見る影もないスランゴールがとてつもなく強かった時の守護神でした。
  2. エミール・ムボウ(MF、カメルーン)
    ロジャー・ミラを筆頭にIndomitable Lions「不屈のライオン」として有名になったカメルーン代表で1990年イタリアと1994年アメリカと2大会で合計6試合に出場しているムボウ選手は、1996年にプルリスFA、1997年にはクアラルンプールFA(現KLシティ)、そして1999年から2001年まではサバFA(現サバFC)でプレーしています。
    *ボラセパマレーシアJP:Mリーグでプレーするニュースを聞いて、そんな輝かしい経歴の選手がマレーシアでプレーするんだ!と驚いた記憶があります。Mリーグでプレーした選手の中ではWC最多試合出場を誇るムボウ選手はサバでのプレーを終えて引退しています。
  3. ステファン・ケシ(DF、ナイジェリア)
    1994年のワールドカップアメリカ大会では1試合出場ながら、グループステージのギリシャ戦に先発フル出場しているケシ選手は、長身のセンターバックとして1998年にプルリスFAでプレーしましたが、シーズン終了とともに引退し、その後はトーゴ代表監督としてチームを2006年ドイツ大会でWC初出場に導いた後、ナイジェリア代表の監督として2014年ブラジル大会に出場しています。
  4. ペリツァ・オグニェノヴィッチ(FW、ユーゴスラビア)
    こちらも既に存在しないユーゴスラビアという国名も時代を感じさせますが、1998年のワールドカップフランス大会ではイラン、ドイツ、アメリカとのグループステージ3試合にいずれも途中出場しましたが、ノックアウトステージのオランダ戦ではベンチ入りしたものの、出場はありませんでした。このオグニェノヴィッチ選手は、現在は解散したMPPJ FCに2006年のシーズン途中に加入しています。豊富な資金力から当時は「マレーシアのチェルシー」と呼ばれたMPPJ FCは、レアル・マドリードやレッドスター・ベルグラードなどでもプレーしたこのオグニェノヴィッチ選手を獲得しましたが、チームは給料未払い問題などが明るみに出て、オグニェノヴィッチ選手も半年でチームを去っています。
  5. ジョエル・エパル(MF、カメルーン)
    2002年ワールドカップ日韓共催大会に出場したカメルーン代表入りしたエパル選手は、試合には出場する機会がありませんでした。MリーグではサラワクFA(現サラワクFC)に2012年に加入し、出場5試合で2ゴールという記録が残っています。
  6. エル=ハッジ・ディウフ(FW、セネガル)
    2001年と2002年の2年連続アフリカ年間最優秀選手を受賞したディウフ選手は、2002年の日韓共催大会でセネガルをベスト8に立役者。その後はリバプール、ボルトン、サンダーランドなどを経て、2015年にサバFAに加入しています。その実績から、早速キャプテンとなったディウフ選手でしたが、当時のMリーグで存在感を増していたJDTのアカデミーを母国セネガルに開設する希望や、無給でJDTでプレーしたいなど、「問題発言」を繰り返し、シーズン途中の7月にはキャプテンを解任されています。
  7. ボシュコ・バラバン(FW、クロアチア)
    2002年の日韓共催大会、そして2006年のドイツ大会の2大会でいずれもクロアチア代表チームのメンバーだったバラバン選手は、WC予選では13試合で7ゴールを挙げているものの、2大会とも本戦では全く出場がありませんでした。ディナモ・ザグレブ、アストン・ヴィラなどでプレーしたこのバラバン選手は2012年にスランゴールに加入するとデビュー戦でゴールを決め、シーズン通算でも20試合で12得点と活躍したものの、契約を延長せず1シーズンで退団しています。
  8. パブロ・アイマール(MF、アルゼンチン)
    2002年日韓共催大会、2006年ドイツ大会の2大会で合計6試合に出場したアイマール選手は、リバー・プレート(アルゼンチン)、バレンシア(スペイン)などでプレーした後、2014年にベンフィカからジョホール・ダルル・タジムJDTへ加入しています。公表はされなかったもののMリーグ史上最高額と言われた給料で2年契約を結んだアイマール選手でしたが、リーグ開幕から3ヶ月で度重なるケガのため、退団しています。出場8試合で2ゴールという成績でしたが、2022年まで続く9連覇の1年目の優勝メンバーとして、優勝メダルを受け取っています。なお、アイマール氏は現在はアルゼンチンU17代表の監督を務めています。
  9. キム・ドゥヒュン(MF、韓国)
    2006年ドイツ大会でメンバーに選ばれたものの、試合出場がなかったキム選手は、35歳となった2018年にヌグリスンビランFA(現ヌグリスンビランFC)に加入し、キャプテンを勤めるなどして、1シーズンプレーしています。
  10. ジェリー・パラシオス(FW、ホンジュラス)
    2010年南アフリカ大会では、スペイン戦とスイス戦の2試合に出場したパラシオス選手は、2014年ブラジル大会でもメンバー入りしたものの、出場はありませんでした。アジアでは中国や香港のリーグなどでプレーした後、2016年に当時Mリーグ1部にいた国軍FC(ATM)に加入したものの、WC出場選手という期待に応えられず、出場2試合のみにとどまり、ATMはこのシーズンで1部から降格しています。
  11. アンドリュー・ナバウト(FW、オーストラリア)
    2018年ロシア大会でフランス戦とデンマーク戦の2試合に出場したナバウト選手は、ここまでの10名の選手とは異なり、Mリーグでプレーした後にWCに出場した選手です。2016年にヌグリスンビランFAに加入すると、リーグ前半戦の12試合でチーム最多の8ゴールを量産しました。しかし前半戦終了後にシーズン2度目のトランスファーウィンドウが開くと、何を思ったかヌグリスンビランはナバウト選手との契約を解除してしまいます。その後、母国のニューカッスル・ジェッツに加入し、再びチームトップの得点を挙げると、2018年にはJリーグ浦和へ移籍し、またオーストラリア代表としてW杯出場を果たしています。
U17アジアカップ出場権獲得のU16代表監督は中東や日本への遠征を希望

AFC U17アジアカップ2023年大会予選を突破したマレーシアU16代表の監督は、大会前により強い相手との対戦経験を積むために中東あるいは日本への遠征を希望していると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

予選が行われたインドネシアから帰国した直後の空港で行われた記者会見の席上、U16代表のオスメラ・オマロ監督は、予選突破は果たしたものの、チームはまだ多くの点で改善の余地があるとして、大会前に中東の国々や日本といった強豪と対戦して、さらに経験を積む必要があると話しています。

オスメラ監督は、来年開催される本戦ではベスト4進出を目指したいと話す一方で、チームマネージャーのクリストファー・ラジ氏は、予大会前にはイラン、日本、韓国などへ遠征して試合を行いたいと述べています。

開催地枠での出場も含め、マレーシアはAFC U17アジアカップ(旧AFC U16選手権)にはこれまで6度出場しており、2014年にコギレスラワン・ラジ(PJシティ)、ハジック・ナズリ(JDT)らを擁してベスト8に進出したのが、マレーシアの最高成績です。

10月11日のニュース
マレーシアが予選を1位突破し来年のAFC U17アジアカップ出場権を獲得
MFLはマレーシアカップ出場権剥奪のマラッカの選手の特例移籍案を拒否

マレーシアが予選を1位突破し来年のAFC U17アジアカップ出場権を獲得

見事なお手並み、お見逸れ致しました。

インドネシアのボゴールで開催されていたAFC U17アジアカップ予選B組は10月9日に最終第5節が行われ、ここまで2勝1分で2位につけていたマレーシアU16代表と、3勝全勝で首位のインドネシアU16代表が激突し、5-1で勝利したマレーシアがB組1位として本戦出場権を獲得しています。

前節第4節にアラブ首長国連邦UAEを相手にロスタイムのゴールで3-2と勝利し、代わってグループ2位となったマレーシアは、B組1位突破をかけて、開催国インドネシアと対戦しました。ここまでの3試合を3勝0敗、得点19失点2のインドネシアに対し、マレーシアのオスメラ・オマロ監督は、前節のUAE戦と全く同じ先発XIを起用しました。

試合は開始からからインドネシアに攻め込まれる展開となりましたが、マレーシアのGKファリシュ・ファルハンが再三、好セーブを見せてピンチを防ぐと、徐々にペースを掴み始めたマレーシアはザイヌルハキミ・ザイン(AMD U16)が今大会2点目となるゴールを17分に決めてマレーシアが先制すると、20分にはアラミ・ワフィ(AMD U16)がパレスチナ戦、UAE戦に続く今大会3点目となるゴールを決めてリードを広げます。さらに23分にはアンジャスミルザ・サフルディン(AMD U16)がやはり今大会3点目となるゴールを、また26分にはアフィク・ダニシュ(AMD U16)が今大会初ゴールを決め、試合開始から26分で4-0と大量リードします。さらに38分には相手パスを奪い、ドリブルでペナルティエリアに持ち込んだアンジャスミルザ・サフルディンが倒されてPKを得ると、アラミ・ワフィがこのPKを決めてさらにリードを広げます。

試合はこのまま進み、後半のロスタイムに失点し完封は逃したものの、マレーシアが5-1でインドネシアを破り、3勝1分で勝点10となりB組1位として、来年のU17アジアカップ本戦出場を決めています。マレーシアは開催国枠で出場した2018年大会に以来、通算6回目の出場、予選を突破しての出場は、アリフ・ハイカル(スランゴール)、アリフ・サフワン(UITM)、イズリーン・イズワンディ(KLシティ)らを擁した2016年以来となります。

また第5節のもう一つの試合は、パレスチナがグアムを4-0で破り、今回の予選で初勝利を挙げ、通算成績を1勝3敗で4位に、またグアムは通算成績を0勝1分3敗として5位で今回の予選を終えています。

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マレーシアは、1-1で引き分けたグアム戦以外の3試合はほぼ同じメンバーが先発し、グアム戦で主力を休ませるオスメラ・オマロ監督の戦略が功を奏しました。
 この日の試合でも、14-0と大勝したグアム戦と8名が同じ先発メンバーだったインドネシアに対し、マレーシアは1-1と引き分けたグアム戦の先発メンバーとは9名が異なっています。4試合をほぼ同じメンバーで戦ったインドネシアと、グアム戦を利用して選手を上手くローテーションしたマレーシアの選手マネージメントの差が出たと言っても良いでしょう。
 もちろんグアム戦で引き分けたときには、UAE戦、インドネシア戦が残っている中で、まさかこのまま予選敗退…という不安もよぎり、UAE戦もロスタイムのゴールで薄氷を履む勝利だったところから、この日のインドネシア戦も大丈夫か?という感じでしたが、蓋を開けてみれば堂々のグループ1位突破となりました。

AFC U17アジアカップ予選B組第5節
2022年10月9日@パカンサリスタジアム(インドネシア、ボゴール)
インドネシア 1-5 マレーシア
⚽️インドネシア:アルハン・カカ・プトラ(90+3分)
⚽️マレーシア:ザイヌルハキミ・ザイン(17分)、アラミ・ワフィ2(20分、38分)、アンジャスミルザ・サハルディン(23分)、アフィク・ダニシュ(38分)
🟨インドネシア(2):ナビル・アシュラ、アンドレ・パンゲストゥ
🟨マレーシア(1):アフィク・ダニシュ

AFC U17アジアカップB組 最終順位表

チーム勝点
1MYS4310134910
2IDN4301207139
3UAE420217966
4PSE4103710-33
5GUM4013128-271
UAE-アラブ首長国連邦、IDN-インドネシア、MYS-マレーシア、PSE-パレスチナ、GUM-グアム

AFC U17アジアカップは、昨日までに本戦出場する16チームが決定しています。東南アジアからはB組1位のマレーシアの他、ベトナム、タイ、ラオスの4チームが出場します。本戦が新型コロナ感染拡大のために中止になってしまった2020年大会ではインドネシアが東南アジア唯一の本戦出場、2018年はインドネシア、タイ、ベトナム(マレーシアは開催国として出場)、2016年はマレーシア、ベトナム、タイ、2014年はマレーシア(タイは開催国として出場)が出場と、過去5大会では東南アジアから4チームが予選を突破したことはありません。2023年大会は当初の開催国だったカタールが開催を辞退したため、未だ開催国は決まっていませんが、東南アジアの4チームには是非、その存在感を見せつけて欲しいです。

MFLはマレーシアカップ出場権剥奪のマラッカの選手の特例移籍案を拒否

給料未払い問題が未解決のため、今季のマレーシアカップ出場権剥奪処分を受けたMリーグ1部スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッド(以下マラッカ)の選手について、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、Mリーグを運営するMFLに対して、マラッカ所属の選手がマレーシアカップに出場する他のクラブへの期限付き移籍を特例として認めるよう提案していましたが、MFLはこれを拒否したと、英字紙ニューストレイトタイムズが報じています。

あと2節を残す今季のスーパーリーグですが、このリーグ戦終了後の10月25日開幕するのが、国内最大のカップ戦、マレーシアカップです。昨年開催100周年を迎えたこのマレーシアカップは、スーパーリーグ1位から11位までの11チームと、2部プレミアリーグの上位5チームの合計16チームが対戦しますが、もともとカップ戦から始まったマレーシアサッカーの原点とも言える大会です。

この伝統ある大会に出場できなくなったマラッカは、収入面でも痛手を受け、その結果、選手への未払い給料問題がさらに長引く可能性他があることから、マラッカ所属のの選手の救済策として、PFAMはMFLに対して特例としてマレーシアカップ期間中の期限付き移籍を認めるよう提案していました。、

MFLは、現在が移籍が可能となるトランスファーウィンドウ期間でないこと、また1クラブのために特例としてトランスファーウィンドウを開くことはできないことを理由に挙げて、この提案は受け入れられないとしています。さらにマラッカは現在も継続中のスーパーリーグでプレーしており、中断期間でない時期のトランスファーウィンドウは開くことはできないこと、マレーシアカップの規定では大会のための追加登録はできないことなどを、MFLのスチュアート・ラムリンガムCEOは説明しています。

マラッカは、現在のオーナーであるケンチーム社のCEOで、マラッカの運営会社のCEOでもあるジャスティン・リム氏が、未払い給料問題を解決した後にクラブの全株式を売却するつもりであることも明らかにしており、この株式の売却が実現しなければ、マラッカは来季のスーパーリーグから撤退する最悪の可能性もあります。

Mリーグ1部スーパーリーグ 2022年シーズン第20節結果とハイライト

今季のスーパーリーグも今節を含め残りあと3節となり、今季の最終順位争いが激化する一方で、1部と2部が合併して18チーム編成になる新スーパーリーグから複数のクラブが撤退を噂されるなど、ピッチ内外共に熱いMリーグ。今節は天候不順で多くの試合が雨の影響を受け、劣悪なピッチで開催されました。

2022年9月28日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティ 5-0 サラワク・ユナイテッド
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ(28分)、ライアン・ランバート3(29分、41分、53分)、ジョーダン・ミンター(84分)
🟨KLシティ(2):デクラン・ランバート、イルファン・ザカリア
🟨サラワク・ユナイテッド(3):ボリス・コック、アメル・サイディン
MOM:ライアン・ランバート(KLシティ)
 代表漏れで奮起。
 先日、タイで開催されたキングズカップで代表に招集されたデクラン・ランバートとザフリ・ヤハヤが戻ったKLシティが、給料未払い問題で揺れるサラワク・ユナイテッドに圧勝しています。
 この試合のヒーローは、ハットトリックを決めたライアン・ランバートです。試合後のインタビューでは、これまで1試合で2ゴール以上は決めたことがないと話したランバート選手ですが、チームメイトでもあり双子の兄弟でもあるデクラン・ランバートが代表に初選出された一方で、自身は代替召集メンバーには入ったものの、結局は代表には招集されず、その鬱憤を晴らすように、いずれもペナルティーエリアの外からロングレンジの3本のゴールを決める活躍でした。

2022年10月7日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
PJシティ 0-1 スランゴール
⚽️スランゴール:ダニアル・アスリ(81分)
🟨PJシティ(3):K・プラバカラン、マハリ・ジャスリ、カラムラー・アル=ハフィズ
🟨スランゴール(1):ブレンダン・ガン
MOM:シヴァン・ピレイ(PJシティ)
 今は結果が何より大事。
 いずれもMBPJスタジアムを本拠地とする両チームの「スランゴール・ダービー」は、雨により水を多く含んだピッチでタン・チェンホー監督が目指す短いパスを繋ぐサッカーが機能せず苦しんだものの、スランゴールが途中出場のU23代表ダニアル・アスリが挙げたゴールを守り切って勝利し、タン監督就任以来、2連勝を飾っています。
 運営資金不足を理由に来季のスーパーリーグ脱退といった噂も流れているPJシティは、強固な守備でスランゴールの攻撃陣を封じていましたが、残り10分を切っての失点で敗れています。

2022年10月7日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバ 4-1 ペナン
⚽️サバ:バドロル・バクティアル(33分)、パク・タエスー(72分)、サディル・ラムダニ(80分)、スチュアート・ウィルキン(89分)
⚽️ペナン:アディブ・ラオプ(70分)
🟨サバ(2):ファルハン・ロスラン、ドミニク・タン
🟨ペナン(5):エンドリック、アジザン・ノルディン、アジム・ラヒム、ジャフリ・フィルダウス・チュウ、ルーカス・シルヴァ
🟥ペナン(1):ラファエル・ヴィトー
MOM:スチュアート・ウィルキン(サバ)
 2位死守。
 リーグ前半とは打って変わって失速気味のサバは2連敗中、さらに直近の4試合で勝利がなく、依然2位ではあるものの、トレンガヌとヌグリスンビランが勝点差1までせまっています。この試合も最下位のペナンを相手に、2試合ぶりの先発となったキャプテンのバドロル・バクティアルが先制ゴールを決めるも、その後は追加点を奪えないまま、70分には同点にされてしまいます。
 しかしこの日はすぐさまパク・タエスーのゴールでリードを奪うと、さらに2ゴールを決めたサバがAFCカップ出場権の懸かった2位を死守しています。
 サバの加賀山泰毅選手は先発して、58分に交代しています。

2022年10月7日@ハン・ジェバスタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ 2-4 トレンガヌ
⚽️マラッカ:ファリス・シャー(44分)、シャーミ・シャムスディン(52分)
⚽️トレンガヌ:チェチェ・キプレ3(3分、13分、37分)、ファイサル・ハリム(70分)
🟨マラッカ(0)
🟨トレンガヌ(1):アザム・アズミ
MOM:チェチェ・キプレ(トレンガヌ)
 相性抜群。
 2ヶ月前は6位だったトレンガヌは、6連勝中で3位に浮上し、AFCカップ出場権の懸かる2位まで勝点差1と迫っています。そのトレンガヌは2節を残し、下位チームには勝ち点を落とせない状況の中、チーム得点王のチェチェ・キプレが前半でハットトリックを達成するなど、4ゴールを挙げてマラッカに圧勝しています。
 およそ1ヶ月前の9月3日にトレンガヌのホームで行われた同じカードでも、トレンガヌは5-0と対処していますが、その試合でもチェチェ・キプレはハットトリックを達成しており、2試合で6ゴールとマラッカをいわゆる「お得意様」にしています。
 給料未払い問題が未解決のマラッカは外国籍選手がベンチ入りしておらず、好調のトレンガヌと対戦するには戦力不足でした。給料未払い問題解決の目処が立たず、来季のスーパーリーグ撤退も噂されるなど、選手もモチベーションも上がらない状態では、この結果もやむを得ないのかもしれません。

2022年10月7日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
スリ・パハン 0-0 JDT
🟨スリ・パハン(0)
🟨JDT(0)
MOM:ファリザル・マーリアス(JDT)
 安全第一。
 豪雨により試合開始が1時間半近く遅れた試合は、ボールが転がらないどころか、テレビで見ていても水が浮いているのがわかる田んぼのようなコンディションの中で行われました。前節のレッドカードで出場停止となっているエースのベルグソン・ダ・シルヴァ、そして相手選手と交錯して負傷したシェーン・ローリーと主力がベンチ外となったJDTは、既に優勝を決めていることもあってか劣悪なピッチでケガをしないよう「安全第一」で試合を進めた結果、スリ・パハンもそれに付き合うような形で、試合は引き分けに終わっています。

2022年10月9日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビラン 4-3 クダ
⚽️ヌグリスンビラン:マテウス・アルヴェス(25分)、グスタヴォ2(58分、70分)、ショーン・シヴァラジ(65分)
⚽️クダ:マフムード・アル=マルディ(45+3分)、サンワット・デーミット(82分)、マルク・ヴァレス(90分)
🟨ヌグリスンビラン(1):ナスルラー・ハニフ
🟨クダ(3):アミルル・アズハン、サンワット・デーミット、デシ・マルセル
MOM:グスタヴォ(ヌグリスンビラン)
 楽勝ムードが一転、終盤に冷や汗も2位争いに残る。
 この試合は10月8日に予定されていましたが、豪雨により試合開催が困難となったため、1日順延されて行われています。2位のサバとは勝点差1、3位のトレンガヌと勝点で並び、得失差で4位のヌグリスンビランは6位のクダと対戦。2位という明確な目標があるヌグリスンビランは、試合開始から優位に試合を進め、マテウス・アルヴェスのゴールで25分に先制しますが、前半終了間際のロスタイムにクダが同点に追いつきます。
 後半はグスタヴォの2ゴールなどでリードを3点に広げたヌグリスンビランが楽勝かと思われましたが、クダの猛攻に遭い、最後は1点差まで追い込まれながらも逃げ切っています。
 クダはこの試合後にクラブの所得税未払いが明らかになり、退任が予想されているシンガポール出身のアイディル・シャリン監督や外国籍選手の移籍に支障が起こることが考えられ、残る2試合ではさらにモチベーションが下がってしまう可能性もあります。

2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第20節終了時)

チーム勝点
1JDT20155054114350
2SAB20123534221239
3TRE20122634181638
4NSE2011543124738
5KLC208572928129
6KDA208393034-427
7SEL207583732526
8SRP207493029125
9PJC204881930-1120
10MEL2046102240-1818
11SWU2042141849-3114
12PEN2024142142-2110
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第20節終了時)

ゴール数選手名所属
125ベルグソン・ダ・シルヴァJDT
214カイオンSEL
313フェルナンド・フォレスティエリJDT
412ロナルド・ンガKDA
510チェチェ・キプレPJC
10グスタヴォ
KDA-クダ・ダルル・アマン、NSE-ヌグリスンビラン、PJC-PJシティ、SEL-スランゴール、KLC-KLシティ、TRE-トレンガヌ、SRP-スリ・パハン、PEN-ペナン、SWU-サラワク・ユナイテッド、SAB-サバ、MEL-マラッカ・ユナイテッド

10月8日のニュース
AFC U17アジアカップ予選B組-マレーシアはUAEに劇的勝利ででグループ1位突破の可能性も
マレーシアカップの暫定組み合わせが決定

AFC U 17アジアカップ予選B組-マレーシアはUAEに劇的勝利でグループ1位突破の可能性も

ロスタイムのゴールで劇的勝利!

インドネシアのボゴールで開催中のAFC U17アジアカップ予選B組は10月7日に第4節が行われ、前節第3節にグループ最下位のグアムと引き分けたマレーシアは、グループ2位のアラブ首長国連邦UAEと対戦し、2点のリードを追いつかれたものの、ロスタイムに決勝点を挙げてUAEに勝利し、最終節第5節のインドネシア戦で勝利すればグループ1位で予選を突破できる可能性が復活しています。

初戦のパレスチナ戦から先発7名を入れ替えた第2戦グアム戦から一転して、この試合では初戦の先発XI中10名が戻ったマレーシアは、前半終了間際の45+1分にアラミ・ワフィ(モクタル・ダハリアカデミーU16)のゴールでリードすると、51分にはアンジャスミルザ・サハルディン(モクタル・ダハリアカデミーU16)のゴールでリードを広げます。

しかしUAEも76分にサイード・アメルのゴールで1点差に迫ると、84分にはアブドルアジズ・アルマズーキがゴールを決めて、同点とします。この試合を引き分ければ、本戦出場可能となる各組2位の内の上位6チームに入るのも難しくなるマレーシアは、最後まで攻め続けた結果、90+3分にファリス・ダニシュ(モクタル・ダハリアカデミーU16)が決勝ゴールを決め、UAEに劇的な勝利を収めています。

AFC U17アジアカップ予選B組第4節
2022年10月7日@パカンサリスタジアム(インドネシア、ボゴール)
マレーシア 3-2 UAE
⚽️マレーシア:アラミ・ワフィ(45+1分)、アンジャスミルザ・サハルディン(51分)、ファリス・ダニシュ(90+3分)
⚽️UAE:サイード・アメル(76分)、アブドルアジズ・アルマズーキ(84分)
🟨マレーシア(2):アイマン・ユスフ、ザイヌルハキミ・ザイン
🟨UAE(3):ラシド・サイフ、フサイン・マフムード・イスマイル、スハイリ・カリド・オバイディ

なお第4節のもう1試合は開催国インドネシアがパレスチナを2-0で破り、3連勝を飾っています。この結果、最終節第5節で対戦するインドネシアとマレーシアの内、勝者がこのB組の首位として本戦出場を決めることになります。

AFC U17アジアカップB組 順位表(第2節終了時)

チーム勝点
1IDN3300192179
2MYS32108357
2UAE420217966
4GUM3012124-231
5PSE3003310-70
UAE-アラブ首長国連邦、IDN-インドネシア、MYS-マレーシア、PSE-パレスチナ、GUM-グアム

10月6日のこのブログでは、「或いは戦略?このグアム戦の先発XIは、初戦のパレスチナ戦の先発XIからは7名が変わっており、この試合は最初から重視されていなかったのかも」と書きましたが、マレーシアU17代表のオスメラ・オマロ監督は先発メンバーを初戦のパレスチナ戦とほぼ同様に戻し、パレスチナ戦でゴールを決めた3選手がこのUAE戦でもゴールを決めており、やはり2戦目のグアム戦は主力を温存し、このUAE戦と最終節のインドネシア戦に賭けていたのかもしれません。これで最終節のインドネシア戦であわよくば勝利、最悪引き分けでも、本戦出場が見えてきます。

マレーシアカップの暫定組み合わせが決定

マレーシアサッカーの今シーズン最後を飾るマレーシアカップの組み合わせ抽選が10月6日に行われ、その結果がマレーシアフットボールリーグMFLの公式サイトで発表されています。

日程の事情から、従来のグループステージを行わず、各チームがいきなりトーナメントで対戦する方式となった今季のマレーシアカップですが、出場するのはMリーグ1部スーパーリーグの1位から11位までの11チームと、2部プレミアリーグの上位5チーム(ただし、スーパーリーグ所属クラブのセカンドチームを除く)の16チームです。なお、スーパーリーグのマラッカ・ユナイテッドは給料未払い問題が未解決のため、Mリーグを運営するMFLから今回のマレーシアカップ出場権剥奪の処分を受けていますが、マラッカが11位以内に入った場合の対応については、今回は発表されていません。

また、既に全日程が終了しているプレミアリーグに対し、スーパーリーグは今週末の第20節を含めあと3節を残しており、最終順位は決定していません。このため、この日の組み合わせ抽選では対戦カードも確定せず、今回の組み合わせは暫定的なものになっています。

この日の組み合わせ抽選は、スーパーリーグ1位から4位までの4チームがポットA、スーパーリーグと5位、6位クダとプレミアリーグの上位2チーム(クランタン、クチンシティ)がポットB、残る8チームがポットCとなり、一回戦ではポットAあるいはポットBのチーム対ポットCのチームが対戦する形になっています。

一回戦は10月25日と26日にポットCのチームのホームゲームでスタートするマレーシアカップは、準々決勝、準決勝ともホームアンドアウェイ形式で開催され、11月26日に予定されている一発勝負の決勝まで熱い戦いが続きます。