11月5日のニュース:JDT IIのGKが飛び級で代表候補合宿に招集される、トレンガヌFCはバングラディシュの大会で優勝、トレンガヌFCはキプレを含む12名の退団を発表、鈴木ブルーノは来季はトレンガヌFCでプレーか

JDT IIのGKが飛び級で代表候補合宿に招集される
 マレーシアサッカー協会FAMのFacebookでは、マレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグ所属のJDT II(1部ジョホール・ダルル・タクジムのBチーム)のGKムハマド・ハジック・ナズリがクダFAのGKイファット・アクマル・チェ・カシムに代わってフル代表候補合宿に招集されることを告知されています。
 
******
 MFL2部のクラブから、しかもBチームからの招集と異例づくめですが、21歳のハジック・ナズリ選手は、U22代表には招集されず、言わば飛び級でのフル代表招集となっており、フル代表のタン・チェンホー監督には何か考えがあるのでしょう。
 ところでこのハジック・ナズリ選手は11月1日に、20歳の女優アイラ・ハザリことハジラ・カスディナ・ハザリさんと結婚式を挙げたばかりで、FAMのFacebookのコメント欄には「新婚の二人を引き離すとはかわいそう」「ハネムーンに行けなくなる!」などの書き込みが多くありました、結婚と代表候補合宿招集と文字通り両手に花のハジック・ナズリ選手が代表チームに選ばれるのか注目です。

トレンガヌFCはバングラディシュの大会で優勝
 10月19日からバングラディシュ南東部の都市チッタゴンで開催されていたシーク・カマル国際クラブカップに参加したマレーシアフットボールリーグMFL1部のトレンガヌFCは、決勝で地元のチッタゴン・アバハニ・リミテッドを2ー1で破り、初優勝しています。またスポーツ専門サイトのスタジアムアストロでは、トレンガヌFCで主将を務めるリー・タックはこの大会での若手の活躍を喜んでいると、伝えています。
 タック選手は、9日間で5試合と日程的に厳しかった大会期間中であっても心身両面の強さを維持できた若い選手たちを評価すると同時に、今季2019年は12チーム中7位に終わったチームにとって、来季2020年に向けての展望が開ける大会だったとしています。
 8チームが参加した今回の大会では、トレンガヌFCは、ゴクラム・ケララFC、チェナイ・シティFC(いずれもインドIリーグ所属)、バシュンドハラ・キングズ(バングラディシュプレミアリーグ所属、今季の優勝チーム)と同組となった予選グループを2勝1分の首位で突破、準決勝はモフン・バガンAC(Iリーグ)をタック選手をハットトリックを含む4-2で撃破、決勝ではホストチームのチッタゴン・アバハニ・リミテッド(バングラディシュプレミアリーグ)を2−1で破って優勝賞金5万米ドル(およそ540万円)獲得しています。また,2016年にはバングラディシュリーグでもプレー経験のあるタック選手は大会得点王と最優秀選手賞を獲得しています。
 この優勝についてタック選手は、主力選手を欠くメンバーで優勝できたことでMFLのレベルの高さを証明できたと思うと語っています。
******
 後述しますが、トレンガヌFCは今季から大きくメンバーが変わる可能性があり、外国のクラブとの対戦の中で優勝したことで若手選手たちが得た経験は、タック選手だけでなく、監督代行から昇格したモハマド・ナフジ・ザイン新監督にとっても期待が持てるものだったのではないでしょうか。

トレンガヌFCはキプレを含む12名の退団を発表
 バングラディシュの大会で優勝したトレンガヌFCは、今季2019年をもって退団する選手を発表していますが,その中には過去3シーズンで63試合に出場し40ゴールを挙げているコートジボアール出身のFWチェチェ・キプレが含まれていると、スタジアムアストロが伝えています。
 記事の中では、トレンガヌFCはキプレ選手に対して来季の契約をオファーしたもののそれが拒否されたとしています。キプレ選手のほか、東南アジアサッカー連盟AFF枠で契約していたDFチエリー・チャンタ・ビン(カンボジア)も退団となっており、来季の外国籍選手としてはMFリー・タック(英国、ただし祖母がマレーシア人ということで来季中にマレーシア人選手登録になる可能性あり)とMFサンジャル・シャアフメドフ(ウズベキスタン)の2人のみが確定しています。
 またマレーシア人選手では、今季のFAカップでトレンガヌFCと対戦した際にイルファン・バクティ前監督が高く評価し、M3(MFL3部)のアルティメイトFCから引き抜いたFWナビル・アーマド・ラトピやMFマリク・マット・アリフ、MFシャルル・アイザッド・ズルキフリ、MFアハマド・シャミン・ヤヒヤ、MFカイルル・イズアン・ロスリ、MFカイル・アズリン・カザリ、MFカイルル・アンワル・シャールディン、DFアデッブ・アイズディン、DFハスニ・ザイディ・ジャミアンそしてGKワン・モハマド・アズレイ・ワン・テーが退団となっています。
 なおトレンガヌFCを統括するトレンガヌ州サッカー協会PBSNTのヒシャムディン・アブドゥル・カリム副会長は、退団するキプレ選手のトレンガヌFCへのこれまでの貢献を感謝し、チーム史上でもトップのストライカーだと賛辞する一方で、彼の穴を埋めることが急務であるとも述べています。
 一部報道では、現在のベトナムリーグでプレーする選手に関心を示しているという情報もありますが、ヒシャムディン副会長は言及を避け、新たな選手の獲得についてはナフジ・ザイン新監督に一任していると述べるにとどまっています。
******
 キプレ選手については、今季MFLやカップ戦合計で21ゴールを挙げたスペイン出身のFWフェルナンド・ロドリゲズの退団が決まったクダFAが関心を示しているという噂もあり、来季もキプレ選手の姿をMFLで見ることができるかも知れません。

鈴木ブルーノは来季はトレンガヌFCでプレーか
 トレンガヌFCのBチームでMFL2部に所属するトレンガヌFC IIでプレーするFW鈴木ブルーノとコートジボアール出身のMFデチ・マーセル・ングエッセンに対して監督が残留希望を持っていることをスタジアムアストロが伝えています。
 トレンガヌFC IIを来季から率いるロシャディ・ワハブ新監督は、Aチームのナフジ・ザイン監督との話し合いの結果次第と前置きしながらも、今季MFL2部で13ゴールを挙げた鈴木選手はチーム得点王であり、必要な選手であるとしています。
 なお上の記事でも取り上げたトレンガヌFCが出場したバングラディシュでの大会には、鈴木選手とングエッセン選手もチームに帯同し、鈴木選手はグループステージでは4ゴールを挙げるなど活躍し、両選手は決勝戦にもスタメンで出場しました。
 トレンガヌFC IIの外国籍選手は全員が今月11月末に契約が切れますが、他の外国籍選手、DFセルヒイ・アンドレイエフ(ウクライナ)とFWアカンニ・サンデイ・ワシウについては、フロントの意向に従いたいとワハブ新監督は述べています。

11月4日のニュース:マレーシア人審判が日本代表戦他で審判担当、U22代表候補合宿参加メンバー発表、U22代表候補からワン・クザインの名前が消える

マレーシア人審判が日本代表戦で審判担当
 マレーシアサッカー協会FAMのFacebookでは、マレーシア人審判2名が日本サッカー協会JFAの招きにより主審1名、副審1名が日本代表と日本U22代表の試合で審判を行うことを発表しています。
 今回、日本での試合で審判を担当するのはモハマド・アミルル・イズワン・ヤコブとモハマド・ヤスリ・モハマドの両審判で、11月19日にパナソニック吹田スタジアムで開催されるキリンチャレンジアップの日本代表対ベネズエラ代表の試合ではアミルル・イズワン氏が主審を、ユスリ氏が副審を務め、11月17日にエディオンスタジアム広島で開催されるU22日本代表対U22コロンビア代表の試合ではユスリ氏が副審を、アミルル・イズワン氏が第四審判を務めることになっています。
 またこの両審判はムハマド・ムアジ・ザイナル・アビディン、ラジアン・ジョフリ・アリの2審判とともに11月14日にクウェートのジャービル・アル=アフマド国際スタジアムで開催されるFIFAワールドカップ2022年大会アジア予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選グループBのクウェート代表対中国代表戦も担当します。
 この他、FAMのFacebookでは、同グループEの11月19日のミャンマー代表対モンゴル代表(マンダラーティエリー競技場、マンダレー)でも、ムハマド・ナズミ・ナサルディン主審以下マレーシオ人4審判が試合を担当することも発表になっています。

U22代表候補合宿参加第1次メンバー発表
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、11月4日から始まるU22代表候補合宿の参加メンバー28名を発表しています。メンバーの詳細はこちらです。
 このメンバーから、オン・キムスイ監督のもと今月11月25日から始まるフィリピンでの東南アジア競技大会、通称シーゲームズに出場するU22代表が選抜されます。
 今回の候補合宿に招集された28名の内、23名は11月4日からの合宿に参加しますが、現在、カンボジアで開催中のアジアサッカー連盟AFC U19選手権予選に出場中のU18代表選手5名は、この予選終了後の11月13日に合流します。
 なお、U18代表のルクマン・ハキム・シャムスディン、ハリス・ハイカル・アダム・アフカル、ムハマド・ウマル・ハキーム・スハル・レズワン、ムハマド・ムカイリ・アジマル・マハディ、ムハマド・アザム・アズミ・ムラドの5名は初招集となります。
 またモハマド・ファズルル・ダネル・モハマド・ニザム、モハマド・ファイアッド・モハマド・ズルキフリ・アミン(いずれもクダFA)、ムハマド・ハジック・モハマド・スブリ、モハマド・カイルル・アミザン・スハイミ(いずれもペラTBG)、そしてオーストラリアの1部リーグAリーグのセントラル・コースト・マリナーズのU21に所属するクェンティン・チェンも初招集組です。
 なおこの他に、フル代表でプレーする22歳以下の選手と大会規定で認められている2名のオーバーエイジ枠は、11月14日に行われるFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選兼AFC選手権アジアカップ予選のタイ戦終了後に発表され、11月20日の同インドネシア戦終了後にU22代表に合流する予定になっています。
 最終メンバーとなる20名は11月20日にマニラへ向けて出発します。
******
 前回2017年大会はクアラルンプールで開催ながら、決勝ではタイに0-1で敗れたマレーシアU22代表。自身としては5度目のシーゲームでの指揮となるオン監督は、ベトナム、タイ、インドネシアといった強豪とは別の予選グループに入ったことで安心はできないとしていますが、順当に行けばフィリピンと共に準決勝出場の可能性が高く、そこから何色のメダルを持ち帰れるのかが焦点になりそうです。
(写真はFAMのFacebookより)

U22代表候補からワン・クザインの名前が消える
 アメリカのプロサッカーリーグMLSのスポーティング・カンザスシティーに所属するワン・クザイン・ワン・カマルは、米国生まれながら両親がマレーシア人であることからマレーシア代表としてプレーすることは可能で、U22代表参加への意欲を示し、マレーシアサッカー協会FAMもそれを歓迎する意向を示していましたが、今回発表されたU22候補合宿参加者には21歳のワン・クザイン選手の名前は含まれていませんでした。
 以前このブログでも取り上げましたが、ワン・クザイン選手のパスポートは有効期限が切れており、新たなパスポート取得が必要とのことで、FAMはワン・クザイン選手にMLSシーズン終了後に速やかにマレーシアへ渡って、パスポート再取得を求めていました。しかし、今回の招集リストに名前がなかったことで、FAMがワン・クザイン選手に関心を失ったのではないかとの問いに、オン監督はワン・クザイン選手がチームに加わるか否かについては明言できないと、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版のインタビューで述べています。
 「今回のU22代表候補招集はいくつかの段階に分かれており、第一次はどの大会にも出場していない選手を招集、第二次はAFC U19選手権予選に出場している選手から数名を招集、そして第三次はフル代表に選ばれている選手を招集する予定である。」とオン監督は説明しています。
 またワン・クザイン選手については「(パスポート再取得など)解決が必要な書類上の問題があり、現時点では代表チームへの合流時期は未決定であり、そういった問題が速やかに解決し次第、合流するだろう」と述べるに留まっています。

11月3日のニュース:JDTのマレーシアカップ優勝でジョホール州政府は11月3日を州の祝日とする発表、マラッカ州サッカー協会会長が交代、AFC U19選手権予選でマレーシアは退場者を出す冷や汗スタート

JDTのマレーシアカップ優勝でジョホール州政府は11月3日を州の祝日とすると発表
 11月2日(土)のマレーシアカップ決勝でクダFAを3-0で破って優勝したジョホール・ダルル・タクジムJDTの本拠地があるジョホール州政府は、JDTの優勝を祝って11月3日(日)を州の祝日とすることを発表しています。
 英字紙マレーメイル電子版によると、ジョホール州政府のダト・アズミ・ロハニ書記長によると、JDTサポーターを含めた全ジョホール州民とともにJDTの勝利を祝い、またジョホール州へ栄誉をもたらしたJDTへの支持に対する感謝を示すものとしています。
******
 マレーシアのプロサッカーチームは各州のサッカー協会(州FA)が統括していることが多く、このブログでもパハンFAやスランゴールFA、クダFAなど◯◯FAという表記を使っているクラブがそれにあたります。しかしJDTはTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下がオーナーの完全なクラブチームと思っていましたが、まだ州のクラブということなのでしょう。
 またジョホール州はイスラム教の礼拝日が金曜日であることから、ムスリム(イスラム教徒)が余裕のある寛容で礼拝ができるようにと、金曜日と土曜日が週末になっています。このため11月3日(日)が祝日になることで、ジョホール州は週末が3連休となります。このように金曜日と土曜日が週末になっているのはジョホール州の他、イスラム色の強い東海岸のケランタン州とトレンガヌ州があります。

マラッカ州サッカー協会会長が交代
 同じマレーメイル電子版によると、マラッカ州サッカー協会MUSAのアドリ・ザハリ会長が会長職を退任しました。マラッカ州の州知事でもあるアドリ会長は1年以上会長職を務めましたが、その後任にはマラッカ州政府議員でマラッカ州政府の適正・報告責任・透明性委員会の会長でもあるダミアン・ヨー・シェンリー氏が11月1日付けで就任しています。
 アドリ会長は州法である「マラッカ州知事になった者は自動的にMUSAの会長となり、同時にその職に適した人物に会長に任命できる」に基づいてヨー新会長を任命し、その理由としてヨー新会長が今季2019年シーズンにはMUSAが統括するマラッカ・ユナイテッドの運営に関わってきたことを挙げています。またアドリ会長は「MUSA会長は州サッカー運営に注力すべきであり、自分には州知事としてより注力する必要がある仕事がある」と述べています。
 またヨー新会長は、今季マラッカ・ユナイテッドが直面した給料未払い問題は2度と起こさないと記者会見で述べ、経営状況改善を約束しています。またマラッカ・ユナイテッドのザイナル・アビディン・ハサン監督には、来季に向けてチームの補強内容の提案書の提出を求めたことも記者会見で明かしています。
 さらにヨー新会長は、条件付きの交付となっている来季2020年のクラブライセンスについても11月末までに完全交付となるよう全ての未払い給料についてシア払いを完了する予定であるとも述べています。
******
 これは非常に興味深いニュースです。マレーシアでは各州のサッカー協会(州FA)の会長は州知事が兼任することが一般的ですが、マラッカ州知事でもあるアドリ会長が述べている通り、州知事には州知事の仕事が、州FA会長には州FA会長としての仕事があるはずで、その職が形式なものであったとしても州FA会長には、それに注力できる人材が就任することで、各州FAの統括するクラブはより緻密で厳格な経営ができるようになり、蔓延する給料未払い問題の発生を防ぐことができるようになるのではないかと思います。

AFC U19選手権予選でマレーシアは退場者を出す冷や汗スタート
 11月2日よりカンボジアの首都プノンペンで始まったアジアサッカー連盟AFC U19選手権予選グループGで、マレーシアは第1戦となるカンボジア戦に5-4と辛勝して予選をスタートしました。
 前半終了時点でムハマド・シャフィ・アズスワダ・サパリ(30分)、ムハマド・ファクルル・イマン・ナスザリ(40分)、ムハマド・アズリン・アフィク・ラスミニ(42分)のゴールで3-0とリードしたマレーシアでしたが、そこから日本人の行徳浩二監督率いるカンボジア相手に思わぬドラマが待っており、最終的には1点差の冷や汗勝利でした。
 その理由は57分にMFムハマド・ムカイリ・アジマル・ビン・マハディとDFのアーマド・ジクリ・ビン・モハマド・カイリリが退場となったこと。ことの発端はアーマド・ジクリ選手とカンボジアの選手が交錯し、クルバノワ主審(トルクメニスタン)はペナルティーエリア近くでカンボジアにフリーキックを与えましたこと。これにムカイリ・アジマル選手が激しく抗議し、主審はこの日2枚目のイエローを与えてムカイリ・アジマル選手を退場に、しかも交錯したアーマド・ジクリ選手にも一発でレッドカードが出しました。
 この時点で3−0とリードしていたマレーシアでしたが、9人対11人の対戦となってしまいました。カンボジアは61分と65分に得点し3-2とせまられましたが、ルクマン・ハキム・シャムスデインが67分に、またムハマド・ムスリフディン・アティク・マット・ザヒドが73分にゴールを決め、その後のカンボジアの得点を2点に抑えてなんとか逃げ切っています。
 マレーシアの次戦は、この日、北マリアナ諸島を4-3で破ったブルネイと11月6日に対戦します。
(写真は両チームのスターティングXI。マレーシアサッカー協会FAMのFacebookより)

マレーシアカップ2019決勝の結果まとめ

今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFL1部で優勝し、リーグ6連覇を果たしたジョホール・ダルル・タクジムJDTと今季のマレーシアFAカップ優勝のクダFAが激突したマレーシアカップ決勝戦が11月2日にブキ・ジャリル国立競技場で82,420名の観衆を集めて行われました。

JDT3−0クダFA
得点者:JDT-レアンドロ・ヴァレスケス(27分)、サファウィ・ラシド(35分)、シャフィク・アーマド(58分)
 試合は開始から3分過ぎにサファウィ・ラシドのFKにアイディル・ザフアンが頭で合わせるも、ゴールポーストを叩き、その直後にはゴンザロ・カブレラがゴールエリアまでドリブルで持ち込むもクダDFがクリアして難を逃れるなど、JDTが積極的に攻める展開となりました。
 そして試合が動いたのは27分、途中退場のエース、ジオゴと交代で入ったシャフィク・アーマドからペナルティエリア内のゴンザロ・カブレラへパス、そしてカブレラ選手にクダDF陣が詰めたところで出したマイナスのパスへ走り込んできたレアンドロ・ヴェラスケスがこれを決めてJDTが先制します。
 さらに35分には左サイドで得たFKを左利きのサファウィ・ラシドが難しい角度ながらニアポストのコーナーへ決める絶妙のゴールでJDTがリードを2点に広げました。
 そして58分には先日の発表で代表初招集となったアフィク・ファザイルが左サイドからからのクロスをシャフィク・アーマドがヘディングで叩き込み3点目のゴール。クダFAのDF陣はクロスボールにも、シャフィク選手に詰めず、まさにフリーヘッダーのゴールでした。
 試合はクダFAに反撃に機会がないまま終了し、今季のマレーシア国内サッカー最後のイベントは、JDTが3-0でクダFAに点差以上に圧勝し、2017年以来2度目の優勝を遂げると同時に、今季国内二冠を達成しています。また前回2017年は決勝ではベンチ入りできなかったサファウィ・ラシドがこの試合のマンオブザマッチMOMに選ばれています。
 クダFAは準決勝をアウェイゴールルールで勝ち上がったものの、その準決勝では第2戦の延長も含めて8失点を喫していた上、守備の要となるレノン・アルヴェスとリザル・ガザリの両DFを累積警告による出場停止で欠いていたため、苦戦が予想されていました、また試合前には今季チーム最多得点のFWフェルナンド・ロドリゲズのケガが明らかになり、ベンチ入りしたものの出場できないなど、飛車角落ちでは国内最強クラブにはなす術がありませんでした。
(写真はJDTのFacebookより)

11月1日のニュース:TMJはACL拡大に賛成、代表候補合宿にクダFAの主将が招集される、AFC U19選手権予選代表メンバーも発表

TMJはACL拡大に賛成
 アジアサッカー連盟AFCは、2021年よりAFCチャンピオンズリーグACLを現行の32チームから40チームへと拡大する意向ですが、この案にジョホール・ダルル・タクジムJDTのオーナーでTMJことジョホール皇太子トゥンク・イスマイル殿下は賛成していると英字紙スター電子版が伝えています。
 マレーシアの首都クアラルンプールにあるAFC本部でAFCのウインザー・ポール・ジョン事務局長から状況報告を受けたイスマイル殿下は、より多くのクラブに門戸が開かれるようになるのは良いことだとする一方で、クラブはACLへの参加を目指すだけでなく施設面での整備なども同時に行うべきだとしています。その上で、JDTだけでなくマレーシアフットボールリーグMFLの他のクラブも同じように設備、経営などに注力し、国内リーグや代表チームの質をあげることができれば、東南アジアでのサッカー大国になることができるとしています。
 その一方で自らを現実主義者であると述べるイスマイル殿下は、国内リーグ6連覇中のJDTでもACL優勝までの道のりは長いとし、アジア他国のクラブとの差は大きいとしています。

代表候補合宿にクダFAの主将が招集される
 マレーシアサッカー協会FAMのホームページでは、11月9日の国際親善試合タジキスタン戦、FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選11月14日のタイ戦、11月19日インドネシア戦に出場する代表候補合宿に参加する26名が発表になっています。26名のリストはこちらです。
 代表候補合宿は11月3日から始まりますが、先日のワールドカップ予選ベトナム戦のメンバーからはGKハフィズル・ハキム・カイルル・ニザム(ペラTBG)、DFイルファン・ザカリア(クアラルンプールFA)、MFアクラム・マヒナン(PKNS FC)、MFアブドゥル・ハリム・サアリ(スランゴールFA)がはずれ、タン・チェンホー監督はその代わりとして、前回はケガで招集が見送られたノー・アザム・アブドゥル・アジー(パハンFA)とシャーレル・フィクリ・モハマド・ファウジ(ペラTBG)の2名に加えて、マレーシアカップ決勝に進出するJDTとクダFAから計5名を新たに召集しています。JDTからはMFアフィク・ファザイルとDFシャズワン・アンディック・イシャク、クダFAからは主将のMFバドロル・バクティアル、MFファルハン・ロスラン、GKイフワット・アクマル・チェック・カシムの計5名で、アフィク選手とファルハン選手は今回が初の代表候補合宿招集です。
 なお明日11月2日のマレーシアカップ決勝に出場するJDTとクダFAの選手は11月4日に合流の予定となっています。
******
 英字紙ニューストレイトタイムズによる今回の招集メンバーで注目すべきはおよそ2年ぶりの代表復帰となるクダFAのバドロル・バクティアル主将と、初招集となるJDTのアフィク・ファザイルの二人のMFとのこと。これまでのキャップ数が50を超えるバドロル選手は若い選手を導く役割を、JDTではいわゆるリベロを務めるアフィク選手はACLで見せたパフォーマンスを期待されています。

AFC U19選手権予選代表メンバーも発表
 同じFAMのホームページでは、明日11月2日よりカンボジアの首都プノンペンで開催されるアジアサッカー連盟AFC U19選手権2020年大会予選に出場するU18代表最終メンバーが発表になっています。メンバーはこちらです。
 オーストラリア人のブラッド・マロニー監督率いるU18代表は、今年8月に行われた東南アジアサッカー連盟AFF U18選手権でオーストラリアに敗れたものの準優勝を果たしており、開催国カンボジア、タイ、ブルネイ、北マリアナ諸島と同じグループGでは、グループ首位での突破、そして本戦出場が期待されています。
 またこのU18代表にはこのブログでも何度か取り上げているルクマン・ハキム・シャムスディンも含まれており、ベルギー1部リーグのKVコルトレイクと契約した実力を見せてくれるかどうかが楽しみです。
******
 上記のFWルクマン・ハキム選手、DFアーマド・カリリ選手、GKシーク・ナズレル選手は日本サッカー協会JFAによる11日間のキャンプを終えての合流です。

10月31日のニュース:双子のラザク兄弟がマレーシアカップ決勝で対決、マレーシアカップには1500名超の警察官を動員、マレーシアカップ決勝の主審候補者は8名

双子のラザク兄弟がマレーシアカップ決勝で対決
 11月2日に開催される今季2019年のマレーシアサッカー界のフィナーレ、マレーシアカップ決勝では、双子のラザク兄弟が両チームに分かれて対戦します。ジョホール・ダルル・タクジムJDTのDFで兄のアイディル・ザフアン・ラザクと、クダFAのFWで弟のザクアン・アドハ・ラザクはヌグリ・スンビラン州セレンバンの出身で、二人が一緒にプレーしていたヌグリ・スンビランFAでは2006年にはMFL1部スーパーリーグの優勝を、2009年と2011年にはマレーシアカップ 優勝を経験しています。二人は2012年にマレーシア国軍ATM FCで、2013年にはJDTで一緒にプレーした後、アイディル選手はそのままJDTに残りましたが、ザクアン選手はその後、ペラTBG、クアラルンプールFAでプレーし、今季からクダFAの選手となっています。
 英字紙スター電子版でアイディル選手は、通常であれば二人ともに試合前に母親に電話を入れてモチベーションをもらうが、二人が対決する今回に関しては、母親も困っていると話しています。

マレーシアカップには1500名超の警察官を動員
 マレーシアカップ決勝当日は不測の事態に備えて、1500名超の警察官が動員されることが、試合会場となるブキ・ジャリル競技場があるクアラルンプールの警察長官から発表されています。
 クアラルンプール警察のダト・スリ・マズラン・ラジム長官によると、マレーシアカップ当日は午前8時よりスタジアム周辺で交通規制が行われ、暴動鎮圧部隊を含む1,560名の警察官が動員されるということです。決勝で対戦するJDTとクダFAのサポーターはそれぞれ別の入場口へ誘導され、入場口では厳しいセキュリティーチェックが行われるようです。
 スター電子版によれば、マズラン長官は当日は隣接する屋内競技場でもイベントがあることから渋滞が予想されるだけでなく、駐車スペースに限りもあることから、サポーターには早めの来場と、公共交通機関を使っての来場を提言しています。

マレーシアカップ決勝の主審候補者は8名
 マレー語紙ブリタハリアンによると、マレーシアカップ決勝を担当する審判の最終候補が8名に絞られたようです。
 マレーシアサッカー協会審判委員会のモハマド・ダリ・ワヒド委員長は、この中の6名が決勝戦を担当すると述べています。モハマド・ダリ委員長は、最終決定の要件としては今季のMFLやマレーシアカップでの審判状況をもとにする一方で、これまで議論が起こるような判定をしてこなかったか、そして出身地や居住地、審判としての登録地がJDTの本拠があるジョホール州やクダFAの本拠があるクダ州ではないことなどを挙げています。
 マレーシアのもう一つのカップ戦、マレーシアFAカップの今季の決勝では、日本人の岡部拓人主審、八木あかね、野村修両副審で行われ、クダFAのアイディル・シャリン監督らの反応は良く、マレーシア人審判の質を疑問視する一部ファンからは、マレーシアカップ決勝でも外国人審判を、という声は上がっていましたが、はマレーシアカップ決勝はマレーシア人審判が笛を吹くことを、モハマド・ダリ委員長は明言していました。
 今回の記事の中でも、マレーシア人審判の育成は急務であり、AFC新パインの資格を持っているようなマレーシア人審判に(マレーシアカップ決勝のような)重要な試合で笛を吹かせない理由はないとしています。

10月30日のニュース:クダFAは守備の要がマレーシアカップ決勝出場停止、JDTとスランゴールFAがAMDから選手獲得、イルファン監督はMFLに復帰か

クダFAは守備の要がマレーシアカップ決勝出場停止
 両チーム合わせて計16ゴールと壮絶な準決勝でパハンFAを破りマレーシアカップ決勝へ進出したクダFAですが、守備の要2人が決勝に出場できない状況になっています。
 今季2019年のマレーシアフットボールリーグMFLでは、チーム最多出場のブラジル出身DFラノン・アルヴェスと、アルヴェス選手に次ぐ出場数のDFリザル・ガザリが、先日行われたパハンFAとのマレーシアカップ準決勝第2戦でいずれもイエローカードをもらい、累積警告で次戦となるマレーシアカップ決勝は出場停止処分を受けることになりました。
 しかしこの状況でも、かつてGoal. comによってシンガポールのグラディオラと評されたクダFAのアイディル・シャリンク監督が、強豪ジョホール・ダルル・タクジム相手に効果的な策略を立ててくれことをクダFAのサポーターは期待していると、マレー語紙ブリタハリアン電子版が伝えています。
 あるサポーターは、アイディル監督はこの状況で最も効果的な戦略を立ててJDT戦に臨んでくれると期待し、別のサポーターは今季のクダFAの実績から、アイディル監督がどんな戦術を取ってもそれを支持すると述べています。
 なお今季から就任したアイディル監督の下、クダFAは今季のMFLで4位(昨季は6位)、FAカップは優勝と好成績を上げ、マレーシアカップ でも2017年以来2年ぶりの決勝進出を果たしています。

JDTとスランゴールFAがAMDから選手獲得
 マレーシア政府肝煎の国家サッカー選手養成プログラムNFDPの中の「エリート」、モクタル・ダハリアカデミーAMDの1期生となる34名が間も無くこのプログラムを卒業します。2002年生まれのこの世代の出世頭はベルギー1部リーグのクラブと契約したルクマン・ハキム・シャムスディンですが、彼だけでなくこの世代は東南アジアサッカー連盟AFF U18選手権で昨年2018は優勝、今年2019年は準優勝とアセアンでは周りの国に負けないタレント揃いです。
 ただし、この1期生たちはどのクラブにも所属しておらず、プログラム終了後の所属先がどうなるかに関心が集まっていますが、マレーシアフットボールリーグMFL1部のジョホール・ダルル・タクジムJDTと、スランゴールFAを統括するスランゴール州サッカー協会FASが早速、選手獲得に動いたことをマレー語紙ブリタハリアン電子版が報じています。
 U19代表でもプレーする左ウィングのウマル・ハキーム・スハル・レズアンはJDTとの契約の可能性が高まっています。FASも彼に興味を示していたということですが、JDTを選んだ理由としてウマル選手はチーム力に加えて設備や練習環境、そしてサッカーに情熱を持つオーナーのTMJことジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下を挙げています。
 また左サイドバックのアーマド・ジクリ・モハマド・カリリはJDTとパハンFAも関心を示したようですが、FASを選んだようで、その理由としてFASが最も熱心にアプローチされたと明かしています。

イルファン監督はMFLに復帰か
 今年2019年5月にチームの成績不振の責任を取りMFL1部トレンガヌFCの監督を辞任したイルファン・バクティ氏は来年2020年にMFLで指揮を取る可能性がありそうだとマレー語紙ハリアンメトロ電子版が伝えています。
 既に複数のクラブから監督のオファーを受けているものの、まだ現時点では何も決めていないというイルファン氏ですが、届いているオファーがクアラルンプールやスランゴールといった首都圏以外のクラブからということで、首都圏のクラブでの指導を望んでいるイルファン氏の希望に沿うクラブからのオファーははまだないようです。
 首都圏のクラブには、MFL1部スーパーリーグではスランゴールFA、プタリンジャヤシティFC、PKNS FC、PDRM FC、MFL2部プレミアリーグではクアラルンプールFA、UITM FC、UKM FC、スランゴール・ユナイテッドがありますが、1部スーパーリーグのクラブはどこもおそらく監督の更迭はなさそうなので、イルファン氏がMFLに復帰するとすれば2部プレミアリーグの監督としての可能性が高そうです。

10月29日のニュース:マレーシアカップ準決勝の勝敗決定方法についてMFLが説明、マレーシアカップ決勝は両チームにおよそ3万枚のチケットが割り当てられる、マレーシアカップ決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催

マレーシアカップ準決勝の勝敗決定方法についてMFLが説明
 第1戦3-3、第2戦は延長も含めて5-5と2試合で16ゴールと壮絶な試合となったマレーシアカップ準決勝のクダFA対パハンFAの試合。この試合はアウェイゴールルールによってクダFAが決勝進出を決めましたが、延長の120分に同点ゴールを決めたパハンFAのディクソン・ヌワカエメがPK戦に持ち込んだと思いガッツポーズを取るなど選手はもちろん、パハンFAのホーム、ダルル・マクムール・スタジアムに詰めかけた29,275名の観衆の多くも、ぜクダFAが決勝進出が理解できなかったようです。
 これを受けて、マレーシアカップ を主催するマレーシアフットボールリーグMFLが公式ホームページで声明を発表し、今回適用されたアウェイゴールルールは新たに設けられたものではなく、2010年からマレーシアカップ 、マレーシアFAカップ、チャレンジカップなど国内のカップ戦で既に採用されていることを説明する事態になっています。
 欧州サッカー連盟UEFA主催のチャンピオンズリーグなどでは、延長戦でのゴールも含めてアウェイゴールが適用されますが、アジアサッカー連盟AFC主催の試合では、延長戦でのゴールはアウェイゴールルールの適用外となっています。第1戦は3-3、そして第2戦は90分の試合時間内ではやはり3-3でしたので、AFCの規則に照らせば、両チームともそれぞれアウェイゴールは3となり、試合の決着はPK戦により決定となります。しかし国際サッカー連盟FIFAは、加盟国の国内試合に関しては所轄の連盟にアウェイゴールールの詳細決定を委ねています。マレーシアの場合は延長も含めてのアウェイゴールルール採用となっていることから、延長での2-2も加えるとパハンFAのアウェイゴールは3、クダFAのアウェイゴールは5となり、クダFAが勝利チームになったわけです。

マレーシアカップ決勝は両チームにおよそ3万枚のチケットが割り当てられる
 クダFA対JDTの対戦が決まったマレーシアカップの決勝戦ですが、クダFAを倒閣するクダ州サッカー協会KFAとジョホール州サッカー協会PBNJには、それぞれ31,610枚のチケットが割り当てられると、マレーシアの通信社ベルナマ が報じています。
 KFAによると、チケットは10月31日よりクダFAの本拠地であるダルル・アマンスタジアムで26,610枚が売り出され、残る5,000枚はクダFAのサポーターを対象にネット販売されるということです。
 一方PBNJは、ジョホール州内全10地区で26,610枚のチケットが販売され、残りはJDTのホームであるタン・スリ・ハサン・ユノススタジアム(通称ラーキンスタジアム)とオンラインでやはり10月31日から販売されるということです。

マレーシアカップ決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催
 過去4年間のマレーシアカップ決勝は、スランゴールFAのホームでもあるシャーアラムスタジアムで開催されてきましたが、今季2019年決勝は5年ぶりにブキ・ジャリル国立競技場で開催されることになりました。
 このブログでも何度か取り上げてきましたが、ブキ・ジャリル国立競技場は、そのピッチの状況の悪さから、マレーシア国内はもとより海外のチームからも評判が悪く、バルセロナが直前になって試合の会場変更を求めたり、先日のFIFAワールドカップ予選ではUAEのベルト・ファン・マルワイク監督が不満を述べるなど、酷評されています。
 しかし今年8月にブキ・ジャリル国立競技場はマレーシア代表の公式戦全ての開催会場、つまりマレーシア代表のホームとなったことで、コンサートなどの他の用途での使用が限られるようになり、ピッチ管理などにより多くの費用が注ぎ込まれるようにもなっています。
 また今回の決勝では、マレーシア史上初となるスタンドの座席番号の導入も行われるようです。マレーシアのスタジアムは一般的に座席の範囲は決まっているものの、座席そのものの指定はなく、皆が好きなところに早い者勝ちで座るようになっています。今回は試験的な導入となるようですが、この結果で完全な指定席制度が普及していくかもしれません。


 

10月28日のニュース:AFCカップの決勝はKLで開催、FAMはU21とU19大会廃止の噂を否定、M3リーグはケランタン・ユナイテッドが優勝

AFCカップの決勝はKLで開催
 アジアサッカー連盟AFCが主催するAFCカップは、AFCチャンピオンズリーグACLの出場枠が与えられているAFCクラブチームランキングの上位14カ国以外の国および地域のリーグ戦やカップ戦の優勝チームに出場権が与えられる大会で、2015年には、マレーシアフットボールリーグMFLの優勝チーム、ジョホール・ダルル・タクジムJDTも優勝を経験しています。
 今季2019年の決勝戦は4.25 SC(北朝鮮)対アル・アヘドSC(レバノン)が対戦しますが、その会場が二転三転し、結局、マレーシアの首都クアラルンプールになったことが英字紙マレーメイル電子版で報じられています。
 当初は北朝鮮の平壌で11月2日に予定されていた決勝戦ですが、10月15日にやはり北朝鮮の金日成競技場で行われたFIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選の北朝鮮対韓国の試合が中継なしの無観客試合として行われたことを受け、AFCは試合の中継権やスポンサーへの配慮から、決勝の舞台を平壌から中国の上海へ変更することを10月22日に発表していました。
 しかしAFCは10月25日に新たな告知として、AFCカップ決勝は上海からマレーシアの首都クアラルンプールで、予定よりも2日遅い11月4日に行われることを発表しています。AFCは再度の変更理由を明らかにしていません。
*****
 AFCの本部があるマレーシアのクアラルンプールでは、これまでも中立地域での試合会場を提供することが度々ありました。またマレーシアの国教であるイスラム教の教徒が人口の半数以上を占めるレバノンのクラブと、マレーシアとも国交のある北朝鮮のクラブの対戦場所として、クアラルンプールは無難な選択かもしれません。

FAMはU21とU19大会廃止の噂を否定
 マレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、マレーシアフットボールリーグMFL所属クラブのU21チームの大会であるプレジデントカップと、U19チームの大会であるユースカップ廃止の噂を否定していると、スポーツ専門サイトのスタジアムアストロが伝えています。
 ラマリンガム事務局長は、両大会の廃止を否定する一方で、フォーマットの変更については、選手、コーチ、審判など関係者全員にメリットがあるような方式を現在検討中だとも述べています。
 FAMは年齢制限のない育成目的のリーグの発足を検討しているという話もあり、そこからU21チームとU19チームに限定されている両大会の廃止という話が出回った可能性がありますが、ラマリンガム事務局長はプレシデントカップとユースカップの有用性を強調した上で、廃止については現在は検討されていないとしています。

M3リーグはケランタン・ユナイテッドが優勝
 マレーシアフットボールリーグMFLの3部にあたるM3リーグでは、マレー半島北東部のケランタン州に本拠地を持つケランタン・ユナイテッドが2節を残して優勝を果たしています。
 14のクラブで構成されているセミプロリーグのM3は、ケランタン・ユナイテッドと鈴木啓太選手が所属する、東マレーシアのサラワク州に本拠地を持つクチンFAに優勝争いが絞られていましたが、10月27日にランカウィ島で開催されたアウェイのグローリー・ユナイテッド戦に5-0で快勝し勝点が65となり、2位のクチンFAに勝点差12をつけて優勝を決めています。
 なおケランタン・ユナイテッドのガンビア出身のFWアルフサイニ・ガッサマはこの日の4得点で27得点となり、やはりこの日、ゴールを決めたチームメイトのマレーシア人FWファクラル・ザマンと共にリーグの得点王レースのトップとなっています。
 ケランタン・ユナイテッドはM3リーグ優勝により来季2020年のMFL2部ブレミアリーグへの自動昇格権を獲得しています。また3位のマレーシア国軍FCに勝点5の差をつけている2位クチンFAはMFL2部11位のサラワクFAと入れ替え戦を行う可能性が高くなってきました。
******
 本来ならば、MFL2部の11位、12位がMFL3部の1位、2位とそれぞれ入れ替え戦を行うことになっていますが、今季のMFL2部は開幕直後にプルリスFAが給料未払い問題により助名処分を受けており、M3優勝のケランタン・ユナイテッドには自動昇格権が与えられています。またケランタン・ユナイテッドのMFL2部昇格により、MFL2部にはケランタン州サッカー協会が統括するケランタンFAとケランタン・ユナイテッドの2クラブが同時に在籍することになりました。
 また、クチンFAが対戦する可能性があるサラワクFAはサラワク周サッカー協会が統括するクラブで、いわば上部組織である東京都サッカー協会が統括するクラブチームとその下部組織である新宿区サッカー協会のクラブチームが入れ替え戦を戦うような状況になる可能性があります。
(写真は優勝を決めたケランタン・ユナイテッドのFacebookより。”Kita Juara”は「俺たちはチャンピオンだ」の意味のマレーシア語です。)

10月27日のニュース:ワン・クザインのU22代表招集に暗雲、マラッカUのザイナル監督が留任

ワン・クザインのシーゲームズ参加に暗雲
 アメリカのプロサッカーリーグMLSのスポーティング・カンザスシティに所属する21歳のMFワン・クザイン・ワン・カマルはアメリカ生まれながらマレーシア人の両親を持ち、来月11月25日からフィリピンで開催される東南アジア競技大会、通称シーゲームズに参加するマレーシアU22代表へ招集される可能性が取り沙汰されています。
 しかしそのワン・クザイン選手はマレーシアのパスポートを持っているものの、既に有効期限切れになっているようで、新たなパスポート取得のためには直ちにマレーシアに戻る必要があるとマレー語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
 マレーシアU22代表としてプレーするための手続きには2週間ほどかかるようで、シーゲームズ参加登録に間に合わせるためにも、11月初旬のMLS終了後、速やかな帰国を望んでいることをマレーシアサッカー協会FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は表明していますが、パスポート取得から代表参加までの期間が短ければ、チーム自体が混乱する懸念もあり、このままではワン・クザイン選手の招集自体が見送られる可能性があります。

マラッカUのザイナル監督が留任
 マラッカ・ユナイテッドを統括するマラッカ州サッカー協会MUSAは、今季2019年に続いて来季2020年もザイナル・アビディン・ハサン監督がチームの指揮を取ることを発表しました。
 スポーツ専門サイトフォックススポーツによると、MUSAのアドリー・ザハリ会長はマレーシアフットボールリーグMFLで昨季の7位から今季は6位と順位を上げたこと、またマレーシアカップ でも準々決勝に進出したことを評価した結果の続投要請であったことを明かしています。
 今季のマラッカ・ユナイテッドは開幕の5試合で3勝1分1敗と好スタートを切ったものの、ケガ人の続出や下位チーム相手の取りこぼしなどで同じ勝点33の5位のペラTBGを勝数で上回りながら、得失差で6位となっています。
 マラッカ州知事でもあるザハリ会長は、より上位に進出すつための新たな戦力の獲得もザイナル監督に一任するとしています。
******
 マラッカ・ユナイテッドは、リーグ戦中から給料未払いが何度か取り沙汰されましたが、マレーシアカップ準々決勝直前に主将のシュコル・アダンが数ヶ月の給料未払いを告発して試合出場を拒否、チームも準々決勝第1戦と第2戦通算でパハンFAに6-1で敗れています。
 また来季のMFL参加に必要なクラブライセンスも条件付きでの交付となっていることから、MUSAにどれだけの強化資金があるのかは不明で、ザイナル監督が望むような補強ができるのかどうかも定かではありません。